本発明は、小型、薄型のカメラモジュールに関する。特に、複数の撮影光学レンズによって画像を撮像する複眼方式のカメラモジュールに関する。
デジタルビデオやデジタルカメラのような撮像装置では、レンズを介して被写体像をCCDやCMOS等の撮像素子上に結像することにより、被写体を2次元の画像情報に変換する。単眼方式のカメラモジュールの一例が、特許文献1、2に提案されている。また、2つの対物レンズを用いて立体観察を可能とするカメラモジュールの一例が、特許文献3に提案されている。
一方、カメラモジュールの小型、薄型化を実現するために、複眼方式のカメラモジュールが提案されている。
複眼方式のカメラモジュールの一例が、特許文献4に記載されている。特許文献4では、撮像光学系を赤色の波長の光を受け持つレンズと、緑色の波長の光を受け持つレンズと、青色の波長の光を受け持つレンズとを平面内に並べた構成にしている。各レンズに対応して、撮像素子に各波長帯域の撮像領域を設けている。
このため、各レンズが受け持つ光の波長が限定される。このことにより、単レンズにより被写体像を撮像面に結像することが可能となり、撮像装置の厚さを大幅に小さくすることができる。
図7は、前記のような従来のカメラモジュールの撮像系の分解斜視図である。被写体側から順に、絞り部材111、レンズアレイ112、遮光ブロック113、光学フィルタアレイ114、撮像素子116が配置されている。レンズアレイ112は複数のレンズ112aを備えている。絞り部材111は、レンズアレイ112の各レンズの光軸と一致する位置にそれぞれ絞り(開口)を備えている。
光学フィルタアレイ114は、レンズアレイ112の各レンズに対応する領域毎に、分光特性が異なる複数の光学フィルタ114aを備えており、撮像素子116の受光面を覆っている。遮光ブロック113は、レンズアレイ112の隣り合うレンズ間の境界、すなわち光学フィルタアレイ114の隣り合う光学フィルタ114a間の境界と一致する位置に遮光壁113aを備えている。撮像素子116は、半導体基板115上に搭載されている。半導体基板115上には、駆動回路117、信号処理回路118も実装されている。
このカメラモジュールによれば、遮光ブロック113の遮光壁113aによって、あるレンズ112aを通過した光が、このレンズ112aに対応していない撮像領域に入射することを防止することができる。
しかしながら、レンズ112aに入射する光線の入射角度が大きくなると、レンズ112aを通過した光線も、それに応じて光線の角度が大きくなる。図7のカメラモジュールでは、光学フィルタ114aを介して撮像素子116のすぐ真上に、遮光壁113aが光軸とほぼ平行に配置されている。
このため、入射角度が大きく撮像領域から結像位置がはずれた光線は、直接は撮像領域に入射しないものの、遮光壁113aで反射し、撮像領域で撮像された映像に反射像が写り込むという問題があった。
また、この反射によるゴースト像を無くすために、レンズ112aに入射する光線の角度を規制するように被写体側にフードを設けると、カメラモジュール高さが高くなってしまう。一方、反射像が撮像領域に写り込まないように撮像領域を設定すると、不要に多い画素を有する撮像素子を用いるか、又は撮像領域を小さくせざるを得ない。この場合はコストが増大したり、性能が低下したりする問題があった。
特開2002−118776号公報
実開平2−106847号公報
特開平9−127435号公報
特開2003−143459号公報
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、不要入射光が撮像領域に写り込むことを防止しつつ、小型かつ低コストの複眼方式のカメラモジュールを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の複眼方式のカメラモジュールは、複数のレンズを含むレンズモジュールと、前記各レンズに対応した複数の光学フィルタと、前記各光学フィルタに対応した複数の撮像領域を含む撮像素子と、前記撮像素子に立設した遮光壁とを備え、隣接する前記各撮像領域同士が、前記遮光壁で仕切られており、前記遮光壁は、前記撮像領域の撮像面に対して傾斜した複数の傾斜面を含んでおり、前記複数の各傾斜面は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向けて順次配置されており、前記各傾斜面は、前記遮光壁から離れる方向に向かうにつれて、前記撮像領域側に向かうように傾斜した傾斜面であることを特徴とする。
本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの分解斜視図。
本発明の実施の形態1に係る遮光ブロックの斜視図。
本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの断面における光線図。
本発明の実施の形態1に係る遮光壁と撮像素子との斜視図。
本発明の実施の形態2に係るカメラモジュールの断面における光線図。
図5Aの遮光壁部分の拡大図。
本発明の実施の形態2に係る遮光壁と撮像素子との斜視図。
従来のカメラモジュールの一例の分解斜視図。
従来のカメラモジュールの一例の断面における光線図。
本発明によれば、遮光壁に傾斜面を設けたことより、不要入射光が撮像領域に写り込むことを防止するために、別途フードを設けたり、撮像領域を縮小したりする必要がなくなり、小型かつ低コストの複眼方式のカメラモジュール実現することができる。
前記複眼方式のカメラモジュールにおいては、前記各傾斜面の傾斜角度は、前記レンズモジュール及び前記光学フィルタを通過した入射光のうち、前記傾斜面に当たる光の反射光を、前記撮像領域の外側に結像させる角度に設定していることが好ましい。この構成によれば、不要入射光が撮像領域に写り込むことをより確実に防止できる。
また、前記撮像面に平行な面と前記傾斜面とのなす角度を傾斜角度とすると、前記複数の傾斜面は前記傾斜角度が異なる傾斜面を含んでおり、前記傾斜角度が異なる傾斜面は、前記撮像領域側の前記傾斜面の傾斜角度が、前記レンズモジュール側の前記傾斜面の傾斜角度より小さいことが好ましい。
また、前記撮像面に平行な面と前記傾斜面とのなす角度を傾斜角度とすると、前記複数の傾斜面の傾斜角度は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向かうにつれて小さくなっていることが好ましい。
また、前記撮像面に平行な面と前記傾斜面とのなす角度を傾斜角度とすると、前記複数のレンズの光軸方向において、前記遮光壁は前記傾斜面の傾斜角度に応じて複数の領域に分けられており、前記各領域内の前記傾斜面の傾斜角度は同じにしつつ、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向かうにつれて、前記各領域内の傾斜角度が小さくなっていることが好ましい。
前記各種の好ましい傾斜面の傾斜角度の設定によれば、不要入射光が撮像領域に写り込むことをより確実に防止することができる。
また、前記各傾斜面は、前記撮像面に平行な方向に延びた連続した面であることが好ましい。
また、前記各傾斜面は、前記撮像面に平行な方向に、複数のブロックに分離して配置されていることが好ましい。この構成によれば、遮光部先端の形状による不要な反射光が撮像領域に結像する確率を大幅に減少させることができる。
また、中空部が形成された外筒部をさらに備えており、前記遮光壁及び前記撮像素子は、前記中空部内に配置されており、前記中空部は、前記レンズモジュール側から前記撮像素子側に向かうにつれて、外側に広がるように傾斜しているとともに、少なくとも前記撮像素子を囲む部分においては、前記撮像素子の外形より大きくなっていることが好ましい。この構成によれば、入射角度が大きい入射光が、外筒部の内面に当たることを防止できるので、外筒部の内面で反射した反射光が撮像領域に写り込むのを防止することができる。また、入射光が、外筒部の内面に当たる構成であっても、中空部は撮像素子を囲む部分では、撮像素子の外形より大きくなっているので、外筒部の内面での反射光が撮像領域の外側に結像するようにすることができる。
