JP4574878B2 - 光散乱性ガラス材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光を均一に拡散することが必要な各種照明装置や液晶表示素子に用いられて均一の照明を行ったり、或いは情報通信用部品等として用いる光散乱性ガラス材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
光散乱性の樹脂材料は、成形性の良さから、室内照明用のカバーをはじめ、各種照明用途に使われている。透明な熱可塑性樹脂に粒子を分散させた光散乱材料は、古くから照明カバー用の材料として製造されてきたが、近年環境問題への関心から、より光量ロスの少ない材料が求められている。また、液晶表示素子のバックライトパネルなどの新しい用途への広がりと同時に薄型化が進んで、光源との距離が近くなっており、このため、より高い光散乱性も求められてきている。
【0003】
特開平5−302006号公報には、メタクリル樹脂に実質的に球状の平均粒径5〜20μmの架橋重合体微粒子を分散させた光散乱性樹脂が開示されている。光拡散剤としては、硫酸バリウムや炭酸カルシウム等の無機粒子が用いられることもある。特開昭56−106237号公報には、透明アクリル樹脂中にガラスビーズを分散させることにより、透過型スクリーンを製造する方法が開示されている。
【0004】
しかし、これら従来の光散乱性の材料は、粒子を分散させる基材部分が樹脂であるため、耐熱性、耐候性に劣るものであり、また、長期の使用により、変色するなどの問題も有している。また、光源の近くで用いる場合の加熱や、内視鏡先端部の照明レンズに使用した場合の滅菌のための薬液浸漬や加熱に耐えることができない不便さを有している。
【0005】
これに対し、一般にガラス材料は樹脂に比べて、化学的、熱的耐久性において数段優れている。ガラス材料として乳濁したガラスは、オパールガラスと呼ばれ、古くから工芸品等の用途に多く用いられている。
【0006】
オパールガラスは、非晶質ガラス中に屈折率の異なる結晶やガラス粒子が分散された状態となっており、光が粒子とガラスの界面で反射、散乱することにより、乳濁色を呈する。その製造には、低融点ガラスに溶解速度の小さいTiO2、SiO2などの酸化物を加えて懸濁させる方法や、高温で溶解したガラスを、冷却過程または再加熱により粒子を析出させる方法が用いられている。この内、後者の方法では、フッ化物系、燐酸塩系、ホウケイ酸系ガラスが用いられる。これらの方法では、添加する微粒子の量や冷却過程での冷却速度を変えることにより、乳白度をコントロールすることが可能となっている。
【0007】
しかし、いずれの製造方法においても、得られるガラスの耐性があまり良くないものである。これは、分散した微粒子の融点に比べて、マトリックスガラスとして融点の低いガラスを選択しなければならないことから、化学的耐性の低い成分を選択せざるを得ないためである。
【0008】
耐性の良好な乳濁無機材料としては結晶性セラミックスが知られているが、析出させる粒子のサイズ制御と粒子の濃度の制御とを独立に行うことが難しく、所望の光散乱性を得ることは原理的に困難である。また、ベースガラス部分の屈折率の小さな組成系が多く、高屈折率の光散乱性材料を得ることが難しい。
【0009】
また、このように光散乱性材料として低屈折率材料しかないことは、素子の小型化、薄型化を妨げる要因となっている。すなわち、素子の小型化、薄型化のためには、素子内の粒子による光散乱だけでなく、素子の面形状によっても光散乱性を制御したいという要求があるが、低屈折率材料では、材料表面での光の屈曲が小さく、このため照明領域の制御幅を大きくすることができないものとなっている。
【0010】
光散乱性素子の小型化を進める場合には、素子にレンズ面を形成する加工が困難となる。特に、微小なレンズを用いて、より広い範囲を照明したい場合には、面の曲率半径が小さいと加工が困難となる。照明用途では、特に大きく光線の方向を屈曲させるために、非球面度の大きいレンズが設計上望まれる。しかし、その製造は難しくなる一方であり、材料面での屈曲を大きくするためには、材料の屈折率による制約を外したい課題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、耐性が良好で、光量ロスが少ない光散乱性ガラス材料を提供することを目的とする。また、表面をレンズ形状にして使用する場合に適した高屈折率の光散乱性ガラス材料およびレンズ面のみでなくそれ自身が光を屈折する作用を有した光散乱性ガラス材料を提供することを目的とする。さらに、本発明は、これらの光散乱性ガラス材料を製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手投】
本発明に係る第1の光散乱性ガラス材料は、少なくともSiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベースガラス内に、ベースガラスと屈折率が異なる少なくとも一種の透光性を有した粒径0.1μm以上のガラス粒子または金属酸化物粒子が分散していることを特徴とする。
【0013】
少なくともSiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベースガラス内に、ベースガラスと屈折率が異なる少なくとも一種の透光性を有したガラス粒子または金属酸化物粒子が分散しており、これらの粒子の粒径が1μm以上の光散乱性ガラス材料の場合には、ベースガラス内に分散する粒子と、ベースガラスとの境界面での屈折率差により、光が屈折して散乱する。
【0014】
この発明では、SiO2とそれ以外の金属成分を組み合わせて用いることにより、高屈折率の材料が得られるとともに、光散乱材料として使用する粒子との屈折率差を任意に設定することができるため、光散乱性の制御が可能である。散乱透過光を利用するにあたり、粒子のサイズが0.1μm未満では、透過光線の波長依存性が大きくなり、透過光の色温度を変えてしまう問題がある。
【0015】
また、従来の溶融法で作製する場合には、融点の低い燐酸など化学的耐久性の悪い原料を用いる必要があったが、本発明の光散乱性ガラス材料においては、このような耐性の悪い成分を用いる必要がなく、このため、耐性の良好な乳白ガラスを得ることができる。
【0016】
また、光散乱性を添加粒子の量やサイズにより容易にコントロールできるため、使用する厚みに合わせた光散乱性の制御が可能となる。
【0017】
粒子の添加量を多くし、光拡散を多くすれば、透過光量は減少する。全透過率や全透過光に対する拡散光の割合の適当な値は、その光拡散性ガラス材料の用途や使用時のサイズにより変わるため、一概に規定することはできないが、入射光の方向と出射光の方向が同一方向である場合には、使用時の厚みでの全光透過率が60%以上、全光透過率に対する拡散透過率の比率が20%以上であることが好ましい。ここで、全光透過率は、材料を透過した光を積分球により集光し検出することにより測定した値である。また、拡散透過率は、積分球のサンプルと相反する位置の拡散板を外し、拡散透過光のみを集光し検出した値である。全光透過率に対する拡散透過率の比率とは、これらの両者の比である。
【0018】
本発明に係る第2の光散乱性ガラス材料は、少なくともSiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベースガラスと、このベースガラスと屈折率が異なる少なくとも一種の透光性を有してベースガラス内に分散した粒径0.1μm以上のガラス粒子または金属酸化物粒子とを備え、前記ガラス粒子または金属酸化物粒子がベースガラスの屈折率との中間の屈折率を有したコーティング層によって被覆されていることを特徴とする。
【0019】
このようにガラス粒子または金属酸化物粒子の周囲を、ベースガラスの屈折率との中間の屈折率を有したコーティング層によって被覆することにより、ガラス粒子または金属酸化物粒子を核とした中間の屈折率層がベースガラスとの間に存在し、界面での反射によるロスを減らすことができ、光量ロスを少なくすることができる。
【0020】
中間の屈折率を有したコーティング層の形成は、核となるガラス粒子または金属酸化物粒子の表面を金属アルコキシドを含むゾル溶液によりコーティングした後に、ベースガラスとなるゾル溶液に分散し、ゲル化した後、焼成によりガラス化することにより行うことができる。金属アルコキシドによってコーティングした粒子は、表面に−OH基が多く存在し、ゾル中での分散性が良好となる。
【0021】
コーティングの後は、一旦粒子を加熱し、コーティング膜を緻密化してからゾル中へ分散させても良いが、加熱せずに分散させベースガラスの焼成時に同時に加熱して緻密化しても良い。粒子表面にコーティングするための金属アルコキシド溶液は、金属成分の量を調整することにより、コーティング層の屈折率を任意に変更することが可能である。従って、屈折率を変えた複数のコーティングを行うことにより、屈折率が傾斜した粒子を作製することも可能となる。また、ある屈折率のコーティングを行った後で、その中に金属成分をドープ、あるいは溶出する工程を施すことにより、屈折率が滑らかに傾斜した粒子を作製することができる。
【0022】
本発明に係る第3の光散乱性ガラス材料は、少なくともSiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベースガラス内に、ベースガラスと屈折率が異なる少なくとも一種の透光性を有した粒径0.1μm以上のガラス粒子または金属酸化物粒子が分散しており、前記ベースガラスを構成する成分の濃度がベースガラス内の位置により傾斜することにより屈折率分布が付与されていることを特徴とする。
【0023】
このように、ベースガラスに屈折率分布を付与することにより、光拡散の角度を広げたり、逆に狭めたりすることが可能となり、目的に応じて効果的な照明を行うことが可能となる。
【0024】
このような屈折率分布は、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3のいずれかの粒子の濃度分布に傾斜を付与することにより行うことができる。また、これらの組成の他に、Na、K,Li等のアルカリ金属種を含有させることによっても可能である。
【0025】
