JP2003313236A - パーハロポリフルオロ重合体の不安定末端基のフッ素化方法 - Google Patents

パーハロポリフルオロ重合体の不安定末端基のフッ素化方法

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JP2003313236A
JP2003313236A JP2002120804A JP2002120804A JP2003313236A JP 2003313236 A JP2003313236 A JP 2003313236A JP 2002120804 A JP2002120804 A JP 2002120804A JP 2002120804 A JP2002120804 A JP 2002120804A JP 2003313236 A JP2003313236 A JP 2003313236A
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fluorine
fluorination
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郁生 松倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】パーハロポリフルオロ重合体を高温下で安定的
にフッ素化すること。 【解決手段】元素状フッ素の希釈剤として、四フッ化炭
素、六フッ化硫黄または二酸化炭素などの、元素状フッ
素と反応せず、熱容量(J/mol・℃)/熱伝導度
(W/m・℃)が、2000以上でありかつ標準生成エ
ンタルピーが−90kJ/mol以下の希釈剤を使用し
てフッ素化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーハロポリフル
オロ重合体の不安定末端基のフッ素化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテ
ル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレ
ンに代表されるパーハロポリフルオロ重合体は一般に耐
熱性、耐薬品性が良好で、屈折率や誘電率が小さいとい
う優れた特徴がある。
【0003】しかしながら、重合開始剤の残基または連
鎖移動剤に由来する残基などの不安定末端基が存在する
ため、成形工程または高温化での使用において、該不安
定末端基の分解により装置を腐食させることや重合体自
身が着色することがある。また、該不安定末端基の影響
により、本来その重合体が持つ耐紫外線性、耐薬品性、
光学特性などを損なうことがある。
【0004】それらの欠点を解決するため、特開平4−
189802号公報、特開平11−152310号公報
には元素状フッ素により不安定末端基を安定化し、その
樹脂が本来持つ優れた特性をいかんなく発揮させる手法
が記載されている。しかしながら、本手法は100℃以
上の高温反応を必要とするため、元素状フッ素自体の持
つ反応性の高さから、窒素ガスやヘリウムガスなどの不
活性ガスにて元素状フッ素を希釈した場合でも、好まし
くない副反応が生起し、重合体の主鎖が分解したり、重
合体自身が著しく着色することがある。
【0005】このような副反応を避けるために、元素状
フッ素の濃度を下げる、反応をできるだけ低温で行うな
どの方法が考えられている。このうち、元素状フッ素の
濃度を低下させると単位時間当たりの収量が著しく減少
し工業的に好ましくない。
【0006】また、反応温度の低下は、カルボン酸フロ
リドなどの、元素状フッ素と反応性が低くかつ常温では
安定だが高温下では不安定な基、が残りやすくなり好ま
しくない。従って、高温下でも安定的にパーハロポリフ
ルオロ重合体の不安定末端基をフッ素化する手法が望ま
れていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、従来技術
が有する上記のような問題点を解決し、元素状フッ素を
用いたパーハロポリフルオロ重合体のフッ素化方法にお
いて、その反応を安定的に行うための手法を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、不安定末端基
を有するパーハロポリフルオロ重合体の該不安定末端基
を、100〜300℃で元素状フッ素を用いてフッ素化
する方法において、下記(1)〜(3)に示した特性を
満足する流体を元素状フッ素の希釈剤として用いること
を特徴とする、パーハロポリフルオロ重合体の不安定末