また、前記各傾斜面の傾斜角度、前記中空部の前記外側に広がるように傾斜した部分の傾斜角度、前記中空部の前記撮像素子を囲む部分の大きさは、前記レンズモジュール及び前記光学フィルタを通過した入射光のうち、前記傾斜面に当たる光の反射光を、前記撮像領域の外側に結像させるように設定していることが好ましい。この構成によれば、不要入射光が撮像領域に写り込むことをより確実に防止できる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る複眼方式のカメラモジュールの分解斜視図である。図1において、1はレンズアレイ、2は光学フィルタアレイ、3は基板、4は撮像素子、5は上鏡筒、6は遮光ブロックである。
説明の便宜のために、図示したようなXYZ直交座標系を設定する。Z軸は、撮像素子4の有効画素領域のほぼ中心を通り、これと垂直な軸とする。Z軸方向は、レンズアレイ1を構成する各レンズの光軸方向でもある。X軸は、Z軸と直交し遮光ブロック6の後述する遮光壁61a、61cと平行な軸である。Y軸は、Z軸と直交し遮光ブロック6の後述する遮光壁61b、61dと平行な軸である。
レンズアレイ1は、それぞれ単レンズである4つのレンズ1a、1b、1c及び1dが一体になったものである。4つのレンズ1a−1dは、XY面と平行な同一平面上に配置されている。4つのレンズ1a−1dの各光軸はZ軸と平行であり、各光軸はXY面に平行な仮想の長方形の4つの頂点を通るように配置されている。
レンズ1a−1dは、光の3原色のうち、赤、青、緑のいずれかの波長帯域の光に対して要求されるMTF等の光学仕様を満足するよう設計されている。具体的には、レンズ1aは赤色、レンズ1bは緑色、レンズ1cは緑色、レンズ1dは青色の各波長帯域の光に最適に設計されている。レンズ1a−1dは、ガラス又はプラスチックなどの材料を用いて一体に形成されている。被写体(図示せず)からの光は、各レンズ1a−1dを通過し、光学フィルタアレイ2を通過した後、撮像素子4上に結像する。
光学フィルタアレイ2は、レンズアレイ1と撮像素子4との間に配置されている。光学フィルタアレイ2は、レンズアレイ1と同様に、XY面と平行な同一平面上に配置された4つの光学フィルタ2a、2b、2c及び2dを備えている。
4つの光学フィルタ2a−2dは、それぞれ赤、緑、青のうちのいずれかの波長帯域の光のみを透過する。具体的には、光学フィルタ2aは赤色、光学フィルタ2bは緑色、光学フィルタ2cは緑色、光学フィルタ2dは青色の各波長帯域の光を透過させる。
なお、赤外線をカットする必要がある場合には、光学フィルタ2a−2dは、その特性を付加したものでもよい。4つの光学フィルタ2a−2dは、4つレンズ1a−1dの各光軸上にそれぞれ配置されている。
撮像素子4は、CCD等の撮像センサであり、縦横方向に2次元配列された多数の画素を備えている。撮像素子4の有効画素領域は、4つの撮像領域4a、4b、4c及び4dにほぼ等分されている。なお、この構成に限らず、視差量を考慮した非均一の領域としてもよい。
4つの撮像領域4a−4dは、4つレンズ1a−1dの各光軸上にそれぞれ配置されている。これにより、4つの撮像領域4a−4d上のそれぞれに、赤、緑、青のうちのいずれかの波長成分のみからなる被写体像が独立して形成されることになる。
具体的には、レンズ1aを通過した被写体からの光のうち、赤色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2aを通過して撮像領域4a上に赤色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。同様に、レンズ1bを通過した被写体からの光のうち、緑色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2bを通過して撮像領域4b上に緑色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。レンズ1cを通過した被写体からの光のうち、緑色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2cを通過して撮像領域4c上に緑色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。レンズ1dを通過した被写体からの光のうち、青色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2dを通過して撮像領域4d上に青色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。
撮像素子4の撮像領域4a−4dを構成する各画素は、入射した被写体からの光を光電変換し、光の強度に応じた電気信号(図示せず)をそれぞれ出力する。撮像素子4から出力された電気信号は、様々な信号処理が施され、映像処理される。例えば、緑色の波長帯域光が入射する撮像領域4b及び4cが撮像した2つの画像からこれらの画像間の視差量を求めることができる。このことにより、4つの撮像領域4a−4dがそれぞれ撮像した4つの画像間の視差量を求める。これらの視差量を考慮して、赤、緑、青の3色の画像を合成して1つのカラー画像を作成することができる。
また、撮像領域4b及び4cが撮像した2つの画像を比較し、画像間の視差量を用いて、被写体までの距離を測定することもできる。これらの処理はデジタル信号プロセッサ(DSP、図示せず)等を用いて行うことができる。
上鏡筒5は、その下面にレンズアレイ1を保持して固定している。レンズアレイ1と、これを保持する上鏡筒5とで、レンズモジュール7が構成されている。保持されたレンズアレイ1の4つレンズ1a−1dの各光軸が通過する位置に4つの絞り(開口)5a、5b、5c及び5dが形成されている。上鏡筒5は光を透過しない材料で形成しており、絞り5a−5d以外から不要な外光がレンズ1a−1dに入射するのを遮蔽するようにしている。
図2は、遮光ブロック6を被写体側から見た斜視図である。遮光ブロック6は、十字状に配置された遮光壁61a、61b、61c及び61dを、外筒部62が保持して構成している。外筒部62の内部は、十字状に配置された各遮光壁61a−61dで仕切られて、互いに独立した4つの開口6a、6b、6c及び6dを形成している。
遮光壁61a−61dは、遮光ブロック6の中心軸であるZ軸に対して放射状(十字状)に伸びており、遮光壁61a及び61cはXZ面に沿っており、遮光壁61b及び61dはYZ面に沿っている。4つの開口6a−6dは、4つレンズ1a−1dの各光軸上にそれぞれ配置されている。遮光壁61a−61dは、撮像素子4の有効画素領域を4つの撮像領域4a−4dに仕切っている(図1)。
Z軸と平行な方向で、レンズモジュール7側から見た開口6a−6dの大きさは、撮像領域4a−4dとほぼ同じかこれより大きい。レンズ1a−1dをそれぞれ通過した被写体からの光は、開口6a−6dを通過して、撮像領域4a−4d上にそれぞれ結像される。遮光壁61a−61dにより、レンズ1a−1dのうちの一つを通過した光が、このレンズと対応しない撮像領域に入射するのを防ぐことができる。
ここで、本実施の形態と比較するために、従来のカメラモジュールの一例を比較例として説明する。図8は、比較例に係るカメラモジュールをレンズ光軸を通る断面での光線図である。本図は、図1のカメラモジュールのレンズ1a、1bを通るYZ面で断面した際の光線図に相当する。
図1、2と同一構成のものは、同一番号を付している。遮光壁100a−100dは、図2の遮光壁61a−61dに相当し、遮光ブロック101は、図1の遮光ブロック6に相当し、外筒部102は、図2の外筒部62に相当し、上鏡筒103は、図1の上鏡筒5に相当する。
被写体からの入射光8a−8dは、8aから8dに向けて順に入射角度が大きくなっている。ここで、入射角度は、レンズの光軸を通る光線8aと入射する各光線とのなす角とする。
図8の構成では、入射光8aから8bまでの光線を撮像できるように撮像領域を設定している。入射光8bより大きい入射角度の光線8c及び8dについても、入射光8a及び8bと同様に、レンズ1aに入射し、光学フィルタ2aを通過する。これらの赤色の波長帯域光は、緑色の波長帯域光のみが入射すべきである撮像領域4bに入射しないように、撮像領域4aと撮像領域4bとの境界に沿って設けられている遮光壁100aで遮蔽される。他方、外筒部102は、レンズアレイ1及び光学フィルタアレイ2を通過しない外光が撮像領域4a−4dに入射するのを防止している。
