JP3855359B2 - 乳酸アンモニウムからポリ乳酸を製造する方法 - Google Patents

乳酸アンモニウムからポリ乳酸を製造する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸アンモニウムからラクチドを製造する方法及びポリ乳酸を製造する方法に関し、より詳しくは、乳酸アンモニウムを乳酸のフリー体に戻すことなく、ラクチドを製造する方法及びポリ乳酸を製造する方法に関する。
ラクチドは乳酸の環状二量体であり、生分解性ポリマーであるポリ乳酸の製造原料として特に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリ乳酸の製造は、乳酸からの直接脱水縮合あるいはラクチドの開環重合によって行われている。
乳酸からの直接脱水縮合については、例えば、特開昭59−96123号公報、特開平6−65360号公報、特開平7−33861号公報等に記載されている。これら公報記載の方法は、いずれも乳酸のフリー体を出発原料とするものである。
【0003】
また、ポリ乳酸の製造原料としてのラクチドの製造については、例えば、特開平7−138253号公報に、乳酸のオリゴマーを得て、このオリゴマーを触媒の存在下、解重合してラクチドを得る方法が記載されている。また、特表平6−504762号公報や米国特許第 5,274,127号明細書、 5,332,839号明細書、 5,319,107号明細書、 5,420,304号明細書には、乳酸から乳酸オリゴマーを経由することなく直接的にラクチドを製造する方法が記載されている。これらに記載の方法は、いずれも乳酸のフリー体を出発原料とするものである。
このように、従来、ポリ乳酸の製造はいずれの方法による場合も、乳酸のフリー体を出発原料として行われていた。
【0004】
ところで、乳酸は、化学合成法によっても得られるが、発酵法によっても得られる。発酵法は、グルコース等の資化可能な炭素源を乳酸菌等の微生物を用いて発酵させる方法である。化学合成法で得られる乳酸はD体とL体のラセミ混合物であるのに対し、発酵法では微生物の選択により任意の光学純度の乳酸が得られる。結晶性のポリ乳酸を得るには、光学純度の高い乳酸を用いる必要がある。特に繊維、フィルムなど延伸加工する物は、結晶性のポリマーを用いることにより強度が増す。
【0005】
この乳酸発酵の際には、生成した乳酸によって発酵液中のpHが低下すると微生物の活性が低下するので、水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等で中和しながら、発酵を進めることが一般的である。例えば、Applied Microbiology and Biotechnology, Vol.34, 573-578 (1991)には4M NaOHによる中和、Journal of Chemical Engineering Japan, Vol.28, 198-203 (1995) には3M NaOHによる中和、Applied Microbiology and Biotechnology, Vol.43, 585-589 (1995)には5M NaOHによる中和、Bio Industry, Vol.5, 16-22 (1988) にはNaOHによる中和、醗酵工学,Vol.67, 525-529 (1989)には6%アンモニア水による中和、Applied and Environmental Microbiology, Vol.52, 314-319 (1986)には3N NH4 OH、3N NaOH、CaCO3 による中和、Biotechnology Letters, Vol.17, 543-546 (1995) には20%Na2 CO3 による中和が記載されている。従って、乳酸発酵法において生成した乳酸は、乳酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等として得られる。
【0006】
このため、従来ラクチドやポリ乳酸を製造するには、発酵法で得られた乳酸塩を乳酸フリー体に変換する操作が必要であった。この操作は、例えば、発酵に伴い、水酸化カルシウムや炭酸カルシウムで中和し、これを濃縮し乳酸カルシウムを沈殿させ、これを硫酸で処理してフリー体に変換するという操作である。
その結果、ポリ乳酸の価格が高くなり、生分解性プラスチックとして優れた性質を有するポリ乳酸の普及を拒む一因となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、乳酸塩を乳酸のフリー体に戻すことなくそのままポリ乳酸製造の原料として用い、安価にポリ乳酸を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、乳酸塩として乳酸のアンモニウム塩を用い、アンモニアを気化させて反応系から除去することによって、上記目的を達成できることを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のポリ乳酸の直接製造方法は、乳酸アンモニウムからアンモニアを気化させて反応系から除去し、脱水縮重合を行い、高分子量ポリ乳酸に変換する方法である。
【0010】
