JPWO2007089016A1 - 安定化フルオロポリマー製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、不安定末端基の充分な安定化を温和条件下で行うことができる新規のフルオロポリマー製造方法を提供する。本発明は、−SO2X(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有しない被処理フルオロポリマーに下記工程A、工程B及び工程Cをこの順に行う処理を施すことよりなることを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法である。A ハロゲン化剤を作用させる工程B 分解処理剤を作用させる工程C フッ素化剤を作用させる工程

Description

本発明は、安定化フルオロポリマー製造方法に関する。
フルオロポリマー、特にテトラフルオロエチレン〔TFE〕とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕との共重合体(以下、PFAという。)、TFEとヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕との共重合体(以下、FEPという。)等のTFE共重合体は、溶融成形可能なフッ素樹脂としてよく知られており、チューブやパイプ、継ぎ手、容器、電線被覆等の成形品、あるいはコーティング、ライニング、中空成形品を製造するための回転成形用材料として幅広く用いられている。
フルオロポリマーは、その重合時に使用する重合開始剤、連鎖移動剤等の種類にもよるが、その重合機構上、−COF、−COOH、−CHOH、−COOCH等の−CF以外の熱的に不安定な末端基を一般に有する。フルオロポリマーにおいて、これらの末端基の存在は、成形の失敗や金型の腐食の原因となる成形時の発泡やフッ酸の発生の原因となり得る。また、デバイスの高集積化に伴いクリーン化の要求が年々厳しくなる半導体分野において、これらの不安定末端基の安定化が強く望まれている。
この問題を克服するため、特許文献1では、特定のTFEとPAVEとからなる共重合体を、全ての不安定な末端基を除去するのに充分な温度、時間及び圧力下にフッ素含有ガスと接触させ、更に不活性なガスを吹き付けることを含んでなる該共重合体から不安定な末端基を抽出する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、高温、長時間のフッ素ガスとの接触を要するため、装置の腐食による共重合体の汚染が進み、また、共重合体の分解による共重合体の物性への影響が懸念される。
これに対し、特許文献2には、特定のTFEと特定のPAVEとからなる共重合体をフッ素ガスに接触させて、−COF及び−COOHとの合計数を炭素数10個あたり7〜40個にし、更に、アンモニアガスと接触させて−COFを完全に−CONHに変換する方法が記載されている。
一方、特許文献3には、−COF及び−COOHを有する共重合体を有機アミン又は第三級アルコールと接触させることにより中間体を生成させて、乾燥したのちフッ素化することにより、従来の−COFのフッ素化よりも低温でフッ素化するフルオロポリマーの安定化方法が記載されている。
しかし、この方法には、中間体のフッ素化の際にも−COFが副生する問題、また、−CHOH、−COOCH等の有機アミン又は第三級アルコールとの反応性の低い末端基を有する共重合体の場合、中間体とならずに未反応の末端基が残る問題があった。
さらに、特許文献4には、炭素材料を含む成形体の表面に関し、気相酸化法、液相酸化法又は電解酸化法の各法により予備酸化してからフッ素原子を含む化合物よりなる反応ガスでフッ素化する方法が記載されている。特に−COFを水蒸気処理することで容易に−COOHに変えることができ、他の酸化法と比較し、有効かつ経済的な方法といえるが、−COOH、−COF以外の不安定末端基を有する共重合体の場合には必ずしも有効ではない。さらに本法はあくまでも成形体表面のみの処理方法であり、また、炭素材料を含まないフルオロポリマーについて言及されていない。
また、フッ素化が困難な末端基を有する共重合体の場合には、有効な酸化処理がなされることなく未反応の末端基が残るため、安定化が不充分となる問題があった。
特開昭62−104822号公報 特開平4−20507号公報 特表平3−500547号公報 特開平6−279603号公報
本発明の目的は、上記現状に鑑み、不安定な末端基の充分な安定化を温和条件下で行うことができる新規のフルオロポリマー製造方法を提供することにある。
本発明は、−SOX(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有しない被処理フルオロポリマーに下記工程A、工程B及び工程Cをこの順に行う処理を施すことよりなることを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法である(以下、該発明を、「安定化フルオロポリマー製造方法(1)」と称することがある。)。
A ハロゲン化剤を作用させる工程
B 分解処理剤を作用させる工程
C フッ素化剤を作用させる工程
本発明は、−SOX(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有さない被処理フルオロポリマーに安定化処理(Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表す。上記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素〔−O−〕を含んでもよい。)を行うことよりなる安定化フルオロポリマー製造方法であって、
上記安定化処理は、下記工程P及びQを含むことを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法である(以下、該発明を、「安定化フルオロポリマー製造方法(2)」と称することがある。)。
P 上記不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(Tは、上記定義と同じ。Zは、H、NR又はアルカリ金属元素を表す。R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)であるフルオロポリマーを得る工程
Q フッ素化剤を作用させることにより上記−CFTCOOZを−CFT(T及びZは、上記定義と同じ。)に変換する工程
本発明は、フルオロポリマーを用いて形成してなるチューブ状成形体であって、該フルオロポリマーは、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーであることを特徴とするチューブ状成形体である。
本発明は、芯線と、該芯線を被覆する被覆材とを含む被覆電線であって、上記被覆材は、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成することを特徴とする被覆電線である。
本発明は、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする光学機能材料である。
本発明は、コア部とクラッド部からなる光導波路であって、上記コア部及び上記クラッド部の少なくとも一方は、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする光導波路である。
本発明は、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする反射防止膜材料である。
本発明は、フルオロポリマーを用いて形成してなる射出成形体であって、該フルオロポリマーは、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーであることを特徴とする射出成形体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
上述のとおり、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(1)は、被処理フルオロポリマーに施す処理が工程A、工程B及び工程Cを含む点、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(2)は、不安定末端基を有する被処理フルオロポリマーに施す処理が工程P及び工程Qを含む安定化処理である点において、両製造方法は要件を異にするが、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法について、両製造方法に共通する事項を以下に説明する。