この構成では、遮光壁100a−100dを、撮像面に対して略垂直なZ方向に形成している。このため、例えば入射光8cの光線で、レンズ1a、フィルタ2aを通過した光が、緑色の波長帯域光のみが入射すべきである撮像領域4bへ入射することを防止できる。しかしながら、入射光8cは遮光壁100aに当たり、遮光壁100aで反射した反射光8crが撮像領域4aに入射し、撮像領域4aで撮像された映像に、反射像が写り込んでしまうことになる。
このことは、撮像素子4の外周にあり遮光壁100a−100dを保持する外筒部102の内面を、撮像素子4と略垂直なZ方向でかつ撮像素子4の近傍に形成した場合も同様である。すなわち、レンズ1b、フィルタ2bを通過する入射光で、入射光8dより大きい入射角度の光線が入射すると、反射光8crと同様に、入射した光線が外筒部102の内面に当たり、その反射光が撮像領域4bに反射光が写り込んでしまう(図示せず)。
以下、本実施の形態について、より具体的に説明する。図3は、実施の形態1に係る複眼方式のカメラモジュールにおいて、レンズ光軸を通る断面での光線図である。本図は、図1のカメラモジュールをレンズ1a、1bを通るYZ面で断面したときの光線図を示している。
被写体からの入射光8a−8dは、8aから8dに向けて順に入射角度が大きくなっている。入射光8aから8bまでの光線を撮像できるように撮像領域を設定してある。この点は、図8の例と同様である。
図1、2を用いて説明したように、撮像面4a−4dに対し略垂直なZ方向に、遮光壁61a−61dを立設している。各遮光壁61a−61dの両面には、複数の傾斜面63を備えている。複数の各傾斜面63は、レンズモジュール7側から撮像領域4a−4d側に向けて順次配置されている。すなわち、複数の各傾斜面63は、撮像領域4a−4dに対し略垂直なZ方向、すなわち各レンズ1a−1dの光軸方向に順次配置されている。
傾斜面63は撮像領域4a−4dの撮像面に対して傾斜している。より具体的には各傾斜面63は、遮光壁61a−61dから離れる方向に向かうにつれて、撮像領域4a−4d側に向かうように傾斜した傾斜面である。すなわち、各傾斜面63は、その先端が撮像領域4a−4d側に向かうように傾斜している。
前記の図8の構成によれば、レンズ1a、フィルタ2aを通過した入射光8cは、遮光壁100aに当たり、その反射光8crが撮像領域4aに結像していた。図3の本実施の形態に係る構成では、入射光8cは傾斜面63で反射し、その反射光8crは外筒部62の内面で反射され、撮像領域4aの外側に結像する。
同様に、図3の構成では、入射光の角度が入射光8cより大きい光線8dについては、レンズ1a、フィルタ2aを通過した後、傾斜面63で反射した後、フィルタ2aで反射され、その反射光8drは外筒部62の内面で反射され、撮像領域4aの外側に結像する。このため、入射光8bより大きい入射角度の光線8c、8dについては、その反射光が撮像領域4aで撮像された映像に写り込むことはない。
ここで、比較例に係る図8の構成では、撮像領域への反射光の入射を防止するには、入射光8bより大きい入射角度の光線、例えば光線8c、8dがレンズ1aに入射しないように、被写体側にフードを用いる必要がある。一方、本実施の形態に係る図3の構成では、前記の通り、入射光8bより大きい入射角度の光線、例えば光線8c、8dは、レンズ1aに入射しても、撮像領域4aの外側に結像するので、被写体側にフードを用いる必要はない。
また、比較例に係る図8の構成では、入射光8bは、撮像領域4aと遮光壁100aとの境界付近に結像している。入射光の入射角度が、入射光8bの入射角度より小さくなるにつれて、入射光の撮像領域4aにおける結像位置は、光軸中心すなわち入射光8aの結像位置に近づくことになる。すなわち、図8の構成は、遮光壁100aの近傍部分も撮像領域としていることになる。しかしながら、前記の通り、この部分には、例えば光線8cの遮光壁100aにおける反射光8crが入射し、反射像が写り込んでしまうことになる。
一方、本実施の形態に係る図3の構成では、前記の通り、入射光8bより大きい入射角度の光線、例えば光線8c、8dがレンズ1aに入射しても、遮光壁61aにおける反射光8cr、8drは、撮像領域4aの外側に結像するので、反射像が撮像領域4a写り込んでしまうことが防止される。
このため、撮像領域4aと遮光壁61aとの境界部分までを撮像領域とすることができ、遮光壁61aの近傍部分も撮像領域とすることができる。したがって、図1、2において、同一の撮像素子に遮光壁61a−61dを立設した場合は、撮像素子のうち、遮光壁61a−61dとの境界部分までを撮像領域とすることができる。すなわち、撮像素子のうち、遮光壁61a−61dの直下部分を除いた部分はすべて、撮像領域とすることも可能になる。
また、外筒部62の中空部は、レンズモジュール7側からレンズ撮像素子4側に向かうにつれて、外側に広がるように傾斜しているとともに、少なくとも撮像素子4を囲む部分においては、撮像素子4の外形より大きくなっている。このことにより、レンズ1b、フィルタ2bを通る入射光のうち、入射光8dより入射角度が大きい入射光が、外筒部62の内面に当たることを防止している。また、入射光が、外筒部62の内面に当たる構成であっても、中空部の撮像素子4を囲む部分は、撮像素子4の外形より大きくなっているので、外筒部62の内面での反射光が撮像領域4bの外側に結像するようにすることができる。
図4は、図3に示した構成において、遮光壁61a−61dと撮像素子4とを抜き出した斜視図である。図4から分かるように、遮光壁61a、61cの傾斜面63は、各遮光壁に沿ってX方向に連続的に形成されており、遮光壁61b、61dの傾斜面63は、各遮光壁に沿ってY方向に連続的に形成されている。
以上のように、本実施の形態によれば、撮像領域に、これと対応しないレンズからの光が入射するのを防止できることに加えて、撮像領域を外れる入射角度の大きな入射光が、遮光壁で反射して映像に写り込むゴースト像を解消できることになる。このことにより、入射角度の大きい光線が入射しないよう被写体側にフードを用いる必要がなくなり、カメラモジュールの小型、低コスト化が可能になる。
また、本実施の形態によれば、前記の通り、撮像素子のうち、遮光壁の直下部分を除いた部分はすべて、撮像領域とすることも可能になる。このことにより、遮光壁からの反射光を撮像領域に写り込まないように、多くの不要画素を有する大型の撮像素子を用いる必要がなく、撮像領域を不用意に縮小する必要もない。この点においても、カメラモジュールの小型化、低コスト化が可能になる。
なお、前記実施の形態では、被写体からの光を赤、緑、緑、青の4つの波長帯域光に分離する光学系を示したが、これに限るものではない。例えば2つの近赤外波長帯域光と2つの緑色波長帯域光とに分離する光学系であってもよく、これ以外の波長帯域光の組み合わせであってもよい。すなわち、選択される波長帯域光によらず、本実施の形態の効果を得ることができる。
さらに、視差を算出する光学系の配置も前記実施の形態に限るものではなく、選択される波長帯域が同一で、X方向又はY方向に並んだ配置でもよい。
(実施の形態2)
以下、図5A、Bを参照しながら、本発明の実施の形態2について説明する。図5Aは、本発明の実施の形態2に係る複眼方式のカメラモジュールの光線図である。本図は図3と同様に、図1のカメラモジュールのレンズ1a、1bを通るYZ面で断面したときの光線図に相当する。図5Bは、図5Aの遮光壁部分の拡大図である。
本実施の形態は、遮光壁の傾斜面の傾斜角度を除けば、実施の形態1と同様の構成である。このため、各構成には実施の形態1と同一番号を付して、重複した説明は省略する。
図5A、Bにおいて、撮像面に対し略垂直なZ方向に遮光壁61a−61dを立設していることは実施の形態1と同じである。図5A、Bの構成が、実施の形態1の構成と異なっているのは、傾斜面63の傾斜角度である。実施の形態1の構成では、傾斜面63の傾斜角度を統一しているのに対し、実施の形態2の構成は、傾斜面63の位置によって、傾斜角度が異なる構成である。
