JP2002274860A - 光散乱性ガラス材料及びその製造方法 - Google Patents
光散乱性ガラス材料及びその製造方法Info
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Abstract
ラス材料とする。 【解決手段】 少なくともSiO2と、TiO2、Nb
2O5、ZrO2、Al 2O3、PbO、BaO、La
2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベー
スガラス内に、ベースガラスと屈折率が異なる少なくと
も一種の透光性を有した粒径0.1μm以上のガラス粒
子または金属酸化物粒子が分散している。
Description
一に拡散することが必要な各種照明装置や液晶表示素子
に用いられて均一の照明を行ったり、或いは情報通信用
部品等として用いる光散乱性ガラス材料に関する。
ら、室内照明用のカバーをはじめ、各種照明用途に使わ
れている。透明な熱可塑性樹脂に粒子を分散させた光散
乱材料は、古くから照明カバー用の材料として製造され
てきたが、近年環境問題への関心から、より光量ロスの
少ない材料が求められている。また、液晶表示素子のバ
ックライトパネルなどの新しい用途への広がりと同時に
薄型化が進んで、光源との距離が近くなっており、この
ため、より高い光散乱性も求められてきている。
クリル樹脂に実質的に球状の平均粒径5〜20μmの架
橋重合体微粒子を分散させた光散乱性樹脂が開示されて
いる。光拡散剤としては、硫酸バリウムや炭酸カルシウ
ム等の無機粒子が用いられることもある。特開昭56−
106237号公報には、透明アクリル樹脂中にガラス
ビーズを分散させることにより、透過型スクリーンを製
造する方法が開示されている。
粒子を分散させる基材部分が樹脂であるため、耐熱性、
耐候性に劣るものであり、また、長期の使用により、変
色するなどの問題も有している。また、光源の近くで用
いる場合の加熱や、内視鏡先端部の照明レンズに使用し
た場合の滅菌のための薬液浸漬や加熱に耐えることがで
きない不便さを有している。
べて、化学的、熱的耐久性において数段優れている。ガ
ラス材料として乳濁したガラスは、オパールガラスと呼
ばれ、古くから工芸品等の用途に多く用いられている。
率の異なる結晶やガラス粒子が分散された状態となって
おり、光が粒子とガラスの界面で反射、散乱することに
より、乳濁色を呈する。その製造には、低融点ガラスに
溶解速度の小さいTiO2、SiO2などの酸化物を加
えて懸濁させる方法や、高温で溶解したガラスを、冷却
過程または再加熱により粒子を析出させる方法が用いら
れている。この内、後者の方法では、フッ化物系、燐酸
塩系、ホウケイ酸系ガラスが用いられる。これらの方法
では、添加する微粒子の量や冷却過程での冷却速度を変
えることにより、乳白度をコントロールすることが可能
となっている。
られるガラスの耐性があまり良くないものである。これ
は、分散した微粒子の融点に比べて、マトリックスガラ
スとして融点の低いガラスを選択しなければならないこ
とから、化学的耐性の低い成分を選択せざるを得ないた
めである。
セラミックスが知られているが、析出させる粒子のサイ
ズ制御と粒子の濃度の制御とを独立に行うことが難し
く、所望の光散乱性を得ることは原理的に困難である。
また、ベースガラス部分の屈折率の小さな組成系が多
く、高屈折率の光散乱性材料を得ることが難しい。
折率材料しかないことは、素子の小型化、薄型化を妨げ
る要因となっている。すなわち、素子の小型化、薄型化
のためには、素子内の粒子による光散乱だけでなく、素
子の面形状によっても光散乱性を制御したいという要求
があるが、低屈折率材料では、材料表面での光の屈曲が
小さく、このため照明領域の制御幅を大きくすることが
できないものとなっている。
素子にレンズ面を形成する加工が困難となる。特に、微
小なレンズを用いて、より広い範囲を照明したい場合に
は、面の曲率半径が小さいと加工が困難となる。照明用
途では、特に大きく光線の方向を屈曲させるために、非
球面度の大きいレンズが設計上望まれる。しかし、その
製造は難しくなる一方であり、材料面での屈曲を大きく
するためには、材料の屈折率による制約を外したい課題
がある。
術の問題点を解決し、耐性が良好で、光量ロスが少ない
光散乱性ガラス材料を提供することを目的とする。ま
た、表面をレンズ形状にして使用する場合に適した高屈
折率の光散乱性ガラス材料およびレンズ面のみでなくそ
れ自身が光を屈折する作用を有した光散乱性ガラス材料
を提供することを目的とする。さらに、本発明は、これ
らの光散乱性ガラス材料を製造する方法を提供すること
を目的とする。
くともSiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、
Al2O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3か
ら選ばれた一種とを含む透明なベースガラス内に、ベー
スガラスと屈折率が異なる少なくとも一種の透光性を有
した粒径0.1μm以上のガラス粒子または金属酸化物
粒子が分散していることを特徴とする。
O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2
O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベース
ガラス内に、ベースガラスと屈折率が異なる少なくとも
一種の透光性を有したガラス粒子または金属酸化物粒子
が分散しており、これらの粒子の粒径が1μm以上の光
散乱性ガラス材料の場合には、ベースガラス内に分散す
る粒子と、ベースガラスとの境界面での屈折率差によ
り、光が屈折して散乱する。
成分を組み合わせて用いることにより、高屈折率の材料
が得られるとともに、光散乱材料として使用する粒子と
の屈折率差を任意に設定することができるため、光散乱
性の制御が可能である。散乱透過光を利用するにあた
り、粒子のサイズが0.1μm未満では、透過光線の波
長依存性が大きくなり、透過光の色温度を変えてしまう
問題がある。
融点の低い燐酸など化学的耐久性の悪い原料を用いる必
要があったが、本発明の光散乱性ガラス材料において
は、このような耐性の悪い成分を用いる必要がなく、こ
のため、耐性の良好な乳白ガラスを得ることができる。
より容易にコントロールできるため、使用する厚みに合
わせた光散乱性の制御が可能となる。
ば、透過光量は減少する。全透過率や全透過光に対する
拡散光の割合の適当な値は、その光拡散性ガラス材料の
用途や使用時のサイズにより変わるため、一概に規定す
ることはできないが、入射光の方向と出射光の方向が同
一方向である場合には、使用時の厚みでの全光透過率が
60%以上、全光透過率に対する拡散透過率の比率が2
0%以上であることが好ましい。ここで、全光透過率
は、材料を透過した光を積分球により集光し検出するこ
とにより測定した値である。また、拡散透過率は、積分
球のサンプルと相反する位置の拡散板を外し、拡散透過
光のみを集光し検出した値である。全光透過率に対する
拡散透過率の比率とは、これらの両者の比である。
2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、
PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一
種とを含む透明なベースガラスと、このベースガラスと
屈折率が異なる少なくとも一種の透光性を有してベース
ガラス内に分散した粒径0.1μm以上のガラス粒子ま
たは金属酸化物粒子とを備え、前記ガラス粒子または金
属酸化物粒子がベースガラスの屈折率との中間の屈折率
を有したコーティング層によって被覆されていることを
特徴とする。
子の周囲を、ベースガラスの屈折率との中間の屈折率を
有したコーティング層によって被覆することにより、ガ
ラス粒子または金属酸化物粒子を核とした中間の屈折率
層がベースガラスとの間に存在し、界面での反射による
ロスを減らすことができ、光量ロスを少なくすることが
できる。
成は、核となるガラス粒子または金属酸化物粒子の表面
を金属アルコキシドを含むゾル溶液によりコーティング
した後に、ベースガラスとなるゾル溶液に分散し、ゲル
化した後、焼成によりガラス化することにより行うこと
ができる。金属アルコキシドによってコーティングした
粒子は、表面に−OH基が多く存在し、ゾル中での分散
性が良好となる。
コーティング膜を緻密化してからゾル中へ分散させても
良いが、加熱せずに分散させベースガラスの焼成時に同
時に加熱して緻密化しても良い。粒子表面にコーティン
グするための金属アルコキシド溶液は、金属成分の量を
調整することにより、コーティング層の屈折率を任意に
変更することが可能である。従って、屈折率を変えた複
数のコーティングを行うことにより、屈折率が傾斜した
粒子を作製することも可能となる。また、ある屈折率の
コーティングを行った後で、その中に金属成分をドー
プ、あるいは溶出する工程を施すことにより、屈折率が
滑らかに傾斜した粒子を作製することができる。
2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2O3、
PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ばれた一
種とを含む透明なベースガラス内に、ベースガラスと屈
折率が異なる少なくとも一種の透光性を有した粒径0.
