JPWO2007114493A1 - 光透過散乱体およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
また、近年、白色発光ダイオードの研究開発が盛んに進められており、そこでは、青色の励起光と、蛍光体からの黄色等の発光を、均一に混合する光散乱素子が必要である。現状、樹脂に光散乱剤を分散させ、そこでの散乱を利用して実現しているが、ここでも、より明るい光を得るには、光の減衰を最小限に押さえ、光に対する耐久性、熱に対する安定性に優れた光散乱体が求められている。
また、光散乱素子の新たな用途として、近年、開発の進んでいる超高速通信用アイセーフ半導体レーザーが挙げられる。通信にレーザー光を用いると高速変調が可能となり大容量データの瞬時転送が可能になるが、レーザー光は目に入ると非常に危険であるのでその応用の障害となっている。そこで、レーザー光を散乱して、光のパワーを分散させることで、アイセーフレーザーを実現している。現状、樹脂に光散乱剤を混合したもので開発が進められているが、今後、前述の例と同様に、光の減衰が少なく、長期の耐久性のある光散乱体が求められると考えられる。(河西他「超高速IrDA(UFIR)用アイセーフ半導体レーザ」(シャープ技報 第87号・2003年12月、15−20頁)非特許文献2)
このように、光を散乱する材料の利用は多岐にわたり始めている。光を散乱素材を作製することは、難しいことではない。例えば、樹脂に樹脂の屈折率とは異なる粉末等を混合すれば、そのような素材を得ることが可能である。しかし、そのような粉末を分散させた光散乱素子は、光が通過する際に、粉末表面の欠陥によって光の吸収が繰り返し起こるため光の減衰が大きくなるという問題がある。また、素子に樹脂を用いると光に対する耐久性、安定性に問題を生じる恐れがある。このような問題の解決には、光の吸収が小さく、光安定性や耐熱性の高い光散乱材料が求められる。
本発明の目的は、耐熱性が高く、光の吸収が小さく、光安定性や耐熱性の高い光散乱体およびこれを用いたバックライト構造、アイセーフ半導体レーザー等を提供することである。
すなわち、本発明は下記を提供する。
(1) 単一金属酸化物および複合金属酸化物から選ばれる少なくとも屈折率の異なる2つ以上の酸化物相が連続的にかつ三次元的に相互に絡み合って形成されている凝固体からなる光透過散乱体。
(2) 構成する相の境界部分に、アモルファス相を有しない、(1)に記載の光透過散乱体。
(3) 酸化物相がAl2O3とY3Al5O12からなる、(1)または(2)に記載の光透過散乱体。
(4) 一方向凝固法により得られたものである、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
(5) 可視光の光透過率が30%以上である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
(6) 板状である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
(7) ブロック状である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
(8) 前記屈折率差が0.01以上である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
(9) 液晶ディスプレーのバックライトとして赤色、緑色、青色の発光ダイオードの光を混合するための、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
(10) アイセーフ半導体レーザーのために半導体レーザー光を分散させるための、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
(11) (1)〜(10)のいずれか1項に記載の光透過散乱体に光を入射し、該光透過散乱体で散乱された散乱光を該光透過散乱体から出射させ、該散乱光を利用することを特徴とする、光透過散乱体の使用方法。
(12) 前記光透過散乱体を、液晶ディスプレーのバックライトとして赤色、緑色、青色の発光ダイオードの光を混合するために使用する、(11)に記載の方法。
(13) 前記光透過散乱体をアイセーフ半導体レーザーのために半導体レーザー光を分散させるために使用する、(11)に記載の方法。
(14) 赤色、緑色、青色の発光ダイオードと、(9)に記載の光透過散乱体とを含む、液晶ディスプレーのバックライト構造。
