JPWO2007055113A1 - スロットアンテナ - Google Patents

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Abstract

本発明のスロットアンテナは、誘電体基板101の裏面側設けられた接地導体12と、接地導体12の側縁を開放点として内側に切り欠いて形成されたスロット14と、スロット14に高周波信号を給電するための給電線路261とを備えている。給電線路261は、スロット14と交差している。この給電線路261は、スロット付近の第一の地点において、少なくとも2本の分岐線路を含む分岐線路群に分岐され、分岐線路群の内の少なくとも2本の分岐線路は、スロット付近の第二の地点において相互に接続され、少なくとも1つのループ配線209を形成している。ループ配線209のループ長の最大値が動作帯域の上限周波数において1実効波長未満の長さに設定されている。また、分岐線路群の内、ループ配線209を形成せずに先端開放終端される全ての分岐線路群の分岐長が動作帯域の上限周波数において4分の1実効波長未満である。

Description

本発明は、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号、またはデジタル信号を送信・受信するアンテナに関する。
二つの理由から、従来よりもはるかに広い帯域での動作を可能にする無線デバイスが必要となっている。第一の理由は、広大な周波数帯域の使用が認可された近距離無線向け通信システムに対応するためである。第二の理由は、異なる周波数を用いて乱立する複数の通信システムを、一台の端末で共用するためである。
例えば、近距離向け高速通信システム用に認可された3.1GHz〜10.6GHzの周波数帯域は、帯域内の中心周波数f0で規格化した比帯域としては109.5%という広大な値に相当している。一方、基本的なアンテナとして知られるパッチアンテナの比帯域特性は5%未満、スロットアンテナの比帯域特性は10%未満である。このようなアンテナによっては、上記の広大な周波数帯域の全体をカバーすることは著しく困難である。
第一段階として策定されつつある上記通信システムの仕様では、認可された周波数帯域が複数に分割して使用されることになっている。その理由の1つは、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)の全体をカバーするアンテナを現在の技術で実現することが困難なことにある。
現在、世界で無線通信用に使用されている周波数帯域を例にとると、1.8GHz帯〜2.4GHz帯を同一アンテナでカバーするためには、30%程度の比帯域を実現する必要がある。また、上記帯域に加えて、800MHz帯、2GHz帯を同一アンテナでカバーする場合には、90%程度の比帯域を実現できなければならない。さらに、800MHz帯から2.4GHz帯までを同一アンテナでカバーするためには、100%以上の比帯域を実現することが要求されることになる。このように、同一端末で同時に扱うシステム数が増加し、カバーすべき周波数帯域が広がるほど、広帯域なアンテナの実現が簡易な端末構成の一つの解として望まれることになる。
図23に模式図を示す4分の1波長スロットアンテナは、最も基本的な平面アンテナの一つである。図23(a)は、上面側からの透視模式図、図23(b)は、直線ABで切断した断面模式図、図23(c)は上面側からみた裏面透視模式図である。
図示されているスロットアンテナでは、誘電体基板101の上面に給電線路261があり、裏面側にある有限の接地導体12の縁部12aから内側方向(inward)に延びる切り欠き14が形成され、一端13が開放されたスロット(slot)14として機能する。スロット14は、接地導体12の一部の領域において、導体を厚さ方向に完全に除去して得られる回路要素である。スロット14は、スロット長Lsが4分の1実効波長に相当する周波数付近で共振する。
給電線路261は、スロット14と一部で対向し、スロット14を励振する。給電線路261は、入力端子201を介して外部回路に接続される。なお、給電線路261の先端開放終端点20からスロット14の中心までの距離t3は、入力整合を図るために、周波数f0における4分の1実効波長程度に設定されることが一般的である。
特許文献1は、4分の1波長スロットアンテナを複数の共振周波数で動作させるための構造を開示している。図24(a)に、その構造模式図を示す。図24では、図23のアンテナにおける各部と対応する要素に同一の参照符号を付している。
図24(a)のスロットアンテナでは、4分の1波長スロット14が給電点15において励振され、通常のアンテナ動作が実行される。通常、スロットアンテナの共振周波数はスロット14のループ長で規定される。図示されているアンテナでは、点16aと点16bとの間に設定された容量素子16が、スロット14の本来の共振周波数よりも高い周波数の信号を通過させるよう設定されている。このため、スロット14の共振器長を周波数に応じて変化させることが可能となる。すなわち、低い周波数では、図24(b)に示すようにスロット14の共振器長は、通常と変わらずに、切り欠き構造の物理的な長さで決定される。これに対して、高い周波数では、図24(c)に示すように、スロット14の共振器長が、現実の物理的な共振器長よりも短くなった状態と同様の状態で動作する。特許文献1には、上記の構成により一つのスロット構造で複共振動作を実現できると記載されている。
特許文献2は、2分の1波長スロットアンテナを複数の周披数で共振させるための構造を開示している。図25は、裏面接地導体側からの透視図である。この図に示すように、特許文献2においては、複数の所望の周波数に対してそれぞれ共振条件を満足するサイズの複数のスロット14a、14b、14cを接地導体12の構造内に配置している。そして、給電線路261の開放終端箇所20から各周波数においてそれぞれ4分の1実効波長となる地点51a、51b、51cで各スロット14a、14b、14cを励振し、複共振を生じさせる。なお、図中実線で示したパターンは、基板裏面の導体パターンを示しており、点線で示したパターンは、基板表面の導体パターンを示している。
非特許文献1は、2分の1波長スロットアンテナを広帯域に動作させる別の方法を開示している。上述したように、従来のスロットアンテナの入力整合方法としては、給電線路261の先端開放終端点20から周波数f0における4分の1実効波長となる地点でスロット共振器14を励振する方法が採用されてきた。しかし、非特許文献1においては、図26に上面透視模式図を示すように、給電線路261の先端開放終端点20から周波数f0における4分の1実効波長の距離に相当する領域の線路幅を狭め、高インピーダンス領域263を形成している。この高インピーダンス領域263の伝送線路は、通常の伝送線路が有している特性インピーダンス(50Ω)よりも高い特性インピーダンスを有しており、そのほぼ中央でスロット14と結合している。
新たに導入された高インピーダンス領域263は、回路的には、スロット共振器とは別の共振器として機能する。非特許文献1によると、このような構成を採用すると、共振器数が二つに増えるため、互いの共振器を結合することにより、複共振動作が得られる。非特許文献1のFig.2(b)は、以下表1に示す条件の下で得られた反射強度特性の周波数依存性を示している。
Figure 2007055113
非特許文献1によると、上記のオフセット距離の範囲では、比帯域32%(4.1GHz付近から5.7GHz付近)でマイナス10dB以下の良好な反射強度特性が得られている。この帯域特性は、非特許文献1のFig.4に示される実測特性と比較されているように、同一基板条件で作製した通常のスロットアンテナの比帯域9%よりもはるかに優れている。
特開2004−336328号公報 特開2004−23507号公報 "A Novel Broadband Microstrip−Fed Wide Slot Antenna With Double Rejection Zeros"IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters,vol.2,2003年,194〜196ページ
上述した従来のスロットアンテナには、広帯域性の確保という点において課題がある。
第一に、構造内に単一の共振器構造しか有さない通常のスロットアンテナの場合、共振現象の帯域によって動作帯域が制限される。その結果、良好な反射強度特性が得られる周波数帯域は、10%弱程度の比帯域に限られている。
特許文献1のアンテナにおいては、スロットへの容量性リアクタンス素子の導入により広帯域動作を実現しているものの、具体的に容量性リアクタンス素子としてはチップコンデンサなどの追加部品が必要になるという問題がある。また、新たに導入された追加部品の特性ばらつきにより、アンテナの特性がばらつくという問題もある。更に、特許文献1に開示されている例によれば、帯域特性にも課題がある。例えば、1.18GHzと2.05GHzにおいて複共振動作が得られたことを示す実施例が特許文献1の図14に示されているが、それぞれ、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)が2を下回る帯域はわずか数十MHz程度でしかない。また、特許文献1の図18では、1.7GHzから3.45GHzという比帯域換算66%にあたる帯域でVSWRが3を下回った実施例が示されているが、帯域はまだ十分でない上、VSWRは3程度であり反射強度特性も良好とは言い難い。
このように、特許文献1の開示内容によれば、現在望まれている超広帯域な周波数帯域で低反射な入力整合特性を伴ったアンテナを提供することが困難である。
特許文献2の方法は、実現に著しい困難が予想される。すなわち、給電線路261は入力端子から先端開放終端点までの間に複数のスロットと交差することになるので、著しいインピーダンス不整合が発生することが予想される。各スロットが有する共振帯域が重なる周波数帯域では、隣接するスロット間の結合で良好なアンテナ動作が行えない可能性も考えられる。構造内に導入される複数のスロットが、それぞれの共振帯域に重なりを持たない場合は、分離した各周波数帯域でインピーダンス整合を実現することは不可能ではないが、現実には各スロットが10%の帯域を有する上に、2倍波、3倍波というスプリアス帯域においても異なるモードのアンテナ動作が起きてしまうため、所望の反射強度特性と放射特性を両立できる周波数帯域は著しく限定されてしまう。いずれにせよ、数十%以上の比帯域を得るには困難な構造である。
また、非特許文献1の例に示されるように、構造内への複数共振器導入により、共振器間の結合により帯域特性を改善しても、比帯域特性は35%程度に限られており、更なる改善が必要である。また、非特許文献1を模した図26の上面透視模式図は、非特許文献内のfig.1と同様にスロット幅Wsを狭く描いているが、上記広帯域特性が得られた条件では、4分の1波長領域9.8mmの内半分以上の長さに相当する5mmという値にWsが設定されている。小型化を目的とし、限られた占有面積内にスロットを配置する必要が出てくれば、直線形状のスロットを折り曲げる等の対策が必要なだけに、Wsが大きくなければ広帯域特性を得られない構造は小型化が困難となる。
本発明は、上記従来の課題を解決し、スロットアンテナにおいて、実施容易な条件において従来よりも広帯域な動作を可能とし、広帯域な通信システムの実現や、簡易端末における複数システムの共存を容易とする。
