JPWO2007026828A1 - アダマンタン誘導体、それを含有する樹脂組成物及びそれを用いた光学電子部材 - Google Patents

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Abstract

透明性、耐光性などの光学特性、長期耐熱性、及び誘電率などの電気特性に優れた硬化物を与えるアダマンタン誘導体、それを含有する樹脂組成物及びこれらを用いた電子回路用封止剤、光学電子部材を提供する。下記一般式(I)で表されるアダマンタン誘導体、それを含有する樹脂組成物及びその樹脂組成物を用いた電子回路用封止剤、光学電子部材及びこれらの接着剤である。下記一般式(I)において、Zは、下記一般式(II)又は(III)で表される基から選ばれる基を示す(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)。Xは、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい(m+1)価の炭化水素からなる連結基を示す。また、該連結基である炭化水素中の水素原子の一部又は全てがフッ素原子であってもよい。Yは、−CO2−、−O−基から選ばれる基を示す。Wは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン置換炭化水素基、環式炭化水素基、ハロゲン置換環式炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのWが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。mは2〜4の整数、nは1〜4の整数であり、kは0〜16−nの整数である。

Description

本発明は、新規なアダマンタン誘導体、それを含有する樹脂組成物及びこれらを用いた電子回路封止剤及び光学電子部材に関する。
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に縮合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、その誘導体は、特異な機能を示すことから、医薬品原料や高機能性工業材料の原料などとして有用であることが知られている。アダマンタンは、例えば、光学特性や耐熱性などを有することから、光ディスク基板、光ファイバーあるいはレンズなどに用いることが試みられている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、アダマンタンエステル類を、その酸感応性、ドライエッチング耐性、紫外線透過性などを利用して、フォトレジスト用樹脂原料として、使用することが試みられている(例えば、特許文献3参照)。
近年、液晶や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などを用いたフラットパネルディスプレイの高精細化、高視野角化、高画質化、発光ダイオード(LED)などの光半導体を用いた光源の高輝度・短波長化、白色化、さらに電子回路の高周波数化や光を用いた回路・通信など、光学・電子部品の高性能化や改良のための検討が進められている。
その改良手法として、液晶材料や有機EL素子用の発光材料などの基本材料の研究開発がされているが、それらの材料と共に使用されるコーティング材あるいは封止材などの樹脂の高性能化も検討されている。光学・電子部品のコーティング材料や封止材料用の樹脂として、種々の熱硬化樹脂や光硬化樹脂、あるいは熱可塑性樹脂が適用されている。それらは樹脂単独での耐熱性や透明性、溶解性、密着性などの特性に応じて適用されている。
高性能化が進んでいるLEDの分野では、近紫外や青色発光素子からなる白色LEDを用いた照明やライトなどへの提案や実用化が進められており、将来、家庭用の照明や自動車などへの展開が期待されている。LED素子は無機半導体に蛍光体を含有した樹脂で封止するが、従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂等の熱硬化タイプの樹脂では耐熱性や耐光性に限界があり、それらの要求特性を満たす封止材が求められている(例えば、非特許文献1参照)。その改良品として、短波長域での光吸収の少ない水添系脂環エポキシなども提案されているが、逆に耐熱性が低下する。
また、ディスプレイ分野では、小型、高精細、省エネに優れる有機EL素子が使用されており、トップエミッション型などの方式が採用されている。それに伴い、有機EL素子の封止樹脂としても、従来のステンレスなどの封止基板とガラス基板を接着する機能やガスバリア性などの機能のほかに、封止樹脂自体での透明性や耐光性、耐熱性、機械強度などがより求められている。(例えば、非特許文献2参照)。
また、半導体などを集積した電子回路についても、情報化社会の進展に伴い、情報量や通信速度の増大と装置の小型化が進んでおり、回路の小型化、集積化、高周波数化が必要となっている。さらに、より高速処理が可能となる光導波路などを用いた光回路も検討されている。これらの用途に使用されている封止樹脂やフィルム、あるいはレンズ用の樹脂として、従来、使用されているビスフェノールA型のエポキシ樹脂などでは、電子回路では誘電率が高かったり、光導波路やLED封止剤では芳香環による光吸収のため、透明性の低下や樹脂の低下による黄変などに問題がある。
そこで、芳香環を持たない脂環式エポキシ樹脂が、炭素−炭素二重結合をエポキシ化する方法、多価の脂環式アルコールをエピクロロヒドリンと反応させる方法、芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素化する方法等により製造され、用いられている。しかし、炭素−炭素二重結合をエポキシ化する方法で得られる環状脂肪族エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等)の硬化物は脆く、衝撃強度及び金属等に対する接着強度が不足している。また、多価の脂環式アルコールをエピクロロヒドリンと反応させる方法や芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素化する方法で得られる脂環式エポキシ樹脂として水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が知られているが、ビスフェノール型エポキシ樹脂に比べて耐熱性が劣っている。さらに、水添ビスフェノールAをエピクロロヒドリンと反応させて得られたエポキシ樹脂では、その製造上製品中に塩素分が残りやすく、誘電率の上昇など電気特性の劣化を招くという問題がある。
また、脂環式アルコールとしてジシクロペンタジエンジメタノールを用いたエポキシ樹脂が提案されているが(例えば、特許文献4及び5参照)、吸水率の低下や低応力化の効果はあるものの、耐熱性や光学材料、電子材料に必要である透明性や長期の信頼性・耐久性等についての記載が無い。
アダマンタン骨格を有する高分子化合物は、耐熱性が良好であり、例えば、アダマンタンジオールを用いたポリエステル、ポリカーボネート等が知られている。また、1,3−ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタンを用いた組成物が提案されている(例えば、特許文献6及び7参照)。しかし、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と比較すると、誘電率の低下及び透明性の向上が認められているが、芳香環を有していることからその効果は十分とは言えない。また、アダマンタンジオール、アダマンタンジメタノールのグリシジルエーテルを用いた組成物が提案されている(例えば特許文献8参照)。該文献によれば、耐熱性・透明性の向上するとの記載があるが、具体的な数値の記載は無く、長期の信頼性・耐久性等についての記載が一切ない。また、アダマンタンジカルボン酸のグリシジルエステルを含む組成物が提案されているが、耐熱性が向上することを示すデータはあるものの、透明性や機械特性、長期の信頼性・耐久性などについての記載がない(例えば、特許文献6参照)。
特開平6−305044号公報 特開平9−302077号公報号 特開平4−39665号公報 技術情報協会発行:月刊「マテリアルステージ」2003年6月号20〜24頁 技術情報協会発行:月刊「マテリアルステージ」2003年3月号52〜64頁 特開2001−81286号公報 特開2004−83732号公報 特開2003−321530号公報 特開平10−130371号公報 国際公開第WO2004/113313号
