JPWO2006112277A1 - 光学的情報記録媒体へのデータ記録における記録パルス条件の最適化方法 - Google Patents
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Abstract
三つの記録パルス条件のそれぞれを用いて特定の記録パターンを連続して光ディスクに試し書きし、それらの記録パターンを連続して再生する。各再生信号からは三つの記録パルス条件の各々に対応するマークのエッジシフト量が測定され、その測定値から線形近似による演算で記録パルス条件の補正値が計算される。
Description
本発明は、光学的情報記録媒体にレーザ光を照射して物理的性質を変化させることで情報を記録する方法に関し、特に、その記録時に利用される記録パルス条件の最適化に関する。
従来の光学的情報記録媒体としては、例えば、DVD−RAM、DVD−RW、CD−RW等の書換型光ディスクが知られている。これらの書換型光ディスクでは、レーザ光を使って情報が次のように書き換えられる。第1に、記録再生装置が光ディスクのキャリブレーション用領域から記録パルス標準条件を読み出し、それに基づいて記録パルス条件を設定する。第2に、記録再生装置が、記録パルス条件に応じた波形でレーザ光を光ディスクに照射して情報を記録する。ここで、光ディスクの特性や記録再生装置の記録特性のばらつきにより記録品質の受ける影響を低減させるには、設定されるべき記録パルス条件が最適化されねばならない。特に、記録パルス標準条件が光ディスクの実際の特性と合っていない場合、記録パルス条件の最適化により、良好な記録品質が確保されねばならない。
相変化光ディスクでは、照射されたレーザ光の熱によりアモルファスの領域(マーク)が形成され、光反射率が変化する。その光反射率の変化としてデータは光ディスクに記録される。特に高密度記録では、形成されるマークやスペース(マーク間の領域)のサイズが小さい。従って、マークを形成するために加えたレーザ光の熱が、そのマークのみならず、スペースを伝わって前後のマークにまで到達し、各マークの形状にひずみを与えやすい。そのひずみを回避する目的で、記録パルス条件が例えば次のように設定される(例えば特許文献1、2参照)。レーザ光が複数のパルス列(マルチパルス)で構成される場合、その先頭パルスの位置が自己マーク長と前スペース長との間の組み合わせに応じて変化する。一方、最終パルスの位置が自己マーク長と後スペース長との間の組み合わせに応じて変化する。そのような記録パルスの変位により、マーク間の熱干渉が相殺される。このような記録パルスの位置制御は一般に、記録補償と呼ばれている。
特許文献1に開示された記録方法によると、マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれについて記録パルスの位置が特定されている。この位置情報が記録パルス標準条件である。記録パルス標準条件は記録に先立ち、光ディスクから読み出される。更に、読み出された記録パルス標準条件が修正され、記録パルス条件が次のように最適化される。第1に、記録パルス標準条件に含まれるマーク長とスペース長との間の全ての組み合わせに関する位置情報を用い、光ディスクに対する第1の試し書きが行われる。第2に、第1の試し書きで記録されたデータが再生され、その再生信号から第1ジッタが検出される。第3に、記録パルス標準条件に含まれるマーク長とスペース長との間の全ての組み合わせに関する位置情報が一律に変更される。第4に、一律に変更された位置情報を用い、光ディスクに第2の試し書きが行われる。第5に、第2の試し書きで記録されたデータが再生され、その再生信号から第2ジッタが検出される。第6に、第1ジッタが第2ジッタと比較され、小さいジッタに対応する試し書きに用いられた位置情報が最適な記録パルス条件として選択される。
記録パルス条件の最適化には、例えば特許文献2に開示されているように、再生信号のジッタの比較ではなく、最尤復号法が用いられても良い。最尤復号法では、再生信号の実際の波形からその再生信号のあるべきパターンが推定される。更に、再生信号の実際の波形と推定されたパターンとの間の比較に基づき、最も確からしいパターンが決定される。ここで、復号時にエラーの発生する確率が最小となるように、記録パルス条件が最適化される。
特開2000−200418号公報 特開2004−335079号公報
特許文献1に記載されているような従来の記録パルス条件の最適化方法では、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに複数回ずつ、試し書き、その試し書きで記録されたデータの再生、及びその再生信号からのジッタの検出が繰り返される。従って、電源投入時や光ディスクの新規投入時、記録パルス条件の学習に費やされる時間を更に短縮することが困難である。従って、画像やデータの記録開始までに必要な待ち時間を更に短縮することが困難である。更に、試し書きに用いられる記録パルス条件が記録パルス標準条件から、例えば、±2、±1、0というように単純に、かつ場当たりに変更される。従って、最適な記録パルス条件が記録パルス標準条件から大きく外れている場合、何ステップにもわたって記録パルス条件が変更されねばならない。その結果、試し書きの回数の更なる削減が困難であるので、学習時間の更なる短縮が困難である。一方、特許文献2に記載されているように、最尤復号法が記録パルス条件の最適化に利用される場合、その効率化による試し書き回数の削減方法までは未だ知られていない。
本発明は、試し書きの回数を更に削減することで学習に要する時間を更に短縮できる記録パルス条件の最適化方法、及びそれを用いる記録再生装置の提供を目的とする。
本発明は、試し書きの回数を更に削減することで学習に要する時間を更に短縮できる記録パルス条件の最適化方法、及びそれを用いる記録再生装置の提供を目的とする。
本発明による記録再生装置は好ましくは、記録パルス条件の最適化に以下の方法を用いる。その最適化方法は、好ましくは、
二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、その記録パルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体(好ましくは、光ディスク)のトラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録するステップ;
複数の記録パルス条件のそれぞれで上記の特定のパターンが記録されたトラックの各領域から信号を再生し、それらの領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定するステップ;
上記の領域ごとに測定されたエッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相のずれを計算するステップ;及び、
上記の領域間でのマークの長さの差又は位相差が、記録パルスの部分の長さの差又は位相差に比例する、という近似を用い、複数の記録パルス条件間でのマークの長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求めるステップ;
を有する。ここで、好ましくは、それらのステップが、記録再生装置に搭載された半導体集積回路により実行される。
本発明によるこの最適化方法では、記録パルス条件の補正値が、線形近似を用いた演算で求められる。従って、必要な試し書きの回数が容易に削減可能であるので、記録パルス条件の学習に要する時間が短い。
二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、その記録パルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体(好ましくは、光ディスク)のトラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録するステップ;
複数の記録パルス条件のそれぞれで上記の特定のパターンが記録されたトラックの各領域から信号を再生し、それらの領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定するステップ;
上記の領域ごとに測定されたエッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相のずれを計算するステップ;及び、
上記の領域間でのマークの長さの差又は位相差が、記録パルスの部分の長さの差又は位相差に比例する、という近似を用い、複数の記録パルス条件間でのマークの長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求めるステップ;
を有する。ここで、好ましくは、それらのステップが、記録再生装置に搭載された半導体集積回路により実行される。
