JPWO2007114017A1 - 乳酸発酵液からの乳酸成分の分離方法および分離装置 - Google Patents

乳酸発酵液からの乳酸成分の分離方法および分離装置 Download PDF

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Abstract

本発明の方法によれば、pH4.8以下の乳酸発酵液を、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンセン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤で抽出することにより、乳酸成分(例えば、乳酸または乳酸オリゴマー)を得ることができる。また、本発明によれば、pH4.8以下の乳酸発酵液を減圧下で加熱し、そして生成された乳酸オリゴマーを含む発酵液を水で洗浄することによって乳酸オリゴマーを得ることができる。本発明は、不純物が混入せず、簡易な工程からなる乳酸発酵液からの乳酸成分の分離方法を提供する。

Description

本発明は、乳酸発酵液から乳酸成分を分離する方法およびそのための装置に関する。
従来、乳酸発酵液からの乳酸成分の分離は、乳酸エステルとして回収する方法、乳酸カルシウムとして回収する方法、電気透析により分離する方法などにより行われている。
乳酸エステルとして回収する方法としては、発酵によって精製した乳酸アンモニウムに、ブタノールまたはペンタノールを添加して乳酸エステルを合成し、蒸留によって回収する方法が開示されている(例えば、特開平6−311886号公報)。
乳酸カルシウムとして回収する方法としては、発酵によって得られた乳酸を、水酸化カルシウムや炭酸カルシウムで中和し、乳酸カルシウムを沈殿させて回収する方法が開示されている(例えば、特開平6−070679号公報)。
電気透析による方法としては、乳酸発酵液を、陽極、陰極、および交互に配置した陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを備えた電気透析槽の脱塩室に導入して、発酵液中に含まれる乳酸塩を濃縮分離する方法が開示されている(例えば、特開平7−155191号公報)。
発酵乳酸を原料とするポリ乳酸の製造方法が、特開2002−300898号公報および特開平10−287668号公報に記載されている。特開2002−300898号公報には、乳酸発酵で得られた乳酸アンモニウムを、アルコールを用いてエステル化し、重縮合し、そしてラクチド生成を経て、重合し、ポリ乳酸を製造する方法が記載されている。特開平10−287668号公報には、乳酸アンモニウムから加熱減圧してラクチドを生成する方法、およびアンモニアを気化させるとともに脱水縮重合して、ポリ乳酸を製造する方法が記載されている。これらの方法はいずれも、塩の形態である発酵乳酸(乳酸アンモニウム塩)をフリー体に戻す必要なく重合する方法として記載されている。ポリ乳酸の製造のために、乳酸アンモニウムをキシレンと共沸脱水した後、重量平均分子量70,000のポリ乳酸を塩化メチレンおよびメタノールを用いて結晶化している。
乳酸発酵液から乳酸成分を分離する従来の方法では、ブタノールまたはペンタノールなどのアルコール、および水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムなどのカルシウム塩などの反応試薬を新たに追加して反応させた上で乳酸成分を分離精製する必要がある。したがって、乳酸エステルまたは乳酸カルシウムが最終目的物である場合を除いて、これらの試薬の使用は、工程数の増加または薬剤コストの増加となると共に、共存化学物質または不純物の混入の可能性を増大させ得る。例えば、分離した乳酸成分をポリ乳酸またはポリエステルポリオールのような化学品の原料として使用する場合には、反応により生成した乳酸エステルを蒸留により分離し、続いて加水分解して反応前の乳酸に戻す工程が必要である。ここで生じるアルコールは最終品には含まれ得ないことから、そもそも削減すべきである。
また、電気透析による分離方法は、膜を用いるので、膜の寿命またはファウリングが懸念される。さらに、乳酸発酵液は、乳酸以外に、乳酸菌のための栄養源および培地成分として、タンパク質および界面活性剤のような有機成分、ならびにリン酸塩、硫酸塩、酢酸塩およびクエン酸塩のような無機成分を含み得るので、膜の汚染がより深刻であり、膜のメンテナンスがコスト増加につながる。その上、発酵液中に存在する培地成分由来の塩類が、透析により乳酸塩と同様に濃縮されることから、分離の精度および乳酸塩の純度を低下させる原因となる。
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、コスト高または不純物混入の原因となる反応試薬も、分離膜のような最終品に含まれない消耗品も使用することなく、工程数の少ない乳酸発酵液からの乳酸成分の分離方法の提供を目的とする。
本発明は、乳酸成分を分離する方法を提供し、この方法は、
トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤をpH4.8以下の乳酸発酵液に添加する工程;および
室温から該溶剤の沸点までの間の温度で、該溶剤を添加した発酵液より乳酸成分を抽出する工程
を含む。
本発明はまた、乳酸成分を分離する方法を提供し、この方法は、
トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤をpH4.8以下の乳酸発酵液に添加する工程;
該溶剤を添加した発酵液を加熱して共沸させ、該発酵液を脱水する工程;および
室温から該溶剤の沸点までの間の温度で、該脱水した発酵液より乳酸成分を抽出する工程
を含む。
本発明はさらに、乳酸成分を分離する方法を提供し、この方法は、
pH4.8以下の乳酸発酵液を減圧下で100℃以下に加熱して、該発酵液を脱水する工程;
トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を該脱水した発酵液に添加する工程;および
室温から該溶剤の沸点までの間の温度で、該溶剤を添加した発酵液より乳酸成分を抽出する工程
を含む。
本発明はさらに、乳酸発酵液から乳酸オリゴマーを製造する方法を提供し、この方法は、
トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤をpH4.8以下の乳酸発酵液に添加する工程;
該溶剤を添加した発酵液を加熱して共沸させ、次いで該溶剤と水との共沸点から該溶剤の沸点までの間の温度に加熱する工程であって、該工程において、該発酵液が脱水され、かつ該発酵液中の乳酸成分が縮合されて、重量平均分子量5000以下の乳酸オリゴマーが生成される、工程;および
該乳酸オリゴマーを含む発酵液を60℃から該溶剤の沸点までの間の温度に加熱し、該発酵液より該乳酸オリゴマーを抽出する工程
を含む。
本発明はさらに、乳酸発酵液から乳酸オリゴマーを製造する方法を提供し、この方法は、
pH4.8以下の乳酸発酵液を減圧下で100〜150℃に加熱する工程であって、該工程において、脱水縮合により重量平均分子量300以上1000以下の乳酸オリゴマーを生成する、工程;
該乳酸オリゴマーを含む発酵液にトルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を添加する工程;および
該溶剤を添加した発酵液を60℃から該溶剤の沸点までの間の温度に加熱し、該発酵液より該乳酸オリゴマーを抽出する工程
を含む。
本発明はさらに、乳酸発酵液から乳酸オリゴマーを製造する方法を提供し、この方法は、
pH4.8以下の乳酸発酵液を減圧下で100〜150℃に加熱する工程であって、該工程において、脱水縮合により重量平均分子量300以上1000以下の乳酸オリゴマーを生成する、工程;および
該乳酸オリゴマーを含む発酵液を水で洗浄して、該発酵液より該乳酸オリゴマーを分離回収する工程
を含む。
1つの実施態様では、上記乳酸発酵液中の菌体が除去されている。
さらに、本発明は、乳酸発酵液から乳酸成分を分離するための装置を提供し、この装置は、
pH4.8以下の乳酸発酵液を供給する原料供給手段;
乳酸成分抽出用溶剤および洗浄溶剤からなる群から選択される溶剤を供給する溶剤供給手段であって、該乳酸成分抽出用溶剤が、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤であり、そして該洗浄溶剤が水である、溶剤供給手段;
供給された該乳酸発酵液と該溶剤とを攪拌しながら保持する反応槽;および
該反応槽から乳酸成分を分離し回収する乳酸成分分離回収手段
を備える。
1つの実施態様では、上記装置は、上記反応槽を加熱する加熱手段をさらに備える。
さらなる実施態様では、上記装置は、上記反応槽より留出した蒸気を凝縮させる冷却手段をさらに備える。
なおさらなる実施態様では、上記装置は、上記冷却手段によって凝縮した液を比重分離し、低比重の液を該反応槽に還流し、高比重の水を排出する液分離手段をさらに備える。
別の実施態様では、上記装置は、上記乳酸成分分離回収手段により採取した液を脱色する脱色手段をさらに備える。
本発明によれば、簡単な工程で、低コストで、かつ不純物が混入することなく、乳酸発酵液から乳酸成分を分離することができる。
図1は、本発明の装置の好ましい一例の概略図である。
本発明では、乳酸発酵液から乳酸成分を分離するために、乳酸発酵液のpHに着目した。本発明は、pH値が低くなるほど、乳酸イオンが解離平衡移動で乳酸となるため、または該乳酸の縮合が促進されてオリゴマーが形成されるため、乳酸成分が溶剤で容易に抽出されることを見出したことに基づく。本明細書において、乳酸成分というときは、乳酸および/または乳酸オリゴマーをいう。
(乳酸発酵液)
本発明において、乳酸発酵液とは、グルコースなどの資化可能な炭素源を、乳酸菌などの微生物を用いて発酵させ乳酸を生成させた水溶液をいう。乳酸発酵液中には、乳酸菌などの菌、発酵によって生成した乳酸、未だ資化されていないグルコースなどの炭素源、副生成物(酢酸、蟻酸など)、菌の栄養源である培地成分などが含まれる。