本明細書において、本発明の「安定化フルオロポリマー製造方法」は、(1)又は(2)を付す等他の記載をしなければ、安定化フルオロポリマー製造方法(1)と安定化フルオロポリマー製造方法(2)とを含む概念である。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、被処理フルオロポリマーに、後述する特定の工程を含む処理を施すことより、安定化フルオロポリマーを製造する方法である。上記被処理フルオロポリマーとしては、通常、不安定末端基を有するフルオロポリマーを用いる。
上記処理は、上記不安定末端基を安定化する処理であり、本明細書において、「不安定末端基安定化処理」、ないし、略して「安定化処理」ということがある。
本発明において、被処理フルオロポリマーは、不安定末端基安定化処理を施す対象であるフルオロポリマーである。
上記フルオロポリマーは、フッ素含有モノマーを重合することにより得られるものであり、目的に応じて、フッ素非含有モノマーをも共重合させたものであってもよい。
上記フッ素含有モノマーとしては、フッ素原子を含有する重合可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、フルオロオレフィン、フッ素化アルキルビニルエーテル、環式のフッ素化された単量体等が挙げられる。
上記フルオロオレフィンとしては、後述のエチレン性フルオロモノマーが挙げられる。
上記フッ素化アルキルビニルエーテルとしては、特に限定されず、例えば、下記一般式
CF=CF−O−Rf
(式中、Rfは、炭素数1〜9のフルオロアルキル基又は炭素数1〜9のフルオロポリエーテル基を表す。)で表されるフルオロビニルエーテル、下記一般式
CHY=CF−O−Rf
(式中、Yは、H又はFを表し、Rfは、炭素数1〜9のエーテル性酸素を有していてもよい直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)で表される水素含有フッ素化アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
上記被処理フルオロポリマーは、上記フッ素化アルキルビニルエーテルを1種又は2種以上共重合したものであってもよい。
上記環式のフッ素化された単量体としては、下記式により表されるパーフルオロ−1,3−ジオキソール誘導体等のパーフルオロジオキソール類等が挙げられる。
Figure 2007089016
(式中、R及びR′は、同一若しくは異なって、F、H、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のフルオロアルキル基を表す。)
上記フッ素非含有モノマーとしては、上記フッ素含有モノマーと反応性を有する炭化水素系単量体等が挙げられる。上記炭化水素系単量体としては、例えば、アルケン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルエステル類、アルキルアリルエーテル類、アルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記フルオロポリマーは、好ましくは、エチレン性フルオロモノマーに由来するエチレン性フルオロモノマー単位を有するものである。
上記エチレン性フルオロモノマーは、エーテル性酸素〔−O−〕を有さず、ビニル基を有するフルオロモノマーであって、上記ビニル基は、フッ素原子により水素原子の一部又は全部が置換されていてもよいものである。
本明細書において、「エーテル性酸素」とは、モノマー分子を構成する−O−構造を意味する。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、例えば、下記一般式
CF=CF−Rf
(式中、Rfは、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)で表されるハロエチレン性フルオロモノマー、下記一般式
CHY=CFY
(式中、Yは、H又はFを表し、Yは、H、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)で表される水素含有フルオロエチレン性フルオロモノマー等が挙げられる。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン〔VDF〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン及びパーフルオロブチルエチレン等が挙げられる。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、CF=CF、CH=CF、CF=CFCl、CF=CFH、CH=CFH、及び、CF=CFCFで表されるエチレン性フルオロモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、なかでも、パーハロエチレン性フルオロモノマーがより好ましく、パーフルオロエチレン性フルオロモノマーが更に好ましく、TFEが特に好ましい。
上記被処理フルオロポリマーは、上記エチレン性フルオロモノマーを1種又は2種以上共重合したものであってもよい。
上記被処理フルオロポリマーとしては、エチレン性フルオロモノマーの少なくとも1種と上記フッ素化アルキルビニルエーテルの少なくとも1種とを共重合してなる2元以上の共重合体が好ましく、上記エチレン性フルオロモノマーと上記フッ素化アルキルビニルエーテルとを共重合してなる2元共重合体がより好ましい。
本発明における被処理フルオロポリマーとしては、CF=CF、CF=CFCFRf、CF=CF−OCFRf、CF=CF−ORfCF=CF(Rfは、炭素数1〜10のフルオロアルキル基を示す。Rfは、エーテル性酸素を含んでもよい炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)及びパーフルオロ−1,3−ジオキソール誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する繰り返し単位を有するものが好ましく、なかでも、CF=CFに由来する繰り返し単位を有するTFE系共重合体であることがより好ましい。
上記TFE系共重合体としては、CF=CFと、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕及び/又はHFPとからなる共重合体が好ましく、TFE/PAVE共重合体〔PFA〕、又は、TFE/HFP共重合体であることがより好ましく、TFE/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体であることが更に好ましい。
上記TFE系共重合体は、パーフルオロエラストマーであることが好ましい。
本発明における被処理フルオロポリマーは、上記エチレン性フルオロモノマーと、該エチレン性フルオロモノマーと共重合可能なモノマーとを共重合してなる2元以上の共重合体であることが好ましい。
上記エチレン性フルオロモノマーと共重合可能なモノマーとしては、フッ素化アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
本発明における被処理フルオロポリマーは、上記エチレン性フルオロモノマー単位50〜100モル%と上記フッ素化アルキルビニルエーテル単位0〜50モル%からなるものであることが好ましい。
上記エチレン性フルオロモノマー単位は、より好ましい下限が65モル%、更に好ましい下限が70モル%、より好ましい上限が90モル%、更に好ましい上限が87モル%である。
上記フッ素化アルキルビニルエーテル単位は、より好ましい上限が20モル%、更に好ましい上限が10モル%である。
上記フッ素化アルキルビニルエーテル単位、エチレン性フルオロモノマー単位等のモノマー単位とは、上記被処理フルオロポリマーの分子構造上の一部分であって、モノマーの分子構造に由来する部分を意味する。例えば、TFE単位は、TFE〔CF=CF〕に由来する部分〔−CF−CF−〕を意味する。
本発明における被処理フルオロポリマーは、−SOX(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有しないものである。