本発明によるこの最適化方法では、記録パルス条件の補正値が、線形近似を用いた演算で求められる。従って、必要な試し書きの回数が容易に削減可能であるので、記録パルス条件の学習に要する時間が短い。
好ましくは、上記の二種類以上のマークが最短マークとその次に長いマークとを含む。例えばBDでは、最短マークの長さが記録クロック周期の2倍であり、その次に長いマークの長さが記録クロック周期の3倍である。一般に、これらの短マークでは長マークより、最適な記録パルス条件が光ディスクごとに、又は記録再生装置ごとに大きなばらつきを示す。本発明による上記の最適化方法は特に、短マークに関する記録パルス条件を対象とすることで、全体の処理時間を効率良く短縮できる。
好ましくは、記録パルスに対応する記録信号の中に各符号長が実質的に同じ頻度で出現する。その記録信号では特に、通常の変調方式による記録信号より、長マークの出現確率が高い。従って、その記録信号を用いて試し書きされた光学的情報記録媒体のトラックの領域から再生されるクロックは安定性が高い。更に、その領域にはマーク長とスペース長との間の様々な組み合わせが含まれている。それ故、その領域から再生される信号のエッジシフト量が記録パルス条件の最適化に利用されることで、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとの補正値のばらつきが効率良く平均化される。
好ましくは、上記複数の記録パルス条件間では、一つの種類のマークに対応する記録パルスの部分の位相が進むとき、別の種類のマークに対応する記録パルスの部分の位相が遅れる。それにより、それらの記録パルス条件を用いて試し書きされたトラックの各領域から再生されるクロックは、位相の変動が小さい。従って、再生信号のエッジシフト量が正確に測定される。
好ましくは、記録パルスが、先頭パルス、最終パルス、又は冷却パルスを含み、上記複数の記録パルス条件間では、先頭パルス、最終パルス、又は冷却パルスの少なくともいずれかの長さ、位相、又は位置が異なる。更に好ましくは、上記複数の記録パルス条件のいずれか二つの間では、先頭パルスの長さと立ち上がり位置とのいずれか一方又は両方が異なり、別の二つの記録パルス条件間では、最終パルスの長さと位相とのいずれか一方又は両方、先頭パルスの位相、及び冷却パルスの位相、が異なる。好ましくは、光学的情報記録媒体のトラックに試し書きされる特定のパターンが、記録クロック周期の2倍から8倍までのマークとスペースとを含む。
本発明による上記の最適化方法では、記録パルス条件の補正値を求める演算が、好ましくは、次のような線形近似を用いる。まず、複数の記録パルス条件間では二つのパラメータについて値の組み合わせが異なる。次に、いずれか二つの記録パルス条件間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、L12、P12とし、別の二つの記録パルス条件間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、L13、P13とし、いずれか一つの記録パルス条件でトラックに記録されたマークの長さのずれと位相のずれとをそれぞれ、L、Pとし、マークの長さのずれと位相のずれとの各目標値を、Lt、Ptとする。そのとき、上記二つのパラメータの各補正値m、nが次式で求まる:
m=(P×L13−L×P13)/(L12×P13−P12×L13)
+(Pt×L13−Lt×P13)/(L12×P13−P12×L13)、
n=(L×P12−P×L12)/(L12×P13−P12×L13)
+(Lt×P12−Pt×L12)/(L12×P13−P12×L13)。
+(Pt×L13−Lt×P13)/(L12×P13−P12×L13)、
n=(L×P12−P×L12)/(L12×P13−P12×L13)
+(Lt×P12−Pt×L12)/(L12×P13−P12×L13)。
ここで、好ましくは、再生信号の品質が良好となるように目標値Lt、Ptが決められる。更に好ましくは、目標値Lt、Ptがマーク長ごとに可変であり、特に目標値Lt、Ptのいずれか一方又は両方が0である。一方、補正値m、nは好ましくは四捨五入により整数化される。更に、補正値m、nがいずれも0になるまで、各ステップが繰り返される。
好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、
再生信号から生成されたデジタル信号を最尤復号法で2値化信号に変換するステップ、
その2値化信号に基づき、マークのエッジに対応するデジタル信号の部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群の中から選択するステップ、及び、
選択されたパターンをデジタル信号の上記の部分の形状と比較するステップ、
を含む。更に好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、以下の三つのステップを含む。
一.マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれに対してエッジシフト量を測定するステップ;
二.マークの種類ごとにマークの始端と終端とのそれぞれのエッジシフト量の平均値と、マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれのエッジシフト量と、の間の差について、それら組み合わせ間での分散値SPを次式で計算するステップ:
再生信号から生成されたデジタル信号を最尤復号法で2値化信号に変換するステップ、
その2値化信号に基づき、マークのエッジに対応するデジタル信号の部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群の中から選択するステップ、及び、
選択されたパターンをデジタル信号の上記の部分の形状と比較するステップ、
を含む。更に好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、以下の三つのステップを含む。
一.マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれに対してエッジシフト量を測定するステップ;
二.マークの種類ごとにマークの始端と終端とのそれぞれのエッジシフト量の平均値と、マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれのエッジシフト量と、の間の差について、それら組み合わせ間での分散値SPを次式で計算するステップ:
SP=Σi,jCsm[i][j]×(SM[i][j]−AveSM[j])2
+Σi,jCms[i][j]×(MS[i][j]−AveMS[i])2
+Σi,jCms[i][j]×(MS[i][j]−AveMS[i])2
ここで、整数の対(i、j)は、(2、2)を除く、2以上の整数の対であり、変数SM[i][j]は、記録クロック周期Tのi倍の長さのスペース(以下、iTスペースという)と、その直後の、記録クロック周期Tのj倍の長さのマーク(以下、jTマークという)との間のエッジシフト量であり、変数MS[i][j]はiTマークとその直後のjTスペースとの間のエッジシフト量であり、変数AveSM[j]はjTマークの始端のエッジシフト量の平均値であり、変数AveMS[i]はiTマークの終端のエッジシフト量の平均値であり、第一の係数Csm[i][j]と第二の係数Cms[i][j]とはそれぞれ所定数である;
三.分散値SPが所定値より小さいときは記録パルス条件をマーク長ごとに調整し、分散値SPがその所定値より大きいときは記録パルス条件をマーク長とスペース長との間の可能な組み合わせごとに調整するステップ。
これら三つのステップにより、最尤復号法を利用して試し書きの回数が効率良く削減される。従って、記録パルス条件の最適化に要する時間が更に短縮される。ここで、好ましくは、第一の係数Csm[i][j]がiTスペースとその直後のjTマークとの組み合わせの出現確率で表され、第二の係数Cms[i][j]がiTマークとその直後のjTスペースとの組み合わせの出現確率で表される。更に好ましくは、第一の係数Csm[i][j]と第二の係数Cms[i][j]とが1又は0である。
これら三つのステップにより、最尤復号法を利用して試し書きの回数が効率良く削減される。従って、記録パルス条件の最適化に要する時間が更に短縮される。ここで、好ましくは、第一の係数Csm[i][j]がiTスペースとその直後のjTマークとの組み合わせの出現確率で表され、第二の係数Cms[i][j]がiTマークとその直後のjTスペースとの組み合わせの出現確率で表される。更に好ましくは、第一の係数Csm[i][j]と第二の係数Cms[i][j]とが1又は0である。