本発明のスロットアンテナは、誘電体基板と、前記誘電体基板の裏面側に設けられた有限の面積の接地導体と、前記接地導体の側縁を開放点として内側に切り欠いて形成されたスロットと、前記スロットに高周波信号を給電するための給電線路であって、前記スロットと少なくとも一部が交差する給電線路とを備え、前記スロット付近の第一の地点において、前記給電線路が少なくとも2本の分岐線路を含む分岐線路群に分岐され、前記分岐線路群の内の少なくとも2本の分岐線路は、前記第一の地点とは異なる前記スロット付近の第二の地点において相互に接続され、前記給電線路に少なくとも1つのループ配線を形成しており、各ループ配線のループ長の最大値が、それぞれ、動作帯域の上限周波数において1実効波長未満の長さに設定され、前記分岐線路群の内、前記ループ配線を形成せずに先端開放終端される全ての前記分岐線路群の分岐長が動作帯域の上限周波数において4分の1実効波長未満である。
好ましい実施形態において、各ループ配線は、前記スロットのエッジと交差し、前記開放点から異なる距離の二点以上の給電点において前記スロットが励振される。
好ましい実施形態において、前記給電線路のうち、先端開放終端点から、動作帯域の中心周波数において4分の1実効波長の長さの領域の領域が、50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路により構成され、前記先端開放終端点から動作帯域の中心周波数において4分の1実効波長未満の距離において、前記給電線路と前記スロットが少なくとも一部で交差する。
好ましい実施形態において、前記分岐線路群の配線幅の総和が、同一基板上での50Ωの特性インピーダンスの伝送線路の配線幅以下に設定されている。
好ましい実施形態において、前記分岐線路群の配線幅の総和が、前記50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路の配線幅以下に設定されている。
好ましい実施形態において、前記接地導体が有する最低次の共振周波数は、前記スロットアンテナの動作帯域よりも低く設定されている。
本発明のスロットアンテナでは、ループ配線の導入により、従来のスロットアンテナにおいては実現困難だった複共振特性を容易に得ることができ、広帯域動作が可能となる。また、既に複共振動作していた従来のスロットアンテナにおいても、本発明の構造を採用することにより、更に動作帯域を飛躍的に拡大することができる。
本発明のスロットアンテナの上面透視模式図 (a)は図1の本発明のスロットアンテナの断面模式図、(b)は本発明のスロットアンテナの別の実施形態の断面模式図、(c)は本発明のスロットアンテナの別の実施形態の断面模式図 本発明のスロットアンテナの上面透視模式図 無限の接地導体構造を裏面に有する一般的な高周波回路構造において、信号配線に分岐部を有する二回路の模式図であって、(a)はループ配線の場合の模式図、(b)は先端開放スタブ配線の場合の模式図、(c)はループ配線の場合で、特に第二の経路が極端に短く設定された場合の模式図 本発明のスロットアンテナの一形態における接地導体での高周波電流の経路を説明する上面透視模式図 伝送線路の接地導体での高周波電流の集中箇所を説明するための断面構造図であって、(a)は一般的な伝送線路の場合の断面構造図、(b)は分岐された伝送線路の場合の断面構造図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 比較例1の上面透視模式図 実施例1aの上面透視模式図 比較例1と実施例1aの反射強度特性の周波数依存性を示す比較図 比較例2の上面透視模式図 実施例2aの上面透視模式図 比較例2と実施例2aの反射強度特性の周波数依存性の比較図 実施例2bの上面透視模式図 比較例2と実施例2bの反射強度特性の周波数依存性の比較図 実施例3の反射強度特性図 実施例3のスロットアンテナの放射強度の角度依存特性図であって、(a)は2.6GHzの場合の角度依存特性図、(b)は4GHzの場合の角度依存特性図、(c)は6GHzの場合の角度依存特性図(d)9GHzの場合の角度依存特性図 一般的な4分の1波長スロットアンテナを示し、(a)は上面透視模式図、(b)は断面側面模式図、(c)は上面から透視した裏面模式図 (a)は、特許文献1の4分の1波長スロットアンテナの構造模式図、(b)は低周波帯で動作時のスロットアンテナの構造模式図、(c)は高周波帯で動作時のスロットアンテナの構造模式図 特許文献2のスロットアンテナ構造の裏面からの透視模式図 非特許文献1に記載のスロットアンテナ構造の上面透視模式図
符号の説明
101 誘電体基板
107 内側方向(スロットの奥行き方向)
12 接地導体
12a 有限の面積を持つ接地導体の外縁部
14、14a、14b、14c、231 スロット
13 スロット開放端
15 給電部
16 容量性リアクタンス素子
16a、16b 容量性リアクタンス素子により高周波的に接続される接地導体上の点
Ls スロット長
Ls2 容量性リアクタンス素子接続点からスロット開放端までの距離
261 給電線路
20 開放終端点
51a、51b、51c スロットと給電線路261の結合点
263 給電線路261の高インピーダンス領域
d スロット中心から給電線路261との結合点までのオフセット長
Ld2 スロット終端点から給電線路261までのオフセット長
t1、t2 高インピーダンス領域を構成する各部位の線路長
t3 スロットのギャップ部分中心から給電先端開放終端点までの距離
W2 高インピーダンス領域の給電線路261幅
Ws スロット幅
201、203 入出力端子
205、207 第一、第二の経路
Lp1、Lp2 第一、第二の経路長
Lp ループ長
209、209a、209b、209c、209d、209e、209f ループ配線
221、223 第一、第二の分岐点
Lp3 開放スタブ長
211 伝送線路
213 開放スタブ
213b 開放スタブの先端開放終端点
213c ループ配線の任意の一点
233、235 接地導体に生じる高周波電流の流れ
237 スロットの入力端子側エッジ
239 スロットの先端開放終端点側エッジ
241、243 第一、第二の経路に伴い接地導体に生じる高周波電流の流れ方向
a、b 有限の接地導体領域の横の長さと縦の長さ
271 スロットのギャップ部分の中央面
h1 ループ配線の三角形状の二等辺三角形の高さ
401 信号導体
403、405 信号導体の端縁部
407 信号導体の中央部に対向する接地導体上の領域
409、411 分岐された信号導体
413、415 信号導体分岐に基づき接地導体に高周波電流が誘起される領域
f0 動作帯域の中心周波数
fH 動作帯域の上限周波数
251、253、255 ループ配線を構成する経路
以下、図面を参照しながら、本発明によるスロットアンテナの実施形態を説明する。
(実施形態)
まず、図1を参照する。図1は、本実施形態のスロットアンテナの構造を示す上面透視模式図である。
本実施形態のスロットアンテナは、誘電体基板101と、誘電体基板101の裏面に設けられた有限の面積の接地導体12とを備えている。この接地導体12には、接地導体12の側縁12aから内側方向107に切り欠いて形成されたスロット14が形成されている。スロット14の一端は、接地導体12の側縁12aにおいて開放されており、この部分が「開放点」として機能する。スロット14のスロット幅Wsがスロット長Lsに比べて無視できるものと仮定した場合、スロット長Lsは、動作帯域の中心周波数f0付近における4分の1実効波長に設定される。上記仮定が成立しない場合は、スロット幅を考慮したスロット長(Ls×2+Ws)を中心周波数f0における2分の1実効波長に設定すればよい。
誘電体基板101の表面には、スロット14と交差する給電線路261が形成されている。この給電線路261は、スロット14に高周波信号を給電するための給電線路である。
次に、図2(a)を参照する。図2(a)は、図1の直線ABで切断した断面図である。本実施形態では、誘電体基板101の最表面に給電線路261が配置され、誘電体基板101の最裏面に接地導体12が配置されているが、本発明のスロットアンテナは、このような構成を有するものに限定されない。例えば、図2(b)に示すように、多層基板の採用などにより、給電線路261および接地導体12の少なくとも一方が誘電体基板101の内部に配置されていても構わない。
また、図2(c)に示すように、給電線路261に対して接地導体12として機能する導体配線面は構造内に一つに限定されず、給電線路261が形成された層を挟んで対向する接地導体12が配置されていてもよい。すなわち、本発明のスロットアンテナは、マイクロストリップ線路構造だけでなく、ストリップ線路構造の回路構成であっても同様の効果を得ることができる。
なお、本明細書では、接地導体12を構成している導体層が厚さ方向に完全に除去された開口部を「スロット」と定義している。すなわち、本明細書における「スロット」は、接地導体12の表面が一部の領域で削られ、その厚さを減じただけの構造(非開口部)を含むものではない。
給電線路261は、スロット14との対向箇所付近の第一の分岐地点223で2以上の本数の分岐配線205、207、213・・・に分岐される。そして第二の分岐地点221において、一対の分岐配線205、207は再度接続され、ループ配線209が形成される。
分岐配線205、207、213・・・のうち、ループ配線を形成せず短い開放スタブとなるものがあってもよい。本実施形態では、分岐配線213がループ配線を構成しておらず、開放スタブとして機能する。
ループ配線209のループ長は、動作帯域の上限周波数fHにおける実効波長の1倍未満に設定される。また、構造内に含まれる開放スタブ213のスタブ長も、上限周波数fHにおける実効波長の4分の1倍未満に設定される。
図1において、給電線路261の先端開放終端点20からスロット14の中心線までの距離t3は、中心周波数f0における4分の1実効波長に設定され、中心周波数f0を含む動作帯域で入力整合が得られる。給電線路261の特性インピーダンスは50Ωに設定されることが好ましい。ここで、スロット14の「中心線」とは、内側方向107に沿って延びるスロット14の2つのエッジのうち、給電線路261の入力端子201に近い側のエッジ237と、給電線路261の先端開放終端点20に近い側のエッジ239とに対して最短距離が等しい点の集合によって形成される線である。
本発明のスロットアンテナは、図3の上面透視模式図に示すような給電線路構造もとり得る。図3の例では、給電線路261の一部が50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路により構成され、高インピーダンス領域263を形成している。この高インピーダンス領域263は、給電線路261のうち、先端開放終端点20から入力端子201の側へ向かって(t1+Ws+t2)の距離の領域である。
入力端子201に接続される一般的な外部回路のインピーダンスZoと給電線路261の特性インピーダンスZ261とは一致させることが好ましい。この値が50Ωでない場合、高インピーダンス領域263の特性インピーダンスは更に高い値に設定される。
図3に示す形態では、高インピーダンス領域263の長さは中心周波数f0における4分の1実効波長程度に設定される。スロット幅Wsは、t1とt2の和と同程度に設定されることが好ましい。
図1に示す構造は、スロット幅Wsを狭く設定せざるをえない条件下で広帯域特性を得る場合に有効であり、図3に示す構造は、スロット幅Wsの設定に制限がない条件で超広帯域特性を得たい場合に有効である。
本実施形態のスロットアンテナにおけるループ配線209は、スロット共振器の励振箇所の複数個への増大と、入力整合回路の電気長調整の、二つの機能を同時に果たし、アンテナ動作の超広帯域化を実現している。以下、ループ配線が果たしている機能について詳しく説明する。
まず、誘電体基板の裏面に無限の面積の接地導体を有すると仮定した一般的な高周波回路において、ループ配線構造が設けられた場合の高周波特性を説明する。
図4(a)には、第一の経路205及び第二の経路207からなるループ配線209が入力端子201と出力端子203との間に接続された回路の模式図が示されている。第一の経路205の経路長Lp1と第二の経路207の経路長Lp2との和が伝送信号にとって実効波長の1倍に相当する条件でループ配線は共振条件となる。このようなループ配線は、リング共振器として用いられることがある。しかし、経路長Lp1、Lp2が伝送信号の実効波長より短い場合、ループ配線209は急峻な周波数応答を示さないため、通常の高周波回路に積極的に使用される理由はなかった。