本発明は、以上のような状況から、光半導体用封止剤、有機EL素子用封止剤等の電子回路用封止剤、及び光導波路、光通信用レンズ、光学フィルム等の光学電子部材として好適な、透明性、耐光性などの光学特性、長期耐熱性、及び誘電率などの電気特性に優れた硬化物を与えるアダマンタン誘導体、それを含有する樹脂組成物及びその樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定のアダマンタン誘導体を用いることにより、電子回路用封止剤、及び光学電子部材として好適な硬化物を与える樹脂組成物が得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下のアダマンタン誘導体、それを含有する樹脂組成物及びその樹脂組成物を用いた光学電子部材を提供するものである。
1. 下記一般式(I)で表されるアダマンタン誘導体。
Figure 2007026828
[式中、Zは、下記一般式(II)
Figure 2007026828
又は下記一般式(III)
Figure 2007026828
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で表される基から選ばれる基を示す。Xは、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい(m+1)価の炭化水素からなる連結基を示す。また、該連結基である炭化水素中の水素原子の一部又は全てがフッ素原子であってもよい。Yは、−CO2−、−O−基から選ばれる基を示す。Wは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのWが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。mは2〜4の整数、nは1〜4の整数であり、kは0〜16−nの整数である。]
2. nが1である上記1に記載のアダマンタン誘導体。
3. アダマンタン骨格とXとの結合がエーテル結合である上記1又は2に記載のアダマンタン誘導体。
4. 非芳香族アダマンタン類とアルキル基含有環状エーテル化合物を塩基性触媒の存在下で反応させることを特徴とする上記1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。

5. 非芳香族アダマンタン類とエピハロヒドリン化合物を酸性条件下で付加反応させた後、塩基性触媒の存在下で反応させることを特徴とする上記1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
6. 対応する芳香族アダマンタン誘導体をロジウム触媒又はルテニウム触媒の存在下で核水素化することを特徴とする上記1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
7. 下記一般式(IV)
Figure 2007026828
[式中、X及びYは、上記と同じである。lは1〜4の整数を示す。]
又は下記一般式(V)
Figure 2007026828
[式中、X,Y及びR1は、上記と同じである。lは1〜4の整数を示す。]
で表されるアダマンタン誘導体オリゴマー。
8. 上記1〜3及び7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体をエポキシ樹脂硬化剤を用いて硬化させて得られることを特徴とする樹脂組成物。
9. エポキシ樹脂硬化剤が酸無水物化合物及び/又はカチオン重合開始剤である上記8に記載の樹脂組成物。
10. 上記1〜3及び7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を用いてなる光学電子部材。
9. 上記8又は9に記載の樹脂組成物を用いてなる光学電子部材。
10. 上記1〜3及び7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を用いてなる電子回路用封止剤。
11. 上記8又は9に記載の樹脂組成物を用いてなる電子回路用封止剤。
本発明のアダマンタン誘導体を含有する樹脂組成物は、光半導体用封止剤、有機EL素子用封止剤等の電子回路用封止剤、光導波路、光通信用レンズ、光学フィルム等の光学電子部材、及びこれらの接着剤として好適な、透明性、耐光性などの光学特性、長期耐熱性、及び誘電率などの電気特性に優れた硬化物を与える。
[アダマンタン誘導体]
本発明のアダマンタン誘導体は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2007026828
上記一般式(I)において、Xは、(m+1)価、すなわち3〜5価の炭化水素からなる連結基を示す。該連結基である炭化水素中の水素原子の一部又は全てがフッ素原子であってもよく、該連結基は、酸素原子及び/又は硫黄原子を含んでも良い。また、該連結基の価、すなわち遊離原子価は、炭化水素基のどの部位に存在してもよく、炭化水素は直鎖状でも分岐状でもよく、置換基を有してもよい。Xが複数導入されている場合、Xは同一であっても異なっていてもよい。
Xが3価の炭化水素からなる連結基の場合、メチリジン基、エチリジン基、プロパニリジン基、ブタニリジン基、1−エタニル−2−イリデン基、1,2,3−プロパントリイル基、1−プロパニル−3−イリデン基、1,2,4−ブタントリイル基、1−ブタニル−4−イリデン基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基、1−ペンタニル−5−イリデン基、1,2,6−ヘキサントリイル基、1,3,6−ヘキサントリイル基、1−ヘキサニル−6−イリデン基、2−プロパニル−1−イリデン基、2−メチレン−1,3−プロパンジイル基、1−プロパニル−3−イリデン基、3−ブタニル−1−イリデン基、1,2,3−ブタントリイル基、1−ブタニル−2−イリデン基、2−メチル−1−プロパニル−3−イリデン基、2−メチル−1,2,3−プロパントリイル基、2−エチル−1,2,3−プロパントリイル基、2−ブタニル−1−イリデン基、2−ブタニル−3−イリデン基、2−ブタニル−4−イリデン基、1,3,7−ヘプタントリイル基、1,4,8−オクタントリイル基、1,5,9−ノナントリイル基、1,5,10−デカントリイル基、1,6,11−ウンデカントリイル基、1,6,12−ドデカントリイル基等の3価のアルカントリイル基;1,2,3−シクロペンタントリイル基、1,2,5−シクロペンタントリイル基、1−シクロペンチル−2−イリデン基、1−シクロペンチル−3−イリデン基、1,2,3−シクロヘキサントリイル基、1,2,4−シクロヘキサントリイル基、1,3,5−シクロヘキサントリイル基、1−シクロヘキシル−2−イリデン基、1−シクロヘキシル−3−イリデン基、1−シクロヘキシル−4−イリデン基、シクロヘキシルメチリジン基、4−シクロへキシレンメチレン基、1−シクロヘキシル−2−エタニル−1−イリデン等のシクルアルカントリイル基;1,3,5−ベンゼントリイル基、ベンジリジン基、2−フェニル−1,2,3−プロパントリイル基ナフタレントリイル基等のアリーレントリイル基等が挙げられる。
Xが4価の炭化水素からなる連結基は、具体的には、例えばプロパン−1,3−ジイリデン基、1,3−プロパンジイル−2−イリデン基、ブタン−1,4−ジイリデン基、ペンタン−1,5−ジイリデン基、ヘキサン−1,6−ジイリデン基、ヘプタン−1,7−ジイリデン基、オクタン−1,8−ジイリデン基、ノナン−1,9−ジイリデン基、デカン−1,10−ジイリデン基、ウンデカン−1,11−ジイリデン基、ドデカン−1,12−ジイリデン基、1,2,3,4−シクロヘキサンテトライル基、シクロヘキサン−1,3−ジイリデン基、シクロペンタン−1,3−ジイリデン基、1,2,4,5−ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基等が挙げられる。