上記被処理フルオロポリマーは、−SOX(Xは、上記定義と同じ。)含有モノマー単位を有しないものなので、フッ素化対象物中の含水量に関わりなく効率良くフッ素化することが可能である。
本発明における被処理フルオロポリマーが有し得る不安定末端基とは、後述の工程A及び工程Bの各工程において反応が生じる基を意味する。上記不安定末端基は、更に工程Cをも行うことにより安定末端基となり得る。
上記不安定末端基としては、例えば、下記式(1)〜(7)で表される各基等が挙げられる。
(1)−CFTR(OH)n1
(2)−CFT−(Rn2−OR
(3)−CFT−(Rn3−COR
(4)−CFT−(R10n4−OCOOR11
(5)−CFTCONR1213
(6)−CFTCOOR14
(7)−CFTR15
(式中、Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表し、Rは、水素原子の一部又は全部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R、R及びR10は、水素原子の一部又は全部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R、R、R11、R12、R13及びR14は、水素原子の全部でなく一部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し(但し、上記(5)においてR12及びR13は、同一又は異なる。)、R15は、H又は水素原子の全部でなく一部がハロゲン元素に置換していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、n1は、1〜3の整数を表し、n2、n3及びn4は、0又は1の整数を表す。上記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素を含んでもよい。Xは、上記定義と同じ。)
上記Tとしてのパーフルオロアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、上記Tとしてのパーフルオロアルコキシル基は、炭素数1〜15であることが好ましい。
上記Rとしての炭化水素基は、非環式脂肪族炭化水素基であってもよいし、脂環式炭化水素基であってもよいし、フェニル基等の芳香族炭化水素基であってもよい。
上記不安定末端基としては、例えば、−CFCOCH、−CFCHOH、−CFCONH等が挙げられる。
本発明に用いる被処理フルオロポリマーは、上記不安定末端基を有するものであれば、該不安定末端基以外の−CFCOOH、−CFCOF、−CF16(R16は、炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、−CF=CF、−CFH等の不安定な末端基をも有するものであってもよい。
上記不安定末端基及び不安定なその他の末端基としては、特に限定されないが、例えば、被処理フルオロポリマーを得るための重合反応において添加する重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は重合停止剤に由来する基(i);一分子停止反応(ビニルエーテルのβ−開裂等)により生じる基(ii);本発明における処理を施す前にこれらの末端基が周囲の環境中に存在し得る水、アルコール、アミン等により更に変化したもの(iii)であってもよい。
上記重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は重合停止剤に由来する基(i)としては、例えば、(i−a)重合開始剤としてジn−プロピルパーオキシジカーボネートを使用した場合に生成し得る−CFOCOOCHCHCH;(i−b)連鎖移動剤としてメタノールを使用した場合、全ポリマー末端に対して10〜50%程度の割合で生成する−CFCHOH;(i−c)連鎖移動剤としてジメチルエーテルを使用した場合に生成し得る−CFCHOCH;(i−d)連鎖移動剤にアセトンを使用した場合に生成し得る−CFCHCOCH;(i−e)連鎖移動剤としてエタンを使用した場合、全ポリマー末端に対して10〜50%程度の割合で生成し得る−CFCHCH;(i−f)重合停止剤にメタノールを使用した場合、全ポリマー末端に対して10〜80%程度の割合で生成し得る−CFCONH;等、上述の式(1)〜(4)、(6)又は(7)に相当する基が挙げられる。
上記一分子停止反応により生じる基(ii)としては、−CFCOF等が挙げられる。
上述の重合時に一旦生じた末端基が周囲の媒体により更に変化した末端基(iii)としては、例えば、上記−CFCOFが共存し得る水によりカルボキシル基に変化したもの(−CFCOH等)、上記−CFCOFが共存し得るアルコールによりエステル結合を形成することとなったもの(−CFCOCH、−CFCO等)、アミン若しくはアンモニアを用いた場合に上記−CFCOFがアミド結合に変化したもの(−CFCONH、−CFCON(CH等)等が挙げられる。
該更に変化した基(iii)のうち、本発明における不安定末端基としては、上述の(5)又は(6)の末端基が相当し得る。
上記被処理フルオロポリマーにおける不安定末端基は、上記(1)〜(7)で表される各基の少なくとも1つである場合、後述の工程Aにおいて、該不安定末端基を易分解性末端基に変換することができ、しかも該変換を温和な条件下であっても行うことができるので、安定化フルオロポリマーを効率よく製造することができるが、なかでも、上記(1)、(3)、(5)及び(6)よりなる群から選択される式で表される基である場合、末端安定化を更に容易に行うことができる。
また、上記不安定末端基が、(2)、(4)及び(7)よりなる群から選択される式で表される基である場合、後述の工程Aにおいて酸素等の酸化性ガスを共存させる方法が効果的である。
上記被処理フルオロポリマーは、通常、複数個の被処理フルオロポリマー分子の集合体である。
該複数個の被処理フルオロポリマー分子の集合体は、不安定末端基を有する被処理フルオロポリマー分子と、不安定末端基を有しない被処理フルオロポリマー分子との集合体であってもよい。
上記不安定末端基は、該複数個の被処理フルオロポリマー分子の集合体において、少なくとも1個存在すればよいのであるが、通常、複数個が存在する。
該複数個の不安定末端基は、上記複数個の被処理フルオロポリマー分子の集合体において、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。該2種類以上の不安定末端基は、被処理フルオロポリマー分子1個あたり2種類以上であってもよいし、被処理フルオロポリマー分子により不安定末端基の種類が一部又は全部異なっていてもよい。
上記複数個の不安定末端基は、本発明における処理の過程において、該複数個が全て同一種類の基に変換してもよいし、該複数個のうち基により異なる種類の基に変換してもよいし、該複数個のうち一部に未変換の基を含むこととなってもよい。
本発明において、不安定末端基は、その一般的字義の通りに解すれば、後述の処理の過程において生じる易分解性末端基、易フッ素化性末端基及び−CFTCOOZ(Tは、上記定義と同じ。Zは、H、NR又はアルカリ金属元素を表す。R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を含み得るとも考えられるが、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(1)において、不安定末端基は、通常、処理を施す前に被処理フルオロポリマーが有している基であり、易分解性末端基は、該不安定末端基に後述の工程Aを施して得られる基であり、易フッ素化性末端基は、該易分解性末端基に後述の工程Bを施して得られる基であり、また、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(2)において、−CFTCOOZ(T及びZは、上記定義と同じ。)は、上記不安定末端基に含まれる種である点で、不安定末端基、易分解性末端基、易フッ素化性末端基及び上記−CFTCOOZは、それぞれ区別される概念である。