均一な接地導体を有する一般的な高周波回路では、ループ配線の導入に伴って局所的な高周波電流の分布に変動が生じても、二端子201、203間のマクロな高周波特性の変動は平均化されてしまう。すなわち、非共振状態でのループ配線の高周波特性は、2本の経路の特性を平均化して一本の経路へ置換した場合の伝送線路の高周波特性と大した差異がない。
一方、本発明のスロットアンテナでのループ配線209の導入は、上述した一般的な高周波回路では得られなかった特有の効果を提供する。図5の上面透視模式図を参照してこの点を説明する。接地導体12にスロット14が存在する箇所近傍で、直線的な給電線路261をループ配線209に置換すれば、スロット14周辺での局所的な高周波電流分布を変動させ、スロットアンテナの共振特性を変化させることが可能となる。接地導体12での高周波電流は、第一の分岐点221により分岐した第一の経路205に沿って矢印233の方向へと導かれる一方で、第二の経路207に沿って矢印235の方向にも導かれる。結果として、接地導体21での高周波電流の流れに矢印233、235の方向に沿った異なる経路を生じさせることができ、スロットアンテナを複数箇所で励振することができる。
このような接地導体12における高周波電流分布をスロット近傍で局所的に変化させることが、スロットアンテナの動作帯域を劇的に拡大することになる。
一般に、信号伝送時の高周波電流分布は、伝送線路の信号導体側と接地導体側とで異なっている。図6を参照して、信号導体側及び接地導体側における高周波電流の強度分布が信号導体の分岐によって如何に変動するかを説明する。
図6は、伝送線路断面構造の模式図を示している。図6(a)の伝送線路では、信号導体は分岐されていない。このため、信号導体401で高周波電流の集中が生じるのは信号導体401の端縁部403、405であり、接地導体12で高周波電流の集中が起こるのは信号導体401の中央部に対向する領域407である。よって、例えば、従来のスロットアンテナにおいて給電線路261の幅を大きくしても、接地導体12における高周波電流の分布に大きな変化を起こすことはできず、本発明のスロットアンテナと同様の広帯域化を実現することは困難である。
しかし、図6(b)の例のように、信号導体401が2本の信号導体409、411に分岐されている例では、各分岐配線409、411のそれぞれに対向する接地導体領域413、415に高周波電流の分布が生じる。このことが広帯域化の実現に寄与する。
本発明のスロットアンテナが有するループ配線は、スロットアンテナの励振箇所を複数個にする機能を果たすだけでなく、給電線路261の電気長を調整する機能をも有している。ループ配線導入による給電線路261の電気長の変動は、給電線路261の共振条件を複共振条件に転じさせ、すなわち、共振条件が複数の周波数帯域で成立しているため、本発明の動作帯域の拡大効果を更に高めている。
より詳しく説明すると、図23や図26を参照して説明した従来技術においては、給電線路の先端開放終端点からスロットと交差する箇所までの距離t3、または(t2+Ws÷2)は、中心周波数f0における実効波長と密接な関係があった。図1または図3に示すスロットアンテナの給電構造は、従来のスロットアンテナ(図23、図26)における給電線路の設計原理を、継承するだけでなく、その動作帯域を拡大する。
図23に示す一般的なスロットアンテナでは、スロットの共振周波数において入力整合条件を成立させるため、スロット長を動作の中心周波数f0に合わせて設計し、長さt3を中心周波数f0における4分の1実効波長に設定する。このような給電線路26のスロット付近に本発明のループ構造を導入すれば、ループ配線を構成する2本の経路のうち電気長が短い経路を介した場合と電気長が長い経路を介した場合の給電線路261の共振周波数が分離し、複共振動作が導かれることになる。
また、図26に示すスロットアンテナでは、スロット幅Wsを大きく設定するとともに、t1+t2+Wsを中心周波数f0における4分の1実効波長に設定している。また、4分の1実効波長の領域の伝送線路のインピーダンスを高い値に設定し、t1≒t2の条件で動作させる。このアンテナでは、スロット共振器に結合する共振器構造を等価回路内に新たに導入することにより、2つの共振周波数で入力整合が成立し、スロットアンテナの広帯域動作を実現できる。このような給電線路261のスロット付近に本発明のループ配線を導入すれば、ループ配線を構成する2本の経路のうち、電気長が短い経路を介した場合と電気長が長い経路を介した場合の電気長の違いにより、スロット共振器と結合する共振現象が2以上の数の複数の周波数で生じ、既に得られていた広帯域な整合条件を更に広帯域化することになる。
このように本発明では、スロット自体が有する共振現象を複共振化する第一の機能と、スロットに結合する給電線路の共振現象を複共振化する第二の機能の組み合わせにより、従来のスロットアンテナよりも広い帯域で動作することが可能となる。
ただし、本発明のスロットアンテナは、広帯域での整合特性を維持するため、ループ配線が共振しない条件で用いられなければならない。図4(a)に示すループ配線209を例にとると、経路長Lp1と経路長Lp2の和であるループ長Lpが、動作帯域の如何なる周波数においても実効波長の1倍に相当してはならない。この条件は、本発明のスロットアンテナ内に複数のループ配線が存在する場合、全てのループ配線について成立しなければならない。したがって、アンテナに含まれる最も大きなループ配線のループ長も、動作帯域の上限周波数の実効波長よりも短く設定されなければならない。
一般の高周波回路に用いられる構造には、図4(b)に示す開放スタブがある。伝送線路211に、長さLp3の開放スタブ213が分岐して接続されれば、長さLp3が4分の1実効波長となる周波数で共振条件が成立する。その場合、入力端子201と出力端子203との間の信号伝送に対して、開放スタブ213が帯域阻止フィルタとして機能してしまう。
本発明のスロットアンテナの給電線路から分岐される配線のうち、ループ配線を構成しないものは、スタブであってもよい。しかし、そのスタブ長は、最大の場合でも、動作帯域の上限周波数で4分の1実効波長未満に設定されなければならない。給電線路において、開放スタブが共振し、帯域阻止フィルタとして動作することは、スロットアンテナの動作帯域を狭く限定するからである。
図4(c)に、ループ配線の極端な例を示し、開放スタブと比較したループ配線の優位点を説明する。図4(c)のループ配線209において、長さLp2を極端に小さくすると、ループ配線は見かけ上開放スタブ構造に限りなく近づく。しかし、長さLp2が0に近づいた場合のループ配線の共振周波数は、長さLp1が実効波長に相当する周波数であり、開放スタブの共振周波数は長さLp3が4分の1実効波長に相当する周波数である。仮に、長さLp1の半分が長さLp3と等しい条件で二つの構造を比較すると、ループ配線の共振周波数はスタブ配線の共振周波数の2倍ということになる。
以上の説明からわかるように、広い動作帯域内で余計な共振現象を回避する給電線路の構造としては、ループ配線が開放スタブよりも、周波数帯域に換算して2倍有効である。
また、図4(b)の開放スタブ213の開放終端点213bは回路的に開放されているため、高周波電流が流れない。その結果、仮にスロット付近に開放終端点213bが配置されても、スロットとの電磁的結合が得にくい。一方、図4(c)のループ配線209の一点213cは、回路的には決して開放されていないため、高周波電流が必ず流れる。その結果、スロット付近に配置されれば、スロットとの電磁的結合が得やすくなる。この点からも、本発明の効果を得るためには、ループ配線の採用が開放スタブの採用よりも有利である。
このように、本発明のスロットアンテナでは、線路幅が太い線路または開放スタブではなく、「ループ配線」を給電線路261に導入することにより、動作帯域の制限をうまく回避し、広帯域化を効果的に実現することができる。
図7は、給電線路261の分岐線路部の分岐本数が3の場合の実施形態の上面透視模式図である。給電線路261を分岐する分岐線路の本数は、3本以上の値に設定しても構わないが、2本に分岐した場合の特性と比べて動作帯域の飛躍的な拡大は望めない。複数に分岐された分岐線路群の中で高周波電流の分布強度が高いのは、スロットの開放端側に最も近い箇所を通る経路251と、逆にスロットの開放端側に最も遠い箇所を通る経路253のみであり、両者の間に配線される経路255に流れる高周波電流の強度が強くないからである。しかし、分岐本数が2の場合、経路251と経路253が形成するループ配線のループ長は意図せず長くなってしまうのでループ配線の共振周波数の低下をまねき、本発明のスロットアンテナの動作帯域の上限周波数fHの向上に制限が生じる。しかし、経路255を追加すれば、ループ配線が分割されることになり、上記制限の緩和に有効である。
ループ配線とスロットの配置関係としては、図5に示すように、ループ配線209を構成する第一の経路205と第二の経路207とが、共にスロット14と接地導体12との境界線、言い換えるとスロットのエッジ237、239の少なくともいずれかと交差することが好ましい。
ただし、図8に示すように、上面から見たとき、ループ配線209の全体がスロット14に含まれてしまい、ループ配線209がスロットのエッジ237、239のいずれとも交差しない構成でも、本発明の効果を得ることができる。図8の構成では、第一の経路205と第二の経路207の経路差だけ、第一の経路205に沿って信号導体を流れる高周波電流に対応する接地導体側の電流241と、第二の経路207に沿って信号導体を流れる高周波電流に対応する接地導体側の電流243には位相差が生じ、入力整合条件をより広帯域に転じせしめる効果が発生するからである。
なお、逆に図9に示す別の形態のように、ループ配線209がスロット14と全く交差していない場合でも、ループ配線209がスロット付近にある条件ならば、本発明の効果を得ることが可能である。ここで、「スロット付近」にループ配線209が配置されているという条件は、厳密には、ループ配線209の最も外側の点から、スロット14と接地導体12との間の境界線(スロット14のエッジ237またはエッジ239)までの距離Ld1が給電線路261の配線幅の一倍未満であることを意味する。距離Ld1が給電線路261の配線幅よりも長くなった場合、信号導体の両端に流れる高周波電流の位相差にそれぞれ対応して接地導体側を流れる局所的な高周波電流241と、高周波電流243との間に生じていた位相差が解消されてしまう。その結果、ループ配線209とスロットアンテナの組み合わせによって得られる本発明特有の複合効果が得られなくなるからである。
ループ配線209は、図10に示すように、スロット14のエッジ237、239の両者とそれぞれ交差するよう設計されてよい。図10のループ配線209は台形状に形成されている。このように、ループ配線209の形状について、特に制限はない。ループ配線209は複数形成されてよい。複数のループ配線209が設けられる場合、ループ配線209同士は直列に接続されてもよいし、図7に既に示すように、並列に接続されてもよい。また、二つのループ配線209は直接に相互接続されてもよいし、任意の形状の伝送線路を介して間接的に接続されてもよい。
図11に示すように、スロット14のエッジ237、239とそれぞれ個別に交差する二つのループ配線209a、209bが直列に配置されてもよい。更に、図12に示すように、スロット14のエッジ237とそれぞれ個別に交差する並列のループ配線209c、209dとスロット14のエッジ239とそれぞれ交差する並列のループ配線209e、209fが直列に配置される構成でも構わない。