また、Xが5価の炭化水素からなる連結基は、例えば、1−エチリジン−2−イリデン基、2−プロパンイル−1,3−ジイリデン基、2−ブタンイル−1,4−ジイリデン基、2−ペンタンイル−1,5−ジイリデン基、2−ヘキサンイル−1,6−ジイリデン基、2−ヘプタンイル−1,7−ジイリデン基、2−オクタンイル−1,8−ジイリデン基、2−ノナンイル−1,9−ジイリデン基、2−デカンイル−1,10−ジイリデン基、2−ウンデカンイル−1,11−ジイリデン基、2−ドデカンイル−1,12−ジイリデン基、1,2,3,4,5−シクロヘキサンペンタイル基、2−シクロヘキサンイル−1,3−ジイリデン基、2−シクロペンタンイル−1,3−ジイリデン基、1,2,4,5,6−ベンゼンペンタイル基、ナフタレンペンタイル基等が挙げられる。
また、アダマンタン骨格と連結基Xとの結合がエーテル結合をなしていることが好ましい。例えば、上記に例示する3〜5価の炭化水素基をR2とした場合、連結基Xは−O−R2−で表され、アダマンタン骨格と酸素原子とがエーテル結合をなすものである。アダマンタン骨格と連結基Xとの結合がエーテル結合をなすと、比較的安価な原料から容易に合成できる点で好ましい。
Yは、−CO2−、−O−基のいずれかを示す。Yが複数導入されている場合、Yは同一であっても異なっていてもよい。
Wは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのWが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。Wで示される炭化水素基は、具体的にはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基などが挙げられる。これらの炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、置換されていてもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びエチルシクロヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン置換炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素原子が1個以上ハロゲン原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基、フルオロシクロペンチル基、フルオロシクロヘキシル基、トリフルオロメチルシクロペンチル基及びトリフルオロメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。Wが複数導入されている場合、Wは同一であっても異なっていてもよい。
mは2〜4の整数、nは1〜4の整数であり、kは0〜16−nの整数である。より安価な原料より合成できる点で、nは1が好ましい。
上記一般式(I)において、Zは、下記一般式(II)
Figure 2007026828
又は下記一般式(III)
Figure 2007026828
で表される基から選ばれる基を示す。式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。該アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、置換されていてもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、Zが複数導入されている場合、Zは同一であっても異なっていてもよい。
また、本発明のアダマンタン誘導体は、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表されるアダマンタン誘導体オリゴマーを包含する。
Figure 2007026828
上記一般式(IV)において、X及びYは上記と同じである。式中、lは1〜4の整数を示す。
Figure 2007026828
上記一般式(V)において、X、Y及びR1は上記と同じである。式中、lは1〜4の整数を示す。
[一般式(I)のアダマンタン誘導体の合成方法(1)]
上記一般式(I)で表されるアダマンタン誘導体は、非芳香族アダマンタン類とアルキル基含有環状エーテル化合物を塩基性触媒の存在下で反応させることにより、合成することができる(以下、「合成方法(1)」と略称することがある)。
非芳香族アダマンタン類としては、1−アダマンチルマロン酸、1−アダマンチルコハク酸、1−アダマンチルオキシマロン酸、1−アダマンチルオキシコハク酸、2−(1−アダマンチル)プロパン−1,3−ジオール、2−(1−アダマンチル)ブタンー1,4−ジオール、2−(1−アダマンチルオキシ)プロパン−1,3−ジオール、3−(1−アダマンチルオキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(1−アダマンチルオキシ)ブタン−1,4−ジオール、1,3−ビス(2,3−ジヒドロキシ−1−プロピオキシ)アダマンタン、2−(1−アダマンチルオキシメチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−(1−アダマンチルオキシメチル)−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2−(1−アダマンチルオキシメチル−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3,−ジオール等が挙げられる。
アルキル基含有環状エーテル化合物としては、下記の一般式で表されるものが挙げられる。
Figure 2007026828
式中、A1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、パラトルエンスルホン酸基、又はメチルスルホン酸基を示す。具体的には、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、3−クロロメチル−3−メチルオキセタン、3−メチルスルホネート−3−メチルオキセタン等が挙げられる。
上記非芳香族アダマンタン類と、アルキル基含有環状エーテル化合物との反応は、通常0〜200℃程度、望ましくは20〜150℃の温度において行う。反応温度が上記範囲にあれば、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮され、また、生成物の着色が抑制される。反応の際の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPa程度、望ましくは常圧〜1MPaである。反応圧力が上記範囲内にあれば、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは1〜10時間である。反応時間が上記範囲内にあれば、未反応の原料を少なく抑えることができるので、収率が向上し、着色や副生成物の増加を抑制することができる。
また、非芳香族アダマンタン誘導体のカルボキシル基(又は水酸基)の当量数に対して、1〜20倍量、好ましくは2〜10倍量のアルキル基含有環状エーテル化合物を反応させる。上記範囲内であれば、未反応の原料を少なく抑えることができるので、収率が向上し、反応速度の低下や副生成物の増加を抑制することができる。また、所望の転化率に達するまで、同じ条件で反応を複数回繰り返してもよい。
上記反応は、通常、塩基性触媒の存在下で行う。塩基性触媒としては、ナトリウムアミド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化銀、ナトリウムメトキシド及びカリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。
反応原料に対する塩基性触媒の使用割合は、原料モノマーの水酸基、カルボキシル基に対して1.0〜5.0当量程度、好ましくは1.0〜2.0当量となる量である。触媒使用割合が上記範囲にあれば、グリシジル化されないアルキル基含有環状エーテル化合物が残存することなく、十分な触媒の使用効果を得ることができる。
また、上記反応においては、相間移動触媒を用いることが好ましい。相間移動触媒としては、特に制限はなく一般的に使用できるものであればいずれも使用可能であり、第4級アンモニウム塩、クラウンエーテル類、ホスホニウム塩、アミン等が挙げられる。中でも、入手及び取り扱いの容易さから、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩等の4級アンモニウム塩を好ましく挙げられる。