上記方法においては、アンモニアを気化させて反応系から除去することが特徴である。 本発明において、乳酸発酵によって乳酸アンモニウムを得て、この発酵法による乳酸アンモニウムを原料として用いることが好ましい。
【0011】
以下、本発明について詳しく説明する。
乳酸には、L−乳酸とD−乳酸の光学異性体があるが、ラクチド製造方法及び本発明のポリ乳酸製造方法においては、どちらの異性体のアンモニウム塩又は混合物を用いても良い。用いたアンモニウム塩のL/D比に応じて、得られるラクチドのL−ラクチド/メソ−ラクチド/D−ラクチドの比率が決定され、また、得られるポリ乳酸中のL−乳酸単位/D−乳酸単位の比率が決定される。L−乳酸単位又はD−乳酸単位のみを含むポリ乳酸は、結晶化し高融点が得られる。
ず、第一のラクチド製造方法について説明する。この方法は、次式のように乳酸アンモニウムからアンモニアを気化させて反応系から除去すると共に脱水して環状二量化させラクチドを直接的に生成させ、生成したラクチドを留出させる方法である。
【0012】
【化1】
Figure 0003855359
【0013】
なお、この第一のラクチド製造方法や、以下に述べる第二のラクチド製造方法及び乳酸アンモニウムからの直接ポリ乳酸製造方法においては、反応は乳酸とアンモニアとから形成されるラクタミド(CH3 CH(OH)CONH2 )を経由する場合もあり得る。
【0014】
この方法は、濃度50〜90重量%程度の乳酸アンモニウムの水溶液を、例えば10mmHg程度の減圧下、160〜200℃に加熱することにより達成される。このような減圧度、加熱条件で乳酸アンモニウムのアンモニアが気化され反応系外に除去され、二分子脱水反応が起こり、ラクチドが生成する。この反応においては生成したラクチドも気化するので、ラクチドを精留する必要がある。
【0015】
この反応における原料は、乳酸のアンモニウム塩であることが必須である。他の乳酸塩、すなわち、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等では、上記条件でこれらの塩基を反応系外に除去することができず、環化エステル化反応が起こらないからである。
【0016】
に、第二のラクチド製造方法について説明する。この方法は、次式のように乳酸アンモニウムからアンモニアを気化させて反応系から除去すると共に脱水して乳酸オリゴマーを得て、この乳酸オリゴマーを解重合して環状二量化させラクチドを生成させ、生成したラクチドを留出させる方法である。
【0017】
【化2】
Figure 0003855359
【0018】
この方法は、濃度10〜90重量%程度の乳酸アンモニウムの水溶液を、例えば200〜760mmHg程度の減圧下、130〜180℃に加熱還流し、乳酸オリゴマーを得る工程と、この乳酸オリゴマーを触媒存在下に解重合して環状二量化させラクチドを生成させ、このラクチドを留去する工程により達成される。
【0019】
乳酸オリゴマー合成工程の上記のような減圧度、加熱条件で、乳酸アンモニウムのアンモニアが気化され反応系外に除去され、脱水反応が起こり、乳酸オリゴマーが生成する。
【0020】
この反応における原料も、乳酸のアンモニウム塩であることが必須である。揮発性のアンモニアを反応系外に除去することによって、エステル化反応が起こる。
【0021】
また、還流では段階に別けて徐々に昇温することが好ましい。例えば、第1段135±3℃、第2段150±3℃、第3段160±3℃とすることが好ましい。このような還流により、重量平均分子量約1000〜3000となり、ラクチドとの沸点の差異が大きくなり、分離が容易となる。還流工程はさらに多段階に行ってもよく、あるいは連続的に徐々に昇温を行い、還流しなくなるまで加熱を行ってもよい。
【0022】
次に、このようにして得られた乳酸オリゴマーを解重合して環状二量化させラクチドを生成させる。解重合は、乳酸オリゴマーを解重合触媒の存在下、処理すべき乳酸オリゴマーの溶融温度以上の温度に加熱すると共に、前記温度におけるラクチドの蒸気圧以下の圧力に減圧して、生成したラクチドを留去することによる。通常、10〜50mmHgの減圧下、190〜200℃とすることが好ましい。高真空度の装置を用いることによりラクチドの収率が向上する。
【0023】
解重合触媒としては、周期律表IA族、IVA族、IVB族およびVA族からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属または金属化合物からなる触媒を用いることができる。
【0024】
IVA族に属するものとしては、例えば、有機スズ系の触媒(例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフエト酸スズ、β−ナフエト酸スズ、オクチル酸スズ等)の他、粉末スズ等が挙げられる。
IA族に属するものとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ金属と弱酸の塩(例えば、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、乳酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、オクチル酸カリウム等)、アルカリ金属のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等)等が挙げられる。