(15) 半導体レーザーと、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の光透過散乱体とを含む、アイセーフ半導体レーザー。
本発明の光散乱体を用いると、従来用いられている樹脂を用いた光散乱体に比べ、光吸収が少なく、光安定性に優れ、耐熱性の高い光散乱体、およびそれを用いたバックライト構造、アイセーフ半導体レーザー等を作製することができる。
図2Aは本発明の複合セラミックスにおける界面の透過型電子顕微鏡写真の一例を示し、図2Bは焼結体における界面の透過型電子顕微鏡写真の一例を示す。
図3は樹脂に無機粉末を分散させた光散乱体の断面を示す。
図4は透過光を測定する積分球を用いた測定方法を示す。
図5は図4に示した測定方法で測定した実施例1および比較例1,2の透過率を示す。
図6は光散乱の測定方法を示す。
図7は図6に示した測定方法で測定した実施例1、および比較例1、2の光束を示す。
図8は本発明の光透過散乱体を液晶パネルのバックライトの混色用に用いた例を示す。
図9は本発明の光透過散乱体を半導体レーザーと組み合わせたアイセーフ半導体レーザーの例を示す。
上記屈折率差は、特に限定されないが、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.05以上、さらに0.07以上、特に1.00以上である。屈折率差が大きいほど、光散乱効率が高いので好ましいが、セラミックス複合体において実現できる屈折率差が上限値である。
本光散乱体の大きな特徴のひとつとして、光の減衰が少ないことが挙げられる。この特性は材料中における前記酸化物相の界面の特性が大きく寄与してものと考えられる。図2Aに本光散乱体における2つの結晶相の界面の透過型電子顕微鏡写真の一例を示す。比較のために、図2Bに同じ組成をもつ焼結体の2つの結晶相の界面(粒界)の一例もあわせて示した。図2Bの焼結体の写真において中央部分の白い帯状の部分は結晶相の粒界である。結晶格子が観察されないことから原子が乱れたアモルファスの層であることが分かる。原子の乱れによる欠陥は光の吸収の原因になるため、このような層が存在することは好ましくない。一方、図2Aに示す本発明の光散乱体であるセラミックス複合体では焼結体に見られたアモルファス層が観察されない。しかも、界面においても原子の配列が規則正しく並んでいるので、セラミックス複合体の界面は焼結体のそれと比べて欠陥が少ないと考えられ、このために、本材料の光の減衰は非常に少ないものになる。
さらなる特徴として、本発明の光散乱体は光散乱体内で光が拡散しやすいことが挙げられる。この特徴も、2つ以上の酸化物相が連続的にかつ三次元的に相互に絡み合っているというセラミックス複合体の性質に起因している。すなわち、本発明の光散乱体は結晶相が連続しているため入射した光が結晶内で導波され、材料の内部で拡散するという特徴がある。この特徴のために、例えば、粉末を分散させた樹脂で作製した光散乱体では、光の照射されている部分から離れると光は急速に減衰するが、本発明の光散乱体では光の照射部分を離れた場所でも光が導波し、光の減衰が少ない。このことは、光の照射面が本発明の光散乱体によって広がるという効果をもたらし、結果として光の広がりが大きくできるということになる。
本発明の光散乱体における非常に重要な特徴は、2以上の酸化物の各結晶相が独立ではなく、各相が不可分な関係として一体化していることである。例えばAl2O3結晶とY3Al5O12結晶からなる光散乱体では、単に2つの結晶が存在するのではなく、Al2O3でもないY3Al5O12でもない組成をもつ一種類の融液から同時にAl2O3結晶とY3Al5O12結晶が結晶化をした結果として2つの結晶が存在しているのであって、独立に2つの結晶が存在する場合とは異なる。このため、明確な粒界が存在しないなどの特徴を有している。このような光散乱素子は単なるAl2O3結晶とY3Al5O12結晶が混在している、焼結体のような状態とは本質的に異なっている。
最後に、樹脂に無機粉末を分散させた散乱体と比較を行う。粉末を樹脂に分散した光散乱体の断面を図3に示す。このような光散乱体では、光が粉末の表面から内部に入る際、または、出て行く際に粒子の表面欠陥によって光が吸収されてしまう。また、粉末の表面での散乱、反射によって、粒子表面への光の出入りが多重になるため、表面の影響が非常に大きくなる。このように、粉末のような光散乱剤を含む樹脂では光が著しく減衰する。また、樹脂を用いた光散乱体の場合、紫外領域で樹脂による光の吸収が始まるため、紫外領域では光散乱として使用することができない。一方、本発明の光散乱体はセラミックスで構成されるので、適切な組成系を選べば、紫外領域でも光散乱体として利用することができる。
