JPWO2007037403A1 - シリコーン樹脂を用いたアスベスト処理方法 - Google Patents

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Abstract

本発明はアスベストの処理方法、ならびに当該処理に使用するアスベスト処理剤、アスベスト処理用キットおよびアスベスト処理装置を提供する。本発明のアスベスト処理方法は、(1)アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物に、シリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を供給し、当該アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を当該アスベスト処理液で浸潤させる工程を有することを特徴とする。斯くしてアスベスト繊維の大気飛散を防止しながら、アスベストを処理することができる。

Description

本発明はアスベストの処理方法、ならびに当該処理に使用するアスベスト処理剤、アスベスト処理用キットおよびアスベスト処理装置に関する。特に本発明は、アスベストを含む被覆層やそれから剥離したアスベスト含有物について、アスベスト繊維の大気飛散を防止しまた無害化するための処理方法、ならびに当該処理に使用するアスベスト処理剤、アスベスト処理用キットおよびアスベスト処理装置に関する。
アスベストは,耐熱性、耐磨耗性など工業的に優れた特性を持っているために、建築関係では、かねてより保温、吸熱、吸音用などに吹き付け材として広く採用されてきた材料である。しかし、最近になって、アスベストに起因すると思われる肺ガン・中皮腫患者が増加して大きな社会問題になっている。
アスベスト含有吹き付け材には、吸音・結露防止用としてアスベストの含有量が約70%のもの、耐火被覆用としてアスベストの含有量が約60%のもの、またそれ以外のアスベスト含有吹き付け材としては、アスベスト含有量30%以下あるいは5%以下といったものがある。現在はアスベスト含有量が0.1%以上のものはすべて使用が禁止されている。
しかし、すでに施工されているものについては、その状態でアスベストの飛散を完全に防止するか、あるいはアスベスト吹き付け層などのアスベスト含有被覆層を完全に取り除くことが必要とされている。前者の場合、被覆された状態だけでなく、万が一、アスベスト含有被覆層が剥落した場合でも、大気中にアスベストの繊維が飛散しないように処理することが必要である。また後者の場合は、除去作業中にアスベスト繊維が飛散しないようにするとともに、除去したアスベスト含有物の処理対策が必要とされる。
アスベスト飛散に対する対策として、旧建設省のアスベスト除去作業マニュアルには、建物をシートで覆った上、薬剤を混ぜた水を撒いて飛散を防止し、作業員も専用の防護服や防塵マスクを着用することが定められている。また、その除去したアスベストの処分の仕方についても、耐水性シートで二重に梱包して、土中や水中への流出防止等を施した管理型処分場に埋めることが厚生省令で規定されている。しかし、実際には、解体撤去作業現場の近傍では、大気中へのアスベスト飛散が観察される場合があり、より確実にアスベストの飛散を防止するための方法が求められている。また、除去したアスベスト含有物の処理についても管理型処分場の余力がなくなってきており、最終処分をいかに行うか、解決すべき課題は多い。
従来より、飛散を防止しながらアスベストを除去する方法として様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、除去しようとするアスベスト層の領域の外方を箱型フードで覆い、除去したアスベストを吸引することで、外部への放散を防止する方法が示されている。また、特許文献2には、四方を透明パネルで囲った作業空間を形成して、アスベスト撤去面を局部的に養生した後、フレキシブルホースを介してバキューム車に吸引する方法が示されている。さらに特許文献3には、アスベスト除去工具を移動させてもフード外部へのアスベストの飛散を確実に防止するために、フードの内部周辺にノズルから泡を噴出させてシールする方法が示されている。また、特許文献4には、アスベストを保水剤と増粘剤を含む薬剤で湿潤して飛散を防止しながら剥ぎ取り作業を行う方法が示されている。さらに、特許文献5には、飛散防止剤をアスベストの表面に吹き付けて膜状にし、この状態でスクレーパーを作動させてアスベストを剥離し、バケット内に落下させ、その後、バケット内の混合物を別の容器に移して密封する方法が示されている。また、特許文献6には、アルカリ金属成分およびアルカリ土類金属成分を溶解する溶剤にアスベスト製品を浸漬あるいは接触させて、アスベスト製品に含まれる当該成分を洗浄・低減した後、糸状菌を培養することによって、アスベストの酸化活性を低減あるいは消滅する方法が示されている。
しかし、特許文献1〜3の方法はいずれもアスベスト繊維を外部に放散させないために密閉系の作業空間を形成する必要があるため、多大な労力とコストがかかり実用的ではない。また特許文献4の方法は、アスベストの飛散を防止する方法としては不十分である。さらにこれらの特許文献1〜4および5の方法は、飛散を防止しながらアスベスト被覆層を剥離する方法であって、それ自体アスベスト繊維を無毒化するものではないため、さらに無毒化処理が必要である。また、特許文献6の方法を建築物に施工されたアスベスト吹き付け層全体に行うことは容易ではない。
一方、シリコーン樹脂は、従来より繊維に被覆することで撥水性を持たせるなどの処理には用いられているが、アスベストを含む吹き付け層(アスベスト含有被覆層)に対して、アスベスト繊維の飛散を防止するために、またアスベスト繊維を無毒化するために用いられた例は見当たらない。
特開平8−28027号公報 特開平9−72111号公報 特開平9−125707号公報 特開平10−323614号公報 特開平8−199832号公報 特開2005−152780号公報
本発明はアスベスト繊維を含む層(アスベスト含有被覆層)や当該被覆層から剥離されたアスベスト含有物を処理する方法を提供することを目的とする。特に本発明は、アスベスト繊維の飛散を防止する処理方法、ならびにアスベスト繊維の飛散を防止しながら無毒化するための処理方法を提供することを目的とする。
より詳細には、第1に、本発明はアスベスト含有被覆層をアスベストの飛散を確実に防止しながらそのままの状態で使用できるように処理する方法を提供することを目的とする。第2に、本発明はアスベストの飛散を確実に防止しながらアスベスト含有被覆層を剥離除去するための処理方法を提供することを目的とする。第3に、本発明はアスベスト含有被覆層から剥離したアスベスト含有物を減容し、また無毒化(アスベスト繊維の恒久的飛散防止またはアスベスト消滅)するための処理方法を提供することを目的とする。さらに第4にこれらの処理に好適に使用されるアスベスト処理剤および処理用キットを提供することを目的とする。さらにまた本発明はアスベスト含有被覆層から剥離したアスベスト含有物を加圧減容する装置(減容装置)および焼成する装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、アスベスト吹き付け層などのアスベスト含有被覆層に液状のシリコーン樹脂を浸潤させると、アスベスト繊維がシルコーン樹脂に包み込まれ、その結果、アスベスト繊維の大気中への飛散が確実に防止できることを見出した。この知見をもとに、さらに研究を重ねていたところ、本発明者は、アスベスト含有被覆層に液状シルコーン樹脂を浸潤させると、アスベスト繊維の飛散を防止しながら容易にアスベスト含有被覆層の剥ぎ取り作業ができ、しかも当該アスベスト含有被覆層から剥ぎ取ったアスベスト含有物は、その後加圧することによって容易に減容でき、さらに焼成または溶融処理しても有毒物の発生が防止できることを見出し、当該シリコーン樹脂による処理方法が、アスベスト含有被覆層の剥離除去のみならず、その後の廃棄処理においても極めて有用であることを確信した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の態様を包含するものである:
(I)アスベスト処理方法
(A)下記の工程を有するアスベストの処理方法:
(1) アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物に、シリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を供給し、当該アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を当該アスベスト処理液で浸潤させる工程。
かかる処理方法によれば、アスベスト繊維表面にシリコーン樹脂の皮膜が形成される結果、アスベスト繊維の飛散を抑制することができる。
当該方法には、下記(A-1)〜(A-4)の具体的な態様が含まれる。
(A-1) アスベスト処理液が、シリコーン樹脂に加えて、(a)粘度調整剤、(b)着色剤、(c)セメント、および(d)水よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである、(A)に記載するアスベストの処理方法。
(A-2) アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の容積100部に対して、アスベスト処理液を20容積部以上の割合で供給する、(A)または(A-1)に記載するアスベストの処理方法。
(A-3) アスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の供給を、アスベスト含有被覆層の表面にアスベスト処理液を吹き付けするか、またはアスベスト含有被覆層の内部にアスベスト処理液を注入することによって行う、(A)〜(A-2)に記載するアスベストの処理方法。
(A-4) アスベスト含有被覆層の内部へのアスベスト処理液の注入を、アスベスト含有被覆層の表面面積400cmの少なくとも1箇所に、アスベスト処理液を注入することによって行う、(A-3)に記載するアスベストの処理方法。
(A-5) アスベスト処理液の供給を少なくとも2回行い、後に供給するアスベスト処理液の粘度がその前に供給するアスベスト処理液の粘度より小さいことを特徴とする、(A)〜(A-4)のいずれかに記載するアスベストの処理方法。
(A-6) シリコーン樹脂および(c)着色剤に加えて、(a)水または(b)粘度調整剤の少なくとも1種を含有するアスベスト処理液を用いて、下記の工程(1’)および(2)を行う、(A)〜(A-5)のいずれかに記載するアスベストの処理方法:
(1’) アスベスト含有被覆層に上記シリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を供給し、当該アスベスト含有被覆層を当該アスベスト処理液で浸潤させる工程、
(2) アスベスト含有被覆層に対するアスベスト処理液の浸潤状態をアスベスト含有被覆層の着色を指標として確認する工程。
(B)上記(A)に記載する工程(1)に加えて下記の工程(3)を有する、アスベスト含有被覆層の処理方法:
(3) (A)に記載する工程(1)で処理されたアスベスト含有被覆層を硬化させる工程。
当該方法には、下記(B-1)〜(B-3)の具体的な態様が含まれる。
(B-1)アスベスト含有被覆層の硬化を、工程(1)で処理されたアスベスト含有被覆層を乾燥することによって行う、(B)に記載する処理方法。
(B-2)アスベスト含有被覆層の乾燥を、工程(1)で処理されたアスベスト含有被覆層を放置することによって行う、(B)に記載する処理方法。
(B-3)アスベスト含有被覆層の乾燥を、アスベスト含有被覆層を加熱することによって行う、(B)に記載する処理方法。
(C)(A)に記載する工程(1)、または(A-6)に記載する工程(1’)および(2)に加えて、さらに下記の工程(4)を有するアスベスト含有被覆層の処理方法:
(4) 工程(1)または工程(1’)および(2)で処理されたアスベスト含有被覆層を剥ぎ取る工程。
(D)(A)に記載する方法で得られたアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物または(C)に記載する方法によってアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物を、加圧して減容する工程を有する、アスベスト含有物の処理方法。
当該方法には、下記(D-1)〜(D-2)の具体的な態様が含まれる。
(D-1)アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物の加圧を60℃以下で行うことを特徴とする、(D)に記載するアスベスト含有物の処理方法。
(D-2)加圧減容工程でアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物から溶出するアスベスト処理液を回収する工程を有する、(D)または(D-1)に記載するアスベスト含有物の処理方法。
(E)(D)に記載する方法によって得られたアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物の加圧減容物を、さらに下記(a)または(b)の処理に供する工程を有する、アスベスト含有物の処理方法:
(a)焼成する工程、
(b)溶融する工程。
当該方法には、下記(E-1)〜(E-2)の具体的な態様が含まれる。
(E-1)(a) 焼成工程を、(D)に記載する方法によって得られた加圧減容物を、400〜1200℃で加熱することによって行う(E)に記載するアスベスト含有物の処理方法。
(E-2)(b)溶融工程を、(D)に記載する方法によって得られた加圧減容物を、1200℃より高い温度で加熱することによって行う(E)に記載するアスベスト含有物の処理方法。
(II)アスベスト処理剤
(II-1)シリコーン樹脂に加えて、少なくとも(a)粘度調整剤、(b)着色剤、(c)セメントおよび(d)水からなる群から選択される少なくとも1種を含有するアスベスト処理剤。
(II-2)シリコーン樹脂と、(a)粘度調整剤、(b)着色剤、(c)セメントおよび(e)水からなる群から選択される少なくとも1種とを、別個の包装形態で含有するアスベスト処理用キット。
(III)アスベスト処理装置
(III) シリコーン樹脂を含むアスベスト処理液が含浸されたアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物を収容する収容部と、
前記収容部に収容されたアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を押圧する押圧具とを備え、
アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を前記押圧具によって押圧することにより圧縮成型物を生成するとともに、圧縮時に圧縮生成物から絞り出された液体が、前記収容部の外部へ排出されるように構成されている、アスベストの処理装置。
当該装置には、下記の具体的態様が含まれる。
(III-1)前記収容部には、前記押圧具が進入する第1の開口と、前記押圧具の進入方向において前記第1の開口とは反対側にある第2の開口とが形成されており、
前記第2の開口には、開閉可能な蓋が設けられている、(III)に記載のアスベストの処理装置。
(III-2)前記収容部は、前記押圧具が進入する第1の開口と、前記押圧具の進入方向において前記第1の開口とは反対側にある第2の開口とを有する少なくとも3つの孔を備えるとともに、当該各孔が第1,第2,及び第3の位置にそれぞれ選択的に配置されるように回転自在に支持されており、
前記第1の位置では、前記孔内にアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物が投入され、
前記第2の位置では、前記孔内に前記押圧具が進入し、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物が圧縮されて成型物が形成され、
前記第3の位置では、前記押圧具によって成型物が前記第2の開口から外部へ排出される、(III)に記載のアスベストの処理装置。
(III-3)前記第2の開口の周縁の内壁面は、内部から外部に向けてテーパ状に内径が大きくなっている、(III-2)に記載のアスベストの処理装置。
(III-4)前記収容部は、
前記押圧具が進入する第1の開口、及び前記押圧具の進入方向において前記第1の開口とは反対側にある第2の開口が形成された本体と、
前記第2の開口を塞ぐ閉鎖部材と、を備えており、
前記閉鎖部材は、前記本体に対して、前記押圧具の移動方向に相対的に離間可能に構成されている、(III)に記載のアスベストの処理装置。
(III-5)前記第1の開口から絞り出された液体が排出される(III-1)に記載のアスベストの処理装置。
(III-6)前記第1の開口から絞り出された液体が排出される(III-2)乃至(III-4)のいずれかに記載のアスベストの処理装置。
(III-7)前記収容部は、収容されるアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を60℃以上、300℃以下に加熱可能に構成されている、(III)乃至(III-6)のいずれかに記載のアスベストの処理装置。
