JPWO2007135841A1 - ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル含有化粧料 - Google Patents

ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル含有化粧料 Download PDF

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Abstract

刺激緩和作用に優れた化粧料を提供することを目的としたものであって、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを含有する化粧料。

Description

本発明はダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを含有する化粧料に関する。
近年、環境の変化に伴い、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患者や、いわゆる敏感肌と感じる人が増加し、これらの人は皮膚が過敏になっているため、化粧品などにより発赤、かゆみといった刺激を感じることが多く、より低刺激な化粧品が求められる。したがって、そのような刺激を緩和する優れた成分を新たに提供することが求められている。
界面活性剤等の皮膚刺激緩和剤として、トレハロースモノ脂肪酸エステル(特許文献1:特開平10−45560号公報)、パーフルオロアルキル基およびポリオキシアルキレン基を側鎖として持つシリコーン(特許文献2:特開平6−199629号公報)、アルコール刺激緩和剤として、フェニルエチル−α−グルコシド、フェニルエチル−β−グルコシドのようなグルコース誘導体(特許文献3:特開平8−283121号公報)、脂溶性薬剤の刺激緩和剤としてポリアルキレングリコール(特許文献4:特開2002−212024号公報)、経皮外用剤の刺激緩和剤としてクエン酸トリアルキル、多価アルコール、水(特許文献5:特開平5−255118号公報)が開示されている。しかしながら、化粧品の基剤として大きな配合比を占める油剤に関しては、安全性に関しては研究されているが(非特許文献1: 杉山、太田、「化粧品油性原料の皮膚刺激性評価」、日皮協ジャーナル、日本産業皮膚衛生協会、1999年2月、第41巻、p.136−142)、刺激緩和作用については研究されていない。
ダイマー酸のエステルを含有する化粧料に関しては、つや、保水性、感触、皮膚及び毛髪への密着性、感触向上の持続性、毛髪のセット性について検討したものが特許文献6(特開2004−277285号公報)に開示されている。特許文献6では、刺激緩和作用は検討されていない。
特開平10−45560号公報 特開平6−199629号公報 特開平8−283121号公報 特開2002−212024号公報 特開平5−255118号公報 特開2004−277285号公報 杉山、太田、「化粧品油性原料の皮膚刺激性評価」、日皮協ジャーナル、日本産業皮膚衛生協会、1999年2月、第41巻、p.136−142
刺激緩和作用に優れた油剤を見出し、その油剤を含有する化粧料を提供することである。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを含有する化粧料。
(2)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは、構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルであることを特徴とする
(1)記載の化粧料。
(3)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは、構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モルであることを特徴とする(1)記載の化粧料。
(4)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの25℃における粘度が2,500〜4,500mPa・sであることを特徴とする(1)記載の化粧料。
(5)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルが皮膚刺激緩和成分であること特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧料。
(6)顔用または身体用の保湿化粧料であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧料。
(7)ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルが、5〜20質量%含有されていることを特徴とする(2)〜(6)のいずれかに記載の化粧料。
(8)構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルであるダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを含有する化粧料用油剤。
1.刺激緩和効果に優れる油剤並びにその油剤を含有する化粧料を提供することができた。
2.本発明の化粧料は刺激緩和効果に優れるので、本発明の化粧料を用いることにより、刺激物質による皮膚のバリア破壊を抑制することができる。バリア破壊の抑制により肌荒れが改善し、皮膚が保護されるので、肌荒れ改善効果・保湿効果に優れる化粧料を提供することができる。
3.本発明の化粧料を用いることにより、皮膚刺激に伴う乾燥から引き起こされる老化に対し、優れた保湿効果により皮膚の健康を維持するので老化を予防できる。
4.本発明の化粧料に用いるダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは粘性があまり高くなく、べたつき、ぎらつきがあまり強くないので、乳液、クリーム等の保湿用化粧料に好適に用いることができる。
ラウリル硫酸ナトリウムを含有しないクリームを各種濃度で細胞に暴露したときの生存率 0.1%の濃度でラウリル硫酸ナトリウムを含有させたクリームを各種濃度で細胞に暴露したときの生存率 24時間判定におけるスコア3,4を示した被験者の総和 48時間判定におけるスコア3,4を示した被験者の総和 貼付24h後の経表皮水分蒸散量平均値(平均値±S.D.) 貼付48h後の経表皮水分蒸散量平均値(平均値±S.D.)
