JPWO2007074692A1 - ジアルキルカーボネートとジオール類の工業的製造方法 - Google Patents

ジアルキルカーボネートとジオール類の工業的製造方法 Download PDF

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Abstract

環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを原料とし、この原料を触媒が存在する連続多段蒸留塔内に連続的に供給し、該塔内で反応と蒸留を同時に行う反応蒸留方式によって、ジアルキルカーボネートとジオール類とを工業的に大量(例えば、ジアルキルカーボネートを1時間あたり2トン以上、ジオール類を1時間あたり1.3トン以上)に製造するにあたり、それらが高選択率・高生産性で、長期間(例えば、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、より好ましくは5000時間以上)安定的に製造でき、しかも生成したジアルキルカーボネートを高効率で、長時間安定的に分離精製できる具体的な方法を提供することにある。特定の構造を有する連続多段蒸留塔Aを用いて反応蒸留を行い、その塔頂成分(AT)を、特定の構造を有する連続多段蒸留塔Bを用いて蒸留分離を行うことによって、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとから、ジアルキルカーボネートとジオール類が、それぞれ95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の高選択率で、高純度ジアルキルカーボネート(たとえば、97%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%、さらに好ましくは99.99%以上)を1時間あたり2トン以上、好ましくは1時間あたり3トン以上、さらに好ましくは1時間あたり4トン以上、ジオール類を1時間あたり1.3トン以上、好ましくは1時間あたり1.95トン以上、さらに好ましくは1時間あたり2.6トン以上の工業的規模で、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に高収率で製造できることが見出された。

Description

本発明は、ジアルキルカーボネート類とジオール類の工業的製造法に関する。さらに詳しくは、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを原料とし、この原料を触媒が存在する連続多段蒸留塔内に連続的に供給し、該塔内で反応蒸留を行い、該塔下部からジオール類を主成分とする高沸点反応混合物を得、該塔上部から連続的に抜き出されたジアルキルカーボネートを含む低沸点反応混合物を他の連続多段蒸留塔に連続的に供給し、蒸留精製を行って、ジアルキルカーボネートを得ることによってジアルキルカーボネートとジオール類とを工業的に大量に長期間安定的に製造する方法に関する。
環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類の反応から、ジアルキルカーボネートとジオール類を製造する方法については、いくつかの提案がなされているが、そのほとんどが触媒に関するものである。また、反応方式としては、これまで4つの方式が提案されている。これら4つの反応方式は、最も代表的な反応例であるエチレンカーボネートとメタノールからのジメチルカーボネートとエチレングリコールの製造方法において用いられている。
すなわち、第1の方式は、エチレンカーボネート、メタノール及び触媒をバッチ式反応容器であるオートクレーブに仕込み、メタノールの沸点以上の反応温度において加圧下で所定の反応時間保持することによって反応を行う完全なバッチ式反応方式である(特許文献1、2、5、6)。
第2の方式は、反応釜の上部に蒸留塔を設けた装置を用いるものであって、エチレンカーボネート、メタノール及び触媒を反応容器に仕込み、所定の温度に加熱することによって反応を進行させる。この方式では、生成するジメチルカーボネートと共沸して留出するメタノールを補うために、反応釜にメタノールを連続的又はバッチ的に添加することも行なわれているが、いずれにしても、この方式では触媒、エチレンカーボネート及びメタノールが存在しているバッチ式の反応釜中でのみ反応を進行させている。したがって、反応はバッチ式であり、3〜20数時間もの長時間をかけて、還流下で大過剰のメタノールを用いて反応を行っている(特許文献3、4、11)。
第3の方式は、所定の反応温度に保たれた管状リアクターにエチレンカーボネートとメタノールの混合溶液を連続的に供給し、他方の出口より未反応のエチレンカーボネートとメタノールと生成物であるジメチルカーボネート及びエチレングリコールとを含む反応混合物を液状で連続的に抜き出す連続反応方式である。用いる触媒の形態によって2つの方法が行われている。すなわち、均一系触媒を用いて、エチレンカーボネートとメタノールの混合溶液と一緒に管状リアクターを通過させ、反応後、反応混合物中から触媒を分離する方法(特許文献7、10)と、管状リアクター内に固定させた不均一触媒を用いる方法(特許文献8、9)がある。エチレンカーボネートとメタノールとの反応によるジメチルカーボネートとエチレングリコールの生成反応は平衡反応であることから、この管状リアクターを用いる連続流通反応方式では、エチレンカーボネートの反応率は、仕込組成比と反応温度によって決まる平衡反応率以上に高めることは不可能である。例えば、特許文献7の実施例1によれば、仕込みモル比メタノール/エチレンカーボネート=4/1の原料を用いる130℃での流通反応においては、エチレンカーボネートの反応率は25%である。このことは、反応混合物中に未反応で残存する大量のエチレンカーボネート及びメタノールを分離・回収して反応器へ再循環させる必要があることを意味しており、事実、特許文献9の方法では、分離・精製・回収・再循環のためのたくさんの設備が用いられている。
第4の方式は、本発明者等が初めて開示した反応蒸留方式(特許文献12〜21)、すなわち、多段蒸留塔内にエチレンカーボネートとメタノールをそれぞれ連続的に供給し該蒸留塔の複数段で触媒の存在下に反応を行なうと同時に生成物であるジメチルカーボネートとエチレングリコールを分離する、連続的製造方法である。その後、他社からも反応蒸留方式を用いる出願(特許文献22〜26)がなされている。
このように、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとからジアルキルカーボネートとジオール類を製造するこれまでに提案された方法は、
(1)完全なバッチ反応方式
(2)蒸留塔を上部に設けた反応釜を用いるバッチ反応方式
(3)管式リアクターを用いる液状流通反応方式
(4)反応蒸留方式
の4方式であるが、それぞれ、以下に述べるような問題点があった。
すなわち、(1)、(3)の場合には、環状カーボネートの反応率の上限は仕込み組成と温度から決まるため、反応を完全に終結させることはできず、反応率が低い。また、(2)の場合には環状カーボネートの反応率を高めるためには、生成するジアルキルカーボネートを、極めて大量の脂肪族1価アルコールを使用して留去しなければならず、長い反応時間を必要とする。(4)の場合には、(1)、(2)、(3)と比較して、高い反応率で反応を進行させることが可能である。しかしながら、これまで提案されている(4)の方法は、少量のジアルキルカーボネートとジオール類を製造する方法であるか、短期間の製造方法に関するものであり、工業的規模での長期間安定製造に関するものではなかった。すなわち、ジアルキルカーボネートを連続的に大量(例えば、1時間あたり2トン以上)に、長期間(例えば1000時間以上、好ましくは3000時間以上、より好ましくは5000時間以上)安定的に製造するという目的を達成するものではなかった。
例えば、エチレンカーボネートとメタノールからジメチルカーボネート(DMC)とエチレングリコール(EG)を製造するために開示されている実施例における反応蒸留塔の高さ(H:cm)、直径(D:cm)、段数(n)、ジメチルカーボネートの生産量P(kg/hr)、連続製造時間T(hr)に関する最大値を示す記述は、表1のとおりである。
Figure 2007074692
なお、特許文献25(第0060段落)には、「本実施例は上記の図1に示した好ましい態様と同様のプロセスフローを採用し、エチレンカーボネートとメタノールの接触転化反応によりエステル交換させてジメチルカーボネート及びエチレングリコールを製造する商業的規模装置の操業を目的になされたものである。なお、本実施例で下記する数値は実装置の操作にも十分適用可能である。」と記載され、その実施例として、3750kg/hrのジメチルカーボネートを具体的に製造したとの記載がなされている。実施例に記載のこの規模は年産3万トン以上に相当するので、特許文献25の出願当時(2002年4月9日)としては、この方法による世界一の大規模商業プラントの操業が実施されたことになる。しかしながら、本願出願時でされ、このような事実は全くない。また、特許文献25の実施例では、ジメチルカーボネートの生産量は理論計算値と全く同一の値が記載されているが、エチレングリコールの収率は約85.6%で、選択率は約88.4%であり、高収率・高選択率を達成しているとはいい難い。特に選択率が低いことは、この方法が工業的製造法として、致命的な欠点を有していることを表している。(なお、特許文献25は、2005年7月26日、未審査請求によるみなし取下処分がなされている。)
反応蒸留法は、蒸留塔内での反応による組成変化と蒸留による組成変化と、塔内の温度変化と圧力変化等の変動要因が非常に多く、長期間の安定運転の継続させることは困難を伴うことが多く、特に大量を扱う場合にはその困難性はさらに増大する。反応蒸留法によるジアルキルカーボネートとジオール類を高収率・高選択率を維持しつつ、それらの大量生産を長期間安定的に継続させるためには、反応蒸留装置に工夫をすることが必要である。しかしながら、これまでに提案されている反応蒸留法における、長期間の連続安定製造に関する記述は、特許文献12及び13の200〜400時間のみであった。
高収率・高選択率でジアルキルカーボネートとジオール類の大量生産を長期間安定的に継続できる工業的な反応蒸留法を確立することと、その際、反応蒸留塔の上部から連続的に大量に抜き出される低沸点反応混合物から、目的とするジアルキルカーボネートを効率的に分離する工業的な方法も確立する必要があった。本発明はこの目的を達成するためになされたものである。
これまでに提案されている反応蒸留法によるジアルキルカーボネートの1時間あたりの生産量は表1に示されるとおり、特許文献25以外は1時間あたり1kg以下の少量である。また、特許文献25の方法では、第1工程の反応蒸留塔の塔頂成分(メタノールとジメチルカーボネートの混合物)は第2工程の蒸留塔に送られ、エチレンカーボネートによる抽出蒸留が行われている。そしてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物を第2工程の蒸留塔の塔底成分として得た後、さらにこの混合物を第3工程の蒸留塔に送り、第3工程の蒸留塔の塔頂成分としてジメチルカーボネートを得、塔底成分としてエチレンカーボネートを得る蒸留分離が行われている。すなわち、特許文献25の方法ではメタノールとジメチルカーボネートの混合物からジメチルカーボネートを分離するためには、2塔を用いることが必要であり、設備的に高価なものになる。しかもこの方法では互いに連動する4本の蒸留塔を運転する必要があり、長期間の安定運転が困難になることが予測される。