端基のフッ素化方法を提供する。 (1)Cp/γ>2000 (2)標準生成エンタルピー<−90kJ/mol (3)100〜300℃において元素状フッ素と反応し
ない。 ここで、Cpは27℃、1気圧でのJ/mol・℃の単
位で表される熱容量であり、γは27℃、1気圧でのW
/m・℃で表される熱伝導度である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における希釈剤としては、
上記(1)〜(3)を満足する流体であれば特に限定さ
れない。上記(1)を満足することから、熱を奪い取る
性質が強いと同時に熱を伝える性質が小さいため、反応
熱の伝播を抑制することが可能である。また、上記
(2)を満足することから、万一反応熱が大量に発生し
た場合でも、反応熱を奪い去ることができる。さらに、
フッ素化反応を実際に行う条件下で元素状フッ素と反応
せず、好ましくない副反応がおこらない。
【0010】Cp/γは3000以上であることが好ま
しく、特に5000以上であることが好ましい。また、
標準生成エンタルピーは−200kJ/mol以下であ
ることが好ましい。さらには、Cp/γが3000以上
で、かつ標準生成エンタルピーが−200kJ/mol
以下であることがも好ましく、Cp/γが5000以上
で、かつ標準生成エンタルピーが−200kJ/mol
以下であることが最も好ましい。
【0011】本発明における希釈剤は、四フッ化炭素、
六フッ化硫黄または二酸化炭素であることが好ましい。
特に、元素状フッ素濃度が大きい場合でも安定的にフッ
素化が進行することから、四フッ化炭素または六フッ化
硫黄であることが好ましい。さらに六フッ化硫黄である
ことが最も好ましい。
【0012】本発明におけるパーハロポリフルオロ重合
体とは、該重合体を構成するそれぞれの炭素原子に実質
的に水素原子が結合せず、ハロゲン原子のみが結合して
おり、該ハロゲン原子の1個以上がフッ素原子である重
合体を意味する。
【0013】また、本発明における不安定末端基とは、
380℃以下で分解する基のことを表す。かかる不安定
末端基は、(1)重合開始剤残基、(2)連鎖移動剤に
由来する残基、(3)分散安定剤などの重合に必要な成
分または重合系内に存在する微量不純物に由来する残
基、または(4)重合以外の副反応により生成する基、
などである。
【0014】具体的には、水酸基、アミノ基、カルボキ
シル基、スルホン基などの活性水素を有する官能基、カ
ルボン酸ハライド、カルボン酸アミド、カルボン酸エス
テルなどのカルボン酸誘導基、スルホン酸ハライド、ス
ルホン酸アミド、スルホン酸エステルなどのスルホン酸
誘導基、炭化水素基などが挙げられる。
【0015】該不安定末端基は、380℃以下で分解
し、分解ガスを発生したり、重合体の着色の原因とな
る。また、通常、該不安定末端基は紫外線領域および/
または近赤外線領域に吸収を有するため、該不安定末端
基を有する重合体を、紫外線または近赤外線を利用する
光学部材へ適用することは難しい。
【0016】本発明におけるパーハロポリフルオロ重合
体としては、公知または周知のものが採用できるが、炭
素原子に結合したハロゲン原子の合計数に対するフッ素
原子の数の割合が80%以上であり、フッ素原子以外の
ハロゲン原子が塩素原子であることが好ましい。特に、
パーフルオロ重合体であることが好ましい。
【0017】パーハロポリフルオロ重合体の例として
は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レン(以下、TFEと記す。)−パーフルオロ(アルキ
ルビニルエーテル)(以下、PAEと記す。)共重合
体、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPと記
す。)−TFE共重合体およびポリクロロトリフルオロ
エチレンなどの直鎖状のパーハロポリフルオロ重合体、
パーハロポリフルオロジメチルジオキソール−TFE共
重合体およびポリ(パーハロポリフルオロアルケニルビ
ニルエーテル)などの主鎖に脂肪族環構造を有するパー
ハロポリフルオロ重合体等が挙げられる。
【0018】本発明におけるパーハロポリフルオロ重合
体は、実質的に該重合体の性能を損なわない範囲の官能
基を有する重合体であってもよい。この場合、官能基部
分(官能基を有する側鎖部分も含む。)は炭素原子に結
合する水素原子を有していてもよい。該官能基部分も、
本発明のフッ素化方法によってフッ素化される。
【0019】本発明におけるパーハロポリフルオロ重合
体の中でも、極めて高い透明性を有する非晶質パーハロ
ポリフルオロ重合体が好ましい。非晶質パーハロポリフ
