JP2020023688A - 含フッ素重合体の製造方法及び含フッ素重合体の成形体の製造方法 - Google Patents

含フッ素重合体の製造方法及び含フッ素重合体の成形体の製造方法 Download PDF

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直哉 杉本
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Abstract

【課題】加熱成形時に発生する着色が低減された、又は、加熱成形時に着色が生じない含フッ素重合体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の含フッ素重合体の製造方法は、二重結合を含む含フッ素化合物を単量体として用い、前記含フッ素化合物を、酸成分を含まない化合物からなる重合開始剤を用いることによって重合させる工程を含む。含フッ素化合物は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されていることが好ましい。重合開始剤を構成する化合物は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されていることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素重合体の製造方法及び含フッ素重合体の成形体の製造方法に関する。
含フッ素重合体は、プラスチック光ファイバーや露光部材などの光学部材として、あるいは表面改質剤等として使用され、幅広い分野で利用される有用な物質である。そのような物質として、例えば特許文献1には、含フッ素1,3−ジオキソラン化合物の重合体が開示されている。含フッ素重合体は、重合性不飽和基を含む含フッ素化合物(例えば、二重結合を含む含フッ素化合物)を、重合開始剤を用いて重合することにより得られる。
特表2007−504125号公報
含フッ素重合体は、プラスチック光ファイバー等の各部材へ適用される際に加熱溶融されて成形されるが、この加熱成形時に着色が生じることがあった。近年、加熱成形時に非常に高温での処理を必要とする含フッ素重合体も多く、このような加熱成形時の高温化によって、含フッ素重合体の着色の問題は従来よりも顕著となっている。例えば、特許文献1に開示されている含フッ素1,3−ジオキソラン化合物の重合体においても、加熱成形する際に着色が生じることがわかってきた。
そこで、本発明は、加熱成形時に発生する着色が低減された、又は、加熱成形時に着色が生じない含フッ素重合体の製造方法を提供する。さらに、本発明は、着色が低減された、又は、着色のない含フッ素重合体の成形体の製造方法も提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、含フッ素重合体の加熱成形時の着色の原因が、含フッ素重合体に含まれる重合開始剤由来のカルボン酸等の酸成分であることを突き止めた。この知見に基づき、本発明者らは、加熱成形時の着色の課題を解決し得る以下の製造方法を見出した。
本発明の第1の態様に係る含フッ素重合体の製造方法は、二重結合を含む含フッ素化合物を単量体として用い、前記含フッ素化合物を、酸成分を含まない化合物からなる重合開始剤を用いることによって重合させる工程を含む。
本発明の第2の態様に係る含フッ素重合体の製造方法は、二重結合を含む含フッ素化合物を単量体として用い、前記含フッ素化合物を、過酸化エステル及び過酸化ジアシルを除く化合物からなる重合開始剤を用いることによって重合させる工程を含む。
本発明の第3の態様に係る含フッ素重合体の成形体の製造方法は、上記第1の態様又は第2の態様に係る含フッ素重合体の製造方法によって得られた含フッ素重合体を、前記含フッ素重合体のガラス転移温度から50℃以上の温度で加熱溶融して所定の形状に成形する工程を含む。
本発明によれば、加熱成形時に発生する着色が低減された、又は、加熱成形時に着色が生じない含フッ素重合体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、着色が低減された、又は、着色のない含フッ素重合体の成形体の製造方法も提供することができる。
本発明の含フッ素重合体の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態の含フッ素重合体の製造方法は、二重結合を含む含フッ素化合物を単量体として用い、当該含フッ素化合物を重合開始剤を用いることによって重合させる工程を含む。重合開始剤は、過酸化エステル及び過酸化ジアシルを除く化合物からなる、又は、酸成分を含まない化合物からなる。ここで、酸成分を含まない化合物とは、熱又は光で分解された際に酸の発生源となる成分を生じさせない化合物のことを意味する。以下、本実施形態の含フッ素重合体の製造方法について、より詳しく説明する。
[含フッ素化合物]
本実施形態において、単量体として用いられる含フッ素化合物は、重合性二重結合を有する。例えば本実施形態の製造方法によって製造される含フッ素重合体が光学用途に用いられる場合、C−H結合の伸縮エネルギーによる光吸収を抑制する観点から、含フッ素化合物は実質的に水素原子を含んでいないものが好ましく、特にすべてのC−H結合のHがフッ素化されていることが好ましい。すなわち、含フッ素化合物は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されている全フッ素化含二重結合化合物であることが好ましい。ここで、含フッ素化合物が実質的に水素原子を含んでいないとは、単量体として用いられる含フッ素化合物の全量に対して、水素原子の含有割合が1モル%以下であることである。