本発明による光学的情報記録媒体は、本発明による上記の記録パルス条件の最適化方法で最適化された記録パルス条件を用いてデータが記録された光学的情報記録媒体である。ここで、所定数の種類のマークとスペースとが実質的に等しい出現確率で記録された領域、を含む記録条件学習領域、をその光学的情報記録媒体が有しても良い。好ましくは、本発明によるこの光学的情報記録媒体が、上記複数の記録パルス条件のいずれか二つの間でのマークの長さの差又は位相差、を表すデータが記録された領域、を有する。ここで、本発明による上記の記録パルス条件の最適化方法が、上記のデータを光学的情報記録媒体に記録するステップ、を更に有しても良い。好ましくは、本発明による上記の最適化方法が本発明によるこの光学的情報記録媒体に適用されるとき、その光学的情報記録媒体から上記のデータを予め読み出す。それにより、記録パルス条件が更に速やかに最適化される。
本発明による上記の記録パルス条件の最適化方法は、書き込み可能な光学的情報記録媒体の特性や記録再生装置の記録特性のばらつきに関わらず、最適な記録パルス条件でのデータ記録を可能にする。従って、その最適化方法を用いた記録再生装置によりデータが記録された光学的情報記録媒体では、再生信号の品質が高い。本発明による上記の最適化方法では特に、記録パルス条件の学習に必要な試し書きの回数が更に削減可能である。それにより、記録再生装置の起動時間が更に短縮され、画像やデータの記録開始までの待ち時間が更に短縮される。その上、追記型光ディスクのように1度しか書き込みができない光学的情報記録媒体では、試し書きに必要な領域が節約されるので、記録パルス条件の学習回数の許容上限が増大する。その結果、更に長期間にわたって記録パルス条件の最適化が安定に実行可能である。
以下、本発明の最適な実施形態を説明する。
本発明の実施形態による光学的情報記録媒体では、外部から照射されるレーザ光が物理的性質の異なるマークを形成することでデータが記録される。そのような光学的情報記録媒体として好ましくは、書換型相変化光ディスク(特にBD−RE(書換型ブルーレイディスク)。以下、単に光ディスクという)が利用される。光ディスク101は好ましくは、図10に示されているように、データ領域1001、記録条件学習領域1002、及び初期値記録領域1003に分かれている。データ領域1001は光ディスク101の大部分を占める。データ領域1001にはユーザーデータが記録される。記録学習領域1002は光ディスク101の内周部に設けられ、データ領域1001に隣接している。記録学習領域1002では記録条件の学習を目的とする試し記録が行われる。ここで、試し記録は、記録再生装置の起動時や温度変動時、データ領域1001に対するデータ記録の前に行われる。記録再生装置は試し記録により記録条件(特に、記録パワーや記録パルス条件)を調整する。初期値記録領域1003は光ディスク101の最内周部に設けられ、記録学習領域1002に隣接している。初期値記録領域1003には、光ディスク101ごとに予め設定された、記録パワーの推奨値、記録パルス条件の推奨値(以下、記録パルス標準条件という)、記録線速度、及びディスクID等が記録されている。初期値記録領域1003は再生専用領域であり、情報が好ましくは、トラックの蛇行(ウォブリング)やピット等、光ディスク101の基板上の成形部分を用いて半永久的に記録されている。
本発明の実施形態による光学的情報記録媒体では、外部から照射されるレーザ光が物理的性質の異なるマークを形成することでデータが記録される。そのような光学的情報記録媒体として好ましくは、書換型相変化光ディスク(特にBD−RE(書換型ブルーレイディスク)。以下、単に光ディスクという)が利用される。光ディスク101は好ましくは、図10に示されているように、データ領域1001、記録条件学習領域1002、及び初期値記録領域1003に分かれている。データ領域1001は光ディスク101の大部分を占める。データ領域1001にはユーザーデータが記録される。記録学習領域1002は光ディスク101の内周部に設けられ、データ領域1001に隣接している。記録学習領域1002では記録条件の学習を目的とする試し記録が行われる。ここで、試し記録は、記録再生装置の起動時や温度変動時、データ領域1001に対するデータ記録の前に行われる。記録再生装置は試し記録により記録条件(特に、記録パワーや記録パルス条件)を調整する。初期値記録領域1003は光ディスク101の最内周部に設けられ、記録学習領域1002に隣接している。初期値記録領域1003には、光ディスク101ごとに予め設定された、記録パワーの推奨値、記録パルス条件の推奨値(以下、記録パルス標準条件という)、記録線速度、及びディスクID等が記録されている。初期値記録領域1003は再生専用領域であり、情報が好ましくは、トラックの蛇行(ウォブリング)やピット等、光ディスク101の基板上の成形部分を用いて半永久的に記録されている。
本発明の実施形態による記録再生装置は、図1に示されている通り、光照射部102、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106、PLL部107、パターン検出部108、エッジシフト検出部109、記録パルス条件復調部114、記録パルス条件演算部110、記録パターン発生部111、記録補償部112、及びレーザ駆動部113を有する。好ましくは、レーザ駆動部113以外の構成要素が一つの半導体集積回路100に統合されている。更に、レーザ駆動部113がその半導体集積回路100に集積化されても良い。
光照射部102は好ましくは光ピックアップであり、レーザダイオードと光検出器とを搭載する。レーザダイオードは上記の光ディスク101にレーザ光を照射する。光検出器は、光ディスク101により反射されたレーザ光を検出して電気信号に変換し、アナログ再生信号として出力する。そのアナログ再生信号は、プリアンプ部103、AGC(Automatic Gain Control)部104、波形等化部105、及びA/D変換部106で順番に処理され、デジタル再生信号に変換される。ここで、PLL部107はデジタル再生信号から再生クロックを抽出する。一方、A/D変換部106はその再生クロックに従ってアナログ再生信号をサンプリングする。
パターン検出部108は好ましくは、最尤復号部(好ましくはビタビ復号部)を含む。パターン検出部108は、まず、デジタル再生信号を整形し、最尤復号部の周波数特性(好ましくはPR(1,2,2,1)特性)に適合させる。最尤復号部はそのデジタル再生信号を最尤復号法(好ましくはビタビ復号法)で2値化信号(好ましくはNRZI(Non Return to Zero Inverted)信号)に変換する。パターン検出部108は更に、その2値化信号に基づき、マークのエッジに対応するデジタル再生信号の部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群(図8参照)の中から選択する。エッジシフト検出部109は、パターン検出部108により選択されたパターンをデジタル再生信号の上記の部分の形状と比較し、マークのエッジシフト量(理想的なマークのエッジ位置に対する、実際のマークのエッジ位置のずれ)を測定する。
記録パルス条件復調部114は上記の2値化信号から、光ディスク101に記録された記録パルス標準条件を抽出する。記録パルス条件演算部110は、記録パルス標準条件に含まれているパラメータを変化させる。記録パルス条件演算部110は特に、測定されたエッジシフト量に基づいて上記のパラメータを補正する。記録パターン発生部111は、光ディスク101に対するデータ記録時に所定の記録信号を、好ましくはNRZI信号として出力する。記録補償部112は、記録パルス条件演算部110による演算結果に応じて記録パルス条件を設定し、その記録パルス条件に従って上記のNRZI信号を記録パルスに変換する。レーザ駆動部113は、光照射部102内のレーザダイオードを駆動する。レーザ駆動部113は特に光ディスク101に対するデータ記録時では、上記の記録パルスに従ってレーザ光のパワーを制御し、光ディスク101にデータを記録する。
以下の説明では次の数値的条件を想定する。光照射部102は、波長405nmのレーザとNA=0.85の対物レンズとを用いる。光ディスク101では、トラックピッチが0.32μmであり、レーザ光の入射面を覆うカバー層の厚みが75μm〜100μmである。更に、光ディスク101に記録されるマークの最短長は記録クロック周期Tの2倍(=2T)であり、0.138μm〜0.160μmである。マーク長の種類とスペース長の種類とはいずれも、記録クロック周期Tの2、3、…、8倍(=2T、3T、…、8T)である。記録再生装置の記録速度は、BD1倍速(チャネルレート66MHz(Tw=15.15nsec))又はBD2倍速(チャネルレート132MHz(Tw=7.58nsec))である。
本発明の実施形態による記録再生装置は好ましくは、光ディスク101に対するデータ記録時に記録パルス条件を、図13に示されているフローチャートに従って以下のように最適化する。
[第1のステップ]
