JP3684201B2 - 高炉炉底部の解体方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉改修における高炉炉底部の解体方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉炉底部の解体方法については、例えば、特開平10−96005号公報に提案されているものがあった。この公報には、炉体上部を懸架装置で支持し、炉内の残銑層より上部の炉底から羽口マンテルを全周に亘って撤去し、残銑の下部に残存するカーボン煉瓦層と炉底マンテルにコアボーリングを行い、金具を挿入してカーボン煉瓦と炉底マンテルを緊結した後、この金具の下位置のカーボン煉瓦を水平切断し、カーボン煉瓦の摩擦係数の低さを利用して、残銑とカーボン煉瓦を一体として横引きし、台車上に移動させ、ドーリにより搬出する方法が記載されている。この方法によって、残銑とカーボン煉瓦を発破により小割し、炉外へ搬出する方法より工期が短縮できると提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の高炉炉底部の解体方法は、高炉内の溶融物が高温であるため、高炉を吹き卸してカーボン煉瓦層の温度を下げるまで切断作業を行うことができなかった。また、高炉炉底部の鉄皮と円形の炉底板を切断して分離するため、切断後に吊り上げ支持することができなかった。このため、カーボン煉瓦の下部にレールやころ部材等を配置することができず、高炉炉底部を安定して横移動させることができなかった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、高炉の解体作業を短期間で確実に行うことができる高炉炉底部の解体方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る高炉炉底部の解体方法は、高炉本体の下部に設けられている敷ビームより下側の基礎コンクリートに予め複数の切断区分に分割された水平切断部を計画し、前記高炉本体が直立状態を維持するようにしてそれぞれの前記切断区分をワイヤソーで切断し、前記ワイヤソーで切断した部分には、剥離性を確保してグラウト材を充填し、硬化後のグラウト材で前記高炉本体の荷重を支持しながら、前記水平切断部を前記ワイヤソーで順次切断する。
敷ビームは、例えば、水平に並べて配置されたH形鋼と、その内部に配置された高炉の冷却用パイプと、上側に配置された敷鉄板とを備え、これらを一体的に接続した平面視して円形の部材である。敷ビームより下側を切断するので、敷ビームによる高炉の冷却を、切断中にも継続して行うことができる。すなわち、高炉の休止中は当然として、高炉の操業中に解体作業を開始することもできる。高炉本体が直立状態を維持するようにとは、切断区分の切断順序や切断区分の大きさを考慮して切断することをいい、直立状態を維持することにより偏荷重によるワイヤソーの噛み込みや基礎コンクリートのひび割れを防止することができる。なお、順次切断とは、計画した水平切断部を所定の順序に従って切断することをいい、更に複数の切断区分を群に分けて切断する場合も含まれる。切断区分の切断の進行に伴い、水平切断部の上下の接地面積が徐々に小さくなり、接地部分に加わる荷重が徐々に大きくなっていく。ここで、切断した部分にグラウト材を充填すると、グラウト材が固化(硬化)するので、切断した部分に加わる高炉の荷重を固化したグラウト材で支持し、接地部分に加わる荷重を減らすことができる。さらに、第1の発明に係る高炉炉底部の解体方法において、前記グラウト材の剥離性の確保を、該グラウト材を充填する前に、前記ワイヤソーで切断した上下の切断面の何れか一方又は双方に剥離材を塗布して行うことも可能である。かかる構成によって、高炉本体を、基礎コンクリートの切断部分より下側から容易に剥離することができる。
【0005】
第2の発明に係る高炉炉底部の解体方法は、高炉本体の下部に設けられている敷ビームより下側の基礎コンクリートに予め複数の切断区分に分割された水平切断部を計画し、前記高炉本体が直立状態を維持するようにしてそれぞれの前記切断区分をワイヤソーで切断し、前記ワイヤソーで切断した部分には砂又は鉄粒子を充填し、前記高炉本体の荷重を支持しながら、前記水平切断部を前記ワイヤソーで順次切断する。
切断部の充填材料として砂又は鉄粒子を使用するので、前記したグラウト材に比べ、剥離材を塗布する必要がない。更に、大型化に伴って上記材料以上の強度が必要な場合は、砂又は鉄粒子が有効な充填材である。砂として一般的にざくろ石や珪砂が使用される。ざくろ石を使用した場合には、珪砂に比べて支持強度が増加する。
また、第2の発明に係る高炉炉底部の解体方法において、前記砂又は鉄粒子の充填には、鋼管の先端部にスリットを形成したノズルを用い、かつ該ノズルの内面に耐摩耗性材料を塗布してもよい。