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明のダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルはダイマージリノール酸とジエチレングリコールをエステル化して得られる。
<ダイマージリノール酸>
ダイマージリノール酸は、一般的にはダイマー酸と呼ばれる2塩基酸で、2分子のリノール酸[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸]等の不飽和脂肪酸を重合させたリノール酸の2量体である。リノール酸の重合反応の生成物にはリノール酸の2量体の他に、未反応のリノール酸や3量体、さらに高重合のリノール酸重合体が含まれる。分子蒸留によりリノール酸の2量体の含有量を90質量%以上に高めることができる。また、得られたリノール酸の2量体の不飽和結合に水素を添加して安定化させることができる。これらのリノール酸の2量体を水素添加したものは、一般的には水添ダイマー酸と呼ばれている。本発明のダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの合成に用いるダイマージリノール酸としては、これらのダイマー酸、及び、水添ダイマー酸の何れをも使用することができるが、酸化安定性の観点から水添ダイマー酸を使用することがより好ましい。水添ダイマー酸は市販品、例えばユニケマ社PRIPOL1006、PRIPOL1009、PRIPOL1025等を用いることが可能である。
<ジエチレングリコール>
ジエチレングリコールはO(CHCHOH)の化学式で表される化合物であり、有機合成原料として市販されている。
ダイマージリノール酸とジエチレングリコールをエステル化反応で重合することによりダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを得ることができる。エステル化法は特に限定されないが、例えば、無触媒若しくは触媒としてパラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸等を用いて、無溶媒若しくは溶媒としてトルエン、ヘキサン、ヘプタン等を用いて、50〜260℃の温度で反応すれば良い。
ダイマージリノール酸とジエチレングリコールの構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率は0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルが好ましい。ダイマージリノール酸:ジエチレングリコールの比率が0.5モル:1.0モルのときは、ダイマージリノール酸の両端にジエチレングリコールが結合したものを中心とした分布のオリゴマーとなる。ダイマージリノール酸:ジエチレングリコールの比率が0.8モル:1.0モルのときはダイマージリノール酸4つとジエチレングリコール5つがエステル結合したものを中心とした分布のオリゴマーとなる。
いずれにしてもダイマージリノール酸と比べてジエチレングリコールが過剰なので、カルボキシル基はほとんど残存せず、オリゴマーの末端に残存する官能基はほとんど水酸基となる。ダイマージリノール酸とジエチレングリコールのモル比が1に近づくと重合度が増大し、油剤の粘性が増大し好ましくない。また、ジエチレングリコールと比べてダイマージリノール酸のモル濃度が過剰になると、残存する官能基がカルボキシル基となり、安全性の点で好ましくない。
特に、構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モルであって、25℃における粘度が2,500〜4,500mPa・sであるダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは、薬物の皮膚浸透性が小さく、刺激緩和作用、経皮水分蒸散抑制作用が認められ、肌荒れ防止効果が高いことが確認できた。この作用は、類似のダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルに比べても、顕著な差があることが確認できた。
なお、特許文献6には、各種のダイマー酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを配合した化粧料について検討されているが、刺激緩和作用は検討されていない。特許文献6には、ダイマー酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマー酸:ジエチレングリコール=1:0.5)/混合アルコール(ベヘニルアルコール:イソステアリルアルコール:フィトステロール=9:1:1)エステルが開示されているが、本願発明の仕込み比率がダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルであるダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは開示されておらず、極性が異なり、両者は物性、使用性が全く異なる。