反応は、無溶媒又は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、上記非芳香族アダマンタン類の溶解度が0.5質量%以上、望ましくは5質量%以上の溶媒を用いるのが有利である。溶媒の使用量は上記非芳香族アダマンタン類の濃度が0.5質量%以上、望ましくは5質量%以上となる量である。このとき、上記非芳香族アダマンタン類は懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。溶媒として具体的には、ヘキサン,ヘプタン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
反応生成物は、蒸留、晶析、カラム分離などにより精製することができ、精製方法は、反応生成物の性状と不純物の種類により選択することができる。
[一般式(I)のアダマンタン誘導体の合成方法(2)]
また、上記一般式(I)で表されるアダマンタン誘導体は、非芳香族アダマンタン類とエピハロヒドリン化合物を酸性条件下で付加反応させた後、塩基性触媒の存在下で反応させることにより、合成することもできる(以下、「合成方法(2)」と略称することがある)。非芳香族アダマンタン類としては、上記に挙げるアダマンタン類を用いることができる。
エピハロヒドリン化合物としては、下記一般式で表されるものが挙げられる。
Figure 2007026828
式中、A2は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示す。具体的には、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等が挙げられる。
上記非芳香族アダマンタン類と、エピハロヒドリン化合物との付加反応は、通常0〜100℃程度、望ましくは20〜85℃の温度において行う。反応温度が上記範囲にあれば、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮され、また、ハロゲン含有物質に起因する副生成物の生成が抑制される。反応の際の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPa程度、望ましくは常圧〜1MPaである。反応圧力が上記範囲内にあれば、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは30分〜3時間である。反応時間が上記範囲内にあれば、未反応の原料を少なく抑えることができるので、収率が向上し、製造効率を向上させることができる。
また、非芳香族アダマンタン誘導体のカルボキシル基(又は水酸基)の当量数に対して、0.9〜1.5倍量、好ましくは1.0〜1.2倍量のアルキル基含有環状エーテル化合物を反応させる。上記範囲内であれば、収率が向上し、塩素含有物質の生成を抑制することができる。
上記付加反応は、通常、酸性触媒の存在下で行う。酸性触媒は通常用いられるものを使用することができるが、具体的には、硫酸、塩酸、硝酸、三フッ化ホウ素、四塩化スズ臭化水素酸、過塩素酸等の鉱酸類、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸などのカルボン酸類等を挙げることができる。
原料全量に対する酸性触媒の使用割合は、0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル%である。上記範囲内であれば、反応時間の短縮が期待でき、また、ハロゲン含有物質に起因する副生成物の生成が抑制される。
上記付加反応は、無溶媒又は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、上記非芳香族アダマンタン類の溶解度が0.5質量%以上、望ましくは5質量%以上の溶媒を用いるのが有利である。溶媒の使用量は上記非芳香族アダマンタン類の濃度が0.5質量%以上、望ましくは5質量%以上となる量である。このとき、上記非芳香族アダマンタン類は懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。溶媒として具体的には、ヘキサン,ヘプタン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
上記付加反応の後、通常、塩基性触媒存在下において、閉環反応を行う。塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、などが挙げられる。
塩基性触媒の使用量は、上記付加反応において使用した酸性触媒の中和に消費される量を除いて、原料の水酸基及びカルボキシル基に対して1〜2当量、好ましくは1〜1.5当量である。触媒使用割合が上記範囲にあれば、グリシジルエーテルへの水和反応が抑制され、閉環反応が十分に進行する。
上記閉環反応は、通常20〜100℃程度、望ましくは30〜80℃の温度において行う。反応温度が上記範囲にあれば、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮され、また、生成物の着色が抑制される。反応の際の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPa程度、望ましくは常圧〜1MPaである。反応圧力が上記範囲内にあれば、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは30分〜10時間である。反応時間が上記範囲内にあれば、未反応の原料を少なく抑えることができるので、収率が向上し、製造効率を向上させることができる。
反応は、無溶媒又は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、上記付加反応において用いた溶媒をそのまま使用することができる。
このようにして得られた反応生成物は、蒸留、晶析、カラム分離などにより精製することができ、精製方法は、反応生成物の性状と不純物の種類により選択することができる。
[一般式(I)のアダマンタン誘導体の合成方法(3)]
上記一般式(I)で表されるアダマンタン誘導体は、4−(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼンなどのアダマンタンフェノールグリシジルエーテル類を水素添加して合成することができる。
上記水素添加の際の反応温度は、通常20〜150℃程度、望ましくは40〜100℃である。反応温度が20℃以上であると、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮される。また、反応温度が150℃以下であると、目的物であるアダマンタン誘導体の水素添加反応が抑制される。反応の際の圧力は、水素圧力で1〜30MPa程度、望ましくは3〜10MPaである。圧力が30MPa以下であると、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは1〜10時間である。
上記反応は、通常、ロジウム触媒又はルテニウム触媒の存在下で行う。ロジウム触媒としては、ロジウムを活性炭やアルミナに担持させたもの、及び酸化ロジウムなどが挙げられる。ルテニウム触媒としては、ルテニウムを活性炭やアルミナに担持させたもの、酸化ルテニウム及びルテニウムブラックなどが挙げられる。
ロジウム触媒又はルテニウム触媒の使用割合は、原料モノマーに対して、ロジウム又はルテニウム換算で0.01〜10質量%程度であり、好ましくは0.05〜5質量%である。これらの触媒の使用割合が0.01質量%以上であると十分な活性が得られ、また、活性向上の観点から10質量%以下で十分であり、経済性の面からも実用的である。
反応は、溶媒の存在下で行う。溶媒としては、上記反応条件において安定な溶媒であればよく、さらに原料モノマーの溶解度の点からエーテル系溶媒及びエステル系溶媒が優れている。具体的には、テトラヒドロフラン及び酢酸エチルなどが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
反応生成物は、蒸留、晶析、カラム分離などにより精製することができ、精製方法は、反応生成物の性状と不純物の種類により選択することができる。
[一般式(IV)又は(V)のアダマンタン誘導体の合成方法]
本発明の上記一般式(IV)又は一般式(V)で表されるアダマンタン誘導体は、上記合成方法(1)及び(2)で得られる反応生成物から目的物を精製せずに、目的物及び目的物のエポキシ基に原料である非芳香族アダマンタン類及びアルキル基含有環状エーテル化合物又はエピハロヒドリン化合物をさらに反応させることにより、合成することができる。