本実施形態の含フッ素重合体の製造方法によって製造される含フッ素重合体として、例えば、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が挙げられる。含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物を単量体として用い、当該単量体を重合して得られるものが好適である。単量体として用いられる含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物も、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されている全フッ素化含二重結合化合物であることが好ましい。ここで、含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物とは、環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物、又は、環を構成する炭素原子2個間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物を意味する。環を構成する炭素原子と環を構成しない炭素原子間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソランのような1,3−ジオキソラン構造を有する含フッ素化合物が挙げられる。環を構成する炭素原子2個間に重合性二重結合を有する含フッ素化合物としては、例えば、パーフルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソール及びパーフルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソールのような1,3−ジオキソール構造を有する含フッ素化合物が挙げられる。
全フッ素化含二重結合化合物は、例えば特許文献1をはじめ、すでに公知である製造方法によって得ることができる。全フッ素化含二重結合化合物であって、かつ含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物として、例えば下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020023688
(式(1)中、Rff 1〜Rff 4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff 1及びRff 2は連結して環を形成してもよい。)
上記式(1)で表される化合物の具体例として、例えば下記式(A)〜(H)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020023688
含フッ素化合物としては、不純物を含まないよう精製された物を用いることが好ましい。精製は、公知の方法により実現できる。特に不純物の中でも酸成分は、着色に影響するので含まれないことが好ましい。
単量体として用いられる含フッ素化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。すなわち、本実施形態の含フッ素重合体の製造方法によって製造される含フッ素重合体は、1種のフッ素化合物を単独重合させることによって得られる含フッ素重合体であってもよいし、2種以上の含フッ素化合物を共重合させることによって得られる含フッ素共重合体であってもよい。
本実施形態の含フッ素重合体の製造方法によって製造される含フッ素重合体は、例えば上述の含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素化合物(以下、含フッ素化合物(A)と記載する)と、含フッ素化合物(A)以外の他の含フッ素化合物とを共重合させることによって得られる含フッ素共重合体であってもよい。含フッ素化合物(A)以外の他の含フッ素化合物として、例えば、以下の含フッ素化合物(B)〜(D)が挙げられる。
含フッ素化合物(B)は、パーフルオロビニルエーテル等の含フッ素ビニルエーテルである。含フッ素ビニルエーテルは、例えば下記式(2)で表される。
Figure 2020023688
(式(2)中、R1〜R3は各々独立に、フッ素原子、又は炭素数1〜のパーフルオロアルキル基を表す。R4は、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、環構造を有していてもよい。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。)
含フッ素化合物(C)は、テトラフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレン等の含フッ素オレフィンである。含フッ素オレフィンは、例えば下記式(3)で表される。
Figure 2020023688
(式(3)中、R5〜R8は各々独立に、フッ素原子、又は炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、環構造を有していてもよい。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。)
