JP5577450B1 - 高炉の改修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】旧炉体の撤去および新炉体の設置を短期間で行える高炉の改修方法を提供する。
【解決手段】現場基礎上に設置された炉体および炉体櫓を有する高炉を改修する高炉の改修方法であって、旧高炉稼働S1している状態で、現場基礎とは別の場所で、新規基礎の上に新炉体櫓および新炉体を構築する新炉体構築工程S2と、現場基礎を上下に切断して旧炉体と旧炉体櫓とを載せた基礎上部と基礎下部とに分割する基礎分割工程S3と、を実施し、高炉吹き止めS4を行った後、基礎上部を旧炉体および旧炉体櫓と一体に引き出す旧炉体引出工程S5と、基礎下部の上に新規基礎を新炉体櫓および新炉体と一体に取り込む新炉体取込工程S6と、を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高炉の改修方法に関し、旧炉体・旧炉体櫓の撤去および新炉体・新炉体櫓の構築を短期間で行える高炉の改修方法に関する。
製銑用の高炉においては、十数年毎に改修つまり炉体の更新が必要である。
炉体の更新は、高炉設置場所の基礎上に構築されている旧炉体を撤去し、同基礎上に新たな炉体を構築することで行われる。
炉体の更新の際に、基礎上で旧炉体を解体し、その後、新炉体を構築すると、高炉の吹き止め期間が長くなり、一日あたり多額の経済的損失が生じる等の問題がある。
このような問題に対し、炉体を輪切りにしたようなリングブロックとして基礎上から撤去し、また別の現場でリングブロックを組み立てて基礎上に搬入する、いわゆるリングブロック工法による高炉炉体の改修方法が採用されている。
なかでも、リングブロックを大型化し、高炉を4つ程度の巨大なリングブロックに分割する大ブロック工法が開発されている(特許文献1参照)。
特許文献1の方法では、撤去する旧炉体および搬入された新炉体のリングブロックを、高炉櫓に設置したジャッキで順次吊り下げ、炉底側のブロックから側方へ引き出して撤去する。
ただし、旧炉体の炉底部分は、吹き止め後に冷却固化した炉底残滓の重量が大きく、全体重量が例えば8000トンにも及ぶ場合もあり、これを持ち上げることが困難となる。
このような重量の大きな炉底部分に対し、これを持ち上げることなく撤去するようにした高炉炉底部の解体方法が提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2の方法では、基礎を引出方向に延びる複数の長尺区画に区分し、各区画に順次、基礎を水平に切断して摺動プレートと充填材とを詰め直す作業を行い、全ての区画の詰め直しができた後、摺動プレートで摺動させて水平方向にのみ引き出す。このような方法によれば、重量が8000トンを超える巨大な炉底部分についても、リングブロックとして撤去および搬入が可能となる。これらの技術により、高炉の改修工期短縮がなされている。
ところで、前述した大ブロック工法に先立つ技術として、高炉の旧炉体を一括して撤去し、別の場所で構築した新炉体を基礎上に搬入して設置する技術も提案されている(特許文献3参照)。
ただし、特許文献3の技術は、炉体を一括して取り扱うが、図面にも明らかなように、炉体櫓はそのまま残されており、炉体櫓の解体あるいは構築に関する記載はない。
これは、その当時の高炉の改修方法の技術水準では、炉本体(耐火物等の損耗)の寿命への対応が主であり、炉容の変更については僅かな拡大等を考慮する程度であったことから、改修にあたっては炉本体のみを解体および再構築すればよく、それにより炉体を支持する炉体櫓までの解体や再構築の必要はなく、工期および経済的な側面からも炉体櫓は流用されることが普通であったことによる。
なお、プラント設備の高層構造物の建設方法として、装置本体とその周囲の架構とを一括して基礎上に搬入する技術が提案されている(特許文献4参照)。
この技術では、装置の下部を別体としておき、別体とされた下部装置の分、装置本体と架構とを縮めて搬送する。そして、縮めておいた装置本体と架構とを基礎上に設置したのち、これらを吊り上げて伸長させ、別途搬送した下部装置を組み込んで装置本体を完成させる。従って、特許文献4の技術は、高炉における大ブロック工法に類するものといえる。ただし、特許文献4にも記載されている通り、同技術は船舶・車両による運搬を想定したものであり、高炉のような巨大な構造物を想定したものではない。さらに、特許文献4には、特殊な折りたたみ式架構を用いる設置についての記載があるものの、旧構造物の撤去に関しての記載はない。
特開2006−283183号公報 特許4300249号公報 特開昭52−13406号公報 特開昭58−106036号公報
前述した通り、高炉の吹き止め期間が長くなることは、多額の経済的損失を招く原因となるため、これを可能な限り抑制するために工期の更なる短縮が要望されている。
しかし、前述した特許文献1あるいは特許文献2のような大ブロック工法では、各リングブロックに対して撤去および搬入の作業が必要であり、これらの撤去および搬入のつど炉体櫓に吊り上げる作業も必要であり、改修工期短縮を図ることが難しい。
また、前述した特許文献1あるいは特許文献2のような大ブロック工法では、各リングブロックを炉体櫓で吊り上げるため、炉体櫓は炉体の撤去および搬入の際に必要であり、炉体とは別に解体または再構築する必要があり、工期短縮を図るうえで問題となる。
あるいは、旧炉体の炉体櫓をそのまま新炉体に流用することも考えられるが、この場合には旧炉体櫓との干渉を避けるべく新炉体の炉容拡大が制限されるという問題がある。
ここで、前述した特許文献3では、炉体を一括して入れ替えており、大ブロック工法を含むリングブロック工法における炉体櫓への吊り上げ作業を解消できる。しかし、特許文献3では、炉体櫓を更新しておらず、炉体容積の拡大を伴う高炉更新には適用できない。
また、前述した特許文献4では、想定された装置が船舶・車両で運搬可能な程度の小型のものであるため、そのまま高炉の更新に適用できないとともに、架構の伸縮や下部装置の脱着などで作業が必要となり、改修工期短縮に適したものではない。
このように、前述した特許文献1あるいは特許文献2のような大ブロック工法では、さらなる工期短縮が難しいとともに、それ以前の技術である特許文献3および特許文献4を参照しても、高炉の改修にあたって旧炉体、旧炉体櫓の撤去および新炉体、新炉体櫓の構築を短期間で行うことは困難であった。
本発明の目的は、旧炉体・旧炉体櫓の撤去および新炉体・新炉体櫓の構築を短期間で行える高炉の改修方法を提供することにある。
本発明は、現場基礎上に設置された炉体および炉体櫓を有する高炉を改修する高炉の改修方法であって、前記高炉が稼働している状態で、前記現場基礎とは別の新炉体構築場所で、新規基礎を構築するとともに前記新規基礎の上に新炉体櫓および新炉体を構築する新炉体構築工程と、前記現場基礎を上下に切断して旧炉体と旧炉体櫓とを載せた基礎上部と基礎下部とに分割する基礎分割工程と、を実施し、前記高炉を吹き止めした後、前記基礎下部の上から前記基礎上部を前記旧炉体および前記旧炉体櫓と一体に引き出す旧炉体引出工程と、前記基礎下部の上に前記新規基礎を前記新炉体櫓および前記新炉体と一体に取り込む新炉体取込工程と、を実施することを特徴とする。
このような本発明においては、新炉体構築工程において、旧高炉が稼働状態のまま、高炉設置場所とは別の新炉体構築場所で新規基礎の上に新炉体および新炉体櫓の構築が行われる。そして、旧高炉を吹き止めした後、旧炉体引出工程および新炉体取込工程を実施することで、現場基礎上から旧炉体および旧炉体櫓を撤去し、先に構築しておいた新炉体および新炉体櫓と一括して入れ替えることができる。撤去した旧炉体および旧炉体櫓は、さらに別の旧炉体解体場所において、新高炉を再稼働した状態で適宜解体することができる。
従って、本発明においては、高炉の改修工期を50〜70日程度まで短縮することができる。
旧炉体の解体から新炉体の構築までの全ての作業を同一の基礎上で行う旧来の工法では、炉体容積にもよるが、120〜150日程度が必要であった。
また、前述した大ブロック工法あるいはリングブロック工法でも、リングブロック個々の製造および解体は基礎とは別の場所で実施できるが、旧炉体のリングブロック分割、吊り上げ、搬出を行い、さらに新炉体のリングブロック搬入、吊り上げ、接続を基礎上で行う必要があり、この場合は80〜120日程度の高炉の改修工期が必要であった
前述のように、本発明においては、高炉設置場所の基礎上での主な作業が旧炉体引出工程および新炉体取込工程に限定されることで、高炉の改修工期を大幅に短縮できる。
さらに、本発明では、炉体とともに炉体櫓も一体に入れ替えることで、旧炉体の解体および新炉体の構築も一括して行うことができ、この点でも工期短縮が図れる。
また、炉体櫓までの一括入れ替えであるため、旧炉体と旧炉体櫓との間に設置される機器類(各種設備や配管配線など)は、そのまま装着した状態で基礎外へ引き出すことができる。また、新炉体と新炉体櫓との間に設置される機器類は、新炉体構築工程で予め艤装しておき、一括して基礎上へ取り込むことができる。これらの点でも改修工期の短縮を図ることができる。
これらに加え、本発明の大きな特徴として、本発明では、旧炉体と新炉体との入れ替えと同時に、旧炉体櫓が新炉体櫓に入れ替えられるため、新炉体の炉容を大きく拡張する場合でも、旧炉体櫓の寸法に制約されることがない。すなわち、旧炉体櫓に収まらないような大きな新炉体であっても、これに合わせた新炉体櫓を構築することで対応でき、炉容の拡張にあたっても自由度を飛躍的に高めることができる
また、新炉体取込工程において、搬送される新炉体は新炉体櫓に支持されて安定した状態で一体的に搬送できるため、同工程を安全に行うことができる。
本発明において、前記新炉体取込工程では、前記基礎下部の上面に復旧基礎を形成し、前記新規基礎を前記新炉体櫓および前記新炉体と一体に前記復旧基礎の上面に取り込むことが望ましい。
このような本発明では、基礎分割工程の際の切断により、あるいは、旧炉体引出工程での作業により、基礎下部の上面が大きく凹凸するなど荒れていたりしても、復旧基礎で覆うことができ、復旧基礎の上面は平滑度の高いものとして再構築できる。このため、復旧基礎の上面に取込用搬送装置の摺動構造等を設置すれば、高精度で安定した新炉体の取り込みを行うことができる。
本発明において、前記新炉体構築工程では、前記新炉体構築場所から前記現場基礎まで直線的に延びる取込用搬送装置を用い、前記旧炉体引出工程では、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びるとともに、方向変換位置から交差方向へ延びる引出用搬送装置を用い、前記取込用搬送装置および前記引出用搬送装置は、それぞれ一対の摺動プレートの間に固体潤滑式の低摩擦性ライニングを用いた摺動構造を有することが望ましい。
このような本発明では、新炉体構築工程で新規基礎上に新高炉(新炉体および新炉体櫓)を構築した後、新炉体取込工程でこれらの新規基礎、新炉体および新炉体櫓を現場基礎へと搬送する。この際、取込用搬送装置を直線的とすることで、方向変換等のない最小限の駆動で搬送を行うことができ、新規基礎上の新炉体および新炉体櫓に変形等を生じる可能性を低減でき、安全な搬送を行うことができる。
また、旧炉体引出装置は、例えば現場基礎から方向変換位置までの部分を、前述した取込用搬送装置と一部共用することができ、取込用搬送装置として整備、補強した地盤を有効に利用できる。すなわち、巨大な新炉体および新炉体櫓の荷重を受けるために、取込用搬送装置を設置する地盤には十分な補強が行われる。引出用搬送装置においても、旧炉体および旧炉体櫓の巨大荷重を受けるために地盤の補強が必要であり、これを取込用搬送装置と一部共用することで、全体としての地盤補強の作業および費用を低減することができる。
ただし、本発明は、引出用搬送装置と取込用搬送装置とで互いの搬送経路を一部共用するものに限らない。本発明は、引出用搬送装置と取込用搬送装置とが互いに独立している構成でもよい。
さらに、引出用搬送装置は、取込用搬送装置の途中で方向変換して交差方向へ延びるようにすることで、旧炉体解体場所を、新炉体構築場所とは別の場所とすることができ、作業場所の干渉を回避することができる。
なお、旧炉体および旧炉体櫓については、引き出しの後解体されるものであるので、変形等が生じても問題はなく、引出用搬送装置において方向変換を行っても何ら問題がない。このような事情を考慮して、本発明では、取込用搬送装置を直線的とし、引出用搬送装置を交差方向に方向変更することが最も望ましい。
ただし、本発明は、取込用搬送装置が直線的で、引出用搬送装置が途中で交差方向に方向変換を行うものに限らない。本発明は、引出用搬送装置が直線的で、取込用搬送装置が途中で交差方向に方向変換を行う構成であってもよい。