本発明の化粧料に配合するダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの配合量は必ずしも制限されないが、化粧料全量に対し、0.1〜95質量%が好ましい。化粧料が保湿化粧料の場合にはダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの配合量は0.1〜40質量%が好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。40質量%以上だと、べたつきが強すぎて保湿化粧料にあまり適さない。20質量%以上だとべたつきが大きい。5質量%以下であると刺激緩和作用が弱くなり、0.1質量%以下では刺激緩和作用が殆ど認められない。
本発明の化粧料(医薬部外品を含む)としてはローション、乳液、スキンクリーム、ハンドクリーム、ボディミルク、美容液、サンスクリーン剤、リキッドファンデーション、口紅等が挙げられる。本発明の化粧料は、顕著な刺激緩和効果及び肌荒れ防止効果を有するので、保湿化粧料に適している。保湿化粧料としてはローション、乳液、スキンクリーム、ハンドクリーム、ボディミルク、美容液等が挙げられる。
本発明の化粧料には、その用途、使用目的、剤形などに応じて、植物油のような油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等を含有させることができる。ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
油脂類としては、例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等があげられる。
高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等があげられる。
高級アルコールとして、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等があげられる。
アニオン界面活性剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等があげられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等があげられる。
両性界面活性剤として、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等があげられる。
非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体があげられる。
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等をあげることができる。
金属イオン封鎖剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩をあげることができる。
べたつきを抑えたり、色を付けたりするために、粉末成分として、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等のタール色素をあげることができる。
紫外線吸収剤として、例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等をあげることができる。
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等をあげることができる。
保湿剤として、例えば、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリン等があげられる。
薬効成分として、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のB6類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD2、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類をあげることができる。
そのほかに、ローヤルゼリー、ぶなの木エキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等をあげることができる。
さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を配合することができる。
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル)を実施例1とし、その製造を示す。
攪拌機、温度計、ガス導入管を備えた1Lの反応器に、ダイマージリノール酸(ユニケマ社製、PRIPOL1025)349g(0.6モル)及びジエチレングリコール127g(1.2モル)を仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら12時間エステル化反応を行い、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5:1.0)(以下「DEG−DA5」と表すことがある)416gを淡黄色高粘度油状物として得た。
得られた3ロットの油剤の物性値を以下表1に示す。
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.8モル:1.0モル)を実施例2とし、その製造を示す。