1μm以上のガラス粒子または金属酸化物粒子が分散し
ており、前記ベースガラスを構成する成分の濃度がベー
スガラス内の位置により傾斜することにより屈折率分布
が付与されていることを特徴とする。
付与することにより、光拡散の角度を広げたり、逆に狭
めたりすることが可能となり、目的に応じて効果的な照
明を行うことが可能となる。
2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La
2O5、Y2O3のいずれかの粒子の濃度分布に傾斜を
付与することにより行うことができる。また、これらの
組成の他に、Na、K,Li等のアルカリ金属種を含有
させることによっても可能である。
としては、粒子を分散しゲル化した後のゲルを溶液に浸
漬し、ゲル中の金属酸化物成分の一部を選択的に溶出し
た後、乾燥、焼成することにより行うことができる。金
属酸化物成分の一部を選択的に溶出する方法としては、
水、アルコールなどの溶媒に浸漬することにより、ゲル
細孔中に未反応の状態で浮遊している金属成分を流し出
す方法や、水、アルコール中に金属塩を溶解し、その溶
液に浸漬して、より速い速度で金属成分を流し出す方法
や、さらに積極的には、酸、アルカリなどの希釈溶液を
用いて、ゲル骨格を構成する金属成分と酸素との共有結
合を切断して溶出する方法などを選択することができ
る。
あるいはガラス構造を有しているため、ゲル体に分布付
与する工程により、その屈折率の性質が変化することは
ない。また、粒子が存在することにより、濃度分布を形
成するイオン拡散段階で、粒子の近傍で若干の濃度分布
の乱れが生じるが、照明用途に用いるレベルにおいて
は、何ら問題になるものではない。
方向に分布を有した形態が、平面状でも集光あるいは発
散作用を得られるため、比較的使い易い。これに限ら
ず、軸方向の屈折率分布あるいは球面方向や半球面方向
の屈折率分布などのいずれの屈折率分布であっても使用
方法に応じて選択することが可能である。
ベースガラスにおいては、材料の中心部で屈折率が高い
凸状分布や周辺部で屈折率が高い凹状分布のいずれの材
料も有効に使用可能である。凹状分布の場合には、平板
研磨した場合に凹レンズのように光を広げる作用を有す
るため、照明用途に広く使用されている凹レンズ状の拡
散レンズの代わりに使用することが可能となる。凸レン
ズによって光を広げる方法は、特に小型の照明装置にお
いて有効であり、このため凸状の屈折率分布を有した材
料は、凸レンズの代わりに使用することが可能である。
て近似できるが、ここで 高次項の係数が大きくなるよ
うな非球面レンズに相当するような屈折率分布を付与す
ることが比較的容易であるため、非球面レンズの代わり
に使用することができる。これにより、従来では加工が
困難であったような非球面度の大きなレンズの製造が可
能となる。これら、ベースガラスに屈折率分布を持つ光
拡散性ガラス素子は、上述のように平板研磨により使用
するだけでなく、球面、非球面形状により更にレンズ効
果を付与することにより、任意の画角範囲を均一に照明
することを可能にする。
うな楕円状の断面形状(図2(a))や長方形の断面形
状(図2(b))や円弧と長方形を合わせたような回転
非対称な断面形状(図2(c))となった棒状ゲル体を
作製し、そこに屈折率分布を付与することもできる。こ
れにより、断面における屈折率等高線の形状が楕円形状
や、長方形(ただし、角部分は丸められる)形状や、回
転非対称な形状とすることができるため、回転非対称な
レンズ作用を有した光拡散性ガラス材料とすることがで
き、目的に応じ有効に使用することができる。
り、その屈折率が分散している粒子の屈折率と近い場合
には、粒子とベースガラスとの屈折率差が小さい程、光
散乱性が小さくなる。このため、場所により光散乱性を
コントロールした材料とすることが可能である。すなわ
ち、粒子自体が均一に分散している場合にも、場所によ
り光拡散の度合いを変えることができる。これは、例え
ば、光拡散性ガラス材料を凸レンズ状に研磨して使用す
る場合に、図1(a)に示すように中心の肉厚部分でベ
ースガラス1の屈折率と粒子2の屈折率差を比較的近く
しておき、周辺の肉薄部分に向かう屈折率差を大きくす
ることによって、肉厚による光散乱性の差を少なくする
ことができる効果がある。同様に光散乱性ガラス材料を
図1(b)に示す凹レンズ状にする場合には、ベースガ
ラス1の周辺部分の屈折率を粒子2の屈折率と近づけて
おくことにより、肉厚による光散乱性の差を小さくする
ことができる。また、鋸歯状の面形状を有する場合にも
同様であり、肉厚となる部分の屈折率を粒子に屈折率と
近づけることにより、厚みの違いによる透過光量を防
ぎ、光量のムラを防ぐことができる。
る場合には、上述のような光散乱性の位置による変化に
は、ほとんど影響しない。従って、平板状での使用に際