本発明では、引出用搬送装置と取込用搬送装置とが、それぞれ方向変換を行う構成であってもよい。例えば、取込用搬送装置がその搬送経路の途中で交差方向に方向変換を行う構成であり、引出用搬送装置が取込用搬送装置の途中から交差方向に方向変換を行う構成でもよい。例えば、高炉設置場所から搬送経路の共用部分が延びており、その端部から交差方向に新炉体構築場所に向かう取込用搬送装置が延びており、同端部から反対側へ旧炉体解体場所に向かう引出用搬送装置が延びる構成を利用することもできる。
本発明では、引出用搬送装置と取込用搬送装置とが、それぞれ直線的な構成であってもよい。この場合、引出用搬送装置と取込用搬送装置は互いに独立したものする必要があり、例えば、現場基礎の一方へ直線的に引出用搬送装置が延びており、他の方向へ取込用搬送装置が延びる構成が利用できる。この際、引出用搬送装置と取込用搬送装置とのなす角度は180度(互いに同じ線上に並ぶ)や90度をなす構成に限らず、45度あるいは60度といった角度をなす構成としてもよい。これは、本発明では炉体櫓も一体に搬送するため、炉体櫓の通過が可能な角度といった制約がないからである。
そして、このような本発明では、前記新炉体取込工程における新規基礎、新炉体および新炉体櫓の搬送を、一対の摺動プレートを相互に摺動させる摺動プレート式の摺動構造における摺動プレートどうしの摺動によって行うことができる。
すなわち、車輪やころ等の機械的構造を用いた場合、巨大な新炉体および新炉体櫓による巨大荷重がかかると、機械的構造の集中荷重を受ける部分が変形あるいは破損して機能に支障をきたし、搬送が困難になることがある。しかし、このような一対の摺動プレートを用いた搬送では、広い摺動面で巨大荷重を分散させて受けることができ、かつ摺動面が連続していることで局所的な変形を生じにくいため、巨大な新炉体および新炉体櫓であっても確実に搬送することができる。
さらに、一対の摺動プレートの間に、固体潤滑式の低摩擦性ライニングを設置することで、相互の摩擦性を更に低減し、円滑かつ高精度の搬送を行うことができ、一体に構築された新高炉を搬送してもこれを損なうことがない。
なお、一対の摺動プレートを相互に摺動させる摺動プレート式の摺動構造およびこれを用いた巨大荷重の炉体搬送については、前述した特許文献2を参照することが望ましい。固体潤滑式の低摩擦性ライニングとしては、基板の表面に、固体潤滑剤、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、二硫化モリブデン、グラファイトなどの微粉末状の固体潤滑剤を固着したものが好適である。
これらの摺動構造は、新炉体取込工程で利用する取込用搬送装置に限らず、旧炉体取出工程で利用する引出用搬送装置で利用してもよい。
本発明においては、前述した取込用搬送装置および引出用搬送装置の具体的構成として、以下のような架台を設置し、搬送経路に沿った摺動構造を確保するとともに、これらを用いた搬送作業を実施できるようにする。
第1に、本発明において、前記引出用搬送装置は、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びる第1の移動経路と、前記第1の移動経路の途中から交差方向に延びる第2の移動経路と、前記第1の移動経路を移動可能な引出用架台と、前記第2の移動経路を移動可能な分岐移動架台と、前記第2の移動経路に沿って地盤に形成されかつ前記分岐移動架台を収容する凹部と、を有し、前記第1の移動経路は、前記引出用架台の上面から前記基礎下部の上面まで連続し、かつ摺動面の高さがレベルL1に設定された摺動構造と、前記引出用架台の下面と地盤との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL2に設定された摺動構造と、前記分岐移動架台の上面に形成され、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造と、を有し、前記第2の移動経路は、前記分岐移動架台の下面と前記凹部の底面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL3に設定された摺動構造を有し、前記取込用搬送装置は、前記新規基礎から前記現場基礎へ向けて延びる第3の移動経路と、前記第3の移動経路を移動可能かつ前記新規基礎を支持する取込用架台と、前記第3の移動経路の途中で前記凹部内に設置された支持部材と、を有し、前記第3の移動経路は、前記取込用架台の下面と地盤との間に形成され、前記支持部材の上面を経由して前記基礎下部の近傍まで連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造と、前記取込用架台の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL4に設定された摺動構造と、前記復旧基礎の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さが前記レベルL4に設定された摺動構造と、を有し、前記摺動構造の摺動面の高さがレベルL4>レベルL1>レベルL2>レベルL3である、とすることができる。
このような本発明では、現場基礎からの旧炉体ないし基礎上部の引き出しをレベルL1の摺動構造で行い、その後の方向変換まではレベルL2の摺動構造により引出用架台を用いて搬送することで、旧炉体ないし基礎上部だけでの移動を短い距離に抑え、長い距離の移動には引出用架台を用いることができ、円滑かつ安定した搬送を行うことができる。さらに、分岐移動架台をレベルL2より低いレベルL3の摺動構造で移動させるため、分岐移動架台の上面に引出用架台ごと旧炉体ないし基礎上部を載せることができ、方向変換を円滑に行うことができる。
さらに、新高炉および新規基礎の取り込みにあたって、引出用架台の移動と同じレベルL2で摺動する取込用架台を用いることで、円滑かつ安定した搬送が行えるとともに、地盤の補強などを共用することができる。さらに、取込用架台上からの新高炉および新規基礎の取り込みにレベルL1より高いレベルL4の摺動構造を用いることで、復旧基礎の上面への取り込みが可能となる。
第2に、本発明において、前記引出用搬送装置は、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びる第1の移動経路と、前記第1の移動経路の途中から交差方向に延びる第2移動経路と、前記第1の移動経路から前記第2の移動経路まで移動可能な引出用架台と、を有し、前記第1の移動経路は、前記引出用架台の上面から前記基礎下部の上面まで連続し、かつ摺動面の高さがレベルL1に設定された摺動構造と、前記引出用架台の下面と地盤との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL2に設定された摺動構造と、を有し、前記第2の移動経路は、前記引出用架台の下面と地盤との間に形成され、前記第1の移動経路の前記レベル2の摺動構造と交差方向に連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造を有し、前記取込用搬送装置は、前記新規基礎から前記現場基礎へ向けて延びる第3の移動経路と、前記第3の移動経路を移動可能かつ前記新規基礎を支持する取込用架台と、を有し、前記第3の移動経路は、前記取込用架台の下面と地盤との間に形成され、前記基礎下部の近傍まで連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造と、前記取込用架台の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL4に設定された摺動構造と、前記復旧基礎の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さが前記レベルL4に設定された摺動構造と、を有し、前記摺動構造の摺動面の高さがレベルL4>レベルL1>レベルL2である、とすることができる。
このような本発明では、基本的に前項で述べた効果が得られるとともに、旧炉体ないし基礎上部の引き出しをレベルL2の摺動構造で摺動する引出用架台だけで実施することができ、前述した分岐移動架台および凹部の施工を省略することができる。
第3に、本発明において、前記引出用搬送装置は、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びる第1の移動経路と、前記第1の移動経路の途中から交差方向に延びる第2移動経路と、前記第2の移動経路に沿いかつ地盤に設置された分岐架台と、前記分岐架台に沿って移動可能な分岐移動架台と、前記第1の移動経路に沿いかつ前記現場基礎と前記分岐架台とに接続された中間架台と、を有し、前記第1の移動経路は、前記分岐移動架台の上面から前記中間架台の上面を経て前記基礎下部の上面まで連続し、かつ摺動面の高さがレベルL1に設定された摺動構造を有し、前記第2の移動経路は、前記分岐移動架台の下面と前記分岐架台の上面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL3’に設定された摺動構造を有し、前記取込用搬送装置は、前記新規基礎から前記現場基礎へ向けて延びる第3の移動経路と、前記新規基礎を支持する構築用架台と、前記第3の移動経路の途中で前記分岐架台上および前記中間架台上に設置された補助架台と、を有し、前記第3の移動経路は、前記新規基礎の下面と前記構築用架台の上面との間に形成され、前記補助架台の上面を経由して前記復旧基礎の上面まで連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL4に設定された摺動構造を有し、前記摺動構造の摺動面の高さがレベルL4>レベルL1>レベルL3’である、とすることができる。
このような本発明では、引き出しの際には、旧炉体ないし基礎上部をレベルL1の摺動機構で直接摺動させ、そのまま方向変換する位置まで移動させるため、引出用架台を省略することができる。方向変換においては、レベルL1より低いレベルL3’の摺動構造を用いる分岐移動架台を用いるため、分岐移動架台の上面に旧炉体ないし基礎上部を載せることができ、方向変換を円滑に行うことができる。一方、取り込みの際には、新炉体ないし新規基礎を、レベルL4の摺動構造で調節摺動させ、そのまま現場基礎まで取り込むことができる。この際、新高炉および新規基礎の取り込みにレベルL1より高いレベルL4の摺動構造を用いることで、復旧基礎の上面への取り込みが可能となる。
本発明において、前記取込用搬送装置は、固定側に搬送方向に連続するガイド溝を有し、移動側に前記ガイド溝に係合するガイドブロックを有し、前記ガイドブロックは前記移動側の進行方向の前後2箇所に設置されていることが望ましい。
このような本発明では、ガイド溝とガイドブロックとの係合により、取込用搬送装置の移動側が何らかの理由で所定の搬送方向以外へ移動しようとしても、移動側にかかる垂直荷重は高炉全体の大重量であるため、ガイドブロックがガイド溝の段差を乗り越えて外へ出ることができない。このため、ガイドブロックがガイド溝内に維持されてガイドが継続され、移動側は所定の搬送方向にのみ移動可能とされる。これにより、搬送の安定性および高精度を確保することができる。
本発明において、前記取込用搬送装置は、移動1mあたり水平誤差3mm以下の精度を有することが望ましい。
このような本発明では、前述した新炉体取込工程での新規基礎、新炉体および新炉体櫓の搬送が高精度で安定性が高く、新規基礎上の新炉体および新炉体櫓に生じる変形等を十分に抑制することができ、高精度で安全な搬送を行うことができる。
本発明によれば、基礎上での作業を旧炉体引出工程および新炉体取込工程に限定することで、高炉の改修工期を主に旧炉体引出工程および新炉体取込工程の工期に限定することができ、改修工期を大幅に短縮できる。