ここで、前記ノズルには散水ノズルを並設し、前記砂又は鉄粒子の充填と同時に前記散水ノズルで散水するのが好ましい。
【0006】
第1、第2の発明に係る高炉炉底部の解体方法において、複数の前記切断区分の境界にボーリングを行って、前記ワイヤソーを挿通させることも可能である。ボーリングは、高炉作業用の専用機を用いることができ、また、岩盤の切削工事に用いられる市販品を用いることも可能である。ボーリングを行ってからワイヤソーを挿通させ、ワイヤソーによって所定の切断区分の切断を行うので、切断区分ごとに確実に作業を行うことができる。
また、第1、第2の発明に係る高炉炉底部の解体方法において、前記切断区分を、前記高炉本体の中心を基準にして点対称又は線対称に形成することも可能である。高炉本体の中心を基準にして対向配置された対となる切断区分ごとに切断を行うことによって、高炉本体の直立状態を簡単かつ確実に維持することができる。
【0007】
さらに、第1、第2の発明に係る高炉炉底部の解体方法において、前記水平切断部の主要部又は全部を切断した後、前記高炉本体の上部及び下部を炉体櫓に吊下支持し、前記高炉本体の中間部を実質的に水平に所定幅で切断して、この切断部分より上側に形成された上部マンテルを、該切断部分より下側に形成され残存煉瓦及び冷却凝固した残銑を内蔵する炉底マンテルから分離させ、一体的に接合した前記敷ビーム及び前記炉底マンテルからなる高炉炉底部を上昇させ、該高炉炉底部と前記基礎コンクリートの下部とを離反させ、その間に横移動手段を配置し、前記高炉炉底部を前記横移動手段上に降ろして横移動させ、炉体櫓外に移動させることも可能である。
炉底マンテル及び上部マンテルは、切断部分の位置によって重量及び大きさが変わる。ここでいう所定幅とは、炉底マンテルを搬出可能な重量及び大きさ以下に形成するときの炉底マンテルの高さ方向の幅をいう。
また、上部マンテルは、さらに複数のリング状マンテルに分割することも可能である。横移動手段とは、例えば、レール部材、台車、ころ、又は空気式浮上装置等の高炉炉底部の移動抵抗を減らして横移動させる機構等をいう。
高炉炉底部を横移動手段を介して横移動させるので、不定形の状態で固化する高炉炉底部内の残渣の量や、残渣が固化したときの形状によらずに作業手順を画一化することができ、簡単に短時間で炉体櫓外に横移動させることができるので、高炉の改修を含む解体作業を短期に終了することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態に係る高炉炉底部の解体方法が適用される高炉10について説明する。
高炉10は、基礎コンクリート11と、基礎コンクリート11上に設けられた敷ビーム12と、敷ビーム12上に設けられた高炉本体13を有している。また、高炉10の上部には、複数の排気管15が設けられている。高炉10及び排気管15は、高炉10の周囲の4カ所に立設する支柱22を所定位置で接続した炉体櫓14に支持されており、炉体櫓14の下部には高炉10を囲繞する環状管16が支持されている。また、炉体櫓14の上端部には、炉頂アウトリガークレーン17が設けられ、炉体櫓14の中間部に設けられた仮設張出デッキ18と共に、高炉10の上部に設けられた装入設備19等の保守、解体作業を行うことができる。また、炉体櫓14内の仮設張出デッキ18と実質的に同じレベルには、作業デッキ21が配置され、作業デッキ21には、高炉本体13を支持可能な複数台のセンターホールジャッキ50等の吊下手段を取付けることができる。以下、詳しく説明する。
【0009】
まず、敷ビーム12について説明する。図1に示すように、基礎コンクリート11上に設けられた敷ビーム12は、並べて配置された多数のH形鋼23と、隣接するH形鋼23の間に設けられ内部に冷却水を通過させる冷却管24と、多数のH形鋼23の上部に設けられ平面視して円状の炉底板26を有している。また、冷却管24の下側にはグラウト材25が注入されて固化され、冷却管24の上側には、スタンプ材28が炉底板26の上側から図示しない注入口を介して注入され固化されている。高温になる敷ビーム12の上側は、冷却管24及びスタンプ材28の伝熱効果により効率よく冷却され、敷ビーム12の下側の基礎コンクリート11は、グラウト材25の断熱効果によって、温度上昇が制限されている。
【0010】
次に、高炉本体13について説明する。
高炉本体13は、筒状に形成され、炉底板26の上部に溶接されて立設している。高炉本体13の外側は鉄皮29で覆われ、その内側には、多数のステーブクーラ30が配置されている。また、高炉本体13の内側下部には、耐火物からなる炉底煉瓦層31が形成されている。
高炉10の吹き卸し後には、炉底煉瓦層31の一部が溶損してコークス層32と一体になって固化しており、また、コークス層32の下側には、冷却凝固した残銑33が残っている。