しても、屈折率分布による光を広げる効果と、粒子によ
る光散乱性の両方の効果を得ることができる。また、屈
折率分布と粒子による光散乱性は、それぞれ独立に制御
できるため、目的に応じて任意の光散乱性ガラス材料と
することが可能となる。
かに記載の光散乱性ガラス材料であって、前記ベースガ
ラスの屈折率(nd)がl.6以上であることを特徴と
する。
以上であることが望ましい。これにより、光散乱性ガラ
ス材料を、凸面または凹面のレンズ形状で使用する場合
に、レンズ面の曲率を大きくすることが可能となり、ま
た同じ曲率の場合には、開口を大きくとることができ
る。また、回転非対称な形状によって散乱光の取り出し
方向をコントロールする場合にも、ベースガラスの屈折
率が1.6以上であることにより、取り出し角度を大き
くすることができる。粒子もその配合割合により、トー
タルの屈折率に寄与する。
合わせて用いる金属酸化物MxOyとその含有比率(モ
ル比)として好ましい下限値を表1に示す。例えば、ベ
ースガラスとして、SiO2とTiO2を合わせて用い
る場合には、モル比がTiO 2/SiO2≧0.2であ
ることが好ましく、ベースガラスとして、SiO2とN
b2O5を合わせて用いる場合には、モル比がNb2O
5/SiO2≧0.1であるのが好ましい。また、この
他に、ガラス化を容易にするために少なくとも一種のア
ルカリ金属を含むのが良好である。
わせて用いることも可能である。この場合、実際のベー
スガラスに含まれる各成分のSiO2に対するモル比を
Bとし、表1のAの値との比率の総和が1以上となるよ
うに各成分の量を設定するのが望ましい。すなわち、下
記する式1となるようにSiO2以外の各金属酸化物成
分を組み合わせるのが良好である。これにより、ベース
ガラスの屈折率を1.6以上とすることができる。
は、ガラス化のために添加するため、その量は組み合わ
せて用いる酸化物種や、その割合に応じて添加する。N
a2O、K2Oについては、3〜15モル%程度含有す
るのが効果的である。
かに記載の光散乱性ガラス材料であって、前記ベースガ
ラス内に分散するガラス粒子または金属酸化物粒子は、
平均粒径d(mm)が、0.0001mm≦d≦0.0
5mmの球状または楕円球状であることを特徴とする。
ス粒子または金属酸化物の粒子は、球状または楕円球状
である。このように粒子の形状を球状または楕円球状と
することにより、後方への散乱を減らし、光を前方へ透
過することが可能となる。従って、光効率を良くするこ
とができる。球状粒子を用いることにより、針状粒子を
使用する場合に問題となるような溶液中へ分散し、分散
状態を固定するまでの間に粒子の向き(配向)を気にす
る必要がなくなり、得られる光拡散体の品質を安定させ
ることもできる。また、球状粒子では、拡散光の拡散方
向も均一となるため、照明光のぎらつきや照明ムラが生
じることがなくなる。
は0.0001≦d≦0.050の範囲であるのが望ま
しい。0.0001mm未満では、透過光線の波長依存
性が大きくなり、透過光の色温度を変える問題が発生す
る。平均粒径が0.05mmよりも大きくなると、十分
な光拡散効果が得られず、レンズと組み合わせて使用す
る場合等においては、散乱透過光に粒子自身の影が照明
ムラとして目立つようになる。
ル溶液中への分散性を考慮した観点からも、平均粒径が
0.0001≦d≦0.005の粒子を用いることが望
ましい。粒子が0.005mm以上である場合には、液
中に均一に分散した状態を保持するために、ゾルの重合
反応が進んで相当な粘度になる状態まで、撹拌または振
動を与える必要があり、好ましくない。
d≦0.002の範囲である。この範囲の平均粒径の場
合には、ゾル状態でいったん 均一に分散させれば、ゲ
ル化までの間、分散のために特別な操作をしなくても均
一に分散した状態を保持することができる。粒子径分布
の範囲はあまり広くないことが望ましく、平均粒径は、
0.0004≦d≦0.002の場合にも、最大粒子径
が0.01mmを越えないことが望ましい。
は、湿式法により作製された金属酸化物微粒子や、球状
のSi、Al等を溶融酸化することにより作製された金
属酸化物微粒子が適している。前者の湿式法により作製
された微粒子は、1μm以下である場合が多く、光の均
一分散性に優れている。また、後者の溶融酸化により作
製された金属酸化物微粒子は、0.5〜20μmであ
り、優れた真球形状を有しているため、光散乱性と均一
分散性の両面から優れたものとなる。なお、金属酸化物
粒子としては、単一の金属酸化物だけでなく、複合した
酸化物であっても有効である。
光散乱粒子として適している。また、ガラスビーズは、
金属酸化物と比べて、屈折率を任意に設定できるため、
光拡散性を制御し易い特徴がある。
かに記載の光散乱性ガラス材料であって、前記ベースガ
ラス内に分散するガラス粒子または金属酸化物粒子の濃
度C(vol%)が、粒子の平均粒径をd(mm)、使