従って、本発明により、旧炉体・旧炉体櫓の撤去および新炉体・新炉体櫓の構築を短期間で行える高炉の改修方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態の高炉改修工程の概要を示すフローチャート。 前記第1実施形態の改修に利用する作業場所の配置を示す平面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程を示す平面図。 前記第1実施形態の新炉体取込工程を示す平面図。 前記第1実施形態の基礎分割工程の切断を示す立面図。 前記第1実施形態の基礎分割工程の切断作業を示す拡大立面図。 前記第1実施形態の基礎分割工程の切断作業を示す拡大斜視図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置を示す立面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いるレベルL1の摺動構造を示す平面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いるレベルL2の摺動構造を示す平面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いるレベルL3の摺動構造を示す平面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置の要部を示す拡大斜視図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置の要部を示す断面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置の要部を示す拡大断面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置の要部を示す平面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程の第1の搬送作業を示す立面図。 前記第1実施形態の旧炉体引出工程の第2の搬送作業を示す立面図。 前記第1実施形態の搬送装置に用いる牽引装置を示す立面図。 前記第1実施形態の搬送装置に用いる牽引装置を示す平面図。 前記第1実施形態の新炉体取込工程の準備段階を示す立面図。 前記第1実施形態の新炉体取込工程で用いる搬送装置を示す立面図。 前記第1実施形態の新炉体取込工程で用いる搬送装置の要部を示す拡大斜視図。 前記第1実施形態の新炉体取込工程の第1の搬送作業を示す立面図。 前記第1実施形態の新炉体取込工程の第2の搬送作業を示す立面図。 本発明の第2実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置を示す立面図。 前記第2実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置を示す平面図。 本発明の第3実施形態の旧炉体引出工程で用いる搬送装置を示す立面図。 前記第3実施形態の旧炉体引出工程で用いるレベルL1の摺動構造を示す平面図。 前記第3実施形態の旧炉体引出工程で用いるレベルL3’の摺動構造を示す平面図。 前記第3実施形態の新炉体取込工程で用いる搬送装置を示す立面図。 前記第3実施形態の新炉体取込工程で用いるレベルL4の摺動構造を示す平面図。 本発明の第4実施形態の旧炉体引出工程を示す平面図。 前記第4実施形態の新炉体取込工程を示す平面図。 本発明の第5実施形態の旧炉体引出工程を示す平面図。 前記第5実施形態の新炉体取込工程を示す平面図。 本発明の第6実施形態の旧炉体引出工程を示す平面図。 前記第6実施形態の新炉体取込工程を示す平面図。 本発明の第7実施形態の旧炉体引出工程を示す平面図。 前記第7実施形態の新炉体取込工程を示す平面図。 前記第4実施形態および前記第5実施形態で利用可能な取込用搬送装置を示す断面図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1から図4までの各図には、本実施形態で実行される高炉改修工程の概要(図1)、改修に利用する作業場所の平面配置(図2)、旧炉体引出工程(図3)および新炉体取込工程(図4)が示されている。
図2において、本実施形態で改修する高炉(旧高炉10)は、高炉設置場所P1に設置されている。高炉設置場所P1には、現場基礎13上に旧炉体11および旧炉体櫓12が構築されている。現場基礎13は平面矩形とされ、その一辺の中点と直交する軸線A1上には、新炉体構築場所P2が設定されている。
新炉体構築場所P2には、後述する新炉体構築工程S2(図1参照)において、新規基礎23の上面に、新炉体21および新炉体櫓22を含む新高炉20が構築される。新炉体構築場所P2と高炉設置場所P1とを結ぶ軸線A1に対して、その中間位置から直交方向に延びる軸線A2上には、旧炉体解体場所P3が設定されている。
本実施形態においては、図1に示すように、高炉設置場所P1に設置されている旧高炉10での稼働(旧高炉稼働S1)が続いている状態で、新炉体構築場所P2において新炉体構築工程S2を開始し、新規基礎23上に新高炉20となる新炉体21および新炉体櫓22を構築してゆく。
なお、本実施形態においては、新炉体21の炉容が、旧炉体11の炉容より大きく拡大されている。そのため、新炉体櫓22のスパンは、旧炉体櫓12のスパンより拡大されている。
新炉体構築工程S2において、新規基礎23上の新高炉20には、基本構造である新炉体21および新炉体櫓22に加えて、制御用の設備機器類、配線配管類などの付帯設備が艤装される。この工程での艤装率を高めることで、後に高炉設置場所P1で実施される新炉体取込工程S6ないし新高炉稼働S7の準備に必要な作業を低減し、工期短縮を促進することができる。
一方、高炉設置場所P1では、旧高炉稼働S1が続いている状態で、稼働中の旧高炉10の現場基礎13を基礎上部14と基礎下部15(図5参照)とに分割する基礎分割工程S3を実施する。
基礎分割ができたら、旧高炉10で吹き止めS4を行い、その後、旧炉体引出工程S5を実施し、旧炉体11および旧炉体櫓12を含む旧高炉10を乗せた基礎上部14を、旧炉体解体場所P3まで搬送する。
図3に示すように、旧炉体引出工程S5では、旧高炉10を乗せた基礎上部14を軸線A1方向に引き出し、向きを変えて軸線A2に沿って移動させ、旧炉体解体場所P3まで搬送する。この間、新炉体構築工程S2は継続されている。
旧炉体引出工程S5に続いて新炉体取込工程S6を実施し、新炉体構築工程S2で新高炉20を載せた新規基礎23を軸線A1方向へ移動させ、基礎上部14および旧高炉10が撤去済の基礎下部15の上に取り込む。
新高炉20が基礎下部15上に取り込まれたら、その新炉体21および新炉体櫓22に配管配線の接続等を実施し、新高炉20を完成させる。そして、高炉の火入れを行い、新高炉20による新高炉稼働S7を開始する。
旧炉体引出工程S5で引き出された基礎上部14および旧高炉10については、旧炉体解体場所P3において旧炉体解体工程S8を実施し、順次解体してゆく。この際、新高炉稼働S7は高炉設置場所P1において別途開始されており、旧炉体解体工程S8は高炉の稼働と独立して実施することができ、任意の日程に従って徐々に進めることができる。
以下、本実施形態における基礎分割工程S3、旧炉体引出工程S5および新炉体取込工程S6について詳述する。
〔基礎分割工程S3〕
図5から図8には、本実施形態における基礎分割工程S3の詳細が示されている。
基礎分割工程S3では、図5に示すように、高炉設置場所P1に設置されている現場基礎13をレベルL1で水平に切断し、基礎上部14と基礎下部15とに分割する。
現場基礎13上には旧高炉10(旧炉体11および旧炉体櫓12を有する)が構築されており、分割された基礎上部14は上面に構築された旧高炉10と一体に水平移動が可能であり、基礎下部15は高炉設置場所P1に固定されたまま残される。
基礎分割工程S3における切断は、現場基礎13に、先ずその平面形状において、前述した軸線A1に沿った複数の短冊状の切断区画を設定し、この切断区画ごとにワイヤーソーによる水平切断を順次実施してゆく手順が利用でき、前述した特許文献2に記載された手順を利用することができる。
図6に示すように、現場基礎13の側面(新炉体構築場所P2に向いた側面または反対側の側面)の切断区画(T1,T2、T3・・)ごとに、各々の境界(B1,B2,…)の位置にドリルで穿孔を行い、現場基礎13を軸線A1方向に貫通する貫通孔91を形成する。そして、貫通孔91にH形鋼等のガイド部材92を設置し、その上フランジおよび下フランジの高さにワイヤーソー93を保持する。
ワイヤーソー93は、例えば境界B1,B2の位置の2本の貫通孔91を巡るように装着されることで、境界B1,B2に挟まれた切断区画T2の材料(現場基礎13を構成する煉瓦)を水平に切断することができる。
このような水平切断を貫通孔91の内部の上下2位置で行うことで、この切断区画T2において、現場基礎13が基礎上部14および基礎下部15に分割される。そして、基礎上部14と基礎下部15との間には、切断された所定厚みの材料を除去した跡に空洞94が形成される。
なお、切断区画T2に空洞94が生じても、隣接する切断区画T1,T3は未切断であるため、基礎上部14は基礎下部15に対して所定間隔のまま維持される。
図7に示すように、空洞94が形成できたら、この空洞94に固定側摺動プレート81、移動側摺動プレート82およびハイパックアンカー95を設置する。
固定側摺動プレート81は、空洞94の底面つまり基礎下部15の上面に敷設される。固定側摺動プレート81には、摩擦係数が低いステンレス合金等が用いられている。
移動側摺動プレート82は、固定側摺動プレート81の上面に設置される。移動側摺動プレート82には、固定側摺動プレート81に対向する面に固体潤滑材を含む低摩擦性ライニング83が張られている。
低摩擦性ライニング83としては、基板の表面に固体潤滑剤、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、二硫化モリブデン、グラファイトなどの微細粉末を固着させたものが利用できる。
なかでも、金属プレートの表面に4フッ化エチレン樹脂を、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などで強固に固着させたもの(摩擦係数μ=0.06程度)が最適であり、例えば「日本ピラー工業株式会社製のピラーフロロゴールド PILLARNo.4801」として市販されているものが利用できる。
ハイパックアンカー95は、移動側摺動プレート82に相当する長さを有する長尺で、アラミド樹脂繊維などを編んだ強靱な可撓性袋体であり、移動側摺動プレート82の上面に配置される。そして、内部にセメントスラリーなどのグラウトを充填することで、ハイパックアンカー95はその上面が空洞94の天井面、つまり基礎上部14の底面に圧接した状態とされる。
この状態でグラウトが固化することで、ハイパックアンカー95によって基礎上部14が支持され、つまり基礎上部14の荷重をハイパックアンカー95、移動側摺動プレート82および固定側摺動プレート81を介して基礎下部15に伝達可能となる。
図6に戻って、切断区画T2で基礎上部14がハイパックアンカー95等を介して基礎下部15に支持された状態となったら、続いて隣接する切断区画T3,T1の切断を行う。
基礎分割工程S3では、上述のような作業を各切断区画で順次行うことで、最終的に全ての切断区画、つまり現場基礎13の全体が基礎上部14と基礎下部15とに分割される。
なお、基礎上部14と基礎下部15との間に設置された移動側摺動プレート82および固定側摺動プレート81は、後述する旧炉体引出工程S5で利用する搬送装置の一部を構成する。
〔旧炉体引出工程S5で利用する引出用搬送装置30〕
基礎分割工程S3では、次の旧炉体引出工程S5で利用される引出用搬送装置30の設置も行う。
図8において、引出用搬送装置30は、旧炉体引出工程S5における引き出し作業(図3参照)を実行するために、現場基礎13近傍から軸線A1(図3参照)に沿って移動可能な引出用架台31と、引出用架台31の移動経路の途中から軸線A2(図3参照)に沿って移動可能な分岐移動架台32とを備えている。
引出用架台31は、鉄骨軸組等で形成された平坦な架台であり、その下面と地盤との間には摺動構造42が設置されている。引出用架台31の上面は、基礎下部15の上面と同一高さに設定され、引出用架台31の上面から基礎下部15の上面まで連続する摺動構造41が設置されている。摺動構造41の摺動面高さはレベルL1に設定され、摺動構造42の摺動面高さはレベルL2に設定されている。
分岐移動架台32は、鉄骨軸組等で形成された扁平な架台であり、地盤に形成された軸線A2方向の凹部33内に設置されている。凹部33の一端は、高炉設置場所P1と新炉体構築場所P2とを結ぶ経路に配置され、他端は旧炉体解体場所P3に配置されている。
凹部33の底面と分岐移動架台32の下面との間には摺動構造43が設置されている。摺動構造43の摺動面高さはレベルL3に設定されている。
なお、分岐移動架台32の上面は地盤と同一高さに設定されている。前述した摺動構造42は、大部分が地盤に設置されているが、一部が分岐移動架台32の上面に設置されている。
図9において、引出用架台31の上面に設けられる摺動構造41は、図7で説明した固定側摺動プレート81と、低摩擦性ライニング83が張られた移動側摺動プレート82とを利用して構成される。