上記反応は、通常0〜200℃程度、望ましくは20〜150℃の温度において行う。反応温度が上記範囲にあれば、反応速度が低下せず適度のものとなるため、反応時間が短縮され、また、ハロゲン含有物質に起因する副生成物の生成が抑制される。反応の際の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPa程度、望ましくは常圧〜1MPaである。反応圧力が上記範囲内にあれば、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、通常1分〜24時間程度、望ましくは1時間〜10時間である。反応時間が上記範囲内にあれば、未反応の原料を少なく抑えることができるので、収率が向上し、製造効率を向上させることができる。
また、非芳香族アダマンタン誘導体のカルボキシル基(又は水酸基)の当量数に対して、0.9〜1.5倍量、好ましくは1.0〜1.2倍量のアルキル基含有環状エーテル化合物を反応させる。上記範囲内であれば、収率が向上し、塩素含有物質の生成を抑制することができる。
上記反応は、通常、塩基性触媒の存在下で行う。塩基性触媒としては、上記のものを好ましく使用することができる。
反応原料に対する塩基性触媒の使用割合は、原料モノマーの水酸基、カルボキシル基に対して1.0〜1.5当量程度、好ましくは1.0〜1.2当量となる量である。触媒使用割合が上記範囲にあれば、グリシジル化されないアルキル基含有環状エーテル化合物が残存することなく、十分な触媒の使用効果を得ることができる。
上記付加反応は、無溶媒又は溶媒の存在下で行う。溶媒としては、上記のものを好ましく使用することができる。溶媒の使用量は上記非芳香族アダマンタン類の濃度が0.5質量%以上、望ましくは5質量%以上となる量である。このとき、上記非芳香族アダマンタン類は懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、本発明のアダマンタン誘導体からなるものを含むが、本発明の樹脂組成物においては、本発明のアダマンタン誘導体と、他の公知のエポキシ樹脂との混合樹脂も使用することができる。混合に際して使用できる公知のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールGジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAFジグリシジルエーテル、ビスフェノールCジグリシジルエーテル等)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂及びジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の多官能エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等の含フッ素エポキシ樹脂、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなどが挙げられる。これらの中でも芳香環を有しないエポキシ樹脂好ましい。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
上記エポキシ樹脂は、常温で固形でも液状でもよいが、一般に、使用するエポキシ樹脂の平均エポキシ当量が、200〜2000のものが好ましい。エポキシ当量が200以上であると、エポキシ樹脂組成物の硬化物が脆くならず適度の強度が得られる。また、エポキシ当量が2000以下であると、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が低くならず適度のものとなる。
上記アダマンタン誘導体と上記エポキシ樹脂との混合樹脂中、上記アダマンタン誘導体の含有量は5.0質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上である。このアダマンタン誘導体の含有量が5.0質量%以上であると、本発明の樹脂組成物の光学特性、長期耐熱性及び電気特性が充分なものとなる。
[エポキシ樹脂硬化剤:重合開始剤]
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂硬化剤としてカチオン重合開始剤を用いたカチオン重合により、あるいは酸無水物系硬化剤やアミン系硬化剤などの硬化剤を用いた反応により硬化させて得ることができる。
カチオン重合開始剤としては、熱又は紫外線によりエポキシ基あるいはオキセタニル基と反応するものであればよく、例えば、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等の芳香族ジアゾニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等の芳香族スルホニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等の芳香族ヨードニウム塩;芳香族ヨードシル塩、芳香族スルホキソニウム塩、メタロセン化合物などが挙げられる。中でもトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等の芳香族スルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等の芳香族ヨードニウム塩が最適である。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
カチオン重合開始剤の使用量は、上記アダマンタン誘導体又は上記混合樹脂100質量部(以下、「樹脂成分」と称することがある。)に対して、0.01〜5.0質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3.0質量部である。カチオン開始剤の含有率を上記範囲とすることにより、良好な重合及び光学特性など物性を得ることができる。
[エポキシ樹脂硬化剤:硬化剤]
本発明において、硬化剤としては、目的に応じて酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤及びアミン系硬化剤などを併用することができる。耐熱性、透明性に優れる本発明の含フッ素アダマンタン誘導体を硬化剤と反応させることで、耐熱性、透明性の他に耐光性、さらに誘電率などが向上し、また、実用上必要となる溶解性が付与される。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。中でもヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸が最適である。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
また、酸無水物系硬化剤を用いた場合は、硬化を促進させる目的で、硬化促進剤を配合してもよい。硬化促進剤は、エポキシ樹脂とその硬化剤との反応の促進に用いられる物質であれば、特に限定されない。硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリス(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート、テトラフェニルホスフォニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート等のリン化合物;1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリス(2,4,6−ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、トリエチレンアンモニウムトリフェニルボレート等の3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び、これらのエチルイソシアネート化合物、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等のオクチル酸塩;4級アンモニウム塩、有機金属塩類、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
これら硬化促進剤の中では、リン化合物、3級アミン類、イミダゾール類を用いることが好ましい。