ルオロ重合体の不安定末端基をフッ素化することによ
り、従来の高分子材料では適用できなかった紫外線また
は近赤外線を利用する光学部材へ適用することができ
る。さらに、非晶質パーハロポリフルオロ重合体は、元
素状フッ素と100℃〜300℃の温度で反応しない溶
剤に溶解することが特に好ましい。
【0020】本発明における非晶質パーハロポリフルオ
ロ重合体としては特に限定されないが、Advance
d materials(1998年、10、No.1
3)のp.1211記載のHFP−TFE共重合体、T
FE−PAE共重合体、もしくはHFP−PAE−TF
E3元共重合体のような直鎖状の非晶質パーハロポリフ
ルオロ重合体、または主鎖に脂肪族環構造を有する非晶
質パーハロポリフルオロ重合体が好ましい例として挙げ
られる。前記PAE中のパーフルオロアルキル基は、酸
素原子を含んでいてもよい。具体的なPAEとしては、
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ
(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビ
ニルエーテル)、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4
−メチル−1−ノネン)などが挙げられる。
【0021】上記の非晶質パーハロポリフルオロ重合体
のなかでも、広い波長領域での高い透明性と良好な機械
特性とを両立できる観点から、主鎖に脂肪族環構造を有
する非晶質パーハロポリフルオロ重合体が特に好まし
い。主鎖に脂肪族環構造を有するとは、主鎖が炭素原子
の連鎖からなる重合体であって、脂肪族環を構成する炭
素原子の1個以上がその主鎖を構成する炭素原子である
ことをいう。脂肪族環を構成する原子としては炭素原子
以外に酸素原子や窒素原子等を含んでいてもよい。好ま
しい脂肪族環は1〜2個の酸素原子を有する脂肪族環で
ある。脂肪族環を構成する原子の数は4〜10個が好ま
しく、4〜7個がさらに好ましい。特に、脂肪族環を構
成する原子の数が4〜7個であり、そのうち1〜2個が
酸素原子であることが好ましい。
【0022】前記主鎖に脂肪族環構造を有する非晶質パ
ーハロポリフルオロ重合体(以下、単に環状重合体とも
記す。)としては、脂肪族環構造を有しかつ環を構成す
る炭素原子間に重合性二重結合を有するパーハロポリフ
ルオロ単量体、または脂肪族環構造を有しかつ環を構成
する炭素原子と環を構成しない炭素原子との間に重合性
二重結合を有するパーハロポリフルオロ単量体(以下、
両者を合わせて環状単量体と記す。)の単独重合体や、
該環状単量体と他のパーハロポリフルオロ単量体との共
重合体、または、2個の重合性二重結合を有するパーハ
ロポリフルオロ単量体(以下、ジエン系単量体とい
う。)を環化重合して得られる単独重合体や該ジエン系
単量体と他のパーハロポリフルオロ単量体との共重合体
がある。また、環状単量体とジエン系単量体との共重合
体でもよい。
【0023】前記環状重合体の全モノマー単位に対する
環構造を有するモノマー単位の割合は20モル%以上、
特に40モル%以上が好ましい。環構造を有するモノマ
ー単位とは、環状単量体の重合した単位またはジエン系
単量体の環化重合した単位をいう。
【0024】前記環状重合体やその製造方法は公知であ
り、例えば、特開平4−189880号公報、特開平4
−226177号公報、特開平11−279504号公
報などに記載されている。
【0025】前記環状単量体やジエン系単量体は、炭素
原子に結合したハロゲン原子の合計数に対する、フッ素
原子の数の割合が80%以上であり、フッ素原子以外の
ハロゲン原子が塩素原子であることが好ましい。さら
に、上記フッ素原子の数の割合が100%すなわちパー
フルオロ単量体であることが特に好ましい。これらと共
重合させる他のパーハロポリフルオロ単量体も、フッ素
原子以外のハロゲン原子が塩素原子であるパーハロポリ
フルオロ単量体またはパーフルオロ単量体が好ましい。
特に、パーフルオロ単量体であることが好ましい。
【0026】環状単量体の代表例としてはパーフルオロ
(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)がある。
ジエン系単量体の代表例としてはパーフルオロ(アリル
ビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエー
テル)がある。他のパーフルオロ単量体の代表例として
は、TFE、クロロトリフルオロエチレン、PAEなど