摺動構造41の固定側摺動プレート81は、基礎下部15の上面から引出用架台31の上面まで連続して設置される。摺動構造41の移動側摺動プレート82は、基礎上部14の下面に設置されて摺動構造41の固定側摺動プレート81に対して摺動する。
このような摺動構造41により、基礎上部14を、レベルL1の摺動面に沿って水平に引き出し、引出用架台31の上面に載置することができる。
図10および図12において、引出用架台31(図8参照)が摺動する摺動構造42は、前述した摺動構造41と同様に、図7で説明した固定側摺動プレート81と、低摩擦性ライニング83が張られた移動側摺動プレート82とで構成される。
摺動構造42の固定側摺動プレート81は、基礎下部15の近傍から分岐移動架台32の上面まで連続して設置される。摺動構造42の移動側摺動プレート82は、引出用架台31の下面に設置されて摺動構造42の固定側摺動プレート81に対して摺動する。
このような摺動構造42により、基礎上部14が載置された引出用架台31を、レベルL2の摺動面に沿って水平に引き出し、分岐移動架台32の上面に載置することができる。
図11および図12において、分岐移動架台32が摺動する摺動構造43は、前述した摺動構造41と同様に、図7で説明した固定側摺動プレート81と、低摩擦性ライニング83が張られた移動側摺動プレート82とで構成される。
摺動構造43の固定側摺動プレート81は、凹部33の一端から他端まで連続して設置される。摺動構造43の移動側摺動プレート82は、分岐移動架台32の下面に設置されて摺動構造43の固定側摺動プレート81に対して摺動する。
このような摺動構造43により、基礎上部14および引出用架台31が載置された分岐移動架台32を、レベルL2の摺動面に沿って水平に引き出し、旧炉体解体場所P3まで搬送することができる。
〔引出用搬送装置30の地盤補強〕
引出用搬送装置30(図8参照)において、摺動構造42は地盤に設置され、摺動構造43は凹部33の底面に設置される。これらの摺動構造42,43が設置される地盤および底面は、それぞれ高炉の炉体のような大荷重に耐えられるように十分な剛性が得られるよう地盤改良等される。さらに、これらの地盤および底面には、摺動構造42,43を受ける補強用鋼材34(図12参照)が設置される。
図12において、摺動構造42が設置される地盤には、H型鋼等の上面が平坦な補強用鋼材34が埋設され、この補強用鋼材34の上面には長尺の鋼板を用いたレベル調整用のレール96が設置され、このレール96の上面に摺動構造42の固定側摺動プレート81がレベルL2に支持されている。レール96は、補強用鋼材34の上面との間に適宜シムを介装されることで、レール96の長手方向に沿って直線出しがなされるとともに、平行に配列された全てのレール96の上面がレベルL2に揃うように調整されている。
また、摺動構造43が設置される凹部33の底面にも、同様な補強用鋼材34およびレール96が設置され、この補強用鋼材34およびレール96で摺動構造43の固定側摺動プレート81がレベルL3に支持されている。
なお、摺動構造42は、基礎下部15の側面に接する地盤上から分岐移動架台32の上面まで連続して設置されている。しかし、分岐移動架台32を摺動構造43によって移動させる際には、摺動構造42の固定側摺動プレート81を分岐移動架台32の辺縁部分で切断し(図12の点線部分)、地盤上に残る凹部33外の摺動構造42と分離する。
〔引出用搬送装置30のガイド構造50〕
引出用搬送装置30(図8参照)において、引出用架台31および分岐移動架台32には、それぞれの摺動構造42,43に、ガイド構造50が設置される。
図13に示すように、地盤には前述した補強用鋼材34が埋設され、その上には引出用架台31が支持されている。補強用鋼材34の上面と引出用架台31の下面との間には、摺動構造42が設置されている。
図14に示すように、前述した摺動構造42のうち、中央のものには、摺動構造42の長手方向(図2のの軸線A1方向)に沿って一直線に連続したガイド溝51が形成されている。
ガイド溝51は、摺動構造42から補強用鋼材34まで達する深さとされている。一方、引出用架台31の下面には、ガイド溝51に収容可能な鋼製のガイドブロック52が設置されている。
ガイドブロック52およびガイド溝51の断面形状は、それぞれ上部が矩形であるが下部が半円形とされ、各々の輪郭形状の間には摺動に必要な所定の隙間が確保される。なお、断面形状は他の形状としてもよい。
図15に示すように、ガイドブロック52は、引出用架台31の下面の、移動方向の前側および後側の2箇所に固定されている。
ガイド構造50は、2箇所のガイドブロック52が一直線に連続したガイド溝51に係合されることで、引出用架台31の向きをガイド溝51の連続方向つまり摺動構造42による搬送の方向である軸線A1に正確に維持される。そして、引出用架台31を同搬送方向に駆動した際には、移動中もガイドブロック52とガイド溝51との係合が維持されるため、引出用架台31は搬送方向を正しく規制され、所期の目標位置へと正確に搬送することが可能である。
例えば、何らかの理由で引出用架台31が所定の搬送方向以外へ移動しようとしても、引出用架台31にかかる垂直荷重は高炉全体の大重量であるため、ガイドブロック52がガイド溝51の段差を乗り越えて外へ出ることができない。このため、ガイドブロック52がガイド溝51内に維持されてガイドが継続され、引出用架台31は蛇行することなく、所定の搬送方向にのみ移動可能とされる。
〔旧炉体引出工程S5における搬送〕
旧炉体引出工程S5では、前述した引出用搬送装置30を用いて、以下に述べる第1の搬送作業、第2の搬送作業および第3の搬送作業を順次行うことで、高炉設置場所P1にある旧高炉10を旧炉体解体場所P3まで搬送する。
第1の搬送作業では、図16に示すように、基礎上部14を軸線A1方向(図3参照)に駆動し、レベルL1にある摺動構造41を摺動させることにより、基礎上部14およびその上に構築されている旧高炉10を一体に、基礎下部15の上面から引き出し、引出用架台31の上面まで移動させる。
第2の搬送作業では、図17に示すように、引出用架台31を軸線A1方向(図3参照)に駆動し、レベルL2にある摺動構造42を摺動させることにより、引出用架台31とその上に載置された基礎上部14および旧高炉10とを一体に、分岐移動架台32の上面まで移動させる。
第3の搬送作業では、分岐移動架台32を軸線A2方向(図3参照)に駆動し、レベルL3にある摺動構造43を摺動させることにより、分岐移動架台32とその上に載置されている引出用架台31、基礎上部14および旧高炉10とを一体に、旧炉体解体場所P3(図3参照)まで移動させる。
以上の第1の搬送作業、第2の搬送作業および第3の搬送作業を順次行うことで、高炉設置場所P1にある旧高炉10を旧炉体解体場所P3まで搬送することができ、これにより図3に示す旧炉体引出工程S5を完了することができる。
前述した第1ないし第3の搬送作業における基礎上部14、引出用架台31および分岐移動架台32の駆動には、進行方向前側からの牽引あるいは後側からの推進の何れを採用してもよいが、例えば次のような牽引を行うことが好ましい。
一例として、第1の搬送において、基礎上部14を旧高炉10と一体に移動させる際には、基礎上部14にワイヤを接続し、新炉体構築場所P2側からウインチで牽引する構成が利用できる。牽引にはセンターホールジャッキ等の油圧ジャッキその他の駆動源を用いることができる。
この際、牽引する方向である新炉体構築場所P2には、新規基礎23およびその上に構築された新高炉20があるので、牽引用のワイヤを新規基礎23の架構の隙間に挿通させるか、あるいは新規基礎23を避けるように新炉体構築場所P2の両側から牽引する。
図18および図19には、具体的な牽引装置の一例が示されている。
牽引装置70は、新炉体構築場所P2近傍の地盤上に並列で設置された4つのセンターホールジャッキ71を有し、各々で牽引されるワイヤ72は引出搬送方向である軸線A1に沿って現場基礎13まで延びている。
現場基礎13のうち基礎上部14には、その両側面を軸線A1方向に貫通する貫通孔が形成されており、ワイヤ72はこの貫通孔を通して基礎上部14の新高炉構築場所P2とは反対側の側面に引き出されている。引き出されたワイヤ72の先端には反力受け材73が挿通されて強固に固定されている。
このような牽引装置70においては、4つのセンターホールジャッキ71を同期させた状態で各々のワイヤ72を牽引することで、基礎上部14に水平方向の牽引力が加えられ、基礎上部14は支持部材35によって基礎下部15に対して変位し、これにより前述した第1の搬送が行われる。
なお、基礎上部14およびその上にある旧炉体11、旧炉体櫓12の重量が大きいため、ワイヤ72に加えられる牽引力も巨大なものであるが、反力受け材73を用いて広い面積で基礎上部14の側面に圧接されるようにしたため、荷重集中によって基礎上部14の貫通孔周辺に割れ等が生じることがない。
このような牽引装置70は、第2および第3の搬送作業にも利用される。
第2の搬送作業においては、図18に示すように、第1の搬送作業と同様な牽引装置70として、新炉体構築場所P2近傍の地盤上にセンターホールジャッキ71を設置し、軸線A1方向に延びるワイヤ72を、反力受け材73を介して引出用架台31に接続し、これを牽引する。
第3の搬送作業においては、図氏省略するが、第1の搬送作業と同様な牽引装置70として、旧炉体解体場所P3にセンターホールジャッキ71を設置し、軸線A2方向に延びるワイヤ72を、反力受け材73を介して分岐移動架台32に接続し、これを牽引する。
〔新炉体取込工程S6における準備〕
図4において、旧高炉10は、前述した旧炉体引出工程S5により、高炉設置場所P1から旧炉体解体場所P3へと搬送された。続いて、新炉体取込工程S6により、新炉体構築場所P2で構築されていた新高炉20を、旧高炉10が撤去された現場基礎13の基礎下部15の上に移設する。
図20において、旧炉体引出工程S5が完了した段階では、引出用搬送装置30の残留物として、基礎下部15の上面には摺動構造41の一部(図7の固定側摺動プレート81)が残留しており、基礎下部15と凹部33との間には地盤上に摺動構造42の一部(図7の固定側摺動プレート81)が残留している。また、分岐移動架台32が移動した跡の凹部33内には摺動構造43の一部(図12の固定側摺動プレート81)が残留している。
そこで、新炉体取込工程S6を実行するための準備として、前述した引出用搬送装置30の残留物の撤去等を行うとともに、新炉体取込工程S6での搬送に利用する取込用搬送装置39の設置を行う。
図21に示すように、取込用搬送装置39は、新規基礎23を支持する取込用架台38と、取込用架台38の下から基礎下部15の手前まで連続する摺動構造44と、取込用架台38の上面と新規基礎23の下面との間に設置された摺動構造45と、基礎下部15の上面に設置される摺動構造46とを有する。
なお、これらの摺動構造44,45,46は、それぞれ前述した摺動構造41〜43と同様な構成、つまり図7に示す固定側摺動プレート81、移動側摺動プレート82および低摩擦性ライニング83を備えて構成され、それぞれ軸線A1方向(図4参照)に連続して延びている。
摺動構造44は、取込用架台38の下面と地盤との間に形成されるとともに、地盤に形成された固定側が基礎下部15の手前まで連続して設置される。
摺動構造44の途中には、前述のように凹部33が残されている。そこで、凹部33には支持部材35を設置し、凹部33を跨ぐ摺動構造45を全面にわたって支持する。
摺動構造44は、基礎下部15と凹部33との間の地盤上に残されている摺動構造42の一部を流用してもよい。
取込用架台38の下の摺動構造44は、予め取込用架台38を設置する際に施工しておく。
このような摺動構造44により、取込用架台38は、その上面に載置される新規基礎23および新高炉20とともに、新炉体構築場所P2から高炉設置場所P1の手前まで、水平に移動可能である。
摺動構造44の摺動面の高さは、摺動構造42と同じレベルL2とされている。ただし、摺動構造42の一部を流用しない場合、異なるレベルとしてもよい。
摺動構造44の地盤に設置される部分では、前述した摺動構造42と同様、補強用鋼材34による地盤補強(図12参照)が行われる。ただし、摺動構造42の一部流用をする場合、そのまま補強用鋼材34による地盤補強が流用できる。
摺動構造45は、予め取込用架台38の上に新規基礎23を設置する際に、新規基礎23の下面と取込用架台38の上面との間に設置される。
このような摺動構造45により、新規基礎23は取込用架台38に対して水平に移動可能である。
摺動構造45の摺動面の高さはレベルL4とされる。レベルL4は、前述した摺動構造41のレベルL1より高く設定されている。
摺動構造46は、基礎下部15の上面に設置される固定側と、前述した摺動構造45の移動側(新規基礎23側)とで構成される。