用する厚みをt(mm)としたとき、5d/t≦C≦3
00d/tの範囲内であることを特徴とする。
粒子のサイズにより好ましい値が変わり、一概に規定で
きない、粒子が分散しているガラスに対し、粒子の割合
が0.001vol%〜50vol%程度であることが
望ましい。粒子の含有割合が50vo1%以上になる
と、ベースガラス部分の比率が少なくなるため、強度の
低下が問題となる。また、粒子の含有割合が少ない湯合
には、十分な光散乱性能を得ることができない。
散乱性ガラス材料を使用する厚みをt(mm)とした場
合の好ましい濃度C(vol%)は、5d/t≦C≦3
00d/tの範囲である。この範囲内とすることによ
り、特に優れた光散乱性を付与することができる。
場合には、平均粒子径が0.001mmの粒子を濃度
0.01vol%%から0.6vol%の範囲で使用す
ることが好ましい。ここで、好ましい濃度に対して幅を
設定しているのは、使用の目的により、好ましい光散乱
性と光量ロスのバランスが異なるや、同じ濃度で粒子を
添加しても、粒子とベースガラスとの屈折率の差によっ
て光散乱性が変化するためである。
と、酸化物原料としての金属アルコキシドまたは金属塩
と、加水分解、重縮合のための酸または塩基と、水とを
加えてゾルとする工程と、このゾル中に透光性を有した
ガラス粒子または金属酸化物粒子を分散する工程と、そ
の後に、ゲル化、乾燥、焼成する工程とを備えているこ
とを特徴とする。
乾燥時の割れを防ぐ目的、焼成によるガラス化を容易に
する目的、ベースガラスに屈折率分布を付与する目的お
よび分布付与の予備処理、後処理の目的等のため、金属
塩を溶解した水溶液、アルコール溶液等に浸漬すること
が好ましい。
SiO2と、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Al2
O3、PbO、BaO、La2O5、Y2O3から選ば
れた一種とを含むガラス組成は、シリコンアルコキシ
ド、金属アルコキシドを用いて加水分解重縮合反応を行
うことにより調製したゾルを固化し、乾燥、ガラス化し
て得ることができる。一方、光散乱のための粒子は、ゾ
ル溶液中に粒子を分散させて固化することによって均一
に分散させることが良好である。この粒子は、あらかじ
め、アルコールや水などの溶液に分散させてから添加し
ても良く、直接ゾル溶液に添加した後に、撹拌、超音波
等の適当な方法により分散させても良い。数μm以下の
細かい粒子を用いる場合には、吸湿によって粒子同士が
付着し易いため、超音波による分散が特に効果的であ
る。
用上問題のないレベルでゲル化までの間、その均一な分
散性を保持する必要がある。従って、作製されたゾルを
速くゲル化させるために、溶媒が沸騰しない温度範囲内
で加温したり、グリコール類のような高粘度の溶媒を添
加してゾルの粘度を高くし、沈降を防ぐこと等も有効で
ある。シリコン(SiO2)以外のTiO2、Nb2O
5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La2O
5、Y2O3等の原料としては、金属アルコキシドの他
に、酢酸塩、硝酸塩等の有機塩、無機塩を用いることが
できる。これらの塩は、ゾル調製時に添加しても良く、
ゾルを固化したゲルをこれらの塩を溶解した溶液に浸漬
することによりゲル中にドープしても良い。
加水分解の反応速度の大きなジルコニウム、チタニウム
等のアルコキシドに対しては、アルコキシドのアルコー
ル溶液中に該アルコキシドの水に対する反応性を低下さ
せる化合物を添加することが望ましい。アルコキシドの
水に対する反応性を低下させる化合物としては、N,
N’−ジメチルモノエタノールアミン、N,N’−ジエ
チルモノエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノー
ルアミン、あるいはアセチルアセトン等のβ−ジケト
ン、無水酢酸、アセト酢酸メチルやアセト酢酸エチル、
アセト酢酸プロピル等のアセト酢酸エステル、マロン酸
ジメチルやマロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル等の
ジカルボン酸エステル、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール等のジオール等が挙げられる。
の添加は、重合反応による金属酸化物の網目形成に影響
し、網目構造を制御する。従って、上記化合物の添加に
よって、作製されるベースガラス部分の透光性を制御す
ることが可能となる。これらの化合物の適当量を添加す
ることにより、ベースガラスの透光性が良好となり、こ
れにより、光量ロスが低減し、光散乱性ガラス材料の性
能をより高める効果がある。
SiO2−TiO2−K2Oからなるベースガラス内に
SiO 2の球状粒子を分散させた光散乱性ガラス材料を