フェノール系硬化剤としては、例えばフェノール/ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂などが挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えばジシアンジアミドや、m‐フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの硬化剤の中では、硬化樹脂の透明性などの物性の点から、酸無水物系硬化剤が好適であり、中でも、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルテトラヒドロ無水フタル酸が最適である。
硬化促進剤の含有率は、上記樹脂成分100質量部に対して、0.01〜8.0質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3.0質量部である。硬化促進剤の含有率を上記範囲とすることにより、充分な硬化促進効果を得られ、また、得られる硬化物に変色が見られない。
樹脂成分と硬化剤との配合割合は、グリシジル基と反応する硬化剤の官能基の比率で決定する。通常は、グリシジル基1当量に対して、対応する硬化剤の官能基が0.5〜1.5当量、好ましくは0.8〜1.2当量となる割合である。樹脂成分と硬化剤との配合割合を上記範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化速度が遅くなることや、その硬化樹脂のガラス転移温度が低くなることがなく、また、耐湿性の低下もないので好適である。
[添加剤]
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、従来から用いられている、例えば、劣化防止剤、変性剤、シランカップリング剤、脱泡剤、無機粉末、溶剤、レベリング剤、離型剤、染料、顔料などの、公知の各種の添加剤を適宜配合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性及び透明性に優れるが、それらの特性を維持するために劣化防止剤を添加することができる。劣化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、リン系化合物などの、従来から公知の劣化防止剤が挙げられる。
フェノール系化合物としては、イルガノクス1010(Irganox1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス1076(Irganox1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス1330(Irganox1330、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3114(Irganox3114、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3125(Irganox3125、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、イルガノクス3790(Irganox3790、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)BHT、シアノクス1790(Cyanox1790、サイアナミド社製、商標)、スミライザーGA−80(SumilizerGA−80、住友化学社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
アミン系化合物としては、イルガスタブFS042(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商標)、GENOX EP(クロンプトン社製、商標、化合物名;ジアルキル−N−メチルアミンオキサイド)など、さらにはヒンダードアミン系である旭電化社製のADK STAB LA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−67、LA−68、LA−77、LA−82、LA−87、LA−94、CSC社製のTinuvin123、144、440、662、Chimassorb2020、119、944、Hoechst社製のHostavin N30、Cytec社製のCyasorb UV−3346、UV−3526、GLC社製のUval 299、Clariant社製のSanduvorPR−31等を挙げることができる。
有機硫黄系化合物としては、DSTP(ヨシトミ)(吉富社製、商標)、DLTP(ヨシトミ)(吉富社製、商標)、DLTOIB(吉富社製、商標)、DMTP(ヨシトミ)(吉富社製、商標)、Seenox 412S(シプロ化成社製、商標)、Cyanox 1212(サイアナミド社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
変性剤としては、例えば、グリコール類、シリコーン類、アルコール類などの、従来から公知の変性剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、シラン系、チタネート系などの、従来から公知のシランカップリング剤が挙げられる。脱泡剤としては、例えば、シリコーン系などの、従来から公知の脱泡剤が挙げられる。無機粉末としては、用途に応じて粒径が数nm〜10μmのものが使用でき、例えば、ガラス粉末、シリカ粉末、チタニア、酸化亜鉛、アルミナなどの公知の無機粉末が挙げられる。溶剤としては、エポキシ樹脂が粉末の場合や、コーティングの希釈溶剤として、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤などが使用可能である。
本発明の樹脂組成物は、上記の樹脂成分、硬化剤又はカチオン重合開始剤と、各種添加剤を混合し、成型する金型(樹脂金型)への注入、あるいはコーティングにより所望の形状にした後に、加熱あるいは紫外線を照射して硬化する。熱硬化の場合、硬化温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは100〜180℃である。50℃以上とすることにより硬化不良となることがなく、200℃以下とすることにより着色などを生じることが無くなる。硬化時間は使用する樹脂成分、硬化剤、促進剤や開始剤によって異なるが、0.5〜6時間が好ましい。
紫外線の照射強度は、通常500〜5000mJ/cm2程度、好ましくは1000〜4000mJ/cm2である。紫外線照射後に後加熱を行ってもよく、70〜200℃で0.5〜12時間行うことが好ましい。
成形方法としては射出成形、ブロー成形、プレス成形等、特に限定されるものではないが、好ましくはペレット状の樹脂組成物を射出成形機に用いて、射出成形することにより製造される。
本発明の樹脂組成物を硬化して得られた樹脂は耐熱性や透明性に優れており、全光線透過率を70%以上とすることができる。また、後の実施例に示すように、溶解温度が低いので加工性に優れ、ガラス転移温度が高く、優れた耐久性(耐熱性及び耐光性)を有し、誘電率など電気特性にも優れた硬化物が得られる。
このように本発明の樹脂組成物は、優れた特性を有するので、光半導体(LEDなど)、フラットパネルディスプレイ(有機EL素子、液晶など)、電子回路、光回路(光導波路)用の樹脂(封止剤、接着剤)、光通信用レンズ及び光学用フィルムなどの光学電子部材に好適に用いることができる。
また、本発明の樹脂組成物は、半導体素子/集積回路(IC他)、個別半導体(ダイオード、トランジスタ、サーミスタなど)として、LED(LEDランプ、チップLED、受光素子、光半導体用レンズ),センサー(温度センサー、光センサー、磁気センサー)、受動部品(高周波デバイス、抵抗器、コンデンサなど)、機構部品(コネクター、スイッチ、リレーなど)、自動車部品(回路系、制御系、センサー類、ランプシールなど)、接着剤(光学部品、光学ディスク、ピックアップレンズ)などに用いられ、表面コーティング用として光学フィルムなどにも用いられる。
従って、本発明は、上記の本発明の樹脂組成物を用いてなる光半導体用封止剤、有機EL素子用封止剤等の電子回路用封止剤、光導波路、光通信用レンズ、光学フィルム等の光学電子部材、及びこれらに用いる接着剤をも提供する。
光半導体(LEDなど)用封止剤としての構成は、砲弾型あるいはサーフェスマウント(SMT)型などに素子に適用でき、金属やポリアミド上に形成されたGaNなどの半導体と良好に密着し、さらにYAGなどの蛍光色素を分散しても使用できる。さらに、砲弾型LEDの表面コート剤、SMT型LEDのレンズなどにも使用可能である。