米国特許第3642858号明細書 特開昭54−48715号公報(米国特許第4181676号明細書) 特開昭51−122025号公報(米国特許第4062884号明細書) 特開昭54−48716号公報(米国特許第4307032号明細書) 特開昭54−63023号公報 特開昭54−148726号公報 特開昭63−41432号公報(米国特許第4661609号明細書) 特開昭63−238043号公報 特開昭64−31737号公報(米国特許第4691041号明細書) 米国特許第4734518号明細書 米国特許第3803201号明細書 特開平4−198141号公報 特開平4−230243号公報 特開平9−176061号公報 特開平9−183744号公報 特開平9−194435号公報 国際公開 WO97/23445号公報(欧州特許第0889025号明細書、米国特許第5847189号明細書) 国際公開 WO99/64382号公報(欧州特許第1086940号明細書、米国特許第6346638号明細書) 国際公開 WO00/51954号公報(欧州特許第1174406号明細書、米国特許第6479689号明細書) 特開2002−308804号公報 特開2004−131394号公報 特開平5−213830号公報(欧州特許第0530615号明細書、米国特許第5231212号明細書) 特開平6−9507号公報(欧州特許第0569812号明細書、米国特許第5359118号明細書) 特開2003−119168号公報(国際公開 WO03/006418号公報) 特開2003−300936号公報 特開2003−342209号公報
本発明が解決しようとする課題は、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを原料とし、この原料を触媒が存在する連続多段蒸留塔内に連続的に供給し、該塔内で反応と蒸留を同時に行う反応蒸留方式によって、ジアルキルカーボネートとジオール類とを工業的に大量(例えば、ジアルキルカーボネートを1時間あたり2トン以上、ジオール類を1時間あたり1.3トン以上)に製造するにあたり、それらが高選択率・高生産性で、長期間(例えば、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、より好ましくは5000時間以上)安定的に製造でき、しかも生成したジアルキルカーボネートを高効率で、長時間安定的に分離精製できる具体的な方法を提供することにある。
本発明者らが連続多段蒸留塔を用いるジアルキルカーボネートとジオール類の連続的製造方法を初めて開示して以来、この方法の改良に関する多くの提案があるが、これらは小規模、短期間の実験室的レベルのものであり、実際の実施によって得られた知見に基づく工業的規模での大量生産と、それらの分離精製を長期間安定的に可能とする具体的な方法や装置の開示は全くなかった。そこで、本発明者等は、例えば、ジアルキルカーボネートを1時間あたり2トン以上、ジオール類を1時間あたり1.3トン以上の工業的規模で、高選択率・高生産性で長期間安定的に製造でき、しかも生成したジアルキルカーボネートを高効率で、長時間安定的に分離精製できる具体的な方法を見出すべき検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の態様では、
1. 環状カーボネートと脂肪族1価アルコールからジアルキルカーボネートとジオール類を連続的に製造する方法であって、
(I)環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを触媒が存在する連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、該塔内で反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートと未反応脂肪族1価アルコールを含む低沸点反応混合物(A)を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、ジオール類を含む高沸点反応混合物(A)を塔下部より液状で連続的に抜出す反応蒸留方式によって、ジアルキルカーボネートとジオール類を連続的に製造する工程(I)と、
(II)該連続多段蒸留塔Aの塔上部より連続的に抜出されたジアルキルカーボネートと脂肪族1価アルコールを含む低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔Bに連続的に供給し、脂肪族1価アルコールを主成分とする塔頂成分(B)とジアルキルカーボネートを主成分とする塔底成分(B)とに連続的に分離精製する工程(II)と、
を含み、
(a)該連続多段蒸留塔Aが、下記式(1)〜(6)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)の円筒形の胴部を有し、内部に複数の孔をもつ棚段をn段有する棚段塔であって、塔頂部又はそれに近い塔の上部に内径d01(cm)のガス抜出し口、塔底部又はそれに近い塔の下部に内径d02(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部及び/又は中間部に1つ以上の第1の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の中間部及び/又は下部に1つ以上の第2の導入口を有する蒸留塔であって、
2100 ≦ L ≦ 8000 式(1)
180 ≦ D ≦ 2000 式(2)
4 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
20 ≦ n ≦ 120 式(4)
3 ≦ D/d01 ≦ 20 式(5)
5 ≦ D/d02 ≦ 30 式(6)
(b)該連続多段蒸留塔Bが、下記式(7)〜(14)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する回収部と、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する濃縮部からなる蒸留塔である、
500 ≦ L ≦ 3000 式(7)
100 ≦ D ≦ 1000 式(8)
2 ≦ L/D ≦ 30 式(9)
10 ≦ n ≦ 40 式(10)
700 ≦ L ≦ 5000 式(11)
50 ≦ D ≦ 800 式(12)
10 ≦ L/D ≦ 50 式(13)
35 ≦ n ≦ 100 式(14)
ことを特徴とするジアルキルカーボネートとジオール類の工業的製造方法、
2. 製造されるジアルキルカーボネートが1時間あたり、2トン以上であることを特徴とする前項1に記載の方法、
3. 製造されるジオール類が1時間あたり、1.3トン以上であることを特徴とする前項1又は2に記載の方法、
4. 該d01と該d02が、式(15)を満足することを特徴とする前項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
1 ≦ d01/d02 ≦ 5 式(15)、
5. 該連続多段蒸留塔AのL、D、L/D、n、D/d01、D/d02 がそれぞれ、2300≦L≦6000、 200≦D≦1000、 5≦L/D≦30、 30≦n≦100、 4≦D/d01≦15、 7≦D/d02≦25であることを特徴とする前項1〜4のいずれか一項に記載の方法、
6. 該連続多段蒸留塔AのL、D、L/D、n、D/d01、D/d02 がそれぞれ、2500≦L≦5000、 210≦D≦800、 7≦L/D≦20、 40≦n≦90、 5≦D/d01≦13、 9≦D/d02≦20であることを特徴とする前項1〜5のいずれか一項に記載の方法、
7. 該連続多段蒸留塔Aの棚段が、多孔板トレイであることを特徴とする前項1〜6のいずれか一項に記載の方法、
8. 該連続多段蒸留塔Aの該多孔板トレイが、多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする前項7記載の方法、
9. 該連続多段蒸留塔Aの該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が、0.5〜5cmであることを特徴とする前項7又は8記載の方法、
10. 該連続多段蒸留塔Aの該多孔板トレイの開口比が、1.5〜15%であることを特徴とする前項7〜9のいずれか一項に記載の方法、
11. 該連続多段蒸留塔BのL、D、L/D、n、L、D、L/D、nがそれぞれ、800≦L≦2500、 120≦D≦800、 5≦L/D≦20、 13≦n≦25、 1500≦L≦3500、 70≦D≦600、 15≦L/D≦30、 40≦n≦70、 L≦L、 D≦Dであることを特徴とする前項1〜10のいずれか一項に記載の方法、
12. 該連続多段蒸留塔Bの回収部及び濃縮部のインターナルが、それぞれトレイ及び/又は充填物であることを特徴とする前項1〜11のいずれか一項に記載の方法、
13. 該連続多段蒸留塔Bの回収部及び濃縮部のインターナルが、それぞれトレイであることを特徴とする前項12記載の方法、
14. 該連続多段蒸留塔Bの該トレイが、多孔板トレイであることを特徴とする前項13に記載の方法、
15. 該連続多段蒸留塔Bの該多孔板トレイが、多孔板部の面積1mあたり150〜1200個の孔を有しており、且つ、孔1個あたりの断面積が、0.5〜5cmであることを特徴とする前項14に記載の方法、
16. 該連続多段蒸留塔Bの該塔底成分(B)中のジアルキルカーボネートの濃度が、該塔底成分100質量%に対して、97質量%以上であることを特徴とする前項1〜15のいずれか一項に記載の方法、
17. 該連続多段蒸留塔Bの該塔底成分(B)中のジアルキルカーボネートの濃度が、該塔底成分100質量%に対して、99質量%以上であることを特徴とする前項1〜15のいずれか一項に記載の方法、
18. 該連続多段蒸留塔Bの該塔頂成分(B)をジアルキルカーボネートとジオール類の製造用原料としてリサイクルすることを特徴とする前項1〜17のうち何れか一項に記載の方法、
19. 環状カーボネートがエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートであり、脂肪族1価アルコールがメタノール及び/又はエタノールであり、製造されるジアルキルカーボネートがジメチルカーボネート及び/又はジエチルカーボネートであり、ジオール類がエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールであることを特徴とする前項1〜18のうち何れか一項に記載の方法、
を提供する。
また、本発明の第2の態様では、
20. 前項1〜19のうち何れか一項に記載の方法で分離され、ハロゲン含有量が0.1ppm以下であることを特徴とするジアルキルカーボネート、
21. 前項1〜19のうち何れか一項に記載の方法で分離され、ハロゲン含有量が1ppb以下であることを特徴とするジアルキルカーボネート、
22. 脂肪族1価アルコールの含有量が0.1質量%以下であって、且つ、ハロゲン含有量が1ppb以下あることを特徴とする前項20又は21に記載の高純度ジアルキルカーボネート、
を提供する。
本発明を実施することによって、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとから、ジアルキルカーボネートとジオール類が、それぞれ95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の高選択率で、ジアルキルカーボネートを1時間あたり2トン以上、好ましくは1時間あたり3トン以上、さらに好ましくは1時間あたり4トン以上、ジオール類を1時間あたり1.3トン以上、好ましくは1時間あたり1.95トン以上、さらに好ましくは1時間あたり2.6トン以上の工業的規模で、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に製造でき、しかも高効率で高純度(たとえば、97%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.9%以上)のジアルキルカーボネートが分離精製できることが見出された。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の反応は、環状カーボネート(A)と脂肪族1価アルコール類(B)とから、ジアルキルカーボネート(C)とジオール類(D)が生成する下記式で表わされる可逆平衡なエステル交換反応である。
Figure 2007074692
(式中、Rは2価の基−(CH)m−(mは2〜6の整数)を表わし、その1個以上の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基によって置換されていてもよい。また、Rは炭素数1〜12の1価の脂肪族基を表わし、その1個以上の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。)