ベースガラスに屈折率分布を付与する方法としては、粒子を分散しゲル化した後のゲルを溶液に浸漬し、ゲル中の金属酸化物成分の一部を選択的に溶出した後、乾燥、焼成することにより行うことができる。金属酸化物成分の一部を選択的に溶出する方法としては、水、アルコールなどの溶媒に浸漬することにより、ゲル細孔中に未反応の状態で浮遊している金属成分を流し出す方法や、水、アルコール中に金属塩を溶解し、その溶液に浸漬して、より速い速度で金属成分を流し出す方法や、さらに積極的には、酸、アルカリなどの希釈溶液を用いて、ゲル骨格を構成する金属成分と酸素との共有結合を切断して溶出する方法などを選択することができる。
【0026】
分散している粒子は、すでに緻密な酸化物あるいはガラス構造を有しているため、ゲル体に分布付与する工程により、その屈折率の性質が変化することはない。また、粒子が存在することにより、濃度分布を形成するイオン拡散段階で、粒子の近傍で若干の濃度分布の乱れが生じるが、照明用途に用いるレベルにおいては、何ら問題になるものではない。
【0027】
屈折率分布の方向としては、ロッド棒の径方向に分布を有した形態が、平面状でも集光あるいは発散作用を得られるため、比較的使い易い。これに限らず、軸方向の屈折率分布あるいは球面方向や半球面方向の屈折率分布などのいずれの屈折率分布であっても使用方法に応じて選択することが可能である。
【0028】
また、光軸垂直方向に屈折率分布を有するベースガラスにおいては、材料の中心部で屈折率が高い凸状分布や周辺部で屈折率が高い凹状分布のいずれの材料も有効に使用可能である。凹状分布の場合には、平板研磨した場合に凹レンズのように光を広げる作用を有するため、照明用途に広く使用されている凹レンズ状の拡散レンズの代わりに使用することが可能となる。凸レンズによって光を広げる方法は、特に小型の照明装置において有効であり、このため凸状の屈折率分布を有した材料は、凸レンズの代わりに使用することが可能である。
【0029】
また、屈折率の分布形状は、多項式によって近似できるが、ここで 高次項の係数が大きくなるような非球面レンズに相当するような屈折率分布を付与することが比較的容易であるため、非球面レンズの代わりに使用することができる。これにより、従来では加工が困難であったような非球面度の大きなレンズの製造が可能となる。これら、ベースガラスに屈折率分布を持つ光拡散性ガラス素子は、上述のように平板研磨により使用するだけでなく、球面、非球面形状により更にレンズ効果を付与することにより、任意の画角範囲を均一に照明することを可能にする。
【0030】
また、断面が円形状でなく、図2に示すような楕円状の断面形状(図2(a))や長方形の断面形状(図2(b))や円弧と長方形を合わせたような回転非対称な断面形状(図2(c))となった棒状ゲル体を作製し、そこに屈折率分布を付与することもできる。これにより、断面における屈折率等高線の形状が楕円形状や、長方形(ただし、角部分は丸められる)形状や、回転非対称な形状とすることができるため、回転非対称なレンズ作用を有した光拡散性ガラス材料とすることができ、目的に応じ有効に使用することができる。
【0031】
ベースガラスに屈折率分布が付与されており、その屈折率が分散している粒子の屈折率と近い場合には、粒子とベースガラスとの屈折率差が小さい程、光散乱性が小さくなる。このため、場所により光散乱性をコントロールした材料とすることが可能である。すなわち、粒子自体が均一に分散している場合にも、場所により光拡散の度合いを変えることができる。これは、例えば、光拡散性ガラス材料を凸レンズ状に研磨して使用する場合に、図1(a)に示すように中心の肉厚部分でベースガラス1の屈折率と粒子2の屈折率差を比較的近くしておき、周辺の肉薄部分に向かう屈折率差を大きくすることによって、肉厚による光散乱性の差を少なくすることができる効果がある。同様に光散乱性ガラス材料を図1(b)に示す凹レンズ状にする場合には、ベースガラス1の周辺部分の屈折率を粒子2の屈折率と近づけておくことにより、肉厚による光散乱性の差を小さくすることができる。また、鋸歯状の面形状を有する場合にも同様であり、肉厚となる部分の屈折率を粒子に屈折率と近づけることにより、厚みの違いによる透過光量を防ぎ、光量のムラを防ぐことができる。
【0032】
ベースガラスと粒子の屈折率差が離れている場合には、上述のような光散乱性の位置による変化には、ほとんど影響しない。従って、平板状での使用に際しても、屈折率分布による光を広げる効果と、粒子による光散乱性の両方の効果を得ることができる。また、屈折率分布と粒子による光散乱性は、それぞれ独立に制御できるため、目的に応じて任意の光散乱性ガラス材料とすることが可能となる。
【0033】
本発明に係る第4の光散乱性ガラス材料は、上記第1〜3の光散乱性ガラス材料のいずれかであって、前記ベースガラスの屈折率(nd)がl.6以上であることを特徴とする。
【0034】
ベースガラスの屈折率(nd)は、1.6以上であることが望ましい。これにより、光散乱性ガラス材料を、凸面または凹面のレンズ形状で使用する場合に、レンズ面の曲率を大きくすることが可能となり、また同じ曲率の場合には、開口を大きくとることができる。また、回転非対称な形状によって散乱光の取り出し方向をコントロールする場合にも、ベースガラスの屈折率が1.6以上であることにより、取り出し角度を大きくすることができる。粒子もその配合割合により、トータルの屈折率に寄与する。