乳酸菌は、ビフィズス菌、エンテロコッカス菌、ラクトバチルス菌、ストレプトコッカス菌の4種に分類され得る。乳酸菌としては、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、またはリューコノストック属(Leuconostoc)に属する菌が挙げられ、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・フェカーリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ラクテイス(Streptococcus lactis)、ラクトバチルス・ブルカリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルツキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・アラビノースス(Lactobacillus arabinosus)、ラクトバチルス・カウカシクス(Lactobacillus caucasicus)、ラクトバチルス・ラクテイス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・ライシュマニ(Lactobacillus Leishmanni)、ラクトバチルス・ムシカス(Lactobacillus musicus)、ラクトバチルス・サーモフィルス(Lactobacillus thermophilus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ラクトコッカス・ラクテイス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、およびロイコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)などが挙げられる。乳酸菌として知られる菌以外であっても、乳酸を生成する限り任意の菌が乳酸発酵に使用され得るので、このような菌もまた乳酸発酵液中に含まれ得る。例えば、乳酸ヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子を組み込んだ酵母や大腸菌などを用いることもできる。乳酸成分の分離のためには、乳酸のみを産生する(ホモ乳酸発酵)菌が好ましい。
培地成分は、菌の種類によって要求されるものが異なるが、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、ヌクレオチド、および界面活性剤のような有機成分、ならびにリン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、およびクエン酸塩のような無機成分を含む。例えば、乳酸桿菌用の代表的な培地であるMRS(de Man−Rogosa−Sharpe)培地には、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、リン酸カリウム、クエン酸二アンモニウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、および界面活性剤が含まれる。また、乳酸球菌用の代表的な培地であるM17培地には、トリプトン、大豆ペプトン、ラブーレコム末、酵母エキス、アスコルビン酸、硫酸マグネシウム、およびグリセロリン酸二ナトリウムが含まれる。上記培地以外でも、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、L−システイン塩酸塩などの塩類や、チアミン、リボフラビン、ピリドキサール、シアノコバラミン、L−アスコルビン酸、葉酸、ニコチン酸、ビオチン、パントテン酸などの水溶性ビタミン類、酵母エキス、肉エキス、ペプトンなどを含む任意に混合した乳酸発酵用合成培地を用いることができる。
したがって、乳酸発酵液は、乳酸をはじめ、多くの溶質を含む混合水溶液であり、黄色、橙から茶色に着色された液であり得る。この混合水溶液中、乳酸の濃度は、およそ10〜150g/Lであり得る。
本発明の方法では、乳酸成分を分離するに先立って、乳酸発酵液中の菌体が除去されていることが好ましい。予め菌体を除去することで、後段の抽出工程での不純物を低減できる。菌体は水に不溶であるので、乳酸発酵液を静置したのちに、上清を回収することで、菌体を除いて、本発明の方法に供することができる。また、静置ではなく、遠心分離あるいは濾過によって、菌体を除くこともできる。また、この操作で夾雑物など菌体以外の不溶物も除去することができる。
(乳酸発酵液のpH)
乳酸発酵の際には、生成した乳酸によって発酵液中のpHが低下し、微生物の活性が低下する。したがって、水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、または炭酸ナトリウムのような薬剤で中和しながら、発酵を進めることが一般的である。pH5.0未満で強い発酵能を示す乳酸菌は多くないので、発酵の際には、pHは、5.0以上の中性付近に調整され得る。乳酸のpKaは約3.8である。したがって、乳酸発酵液の液性が中性付近の場合、乳酸はほとんど解離状態で、乳酸イオンとして存在している。対イオンは、中和した化学種に応じてアンモニウム、ナトリウム、カリウム、またはカルシウムのようなイオンである。
本発明の方法に供する乳酸発酵液は、4.8以下のpHを有する。乳酸のpKaは約3.8であるので、pH4.8の乳酸発酵液中では、少なくとも10モル%以上の乳酸が、解離せずに乳酸の状態で存在する。乳酸イオンと乳酸との分子の極性を比較すると、乳酸の方が乳酸イオンよりも極性が低く、水以外の溶媒に溶解しやすい。また、乳酸の含有率が低い場合であっても、乳酸を抽出するにつれて解離平衡移動が生じて溶液中に溶存し得る乳酸イオンが乳酸に移行するために、さらに乳酸を抽出できるようになる。乳酸の含有率は高い方が好ましいので、乳酸発酵液のpHは、3.8以下であることがより好ましい。例えば、pH3.8では、約50%が乳酸の状態で存在するので、より高いpHの場合よりも抽出の効率は高まる。2.8以下のpHは、さらにより好ましい。pH2.8以下では、90%以上が乳酸の状態で存在するため、抽出の効率がさらに高くなる。
上で説明したように、乳酸発酵液のpHは、通常、乳酸発酵の際には5.0以上の中性付近であり得る。このように乳酸発酵液のpHが4.8を超える場合、乳酸発酵液のpHを4.8以下に調整した後、本発明の方法に供する。pHを4.8以下に調整するためには、酸が添加され得る。添加する酸は特に限定されないが、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸、または硝酸のような酸が好ましい。また、アンモニアで中和した発酵液は、加熱することでpHを低下させることができる。この場合の加熱温度および時間は、当業者によって適宜選択可能である。例えば、130℃で4時間加熱することにより、pH4.8以下にすることができる。また、150℃で6時間加熱することによって、pH4.3まで低下させることができる。
乳酸発酵液のpHが4.8以下であると、乳酸が縮合反応しやすくなる。例えば、アンモニアで中和した乳酸発酵液の場合、pH調整前であるpH6の状態では、150℃での加熱によってもほとんど縮合しないのに対して、pH4に調整したものでは40%、pH2.5に調整したものでは90%以上が、加熱によって縮合反応を生じ得る。
(溶剤による乳酸成分の抽出)
本発明の方法では、乳酸成分が、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を用いて、抽出され得る。これらの溶剤は、工業用に用いられる任意の溶剤であり、発酵液に添加される量は、本明細書の記載に基づいて当業者が適宜決定し得る。これらの溶剤は乳酸成分の抽出のために用いられるので、本明細書中では、上記の溶剤を「乳酸成分抽出用溶剤」ともいう。
トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンおよびミネラルスピリットは、室温付近では乳酸または乳酸オリゴマーを溶解できないが、加熱することにより乳酸または乳酸オリゴマーを溶解可能になる溶剤である。したがって、これらの溶剤を乳酸発酵液に添加して、好ましくは攪拌しながら、加熱することで、該乳酸発酵液から乳酸または乳酸オリゴマーを回収することができる。また、これらの溶剤は、加熱時に乳酸または乳酸オリゴマーに対して溶解可能であると共に、室温付近では乳酸または乳酸オリゴマーを溶解できない。したがって、加熱時にこれらの溶剤に溶解していた乳酸または乳酸オリゴマーが、室温付近まで冷却されることによって不溶となり析出し、容易に分離回収することができる。このように、これらの溶剤を用いると、乳酸または乳酸オリゴマー、あるいはこれらの混合物を、加熱により抽出でき、かつ冷却操作だけで容易に回収することができる。
上記抽出する際の温度は、60℃から各溶剤の沸点までの間の温度であり得、好ましくは、150℃以下である。乳酸成分と乳酸発酵液中の他の成分(例えば、培地成分)との溶解度の差異を利用して分離するために、培地成分などが変性して水不溶化することを回避できる温度であることが望ましい。例えば、乳酸菌用の標準培地であるMRS培地では、150℃で7時間加熱後に水不溶化する培地成分の割合は0.5質量%程度であるのに対して、160℃では1.5質量%、180℃では2質量%を超える。このように、高温になるほど培地成分の変性が生じ抽出の際に不純物が混入するようになるため、150℃以下での加熱であることが好ましい。例えば、キシレンの場合は、60℃から139℃(m−キシレンの沸点)までの範囲の温度で加熱して抽出できる。トルエンは110℃、メシチレンは164.7℃、エチルベンゼンは136℃、そしてミネラルスピリットは150℃の沸点を有する。それぞれの溶剤を単独で用いた場合の加熱温度は、60℃から各溶剤の沸点までの間の温度であり得るが、150℃を超える沸点の場合は、150℃以下にすることが好ましい。また、これらの溶剤を組み合わせで使用する場合、組み合わせた溶剤と水との共沸点を考慮して、温度を設定することが望ましい。