記録再生装置はまず、光ディスク101の初期値記録領域1003にアクセスし、初期値情報を読み出す。そのとき、記録パルス条件復調部114が読み出された初期値情報の中から記録パルス標準条件を抽出する。抽出された記録パルス標準条件は、パラメータごとに異なるメモリ領域に格納される。記録パルス条件は好ましくは、図4に示されているパラメータを含む。それらのパラメータは、2Tマークに関するパラメータ、3Tマークに関するパラメータ、及び長さが4T以上のマークに関するパラメータに分類されている。図4に示されている各パラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeは記録パルスの波形を決める(図6参照)。図6では、2Tマーク、3Tマーク、及び5Tマークの記録を指示するNRZI信号の各部分2Tm、3Tm、5Tmに対応する記録パルスの波形が示されている。記録パルスは好ましくは、先頭パルスPT、中間パルスPM、最終パルスPL、及び冷却パルスPCを含む。先頭パルスPTと冷却パルスPCとは全てのマークの記録に利用される。最終パルスPLは好ましくは、長さ3T以上のマークの記録に利用される。中間パルスPMは好ましくは、長さ4T以上のマークの記録に利用され、特にその個数がマーク長と共に増加する。第1のパラメータdTtopは、NRZI信号の所定の基準位置に対する先頭パルスPTの始端を表す。第2のパラメータTtopは先頭パルスPTの幅を表す。第3のパラメータTlpは最終パルスPLの幅を表す。第4のパラメータTmpは中間パルスPMの幅を表す。第5のパラメータdTeは、NRZI信号の所定の基準位置に対する冷却パルスPCの終端を表す。ここで、第1のパラメータdTtopと第5のパラメータdTeとは極性を持つ。図6では、左方向(マークの終端から始端に向かう方向)が正である。
記録再生装置はまず、光ディスク101の初期値記録領域1003にアクセスし、初期値情報を読み出す。そのとき、記録パルス条件復調部114が読み出された初期値情報の中から記録パルス標準条件を抽出する。抽出された記録パルス標準条件は、パラメータごとに異なるメモリ領域に格納される。記録パルス条件は好ましくは、図4に示されているパラメータを含む。それらのパラメータは、2Tマークに関するパラメータ、3Tマークに関するパラメータ、及び長さが4T以上のマークに関するパラメータに分類されている。図4に示されている各パラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeは記録パルスの波形を決める(図6参照)。図6では、2Tマーク、3Tマーク、及び5Tマークの記録を指示するNRZI信号の各部分2Tm、3Tm、5Tmに対応する記録パルスの波形が示されている。記録パルスは好ましくは、先頭パルスPT、中間パルスPM、最終パルスPL、及び冷却パルスPCを含む。先頭パルスPTと冷却パルスPCとは全てのマークの記録に利用される。最終パルスPLは好ましくは、長さ3T以上のマークの記録に利用される。中間パルスPMは好ましくは、長さ4T以上のマークの記録に利用され、特にその個数がマーク長と共に増加する。第1のパラメータdTtopは、NRZI信号の所定の基準位置に対する先頭パルスPTの始端を表す。第2のパラメータTtopは先頭パルスPTの幅を表す。第3のパラメータTlpは最終パルスPLの幅を表す。第4のパラメータTmpは中間パルスPMの幅を表す。第5のパラメータdTeは、NRZI信号の所定の基準位置に対する冷却パルスPCの終端を表す。ここで、第1のパラメータdTtopと第5のパラメータdTeとは極性を持つ。図6では、左方向(マークの終端から始端に向かう方向)が正である。
図4に示されている各パラメータの値a〜kの単位は好ましくは、記録クロックで決まる基準時間間隔Twで表される。BD−REの場合、その単位が基準時間間隔Twの16分の1(=Tw/16。ここで、BD2倍速では、Tw=7.58nsec)に等しい。更に、図4に示されている各パラメータの値a〜kがその単位Tw/16の整数倍で表される。例えば、記録パルス標準条件Aでは、長さ4T以上のマークに関する第1のパラメータdTtopの値hが「NRZI信号の所定の基準位置に対して先頭パルスPTの始端がh×Tw/16[nsec]の位置にあること」を表している。尚、光ディスク101に記録されている記録パルス標準条件の値が同じ単位Tw/16で表されている場合、記録再生装置は光ディスク101に記録された値をそのまま用いる。一方、光ディスク101に記録されている記録パルス標準条件の値がナノ秒単位で表されている場合、記録再生装置はその値を単位Tw/16に最も近い整数値に変換する。その他に、記録再生装置が単位を光ディスク101に記録された値の単位より細かくしても良い。それにより、補償精度が向上するので、マークのエッジ位置が高精度に調整される。従って、書き込まれたマークから読み出される信号の品質が向上する。具体的には、光ディスク101に記録されている記録パルス標準条件の値が単位Tw/16で表されている場合、記録再生装置は光ディスク101から読み出された値を倍にしてメモリに格納する。それにより、単位が上記の半値Tw/32に設定される。
記録パルス条件演算部110は、光ディスク101から読み出された記録パルス標準条件Aに含まれているパラメータのうち、長さ4T以上のマークに関する四つのパラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeの各値h、i、j、kを基準値として設定する。記録パルス条件演算部110は更に、各基準値を次のように変更し、二つの異なる記録パルス条件B、Cを設定する(図4参照)。記録パルス条件演算部110はまず、三つのパラメータdTtop、Ttop、Tlpの各基準値h、i、jを1単位ずつ加算し、第4のパラメータdTeの基準値kを1単位減算し、記録パルス条件Bとしてメモリに格納する。記録パルス条件演算部110は次に、三つのパラメータdTtop、Ttop、Tlpの各基準値h、i、jを1単位ずつ減算し、第4のパラメータdTeの基準値kを1単位加算し、別の記録パルス条件Cとしてメモリに格納する。図6から容易に理解される通り、記録パルス条件Bでは記録パルス標準条件Aと比べ、5Tマークに対応する記録パルスの部分に含まれている先頭パルスPTの幅が拡大し、かつ立ち上がり位置が早いので、5Tマークの始端が早い。更に、最終パルスPLの幅が拡大し、かつ冷却パルスPCの位相が遅れるので、5Tマークの終端が遅い。従って、記録パルス条件Bでは記録パルス標準条件Aより長さ4T以上のマークが伸びる。一方、記録パルス条件Cでは記録パルス標準条件Aと比べ、5Tマークに対応する記録パルスの部分に含まれている先頭パルスPTの幅が縮小し、かつ立ち上がり位置が遅いので、5Tマークの始端が遅い。更に、最終パルスPLの幅が縮小し、かつ冷却パルスPCの位相が進むので、5Tマークの終端が早い。従って、記録パルス条件Cでは記録パルス標準条件Aより、長さ4T以上のマークが縮む。
[第2のステップ]
記録再生装置はまず、光照射部102から光ディスク101に照射される光スポットを記録条件学習領域1002内のトラックに移動させ、フォーカシングとトラッキングとを行う。記録再生装置は次に、上記三つの記録パルス条件A、B、Cのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に所定の同じパターンの記録信号を試し書きする。ここで、使用されるパターンに含まれているマークとスペースとはいずれも好ましくは、光照射部102のレーザのスポットサイズに比べて十分に長い。更に好ましくは、記録パターン発生部111がそのパターンとして、5Tマークと5Tスペースとの繰り返しから成る単一パターン(以下、5T単一信号という)を発生させる。記録補償部112は5T単一信号と各記録パルス条件A、B、Cとから記録パルスを生成する。レーザ駆動部113はその記録パルスに従って光照射部102内のレーザダイオードを駆動し、5T単一信号を光ディスク101のトラックにセクタ単位で連続して書き込む。それにより、光ディスク101の記録条件学習領域1002には5T単一信号のパターンが、三種類の記録パルス条件A、B、Cごとに連続して記録される。
記録再生装置はまず、光照射部102から光ディスク101に照射される光スポットを記録条件学習領域1002内のトラックに移動させ、フォーカシングとトラッキングとを行う。記録再生装置は次に、上記三つの記録パルス条件A、B、Cのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に所定の同じパターンの記録信号を試し書きする。ここで、使用されるパターンに含まれているマークとスペースとはいずれも好ましくは、光照射部102のレーザのスポットサイズに比べて十分に長い。更に好ましくは、記録パターン発生部111がそのパターンとして、5Tマークと5Tスペースとの繰り返しから成る単一パターン(以下、5T単一信号という)を発生させる。記録補償部112は5T単一信号と各記録パルス条件A、B、Cとから記録パルスを生成する。レーザ駆動部113はその記録パルスに従って光照射部102内のレーザダイオードを駆動し、5T単一信号を光ディスク101のトラックにセクタ単位で連続して書き込む。それにより、光ディスク101の記録条件学習領域1002には5T単一信号のパターンが、三種類の記録パルス条件A、B、Cごとに連続して記録される。