【0035】
ベースガラスの組成としては、SiO2と合わせて用いる金属酸化物MxOyとその含有比率(モル比)として好ましい下限値を表1に示す。例えば、ベースガラスとして、SiO2とTiO2を合わせて用いる場合には、モル比がTiO2/SiO2≧0.2であることが好ましく、ベースガラスとして、SiO2とNb2O5を合わせて用いる場合には、モル比がNb2O5/SiO2≧0.1であるのが好ましい。また、この他に、ガラス化を容易にするために少なくとも一種のアルカリ金属を含むのが良好である。
【0036】
【表1】
【0037】
また、これらの金属酸化物をn種類組み合わせて用いることも可能である。この場合、実際のベースガラスに含まれる各成分のSiO2に対するモル比をBとし、表1のAの値との比率の総和が1以上となるように各成分の量を設定するのが望ましい。すなわち、下記する式1となるようにSiO2以外の各金属酸化物成分を組み合わせるのが良好である。これにより、ベースガラスの屈折率を1.6以上とすることができる。
【0038】
【数1】
【0039】
なお、アルカリ金属酸化物や、Al2O3は、ガラス化のために添加するため、その量は組み合わせて用いる酸化物種や、その割合に応じて添加する。Na2O、K2Oについては、3〜15モル%程度含有するのが効果的である。
【0040】
本発明に係る第5の光散乱性ガラス材料は、上記第1〜3の光散乱性ガラス材料のいずれかであって、前記ベースガラス内に分散するガラス粒子または金属酸化物粒子は、平均粒径d(mm)が、0.0001mm≦d≦0.05mmの球状または楕円球状であることを特徴とする。
【0041】
この発明において、少なくとも一種のガラス粒子または金属酸化物の粒子は、球状または楕円球状である。このように粒子の形状を球状または楕円球状とすることにより、後方への散乱を減らし、光を前方へ透過することが可能となる。従って、光効率を良くすることができる。球状粒子を用いることにより、針状粒子を使用する場合に問題となるような溶液中へ分散し、分散状態を固定するまでの間に粒子の向き(配向)を気にする必要がなくなり、得られる光拡散体の品質を安定させることもできる。また、球状粒子では、拡散光の拡散方向も均一となるため、照明光のぎらつきや照明ムラが生じることがなくなる。
【0042】
この発明では、粒子の平均粒径d(mm)は0.0001≦d≦0.050の範囲であるのが望ましい。0.0001mm未満では、透過光線の波長依存性が大きくなり、透過光の色温度を変える問題が発生する。平均粒径が0.05mmよりも大きくなると、十分な光拡散効果が得られず、レンズと組み合わせて使用する場合等においては、散乱透過光に粒子自身の影が照明ムラとして目立つようになる。
【0043】
また、金属アルコキシドから調製されるゾル溶液中への分散性を考慮した観点からも、平均粒径が0.0001≦d≦0.005の粒子を用いることが望ましい。粒子が0.005mm以上である場合には、液中に均一に分散した状態を保持するために、ゾルの重合反応が進んで相当な粘度になる状態まで、撹拌または振動を与える必要があり、好ましくない。
【0044】
最も好ましい平均粒径は、0.0004≦d≦0.002の範囲である。この範囲の平均粒径の場合には、ゾル状態でいったん 均一に分散させれば、ゲル化までの間、分散のために特別な操作をしなくても均一に分散した状態を保持することができる。粒子径分布の範囲はあまり広くないことが望ましく、平均粒径は、0.0004≦d≦0.002の場合にも、最大粒子径が0.01mmを越えないことが望ましい。
【0045】
このような平均粒径を有した微粒子としては、湿式法により作製された金属酸化物微粒子や、球状のSi、Al等を溶融酸化することにより作製された金属酸化物微粒子が適している。前者の湿式法により作製された微粒子は、1μm以下である場合が多く、光の均一分散性に優れている。また、後者の溶融酸化により作製された金属酸化物微粒子は、0.5〜20μmであり、優れた真球形状を有しているため、光散乱性と均一分散性の両面から優れたものとなる。なお、金属酸化物粒子としては、単一の金属酸化物だけでなく、複合した酸化物であっても有効である。
【0046】
ガラスビーズもまた、透明性が良好のため光散乱粒子として適している。また、ガラスビーズは、金属酸化物と比べて、屈折率を任意に設定できるため、光拡散性を制御し易い特徴がある。
【0047】
本発明に係る第6の光散乱性ガラス材料は、上記第1〜3の光散乱性ガラス材料のいずれかであって、前記ベースガラス内に分散するガラス粒子または金属酸化物粒子の濃度C(vol%)が、粒子の平均粒径をd(mm)、使用する厚みをt(mm)としたとき、5d/t≦C≦300d/tの範囲内であることを特徴とする。
【0048】
ガラス中の粒子の濃度は、使用する厚みや粒子のサイズにより好ましい値が変わり、一概に規定できない、粒子が分散しているガラスに対し、粒子の割合が0.001vol%〜50vol%程度であることが望ましい。粒子の含有割合が50vo1%以上になると、ベースガラス部分の比率が少なくなるため、強度の低下が問題となる。また、粒子の含有割合が少ない湯合には、十分な光散乱性能を得ることができない。