本発明で原料として用いられる環状カーボネートとは、上式において(A)であらわされる化合物であって、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類や、1,3−ジオキサシクロヘキサ−2−オン、1,3−ジオキサシクロヘプタ−2−オンなどが好ましく用いられ、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが入手の容易さなどの点から更に好ましく使用され、エチレンカーボネートが特に好ましく使用される。
また、もう一方の原料である脂肪族1価アルコール類とは、上式において(B)で表わされる化合物であって、生成するジオールより沸点が低いものが用いられる。したがって、使用する環状カーボネートの種類によっても変わり得るが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、アリルアルコール、ブタノール(各異性体)、3−ブテン−1−オール、アミルアルコール(各異性体)、ヘキシルアルコール(各異性体)、ヘプチルアルコール(各異性体)、オクチルアルコール(各異性体)、ノニルアルコール(各異性体)、デシルアルコール(各異性体)、ウンデシルアルコール(各異性体)、ドデシルアルコール(各異性体)、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、メチルシクロペンタノール(各異性体)、エチルシクロペンタノール(各異性体)、メチルシクロヘキサノール(各異性体)、エチルシクロヘキサノール(各異性体)、ジメチルシクロヘキサノール(各異性体)、ジエチルシクロヘキサノール(各異性体)、フェニルシクロヘキサノール(各異性体)、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール(各異性体)、フェニルプロパノール(各異性体)などが挙げられ、さらにこれらの脂肪族1価アルコール類において、ハロゲン、低級アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基等の置換基によって置換されていてもよい。
このような脂肪族1価アルコール類の中で、好ましく用いられるのは炭素数1〜6のアルコール類であり、さらに好ましいのはメタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)の炭素数1〜4のアルコール類である。環状カーボネートとしてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートを使用する場合に好ましいのはメタノール、エタノールであり、特に好ましいのはメタノールである。
本発明の方法においては、反応蒸留塔A内に触媒を存在させる。触媒を存在させる方法はどのような方法であってもよいが、例えば、反応条件下で反応液に溶解するような均一系触媒の場合、反応蒸留塔内に連続的に触媒を供給することにより、反応蒸留塔内の液相に触媒を存在させることもできるし、あるいは反応条件下で反応液に溶解しないような不均一系触媒の場合、反応蒸留塔内に固体触媒を配置することにより、反応系に触媒を存在させることもできるし、これらを併用した方法であってもよい。
均一系触媒を反応蒸留塔内に連続的に供給する場合には、環状カーボネート及び/又は脂肪族1価アルコールと同時に供給してもよいし、原料とは異なる位置に供給してもよい。該蒸留塔内で実際に反応が進行するのは触媒供給位置から下の領域であることから、塔頂から原料供給位置までの間の領域に該触媒を供給することが好ましい。そして該触媒が存在する段は5段以上あることが必要であり、好ましくは7段以上であり、さらに好ましくは10段以上である。
また、不均一系の固体触媒を用いる場合、該触媒の存在する段の段数が5段以上あることが必要であり、好ましくは7段以上であり、さらに好ましくは10段以上である。蒸留塔の充填物としての効果をも併せ持つ固体触媒を用いることもできる。
本発明において用いられる触媒としては、これまでに知られている種々のものを使用することができる。例えば、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属類;
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、アルコキシド化物類、アリーロキシド化物類、アミド化物類等の塩基性化合物類;
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩類、重炭酸塩類、有機酸塩類等の塩基性化合物類;
トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン類;
N−アルキルピロール、N−アルキルインドール、オキサゾール、N−アルキルイミダゾール、N−アルキルピラゾール、オキサジアゾール、ピリジン、アルキルピリジン、キノリン、アルキルキノリン、イソキノリン、アルキルイソキノリン、アクリジン、アルキルアクリジン、フェナントロリン、アルキルフェナントロリン、ピリミジン、アルキルピリミジン、ピラジン、アルキルピラジン、トリアジン、アルキルトリアジン等の含窒素複素芳香族化合物類;
ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等の環状アミジン類;
酸化タリウム、ハロゲン化タリウム、水酸化タリウム、炭酸タリウム、硝酸タリウム、硫酸タリウム、タリウムの有機酸塩類等のタリウム化合物類;
トリブチルメトキシ錫、トリブチルエトキシ錫、ジブチルジメトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、ジブチルジエトキシ錫、ジブチルフェノキシ錫、ジフェニルメトキシ錫、酢酸ジブチル錫、塩化トリブチル錫、2−エチルヘキサン酸錫等の錫化合物類;
ジメトキシ亜鉛、ジエトキシ亜鉛、エチレンジオキシ亜鉛、ジブトキシ亜鉛等の亜鉛化合物類;
アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウム化合物類;
テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、ジクロロジメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、酢酸チタン、チタンアセチルアセトナート等のチタン化合物類;
トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルメチルホスホニウムハライド、トリオクチルブチルホスホニウムハライド、トリフェニルメチルホスホニウムハライド等のリン化合物類;
ハロゲン化ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムアルコキシド、酢酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物類;
鉛及び鉛を含む化合物類、例えば、PbO、PbO、Pbなどの酸化鉛類;
PbS、Pb、PbS2などの硫化鉛類;
Pb(OH)、Pb(OH)、Pb[PbO(OH)]、PbO(OH)などの水酸化鉛類;
NaPbO、KPbO、NaHPbO、KHPbOなどの亜ナマリ酸塩類;
NaPbO、NaPbO、KPbO、K[Pb(OH)]、KPbO、CaPbO、CaPbOなどの鉛酸塩類;
PbCO、2PbCO・Pb(OH)などの鉛の炭酸塩及びその塩基性塩類;
Pb(OCH、(CHO)Pb(OPh)、Pb(OPh)などのアルコキシ鉛類、アリールオキシ鉛類;
Pb(OCOCH、Pb(OCOCH、Pb(OCOCH・PbO・3HOなどの有機酸の鉛塩及びその炭酸塩や塩基性塩類;
BuPb、PhPb、BuPbCl、PhPbBr、PhPb(又はPhPb)、BuPbOH、PhPbOなどの有機鉛化合物類(Buはブチル基、Phはフェニル基を示す);
Pb−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sbなどの鉛の合金類;
ホウエン鉱、センアエン鉱などの鉛鉱物類、及びこれらの鉛化合物の水和物類;
が挙げられる。
これらの化合物は、反応原料や、反応混合物、反応副生物などに溶解する場合には、均一系触媒として用いることができるし、溶解しない場合には固体触媒として用いることができる。さらには、これらの化合物を反応原料や、反応混合物、反応副生物などで事前に溶解させたり、あるいは反応させることによって溶解させた混合物を均一系触媒としてもちいることも好ましい方法である。
さらに3級アミノ基を有する陰イオン交換樹脂、アミド基を有するイオン交換樹脂、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基のうちの少なくとも一つの交換基を有するイオン交換樹脂、第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体等のイオン交換体類;シリカ、シリカ−アルミナ、シリカーマグネシア、アルミノシリケート、ガリウムシリケート、各種ゼオライト類、各種金属交換ゼオライト類、アンモニウム交換ゼオライト類などの固体の無機化合物類等が触媒として用いられる。
固体触媒として、特に好ましく用いられるのは第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体であり、このようなものとしては、例えば、第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性アニオン交換樹脂、第4級アンモニウム基を交換基として有するセルロース強塩基性アニオン交換体、第4級アンモニウム基を交換基として有する無機質担体担持型強塩基性アニオン交換体などが挙げられる。第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性アニオン交換樹脂としては、例えば、スチレン系強塩基性アニオン交換樹脂などが好ましく用いられる。スチレン系強塩基性アニオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体を母体として、交換基に第4級アンモニウム(I型あるいはII型)を有する強塩基性アニオン交換樹脂であり、例えば、次式で模式的に示される。
Figure 2007074692
上式中、Xはアニオンを示し、通常、Xとしては、F、Cl、Br、I、HCO 、CO 2−、CHCO 、HCO 、IO 、BrO 、ClO の中から選ばれた少なくとも1種のアニオンが使用され、好ましくはCl、Br、HCO 、CO 2−の中から選ばれた少なくとも1種のアニオンが使用される。また、樹脂母体の構造としては、ゲル型、マクロレティキュラー型(MR型)いずれも使用できるが、耐有機溶媒性が高い点からMR型が特に好ましい。
第4級アンモニウム基を交換基として有するセルロース強塩基性アニオン交換体としては、例えば、セルロースの−OH基の一部又は全部をトリアルキルアミノエチル化して得られる、−OCHCHNRXなる交換基を有するセルロースが挙げられる。ただし、Rはアルキル基を示し、通常、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが用いられ、好ましくはメチル、エチルが使用される。また、Xは前述のとおりのアニオンを示す。
本発明において使用できる、第4級アンモニウム基を交換基として有する無機質担体担持型強塩基性アニオン交換体とは、無機質担体の表面水酸基−OHの一部又は全部を修飾することにより、4級アンモニウム基−O(CH)nNRXを導入したものを意味する。ただし、R、Xは前述のとおりである。nは通常1〜6の整数であり、好ましくはn=2である。無機質担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ゼオライトなどを使用することができ、好ましくはシリカ、アルミナ、シリカアルミナが用いられ、特に好ましくはシリカが使用される。無機質担体の表面水酸基の修飾方法としては、任意の方法を用いることができる。
第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体は、市販のものを使用することもできる。その場合には、前処理として予め所望のアニオン種でイオン交換を行なった後に、エステル交換触媒として使用することもできる。