(IV) アスベスト処理物の焼成装置
(IV)(III)乃至(III-7)のいずれかに記載のアスベストの処理装置によって生成された圧縮成型物を収容する容器と、
前記容器を収容する加熱炉と、
前記加熱炉に設けられ、排ガスを排出する排出部と
を備えている、焼成装置。
当該装置には下記の態様が含まれる:
(IV-1) 前記排出部の途中には、排ガスの流通の一部を妨げる規制部材が設けられている、(IV)に記載の焼成装置。
(IV-2) 前記容器には、複数の孔が形成されている、(IV)または(IV-1)に記載の焼成装置。
上記(A)に記載する本発明の処理方法によれば、アスベスト含有被覆層中のアスベスト繊維がシリコーン樹脂で包み込まれ、しかもある程度の柔軟性をもたせた状態でアスベスト繊維同士が一体化されるため、アスベスト繊維が大気中に飛散することを確実に防止することができる。特に、(A-6)に記載するように、処理に使用するアスベスト処理液中に着色剤を配合しておくと、アスベスト処理液のアスベスト含有被覆層への浸潤の程度が目視で判断することができるため、適正な作業条件の選定や確認ができるとともに、浸潤不十分によって生じるアスベスト繊維の飛散を確実に防止することができる。
また粘度調整剤を用いてアスベスト処理液の粘度を調整することによりアスベスト含有被覆層への浸透や湿潤の早さや程度を調整することができる。さらにアスベスト処理液にセメントを配合することにより、アスベスト繊維が大気中に飛散することを確実に防止することができる。セメントは、特にアスベスト含有被覆層を剥離しないでそのまま固化させる場合に好適に用いられる。
上記(B)に記載する本発明の処理方法によれば、アスベスト繊維同士を、耐火性や防音性などの機能をそのまま維持しながら、シリコーン樹脂で包み込んだ状態で一体化して被覆層に安定に固化することができる。このため、当該処理方法はアスベストを吹き付けした建築物をそのままの状態で維持使用する場合に有効に使用することができる。
上記(C)に記載する本発明の処理方法によれば、アスベスト繊維がシリコーン樹脂を主成分とするアスベスト処理液で浸潤されて柔らかい状態でアスベスト繊維同士が一体化されるため、アスベスト吹き付け層などのアスベスト含有被覆層を容易に剥離除去することができる。しかも剥離作業中にアスベストの破砕片が生じないことから、当該剥離作業をアスベスト繊維の飛散なく安全に行うことができる。
上記(D)に記載する本発明の処理方法によれば、上記工程(A)で、アスベスト処理液で浸潤されたアスベスト含有物、またはアスベスト処理液で浸潤後、アスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物(以下、これを総じて「アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物」という)を、アスベスト繊維の飛散なく安全に減容することができる。また(D-2)に記載する本発明の処理方法によれば、余剰なアスベスト処理液を回収して再利用することができるため、廃棄物の減量に加えて作業に要する費用を軽減することができる。
上記(E)に記載する本発明の処理方法によれば、上記工程(D)で、減容化されたアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物を、アスベスト繊維の飛散なくかつ有毒物の発生なく安全に無害化することができる。
また上記の処理方法は、上記(II)に記載する本発明のアスベスト処理剤若しくはアスベスト処理用キット、または(III)に記載する本発明のアスベスト処理装置を使用することにより、簡便に実施することができる。
I.アスベスト処理方法
本発明のアスベスト処理方法は、下記の工程(1)を有することを特徴とする:
(1) アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物に、シリコーン樹脂を含有するアスベスト処理液を供給して、当該アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を当該アスベスト処理液で浸潤させる工程(以下、アスベスト処理液による浸潤工程〔または単に「浸潤工程」〕ともいう)。
ここで本発明の方法が対象とするアスベスト含有被覆層は、アスベスト繊維を含有する組成物、特にアスベスト繊維を0.1%以上含む組成物で被覆された層であれば特に制限されず、例えば建築物の天井、壁、柱若しくは梁、または駐車場などの鋼材表面などに吹き付けられたアスベスト繊維を含む層などが含まれる。被覆層の種類も特に制限されず、例えばアスベスト吹き付け層、アスベストを含むバーミュキュライト吹き付け層、およびアスベストを含むロックウール吹き付け層を挙げることができる。また本発明の方法が対象とするアスベスト含有物には、アスベスト繊維を含有するものであって、例えば上記のアスベスト含有被覆層から任意の方法で剥離除去されたもの、例えばアスベストを含む塊やアスベストを含む破片の集合物が含まれる。
本発明の処理方法の特徴は、上記の通り、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物の処理に、シリコーン樹脂を含有するアスベスト処理液を用いることである。
そこでまず、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の処理に使用するアスベスト処理液について説明する。
(I-1)アスベスト処理液
本発明のアスベスト処理液の主成分であるシリコーン樹脂は、オルガノクロロシラン類を加水分解し重合して得られる三次元網目構造を有するポリマーであり、一般式としてRSiO4−nと表すことができる。通常、RSiO1/2単位、SiO単位、RSiO単位、およびRSiO3/2単位から選択される単位の組み合わせからなるものであることが好ましい。なお、ここでRとしては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、シクロへキシル基などのシクロアルキル基、またはフェニル基などから選択される1種または2種以上の炭素数1〜6の1価炭化水素基を挙げることができる。制限はされないが、全体の80%モル以上がメチル基であるシリコーン樹脂を好適に用いることができる。
シリコーン樹脂には、通常オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルジョン型、自己乳化型などがある。制限されないが、本発明で用いられるシリコーン樹脂は、好ましくは水と併用することができるエマルジョン型(O/W型エマルジョン)および自己乳化型である。特に好ましくはエマルジョン型であり、中でも架橋反応により硬化し、シリコーン皮膜を形成する反応性のエマルジョン型シリコーン樹脂が好適に使用できる。
ここで反応性のシリコーン樹脂(エマルジョン型)は、シリコーン樹脂のベースポリマーおよび架橋ポリマーに触媒や乳化剤を加え、上記ポリマーを水に乳化分散させたものである。当該乳化液の中でベースポリマーと架橋ポリマーはそれぞれマイクロカプセルの状態で存在しており、アスベスト含有被覆層などのアスベスト含有物に対して良好な濡れ性を発揮して速やかに浸透浸潤するが、水が蒸散してマイクロカプセルが壊れると、架橋反応が生じて硬化が進行して繊維表面に皮膜が形成される。商業的に入手できる反応性のシリコーン樹脂(エマルジョン型)としては、制限されないが、信越化学工業株式会社のPolon MF-20(商品名)、Polon MF-23(商品名)、Polon MF-56(商品名)、Polon MK-206(商品名)、Polon MWS(商品名)、KM2002T(商品名)、およびKM2002L-1(商品名)などを例示することができる。
シリコーン樹脂を主成分とする本発明のアスベスト処理液は、当該シリコーン樹脂の性質に基づいて、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物に速やかに浸透浸潤して、かつ被覆層内またはアスベスト含有物内で粘着剤としての性質を発揮してアスベスト繊維を他の繊維と結びつけることができる。また水が蒸散して乾燥すると(または必要に応じて加熱すると)、上記するようにマイクロカプセルが壊れること等によって架橋反応が生じて硬化し、アスベスト繊維をシリコーン樹脂内に安定して包み込み保持することができる。また、シリコーン樹脂は、他の樹脂類に比べて、温度を上げても安定な区間が長く、最終的にシリカになるため、アスベスト含有被覆層と馴染みがよいという利点もある。
シリコーン樹脂は、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物への浸透および浸潤性、アスベスト繊維に対する皮膜形成性、ならびに加熱(焼成または溶融を含む)した時のガス発生の状況などを配慮して選択することができる。ここで、シリコーン樹脂の浸透および浸潤性ならびに皮膜形成性は、アスベスト処理に求められるアスベスト飛散防止効果をもたらす要因となる。なお、当該アスベスト飛散防止効果には、アスベスト繊維の表面に満遍なく湿潤して当該繊維を包み込み、かつ他の繊維と結び付けることによって、アスベスト含有被覆層を剥離除去する際にアスベストの破砕片の発生を抑制する効果がある。またシリコーン樹脂が固化した後は、シリコーン樹脂の柔軟性によってアスベストの破砕片の発生を防止する効果がある。シリコーン樹脂の選択にはこれらの効果が考慮される。
なお、かかるアスベスト飛散防止効果があり、また加熱時(焼成時または溶融時)に問題となるガスの発生がないシリコーン樹脂であれば、変性シリコーン樹脂であってもよい。変性シリコーン樹脂としては、アルキッド変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、およびフェノール変性シリコーン樹脂を挙げることができる。
アスベスト飛散防止効果の点から好ましいシリコーン樹脂としては、トスシール、シリコーン系、変形シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系を挙げることができる。但し、クロロブレン系や塩化ビニール系のシリコーン樹脂は、加熱時に問題となるガスを発生するおそれがあるため、適当ではない。
アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の処理には、アスベスト処理液として上記するシリコーン樹脂、好ましくはエマルジョン型のシリコーン樹脂、より好ましくは反応性のエマルジョン型のシリコーン樹脂を単独で使用することもできるが、必要に応じて、当該シリコーン樹脂に、(a)水、(b)粘度調整剤、(c)着色剤、および(d)セメントより選択される成分を1種または2種以上組み合わせて配合したものを使用することもできる。
(a)水
水は、主としてシリコーン樹脂の濃度調整およびアスベスト処理液の粘度調整に用いられる。アスベスト処理液の粘度が低すぎるとアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物に供給した際に、浸透および浸潤はしやすいものの歩留まりが悪く垂れやすい傾向があり、また逆に粘度が高すぎるとアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物に供給した際に、浸透および浸潤しにくいという問題がある。
アスベスト処理液中のシリコーン樹脂(固形分)と水の配合割合は、アスベスト含有被覆層やアスベスト含有物の硬化促進効果や硬化強度と、アスベスト含有被覆層やアスベスト含有物へのアスベスト処理液の浸透および浸潤効果の両面から適宜設定することができる。具体的には、例えば、水の配合比率を高めるとアスベスト含有被覆層などに速やかに浸透および浸潤する一方で、水の配合比率が高くなるとアスベスト含有被覆層などの硬化時間が遅延し、硬化強度が低減する傾向にある。
水の配合割合は特に制限されない。通常、アスベスト処理液の粘度が、2〜10mPa・sの範囲、好ましくは2〜8mPa・s、より好ましくは3〜6mPa・s、さらに好ましくは3.5〜5mPa・sの範囲になるように〔測定条件:温度25℃、B型粘度計(東京計器社製)、30rpm回転数で1分間測定〕、適宜設定調整されるのが好ましい。この場合、水の配合割合は制限されないが、例えばアスベスト処理液中に50〜97容積%、好ましくは60〜95容積%の割合で含まれるような範囲で適宜選択することができる。また、上記限りにおいて特に制限されないが、シリコーン樹脂(固形分)100重量部に対して、通常10〜4500重量部の範囲、好ましくは200〜3500重量部の範囲で適宜選択して用いることができる。
水は、必要に応じて後述する粘度調整剤と組み合わせて用いることができる。
(b)粘度調整剤
粘度調整剤は、アスベスト処理液の粘度を調整するために用いられる。前述のようにアスベスト処理液の粘度が低すぎるとアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の表面に供給した際に、垂れやすい傾向があり、結果的に浸透量または浸潤量が制約される。
一方、粘度が高すぎるとアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物に供給した際に、浸透・浸潤の速度自体が小さくなるという問題があるからである。
この両方の問題を解決するために、処理液の粘度を調整できることが重要である。処理液に加える粘度調整剤としては、特に制限されないが、澱粉、カルシウム化合物(炭酸塩、硫化物、水酸化物など)の粉、ナトリウム化合物(炭酸塩、水酸化物、塩化物)の粉あるいは水溶液などが挙げられる。例えばエマルジョン型のシリコーン樹脂を用いる場合、そのエマルジョン状態を損なわず、長期間(たとえば、2週間以上)安定に維持するという点からは、好ましくは澱粉である。
粘度調整剤の配合割合は、特に制限されず、アスベスト処理液の粘度が、前述するように2〜10mPa・sの範囲、好ましくは2〜8mPa・s、より好ましくは3〜6mPa・s、さらに好ましくは3.5〜5mPa・sの範囲になるように〔測定条件:温度25℃、B型粘度計(東京計器社製)、30rpm回転数で1分間測定〕、適宜設定調整されるのが好ましい。この場合、粘度調整剤の配合割合は制限されないが、例えば0.1〜15重量%、好ましくは0.3〜11重量%の範囲で適宜選択することができる。
(c)着色剤
着色剤は、アスベスト処理液を着色する目的で配合される。こうすることで、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物に対するアスベスト処理液の浸透・浸潤の状況を目視で確実に把握することができる。また、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の処理に、着色剤を含有するアスベスト処理液を用いることによって、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物に対するアスベスト処理液の供給量や保持時間など、アスベストの処理を安全に確実に行うための処理条件を設定することができる。さらには、アスベストの処理を安全に確実に行うための作業管理を行うことができる。また処理後、アスベストの飛散を十分に抑制された状態でアスベストの処理が行われたかを証明するためにも有用である。
着色剤としては、シリコーン樹脂を着色できるものであればよく、例えばカーボンブラック(墨);金属の酸化物、炭酸塩または水酸化物などの無機系化合物(例えば、酸化鉄微粉など);金属錯体を含むもの;および有機系化合物を挙げることができる。基本的には、処理後のアスベスト含有被覆層やアスベスト含有物の処分方法に応じて、環境に悪影響のない着色剤を用いることが好ましい。かかる着色剤としては、カーボンブラック(墨)のほか、鉄、亜鉛、チタン、ナトリウムまたはニッケルなどの環境に悪影響のない金属化合物を挙げることができる。具体的には、ベンガラ(Fe2O3)、鉄黒(Fe3O4)、ZnO・Fe2O3、TiO2・BaO・NiO・ZnO、石膏(CaSO・2H2O,群青(Na6Al6<SiO4・2Na2SO4などが挙げられる。また着色剤は、アスベスト処理液とともにアスベスト含有被覆層を構成するアスベスト繊維の間隙を移動する必要があるから、その粒子径は小さいことが好ましく、例えば直径が0.5ミクロン以下のものを例示することができる。
着色剤の配合量は、アスベスト処理液を着色し、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物に適用した場合に、目視で色が観察できる量であれば制限されず、その範囲で任意に選択することができる。制限されないが、例えば0.1〜10重量%の範囲、好ましくは0.2〜3重量%の範囲で適宜選択することができる。
(d)セメント
セメントは、アスベスト含有被覆層の付着強度をさらに高めたい場合に、シリコーン樹脂と組み合わせて用いられる。すなわち、セメントは、好ましくはアスベスト含有被覆層を剥ぎ取り除去することなく被覆したそのままの状態で維持する場合にアスベスト処理液の成分として使用される。