が挙げられる。
【0027】上記代表例を含め、環状単量体の例を以下
に示す。
【0028】
【化1】
【0029】上記化学式において、X1〜X3、R11〜R
16はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、炭素数4以
下のパーフルオロアルキル基または炭素数4以下のパー
フルオロアルコキシ基を表す。X1、X3としては特にフ
ッ素原子が好ましく、X2としてはフッ素原子、トリフ
ルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基が好まし
い。R11〜R16はそれぞれ独立にフッ素原子またはトリ
フルオロメチル基が好ましい。
【0030】ジエン系単量体としては、CF2=CF−
Q−CF=CF2で表される単量体が好ましい。ただ
し、Qは、炭素数10以下の、エーテル性酸素原子を有
していてもよいパーフルオロアルキレン基を示す。エー
テル性酸素原子はパーフルオロアルキレン基の一方の末
端に存在していてもよく、両末端に存在していてもよ
く、炭素原子間に存在していてもよい。エーテル性酸素
原子を有しないパーフルオロアルキレン基の場合は炭素
数2〜6、一方の末端にエーテル性酸素原子を有するま
たは炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するパーフル
オロアルキレン基の場合は炭素数1〜4、両末端にエー
テル性酸素原子を有するパーフルオロアルキレン基の場
合は炭素数1〜3であることがより好ましい。
【0031】CF2=CF−Q−CF=CF2の環化重合
により下記のような環状モノマー単位を有する重合体が
生成する。このようにジエン系単量体の環化重合により
生成する重合体の主鎖の炭素原子は2個の重合性2重結
合の4個の炭素原子に由来する。
【0032】
【化2】
【0033】ジエン系単量体の例を以下に示す。CF2
=CFOCF2CF2CF=CF2、CF2=CFOCF2
CF(CF3)CF=CF2、CF2=CFOCF2CF=
CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF=CF2、CF
2=CFOCF2OCF=CF2、CF2=CFOC(CF
32OCF=CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF
CF=CF2、CF2=CFOCF(Cl)CFCF
=CF2、CF2=CFOCCl2CF2CF=CF2
【0034】ジエン系単量体の共重合体としては、環状
単量体との共重合体が好ましい。具体的には、パーフル
オロ(アリルビニルエーテル)とパーフルオロ(2,2
−ジメチル−1,3−ジオキソール)との共重合体また
はパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)とパーフル
オロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)との
共重合体が挙げられる。
【0035】本発明のフッ素化方法においては、水酸
基、カルボン酸基、炭化水素基などの不安定末端基は、
元素状フッ素との反応初期にはカルボン酸フロリド基を
生成する。カルボン酸フロリド基は、元素状フッ素中で
も比較的安定であるため、不十分なフッ素化、例えば1
00℃未満でのフッ素化や元素状フッ素濃度の低い条件
でフッ素化した場合は最終製品まで残存し、ポリマーの
熱安定性や光の透過性、特に紫外領域の光の透過性を低
下させる。従って本発明のフッ素化方法においては、こ
れらカルボン酸フロリド基を−CFとなるまで完全に
フッ素化することが必要であり、100℃以上、より好
ましくは120℃以上の反応温度が要求される。
【0036】一方、反応温度が高すぎると、重合体自身
の分解が部分的に始まるため、好ましくない副反応が生
起する。従って反応温度としては300℃以下が好まし
く、270℃以下が特に好ましい。さらに150〜23
0℃であることが特に好ましい。
【0037】本発明のパーハロポリフルオロ重合体のフ
ッ素化方法において、元素状フッ素とパーハロポリフル
オロ重合体の比は任意に選択できるが、不安定末端基を
フッ素化するのに必要な元素状フッ素のモル数に対して
2倍以上が好ましく、生産性の観点から10倍以下が好
ましい。より好ましい元素状フッ素としては、フッ素化
するのに必要なモル数に対して2〜5倍モルである。
【0038】本発明のフッ素化方法において、元素状フ
ッ素としては、フッ素ガスが好ましい。以下の詳細の説