作製した。
S、Si(OCH3)4)46.8gに0.01規定の
塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌して部分加水分解
反応を行った。この溶液を撹拌しながら、チタンノルマ
ルブトキシド22.5gを溶解した1−ブタノールを加
え、更に1時間撹拌を続けて、チタンノルマルブトキシ
ドを反応させた。
l添加し、さらに5分間程撹拌した後、平均粒径1.0
μmのSiO2の球状粒子(商品名「アドマファインS
0−C5」)をガラス化時に0.005vol%となる
ように加え、この反応容器を超音波洗浄機中に1分間入
れて、超音波をかけ、凝集した粒子を分散させた。さら
に3分間撹拌して、粒子を均一に分散させた後、ポリメ
チルペンテン(商品名「TPX」)からなる内径9mm
の容器に分注した。
化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成し
た。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の5倍量の
メタノールに1日浸漬した。
酸カリウム水溶液にゲルを移し、1日浸漬することによ
り、ゲル中にカリウムをドープした。このゲルをアセト
ン中に移し、酢酸カリウム微結晶をゲル細孔中に固定し
た後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲルを得
た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウムガスを
ブローしながら740℃で焼成した。これにより、割れ
のない直径が約2.5mmの白色半透明のガラス体を得
た。
に研磨し、透過特性を測定したところ、全光透過率77
%、拡散透過率40%、拡散透過率/全光透過率の比は
52%であった。また、屈折率(nd)は、1.562
であった。
℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置し
た後観察する方法により、耐候性試験を行った。その結
果、研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測定を
行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
iO2−TiO2−K2Oからなるベースガラス内にS
iO2の球状粒子を分散させた光散乱性ガラス材料を作
製した。
に0.01規定の塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌
し、部分加水分解反応を行った。この溶液を撹拌しなが
ら、チタンノルマルブトキシド45.2gを溶解した1
−ブタノール/アセチルアセトン溶液を加え、さらに1
時間撹拌を続けて、チタンノルマルブトキシドを反応さ
せた。
し、さらに5分間程撹拌した後、平均粒径1.5μmの
SiO2の球状粒子(商品名「アドマファインS0−C
3」)をガラス化時に0.05vol%となるように加
え、この反応容器を超音波洗浄機中に1分間入れて、超
音波をかけ、凝集した粒子を分散させた。さらに3分間
撹拌して、粒子を均一に分散させた後、ポリメチルペン
テン(商品名「TPX」)からなる内径9mmの容器に
分注した。
化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成し
た。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の5倍量の
メタノールに1日浸漬した。
酸カリウム水溶液にゲルを移し、1日浸漬することによ
り、ゲル中にカリウムをドープした。このゲルをアセト
ン中に移し、酢酸カリウム微結晶をゲル細孔中に固定し
た後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲルを得
た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウムガスを
ブローしながら730℃で焼成した。これにより、割れ
のない直径が約2.5mmの白色半透明のガラス体を得
た。
51mmの平板に加工し、透過特性を測定したところ、
全光透過率80%、拡散透過率37%、拡散透過率/全
光透過率の比は46%であった。また、その屈折率(n
d)は、nd=1.73であった。
相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置した後
観察する方法により、耐候性試験を行った。その結果、
研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測定を行っ
たところ、有意な変化は観察されなかった。
2と同様な方法により作製したゾルに対して、SiO2