乳酸に対する溶解性を考慮して、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールも、乳酸成分の抽出のために使用され得る。メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールは、乳酸に対する溶解性が良好であるのに対して、乳酸発酵液に含まれる培地成分、または中和もしくは酸性化に使用される薬剤に対する溶解性が低い。プロパノールは、1−プロパノール(n−プロパノール)または2−プロパノール(イソプロパノール)のいずれでもよく、そしてブタノールは、1−ブタノール(n−ブタノール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブタノール)、2−ブタノール(sec−ブタノール)、または2−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール)のいずれでもよい。
ところで、培地成分は、いずれも水溶性の成分であるが、低級アルコールに対しては、培地成分の中でも可溶である成分が少ない。例えば、乳酸発酵用標準培地M17の場合、水には100%全て溶解しているが、メタノールでは33.8%の培地成分が可溶であり、エタノールでは5.1%、イソプロパノールでは3.8%、ブタノールでは4.5%と可溶分の割合が少ない。
また、発酵液中には、中和のために用いたアルカリと、酸性化のために加えた酸との塩も含まれ得る。例えば、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウムなどである。乳酸の濃度によっては、これらの塩は、発酵液中に培地成分よりも多量に含まれ得る。これらの塩は、水溶性であるが、メタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノールのアルコール類に対しては不溶性または難溶性を示すために、乳酸以外の可溶分は微少となる。
以上の培地成分、および中和のためのアルカリと酸性化のための酸との塩類が溶存している乳酸発酵液に、貧溶媒であるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコールを、好ましくは攪拌しながら、加えることによって、上記培地成分などの夾雑物は不溶化して析出し、乳酸成分が液体として回収され得る。
さらに、発酵液が予め脱水されてその水分率が低減されていると、貧溶媒であるアルコールの効果は大きくなる。したがって、析出する夾雑物の量は多くなり、発酵液中の乳酸以外の溶質の除去率は高くなるため、不純物の少ない乳酸が得られる。
一方、炭素数5以上のアルコールでは沸点が高く、抽出後の蒸留分離などが困難となる。例えば、メタノールが65℃、エタノールが78℃、n−プロパノールが97℃、イソプロパノールが82℃、イソブタノールが108℃、tert−ブタノールが82.5℃、2−ブタノールが100℃、そして1−ブタノールが118℃の沸点を有するのに対して、ペンタノールでは、2−メチル−2−ブタノールの沸点が102℃である以外は、他の異性体の沸点は112℃から137℃である。また、これらのアルコールは、低分子のアルコールに比して高コストである。
上記抽出する際の温度は、室温から各溶剤の沸点までの間の温度であり得る。例えば、エタノールの場合は、室温から78℃までの範囲の温度で抽出できる。また、これらの溶剤を組み合わせで使用する場合、組み合わせた溶剤と水との共沸点を考慮して、温度を設定することが望ましい。
(溶剤との共沸による乳酸発酵液の脱水)
乳酸発酵液を脱水することで水溶媒が少なくなり、溶剤によって乳酸成分がより溶解抽出されやすくなる。よって、乳酸成分の抽出の前に、脱水することが好ましい。脱水工程は、乳酸成分の抽出と同時に行ってもよい。
上記乳酸成分抽出用溶剤のトルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットは、いずれも水と共沸可能な溶剤である。したがって、これらの溶剤と水との共沸点以上に該溶剤を添加した乳酸発酵液を加熱することで、水を反応系外に留出させ、乳酸発酵液を脱水することができる。この加熱は、好ましくは攪拌しながら行われる。
このうち、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットは、いずれも比重が1より小さく、かつ非水溶性であるので、これらの溶剤は、水と比重分離することができる。水とともに共沸点以上で加熱する場合、水と溶剤との共沸物が留出し、これを冷却すると凝縮して液が得られる。溶剤と水とは比重の差があるため、この液は水と溶剤とに分離され、水を除去することができる。一方、溶剤も反応系に循環して再利用することができる。具体的には、加熱により反応槽から留出する水と溶剤との共沸物を、冷却管で凝縮して、水分離器に導き、比重差により下層の水と上層の溶剤とに分離する。このためには、蒸気の排出口を備えた反応槽に、加熱手段と、冷却管と、デカンタまたはディーンスタークトラップのような水分離器とを具備することが好ましい。水分離器では、下層の水を系外へ除去できると共に、上層の溶剤を還流して、反応槽に循環させることができる。したがって、溶剤の消費や漏洩なしに、乳酸発酵液から脱水することができる。
共沸の際の加熱温度は、各溶剤と水との共沸点から各溶剤の沸点までの温度であり得る。前述のように高温になるほど培地成分の変性が生じ抽出の際に不純物が混入するようになるため、150℃以下の加熱であることが好ましい。脱水を生じさせるためには、好ましくは、共沸点以上(例えば、90〜150℃が好ましい)で発酵液中の水分が除去できるに適した時間(例えば、1〜5時間)加熱することが好ましい。トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットの場合、これらの溶剤に溶解することによって、乳酸または乳酸オリゴマー、あるいは乳酸と乳酸オリゴマーとの混合物が回収される。
また、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールのようなアルコールを用いる場合は、乳酸発酵液を共沸脱水した後に、これらのアルコールに溶解することによって、乳酸を回収し得る。乳酸発酵液における水分量に対して過剰にアルコールを加えてバッチで共沸脱水し、残りのアルコールに乳酸を溶解させて回収することができる。あるいは、乳酸発酵液に連続的に上記アルコールを加えて共沸脱水し、共沸脱水後に追加したアルコールに乳酸を溶解させて回収してもよい。乳酸発酵液に加えるアルコールは、共沸したアルコールを分離して再度乳酸発酵液に加えることもでき、または新たにアルコールを加えることもできる。
(加熱減圧による乳酸発酵液の脱水)
上記のような乳酸発酵液の脱水は、加熱減圧によっても行われ得る。
加熱温度は、100℃以下であり、好ましくは、40℃〜100℃である。100℃を超えると、発酵液中の乳酸の重合が進行し得る。40℃未満では蒸気圧は55mmHgに満たず、脱水乾燥速度は減圧によってもかなり低下する。
減圧は1torrから100torr(すなわち、約133Paから約13300Pa)が好ましい。100torr(約13300Pa)より高いと、加熱によっても脱水乾燥に要する時間が長くなる。1torr(約133Pa)未満では、水だけでなく乳酸の一部も留去されてしまう。
乳酸発酵液の脱水には、100℃以下、好ましくは40℃〜100℃の加熱温度および1torr〜100torr(すなわち、約133Pa〜約13300Pa)の減圧下とすることが好ましい。加熱減圧を行う時間は、加熱温度および減圧の圧力に応じて適宜決定でき、温度または減圧の圧力を数段階に変更して行ってもよい。例えば、乳酸発酵液を50℃に加熱して、10torr(約1330Pa)の減圧下で2時間、次いで5torr(約670Pa)の減圧下で2時間保持することにより、乳酸発酵液を脱水し得る。
(溶剤との共沸による乳酸オリゴマーの生成(脱水縮合))
乳酸発酵液の脱水が進行するにつれて、乳酸の縮合反応も進行し、乳酸オリゴマーが生成され得る。乳酸は、オリゴマー化することにより、極性がより低下する。そのため、発酵液の培地などの他の成分との溶解性の差がより大きくなり、上記の乳酸成分抽出用溶剤のうちトルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットによって抽出されやすくなる。
乳酸は、1分子中にカルボキシル基および水酸基を有する化合物であり、乳酸単独で縮合により重合することができる。重合により生成する水を系外に排出することで、重合度をさらに上げることができる。本発明では、重量平均分子量が5,000以下となるように、乳酸を重合することが好ましい。重量平均分子量が5,000を超えると、上記溶剤への加熱時の溶解性が低下する。また、重量平均分子量が5,000を超えるまで脱水縮合するには、抽出または脱水に比べてかなり時間を要するために、発酵液中の培地成分などが、加熱により劣化し、溶解性が変化して抽出分離性が低下することが懸念される。