IVB族に属するものとしては、例えば、テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物等が挙げられる。
VA族に属するものとしては、例えば、三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物等が挙げられる。
【0025】
これらはいずれも従来公知のポリ乳酸の重合用触媒であるが、これらの中でも、スズまたはスズ化合物からなる触媒が活性の点から特に好ましい。
【0026】
本発明において、上記触媒は、処理すべき乳酸オリゴマーの10-4〜1.0重量%の量で用いることが好ましい。より好ましい量は、0.001〜0.01重量%の量である。
【0027】
次に、乳酸アンモニウムを直接ポリ乳酸に変換する方法について説明する。このポリ乳酸の製造方法では、次式のように乳酸アンモニウムからアンモニアを気化させて反応系から除去し、脱水縮重合を行い、高分子量ポリ乳酸に変換する。
【0028】
【化3】
Figure 0003855359
【0029】
この方法では、濃度50〜90重量%程度の乳酸アンモニウムの水溶液を、例えば10mmHg程度の減圧下、200℃に加熱濃縮し、実質的に水不存在の状態として、アンモニアを気化して反応系外に除去し、縮重合反応を行う。縮重合反応の減圧、温度条件としては、5〜20mmHg程度の減圧度、160〜220℃程度の温度である。また、この反応をベンゼン、トルエン、キシレン、ジフェニルエーテル等の有機溶剤中で行っても良い。その場合の条件としては、300〜760mmHg程度の減圧度、110〜160℃程度の温度である。
この反応により、重量平均分子量2000〜5000、有機溶剤を用いることにより5万〜10万程度の高分子量ポリ乳酸が得られる。
【0030】
上記第一及び第二のラクチド製造方法や、乳酸アンモニウムからの直接ポリ乳酸製造方法において、乳酸発酵によって乳酸アンモニウムを得て、この発酵法による乳酸アンモニウムを原料として用いることが好ましい。従ってこの乳酸発酵の際には、アンモニア水を中和剤として用いる。
【0031】
乳酸発酵は、グルコース、マルトース、フラクトース、ラクトース等の糖質を、ラクトバチルス( Lactobacillus ) やストレプトコッカス( Streptococcus ) 等の微生物を用いて嫌気的に発酵させれば良い。用いる微生物の菌株によって、L−乳酸、D−乳酸、ラセミ体DL−乳酸が得られるので、ポリ乳酸の使用目的によって菌株を選べば良い。
【0032】
本方法においては、アンモニア水で中和された乳酸発酵液をそのまま原料として用いても良いし、遠心分離による微生物除去、活性炭処理、溶媒抽出、電気透析、膜濾過など従来公知の方法により前処理を行っても良い。
【0033】
乳酸発酵後に、電気透析により発酵液中の乳酸アンモニウムを濃縮及び培地成分と分離し、この分離された培地成分を再び乳酸発酵原料として使用することも好ましい。電気透析を行えば、ラクチドの収率が向上すると同時に、未利用培地成分(糖質、タンパク、アミノ酸、ビタミン、微量金属元素)を有効に再使用することができる。発酵乳酸アンモニウムを電気透析により逐次分離し、乳酸アンモニウムから分離された培地成分を循環使用する方法については、Applied and Environmental Microbiology, Vol.52, 314-319 (1986)に記載があり、本方法においても、これに準じて操作することができる。
【0034】
また、本方法においては、気化したアンモニアを捕集し、この捕集されたアンモニアを乳酸発酵の中和剤として循環使用することも好ましい。上述のように、通常、反応は減圧下で行われるので、気化したアンモニアはコールドトラップやスクラバー又は冷却水中にガスを通過させることにより捕捉することができる。これらの方法で捕捉されなかったアンモニアガスは、さらに−4℃程度のスクラバーやバブリング状態での水中通過によって捕捉することができる。このように捕集されたアンモニア水を乳酸発酵の中和剤として循環使用することができる。
【0035】
電気透析による未利用培地成分の再使用、及び捕集アンモニアの循環使用を行う場合の工程概略を図1に示す。この態様により、培地成分及び捕集アンモニアを有効に再利用することができる。
【0036】
また、気化したアンモニアを硫酸、塩酸、乳酸等の酸中を通過させることによって捕捉することも可能である。特に乳酸で捕捉すれば、乳酸アンモニウムが得られるので、この乳酸アンモニウムを原料の少なくとも一部として用いることができ好ましい。
【0037】
本方法により得られたラクチドを公知の方法により開環重合させ、ポリ乳酸又はポリ乳酸共重合体を製造することができる。
【0038】
上記ラクチド製造方法、及び本発明の乳酸アンモニウムからの直接ポリ乳酸製造方法では、乳酸アンモニウムをそのまま原料として用いるので、従来法のように乳酸塩を乳酸のフリー体に変換する操作が不要である。そのため、ラクチド製造やポリ乳酸製造における工程が削減され、より安価にラクチド及びポリ乳酸を製造することができる。