アスベスト処理液中のシリコーン樹脂とセメントとの配合割合は、アスベスト含有被覆層の硬化促進効果とアスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の浸透および浸潤効果の、両方の効果から適宜設定することができる。具体的には、例えば、セメントの配合比率を高めるとアスベスト含有被覆層の硬化を促進することができる一方で、セメントの配合比率が高くなるとアスベスト含有被覆層の浸透および湿潤性が阻害される傾向にある。この2つの効果を損なわないようなセメントの配合割合としては、制限されないが、シリコーン樹脂(固形分)100重量部に対して2〜20重量部、好ましくは4〜10重量部を挙げることができる。またアスベスト処理液中のセメントの含有量としては、アスベスト処理液の粘度が、2〜10mPa・sの範囲、好ましくは2〜8mPa・s、より好ましくは3〜6mPa・s、さらに好ましくは3.5〜5mPa・sの範囲になるように〔測定条件:温度25℃、B型粘度計(東京計器社製)、30rpm回転数で1分間測定〕、1〜30重量%の範囲で適宜設定調整されるのが好ましい。
これら(a)〜(d)の成分は、シリコーン樹脂と1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも好ましくは(a)水および(c)着色剤であり、アスベスト含有被覆層を剥ぎ取らずそのまま固化して使用する場合は、さらに(d)セメントを組み合わせて用いられることが好ましい。またこれらの成分を含有するアスベスト処理液の形状は、液状であれば制限されず、溶液状態、乳液状態または懸濁状態のいずれであってもよいが、好ましくは乳液状態である。
(I-2)アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の処理
(A)浸潤処理
前述するアスベスト処理液のアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物への供給方法は、制限されないが、対象がアスベスト含有被覆層である場合は、当該被覆層表面へのアスベスト処理液の吹き付け、被覆層内部へのアスベスト処理液の注入若しくは圧入、被覆層のアスベスト処理液への浸漬を挙げることができる。
また、対象がアスベスト含有物の場合も同様に、アスベスト含有物へのアスベスト処理液の吹き付けおよび滴下、アスベスト含有物内部へのアスベスト処理液の注入若しくは圧入、アスベスト含有物のアスベスト処理液の浸漬、アスベスト含有物を入れた容器または袋へのアスベスト処理液の注入などを挙げることができる。この場合のアスベスト処理液の使用量は、処理対象のアスベスト含有物の容積の0.5〜1.2倍(容積比)程度が適当である。容器や袋内で処理する場合、容器または袋ごと必要に応じて転動させて浸透を加速させることが好ましい。
アスベスト含有被覆層の場合、アスベスト処理液の好ましい供給方法は、被覆層表面への吹き付けおよび被覆層内部への注入若しくは圧入である。これらの方法は、被覆層の厚みに応じて適宜選択することができ、例えば被覆層の厚みが約10cm以下であれば吹き付け供給、厚みが約10cmを超える場合は被覆層内部への注入若しくは圧入供給が好適に使用される。なお、圧入とはアスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を、圧力をかけて供給することを意味し、こうすることによってアスベスト含有被覆層内にアスベスト処理液が浸透し、且つアスベスト繊維が当該液に浸潤するのが加速され、アスベスト処理液で浸潤されないアスベスト繊維の割合を低減できるという効果がある。
アスベスト含有被覆層の表面にシリコーン樹脂を吹き付け供給することによってアスベストを処理する場合(特に、吹き付け後、アスベスト含有被覆層を剥離除去する場合)、用いるアスベスト処理液の量としては、処理するアスベスト含有被覆層の容積100部に対して20容積部以上、好ましくは30容積部以上、より好ましくは40容積部以上、さらに好ましくは50容積部以上の割合を挙げることができる(実験例1および図1参照)。この割合でアスベスト処理液を用いることによって、アスベスト処理液がアスベスト含有被覆層内に満遍なく浸透浸潤してアスベスト繊維を包み込むことができ、その後のアスベスト含有被覆層の除去作業においてもアスベスト繊維の飛散を防止することができる。
なお、アスベスト処理液に使用するシリコーン樹脂として、エマルジョン型のシリコーン樹脂(シリコーン樹脂の乳化液)を用いると、濡れ性が向上し、アスベスト処理液がアスベスト含有被覆層内により浸透し浸潤しやすくなる。このためアスベスト含有被覆層の表面にアスベスト処理液を吹き付けた場合でも、厚さが5cm以下であれば約20分以内で、アスベスト含有被覆層内部までアスベスト処理液を十分に浸透・浸潤させることができる。
アスベスト含有被覆層内部にアスベスト処理液を注入若しくは圧入する方法として、制限はされないが、例えば、先端部の径が小さくなった筒状の器具を用いてアスベスト処理剤をアスベスト含有被覆層内部に注入する方法を挙げることができる。図2にかかる注入操作に用いる装置の一例を示す。容器7に収められたアスベスト処理液2を、モーター5によって駆動されたポンプ3によって吸い上げホース6を経由して、先端部の径が小さくなった筒状の器具1によって、アスベスト含有被覆層の中に注入する。器具1は金属製であることが好ましい。また先端部の内径は1〜3mm程度、ホース側の部分の管の内径は3〜8mm程度であることが好ましい。アスベスト含有被覆層内に供給されたアスベスト処理液は、その濡れ性によって注入部周辺のアスベスト含有被覆層内に浸透および浸潤してゆく。このためアスベスト処理液としては、アスベスト含有被覆層内への浸透性が高いエマルジョン型シリコーン樹脂を含有する乳化形態の液を用いることが好ましい。
アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を十分に浸透および浸潤させるための注入条件として、好ましくは、アスベスト含有被覆層の表面面積400cmあたり1ヶ所以上、望ましくは1.5ヶ所以上の割合でアスベスト処理液を注入する方法を挙げることができる(実験例3および図3参照)。
また、その1ヶ所あたりのアスベスト処理液の供給量(容積)としては、注入箇所と注入箇所との間隔をLcm、アスベスト含有被覆層の厚みをDcmとすると、0.23L2Dcm以上、望ましくは0.5L2Dcm以上を挙げることができる。この方法によると、アスベスト含有被覆層の厚みが10cmを超える場合であっても約40分以内に、アスベスト処理液をアスベスト含有被覆層内に十分に浸透および浸潤させることが可能となる。
アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を供給する場合、被覆層の厚みが増すにつれてアスベスト処理液の浸透および湿潤が不十分な箇所が生じる。特にアスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を吹き付け供給する場合に生じやすい。これは、アスベスト含有被覆層の層構成が均質ではないためアスベスト処理液が均等に浸透しないことによって生じると考えられる。これを解消する方法としては、アスベスト処理液の供給を2回あるいは3回以上、間隔をあけて複数回行う方法を挙げることができる。供給の間隔は、制限されないが、通常10分から15時間の間から適宜選択することができる。10分未満であれば、先に供給したアスベスト処理液がアスベスト含有被覆層内を浸透している途中であり、一方、15時間を超えると水分の蒸発によってシリコーン樹脂の硬化が始まり、後に吹き付けた液の浸透が阻害されるおそれがある。
アスベスト処理液を複数回供給する場合、供給毎に粘度の異なるアスベスト処理液を用いることが好ましい。具体的には、供給を重ねるにつれて粘度が小さくなるように、まず粘度の大きいアスベスト処理液を供給し、次いでそれより粘度が小さいアスベスト処理液を供給する方法を挙げることができる。粘度の大きいアスベスト処理液は、アスベスト含有被覆層の表面に保持できる量が大きい(歩留まりがよい)が、粘度が小さいものに比べて浸透速度が遅いので、アスベスト含有被覆層の不均質状況によっては、アスベスト含有被覆層に十分に浸透できない場合がある。そこで、その後時間をおいて、粘度が小さいアスベスト処理液を供給することによって、浸透および湿潤が不十分な部分への浸透および浸潤を効率的に進めることができ、アスベスト含有被覆層が厚い場合でもアスベスト処理液を被覆層内に満遍なく浸透および浸潤させることができる。
アスベスト含有被覆層の処理は、大きくわけて、
(B)アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を供給した後に、アスベスト含有被覆層をそのまま固化させた状態で維持する方法(以下、この目的で行う処理を総称して「封じ込め処理」ともいう)と、
(C)アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を供給した後に、アスベスト含有被覆層を剥ぎ取り除去する方法(以下、この目的で行う処理を総称して「剥離処理」ともいう)とに分けることができ、かかる目的によって使用するアスベスト処理剤およびその処理方法が相違する。
(B)封じ込め処理
アスベスト含有被覆層をそのままにして建物などを使用する場合には、上記(A)に説明した方法に従って、アスベスト処理液でアスベスト含有被覆層を湿潤させた後、アスベスト処理液に含まれる水分を蒸発させてシリコーン樹脂を硬化させる処理を行うことが好ましい。水分の蒸発およびシリコーン樹脂の硬化が常温で進行する場合には、アスベスト処理液を供給し浸潤させた後、そのまま放置するだけでよい。
一方、水分の蒸発を早めてシリコーン樹脂の硬化を促進するためには加熱を行うことが好ましい。加熱することによって、水分の蒸発を早めると同時にシリコーン樹脂の硬化が早く進行して、短時間でアスベスト含有被覆層を固着させることができる。また水分の蒸発を早めることにより、アスベスト処理液を含んで重くなったアスベスト含有被覆層の自重を早く軽減することができ、それがアスベスト含有被覆層の固着を強めることにもつながる。
図4に加熱の温度と硬化強度比(アスベスト含有被覆層を安定保持するに必要な硬化強度を100とする)との関係を示す(実験例4参照)。制限はされないが、アスベスト含有被覆層を安定して保持するに必要な強度を得るように硬化を行わせるには、アスベスト含有被覆層を80℃以上、望ましくは100℃以上に加熱することが好ましい。この加熱のためには、たとえば熱風、例えば150℃程度の熱風を吹き付ける方法を用いてもよい。
加熱操作をより効率的に行う方法として、図5に示す装置を用いた、アスベスト含有被覆層への熱風吹き込みを例示することができる。例えば、熱風発生装置9で得られた熱風13(例えば、100〜150℃の熱風)を、ブロワー10、ホース6を介して、熱風吹き込みのための器具8からアスベスト含有被覆層の中に吹き込む方法を例示することができる。この器具8は金属製であることが好ましく、例えば1〜4cmなどの間隔で、ホース6につながる送風箱14から複数のものに分かれている。熱風吹き込みのための器具8は先端の内径0.5〜2mm程度の管状であり、先端に近づくほど径が小さくなっている。この管の側壁には孔12が複数設けられており、先端の孔12とともに、アスベストを含む層に熱風を吹き込む機能をはたす。熱風箱14につながる1群の熱風吹き込みのための器具8を、アスベストを含む層に挿入して、局部的に加熱を行ってゆく。これによって、硬化に必要な加熱を効率的に行うことができる。
なお、地震などにより想定外の力がかかりアスベスト含有被覆層が剥離するようなことがあっても、アスベスト含有被覆層の内部がすべてアスベスト処理液で浸透および浸潤している場合には、アスベスト繊維がシリコーン樹脂によって被覆され、また他の繊維と結合しているので、アスベスト繊維の飛散を防止することができる。
なお、アスベスト含有被覆層の固着強度をさらに高めたい場合は、アスベスト処理液としてシリコーン樹脂にセメントを配合したものを用いることが好ましい。より好ましくはエマルジョン型のシリコーン樹脂(乳化液)に適度のセメントを混合した液体を用いる。セメントの配合比率を高めることによってアスベスト含有被覆層の硬化は促進できるが、セメントの配合比率が高くなるとアスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の浸潤が阻害される。この両者の条件から適正なセメント混合割合としては、アスベスト処理液100重量%中1〜30重量%、好ましくは2〜10重量%の範囲を挙げることができる。
アスベスト含有被覆層の固着強度をさらに高めたい場合は、アスベスト含有被覆層に対して、まずアスベスト処理液を注入供給し、硬化後、さらに当該アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を吹き付け供給して浸潤させ、硬化する方法を用いることができる。具体的には、まず、アスベスト含有被覆層に、例えば図2で示すような先端が細くなった管状の器具を用いてアスベスト処理液の注入を行う。この場合のアスベスト処理液はシリコーン樹脂が乳化していないものを用いるのが好ましい。管状器具の先端の位置は、アスベスト含有被覆層内部の基板(鉄骨など)に達するようにする。斯くして注入されたシリコーン樹脂がアスベスト含有被覆層内部で硬化すると、アスベスト含有被覆層を鉄骨に固着させることができる。この硬化が進むのを待って、次いでアスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して、アスベスト処理液を、好ましくは20容積部以上の割合で、吹き付けなどによって供給して浸透および湿潤させる。
使用するシリコーン樹脂の硬化温度によっては、アスベスト含有被覆層をアスベスト処理液で浸潤させた後、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。加熱の方法は、前述の方法が同様に用いられる。
このようにアスベスト処理液で浸潤させたアスベスト含有被覆層を乾燥させるか、または加熱すると、シリコーン樹脂が硬化してアスベスト繊維の表面にシリコーン樹脂の皮膜が形成され、アスベスト繊維の大気への飛散を防止することができる。
なお、建物の建て替えなどによって、その後、このアスベスト含有被覆層を除去する場合の処置は、後述する剥離処理を同様に用いることができる。
(C)剥離処理
アスベスト含有被覆層に、上記(A)で説明するようにアスベスト処理液を供給(例えば、吹き付け供給または注入もしくは圧入供給)した後、アスベスト処理液がアスベスト含有被覆層の全体に浸透し浸潤して、アスベスト繊維の表面にシリコーン樹脂の皮膜が形成された後に、アスベスト含有被覆層を剥離する。かかるアスベスト含有被覆層の剥離作業は、特に制限されず人力または機械で行うことができる。制限されないが、例えば金具(バールなど)を用いて剥ぎ取る方法、金具に機械的な振動を与えて剥ぎ取る方法、および固体の粒(砂、小石、あるいはドライアイスの粒)を空気圧で吹き付けて吹き付け層をこわして剥ぎ取る方法を例示することができる。
この際、被覆層から剥離したアスベスト含有物(アスベスト塊またはアスベスト破片もしくはその集合物)はいずれもアスベスト繊維表面がシリコーン樹脂で包まれているか、またはシリコーン樹脂を介して他の繊維と付着しているため、大気中に浮遊せずに作業床に速やかに落下するため、大気中へのアスベスト繊維の飛散を防止することができる。また本発明のアスベスト処理液は、液体成分の蒸発が遅く、かつ水に比して粘度が大きいために、剥離作業時に生じるアスベストの微細繊維の飛散を効果的に抑制することができる。さらにアスベストの微細繊維の表面がシリコーン樹脂で覆われているので、たとえ飛散して人体に入っても、アスベストの針状結晶によって生じる人体への悪影響が抑制される可能性がある。
なお、アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を供給した後、剥離作業前に、必要に応じてアスベスト含有被覆層からアスベスト処理液を吸引する処理を行ってもよい。かかる吸引処理は任意処理であるが、アスベスト含有被覆層に供給した余剰のアスベスト処理液を回収して再利用するために好適に用いられる。かかる吸引作業は、アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液が満遍なく浸透し浸潤した後に行うことが好ましい。アスベスト含有被覆層の厚さによって相違するため、一概に規定することはできないが、例えば、厚さ2cm程度のアスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を吹き付け供給した場合には、供給から約10分程度後、また厚さ4cm程度のアスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を注入(圧入)供給した場合には、供給から約20分程度後に、吸引処理を行うことが好ましい。
アスベスト含有被覆層を剥離した後、構造物表面に残ったアスベスト含有被覆層の残留物は、再度アスベスト処理液を吹き付けまたは塗布し、ワイヤーブラシなどで仕上げの除去を行うことによって完全に除去することができる。この場合、制限はされないが、使用されるアスベスト処理液の量としては処理面1cmあたり約3g以上、好ましくはシリコーン樹脂量に換算して3g以上を挙げることができる。さらに、その作業後、必要に応じて、除去面全体にアスベスト処理液を吹き付けまたは塗布して、残留したアスベストを完全に固定化することもできる。この場合に使用されるアスベスト処理液の量としても、上記と同様に処理面1cmあたり約3g以上、好ましくはシリコーン樹脂量に換算して3g以上を挙げることができる。
次いでアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物は、下記に説明する処理((D)加圧減容処理、(E)焼成または溶融処理)に供される。また後述する処理は、上記(C)剥離処理で得られたアスベスト含有物(アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物)だけでなく、別途アスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物に対してアスベスト処理液を用いて上記の「(A)浸潤処理」を行ったアスベスト含有物(アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物)に対しても、同様に適用することができる。
(D)加圧減容処理
加圧減容処理は、前述する(C)剥離処理によってアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物、または別途アスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物に対してアスベスト処理液を用いて「(A)浸潤処理」を行ったアスベスト含有物(以下、これらを総じて「アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物」という)を、加圧して減容することによって行うことができる。
加圧減容は、制限されないが、通常、アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物を容器に入れて圧縮機などでプレスすることによって行われる。斯くしてアスベスト含有物をコンパクトな成型物(加圧減容物)とすることができる。加圧の力は制限されないが、例えば20kg/cm以上、好ましくは70kg/cm以上を挙げることができる。
加圧時の温度条件は特に制限されない。よって、通常は、温度を特段制御することなく加圧を行うことができる。この場合、加圧後、得られた加圧減容物はその後の乾燥に伴って硬化する。この乾燥に伴う硬化を早めるためには、加圧後、得られた加圧減容物の乾燥を加熱条件下または低湿度条件下で行うか、または水の蒸発を促進する目的で加圧減容を加熱条件下で行う方法を用いることもできる。また、使用したシリコーン樹脂が常温では硬化しないものである場合にも加熱を行うことができる。
加圧減容を加熱条件下で行う場合、採用される温度条件は、アスベスト処理液に使用されるシリコーン樹脂の硬化温度に応じて適宜設定することができる。通常、かかる硬化温度に応じて、「樹脂の硬化温度+30℃以上」を目安として設定することができる。具体的には50℃以上、好ましくは60〜150℃を例示することができる。かかる温度で加圧することによって、アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物が加圧減容(圧縮成型)と同時に硬化するため、得られた成型物のハンドリングが容易であり、またその後の硬化処理を省くことが可能となる。
斯くしてアスベスト含有物(乾燥時の見かけ比重:0.3−0.4程度)であったものを、見かけ比重1.5以上、好ましくは1.8〜2.1程度にまで増すことができ、アスベスト含有物の見かけ容積(乾燥時)を1/5〜1/7程度まで減らすことができる。また、得られた成型物中のアスベスト繊維は、表面をシリコーン樹脂で覆われているので、たとえ飛散するようなことがあっても人体への悪影響は消失している。
なお、かかる加圧減容処理の際、アスベスト処理液浸潤アスベスト含有物からアスベスト処理液の一部が溶出してくるが、この処理液は回収して、上記で説明する(A)浸潤処理においてアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の湿潤に再利用することができる。
(E)焼成または溶融処理
上記(D)加圧減容処理によって得られた圧縮成型物の行き先には、次の3つを挙げることができる:
(1)圧縮成型物の状態で、管理型最終処分場に埋め立てる。
(2)引き続いて焼成処理して、アスベストを消滅させてから最終処分あるいは再利用する。
(3)引き続いて溶融処理して、アスベストを消滅させてから最終処分あるいは再利用する。
まず、(1)の場合については、減容によって、容積を1/5−1/7にすることによって、輸送費の低減、および最終処分地への埋め立て費用の低減が可能である。また、成型物が撥水性をもった樹脂で硬化していることから、空気中へのアスベストの飛散はもちろん、アスベスト繊維が土中で水に流れ出すことも防止できる。このように、アスベスト繊維自体は残った状態であるが、アスベストの悪影響を、従来法より経済的に、かつ確実に抑制できる。
管理型最終処分場に埋立て処分できない場合、上記(D)加圧減容処理によって得られた圧縮成型物を、安定型処分場に埋め立て処分するか、または資源として有効に再利用するために下記のいずれかの処理に供することができる:
(a)焼成処理、
(b)溶融処理。
(a)焼成処理
焼成処理は、上記の加圧減容処理で得られた圧縮成型物(または硬化成型物)に対して行うことができる。また、(A)の浸潤処理によって得られたアスベスト処理浸潤アスベスト含有物または(C)の剥離処理によってアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト処理浸潤アスベスト含有物に対して直接行うこともできる。
焼成処理は、上記の圧縮成型物(または硬化成型物)を、加熱炉に入れて400〜1200℃の温度に加熱することによって行われる。温度を上げるにつれて成型物には次のような変化が起こる。まず、400℃を越えると、有機物分の分解が起こり始める。シリコーン分はSiOを経由してSiO2のような無機質分に変化してゆく。さらに温度があがるにつれ、原子の拡散速度が大きくなり、細い繊維のように比表面積が大きいな形態のものは、表面エネルギーが大きく不安定であるので、形態が細い繊維から粒状のものに変化してゆく。この変化は、最初、細い繊維であったものほど優先的に進行する。この変化が起こるには、温度が高いほど短時間でおこり工程としては有利であるが、好ましくは最高温度を950℃以上、とくに好ましくは1050℃以上にする。これによって、有害な、細かいアスベスト繊維の消滅が進行する。とくに人体に有害なのは、人体の細胞に作用する細い繊維状のものといわれているが、その有害なものから優先的に起こるので、アスベストの無害化という点では合理的である。すなわち、ある倍率で観察して、繊維が消滅していることを確認できれば、それよりも径の小さい繊維は消滅しているといえるからである。なお、この繊維状から粒状化への変化とともに、被加熱物の中に不均一に存在していた各種元素の分布が均一になる方向に向けて、原子の拡散が進行する。その結果、局部的、たとえば粒状組織の接触点などでは、各種の元素が混合して融点の低下がおこり、粒同士の接合、一体化が進み、成型物全体の強度増加が進行する。このような過程を焼成という。本発明では、安定に湿潤させるために用いた粘度調整剤や着色剤の成分が、焼成の段階では、必要加熱温度を下げることに役立っている。
400℃以上にするのは原子の拡散に必要な時間を短縮するためであり、一方、1200℃以下にすることは溶融を行わせないためである。また加熱時間は4時間以上が望ましい。
なお、理論的には、アスベストを含有するものを、どのような状態であれ加熱炉に入れて加熱さえすれば、細かい繊維の消失が行われるとも言えるが、実際の工程では、加熱の途中で、炉内のガス流に乗って細かいアスベスト繊維の飛散がおこって、問題は飛散物(ダスト)に移るおそれがある。たとえば、本発明の方法とは異なり、シリコーン樹脂を用いないで剥離し、さらに加圧・減容・硬化が行われていないものでは、このような問題がおこりやすい。ダストの回収・処理が不十分であれば、かえってアスベストの悪影響を広げるおそれがある。
それに対して、本発明の方法で処理されたものは、まず、圧縮成型されていること、さらにシリコーン樹脂の硬化が進行しているので400℃以下では、アスベストの微細繊維の飛散が起こらないこと、それ以上の温度では、上述の原子拡散による粒状化、一体化が進むことから、細かいアスベスト繊維を含むダストの生成を確実に防止することができる。
斯くして得られた焼成物は、アスベストを含んでいない成型物であるので、安定型処分場に埋め立てることができる。さらに、加圧減容時の形をそれに合ったものにすれば、焼成物は、レンガやブロックなどの用途に利用することができる。
なお、加圧減容されていないものに対しても上と同様の処理を行ってアスベストを無害化することができる。しかし、加圧減容化されたものと比べて、加熱炉内で占める容積が大きく、かつ熱伝導度が小さいため、加熱炉の生産性が低下する点、ならびに処理後のものを安定型最終処分場に埋め立てる時に容積を小さくすることができない点において、加圧減容化されたものに焼成処理する場合よりも劣る傾向にある。
(c)溶融処理
溶融処理は、上記の加圧減容処理で得られた圧縮成型物(または硬化成型物)に対して行うことができる。また、(A)の浸潤処理によって得られたアスベスト処理浸潤アスベスト含有物または(C)の剥離処理によってアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト処理浸潤アスベスト含有物に対して直接行うこともできる。
溶融処理は、上記の圧縮成型物、硬化成型物または焼成物を、加熱炉に入れて1250℃以上、好ましくは1350〜1550℃に加熱することによって行うことができる。斯くしてこれらの圧縮成型物(または硬化成型物)は溶融してスラグが調製される。なお、この加熱の過程では、本発明のアスベスト処理液で処理したものはそうでないものと比べて、前述と同じ理由で、アスベストの微細繊維がダストとして飛散することを大幅に軽減できるという特徴がある。斯くして得られる溶融物にはアスベストは消滅して含まれておらず、この処理によって得られたものは、土木工事に用いられる砂や石の代替品あるいは耐火物や瓦などの資源に用いることもできる。
II.アスベスト処理剤
本発明のアスベスト処理剤は、上記のアスベスト処理に好適に使用される処理剤であって、シリコーン樹脂を主成分とするものである。アスベスト処理剤の形状は、液状であれば制限されず、溶液状態、乳液状態または懸濁状態のいずれであってもよいが、好ましくは乳液状態である。シリコーン樹脂には、通常、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルジョン型、自己乳化型などがある。制限されないが、本発明のアスベスト処理剤に用いられるシリコーン樹脂は、好ましくは水と併用することができるエマルジョン型(乳化型)および自己乳化型であり、特に好ましくはエマルジョン型である。
本発明のアスベスト処理剤は、必要に応じて、シリコーン樹脂に加えて、少なくとも(a)水、(b)粘度調整剤、(c)着色剤、および(d)セメントからなる群から選択される少なくとも1種を配合することができる。これらの成分を配合する目的、配合する割合、各種成分の種類などは、I(I-1)で説明した通りである。
本発明のアスベスト処理剤は、シリコーン樹脂に加えて、少なくとも(a)水、(b)粘度調整剤、(c)着色剤、および(d)セメントからなる群から選択される少なくとも1種が予め1つの組成物として調製され1つの容器に充填されている必要はない。例えば、セメントは水硬性成分であるため、予めアスベスト処理液に配合しておくと硬化して使用できなくなる。またエマルジョン型シリコーン樹脂を使用する場合、着色剤やその他の成分によっては、併存によってその乳化が阻害され、安定して保存できないという問題が生じる場合がある。このため、本発明が対象とするアスベスト処理剤には、シリコーン樹脂と、少なくとも(a)水、(b)粘度調整剤、(c)着色剤、および(d)セメントからなる群から選択される少なくとも1種とが、別個に包装されて、使用時に使用者が混合して使用される態様のものが含まれる。この場合、特に制限されないが、(a)水と(b)粘度調整剤、(a)水と(c)着色剤、または(a)水と(b)粘度調整剤と(c)着色剤が、1つの組成物として混合されて1つの容器に収納されていてもよい。
III.アスベスト処理装置
本発明はまた、上記の(D)加圧減容処理を実施するために用いられる装置を提供する。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る処理装置の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図6は本実施形態に係る処理装置の斜視図である。
図6に示すように、この処理装置は、アスベスト処理液が含浸されたアスベスト含有被覆層またはこのアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物(以下、まとめてアスベスト含有物という)を処理するものである。投入するホッパー20と、投入されたアスベスト含有物21を処理する処理部30とから構成されている。ホッパー20と処理部30とはスクリューコンベア40で連結されており、ホッパー20に投入されたアスベスト含有物は、所定量ずつ切り出され、処理部30へと搬送される。
処理部30は、搬送されたアスベスト含有物が収容されるケース(収容部)31と、このケース31を支持する支持台32とを備えている。ケース31は、平面視矩形状に形成され、底面を構成するケース底板(閉鎖部材)311と、側面を形成し上下動可能なケース胴体312とで構成され、上部は開口している。ここで、ケース底板311とケース胴体312との連結部分には隙間が形成されている。また、ケース31の上部開口には、スクリューコンベア40で搬送されたアスベスト含有物が投入されるとともに、ケース31の上方に設けられた押圧具50が進入可能となっている。より詳細には、押圧具50は、ケース30の開口とほぼ同じ大きさの押圧部51と、これを上方から支持する支持棒52とで構成され、支持棒52が下降することによって押圧部51がケース31の開口に進入し、ケース31内のアスベスト含有物を押圧するようになっている。
支持台32上には、ケース底面311に沿って一対の溝33が形成されており、この溝33は、支持台32の端部まで延びている。そして、支持台32の端部には、各溝33を流れてきた液体を受ける回収容器34が配置されている。また、ケース31、押圧部50、及び支持台32において、アスベスト含有物、及び後述する絞り出された液体と接触する領域には、複数の金属パイプ35が配置されており、これらが50℃以下になるように、必要に応じて冷却水が流せるようになっている。
次に、上記装置によるアスベスト含有物の処理方法について図7も参照しつつ説明する。まず、ホッパー20にアスベスト含有物を投入すると、このアスベスト含有物は所定量ずつスクリューコンベア40によって処理部30へと搬送される。そして、スクリューコンベア40から排出されたアスベスト含有物は、ケース31内に投入される。こうしてケース31内に所定量のアスベスト含有物が投入されると、押圧部50が下降し、投入されたアスベスト含有物が圧縮され、圧縮成型物60が形成される。この際、アスベスト含有物からしみ出てきた液体は、ケース胴体312とケース底板311との間の隙間からケース31外へと流れ出し、溝33を伝って回収容器34で回収される。このときの圧縮の程度としては、例えば次のようにすることができる。つまり、水平断面を5cm×10cmとし、成型物の高さが5cmとすれば、ケースの高さは30〜40cmとする。押圧具50にかけられる力は、成型物に要求される強度に依存するが、たとえば1.5〜9.0tである。これによって見かけ比重が1.5〜2.2の成型物が得られ、1/5〜1/7に減容される。
続いて、このようにアスベスト含有物の圧縮が行われた後、図7に示すように、ケース胴体312を押圧部50とともに上昇させる。これにより、ケース31から圧縮成型物が露出する。これに続いて、圧縮成型物を押し具などで水平方向に移動させれば、圧縮成型物60の取り出しが完了する。その後、ケース胴体312を初期位置に戻し、上述した圧縮動作を繰り返す。
なお、圧縮成型物60の取り出し方法は、これに限定されるものではなく、種々の方法が可能である。例えば、図8に示すように、ケース底板311が支持台32の内部に下降するように構成しておく。そして、ケース底板311の下降位置において成型物60が水平方向に移動できるような通路36を形成しておく。このような構成により、押圧部50による圧縮が行われた後、ケース底板311を下降させれば、ケース底板311とともに圧縮成型物60が下降する。そして、下降位置において押し具などによって圧縮成型物60を水平方向に移動させれば、回収をすることができる。
また、図9に示すような構成することもできる。この例では、2つの隣接した収容空間71、72が形成された枠体70を用いる。この枠体70における各収容空間71,72は平面視矩形状に形成され、上下に開口している。この枠体70を支持台32の上面に配置し、一方の収容空間71にスクリューコンベア40によってアスベスト含有物を投入する。そして、所定量投入されれば、押圧部50によってアスベスト含有物を押圧し、圧縮成型物60を形成する。続いて、枠体70を水平移動させ、圧縮成型物60が収容されている収容空間71が支持台32からはみ出すようにする。これに続いて、押し具などによって圧縮成型物60を収容空間71から外部に押し出せば、圧縮成型物60が回収される。なお、一方の収容空間71から圧縮成型物60を排出している際には、他方の収容空間72にはアスベスト含有物が投入され、圧縮動作が行われる。