明は、フッ素ガスを例にとって説明する。
【0039】本発明のフッ素化方法において、フッ素ガ
ス濃度として3vol%以上であれば、フッ素化反応が
すみやかに進行し、また一度に多くの基質を処理できる
ため好ましい。また、好ましくない副反応をさらに抑制
することができることから、フッ素ガスの濃度が60v
ol%以下であることが好ましい。さらに、フッ素ガス
の濃度は上記と同じ理由から10〜50vol%が好ま
しく、10〜30vol%が特に好ましい。
【0040】本発明のフッ素化方法においては、予めパ
ーハロポリフルオロ重合体を熱処理することが好まし
い。本発明におけるパーハロポリフルオロ重合体の不安
定末端基のうち比較的熱安定性が低い基は、フッ素化に
先立ち熱処理により分解させてしまうことで、フッ素化
反応を効率的に進行させることができる。このために
は、270〜350℃で熱処理することが好ましい。2
70℃以上とすれば、比較的熱安定性が低い基を効率的
に処理することができ、350℃未満であれば重合体自
身の分解を起こすことがない。例えば、不安定末端基が
炭化水素基である場合は、320℃で熱処理することに
より、炭化水素部分が分解して揮散し、結果としてカル
ボン酸フロリド基が残る。炭化水素部分が分解、揮散す
ることにより、フッ素化に必要なフッ素ガスの量が減る
こととなり、またフッ素化時の好ましくない副反応を抑
制することができる。
【0041】本発明のフッ素化方法において、パーハロ
ポリフルオロ重合体の形態としては特に制限はなく、粉
状、粒子状、フレーク状、ペレット状、フィルム状、ま
たは一般的な成形体を使用することができる。また、非
晶質パーハロポリフルオロ重合体の中には、パーフルオ
ロアルカンやパーフルオロトリアルキルアミンなどのフ
ッ素ガスに対して不活性な溶剤に可溶な重合体(以下、
溶剤可溶な重合体と記す。)があり、かかる溶剤可溶な
重合体を前記溶剤に溶解せしめた溶液中に希釈剤で希釈
されたフッ素ガスを導入して、溶液状態で該重合体をフ
ッ素化してもよい。フッ素ガスとの接触効率および除熱
の容易性の観点から前述のように溶液状態でフッ素化を
行う方法が好ましい。
【0042】前記溶剤としては、100〜300℃にお
いてフッ素ガスと反応しない溶剤が採用されるが、特に
実質的に二重結合や水素原子を含まない溶剤が好まし
い。安定的にフッ素化を進行させるためには、前記溶剤
中に水素原子が極力含まれないことが好ましい。本反応
において好ましい水素原子濃度としては溶媒中に20p
pm以下、より好ましくは10ppm以下であり、5p
pm以下が特に好ましい。また、溶剤可溶な重合体を該
溶剤に溶解した溶液を、フッ素化前に200℃程度に加
熱処理し、熱分解により生成した低分子量炭化水素化合
物をイナートガスとともに系外にパージする手法を採用
することも好ましい。
【0043】前記フッ素ガスに対して不活性な溶剤とし
ては、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロシク
ロヘキサン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオク
タン等のパーフルオロ脂肪族炭化水素類、パーフルオロ
トリペンチルアミン、パーフルオロトリブチルアミン、
パーフルオロトリプロピルアミンなどのパーフルオロア
ルキルアミン類、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒド
ロフラン)などのパーフルオロ環状エーテル類が挙げら
れる。これらを2種以上混合して使用してもよい。ま
た、これら溶剤中に微量の水素原子含有不純物が含まれ
る場合は、精密蒸留処理、フッ素化処理、または強アル
カリなどによる処理によって所望の含水素濃度以下にな
るまで精製することが好ましい。
【0044】また、本発明のフッ素化方法において使用
される反応器は、その内面が100〜300℃にてフッ
素ガスに耐性を示す材料であれば特に制限はなく、公知
または周知のものが使用できる。例えば、ニッケル、ニ
ッケル系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金、炭
素鋼、ステンレス鋼等が好ましく、ニッケル、ニッケル
系合金がより好ましい。ニッケル系合金の具体例として
は、モネル(商品名)、インコネル(商品名)、ハステ
ロイ(商品名)が挙げられる。また、反応器内部に使用
する部材、例えばメカニカルシール材や封液についても
フッ素ガスに耐性を示すものが好ましい。なかでも、攪
拌機の回転部にて反応器内部と外部のシールを行うメカ