含フッ素化合物(D)は、2個以上の重合性二重結合を有し、かつ環化重合し得る含フッ素化合物である。含フッ素化合物(D)は、例えば下記式(4)で表される。
Figure 2020023688
(式(4)中、Zは、酸素原子、単結合、又は−OC(R1920)O−を表し、R9〜R20は各々独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基を表す。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。s及びtはそれぞれ独立に0〜5でかつs+tが1〜6の整数(ただし、Zが−OC(R1920)O−の場合、s+tは0であってもよい)を表す。)
含フッ素化合物(D)として、下記式(5)で表される含フッ素化合物が用いられてもよい。なお、下記式(5)で表される含フッ素化合物は、上記式(4)においてZが酸素原子、sが0、かつtが2の場合である。
Figure 2020023688
(式(5)中、R141、R142、R151、及びR152は各々独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基を表す。フッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルキル基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。パーフルオロアルコキシ基におけるフッ素原子の一部は、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されていてもよい。)
含フッ素化合物(D)の具体例として、例えば下記の化合物が挙げられる。
CF2=CFOCF2CF=CF2
CF2=CFOCF(CF3)CF=CF2
CF2=CFOCF2CF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2
CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2
CF2=CFOCFClCF2CF=CF2
CF2=CFOCCl2CF2CF=CF2
CF2=CFOCF2OCF=CF2
CF2=CFOC(CF32OCF=CF2
CF2=CFOCF2CF(OCF3)CF=CF2
CF2=CFCF2CF=CF2
CF2=CFCF2CF2CF=CF2
CF2=CFCF2OCF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CFClCF=CF2
CF2=CFOCF2CF2CCl=CF2
CF2=CFOCF2CF2CF=CFCl
CF2=CFOCF2CF(CF3)CCl=CF2
CF2=CFOCF2OCF=CF2
CF2=CFOCCl2OCF=CF2
CF2=CClOCF2OCCl=CF2
本実施形態の含フッ素重合体の製造方法によって製造される含フッ素重合体が、含フッ素化合物(A)と、含フッ素化合物(A)以外の他の含フッ素化合物(例えば、上記含フッ素化合物(B)〜(D)からなる群より選択される少なくとも1つ)とを共重合させることによって得られる含フッ素共重合体である場合、当該含フッ素共重合体において、含フッ素化合物(A)に基づく構成単位(A)の含有量は、当該含フッ素共重合体における全構成単位の合計に対し、20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。構成単位(A)が20モル%以上含まれることにより、含フッ素共重合体は、より高い耐熱性を有することができる。構成単位(A)が40モル%以上含まれることにより、含フッ素共重合体は、より高い耐熱性と、より高い透明性及び高い機械的強度を有することができる。
[重合開始剤]
前述のとおり、本実施形態で用いられる重合開始剤は、過酸化エステル及び過酸化ジアシルを除く化合物、又は、酸成分を含まない化合物からなる。前述のとおり、本発明者らは、含フッ素重合体の加熱成形時に生じる着色が含フッ素重合体に含まれる重合開始剤由来の酸成分であることを突き止めたが、さらに本発明者らは、特にカルボン酸によって着色が発生する可能性が高いことも見出した。重合開始剤が過酸化エステル及び過酸化ジアシルを除く化合物からなる場合、重合を行った場合に、重合開始剤の分解物の残渣が反応系内に存在するプロトンと結びついてカルボン酸を生じさせることがない。したがって、この場合、重合によって得られる重合体には、重合開始剤由来の成分としてカルボン酸が含まれないので、重合反応後の精製処理が不十分な場合でも、後の加熱・溶融過程において発生する着色が低減される、あるいは着色が生じない。また、重合開始剤が酸成分を含まない化合物からなる場合、本実施形態の製造方法によって得られる重合体には、重合開始剤由来の成分として酸成分が含まれないので、後の加熱・溶融過程において発生する着色がより大きく低減される、あるいは着色が生じない。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。カチオン及びアニオン重合開始剤は、重合反応の環境として高度な脱水、不活性環境が求められるため、コスト面から工業的には適用しにくい。ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤又は光重合開始剤が好ましい。ラジカル開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物、及びジハロゲン(F2、Cl2等)が好ましい。これらの中でも、アゾ化合物が特に好ましい。アゾ化合物を重合開始剤として用いた場合には、得られる重合体に重合開始剤由来のカルボン酸等の酸成分が含まれないため、後の加熱・溶融過程における着色の発生をより確実に抑制できる。