攪拌機、温度計、ガス導入管を備えた1Lの反応器に、ダイマージリノール酸(ユニケマ社製、PRIPOL1025)372g(0.64モル)及びジエチレングリコール84.8g(0.8モル)を仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら14時間エステル化反応を行い、ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.8:1.0)(以下「DEG−DA8」と表すことがある)375gを淡黄色高粘度油状物として得た。
得られた油剤の物性値を以下表2に示す。
<薬物皮膚浸透試験>
実施例1の油剤と市販のダイマー酸エステル、ダイマージオールエステルの薬物皮膚浸透性を評価した。
1.試料
表3に示す実施例1で得られた油剤(DEG−DA5)及び市販のダイマー酸エステル、ダイマージオールエステルに、1%となるようイブプロフェン(Sigma)を溶解した試料を用いて、薬物皮膚浸透試験を実施した。
2.試験方法
−80℃に冷凍保存されたYucatan Micropig背部皮膚(5ヵ月齢雌性、日本チャールスリバー(株))を室温で30分間解凍し、皮膚についた余分な脂肪を取り除いた後、約2cm四方に切断し試験に用いた。
有効面積0.95cmで皮膚をセルにはさみ、試料0.2mlを塗布した。48時間後に皮膚表面の試料を拭き取りにより除去し、皮膚をメタノール/0.1%リン酸水溶液混液(70:30)中で鋏およびホモジナイザーを用いて破砕してイブプロフェンを抽出し、皮膚中のイブプロフェン量をHPLCにて測定した。測定結果を表3に示す。
2.1 HPLC測定条件
検出器:紫外吸光光度計LC−10AD((株)島津製作所 製)
測定波長:220nm
カラム:TSK−GEL ODS−80Ts 4.6mm×150mm(東ソ(株))
移動相:メタノール:0.1%リン酸水溶液= 75:25
流 速:1ml/分
2.2 データ処理
CLASS−VP(島津製作所(株)製)を用い、イブプロフェンのピーク面積から別に検量線を作成し、計算により濃度を求めた。
3.結果
測定結果を表3に示す。
イブプロフェンは経皮吸収性の指標として一般的に用いる。イブプロフェンの皮膚への吸収が少なければ、刺激物質の吸収を抑制する効果に優れる。
実施例1の油剤(DEG−DA5)にイブプロフェンを溶解した場合、48時間後の皮膚中のイブプロフェン量が21μgなのに対して、市販のダイマー酸エステル、ダイマージオールエステルの場合、イブプロフェン量は37μg〜70μgであった。ダイマー酸エステル、ダイマージオールエステルの中でも実施例1の油剤(DEG−DA5)は極めてイブプロフェンの皮膚浸透を抑制する効果に優れ、刺激物質の吸収抑制効果に優れている。市販油剤の中でもLUSPLAN DD-DHR:日本精化(株)製 ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物 (イブプロフェン量37μg)、LUSPLAN DD-DA7:日本精化(株)製 ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(イブプロフェン量42μg)もイブプロフェンの吸収量が低いほうであるが、両油剤とも粘性が高く、べたつきがつよく、ぎらつくので、保湿化粧料に用いることは困難である。
コラーゲンゲル法を用いた刺激緩和性試験>
実施例1で調製した油剤(DEG−DA5)、実施例2で調製した油剤(DEG−DA8)と市販の油剤の刺激緩和作用を比較した。
1.被験物質
表4に示す油剤をそのまま、あるいは動物やヒトで刺激性があると報告されているラウリン酸を油剤中に0.5質量%、0.8質量%、1.2質量%添加して被験物質とした。
2.試験方法
2.1 コラーゲンゲルの作製
タイプI−ACコラーゲン(高研)水溶液と正常ヒト線維芽細胞(CAMBLEX製)の培地中懸濁液、並びに適量の再構築液をスターラーで混合して調製し、タイプI−ACコラーゲン(高研)の最終濃度0.1質量%、正常ヒト線維芽細胞(CAMBLEX製)の最終濃度4.0×10cells/mLとして、6wellカルチャーインサート(FALCON製)に1mL滴下した。培養培地はDMEM+10%FBSを用いた。コラーゲンゲルを、約16時間(12時間〜24時間)培養した。
2.2 被験物質のコラーゲンゲルへの適用
2.1で作製したコラーゲンゲル上にラウリン酸0.5質量%、0.8質量%、1.2質量%添加および無添加の被験物質を1g添加し、24時間暴露させた。24時間暴露後、被験物質を除去しMTTassayによる細胞生存率を測定・算出し、細胞生存率のラウリン酸濃度依存性を調べた。
3.結果
結果を表4に示す。
ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステル(ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5:1.0)はラウリン酸を1.2質量%添加したものでも細胞生存率は約80%であり、刺激緩和効果に極めて優れることが分かった。ラウリン酸無添加よりも、ラウリン酸0.5%添加のほうが細胞生存率が向上しているデータがあるが(実施例1で調製した油剤(DEG-DA5)で95%→104%、LUSPLAN DD-ISで72%→78%)、これはデータのばらつきによる。