[第3のステップ]
記録再生装置は、以下のように、光ディスク101の記録条件学習領域1002から記録パルス条件A、B、Cを用いて書き込まれた5T単一信号を連続して再生し、各再生信号のエッジシフト量又はアシンメトリを測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
記録再生装置は、以下のように、光ディスク101の記録条件学習領域1002から記録パルス条件A、B、Cを用いて書き込まれた5T単一信号を連続して再生し、各再生信号のエッジシフト量又はアシンメトリを測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
まず、パターン検出部108が、最尤復号部に入力されるデジタル再生信号(以下、入力信号という)のうち、マークのエッジに対応する部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群(図8参照)の中から選択する。そのパターン群は好ましくは八つのパターン(Pattern−1〜Pattern−8)を含み、各パターンが更に二種類のパスPXA、PXB(X=1、2、…、8)を含む。図8では、横軸が時間を表し(1目盛がチャネルクロックの1周期を表す)、縦軸が、パターン検出部108によりPR(1,2,2,1)特性に合わせて整形された入力信号のレベルを表す。図8に示されている破線と実線とはそれぞれ、二種類のパスPXA、PXB(X=1、2、…、8)を表す。図8に示されている丸印は、各パスにチャネルクロック間隔で含まれるべきサンプルの期待値に相当し、特にPR(1,2,2,1)特性では六つのレベル0〜6を取り得る。各パターンは、連続する7ビットの符号を表し、特に、真ん中のビットを除く6ビットの可能な組み合わせの一つに対応している(例えば、Pattern−2はビット列「1,1,1,x,0,0,0」(x=0,1)を表す)。更に、二種類のパスPXA、PXBは真ん中のビットの二値に対応している(例えば、Pattern−2のパスP2Aはビット列「1,1,1,0,0,0,0」を表す)。マークの始端では反射光が減るので、マークの始端に対応する入力信号の部分は下向きの波形として再生される。マークの終端では逆に反射光が増すので、マークの終端に対応する入力信号の部分は上向きの波形として再生される。従って、図8では、上段に示されている四つのパターン(Pattern−1、Pattern−2、Pattern−3、Pattern−4)がマークの始端に対応し、下段に示されている四つのパターン(Pattern−5、Pattern−6、Pattern−7、Pattern−8)がマークの終端に対応する。更に、図9に表示されているように、各パターンのパスがマーク長とスペース長との間の組み合わせの一つに対応している。第2のステップで光ディスク101に記録される単一パターンは5Tマークと5Tスペースとの繰り返しである。その場合、5Tマークの始端に対応する入力信号の部分の形状はPattern−2である(図9参照)。それ故、パターン検出部108は5Tマークの始端についてはPattern−2を選択する。一方、5Tマークの終端に対応する入力信号の部分の形状はPattern−7である(図9参照)。それ故、パターン検出部108は5Tマークの終端についてはPattern−7を選択する。
次に、エッジシフト検出部109が、パターン検出部108により選択されたPattern−2を、5Tマークの始端に対応する入力信号の部分の形状と比較し、5Tマークの始端でのエッジシフト量を次のように測定する(図2、3参照)。
5Tマークの始端に対応する入力信号の部分は、理想的には、Pattern−2に含まれている二つのパスA、B(図2、3には破線と太い実線とで示されている)のいずれかの形状を示す。従って、実際の入力信号のその部分も、二つのパスA、Bのいずれかの形状に近似しているはずである。図2、3では細い実線が実際の入力信号を示す。図2はパスAが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスAに近似している。図3はパスBが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスBに近似している。図2、3では更に、実際の入力信号からチャネルクロック間隔でサンプリングされたサンプル値が三角印で示されている。エッジシフト検出部109は、パスAに含まれている各サンプルの期待値(図2では黒い丸印で示されている)と実際のサンプル値(三角印)との間の差の二乗和を計算し、パスAと実際の入力信号との間の距離Paとして決定する。同様に、エッジシフト検出部109はパスBと実際の入力信号との間の距離Pbを決定する。エッジシフト検出部109は更にそれら二つの距離Pa、Pbを比較し、前者の距離Paが小さいときはパスAを正解とみなし、後者の距離Pbが小さいときはパスBを正解とみなす。それにより、実際の入力信号のサンプル群が、パスAを正解とするサンプル群と、パスBを正解とするサンプル群とに分別される。
5Tマークの始端に対応する入力信号の部分は、理想的には、Pattern−2に含まれている二つのパスA、B(図2、3には破線と太い実線とで示されている)のいずれかの形状を示す。従って、実際の入力信号のその部分も、二つのパスA、Bのいずれかの形状に近似しているはずである。図2、3では細い実線が実際の入力信号を示す。図2はパスAが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスAに近似している。図3はパスBが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスBに近似している。図2、3では更に、実際の入力信号からチャネルクロック間隔でサンプリングされたサンプル値が三角印で示されている。エッジシフト検出部109は、パスAに含まれている各サンプルの期待値(図2では黒い丸印で示されている)と実際のサンプル値(三角印)との間の差の二乗和を計算し、パスAと実際の入力信号との間の距離Paとして決定する。同様に、エッジシフト検出部109はパスBと実際の入力信号との間の距離Pbを決定する。エッジシフト検出部109は更にそれら二つの距離Pa、Pbを比較し、前者の距離Paが小さいときはパスAを正解とみなし、後者の距離Pbが小さいときはパスBを正解とみなす。それにより、実際の入力信号のサンプル群が、パスAを正解とするサンプル群と、パスBを正解とするサンプル群とに分別される。
エッジシフト検出部109は上記二つの距離Pa、Pb間の差|Pa−Pb|から正の定数Pstdを除いた値|Pa−Pb|−Pstdを計算する。ここで、正の定数Pstdは、入力信号が二つのパスA、Bのいずれかと一致するときの二つの距離Pa、Pb間の差を表す。すなわち、距離Pa、Pbのいずれかが0に等しいとき(Pa=0、又はPb=0)、二つの距離Pa、Pb間の差|Pa−Pb|が正の定数Pstdと等しい:|Pa−Pb|=Pstd。計算値|Pa−Pb|−Pstdが負であるとき、実際の入力信号の波形が二つのパスA、B間の領域に収まっている。計算値|Pa−Pb|−Pstdが正であるとき、実際の入力信号の波形が二つのパスA、B間の領域から外れている。従って、計算値|Pa−Pb|−Pstdが負であるときより正であるときの方が、最尤復号にエラーが生じにくい。この特徴を考慮し、エッジシフト検出部109は計算値|Pa−Pb|−Pstdからエッジシフト量を次のように決定する。まず、エッジシフト量の大きさは計算値|Pa−Pb|−Pstdの大きさで定義される。次に、エッジシフト量の符号はエッジ位置のずれの方向に対応するように定義される。図2、3では、エッジ位置のずれが左方向(マークの終端から始端に向かう方向)であるとき、エッジシフト量の符号が正に定義される。ここで、パスAを正解とするサンプル群とパスBを正解とするサンプル群との間では、計算値|Pa−Pb|−Pstdの符号とエッジ位置のずれの方向との間の対応関係が逆であるので、エッジシフト量の符号が計算値|Pa−Pb|−Pstdの符号に基づいて以下のように定義される。
図2Aでは、実際の入力信号に対応するマークA−の始端が理想的なマークAの始端より遅い。すなわち、実際のマークA−の始端は理想的なマークAの始端から負方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域に収まっているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは負である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MA=ΔA−は計算値|Pa−Pb|−Pstd自体で定義される:
5S5MA=ΔA−=|Pa−Pb|−Pstd<0。