ニカルシール材は重要であり、珪素を含まないセラミッ
クスがより好ましく、純度>98%を有する高純度のア
ルミナが最も好ましい。
【0045】本発明により製造した末端基がフッ素化さ
れたパーハロポリフルオロ重合体は種々の用途に適用で
きるが、特に非晶質パーハロポリフルオロ重合体を溶剤
中に溶解した組成物は、ロールコート法、キャスト法、
ディップ法、スピンコート法、水上キャスト法、ダイコ
ート法、ラングミュア・プロジェット法などの溶液から
膜を形成させる方法により、基材表面に非晶質パーハロ
ポリフルオロ重合体の薄膜を形成できる。薄膜の厚みは
通常0.01〜50μmの範囲から選定される。基材に
ついては、あらゆる形状、材質に適用できる。
【0046】基材とパーハロポリフルオロ重合体の接着
性向上のために、当該組成物中にシラン系、エポキシ
系、チタン系、アルミニウム系などのカップリング剤を
含フッ素アルコールとともに配合したり、シランカップ
リング剤のオリゴマーなどを配合してもよい。得られた
薄膜は基材表面に密着させたままで、または、基材から
剥離して使用できる。薄膜の用途としては、光学分野、
電気分野における保護コートが挙げられ、この場合の基
材としては、磁気ディスク基板、光ファイバ、鏡、太陽
電池、光ディスク、タッチパネル、感光および定着ドラ
ム、フィルムコンデンサ、ガラス窓用の各種フィルムが
挙げられる。
【0047】また、光導波路材料、電線被覆材、撥イン
ク剤(例えば塗装用、インクジェットなどの印刷機器
用)、撥油剤(例えばフィルターの防油コート、流体軸
受けモーターのオイル染み出し防止剤などの高性能撥油
剤)、レンズ材料、半導体素子用接着剤(例えばLOC
(リードオンチップ)、テープ用接着剤、ダイボンド用
接着剤、ペリクル膜固定用接着剤)、半導体用保護コー
ト(例えばバッファコート膜、パッシベーション膜、半
導体素子α線遮蔽膜、防湿コート剤)、層間絶縁膜(例
えば半導体素子用、液晶表示体用、多層配線板用)、光
学薄膜(KrFまたはArF用ペリクル膜、ディスプレ
イ用反射防止膜、レジスト用反射防止膜)などに使用で
きる。
【0048】上述のように特に非晶質パーハロポリフル
オロ重合体において、本発明のフッ素化方法によりフッ
素化することにより得られた非晶質パーハロポリフルオ
ロ重合体からなる組成物を用いた場合、ピンホールなど
の欠陥がなく、透明であり、屈折率が低く、耐熱性、耐
薬品性に優れているなど、非常に優れた特性をもつ非晶
質パーハロポリフルオロ重合体の薄膜を得ることができ
る。
【0049】
【実施例】「例1(パーハロポリフルオロ重合体の合成
例)」パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)の35
0g、イオン交換水の1500g、分子量調節剤として
メタノールの60gおよび重合開始剤として((C
CHOCOO)の900mgを、内容積2L
の耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を3回窒
素で置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行って、
開始剤に起因する末端基を有する非晶質重合体(以下、
重合体Aと記す。)330gを得た。
【0050】重合体Aの固有粘度[η]は、パーフルオ
ロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.3
5であった。重合体Aのガラス転移点は108℃であ
り、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。
また10%熱分解温度は465℃であり、光線透過率は
95%以上と高かった。重合体Aの145gを1365
gのパーフルオロトリブチルアミン中に溶解し、重合体
Aの9%溶液(以下、A1液と記す。)を得た。
【0051】次に、重合体Aの180gを空気中、32
0℃で60分間熱処理し、重合体Bを得た。重合体Bの
圧縮成形フィルム(厚さ200μm)の赤外線吸収スペ
クトルを測定した結果、1883cm−1にカルボン酸
フロリド基に起因する吸収ピークが確認された。
【0052】重合体Bの固有粘度[η]は、パーフルオ
ロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.3
5であった。重合体Bのガラス転移点は108℃であ
り、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。
また10%熱分解温度は465℃であり、光線透過率は