スロットアンテナを構成する有限の面積の接地導体が共振する周波数を、スロットアンテナの動作帯域と近接させ、更なる広帯域性を得ることも可能である。すなわち、接地導体自体がパッチアンテナのように共振し放射特性を得ることができる周波数を、本発明のスロットアンテナの共振帯域よりやや低い周波数に設定すれば、更なる入力整合帯域の拡大が実現できる。
ループ配線209の線路幅は、入力側または先端開放終端側に接続される給電線路261の特性インピーダンスと同一の条件、またはインピーダンスが高くなる条件が等価的に成立するように選択されることが好ましい。すなわち、給電線路261が二分岐される場合は、元の給電線路261の線路幅の半分以下の分岐配線でループ配線209が構成されることが好ましい。非特許文献1からも明らかなように、スロットアンテナ自体が高インピーダンス線路との結合により、入力端子の抵抗値50Ωへの整合が取りやすくなる傾向があるため、ループ配線209の導入によりスロット14付近での給電線路261の特性インピーダンスを等価的に高くすることが、更なる低反射特性の実現に効果的だからである。
本発明のスロットアンテナにおいて、スロットの形状は矩形である必要はなく、任意の曲線形状に置換可能である。特に、主スロットに多数の細かく短いスロットを並列接続することにより、回路的には主スロットに直列のインダクダンスを付加することができ、主スロットのスロット長が短縮でき実用上好ましい。また、主スロットのスロット幅を狭くして、ミアンダ形状などに折り曲げ小型化を図った条件でも、本発明のスロットアンテナの広帯域化の効果を変わりなく得ることができる。
(実施例)
図13の上面透視模式図に示すようなスロットアンテナ(比較例1)と、図14の上面透視模式図に示すようなスロットアンテナ(実施例1)を作製した。誘電体基板101として、総厚500ミクロン、60mm角(a=b=60mm)のFR4基板を用いた。基板表面と裏面には、銅配線により厚さ20ミクロンの信号導体パターンと接地導体パターンをそれぞれ形成した。各配線パターンはウェットエッチングにより一部領域の金属層を除去することによって形成し、表面は厚さ5ミクロンの金メッキを施した。導体接地導体12の外縁部12aは、誘電体基板101の端面に最も近接した場合でも、100ミクロン内側となるように設定した。図中、接地導体パターンは点線で示している。
入力端子部201にはSMAコネクタを接続し、50Ωの特性インピーダンスの給電線路261を介して、作製したアンテナと測定系を接続可能な状態にした。なお、実用上有用な反射強度の目安をマイナス10dB以下とし、上記特性が満足できた周波数帯域を動作帯域と呼ぶこととした。給電線路261の線路幅W1は920ミクロンとした。比較例1では信号導体にはループ配線は使わず、スロット付近でも給電線路261の線路幅は920ミクロンとした。スロット幅Wsは0.5mm、オフセット長Ld2を2.5mm、スロット長Ls=12mm、先端開放終端点20からスロット中心の給電点までの距離t3を10mmに固定した。比較例1の動作帯域は4.63GHzから6.53GHzであり、比帯域は34.1%であった。反射強度特性の周波数依存性より、共振現象は単一周波数5.87GHzでしか起こっていないことが確認された。
一方、図14に示すように、実施例1aでは、比較例1において直線形状であったスロット14付近の信号導体を、凸部がスロットの開放端13側に突き出た二等辺三角形状のループ配線209へと置換した。上記変更以外は、実施例1aの構造パラメータは比較例1と同様の条件に固定した。ループ配線209の二等辺三角形の底辺の長さは1.5mmとし、高さh1は2.5mmとした。ループ配線の配線幅は50オーム線路の配線幅W1の半分の460ミクロンとした。実施例1aの動作帯域は4.09GHzから7.01GHzで、52.6%の比帯域を得た。
また、実施例1aは、4.75GHzと6.38GHzの二周波数で反射強度の極小値を示し、複共振動作を確認できた。
図15に実施例1と比較例1の反射強度特性の周波数依存性を示している。図15において、実線は実施例1aの特性を示し、点線は比較例1の特性を示している。図15から明らかなように、単共振特性の複共振特性への変化、動作帯域の拡大から、本発明の効果が証明された。
次に、実施例1aのループ配線構造を変化させた実施例1bを作製した。実施例1aでは、ループ配線の二等辺三角形の凸部分はスロット開放端13側へ突き出ていたが、実施例1bではループ配線の配置方向を逆向きにし、二等辺三角形が突き出る方向をスロットの奥行き方向へ設定した。その他の構造パラメータは、実施例1aと同様であった。
実施例1bの動作帯域は、4.45GHzから6.82GHzであり、42.1%の比帯域を得た。実施例1bも、比較例1よりも広帯域動作を実現した。同様に、実施例1aにおいて、スロットのギャップの中央部分に一致させていたループ配線の二等辺三角形の重心を、入力端子側へ0.25mm移動させた実施例1c、先端開放点20側へ0.25mm移動させた実施例1dを作製した。
実施例1c、1dにおいて、二等辺三角形の重心の位置は、スロット14と接地導体12のエッジ237、239とそれぞれ対向する地点に設定した。実施例1cの動作帯域は4.72GHzから7.05GHzで、39.6%の比帯域を得た。実施例1dの動作帯域は4.04GHzから6.28GHzで、43.4%の比帯域を得た。実施例1c、1dの特性より、入力端子側給電線路へのループ配線導入は帯域の高周波数側の広帯域化、先端開放点側給電線路へのループ配線導入は帯域の低域側の広帯域化に寄与することが分かった。そして実施例1aから1dのいずれにおいても比較例1より広い比帯域で低反射動作が実現でき、本発明の有利な効果が証明された。実施例1aから1dと比較例の特性比較を表2に示す。
Figure 2007055113
次に、非特許文献1において開示された複共振特性の2分の1波長スロットアンテナを4分の1波長スロットアンテナとして模した構造の比較例2を作製した。図16に比較例2の上面透視模式図を示す。
比較例1の給電線路261では、入力端子201から先端開放終端点20まで、50オームにインピーダンスが統一されていたが、比較例2では、給電線路261の先端開放終端点20から(t1+t2+Ws)の距離だけ、高インピーダンス線路263によって置換した。具体的には、W2=250ミクロン、Wsを4mm、t1=3.5mm、t2=4mmとした。
比較例2の動作帯域は、3.46GHzから5.67GHzであり、比帯域は48.4%であった。また、3.77GHzと5.27GHzの2周波数において反射損失が極小値を示し、非特許文献1で開示された複共振動作の実現効果が得られた。
一方、比較例2の直線形状を有する高インピーダンス領域263に対して、ループ配線構造を導入した構成を有する実施例2aを作製した。図17は、実施例2aの上面透視模式図を示している。実施例2aでは、三角形状のループ配線209a、209bを直列にスロット14付近に配置した。具体的には、スロットのエッジ237と対向する箇所にはループ配線209aを、エッジ239と対向する箇所にはループ配線209bを配置した。ループ配線209aと209bは、スロット14のギャップ部分の中央の鏡面対称線271を通って基板に垂直となる平面を対称面として鏡面対称の関係を有している。ループ配線209a、209bは、それぞれ、二等辺三角形の形状を有し、その底辺が4mm、高さh1は2.5mm、配線幅は125ミクロンに設定した。
実施例2aの動作帯域は、3.13GHzから8.48GHzであり、比帯域は92.2%に達した。比較例2に比べ、実施例2aでの比帯域拡大効果は1.9倍であった。
図18に、比較例2と実施例2aの反射強度特性の周波数依存性を示す。比較例2の特性を点線で示し、実施例2aの特性を実線で示している。図18より、複共振特性が既に実現されていた比較例2の広帯域特性を更に上回る超広帯域特性が、本実施例2aにより、実現できることが証明された。
次に、図19に上面透視模式図を示す実施例2bを作製した。実施例2aにおいては2つのループ配線209a、209bの三角形状の凸部分がスロットの開放端側へ向いていたが、実施例2bではループ配線の向きを三角形状の凸部分がスロットの奥行き方向へ配向するよう逆向きに入れ替えた。ループ配線209a、209bの向き以外は、実施例2aと実施例2bの構造パラメータは全て同一とした。
実施例2bの動作帯域は、3.34GHzから6.29GHzで、61.3%の比帯域を得た。比較例2と比較すると、実施例2bでの比帯域拡大効果は1.27倍であった。
図20には、比較例2と実施例2bの反射強度特性の周波数依存性を示している。実施例2bでは、動作帯域が実施例2aほどは広くなかったが、7GHz〜9GHzの高周波帯域における反射特性を比較例2と比較すれば、4dB以上の改善が明らかに得られており、やはり本発明の構造採用により、従来構造のスロットアンテナの帯域特性を改善できることが証明された。
次に、実施例3を作製した。実施例2aにおいて60mmだった接地導体12の横幅aを35mmに減じ実施例3とした。また、その他の構造パラメータを実施例2aと同一としたが、反射特性に大きな影響を示さなかった接地導体12の縦側の長さbは25mmに減じた。横幅が減じられた接地導体12が2.7GHz付近で共振するアンテナとして機能し、実施例2aでも比帯域92.2%の動作帯域を得ていたスロットアンテナは更なる広帯域動作を示した。具体的には、図21に反射特性の周波数依存性を示すように、動作帯域は2.57GHzから9.29GHzで、比帯域は113.3%に達した。比帯域113.3%とは、近距離無線通信で使用される帯域である3.1GHzから10.6GHzの比帯域109.5%よりも広い値である。実施例2aと実施例2bと実施例3と比較例2の特性比較を表3に示す。
Figure 2007055113
図22には、(a)2.6GHz、(b)4GHz、(c)6GHz、(d)9GHzの各周波数における、実施例3のスロットアンテナの誘電体基板に平行な面内での放射指向性の角度依存性を示す。図中、角度270度に相当する方向がスロットの奥側から見たスロット開放端側の方向に相当している。マイナス10dB以下の低反射強度特性が得られた動作帯域の全ての周波数で、主ビームがこの方向を向き、利得は0dBから4dBとほぼ等しい値が得られた。
以上のように、本発明のスロットアンテナによれば、反射特性が超広帯域なだけでなく、超広帯域にわたり同様の傾向の放射指向性も得ることができた。
本発明のスロットアンテナは、回路占有面積および製造コストを増大させることなく、整合帯域を拡大させることが出来るので、従来複数のアンテナを搭載しなければ実現できなかった高機能端末を簡易な構成で実現することが可能となる。また、従来よりもはるかに広い周波数帯域を用いる近距離無線用の通信システムの実現にも貢献することが出来る。チップ部品を使用せず動作帯域が拡大できるため、製造時のばらつきに対する耐性の強いアンテナとしても有用である。同一スロット幅の条件で比較すると従来の広帯域スロットアンテナよりはるかに広帯域動作が可能となるため、広帯域スロットアンテナの小型化が実現できる。また、デジタル信号を無線で送受信するような、超広帯域な周波数特性を必要とするようなシステムにおいても小型アンテナとして使用され得る。
本発明は、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号、またはデジタル信号を送信・受信するアンテナに関する。
二つの理由から、従来よりもはるかに広い帯域での動作を可能にする無線デバイスが必要となっている。第一の理由は、広大な周波数帯域の使用が認可された近距離無線向け通信システムに対応するためである。第二の理由は、異なる周波数を用いて乱立する複数の通信システムを、一台の端末で共用するためである。
例えば、近距離向け高速通信システム用に認可された3.1GHz〜10.6GHzの周波数帯域は、帯域内の中心周波数f0で規格化した比帯域としては109.5%という広大な値に相当している。一方、基本的なアンテナとして知られるパッチアンテナの比帯域特性は5%未満、スロットアンテナの比帯域特性は10%未満である。このようなアンテナによっては、上記の広大な周波数帯域の全体をカバーすることは著しく困難である。