図5A、Bの例では、レンズモジュール7側から撮像素子4側に向かうにつれて、傾斜面63の傾斜角度が小さくなっている。ここで説明に用いている傾斜角度は、撮像面と平行なXY面と傾斜面のなす角度のことである(図5Bの角度θ1、θ2参照)。
レンズ1a、フィルタ2aを通る入射光が、遮光壁61aに当たる位置は、入射光の入射角度が8aから8dへと大きくなるにつれて、よりレンズモジュール7側に近くなるとともに、遮光壁61aに当たる入射光の遮光壁61aとのなす角度も大きくなっていく。
すなわち、入射光の入射角度が小さいときは、撮像素子4に近い遮光壁61aに小さい角度の入射光が当たり、逆に入射光の入射角度が大きいときは、レンズモジュール7に近い遮光壁61aに大きな角度の入射光が当たるようになる。
撮像素子4に近い遮光壁61aに当たる入射光は、比較的絞れられたパワーの強い入射光である。このため、撮像に不要な入射光のうち、小さい角度で入射して遮光壁61aに当たる反射光は、確実に撮像領域4aの外側に反射させる必要がある。本実施の形態では、レンズモジュール7側から撮像素子4側に向かうにつれて、傾斜面63の傾斜角度を小さく設定し、反射光を撮像領域外へ確実に反射させるようにしている。
図5Aの例では、入射光8cは、撮像領域4a側の傾斜角度の小さい傾斜面63に当り、レンズモジュール7側に反射された後、外筒62の内面で反射して(反射光8cr)、撮像領域4aの外側に結像している。
他方、レンズモジュール7側の遮光壁61aには、角度の大きい入射光線が当たる。この場合、レンズモジュール7側の傾斜面63の傾斜角度を、撮像素子4側の傾斜角度が小さい傾斜面63と同様の小さい角度に設定していると、フィルタ2a下面に反射光が当たり、設定した角度によっては、フィルタ2a下面での反射光が撮像領域4aに当たる可能性もある。
なお、図3の例では、フィルタ2a下面に反射光が当っているが、反射光8drが撮像領域4aに当たらないように、傾斜面の傾斜角度を設定している。
本実施の形態では、レンズモジュール7側の傾斜面63の傾斜角度は、撮像素子4側の傾斜面63の傾斜角度より大きくし、反射光が撮像領域4aに結像しないように構成している。図5Aの例では、入射光8cより入射角度の大きい入射光8dは、撮像素子4側の傾斜面63より傾斜角度の大きい傾斜面63に当たり、撮像素子4側に反射して(反射光8dr)、撮像領域4aの外側に結像している。
実施例を以下に示す。遮光ブロック6の外筒部62の内面の傾斜角度α(図5A)は40度とした。図5Bにおいて、遮光壁61aは、1.5mmの高さHの間に、ピッチPを0.1mmで配置した傾斜面63を15個備えた構成とした。傾斜面63の傾斜角度は、レンズモジュール7側(図5A)から撮像領域4a側に向かうにつれて小さくし、最上部の傾斜面63の傾斜角度θ2を42度、最下部の傾斜面63の傾斜角度θ1は33度とした。
傾斜面63を含めた遮光壁61aの最大幅W1は0.16mmとし、遮光壁61aのうち垂直面からの突出寸法W2は0.06mmとした。撮像領域4aの大きさDは1.41mmとした。
なお、以上の実施例は、図5Bに図示した遮光壁61a、撮像領域4aについて説明したが、前記の数値例は、図示されていない他の3つの遮光壁、撮像領域についても同様である。
本実施の形態によれば、傾斜面の傾斜角度を変えることで、フィルタ下面に反射光が当たることを防止でき、撮像領域外に反射光をより確実に結像させることができる。カメラモジュールの小型、低コスト化が可能である点は、前記の実施の形態1と同様である。
以上、傾斜面63の傾斜角度は、レンズモジュール7側から撮像領域4a側に向かうにつれて小さくなっている例で説明した。一方、図5Bにおいて、Z方向において遮光壁61aを、傾斜面63の傾斜角度に応じて上下2つの領域に分割し、下側領域内の傾斜面63の傾斜角度は角度θ1とし、上側領域内の傾斜面63の傾斜角度は角度θ2としてもよい。
例えば、図5Bにおいて、傾斜面63の先端同士の間隔h(0.8mm)の間を下側領域とし、この下側領域に傾斜角度θ1が33度の傾斜面63を8個形成し、上側領域には、傾斜角度θ2が42度の傾斜面63を7個形成した例が考えられる。
また、遮光壁61aを傾斜面63の傾斜角度に応じて3つ以上の領域に分割してもよい。この場合は、同一領域内の傾斜角度は同じにしつつ、異なる領域おいては、レンズモジュール7側から撮像領域4a側に向かうにつれて、各領域内の傾斜角度を小さくすることになる。
(実施の形態3)
以下、図6を参照しながら、本発明の実施の形態3について説明する。図6は、実施の形態3に係る複眼方式のカメラモジュールにおいて撮像素子と遮光壁とを抜き出した斜視図である。本図は、実施の形態1の図4に相当する図である。本実施の形態は、遮光壁の傾斜面の構成を除けば、実施の形態1と同様の構成である。このため、実施の形態1と同一構成のものについては、同一番号を付して、重複した説明は省略する。
図6の構成が、実施の形態1の図4の構成と異なっているのは、傾斜面である。図4の構成では、各傾斜面63は遮光壁に沿って、X方向又はY方向に連続的に形成されている。これに対し、図6の構成では、各傾斜面は複数のブロック64に分離しており、X方向又はY方向に、ブロック64が断続的に配置されている。また、X方向又はY方向に断続的に配置されたブロック64の列を、Z方向についてみると、ブロック64の配列位置を互い違いにずらしており、ブロック64が千鳥状に配置されている。
ここで、図示はしていないが、傾斜面の先端部が完全なエッジ形状にならない場合がある。すなわち、Z軸と平行な方向に、加工により有限な形状が残る場合がある。図4に示すように傾斜面63が、X方向又はY方向に連続して形成されていると、傾斜面63の先端が完全なエッジ形状にならず前記のような有限な形状が残った場合には、この先端に入射光が当たり、その反射光が撮像領域に結像する確率が高くなってしまう。
本実施の形態は、傾斜面をブロックに分割し、これらを千鳥状に配置しているので、傾斜面先端部のZ方向の面積を減少させ、その結果、傾斜面先端の形状による不要な反射光が撮像領域に結像する確率を大幅に減少させることができる。
一方、この構成では、ブロックの無い光軸方向に延在した垂直壁面に光が当たることになる。しかしながら、この垂直壁面における反射光は、遮光壁に備えた傾斜面でさらに反射され、撮像領域の外側に結像することになる。
以上のように本発明によれば、小型、薄型のカメラモジュールを実現できるので、例えばカメラ機能を備えた携帯電話、デジタルスチルカメラ、監視用カメラ、車載カメラに有用である。
本発明は、小型、薄型のカメラモジュールに関する。特に、複数の撮影光学レンズによって画像を撮像する複眼方式のカメラモジュールに関する。
デジタルビデオやデジタルカメラのような撮像装置では、レンズを介して被写体像をCCDやCMOS等の撮像素子上に結像することにより、被写体を2次元の画像情報に変換する。単眼方式のカメラモジュールの一例が、特許文献1、2に提案されている。また、2つの対物レンズを用いて立体観察を可能とするカメラモジュールの一例が、特許文献3に提案されている。
一方、カメラモジュールの小型、薄型化を実現するために、複眼方式のカメラモジュールが提案されている。
複眼方式のカメラモジュールの一例が、特許文献4に記載されている。特許文献4では、撮像光学系を赤色の波長の光を受け持つレンズと、緑色の波長の光を受け持つレンズと、青色の波長の光を受け持つレンズとを平面内に並べた構成にしている。各レンズに対応して、撮像素子に各波長帯域の撮像領域を設けている。
このため、各レンズが受け持つ光の波長が限定される。このことにより、単レンズにより被写体像を撮像面に結像することが可能となり、撮像装置の厚さを大幅に小さくすることができる。
図7は、前記のような従来のカメラモジュールの撮像系の分解斜視図である。被写体側から順に、絞り部材111、レンズアレイ112、遮光ブロック113、光学フィルタアレイ114、撮像素子116が配置されている。レンズアレイ112は複数のレンズ112aを備えている。絞り部材111は、レンズアレイ112の各レンズの光軸と一致する位置にそれぞれ絞り(開口)を備えている。