また、少なくとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合している巨大網状及びゲルタイプの有機ポリマー、又は少くとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合している無機質担体から成る固体触媒もエステル交換触媒として好ましく用いられる。また、さらにはこれらの含窒素複素環基の一部又は全部が4級塩化された固体触媒も同様に用いられる。なお、イオン交換体などの固体触媒は、本発明においては充填物としての機能も果たすことができる。
本発明で用いられる触媒の量は、使用する触媒の種類によっても異なるが、反応条件下で反応液に溶解するような均一系触媒を連続的に供給する場合には、供給原料である環状カーボネートと脂肪族1価アルコールの合計質量に対する割合で表わして、通常0.0001〜50質量%、好ましくは0.005〜20質量%、さらに好ましくは0.01〜10質量%で使用される。また、固体触媒を該蒸留塔内に設置して使用する場合には、該蒸留塔の空塔容積に対して、0.01〜75容積%、好ましくは0.05〜60容積%、さらに好ましくは0.1〜60容積%の触媒量が好ましく用いられる。
本発明において反応蒸留塔である連続多段蒸留塔Aに、環状カーボネートを連続的に供給する場合、特定の段に供給することが好ましい。すなわち、原料である該環状カーボネートは、該連続多段蒸留塔の上から3段目以下であって、該連続多段蒸留塔の上から(n/3)段目までの間に設けられた1つ以上の導入口から該連続多段蒸留塔に連続的に導入することが好ましい。環状カーボネート導入口から上の段は、該環状カーボネート、ジオール類などの高沸点化合物が塔頂成分中に含まれないようにするために重要である。この意味で、環状カーボネート導入口から上の段は3段以上あることが好ましく、より好ましくは4段〜10段であり、さらに好ましくは5段〜8段である。
本発明に用いられる好ましい環状カーボネートは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシドなどのアルキレンオキシドと二酸化炭素との反応によって製造されたハロゲンを含まないものである。したがって、これらの原料化合物や、ジオール類などを少量含む環状カーボネートを、本願発明の原料として用いることもできる。
本発明において、供給原料中に、生成物であるジアルキルカーボネート及び/又はジオール類が含まれているもよい。その含有量は、ジアルキルカーボネートが、脂肪族1価アルコール/ジアルキルカーボネート混合物中のジアルキルカーボネートの質量%で表わして、通常、0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%であり、ジオール類が環状カーボネート/ジオール混合物中の質量%で表わして、通常、0〜10質量%、好ましくは0〜7質量%、より好ましくは0〜5質量%である。
本反応を工業的に実施する場合、新規に反応系に導入される環状カーボネート及び/又は脂肪族1価アルコールに加え、本発明の工程(II)及び/又は他の工程で回収された、環状カーボネート及び/又は脂肪族1価アルコールを主成分とする物質が、これらの原料として使用できることは好ましいことである。たとえば、工程(II)で分離精製される塔頂成分(B)は、通常、脂肪族1価アルコールを主成分とするジアルキルカーボネートとの混合物であるので、これを工程(I)の原料の一部として再使用することが好ましく、本発明はこのことを可能にするものであり、これは本発明の優れた特徴である。他の工程とは、例えば、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートを製造する工程があり、この工程では、脂肪族1価アルコールが副生し、回収される。この回収副生脂肪族1価アルコールには、通常ジアルキルカーボネートが含まれているが、その含有量が上記の範囲である場合、本発明の優れた効果が発現することが見出されたのである。さらには、この回収副生脂肪族1価アルコールには、芳香族モノヒドロキシ化合物、アルキルアリールエーテル、少量のアルキルアリールカーボネート、ジアリールカーボネートなどが含まれる場合がある。本発明では、この副生脂肪族1価アルコールをそのままで原料として用いることもできるし、蒸留等により該脂肪族1価アルコールよりも沸点の高い含有物質量を減少させた後に原料とすることもできる。
本発明において反応蒸留塔である連続多段蒸留塔Aに、脂肪族1価アルコールを連続的に供給する場合、特定の段に供給することが好ましい。たとえば、原料である脂肪族1価アルコールが、該連続多段蒸留塔Aの上から(n/3)段目から下であって、該連続多段蒸留塔Aの上から(2n/3)段目までの間に設けられた1つ以上の導入口から該連続多段蒸留塔に連続的に導入されことが好ましい。本発明で原料として用いられる脂肪族1価アルコールが、特定量のジアルキルカーボネートを含有している場合、その導入口を特定の段にすることによって、本発明の優れた効果がさらに見出されたのである。より好ましくは、脂肪族1価アルコールが、該連続多段蒸留塔の上から(2n/5)段目から下であって、該連続多段蒸留塔の上から(3n/5)段目までの間に設けられた1つ以上の導入口から該連続多段蒸留塔に連続的に導入される場合である。
原料は、液状、ガス状又は液とガスとの混合物として該蒸留塔に連続的に供給される。このようにして原料を該蒸留塔に供給する以外に、付加的にガス状の原料を該蒸留塔の中央部及び/又は下部から断続的又は連続的に供給することも好ましい方法である。また、環状カーボネートを触媒の存在する段よりも上部の段に液状又は気液混合状態で該蒸留塔に連続的に供給し、該蒸留塔の上記の段に設置された1つ以上の導入口から該脂肪族1価アルコールをガス状及び/又は液状で連続的に供給する方法も好ましい方法である。そして、これらの原料が該蒸留塔の少なくとも5段以上、好ましくは7段以上、より好ましくは10段以上の領域において触媒と接触させるようにすることが好ましい。
本発明において、反応蒸留塔に供給する環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類との量比は、エステル交換触媒の種類や量及び反応条件によっても異なるが、通常、供給される環状カーボネートに対して、脂肪族1価アルコール類はモル比で0.01〜1000倍の範囲で供給することができる。環状カーボネートの反応率を上げるためには脂肪族1価アルコール類を2倍モル以上の過剰量供給することが好ましいが、あまり大過剰に用いると装置を大きくする必要がある。このような意味において、環状カーボネートに対する脂肪族1価アルコール類のモル比は、2〜20が好ましく、さらに好ましくは3〜15、さらにより好ましくは5〜12である。なお、未反応環状カーボネートが多く残存していると、生成物であるジオール類と反応して2量体、3量体などの多量体を副生するので、工業的に実施する場合、未反応環状カーボネートの残存量をできるだけ減少させることが好ましい。本発明の方法では、このモル比が10以下であっても、環状カーボネートの反応率を98%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.9%以上にすることが可能である。このことも本発明の特徴のひとつである。
本発明においては、好ましくは1時間あたり2トン以上のジアルキルカーボネートを連続的に製造し(工程I)、分離精製(工程II)するのであるが、そのために連続的に供給される環状カーボネートの最低量は、製造すべきジアルキルカーボネートの量(Pトン/hr)に対して、通常2.2Pトン/hr、好ましくは、2.1Pトン/hr、より好ましくは2.0Pトン/hrである。さらに好ましい場合は、1.9Pトン/hrよりも少なくできる。
本発明の工程(I)に係る連続多段蒸留塔Aは、単なる蒸留機能からの条件だけではなく、安定的に高反応率でしかも高選択率で反応を進行させるために必要な条件を複合したものであり、具体的には、
下記式(1)〜(6)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)の円筒形の胴部を有し、内部に複数の孔をもつ棚段をn段有する棚段塔であって、塔頂部又はそれに近い塔の上部に内径d01(cm)のガス抜出し口、塔底部又はそれに近い塔の下部に内径d02(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部及び/又は中間部に1つ以上の第1の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の中間部及び/又は下部に1つ以上の第2の導入口を有する連続多段蒸留塔であることが必要である:
2100 ≦ L ≦ 8000 式(1)
180 ≦ D ≦ 2000 式(2)
4 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
20 ≦ n ≦ 120 式(4)
3 ≦ D/d01 ≦ 20 式(5)
5 ≦ D/d02 ≦ 30 式(6)。
なお、本発明で用いる用語「塔頂部又はそれに近い塔の上部」とは、塔頂部から下方に約0.25Lまでの部分を意味し、用語「塔底部又はそれに近い塔の下部」とは、塔底部から上方に約0.25Lまでの部分を意味する。また、「L」は、前述の定義とおりである。
式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を同時に満足させる連続多段蒸留塔を用いて、環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類とから、ジアルキルカーボネートを1時間あたり好ましくは2トン以上、及び/又はジオール類を1時間あたり好ましくは1.3トン以上の工業的規模で、高反応率・高選択率・高生産性で、例えば1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、さらに安定的に製造できることが見出されたのである。本発明の方法を実施することによって、このような優れた効果を有する工業的規模でのジアルキルカーボネートとジオール類の製造が可能になった理由は明らかではないが、上述の条件が組み合わさった時にもたらされる複合効果のためであると推定される。なお、各々の要因の好ましい範囲は下記に示される。
(cm)が2100より小さいと、反応率が低下するため目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成できる反応率を確保しつつ設備費を低下させるには、Lを8000以下にすることが必要である。より好ましいL(cm)の範囲は、2300≦L≦6000 であり、さらに好ましくは、2500≦L≦5000 である。
(cm)が180よりも小さいと、目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを2000以下にすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、200≦D≦1000 であり、さらに好ましくは、210≦D≦800 である。
/Dが4より小さい時や40より大きい時は安定運転が困難となり、特に40より大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなり選択率の低下をもたらす。より好ましいL/Dの範囲は、5≦L/D≦30 であり、さらに好ましくは、7≦L/D≦20 である。
が10より小さいと反応率が低下するため目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成できる反応率を確保しつつ設備費を低下させるには、nを120以下にすることが必要である。さらに、nが120よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなり選択率の低下をもたらす。より好ましいnの範囲は、30≦n≦100 であり、さらに好ましくは、40≦n≦90 である。
/d01が3より小さいと設備費が高くなるだけでなく大量のガス成分が系外に出やすくなるため、安定運転が困難になり、20よりも大きいとガス成分の抜出し量が相対的に小さくなり、安定運転が困難になるだけでなく、反応率の低下をもたらす。より好ましいD/d01の範囲は、4≦D/d01≦15 であり、さらに好ましくは、5≦D/d01≦13 である。