<細胞を用いた刺激緩和性試験>
ラウリル硫酸ナトリウムを添加したクリームを正常ヒト線維芽細胞に適用し、クリームがラウリル硫酸ナトリウムの刺激を緩和する効果を調べた。
1.被験クリーム
表5に示された処方のクリームである実施例3、比較例1、比較例2のクリームを用い、各クリーム、並びに、それらのクリームに10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を添加混合し、クリーム中のラウリル硫酸ナトリウムの含有量を0.1%に調整したものを用いた。
2.試験方法
被験クリームを培地に混合希釈した。
正常ヒト線維芽細胞を96穴プレートに3.5×10播種し、5日間培養した。
コンフルエントの状態で、被験クリームの濃度が0.156%〜20%となるように混合希釈した培地に交換し、細胞を被験クリームに暴露させた。
20時間暴露後MTTアッセイ法を用いて細胞生存率を求めた。
3.結果
ラウリル硫酸ナトリウムを含有しないクリームを各種濃度で細胞に暴露したときの生存率を図1に、0.1%の濃度でラウリル硫酸ナトリウムを含有させたクリームを各種濃度で細胞に暴露したときの生存率を図2に示す。
図1に示すように、各例ともラウリル硫酸ナトリウムを含有しないクリームを各種濃度で細胞に暴露したとき、培地中のクリームの濃度が0.156%から20%に増大するにつれて、生存率は約80%から約60%にほぼ同様に低下した。
一方、図2に示すように、0.1%の濃度でラウリル硫酸ナトリウムを含有させたクリームを各種濃度で細胞に暴露したとき、培地中のクリームの濃度を0.156%から10%まで増大させても、各例とも細胞生存率は約80%から約70%にほぼ同様に低下する程度であった。
しかしながら、培地中のクリームの濃度を20%にすると0.1%の濃度でラウリル硫酸ナトリウムを含有させた実施例3のクリームは54%の細胞生存率を維持したが、0.1%の濃度でラウリル硫酸ナトリウムを含有させた比較例1及び2のクリームでは細胞が殆ど死滅した(細胞生存率1%)。
従って、実施例3のクリームはラウリル硫酸ナトリウムの刺激を緩和する効果が特に優れている。
ヒトパッチテストによる刺激緩和性試験>
実施例1の油剤、実施例1の油剤を配合したクリーム(実施例3とする)、流動パラフィン、流動パラフィンを配合したクリーム(比較例1)について、ラウリル硫酸ナトリウムの刺激を緩和する効果をヒトパッチテストにて評価した。
1.前処理被験品
実施例1の油剤、流動パラフィン並びに表5の組成の実施例3、比較例1のクリームをパッチテスト被験品を適用する前に皮膚に塗布した。
2.パッチテスト被験品
0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液と滅菌水(対照)をパッチテスト被験品とした。
3.被験者
過去のパッチテストにおいてラウリル硫酸ナトリウム0.1〜0.5%水溶液で擬陽性反応以上を示し、貼付部位にかゆみ、かぶれなどの皮膚症状がでていない、健康な20〜50代の12名(男3名、女9名)を用いた。
4.試験方法
前処理被験品を塗布し、その後、パッチテスト被験品を検体とした24時間閉塞貼付試験を行った。被験者の上腕内側部にあらかじめ10mm×30mmの範囲を片腕3箇所および2箇所(両腕で5箇所)マーキングし、各箇所の経皮水分蒸散量をDelfin製vapometerを用いて測定した。次に、前処理被験品4品を1箇所ずつ10μL塗布し5〜10分程度なじませた(残り1箇所は前処理被験品無塗布)。前処理被験品が皮膚になじんだことを確認後、パッチテスト被験品約20μLを人体貼付試験用フィンチャンバー(直径11mm大正製薬)上の濾紙に滴下し、直ちに被験者の5箇所のマーキング箇所に22時間閉塞貼付した。フィンチャンバーを除去して、2時間後(貼付24時間後)および翌日24時間後(貼付48時間後)に表6に示す判定基準に従って、皮膚反応を目視観察した。同時に経皮水分蒸散量を測定した。
5.目視判定結果
目視判定結果を表7に示す。
前処理被験品無塗布の場合、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付24時間後の皮膚刺激評点平均値0.750であるが、前処理被験品を塗布することにより、皮膚刺激評点平均値が低減する。特に、実施例1の油剤(0.208)、実施例3のクリーム(0.167)は刺激緩和効果が顕著であり、前処理被験品無塗布と比べて皮膚刺激評点平均値が2/10〜3/10に低減している。比較例1のクリーム(0.458)は、前処理被験品無塗布と比べて6/10であり刺激緩和効果が認められるが、流動パラフィン(0.667)は、前処理被験品無塗布と比べて9/10であり、刺激緩和効果は殆ど認められない。
前処理被験品無塗布の場合、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付48時間後の皮膚刺激評点平均値は1.083である。前処理被験品塗布効果については、実施例1の油剤(0.333)は前処理被験品無塗布と比べて3/10であり、顕著な刺激緩和効果が認められる。実施例3のクリーム(0.583)は前処理被験品無塗布と比べて5/10であり、刺激緩和効果が認められる。比較例1のクリーム(0.792)は前処理被験品無塗布と比べて7/10であり、弱いながらも刺激緩和効果が認められる。一方、流動パラフィンを塗布した場合には皮膚刺激評点平均値が1.292であり、前処理被験品無塗布と比べて12/10であり、ラウリル硫酸ナトリウムの刺激をやや増強する結果である。