【0049】
粒子の平均粒径(直径)をd(mm)、光散乱性ガラス材料を使用する厚みをt(mm)とした場合の好ましい濃度C(vol%)は、5d/t≦C≦300d/tの範囲である。この範囲内とすることにより、特に優れた光散乱性を付与することができる。
【0050】
例えば、厚み0.5mmの板状で使用する場合には、平均粒子径が0.001mmの粒子を濃度0.01vol%%から0.6vol%の範囲で使用することが好ましい。ここで、好ましい濃度に対して幅を設定しているのは、使用の目的により、好ましい光散乱性と光量ロスのバランスが異なるや、同じ濃度で粒子を添加しても、粒子とベースガラスとの屈折率の差によって光散乱性が変化するためである。
【0051】
本発明に係る第7の光散乱性ガラス材料は、シリコンアルコキシドと、酸化物原料としての金属アルコキシドまたは金属塩と、加水分解、重縮合のための酸または塩基と、水とを加えてゾルとする工程と、このゾル中に透光性を有したガラス粒子または金属酸化物粒子を分散する工程と、その後に、ゲル化、乾燥、焼成する工程とを備えていることを特徴とする。
【0052】
この発明において、ゲル化後のゲル体は、乾燥時の割れを防ぐ目的、焼成によるガラス化を容易にする目的、ベースガラスに屈折率分布を付与する目的および分布付与の予備処理、後処理の目的等のため、金属塩を溶解した水溶液、アルコール溶液等に浸漬することが好ましい。
【0053】
上記の少なくともSiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含むガラス組成は、シリコンアルコキシド、金属アルコキシドを用いて加水分解重縮合反応を行うことにより調製したゾルを固化し、乾燥、ガラス化して得ることができる。一方、光散乱のための粒子は、ゾル溶液中に粒子を分散させて固化することによって均一に分散させることが良好である。この粒子は、あらかじめ、アルコールや水などの溶液に分散させてから添加しても良く、直接ゾル溶液に添加した後に、撹拌、超音波等の適当な方法により分散させても良い。数μm以下の細かい粒子を用いる場合には、吸湿によって粒子同士が付着し易いため、超音波による分散が特に効果的である。
【0054】
ゾル溶液中に均一に分散された粒子は、実用上問題のないレベルでゲル化までの間、その均一な分散性を保持する必要がある。従って、作製されたゾルを速くゲル化させるために、溶媒が沸騰しない温度範囲内で加温したり、グリコール類のような高粘度の溶媒を添加してゾルの粘度を高くし、沈降を防ぐこと等も有効である。
シリコン(SiO2)以外のTiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3等の原料としては、金属アルコキシドの他に、酢酸塩、硝酸塩等の有機塩、無機塩を用いることができる。これらの塩は、ゾル調製時に添加しても良く、ゾルを固化したゲルをこれらの塩を溶解した溶液に浸漬することによりゲル中にドープしても良い。
【0055】
金属アルコキシドを原料とする場合、より加水分解の反応速度の大きなジルコニウム、チタニウム等のアルコキシドに対しては、アルコキシドのアルコール溶液中に該アルコキシドの水に対する反応性を低下させる化合物を添加することが望ましい。アルコキシドの水に対する反応性を低下させる化合物としては、N,N’−ジメチルモノエタノールアミン、N,N’−ジエチルモノエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン、あるいはアセチルアセトン等のβ−ジケトン、無水酢酸、アセト酢酸メチルやアセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル等のアセト酢酸エステル、マロン酸ジメチルやマロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル等のジカルボン酸エステル、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール等が挙げられる。
【0056】
また、これらの反応性を低下させる化合物の添加は、重合反応による金属酸化物の網目形成に影響し、網目構造を制御する。従って、上記化合物の添加によって、作製されるベースガラス部分の透光性を制御することが可能となる。これらの化合物の適当量を添加することにより、ベースガラスの透光性が良好となり、これにより、光量ロスが低減し、光散乱性ガラス材料の性能をより高める効果がある。
【0057】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
この形態では、SiO2−TiO2−K2Oからなるベースガラス内にSiO2の球状粒子を分散させた光散乱性ガラス材料を作製した。
【0058】
まず、テトラメチルシリケート(TMOS、Si(OCH3)4)46.8gに0.01規定の塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌して部分加水分解反応を行った。この溶液を撹拌しながら、チタンノルマルブトキシド22.5gを溶解した1−ブタノールを加え、更に1時間撹拌を続けて、チタンノルマルブトキシドを反応させた。