の球状粒子の添加量を、ガラス化時に0.001vol
%となるように加えて白色半透明のガラス体を得た。こ
のガラス体を0.51mmの平板に研磨して、透過特性
の測定を行った結果、546nmにおける全光透過率8
3%、拡散透過率4%であり、拡散透過率/全光透過率
の比は4.8%であった。従って、比較例のガラス体で
は、この厚みで使用するには光散乱性が不足しているも
のであった。
は、実施の形態2と同様な方法により作製したゾルに対
するSiO2の球状粒子の添加量を変更して白色半透明
のガラス体を作製し、このガラス体の透過特性の測定を
行った。これらの実施の形態の条件及び結果を表2に示
す。また、両面研磨したガラス体について、50℃、相
対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放置した後観
察する方法により、耐候性試験を行った。その結果、各
実施の形態とも研磨表面に全くヤケは見られず、透過特
性の測定を行ったところ、有意な変化は観察されなかっ
た。
−TiO2−BaO−K2Oからなるベースガラス内に
Al2O3の球状粒子を分散させた光散乱性ガラス材料
を作製した。
に0.01規定の塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌
し、部分加水分解反応を行った。この溶液を撹拌しなが
ら、チタンノルマルブトキシド15.4gを溶解した1
−ブタノールを加え、さらに1時間撹拌を続けて、チタ
ンノルマルブトキシドを反応させた。
を60ml添加し、さらに5分間程撹拌した後、平均粒
径0.7μmのAl2O3の球状粒子(商品名「アドマ
ファインA0−502」)をガラス化時に0.007v
ol%となるように加え、この反応容器を超音波洗浄機
中に1分間入れて、超音波をかけ、凝集した粒子を分散
させた。さらに3分間撹拌して、粒子を均一に分散させ
た後、ポリメチルペンテン(商品名「TPX」)からな
る内径9mmの容器に分注した。
化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成し
た。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の8倍量の
イソプロパノール水溶液、エタノール水溶液に1日ずつ
浸漬した。
酸カリウムメタノール溶液にゲルを移し、8時間浸漬す
ることにより、ゲル中にカリウムをドープすると共に、
ゲル中のBaをゲル外周部より溶出してBaに径方向凸
状の濃度分布を付与した。
ム及び酢酸バリウムの微結晶をゲル細孔中に固定した。
その後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲルを
得た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウムガス
をブローしながら740℃で焼成した。これにより、割
れのない直径が約2.5mmの白色半透明のガラス体を
得た。
05mmの平板に加工し、透過特性を測定したところ、
全光透過率80%、拡散透過率37%、拡散透過率/全
光透過率の比は46%であった。また、中心部の屈折率
(nd)は1.63、中心部と周辺部の屈折率の差(Δ
nd)は0.025であった。
ファイバーの先端に置いた状態で、光の配光特性を測定
したところ、屈折率分布と粒子による光拡散との相乗効
果により、広い配光特性が得られ、また光源像による配
光ムラのない照明光が得られることを確認できた。
50℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放
置した後観察する方法により、耐候性試験を行った。そ
の結果、研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測
定を行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
−TiO2−K2Oからなるベースガラス内にAl2O
3をコーティングしたSiO2の球状粒子を分散させた
光散乱性ガラス材料を作製した。
に0.01規定の塩酸15.4mlを加えて1時間撹拌
し、部分加水分解反応を行った。この溶液を撹拌しなが
ら、チタンノルマルブトキシド33.2gを溶解した1
−ブタノールを加え、さらに1時間撹拌を続けて、チタ
ンノルマルブトキシドを反応させた。これにアンモニア
水溶液42mlを添加し、さらに5分間程撹拌した。
状粒子(商品名「アドマファインS0−C5」)に対
し、テトラメチルシリケート(TMOS)、Al(se
c・OC4H9)4)及び重合剤を含有したコーティン
グ液をスプレーした後、ミキサーにより撹拌して、コー
ティング液を粒子表面にコーティングし、乾燥した。さ
らに、Al(sec・OC4H9)4)の含有量を1.