実施例1の油剤、並びに実施例1の油剤を配合した実施例3のクリームが顕著な刺激緩和作用を有することが確認できた。
6.経皮水分蒸散量測定結果
経皮水分蒸散量測定結果を表7に示す。
前処理被験品無塗布の場合、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付24時間後の経皮水分蒸散量は8である。滅菌水を貼付したときの経皮水分蒸散量は3であり、それと比べて明らかに皮膚バリアが破壊され、肌荒れが進んでいることがわかる。実施例1の油剤、実施例3のクリームを事前に塗布することにより、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付24時間後の経皮水分蒸散量はそれぞれ5及び4であり、前処理被験品無塗布8の約半分に抑制される。
従って、刺激緩和効果及び肌荒れ防止効果が発揮されている。比較例1のクリームを事前に塗布した場合、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付24時間後の経皮水分蒸散量は7であり、前処理被験品無塗布8と殆ど変わらず、刺激緩和効果及び肌荒れ防止効果が殆ど認められない。流動パラフィンを事前に塗布した場合は、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付24時間後の経皮水分蒸散量は11であり、前処理被験品無塗布8の約1.4倍であり、皮膚刺激並びに肌荒れが増強されている。
前処理被験品無塗布の場合、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付48時間後の経皮水分蒸散量は12に増大し、肌荒れが進行している。実施例1の油剤、実施例3のクリームを事前に塗布することにより、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付48時間後の経皮水分蒸散量はどちらも4であり、前処理被験品無塗布12の1/3である。そして、前処理被験品無塗布、滅菌水貼付48時間後の経皮水分蒸散量2との差が小さい。従って、肌荒れは進行せず軽微であり、肌荒れが顕著に抑制されている。比較例1のクリームを事前に塗布した場合、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付48時間後の経皮水分蒸散量は8であり、前処理被験品無塗布12の2/3である。肌荒れ防止効果が認められるが、実施例1の油剤、実施例3のクリームほど顕著ではない。流動パラフィンを事前に塗布した場合は、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液貼付48時間後の経皮水分蒸散量は15であり、前処理被験品無塗布12の約1.3倍であり、皮膚刺激並びに肌荒れが増強されている。
実施例1の油剤、並びに実施例1の油剤を配合した実施例3のクリームが顕著な刺激緩和作用及び肌荒れ防止効果を有することが確認できた。
<アトピー性皮膚炎または皮脂欠乏症を有する男性20名のパッチテストによる刺激緩和効果試験>
実施例1の油剤(DEG−DA5)、DEG−DA5を配合したクリームのアトピー性皮膚炎または皮脂欠乏症の被験者に対する刺激緩和効果をヒトパッチテストにて検証した。
1.被験者
1−1 年齢構成
19歳〜45歳までの男性20例で平均年齢は27.9歳であった。試験途中の脱落はなかった。
1−2 被験者の皮膚疾患
事前に試験担当医師が被験者の症状について診断した。アトピー性皮膚炎11例、皮脂欠乏症9例であった。アトピー性皮膚炎疾患の被験者は軽症が7例、軽症〜中等症が2例、中等症が2例であった。
2.前処理被験品
実施例1の油剤および実施例1の油剤を配合したクリーム3種、比較例として化粧品用油剤として一般的に使用される流動パラフィンとスクワランを配合したクリーム4種及び皮膚科で処方される保湿剤の代表としてワセリンを前処理被験品とした。無処理を対照とした。
1.DEG−DA5を20%配合した実施例3のクリーム
2.DEG−DA5を10%配合した実施例4のクリーム
3.DEG−DA5を5%配合した実施例5のクリーム
4.流動パラフィンを20%配合した比較例1のクリーム
5.流動パラフィンを10%配合した比較例3のクリーム
6.スクワランを20%配合した比較例2のクリーム
7.スクワランを10%配合した比較例4のクリーム
8.実施例1の油剤(DEG−DA5)
9.ワセリン(日興リカ製)
10.無処理 (対照)
実施例3、比較例1、2のクリームの処方は表5に示した。実施例4、5、比較例3、4のクリームの処方を表8に示す。
前処理剤の安全性試験