第一段階として策定されつつある上記通信システムの仕様では、認可された周波数帯域が複数に分割して使用されることになっている。その理由の1つは、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)の全体をカバーするアンテナを現在の技術で実現することが困難なことにある。
現在、世界で無線通信用に使用されている周波数帯域を例にとると、1.8GHz帯〜2.4GHz帯を同一アンテナでカバーするためには、30%程度の比帯域を実現する必要がある。また、上記帯域に加えて、800MHz帯、2GHz帯を同一アンテナでカバーする場合には、90%程度の比帯域を実現できなければならない。さらに、800MHz帯から2.4GHz帯までを同一アンテナでカバーするためには、100%以上の比帯域を実現することが要求されることになる。このように、同一端末で同時に扱うシステム数が増加し、カバーすべき周波数帯域が広がるほど、広帯域なアンテナの実現が簡易な端末構成の一つの解として望まれることになる。
図23に模式図を示す4分の1波長スロットアンテナは、最も基本的な平面アンテナの一つである。図23(a)は、上面側からの透視模式図、図23(b)は、直線ABで切断した断面模式図、図23(c)は上面側からみた裏面透視模式図である。
図示されているスロットアンテナでは、誘電体基板101の上面に給電線路261があり、裏面側にある有限の接地導体12の縁部12aから内側方向(inward)に延びる切り欠き14が形成され、一端13が開放されたスロット(slot)14として機能する。スロット14は、接地導体12の一部の領域において、導体を厚さ方向に完全に除去して得られる回路要素である。スロット14は、スロット長Lsが4分の1実効波長に相当する周波数付近で共振する。
給電線路261は、スロット14と一部で対向し、スロット14を励振する。給電線路261は、入力端子201を介して外部回路に接続される。なお、給電線路261の先端開放終端点20からスロット14の中心までの距離t3は、入力整合を図るために、周波数f0における4分の1実効波長程度に設定されることが一般的である。
特許文献1は、4分の1波長スロットアンテナを複数の共振周波数で動作させるための構造を開示している。図24(a)に、その構造模式図を示す。図24では、図23のアンテナにおける各部と対応する要素に同一の参照符号を付している。
図24(a)のスロットアンテナでは、4分の1波長スロット14が給電点15において励振され、通常のアンテナ動作が実行される。通常、スロットアンテナの共振周波数はスロット14のループ長で規定される。図示されているアンテナでは、点16aと点16bとの間に設定された容量素子16が、スロット14の本来の共振周波数よりも高い周波数の信号を通過させるよう設定されている。このため、スロット14の共振器長を周波数に応じて変化させることが可能となる。すなわち、低い周波数では、図24(b)に示すようにスロット14の共振器長は、通常と変わらずに、切り欠き構造の物理的な長さで決定される。これに対して、高い周波数では、図24(c)に示すように、スロット14の共振器長が、現実の物理的な共振器長よりも短くなった状態と同様の状態で動作する。特許文献1には、上記の構成により一つのスロット構造で複共振動作を実現できると記載されている。
特許文献2は、2分の1波長スロットアンテナを複数の周波数で共振させるための構造を開示している。図25は、裏面接地導体側からの透視図である。この図に示すように、特許文献2においては、複数の所望の周波数に対してそれぞれ共振条件を満足するサイズの複数のスロット14a、14b、14cを接地導体12の構造内に配置している。そして、給電線路261の開放終端箇所20から各周波数においてそれぞれ4分の1実効波長となる地点51a、51b、51cで各スロット14a、14b、14cを励振し、複共振を生じさせる。なお、図中実線で示したパターンは、基板裏面の導体パターンを示しており、点線で示したパターンは、基板表面の導体パターンを示している。
非特許文献1は、2分の1波長スロットアンテナを広帯域に動作させる別の方法を開示している。上述したように、従来のスロットアンテナの入力整合方法としては、給電線路261の先端開放終端点20から周波数f0における4分の1実効波長となる地点でスロット共振器14を励振する方法が採用されてきた。しかし、非特許文献1においては、図26に上面透視模式図を示すように、給電線路261の先端開放終端点20から周波数f0における4分の1実効波長の距離に相当する領域の線路幅を狭め、高インピーダンス領域263を形成している。この高インピーダンス領域263の伝送線路は、通常の伝送線路が有している特性インピーダンス(50Ω)よりも高い特性インピーダンスを有しており、そのほぼ中央でスロット14と結合している。
新たに導入された高インピーダンス領域263は、回路的には、スロット共振器とは別の共振器として機能する。非特許文献1によると、このような構成を採用すると、共振器数が二つに増えるため、互いの共振器を結合することにより、複共振動作が得られる。非特許文献1のFig.2(b)は、以下表1に示す条件の下で得られた反射強度特性の周波数依存性を示している。
Figure 2007055113
非特許文献1によると、上記のオフセット距離の範囲では、比帯域32%(4.1GHz付近から5.7GHz付近)でマイナス10dB以下の良好な反射強度特性が得られている。この帯域特性は、非特許文献1のFig.4に示される実測特性と比較されているように、同一基板条件で作製した通常のスロットアンテナの比帯域9%よりもはるかに優れている。
特開2004−336328号公報 特開2004−23507号公報 "A Novel Broadband Microstrip−Fed Wide Slot Antenna With Double Rejection Zeros" IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters, vol.2, 2003年, 194〜196ページ
上述した従来のスロットアンテナには、広帯域性の確保という点において課題がある。
第一に、構造内に単一の共振器構造しか有さない通常のスロットアンテナの場合、共振現象の帯域によって動作帯域が制限される。その結果、良好な反射強度特性が得られる周波数帯域は、10%弱程度の比帯域に限られている。
特許文献1のアンテナにおいては、スロットへの容量性リアクタンス素子の導入により広帯域動作を実現しているものの、具体的に容量性リアクタンス素子としてはチップコンデンサなどの追加部品が必要になるという問題がある。また、新たに導入された追加部品の特性ばらつきにより、アンテナの特性がばらつくという問題もある。更に、特許文献1に開示されている例によれば、帯域特性にも課題がある。例えば、1.18GHzと2.05GHzにおいて複共振動作が得られたことを示す実施例が特許文献1の図14に示されているが、それぞれ、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)が2を下回る帯域はわずか数十MHz程度でしかない。また、特許文献1の図18では、1.7GHzから3.45GHzという比帯域換算66%にあたる帯域でVSWRが3を下回った実施例が示されているが、帯域はまだ十分でない上、VSWRは3程度であり反射強度特性も良好とは言い難い。
このように、特許文献1の開示内容によれば、現在望まれている超広帯域な周波数帯域で低反射な入力整合特性を伴ったアンテナを提供することが困難である。
特許文献2の方法は、実現に著しい困難が予想される。すなわち、給電線路261は入力端子から先端開放終端点までの間に複数のスロットと交差することになるので、著しいインピーダンス不整合が発生することが予想される。各スロットが有する共振帯域が重なる周波数帯域では、隣接するスロット間の結合で良好なアンテナ動作が行えない可能性も考えられる。構造内に導入される複数のスロットが、それぞれの共振帯域に重なりを持たない場合は、分離した各周波数帯域でインピーダンス整合を実現することは不可能ではないが、現実には各スロットが10%の帯域を有する上に、2倍波、3倍波というスプリアス帯域においても異なるモードのアンテナ動作が起きてしまうため、所望の反射強度特性と放射特性を両立できる周波数帯域は著しく限定されてしまう。いずれにせよ、数十%以上の比帯域を得るには困難な構造である。
また、非特許文献1の例に示されるように、構造内への複数共振器導入により、共振器間の結合により帯域特性を改善しても、比帯域特性は35%程度に限られており、更なる改善が必要である。また、非特許文献1を模した図26の上面透視模式図は、非特許文献内のfig.1と同様にスロット幅Wsを狭く描いているが、上記広帯域特性が得られた条件では、4分の1波長領域9.8mmの内半分以上の長さに相当する5mmという値にWsが設定されている。小型化を目的とし、限られた占有面積内にスロットを配置する必要が出てくれば、直線形状のスロットを折り曲げる等の対策が必要なだけに、Wsが大きくなければ広帯域特性を得られない構造は小型化が困難となる。
本発明は、上記従来の課題を解決し、スロットアンテナにおいて、実施容易な条件において従来よりも広帯域な動作を可能とし、広帯域な通信システムの実現や、簡易端末における複数システムの共存を容易とする。
本発明のスロットアンテナは、誘電体基板と、前記誘電体基板の裏面側に設けられた有限の面積の接地導体と、前記接地導体の側縁を開放点として内側に切り欠いて形成されたスロットと、前記スロットに高周波信号を給電するための給電線路であって、前記スロットと少なくとも一部が交差する給電線路とを備え、前記スロット付近の第一の地点において、前記給電線路が少なくとも2本の分岐線路を含む分岐線路群に分岐され、前記分岐線路群の内の少なくとも2本の分岐線路は、前記第一の地点とは異なる前記スロット付近の第二の地点において相互に接続され、前記給電線路に少なくとも1つのループ配線を形成しており、各ループ配線のループ長の最大値が、それぞれ、動作帯域の上限周波数において1実効波長未満の長さに設定され、前記分岐線路群の内、前記ループ配線を形成せずに先端開放終端される全ての前記分岐線路群の分岐長が動作帯域の上限周波数において4分の1実効波長未満である。
好ましい実施形態において、各ループ配線は、前記スロットのエッジと交差し、前記開放点から異なる距離の二点以上の給電点において前記スロットが励振される。
好ましい実施形態において、前記給電線路のうち、先端開放終端点から、動作帯域の中心周波数において4分の1実効波長の長さの領域の領域が、50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路により構成され、前記先端開放終端点から動作帯域の中心周波数において4分の1実効波長未満の距離において、前記給電線路と前記スロットが少なくとも一部で交差する。
好ましい実施形態において、前記分岐線路群の配線幅の総和が、同一基板上での50Ωの特性インピーダンスの伝送線路の配線幅以下に設定されている。
好ましい実施形態において、前記分岐線路群の配線幅の総和が、前記50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路の配線幅以下に設定されている。
好ましい実施形態において、前記接地導体が有する最低次の共振周波数は、前記スロットアンテナの動作帯域よりも低く設定されている。
本発明のスロットアンテナでは、ループ配線の導入により、従来のスロットアンテナにおいては実現困難だった複共振特性を容易に得ることができ、広帯域動作が可能となる。また、既に複共振動作していた従来のスロットアンテナにおいても、本発明の構造を採用することにより、更に動作帯域を飛躍的に拡大することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明によるスロットアンテナの実施形態を説明する。