/d02が5より小さいと設備費が高くなるだけでなく液抜出し量が相対的に多くなり、安定運転が困難になり、30よりも大きいと液抜出し口や配管での流速が急激に速くなりエロージョンを起こしやすくなり装置の腐食をもたらす。より好ましいD/d02の範囲は、7≦D/d02≦25 であり、さらに好ましくは、9≦D/d02≦20 である。
さらに、本発明では該d01と該d02が式(7)を満足する場合、さらに好ましいことがわかった:
1 ≦ d01/d02 ≦ 5 式(7)。
本発明でいう長期安定運転とは、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上、フラッディングやウイーピングや、配管のつまりやエロージョンがなく、運転条件に基づいた定常状態で運転が継続でき、高反応率・高選択率・高生産性を維持しながら、所定量のジアルキルカーボネートとジオール類が製造されていることを意味する。
本発明の工程(I)では、好ましくは1時間あたり2トン以上の高生産性でジアルキルカーボネート及び/又は1時間あたり1.3トン以上の高生産性でジオール類とをそれぞれ高選択率で長期間安定的に生産することを特徴としているが、ジアルキルカーボネート及びジオール類を、より好ましくはそれぞれ1時間あたり3トン以上及び1.95トン以上、さらに好ましくはそれぞれ1時間あたり4トン以上及び2.6トン以上生産することにある。また、工程(I)では、該連続多段蒸留塔のL、D、L/D、n、D/d01、D/d02 がそれぞれ、2300≦L≦6000、 200≦D≦1000、 5≦L/D≦30、 30≦n≦100、 4≦D/d01≦15、 7≦D/d02≦25、の場合は、1時間あたり2.5トン以上、好ましくは1時間あたり3トン以上、さらに好ましくは1時間あたり3.5トン以上のジアルキルカーボネートと、1時間あたり1.6トン以上、好ましくは1時間あたり1.95トン以上、さらに好ましくは1時間あたり2.2トン以上のジオール類とを製造することを特徴とするものである。さらに、工程(I)では、該連続多段蒸留塔のL、D、L/D、n、D/d01、D/d02 がそれぞれ、2500≦L≦5000、 210≦D≦800、 7≦L/D≦20、 40≦n≦90、 5≦D/d01≦13、 9≦D/d02≦20の場合は、1時間あたり3トン以上、好ましくは1時間あたり3.5トン以上、さらに好ましくは1時間あたり4トン以上のジアルキルカーボネートと、1時間あたり1.95トン以上、好ましくは1時間あたり2.2トン以上、さらに好ましくは1時間あたり2.6トン以上のジオール類とを製造することを特徴とするものである。
本発明でいうジアルキルカーボネート及びジオール類の選択率とは、反応した環状カーボネートに対するものであって、本発明では通常95%以上の高選択率であり、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の高選択率を達成することができる。また、本発明でいう反応率とは、通常、環状カーボネートの反応率を表し、本発明では環状カーボネートの反応率を95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5以上、さらにより好ましくは99.9%以上にすることが可能である。このように高選択率を維持しながら、高反応率を達成できることも本発明の優れた特徴のひとつである。
工程(I)で用いられる連続多段蒸留塔Aは、インターナルとしてトレイを有する棚段塔式蒸留塔である。本発明でいうインターナルとは、蒸留塔において実際に気液の接触を行わせる部分のことを意味する。このようなトレイとしては、例えば例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、リップルトレイ、バラストトレイ、バルブトレイ、向流トレイ、ユニフラックストレイ、スーパーフラックトレイ、マックスフラックトレイ、デュアルフロートレイ、グリッドプレートトレイ、ターボグリッドプレートトレイ、キッテルトレイ等が好ましい。なお、工程(I)においては、一部の棚段部に充填物が充填された部分とトレイ部とを合わせ持つ多段蒸留塔も用いることができる。このような充填物としては、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック等の不規則充填物やメラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッド等の規則充填物が好ましい。なお、本発明でいう用語「インターナルの段数n(n、n、n等)」とは、トレイの場合は、トレイの数を意味し、充填物の場合は、理論段数を意味する。したがって、トレイ部と充填物の充填された部分とを合わせ持つ多段蒸留塔の場合の段数nは、トレイの数と理論段数の合計である。
工程(I)の環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類との反応において、インターナルが所定の段数を有するトレイ及び/又は充填物からなる棚段式連続多段蒸留塔及び/又は充填塔式連続多段蒸留塔のいずれを用いても、高反応率・高選択率・高生産性を達成することができるが、インターナルがトレイである棚段式蒸留塔がより好ましいことが見出された。さらに、該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイが機能と設備費との関係で特に優れていることが見出された。そして、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有していることが好ましいことも見出された。より好ましい孔数は該面積1mあたり120〜900個であり、さらに好ましくは、150〜800個である。また、該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることが好ましいことも見出された。より好ましい孔1個あたりの断面積は、0.7〜4cmであり、さらに好ましくは0.9〜3cmである。さらには、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有しており、かつ、孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmである場合、特に好ましいことが見出された。該多孔板部の孔数は、全ての多孔板において同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明でいう連続多段蒸留塔Aの多孔板トレイの開口比とは、多段蒸留塔Aを構成する各トレイにおいて、ガス及び液体が通過できる各トレイの開口部の全面積(孔の全断面積)と、その開口部を有するトレイの面積との比を意味する。なお、ダウンカマー部のあるトレイについては、その部分を除いた実質的にバブリングの起こっている部分の面積をトレイの面積とする。
連続多段蒸留塔Aの多孔板トレイの開口比は、1.5〜15%の範囲であることが好ましいことがわかった。開口比が1.5%より小さいと、必要とする生産量に対して装置が大きくなり、設備費が高くなるだけでなく、滞留時間が長くなり副反応(たとえば、反応生成物であるジオール類と未反応環状カーボネートの反応)が起こりやすくなる。また、開口比が15%より大きいと各トレイでの滞留時間が短くなるので、高反応率を達成するためには段数を増加させる必要があり、上記のnを大きくしたときの不都合が生じる。このような意味で、好ましい開口比の範囲は、1.7〜8.0%であり、さらに好ましくは1.9から6.0%の範囲である。
なお、連続多段蒸留塔Aの各トレイの開口比は全て同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明においては、通常、上部のトレイの開口比が下部のトレイの開口比より大きい多段蒸留塔が好ましく用いられる。
工程(I)では、原料である環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類とを触媒が存在する連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、該塔内で反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点反応混合物(A)を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、ジオール類を含む高沸点反応混合物(A)を塔下部より液状で連続的に抜出すことによりジアルキルカーボネートとジオール類が連続的に製造される。
工程(I)で行われるエステル交換反応の反応時間は連続多段蒸留塔A内での反応液の平均滞留時間に相当すると考えられるが、これは該蒸留塔Aのインターナルの形状や段数、原料供給量、触媒の種類や量、反応条件などによって異なるが、通常0.1〜20時間、好ましくは0.5〜15時間、より好ましくは1〜10時間である。
反応温度は、用いる原料化合物の種類や触媒の種類や量によって異なるが、通常、30〜300℃である。反応速度を高めるためには反応温度を高くすることが好ましいが、反応温度が高いと副反応も起こりやすくなる。好ましい反応温度は40〜250℃、より好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは、60〜150℃の範囲である。本発明においては、塔底温度として150℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下、さらにより好ましくは100℃以下にして反応蒸留を実施することが可能である。このような低い塔底温度であっても高反応率・高選択率・高生産性を達成できることは、本発明の優れた特徴のひとつである。また、反応圧力は、用いる原料化合物の種類や組成、反応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常1Pa〜2×10Pa、好ましくは、10Pa〜10Pa、より好ましくは10〜5×10Paの範囲で行われる。
本発明で用いられる連続多段蒸留塔Aを構成する材料は、主に炭素鋼、ステンレススチールなどの金属材料であるが、製造するジアルキルカーボネートとジオール類の品質の面からは、ステンレススチールが好ましい。
本発明では、工程(I)に引き続いて工程(II)が実施され、純度が97%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.9%以上の高純度ジアルキルカーボネートが高効率で分離される。
工程(II)では、連続多段蒸留塔Aの塔上部よりガス状で連続的に抜出された生成ジアルキルカーボネート及び該脂肪族1価アルコールを含む低沸点反応混合物(A)を、該脂肪族1価アルコールを主成分とする塔頂成分(B)とジアルキルカーボネートを主成分とする塔底成分(B)とに蒸留分離するために連続多段蒸留塔Bが用いられる。
工程(II)に係る該連続多段蒸留塔Bは、大量の低沸点反応混合物Aから所定の分離効率でジアルキルカーボネートを長期間安定的に分離する機能を有することが必要であり、そのために種々の条件を同時に満足させるものでなければならない。
具体的には、
該連続多段蒸留塔Bは、下記式(7)〜(14)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する回収部と、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する濃縮部からなる蒸留塔である:
500 ≦ L ≦ 3000 式(7)
100 ≦ D ≦ 1000 式(8)
2 ≦ L/D ≦ 30 式(9)
10 ≦ n ≦ 40 式(10)
700 ≦ L ≦ 5000 式(11)
50 ≦ D ≦ 800 式(12)
10 ≦ L/D ≦ 50 式(13)
35 ≦ n ≦ 100 式(14)。
式(7)〜(14)を同時に満足する連続多段蒸留塔Bを用いることによって、環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類との反応蒸留で製造された大量の低沸点反応混合物(A)が高効率で分離され、ジアルキルカーボネートを高濃度で含む塔底成分(B)が、1時間あたり好ましくは2トン以上の工業的規模で、例えば1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に取得できることが見出されたのである。しかも、塔底成分(B)として分離されたジアルキルカーボネートの純度は、通常、97質量%以上であり、好ましくは99質量%以上の高純度が容易に達成できる。工程(II)では、塔底成分として得られるジアルキルカーボネートの純度を、好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.99%以上の超高純度にすることも容易である。本発明の方法を実施することによって、このような優れた効果を有する工業的規模でのジアルキルカーボネートの製造と分離精製が可能になった理由は明らかではないが、式(1)〜(14)の条件が組み合わさった時にもたらされる複合効果のためであると推定される。なお、各々の要因の好ましい範囲は下記に示される。