このように、本発明の光透過散乱体は、屈折率の異なる2つ以上の結晶相が連続的に三次元的に相互に絡み合っているために、優れた透光性を有し、光散乱の大きな光散乱体となる。例えば、本発明の光透過散乱体は、上記のごとく光散乱特性を有しながら、可視光の透過率が30%以上、特に40%以上であることができ、さらには50%以上であることも可能である。
(作製方法)
本発明の光散乱体は、原料金属酸化物を融解後、凝固して作られる。例えば、所定温度に保持したルツボに仕込んだ溶融物を、冷却温度を制御しながら冷却凝結させる簡単な方法で凝固体を得ることができるが、最も好ましいのは一方向凝固法によるものである。その工程の概略は次である。
原料となる金属酸化物を所望する成分比率の割合で混合して、混合粉末を調整する。混合方法については特別の制限はなく、乾式混合法及び湿式混合法のいずれも採用することができる。ついで、この混合粉末を公知の溶融炉、例えば、アーク溶融炉を用いて仕込み原料が溶解する温度に加熱して溶融させる。
得られた溶融物は、そのままルツボに仕込み一方向凝固させるか、あるいは、一旦凝固させた後に粉砕し、粉砕物をルツボに仕込み、再度加熱・溶融させた後、融液の入ったルツボを溶融炉の加熱ゾーンから引き出し、一方向凝固を行う。融液の一方向凝固は常圧下でも可能であるが、結晶相の欠陥の少ない材料を得るためには、4000Pa以下の圧力下で行うのが好ましく、0.13Pa(10−3Torr)以下は更に好ましい。
ルツボの加熱域からの引き出し速度すなわち、融液の凝固速度は、融液組成及び溶融条件によって、適宜の値に設定することになるが、通常50mm/時間以下、好ましくは1〜20mm/時間である。
一方向に凝固させる装置としては、垂直方向に設置された円筒状の容器内にルツボが上下方向に移動可能に収納されており、円筒状容器の中央部外側に加熱用の誘導コイルが取り付けられており、容器内空間を減圧にするための真空ポンプが設置されている、それ自体公知の装置を使用することができる。
得られた凝固体より必要な形状のブロックを切出し、光散乱体とする。
凝固体を形成する酸化物種については、種々の組合わせが可能であるが、金属の酸化物と二種以上の金属の酸化物から生成される複合酸化物とからなる群から選ばれるセラミックスが好適である。金属の酸化物としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化バリウム(BaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化クロミウム(Cr2O3)及び希土類元素酸化物(La2O3、Y2O3、CeO2、Pr6O11、Nd2O3、Sm2O3、Gd2O3、Eu2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3)等々があり、これらから生成される複合酸化物としては、例えば、LaAlO3、CeAlO3、PrAlO3、NdAlO3、SmAlO3、EuAlO3、GdAlO3、DyAlO3、ErAlO3、Yb4Al2O9、Y3Al5O12、Er3Al5O12、11Al2O3・La2O3、11Al2O3・Nd2O3、3Dy2O3・5Al2O3、2Dy2O3・Al2O3、11Al2O3・Pr2O3、EuAl11O18、2Gd2O3・Al2O3、11Al2O3・Sm2O3、Yb3Al5O12、CeAl11O18、Er4Al2O9が挙げられる。
この中でも、特にAl2O3と希土類元素酸化物の組合わせが好ましい。光学的特性に優れているだけでなく、機械的特性にも優れた材料を与えるからである。また、後述する様に、一方向凝固法により、各結晶相が三次元的、連続的に絡み合った複合材料が得られ易いからである。特に、Al2O3とY2O3から製造されるAl2O3とY2Al5O12の2相からならを複合材料が好ましい。
本光透過散乱体は粉末と樹脂を混ぜ合わせた光散乱体におけるような粉体表面での光の散乱がないので、光の透過性が高く効率的に光を散乱することができる。さらに、本光透過散乱体は高融点のセラミック材料であるために、光的、熱的、化学的な安定性が非常に高く、樹脂材料のような耐熱性や、光による劣化の問題も生じない。