本発明における被処理フルオロポリマーは、例えば、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来公知の方法にて調製することができるが、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法が最も効果を奏する点で、乳化重合若しくは懸濁重合が好ましい。
上記被処理フルオロポリマーは、樹脂粉末状、ペレット状、成形して得た膜状の何れであってもよい。上記被処理フルオロポリマーは、後述の各工程を充分に行う点では、樹脂粉末状であることが望ましいが、取り扱い性の点では工業上はペレット状であることが望ましい。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(1)は、上述の被処理フルオロポリマーに下記工程A、工程B及び工程Cをこの順で行う処理を施すものである。
A ハロゲン化剤を作用させる工程
B 分解処理剤を作用させる工程
C フッ素化剤を作用させる工程
上記工程Aは、一般に、ハロゲン化剤を作用させることにより不安定末端基を易分解性末端基に変換する工程A1である。
上記ハロゲン化剤としては、好ましくは、F、NF、SF、PF、IF、IF、Br、BrF、BrF、AgF、CoF、KNiF、Cl、SCl、SCl、PCl、POCl、PCl、ClF及びClFよりなる群から選択される少なくとも1種である。
上記ハロゲン化剤は、取り扱いが容易であることからF又はSFであることがより好ましい。
また、必要に応じて酸素等の酸化性ガスと混合して使用することができる。
上記ハロゲン化剤は、ガス状化合物である場合、窒素等の不活性ガスで5〜95質量%に希釈して使用することができる。
上記ハロゲン化剤を作用させることは、好ましくは0〜180℃にて行う。ハロゲン化剤の作用を該範囲内の温度で行うことにより、易分解性末端基への変換率を高く維持しながら、炭素−炭素二重結合の形成、主鎖切断等の被処理フルオロポリマーの損傷を抑制することができる。
上記温度は、より好ましい下限が20℃、更に好ましい下限が50℃であり、より好ましい上限が140℃、更に好ましい上限が130℃である。
工程Aは、使用するハロゲン化剤、被処理フルオロポリマーの種類等に応じて異なるが、ゲージ圧−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。上記圧力は、より好ましい下限が、−0.05MPaであり、より好ましい上限が1MPaである。
本発明において、「易分解性末端基」は、上述の不安定末端基からハロゲン化剤を作用することにより変換される基であって、工程Bにおける分解処理剤を作用させることにより易フッ素化性末端基に変換し得る基である。
上記易分解性末端基としては、例えば、−CFTCOX(Tは、上記定義と同じ。Xは、F又はClを表す。)、−CFTCOORx(Tは、上記定義と同じ。Rxは、ハロゲン化アルキル基を表す。)等が挙げられる。
上記Rxにおけるハロゲン元素数は、一般に、上述のR14が有するハロゲン元素数よりも多い。
上記易分解性末端基としては、上記−CFTCOX及び上記−CFTCOORx(各式において、T、X及びRxは、上記定義と同じ。)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記−CFTCOXとしては、−CFTCOFが好ましく、上記−CFTCOORxとしては、Rxが炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基であるものが好ましく、Rxが炭素数1〜3のパーハロアルキル基であるものがより好ましく、−CFTCOOCX 等が更に好ましく、−CFTCOOCFが特に好ましい(各式において、T、X及びRxは、上記定義と同じ。)。
上記工程Aにおいてハロゲン化剤を作用させることにより、例えば、上述の式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(7)で表される不安定末端基は、易分解性末端基−CFTCOF(Tは、上記定義と同じ。)に変換し、上記式(6)で表される不安定末端基は、アルキル基−R14の水素原子がハロゲン元素に置換された易分解性末端基−CFTCOOCXn53−n5(式中、Tは、上記定義と同じ。Xは、F又はClであり、n5は1、2又は3の整数である。)に変換することができる。このうち、上記式(7)で表される基は、アルキル基−R15の水素原子がハロゲン化剤処理によりフッ素に置換されるが、充分な−CFT(Tは、上記定義と同じ。)化を比較的低温下で且つできるだけ短時間で行うため、ハロゲン化剤に酸素等の酸化剤を共存させることにより−CFTCOX(式中、T及びXは上記定義と同じ。)に変換する方法が好ましい。
工程Bは、好ましくは、分解処理剤を作用させることにより上記易分解性末端基を易フッ素化性末端基に変換する工程である。
上記分解処理剤は、水であることが好ましい。上記分解処理剤は、液状分解処理剤及びガス状分解処理剤のいずれであってもよいが、好ましくはガス状分解処理剤である。上記分解処理剤として水を使用する場合、易分解性末端基は水に対して非常に反応性が大きいので、湿った空気と接触させるだけで易フッ素化性末端基に変換できることもあり、工程が簡便になり得る。
上記工程Bにおける分解処理剤の使用量は、使用する分解処理剤の種類に応じて適宜選択することができるが、液状分解処理剤を使用する場合、工程Aを経た被処理フルオロポリマー100質量部に対し1〜10000質量部である。
上記工程Bは、0〜180℃の温度下に行うことが好ましい。上記温度は、より好ましい下限が20℃、更に好ましい下限が50℃であり、より好ましい上限が140℃、更に好ましい上限が130℃である。
上記工程Bは、ガス状分解処理剤を使用する場合、ゲージ圧−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。上記圧力は、より好ましい下限が−0.05MPaであり、より好ましい上限が1MPaである。
本発明において、「易フッ素化性末端基」は、上述の易分解性末端基が分解することにより得られる基であって、フッ素化が比較的容易な基である。
上記易フッ素化性末端基は、通常、易分解性末端基よりも容易にフッ素化されるので、易分解性末端基を易フッ素化性末端基に一旦変換してからフッ素化剤を作用させることにより、結果として、末端基における処理後のフッ素化率を高くすることができる。
上記易フッ素化性末端基としては、−CFTCOOZ(Tは、上記定義と同じ。Zは、H、NR又はアルカリ金属元素を表す。R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)等が挙げられる。該−CFTCOOZは、工程Cにおいて容易に−CFT(Tは、上記定義と同じ。)に変換することができる。
上記Zは、一般に、反応媒体に上記NR、アルカリ金属元素等が存在する場合、該存在するNR、アルカリ金属元素等に影響されるが、工程Cにおけるフッ素化の効率の点で、Hが好ましい。
上記工程Bは、工程Cにおけるフッ素化が容易である点で、上述の分解処理剤を作用させることにより上記易分解性末端基を上記−CFTCOOZ(T及びZは、それぞれ上記定義と同じ。)に変換する工程B1であることが好ましい。
工程Cは、好ましくは、フッ素化剤を作用させることにより上記易フッ素化性末端基を−CFT(Tは、上記定義と同じ。)に変換する工程である。
上記工程Cにおけるフッ素化剤は、一般に、F、NF、SF、PF、IF、IF、BrF、BrF、ClF、ClF、AgF、CoF及びKNiFよりなる群から選択される少なくとも1種のフッ素源からなるものであることが好ましい。上記フッ素源は、Fであることがより好ましい。
上記フッ素化剤としては、ガス状フッ素化剤であることが好ましい。
上記ガス状フッ素化剤は、上記フッ素源と、フッ素化に不活性な気体とからなるものである。
上記フッ素化に不活性な気体としては特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
上記フッ素源は、ガス状フッ素化剤である場合、上記ガス状フッ素化剤の1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、上記範囲内であれば、50質量%以下であってもよい。
上記工程Cは、ガス状分解処理剤を使用する場合、ゲージ圧−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。上記圧力は、より好ましい下限がゲージ圧−0.05MPaであり、より好ましい上限が1MPaである。