【0059】
そして、これにアンモニア水溶液を42ml添加し、さらに5分間程撹拌した後、平均粒径1.0μmのSiO2の球状粒子(商品名「アドマファインS0−C5」)をガラス化時に0.005vol%となるように加え、この反応容器を超音波洗浄機中に1分間入れて、超音波をかけ、凝集した粒子を分散させた。さらに3分間撹拌して、粒子を均一に分散させた後、ポリメチルペンテン(商品名「TPX」)からなる内径9mmの容器に分注した。
【0060】
次に、容器に蓋をして密閉し50℃でゲル化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成した。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の5倍量のメタノールに1日浸漬した。
【0061】
さらに、濃度0.2mol/リットルの酢酸カリウム水溶液にゲルを移し、1日浸漬することにより、ゲル中にカリウムをドープした。このゲルをアセトン中に移し、酢酸カリウム微結晶をゲル細孔中に固定した後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲルを得た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウムガスをブローしながら740℃で焼成した。これにより、割れのない直径が約2.5mmの白色半透明のガラス体を得た。
【0062】
このガラス体を厚さ1.5mmの平行平板に研磨し、透過特性を測定したところ、全光透過率77%、拡散透過率40%、拡散透過率/全光透過率の比は52%であった。また、屈折率(nd)は、1.562であった。
【0063】
両面研磨したガラス材料について、50℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置した後観察する方法により、耐候性試験を行った。その結果、研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測定を行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
【0064】
(実施の形態2)
この実施の形態では、SiO2−TiO2−K2Oからなるベースガラス内にSiO2の球状粒子を分散させた光散乱性ガラス材料を作製した。
【0065】
まず、テトラメチルシリケート46.8gに0.01規定の塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌し、部分加水分解反応を行った。この溶液を撹拌しながら、チタンノルマルブトキシド45.2gを溶解した1−ブタノール/アセチルアセトン溶液を加え、さらに1時間撹拌を続けて、チタンノルマルブトキシドを反応させた。
【0066】
これにアンモニア水溶液を42ml添加し、さらに5分間程撹拌した後、平均粒径1.5μmのSiO2の球状粒子(商品名「アドマファインS0−C3」)をガラス化時に0.05vol%となるように加え、この反応容器を超音波洗浄機中に1分間入れて、超音波をかけ、凝集した粒子を分散させた。さらに3分間撹拌して、粒子を均一に分散させた後、ポリメチルペンテン(商品名「TPX」)からなる内径9mmの容器に分注した。
【0067】
次に、容器に蓋をして密閉し50℃でゲル化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成した。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の5倍量のメタノールに1日浸漬した。
【0068】
さらに、濃度0.4mol/リットルの酢酸カリウム水溶液にゲルを移し、1日浸漬することにより、ゲル中にカリウムをドープした。このゲルをアセトン中に移し、酢酸カリウム微結晶をゲル細孔中に固定した後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲルを得た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウムガスをブローしながら730℃で焼成した。これにより、割れのない直径が約2.5mmの白色半透明のガラス体を得た。
【0069】
このガラス体を両面研磨によって厚さ0.51mmの平板に加工し、透過特性を測定したところ、全光透過率80%、拡散透過率37%、拡散透過率/全光透過率の比は46%であった。また、その屈折率(nd)は、nd=1.73であった。
【0070】
両面研磨したガラス体について、50℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置した後観察する方法により、耐候性試験を行った。その結果、研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測定を行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
【0071】
(比較例1)