詳細は後述するが、取込用架台38が基礎下部15に隣接した状態で、新規基礎23は、摺動構造45,46により、取込用架台38に対して水平に移動し、基礎下部15の上面へと移載される
このような移載を行うために、摺動構造46の摺動面の高さは、摺動構造45と同じレベルL4とされる。
そして、摺動構造46においてレベルL4を確保するために、基礎下部15の上面には、摺動構造46を支持するための復旧基礎26が設置される。
図22において、現場基礎13の基礎下部15の上面には、旧炉体引出工程S5が完了した時点で、基礎分割工程S3で設置された摺動構造41の固定側摺動プレート81(図7参照)が残されている。そこで、この摺動構造41の固定側摺動プレート81を撤去する。さらに、摺動構造41の固定側摺動プレート81を撤去した後に露出する基礎下部15の上面は、基礎分割工程S3でワイヤーソーによる水平切断により形成された面であり、凹凸の残留が避けられない。そこで、基礎下部15の上面を所定厚さにわたって切除し、基礎下部15の上面を平滑にしておく。
平滑にされた基礎下部15の上面には、復旧基礎26が設置される。
復旧基礎26は、基礎下部15の上面に設置されるパッド84と、パッド84の上に載置されるパッドライナー85と、パッド84の周囲に充填されて固化するベースグラウト86とを有する。パッドライナー85の上面には、前述した地盤補強用の補強用鋼材34の上面に設置されたのと同様なレベル調整用のレール96が設置され、このレール96の上面に摺動構造46が設置される。
パッド84は、パッドライナー85およびレール96を介して摺動構造46の固定側摺動プレート81を支持するものであり、固定側摺動プレート81の連続方向に沿って所定間隔で、基礎下部15の上面に配列される。パッド84は、固定側摺動プレート81の重量を支持可能であるが、作業者がパッド84に変形を加えることで、固定側摺動プレート81の摺動面がレベルL4となるように調整される。
このようなパッド84としては、固定側摺動プレート81の重量を支持可能であり、設置段階では変形が可能であり、設置からの時間経過あるいは所定の処理により硬化するものであれば利用可能であり、例えば、粘性の高いグラウトあるいは熱硬化性合成樹脂材料などが利用できる。
パッドライナー85は、シムつまり鋼板製の当て板であり、複数枚を加除することでレール96の上面高さが所定レベルに揃えられ、これにより固定側摺動プレート81の上面つまり摺動面がレベルL4となるように調整される。
ベースグラウト86は、コンクリート等であり、固定側摺動プレート81の高さの調整後、パッド84の周囲に充填される。ベースグラウト86の充填は、基礎下部15の上面からレール96の側面が覆われる高さまでとされ、レール96の上面側および固定側摺動プレート81は露出された状態で保持される。
ベースグラウト86が固化することで、復旧基礎26が完成し、この復旧基礎26により、固定側摺動プレート81は先に高さを調整された高さ、つまり摺動面がレベルL4となる状態で保持される。
図22において、前述したように、復旧基礎26により摺動構造46の固定側摺動プレート81が摺動面のレベルL4となるように支持されており、この上に新規基礎23が移載されることで、摺動構造45として設置されていた新規基礎23の下面の移動側摺動プレート82が、その表面に張られた低摩擦性ライニング83を介して、基礎下部15の上面の固定側摺動プレート81と摺接し、これにより摺動構造46としての機能が得られる。
図21において、前述した摺動構造44,45,46により、新規基礎23および新高炉20を順次移動させて、基礎下部15上まで搬送可能となり、これらにより取込用搬送装置39が構成される。
なお、取込用搬送装置39において、摺動構造44,45,46は、それぞれ移動1mあたり水平誤差3mm以下となるように高精度に調整されている。
また、取込用搬送装置39においては、摺動構造44,45,46の固定側と新規基礎23および取込用架台38との間に、それぞれ引出用搬送装置30と同様なガイド構造50が設置され、搬送中の姿勢が安定化されるとともに、新高炉20を基礎下部15上の正確な位置へと搬入することができる。
〔新炉体取込工程S6における搬送〕
新炉体取込工程S6では、前述した取込用搬送装置39を用いて、以下に述べる第1の搬送作業および第2の搬送作業を順次行うことで、新炉体構築場所P2にある新高炉20を高炉設置場所P1まで搬送する。
第1の搬送作業では、図23に示すように、新炉体構築場所P2にある取込用架台38を、軸線A1方向(図3参照)に駆動し、レベルL2にある摺動構造44を摺動させることにより、新高炉20、新規基礎23および取込用架台38を一体に水平移動させ、新炉体構築場所P2から基礎下部15に隣接した位置まで搬送する。
第2の搬送作業では、図24に示すように、基礎下部15に隣接した状態の取込用架台38の上にある新規基礎23を、軸線A1方向(図3参照)に駆動し、レベルL4にある摺動構造45を摺動させることにより、新高炉20および新規基礎23を一体に水平移動させ、同じレベルL4にある摺動構造46へと徐々に乗り換え、取込用架台38の上面から、基礎下部15に形成された復旧基礎26の上面へと搬送する。
これにより、基礎下部15の上に新規基礎23および新高炉20が設置され、新高炉20の高炉設置場所P1への取り込みが完了する。
なお、これらの第1および第2の搬送作業において、取込用架台38および新規基礎23の駆動は、牽引または推進を利用すればよく、前述した旧炉体引出工程S5で用いた牽引装置70(図18および図19参照)と同様な構成を用いることができる。
また、取り込まれた新規基礎23と復旧基礎26とは、新高炉稼働S7までに確実に固定しておく。例えば、新規基礎23と復旧基礎26との間に、流動性の高いモルタルを流し込み、固化させることで固定を行うことができる。このような固定は、新高炉20の周辺設備の接続等と平行して短期間に行うことができる。
〔第1実施形態の効果〕
このような本実施形態によれば、以下に述べる効果がある。
新炉体構築工程S2において、旧高炉10が稼働状態(旧高炉稼働S1)のまま、高炉設置場所P1とは別の新炉体構築場所P2で、新規基礎23上に新高炉20となる新炉体21および新炉体櫓22を構築することができる。そして、旧高炉10を吹き止めS4した後、旧炉体引出工程S5および新炉体取込工程S6を実施することで、現場基礎13上から基礎上部14と旧高炉10(旧炉体11および旧炉体櫓12)とを撤去し、先に構築しておいた新規基礎23と新高炉20に一括して入れ替えることができる。撤去した旧高炉10は、別の旧炉体解体場所P3において、新高炉20を再稼働(新高炉稼働S7)した状態で適宜解体することができる。
従って、本実施形態では、高炉の改修工期を、50〜70日程度まで短縮することができる。
また、旧炉体11と新炉体21との入れ替えに留まらず、基礎上部14と新規基礎23と、および旧炉体櫓12と新炉体櫓22と、についても一括して入れ替えることから、旧炉体11と旧炉体櫓12との間に設置される機器類(各種設備や配管配線など)は、そのまま装着した状態で基礎外へ引き出すことができる。さらに、新炉体21と新炉体櫓22との間に設置される機器類は、新炉体構築工程S2で予め艤装しておき、一括して基礎上へと取り込むことができ、この点でも工期短縮が図れる。
そして、本実施形態では、旧炉体11と新炉体21との入れ替えと同時に、旧炉体櫓12が新炉体櫓22に入れ替えられるため、新炉体の炉容を大きく拡張する場合でも、旧炉体櫓12の寸法に制約されることがない。
すなわち、旧炉体櫓12に収まらないような大きな新炉体21であっても、これに合わせた新炉体櫓22を予め構築しておくことで対応でき、炉容の拡張にあたっても自由度を飛躍的に高めることができる
また、新炉体取込工程S6において、搬送される新炉体21は新炉体櫓22に支持されて安定した状態で一体的に搬送できるため、同工程を安全に行うことができる。
本実施形態では、取込用搬送装置39により、新炉体取込工程S6の搬送、つまり新炉体構築場所P2にある新規基礎23および新高炉20を、高炉設置場所P1の基礎下部15上へと搬送することができる。
この際、取込用搬送装置39を直線的とすることで、方向変換等のない最小限の駆動で搬送を行うことができ、新規基礎23上の新炉体21および新炉体櫓22に変形等を生じる可能性を低減でき、安全な搬送を行うことができる。
本実施形態では、取込用搬送装置39において、摺動構造44,45,46は、それぞれ固定側(下側)として長距離にわたる固定側摺動プレート81を用い、移動側として短い移動側摺動プレート82を用い、これらを摩擦係数が低いステンレス合金等で形成するとともに、移動側摺動プレート82には固体潤滑材を含む低摩擦性ライニング83を張ったため、固定側に対する摩擦係数を著しく小さくすることができる。このため、搬送する新規基礎23と新炉体21および新炉体櫓22を含む新高炉20とが、例えば8000トンを超える大重量であっても、支障なく搬送を行うことができる。
取込用搬送装置39において、摺動構造44,45,46は、それぞれ移動1mあたり水平誤差3mm以下となるように高精度に調整されている。このため、新規基礎23上の新炉体21および新炉体櫓22に生じる変形等を十分に抑制することができ、高精度で安全な搬送を行うことができる。
取込用搬送装置39においては、摺動構造44,45,46の固定側にガイド溝51を形成し、移動側である新規基礎23および取込用架台38の下面にガイドブロック52を形成して係合させたため、簡単なガイド構造50でありながら、新高炉20の大重量でガイドが外れることがなく、搬送中の姿勢が安定化されるとともに、新高炉20を基礎下部15上の正確な位置へと搬入することができる。
取込用搬送装置39においては、新高炉20および新規基礎23の搬送を、摺動構造44によるレベルL2での取込用架台38の水平移動と、取込用架台38の上面から基礎下部15の上面に至る摺動構造45,46によるレベルL4での水平移動と、としたため、新高炉20および新規基礎23を昇降等させることが一切なく、その分、改修工期を短縮できる。
本実施形態では、引出用搬送装置30により、旧炉体引出工程S5の搬送、つまり高炉設置場所P1にある基礎上部14および旧高炉10を、旧炉体解体場所P3へと搬送することができる。
この際、引出用搬送装置30を途中で方向変換するL型の経路とし、とくに経路の一部、つまり現場基礎13近傍から凹部33までの部分を取込用搬送装置39と重複させたため、大荷重に耐えうるように整備、補強される地盤を共用し、有効に活用することができる。
すなわち、巨大な新規基礎23、新炉体21および新炉体櫓22の荷重を受けるために、取込搬送経路を設置する地盤には十分な補強が行われる。引出搬送経路においても、基礎上部14、旧炉体11および旧炉体櫓12の巨大荷重を受けるために、地盤の補強が必要であり、これを取込搬送経路と一部共用することで、全体としての地盤補強の作業を低減することができる。
引出用搬送装置30は、取込用搬送装置39(軸線A1方向)と経路を一部共用しつつ、その途中から交差方向(軸線A2方向)へ延びるようにすることで、旧炉体解体場所P3を新炉体構築場所P2とは別の場所に設定することができ、作業場所の干渉を回避することができる。
なお、旧炉体11および旧炉体櫓12は、引き出しの後解体されるものであるので、変形等が生じても問題はなく、引出用搬送装置30には途中に方向変換があっても何ら問題がない。
とくに、引出用搬送装置30では、軸線A1方向から軸線A2方向への方向変換にあたって、軸線A1方向に移動する引出用架台31を、軸線A2方向に移動する分岐移動架台32に載せることで実現しているため、方向変換のための特殊な機構などが不要であり、作業を円滑かつ確実に行うことができる。
また、分岐移動架台32が移動すべき軸線A1方向の凹部33を形成し、引出用架台31が移動するレベルL2より一段低いレベルL3で分岐移動架台32が移動できるようにしたため、昇降機構あるいはその他の特殊な装置を用いることなく、引出用架台31を分岐移動架台32に載せるための構成を実現することができる。
さらに、旧高炉10および基礎上部14の搬送を、基礎下部15の上面から引出用架台31の上面に至る摺動構造41のレベルL1での水平移動と、引出用架台31の摺動構造42に沿ったレベルL2での水平移動と、分岐移動架台32の摺動構造43に沿ったレベルL3での水平移動と、で構成したため、旧高炉10および基礎上部14を昇降等させることが一切なく、旧炉体引出工程S5における搬送を安定させかつ高精度にできる。