以上のようにして、シリコーン樹脂がまだ硬化していない状態の圧縮された成型物60と、絞りだされた液体を得ることができる。なお、取り出された成型物の表面を加熱して硬化を促進したい場合には、図6に示した装置に隣接した場所で、たとえば、成型物60の表面に熱風を吹きつけるか、あるいは、金属板でトンネル状のものを作り、その板を熱風や、通電のよる抵抗発熱によって加熱し、そのトンネル中を成型物を移動させるなどの方法を用いることができる。
また、別の圧縮処理法(B法)は、上述したことと比べて、ケース底板311、ケース胴体312、押圧具50が、60℃以上、300℃以下に加熱されていることが異なっている。この方法によると機械的圧縮と同時に成型物の表面のシリコーン樹脂を硬化できるので、あとの成型物のハンドリングが容易になるという特徴がある。60℃以上であることは水分蒸発促進のために必要であり、一方、400℃超では成型物の表面の強度が低下するので好ましくない。金属製であるケース底板311、ケース胴体312、押圧具50、可動型枠体70などを所定の温度に加熱することは、例えば、これらに金属パイプ35を取り付けておき、そのパイプ35の中に高温ガスを流すことによって行なわれる。なお、成型物内部の硬化は、この処理後、放置する間に進行する。また、この場合にも、加熱温度が120℃以下であれば、圧縮によって、もとのアスベスト含有物に含まれていたシリコーン樹脂の乳化液を含む液体の過剰分は先に説明した方法(A法)とほぼ同様に抽出できる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。図10は、第2実施形態に係る処理装置の斜視図である。
同図に示すように、この処理装置は、アスベスト含有物が投入されるホッパー101と、ホッパー101の下方に配置され、アスベスト含有物を受ける円筒型の収容部110とを備えている。ホッパー101の内部にはギアポンプ102が配置されており、ホッパー101内のアスベスト含有物が所定量ずつ収容部110の内部に投入されるようになっている。収容部110は、軸線が水平方向を向くように配置されており、ホッパー101と対向する上部に開口111が形成されている。また、収容部110の軸方向の一端部は開口112(第1の開口)しており、この開口112からピストン型の押圧具120が進退可能に挿入されており、収容部110内に投入されたアスベスト含有物を圧縮できるように構成されている。一方、収容部110の軸方向の他端部の開口(第2の開口)は、開平可能な蓋114によって閉じられている。また、収容部110の一端部の開口112の下方には、廃液を回収する回収容器130が配置されている。ここで、後述するように、成型物から液体を絞り出し、回収容器130で回収するためには、押圧具120の先端形状を収容部110の内径よりやや小さくするとともに、収容部110を回収容器130側に下向きにやや傾けておくことが好ましい。
なお、押圧具120は、装置の端部に配置されたモータ140に接続されており、モータ140の回転をリンク機構150によって往復運動に変換し、この往復運動によって押圧具120が往復動するように構成されている。また、収容部110の蓋113の下方にはベルトコンベア160が配置されている。
次に上記のように構成された処理装置の動作について説明する。まず、ホッパーにアスベスト含有物を投入すると、このアスベスト含有物は、ギアポンプ102によって所定量ずつ下方に落下していき収容部110の内部に投入される。これに続いてモータ140を駆動し、押圧具120を前進させる。これにより、収容部110内のアスベスト含有物が蓋113側に移動されて圧縮され、圧縮成型物が形成される。この過程において、アスベスト含有物に含有されていた液体は、絞り出され、収容部110の他端部112から流れ出し、回収容器130で回収される。その後、所定の圧縮が完了すれば、蓋113を開き、押圧具120をさらに前進させることで、圧縮成型物を収容部110の外部に押し出す。こうして押し出された圧縮成型物はベルトコンベア160によって搬送されていく。その後、蓋113を閉じ、押圧具120を初期位置に戻し、上述した圧縮動作を繰り返す。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。図11は、第3実施形態に係る処理装置の斜視図である。
同図に示すように、この処理装置は、アスベスト含有物が投入されるホッパー201と、このホッパー201の下方に配置され、アスベスト含有物を受ける円柱型の収容部210とを備えており、これらは支持台220によって支持されている。ホッパー201の下方にはスクリューコンベア230が配置されており、ホッパー201内のアスベスト含有物が所定量ずつ収容部210へと搬送されるようになっている。収容部210は、軸線が鉛直方向を向くように配置されており、軸線周りに回転可能に構成されている。また、収容部210は円形の基板240によって支持されており、この基板240上で回転するようになっている。さらに、収容部210の上面には、軸線の周囲に3つの貫通孔211が形成されており、図12に示すように、各貫通孔211の下側の開口周縁の内壁面は、下方へ行くほど径が広がるようにテーパ状に形成されている。
また、収容部210が回転することで、各貫通孔211は、3つの位置に選択的に配置されるようになっている。第1の位置は、スクリューコンベア230の直下であり、貫通孔211がこの位置にあるときには、スクリューコンベア230からのアスベスト含有物が貫通孔211内に投入される。第2の位置は、第1の位置に隣接する位置であり、第1の位置で投入されたアスベスト含有物がこの位置で圧縮される。つまり、第2の位置の上方には、押圧具250が配置されており、上方から貫通孔211内に進入可能となっている。また、第2の位置においては、基板240に小孔が形成されており、圧縮によってアスベスト含有物から絞り出された液体が下方へと流れ出すようになっている。流れ出した液体は、その下方にある回収容器260で回収される。そして、第2の位置に隣接する第3の位置の下方には、ベルトコンベア270が配置されている。一方、第3の位置の上方には、上下動可能に支持された押し具280が配置されており、第3の位置にある貫通孔211に進入し、圧縮成型物をベルトコンベア270上に押し出すようになっている。なお、基板240上で第3の位置に対応する位置には穴が形成されており、この穴を介して、貫通孔211の圧縮成型物が下方へと押し出されるようになっている。また、回収容器260、ベルトコンベア270、及び収容部210を回転させるモータ290は、支持台220の内部に収容されている。
次に上記のように構成された処理装置の動作について説明する。まず、ホッパー201にアスベスト含有物を投入すると、このアスベスト含有物は、スクリューコンベア230によって所定量ずつ下方に落下していき収容部210において第1の位置にある貫通孔211に投入される。所定量のアスベスト含有物が投入されると、収容部210は回転し、アスベスト含有物が収容された貫通孔211が第2の位置に移動される。続いて、第2の位置では、押圧具250が下降し、貫通孔211内のアスベスト含有物を圧縮する。この過程において、アスベスト含有物に含有されていた液体は、絞り出され、基板240の小孔から流れ出し、回収容器260で回収される。その後、所定の圧縮が完了すれば、収容部210がさらに回転し、成型物が入っている貫通孔211が第3の位置へ移動される。そして、この位置においては、押し具280が下降して、貫通孔211内の成型物をベルトコンベア270上に落下させる。このとき、貫通孔にはテーパが形成されているので、押し具280の圧力が小さくても成型物を貫通孔211から抜き出すことができる。こうして、成型物はベルトコンベア270によって搬送されていく。
収容部210には、3つの貫通孔211が形成されているため、それぞれが第1から第3の位置にあるときに、上述した動作が行われる。そのため、アスベスト含有物の圧縮は、連続的に行われる。
以上、第1から第3実施形態に係る処理装置によれば、アスベスト含有物の圧縮減容とともに、アスベスト含有物に含まれていたシリコーン樹脂を含む液体の回収が可能となる。
IV.アスベスト処理物(圧縮成型物)の焼成装置
本発明はまた、上記の(E)焼成処理を実施するために用いられる装置を提供する。
本実施形態に係る焼成装置は、上述した処理装置で加圧減容によって作製された成型物を焼成して、無害化するためのものである。その特徴は、細かいアスベストの繊維組織を消滅させて、粒状の組織に変えることである。そのためには、400〜1200℃の範囲、最高加熱温度を好ましくは950℃以上、とくに好ましくは1050℃以上に加熱することが必要になる。
図13に示すように、この焼成装置は、成型物を加熱する加熱炉301を備えている。この加熱炉301は、外壁を鋼材などで構成するとともに、内部を耐火材306で被覆した箱型に形成されており、ガスなどをバーナーで燃焼させて加熱を行うものである。但し、熱源は電気ヒーターであってもよい。また、この加熱炉301の前面は開閉可能となっており、この前面から、レール上を移動する台車302が収容可能となっている。台車302の上面は耐火材306で構成され、その上には、容器305に収容された成型物304が配置される。成型物304を収容する容器305は、上部の開口が蓋で閉じられるとともに、側面には、複数の小孔からなる空隙309が形成されている。
また、加熱炉301の上部には、ガスを排出するための煙突状のパイプ(排出部)303が設けられている。このパイプ303と加熱炉301との連結部分には、パイプ303の流路を狭めるように、邪魔板(規制部材)308が設けられている。
次に、上記のように構成された焼成装置による焼成工程について説明する。まず、加熱対象となる複数の成型物304を容器305内に配置し、これを台車302とともに、加熱炉301内に収容する。続いて、加熱炉301を所望の温度まで昇温し、成型物304を加熱する。
この際、成型物内に含有されるシリコーン樹脂は500℃以上になると、雰囲気に酸素が不足している場合には、ガス状のSiOを発生することがある。このSiOは雰囲気の酸素と反応してSiOになるが(2SiO+O→2SiO)、この場合に生成したSiOは繊維状ではないからアスベスト微細繊維のような問題を生じないが、炉内で簡便に除塵されることが望ましいので本実施形態では以下のような対策が講ぜられる。
まず、加熱炉301内を酸化性雰囲気で加熱すると、成型物304から発生したSiOは容器305内で酸化されてSiOに変わり、そのSiOの微細な粒が容器305内面に付着して膜を形成する。
これによって、生成したSiOが容器5外部に出ることを抑制するとともに、形成されたSiOの膜は容器305を補強するのに役立つ。この場合、容器305に設けられた空隙309は、外部の酸化性ガスを導入して、発生したSiOを容器内でSiOに変えるために必要となる。
さらに、加熱炉301内の高温ガスがパイプ303から外部に排出される途中に、邪魔板308が設けられているため、高温排ガスの中に微量に含まれていたSiOの微粒が邪魔板308の上に堆積して焼結が進む。これによって、排ガスの中のSiOをさらに低減するとともに、形成されたSiO膜は邪魔板308を補強するのに役立つ。以上のように、本実施形態に係る焼成装置では、加熱とともに発生する排ガスの中のSiOを低減することができる。なお、必要に応じてその後に排ガスの集塵機(たとえばバグフィルターなど)を設置することもできる。
このように加熱の過程での有害ガスあるいは微粒の発生を防止しながら、400℃以上の温度で、被加熱物である圧縮減容された成型物中の固体組織の中で原子の拡散による移動が起こる。この移動速度は温度が高くなるほど大きくなる。この過程で、原子の移動の推進力になるのは、固体〔微細繊維状など〕の比表面積(単位重量あたりの表面積)を小さくしようとする力である。微細繊維ほど、この比表面積の値が大きいので、その比表面積を小さくしようとする力が大きい。この推進力によって、加熱温度が高いほど、加熱時間が長いほど、繊維状から粒状への組織の変化が速く進行する。例えば、1050℃で30分保持することにより、10ミクロン以上の繊維組織は完全に粒状になっていることが確認されている。なお、これは、もっと比表面積が大きい微細繊維状組織では、これは、もっと低い温度で、あるいはもっと短い時間で、繊維状の組織から粒状の組織への変化が進んでいることを意味する。
なお、加圧・減容されたものと、そうでないものでの、加熱・焼成過程での挙動と、焼成生成物の差は次ぎの通りである。上記のように加圧・減容された成型物では、そうでないものに比べて熱伝導度が大きくなっており、加熱時に内部に熱が伝わりやすく処理時間を短縮できる。また。圧縮・減容で繊維間の接点が増えているので、加熱の過程でこの部分での原子の拡散によって一体化が進む。その結果として、焼成処理物が安定型最終処分場に埋め立て処理される場合は、容積の減少と成型物の強度の増加が進み有利になる。また、焼成処理物を再利用する場合にはそれに必要な強度がこれによって確保することができる。
以上の工程を経ることで、成型物内の細かいアスベストの繊維を消滅させて、粒状の組織に代えて無害化することが可能となる。こうして、所定時間の加熱が完了すると、加熱炉301の前面を開き、台車302とともに、容器305に入った成型物304を取り出し、次に加熱する成型物を台車302上に乗せて再び加熱を行う。
なお、上記実施形態では、加熱炉301を箱形で形成しているが、トンネル型のものを用いることもできる。トンネル型の場合、加熱炉301の前面及び背面を開閉可能とし、台車は、前面から加熱炉内に収容され、背面から加熱炉外に出て行くように構成される。したがって、トンネル型の場合は、台車の速度を設定して一方向に連続的に動かすことができるため、効率的な成型物の加熱が可能となる。
なお、本発明には下記の態様が含まれる。
(1)アスベスト含有被覆層に、その体積(100容積部)の30容積部以上のシリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を吹き付けによって供給し、アスベストをアスベスト処理液で浸潤することを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(2)アスベスト含有被覆層に、その体積(100容積部)の30容積部以上のシリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を吹き付けによって供給し、アスベストをアスベスト処理液で浸潤した後、アスベスト含有被覆層の剥ぎ取り作業を行うことを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(3)アスベスト含有被覆層に、その体積(100容積部)の30容積部以上のシリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を圧入してアスベストをアスベスト処理液で浸潤した後、遊離(余剰)のアスベスト処理液を吸引して、アスベスト含有被覆層の剥ぎ取り作業を行うことを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(4)(2)または(3)でアスベスト含有被覆層から剥ぎ取ったアスベスト含有物を、1450℃以上に加熱してアスベストを溶融するとともにシリコーン樹脂を分解することを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(5)アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して、20容積部以上の割合で、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を吹き付けなどによって供給し、アスベスト含有被覆層をアスベスト処理液で浸潤することを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(6)アスベスト含有被覆層の水平断面400cmあたり1ヶ所以上、先端の径が小さくなった管状の器具を用いてシリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を、アスベスト含有被覆層の内部に注入して、アスベスト含有被覆層をアスベスト処理液で浸潤することを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(7)(5)または(6)の方法で、アスベスト含有被覆層をアスベスト処理液で浸潤した後、アスベスト含有被覆層の剥ぎ取り作業を行うことを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(8)(7)の方法でアスベスト含有被覆層から剥ぎ取ったアスベスト含有物を、1450℃以上まで加熱して安定化することを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(9)(5)または(6)の方法で、アスベスト含有被覆層をアスベスト処理液で浸潤した後、80℃以上に加熱することを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(10)(9)において、加熱を、先端にいくほど孔径が小さくなった管を通じて熱風をアスベスト含有被覆層の内部に吹き込むことによって行うアスベスト飛散防止方法。