脱水縮合反応においても、共沸の際の加熱温度は、各溶剤と水との共沸点から各溶剤の沸点までの温度であり得る。乳酸の重合度を上げるよりも、乳酸オリゴマーと乳酸発酵液中の他の成分(例えば、培地成分)とを溶解性に基づき分離することの方が重要である。すなわち、乳酸をオリゴマー化することによって、乳酸発酵液の他の成分(例えば、培地成分)との溶解性に差を設けることがねらいである。したがって、培地成分などが変性して水不溶化することを回避できる温度であることが望ましい。高温になるほど培地成分の変性が生じ抽出の際に不純物が混入するようになるため、150℃以下の加熱であることが好ましい。脱水縮合を生じさせるためには、好ましくは、共沸点以上(例えば、90〜150℃が好ましい)で発酵液中の水分が除去できるに適した時間(例えば、1〜5時間)加熱し、次いで共沸点以上かつ溶剤の沸点(但し、150℃以下)までの温度を維持し、その温度で重量平均分子量5,000以下のオリゴマーが生成するに適した時間(例えば、5〜24時間)加熱することが好ましい。脱水後により含水率が低くなった状態で加熱を続けることで、乳酸の縮合反応が進行して、乳酸オリゴマーを生成させることができる。
脱水縮合により生じた乳酸オリゴマーの上記乳酸成分抽出用溶剤(すなわち、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤)による抽出は、上で説明したとおりである。溶剤を用いた脱水縮合反応のための加熱工程(例えば、溶剤の沸点への加熱工程)において、抽出工程も同時に行われ得る。
(加熱減圧による乳酸オリゴマーの生成(脱水縮合))
加熱減圧によって乳酸をオリゴマー化してもよい。加熱温度は、100℃から150℃の範囲であることが好ましい。100℃未満では、重合反応性が低くオリゴマーへの転換率が低く、150℃より高温では、前述のように培地成分が劣化する。
加熱減圧重合の場合、乳酸重合の過程で、ラクチドが生じる可能性がある。ラクチドは、乳酸オリゴマーの解重合反応によって生成し、2分子の乳酸が環状に会合した不純物である。特に高温または高真空であるほどラクチドが生成しやすく、生じたラクチドは系内から昇華により消失し、これにより、乳酸オリゴマーの収率が低下する。そのため、加熱温度は100℃から150℃、減圧は10torrから100torr(すなわち、約1330Paから約13300Pa)が好ましい。100torr(約13300Pa)より高いと、系内の含水率が高くなり、縮合が進みにくい。10torr(約1330Pa)未満では、ラクチドの生成および昇華が起こりやすくなり、分離回収する乳酸オリゴマーの収率が低下する。
加熱減圧によって生成された乳酸オリゴマーは、乳酸成分抽出用溶剤のうちトルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を用いて加熱抽出することにより、分離回収することができる。加熱抽出する際の温度は、上記の通りである。
加熱減圧によって生成された乳酸オリゴマーは、加熱減圧処理した乳酸発酵液を水で洗浄して、培地成分を溶解除去し、水の不溶物として回収することもできる。水は、蒸留水または脱イオン水の使用が好ましい。洗浄に用いられる水の量は、本明細書の記載に基づいて当業者が適宜決定し得る。上記加熱減圧処理によって、生成された乳酸オリゴマーは水に対して不溶性であるが、乳酸発酵液中の培地成分などは水に対して可溶である。そのため、乳酸発酵液を水で洗浄する(例えば、水を添加して、攪拌後静置し、遠心分離などの固液分離処理を行う)ことで、培地成分のみを水に溶解させ、水に不溶な乳酸オリゴマーを分離回収し得る。洗浄における水の温度は、室温からその沸点(100℃)までで操作できる。なお、水での洗浄により回収された培地成分は、再び発酵液の培地として再利用することができる。
加熱減圧重合の場合、得られる乳酸オリゴマーの重量平均分子量は、300以上1000以下が好ましい。重量平均分子量が1000を超えると、解重合により昇華性のラクチドが生成しやすくなり、乳酸オリゴマーの収率が低下する。重量平均分子量が300未満では、それ以上の分子量に比して上記溶剤への溶解性が下がるために加熱抽出効率が低下する。また、上記溶剤への溶解性が下がるために、水洗浄時に水に移行する可能性が高まり、洗浄の効率も低下する。したがって、加熱温度は100℃から150℃で、減圧は20torrから100torr(すなわち、約2700Paから約13300Pa)で、生成する乳酸オリゴマーの重量平均分子量が300以上1000以下になるように、加熱減圧操作を行うことが好ましい。加熱減圧を行う時間は、加熱温度および減圧の圧力に応じて適宜決定でき、温度または減圧の圧力を数段階に変更して行ってもよい。例えば、乳酸発酵液を150℃に加熱して、大気圧下で2時間、次いで100torr(約13300Pa)の減圧下で2時間、さらに30torr(約4000Pa)の減圧下で2時間保持することにより、乳酸を脱水縮合し得る。
(分離された乳酸成分)
上記で説明した種々の工程を経て乳酸発酵液から分離された乳酸成分(例えば、乳酸および乳酸オリゴマー)は、回収されて、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリオールエステルなどの合成のための原料として好適に用いられ得る。
生成した乳酸または乳酸オリゴマーを含む液をそのまま冷却せずに触媒(例えば、すず、酸化すず、トルエンスルホン酸、塩化すずなど)を投入し、加熱し続けることによって、溶媒中で脱水重合させ、ポリ乳酸まで高分子量化させることもできる。上記溶剤を用いた抽出により得られた液では、発酵液培地などの混在成分が少ないため、高分子量化が容易である。
(分離装置)
本発明は、乳酸発酵液から乳酸成分を分離するための装置を提供する。この装置は、pH4.8以下の乳酸発酵液を供給する原料供給手段;乳酸成分抽出用溶剤および洗浄溶剤からなる群から選択される溶剤を供給する溶剤供給手段であって、該乳酸成分抽出用溶剤が、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤であり、そして該洗浄溶剤が水である、溶剤供給手段;供給された乳酸発酵液と溶剤とを攪拌しながら保持する反応槽;および該反応槽から乳酸成分を分離し回収する乳酸成分分離回収手段を備える。1つの実施態様では、上記装置は、反応槽を加熱する加熱手段をさらに備え、乳酸発酵液の脱水または脱水縮合による乳酸オリゴマーの生成を容易にし得る。上記装置は、反応槽より留出した蒸気を凝縮させる冷却手段をさらに備え得る。さらに、上記装置は、冷却手段によって凝縮した液を比重分離し、低比重の液を反応槽に還流し、高比重の水を排出する液分離手段もまた備え得る。
上記の構成により、抽出によって、および加熱する場合には加熱によって、溶剤が循環再利用され得、溶剤の漏洩や消費がなく、安全かつ低コストになる。
次に、本発明の乳酸発酵液からの乳酸成分の分離装置について、一実施態様を示した図1に基づいて説明する。図1は、共沸脱水および共沸縮合によって乳酸成分を分離する手法に適応した装置の構成を示している。乳酸発酵液から乳酸成分を分離するに際して、図1中に示す全ての要素が必要であるわけではない。
反応槽4は、乳酸発酵液および溶剤を保持して、静置状態では互いに分離し得る両液を、必要に応じて加熱しながら、混合攪拌し得るよう構成されている。反応槽4は、攪拌モータ1によって回転する攪拌翼2を具備し得る。反応槽4は、必要に応じて、この反応槽を加熱する加熱手段(例えば、加熱ヒータ3)をさらに具備し得る。
原料供給手段は、乳酸発酵液タンクおよび該タンクと接続されたpH調整槽5を備える。乳酸発酵液がpH調整槽5でpH4.8以下に調整された後、送液ポンプ6によって反応槽4に供給するよう構成されている。
溶剤供給手段は、溶剤タンクを備え、該溶剤を送液ポンプ7によって反応槽4に供給するよう構成されている。乳酸成分抽出用溶剤を用いて乳酸成分を分離回収する実施態様では、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤の入った溶剤タンクを備える。二種以上の溶剤を用いる場合、溶剤供給手段は、これらの溶剤が別々に送られるように構成されていても、または混合した状態で送られる構成であってもよい。
反応槽4中のpH調整し加熱減圧処理した乳酸発酵液を水洗浄する実施態様では、洗浄溶剤として、水が、溶剤供給手段によって反応槽4に供給され得る。
本発明の装置では、溶剤供給手段として、乳酸成分抽出用溶剤を供給する溶剤タンクと水を供給する溶剤タンクとが並列に備え付けられていてもよい。
乳酸成分分離回収手段は、反応槽4の攪拌の停止後に乳酸成分を分離し、回収する任意の手段をいう。乳酸発酵液からの乳酸成分の分離に際して、反応槽4に具備された攪拌翼2の攪拌の停止による分離が利用される。乳酸成分抽出用溶剤を用いて乳酸成分を分離回収する場合、分離された低比重の液(上層)中に乳酸成分が含まれ得る。他方、洗浄溶剤として水を用いて乳酸成分を分離回収する場合は、分離された低比重の液(上層)中に乳酸成分は含まれず、乳酸成分は沈殿し得る。
乳酸成分抽出用溶剤を用いて乳酸成分を分離回収する実施態様では、乳酸成分の分離回収のために、該反応槽の攪拌を停止することにより分離される乳酸成分を含む液を採取する。例えば、配管14が、反応槽4の上部に備え付けられ、精製塔13に接続されている。より具体的には、反応槽4に具備された攪拌翼2による攪拌が停止され、次いでこの停止により分離された低比重の液(上層)が、反応槽4の上部から配管14を介して精製塔13に送られる。この精製塔13において、この供給された液に溶存していた乳酸成分が分離回収され得る。
精製塔13では、乳酸成分の分離回収のために、乳酸成分の抽出に用いた溶剤に応じて、固液分離または溶剤留去のいずれかが用いられ得る。
トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンおよびミネラルスピリットを乳酸成分抽出用溶剤として使用する場合、精製塔13に採取した液を冷却し、液に溶存していた成分を析出させて静置もしくは遠心分離のような分離技術によって分離し、溶質であった固形分あるいは液体分を回収し、上澄みである溶剤を反応槽に循環させ得る。この場合、好ましくは、精製塔13は、冷却機能を有し(図示せず)、この冷却機能により、精製塔13の内容液中の溶質を析出させ、精製塔13の内容液の上澄み部は、配管15を介して溶剤供給ラインに導入される。精製塔13の排出用配管(図示せず)に用いるバルブは、スラリーまたは固形分が流通するので、ホールバルブが好ましい。
メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールを乳酸成分抽出用溶剤として使用する場合、精製塔13に採取した液に含まれる溶剤を留去し、次いで溶剤が除去された液を精製塔13から回収し得る。この場合、好ましくは、精製塔13は、エバポレーターのような設備を有し(図示せず)、これにより、精製塔13では、採取した液から抽出用溶剤が除去され、所望の溶質を液体として回収し得る。さらに、回収した液を静置もしくは遠心分離のような分離技術によって固液分離する手段を備えることもでき、回収した液に不溶物が存在する場合は、この手段により不溶物を取り除くこともできる。精製塔13から除去された溶剤は、配管15を介して液化されて溶剤供給ラインに導入され得る。このため、配管15には、気化された溶剤が再度液化されるような設備(例えば、冷却装置)が伴うことが好ましい(図示せず)。
さらに、反応槽4には、槽底部に排出用配管16が設けられており、反応槽4内の沈降物(例えば、アルコール溶剤を投入することにより析出した固形分)などを排出できるよう構成されている。
pH調整し加熱減圧処理した乳酸発酵液を水洗浄する実施態様では、反応槽4の攪拌を停止して分離された低比重の上澄み水溶液が除去されて、反応槽4内に精製された乳酸オリゴマーが得られる。この実施態様では、乳酸成分の回収のために、反応槽4に具備された攪拌翼2の攪拌停止が主として利用される。分離された低比重の上澄み水溶液(溶解されている培地成分などが含まれる)を排出するために、反応槽4の上部に備えた配管が利用でき、反応槽4の下部または底部に、乳酸オリゴマーを回収できるような構成の配管または回収口を供え得る(図示せず)。この実施態様では、精製塔13に通じた配管14を、低比重の上澄み水溶液の排出用配管として利用してもよい。
冷却手段は、反応槽4から留出する、水および溶剤を含む蒸気を冷却する手段であり、例えば、水冷式、空冷式、蒸発式などの凝縮器(コンデンサ)が挙げられる。例えば、水冷式の凝縮器では、シェルアンドチューブ式、二重管式などの構造の凝縮器が用いられる。液分離手段は、冷却手段によって冷却されて凝縮された液体を水および溶剤に分離し、水を排出し、溶剤を系に戻す手段である。例えば、デカンタ、ディーンスタークトラップのような水分離器が挙げられる。具体的には、反応槽4には、蒸留塔8を介してコンデンサ9とデカンタ10とが接続されており、加熱によって反応槽4から生じる蒸気を蒸留塔8において精留した後に、コンデンサ9で冷却して凝縮された液体がデカンタ10へ流下する。デカンタ10では、水分と溶剤とが比重差によって2層に分離する。上層である溶剤層は、U字管11を介して蒸留塔8へ還流され、下層である水層は、排出手段(図示せず)によって排出される。さらに、蒸留塔8内の凝縮液体が流下した後、U字管12を介して反応槽4へ循環するように構成されている。
蒸留塔8は空塔であってもよいし、ラシヒリング、ヴィクソンパッキンなどのレッシングリング、パールリング、マクマホンパッキンなどのサドル、フルザーパッキンなどの充填剤を充填してもよい。また、外壁をガラスウールなどで断熱してもよい。
コンデンサ9での冷却は、水と溶剤との混合物を冷却するので0℃以上室温以下であることが好ましい。さらに好ましくは、冷却凝縮能力が高くなる点で、2から10℃までである。コンデンサ9は、蒸気配管を外部から接触面で冷やすことができればよく、リービッヒ冷却管、アリーン冷却管、リービッヒ−グラハム冷却管などを用いることができる。
デカンタ10は、混合液の比重差による分液の効率を上げるために、冷却してもよい。
上記装置は、上記乳酸成分分離回収手段により採取した液を脱色する脱色手段をさらに備えてもよい。脱色には、活性炭または活性白土のような吸着剤を用いることができる。具体的には、脱色手段は、上記採取した液を通水可能な上記吸着剤が充填されたカラム、または、上記採取した液に上記吸着剤を投入した後に、上記投入した吸着剤を分離除去する手段が挙げられる。例えば、カラムは、通水して脱色することができる。あるいは、液と吸着剤とを混合した後、濾過または遠心分離のような固液分離手段により脱色することができる。
各容器や配管の材質は、ステンレス、ガラス、テフロン(登録商標)などの樹脂などで構成されている。
次に上記装置を用いる乳酸成分の分離方法について、操作のプロセスを説明する。
1つの実施態様では、乳酸発酵液は、pH調整槽5で酸を加えられてpH4.8以下に調整され、送液ポンプ6を通じて反応槽4へ供給される。一方、溶剤タンクより、溶剤が送液ポンプ7を通じて反応槽4へ供給される。反応槽4では、乳酸発酵液および溶剤が、攪拌モータ1によって回転する攪拌翼2によって攪拌され、懸濁状態となる。必要に応じて加熱ヒータ3によって、反応槽4の内容物を加熱する。その後、加熱している場合は加熱したまま、攪拌を止めて静置し、生じた反応槽4の内容液の上澄み部を、配管14を通じて精製塔13へ供給する。精製塔13で内容液中の乳酸成分を分離し回収する。こうして、乳酸成分が、乳酸発酵液から分離回収される。
精製塔13での乳酸成分の回収のために、メタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノールを乳酸成分抽出用溶剤として使用する実施態様では、精留塔13に付随した真空ポンプ(図示せず)で、例えば0.5torr〜500torr(すなわち、約67Pa〜約67000Pa)の減圧下に減圧しながら、室温から溶剤の沸点以下の温度に加熱することで、溶剤は留去される。また、メタノール、エタノール、およびプロパノールは蒸気圧が高いので、これらの溶剤は、常圧下で、溶剤の沸点以上の温度に加熱することによっても留去することができる。一方、残存する液体を回収し、液体として乳酸成分を得る。さらに、回収した液に不溶物が存在する場合、回収した液を静置もしくは遠心分離のような分離技術によって固液分離して透明な液体を回収し得る。一方、留去された溶剤は、必要に応じて冷却装置が付随した、配管15を通じて液化され、再度抽出溶剤として、送液ポンプ7を通じて反応槽4へ供給され得る。
あるいは、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンまたはミネラルスピリットを乳酸成分抽出用溶剤として使用する実施態様では、冷却装置(図示せず)によって精製塔13の内容液を冷却することによって、内容液中の溶質を析出させ、析出された乳酸成分を回収する。こうして、乳酸成分が、乳酸発酵液から分離される。また、精製塔13の内容液の上澄み部は、配管15を介して溶剤供給のラインに導入され、再び反応槽4に送られる。
別の実施態様では、乳酸発酵液は、pH調整槽5で酸を加えられてpH4.8以下に調整され、送液ポンプ6を通じて反応槽4へ供給される。一方、溶剤タンクより、溶剤が送液ポンプ7を通じて反応槽4へ供給される。反応槽4では、乳酸発酵液および溶剤が、攪拌モータ1によって回転する攪拌翼2によって攪拌され、懸濁状態となる。そして加熱ヒータ3によって、反応槽4の内容物を加熱する。水と溶剤との共沸点以上(例えば、90℃以上)に加熱されると、反応槽4の内容物が気化し始める。この気化した蒸気は、蒸留塔8を通り、コンデンサ9で冷却され凝縮して、デカンタ10に流下する。コンデンサ9(または、コンデンサ9およびデカンタ10)は、冷却循環水などで冷却されている。デカンタ10では、溶剤と水とが相溶でないために、比重差により溶剤が上層に、水が下層に分離する。上層の溶剤は、U字管11を介して蒸留塔8に返流される。返流の配管をU字とすることにより、さらに水分除去の効果を高める。ここで、返流された溶剤は、蒸留塔8内で還流している溶剤と一緒に還流して、U字管12を介して反応槽4に還流する。反応槽4を加熱し続け、供給された発酵液のおおよその水分量が除去されたところで、加熱(加熱温度は同じでも、変更してもよい)したまま、攪拌を止めて静置し、生じた反応槽4の内容液の上澄み部を、配管14を通じて精製塔13へ供給する。精製塔13で内容液中の乳酸成分を分離し回収する。精製塔13での乳酸成分の分離回収については、上記の通りである。
なお、メタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノールを乳酸成分抽出用溶剤として使用する実施態様では、これらの溶剤は水と相溶であり、デカンタ10においても分離され得ないため、溶剤を還流せずに乳酸発酵液を共沸脱水した後に、共沸脱水した乳酸発酵液をこれらの溶剤に溶解させることによって、乳酸を回収し得る。乳酸発酵液における水分量に対して過剰にアルコールを加えてバッチで共沸脱水し、残りのアルコールに乳酸を溶解させて回収することができる。あるいは、乳酸発酵液に連続的に上記アルコールを加えて共沸脱水し、共沸脱水後に追加したアルコールに乳酸を溶解させて回収してもよい。乳酸発酵液に加えるアルコールは、共沸したアルコールを分離して再度乳酸発酵液に加えることもでき、または新たにアルコールを加えることもできる。
また別の実施態様では、乳酸発酵液は、pH調整槽5で酸を加えられてpH4.8以下に調整され、送液ポンプ6を通じて反応槽4へ供給される。次いで、コンデンサ9に接続された真空ポンプ(図示せず)で、反応槽4、蒸留塔8、およびそれらを接続する配管内を、例えば1torr〜100torr(すなわち、約133Pa〜約13300Pa)の減圧下まで減圧しながら、加熱ヒータ3によって反応槽4が100℃以下、好ましくは40℃〜100℃の温度で、適当な時間(好ましくは、1〜10時間)、加熱される。反応槽4の内容物が気化し始める。この気化した蒸気は、蒸留塔8を通り、コンデンサ9で冷却され凝縮して、凝縮された水が配管から排出される。コンデンサ9は、冷却循環水などで冷却されている。これにより、反応槽4中の乳酸発酵液は脱水される。その後、溶剤タンクより、溶剤が送液ポンプ7を通じて反応槽4へ供給され、そして反応槽4で、脱水された乳酸発酵液および溶剤が、必要に応じて加熱ヒータ3で室温から溶剤の沸点(但し150℃以下)までの温度に加熱しながら、攪拌モータ1によって回転する攪拌翼2によって、適当な時間(好ましくは、1〜5時間)、攪拌される。攪拌を止めて静置し、生じた反応槽4の内容液の上澄み部を、配管14を通じて精製塔13へ供給する。精製塔13で内容液中の乳酸成分を分離し回収する。精製塔13での乳酸成分の分離回収については、上記の通りである。