本発明の光透過散乱体は、各種の光透過散乱体を用いる用途に有用である。たとえば、図8を参照すると、光透過散乱体を、赤色の発光ダイオード22、緑色の発光ダイオード23、青色の発光ダイオード24を有する液晶25のバックライトの混色用光散乱体21として用い、バックライト構造20を構成できる。本発明の光散乱体を用いると、単結晶が絡んだ組織の中で、光の導波と散乱が繰り返され、その結果、通常の表面散乱を利用した拡散板よりも、均一な白色を得ることができる。通常の光拡散板を用いた場合、光源直上部の強い光のためにむらが大きくなり、これをさけるために光束制御のためのパターンを印刷した透明シートを設置する。一方、本発明の光散乱体では、横方向への導波が大きく、光のむらが少なくなるので、シートが不要になる。また、混色が効果的に行われるため、光混合のための空間が狭くでき、結果的に薄いバックライトが構成できる。
また、図9を参照すると、光散乱体31を半導体レーザー32と組み合わせてアイセーフ半導体レーザー30を構成することができる。入射したレーザーは、本発明の光散乱体の中で、横方向に光導波され広がる。通常の粉末を分散した樹脂ではランバート配光になるのに対し、本発明の光散乱体を用いるとそれ以上の散乱角でレーザー光が広がるので、結果的に、より安全性の高いアイセーフレーザーが実現できる。しかも、樹脂を用いない光散乱体であるので、レーザーのような強い光に対する耐久性も十分に確保できる。
実施例1:
α−Al2O3粉末(純度99.99%)とY2O3粉末(純度99.999%)の混合比は、モル比で82:18を秤量し、これらの粉末をエタノール中、ボールミルによって16時間湿式混合した後、エバポレーターを用いてエタノールを脱媒して原料粉末を得た。原料粉末は、真空炉中で予備溶解し一方向凝固の原料とした。
次に、この原料をモリブデンルツボに仕込み、一方向凝固装置にセットし、1.33×10−3Pa(10−5Torr)の圧力下で原料を融解した。次に同一の雰囲気においてルツボを5mm/時間の速度で下降させ凝固体を得た。得られた凝固体は半透明の白色を呈していた。
凝固体の凝固方向に垂直な断面組織を図1に示す。白い部分がY3Al5O12相、黒い部分がAl2O3相である。体積分率はY3Al5O12:Al2O3で55:45である。Y3Al5O12の屈折率は約1.83、Al2O3の屈折率は約1.77であるので、この屈折率の比に従ってスネルの法則に従い光の屈折が起こる。また同時に反射も起こり、その光は別の界面で同じように屈折と反射をすることになる。この繰り返しとして、本凝固体の中で光が広がっていく。このことが光散乱体の性質を決めることになる。
凝固体から、凝固方向に対して垂直な方向に0.2mm厚さの板を切り出し、光散乱を作製した。予備的に、この光散乱体を光源の前においたところ、光が散乱していることが目視で確認された。次にこの材料の透過光の強度を、図4に示す積分球を用いた測定方法によって測定した。すなわち、試料1を透過した光2を積分球3を介して検出器(光電子倍増管)4で検出した。
測定結果を図5に示す。図5には比較例2に示した樹脂にYAG粉末を分散させた厚み0.2mmの板、比較例1に示した実施例1と同じ組成をもつ焼結体の厚み0.2mmの板の透過率を併せて示した。本発明の光透過散乱体(セラミックス複合体)の透過率は可視光領域においてほぼ約50%であり、比較例1の焼結体(約21%)や比較例2の粉末分散樹脂(約18%)に比べ、透過率が非常に良いことが分かった。また、比較例2の樹脂を用いた光散乱体では400nmよりも短い波長の紫外領域では吸収が始まるのに対し、実施例1の光散乱体では、400nmよりも短い波長領域においても十分な光透過をするので、紫外領域でも光散乱体として利用できることが分かった。
さらに、この光散乱体の特性を調査した。測定装置を図6に示す。遮光板12を設けた3.0mm角の光源11を実施例1の0.2mm厚みのセラミックス複合体(試料)13に密着させ、透過面における光の光束を、水平方向に検出器14を走査して調べた。結果を図7に示す。図7には、比較のために、比較例1の焼結体、比較例2の樹脂にYAG粉末を分散させた光散乱体の測定結果もあわせて示した。また、ピーク形状の比較ができるように、光源の中央部直上の光の光束を100として規格化した。比較例1、比較例2のピーク形状は全く同一であった。実施例1の光散乱体はすべての位置において、比較例1、2よりも大きい光束を示した。特に、光源を離れ始めてからの光束の減衰が小さく、実施例1の光散乱体が試料の面内に光が広がることが確認できた。このため、実施例1の光散乱体は、比較例1、2の光散乱体よりも優れた光の散乱効果を有する。また、比較例1、2は規格化ピークの形状がまったく同じであるのに対し、実施例1のピーク形状はそれらとは異なる。このことは、実施例1の光散乱体の光の伝播様式が、比較例1,2の光の伝播様式と異なることを示している。この違いは、光が2相の結晶が3次元的に複雑に絡まった結晶内を導波路的に伝達することに起因していると考えられる。