(cm)が500より小さいと、回収部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、Lを3000以下にすることが必要である。より好ましいL(cm)の範囲は、800≦L≦2500 であり、さらに好ましくは、1000≦L≦2000 である。
(cm)が100よりも小さいと、目的とする蒸留量を達成できないし、目的の蒸留量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを1000以下にすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、120≦D≦800 であり、さらに好ましくは、150≦D≦600 である。
/Dが2より小さい時や30より大きい時は長期安定運転が困難となる。より好ましいL/Dの範囲は、5≦L/D≦20 であり、さらに好ましくは、7≦L/D≦15 である。
が10より小さいと回収部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、nを40以下にすることが必要である。より好ましいnの範囲は、13≦n≦25 であり、さらに好ましくは、15≦n≦20 である。
(cm)が700より小さいと、濃縮部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、Lを5000以下にすることが必要である。Lが5000よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなる。より好ましいL(cm)の範囲は、1500≦L ≦3500 であり、さらに好ましくは、2000≦L≦3000 である。
(cm)が50よりも小さいと、目的とする蒸留量を達成できないし、目的の蒸留量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを800以下にすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、70≦D≦600 であり、さらに好ましくは、80≦D≦400 である。
/Dが10より小さい時や50より大きい時は長期安定運転が困難となる。より好ましいL/Dの範囲は、15≦L/D≦30 であり、さらに好ましくは、20≦L/D≦28 である。
が35より小さいと濃縮部の分離効率が低下するため目的とする分離効率を達成できないし、目的の分離効率を確保しつつ設備費を低下させるには、nを100以下にすることが必要である。nが100よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなる。より好ましいnの範囲は、40≦n≦70 であり、さらに好ましくは、45≦n≦65 である。
なお、工程(II)の連続多段蒸留塔Bにおいては、L≦L が好ましく、さらに好ましくは、L<L である。また、D≦D が好ましく、さらに好ましくは、D<D である。従って、本発明においては、L≦L で、且つ、D≦D の場合が好ましく、さらに好ましくは、L<L で、且つ、D<D の場合である。
工程(II)の連続多段蒸留塔Bの回収部及び濃縮部は、インターナルとして前記のトレイ及び/又は充填物を有する蒸留塔であることが好ましい。トレイ部と充填物の充填された部分とを合わせ持つ多段蒸留塔も用いることができる。
工程(II)においては連続多段蒸留塔Bの回収部及び濃縮部のインターナルが、それぞれトレイである場合が特に好ましい。さらに該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイが機能と設備費との関係で特に優れていることが見出された。そして、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり150〜1200個の孔を有していることが好ましいことも見出された。より好ましい孔数は該面積1mあたり200〜1100個であり、さらに好ましくは、250〜1000個である。また、該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることが好ましいことも見出された。より好ましい孔1個あたりの断面積は、0.7〜4cmであり、さらに好ましくは0.9〜3cmである。さらには、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり150〜1200個の孔を有しており、且つ、孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmである場合、特に好ましいことが見出された。連続多段蒸留塔Bに上記の条件を付加することによって、本発明の課題が、より容易に達成されることが判明したのである。
本発明では、連続多段蒸留塔A内での反応蒸留によって生成するジアルキルカーボネートは、通常過剰に用いられ未反応で残っている脂肪族1価アルコールとの低沸点反応混合物(A)として、塔上部よりガス状で連続的に抜出される。該低沸点反応混合物(A)は連続多段蒸留塔B内に連続的に供給され、該脂肪族1価アルコールを主成分とする低沸点混合物(B)が塔上部よりガス状で連続的に抜き出され、ジアルキルカーボネートを主成分とする高沸点混合物(B)が塔下部より液状で連続的に抜出される。該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に供給するにあたり、ガス状で供給してもよいし、液状で供給してもよい。該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に供給するに先立って該蒸留塔Bの供給口付近の液温に近い温度にするために、加熱又は冷却することも好ましい。
また、該低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔B内に供給する位置は、回収部と濃縮部の間付近であることが好ましい。連続多段蒸留塔Bは、蒸留物の加熱のためのリボイラーと、還流装置を有することが好ましい。
本発明においては、該低沸点反応混合物(A)は通常約2トン/hr以上で連続多段蒸留塔Aから抜出され、連続多段蒸留塔B内に供給され、蒸留分離され、該蒸留塔Bの上部から低沸点混合物(B)が、下部から高沸点混合物(B)がそれぞれ連続的に抜出される。
工程(II)においては、該低沸点混合物(B)中の該脂肪族1価アルコール類の濃度を80質量%以上、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上にすることが可能であり、また、該高沸点混合物(B)中のジアルキルカーボネートの濃度を97質量%以上、好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.9質量%以上、さらにより好ましくは、99.99質量%以上とすることが容易にできる。そして、低沸点混合物(B)の主成分として分離されるアルコール類は、通常500kg/hr以上、好ましくは1トン/hr以上、より好ましくは2トン/hr以上の量である。この低沸点混合物(B)の他の成分は主としてジアルキルカーボネートであるので、これをそのままで、あるいは他の工程で回収されたアルコール類と混合した上で、環状カーボネートと反応させる脂肪族1価アルコールとして再使用することができる。このことは本発明の好ましい実施態様のひとつである。回収されたアルコール類の量だけでは、不足する場合には新たに脂肪族1価アルコールが追加される。
また、工程(II)で分離される高沸点混合物(B)は、主成分がジアルキルカーボネートであり、未反応脂肪族1価アルコールの含有量は3質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらにより好ましくは0.01質量%以下である。また、本発明の好ましい実施態様では、ハロゲンを含まない原料や触媒を用いて反応が実施されるので、生成するジアルキルカーボネートには、まったくハロゲンを含まないようにすることができる。したがって、本発明ではハロゲン含有量が0.1ppm以下、好ましくは、1ppb以下(イオンクロマトグラフ法による検出限界外)であって、濃度が97質量%以上、好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.9質量%以上、さらにより好ましくは、99.99質量%以上の高純度ジアルキルカーボネートを得ることが容易に達成できる。
工程(II)で行われる連続多段蒸留塔B内での蒸留条件は、蒸留塔のインターナルの形状や段数、供給される低沸点反応混合物(A)の種類と組成と量、分離されるジアルキルカーボネートの純度などによって異なるが、通常、塔底温度が150〜250℃の範囲の特定の温度で行われる。より好ましい温度範囲は、170〜230℃であり、さらに好ましい温度範囲は、180〜220℃である。塔底圧力は、塔内組成と使用する塔底温度によって異なるが、本発明では、通常、加圧下で行われる。
また、連続多段蒸留塔Bの還流比は、0.5〜5の範囲が好ましく、より好ましくは0.8〜3の範囲であり、さらに好ましくは1〜2.5の範囲である。
工程(II)で用いられる連続多段蒸留塔Bを構成する材料は、主に炭素鋼、ステンレススチールなどの金属材料であるが、製造され、分離されるジアルキルカーボネートとジオール類の品質の面からは、ステンレススチールが好ましい。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
工程(I)
<連続多段蒸留塔A>
図1に示されるようなL=3300cm、D=300cm、L/D=11、n=60、D/d01=7.5、D/d02=12 である連続多段蒸留塔Aを用いた。この蒸留塔のトレイは多孔板トレイであり、多孔板部の孔1個あたりの断面積=約1.3cm、孔数=約180〜320個/mを有していた。各トレイの開口比は、2.1〜4.2%の範囲であった。
<反応蒸留>
液状のエチレンカーボネート3.27トン/hrが下から55段目に設置された導入口(3−a)から蒸留塔Aに連続的に導入された。ガス状のメタノール(ジメチルカーボネートを8.96質量%含む)3.238トン/hrと液状のメタノール(ジメチルカーボネートを6.66質量%含む)7.489トン/hrが、下から31段目に設置された導入口(3−b及び3−c)から蒸留塔に連続的に導入された。蒸留塔に導入された原料のモル比は、メタノール/エチレンカーボネート=8.36であった。
触媒はKOH(48質量%の水溶液)2.5トンにエチレングリコール4.8トンを加え、約130℃に加熱し、徐々に減圧にし、約1300Paで約3時間加熱処理し、均一溶液にしたものを用いた。この触媒溶液を、下から54段目に設けられた導入口(3−e)から、蒸留塔に連続的に導入した(K濃度:供給エチレンカーボネートに対して0.1質量%)。塔底部の温度が98℃で、塔頂部の圧力が約1.118×10Pa、還流比が0.42の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。塔頂部1から10.678トン/hrで連続的に抜き出された低沸点反応混合物(A)中のジメチルカーボネートは4.129トン/hrで、メタノールは6.549トン/hrであった。塔底部2から3.382トン/hrで連続的に抜出された液中の、エチレングリコールは、2.356トン/hrで、メタノールは1.014トン/hr、未反応エチレンカーボネート4kg/hrであった。原料に含まれるジメチルカーボネートを除いた、ジメチルカーボネートの1時間あたりの実質生産量は3.340トン、触媒溶液に含まれるエチレングリコールを除いた、エチレングリコールの1時間あたりの実質生産量は2.301トンであった。エチレンカーボネートの反応率は99.88%で、ジメチルカーボネートの選択率は99.99%以上で、エチレングリコールの選択率は99.99%以上であった。