光学フィルタアレイ114は、レンズアレイ112の各レンズに対応する領域毎に、分光特性が異なる複数の光学フィルタ114aを備えており、撮像素子116の受光面を覆っている。遮光ブロック113は、レンズアレイ112の隣り合うレンズ間の境界、すなわち光学フィルタアレイ114の隣り合う光学フィルタ114a間の境界と一致する位置に遮光壁113aを備えている。撮像素子116は、半導体基板115上に搭載されている。半導体基板115上には、駆動回路117、信号処理回路118も実装されている。
このカメラモジュールによれば、遮光ブロック113の遮光壁113aによって、あるレンズ112aを通過した光が、このレンズ112aに対応していない撮像領域に入射することを防止することができる。
特開2002−118776号公報
実開平2−106847号公報
特開平9−127435号公報
特開2003−143459号公報
しかしながら、レンズ112aに入射する光線の入射角度が大きくなると、レンズ112aを通過した光線も、それに応じて光線の角度が大きくなる。図7のカメラモジュールでは、光学フィルタ114aを介して撮像素子116のすぐ真上に、遮光壁113aが光軸とほぼ平行に配置されている。
このため、入射角度が大きく撮像領域から結像位置がはずれた光線は、直接は撮像領域に入射しないものの、遮光壁113aで反射し、撮像領域で撮像された映像に反射像が写り込むという問題があった。
また、この反射によるゴースト像を無くすために、レンズ112aに入射する光線の角度を規制するように被写体側にフードを設けると、カメラモジュール高さが高くなってしまう。一方、反射像が撮像領域に写り込まないように撮像領域を設定すると、不要に多い画素を有する撮像素子を用いるか、又は撮像領域を小さくせざるを得ない。この場合はコストが増大したり、性能が低下したりする問題があった。
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、不要入射光が撮像領域に写り込むことを防止しつつ、小型かつ低コストの複眼方式のカメラモジュールを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の第1の複眼方式のカメラモジュールは、複数のレンズを含むレンズモジュールと、前記各レンズに対応した複数の光学フィルタと、前記各光学フィルタに対応した複数の撮像領域を含む撮像素子と、前記撮像素子に立設した遮光壁とを備え、隣接する前記各撮像領域同士が、前記遮光壁で仕切られており、前記遮光壁は、前記撮像領域の撮像面に対して傾斜した複数の傾斜面を含んでおり、前記複数の各傾斜面は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向けて順次配置されており、前記各傾斜面は、前記遮光壁から離れる方向に向かうにつれて、前記撮像領域側に向かうように傾斜した傾斜面であることを特徴とする。
本発明の第2の複眼方式のカメラモジュールは、複数のレンズを含むレンズモジュールと、前記各レンズに対応した複数の光学フィルタと、前記各光学フィルタに対応した複数の撮像領域を含む撮像素子と、前記撮像素子に立設した遮光壁とを備え、隣接する前記各撮像領域同士が、前記遮光壁で仕切られており、前記遮光壁は、前記撮像領域の撮像面に対して傾斜した複数の傾斜面を含んでおり、前記複数の各傾斜面は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向けて順次配置されており、前記各傾斜面は、前記遮光壁から離れる方向に向かうにつれて、前記撮像領域側に向かうように傾斜した傾斜面であり、前記撮像面に平行な面と前記傾斜面とのなす角度を傾斜角度とすると、前記複数の傾斜面は前記傾斜角度が異なる傾斜面を含んでおり、前記傾斜角度が異なる傾斜面は、前記撮像領域側の前記傾斜面の傾斜角度が、前記レンズモジュール側の前記傾斜面の傾斜角度より小さいことを特徴とする。
本発明の第3の複眼方式のカメラモジュールは、複数のレンズを含むレンズモジュールと、前記各レンズに対応した複数の光学フィルタと、前記各光学フィルタに対応した複数の撮像領域を含む撮像素子と、前記撮像素子に立設した遮光壁とを備え、隣接する前記各撮像領域同士が、前記遮光壁で仕切られており、前記遮光壁は、前記撮像領域の撮像面に対して傾斜した複数の傾斜面を含んでおり、前記複数の各傾斜面は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向けて順次配置されており、前記各傾斜面は、前記遮光壁から離れる方向に向かうにつれて、前記撮像領域側に向かうように傾斜した傾斜面であり、前記撮像面に平行な面と前記傾斜面とのなす角度を傾斜角度とすると、前記複数の傾斜面の傾斜角度は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする。
本発明の第4の複眼方式のカメラモジュールは、複数のレンズを含むレンズモジュールと、前記各レンズに対応した複数の光学フィルタと、前記各光学フィルタに対応した複数の撮像領域を含む撮像素子と、前記撮像素子に立設した遮光壁とを備え、隣接する前記各撮像領域同士が、前記遮光壁で仕切られており、前記遮光壁は、前記撮像領域の撮像面に対して傾斜した複数の傾斜面を含んでおり、前記複数の各傾斜面は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向けて順次配置されており、前記各傾斜面は、前記遮光壁から離れる方向に向かうにつれて、前記撮像領域側に向かうように傾斜した傾斜面であり、前記撮像面に平行な面と前記傾斜面とのなす角度を傾斜角度とすると、前記複数のレンズの光軸方向において、前記遮光壁は前記傾斜面の傾斜角度に応じて複数の領域に分けられており、前記各領域内の前記傾斜面の傾斜角度は同じにしつつ、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向かうにつれて、前記各領域内の傾斜角度が小さくなっていることを特徴とする。
本発明の第5の複眼方式のカメラモジュールは、複数のレンズを含むレンズモジュールと、前記各レンズに対応した複数の光学フィルタと、前記各光学フィルタに対応した複数の撮像領域を含む撮像素子と、前記撮像素子に立設した遮光壁とを備え、隣接する前記各撮像領域同士が、前記遮光壁で仕切られており、前記遮光壁は、前記撮像領域の撮像面に対して傾斜した複数の傾斜面を含んでおり、前記複数の各傾斜面は、前記レンズモジュール側から前記撮像領域側に向けて順次配置されており、前記各傾斜面は、前記遮光壁から離れる方向に向かうにつれて、前記撮像領域側に向かうように傾斜した傾斜面であり、中空部が形成された外筒部をさらに備えており、前記遮光壁及び前記撮像素子は、前記中空部内に配置されており、前記中空部は、前記レンズモジュール側から前記撮像素子側に向かうにつれて、外側に広がるように傾斜しているとともに、少なくとも前記撮像素子を囲む部分においては、前記撮像素子の外形より大きくなっており、前記各傾斜面の傾斜角度、前記中空部の前記外側に広がるように傾斜した部分の傾斜角度、前記中空部の前記撮像素子を囲む部分の大きさは、前記レンズモジュール及び前記光学フィルタを通過した入射光のうち、前記傾斜面に当たる光の反射光を、前記撮像領域の外側に結像させるように設定していることを特徴とする。
本発明によれば、遮光壁に傾斜面を設けたことより、不要入射光が撮像領域に写り込むことを防止するために、別途フードを設けたり、撮像領域を縮小したりする必要がなくなり、小型かつ低コストの複眼方式のカメラモジュール実現することができる。
前記本発明の第2−5の複眼方式のカメラモジュールによれば、不要入射光が撮像領域に写り込むことをより確実に防止することができる。
前記第1から第4の複眼方式のカメラモジュールにおいては、前記各傾斜面の傾斜角度は、前記レンズモジュール及び前記光学フィルタを通過した入射光のうち、前記傾斜面に当たる光の反射光を、前記撮像領域の外側に結像させる角度に設定していることが好ましい。この構成によれば、不要入射光が撮像領域に写り込むことをより確実に防止できる。