前処理剤の安全性確認試験のため24時間クローズドパッチテストを実施した。貼付した4被験物質[DEG−DA5配合20%クリーム(実施例3)、流動パラフィン20%配合クリーム(比較例1)、スクワラン20%配合クリーム(比較例2)、ワセリン]の目視評価結果を表12に示した。DEG−DA5配合クリームや流動パラフィン配合クリームが各判定時間で全陰性の結果に対し、スクワラン配合クリームでスコア3を示した被験者が24h判定で1名、ワセリンではスコア1を示した被験者が24hで1名認めた。しかし、48h、7日目では刺激反応が低減しており、アレルギー症状ではないことが確認できた。以上の結果より、4被験物質は、24h閉塞貼付結果、明らかな一次皮膚刺激性はないことが確認できた。
3.パッチテスト被験品
皮膚一次刺激の緩和効果を評価するため、皮膚刺激物質として0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(関東化学)水溶液(以下、SLSと呼ぶ)をパッチテスト被験品とした。各塗布部には、対照としてそれぞれ滅菌水を同時に貼付した。
4.変法クローズドパッチテスト試験方法
被験者の背部にプラスチック枠を用いて10mm×30mmの領域を10箇所設定し、実施例1の油剤(DEG−DA5)、ワセリン並びに実施例3〜5、比較例1〜4のクリームの一定量(約15μL)を微量分注器で量り採り、1箇所に1種類の前処理被験品を塗布した。前処理被験品塗布領域は9箇所であり、残りの1箇所は対照として無処理区とした。
その後、皮膚刺激物質である0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(SLS)および対照の滅菌水をパッチテスト被験品として24時間クローズドパッチテストを実施した。パッチテストには大正製薬のフィンチャンバーを使用した。
塗布部は背骨を挟んで左右5箇所を選択した。塗布部は試験担当医師が被験者の背部を所見し、紅斑等の炎症部位は避けて前処理被験品塗布、パッチ絆貼付を行った。
5.評価項目と評価時期
以下の2項目を評価した。
1) 皮膚所見: パッチテストによる皮膚変化の目視判定(試験2日目、3日目、7日目)
2) 理学検査: vapometer(Delfin)による経表皮水分蒸散量(試験2日目、3日目)
6.評価方法
6.1 皮膚所見
目視判定は皮膚刺激判定基準(表9)に準じて試験担当医師が行った。判定結果は評点にかえ平均値を算出した。得られた値を無塗布部、ワセリン塗布部と比較して有効性を判断した。
6.2 理学検査
vapometerを用いて得られた経表皮水分蒸散量測定値は、各パッチ絆貼付部位より無貼付部位値を差し引いた値を解析に用いた。それぞれの被験物質塗布部の値と無塗布部、ワセリン塗布部と比較して、有効性を判断した。
7.皮膚科医による目視判定
貼付24時間後、48時間後、7日目に皮膚刺激基準に従って試験担当医師が目視判定した。貼付24時間後の目視判定結果を表10に、貼付48時間後の目視判定結果を表11に示す。図3、図4に各前処理剤における20名の0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(SLS)皮膚刺激スコアのうち、皮膚刺激基準スコア3、4だけを抜粋し、24時間後、48時間後の総和人数を示した。皮膚刺激基準スコアが4を超える被験者はいなかった。
24時間判定では、無塗布部位と比較してDEG−DA5塗布部位(実施例1)、DEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)塗布部位で明らかに目視評価スコア3,4以上を示した被験者が少なく、次いでDEG−DA5 10%配合クリーム(実施例4)、DEG−DA5 5%配合クリーム(実施例5)であった。ワセリンは0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(SLS)貼付による目視評価スコア3,4以上を示した被験者が5人と無塗布部位の12人と比較すると、少ない結果となったが、DEG−DA5およびDEG−DA5配合クリームと比較するとその人数は多かった。DEG−DA5配合はスコア1以上の合計点数として見ると全体的に刺激が緩和されていることが認められ、さらに、前述のように刺激が強いスコア3以上も少ないことが認められる。
Wilcoxon符号付順位和検定の結果、DEG−DA5塗布部位(実施例1)、DEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)塗布部位、DEG−DA5 10%クリーム(実施例4)塗布部位でワセリン塗布部位と比較して有為にスコアが低い結果となった(p<0.05)。DEG−DA5 5%配合クリーム(実施例5)では抑制傾向はみられたものの有為差はなかった。また、DEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)は、流動パラフィン20%配合クリーム(比較例1)、スクワラン20%配合クリーム(比較例2))と比較して有意に刺激スコアが抑制されていた。さらに、DEG−DA5 10%配合クリーム(実施例4)は、流動パラフィン10%配合クリーム(比較例3)、スクワラン10%配合クリーム(比較例4)と比較して有意に刺激スコアが抑制されていた。
48時間判定では、無塗布部位と比較してDEG−DA5塗布部位、DEG−DA5 5%配合クリーム(実施例5)塗布部位で明らかに目視評価スコア3,4以上を示した被験者が少なく、次いでDEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)、流動パラフィン20%配合クリーム(比較例1)であった。ワセリンはSLS貼付による目視評価スコア3,4以上を示した被験者が8人と無塗布部位の15人と比較すると、少ない結果となったが、DEG−DA5およびDEG−DA5配合クリームと比較するとその人数は多かった。