高炉本体13は、中間部を実質的に水平に切断され、切断部分より上側に形成された上部マンテル34と、切断部分より下側に形成され残存煉瓦及び残銑33を内蔵する炉底マンテル35とに分離される。なお、本明細書中においては、一体的に接合した敷ビーム12及び炉底マンテル35を高炉炉底部36として説明する。
【0011】
次に、高炉炉底部36の解体方法の手順について説明する。
(炉底部切離工程)
まず、高炉本体13の下部に設けられている敷ビーム12より下側の基礎コンクリート11に予め4の切断区分37〜40に分割された水平切断部49を計画する。
図2に示すように、切断区分37〜40は、高炉本体13の中心を基準にして点対称及び線対称となる中心角90度の扇形に形成されている。各切断区分37〜40の境界41〜44は、図示しない穿孔機を用いて側方から行われるボーリング加工によって分離され、穿孔が施された隣接する境界41、42及び境界43、44には、それぞれワイヤソー45、46が挿通される。ワイヤソー45、46を同時に運転することによって、高炉本体13が直立状態を維持するようにして対向する切断区分37、39を同時に切断することができる。ワイヤソー45、46によって切断区分37〜40は、例えば、上下に5〜20mmの幅で切断することができる。
【0012】
次いで、ワイヤソー45、46によって、切断区分37、39を所定範囲だけ切断する。このときの切断範囲は、高炉本体13の荷重によっても敷ビーム12が屈曲せず、また、切断部分にひび割れ等が発生しない程度にする。
次に、切断した部分にフレキシブルホースを挿入し、上下の切断面47、48の双方に液状の剥離材を塗布する。
次に、ワイヤソー45、46で切断した部分、すなわち切断面47、48の間にグラウト材56を充填する。グラウト材56が固化(硬化)する前には、高炉本体13の荷重は、ワイヤソー45、46で切断した部分以外の未切断部分に加わるが、充填されたグラウト材56が硬化すると、硬化したグラウト材56で高炉本体13の荷重を支持することができる。
このようにして、部分切断、剥離材塗布、グラウト材56の注入及び硬化を繰り返し行い、切断区分37、39を完全に切断し、その後、同様の手順で切断区分38、40を切断することによって、水平切断部49を切断し、高炉本体13の荷重を全て板状に配置され固化したグラウト材56で受ける。
敷ビーム12より下側を切断するので、敷ビーム12内に配置された冷却管24による高炉本体13の冷却を継続して行うことができる。すなわち、高炉10の操業中においても炉底部切離工程を行うことができる。
【0013】
また、剥離材塗布及びグラウト材充填の代わりに砂又は鉄粒子を充填すると更に高炉本体の荷重支持強度が増し、また、剥離材を塗布する必要がないのでグラウト材充填に比べ工程を短縮することができる。
【0014】
砂又は鉄粒子の充填には、図5(A)、(B)に示すノズル59を採用した。この鋼管(ステンレス鋼管であってもよい)からなるノズル59の内面に耐摩耗性材料60、例えばレンジ系又は珪酸塩系を含むAl23 とSiO2 を主成分とする耐摩耗性材料を塗布した。これは、ノズル59内に砂又は鉄粒子を流動させながら切断部に充填するため、ノズルの摩耗が激しく、この摩耗を防ぐのに効果がある。このノズル59の先部には鋼製の盲蓋61を有し、その手前にスリット63があり、この部分から砂又は鉄粒子が吹き出る。また、ノズル59の下部には散水ノズル62が設けられ、砂又は鉄粒子の充填と共に散水し、これらの粉体の舞い上がりを防止する。また、砂又は鉄粒子の流動には圧縮空気を使用した。この圧縮空気によりノズル59内を気体搬送させて切断部に砂又は鉄粒子を充填する。
【0015】
(炉体切断工程)
水平切断部49の大半又は全部を切断した後、高炉10を吹き卸し、高炉本体13の鉄皮29の上部及び下部に複数の吊下用ブラケット52、53を溶接固定すると共に、炉体櫓14に複数のセンターホールジャッキ50、51を取付け、高炉10を、吊下用ブラケット52、53及びセンターホールジャッキ50、51を介して炉体櫓14に吊下支持する。
次いで、高炉本体13の中間部、すなわち、高炉本体13の羽口レベルより下側を実質的に水平に所定幅で切断し、上部マンテル34を、炉底マンテル35から分離する。このとき、上部マンテル34は、上側の吊下用ブラケット52及び上側のセンターホールジャッキ50によって支持され、炉底マンテル35を含む高炉炉底部36は、下側の吊下用ブラケット53及び下側のセンターホールジャッキ51によって支持されている。
次に、上部マンテル34及び高炉炉底部36と、これらに接続する装入設備19や出銑床54等との接続を解除し、炉体櫓14の上部に設けられた装入設備19等を炉頂アウトリガークレーン17及び仮設張出デッキ18を用いて解体撤去する。また、同時に、水平切断部49の未切断部をワイヤソーで切断する。