さらに別の実施態様では、乳酸発酵液は、pH調整槽5で酸を加えられてpH4.8以下に調整され、送液ポンプ6を通じて反応槽4へ供給される。一方、溶剤タンクより、溶剤が送液ポンプ7を通じて反応槽4へ供給される。反応槽4では、乳酸発酵液および溶剤が、攪拌モータ1によって回転する攪拌翼2によって攪拌され、懸濁状態となる。そして加熱ヒータ3によって、反応槽4の内容物を加熱する。水と溶剤との共沸点以上(例えば、90℃以上)に加熱されると、反応槽4の内容物が気化し始める。この気化した蒸気は、蒸留塔8を通り、コンデンサ9で冷却され凝縮して、デカンタ10に流下する。コンデンサ9(または、コンデンサ9およびデカンタ10)は、冷却循環水などで冷却されている。デカンタ10では、溶剤と水とは相溶でないために、比重差により溶剤が上層に、水が下層に分離する。上層の溶剤は、U字管11を用いて蒸留塔8に返流される。返流の配管をU字とすることで、さらに水分除去の効果を高める。ここで、返流された溶剤は、蒸留塔8内で還流している溶剤と一緒に還流して、U字管12を介して反応槽4に還流する。反応槽4を加熱し続け、供給された発酵液のおおよその水分量が除去されたところで、加熱温度を溶剤の沸点(但し150℃以下)まで上げて、さらに加熱する。適当な時間(好ましくは、5〜24時間)加熱攪拌した後、加熱したまま、攪拌を止めて静置し、生じた反応槽4の内容液の上澄み部を、配管14を通じて精製塔13へ供給する。精製塔13で内容液中の乳酸成分を分離し回収する。精製塔13での乳酸成分の分離回収については、上記の通りである。
本実施態様では、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンまたはミネラルスピリットが溶剤として使用され得る。精製塔13からの乳酸成分の分離回収について説明すると、冷却装置(図示せず)によって精製塔13の内容液を冷却することによって、内容液中の溶質を析出させ、析出された乳酸オリゴマーを回収する。こうして、乳酸発酵液から、乳酸の脱水縮合により製造された乳酸オリゴマーが分離回収される。また、精製塔13の内容液の上澄み部は、配管15を介して溶剤供給のラインに導入され、再び反応槽4に送られる。
なお別の実施態様では、乳酸発酵液は、pH調整槽5で酸を加えられてpH4.8以下に調整され、送液ポンプ6を通じて反応槽4へ供給される。次いで、コンデンサ9に接続された真空ポンプ(図示せず)で、反応槽4、蒸留塔8、およびそれらを接続する配管内を、例えば10torrから100torr(すなわち、約1330Paから約13300Pa)の減圧下まで減圧しながら、加熱ヒータ3によって反応槽4が100℃から150℃の温度で、適当な時間(好ましくは、5〜24時間)、加熱される。反応槽4の内容物が気化し始める。この気化した蒸気は、蒸留塔8を通り、コンデンサ9で冷却され凝縮して、凝縮された水が配管から排出される。コンデンサ9は、冷却循環水などで冷却されている。これにより、反応槽4中の乳酸発酵液は脱水縮合に供される。その後、溶剤タンクより、溶剤が送液ポンプ7を通じて反応槽4へ供給され、そして反応槽4で、脱水縮合を受けた乳酸発酵液および溶剤が、加熱ヒータ3で60℃から溶剤の沸点(但し、150℃以下)までの温度に加熱しながら、攪拌モータ1によって回転する攪拌翼2によって、適当な時間(好ましくは、1〜5時間)、攪拌される。加熱したまま、攪拌を止めて静置し、生じた反応槽4の内容液の上澄み部を、配管14を通じて精製塔13へ供給する。精製塔13で内容液中の乳酸成分を分離し回収する。精製塔13での乳酸成分の分離回収については、上記の通りである。
本実施態様では、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンまたはミネラルスピリットが溶剤として使用され得る。精製塔13からの乳酸成分の分離について説明すると、冷却装置(図示せず)によって精製塔13の内容液を冷却することによって、内容液中の溶質を析出させ、析出された乳酸オリゴマーを回収する。こうして、乳酸発酵液から、乳酸の脱水縮合により製造された乳酸オリゴマーが分離回収される。また、精製塔13の内容液の上澄み部は、配管15を介して溶剤供給のラインに導入され、再び反応槽4に送られる。
上記の溶剤を用いずに乳酸オリゴマーの製造に加熱減圧を利用して発酵液の水洗浄を行う場合にも、上記装置を用いることができる。乳酸発酵液は、pH調整槽5で酸を加えられてpH4.8以下に調整され、送液ポンプ6を通じて反応槽4へ供給される。次いで、コンデンサ9に接続された真空ポンプ(図示せず)で、反応槽4、蒸留塔8、およびそれらを接続する配管内を、例えば20torrから100torr(すなわち、約2700Paから約13300Pa)の減圧下まで減圧しながら、加熱ヒータ3によって反応槽4が100℃から150℃の温度で、適当な時間(好ましくは、5〜24時間)、加熱される。反応槽4の内容物が気化し始める。この気化した蒸気は、蒸留塔8を通り、コンデンサ9で冷却され凝縮して、凝縮された水が配管から排出される。コンデンサ9は、冷却循環水などで冷却されている。これにより、反応槽4中の乳酸発酵液は脱水縮合に供される。その後、溶剤タンクより、水が送液ポンプ7を通じて反応槽4へ供給され、そして反応槽4で、脱水縮合を受けた乳酸発酵液および供給された水が、必要に応じて加熱ヒータ3によって水の沸点までの温度に加熱しながら、攪拌モータ1によって回転する攪拌翼2によって、適当な時間(好ましくは、0.5〜5時間)、攪拌される。その後、加熱している場合は加熱したまま、攪拌を止めて静置し、低比重の上澄み水溶液を配管(配管14であってもよい)を通じて排出する。この操作により、反応槽4内に精製された乳酸オリゴマーを分離し回収することができる。精製された乳酸オリゴマーを反応槽4内でさらに減圧加熱して高重合することもできる。反応槽4内での水洗浄による乳酸オリゴマーの分離回収後、上記乳酸成分抽出用溶剤を用いて再溶解後、精製塔13での分離および回収を行ってもよい。
このように、乳酸発酵液のpHを調整した後に、上記溶剤を用いるのみで、ならびに攪拌および必要に応じて温度調節および/または減圧操作だけで、容易に乳酸成分を分離することができる。溶剤タンクから供給される溶剤のみが用いられるので、低コストで不純物の少ない抽出操作が行える。また、抽出に使用する溶媒は、常に循環して使用され得るので、消費も漏洩もなく、低コストで安全性の高い装置である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
グルコース14質量%を添加した乳酸球菌用標準培地M17(Difco社製)3.5質量%を含む乳酸発酵液体培地中にて、アンモニアでpHを6付近に調整しながら乳酸菌(ストレプトコッカス菌)を懸濁培養して乳酸発酵させ、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。この乳酸発酵液から菌体を遠心分離により、予め除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH4.8に調整した。その後、キシレン50mlを加え、攪拌しながら130℃にて還流状態で加熱した。1時間後、130℃に加熱したまま、攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸であり、抽出による回収率は10%であった(以下の表1を参照)。
(実施例2)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.5に調整した。その後、キシレン50mlを加え、攪拌しながら130℃にて還流状態で加熱した。1時間後、130℃に加熱したまま、攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸であり、抽出による回収率は20%であった(以下の表1を参照)。
(比較例1)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液のpHを調整せずに、これにキシレン50mlを加え、攪拌しながら130℃に加熱した。1時間後、130℃にて還流状態で加熱したまま、攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が少し確認された。沈降物は乳酸アンモニウムであり、抽出による回収率はわずか0.6%であった(以下の表1を参照)。
乳酸発酵液をキシレンで加熱抽出した結果を、以下の表1にまとめて示す。
Figure 2007114017
(実施例3)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH4.8に調整した。その後、キシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。蒸気は凝縮後水分除去して還流するようにしたところ、約2時間後までに約17gの水分が除去できた。その後130℃に加熱して、1時間後に攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸であり、抽出による回収率は20%であった(以下の表2を参照)。
(実施例4)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.5に調整した。その後、キシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。蒸気は凝縮後水分除去して還流するようにしたところ、約2時間後までに約17gの水分が除去できた。その後130℃に加熱して、1時間後に攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸であり、抽出による回収率は35.5%であった(以下の表2を参照)。