重合開始剤として用いられる化合物は、置換基としてアルキル基又はシクロアルキル基を有する化合物であることが好ましい。アリール基、アルケン、アルキンといった不飽和構造は、それらの基が重合体中に組み込まれた際に光ファイバーの伝搬波長での光吸収を引き起こすことがある。したがって、本実施形態の製造方法によって製造される含フッ素重合体が光ファイバーに用いられる場合は、特に、重合開始剤は、アリール基、アルケン、アルキンといった不飽和構造を含まない化合物からなることが好ましい。
重合開始剤として用いられる化合物は、フッ素化されていることが好ましい。重合開始剤として用いられる化合物は、置換基上の水素原子が全てフッ素原子に置換されていること、すなわち、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されていることがより好ましい。本実施形態の製造方法によって製造される含フッ素重合体の末端に水素原子を有する重合開始剤の置換基が結合した場合、C−H結合が光ファイバーの伝搬波長での光吸収を引き起こすことがある。したがって、本実施形態の製造方法によって製造される含フッ素重合体が光ファイバーに用いられる場合は、特に、重合開始剤は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されている化合物からなることが好ましい。ここで、重合開始剤が実質的に水素原子を含んでいないとは、用いられる重合開始剤の全量に対して、水素原子の含有割合が1モル%以下であることである。
本実施形態における重合開始剤として最も好ましい化合物は、得られる重合体中にカルボン酸等の酸成分を生じさせず、かつ実質的に水素原子を含まない全フッ素化された化合物である。このような特性を有する化合物の例として、以下のものが挙げられる。
ビス(ヘプタフルオロエチル)ジアゼン(CAS Registry Number 756−00−3)
ビス(ノナフルオロブチル)ジアゼン(CAS Registry Number 1081563−28−1)
ビス(ヘプタデカフルオロオクチル)ジアゼン(CAS Registry Number 3829−39−8)
[含フッ素重合体の製造方法]
含フッ素重合体は、上記の含フッ素化合物を上記の重合開始剤を用いて重合させることによって製造できる。重合方法としては、公知の重合方法を用いることができる。例えば、上記の含フッ素化合物を常法によってラジカル重合し、含フッ素重合体を製造できる。含フッ素化合物として全フッ素化含二重結合化合物を用い、さらに全フッ素化された化合物からなる重合開始剤を用いることにより、全フッ素化重合体を製造することができる。
また、本実施形態の含フッ素重合体の製造方法によって製造される含フッ素重合体が、上述したような含フッ素脂肪族環構造を有する重合体である場合、重合当初の重合体は末端に不安定な官能基を有していることがある。したがって、この場合は、重合体製造後に、重合体をフッ素でフッ素化する末端安定化処理を行うことが好ましい。
[含フッ素重合体の用途]
本実施形態の製造方法によって得られる含フッ素重合体は、光学部材及び電気部材に用いることができる。例えば、上記式(1)で表される含フッ素化合物を重合して得られる含フッ素重合体は、ガラス転移温度が高く、さらに非晶質であるので、プラスチック光ファイバー、光導波路用材料、光学レンズ、プリズム、及びフォトマスク等に好適に用いることができ、特にプラスチック光ファイバー、光導波路用材料、及び光学レンズに好適である。
[含フッ素重合体の成形体の製造方法]
本実施形態の製造方法によって得られる含フッ素重合体の成形体は、例えば、含フッ素重合体を、当該含フッ素重合体のガラス転移温度から50℃以上の温度で加熱溶融して所定の形状に成形する工程を含む製造方法によって製造することができる。本実施形態の製造方法によって得られる含フッ素重合体は、前述の特定の化合物からなる重合開始剤を用いて重合されているので、当該含フッ素重合体のガラス転移温度から50℃以上の高温、例えば200℃を超える温度での加熱・溶融過程を経ても、着色が発生しにくい。したがって、上記製造方法によって製造された成形体は、着色が低減された、又は、着色のない含フッ素重合体の成形体となる。本実施形態の含フッ素重合体の成形体の製造方法では、成形時の温度を、例えば200℃を超える温度としてもよい。成形時の温度の上限は特に限定されないが、例えば300℃以下で成形が行われる。
具体的な成形方法は、含フッ素重合体の用途に応じて適宜決定される。すなわち、それぞれの用途における公知の成形方法を用いることができる。例えば、本実施形態の含フッ素重合体がプラスチック光ファイバーに用いられる場合は、含フッ素重合体を例えば溶融押出によって紡糸して、ファイバー状に成形することができる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
[実施例]