工程Cにおいて、フッ素化剤を作用させることは、好ましくは0〜180℃にて行う。
上記温度は、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、また、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
フッ素化剤の作用を該範囲内の温度で行うことにより、−CFTへの変換率を高く維持しながら、炭素−炭素二重結合の形成、主鎖切断等の被処理フルオロポリマーの損傷を抑制することができる。
上記工程Cは、連続式、バッチ式の何れの操作も可能である。
また、上記フッ素化処理において用いられる装置は、棚段型反応器、筒型反応器等の静置式反応器;攪拌翼を備えた反応器;ロータリーキルン、Wコーン型反応器、V型ブレンダー等の容器回転(転倒)式反応器;振動式反応器;攪拌流動床等の種々の流動床反応器;等から適宜選択される。また、処理対象物が、樹脂粉末状、ペレット状の場合には、容器回転式反応器又は振動式反応器にてフッ素化処理を行うことが、反応温度を均質に保ちやすい点で好ましい。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(1)において、工程Aは上述の工程A1であり、工程Bは上述の工程B1であり、及び、工程Cは、フッ素化剤を作用させることにより上述の−CFTCOOZを−CFT(以上、T及びZは、上記定義と同じ。)に変換する工程C1であることが好ましい。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(2)は、下記工程P及びQを含む安定化処理を上述の被処理フルオロポリマーに行うことよりなるものである。
上記被処理フルオロポリマーは、上述の通り、−SOX(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有さないものである。
P 不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表し、Zは、H、NR又はアルカリ金属元素を表す。R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。上記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素を含んでもよい。)であるフルオロポリマーを得る工程
Q フッ素化剤を作用させることにより上記−CFTCOOZを−CFT(T及びZは、上記定義と同じ。)に変換する工程
上記工程Pにおいて、「不安定な末端基」は、被処理フルオロポリマーについて上述した不安定末端基及び該不安定末端基以外の不安定な−CFCOOH、−CFCOF、−CF=CF等の末端基を含み得る概念である。
上記工程Pは、上述の不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZであるフルオロポリマーを得ることができる操作であれば何れの操作を行うものであってもよく、例えば、上述の工程A及び工程Bを行ってもよいし、被処理フルオロポリマーに酸化剤を接触させた後、生成した−CFTCOFを水等で加水分解してもよい。上記酸化剤としては、オゾン等が挙げられ、上記オゾンとしては、水蒸気を伴うものであってもよい。また、被処理フルオロポリマーを200〜300℃の高温で処理した後、生成した−CFTCOFを水等で加水分解する方法等がある。ここで、被処理フルオロポリマーを200〜300℃の高温で処理する場合に、0.02MPa以下の真空で処理してもよく、処理時間としては、例えば、0.1時間以上処理することができる。
上記工程Pとしては、上述の工程A及び工程Bを行うことが好ましい。
上記工程Qにおけるフッ素化剤としては、上述の工程Cと同様のものが挙げられ、中でも、フッ素源としてF又はSFであるものが好ましい。
上記フッ素化剤は、上述の工程Cと同様に希釈して使用することが好ましい。
上記工程Qにおける反応条件は、使用するフッ素化剤、被処理フルオロポリマーの種類等に応じて異なり、特に限定されないが、−0.08〜3MPaの圧力下で行うことが好ましい。
上記工程Qは、工程Pを経たフルオロポリマーについて行うものなので、0〜180℃の温度下に行うことが可能である。
上記温度は、好ましい下限が20℃、より好ましい下限が50℃であり、好ましい上限が140℃、より好ましい上限が130℃である。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、例えば、得られる安定化フルオロポリマーにおいて、炭素数10個あたり不安定末端基数を10個以下にすることが可能であり、該炭素数10個あたりの不安定末端基数は、好ましくは6個以下、より好ましくは4個以下にすることができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、上述のとおり、被処理フルオロポリマーが有する不安定末端基を安定な−CFT(Tは、上記定義と同じ。)に変換するものである。
従来、該変換は、不安定末端基を基本的に1つの処理操作により直接フッ素化することにより行われてきたが、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(1)は、被処理フルオロポリマー中の不安定末端基を易フッ素化性末端基に高い変換率で一旦変換し、該易フッ素化性末端基にフッ素化剤を作用させることにより、上記不安定末端基の−CFTへの変換率(−CFT化率)を極めて高くすることができたものである。該−CFT化率の向上は、また、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法(2)により、工程Pにおいて不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(T及びZは、上記定義と同じ。)であるフルオロポリマーを得ることによっても達成することができる。
上記不安定末端基から易フッ素化性末端基への変換率は、好ましくは工程A又は工程Pを上述の温度範囲内で行うことにより、更に高めることができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法を行った場合、被処理フルオロポリマー中の不安定末端基の−CFT化率を、一般に90%以上、好ましくは95%以上とすることができる。
上述の式(1)〜(7)の何れか1つで表される不安定末端基は、従来のフッ素ガスによる処理を行うとフッ素化が不充分となる問題があったが、その原因としては、上記各不安定末端基が−COF構造、エステル構造等の末端基に変換され易く、該変換後の末端基はフッ素ガス中において安定なので、−CFT(Tは、上記定義と同じ。)に変換するのに高い温度と長い時間を要することが考えられる。
本発明の意義は、上記問題に対し、上述の不安定末端基を有するフルオロポリマーを温和な条件下で充分に安定化する点にある。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法では、被処理フルオロポリマーが、上記(1)〜(7)で表される基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不安定末端基を有する場合であっても、ハロゲン化剤で処理することにより−CFTCOX又は−CFTCOORx(各式において、T、X及びRxは上記定義と同じ。)に変換したのち更に分解処理剤を作用させて−CFTCOOZに変換した後、又は、不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(T及びZは、上記定義と同じ。)であるフルオロポリマーに変換した後、フッ素化剤を作用させて安定化処理するので、温和な条件下において効率よく安定化処理することができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、上述の各工程を経るので、高温加熱下でフッ素化する際に生じていたフルオロポリマーの主鎖切断等の損傷を防止することができる。
本発明において、該フルオロポリマーの損傷は、好ましくはハロゲン化剤又はフッ素化剤を作用させる温度を上述の範囲内に抑えることにより充分に防止することができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、例えば被処理フルオロポリマーがPFAである場合、MFRが好ましくは0.1〜200(g/10分)、より好ましくは1〜80(g/10分)である安定化フルオロポリマーを得ることができるものである。