(比較例2)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液のpHを調整せずに、これにキシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。蒸気は凝縮後水分除去して還流するようにしたところ、約2時間後までに約17gの水分が除去できた。その後130℃に加熱して、1時間後に攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸であり、抽出による回収率は3.8%であった(以下の表2を参照)。
乳酸発酵液をキシレンと共沸して脱水した結果を、以下の表2にまとめて示す。
Figure 2007114017
(実施例5)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH4.8に調整した。その後、キシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。蒸気は凝縮後水分除去して還流するようにしたところ、約2時間後までに約17gの水分が除去できた。その後139℃に加熱して、20時間後に攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、抽出による回収率は46.7%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は350であった(以下の表3を参照)。
(実施例6)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.5に調整した。その後、キシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。蒸気は凝縮後水分除去して還流するようにしたところ、約2時間後までに約17gの水分が除去できた。その後139℃に加熱して、20時間後に攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、抽出による回収率は63.6%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は698であった(以下の表3を参照)。
(比較例3)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液のpHを調整せずに、これにキシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。蒸気は凝縮後水分除去して還流するようにしたところ、約2時間後までに約17gの水分が除去できた。その後139℃に加熱して、20時間後に攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、抽出による回収率は5%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は137であった(以下の表3を参照)。
乳酸発酵液をキシレンと共沸して脱水縮合した結果を、以下の表3にまとめて示す。
Figure 2007114017
(実施例7)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH4.8に調整した。その後、150℃に加熱して、大気圧下で2時間、次いで100torr(約13300Pa)の減圧下で2時間、さらに30torr(約4000Pa)の減圧下で2時間保持した。これにキシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。1時間後、100℃に加熱したまま、攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、抽出による回収率は35%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は250であった(以下の表4を参照)。
(実施例8)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.5に調整した。その後、150℃に加熱して、大気圧下で2時間、次いで100torr(約13300Pa)の減圧下で2時間、さらに30torr(約4000Pa)の減圧下で2時間保持した。これにキシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。1時間後、100℃に加熱したまま、攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、抽出による回収率は60%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は637であった(以下の表4を参照)。
(比較例4)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液のpHを調整することなく、150℃に加熱して、大気圧下で2時間、次いで100torr(約13300Pa)の減圧下で2時間、さらに30torr(約4000Pa)の減圧下で2時間保持した。これにキシレン50mlを加え、攪拌しながら100℃に加熱した。1時間後、100℃に加熱したまま、攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が少し確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、抽出による回収率は6%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は126であった。中性付近で発酵液をそのまま加熱減圧重合しても分子量はあまり大きくならなかった。そのため溶解性もあまり変わらず、回収率も低い結果となった(以下の表4を参照)。
(実施例9)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.5に調整した。その後、150℃に加熱して、大気圧下で2時間、次いで100torr(約13300Pa)の減圧下で2時間、さらに30torr(約4000Pa)の減圧下で2時間保持した。これに水50mlを加え、攪拌しながら100℃で1時間加熱した。1時間後、100℃に加熱したまま、攪拌を止め静置したところ、上澄み層と沈降層との2層に分かれた。沈降層を採取し、室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、回収率は80%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は637であった(以下の表4を参照)。
乳酸発酵液を加熱減圧した結果を、以下の表4にまとめて示す。
Figure 2007114017
(実施例10)
図1に示す構成の装置を用いた。原液として、グルコース20質量%を添加した乳酸球菌用標準培地M17(Difco社製)3.5質量%を含む乳酸発酵液体培地中にて、アンモニアでpHを6付近に調整しながら乳酸菌(ラクトバチルス菌)を懸濁培養して乳酸発酵させ、乳酸アンモニウムの濃度が14質量%である乳酸発酵液(pH6)を調製した。菌体を濾過膜分離により、調製した乳酸発酵液から、予め除去した。
この乳酸発酵液をpH調整槽5に送り、硫酸を加えてpH2.5に調整した。その後、送液ポンプ6を通じて反応槽4へと供給した。また、溶剤タンクより送液ポンプ7を通じてキシレンを反応槽4へと供給した。pH2.5に調整した乳酸発酵液およびキシレンを攪拌しながら100℃に2時間加熱した。その後120℃に温度を上げた。留出した蒸気を凝縮後水分除去して還流するようにしたところ、デカンタ10では約5時間(100℃加熱と120℃加熱との合計の時間)後までに約17gの水分が除去できた。その後139℃に加熱して、20時間後に攪拌を止め静置したところ、2層に分かれた。上層を配管14より採取し、精製塔13にて室温まで冷却したところ、沈降物が確認された。沈降物は乳酸オリゴマーであり、抽出による回収率は63.6%であった。また、ゲルパミエーションクロマトグラフィーで分子量を確認したところ、重量平均分子量は1,500であった。このオリゴマーは結晶化度が高く、約70%であった。
(実施例11)
上記実施例1と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例1と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.0に調整した。その後、エタノール200mlを加え、室温で攪拌した。30分後、攪拌を止め静置したところ、下層の沈殿部と上層の上澄みとに分かれるのが認められた。上層を採取し、エタノールを留去し、粘調な液体が回収された。回収された液体の主成分は乳酸であり、抽出による回収率は95%であった。
なお、沈殿物は、乳酸発酵に使用した培地成分および乳酸発酵液の中和もしくは酸性化に使用した塩類であった。沈殿物の乾燥重量から算定すると、回収された乳酸以外の成分の71.2質量%が分離除去された。
(実施例12)
グルコース14質量%を添加した乳酸用合成培地1.3質量%を含む乳酸発酵液体培地中にて、アンモニアでpHを6付近に調整しながら乳酸菌(ラクトコッカス菌)を懸濁培養して乳酸発酵させ、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。なお、上記合成培地には、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、L−システイン塩酸塩、およびビタミン類が含まれている。この乳酸発酵液から、遠心分離により菌体を予め除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.0に調整した。その後、エタノール200mlを加え、室温で攪拌した。30分後、攪拌を止め静置したところ、下層の沈殿部と上層の上澄みとに分かれるのが認められた。上層を採取し、エタノールを留去し、粘調な液体が回収された。回収された液体の主成分は乳酸であり、抽出による回収率は97%であった。