有機EL用に適用する際の構成は、一般的なガラスや透明樹脂などの透光性基板上に、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の有機EL素子に適用可能である。有機EL素子の封止剤として、金属缶や金属シートあるいはSiNなどのコーティングされた樹脂フィルムをEL素子にカバーする際の接着剤、あるいは本発明の樹脂組成物にガスバリアー性を付与するために無機フィラーなどを分散することで、直接、EL素子を封止することも可能である。表示方式として、現在、主流のボトムエミッション型にも適用可能であるが、今後、光の取出し効率などの点で期待されるトップエミッション型に適用することで、本発明の樹脂組成物の透明性や耐熱性の効果を活かせる。
電子回路用に適用する際の構成は、層間絶縁膜、フレキシブルプリント基板用のポリイミドと銅箔との接着剤、あるいは基板用樹脂として適用可能である。
光回路に使用する際の構成は、シングルモードやマルチモード用の熱光学スイッチやアレイ導波路型格子、合分波器、波長可変フィルター、あるいは光ファイバーのコア材料やクラッド材料にも適用できる。また、導波路に光を集光するマイクロレンズアレイやMEMS型光スイッチのミラーにも適用できる。また、光電変換素子の色素バインダーなどにも適用可能である。
光学用フィルムとして用いる際の構成は、液晶用のフィルム基板、有機EL用フィルム基板などのディスプレイ用として、あるいは光拡散フィルム、反射防止フィルム、蛍光色素などを分散することによる色変換フィルムなどに適用可能である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、得られた樹脂組成物の評価を次のように行った。
(1)ガラス転移温度
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製, DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下50℃で5分間保持した後、20℃/分で昇温させることにより得られた熱流束曲線に観測される不連続点をガラス転移温度Tgとした。
(2)全光線透過率
試料として肉厚3mmの試験片を用いてJIS K7105に準拠して測定した(単位%)。測定装置は株式会社島津製作所製の分光光度計UV−3100Sを用いた。
(3)耐光性試験
株式会社東洋精機製作所製のサンテストCPS+を用いて、試料を60℃で500時間光照射し、サンシャインテスターを用いて照射前後の400nmの光線透過率の変化を測定した。
(4)長期耐熱性試験
140℃の恒温槽に試料を100時間置き、サンシャインテスターを用いて試験前後の400nmの光線透過率の変化を測定し、20%以上低下した場合「X」の評価とした。
製造例1(1−アダマンチルマロン酸ジグリシジルエステルの合成)
還流冷却管、滴下ロート、攪拌機、温度計を取り付けた内容積100mlのフラスコに、1−アダマンチルマロン酸1.5g(6.3mmol)、エピクロロヒドリン30g(324mmol)、テトラエチルアンモニウムブロマイド0.15gを量りとり、攪拌しながら還流するまで加熱した。還流状態にある反応溶液に、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.25g(15.6mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間還流させて反応を終了した。これを室温まで冷却した後、水30mlを加えて、酢酸エチル100mlで抽出した。抽出液を濃縮し、無色透明液2.4gを得た。この無色透明液をシリカゲルカラムで精製し、1−アダマンチルマロン酸ジグリシジルエステル1.6g(収率72%、ガスクロマトグラフィー純度97%)を得た。
この1−アダマンチルマロン酸ジグリシジルエステルを、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)及びGC−MSにより同定した。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてクロロホルム−d6を用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定し、GC−MSは、株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010により測定した。
1H-NMR(500MHz):1.62(m,6H),1.82(s,6H),1.94(s,3H),2.61(m,2H),2.78(m,2H),3.15(m,2H),3.15(s,1H),3.92(m,2H),4.42(m,2H)
13C-NMR(125MHz):28.6,36.2,36.6,39.9,44.6,49.2,62.2,65.1,65.4,67.2
GC-MS(EI):350(1.2%),277(3.9%),249(6.7%),174(10.1%),135(100.0%),107(6.1%),93(11.3%),79(13.0%)
実施例1
製造例1で得られた1−アダマンチルマロン酸ジグリシジルエステル1g(エポキシ当量175)及び、酸無水物系硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化株式会社製、商品名 MH700)0.96g、硬化促進剤として1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(サンアプロ社製、商品名 SA102)0.01gを室温で配合し、脱泡後、120℃で2時間、その後150℃で2時間加熱して、硬化樹脂(膜厚3mmシート)を製造した。得られた硬化物を上記の方法により評価した。評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1の1−アダマンチルマロン酸ジグリシジルエステルのかわりにビスフェノールAエポキシ樹脂(エポキシ当量185)を用い、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を0.91gとした以外は、実施例1と同様の方法で硬化樹脂を製造した。得られた硬化物を上記の方法により評価した。評価結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1の1−アダマンチルマロン酸ジグリシジルエステルのかわりに水添ビスフェノールAエポキシ樹脂(エポキシ当量204)を用い、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を0.82gとした以外は、実施例1と同様の方法で硬化樹脂を製造した。得られた硬化物を上記の方法により評価した。評価結果を第1表に示す。
製造例2(2−(1−アダマンチルオキシメチル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオール ジグリシジルエーテルの合成)
還流冷却管、滴下ロート、攪拌機、温度計を取り付けた内容積2000mlの三口フラスコに、1−アダマンタノール60.9g(400mmol)、トリエチルアミン60.7g(600mmol)、テトラヒドロフラン600mLを量りとり、氷浴に浸して0℃とした。メタンスルホン酸クロライド55.0g(480mmol)を温度が10℃を超えないように加えて1時間反応させた。室温に戻し、トリメチロールエタン960g(8000mmol)及びトリエチルアミン60.7g(600mmol)を加えた後に、加熱して3時間還流させた。その後、溶媒のテトラヒドロフランを留去し、多量の水を加えて、酢酸エチルで2回抽出を行った。酢酸エチル溶液を十分水洗した後、濃縮し、淡黄色透明溶液の2−(1−アダマンチルオキシメチル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオールを80g(収率79%、ガスクロマトグラフィー純度98%)を得た。
1−アダマンチルマロン酸のかわりに2−(1−アダマンチルオキシメチル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオールを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、目的の2−(1−アダマンチルオキシメチル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオール ジグリシジルエーテル81g(収率55%、ガスクロマトグラフィー純度96%)を得た。