図2Bでは、実際の入力信号に対応するマークA+の始端が理想的なマークAの始端より早い。すなわち、実際のマークA+の始端は理想的なマークAの始端から正方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域から外れているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは正である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MA=ΔA+は計算値|Pa−Pb|−Pstd自体で定義される:
5S5MA=ΔA+=|Pa−Pb|−Pstd>0。
図3Aでは、実際の入力信号に対応するマークB−の始端が理想的なマークBの始端より遅い。すなわち、実際のマークB−の始端は理想的なマークBの始端から負方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域から外れているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは正である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MB=ΔB−は計算値|Pa−Pb|−Pstdの逆符号で定義される:
5S5MB=ΔB−=−[|Pa−Pb|−Pstd]<0。
図3Bでは、実際の入力信号に対応するマークB+の始端が理想的なマークBの始端より早い。すなわち、実際のマークB+の始端は理想的なマークBの始端から正方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域に収まっているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは負である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MB=ΔB+は計算値|Pa−Pb|−Pstdの逆符号で定義される:
5S5MB=ΔB+=−[|Pa−Pb|−Pstd]>0。
エッジシフト検出部109は続いて、パターン検出部108により選択されたPattern−7の各パスA、Bを、5Tマークの終端に対応する入力信号の部分の形状と比較し、上記と同様に、各パスA、Bを正解とするサンプル群ごとに5Tマークの終端でのエッジシフト量5M5SA、5M5SBを計算する。エッジシフト検出部109は更に、二つのサンプル群間で5Tマークの始端と終端とでの各エッジシフト量を平均し、各平均値を5Tマークの始端と終端とでの各エッジシフト量5S5M、5M5Sとして決定し、それら二つの平均値の差を5Tマークの長さのずれL5Tとして決定する:
5S5M=(5S5MA+5S5MB)/2、
5M5S=(5M5SA+5M5SB)/2、
L5T=5S5M−5M5S。
5M5S=(5M5SA+5M5SB)/2、
L5T=5S5M−5M5S。
長さのずれL5Tは5Tマークの正規の長さ5Tからのずれ量を表す。長さのずれL5Tが0であれば5Tマークが5Tスペースと同じ長さであり、長さのずれL5Tが正であれば5Tマークが5Tスペースより長く、長さのずれL5Tが負であれば5Tマークが5Tスペースより短い。すなわち、長さのずれL5Tが大きければ、アシンメトリがマークに偏った状態であり、長さのずれL5Tが小さければ、アシンメトリがスペースに偏った状態である。
長さのずれL5Tは、各記録パルス条件A、B、Cを用いて光ディスク101に記録された単一パターンのそれぞれについて計算される。エッジシフト検出部109は、得られた三つのずれL5Tのうち、所定の目標値に最も近いずれL5Tを選択する。ここで、その目標値は好ましくは、光ディスク101の初期値記録領域1003(図10参照)に予め記録されているターゲットアシンメトリ情報である。ターゲットアシンメトリ情報が初期値記録領域1003に記録されていない場合は、記録再生装置に予め記憶された初期値(好ましくは、アシンメトリがない状態を表す「0」)が上記の目標値として設定される。もし、アシンメトリ情報に準じる情報(例えばβ値)が光ディスク101の初期値記録領域1003に予め記録されている場合、その情報の示す値を長さのずれL5Tに対応させる変換係数が記録再生装置に予め設定されていても良い。その場合、その変換係数を用いて変換された値が上記の目標値として設定可能である。
エッジシフト検出部109は更に、選択された長さのずれL5Tに対応する単一パターンを記録したときに用いた記録パルス条件を最適な条件として選択する。例えば、記録パルス条件Aを用いて記録された単一パターンから得られた長さのずれL5Tが最も0に近い場合、記録パルス条件Aが最適な条件として選択される。記録パルス条件B、Cについても同様である。最適な条件として選択された記録パルス条件に含まれている長さ4T以上のマーク長に関する四つのパラメータの値dTtop=h’、Ttop=i’、Tlp=j’、dTe=k’が最適値としてメモリに保持される(図5参照)。
但し、三つの記録パルス条件A、B、Cのいずれについても、実測された長さのずれL5Tが目標値から所定の閾値以上乖離している場合は、記録パルス条件が再度設定された上で上記の処理が第2のステップ(試し書き)から繰り返される。例えば、記録パルス条件Cに対応する長さのずれL5Tが最も0に近い場合でも、その長さのずれL5Tが閾値より大きい正値である場合は処理が繰り返される。ここで、好ましくは、記録パルス条件演算部110が記録パルス標準条件Aに代え、記録パルス条件Cに含まれているパラメータの各値を基準値として設定し、残り二つの記録パルス条件を第1のステップと同様に生成する。そのような処理の繰り返しの結果、実測された長さのずれL5Tと目標値との間の差が閾値未満になった場合、その長さのずれL5Tに対応する記録パルス条件が最適な条件として選択される。
第1のステップでは、記録パルス条件演算部110が記録パルス標準条件Aに含まれているパラメータの各値を基準値とし、それらの基準値を±1単位変更して二種類の記録パルス条件B、Cを新たに設定する(図4参照)。その他に、光ディスク101に予め記録されている記録パルス標準条件と記録再生装置の記録再生特性との間の差異が大きい場合、記録パルス条件演算部110が上記の基準値を±1単位だけでなく±2単位変更し、記録パルス標準条件Aと合わせて五種類の記録パルス条件を設定しても良い。更に好ましくは、第2のステップで記録再生装置がそれら五つの記録パルス条件のそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002に単一パターンを試し書きしても良い。それにより、第3のステップでは長さのずれL5Tのサンプル数が増えるので、一回の試し記録で最適な記録パルス条件が決定される確率が高まる。こうして、長マークに関しては記録パルス条件の学習時間が更に短縮可能である。
本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法では、長さ4T以上のマークに対して同一の記録パルス条件が設定される(図4参照)。従って、上記の単一パターンは5T単一信号に限らず、長さ4T以上のマークと長さ4T以上のスペースとの間の組み合わせから成る単一パターンであれば良い。尚、記録信号の変調方式が17PP変調である場合、マーク長分布の中心値が約5Tである。従って、5T単一信号が記録パルス条件の最適化に利用されることで、長さ4T以上の長マークのエッジシフトの平均値が揃いやすい。それ故、記録品質の更なる向上という効果を発揮する点では、5T単一信号の利用が好ましい。その他に、5T単一信号に代え、例えば、8Tマークと8Tスペースとの組み合わせから成る単一パターン(以下、8T単一信号という)が試し記録に用いられても良い。5T単一信号の再生波形は正弦波に近い。それに対し、8T単一信号では、基本波、2次高調波、3次高調波、及び4次高調波が信号帯域となるので、8T単一信号の再生波形は矩形状である。従って、その矩形状の波形を検出することで再生信号の調整が可能である。例えば、記録時にマークの終端が過熱された場合、そのマークの終端近傍が適正な形状から更に膨らむ。8T単一信号の再生波形からはそのようなマークの膨らみが容易に検出可能であるので、マークの終端に関する記録パルス条件のパラメータを補正するための情報が容易に得られる、と期待できる。
[第4のステップ]
記録再生装置は、第3のステップで最適化された長マークに関するパラメータに加え、記録パルス標準条件Aに含まれている2Tマークと3Tマークとに関するパラメータを用い、新たな三種類の記録パルス条件D、E、Fを生成する(図5参照)。更に、それら新たな記録パルス条件D、E、Fのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に特定のパターンの記録信号を試し書きする。