なお、沈殿物は、乳酸発酵に使用した培地成分および乳酸発酵液の中和もしくは酸性化に使用した塩類であった。沈殿物の乾燥重量から算定すると、回収された乳酸以外の成分の76.5質量%が分離除去された。
(実施例13)
上記実施例12と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例12と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.0に調整した。その後、イソプロピルアルコール200mlを加え、室温で攪拌した。30分後、攪拌を止め静置したところ、下層の沈殿部と上層の上澄みとに分かれるのが認められた。上層を採取し、イソプロピルアルコールを留去し、粘調な液体が回収された。回収された液体の主成分は乳酸であり、抽出による回収率は98%であった。
なお、沈殿物は、乳酸発酵に使用した培地成分および乳酸発酵液の中和もしくは酸性化に使用した塩類であった。沈殿物の乾燥重量から算定すると、回収された乳酸以外の成分の82質量%が分離除去された。
(実施例14)
上記実施例12と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例12と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.0に調整した。その後、エタノール100mlを加え、攪拌しながら78℃に加熱した。エタノールと共に、水が気化して除去され、約2時間後までにほぼ乾固された。容器内は粘調な液体および少し黄味がかった白色沈殿が残っていた。これに更にエタノールを100ml加えて、室温で攪拌した。30分後、攪拌を止め静置したところ、下層の沈殿部と上層の上澄みとに分かれるのが認められた。上層を採取し、エタノールを留去し、粘調な液体が回収された。回収された液体の主成分は乳酸であり、抽出による回収率は95%であった。
なお、沈殿物は、乳酸発酵に使用した培地成分および乳酸発酵液の中和もしくは酸性化に使用した塩類であった。沈殿物の乾燥重量から算定すると、回収された乳酸以外の成分の90質量%が分離除去された。
(実施例15)
上記実施例12と同様にして、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)20gを得た。実施例12と同様に、この乳酸発酵液から菌体を除去した。この乳酸発酵液に硫酸を加え、pH2.0に調整した。その後、50℃に加熱して、10torr(約1330Pa)の減圧下で2時間、次いで5torr(約670Pa)の減圧下で2時間保持したところほぼ乾固することができた。これにエタノール100mlを加え、攪拌した。30分後、攪拌を止め静置したところ、上澄みと沈殿とに分かれた。上層を採取し、エタノールを留去し、粘調な液体が回収された。回収された液体の主成分は乳酸であり、抽出による回収率は90%であった。
なお、沈殿物は、乳酸発酵に使用した培地成分および乳酸発酵液の中和もしくは酸性化に使用した塩類であった。沈殿物の乾燥重量から算定すると、回収された乳酸以外の成分の94質量%が分離除去された。
(実施例16)
図1に示す構成の装置を用いた。原液として、グルコース15質量%を添加した乳酸球菌用標準培地M17(Difco社製)3.5質量%を含む乳酸発酵液体培地中にて、アンモニアでpHを6付近に調整しながら乳酸菌(ラクトバチルス菌)を懸濁培養して乳酸発酵させ、乳酸アンモニウムの濃度が10質量%である乳酸発酵液(pH6)を調製した。菌体を濾過膜分離により、調製した乳酸発酵液から、予め除去した。
この乳酸発酵液をpH調整槽5に送り、硫酸を加えてpH2.0に調整した。その後、送液ポンプ6を通じて反応槽4へと供給した。次いで、コンデンサ9に接続された真空ポンプ(図示せず)で、反応槽4、蒸留塔8、およびそれらを接続する配管内を5torr(約670Pa)まで減圧しながら、pH2.0に調整した乳酸発酵液を60℃で2時間加熱した。これにより、反応槽4中の乳酸発酵液が脱水された。その後、溶剤タンクより送液ポンプ7を通じてエタノールを反応槽4へと供給し、反応槽4内を攪拌した。30分後に攪拌を止め静置したところ、上澄み液と沈降物との2層に分かれた。上澄み液を配管14より採取して精製塔13まで導き、次いで精留塔13に付随した真空ポンプ(図示せず)で減圧しながら加熱することで溶媒を留去し、粘調な液体が回収された。回収された液体の主成分は乳酸であり、抽出による回収率は98%であった。なお、留去した溶媒はエタノールであり、配管15を通じて冷却液化され、再度抽出溶媒として使用され得る。
本発明によれば、乳酸発酵液から簡便なプロセスで乳酸成分(例えば、乳酸もしくは乳酸オリゴマー)を得ることができる。したがって、本発明は、これらを原料とするポリ乳酸およびポリエステルポリオールのようなポリマーを低コストで合成するための基本技術となり得る。

Claims (12)

  1. 乳酸成分を分離する方法であって、
    トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤をpH4.8以下の乳酸発酵液に添加する工程;および
    室温から該溶剤の沸点までの間の温度で、該溶剤を添加した発酵液より乳酸成分を抽出する工程
    を含む、方法。
  2. 乳酸成分を分離する方法であって、
    トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤をpH4.8以下の乳酸発酵液に添加する工程;
    該溶剤を添加した発酵液を加熱して共沸させ、該発酵液を脱水する、工程;および
    室温から該溶剤の沸点までの間の温度で、該脱水した発酵液より乳酸成分を抽出する工程
    を含む、方法。
  3. 乳酸成分を分離する方法であって、
    pH4.8以下の乳酸発酵液を減圧下で100℃以下に加熱して、該発酵液を脱水する工程;
    トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を該脱水した発酵液に添加する工程;および
    室温から該溶剤の沸点までの間の温度で、該溶剤を添加した発酵液より乳酸成分を抽出する工程
    を含む、方法。
  4. 乳酸発酵液から乳酸オリゴマーを製造する方法であって、
    トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤をpH4.8以下の乳酸発酵液に添加する工程;
    該溶剤を添加した発酵液を加熱して共沸させ、次いで該溶剤と水との共沸点から該溶剤の沸点までの間の温度に加熱する工程であって、該工程において、該発酵液が脱水され、かつ該発酵液中の乳酸成分が縮合されて、重量平均分子量5000以下の乳酸オリゴマーが生成される、工程;および
    該乳酸オリゴマーを含む発酵液を60℃から該溶剤の沸点までの間の温度に加熱して、該発酵液より該乳酸オリゴマーを抽出する工程
    を含む、方法。
  5. 乳酸発酵液から乳酸オリゴマーを製造する方法であって、
    pH4.8以下の乳酸発酵液を減圧下で100〜150℃に加熱する工程であって、該工程において、脱水縮合により重量平均分子量300以上1000以下の乳酸オリゴマーを生成する、工程;
    該乳酸オリゴマーを含む発酵液にトルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を添加する工程;および
    該溶剤を添加した発酵液を60℃から該溶剤の沸点までの間の温度に加熱して、該発酵液より該乳酸オリゴマーを抽出する工程
    を含む、方法。
  6. 乳酸発酵液から乳酸オリゴマーを製造する方法であって、
    pH4.8以下の乳酸発酵液を減圧下で100〜150℃に加熱する工程であって、該工程において、脱水縮合により重量平均分子量300以上1000以下の乳酸オリゴマーを生成する、工程;および
    該乳酸オリゴマーを含む発酵液を水で洗浄して、該発酵液より該乳酸オリゴマーを分離回収する工程
    を含む、方法。
  7. 前記乳酸発酵液中の菌体が除去されている、請求項1から6のいずれかの項に記載の方法。
  8. 乳酸発酵液から乳酸成分を分離するための装置であって、
    pH4.8以下の乳酸発酵液を供給する原料供給手段;
    乳酸成分抽出用溶剤および洗浄溶剤からなる群から選択される溶剤を供給する溶剤供給手段であって、該乳酸成分抽出用溶剤が、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびミネラルスピリットからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤であり、そして該洗浄溶剤が水である、溶剤供給手段;
    供給された該乳酸発酵液と該溶剤とを攪拌しながら保持する反応槽;および
    該反応槽から乳酸成分を分離し回収する乳酸成分分離回収手段
    を備える、装置。
  9. 前記反応槽を加熱する加熱手段をさらに備える、請求項8に記載の装置。
  10. 前記反応槽より留出した蒸気を凝縮させる冷却手段をさらに備える、請求項9に記載の装置。
  11. 前記冷却手段によって凝縮した液を比重分離し、低比重の液を該反応槽に還流し、高比重の水を排出する液分離手段をさらに備える、請求項10に記載の装置。
  12. 前記乳酸成分分離回収手段により採取した液を脱色する脱色手段をさらに備える、請求項8から11のいずれかの項に記載の装置。
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