本実施形態では、引出用搬送装置30において、摺動構造41,42,43は、それぞれ固定側(下側)として長距離にわたる固定側摺動プレート81を用い、移動側として短い移動側摺動プレート82を用い、これらを摩擦係数が低いステンレス合金等で形成するとともに、移動側摺動プレート82には固体潤滑材を含む低摩擦性ライニング83を張ったため、固定側に対する摩擦係数を著しく小さくすることができる。このため、搬送する基礎上部14と旧炉体11および旧炉体櫓12を含む旧高炉10とが、例えば8000トンを超える大重量であっても、支障なく搬送を行うことができる。
本実施形態では、基礎分割工程S3において、複数の切断区画で順次切断を行い、ハイパックアンカーを充填するようにしため、基礎上部14および旧炉体11や旧炉体櫓12を昇降させることなく、旧高炉稼働S1が継続している状態で、現場基礎13を上下に切断できるとともに、基礎上部14と基礎下部15との間に摺動構造41を設置することができる。
〔第2実施形態〕
図25および図26には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様、図1から図4に示す概略進行により高炉改修を行うものである。ただし、前述した第1実施形態とは旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送装置30Aの構成が異なる。このため、以下の説明においては、共通する事項については重複する説明を省略し、相違する部分について説明する。
前述した第1実施形態において、引出用搬送装置30(図8参照)は、第3の搬送作業(旧炉体解体場所P3に至る軸線A2方向の搬送)を行うために、地盤に形成された凹部33と、その底面に敷設された摺動構造43と、凹部33内を移動する分岐移動架台32とを用いていた。
本実施形態の引出用搬送装置30Aでは、これらの凹部33および分岐移動架台32が省略され、第3の搬送作業は第2の搬送作業と同じレベルL2で行われる。
図25および図26において、引出用搬送装置30Aは、前述した第1実施形態と同様な引出用架台31、摺動構造41,42を備え、摺動構造41はレベルL1、摺動構造42はレベルL2に設定されている。
摺動構造42は全長にわたって地盤に支持され、図12に示す補強用鋼材34で補強されている。
摺動構造43は、摺動構造42と同様にレベルL2で地盤に設置されている。
摺動構造42と摺動構造43との交差部分は、各々の固定側摺動プレート81(図7参照)が互いに格子状に交差され、溶接されたうえ、摺動面である上面を平滑に研磨されている。
このような本実施形態では、第2の搬送作業により、引出用架台31が摺動構造42を用いて軸線A1方向に搬送され、摺動構造42と摺動構造43との交差部分に達する。そして、第3の搬送作業では、引出用架台31が当該交差部分から、摺動構造43を用いて軸線A2方向に搬送され、旧炉体解体場所P3へと送られる。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
さらに、引出用搬送装置30Aでは、地盤に凹部33を形成しなくてよいため、土木工事を簡略にすることができる。
一方で、摺動構造42と摺動構造43との交差部分において、各々の固定側摺動プレート81を個別に溶接したうえ、摺動面である上面を平滑に研磨する必要がある。従って、前述した第1実施形態と本実施形態との何れを採用するかは、現場状況等に応じた作業負荷等を考慮して適宜選択することが望ましい。
〔第3実施形態〕
図27から図31までの各図には、本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様、図1から図4に示す概略進行により高炉改修を行うものである。ただし、前述した第1実施形態とは旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送装置30B、および新炉体取込工程S6に利用する取込用搬送装置39Bの構成が異なる。このため、以下の説明においては、共通する事項については重複する説明を省略し、相違する部分について説明する。
先ず、旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送装置30Bについて説明する。
前述した第1実施形態において、引出用搬送装置30(図8参照)は、第1ないし第3の搬送作業を行うために、各々に対応して、軸線A1方向の摺動構造41(レベルL1)、同じく軸線A1方向の摺動構造42(レベルL2)、および軸線A2方向の摺動構造43(レベルL3)を備えていた。そして、引出用架台31の上下面をレベルL1およびレベルL2とするとともに、レベルL3をレベルL2より所定高さ下方に設定すること、つまり凹部33を形成してその底面に摺動構造43を敷設することにより、引出用架台31を分岐移動架台32上に載置し、軸線A2方向への方向変換を実現していた。
これに対し、本実施形態では、引出用架台31および第2の搬送作業を省略し、第1の搬送作業として、基礎上部14および旧高炉10を、基礎下部15から分岐移動架台32の上まで、レベルL1で軸線A1方向に水平移動させるとともに、第3の搬送作業として、基礎上部14および旧高炉10が載置された分岐移動架台32を、レベルL1よりも低いレベルL3’で軸線A2方向に搬送する。
このために、本実施形態の引出用搬送装置30Bは、前述した第1実施形態と異なる以下の構成を備えている。
図27、図28および図29において、基礎下部15の近傍から新炉体構築場所P2に向けて、地盤上には中間架台61が設置されている。中間架台61の新炉体構築場所P2側の先端は、方向変換する位置の手前までとされている。
方向変換する位置から旧炉体解体場所P3(図3参照)に向けて、地盤上には分岐架台62が設置されている。分岐架台62の上には分岐移動架台32が設置されている。
基礎下部15の上面と基礎上部14の下面との間には、第1実施形態と同様に摺動構造41が設置され、その固定側(図7に示す固定側摺動プレート81)は、基礎下部15の上面から中間架台61の上面を経て、分岐移動架台32の上面まで延長されている。摺動構造41の摺動面の高さは、第1実施形態と同じレベルL1に設定されている。
分岐架台62の上面と分岐移動架台32の下面との間には、第1実施形態と同様な摺動構造43が設置されている。摺動構造43の摺動面の高さは、摺動構造41のレベルL1よりも分岐移動架台32の高さ分だけ低いレベルL3’に設定されている。
なお、第1実施形態では摺動構造43が凹部33(図8参照)の底面に設置され、その摺動面は地盤表面より低いレベルL3であったが、本実施形態のレベルL3’は地盤上に設置された分岐架台62の上面であるため地盤より高い。しかし、方向変換に用いる分岐移動架台32の高さ分だけ、それまでの高さ(第1実施形態ではレベルL2、本実施形態ではレベルL1)よりも低い点は共通である。
次に、新炉体取込工程S6に利用する取込用搬送装置39B(図30および図31参照)について説明する。
前述した第1実施形態において、取込用搬送装置39(図21参照)は、第1の搬送作業を行うために、取込用架台38の底面側を摺動させる摺動構造44を備えるとともに、第2の搬送を行うために、取込用架台38の上面および復旧基礎26の上面に対して新規基礎23を摺動させる摺動構造45,46を備えていた。
これに対し、本実施形態では、取込用架台38を水平移動させる第1の搬送作業を省略し、第2の搬送作業、つまり新炉体構築場所P2に設置された架台の上から、新規基礎23および新高炉20をそのまま水平移動させ、復旧基礎26の上面へと、単一の作業で搬送する。
このために、本実施形態の取込用搬送装置39Bは、前述した第1実施形態と異なる以下の構成を備えている。
図30および図31に示すように、新炉体構築場所P2において、地盤には構築用架台63が設置されており、新高炉20を構築する新規基礎23は構築用架台63の上面に支持される。新規基礎23の下面と構築用架台63の上面との間には、摺動面の高さがレベルL4となる摺動構造45が設置される。
本実施形態では、新炉体構築場所P2と基礎下部15との間には、旧炉体引出工程S5で用いた引出用搬送装置30B(図27参照)の中間架台61、分岐架台62および各々の上面の摺動構造41,43が残っている。これらの上には、それぞれ摺動構造41,43を撤去した後、中間架台61および分岐架台62の上に補助架台64,65を設置し、その上面高さが構築用架台63と同じになるようにしておく。
本実施形態においても、基礎下部15の上面には復旧基礎26を形成し、その上面の高さが構築用架台63と同じとされる。そして、復旧基礎26の上面から、補助架台65,64
の上面にわたって、摺動構造46の固定側を敷設する。第1実施形態と同様に、摺動構造46は、新規基礎23の下面に形成される摺動構造45の移動側を共用するものであり(図23参照)、その摺動面はレベルL4に設定され、敷設後には構築用架台63の上面の摺動構造45の固定側の端部と連結され、上面を平滑に仕上げられる。
このような本実施形態においては、旧炉体引出工程S5において、基礎上部14および旧高炉10を、摺動構造41を利用して基礎下部15の上から分岐移動架台32の上へと搬送し、続いて分岐移動架台32を、摺動構造43を利用して旧炉体解体場所P3(図3参照)まで搬送する。
一方、新炉体取込工程S6においては、復旧基礎26、補助架台64,65、摺動構造46の設置ののち、新規基礎23および新高炉20を高炉設置場所P1まで一気に搬送する。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
さらに、旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送装置30Bでは、前述した第1実施形態の旧炉体引出工程S5における第2の搬送作業が不要であり、レベルL1での軸線A1方向の第1の搬送作業と、レベルL3’での軸線A2方向の第3の搬送作業の2つの作業でよく、それぞれの駆動に係る牽引装置70(図18および図19参照)等の設備の設置および撤去を含めて作業を削減することができ、更なる工期短縮も図れる。
また、第1実施形態のように、地盤に凹部33を形成しなくてよいため、土木工事を簡略にすることができる。
さらに、軸線A2方向の搬送には、分岐架台62および分岐移動架台32を用いるため、第2実施形態のような摺動構造42と摺動構造43との間の多数の交差部分の接続および研磨を行う必要がない。
一方、新炉体取込工程S6に利用する取込用搬送装置39B(図30および図31参照)では、復旧基礎26、補助架台64,65、摺動構造46の設置ののち、新規基礎23および新高炉20を高炉設置場所P1まで一気に搬送することができる。
このため、第1実施形態あるいは第2実施形態のように、第1および第2の搬送作業を行う場合に比べ、牽引装置70(図18および図19参照)等の駆動に係る設備の設置および撤去を含めて作業を削減することができ、更なる工期短縮も図れる。
そして、新規基礎23および新高炉20は、高炉設置場所P1まで一気に搬送され、途中で停止することがないため、搬送の安定性が高いとともに、搬送の精度も高くすることができる。
〔第4実施形態〕
図32および図33には、本発明の第4実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態〜第3実施形態と同様、図1に記載の各工程により高炉改修を行うものである。ただし、前述した第1実施形態〜第3実施形態とは、高炉設置場所P1、新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3の平面配置が異なり、旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送経路および新炉体取込工程S6に利用する取込用搬送経路の配置も異なる。
前述した第1実施形態〜第3実施形態では、図2に示すように、高炉設置場所P1に対して軸線A1方向に新炉体構築場所P2が設置され、高炉設置場所P1と新炉体構築場所P2との中間から交差方向に延びる軸線A2上に旧炉体解体場所P3が設置されていた。
図32および図33に示すように、本実施形態においては、前述した図2の配置に対して、新炉体構築場所P2と旧炉体解体場所P3とが互いに逆に配置されている。このため、本実施形態では、高炉設置場所P1から旧炉体解体場所P3に至る引出用搬送経路30’が直線的に構成されるとともに、新炉体構築場所P2から高炉設置場所P1に至る取込用搬送経路39’が引出用搬送経路30’の途中から交差方向に分岐するL字型に構成されている。
このような本実施形態においては、次のように搬送が行われる。
旧炉体引出工程S5では、図32のように、高炉設置場所P1において現場基礎13を分割し、基礎上部14ないしその上の旧高炉10(旧炉体11および旧炉体櫓12)を一体に、引出用搬送経路30’に沿って、旧炉体解体場所P3まで、直線的に移動させる。