実施例2
製造例2で得られた2−(1−アダマンチルオキシメチル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオール ジグリシジルエーテル1g(エポキシ当量198)及び酸無水物系硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化株式会社製、商品名 MH700)0.85g、硬化促進剤として1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(サンアプロ社製、商品名 SA102)0.01gを室温で配合し、脱泡後、120℃で2時間、その後150℃で2時間加熱して、硬化樹脂(膜厚3mmシート)を製造した。得られた硬化物を上記の方法により評価した。評価結果を第1表に示す。
製造例3
還流冷却管、滴下ロート、攪拌機、温度計を取り付けた内容積100mlフラスコに、1−アダマンチルマロン酸1.5g(6.3mmol)、エピクロロヒドリン30g(324mmol)、テトラエチルアンモニウムブロマイド0.15gを量りとり、攪拌しながら還流するまで加熱した。還流状態にある反応溶液に、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.25g(15.6mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間還流させて反応を終了した。これを室温まで冷却した後、水30mlを加えて、酢酸エチル100mlで抽出した。抽出液を濃縮し、無色透明液2.4gを得た。この無色透明液をシリカゲルカラムで精製し、1−アダマンチルマロン酸ジグリシジルエステルのオリゴマー0.4g(収率18%)を得た。
製造例4(4−(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシシクロヘキサンの合成)
4−(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼン(エポキシ当量191)8.0g、ロジウム触媒(エヌ・イー ケムキャット株式会社製、商品名 5%Rhカーボン)0.5g、テトラヒドロフラン20gを内容積100mlのオートクレーブに仕込み、系内を水素置換した。撹拌しながら温度50℃、水素圧力4Mpaの条件で、水素の圧力低下が終了するまで約5時間反応を行った。反応終了後、触媒をろ過し、溶媒を留去し目的物を得た(収率72%)。得られた目的物の核水素化率をUV吸収(275nm)の減少量から求めたところ99%であった。また、得られた目的物のエポキシ当量は216であり、エポキシ残存率は90%であった。
得られた目的物を、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)により同定した。核磁気共鳴スペクトルは、溶媒としてDMSO−d6を用いて、日本電子株式会社製のJNM−ECA500により測定した。
1H-NMR(500MHz):1.29(m,9H), 1.48(m,10H), 1.95(m,3H), 2.69(dd,1H), 2.76(dd,1H), 2.79(m,2H), 2.83(dd,1H), 2.87(dd,1H), 3.30(m,1H), 3.37(m,1H), 3.80(dd,1H), 3.87(dd,1H), 4.26(dd,1H), 4.32(dd,1H)
13C-NMR(125MHz):17.4, 28.5, 33.1, 35.7, 36.6, 39.0, 40.5, 43.4, 43.5, 49.7, 49.8, 54.5, 68.8, 68.9, 76.2, 83.5
実施例3
製造例4で得られた4−(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシシクロヘキサン5g、酸無水物系硬化剤としてメチルヘキサヒドル無水フタル酸(新日本理化株式会社製、商品名 MH700)3.78g及び硬化促進剤として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(サンアプロ社製、商品名 SA102)0.10gを室温で配合し、脱泡後、120℃で2時間、その後150℃で2時間加熱して硬化樹脂(膜厚3mmシート)を製造した。得られた硬化物を上記の方法により評価した。評価結果を第1表に示す。
Figure 2007026828
本発明のアダマンタン誘導体及びこれを含有する樹脂組成物は、透明性、耐光性などの光学特性、長期耐熱性、及び誘電率などの電気特性に優れた硬化物を与え、光半導体用封止剤、有機EL素子用封止剤等の電子回路用封止剤、光導波路、光通信用レンズ、光学フィルム等の光学電子部材、及びこれらに用いる接着剤に好適に使用することができる。また、有機EL素子、液晶などのディスプレイ、LEDなどを用いた照明用途、あるいは光回路などの情報通信用部材のコーティング剤、封止剤及び接着剤などとしても有用である。

Claims (13)

  1. 下記一般式(I)で表されるアダマンタン誘導体。
    Figure 2007026828
    [式中、Zは、下記一般式(II)
    Figure 2007026828
    又は下記一般式(III)
    Figure 2007026828
    (式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    で表される基から選ばれる基を示す。Xは、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい(m+1)価の炭化水素からなる連結基を示す。また、該連結基である炭化水素中の水素原子の一部又は全てがフッ素原子であってもよい。Yは、−CO2−、−O−基から選ばれる基を示す。Wは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、及び2つのWが一緒になって形成された=Oから選ばれる基を示す。mは2〜4の整数、nは1〜4の整数であり、kは0〜16−nの整数である。]
  2. nが1である請求項1に記載のアダマンタン誘導体。
  3. アダマンタン骨格とXとの結合がエーテル結合である請求項1に記載のアダマンタン誘導体。
  4. 非芳香族アダマンタン類とアルキル基含有環状エーテル化合物を塩基性触媒の存在下で反応させることを特徴とする請求項1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
  5. 非芳香族アダマンタン類とエピハロヒドリン化合物を酸性条件下で付加反応させた後、塩基性触媒の存在下で反応させることを特徴とする請求項1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
  6. 対応する芳香族アダマンタン誘導体をロジウム触媒又はルテニウム触媒の存在下で核水素化することを特徴とする請求項1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
  7. 下記一般式(IV)
    Figure 2007026828
    [式中、X及びYは、上記と同じである。lは1〜4の整数を示す。]
    又は下記一般式(V)
    Figure 2007026828
    [式中、X,Y及びR1は、上記と同じである。lは1〜4の整数を示す。]
    で表されるアダマンタン誘導体オリゴマー。
  8. 請求項1又は7に記載のアダマンタン誘導体をエポキシ樹脂硬化剤を用いて硬化させて得られることを特徴とする樹脂組成物。
  9. エポキシ樹脂硬化剤が酸無水物化合物及び/又はカチオン重合開始剤である請求項6に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1又は7に記載のアダマンタン誘導体を用いてなる光学電子部材。
  11. 請求項8に記載の樹脂組成物を用いてなる光学電子部材。
  12. 請求項1又は7記載のアダマンタン誘導体を用いてなる電子回路用封止剤。
  13. 請求項8記載の樹脂組成物を用いてなる電子回路用封止剤。
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