(実施形態)
まず、図1を参照する。図1は、本実施形態のスロットアンテナの構造を示す上面透視模式図である。
本実施形態のスロットアンテナは、誘電体基板101と、誘電体基板101の裏面に設けられた有限の面積の接地導体12とを備えている。この接地導体12には、接地導体12の側縁12aから内側方向107に切り欠いて形成されたスロット14が形成されている。スロット14の一端は、接地導体12の側縁12aにおいて開放されており、この部分が「開放点」として機能する。スロット14のスロット幅Wsがスロット長Lsに比べて無視できるものと仮定した場合、スロット長Lsは、動作帯域の中心周波数f0付近における4分の1実効波長に設定される。上記仮定が成立しない場合は、スロット幅を考慮したスロット長(Ls×2+Ws)を中心周波数f0における2分の1実効波長に設定すればよい。
誘電体基板101の表面には、スロット14と交差する給電線路261が形成されている。この給電線路261は、スロット14に高周波信号を給電するための給電線路である。
次に、図2(a)を参照する。図2(a)は、図1の直線ABで切断した断面図である。本実施形態では、誘電体基板101の最表面に給電線路261が配置され、誘電体基板101の最裏面に接地導体12が配置されているが、本発明のスロットアンテナは、このような構成を有するものに限定されない。例えば、図2(b)に示すように、多層基板の採用などにより、給電線路261および接地導体12の少なくとも一方が誘電体基板101の内部に配置されていても構わない。
また、図2(c)に示すように、給電線路261に対して接地導体12として機能する導体配線面は構造内に一つに限定されず、給電線路261が形成された層を挟んで対向する接地導体12が配置されていてもよい。すなわち、本発明のスロットアンテナは、マイクロストリップ線路構造だけでなく、ストリップ線路構造の回路構成であっても同様の効果を得ることができる。
なお、本明細書では、接地導体12を構成している導体層が厚さ方向に完全に除去された開口部を「スロット」と定義している。すなわち、本明細書における「スロット」は、接地導体12の表面が一部の領域で削られ、その厚さを減じただけの構造(非開口部)を含むものではない。
給電線路261は、スロット14との対向箇所付近の第一の分岐地点223で2以上の本数の分岐配線205、207、213・・・に分岐される。そして第二の分岐地点221において、一対の分岐配線205、207は再度接続され、ループ配線209が形成される。
分岐配線205、207、213・・・のうち、ループ配線を形成せず短い開放スタブとなるものがあってもよい。本実施形態では、分岐配線213がループ配線を構成しておらず、開放スタブとして機能する。
ループ配線209のループ長は、動作帯域の上限周波数fHにおける実効波長の1倍未満に設定される。また、構造内に含まれる開放スタブ213のスタブ長も、上限周波数fHにおける実効波長の4分の1倍未満に設定される。
図1において、給電線路261の先端開放終端点20からスロット14の中心線までの距離t3は、中心周波数f0における4分の1実効波長に設定され、中心周波数f0を含む動作帯域で入力整合が得られる。給電線路261の特性インピーダンスは50Ωに設定されることが好ましい。ここで、スロット14の「中心線」とは、内側方向107に沿って延びるスロット14の2つのエッジのうち、給電線路261の入力端子201に近い側のエッジ237と、給電線路261の先端開放終端点20に近い側のエッジ239とに対して最短距離が等しい点の集合によって形成される線である。
本発明のスロットアンテナは、図3の上面透視模式図に示すような給電線路構造もとり得る。図3の例では、給電線路261の一部が50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路により構成され、高インピーダンス領域263を形成している。この高インピーダンス領域263は、給電線路261のうち、先端開放終端点20から入力端子201の側へ向かって(t1+Ws+t2)の距離の領域である。
入力端子201に接続される一般的な外部回路のインピーダンスZoと給電線路261の特性インピーダンスZ261とは一致させることが好ましい。この値が50Ωでない場合、高インピーダンス領域263の特性インピーダンスは更に高い値に設定される。
図3に示す形態では、高インピーダンス領域263の長さは中心周波数f0における4分の1実効波長程度に設定される。スロット幅Wsは、t1とt2の和と同程度に設定されることが好ましい。
図1に示す構造は、スロット幅Wsを狭く設定せざるをえない条件下で広帯域特性を得る場合に有効であり、図3に示す構造は、スロット幅Wsの設定に制限がない条件で超広帯域特性を得たい場合に有効である。
本実施形態のスロットアンテナにおけるループ配線209は、スロット共振器の励振箇所の複数個への増大と、入力整合回路の電気長調整の、二つの機能を同時に果たし、アンテナ動作の超広帯域化を実現している。以下、ループ配線が果たしている機能について詳しく説明する。
まず、誘電体基板の裏面に無限の面積の接地導体を有すると仮定した一般的な高周波回路において、ループ配線構造が設けられた場合の高周波特性を説明する。
図4(a)には、第一の経路205及び第二の経路207からなるループ配線209が入力端子201と出力端子203との間に接続された回路の模式図が示されている。第一の経路205の経路長Lp1と第二の経路207の経路長Lp2との和が伝送信号にとって実効波長の1倍に相当する条件でループ配線は共振条件となる。このようなループ配線は、リング共振器として用いられることがある。しかし、経路長Lp1、Lp2が伝送信号の実効波長より短い場合、ループ配線209は急峻な周波数応答を示さないため、通常の高周波回路に積極的に使用される理由はなかった。
均一な接地導体を有する一般的な高周波回路では、ループ配線の導入に伴って局所的な高周波電流の分布に変動が生じても、二端子201、203間のマクロな高周波特性の変動は平均化されてしまう。すなわち、非共振状態でのループ配線の高周波特性は、2本の経路の特性を平均化して一本の経路へ置換した場合の伝送線路の高周波特性と大した差異がない。
一方、本発明のスロットアンテナでのループ配線209の導入は、上述した一般的な高周波回路では得られなかった特有の効果を提供する。図5の上面透視模式図を参照してこの点を説明する。接地導体12にスロット14が存在する箇所近傍で、直線的な給電線路261をループ配線209に置換すれば、スロット14周辺での局所的な高周波電流分布を変動させ、スロットアンテナの共振特性を変化させることが可能となる。接地導体12での高周波電流は、第一の分岐点221により分岐した第一の経路205に沿って矢印233の方向へと導かれる一方で、第二の経路207に沿って矢印235の方向にも導かれる。結果として、接地導体21での高周波電流の流れに矢印233、235の方向に沿った異なる経路を生じさせることができ、スロットアンテナを複数箇所で励振することができる。
このような接地導体12における高周波電流分布をスロット近傍で局所的に変化させることが、スロットアンテナの動作帯域を劇的に拡大することになる。
一般に、信号伝送時の高周波電流分布は、伝送線路の信号導体側と接地導体側とで異なっている。図6を参照して、信号導体側及び接地導体側における高周波電流の強度分布が信号導体の分岐によって如何に変動するかを説明する。
図6は、伝送線路断面構造の模式図を示している。図6(a)の伝送線路では、信号導体は分岐されていない。このため、信号導体401で高周波電流の集中が生じるのは信号導体401の端縁部403、405であり、接地導体12で高周波電流の集中が起こるのは信号導体401の中央部に対向する領域407である。よって、例えば、従来のスロットアンテナにおいて給電線路261の幅を大きくしても、接地導体12における高周波電流の分布に大きな変化を起こすことはできず、本発明のスロットアンテナと同様の広帯域化を実現することは困難である。
しかし、図6(b)の例のように、信号導体401が2本の信号導体409、411に分岐されている例では、各分岐配線409、411のそれぞれに対向する接地導体領域413、415に高周波電流の分布が生じる。このことが広帯域化の実現に寄与する。
本発明のスロットアンテナが有するループ配線は、スロットアンテナの励振箇所を複数個にする機能を果たすだけでなく、給電線路261の電気長を調整する機能をも有している。ループ配線導入による給電線路261の電気長の変動は、給電線路261の共振条件を複共振条件に転じさせ、すなわち、共振条件が複数の周波数帯域で成立しているため、本発明の動作帯域の拡大効果を更に高めている。
より詳しく説明すると、図23や図26を参照して説明した従来技術においては、給電線路の先端開放終端点からスロットと交差する箇所までの距離t3、または(t2+Ws÷2)は、中心周波数f0における実効波長と密接な関係があった。図1または図3に示すスロットアンテナの給電構造は、従来のスロットアンテナ(図23、図26)における給電線路の設計原理を、継承するだけでなく、その動作帯域を拡大する。
図23に示す一般的なスロットアンテナでは、スロットの共振周波数において入力整合条件を成立させるため、スロット長を動作の中心周波数f0に合わせて設計し、長さt3を中心周波数f0における4分の1実効波長に設定する。このような給電線路26のスロット付近に本発明のループ構造を導入すれば、ループ配線を構成する2本の経路のうち電気長が短い経路を介した場合と電気長が長い経路を介した場合の給電線路261の共振周波数が分離し、複共振動作が導かれることになる。
また、図26に示すスロットアンテナでは、スロット幅Wsを大きく設定するとともに、t1+t2+Wsを中心周波数f0における4分の1実効波長に設定している。また、4分の1実効波長の領域の伝送線路のインピーダンスを高い値に設定し、t1≒t2の条件で動作させる。このアンテナでは、スロット共振器に結合する共振器構造を等価回路内に新たに導入することにより、2つの共振周波数で入力整合が成立し、スロットアンテナの広帯域動作を実現できる。このような給電線路261のスロット付近に本発明のループ配線を導入すれば、ループ配線を構成する2本の経路のうち、電気長が短い経路を介した場合と電気長が長い経路を介した場合の電気長の違いにより、スロット共振器と結合する共振現象が2以上の数の複数の周波数で生じ、既に得られていた広帯域な整合条件を更に広帯域化することになる。
このように本発明では、スロット自体が有する共振現象を複共振化する第一の機能と、スロットに結合する給電線路の共振現象を複共振化する第二の機能の組み合わせにより、従来のスロットアンテナよりも広い帯域で動作することが可能となる。
ただし、本発明のスロットアンテナは、広帯域での整合特性を維持するため、ループ配線が共振しない条件で用いられなければならない。図4(a)に示すループ配線209を例にとると、経路長Lp1と経路長Lp2の和であるループ長Lpが、動作帯域の如何なる周波数においても実効波長の1倍に相当してはならない。この条件は、本発明のスロットアンテナ内に複数のループ配線が存在する場合、全てのループ配線について成立しなければならない。したがって、アンテナに含まれる最も大きなループ配線のループ長も、動作帯域の上限周波数の実効波長よりも短く設定されなければならない。
一般の高周波回路に用いられる構造には、図4(b)に示す開放スタブがある。伝送線路211に、長さLp3の開放スタブ213が分岐して接続されれば、長さLp3が4分の1実効波長となる周波数で共振条件が成立する。その場合、入力端子201と出力端子203との間の信号伝送に対して、開放スタブ213が帯域阻止フィルタとして機能してしまう。