この比較例では、実施の形態2と同様な方法により作製したゾルに対して、SiO2の球状粒子の添加量を、ガラス化時に0.001vol%となるように加えて白色半透明のガラス体を得た。このガラス体を0.51mmの平板に研磨して、透過特性の測定を行った結果、546nmにおける全光透過率83%、拡散透過率4%であり、拡散透過率/全光透過率の比は4.8%であった。従って、比較例のガラス体では、この厚みで使用するには光散乱性が不足しているものであった。
【0072】
(実施の形態3〜5)
実施の形態3〜5では、実施の形態2と同様な方法により作製したゾルに対するSiO2の球状粒子の添加量を変更して白色半透明のガラス体を作製し、このガラス体の透過特性の測定を行った。これらの実施の形態の条件及び結果を表2に示す。また、両面研磨したガラス体について、50℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置した後観察する方法により、耐候性試験を行った。その結果、各実施の形態とも研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測定を行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
【0073】
【表2】
【0074】
(実施の形態6)
この形態では、SiO2−TiO2−BaO−K2Oからなるベースガラス内にAl2O3の球状粒子を分散させた光散乱性ガラス材料を作製した。
【0075】
まず、テトラメチルシリケート46.8gに0.01規定の塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌し、部分加水分解反応を行った。この溶液を撹拌しながら、チタンノルマルブトキシド15.4gを溶解した1−ブタノールを加え、さらに1時間撹拌を続けて、チタンノルマルブトキシドを反応させた。
【0076】
これに酢酸バリウムを溶解した酢酸水溶液を60ml添加し、さらに5分間程撹拌した後、平均粒径0.7μmのAl2O3の球状粒子(商品名「アドマファインA0−502」)をガラス化時に0.007vol%となるように加え、この反応容器を超音波洗浄機中に1分間入れて、超音波をかけ、凝集した粒子を分散させた。さらに3分間撹拌して、粒子を均一に分散させた後、ポリメチルペンテン(商品名「TPX」)からなる内径9mmの容器に分注した。
【0077】
次に、容器に蓋をして密閉し50℃でゲル化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成した。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の8倍量のイソプロパノール水溶液、エタノール水溶液に1日ずつ浸漬した。
【0078】
さらに、濃度0.2mol/リットルの酢酸カリウムメタノール溶液にゲルを移し、8時間浸漬することにより、ゲル中にカリウムをドープすると共に、ゲル中のBaをゲル外周部より溶出してBaに径方向凸状の濃度分布を付与した。
【0079】
このゲルをアセトン中に移し、酢酸カリウム及び酢酸バリウムの微結晶をゲル細孔中に固定した。その後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲルを得た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウムガスをブローしながら740℃で焼成した。これにより、割れのない直径が約2.5mmの白色半透明のガラス体を得た。
【0080】
このガラス体を両面研磨によって厚さ1.05mmの平板に加工し、透過特性を測定したところ、全光透過率80%、拡散透過率37%、拡散透過率/全光透過率の比は46%であった。また、中心部の屈折率(nd)は1.63、中心部と周辺部の屈折率の差(Δnd)は0.025であった。
【0081】
この平面ガラス体を光源装置に接続した光ファイバーの先端に置いた状態で、光の配光特性を測定したところ、屈折率分布と粒子による光拡散との相乗効果により、広い配光特性が得られ、また光源像による配光ムラのない照明光が得られることを確認できた。
【0082】
さらに、両面研磨したガラス体について、50℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置した後観察する方法により、耐候性試験を行った。その結果、研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測定を行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
【0083】
(実施の形態7)
この形態では、SiO2−TiO2−K2Oからなるベースガラス内にAl2O3をコーティングしたSiO2の球状粒子を分散させた光散乱性ガラス材料を作製した。
【0084】
まず、テトラメチルシリケート46.8gに0.01規定の塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌し、部分加水分解反応を行った。この溶液を撹拌しながら、チタンノルマルブトキシド33.2gを溶解した1−ブタノールを加え、さらに1時間撹拌を続けて、チタンノルマルブトキシドを反応させた。これにアンモニア水溶液42mlを添加し、さらに5分間程撹拌した。