また、前記本発明の第1から第5の複眼方式のカメラモジュールにおいては、前記各傾斜面は、前記撮像面に平行な方向に延びた連続した面であることが好ましい。
また、前記本発明の第1から第5の複眼方式のカメラモジュールにおいては、前記各傾斜面は、前記撮像面に平行な方向に、複数のブロックに分離して配置されていることが好ましい。この構成によれば、遮光部先端の形状による不要な反射光が撮像領域に結像する確率を大幅に減少させることができる。
また、前記本発明の第1から第4の複眼方式のカメラモジュールにおいては、中空部が形成された外筒部をさらに備えており、前記遮光壁及び前記撮像素子は、前記中空部内に配置されており、前記中空部は、前記レンズモジュール側から前記撮像素子側に向かうにつれて、外側に広がるように傾斜しているとともに、少なくとも前記撮像素子を囲む部分においては、前記撮像素子の外形より大きくなっていることが好ましい。この構成によれば、入射角度が大きい入射光が、外筒部の内面に当たることを防止できるので、外筒部の内面で反射した反射光が撮像領域に写り込むのを防止することができる。また、入射光が、外筒部の内面に当たる構成であっても、中空部は撮像素子を囲む部分では、撮像素子の外形より大きくなっているので、外筒部の内面での反射光が撮像領域の外側に結像するようにすることができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る複眼方式のカメラモジュールの分解斜視図である。図1において、1はレンズアレイ、2は光学フィルタアレイ、3は基板、4は撮像素子、5は上鏡筒、6は遮光ブロックである。
説明の便宜のために、図示したようなXYZ直交座標系を設定する。Z軸は、撮像素子4の有効画素領域のほぼ中心を通り、これと垂直な軸とする。Z軸方向は、レンズアレイ1を構成する各レンズの光軸方向でもある。X軸は、Z軸と直交し遮光ブロック6の後述する遮光壁61a、61cと平行な軸である。Y軸は、Z軸と直交し遮光ブロック6の後述する遮光壁61b、61dと平行な軸である。
レンズアレイ1は、それぞれ単レンズである4つのレンズ1a、1b、1c及び1dが一体になったものである。4つのレンズ1a−1dは、XY面と平行な同一平面上に配置されている。4つのレンズ1a−1dの各光軸はZ軸と平行であり、各光軸はXY面に平行な仮想の長方形の4つの頂点を通るように配置されている。
レンズ1a−1dは、光の3原色のうち、赤、青、緑のいずれかの波長帯域の光に対して要求されるMTF等の光学仕様を満足するよう設計されている。具体的には、レンズ1aは赤色、レンズ1bは緑色、レンズ1cは緑色、レンズ1dは青色の各波長帯域の光に最適に設計されている。レンズ1a−1dは、ガラス又はプラスチックなどの材料を用いて一体に形成されている。被写体(図示せず)からの光は、各レンズ1a−1dを通過し、光学フィルタアレイ2を通過した後、撮像素子4上に結像する。
光学フィルタアレイ2は、レンズアレイ1と撮像素子4との間に配置されている。光学フィルタアレイ2は、レンズアレイ1と同様に、XY面と平行な同一平面上に配置された4つの光学フィルタ2a、2b、2c及び2dを備えている。
4つの光学フィルタ2a−2dは、それぞれ赤、緑、青のうちのいずれかの波長帯域の光のみを透過する。具体的には、光学フィルタ2aは赤色、光学フィルタ2bは緑色、光学フィルタ2cは緑色、光学フィルタ2dは青色の各波長帯域の光を透過させる。
なお、赤外線をカットする必要がある場合には、光学フィルタ2a−2dは、その特性を付加したものでもよい。4つの光学フィルタ2a−2dは、4つレンズ1a−1dの各光軸上にそれぞれ配置されている。
撮像素子4は、CCD等の撮像センサであり、縦横方向に2次元配列された多数の画素を備えている。撮像素子4の有効画素領域は、4つの撮像領域4a、4b、4c及び4dにほぼ等分されている。なお、この構成に限らず、視差量を考慮した非均一の領域としてもよい。
4つの撮像領域4a−4dは、4つレンズ1a−1dの各光軸上にそれぞれ配置されている。これにより、4つの撮像領域4a−4d上のそれぞれに、赤、緑、青のうちのいずれかの波長成分のみからなる被写体像が独立して形成されることになる。
具体的には、レンズ1aを通過した被写体からの光のうち、赤色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2aを通過して撮像領域4a上に赤色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。同様に、レンズ1bを通過した被写体からの光のうち、緑色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2bを通過して撮像領域4b上に緑色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。レンズ1cを通過した被写体からの光のうち、緑色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2cを通過して撮像領域4c上に緑色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。レンズ1dを通過した被写体からの光のうち、青色の波長帯域光のみが、光学フィルタ2dを通過して撮像領域4d上に青色の波長成分のみからなる被写体像を結像する。
撮像素子4の撮像領域4a−4dを構成する各画素は、入射した被写体からの光を光電変換し、光の強度に応じた電気信号(図示せず)をそれぞれ出力する。撮像素子4から出力された電気信号は、様々な信号処理が施され、映像処理される。例えば、緑色の波長帯域光が入射する撮像領域4b及び4cが撮像した2つの画像からこれらの画像間の視差量を求めることができる。このことにより、4つの撮像領域4a−4dがそれぞれ撮像した4つの画像間の視差量を求める。これらの視差量を考慮して、赤、緑、青の3色の画像を合成して1つのカラー画像を作成することができる。
また、撮像領域4b及び4cが撮像した2つの画像を比較し、画像間の視差量を用いて、被写体までの距離を測定することもできる。これらの処理はデジタル信号プロセッサ(DSP、図示せず)等を用いて行うことができる。
上鏡筒5は、その下面にレンズアレイ1を保持して固定している。レンズアレイ1と、これを保持する上鏡筒5とで、レンズモジュール7が構成されている。保持されたレンズアレイ1の4つレンズ1a−1dの各光軸が通過する位置に4つの絞り(開口)5a、5b、5c及び5dが形成されている。上鏡筒5は光を透過しない材料で形成しており、絞り5a−5d以外から不要な外光がレンズ1a−1dに入射するのを遮蔽するようにしている。
図2は、遮光ブロック6を被写体側から見た斜視図である。遮光ブロック6は、十字状に配置された遮光壁61a、61b、61c及び61dを、外筒部62が保持して構成している。外筒部62の内部は、十字状に配置された各遮光壁61a−61dで仕切られて、互いに独立した4つの開口6a、6b、6c及び6dを形成している。
遮光壁61a−61dは、遮光ブロック6の中心軸であるZ軸に対して放射状(十字状)に伸びており、遮光壁61a及び61cはXZ面に沿っており、遮光壁61b及び61dはYZ面に沿っている。4つの開口6a−6dは、4つレンズ1a−1dの各光軸上にそれぞれ配置されている。遮光壁61a−61dは、撮像素子4の有効画素領域を4つの撮像領域4a−4dに仕切っている(図1)。
Z軸と平行な方向で、レンズモジュール7側から見た開口6a−6dの大きさは、撮像領域4a−4dとほぼ同じかこれより大きい。レンズ1a−1dをそれぞれ通過した被写体からの光は、開口6a−6dを通過して、撮像領域4a−4d上にそれぞれ結像される。遮光壁61a−61dにより、レンズ1a−1dのうちの一つを通過した光が、このレンズと対応しない撮像領域に入射するのを防ぐことができる。
ここで、本実施の形態と比較するために、従来のカメラモジュールの一例を比較例として説明する。図8は、比較例に係るカメラモジュールをレンズ光軸を通る断面での光線図である。本図は、図1のカメラモジュールのレンズ1a、1bを通るYZ面で断面した際の光線図に相当する。