工程(II)
<連続多段蒸留塔B>
図2に示されるようなL=1600cm、D=260cm、L/D=6.2、n=18、L=2700cm、D=160cm、L/D=16.9、n=58である連続多段蒸留塔Bを用いた。この実施例では、インターナルとして回収部、濃縮部ともに多孔板トレイ(孔1個あたりの断面積=約1.3cm、 孔数=約300〜440個/m)を用いた。
<塔頂成分(A)の蒸留分離>
工程(I)で得られた、ジメチルカーボネート4.129トン/hr、メタノール6.549トン/hrから成る塔頂成分(A)が、導入口(3−b)から連続多段蒸留塔Bに連続的に供給された。この導入口は、連続多段蒸留塔Bの下から18段目と19段目のトレイの間に設置されている。連続多段蒸留塔Bは、塔底温度約205℃、塔底圧力約1.46MPa、還流比1.8で連続的に運転された。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。連続多段蒸留塔Bの塔頂部1から、7.158トン/hrで連続的に抜き出された塔頂成分(B)は、メタノール6.549トン/hrで、ジメチルカーボネート0.509トン/hrから成っていた。塔頂成分(B)中のメタノール濃度は91.49質量%であった。また、連続多段蒸留塔Bの塔底部2から、3.62トン/hrで連続的に抜き出された塔底成分(B)は、99.99質量%以上のジメチルカーボネートであった。(メタノール含有量:0.01質量%以下)
連続多段蒸留塔Bに供給されたジメチルカーボネートのうち、約87.7%が高純度ジメチルカーボネートとして得られたことになる。なお、塔頂成分(B)はそのままで反応蒸留塔Aに送られ、ジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造する原料の一部として用いられた。
この条件で長期間の連続運転を行った。500時間後、2000時間後、4000時間
後、5000時間後、6000時間後の1時間あたりのジメチルカーボネートの取得量は、3.62トン、3.62トン、3.62トン、3.62トン、3.62トンであり、非常に安定していた。分離精製されたジメチルカーボネート純度は、いずれも99.99%であり、ハロゲン含有量は検出限界外の1ppb以下であった。
実施例2
工程(I)
実施例1と同じ連続多段蒸留塔Aを用いて、下記の条件で反応蒸留を行った。
液状のエチレンカーボネート2.61トン/hrが下から55段目に設置された導入口(3−a)から蒸留塔に連続的に導入された。ガス状のメタノール(ジメチルカーボネートを2.41質量%含む)4.233トン/hrと液状のメタノール(ジメチルカーボネートを1.46質量%含む)4.227トン/hrが、下から31段目に設置された導入口(3−b及び3−c)から蒸留塔に連続的に導入された。蒸留塔に導入された原料のモル比は、メタノール/エチレンカーボネート=8.73であった。触媒は実施例1と同様にして、蒸留塔に連続的に供給された。塔底部の温度が93℃で、塔頂部の圧力が約1.046×10Pa、還流比が0.48の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。塔頂部1から8.17トン/hrで連続的に抜き出された低沸点反応混合物(A)中のジメチルカーボネートは2.84トン/hrで、メタノールは5.33トン/hrであった。塔底部2から2.937トン/hrで連続的に抜出された液中の、エチレングリコールは、1.865トン/hrで、メタノールは1.062トン/hr、未反応エチレンカーボネート0.2kg/hrであった。原料に含まれるジメチルカーボネートを除いた、ジメチルカーボネートの1時間あたりの実質生産量は2.669トン、触媒溶液に含まれるエチレングリコールを除いた、エチレングリコールの1時間あたりの実質生産量は1.839トンであった。エチレンカーボネートの反応率は99.99%で、ジメチルカーボネートの選択率は99.99%以上で、エチレングリコールの選択率は99.99%以上であった。
工程(II)
実施例1と同じ連続多段蒸留塔Bを用いて、下記の条件で蒸留分離を行った
工程(I)で得られた、ジメチルカーボネート2.84トン/hr、メタノール5.33トン/hrから成る塔頂成分(A)が、導入口(3−b)から連続多段蒸留塔Bに連続的に供給された。この導入口は、連続多段蒸留塔Bの下から18段目と19段目のトレイの間に設置されている。連続多段蒸留塔Bは、塔底温度約205℃、塔底圧力約1.46MPa、還流比1.8で連続的に運転された。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。連続多段蒸留塔Bの塔頂部1から、5.76トン/hrで連続的に抜き出された塔頂成分(B)は、メタノール5.33トン/hrで、ジメチルカーボネート0.43トン/hrから成っていた。塔頂成分(B)中のメタノール濃度は92.5質量%であった。また、連続多段蒸留塔Bの塔底部2から、2.41トン/hrで連続的に抜き出された塔底成分(B)は、99.99質量%以上のジメチルカーボネートであった。(メタノール含有量:0.01質量%以下)
連続多段蒸留塔Bに供給されたジメチルカーボネートのうち、約84.9%が高純度ジメチルカーボネートとして得られたことになる。なお、塔頂成分(B)はそのままで反応蒸留塔Aに送られ、ジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造する原料の一部として用いられた。
この条件で長期間の連続運転を行った。500時間後、2000時間後、4000時間
後、5000時間後、6000時間後の1時間あたりのジメチルカーボネートの取得量は、2.41トン、2.41トン、2.41トン、2.41トン、2.41トンであり、非常に安定していた。分離精製されたジメチルカーボネート純度は、いずれも99.99%であり、ハロゲン含有量は検出限界外の1ppb以下であった。
実施例3
工程(I)
<連続多段蒸留塔A>
図1に示されるようなL=3300cm、D=300cm、L/D=11、n=60、D/d01=7.5、D/d02=12 である連続多段蒸留塔Aを用いた。この蒸留塔のトレイは多孔板トレイであり、多孔板部の孔1個あたりの断面積=約1.3cm、孔数=約220〜340個/mを有していた。各トレイの開口比は、2.5〜4.5%の範囲であった。
<反応蒸留>
液状のエチレンカーボネート3.773トン/hrが下から55段目に設置された導入口(3−a)から蒸留塔に連続的に導入された。ガス状のメタノール(ジメチルカーボネートを8.97質量%含む)3.736トン/hrと液状のメタノール(ジメチルカーボネートを6.65質量%含む)8.641トン/hrが、下から31段目に設置された導入口(3−b及び3−c)から蒸留塔に連続的に導入された。蒸留塔に導入された原料のモル比は、メタノール/エチレンカーボネート=8.73であった。触媒は実施例1と同様にして、蒸留塔に連続的に供給された。塔底部の温度が98℃で、塔頂部の圧力が約1.118×10Pa、還流比が0.42の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。塔頂部1から12.32トン/hrで連続的に抜き出された低沸点反応混合物(A)中のジメチルカーボネートは4.764トン/hrで、メタノールは7.556トン/hrであった。塔底部から3.902トン/hrで連続的に抜出された液中の、エチレングリコールは、2.718トン/hrで、メタノールは1.17トン/hr、未反応エチレンカーボネート4.6kg/hrであった。原料に含まれるジメチルカーボネートを除いた、ジメチルカーボネートの1時間あたりの実質生産量は3.854トン、触媒溶液に含まれるエチレングリコールを除いた、エチレングリコールの1時間あたりの実質生産量は2.655トンであった。エチレンカーボネートの反応率は99.88%で、ジメチルカーボネートの選択率は99.99%以上で、エチレングリコールの選択率は99.99%以上であった。
工程(II)
実施例1と同じ連続多段蒸留塔Bを用いて、下記の条件で蒸留分離を行った
工程(I)で得られた、ジメチルカーボネート4.764トン/hr、メタノール7.556トン/hrから成る塔頂成分(A)が、導入口(3−b)から連続多段蒸留塔Bに連続的に供給された。この導入口は、連続多段蒸留塔Bの下から18段目と19段目のトレイの間に設置されている。連続多段蒸留塔Bは、塔底温度約205℃、塔底圧力約1.46MPa、還流比1.8で連続的に運転された。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。連続多段蒸留塔Bの塔頂部1から、8.231トン/hrで連続的に抜き出された塔頂成分(B)は、メタノール7.556トン/hrで、ジメチルカーボネート0.675トン/hrから成っていた。塔頂成分(B)中のメタノール濃度は91.8質量%であった。また、連続多段蒸留塔Bの塔底部2から、4.089トン/hrで連続的に抜き出された塔底成分(B)は、99.99質量%以上のジメチルカーボネートであった。(メタノール含有量:0.01質量%以下)
連続多段蒸留塔Bに供給されたジメチルカーボネートのうち、約85.8%が高純度ジメチルカーボネートとして得られたことになる。なお、塔頂成分(B)はそのままで反応蒸留塔Aに送られ、ジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造する原料の一部として用いられた。
この条件で長期間の連続運転を行った。1000時間後、2000時間後、3000時間後、5000時間後の1時間あたりのジメチルカーボネートの取得量は、4.089トン、4.089トン、4.089トン、4.089トンであり、非常に安定していた。分離精製されたジメチルカーボネート純度は、いずれも99.99%であり、ハロゲン含有量は検出限界外の1ppb以下であった。
実施例4
工程(I)
<連続多段蒸留塔A>
図1に示されるようなL=3300cm、D=300cm、L/D=11、n=60、D/d=7.5、D/d02=12 である連続多段蒸留塔を用いた。この蒸留塔のトレイは多孔板トレイであり、多孔板部の孔1個あたりの断面積=約1.3cm、孔数=約240〜360個/mを有していた。各トレイの開口比は、3.0〜5.0%の範囲であった。
<反応蒸留>
液状のエチレンカーボネート7.546トン/hrが下から55段目に設置された導入口(3−a)から蒸留塔に連続的に導入された。ガス状のメタノール(ジメチルカーボネートを8.95質量%含む)7.742トン/hrと液状のメタノール(ジメチルカーボネートを6.66質量%含む)17.282トン/hrが、下から31段目に設置された導入口(3−b及び3−c)から蒸留塔に連続的に導入された。蒸留塔に導入された原料のモル比は、メタノール/エチレンカーボネート=8.36であった。触媒は実施例1と同様にして、蒸留塔に連続的に供給された。塔頂部の温度が65℃で、塔頂部の圧力が約1.118×10Pa、還流比0.42の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。塔頂部1から24.64トン/hrで連続的に抜き出された低沸点反応混合物(A)中のジメチルカーボネートは9.527トン/hrで、メタノールは15.114トン/hrであった。塔底部2から7.804トン/hrで連続的に抜出された液中の、エチレングリコールは、5.436トン/hrで、メタノールは2.34トン/hrで、未反応エチレンカーボネート23kg/hrであった。原料に含まれるジメチルカーボネートを除いた、ジメチルカーボネートの1時間あたりの実質生産量は7.708トン、触媒溶液に含まれるエチレングリコールを除いた、エチレングリコールの1時間あたりの実質生産量は5.31トンであった。エチレンカーボネートの反応率は99.7%で、ジメチルカーボネートの選択率は99.99%以上で、エチレングリコールの選択率は99.99%以上であった。
工程(II)
<連続多段蒸留塔B>
図2に示されるようなL=1600cm、D=260cm、L/D=6.2、n=18、L=2700cm、D=160cm、L/D=16.9、n=58である連続多段蒸留塔Bを用いた。この実施例では、インターナルとして回収部、濃縮部ともに多孔板トレイ(孔1個あたりの断面積=約1.3cm、 孔数=約530〜800個/m)を用いた。