95%以上と高かった。重合体Bの90gを910gの
パーフルオロトリブチルアミン中に溶解し、重合体Bの
9%溶液(以下、B1液と記す。)を得た。
【0053】「例2(実施例および比較例)」気相中で
白金線が溶断できるようにした内容積700mLの耐圧
試験装置中にA1液の70mLを仕込んだ。次にこの耐
圧試験装置に、フッ素ガス(F)と希釈剤を、圧力が
0.7MPa・Gになり、しかも表1に示したF濃度
になるように導入し、表1に示した温度に昇温した後、
白金線を溶断する方法にてエネルギーを外部から強制的
に加えた。圧力上昇の有無により、フッ素化反応の安定
性を評価した。その結果を表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】表1に挙げた希釈剤、窒素、二酸化炭素、
四フッ化炭素および六フッ化硫黄は、すべて100〜3
00℃の範囲で、フッ素ガスとは反応しなかった。
【0056】F濃度7.5vol%、150℃の条件
下で圧力上昇がない希釈剤を用いれば、安定的にフッ素
化できると考えられる。上記結果から、窒素は安定的な
フッ素化の希釈剤として使用できず、二酸化炭素、四フ
ッ化炭素または六フッ化硫黄を希釈剤として用いれば安
定的にフッ素化できることがわかった。特に、六フッ化
硫黄は、この強制的にエネルギーを加える試験におい
て、150℃で、F濃度が20vol%まで圧力上昇
がなかったことから、最も適した希釈剤であることがわ
かった。
【0057】「例3(実施例)」内容積1Lのニッケル
製オートクレーブを−0.1MPa・Gまで減圧したの
ち、B1液の1000gを減圧にて仕込んだ。その後系
内に6フッ化硫黄で20vol%に希釈したフッ素ガス
を0.7MPa・Gまで仕込み、195℃にて10時間
撹拌しながらフッ素化を行い、室温まで冷却した後、フ
ッ素ガスおよび希釈剤をパージした。残った溶液から、
パーフルオロトリブチルアミンを留去して重合体Cを得
た。重合体Cの圧縮成形フィルム(厚さ200μm)の
赤外吸収スペクトルを測定した結果、カルボン酸フロリ
ド基に由来するピークは認められなかった。
【0058】この重合体Cの10gを90gのパーフル
オロトリブチルアミンに再溶解し、研磨したガラス基板
上にスピンコート法を用いて塗布し、180℃にて1時
間焼成して、ガラス基板上に厚さ約1μmの重合体Cの
薄膜を得た。上記重合体Cの薄膜表面に、6インチ用ペ
リクルのアルミニウムフレーム(以下、アルミニウムフ
レームと記す。)を接着剤を介して張り付け、薄膜をア
ルミニウムフレームごとガラス基板から剥離した。この
ようにして、アルミニウムフレームと膜厚約1μmの重
合体Cの自立膜からなるペリクルが得られた。この重合
体Cの自立膜はArFエキシマレーザー(193nm)
に対して高い耐久性を示した。
【0059】
【発明の効果】本発明のフッ素化方法によれば、パーハ
ロポリフルオロ重合体の不安定末端基を高温化でも安定
的にフッ素化することが可能である。本発明によりフッ
素化された重合体は、紫外線、近赤外線を利用する光学
部材を始めとする、幅広い用途へ適応できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不安定末端基を有するパーハロポリフルオ
    ロ重合体の該不安定末端基を、100〜300℃で元素
    状フッ素を用いてフッ素化する方法において、下記
    (1)〜(3)に示した特性を満足する流体を元素状フ
    ッ素の希釈剤として用いることを特徴とする、パーハロ
    ポリフルオロ重合体の不安定末端基のフッ素化方法。 (1)Cp/γ>2000 (2)標準生成エンタルピー<−90kJ/mol (3)100〜300℃において元素状フッ素と反応し
    ない。 ここで、Cpは27℃、1気圧でのJ/mol・℃の単
    位で表される熱容量であり、γは27℃、1気圧でのW
    /m・℃で表される熱伝導度である。
  2. 【請求項2】前記希釈剤が、四フッ化炭素、六フッ化硫
    黄または二酸化炭素である請求項1に記載のフッ素化方
    法。
  3. 【請求項3】前記パーハロポリフルオロ重合体が、非晶
    質パーハロポリフルオロ重合体である請求項1または2
    に記載のフッ素化方法。
  4. 【請求項4】前記パーハロポリフルオロ重合体を予め熱
    処理した後、フッ素化する請求項1〜3のいずれかに記
    載のフッ素化方法。
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