比較例1:
実施例1と同じ原料粉末を黒鉛製のダイスに充填し、1.33Pa(10−2Torr)の雰囲気下、1700℃、面圧力50MPaで2時間加圧焼結をして焼結体を得た。
得られた焼結体の中央部から、実施例1と同様に0.2mm厚さの板を切り出し、この材料の透過光を実施例1と同じ方法で測定した結果を図5に示す。光の透過率は約20%であった。
次に、実施例1と同じ方法によって光の散乱特性を調査した。結果を図7に示す。
比較例2:
エポキシ樹脂と市販のYAG粉末を体積で87:13で混合し、150℃で10時間硬化させて粉末を分散させた樹脂の塊を作製した。この塊から実施例1と同様に厚さ0.2mmの板を切り出し、実施例1と同じ方法によって透過光を測定した。
結果を図5に示す。光の透過率は約20%であった。
次に、実施例1と同じ方法によって光の散乱特性を調査した。結果を図7に示す。
実施例2:
実施例1の光散乱体を、図8に示されるように、赤、緑、青色の発光ダイオードを有する液晶バックライトの混色用光散乱体として用い、均一な白色を得ることができた。しかも、比較例1,2の光散乱体を用いた場合と比べて、非常に明るい表示が得られた。本発明のバックライト構造では、従来の光束制御のためのパターンを印刷した透明シートを省いて薄型にできる。
実施例3:
実施例1の光散乱体を、図9に示されるように、半導体レーザーと組み合わせてアイセーフ半導体レーザーを構成することができた。比較例1,2の光散乱体を用いた場合と比べて光効率が高いものであった。また、比較例1,2の光散乱体を用いた場合と比べて散乱角度が広く、安全性も高いものであった。
Claims (15)
- 単一金属酸化物および複合金属酸化物から選ばれる少なくとも屈折率の異なる2つ以上の酸化物相が連続的にかつ三次元的に相互に絡み合って形成されている凝固体からなる光透過散乱体。
- 構成する相の境界部分に、アモルファス相を有しない、請求項1に記載の光透過散乱体。
- 酸化物相がAl2O3とY3Al5O12からなる、請求項1または2に記載の光透過散乱体。
- 一方向凝固法により得られたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
- 可視光の光透過率が30%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
- 板状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
- ブロック状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
- 前記屈折率差が0.01以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
- 液晶ディスプレーのバックライトとして赤、緑、青色の発光ダイオードの光を混合するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
- アイセーフ半導体レーザーのために半導体レーザー光を分散させるための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光透過散乱体。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光透過散乱体に光を入射し、該光透過散乱体で散乱された散乱光を該光透過散乱体から出射させ、該散乱光を利用することを特徴とする、光透過散乱体の使用方法。
- 前記光透過散乱体を、液晶ディスプレーのバックライトとして赤色、緑色、青色の発光ダイオードの光を混合するために使用する、請求項11に記載の方法。
- 前記光透過散乱体をアイセーフ半導体レーザーのために半導体レーザー光を分散させるために使用する、請求項11に記載の方法。
- 赤色、緑色、青色の発光ダイオードと、請求項9に記載の光透過散乱体とを含む、液晶ディスプレーのバックライト構造。
- 半導体レーザーと、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光透過散乱体とを含む、アイセーフ半導体レーザー。
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