記録再生装置は、第3のステップで最適化された長マークに関するパラメータに加え、記録パルス標準条件Aに含まれている2Tマークと3Tマークとに関するパラメータを用い、新たな三種類の記録パルス条件D、E、Fを生成する(図5参照)。更に、それら新たな記録パルス条件D、E、Fのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に特定のパターンの記録信号を試し書きする。
図5に記録パルス条件D、E、Fを示す。記録パルス条件Dでは、2Tマークと3Tマークとに関するパラメータの値が記録パルス標準条件Aでの値a〜gと等しい。一方、長さ4T以上のマークに関するパラメータの値は、第3のステップで得られた最適値dTtop=h’、Ttop=i’、Tlp=j’、dTe=k’である。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件Dに含まれている、2Tマークと3Tマークとに関する七つのパラメータの値a〜gを基準値として設定する。記録パルス条件演算部110は次に、パラメータdTtop、Ttopの基準値a、b、d、eをそれぞれ1単位ずつ加算し、他の基準値c、f、gと共に、記録パルス条件Eとしてメモリに格納する。記録パルス条件演算部110は更に、2Tマークに関する二つのパラメータdTtop、dTeの基準値a、cをそれぞれ1単位ずつ減算し、3Tマークに関する二つのパラメータdTtop、dTeの基準値d、gをそれぞれ1単位ずつ加算し、3Tマークに関するパラメータTlpの基準値fを1単位減算し、残り二つの基準値b、eと共に、記録パルス条件Fとしてメモリに格納する。
図7と図15とから容易に理解される通り、記録パルス条件Eでは記録パルス条件Dと比べ、2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとのそれぞれに対応する記録パルスの各部分に含まれている先頭パルスPTの幅が拡大し、かつ立ち上がり位置が早い(図7では左側にシフトする)。従って、記録パルス条件Eでは記録パルス条件Dより、2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとの各始端が早く、かつそれぞれが伸びる(図15参照)。このように、記録パルス条件Eは主にマーク長の調整を目的として設定される。ここで、2Tマーク2Tmの中心の位相P2T(E)は3Tマーク3Tmの中心の位相P3T(E)と同一方向に変化する。一方、記録パルス条件Fでは記録パルス条件Dと比べ、2Tマーク2Tmに対応する記録パルスの部分に含まれている先頭パルスPTと冷却パルスPCとの各位相が遅れる(図7では右側にシフトする)。更に3Tマーク3Tmに対応する記録パルスの部分では、先頭パルスPTの位相が進み、最終パルスPLの幅が縮小し、冷却パルスPCの位相が進む(図7では左側にシフトする)。従って、記録パルス条件Fでは記録パルス条件Dより、2Tマーク2Tmの位相が遅れ、3Tマーク3Tmの位相が進む(図15参照)。このように、記録パルス条件Fは主にマークの位相の調整を目的として設定される。特に、2Tマーク2Tmの中心の位相P2T(F)が3Tマーク3Tmの中心の位相P3T(F)とは逆方向に変化する。
記録パルス条件Eを用いて光ディスク101に記録された2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとの各位相P2T(E)、P3T(E)は記録パルス条件Dでの各マークの位相P2T(D)、P3T(D)に対して同一方向に変化する(図15参照)。従って、二つの記録パルス条件D、Eのそれぞれを用いて記録された各マークから再生される信号間では一般に、PLL部107(図1参照)により得られる再生クロックに位相差が生じる。その場合、2Tマーク2Tmの位相のずれが3Tマークのエッジシフト量の測定誤差として含まれ、逆に、3Tマーク3Tmの位相のずれが2Tマークのエッジシフト量の測定誤差として含まれる。それらの誤差が過大な場合、各エッジシフト量の正確な測定が阻まれる。一方、記録パルス条件Fでは上記の通り、2Tマーク2Tmの位相P2T(F)が3Tマーク3Tmの位相P3T(F)とは逆方向に変化するので、再生クロックの位相に与える影響が相殺される。従って、二つの記録パルス条件D、Fのそれぞれを用いて記録された各マークから再生される信号間では一般に、再生クロックの位相差が小さい。その結果、エッジシフト量の測定誤差が更に低減可能である。尚、記録パルス条件Eでは記録パルス条件Fと同様に、2Tマークと3Tマークとの間で各始端が逆方向に変化しても良い。すなわち、2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとの各位相P2T(E)、P3T(E)が記録パルス条件Dでの各マークの位相P2T(D)、P3T(D)に対して逆方向に変化しても良い。それにより、記録パルス条件Fと同様に、エッジシフト量の測定誤差が低減し得る。
記録パルス条件Eの設定方法は上記の方法(図5、7参照)とは別でも良い。例えば、マークの始端を移動させる目的で、先頭パルスの幅Ttopを固定した状態で先頭パルスの位置dTopを(例えば1単位)変えても良い。その他に、先頭パルスの立ち上がり位置dTtopを固定した状態で先頭パルスの幅Ttopを(例えば1単位)変えても良い。更に、マークの終端を移動させる目的で、最終パルスの幅Tlpを例えば1単位変え、又は、冷却パルスの立ち上がり位置dTeを例えば1単位変えても良い。但し、上記の設定方法のように先頭パルスの立ち上がり位置dTtopと幅Ttopとを同時に変える場合、先頭パルスの立ち下がり位置が固定されているので、先頭パルスの後端が後続のパルス(中間パルス又は最終パルス)の前端と重ならず、更に、先頭パルスと後続のパルスとの間隔が過小にならない。従って、記録パルスの正確な波形が得られる。尚、特にBD2倍速以上の高速記録時では、レーザの応答速度に起因するレーザ光のパルス波形の歪みを避けるには、記録パルスの間隔が少なくとも2ns以上確保されることが望ましい。
記録パルス条件Fの設定方法は上記の方法(図5、7参照)とは別でも良い。例えば、最終パルスの幅Tlpを固定した状態で最終パルスの位相を変えても良い。それにより、3Tマークの長さの変化量L3T(F)(図15参照)が抑えられる。従って、マークの長さと位相との間の干渉が低減するので、更に正確な位相の変化量P3T(F)(図15参照)が検出可能である。
記録パルス条件D、E、Fを用いた試し書きで利用されるべき記録パターンでは好ましくは、2Tから8Tまでの各符号長の出現頻度がほぼ均等であり、かつDSV(Digital Sum Value)制御が施されている。これは、従来の記録パターンとは異なる。従来の記録パターンは、ユーザーデータと同様に、17PP変調方式で変調される。従って、従来の記録パターンでは、2Tマークの出現確率が約38%であり、3Tマークの出現確率が約25%であり、4Tマークの出現確率が約16%である。長さ5T以上の長マークの各出現確率は更に低い。すなわち、各符号長の出現頻度が符号長の増大と共に低下する。このように符号長ごとに出現頻度の異なる記録パターンが上記の試し書きに利用される場合、光ディスク101に書き込まれた記録パターンからPLL部107により得られる再生クロックの位相が出現頻度の高い短マーク(特に出現確率が1/3以上である2Tマーク)の位相でほぼ決まる。しかし、記録パルス条件D、E、F間では上記の通り、短マークのエッジ位置が大きく異なるので、従来の記録パターンから得られる再生クロックの位相が大きく異なる。その結果、(特に第3のステップによりエッジシフト量が既に小さいはずである)長さ4T以上の長マークから測定されるエッジシフト量や位相が顕著な誤差を含む。それらの誤差は、第5のステップで行われる短マークのエッジシフト量の高精度な測定を阻む。それに対し、第4のステップで用いられる記録パターンでは各符号長の出現頻度がほぼ均等である。従って、2Tマークと3Tマークとの各出現確率が1/7であるのに対し、長さ4T以上のマークのいずれかが出現する頻度が5/7である。すなわち、第4のステップで用いられる記録パターンでは長さ4T以上の長マークが大勢を占める。この場合、光ディスク101に書き込まれたその記録パターンからPLL部107により得られる再生クロックの位相が長マークの位相でほぼ決まる。その結果、2Tマークや3Tマークのエッジ位置の変化に関わらず、再生クロックの位相が安定しているので、第5のステップでは2Tマークや3Tマークのエッジシフト量が高精度に測定可能である。
記録再生装置は記録パルス条件D、E、Fのそれぞれを用いて上記の記録パターンを、第2のステップと同様に、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に試し書きする。すなわち、記録条件学習領域1002には上記の記録パターンが、記録パルス条件D、E、Fごとに連続して記録される。