【0016】
(高炉炉底部撤去工程)
センターホールジャッキ50を用いて上部マンテル34を吊下した状態で、センターホールジャッキ51を用いて高炉炉底部36を上昇させる。高炉炉底部36は、水平切断部49に塗布された剥離材の作用により小さな力で簡単に基礎コンクリート11の下部から離反して上昇することができる。又は、油圧ジャッキにて炉底部を上昇することも可能である。
次いで、切断面47、48の間、すなわち切断面48上に横移動手段を構成する複数のレール部材55及びレール部材55上を走行可能な台車58を配置する。また、ここでは走行可能な台車として炉底マンテルを搬送できるものであれば良く、例えば、チルタンク、エヤーキャスタ、摺動ベヤリング等にて搬送することができる。
そして、高炉炉底部36を台車58上に降ろして、図示しないウインチ等を用いて横移動させ、炉体櫓14外に移動させる。
炉体櫓14外には、例えば、図4に示すような重量物搬送台車57を配置しておき、高炉炉底部36を重量物搬送台車57に固定した後、高炉設備の系外に設けられた図示しない作業ヤードに輸送することができる。
このような手順によって、高炉炉底部36の解体を行うことができる。
炉体櫓14に吊下げられた状態の上部マンテル34は、例えば、レール部材55上への下降と、下側部分の切断及び撤去作業を繰り返して解体することができ、また、上部マンテル34を複数のリング状マンテルに分割し、下側のリング状マンテルから順に系外に搬出することも可能である。
【0017】
本実施の形態においては、高炉炉底部36を、敷ビーム12より下側の基礎コンクリート11から切断するので、作業の開始を高炉10の吹き卸し前に行うことができ、高炉の解体作業の工期を短縮することができる。
また、円筒状の炉底マンテル35と円板状の敷ビーム12を一体的に固着させたまま容器状に形成するので、内部に残銑33やコークス層32等の不定形物を有したまま上昇させ、高炉炉底部36の下部にレール部材55を配置することができ、高炉炉底部36の解体撤去を迅速かつ確実に行うことができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明してきたが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、剥離材とグラウト材を混合した状態で同時に注入することも可能である。
【0018】
【発明の効果】
請求項1〜8記載の高炉炉底部の解体方法においては、高炉本体の下部に設けられている敷ビームより下側の基礎コンクリートに予め複数の切断区分に分割された水平切断部を計画し、高炉本体が直立状態を維持するようにしてそれぞれの切断区分をワイヤソーで切断し、ワイヤソーで切断した部分には、剥離性を確保してグラウト材、或いは、砂又は鉄粒子を充填するので、敷ビームによる高炉の冷却を、切断中にも継続して行うことができ、高炉の操業中に解体作業を開始することができる。また、グラウト材、或いは、砂又は鉄粒子を充填しながら切断するので、切断した部分に加わる高炉の荷重を固化したグラウト材、或いは、砂又は鉄粒子で支持することができる。
特に、請求項2記載の高炉炉底部の解体方法においては、グラウト材を充填する前に、上下の切断面の何れか一方又は双方に剥離材を塗布するので、高炉本体を、通常市販されている安価なグラウト材を使用して、基礎コンクリートの切断部分より下側から容易に剥離することができる。
請求項3〜5及びこれらに従属する請求項6〜8記載の高炉炉底部の解体方法においては、グラウト材の代わりに、砂又は鉄粒子を切断部に充填するので、解体工事の大型化に伴う重量アップについても前記砂又は鉄粒子により荷重を支持することが可能である。また、グラウト材充填時に発生する剥離材塗布の工程が省略できるので、一層解体工期の短縮が可能となる。
なお、鉄粒子や砂としてざくろ石を使用した場合には支持強度が増加する。
請求項6記載の高炉炉底部の解体方法においては、切断区分の境界にボーリングを行って、ワイヤソーを挿通させるので、基礎コンクリートを任意の切断区分に分割でき、切断区分ごとに確実に作業を行うことができる。
請求項7記載の高炉炉底部の解体方法においては、切断区分を、点対称又は線対称に形成するので、高炉本体の傾動を防止して、直立状態を保持して作業を行うことができる。
そして、請求項8記載の高炉炉底部の解体方法においては、高炉炉底部を横移動させるので、不定形の状態で固化する高炉炉底部内の残渣の量や、残渣が固化したときの形状によらずに作業手順を画一化することができ、簡単に短時間で炉体櫓外に横移動させることができるので、高炉の改修を含む解体作業を短期に終了することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る高炉炉底部の解体方法が適用される高炉の部分正断面図である。