本発明のスロットアンテナの給電線路から分岐される配線のうち、ループ配線を構成しないものは、スタブであってもよい。しかし、そのスタブ長は、最大の場合でも、動作帯域の上限周波数で4分の1実効波長未満に設定されなければならない。給電線路において、開放スタブが共振し、帯域阻止フィルタとして動作することは、スロットアンテナの動作帯域を狭く限定するからである。
図4(c)に、ループ配線の極端な例を示し、開放スタブと比較したループ配線の優位点を説明する。図4(c)のループ配線209において、長さLp2を極端に小さくすると、ループ配線は見かけ上開放スタブ構造に限りなく近づく。しかし、長さLp2が0に近づいた場合のループ配線の共振周波数は、長さLp1が実効波長に相当する周波数であり、開放スタブの共振周波数は長さLp3が4分の1実効波長に相当する周波数である。仮に、長さLp1の半分が長さLp3と等しい条件で二つの構造を比較すると、ループ配線の共振周波数はスタブ配線の共振周波数の2倍ということになる。
以上の説明からわかるように、広い動作帯域内で余計な共振現象を回避する給電線路の構造としては、ループ配線が開放スタブよりも、周波数帯域に換算して2倍有効である。
また、図4(b)の開放スタブ213の開放終端点213bは回路的に開放されているため、高周波電流が流れない。その結果、仮にスロット付近に開放終端点213bが配置されても、スロットとの電磁的結合が得にくい。一方、図4(c)のループ配線209の一点213cは、回路的には決して開放されていないため、高周波電流が必ず流れる。その結果、スロット付近に配置されれば、スロットとの電磁的結合が得やすくなる。この点からも、本発明の効果を得るためには、ループ配線の採用が開放スタブの採用よりも有利である。
このように、本発明のスロットアンテナでは、線路幅が太い線路または開放スタブではなく、「ループ配線」を給電線路261に導入することにより、動作帯域の制限をうまく回避し、広帯域化を効果的に実現することができる。
図7は、給電線路261の分岐線路部の分岐本数が3の場合の実施形態の上面透視模式図である。給電線路261を分岐する分岐線路の本数は、3本以上の値に設定しても構わないが、2本に分岐した場合の特性と比べて動作帯域の飛躍的な拡大は望めない。複数に分岐された分岐線路群の中で高周波電流の分布強度が高いのは、スロットの開放端側に最も近い箇所を通る経路251と、逆にスロットの開放端側に最も遠い箇所を通る経路253のみであり、両者の間に配線される経路255に流れる高周波電流の強度が強くないからである。しかし、分岐本数が2の場合、経路251と経路253が形成するループ配線のループ長は意図せず長くなってしまうのでループ配線の共振周波数の低下をまねき、本発明のスロットアンテナの動作帯域の上限周波数fHの向上に制限が生じる。しかし、経路255を追加すれば、ループ配線が分割されることになり、上記制限の緩和に有効である。
ループ配線とスロットの配置関係としては、図5に示すように、ループ配線209を構成する第一の経路205と第二の経路207とが、共にスロット14と接地導体12との境界線、言い換えるとスロットのエッジ237、239の少なくともいずれかと交差することが好ましい。
ただし、図8に示すように、上面から見たとき、ループ配線209の全体がスロット14に含まれてしまい、ループ配線209がスロットのエッジ237、239のいずれとも交差しない構成でも、本発明の効果を得ることができる。図8の構成では、第一の経路205と第二の経路207の経路差だけ、第一の経路205に沿って信号導体を流れる高周波電流に対応する接地導体側の電流241と、第二の経路207に沿って信号導体を流れる高周波電流に対応する接地導体側の電流243には位相差が生じ、入力整合条件をより広帯域に転じせしめる効果が発生するからである。
なお、逆に図9に示す別の形態のように、ループ配線209がスロット14と全く交差していない場合でも、ループ配線209がスロット付近にある条件ならば、本発明の効果を得ることが可能である。ここで、「スロット付近」にループ配線209が配置されているという条件は、厳密には、ループ配線209の最も外側の点から、スロット14と接地導体12との間の境界線(スロット14のエッジ237またはエッジ239)までの距離Ld1が給電線路261の配線幅の一倍未満であることを意味する。距離Ld1が給電線路261の配線幅よりも長くなった場合、信号導体の両端に流れる高周波電流の位相差にそれぞれ対応して接地導体側を流れる局所的な高周波電流241と、高周波電流243との間に生じていた位相差が解消されてしまう。その結果、ループ配線209とスロットアンテナの組み合わせによって得られる本発明特有の複合効果が得られなくなるからである。
ループ配線209は、図10に示すように、スロット14のエッジ237、239の両者とそれぞれ交差するよう設計されてよい。図10のループ配線209は台形状に形成されている。このように、ループ配線209の形状について、特に制限はない。ループ配線209は複数形成されてよい。複数のループ配線209が設けられる場合、ループ配線209同士は直列に接続されてもよいし、図7に既に示すように、並列に接続されてもよい。また、二つのループ配線209は直接に相互接続されてもよいし、任意の形状の伝送線路を介して間接的に接続されてもよい。
図11に示すように、スロット14のエッジ237、239とそれぞれ個別に交差する二つのループ配線209a、209bが直列に配置されてもよい。更に、図12に示すように、スロット14のエッジ237とそれぞれ個別に交差する並列のループ配線209c、209dとスロット14のエッジ239とそれぞれ交差する並列のループ配線209e、209fが直列に配置される構成でも構わない。
スロットアンテナを構成する有限の面積の接地導体が共振する周波数を、スロットアンテナの動作帯域と近接させ、更なる広帯域性を得ることも可能である。すなわち、接地導体自体がパッチアンテナのように共振し放射特性を得ることができる周波数を、本発明のスロットアンテナの共振帯域よりやや低い周波数に設定すれば、更なる入力整合帯域の拡大が実現できる。
ループ配線209の線路幅は、入力側または先端開放終端側に接続される給電線路261の特性インピーダンスと同一の条件、またはインピーダンスが高くなる条件が等価的に成立するように選択されることが好ましい。すなわち、給電線路261が二分岐される場合は、元の給電線路261の線路幅の半分以下の分岐配線でループ配線209が構成されることが好ましい。非特許文献1からも明らかなように、スロットアンテナ自体が高インピーダンス線路との結合により、入力端子の抵抗値50Ωへの整合が取りやすくなる傾向があるため、ループ配線209の導入によりスロット14付近での給電線路261の特性インピーダンスを等価的に高くすることが、更なる低反射特性の実現に効果的だからである。
本発明のスロットアンテナにおいて、スロットの形状は矩形である必要はなく、任意の曲線形状に置換可能である。特に、主スロットに多数の細かく短いスロットを並列接続することにより、回路的には主スロットに直列のインダクダンスを付加することができ、主スロットのスロット長が短縮でき実用上好ましい。また、主スロットのスロット幅を狭くして、ミアンダ形状などに折り曲げ小型化を図った条件でも、本発明のスロットアンテナの広帯域化の効果を変わりなく得ることができる。
(実施例)
図13の上面透視模式図に示すようなスロットアンテナ(比較例1)と、図14の上面透視模式図に示すようなスロットアンテナ(実施例1)を作製した。誘電体基板101として、総厚500ミクロン、60mm角(a=b=60mm)のFR4基板を用いた。基板表面と裏面には、銅配線により厚さ20ミクロンの信号導体パターンと接地導体パターンをそれぞれ形成した。各配線パターンはウェットエッチングにより一部領域の金属層を除去することによって形成し、表面は厚さ5ミクロンの金メッキを施した。導体接地導体12の外縁部12aは、誘電体基板101の端面に最も近接した場合でも、100ミクロン内側となるように設定した。図中、接地導体パターンは点線で示している。
入力端子部201にはSMAコネクタを接続し、50Ωの特性インピーダンスの給電線路261を介して、作製したアンテナと測定系を接続可能な状態にした。なお、実用上有用な反射強度の目安をマイナス10dB以下とし、上記特性が満足できた周波数帯域を動作帯域と呼ぶこととした。給電線路261の線路幅W1は920ミクロンとした。比較例1では信号導体にはループ配線は使わず、スロット付近でも給電線路261の線路幅は920ミクロンとした。スロット幅Wsは0.5mm、オフセット長Ld2を2.5mm、スロット長Ls=12mm、先端開放終端点20からスロット中心の給電点までの距離t3を10mmに固定した。比較例1の動作帯域は4.63GHzから6.53GHzであり、比帯域は34.1%であった。反射強度特性の周波数依存性より、共振現象は単一周波数5.87GHzでしか起こっていないことが確認された。
一方、図14に示すように、実施例1aでは、比較例1において直線形状であったスロット14付近の信号導体を、凸部がスロットの開放端13側に突き出た二等辺三角形状のループ配線209へと置換した。上記変更以外は、実施例1aの構造パラメータは比較例1と同様の条件に固定した。ループ配線209の二等辺三角形の底辺の長さは1.5mmとし、高さh1は2.5mmとした。ループ配線の配線幅は50オーム線路の配線幅W1の半分の460ミクロンとした。実施例1aの動作帯域は4.09GHzから7.01GHzで、52.6%の比帯域を得た。
また、実施例1aは、4.75GHzと6.38GHzの二周波数で反射強度の極小値を示し、複共振動作を確認できた。
図15に実施例1と比較例1の反射強度特性の周波数依存性を示している。図15において、実線は実施例1aの特性を示し、点線は比較例1の特性を示している。図15から明らかなように、単共振特性の複共振特性への変化、動作帯域の拡大から、本発明の効果が証明された。
次に、実施例1aのループ配線構造を変化させた実施例1bを作製した。実施例1aでは、ループ配線の二等辺三角形の凸部分はスロット開放端13側へ突き出ていたが、実施例1bではループ配線の配置方向を逆向きにし、二等辺三角形が突き出る方向をスロットの奥行き方向へ設定した。その他の構造パラメータは、実施例1aと同様であった。
実施例1bの動作帯域は、4.45GHzから6.82GHzであり、42.1%の比帯域を得た。実施例1bも、比較例1よりも広帯域動作を実現した。同様に、実施例1aにおいて、スロットのギャップの中央部分に一致させていたループ配線の二等辺三角形の重心を、入力端子側へ0.25mm移動させた実施例1c、先端開放点20側へ0.25mm移動させた実施例1dを作製した。
実施例1c、1dにおいて、二等辺三角形の重心の位置は、スロット14と接地導体12のエッジ237、239とそれぞれ対向する地点に設定した。実施例1cの動作帯域は4.72GHzから7.05GHzで、39.6%の比帯域を得た。実施例1dの動作帯域は4.04GHzから6.28GHzで、43.4%の比帯域を得た。実施例1c、1dの特性より、入力端子側給電線路へのループ配線導入は帯域の高周波数側の広帯域化、先端開放点側給電線路へのループ配線導入は帯域の低域側の広帯域化に寄与することが分かった。そして実施例1aから1dのいずれにおいても比較例1より広い比帯域で低反射動作が実現でき、本発明の有利な効果が証明された。実施例1aから1dと比較例の特性比較を表2に示す。
Figure 2007055113
次に、非特許文献1において開示された複共振特性の2分の1波長スロットアンテナを4分の1波長スロットアンテナとして模した構造の比較例2を作製した。図16に比較例2の上面透視模式図を示す。
比較例1の給電線路261では、入力端子201から先端開放終端点20まで、50オームにインピーダンスが統一されていたが、比較例2では、給電線路261の先端開放終端点20から(t1+t2+Ws)の距離だけ、高インピーダンス線路263によって置換した。具体的には、W2=250ミクロン、Wsを4mm、t1=3.5mm、t2=4mmとした。