本明細書において、上記MFRは、ASTM D 3307に準拠して、温度372℃、荷重5kgの条件下で測定して得られた値である。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、上述の温度範囲で行うことができ、使用する装置や材料の腐食に起因するフルオロポリマーの汚染、被処理フルオロポリマーのポリマー鎖分解等の問題が生じにくいので、化学的安定性、光透過性等の光学特性、特に高周波領域における電気特性等、各種物性に優れたフルオロポリマーを得ることができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法から得られる安定化フルオロポリマーは、このように各種物性に優れているので、各種塗装物、被覆材、各種成形体の材料として有用である。上記安定化フルオロポリマーは、各種材料として使用する場合、フィラー等の添加剤を配合して使用することもできる。
上記安定化フルオロポリマーは、例えば、電子写真機、プリンター、コピー機等の定着ロールにおける被覆材として使用することができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成してなるチューブ状成形体もまた、本発明の1つである。
上記チューブ状成形体は、特に、化学工業、半導体製造、自動車、情報機器等の分野において有用である。
更に、芯線と、該芯線を被覆する被覆材とを含む被覆電線であって、上記被覆材は、上記製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成することを特徴とする被覆電線もまた、本発明の1つである。
上記被覆電線を構成する芯線としては、特に限定されず、銅線等、従来公知のものを使用することができる。
上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする光学機能材料もまた、本発明の1つである。
本発明の光学機能材料としては特に限定されず、例えば、光導波路用材料等の光デバイス用光学材料、光デバイスの加工に必要な封止部材用材料、レンズ用材料、発光素子等として有用であり、また、反射防止膜材料等の表示デバイス用の光学材料としても有用である。
本発明の光学機能材料において、安定化フルオロポリマーは、TFEとパーフルオロ−1,3−ジオキソール誘導体とからなる共重合体であることが好ましい。
ここで、光デバイス用光学材料としては、光増幅素子、光スイッチ、光フィルタ、光分岐素子、波長変換素子等、任意のものを挙げることができる。また、N分岐導波路(Nは2以上の整数)を含む光分岐素子と上記素子を組み合わせた光回路は今後の高度情報通信社会においては極めて有用である。これらの素子を組み合わせることにより、光ルーター、ONU、OADM、メディアコンバーター等に利用することができる。
光導波路素子の形式は、平面型、ストリップ型、リッジ型、埋込み型等の用途に応じた形式を適宜とることができる。
コア部とクラッド部とからなる光導波路であって、上記コア部及び上記クラッド部の少なくとも一方は上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成するものであることを特徴とする光導波路もまた、本発明の1つである。
上記コア部とは基板上に形成させた屈折率が高い回路をいい、上記クラッド部とは該コア部周囲に形成させた屈折率が低い部分をいうが、上記安定化フルオロポリマーは一般に屈折率が低いので、本発明の光導波路において少なくともコア部を形成することが好ましい。
本発明の光導波路は、エッチング法、フォトブリーチング法、射出成型法等、公知の方法にて作成することができる。
本発明の光導波路は、コア部及びクラッド部の少なくとも一方が上述の安定化フルオロポリマーから形成されたものであるので、上記光伝播速度が高い。
光デバイスの加工に必要な封止部材用材料としては、例えば、発光ダイオード(LED)、EL素子、非線形光学素子等の発光素子や受光素子等の光機能素子のパッケージ(封入)、表面実装等が挙げられる。封止された光素子は種々の場所に使用されるが、非限定的な例示としては、ハイマウントストップランプやメーターパネル、携帯電話のバックライト、各種電気製品のリモートコントロール装置の光源等の発光素子;カメラのオートフォーカス、CD/DVD用光ピックアップ用受光素子等が挙げられ、また、白色LED用の演色材のマトリックス高分子としても有用である。
上記発光素子としては、例えば、EL素子、ポリマー発光ダイオード、発光ダイオード、光ファイバーレーザー、レーザー素子、光ファイバー、液晶バックライト、光検知器等が挙げられ、大型ディスプレイ、照明、液晶、光ディスク、レーザープリンター、医療用レーザー、レーザー加工、印刷、コピー機器等に応用される。
上記レンズ用材料としては、ピックアップレンズ、めがね用レンズ、カメラ用レンズ、プロジェクター用フレネルレンズ、コンタクトレンズ等が挙げられる。
上記表示デバイス用の光学材料としては、反射防止材、照明器具のカバー材、ディスプレイ保護板、透明ケース、表示板、自動車用部品等が挙げられる。
また、光ディスク基板等に用いることもできる。
上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーを用いて形成したものである反射防止膜材料もまた、本発明の1つである。
上記反射防止膜材料とは、一般に、反射防止フィルムを構成する反射防止層の材料である。該反射防止フィルムとは、液晶ディスプレイ表面における画面のコントラスト低下を防止する目的でディスプレイ表面上に形成させるフィルムをいい、ディスプレイ表面上から順にプラスチック基材、アクリル系ハードコート層、反射防止層及び防汚コート層の全て若しくは一部を形成してなるものである。反射防止膜材料としては、一般に、画面の反射率を低減させる点で屈折率が低いものが好ましいが、本発明の製造方法を用いて得られる安定化フルオロポリマーは屈折率が低く且つ透明性が高いので、反射防止膜材料として従来の有機材料より優れている。
フルオロポリマーを用いて形成してなる射出成形体であって、該フルオロポリマーは、上述の本発明の安定化フルオロポリマー製造方法により製造する安定化フルオロポリマーであることを特徴とする射出成形体もまた、本発明の1つである。
本発明の射出成形体を形成する際に行う射出成形は、公知の方法にて行うことができ、特に限定されないが、安定化フルオロポリマーがPFAである場合320〜420℃の成形温度下で行うことが好ましい。
上記射出成形品は、例えば、各種ハウジング、継手、ボトル等として好ましく使用することができる。
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、上記構成よりなるものであるので、温和で経済的な反応条件下で不安定末端基を安定化することができる。
上記製造方法は、温和な反応条件下で行うことができるので、使用する装置や材料について制限が緩和することができ、また、該装置や材料の腐食が少ないので、腐食物によるフルオロポリマーの汚染を低減することが可能である。更に、上記製造方法から得られる安定化フルオロポリマーは、温和な反応条件下で安定化したものであるので分解されておらず、各種物性に優れている。上記安定化フルオロポリマーは、特に、半導体業界の材料、光学機能材料、被覆電線、光導波路、反射防止膜材料、射出成形品等として有用である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、フルオロポリマーのMFR及び融点は、以下の方法で測定した値である。
1.MFR
ASTM D 3307に準拠し測定した。具体的には、メルトインデクサーSeries4000(安田精機製作所製)を測定温度372℃に設定し、質量6.0〜6.5gの試料を投入し、予熱時間5分経過後、荷重5kgにて溶融ストランドを押し出した。溶融ストランドは、一定時間(約5〜30秒)毎に切断し、採取した。採取した溶融ストランド試料は充分冷却し、次式に従ってMFR(単位:g/10分)を算出した。
MFR=(M×600)/T
(式中、Mは採取した試料の質量(単位:g)を、Tは、試料を採取した時間(単位:秒)を表す。)
2.融点