新炉体取込工程S6では、図33のように、新炉体構築場所P2で構築しておいた新高炉20(新炉体21および新炉体櫓22)を、新規基礎23と一体に、取込用搬送経路39’に沿って高炉設置場所P1へと移動させる。取込用搬送経路39’では、先ず軸線A2に沿って移動を行い、方向変換したのち軸線A1に沿って移動を行う。
なお、引出用搬送経路30’および取込用搬送経路39’における搬送装置の具体的機構については、前述した各実施形態の引出用搬送装置30,30A,30Bおよび取込用搬送装置39,39A,39Bと同様な構成を利用することができ、前述した第1実施形態(レベルL1〜L4を利用)、第2実施形態(レベルL1,L2,L4を利用)、または第3実施形態の構成(レベルL1,L3’,L4を利用)に準じて適宜設計すればよい。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態〜第3実施形態と同様な効果を得ることができる。ただし、各実施形態における、取込用搬送経路が直線的であることによる効果は得られない。
〔第5実施形態〕
図34および図35には、本発明の第5実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態〜第3実施形態と同様、図1に記載の各工程により高炉改修を行うものである。ただし、前述した第1実施形態〜第3実施形態とは、高炉設置場所P1、新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3の平面配置が異なり、旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送経路および新炉体取込工程S6に利用する取込用搬送経路の配置も異なる。
本実施形態では、引出用搬送経路30’と取込用搬送経路39’とが、それぞれ途中で方向変換を行う構成である。
図34および図35において、引出用搬送経路30’は、高炉設置場所P1から軸線A1に沿って延び、途中で方向変換し、軸線A2に沿って図中上向きに延びており、その端部に旧炉体解体場所P3が設置されている。取込用搬送経路39’は、高炉設置場所P1から軸線A1に沿って延び、途中で方向変換し、軸線A2に沿って図中下向きに延びており、その端部に新炉体構築場所P2が設置されている。
従って、本実施形態においては、引出用搬送経路30’と取込用搬送経路39’とが、それぞれ途中で方向変換する構成であるとともに、高炉設置場所P1から軸線A1に沿って延びる経路が、引出用搬送経路30’と取込用搬送経路39’とで共用部分とされている。
このような本実施形態においては、次のように搬送が行われる。
旧炉体引出工程S5では、図34のように、高炉設置場所P1において現場基礎13を分割し、基礎上部14ないしその上の旧高炉10(旧炉体11および旧炉体櫓12)を一体に、引出用搬送経路30’に沿って高炉設置場所P1へと移動させる。引出用搬送経路30’では、先ず軸線A1に沿って移動を行い、旧炉体解体場所P3に向けて方向変換したのち、軸線A2に沿って移動を行う。
新炉体取込工程S6では、図35のように、新炉体構築場所P2で構築しておいた新高炉20(新炉体21および新炉体櫓22)を、新規基礎23と一体に、取込用搬送経路39’に沿って高炉設置場所P1まで移動させる。取込用搬送経路39’では、先ず軸線A2に沿って(旧炉体解体場所P3に向けて)移動を行い、高炉設置場所P1に向けて方向変換したのち、軸線A1に沿って移動を行う。
なお、引出用搬送経路30’および取込用搬送経路39’における搬送装置の具体的機構については、前述した各実施形態の引出用搬送装置30,30A,30Bおよび取込用搬送装置39,39A,39Bと同様な構成を利用することができ、前述した第1実施形態(レベルL1〜L4を利用)、第2実施形態(レベルL1,L2,L4を利用)、または第3実施形態の構成(レベルL1,L3’,L4を利用)に準じて適宜設計すればよい。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態〜第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
一方で、引出用搬送経路30’および取込用搬送経路39’が、ともに方向変換をするものであるため、新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3の設置場所の選択自由度が高く、周辺設備が混雑している高炉への適用も容易である。
さらに、引出用搬送経路30’と取込用搬送経路39’とで、軸線A1に沿った共用部分で搬送装置の共用が可能であるとともに、軸線A2に沿った部分も一直線に配置することで、牽引装置70などの搬送装置を共用することができる。
なお、前述した第1実施形態ないし第3実施形態における引出用搬送装置30,30A,30B、取込用搬送装置39,39B、第4実施形態あるいは第5実施形態の引出用搬送経路30’、取込用搬送経路39’において、途中で搬送方向の方向変換を行う場合、方向変換の角度は90度に限らず、45度、60度あるいは他の任意の角度であってもよい。
また、引出用搬送経路30’や取込用搬送経路39’などの各搬送経路における方向変換する部位の数、つまり一つの搬送経路で方向変換を行う回数は、1に限らず2以上であってもよい。
〔第6実施形態〕
図36および図37には、本発明の第6実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態〜第3実施形態と同様、図1に記載の各工程により高炉改修を行うものである。ただし、前述した第1実施形態〜第3実施形態とは、高炉設置場所P1、新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3の平面配置が異なり、旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送経路および新炉体取込工程S6に利用する取込用搬送経路の配置も異なる。
本実施形態では、高炉設置場所P1、新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3が軸線A1に沿って一直線上に配置されている。とくに、高炉設置場所P1に対して新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3が反対側に配置されている。
本実施形態では、引出用搬送経路30’と取込用搬送経路39’とが、それぞれ直線的に構成されている。これらの引出用搬送経路30’および取込用搬送経路39’は、高炉設置場所P1を挟んで反対側に設置され、共用部分がない互いに独立した構成とされている。
このような本実施形態においては、次のように搬送が行われる。
旧炉体引出工程S5では、図36のように、高炉設置場所P1において現場基礎13を分割し、基礎上部14ないしその上の旧高炉10(旧炉体11および旧炉体櫓12)を一体に、引出用搬送経路30’に沿って、旧炉体解体場所P3まで、直線的に移動させる。
新炉体取込工程S6では、図37のように、新炉体構築場所P2で構築しておいた新高炉20(新炉体21および新炉体櫓22)を、新規基礎23と一体に、取込用搬送経路39’に沿って、高炉設置場所P1まで、直線的に移動させる。
なお、引出用搬送経路30’および取込用搬送経路39’における搬送装置の具体的機構については、前述した各実施形態の引出用搬送装置30,30A,30Bおよび取込用搬送装置39,39A,39Bと同様な構成を利用することができ、前述した第1実施形態(レベルL1〜L4を利用)、第2実施形態(レベルL1,L2,L4を利用)、または第3実施形態の構成(レベルL1,L3’,L4を利用)に準じて適宜設計すればよい。
ただし、本実施形態では、引出用搬送経路30’および取込用搬送経路39’が、それぞれ直線的で互いに独立している。このため、本実施形態では、前述した各実施形態におけるような方向変換のための構成(レベルL3,L3’)は省略することができる。
このような本実施形態によっても、前述した第1実施形態〜第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
〔第7実施形態〕
図38および図39には、本発明の第7実施形態が示されている。
本実施形態は、前述した第1実施形態〜第3実施形態と同様、図1に記載の各工程により高炉改修を行うものである。ただし、前述した第1実施形態〜第3実施形態とは、高炉設置場所P1、新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3の平面配置が異なり、旧炉体引出工程S5に利用する引出用搬送経路および新炉体取込工程S6に利用する取込用搬送経路の配置も異なる。
本実施形態では、前述した第6実施形態と同様に、引出用搬送経路30’と取込用搬送経路39’とが、それぞれ直線的に構成されている。
ただし、引出用搬送経路30’が軸線A1方向に沿って延びているのに対し、取込用搬送経路39’は軸線A1に対して45度の角度をなす軸線A3(矩形の現場基礎13の対角線方向)に沿って延びている。
このような本実施形態では、前述した第6実施形態と同様な手順で旧高炉10および新高炉20の搬送を行うことができる。
このような本実施形態によれば、前述した第6実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、取込用搬送経路39’を軸線A1に対して45度の角度をなす軸線A3に沿って設置することにより、新炉体構築場所P2を前述した第6実施形態とは異なる位置に設定できる。
すなわち、高炉の周辺設備の関係などから、前述した第6実施形態のような配置、つまり、高炉設置場所P1、新炉体構築場所P2および旧炉体解体場所P3を軸線A1に沿って一直線上に並ぶ配置とすることができない場合でも、新炉体構築場所P2の位置を変更して対応することができる。そして、取込用搬送経路39’は、新炉体構築場所P2を設置できる場所に向けて斜めに(軸線A3が軸線A1に対して30度、60度、120度、135度など)設置することができる。
〔変形例〕
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形等は本発明に含まれるものである。
現場基礎13としては、高炉設置場所P1の地盤上に構築される鉄筋コンクリート構造などの既存の高炉基礎構造物が該当する。
このような現場基礎13は、基礎分割工程S3で基礎上部14および基礎下部15に分割するが、その分割位置は現場基礎13の内部の鉄筋構造等を考慮して選択することが望ましい。
新規基礎23としては、平面的に拡がるスラブ状の基礎構造物を利用すればよく、鉄骨軸組構造物、あるいは一部にキャスタブル等の耐火充填材を充填したものとしてもよい。
新規基礎23は、高炉設置場所P1に取り込まれて新高炉20の基礎を構成するものであり、高炉機能として必要な冷却用配管などの設備機器類、配管配線類を予め組み込んでおいてもよい。
このような新規基礎23への機器類の設置は、新規基礎23の上面に新炉体21および新炉体櫓22を構築するのに先立って施工してもよく、あるいは同時並行して施工してもよい。
各実施形態における、引出用架台31分岐移動架台32、取込用架台38、中間架台61,分岐架台62、構築用架台63は、上面に支持する基礎上部14および旧高炉10、あるいは新規基礎23および新高炉20等の荷重を支持できるものであればよく、鉄骨軸組構造物を利用することができる。
ここで、新炉体取込工程S6において、新高炉20および新規基礎23を搬送する際には、艤装までが完了した新炉体21および新炉体櫓22の変形を最小限にすることが要求される。このため、新炉体21等の搬送に関係する取込用搬送装置39,39Bにおいては、十分な剛性が確保されることが望ましい。
一方、旧炉体引出工程S5において、旧高炉10および基礎上部14については、この後解体するだけであるので、引出用搬送装置30、30A,30Bには取込用搬送装置39,39Bのような高精度は必要ない。
引出用搬送装置30、30A,30Bおよび取込用搬送装置39,39Bには、摺動構造41〜46を利用したが、これらは、前述した図7の固定側摺動プレート81および移動側摺動プレート82のうち、固定側摺動プレート81が搬送方向に連続した板状の部材であればよく、移動側摺動プレート82は搬送方向に連続するものに限らず間欠的に配列されたものでもよく、例えば複数の円板状のパッドを配列した構成とする等、所期の摺動性能が得られれば細部等を適宜変更してもよい。