【0085】
一方、平均粒径1.5μmのSiO2の球状粒子(商品名「アドマファインS0−C5」)に対し、テトラメチルシリケート(TMOS)、Al(sec・OC4H9)4)及び重合剤を含有したコーティング液をスプレーした後、ミキサーにより撹拌して、コーティング液を粒子表面にコーティングし、乾燥した。さらに、Al(sec・OC4H9)4)の含有量を1.3倍にした次のコーティング液を用い、同様の方法により、第2層目のコーティングを行った。
【0086】
以上のコーティングによって得られた粒子をガラス化時に0.005vol%となるように加え、この反応容器を超音波洗浄機中に1分間入れて、超音波をかけ、凝集した粒子を分散させた。さらに3分間撹拌して、粒子を均一に分散させた後、ポリメチルペンテン(商品名「TPX」)からなる内径9mmの容器に分注した。
【0087】
次に、容器に蓋をして密閉し50℃でゲル化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成した。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の5倍量のメタノールに1日浸漬した。
【0088】
さらに、濃度0.4mol/リットルの酢酸カリウム水溶液にゲルを移し、1日浸漬することにより、ゲル中にカリウムをドープした。このゲルをアセトン中に移し、酢酸カリウム微結晶をゲル細孔中に固定した。その後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲルを得た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウムガスをブローしながら730℃で焼成した。これにより、割れのない直径が約2.5mmの白色半透明のガラス体を得た。
【0089】
このガラス体を両面研磨によって厚さ0.51mmの平板に加工し、透過特性を測定したところ、全光透過率87%、拡散透過率38%、拡散透過率/全光透過率の比は44%であった。
【0090】
上述した粒子の屈折率は1.45、粒子に施したコーティング層の屈折率は、第1層が1.511、第2層が1.563であるのに対し、ガラス体の屈折率は、1.642であり、コーティング層は粒子及びガラス体の中間の屈折率であった。この中間の屈折率を有するコーティング層により、光透過効率を向上させることが確認された。
【0091】
さらに、両面研磨したガラス体について、50℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置した後観察する方法により、耐候性試験を行った。その結果、研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測定を行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
【0092】
【発明の効果】
本発明の光散乱性ガラス材料は、ガラス材料であるために耐性が良く、光散乱性材料の使用用途を拡大することができる。また、表面をレンズ形状にして使用する場合に適した高屈折率の光散乱性ガラス材料とすることができ、これにより、照明装置の小型化、薄型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベースガラスの屈折率と分散した粒子の屈折率との関係を示す特性図である。
【図2】作製されるゲル体の外形を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ベースガラス
2 粒子
Claims (4)
- 少なくともSiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベースガラスと、
このベースガラスと屈折率が異なる少なくとも一種の透光性を有してベースガラス内に分散した粒径0.1μm以上のガラス粒子または金属酸化物粒子とを備え、
前記ガラス粒子または金属酸化物粒子がベースガラスの屈折率と前記ガラス粒子または金属酸化物粒子との中間の屈折率を有したコーティング層によって被覆されていることを特徴とする光散乱性ガラス材料。 - 請求項1に記載の光散乱性ガラス材料において、
前記ベースガラスの屈折率(nd)がl.6以上である、光散乱性ガラス材料。 - 請求項1に記載の光散乱性ガラス材料において、
前記ベースガラス内に分散するガラス粒子または金属酸化物粒子は、平均粒径d(mm)が、0.0001mm≦d≦0.05mmの球状または楕円球状である、光散乱性ガラス材料。 - 請求項1に記載の光散乱性ガラス材料において、
前記ベースガラス内に分散するガラス粒子または金属酸化物粒子の濃度C(vol%)が、粒子の平均粒径をd(mm)、使用する厚みをt(mm)としたとき、5d/t≦C≦300d/tの範囲内である、光散乱性ガラス材料。
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