また、本方法では中性の乳酸アンモニウムを原料として用いるので、反応容器や各種配管にチタン製やガラス製等の耐酸性のものが必要ではなくなった。従って、乳酸フリー体を原料としていたために耐酸性の反応容器や各種配管を必要としていた従来法に比べ、製造設備の投資が少なくて済み経済的である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1](参考例)
Purac社製L−乳酸(PH90グレード)500gを25%アンモニア水でpH7.0に中和し、ロータリーエバポレーターで濃縮することにより、濃度90重量%の乳酸アンモニウム水溶液を得た。この乳酸アンモニウム水溶液を液温度135℃に加熱し、常圧で単蒸留を行い、120分間濃縮した。ついで、減圧下(13〜7torr)、液温度200℃に設定して乳酸成分を還流させ水を系外に取り出すことにより、乳酸オリゴマーを得た。ついで、オクチル酸スズ1.0gを投入し、減圧下(10〜25torr)、液温度200℃でラクチドを留出させた。ラクチド450gが得られた。
【0040】
[実施例2](参考例)
グルコース10%、ポリペプトン2%及び酵母エキス2%を含有する培養液を蒸気滅菌し、ストレプトコッカス フェカリス( Streptococcus faecalis )を120rpmで攪拌し、37℃で20時間培養した。pHメーターによりpHを測定し、ペリスタリックポンプにより25%アンモニア水を添加し、pHを7.0に維持するようにした。この発酵液をHPLCで測定したところ、乳酸アンモニウムの濃度は9.3重量%であり、L体の光学純度は99%であった。
【0041】
この溶液1000mlをロータリーエバポレーターにより、オイルバス温度70℃、アスピレーターによる減圧度200mmHgの条件で濃縮した。トラップは液体窒素で冷却した。トラップされた液体中のアンモニア濃度をネスラー試薬により定量したところ、発酵の中和に用いたアンモニアの85%が回収されていた。乳酸濃度が80重量%になるまで濃縮し、得られた内の100gを原料とした。
【0042】
これを第1段で135℃、第2段で150℃、第3段で160℃で還流を行い、次に200℃、10mmHgの条件で留出させた。トラップされたアンモニアは、発酵中に加えられた量の5%であった。この操作で、80gのラクチドが得られた。
【0043】
[実施例3]
Dean Stark trap を備えた反応器中に、m−キシレン400ml、90%L−乳酸アンモニウム50g、トリフルオロメタンスルホン酸0.2gを仕込み、140℃で3時間、共沸脱水を行った。Dean Stark trap 中にトラップされた水を系外に除去した後、Dean Stark trap を50gのモレキュラーシーブ3Aが充填された管に取り替えて、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通過して、反応器内に戻るようにした後、更に140℃で45時間、共沸脱水を行った。モレキュラーシーブ通過後の溶媒の含水量は2ppmであった。
【0044】
反応液を液量が約1/2になるまで濃縮し、塩化メチレン250mlを加えた。これをメタノール1000ml中に注ぎ、結晶を析出させた。この結晶を濾取し、適量のメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。このようにして、重量平均分子量70,000の白色のポリ乳酸17.5gを得た。
【0045】
【発明の効果】
本発明の乳酸アンモニウムからの直接ポリ乳酸製造方法によれば、上述のように、乳酸アンモニウムをそのまま原料として用いるので、従来法に比べ製造工程が削減される。従って、本発明によれば、より安価にポリ乳酸を製造することができる。
【0046】
その上、中性の乳酸アンモニウムを原料として用いるので、反応容器や各種配管にチタン製やガラス製等の耐酸性のものが必要ではなくなり、従来法に比べ製造設備の投資が少なくて済み経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の好ましい工程概略の一例を示す図である。

Claims (6)

  1. 乳酸アンモニウムからアンモニアを気化させて反応系から除去し、脱水縮重合を行い、高分子量ポリ乳酸に変換する、ポリ乳酸の製造方法。
  2. 脱水縮重合を、
    有機溶剤を用いないで、5〜20mmHgの減圧度、160〜220℃の温度で行うか、あるいは、
    有機溶剤を用いて、300〜760mmHgの減圧度、110〜160℃の温度で行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 乳酸発酵によって乳酸アンモニウムを得て、この発酵法による乳酸アンモニウムを原料として用いる、請求項1又は2項に記載の製造方法。
  4. 乳酸発酵後に、電気透析により発酵液中の乳酸アンモニウムを濃縮及び培地成分と分離し、この分離された培地成分を再び乳酸発酵原料として使用する、請求項に記載の製造方法。
  5. 気化したアンモニアを捕集し、この捕集されたアンモニアを乳酸発酵の中和剤として循環使用する、請求項3又は4項に記載の製造方法。
  6. 気化したアンモニアを乳酸によって捕捉し、この乳酸アンモニウムを原料の少なくとも一部として用いる、請求項1〜5項のうちのいずれか1項に記載の製造方法。
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