3倍にした次のコーティング液を用い、同様の方法によ
り、第2層目のコーティングを行った。
をガラス化時に0.005vol%となるように加え、
この反応容器を超音波洗浄機中に1分間入れて、超音波
をかけ、凝集した粒子を分散させた。さらに3分間撹拌
して、粒子を均一に分散させた後、ポリメチルペンテン
(商品名「TPX」)からなる内径9mmの容器に分注
した。
化させ、得られたゲルをさらに5日間50℃で熟成し
た。このゲルを容器から取り出し、ゲル体積の5倍量の
メタノールに1日浸漬した。
酸カリウム水溶液にゲルを移し、1日浸漬することによ
り、ゲル中にカリウムをドープした。このゲルをアセト
ン中に移し、酢酸カリウム微結晶をゲル細孔中に固定し
た。その後、30時間かけて90℃まで乾燥して乾燥ゲ
ルを得た。このゲルを管状炉により酸素およびヘリウム
ガスをブローしながら730℃で焼成した。これによ
り、割れのない直径が約2.5mmの白色半透明のガラ
ス体を得た。
51mmの平板に加工し、透過特性を測定したところ、
全光透過率87%、拡散透過率38%、拡散透過率/全
光透過率の比は44%であった。
施したコーティング層の屈折率は、第1層が1.51
1、第2層が1.563であるのに対し、ガラス体の屈
折率は、1.642であり、コーティング層は粒子及び
ガラス体の中間の屈折率であった。この中間の屈折率を
有するコーティング層により、光透過効率を向上させる
ことが確認された。
50℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽の中で24時間放
置した後観察する方法により、耐候性試験を行った。そ
の結果、研磨表面に全くヤケは見られず、透過特性の測
定を行ったところ、有意な変化は観察されなかった。
材料であるために耐性が良く、光散乱性材料の使用用途
を拡大することができる。また、表面をレンズ形状にし
て使用する場合に適した高屈折率の光散乱性ガラス材料
とすることができ、これにより、照明装置の小型化、薄
型化が可能となる。
との関係を示す特性図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 少なくともSiO2と、TiO2、Nb
2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La
2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベー
スガラス内に、ベースガラスと屈折率が異なる少なくと
も一種の透光性を有した粒径0.1μm以上のガラス粒
子または金属酸化物粒子が分散していることを特徴とす
る光散乱性ガラス材料。 - 【請求項2】 少なくともSiO2と、TiO2、Nb
2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La
2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベー
スガラスと、このベースガラスと屈折率が異なる少なく
とも一種の透光性を有してベースガラス内に分散した粒
径0.1μm以上のガラス粒子または金属酸化物粒子と
を備え、前記ガラス粒子または金属酸化物粒子がベース
ガラスの屈折率と前記ガラス粒子または金属酸化物粒子
との中間の屈折率を有したコーティング層によって被覆
されていることを特徴とする光分散性ガラス材料。 - 【請求項3】 少なくともSiO2と、TiO2、Nb
2O5、ZrO2、Al2O3、PbO、BaO、La
2O5、Y2O3から選ばれた一種とを含む透明なベー
スガラス内に、ベースガラスと屈折率が異なる少なくと
も一種の透光性を有した粒径0.1μm以上のガラス粒
子または金属酸化物粒子が分散しており、前記ベースガ
ラスを構成する成分の濃度がベースガラス内の位置によ
り傾斜することにより屈折率分布が付与されていること
を特徴とする光散乱性ガラス材料。 - 【請求項4】 前記ベースガラスの屈折率(nd)が
l.6以上であることを特徴とする請求項1〜3のいず
れかに記載の光散乱性ガラス材料。 - 【請求項5】 前記ベースガラス内に分散するガラス粒
子または金属酸化物粒子は、平均粒径d(mm)が、
0.0001mm≦d≦0.05mmの球状または楕円
球状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載の光散乱性ガラス材料。 - 【請求項6】 前記ベースガラス内に分散するガラス粒
子または金属酸化物粒子の濃度C(vol%)が、粒子
の平均粒径をd(mm)、使用する厚みをt(mm)と
したとき、5d/t≦C≦300d/tの範囲内である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光散
乱性ガラス材料。 - 【請求項7】 シリコンアルコキシドと、酸化物原料と
しての金属アルコキシドまたは金属塩と、加水分解、重
縮合のための酸または塩基と、水とを加えてゾルとする
工程と、 このゾル中に透光性を有したガラス粒子または金属酸化
物粒子を分散する工程と、 その後に、ゲル化、乾燥、焼成する工程とを備えている
ことを特徴とする光散乱性ガラスの製造方法。
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