また、固定側摺動プレート81に対する摩擦低減のために、移動側摺動プレート82には低摩擦性ライニング83を設けたが、これは固定側摺動プレート81側に設けてもよく、あるいは、低摩擦性ライニング83を省略し、固定側摺動プレート81および移動側摺動プレート82を直接摺接させるとともに、各々の間に高荷重下での潤滑性が高い潤滑剤を供給するようにしてもよい。
低摩擦性ライニング83としては、基板の表面に固体潤滑剤、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、二硫化モリブデン、グラファイトなどの微細粉末を固着させたものに限らず、固体潤滑剤自体をシート状あるいはフィルム状にしたもの等であってもよい。さらに、低摩擦性ライニング83を省略し、固体潤滑剤を粘性の媒質に分散させ、いわゆるグリスとして固定側摺動プレート81と移動側摺動プレート82との間に供給するようにしてもよい。
前述した引出用搬送装置30、30A,30Bおよび取込用搬送装置39,39Bには、それぞれガイド構造50を設けて搬送軸線の高精度化を計ったが、取込用搬送装置39,39Bではこのような高精度化が必須であるのに対し、引出用搬送装置30、30A,30Bは精度をゆるくしてもよい。ただし、安全な搬送を行うために、何らかの斜行を防止するための構成を追加することが望ましく、前述した特許文献1に記載の構成等が適宜採用できる。
前記各実施形態では、それぞれ引出用搬送装置30,30A,30Bおよび取込用搬送装置39,39A,39Bを構成し、各々において高さレベルL1〜L4を設定していた。具体的には、第1実施形態(レベルL1〜L4を利用)、第2実施形態(レベルL1,L2,L4を利用)、第3実施形態(レベルL1,L3’,L4を利用)とし、第4実施形態ないし第7実施形態の引出用搬送経路30’および取込用搬送経路39’においても同様な高さレベルL1〜L4を用いるとした。
これらの高さレベルL1〜L4の具体的な値は、実施にあたって適宜設定すればよい。また、搬送経路の交差などに応じて他のレベルを追加してもよい。
ただし、基本となるレベルL1(現場基礎13を水平に切断し、基礎上部14と基礎下部15とに分割するレベル)に対して、レベルL4(平滑にされた基礎下部15の上面に復旧基礎26が設置されるレベル)を設定すること、つまり基礎下部15の上面を整備して、新たな復旧基礎26を形成することは、常に実施することが望ましい。このような復旧基礎26により、新高炉20の取り込みを円滑に行うことができる。
なお、前述した第4実施形態および第5実施形態において、取込用搬送経路39’でレベルL4に対応する場合、図40のような構成を用いることができる。
図40において、分岐移動架台32は、摺動機構43を介して支持される。図12の構造と同様に、摺動機構43を支持する地盤は、補強用鋼材34で補強されている。分岐移動架台32の上面には、摺動機構42を介して、取込用架台38が支持される。取込用架台38の上面には、摺動機構45を介して新規基礎23が形成され、その上に新炉体21および新炉体櫓22を含む新高炉20が形成される。
ここで、分岐移動架台32の摺動面(摺動機構43)はレベルL3、取込用架台38の摺動面(摺動機構42)はレベルL2、新規基礎23の摺動面(摺動機構45)はレベルL4とすることができる。
本発明は、旧炉体・旧炉体櫓の撤去および新炉体・新炉体櫓の構築を短期間で行う高炉の改修方法として利用できる。
10…旧高炉
11…旧炉体
12…旧炉体櫓
13…現場基礎
14…基礎上部
15…基礎下部
20…新高炉
21…新炉体
22…新炉体櫓
23…新規基礎
26…復旧基礎
30,30A,30B…引出用搬送装置
30’…引出用搬送経路
31…引出用架台
32…分岐移動架台
33…凹部
34…補強用鋼材
35…支持部材
38…取込用架台
39,39B…取込用搬送装置
39’…取込用搬送経路
41,42,43,44,45,46…摺動構造
50…ガイド構造
51…ガイド溝
52…ガイドブロック
61…中間架台
62…分岐架台
63…構築用架台
64,65…補助架台
70…牽引装置
71…センターホールジャッキ
72…ワイヤ
73…反力受け材
81…固定側摺動プレート
82…移動側摺動プレート
83…低摩擦性ライニング
84…パッド
85…パッドライナー
86…ベースグラウト
91…貫通孔
92…ガイド部材
93…ワイヤーソー
94…空洞
95…ハイパックアンカー
96…レール
A1,A2…軸線
B1…境界
L1,L2,L3,L4…レベル
P1…高炉設置場所
P2…新炉体構築場所
P3…旧炉体解体場所
S1…旧高炉稼働
S2…新炉体構築工程
S3…基礎分割工程
S4…吹き止め
S5…旧炉体引出工程
S6…新炉体取込工程
S7…新高炉稼働
S8…旧炉体解体工程
T1,T2,T3…切断区画

Claims (8)

  1. 現場基礎上に設置された炉体および炉体櫓を有する高炉を改修する高炉の改修方法であって、
    前記高炉が稼働している状態で、
    前記現場基礎とは別の新炉体構築場所で、新規基礎を構築するとともに前記新規基礎の上に新炉体櫓および新炉体を構築する新炉体構築工程と、
    前記現場基礎を上下に切断して旧炉体と旧炉体櫓とを載せた基礎上部と基礎下部とに分割する基礎分割工程と、を実施し、
    前記高炉を吹き止めした後、
    前記基礎下部の上から前記基礎上部を前記旧炉体および前記旧炉体櫓と一体に引き出す旧炉体引出工程と、
    前記基礎下部の上に前記新規基礎を前記新炉体櫓および前記新炉体と一体に取り込む新炉体取込工程と、を実施することを特徴とする高炉の改修方法。
  2. 請求項1に記載した高炉の改修方法において、
    前記新炉体取込工程では、前記基礎下部の上面に復旧基礎を形成し、前記新規基礎を前記新炉体櫓および前記新炉体と一体に前記復旧基礎の上面に取り込むことを特徴とする高炉の改修方法
  3. 請求項2に記載した高炉の改修方法において、
    前記新炉体構築工程では、前記新炉体構築場所から前記現場基礎まで直線的に延びる取込用搬送装置を用い、
    前記旧炉体引出工程では、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びるとともに、方向変換位置から交差方向へ延びる引出用搬送装置を用い、
    前記取込用搬送装置および前記引出用搬送装置は、それぞれ一対の摺動プレートの間に固体潤滑式の低摩擦性ライニングを用いた摺動構造を有することを特徴とする高炉の改修方法。
  4. 請求項3に記載した高炉の改修方法において、
    前記引出用搬送装置は、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びる第1の移動経路と、前記第1の移動経路の途中から交差方向に延びる第2の移動経路と、前記第1の移動経路を移動可能な引出用架台と、前記第2の移動経路を移動可能な分岐移動架台と、前記第2の移動経路に沿って地盤に形成されかつ前記分岐移動架台を収容する凹部と、を有し、
    前記第1の移動経路は、前記引出用架台の上面から前記基礎下部の上面まで連続し、かつ摺動面の高さがレベルL1に設定された摺動構造と、前記引出用架台の下面と地盤との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL2に設定された摺動構造と、前記分岐移動架台の上面に形成され、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造と、を有し、
    前記第2の移動経路は、前記分岐移動架台の下面と前記凹部の底面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL3に設定された摺動構造を有し、
    前記取込用搬送装置は、前記新規基礎から前記現場基礎へ向けて延びる第3の移動経路と、前記第3の移動経路を移動可能かつ前記新規基礎を支持する取込用架台と、前記第3の移動経路の途中で前記凹部内に設置された支持部材と、を有し、
    前記第3の移動経路は、前記取込用架台の下面と地盤との間に形成され、前記支持部材の上面を経由して前記基礎下部の近傍まで連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造と、前記取込用架台の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL4に設定された摺動構造と、前記復旧基礎の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さが前記レベルL4に設定された摺動構造と、を有し、
    前記摺動構造の摺動面の高さがレベルL4>レベルL1>レベルL2>レベルL3であることを特徴とする高炉の改修方法
  5. 請求項3に記載した高炉の改修方法において、
    前記引出用搬送装置は、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びる第1の移動経路と、前記第1の移動経路の途中から交差方向に延びる第2移動経路と、前記第1の移動経路から前記第2の移動経路まで移動可能な引出用架台と、を有し、
    前記第1の移動経路は、前記引出用架台の上面から前記基礎下部の上面まで連続し、かつ摺動面の高さがレベルL1に設定された摺動構造と、前記引出用架台の下面と地盤との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL2に設定された摺動構造と、を有し、
    前記第2の移動経路は、前記引出用架台の下面と地盤との間に形成され、前記第1の移動経路の前記レベル2の摺動構造と交差方向に連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造を有し、
    前記取込用搬送装置は、前記新規基礎から前記現場基礎へ向けて延びる第3の移動経路と、前記第3の移動経路を移動可能かつ前記新規基礎を支持する取込用架台と、を有し、
    前記第3の移動経路は、前記取込用架台の下面と地盤との間に形成され、前記基礎下部の近傍まで連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL2に設定された摺動構造と、前記取込用架台の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL4に設定された摺動構造と、前記復旧基礎の上面と前記新規基礎の下面との間に形成され、かつ摺動面の高さが前記レベルL4に設定された摺動構造と、を有し、
    前記摺動構造の摺動面の高さがレベルL4>レベルL1>レベルL2であることを特徴とする高炉の改修方法
  6. 請求項3に記載した高炉の改修方法において、
    前記引出用搬送装置は、前記現場基礎から前記新炉体構築工程を行う場所へ向けて延びる第1の移動経路と、前記第1の移動経路の途中から交差方向に延びる第2移動経路と、前記第2の移動経路に沿いかつ地盤に設置された分岐架台と、前記分岐架台に沿って移動可能な分岐移動架台と、前記第1の移動経路に沿いかつ前記現場基礎と前記分岐架台とに接続された中間架台と、を有し、
    前記第1の移動経路は、前記分岐移動架台の上面から前記中間架台の上面を経て前記基礎下部の上面まで連続し、かつ摺動面の高さがレベルL1に設定された摺動構造を有し、
    前記第2の移動経路は、前記分岐移動架台の下面と前記分岐架台の上面との間に形成され、かつ摺動面の高さがレベルL3’に設定された摺動構造を有し、
    前記取込用搬送装置は、前記新規基礎から前記現場基礎へ向けて延びる第3の移動経路と、前記新規基礎を支持する構築用架台と、前記第3の移動経路の途中で前記分岐架台上および前記中間架台上に設置された補助架台と、を有し、
    前記第3の移動経路は、前記新規基礎の下面と前記構築用架台の上面との間に形成され、前記補助架台の上面を経由して前記復旧基礎の上面まで連続し、かつ摺動面の高さが前記レベルL4に設定された摺動構造を有し、
    前記摺動構造の摺動面の高さがレベルL4>レベルL1>レベルL3’であることを特徴とする高炉の改修方法
  7. 請求項3から請求項6のいずれか一項に記載した高炉の改修方法において、
    前記取込用搬送装置は、前記摺動構造の固定側に搬送方向に連続するガイド溝を有し、移動側に前記ガイド溝に係合するガイドブロックを有し、前記ガイドブロックは前記移動側の進行方向の前後2箇所に設置されていることを特徴とする高炉の改修方法。
  8. 請求項3から請求項7のいずれか一項に記載した高炉の改修方法において、
    前記取込用搬送装置は、移動1mあたり水平誤差3mm以下の精度を有することを特徴とする高炉の改修方法。
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