ASTM D 4591に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量測定装置RDC220(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、質量約3mgの試料を、窒素気流中200℃より昇温速度10℃/分にて350℃まで昇温し、得られた吸熱曲線の変曲点から融点を求めた。
実施例1
1.工程A
300ml容量のステンレス製オートクレーブに、テトラフルオロエチレン〔TFE〕94.3質量%及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕5.7質量%含むフルオロポリマー(MFR:12.5(g/10分)、融点:303℃)のペレットを50g仕込んだ。該オートクレーブを密封の上、気密試験を実施後、真空ポンプで約1.3kPaまで減圧した後、窒素ガスで常圧に戻す操作を10回繰り返した。続いて、オイルバスにて加熱し、内温180℃に達したことを確認後、再度真空引きし、フッ素ガス(純度99.7質量%)を窒素で20質量%(15.4容積%)に希釈して調製したガスを、ゲージ圧が0.01MPaとなるまで導入して反応を開始させた。反応開始より1.5時間後に真空引きを行い、速やかにゲージ圧が0.01MPaとなるまでフッ素ガスを導入することで、オートクレーブ内に反応に充分なフッ素ガスを供給した。
反応開始後3時間が経過したところで、速やかに真空引きを行い、窒素ガスをゲージ圧が0.01MPaとなるまで導入し、冷却した。60℃以下まで冷却したところで、フッ素化ポリマーのサンプルを約50g回収した。
上記工程を別途2回行い、合計約150gのフッ素化ポリマーのサンプル(以下、本サンプルを「サンプル1」という。)を得た。
2.工程B
上記で得られたサンプル1(約150g)を滅菌器(装置名:IST−50型、千代田製作所社製)にて121℃、ゲージ圧0.1MPaの条件下にある水蒸気に6時間接触させた後、室温まで放冷し、サンプル2を得た。
3.工程C
30ml容量の小型管型反応器に上記で得られたサンプル2を20g充填し、まず、真空ポンプで約1.3kPaまで減圧し、窒素ガスで常圧に戻してから、50ml/分の流速で窒素ガスを10分間流通した後、エアーバス内で180℃まで昇温した。温度安定後、上述のフッ素ガスを窒素で希釈して調製したガスを42ml/分にて3時間流通した。反応終了後直ちに真空ポンプにて反応器内を真空引き後、窒素ガスにて常圧まで戻し、次いで窒素ガスを50ml/分にて流通させた。10分間流通後、エアーバスの熱源を止め、室温まで冷却した。反応管から、安定化フルオロポリマーを取り出し、サンプル3とした。
比較例1
工程Aの反応時間を15時間とし、工程B及び工程Cを行わない以外は実施例1と同様にフルオロポリマーの処理を行い、サンプル4を得た。
なお、工程Aの反応中、1.5時間毎に真空引きを行い、速やかにゲージ圧で0.01MPaまでフッ素ガスを導入することで、オートクレーブ内に反応に充分なフッ素ガスを供給した。
比較例2
工程Aの反応温度を200℃、反応時間を9時間とする以外、比較例1と同様にフルオロポリマーの処理を行い、サンプル5を得た。
実施例1、比較例1及び比較例2において得られた各サンプルについて、以下の分析を行った。
分析方法
得られた各サンプルのペレットをカッターナイフにて半分に切断し、油圧プレスにて圧延し、厚さ0.25〜0.30mm程度のフィルムを得た。
得られたフィルムは、フーリエ変換式赤外吸光分光法にて波数400〜4000cm−1の範囲で分析した。もはやスペクトルに実質的差異がみられなくなるまで充分にフッ素化した標準サンプルとの差スペクトルを取得し、各不安定な末端基に帰属される波数での吸光度を読み取り、次式に従って炭素数10個あたりの不安定な末端基の個数を算出した。
炭素数10個あたりの末端基の個数 = I×K/t
(上記式において、Iは上記吸光度、Kは表1に示す補正係数、tは測定に供したフィルムの厚さ(単位:mm)である。)
なお、−CFCOOHについては、表1に示した2つの−CFCOOHを示す波数につき上式から算出した値の和を炭素数10個あたりの−CFCOOH末端基の個数とした。
また、この算式で炭素数10個あたりの末端基の個数が1未満となった場合、本測定法において測定限界以下とするが、不安定な末端基の存在そのものを否定する訳ではない。
Figure 2007089016
上記フーリエ変換式赤外吸光分光法に用いるフーリエ変換式赤外吸光分光器として、パーキンエルマー社製Spectrum One型スペクトロメーターを使用し、走査回数は8回とした。
各測定結果を表2に示す。
Figure 2007089016
上記分析の結果、工程A前におけるフルオロポリマーは、−CFCHOH、−CFCOF、−CFCOOH、−CFCOOCHの各末端基の総数が、炭素数10あたり229個であったのに対し、サンプル1では不安定な末端基は−CFCOFだけとなり、その数は炭素数10あたり80個となり、元のサンプルの25個よりも増えていた。これは、−CFCOF以外の不安定な末端基、すなわち、−CFCHOH、−CFCOOH、−CFCOOCHの各末端基がフッ素化により、その一部が−CFCOFに変化したことを示す。
水蒸気処理を施したサンプル2では、炭素数10あたり80個ある−CFCOFの殆ど(約98%以上)が−CFCOOHに変化していることがわかった。
更に、180℃でフッ素化したサンプル3では、不安定な末端基は測定限界以下となったことが判明した。
実施例1では工程Aと工程Cとを合わせて合計6時間のフッ素化反応により不安定な末端基を測定限界以下とすることができた。ところが、工程Bの水蒸気処理及び工程Cのフッ素化剤処理を行わず工程Aのみ行った比較例1では、不安定な末端基を測定限界以下とするのに15時間ものフッ素化反応時間を要した。
すなわち、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法を用いることにより、フッ素化反応時間が従来の半分以下で済むことが明らかとなった。
工程Aの反応温度を200℃に設定しても工程Bと工程Cとを行わない比較例2では、不安定な末端基を測定限界以下とするのに9時間ものフッ素化反応時間を要した。
なお、比較例2の方法等、フッ素化を200℃程度の高温で行い、工程Bと工程Cとを行わない方法では、通常、フッ素化反応に長時間を要し、装置の腐食による寿命の短縮、装置の腐食により生成した物質、例えばフッ化クロム、フッ化ニッケル、フッ化鉄等の装置材料の腐食生成物によるポリマーの汚染、ポリマー鎖分解によるポリマーの様々な物性への影響が懸念される。
また、フッ素化を200℃程度の高温で行い工程Bと工程Cとを行わない方法を大規模の反応器において行う場合、反応器内の温度分布が広くなるので、より長い反応時間、より高い反応温度、より高いフッ素濃度を必要とせざるを得ず、上記の様々な影響が更に顕著なものとなる。以上の点で、フッ素化を高温で行い、工程Bと工程Cとを行わない方法は工業的に有用な手法とはいい難い。
実施例2
工程Aの反応温度を160℃、反応時間を6.5時間、工程Cの反応温度160℃、反応時間を3時間とする以外は、実施例1と同様にしてフルオロポリマーの処理を行った。
このとき、工程Aで得られたポリマーをサンプル6、引き続き行う工程Bで得られたポリマーをサンプル7、更に引き続き行う工程Cで得られたポリマーをサンプル8とした。
比較例3
工程Bの水蒸気処理を行わない以外、実施例2と同様にフルオロポリマーを処理し、サンプル9を得た。
比較例4
工程Aの反応時間を20時間とし、工程B及び工程Cを行わない以外は実施例2と同様にフルオロポリマーを処理し、サンプル10を得た。
実施例2、比較例3及び比較例4における各サンプルについて、上述の分析を行った。各分析結果を表3に示す。
Figure 2007089016
実施例2に示したように、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法では、工程Aの反応温度を160℃としても、工程Aと工程Cを合わせて合計9.5時間のフッ素化反応時間で不安定な末端基を測定限界以下とすることができた。
ところが、工程Bの水蒸気処理及び工程Cのフッ素化剤処理を行わず工程Aのみ行う比較例4では、不安定な末端基を測定限界以下とするのに20時間ものフッ素化反応時間を要した。すなわち、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、工程Aの反応温度を160℃と比較的低温にしても、フッ素化時間が従来の半分以下で済むことが明らかとなった。