(11)(5)または(6)の方法において、アスベスト処理液として、シリコーン樹脂の乳液に、1〜30重量%の割合でセメントを混合した液体を用いることを特徴とする(9)または(10)記載のアスベスト飛散防止方法。
(12)アスベスト含有被覆層に、先端の孔径が小さくなった管状器具を用いてシリコーン樹脂を含有するアスベスト処理液を注入した後、アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して、20容積部以上の割合で、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を吹き付けなどによって供給し、アスベスト含有被覆層をアスベスト処理液で浸潤することを特徴とするアスベスト飛散防止方法。
(13)アスベスト含有被覆層に、シリコーン樹脂に着色剤を混合したアスベスト処理液を吹き付けなどによって供給し、アスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の浸潤の状況を目視できるようにしたことを特徴とするアスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(14)(13)において、アスベスト処理液がシリコーン樹脂の乳液を含有するものであることを特徴とするアスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(15)シリコーン樹脂に着色剤を加えたアスベスト処理液からなる、(14)の方法の実施に使用されるアスベスト含有物の無害化処理用品。
(16)着色剤が、炭素、金属化合物あるいは有機化合物のいずれかである(13)または(14)に記載するアスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(17)着色剤が、炭素、金属化合物あるいは有機化合物のいずれかである(15)に記載するアスベスト含有物の無害化処理用品。
(18)アスベスト含有被覆層の剥ぎ取りを行う場合に、シリコーン樹脂の乳液に着色剤を加えたアスベスト処理液をアスベスト含有被覆層に吹き付けなどによって供給し、浸潤の状態を目視によって観察し、確実に浸潤するための条件を把握した後、当該アスベスト処理液を用いて以後のアスベスト含有被覆層への浸潤作業を行うことを特徴とする、アスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(19)アスベスト含有被覆層の剥ぎ取りを行う場合に、シリコーン樹脂の乳液に着色剤を加えたアスベスト処理液を吹き付けなどによって供給し、浸潤の状態を目視によって観察し、確実に浸潤するための条件を把握した後、着色剤を含まないアスベスト処理液を用いて、把握した条件で以後のアスベスト含有被覆層への浸潤作業を行うことを特徴とする、アスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(20)アスベスト含有被覆層にシリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を吹き付けなどによって供給し、アスベスト含有被覆層を浸潤した後、当該層から剥ぎ取ったアスベスト含有物を60℃以下の温度でプレスなどを用いて加圧し、ついで80℃〜350℃の温度に加熱して硬化することを特徴とするアスベスト含有物の減容・無害化方法。
(21)アスベスト含有被覆層から剥ぎ取られたアスベスト含有物に、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を加えて湿潤した後、60℃以下の温度でプレスなどを用いて加圧し、ついで80℃〜350℃の温度に加熱して硬化することを特徴とするアスベスト含有物の減容・無害化方法。
(22)アスベスト含有被覆層に、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を吹き付けなどによって供給し、アスベスト含有被覆層を浸潤した後、当該層から剥ぎ取ったものを60℃以下の温度でプレスなどを用いて加圧し、ついで400℃〜1200℃の温度に加熱して焼成することを特徴とするアスベスト含有物の減容・無害化方法。
(23)アスベスト含有被覆層から剥ぎ取ったアスベスト含有物に、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を加えて湿潤した後、60℃以下の温度で加圧し、ついで400℃〜1200℃の温度に加熱して焼成することを特徴とするアスベスト含有物の減容・無害化方法。
(24)アスベスト含有被覆層に、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を吹き付けなどによって供給し、アスベスト含有被覆層を浸潤した後、当該層から剥ぎ取ったアスベスト含有物を60℃以下の温度でプレスなどを用いて加圧し、ついで1250℃以上に加熱して溶融することを特徴とするアスベスト含有物の減容.無害化方法。
(25)アスベスト含有被覆層から剥ぎ取ったアスベスト含有物に、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を加えて湿潤した後、60℃以下の温度で加圧し、ついで1250℃以上に加熱して溶融することを特徴とするアスベスト含有物の減容・無害化方法。
(26)(20)〜(25)において、プレスなどを用いての加圧時に液体として分離されたものを、アスベスト含有被覆層あるいは当該層から剥ぎ取られたアスベスト含有物を湿潤するのに用いることを特徴とするアスベスト含有物の減容・無害化方法
(27)アスベスト含有被覆層あるいはアスベスト含有物に、シリコーン樹脂の乳液を含むアスベスト処理液を供給・浸透・浸潤させて、アスベストの繊維表面に、シリコーン樹脂の液体あるいは固体の皮膜を形成することを特徴とするアスベスト含有被覆層あるいはアスベスト含有物の無害化処理方法。
(28)(27)でアスベスト含有被覆層あるいはアスベスト含有物に供給されるアスベスト処理液が、シリコーン樹脂と、水に粘度調整剤を加えた液体とを混合したものであることを特徴とするアスベスト含有被覆層あるいはアスベスト含有物の無害化処理方法。
(29)(27)でアスベスト含有被覆層あるいはアスベスト含有物に供給されるアスベスト処理液が、シリコーン樹脂と、水に粘度調整剤と着色剤を加えた液体とを混合したものであることを特徴とするアスベスト含有物の無害化処理方法。
(30)(28)あるいは(29)を実施するために用いるアスベスト処理液であって、シリコーン樹脂に、水と粘度調整剤あるいは水と粘度調整剤と着色剤を含むことを特徴とするアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を無害化するための用品。
(31)(27)〜(29)において、アスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の浸透を均等化するために、吹き付けなどによる当該処理液の供給を2回あるいは3回以上に分けて行うことを特徴とするアスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(32)(27)〜(29)において、アスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の浸透を均等化するために、当該処理液として粘度が異なる2つのものを用い、初めに粘度が大きいものを供給し、ついでそれより粘度が小さいものを供給することを特徴とするアスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(33)(27)〜(29)において、シリコーン樹脂の硬化が進んでから、アスベストを含む層の剥ぎ取りを行うことを特徴とするアスベスト含有被覆層の無害化処理方法。
(34)(27)〜(29)において、シリコーン樹脂の硬化が起こる前に、アスベスト含有被覆層の剥ぎ取りを行い、引き続いて、それを機械的に圧縮してから、シリコーン樹脂の硬化を行わせることを特徴とするアスベスト含有物の無害化処理方法。
(35)シリコーン樹脂を用いることなくアスベスト含有被覆層から剥ぎ取られたアスベスト含有物に、シリコーン樹脂に、水と粘度調整剤あるいは水と粘度調整剤と着色剤を含むアスベスト処理液を供給・浸透・湿潤させて、シリコーン樹脂の硬化が起こる前に、機械的に圧縮してから、シリコーン樹脂の硬化を行わせることを特徴とするアスベスト含有物の無害化処理方法。
(36)(34)あるいは(35)を実施するための装置であって、アスベスト含有被覆層から剥ぎ取られたアスベスト含有物を収納し、そこから所要量を切り出すための供給部、供給部から供給されたアスベスト含有物を圧縮成型する圧縮成型部、成型された物を取り出すための取り出し部、および圧縮によってしみだしてきたアスベスト処理液を回収する液体回収部を有することを特徴とするアスベスト含有物の無害化処理装置。
(37)(34)あるいは(35)を実施するために用いるものであって、アスベスト含有被覆層から剥ぎ取られたアスベスト含有物を収納し、そこから所要量を切り出すための供給部、供給部から供給されたアスベスト含有物を圧縮成型する圧縮成型部、成型された物を取り出すための取り出し部、および圧縮によってしみだしてきたアスベスト処理液を回収する液体回収部を有し、圧縮成型部および取り出し部が60℃〜300℃に加熱されていることを特徴とするアスベスト含有物の無害化処理装置。
(38)(34)あるいは(35)において、機械的に圧縮されたときに液体として分離されたアスベスト処理液を、(27)あるいは(35)でアスベスト含有被覆層あるいは当該層から剥ぎ取られたアスベスト含有物に供給・浸透・湿潤するのに再利用することを特徴とするアスベスト含有物の無害化処理方法。
実施例1
体育館の天井に吹き付けられた、アスベストを70重量%の割合で含む厚さ8mmの吹き付け層(アスベスト含有被覆層)に、当該アスベスト含有被覆層の容積100部の40容積部に相当する量のポリウレタン系シリコーン樹脂(商品名Polo MF-56、信越化学(株)製)を吹き付けた。以後、5年間にわたり半年ごとに、吹き付け層の近傍から採取した空気中のアスベスト繊維の含量を測定したが、アスベスト繊維は全く検出されなかった。
実施例2
硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)を、アスベストを10重量%の割合で含むスラグウールの吹付け層(アスベスト含有被覆層)(駐車場のH型鋼表面、平均厚さ20mm)に、当該アスベスト含有被覆層の容積100部の70容積部に相当する割合で吹き付けた。吹き付けから40分経過後に、アスベスト含有被覆層の表面にカバーダクトを押し付けて150℃の熱風を吹き付けて、処理した層の温度を105℃以上に10分間保った。以後、2年間、アスベスト含有被覆層の剥離はなかった。また半年ごとに、アスベスト含有被覆層の近傍大気から採取した空気を測定したが、アスベスト繊維は全く検出されなかった。
実施例3
硬化温度が120℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)を、アスベストを40重量%の割合で含むロックウール層(アスベスト含有被覆層)(天井表面、平均厚さ50mm)に、当該アスベスト含有被覆層(容積100部)の70容積部に相当する割合で吹き付けた。吹き付けから40分経過後に、図5に示す熱風発生装置9を用いてアスベスト含有被覆層に熱風(140℃)を吹きかけて加熱した。熱風発生装置9の熱風箱14には3cm間隔に25本(5×5)の熱風吹き込みのための器具8が取り付けられている。この器具8は先端に近いほど孔径が小さくなるステンレス製の管であり、先端の内径1.0mm、熱風箱14側の内径5.0mm、長さ100mmである。この器具8の各管には、先端から40mmの領域に側壁に内径0.7mmの孔12が6個設けられている。この器具8をアスベスト含有被覆層に挿入して、20分間づつ局所的に90℃以上の加熱を行って、アスベスト含有被覆層を硬化させた。以後、3年間、アスベスト含有被覆層の剥離はなかった。また半年ごとに、アスベスト含有被覆層の近傍大気から採取した空気を測定したが、アスベスト繊維は全く検出されなかった。
実施例4
硬化温度が60℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MF-56、信越化学(株)製)に、さらにセメントを最終濃度が3重量%となるように添加した。斯くして調製したてアスベスト処理液を、アスベストを20重量%の割合で含むバーミキュライトの吹き付け層(アスベスト含有被覆層)(駐車場のH型鋼表面、平均厚さ20mm)に、当該アスベスト含有被覆層(容積100部)の70容積部に相当する割合で吹き付けた。吹き付けから40分経過後に、アスベスト含有被覆層の表面にカバーダクトを押し付けて100℃の熱風を吹き付けて、処理した層の温度を65℃以上に10分間保った。以後、3年間、アスベスト含有被覆層の剥離はなかった。また半年ごとに、アスベスト含有被覆層の近傍大気から採取した空気を測定したが、アスベスト繊維は全く検出されなかった。
実施例5
硬化温度が30℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MF-56、信越化学(株)製)を、アスベストを40重量%の割合で含むバーミキュライトの吹き付け層(アスベスト含有被覆層)(壁面および天井、平均厚さ60mm)に、図2に示す装置を用いて、アスベスト含有被覆層の水平断面積(表面積)400cmあたり1箇所の割合で注入した。装置の器具1は金属製で、先端部の内径は2mmである。注入から4時間後、硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)を、アスベスト含有被覆層(容積100部)の70容積部に相当する割合で吹き付けた。吹き付けから40分経過後に、アスベスト含有被覆層の表面にカバーダクトを押し付けて150℃の熱風を吹き付けて、処理した層の温度を100℃以上に10分間保った。以後、3年間、アスベスト含有被覆層の剥離はなかった。また半年ごとに、アスベスト含有被覆層の近傍大気から採取した空気を測定したが、アスベスト繊維は全く検出されなかった。
実施例6
硬化温度が50℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MF-56、信越化学(株)製)を、アスベストを20重量%の割合で含むバーミキュライトの吹き付け層(アスベスト含有被覆層)(平均厚さ30mm)に、当該アスベスト含有被覆層(容積100部)の70容積部に相当する割合で吹き付け、そのまま放置した。以後、2年間、アスベスト含有被覆層の剥離はなかった。また半年ごとに、アスベスト含有被覆層の近傍大気から採取した空気を測定したが、アスベスト繊維は全く検出されなかった。
実施例7
駐車場の天井に吹き付けられた、アスベストを20重量%含むロックウールの厚さ4cmの層(アスベスト含有被覆層)に、硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)100重量部に、さらに酸化鉄、酸化ニッケルおよび酸化亜鉛からなる黄土色の着色剤を2重量部の割合で加えたアスベスト処理液を、アスベスト含有被覆層(容積100部)の20、40、60,80または100容積部の割合で吹き付けた。その20分後に層の一部を採取して観察したところ、60容積部以上では、アスベスト含有被覆層全体に浸潤していることが確認された。そこで、以後の湿潤作業を上記70容積部の条件で行い、ついで60分後から150℃の熱風を吹きつけて硬化させた。この処理から2年後でも処理層の除去に何らの変化も認められなかった。
実施例8
駐車場の天井に吹き付けられた、アスベストを10重量%含むロックウールの厚さ5cmの層(アスベスト含有被覆層)に、硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)100重量部に、墨汁を1重量部の割合で加えたアスベスト処理液を、アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して30、50、70、90、110容積部の割合で吹き付けた。その20分後に層の一部を採取して着色状況を観察した結果、70容積部以上の割合で吹き付けた場合に、アスベスト含有被覆層全体に浸潤していることが確認された。そこで、以後、墨汁を加えない以外は同じアスベスト処理液を用いて、アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して80容積部の割合で吹き付け、湿潤作業を行った。60分後から160℃の熱風を吹きつけて硬化させた。この処理から3年後でもこの処理から2年後でも処理層の除去に何らの変化も認められなかった。
実施例9
体育館の天井に吹き付けられた、アスベストを70重量%の割合で含む厚さ8mmの吹き付け層(アスベスト含有被覆層)の剥離を次のように行った。