図1、2と同一構成のものは、同一番号を付している。遮光壁100a−100dは、図2の遮光壁61a−61dに相当し、遮光ブロック101は、図1の遮光ブロック6に相当し、外筒部102は、図2の外筒部62に相当し、上鏡筒103は、図1の上鏡筒5に相当する。
被写体からの入射光8a−8dは、8aから8dに向けて順に入射角度が大きくなっている。ここで、入射角度は、レンズの光軸を通る光線8aと入射する各光線とのなす角とする。
図8の構成では、入射光8aから8bまでの光線を撮像できるように撮像領域を設定している。入射光8bより大きい入射角度の光線8c及び8dについても、入射光8a及び8bと同様に、レンズ1aに入射し、光学フィルタ2aを通過する。これらの赤色の波長帯域光は、緑色の波長帯域光のみが入射すべきである撮像領域4bに入射しないように、撮像領域4aと撮像領域4bとの境界に沿って設けられている遮光壁100aで遮蔽される。他方、外筒部102は、レンズアレイ1及び光学フィルタアレイ2を通過しない外光が撮像領域4a−4dに入射するのを防止している。
この構成では、遮光壁100a−100dを、撮像面に対して略垂直なZ方向に形成している。このため、例えば入射光8cの光線で、レンズ1a、フィルタ2aを通過した光が、緑色の波長帯域光のみが入射すべきである撮像領域4bへ入射することを防止できる。しかしながら、入射光8cは遮光壁100aに当たり、遮光壁100aで反射した反射光8crが撮像領域4aに入射し、撮像領域4aで撮像された映像に、反射像が写り込んでしまうことになる。
このことは、撮像素子4の外周にあり遮光壁100a−100dを保持する外筒部102の内面を、撮像素子4と略垂直なZ方向でかつ撮像素子4の近傍に形成した場合も同様である。すなわち、レンズ1b、フィルタ2bを通過する入射光で、入射光8dより大きい入射角度の光線が入射すると、反射光8crと同様に、入射した光線が外筒部102の内面に当たり、その反射光が撮像領域4bに反射光が写り込んでしまう(図示せず)。
以下、本実施の形態について、より具体的に説明する。図3は、実施の形態1に係る複眼方式のカメラモジュールにおいて、レンズ光軸を通る断面での光線図である。本図は、図1のカメラモジュールをレンズ1a、1bを通るYZ面で断面したときの光線図を示している。
被写体からの入射光8a−8dは、8aから8dに向けて順に入射角度が大きくなっている。入射光8aから8bまでの光線を撮像できるように撮像領域を設定してある。この点は、図8の例と同様である。
図1、2を用いて説明したように、撮像面4a−4dに対し略垂直なZ方向に、遮光壁61a−61dを立設している。各遮光壁61a−61dの両面には、複数の傾斜面63を備えている。複数の各傾斜面63は、レンズモジュール7側から撮像領域4a−4d側に向けて順次配置されている。すなわち、複数の各傾斜面63は、撮像領域4a−4dに対し略垂直なZ方向、すなわち各レンズ1a−1dの光軸方向に順次配置されている。
傾斜面63は撮像領域4a−4dの撮像面に対して傾斜している。より具体的には各傾斜面63は、遮光壁61a−61dから離れる方向に向かうにつれて、撮像領域4a−4d側に向かうように傾斜した傾斜面である。すなわち、各傾斜面63は、その先端が撮像領域4a−4d側に向かうように傾斜している。
前記の図8の構成によれば、レンズ1a、フィルタ2aを通過した入射光8cは、遮光壁100aに当たり、その反射光8crが撮像領域4aに結像していた。図3の本実施の形態に係る構成では、入射光8cは傾斜面63で反射し、その反射光8crは外筒部62の内面で反射され、撮像領域4aの外側に結像する。
同様に、図3の構成では、入射光の角度が入射光8cより大きい光線8dについては、レンズ1a、フィルタ2aを通過した後、傾斜面63で反射した後、フィルタ2aで反射され、その反射光8drは外筒部62の内面で反射され、撮像領域4aの外側に結像する。このため、入射光8bより大きい入射角度の光線8c、8dについては、その反射光が撮像領域4aで撮像された映像に写り込むことはない。
ここで、比較例に係る図8の構成では、撮像領域への反射光の入射を防止するには、入射光8bより大きい入射角度の光線、例えば光線8c、8dがレンズ1aに入射しないように、被写体側にフードを用いる必要がある。一方、本実施の形態に係る図3の構成では、前記の通り、入射光8bより大きい入射角度の光線、例えば光線8c、8dは、レンズ1aに入射しても、撮像領域4aの外側に結像するので、被写体側にフードを用いる必要はない。
また、比較例に係る図8の構成では、入射光8bは、撮像領域4aと遮光壁100aとの境界付近に結像している。入射光の入射角度が、入射光8bの入射角度より小さくなるにつれて、入射光の撮像領域4aにおける結像位置は、光軸中心すなわち入射光8aの結像位置に近づくことになる。すなわち、図8の構成は、遮光壁100aの近傍部分も撮像領域としていることになる。しかしながら、前記の通り、この部分には、例えば光線8cの遮光壁100aにおける反射光8crが入射し、反射像が写り込んでしまうことになる。
一方、本実施の形態に係る図3の構成では、前記の通り、入射光8bより大きい入射角度の光線、例えば光線8c、8dがレンズ1aに入射しても、遮光壁61aにおける反射光8cr、8drは、撮像領域4aの外側に結像するので、反射像が撮像領域4a写り込んでしまうことが防止される。
このため、撮像領域4aと遮光壁61aとの境界部分までを撮像領域とすることができ、遮光壁61aの近傍部分も撮像領域とすることができる。したがって、図1、2において、同一の撮像素子に遮光壁61a−61dを立設した場合は、撮像素子のうち、遮光壁61a−61dとの境界部分までを撮像領域とすることができる。すなわち、撮像素子のうち、遮光壁61a−61dの直下部分を除いた部分はすべて、撮像領域とすることも可能になる。
また、外筒部62の中空部は、レンズモジュール7側からレンズ撮像素子4側に向かうにつれて、外側に広がるように傾斜しているとともに、少なくとも撮像素子4を囲む部分においては、撮像素子4の外形より大きくなっている。このことにより、レンズ1b、フィルタ2bを通る入射光のうち、入射光8dより入射角度が大きい入射光が、外筒部62の内面に当たることを防止している。また、入射光が、外筒部62の内面に当たる構成であっても、中空部の撮像素子4を囲む部分は、撮像素子4の外形より大きくなっているので、外筒部62の内面での反射光が撮像領域4bの外側に結像するようにすることができる。
図4は、図3に示した構成において、遮光壁61a−61dと撮像素子4とを抜き出した斜視図である。図4から分かるように、遮光壁61a、61cの傾斜面63は、各遮光壁に沿ってX方向に連続的に形成されており、遮光壁61b、61dの傾斜面63は、各遮光壁に沿ってY方向に連続的に形成されている。
以上のように、本実施の形態によれば、撮像領域に、これと対応しないレンズからの光が入射するのを防止できることに加えて、撮像領域を外れる入射角度の大きな入射光が、遮光壁で反射して映像に写り込むゴースト像を解消できることになる。このことにより、入射角度の大きい光線が入射しないよう被写体側にフードを用いる必要がなくなり、カメラモジュールの小型、低コスト化が可能になる。
また、本実施の形態によれば、前記の通り、撮像素子のうち、遮光壁の直下部分を除いた部分はすべて、撮像領域とすることも可能になる。このことにより、遮光壁からの反射光を撮像領域に写り込まないように、多くの不要画素を有する大型の撮像素子を用いる必要がなく、撮像領域を不用意に縮小する必要もない。この点においても、カメラモジュールの小型化、低コスト化が可能になる。
なお、前記実施の形態では、被写体からの光を赤、緑、緑、青の4つの波長帯域光に分離する光学系を示したが、これに限るものではない。例えば2つの近赤外波長帯域光と2つの緑色波長帯域光とに分離する光学系であってもよく、これ以外の波長帯域光の組み合わせであってもよい。すなわち、選択される波長帯域光によらず、本実施の形態の効果を得ることができる。
さらに、視差を算出する光学系の配置も前記実施の形態に限るものではなく、選択される波長帯域が同一で、X方向又はY方向に並んだ配置でもよい。