比較例2の動作帯域は、3.46GHzから5.67GHzであり、比帯域は48.4%であった。また、3.77GHzと5.27GHzの2周波数において反射損失が極小値を示し、非特許文献1で開示された複共振動作の実現効果が得られた。
一方、比較例2の直線形状を有する高インピーダンス領域263に対して、ループ配線構造を導入した構成を有する実施例2aを作製した。図17は、実施例2aの上面透視模式図を示している。実施例2aでは、三角形状のループ配線209a、209bを直列にスロット14付近に配置した。具体的には、スロットのエッジ237と対向する箇所にはループ配線209aを、エッジ239と対向する箇所にはループ配線209bを配置した。ループ配線209aと209bは、スロット14のギャップ部分の中央の鏡面対称線271を通って基板に垂直となる平面を対称面として鏡面対称の関係を有している。ループ配線209a、209bは、それぞれ、二等辺三角形の形状を有し、その底辺が4mm、高さh1は2.5mm、配線幅は125ミクロンに設定した。
実施例2aの動作帯域は、3.13GHzから8.48GHzであり、比帯域は92.2%に達した。比較例2に比べ、実施例2aでの比帯域拡大効果は1.9倍であった。
図18に、比較例2と実施例2aの反射強度特性の周波数依存性を示す。比較例2の特性を点線で示し、実施例2aの特性を実線で示している。図18より、複共振特性が既に実現されていた比較例2の広帯域特性を更に上回る超広帯域特性が、本実施例2aにより、実現できることが証明された。
次に、図19に上面透視模式図を示す実施例2bを作製した。実施例2aにおいては2つのループ配線209a、209bの三角形状の凸部分がスロットの開放端側へ向いていたが、実施例2bではループ配線の向きを三角形状の凸部分がスロットの奥行き方向へ配向するよう逆向きに入れ替えた。ループ配線209a、209bの向き以外は、実施例2aと実施例2bの構造パラメータは全て同一とした。
実施例2bの動作帯域は、3.34GHzから6.29GHzで、61.3%の比帯域を得た。比較例2と比較すると、実施例2bでの比帯域拡大効果は1.27倍であった。
図20には、比較例2と実施例2bの反射強度特性の周波数依存性を示している。実施例2bでは、動作帯域が実施例2aほどは広くなかったが、7GHz〜9GHzの高周波帯域における反射特性を比較例2と比較すれば、4dB以上の改善が明らかに得られており、やはり本発明の構造採用により、従来構造のスロットアンテナの帯域特性を改善できることが証明された。
次に、実施例3を作製した。実施例2aにおいて60mmだった接地導体12の横幅aを35mmに減じ実施例3とした。また、その他の構造パラメータを実施例2aと同一としたが、反射特性に大きな影響を示さなかった接地導体12の縦側の長さbは25mmに減じた。横幅が減じられた接地導体12が2.7GHz付近で共振するアンテナとして機能し、実施例2aでも比帯域92.2%の動作帯域を得ていたスロットアンテナは更なる広帯域動作を示した。具体的には、図21に反射特性の周波数依存性を示すように、動作帯域は2.57GHzから9.29GHzで、比帯域は113.3%に達した。比帯域113.3%とは、近距離無線通信で使用される帯域である3.1GHzから10.6GHzの比帯域109.5%よりも広い値である。実施例2aと実施例2bと実施例3と比較例2の特性比較を表3に示す。
Figure 2007055113
図22には、(a)2.6GHz、(b)4GHz、(c)6GHz、(d)9GHzの各周波数における、実施例3のスロットアンテナの誘電体基板に平行な面内での放射指向性の角度依存性を示す。図中、角度270度に相当する方向がスロットの奥側から見たスロット開放端側の方向に相当している。マイナス10dB以下の低反射強度特性が得られた動作帯域の全ての周波数で、主ビームがこの方向を向き、利得は0dBから4dBとほぼ等しい値が得られた。
以上のように、本発明のスロットアンテナによれば、反射特性が超広帯域なだけでなく、超広帯域にわたり同様の傾向の放射指向性も得ることができた。
本発明のスロットアンテナは、回路占有面積および製造コストを増大させることなく、整合帯域を拡大させることが出来るので、従来複数のアンテナを搭載しなければ実現できなかった高機能端末を簡易な構成で実現することが可能となる。また、従来よりもはるかに広い周波数帯域を用いる近距離無線用の通信システムの実現にも貢献することが出来る。チップ部品を使用せず動作帯域が拡大できるため、製造時のばらつきに対する耐性の強いアンテナとしても有用である。同一スロット幅の条件で比較すると従来の広帯域スロットアンテナよりはるかに広帯域動作が可能となるため、広帯域スロットアンテナの小型化が実現できる。また、デジタル信号を無線で送受信するような、超広帯域な周波数特性を必要とするようなシステムにおいても小型アンテナとして使用され得る。
本発明のスロットアンテナの上面透視模式図 (a)は図1の本発明のスロットアンテナの断面模式図、(b)は本発明のスロットアンテナの別の実施形態の断面模式図、(c)は本発明のスロットアンテナの別の実施形態の断面模式図 本発明のスロットアンテナの上面透視模式図 無限の接地導体構造を裏面に有する一般的な高周波回路構造において、信号配線に分岐部を有する二回路の模式図であって、(a)はループ配線の場合の模式図、(b)は先端開放スタブ配線の場合の模式図、(c)はループ配線の場合で、特に第二の経路が極端に短く設定された場合の模式図 本発明のスロットアンテナの一形態における接地導体での高周波電流の経路を説明する上面透視模式図 伝送線路の接地導体での高周波電流の集中箇所を説明するための断面構造図であって、(a)は一般的な伝送線路の場合の断面構造図、(b)は分岐された伝送線路の場合の断面構造図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 本発明のスロットアンテナの実施形態の上面透視模式図 比較例1の上面透視模式図 実施例1aの上面透視模式図 比較例1と実施例1aの反射強度特性の周波数依存性を示す比較図 比較例2の上面透視模式図 実施例2aの上面透視模式図 比較例2と実施例2aの反射強度特性の周波数依存性の比較図 実施例2bの上面透視模式図 比較例2と実施例2bの反射強度特性の周波数依存性の比較図 実施例3の反射強度特性図 実施例3のスロットアンテナの放射強度の角度依存特性図であって、(a)は2.6GHzの場合の角度依存特性図、(b)は4GHzの場合の角度依存特性図、(c)は6GHzの場合の角度依存特性図、(d)は9GHzの場合の角度依存特性図 一般的な4分の1波長スロットアンテナを示し、(a)は上面透視模式図、(b)は断面側面模式図、(c)は上面から透視した裏面模式図 (a)は特許文献1の4分の1波長スロットアンテナの構造模式図、(b)は低周波帯で動作時のスロットアンテナの構造模式図、(c)は高周波帯で動作時のスロットアンテナの構造模式図 特許文献2のスロットアンテナ構造の裏面からの透視模式図 非特許文献1に記載のスロットアンテナ構造の上面透視模式図
符号の説明
101 誘電体基板
107 内側方向(スロットの奥行き方向)
12 接地導体
12a 有限の面積を持つ接地導体の外縁部
14、14a、14b、14c、231 スロット
13 スロット開放端
15 給電部
16 容量性リアクタンス素子
16a、16b 容量性リアクタンス素子により高周波的に接続される接地導体上の点
Ls スロット長
Ls2 容量性リアクタンス素子接続点からスロット開放端までの距離
261 給電線路
20 開放終端点
51a、51b、51c スロットと給電線路261の結合点
263 給電線路261の高インピーダンス領域
d スロット中心から給電線路261との結合点までのオフセット長
Ld2 スロット終端点から給電線路261までのオフセット長
t1、t2 高インピーダンス領域を構成する各部位の線路長
t3 スロットのギャップ部分中心から給電先端開放終端点までの距離
W2 高インピーダンス領域の給電線路261幅
Ws スロット幅
201、203 入出力端子
205、207 第一、第二の経路
Lp1、Lp2 第一、第二の経路長
Lp ループ長
209、209a、209b、209c、209d、209e、209f ループ配線
221、223 第一、第二の分岐点
Lp3 開放スタブ長
211 伝送線路
213 開放スタブ
213b 開放スタブの先端開放終端点
213c ループ配線の任意の一点
233、235 接地導体に生じる高周波電流の流れ
237 スロットの入力端子側エッジ
239 スロットの先端開放終端点側エッジ
241、243 第一、第二の経路に伴い接地導体に生じる高周波電流の流れ方向
a、b 有限の接地導体領域の横の長さと縦の長さ
271 スロットのギャップ部分の中央面
h1 ループ配線の三角形状の二等辺三角形の高さ
401 信号導体
403、405 信号導体の端縁部
407 信号導体の中央部に対向する接地導体上の領域
409、411 分岐された信号導体
413、415 信号導体分岐に基づき接地導体に高周波電流が誘起される領域
f0 動作帯域の中心周波数
fH 動作帯域の上限周波数
251、253、255 ループ配線を構成する経路
好ましい実施態様において、各ループ配線は前記スロットのエッジと交差し、前記スロットのエッジと前記ループ配線とが交差する箇所であって、前記スロットの開放点から互いに異なる距離の二点以上の箇所において前記スロットが励振される。

Claims (6)

  1. 誘電体基板と、
    前記誘電体基板の裏面側に設けられた有限の面積の接地導体と、
    前記接地導体の側縁を開放点として内側に切り欠いて形成されたスロットと、
    前記スロットに高周波信号を給電するための給電線路であって、前記スロットと少なくとも一部が交差する給電線路と、
    を備え、
    前記スロット付近の第一の地点において、前記給電線路が少なくとも2本の分岐線路を含む分岐線路群に分岐され、前記分岐線路群の内の少なくとも2本の分岐線路は、前記第一の地点とは異なる前記スロット付近の第二の地点において相互に接続され、前記給電線路に少なくとも1つのループ配線を形成しており、
    各ループ配線のループ長の最大値が、それぞれ、動作帯域の上限周波数において1実効波長未満の長さに設定され、
    前記分岐線路群の内、前記ループ配線を形成せずに先端開放終端される全ての前記分岐線路群の分岐長が動作帯域の上限周波数において4分の1実効波長未満であるスロットアンテナ。
  2. 各ループ配線は、前記スロットのエッジと交差し、前記開放点から異なる距離の二点以上の給電点において前記スロットが励振される請求項1に記載のスロットアンテナ。
  3. 前記給電線路のうち、先端開放終端点から、動作帯域の中心周波数において4分の1実効波長の長さの領域の領域が、50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路により構成され、
    前記先端開放終端点から動作帯域の中心周波数において4分の1実効波長未満の距離において、前記給電線路と前記スロットが少なくとも一部で交差する請求項1に記載のスロットアンテナ。
  4. 前記分岐線路群の配線幅の総和が、同一基板上での50Ωの特性インピーダンスの伝送線路の配線幅以下に設定されている請求項1に記載のスロットアンテナ。
  5. 前記分岐線路群の配線幅の総和が、前記50Ωよりも高い特性インピーダンスの伝送線路の配線幅以下に設定されている請求項3に記載のスロットアンテナ。
  6. 前記接地導体が有する最低次の共振周波数は、前記スロットアンテナの動作帯域よりも低く設定されている請求項1に記載のスロットアンテナ。
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