【図2】同高炉の平断面図である。
【図3】同高炉及び炉体櫓の正断面図である。
【図4】同高炉及び炉体櫓の正断面図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ、砂又は鉄粒子を充填するノズルの構造を説明する正面図、底面図である。
【符号の説明】
10:高炉、11:基礎コンクリート、12:敷ビーム、13:高炉本体、14:炉体櫓、15:排気管、16:環状管、17:炉頂アウトリガークレーン、18:仮設張出デッキ、19:装入設備、21:作業デッキ、22:支柱、23:H形鋼、24:冷却管、25:グラウト材、26:炉底板、28:スタンプ材、29:鉄皮、30:ステーブクーラ、31:炉底煉瓦層、32:コークス層、33:残銑、34:上部マンテル、35:炉底マンテル、36:高炉炉底部、37〜40:切断区分、41〜44:境界、45、46:ワイヤソー、47、48:切断面、49:水平切断部、50、51:センターホールジャッキ、52、53:吊下用ブラケット、54:出銑床、55:レール部材、56:グラウト材、57:重量物搬送台車、58:台車、59:ノズル、60:耐摩耗性材料、61:盲蓋、62:散水ノズル、63:スリット

Claims (8)

  1. 高炉本体の下部に設けられている敷ビームより下側の基礎コンクリートに予め複数の切断区分に分割された水平切断部を計画し、前記高炉本体が直立状態を維持するようにしてそれぞれの前記切断区分をワイヤソーで切断し、前記ワイヤソーで切断した部分には、剥離性を確保してグラウト材を充填し、硬化後のグラウト材で前記高炉本体の荷重を支持しながら、前記水平切断部を前記ワイヤソーで順次切断することを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
  2. 請求項1記載の高炉炉底部の解体方法において、前記グラウト材の剥離性の確保は、該グラウト材を充填する前に、前記ワイヤソーで切断した上下の切断面の何れか一方又は双方に剥離材を塗布して行われることを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
  3. 高炉本体の下部に設けられている敷ビームより下側の基礎コンクリートに予め複数の切断区分に分割された水平切断部を計画し、前記高炉本体が直立状態を維持するようにしてそれぞれの前記切断区分をワイヤソーで切断し、前記ワイヤソーで切断した部分には砂又は鉄粒子を充填し、前記高炉本体の荷重を支持しながら、前記水平切断部を前記ワイヤソーで順次切断することを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
  4. 請求項3記載の高炉炉底部の解体方法において、前記砂又は鉄粒子の充填には、鋼管の先端部にスリットを形成したノズルを用い、かつ該ノズルの内面に耐摩耗性材料を塗布することを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
  5. 請求項4記載の高炉炉底部の解体方法において、前記ノズルには散水ノズルを並設し、前記砂又は鉄粒子の充填と同時に前記散水ノズルで散水することを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高炉炉底部の解体方法において、複数の前記切断区分の境界にボーリングを行って、前記ワイヤソーを挿通させることを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高炉炉底部の解体方法において、前記切断区分は前記高炉本体の中心を基準にして点対称又は線対称に形成されることを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の高炉炉底部の解体方法において、前記水平切断部の主要部又は全部を切断した後、前記高炉本体の上部及び下部を炉体櫓に吊下支持し、前記高炉本体の中間部を実質的に水平に所定幅で切断して、この切断部分より上側に形成された上部マンテルを、該切断部分より下側に形成され残存煉瓦及び冷却凝固した残銑を内蔵する炉底マンテルから分離させ、一体的に接合した前記敷ビーム及び前記炉底マンテルからなる高炉炉底部を上昇させ、該高炉炉底部と前記基礎コンクリートの下部とを離反させ、その間に横移動手段を配置し、前記高炉炉底部を前記横移動手段上に降ろして横移動させ、炉体櫓外に移動させることを特徴とする高炉炉底部の解体方法。
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