アスベスト含有被覆層に、その体積(容積100部)の50容積部に相当する量のポリウレタン系シリコーン樹脂(商品名Polo MF-56、信越化学(株)製)を吹き付けてから30分後に、人力で剥離作業を行った。剥離作業時に、作業者近傍から採取した空気中のアスベスト繊維の含量を測定したところ、空気1Lあたりに含まれる5ミクロン以上のアスベスト繊維数は、2本/L以下であった。剥離後、剥離面にさらに上記と同じポリウレタン系シリコーン樹脂を1mあたり2gの割合で吹き付けて、ワイヤーブラシを用いて、当該剥離面に残ったアスベスト含有被覆層を除去した。このときの、作業者近傍の大気中のアスベスト繊維数(空気1Lあたり5ミクロン以上のアスベスト繊維の数)は1.2本/Lであった。その後、除去面に再度同じポリウレタン系シリコーン樹脂を1mあたり2gの割合で吹き付けて、作業を終了した。
実施例10
体育館の天井に吹き付けられた、アスベストを40重量%含むバーミキュライト層(アスベスト含有被覆層)(厚さ3cm)に、シリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MF-56、信越化学(株)製)に、澱粉(粘度調整剤)を5重量%、べんがら(酸化第二鉄)を2重量%となるように配合したアスベスト処理液を吹き付けて湿潤(養生)させた。吹き付けは、アスベスト含有被覆層の表面積100cmあたり、20、40、60、80、100または120gとなるような割合で行い、10分後にアスベスト含有被覆層から一部を採取して赤く着色した領域を調べた。その結果、60g以上の吹き付けで厚さ3cmの層全体が着色していることが確認された。この結果に基づいて、以後の湿潤作業はアスベスト含有被覆層の表面積100cmあたりのアスベスト処理液の吹き付け量を70gとし、湿潤から20分後に剥離作業を行った。このときの作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量は2本/l以下であった。剥離物(アスベスト含有物)は袋に入れて、最終処分場に運び埋め立て処理した。
実施例11
体育館の天井に吹き付けられた、アスベストを70重量%の割合で含む厚さ8mmの吹き付け層(アスベスト含有被覆層)の剥離を次のように行った。
アスベスト含有被覆層に、その体積(容積100部)の50容積部に相当する量のポリウレタン系シリコーン樹脂(商品名Polo MF-56、信越化学(株)製)を、雰囲気圧1.4気圧で圧入し、その5分後に圧入したシリコーン樹脂を吸引した。吸引されたシリコーン樹脂の量は、圧入した量の約15容積%であった。なお、吸引によって回収されたシリコーン樹脂は、また本発明のアスベスト処理に再利用することができる。
吸引から30分経過した後、アスベスト含有被覆層の剥離を人力で行った。このときの作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量(空気1Lあたり5ミクロン以上のアスベスト繊維の数)は0.3本/L以下であった。剥離後、剥離面に上記で使用したものと同じポリウレタン系シリコーン樹脂を1mあたり2gの割合で吹き付けて、ワイヤーブラシを用いて、当該剥離面に残ったアスベスト含有被覆層を除去した。このときの作業者近傍の大気中のアスベスト量は0.1本/L以下であった。その後、除去面に同じシリコーン樹脂を1mあたり2gの割合で吹き付けて、作業を終了した。
実施例12
実施例11で体育館の天井から剥離したアスベスト含有被覆層(アスベスト含有物)を、1500±30℃に保たれた重油燃焼加熱炉に装入して溶融処理した。この溶融処理によって、アスベストは毒性を消失し、しかもシリコーン樹脂も完全に熱分解する。廃ガス処理系の集塵ダスト中には、アスベスト繊維が5本/gの割合で含まれていたので、これを直径5〜7mmのペレットにして、再び上記の重油燃焼加熱炉に装入して1500±30℃で溶融処理した。なお、この操作で生成したスラグは破砕して石のかわりに建築資材として使用することができる。
実施例13
硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)を、アスベストを20重量%の割合で含むバーミキュライトの吹付け層(アスベスト含有被覆層)(体育館の天井:平均厚さ45mm)に、アスベスト含有被覆層の体積(容積100部)の70容積部に相当する割合で吹き付け、40分後に人力で剥離作業を行った。このときの作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量(空気1Lあたり5ミクロン以上のアスベスト繊維の数)は2本/L以下であった。剥離作業によって得られた剥離物(アスベスト含有物)を焼却炉に装入して、最高温度1520℃で加熱溶融した。この炉から集塵されたダスト中にはアスベスト繊維は発見できなかった。また、炉から排出された溶融スラグは凝固後、破砕して道路工事用の砕石の代用品として用いることができる。
実施例14
実施例13で用いたものと同じシリコーン樹脂の乳液(アスベスト処理液)を、図2に示す装置を用いて、アスベストを10重量%の割合で含むロックウールの吹付け層(アスベスト含有被覆層)(天井、平均厚さ50mm)に注入した。装置において、先端の口径が細くなった管状の器具1はステンレス鋼製の管で、根元部の内径は4mm、先端部の内径は2mm、長さは100mmである。この器具1の先端をアスベスト含有被覆層に、表面積400cmあたり2箇所の割合で差し込んで、アスベスト処理液をアスベスト含有被覆層(容積100部)の75容積部に相当する量、注入した。注入作業の3時間後に人力で剥離作業を行った。このときの作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量(空気1Lあたり5ミクロン以上のアスベスト繊維の数)は1本/L以下であった。この剥離物(アスベスト含有物)を焼却炉に装入して、最高温度1520℃で加熱溶融した。この炉から集塵されたダスト中にはアスベスト繊維は発見できなかった。また、炉から排出された溶融スラグは凝固後、破砕してコンクリートの2次製品の骨材として用いることができる。
実施例15
硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)100重量部に墨汁を2重量部の割合で加えたアスベスト処理液を、アスベストを20重量%含むバーミキュライトの吹付け層(体育館の天井;最大厚さ5cm、平均厚さ4cm)に、当該アスベスト含有被覆層(容積100部)の20、40、60、80または100容積部の割合で吹き付けた。その20分後にアスベスト含有被覆層から一部を採取して黒く着色した領域を調べた。その結果、60容積部以上の吹き付けで、アスベスト処理液がアスベスト含有被覆層全体に黒く浸潤していることが確認された。そこで、以後の湿潤作業を、70容積部の条件で行い、浸潤30分後から人力で剥離作業を行った。このときの作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量は検出できなかった。剥離物(アスベスト含有物)を、その現場で120℃に加熱された金型の中に入れて、上から同じく120℃に加熱された鉄プレスを用いて圧縮成形した。それを加熱処理場に搬送し、最高加熱温度750℃に加熱して焼成ブロックとした。
実施例16
硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)を、アスベストを20重量%の割合で含むバーミキュライトの吹付け層(アスベスト含有被覆層)(体育館の天井;平均厚さ45mm)に、当該アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して70容積部の割合で吹き付け、40分後から人力で剥離作業を行った。このときの作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量(空気1lあたり5ミクロン以上のアスベスト繊維の数)は2本/l以下であった。
剥ぎ取ったアスベスト含有被覆層(アスベスト含有物)は、内部空間の水平面積が直径100mmの金型に入れて、10tプレスで高さが100mmになるまで、25℃で加圧・成型した。この時にしみ出した液体は、アスベスト含有被覆層への吹きつけ工程で再利用することができる。得られた加圧成型物を、加熱炉に入れて140℃で10分加熱して樹脂を硬化させた。硬化させた成型物は、屋外花壇用のブロック材として使用した。
実施例17
実施例16と同様な方法で調製した加圧成型物を、加熱炉に入れて最高温度880℃まで加熱して焼成した。この炉から集塵されたダスト中にはアスベスト繊維は検出されなかった。焼成物について破砕試験を行って、作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量を測定したところ、5ミクロン以上のアスベスト繊維は認められなかった。得られた焼成物はレンガとして使用した。
実施例18
実施例16と同様な方法で調製した加圧成型物を、焼却炉に装入して最高温度1520℃で加熱して溶融させた。この炉から集塵されたダスト中にはアスベスト繊維は検出されなかった。炉から排出された溶融スラグを凝固させた後、破砕して道路工事用の砕石の代用品として用いた。
実施例19
硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)に、シリコーン樹脂を用いないで水で養生させて剥ぎ取られ、袋に収め保管されていたアスベスト含有物を、当該アスベスト含有物の見かけ容積100部に対して70容積部の割合で含浸させた。40分後に、当該乳液(アスベスト処理液)からアスベスト含有物を取り出して、内部空間の水平断面積が直径100mmの金型に入れて、10tプレスで高さが100mmになるまで、30℃で加圧成型した。なお、この時しみ出した液体は、アスベスト含有物の含浸に再利用することができる。次いで得られた加圧成型物を、加熱炉に入れて140℃で30分加熱して樹脂を硬化させた。硬化させた成型物は、屋外用の花壇のブロック材として使用した。
実施例20
実施例19と同様の方法で調製された加圧成型物を、加熱炉に入れて最高温度880℃まで加熱して焼成した。得られた焼成物に対して破砕試験を行って、作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量を測定したところ、5ミクロン以上のアスベスト繊維は認められなかった。得られた焼成物は、レンガとして使用した。得られた焼成物は、レンガ代用物として花壇に使用した。
実施例21
実施例16と同様の方法で調製された加圧成型物を、焼却炉に装入して、最高温度1520℃で加熱した溶融した。この炉から集塵されたダスト中からはアスベスト繊維は検出されなかった。炉から排出された溶融スラグは凝固した後、破砕して道路工事用の砕石の代用品として用いた。
実施例22
硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)に、実施例16で述べたプレスによる加圧成型時にしみ出た乳化液(再利用液)を、全体の10重量%、20重量%または30重量%の割合で混ぜた液体(アスベスト処理液)を調製した。これを、アスベストを20%含むバーミキュライトの吹付け層(アスベスト含有被覆層)(体育館の天井;平均厚さ45mm)に、当該アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して70容積部の割合で吹き付けた。作業性、湿潤速度、および剥ぎ取り作業時における作業者近傍の大気中のアスベスト含有量はいずれも、シリコーン樹脂乳液(アスベスト処理液)の再利用の有無による有意な差は認められなかった。
実施例23
硬化温度が110℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)に、表1に記載する粘度調整剤(カルボキシメチルセルロース)を含有する水溶液(SL-1〜SL-4)を配合してアスベスト処理液を調製した。
Figure 2007037403
以下の実施例24〜31において、アスベスト含有被覆層あるいはアスベスト含有物の処理に使用するアスベスト処理液として、上記シリコーン樹脂の乳液に、表1の水溶液(SL-1〜SL-4)のいずれか1つを混合することによって調製した溶液を使用した。
実施例24
アスベスト含有被覆層から剥ぎ取られたアスベスト含有物の処理を、図6〜9に示す装置を用いて行った。なお金属パイプ35には冷水を供給して、アスベスト含有物に接する部分および溝33の温度を40℃以下に保った。枠体70には、上下に開口した収容空間(10cm×20cm×7cm)71と72が2つ隣接して形成されている。これを左右に水平移動させることで10cm×20cm×5〜6cmの圧縮成型物を得ることができる。圧縮成型時に押圧具50に加える力は15t重である。
実施例25
アスベスト含有被覆層から剥ぎ取られたアスベスト含有物の処理を、図6〜9に示す装置を用いて行った。金属パイプ35に150〜170℃の高温ガスを流して、アスベスト含有物を加熱しながら圧縮成型物を得た。なお、支持台32に接する金属パイプ35には冷水を流して低温に保った。
実施例26
実施例23に記載するシリコーン樹脂の乳液と、粘度調整剤を含む水溶液SL−1(表1)を、吹き付け開始の前日、重量比で1:0.7の割合で混合してアスベスト処理液を調製した。この処理液を、アスベストを20重量%の割合で含むバーミキュライトの吹付け層(アスベスト含有被覆層)(平均厚さ35mm)に、当該アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して70容積部の割合で吹き付けて、40分後から人力で剥離作業を行った。このときの作業者付近の大気中のアスベスト含有量(空気1lあたりアスベスト繊維の数)は1本/l以下であった。なお、その繊維は、顕微鏡で観察すると膜状のシリコーン樹脂で覆われていた。アスベスト含有被覆層から剥ぎ取ったアスベスト含有物を、図6〜9に示す装置で圧縮して、20cm×40cm×5〜6cmの圧縮成型物を得た。その見かけ比重は2.1であった。この圧縮成型物を130〜150℃に保たれた筒状物の中を5分間かけて通過させることによって表層部約1mmの部分を硬化させた。その後、運搬を行い、圧縮成型から25日後、内部まで硬化が進んでいることを確認して、埋め立て処分を行った。
なお、アスベスト含有物の圧縮成型時に、吹き付けに用いたアスベスト処理液の15重量%に相当する量のアスベスト処理液が回収された。これをアスベスト処理液に添加して以後の吹き付け処理に用いたが、とくに問題は認められなかった。
実施例27
実施例23に記載するシリコーン樹脂の乳液と、粘度調整剤および着色剤を含む水溶液SL−2(表1)を、吹き付け開始の前日、重量比で1:1.2の割合で混合してアスベスト処理液を調製した。この処理液を、アスベストを30重量%含むロックウールの吹付け層(平均厚さ45mm)に吹きつけた。吹き付け量は、まず試験的に、アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対する容積比が、70容積部、50容積部および30容積部となる3水準で行った。吹き付け後、被覆層の一部を切り出して、着色の有無でアスベスト理液の浸透状況を確認した。その結果、吹き付け量50容積部の時に着色がまだら状でなかったことから、以後の作業の吹き付け量を、アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して60容積部として行った。2時間後から剥離作業を行った。剥ぎ取ったアスベスト含有物の着色状況からいずれも浸透・湿潤が十分に行われていたことが確認された。
次いで剥ぎ取ったアスベスト含有物を、図6〜9に示す装置で圧縮して20cm×40cm×5〜6cmの圧縮成型物を得た。その見かけ比重は2.1であった。この圧縮成型物の表面に平均2mmの硬化層が生成していた。これを運搬して、加熱炉に入れて最高温度880℃まで加熱して、焼成した。焼成されたものについて破砕試験を行って、作業者近傍の大気中に含まれるアスベスト量を測定したところ、5ミクロン以上のアスベスト繊維は認められなかった。成型および焼成したものはレンガとして使用した。
なお、圧縮成型時に吹き付けに用いたアスベスト処理液の約3重量%に相当する処理液が回収された。これを、アスベスト処理液に添加して以後の吹き付け処理に用いたが、とくに問題は認められなかった。
実施例28
実施例23で示したシリコーン樹脂の乳液と、粘度調整剤および着色剤を含む水溶液SL−3を、吹き付け開始の前日、重量比で1:1の割合で混合してアスベスト処理液を調製した。この液体を、アスベストを15重量%含むロックウールの吹付け層(平均厚さ65mm)に吹きつけた。吹き付けは2回にわけて行った。具体的には、まずアスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して40容積部の割合で行い、1時間おいて、さらにアスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して30容積部の割合で行った。アスベスト含有被覆層から一部を取りだして着色状況から浸透・湿潤の状態を調べたところ、最初の吹き付けでは上部に残っていた着色のまだらが二回目の吹き付けでは見られなくなった。次いでアスベスト含有被覆層を剥ぎ取り、剥ぎ取ったアスベスト含有物を、実施例26と同様に、図6〜9に示す装置で圧縮して加熱硬化させて、埋め立て処分に供した。