実施例では、単量体の含フッ素化合物として、パーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン(上記式(B)の化合物)を準備した。パーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランは、まず2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランを合成し、これをフッ素化し、得られたカルボン酸塩を脱炭酸分離することによって合成された。パーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランの重合には、重合開始剤として、全フッ素化されたアゾ化合物である、1,2−ビス(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)ジアゼン(CAS Registry Number 755−50−0)(下記式(6))が用いられた。
Figure 2020023688
以下に、2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランの合成、2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランのフッ素化、パーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランの合成、及びパーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランの重合について、詳細を説明する。
<2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランの合成>
水冷冷却器を備えた3L三口フラスコ、温度計、マグネチックスターラー、及び等圧滴下漏斗を準備し、2−クロロ−1−プロパノールと1−クロロ−2−プロパノールとの混合物を139.4g(計1.4モル)をフラスコに投入した。フラスコは0℃に冷やし、その中にトリフルオロピルビン酸メチルをゆっくりと加え、さらに2時間攪拌した。そこに100mLのジメチルスルホキシド(DMSO)と194gの炭酸カリウムとを1時間かけて加えた後、さらに続けて8時間攪拌し、反応混合物を得た。この生成した反応混合物を1Lの水と混合し、その水相をわけ、これを更にジクロロメチレンで抽出後、このジクロロメチレン溶液を有機反応混合物相と混合し、その溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去した後、245.5gの粗製物が得られた。この粗製物を減圧下(12Torr)で分留し、2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランの精製物を230.9g得た。精製物の沸点は、77〜78℃で、収率は77%であった。なお、得られた精製物が2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランであることは、HNMR及び19FNMRによって確認された。
HNMR(ppm):4.2−4.6,3.8−3.6(CHCH2,muliplet
,3H),3.85−3.88(COOCH3,multiplet,3H),1.36
−1.43(CCH3,multiplet,3H)
19FNMR(ppm):−81.3(CF3,s,3F)
<2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランのフッ素化>
10Lの攪拌反応槽に4Lの1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンを注入した。攪拌反応槽で、窒素を1340cc/minの流速で流し、フッ素を580cc/minの流速で流し、窒素/フッ素の雰囲気下とした。5分後、先に準備した2−カルボメチル−2−トリフルオロメチル−4−メチル−1,3−ジオキソランの290gを750mLの1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン溶液に溶かし、この溶液を反応槽に0.5ml/分の速度で加えた。反応槽は0℃に冷却した。全てのジオキソランを24時間で加えた後、フッ素ガス流を止めた。窒素ガスをパージした後、水酸化カリウム水溶液を弱アルカリ性になるまで加えた。
減圧下で揮発物質を除去した後、反応槽の周囲を冷却し、その後48時間70℃の減圧下で乾燥して、固体の反応生成物を得た。固形の反応生成物は、500mLの水に溶解させ、過剰の塩酸を添加して、有機相と水相とに分離させた。有機相を分離して減圧下で蒸留し、パーフルオロ−2,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−カルボン酸を得た。主蒸留物の沸点は103℃−106℃/100mmHgであった。フッ素化の収率は、85%であった。
<パーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランの合成>
上記蒸留物を水酸化カリウム水溶液で中和し、パーフルオロ−2,4−ジメチル−2−カルボン酸カリウム−1,3−ジオキソランを得た。このカリウム塩を1日間70℃で真空乾燥した。250℃〜280℃で、かつ窒素又はアルゴン雰囲気下で、塩を分解した。−78℃に冷やした冷却トラップで凝縮させ、収率82%でパーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランを得た。生成物の沸点は45℃/760mmHgであった。19FNMRとGC−MSを用いて生成物を同定した。
19FNMR:−84ppm(3F,CF3),−129ppm(2F,=CF2
GC−MS:m/e244(Molecular ion)225,197,169,150,131,100,75,50.
<パーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランの重合>
上記方法で得られたパーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン100gと、上記式(6)に示された1,2−ビス(1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル)ジアゼン1gとをガラスチューブに封入した。このガラスチューブは、凍結脱気法によって系中の酸素が除去された後にアルゴンが再充填されて、50℃で数時間加熱された。内容物は固体となったが、さらに70℃で一晩加熱すると、100gの透明な棒状物が得られた。
得られた透明棒状物をFluorinert FC−75(住友スリーエム社製)に溶かし、得られた溶液をガラス板に注ぎ、重合体の薄膜を得た。得られた重合体のガラス転移温度は117℃で、完全な非晶質であった。透明棒状物をヘキサフルオロベンゼンに溶かし、これにクロロホルムを加え沈殿させることで、生成物を精製させた。精製された重合体のガラス転移温度は、約140℃であった。
[比較例]
実施例と同様の方法で合成されたパーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソランを単量体の含フッ素化合物として用い、パーフルオロ過酸化ジアシル(C49COO)2を重合開始剤として用いた。
パーフルオロ−4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン100gと、パーフルオロ過酸化ジアシル(C49COO)21gとをガラスチューブに封入した。このガラスチューブは、凍結脱気法によって系中の酸素が除去された後にアルゴンが再充填されて、50℃で数時間加熱された。内容物は固体となったが、さらに70℃で一晩加熱すると、100gの透明な棒状物が得られた。
得られた透明棒状物をFluorinert FC−75(住友スリーエム社製)に溶かし、得られた溶液をガラス板に注ぎ、重合体の薄膜を得た。得られた重合体のガラス転移温度は117℃で、完全な非晶質であった。透明棒状物をヘキサフルオロベンゼンに溶かし、これにクロロホルムを加え沈殿させることで、生成物を精製させた。精製された重合体のガラス転移温度は、約140℃であった。
[含フッ素重合体の加熱成形時の着色の評価]
実施例及び比較例で得られた、精製された含フッ素重合体の加熱成形時の着色を評価するために、これらの含フッ素重合体に対して加熱処理を行った。なお、加熱温度は、これらの含フッ素重合体を加熱成形する際の温度を考慮して、250℃に設定された。含フッ素重合体1gをガラス製アンプルに加え、真空ポンプで脱気しながら250℃で1時間加熱した。加熱処理後の含フッ素重合体を、目視にてガードナー色数で評価した。ガードナー色数1〜5を着色なし、ガードナー色数6以上を着色あり、とした。実施例の含フッ素重合体は、ガードナー色数が1であり、着色していなかった。比較例の含フッ素重合体は、ガードナー色数が6であり、着色していた。
本発明によれば、加熱成形時に発生する着色が低減された、又は、加熱成形時に着色が生じない含フッ素重合体が得られる。したがって、本発明は、例えばプラスチック光ファイバー等の光学用途へ好適に利用できる。

Claims (8)

  1. 二重結合を含む含フッ素化合物を単量体として用い、前記含フッ素化合物を、酸成分を含まない化合物からなる重合開始剤を用いることによって重合させる工程を含む、
    含フッ素重合体の製造方法。
  2. 二重結合を含む含フッ素化合物を単量体として用い、前記含フッ素化合物を、過酸化エステル及び過酸化ジアシルを除く化合物からなる重合開始剤を用いることによって重合させる工程を含む、
    含フッ素重合体の製造方法。
  3. 前記重合開始剤を構成する前記化合物は、フッ素化されている、
    請求項1又は2に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  4. 前記重合開始剤を構成する前記化合物は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されている、
    請求項3に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  5. 前記重合開始剤を構成する前記化合物は、アゾ化合物である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  6. 前記含フッ素化合物は、実質的に水素原子を含まず、かつ全フッ素化されている、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の含フッ素重合体の製造方法。
  7. 前記含フッ素化合物が、下記式(1)で表される、
    請求項6に記載の含フッ素重合体の製造方法。
    Figure 2020023688
    (式(1)中、Rff 1〜Rff 4は各々独立に、フッ素原子、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜7のパーフルオロアルキルエーテル基を表す。Rff 1及びRff 2は連結して環を形成してもよい。)
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載された含フッ素重合体の製造方法によって得られた含フッ素重合体を、前記含フッ素重合体のガラス転移温度から50℃以上の温度で加熱溶融して所定の形状に成形する工程を含む、
    含フッ素重合体の成形体の製造方法。
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