(実施の形態2)
以下、図5A、Bを参照しながら、本発明の実施の形態2について説明する。図5Aは、本発明の実施の形態2に係る複眼方式のカメラモジュールの光線図である。本図は図3と同様に、図1のカメラモジュールのレンズ1a、1bを通るYZ面で断面したときの光線図に相当する。図5Bは、図5Aの遮光壁部分の拡大図である。
本実施の形態は、遮光壁の傾斜面の傾斜角度を除けば、実施の形態1と同様の構成である。このため、各構成には実施の形態1と同一番号を付して、重複した説明は省略する。
図5A、Bにおいて、撮像面に対し略垂直なZ方向に遮光壁61a−61dを立設していることは実施の形態1と同じである。図5A、Bの構成が、実施の形態1の構成と異なっているのは、傾斜面63の傾斜角度である。実施の形態1の構成では、傾斜面63の傾斜角度を統一しているのに対し、実施の形態2の構成は、傾斜面63の位置によって、傾斜角度が異なる構成である。
図5A、Bの例では、レンズモジュール7側から撮像素子4側に向かうにつれて、傾斜面63の傾斜角度が小さくなっている。ここで説明に用いている傾斜角度は、撮像面と平行なXY面と傾斜面のなす角度のことである(図5Bの角度θ1、θ2参照)。
レンズ1a、フィルタ2aを通る入射光が、遮光壁61aに当たる位置は、入射光の入射角度が8aから8dへと大きくなるにつれて、よりレンズモジュール7側に近くなるとともに、遮光壁61aに当たる入射光の遮光壁61aとのなす角度も大きくなっていく。
すなわち、入射光の入射角度が小さいときは、撮像素子4に近い遮光壁61aに小さい角度の入射光が当たり、逆に入射光の入射角度が大きいときは、レンズモジュール7に近い遮光壁61aに大きな角度の入射光が当たるようになる。
撮像素子4に近い遮光壁61aに当たる入射光は、比較的絞れられたパワーの強い入射光である。このため、撮像に不要な入射光のうち、小さい角度で入射して遮光壁61aに当たる反射光は、確実に撮像領域4aの外側に反射させる必要がある。本実施の形態では、レンズモジュール7側から撮像素子4側に向かうにつれて、傾斜面63の傾斜角度を小さく設定し、反射光を撮像領域外へ確実に反射させるようにしている。
図5Aの例では、入射光8cは、撮像領域4a側の傾斜角度の小さい傾斜面63に当り、レンズモジュール7側に反射された後、外筒62の内面で反射して(反射光8cr)、撮像領域4aの外側に結像している。
他方、レンズモジュール7側の遮光壁61aには、角度の大きい入射光線が当たる。この場合、レンズモジュール7側の傾斜面63の傾斜角度を、撮像素子4側の傾斜角度が小さい傾斜面63と同様の小さい角度に設定していると、フィルタ2a下面に反射光が当たり、設定した角度によっては、フィルタ2a下面での反射光が撮像領域4aに当たる可能性もある。
なお、図3の例では、フィルタ2a下面に反射光が当っているが、反射光8drが撮像領域4aに当たらないように、傾斜面の傾斜角度を設定している。
本実施の形態では、レンズモジュール7側の傾斜面63の傾斜角度は、撮像素子4側の傾斜面63の傾斜角度より大きくし、反射光が撮像領域4aに結像しないように構成している。図5Aの例では、入射光8cより入射角度の大きい入射光8dは、撮像素子4側の傾斜面63より傾斜角度の大きい傾斜面63に当たり、撮像素子4側に反射して(反射光8dr)、撮像領域4aの外側に結像している。
実施例を以下に示す。遮光ブロック6の外筒部62の内面の傾斜角度α(図5A)は40度とした。図5Bにおいて、遮光壁61aは、1.5mmの高さHの間に、ピッチPを0.1mmで配置した傾斜面63を15個備えた構成とした。傾斜面63の傾斜角度は、レンズモジュール7側(図5A)から撮像領域4a側に向かうにつれて小さくし、最上部の傾斜面63の傾斜角度θ2を42度、最下部の傾斜面63の傾斜角度θ1は33度とした。
傾斜面63を含めた遮光壁61aの最大幅W1は0.16mmとし、遮光壁61aのうち垂直面からの突出寸法W2は0.06mmとした。撮像領域4aの大きさDは1.41mmとした。
なお、以上の実施例は、図5Bに図示した遮光壁61a、撮像領域4aについて説明したが、前記の数値例は、図示されていない他の3つの遮光壁、撮像領域についても同様である。
本実施の形態によれば、傾斜面の傾斜角度を変えることで、フィルタ下面に反射光が当たることを防止でき、撮像領域外に反射光をより確実に結像させることができる。カメラモジュールの小型、低コスト化が可能である点は、前記の実施の形態1と同様である。
以上、傾斜面63の傾斜角度は、レンズモジュール7側から撮像領域4a側に向かうにつれて小さくなっている例で説明した。一方、図5Bにおいて、Z方向において遮光壁61aを、傾斜面63の傾斜角度に応じて上下2つの領域に分割し、下側領域内の傾斜面63の傾斜角度は角度θ1とし、上側領域内の傾斜面63の傾斜角度は角度θ2としてもよい。
例えば、図5Bにおいて、傾斜面63の先端同士の間隔h(0.8mm)の間を下側領域とし、この下側領域に傾斜角度θ1が33度の傾斜面63を8個形成し、上側領域には、傾斜角度θ2が42度の傾斜面63を7個形成した例が考えられる。
また、遮光壁61aを傾斜面63の傾斜角度に応じて3つ以上の領域に分割してもよい。この場合は、同一領域内の傾斜角度は同じにしつつ、異なる領域おいては、レンズモジュール7側から撮像領域4a側に向かうにつれて、各領域内の傾斜角度を小さくすることになる。
(実施の形態3)
以下、図6を参照しながら、本発明の実施の形態3について説明する。図6は、実施の形態3に係る複眼方式のカメラモジュールにおいて撮像素子と遮光壁とを抜き出した斜視図である。本図は、実施の形態1の図4に相当する図である。本実施の形態は、遮光壁の傾斜面の構成を除けば、実施の形態1と同様の構成である。このため、実施の形態1と同一構成のものについては、同一番号を付して、重複した説明は省略する。
図6の構成が、実施の形態1の図4の構成と異なっているのは、傾斜面である。図4の構成では、各傾斜面63は遮光壁に沿って、X方向又はY方向に連続的に形成されている。これに対し、図6の構成では、各傾斜面は複数のブロック64に分離しており、X方向又はY方向に、ブロック64が断続的に配置されている。また、X方向又はY方向に断続的に配置されたブロック64の列を、Z方向についてみると、ブロック64の配列位置を互い違いにずらしており、ブロック64が千鳥状に配置されている。
ここで、図示はしていないが、傾斜面の先端部が完全なエッジ形状にならない場合がある。すなわち、Z軸と平行な方向に、加工により有限な形状が残る場合がある。図4に示すように傾斜面63が、X方向又はY方向に連続して形成されていると、傾斜面63の先端が完全なエッジ形状にならず前記のような有限な形状が残った場合には、この先端に入射光が当たり、その反射光が撮像領域に結像する確率が高くなってしまう。
本実施の形態は、傾斜面をブロックに分割し、これらを千鳥状に配置しているので、傾斜面先端部のZ方向の面積を減少させ、その結果、傾斜面先端の形状による不要な反射光が撮像領域に結像する確率を大幅に減少させることができる。
一方、この構成では、ブロックの無い光軸方向に延在した垂直壁面に光が当たることになる。しかしながら、この垂直壁面における反射光は、遮光壁に備えた傾斜面でさらに反射され、撮像領域の外側に結像することになる。
以上のように本発明によれば、小型、薄型のカメラモジュールを実現できるので、例えばカメラ機能を備えた携帯電話、デジタルスチルカメラ、監視用カメラ、車載カメラに有用である。
本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの分解斜視図。
本発明の実施の形態1に係る遮光ブロックの斜視図。
本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの断面における光線図。
本発明の実施の形態1に係る遮光壁と撮像素子との斜視図。
本発明の実施の形態2に係るカメラモジュールの断面における光線図。
図5Aの遮光壁部分の拡大図。
本発明の実施の形態2に係る遮光壁と撮像素子との斜視図。
従来のカメラモジュールの一例の分解斜視図。
従来のカメラモジュールの一例の断面における光線図。