実施例29
実施例23で示したシリコーン樹脂の乳液と、粘度調整剤と着色剤を含む水溶液SL−2(表1)を重量比で1:1の割合で混合したアスベスト処理液A、およびシリコーン樹脂の乳液と水溶液SL−3(表1)を重量比で1:1の割合で混合したアスベスト処理液Bを、それぞれ吹き付け処理の前日に調製した(用時調製)。アスベストを25重量%含むロックウールの吹付け層(平均厚さ80mm)に、最初はアスベスト処理液Aを、30分おいてアスベスト処理液Bを吹き付けた。吹き付け量は、アスベスト処理液Aは、アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して40容積部の割合で行い、アスベスト処理液Bは、アスベスト含有被覆層の見かけ容積100部に対して30容積部の割合で行った。試料を切り出して色から浸透・湿潤状況を調べたところ、最初の吹き付けでは上部に残っていた着色のまだらが2回目の吹き付けでは見られなくなっていた。次いでアスベスト含有被覆層を剥ぎ取り、剥ぎ取ったアスベスト含有物を、実施例26と同様に、図6〜9に示す装置で圧縮して加熱硬化させて、埋め立て処分に供した。
実施例30
実施例23で示したシリコーン樹脂の乳液と、粘度調整剤および着色剤を含む水溶液SL−3(表1)を、作業の前日、重量比で1:1の割合で混合してアスベスト処理液を調製した。この処理液を、シリコーン樹脂を用いないで水などで養生させて剥ぎ取られて袋に収納されていたアスベスト含有物に、見かけ重量100部に対して80重量部の割合で加えて袋ごと3回転動させて、20分保持した。これを、プラスチック製の容器の中においた台の上に載せて、上から押し具で圧縮した。その結果、見かけ比重は1.9に圧縮できた。この処理によって、最初に加えたアスベスト処理液の25容積%相当量が液体として回収された。この回収液は、別の袋に入ったアスベスト含有物の湿潤処理に用いた。アスベスト含有物は、圧縮処理後、2週間放置して硬化させた後、埋め立て処分に供した。
実施例31
実施例30で圧縮処理したアスベスト含有物を、袋から出して、実施例26と同様にして、図6〜9に示す装置で圧縮して加熱硬化させて、埋め立て処分に供した。
実験例
実験例1
体育館の天井に吹き付けられた、アスベストを70重量%の割合で含む厚さ8mmの吹き付け層(アスベスト含有被覆層)に、その体積(100容積部)の10〜100容積部に相当する量のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)をアスベスト処理液として吹き付けた。吹き付けから30分後に、人力で剥離作業を行い、同時に作業者近傍から大気を採取して、当該大気中のアスベスト繊維の含量(アスベスト繊維の飛散量(本/l))を測定した。結果を図1に示す。なお、図1に幅をもって示す結果は、作業者近傍から採取した各々5検体(大気)のアスベスト繊維の含量である。
図1に示すように、シリコーン樹脂乳液(アスベスト処理液)の吹き付け量としては、撤去しようとするアスベスト含有被覆層の容積100部の20容積部以上、好ましくは30容積部以上、より好ましくは40容積部以上、特に50容積部以上が望ましいことがわかる。
実験例2
アスベストを21重量%の割合で含む平均厚35mm(30〜40mm)の吹き付け層(アスベスト含有被覆層)(容積100部)に対して10〜80容積部の割合でアスベスト処理液を吹き付けた。なお、アスベスト処理液として、シリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)100重量部にべんがらを1.2重量部の割合で添加して調製したものを用いた。吹き付けから30分後に被覆層の一部を採取して着色状況を観察することにより、アスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の浸潤率(容積%)を測定した。
結果を図13に示す。図13に示すように、アスベスト処理液の吹き付け量としては、アスベスト含有被覆層の容積100部の20容積部以上、特に30容積部以上、とりわけ40容積部以上が望ましいことがわかる。
実験例1と2の結果から、シリコーン樹脂の乳液を配合した本発明のアスベスト処理液はアスベスト含有被覆層への浸透力が高く、より少量のシリコーン樹脂量(アスベスト処理液の量)で効率的にアスベスト含有被覆層を浸潤処理することができることがわかる。
実験例3
シリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MWS、信越化学(株)製)100重量部にべんがらを1.2重量部の割合で添加してアスベスト処理液を調製し、これを図2に示す注入装置に充填した。アスベストを21重量%の割合で含む平均厚35mm(30〜40mm)の吹き付け層(アスベスト含有被覆層)に対して、その表面積400cmあたり0.5〜2ヶ所の割合で、上記注入装置の先端部を突き刺して、アスベスト処理液を注入した。なお、1ヶ所あたりの注入量は、注入する箇所毎の間隔がLcm、アスベスト含有被覆層の厚さがDcmである場合に、0.6LDcmとした。注入から20分後に被覆層の一部を採取して着色状況を観察することにより、アスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の浸潤率(容積%)を測定した。
結果を図3に示す。図3に示すように、アスベスト処理液の注入は、アスベスト含有被覆層の表面積400cmあたり1箇所以上、好ましくは1.5箇所以上が望ましいことがわかる。この方法によると、アスベスト含有被覆層の厚さが10cmを超える場合であっても20分以内に、アスベスト含有被覆層の全体にアスベスト処理液を浸透および浸潤させることができると考えられる。
実験例4
硬化度80℃のシリコーン樹脂の乳液(エマルジョン型シリコーン樹脂、樹脂含量50重量%)(商品名Polo MF23、信越化学(株)製)を、アスベストを21重量%の割合で含む平均厚35mm(30〜40mm)の吹き付け層(アスベスト含有被覆層)に対して、その容積100部の35容積部に相当する量を吹き付けた。吹き付けから40分経過後に、アスベスト含有被覆層の表面にカバーダクトを押し付けて、熱風を吹き付け、アスベスト含有被覆層の温度を75〜140℃に15分間保った。各温度で処理したアスベスト含有被覆層からの一部を採取して圧縮試験により硬化強度を測定し、硬化強度指数(アスベスト含有被覆層を安定保持するのに必要な硬化強度を100とする)を求めた。
結果を図4に示す。図4に示すように、アスベスト含有被覆層にアスベスト処理液を浸透および浸潤させた後に、80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上に加熱することによって、より強固に硬化でき、アスベスト含有被覆層を安定保持することができることが確認された。
本発明の方法は、アスベスト含有被覆層を除去する場合にも、また、アスベスト含有被覆層の働きをそのままにして、アスベストの飛散を防止する場合にも用いることができる。さらにいずれの場合にも、最終的にアスベストを完全に安定化するまでの工程の途中でのアスベストの飛散防止を行うことができる。
アスベスト含有被覆層(容積100部)に対するアスベスト処理液の吹き付け量(容積部)と剥ぎ取り作業時のアスベスト繊維の飛散量(本/L)との関係を示す図である。 アスベスト処理液をアスベスト含有被覆層の内部に注入するために装置を示す。 アスベスト含有被覆層の表面積400cmあたりのアスベスト処理液の注入箇所の数と、アスベスト含有被覆層のアスベスト処理液による湿潤率(%)の関係を示す。 アスベスト含有被覆層をアスベスト処理液で湿潤処理した後の加熱の温度(℃)と、処理層の硬化強度指数(アスベスト含有被覆層を安定保持するに必要な硬化強度を100とする)関係を示す。 アスベスト処理液で湿潤処理した後のアスベスト含有被覆層の中に、熱風を吹き込んでアスベスト処理液の硬化を加速するために用いる装置を示す。 本発明に係るアスベストの処理装置の第1実施形態を示す斜視図である。 図6の動作を説明する正面図である。 図6の変形例を示す断面図である。 図6の他の変形例を示す断面図である。 本発明に係るアスベストの処理装置の第2実施形態を示す斜視図である。 本発明に係るアスベストの処理装置の第3実施形態を示す斜視図である。 図11の処理装置の要部断面図である。 本発明に係る焼成装置の一実施形態を示す斜視図である。 アスベスト含有被覆層(容積100部)に対するアスベスト処理液の供給量(容積部)とアスベスト含有被覆層のアスベスト処理液による湿潤率(%)との関係を示す図である。
符号の説明
1 先端が細くなった管状の器具
2 アスベスト処理液
3 ポンプ
4 圧力計
5 モーター
6 ホース
7 容器
8 熱風吹き込みのための器具
9 熱風発生装置
10 ブロワー
11 温度計
12 孔
13 熱風
14 送風箱
31 ケース(収容部)
50、120、250 押圧具
60 成型物
110、210 収容部

Claims (28)

  1. 下記の工程を有するアスベストの処理方法:
    (1) アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物に、シリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を供給し、当該アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を当該アスベスト処理液で浸潤させる工程。
  2. アスベスト処理液が、シリコーン樹脂に加えて、(a)水、(b)粘度調整剤、(c)着色剤、および(d)セメントよりなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである、請求項1に記載するアスベストの処理方法。
  3. アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物の容積100部に対して、アスベスト処理液を20容積部以上の割合で供給する請求項1に記載するアスベストの処理方法。
  4. アスベスト含有被覆層へのアスベスト処理液の供給を、アスベスト含有被覆層の表面にアスベスト処理液を吹き付けするか、またはアスベスト含有被覆層の内部にアスベスト処理液を注入することによって行う、請求項1に記載するアスベストの処理方法。
  5. アスベスト処理液の供給を少なくとも2回行い、後に供給するアスベスト処理液の粘度がその前に供給するアスベスト処理液の粘度より小さいことを特徴とする、請求項1に記載するアスベストの処理方法。
  6. シリコーン樹脂および(c)着色剤に加えて、(a)水または(b)粘度調整剤の少なくとも1種を含有するアスベスト処理液を用いて、下記の工程(1’)および(2)を行う、請求項2記載に記載するアスベストの処理方法:
    (1’) アスベスト含有被覆層に上記シリコーン樹脂を含むアスベスト処理液を供給し、当該アスベスト含有被覆層を当該アスベスト処理液で浸潤させる工程、
    (2) アスベスト含有被覆層に対するアスベスト処理液の浸潤状態をアスベスト含有被覆層の着色を指標として確認する工程。
  7. 請求項1に記載する工程(1)に加えて下記の工程(3)を有する、アスベスト含有被覆層の処理方法:
    (3) 請求項1に記載する工程(1)で処理されたアスベスト含有被覆層を硬化させる工程。
  8. アスベスト含有被覆層の硬化をアスベスト含有被覆層を乾燥させることによって行う、請求項7に記載するアスベスト含有被覆層の処理方法。
  9. 請求項1に記載する工程(1)、または請求項6に記載する工程(1’)および(2)に加えて、下記の工程(4)を有するアスベスト含有被覆層の処理方法:
    (4) 工程(1)または工程(1’)および(2)で処理されたアスベスト含有被覆層を剥ぎ取る工程。
  10. 請求項1に記載する方法で得られたアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物または請求項9に記載する方法によってアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物を、加圧して減容する工程を有する、アスベスト含有物の処理方法。
  11. さらに、上記加圧減容工程においてアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物から溶出するアスベスト処理液を回収する工程を有する、請求項10記載のアスベスト含有物の処理方法。
  12. 請求項10または11に記載する方法によって得られたアスベスト処理液浸潤アスベスト含有物の加圧減容物を、さらに下記(a)または(b)のいずれかの処理に供する工程を有する、アスベスト含有物の処理方法:
    (a)焼成する工程、
    (b)溶融する工程。
  13. (a)焼成工程を、請求項10または11に記載する方法によって得られた加圧減容物を、400〜1200℃で加熱することによって行う請求項12に記載するアスベスト含有物の処理方法。
  14. (b)溶融工程を、請求項10または11に記載する方法によって得られた加圧減容物を、1200℃より高い温度で加熱することによって行う請求項12に記載するアスベスト含有物の処理方法。
  15. シリコーン樹脂に加えて、少なくとも(a)水、(b)粘度調整剤、(c)着色剤、および(d)セメントからなる群から選択される少なくとも1種を含有するアスベスト処理剤。
  16. シリコーン樹脂と、(a)水、(b)粘度調整剤、(c)着色剤、および(d)セメントからなる群から選択される少なくとも1種とを、別個の包装形態で含有するアスベスト処理用キット。
  17. シリコーン樹脂を含むアスベスト処理液が含浸されたアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有被覆層から剥離されたアスベスト含有物を収容する収容部と、
    前記収容部に収容されたアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を押圧する押圧具とを備え、
    アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を前記押圧具によって押圧することにより圧縮成型物を生成するとともに、圧縮時に圧縮生成物から絞り出された液体が、前記収容部の外部へ排出されるように構成されている、アスベストの処理装置。
  18. 前記収容部には、前記押圧具が進入する第1の開口と、前記押圧具の進入方向において前記第1の開口とは反対側にある第2の開口とが形成されており、
    前記第2の開口には、開閉可能な蓋が設けられている、請求項17に記載のアスベストの処理装置。
  19. 前記収容部は、前記押圧具が進入する第1の開口と、前記押圧具の進入方向において前記第1の開口とは反対側にある第2の開口とを有する少なくとも3つの孔を備えるとともに、当該各孔が第1,第2,及び第3の位置にそれぞれ選択的に配置されるように回転自在に支持されており、
    前記第1の位置では、前記孔内にアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物が投入され、
    前記第2の位置では、前記孔内に前記押圧具が進入し、アスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物が圧縮されて成型物が形成され、
    前記第3の位置では、前記押圧具によって成型物が前記第2の開口から外部へ排出される、請求項17に記載のアスベストの処理装置。
  20. 前記第2の開口の周縁の内壁面は、内部から外部に向けてテーパ状に内径が大きくなっている、請求項19に記載のアスベストの処理装置。
  21. 前記収容部は、
    前記押圧具が進入する第1の開口、及び前記押圧具の進入方向において前記第1の開口とは反対側にある第2の開口が形成された本体と、
    前記第2の開口を塞ぐ閉鎖部材と、を備えており、
    前記閉鎖部材は、前記本体に対して、前記押圧具の移動方向に相対的に離間可能に構成されている、請求項17に記載のアスベストの処理装置。
  22. 前記第1の開口から絞り出された液体が排出される請求項18に記載のアスベストの処理装置。
  23. 前記第2の開口から絞り出された液体が排出される請求項19に記載のアスベストの処理装置。
  24. 前記第2の開口から絞り出された液体が排出される請求項21に記載のアスベストの処理装置。
  25. 前記収容部は、収容されるアスベスト含有被覆層またはアスベスト含有物を60℃以上、300℃以下に加熱可能に構成されている、請求項17に記載のアスベストの処理装置。
  26. 請求項17に記載の処理装置によって生成された圧縮成型物を収容する容器と、
    前記容器を収容する加熱炉と、
    前記加熱炉に設けられ、排ガスを排出する排出部と
    を備えている、焼成装置。
  27. 前記排出部の途中には、排ガスの流通の一部を妨げる規制部材が設けられている、請求項26に記載の焼成装置。
  28. 前記容器には、複数の孔が形成されている、請求項26に記載の焼成装置。
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