また、本発明の安定化フルオロポリマー製造方法では、実施例1及び実施例2に示されたように、工程Bを経て工程Cを行うことにより不安定な末端基を削減することができたのに対し、工程Bを行わない比較例3では、工程A次いで工程C終了後のフルオロポリマー(サンプル9)において−CFCOFが炭素数10あたり53個残っていることから、工程Bの水蒸気処理の効果が明確である。
したがって、上記実施例記載の製造方法は、優れた物性を保持したフルオロポリマーの安定化方法として有用である。
実施例3
実施例1において、下記の点以外すべて同様にして実施した。被処理フルオロポリマーとして、TFE96.0質量%及びPAVE4.0質量%含むフルオロポリマー(MFR:25(g/10分)、融点:310℃)の粉体を用いた。
工程Aでは、ハロゲン化剤として、上述のフッ素ガスを窒素で希釈して調製したガスの代わりにSF(純度94質量%)を用い、温度120℃で4時間反応させ、サンプル11を得た。工程Bでは、サンプル量を50gとして処理し、サンプル12を得た。工程Cでは、反応温度140℃、反応時間5時間としてサンプル13を得た。更に、各サンプルについて上述の試験を行った。
得られたサンプルの分析結果を、表4に示す。
SFを用いることで、反応性の高いフッ素ガスを用いなくても、温和な条件で速やかに−CFCOOHを−CFCOFに変換可能であることが判明した。
Figure 2007089016
実施例4
1.工程P
300ml容量のステンレス製オートクレーブに、TFE96.5質量%及びPAVE3.5質量%含むフルオロポリマー(MFR:12.5(g/10分)、融点:303℃)のペレットを50g仕込んだ。オイルバスにて加熱し、内温100℃に達したことを確認後、エコデザイン株式会社製、ED−OG−R4型オゾン発生器より10g/時間にて流通させて水蒸気で湿潤させたオゾンを供給した。15時間処理後、速やかに真空引きし、窒素ガスをゲージ圧が0.01MPaとなるまで導入し、冷却した。60℃以下まで冷却したところで、処理済みポリマーのサンプルを約50g回収し、サンプル14とした。
2.工程Q
30ml容量の小型管型反応器に上記サンプル14を20g充填し、まず、真空ポンプで約1.3kPaまで減圧し、窒素ガスで常圧に戻してから、50ml/分の流速で窒素ガスを10分間流通した後、エアーバス内で160℃まで昇温した。温度安定後、上述のフッ素ガスを窒素で希釈して調製したガスを42ml/分にて3時間流通した。反応終了後直ちに真空ポンプにて反応器内を真空引き後、窒素ガスにて常圧まで戻し、次いで窒素ガスを50ml/分にて流通させた。10分間流通後、エアーバスの熱源を止め、室温まで冷却した。反応管から、処理済みフルオロポリマーを取り出し、サンプル15とした。
得られたサンプルの分析結果は、表5に示す。
オゾン処理により、不安定な末端基の99%以上が−CFCOOH基であるフルオロポリマーに変換できることが判明した。また、該処理により得られたフルオロポリマーは、その他の実施例同様に温和な条件で安定化フルオロポリマーが得られることが判明した。
Figure 2007089016
本発明の安定化フルオロポリマー製造方法は、上記構成よりなるものであるので、温和で経済的な反応条件下で不安定末端基を安定化することができる。
上記製造方法は、温和な反応条件下で行うことができるので、使用する装置や材料について制限が緩和することができ、また、該装置や材料の腐食が少ないので、腐食物によるフルオロポリマーの汚染を低減することが可能である。更に、上記製造方法から得られる安定化フルオロポリマーは、温和な反応条件下で安定化したものであるので分解されておらず、各種物性に優れている。上記製造方法から得られる安定化フルオロポリマーは、特に、半導体業界の材料、光学機能材料、被覆電線、光導波路、反射防止膜材料、射出成形品等として有用である。

Claims (8)

  1. −SOX(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有しない被処理フルオロポリマーに下記工程A、工程B及び工程Cをこの順に行う処理を施すことよりなる
    ことを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法。
    A ハロゲン化剤を作用させる工程
    B 分解処理剤を作用させる工程
    C フッ素化剤を作用させる工程
  2. 工程Aは、ハロゲン化剤を作用させることにより不安定末端基を易分解性末端基に変換する工程A1であり、
    工程Bは、分解処理剤を作用させることにより前記易分解性末端基を−CFTCOOZ(Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表し、Zは、H、NR又はアルカリ金属元素を表す。R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。前記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素〔−O−〕を含んでもよい。)に変換する工程B1であり、
    工程Cは、フッ素化剤を作用させることにより前記−CFTCOOZを−CFT(T及びZは、前記定義と同じ。)に変換する工程C1である
    請求項1記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
  3. 易分解性末端基は、−CFTCOX(Tは、前記定義と同じ。Xは、F又はClを表す。)及び−CFTCOORx(Tは、前記定義と同じ。Rxは、ハロゲン化アルキル基を表す。)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
  4. ハロゲン化剤は、F、NF、SF、PF、IF、IF、Br、BrF、BrF、AgF、CoF、KNiF、Cl、SCl、SCl、PCl、POCl、PCl、ClF及びClFよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3の何れか1項に記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
  5. ハロゲン化剤を作用させることは、0〜180℃にて行う請求項1〜4の何れかに記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
  6. 分解処理剤は、水、フルオロアルコール若しくはこれらを含む混合物からなる液状分解処理剤又はガス状分解処理剤である請求項1〜5の何れか1項に記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
  7. −SOX(Xは、F又はClを表す。)含有モノマー単位を有さない被処理フルオロポリマーに安定化処理(Tは、F、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシル基を表す。前記パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルコキシル基は、それぞれエーテル性酸素〔−O−〕を含んでもよい。)を行うことよりなる安定化フルオロポリマー製造方法であって、
    前記安定化処理は、下記工程P及びQを含む
    ことを特徴とする安定化フルオロポリマー製造方法。
    P 不安定な末端基の90%以上が−CFTCOOZ(Tは、前記定義と同じ。Zは、H、NR又はアルカリ金属元素を表す。R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、H又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)であるフルオロポリマーを得る工程
    Q フッ素化剤を作用させることにより前記−CFTCOOZを−CFT(T及びZは、前記定義と同じ。)に変換する工程
  8. フッ素化剤は、F、NF、SF、PF、IF、IF、BrF、BrF、ClF、ClF、AgF、CoF及びKNiFよりなる群から選択される少なくとも1種のフッ素源からなるフッ素化剤である請求項1〜7の何れか1項に記載の安定化フルオロポリマー製造方法。
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