<塔頂成分(A)の蒸留分離>
工程(I)で得られた、ジメチルカーボネート9.527トン/hr、メタノール15.114トン/hrから成る塔頂成分(A)が、導入口(3−b)から連続多段蒸留塔Bに連続的に供給された。この導入口は、連続多段蒸留塔Bの下から18段目と19段目のトレイの間に設置されている。連続多段蒸留塔Bは、塔底温度約205℃、塔底圧力約1.46MPa、還流比1.8で連続的に運転された。
24時間後には安定的な定常運転が達成できた。連続多段蒸留塔Bの塔頂部1から、16.572トン/hrで連続的に抜き出された塔頂成分(B)は、メタノール15.114トン/hrで、ジメチルカーボネート1.458トン/hrから成っていた。塔頂成分(B)中のメタノール濃度は91.2質量%であった。また、連続多段蒸留塔Bの塔底部2から、8.069トン/hrで連続的に抜き出された塔底成分(B)は、99.99質量%以上のジメチルカーボネートであった。(メタノール含有量:0.01質量%以下)
連続多段蒸留塔Bに供給されたジメチルカーボネートのうち、約84.7%が高純度ジメチルカーボネートとして得られたことになる。なお、塔頂成分(B)はそのままで反応蒸留塔Aに送られ、ジメチルカーボネートとエチレングリコールを製造する原料の一部として用いられた。
この条件で長期間の連続運転を行った。1000時間後の1時間あたりのジメチルカーボネートの取得量は、8.069トンであり、非常に安定していた。分離精製されたジメチルカーボネート純度は、いずれも99.99%であり、ハロゲン含有量は検出限界外の1ppb以下であった。
本発明によれば、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとから、ジアルキルカーボネートとジオール類が、それぞれ95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の高選択率で、高純度ジアルキルカーボネート(たとえば、97%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%、さらに好ましくは99.99%以上)を1時間あたり2トン以上、好ましくは1時間あたり3トン以上、さらに好ましくは1時間あたり4トン以上、ジオール類を1時間あたり1.3トン以上、好ましくは1時間あたり1.95トン以上、さらに好ましくは1時間あたり2.6トン以上の工業的規模で、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に高収率で製造できることが見出された。
本発明の工程(I)で用いられる連続多段蒸留塔Aの一例を表す概略図である。胴部内部にはn段のトレイ(本図では、トレイを模式的に表す)が設置されている。 工程(II)で用いられる連続多段蒸留塔Bの一例を表す概略図である。連続多段蒸留塔Bの胴部内部にはインターナルとして回収部にはn段の、濃縮部にはn段のいずれにもトレイ(本図では、トレイは図示されていない)が設置されている。 なお、各図において使用した符号の説明は以下のとおりである:(図1) 1:ガス抜出し口、2:液抜出し口、3−aから3−e:導入口、4−aから4−b:導入口、5:鏡板部、6:インターナル、7:胴体部分、10:連続多段蒸留塔A、L:胴部長さ(cm)、D:胴部内径(cm)、d01:ガス抜出し口の内径(cm)、d02:液抜出し口の内径(cm)(図2)1:ガス抜出し口、2:液抜出し口、3−aから3−c、4:導入口、L:連続多段蒸留塔Bの回収部の長さ(cm)、L:連続多段蒸留塔Bの濃縮部の長さ(cm)、D:連続多段蒸留塔Bの回収部の内径(cm)、D:連続多段蒸留塔Bの濃縮部の内径(cm)

Claims (22)

  1. 環状カーボネートと脂肪族1価アルコールからジアルキルカーボネートとジオール類を連続的に製造する方法であって、
    (I)環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを触媒が存在する連続多段蒸留塔A内に連続的に供給し、該塔内で反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートと未反応脂肪族1価アルコールを含む低沸点反応混合物(A)を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、ジオール類を含む高沸点反応混合物(A)を塔下部より液状で連続的に抜出す反応蒸留方式によって、ジアルキルカーボネートとジオール類を連続的に製造する工程(I)と、
    (II)該連続多段蒸留塔Aの塔上部より連続的に抜出されたジアルキルカーボネートと脂肪族1価アルコールを含む低沸点反応混合物(A)を連続多段蒸留塔Bに連続的に供給し、脂肪族1価アルコールを主成分とする塔頂成分(B)とジアルキルカーボネートを主成分とする塔底成分(B)とに連続的に分離精製する工程(II)と、
    を含み、
    (a)該連続多段蒸留塔Aが、下記式(1)〜(6)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)の円筒形の胴部を有し、内部に複数の孔をもつ棚段をn段有する棚段塔であって、塔頂部又はそれに近い塔の上部に内径d01(cm)のガス抜出し口、塔底部又はそれに近い塔の下部に内径d02(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部及び/又は中間部に1つ以上の第1の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の中間部及び/又は下部に1つ以上の第2の導入口を有する蒸留塔であって、
    2100 ≦ L ≦ 8000 式(1)
    180 ≦ D ≦ 2000 式(2)
    4 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
    20 ≦ n ≦ 120 式(4)
    3 ≦ D/d01 ≦ 20 式(5)
    5 ≦ D/d02 ≦ 30 式(6)
    (b)該連続多段蒸留塔Bが、下記式(7)〜(14)を満足する長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する回収部と、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nをもつインターナルを有する濃縮部からなる蒸留塔である、
    500 ≦ L ≦ 3000 式(7)
    100 ≦ D ≦ 1000 式(8)
    2 ≦ L/D ≦ 30 式(9)
    10 ≦ n ≦ 40 式(10)
    700 ≦ L ≦ 5000 式(11)
    50 ≦ D ≦ 800 式(12)
    10 ≦ L/D ≦ 50 式(13)
    35 ≦ n ≦ 100 式(14)
    ことを特徴とするジアルキルカーボネートとジオール類の工業的製造方法。
  2. 製造されるジアルキルカーボネートが1時間あたり、2トン以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 製造されるジオール類が1時間あたり、1.3トン以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 該d01と該d02が、式(15)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
    1 ≦ d01/d02 ≦ 5 式(15)。
  5. 該連続多段蒸留塔AのL、D、L/D、n、D/d01、D/d02 がそれぞれ、2300≦L≦6000、 200≦D≦1000、 5≦L/D≦30、 30≦n≦100、 4≦D/d01≦15、 7≦D/d02≦25であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 該連続多段蒸留塔AのL、D、L/D、n、D/d01、D/d02 がそれぞれ、2500≦L≦5000、 210≦D≦800、 7≦L/D≦20、 40≦n≦90、 5≦D/d01≦13、 9≦D/d02≦20であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 該連続多段蒸留塔Aの棚段が、多孔板トレイであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 該連続多段蒸留塔Aの該多孔板トレイが、多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 該連続多段蒸留塔Aの該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が、0.5〜5cmであることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
  10. 該連続多段蒸留塔Aの該多孔板トレイの開口比が、1.5〜15%であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 該連続多段蒸留塔BのL、D、L/D、n、L、D、L/D、nがそれぞれ、800≦L≦2500、 120≦D≦800、 5≦L/D≦20、 13≦n≦25、 1500≦L≦3500、 70≦D≦600、 15≦L/D≦30、 40≦n≦70、 L≦L、 D≦Dであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 該連続多段蒸留塔Bの回収部及び濃縮部のインターナルが、それぞれトレイ及び/又は充填物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 該連続多段蒸留塔Bの回収部及び濃縮部のインターナルが、それぞれトレイであることを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 該連続多段蒸留塔Bの該トレイが、多孔板トレイであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 該連続多段蒸留塔Bの該多孔板トレイが、多孔板部の面積1mあたり150〜1200個の孔を有しており、且つ、孔1個あたりの断面積が、0.5〜5cmであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 該連続多段蒸留塔Bの該塔底成分(B)中のジアルキルカーボネートの濃度が、該塔底成分100質量%に対して、97質量%以上であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 該連続多段蒸留塔Bの該塔底成分(B)中のジアルキルカーボネートの濃度が、該塔底成分100質量%に対して、99質量%以上であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 該連続多段蒸留塔Bの該塔頂成分(B)をジアルキルカーボネートとジオール類の製造用原料としてリサイクルすることを特徴とする請求項1〜17のうち何れか一項に記載の方法。
  19. 環状カーボネートがエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートであり、脂肪族1価アルコールがメタノール及び/又はエタノールであり、製造されるジアルキルカーボネートがジメチルカーボネート及び/又はジエチルカーボネートであり、ジオール類がエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールであることを特徴とする請求項1〜18のうち何れか一項に記載の方法。
  20. 請求項1〜19のうち何れか一項に記載の方法で分離され、ハロゲン含有量が0.1ppm以下であることを特徴とするジアルキルカーボネート。
  21. 請求項1〜19のうち何れか一項に記載の方法で分離され、ハロゲン含有量が1ppb以下であることを特徴とするジアルキルカーボネート。
  22. 脂肪族1価アルコールの含有量が0.1質量%以下であって、且つ、ハロゲン含有量が1ppb以下あることを特徴とする請求項20又は21に記載の高純度ジアルキルカーボネート。
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