Wilcoxon符号付順位和検定の結果、DEG−DA5塗布部位(実施例1)、DEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)塗布部位、DEG−DA5 5%クリーム(実施例5)塗布部位でワセリン塗布部位と比較して有為にスコアが低い結果となった(p<0.05)。また、DEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)はスクワラン20%配合クリーム(比較例2)と比較して有意に刺激スコアが抑制されていた(p<0.05)。
7日目判定は、アレルギー症状の有無を確認するために実施した。その結果、スコア1以上を示した被験者は1名のみで無塗布部のSLS貼付部位であり、前処理剤の影響はなかった。
8.機器測定による経表皮水分蒸散量
表13、図5、図6に各被験物質の経表皮水分蒸散量値の平均値を示す。貼付24h後では、SLS貼付部位でその刺激性によるTEWL値抑制傾向が認められた箇所はDEG−DA5(実施例1)、DEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)、DEG−DA5 10%配合クリーム(実施例4)であった。DEG−DA5 20%クリーム(実施例3)、DEG−DA5 10%クリーム(実施例4)は無塗布部位に対して、またDEG−DA5 20%クリーム(実施例3)はワセリン塗布部位に対しても有為に刺激抑制効果が認められた(p<0.05)。貼付48h後では、すべての前処理剤において無塗部位と比較するとSLS貼付によるTEWL値上昇が有為に抑制されていた(p<0.05)。特にDEG−DA5(実施例1)、DEG−DA5 20%配合クリーム(実施例3)ではワセリン塗布部位と比較しても有為に抑制された(p<0.05)。
13.まとめ
本試験では、DEG−DA5およびDEG−DA5を配合したクリームの刺激成分浸透抑制効果をアトピー性皮膚炎患者の方、皮脂欠乏症の方20名を対象にして検証した。その結果、DEG−DA5およびDEG−DA5配合クリームが濃度依存的にSLSの刺激を抑制する傾向が認められ、ヒトに用いる際に効果を発揮するおおよその濃度が示唆された。
また、DEG−DA5およびDEG−DA5配合クリームのアトピー性皮膚炎疾患者、皮脂欠乏症疾患者に対する24時間クローズドパッチテストによる安全性確認ができた。
以上の結果より、DEG−DA5を配合した化粧料は、バリア機能が低下したアトピー性皮膚炎疾患者、皮脂欠乏症者の使用に適している。

Claims (8)

  1. ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを含有する化粧料。
  2. ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは、構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルであることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
  3. ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルは、構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モルであることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
  4. ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルの25℃における粘度が2,500〜4,500mPa・sであることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
  5. ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルが皮膚刺激緩和成分であること特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料。
  6. 顔用または身体用の保湿化粧料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
  7. ダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルが、5〜20質量%含有されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の化粧料。
  8. 構成するダイマージリノール酸とジエチレングリコールの比率が、ダイマージリノール酸:ジエチレングリコール=0.5モル:1.0モル〜0.8モル:1.0モルであるダイマージリノール酸ジエチレングリコールオリゴマーエステルを含有する化粧料用油剤。
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