尚、好ましくは、4Tマークのエッジ位置が長さ5T以上のマークの平均エッジ位置から大きく外れている場合、4Tマークに関する記録パルス条件のパラメータを3Tマークに関するパラメータと同様に変化させて試し記録を行っても良い。それにより、第5のステップ以降の処理では、短マークと共に4Tマークについてもエッジシフト量が測定され、更にその測定結果に基づいて4Tマークに関するパラメータが補正される。
記録パルス条件E、Fの設定では、パラメータdTop、Ttop、Tlp、dTeの変化量が、記録再生装置により設定可能な最小単位の等倍の他に、その単位の2倍以上であっても良い。その場合、好ましくは、第5のステップで測定されるエッジシフト量から、パラメータが1単位変化した場合のエッジシフト量が換算される。それにより、記録パルス条件の変化に伴うエッジシフト量の変化が微細な光ディスクに対しても、パラメータが1単位変化した場合のエッジシフト量が正確に測定可能である。
[第5のステップ]
記録再生装置は、以下のように、記録パルス条件D、E、Fで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンを連続して再生し、再生信号のエッジシフト量を測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
記録再生装置は、以下のように、記録パルス条件D、E、Fで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンを連続して再生し、再生信号のエッジシフト量を測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
エッジシフト量の測定の基本原理は、第3のステップの説明に記載されている通りである。但し、第5のステップでは第3のステップとは特に、パターン検出部108により選択されるパターンが異なる(図8、9参照)。パターン検出部108は図9に示されている分類に従い、2Tマークの始端を検出する場合はPattern−3とPattern−4とを用い、2Tマークの終端を検出する場合はPattern−6とPattern−8とを用い、3Tマークの始端を検出する場合はPattern−1〜Pattern−4を用い、3Tマークの終端を検出する場合はPattern−5〜Pattern−8を用いる。更に詳細には、例えば、2Tスペースに続く3Tマークの始端を検出する場合、Pattern−3のパスP3Aが選択される。3Tスペースに続く3Tマークの始端を検出する場合、Pattern−1のパスP1BとPattern−4のパスP4Aとが選択される。尚、図9に示されている分類から明らかな通り、2Tマークと2Tスペースとのいずれかを含むパターンでは正解のパスの候補が一つしか存在しない。一方、2Tマークと2Tスペースとのいずれも含まないパターンでは正解のパスの候補が常に二つ存在する。以下のステップでは、マークの始端と終端とのそれぞれに対応する再生信号の部分が、マーク長とスペース長との間のあらゆる組み合わせについて、図9に示されている各パスに近づくように、記録パルス条件のパラメータが最適化される。そのようなパラメータが最尤復号法によるデータ再生にとっては最適である。
尚、図9では、2Tスペースの直後に2Tマークがあるパターンと、2Tマークの直後に2Tスペースがあるパターンとのいずれに対してもパスが設定されていない。それらのパターンは図8に示されている八つのパターン(Pattern−1〜Pattern−8)では検出不能である。従って、それらのパターンについては以下の方法とは別の方法でエッジシフト量が測定されても良い。但し、最尤復号法によるデータ再生では、それらのパターンが、17PP変調には用いられない符号長1Tのパターンとして誤って検出されやすい。しかし、それらのパターンに起因するエラーは容易に識別可能である。従って、それらのパターンについては記録パルス条件が光ディスク101ごとに最適化されなくても良く、適切な初期値が一律に利用されても良い。
次に、エッジシフト検出部109が第3のステップと同様に、2Tマークと3Tマークとのそれぞれのエッジシフト量を測定する。例えば、3Tマークの始端については、パターン検出部108により選択された正解のパスの候補P3A、P1B、P4A、P2Bの四つのそれぞれに対し、エッジシフト検出部109がエッジシフト量を以下のように測定する。
4Tスペースが3Tマークの直前にある場合、パターン検出部108はPattern−2のパスP2BとPattern−4のパスP4Aとを選択する(図8、9参照)。エッジシフト検出部109は最尤復号部への入力信号の対応部分の波形を各パスP2B、P4Aと比較し、それらの間の距離から、各パスP2B、P4Aを正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量4S3MB、4S3MAを計算する。エッジシフト検出部109は更に、それら二つのエッジシフト量4S3MB、4S3MAを平均し、その平均値を、4Tスペースが3Tマークの直前にある場合のエッジシフト量4S3Mとして決定する:
4Tスペースが3Tマークの直前にある場合、パターン検出部108はPattern−2のパスP2BとPattern−4のパスP4Aとを選択する(図8、9参照)。エッジシフト検出部109は最尤復号部への入力信号の対応部分の波形を各パスP2B、P4Aと比較し、それらの間の距離から、各パスP2B、P4Aを正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量4S3MB、4S3MAを計算する。エッジシフト検出部109は更に、それら二つのエッジシフト量4S3MB、4S3MAを平均し、その平均値を、4Tスペースが3Tマークの直前にある場合のエッジシフト量4S3Mとして決定する:
4S3M=(4S3MB+4S3MA)/2。
長さ5T以上のスペースが3Tマークの直前にある場合も同様に、入力信号の対応部分の波形が各パスP2B、P4Aと比較され、それらの間の距離から、各パスP2B、P4Aを正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量5S3MB、5S3MAが計算される。更に、それらの平均値が、長さ5T以上のスペースが3Tマークの直前にある場合のエッジシフト量5S3Mとして決定される。こうして、3Tマークの直前にあるスペースの長さごとに、図8、9に示されているパターンが入力信号の対応部分の波形と比較されてエッジシフト量が測定される。それらのエッジシフト量はマーク長とスペース長との間の組み合わせ別に図11に表示されている。尚、正解のパスの候補が二つ(PXA、PYB(X、Y=1、2、…、8))存在する組み合わせについては、図11に表示された変数は、各パスPXA、PYBを正解とするサンプル群間でのエッジシフト量の平均値を意味する。
エッジシフト検出部109は更に、マーク長とスペース長との間の組み合わせ別に得られたエッジシフト量から、前後のスペース長に依らない、マーク長ごとの平均エッジシフト量を以下のように求める。例えば、3Tマークの始端の平均エッジシフト量xS3Mは次式で得られる:
xS3M=(C2S3M*2S3M+C3S3M*3S3M+C4S3M*4S3M+C5S3M*5S3M)
/(C2S3M+C3S3M+C4S3M+C5S3M)。
/(C2S3M+C3S3M+C4S3M+C5S3M)。
ここで、四つの定数CiS3M(i=2、3、4、5)は、エッジシフト量の測定に利用されたiTスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせのサンプル数を表す。すなわち、各長さのマークについて、直前のスペース長ごとのエッジシフト量が上記のサンプル数に応じた重み付けで平均されることで、各マークの始端の平均エッジシフト量が得られる。こうして、エッジシフト検出部109が2Tマークと3Tマークとのそれぞれについて、始端の平均エッジシフト量xS2M、xS3M、及び終端の平均エッジシフト量2MxS、3MxSを演算で求める。
[第6のステップ]
記録パルス条件演算部110はまず、エッジシフト検出部109により測定された平均エッジシフト量を利用し、2Tマークと3Tマークとのそれぞれについて、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとを記録パルス条件D、E、Fごとに次式で求める:
記録パルス条件演算部110はまず、エッジシフト検出部109により測定された平均エッジシフト量を利用し、2Tマークと3Tマークとのそれぞれについて、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとを記録パルス条件D、E、Fごとに次式で求める:
L2T=xS2M−2MxS、
L3T=xS3M−3MxS、
P2T=xS2M+2MxS、
P3T=xS3M+3MxS。
L3T=xS3M−3MxS、
P2T=xS2M+2MxS、
P3T=xS3M+3MxS。
ここで、長さのずれLiT(i=2、3)は、光ディスク101に実際に記録されたiTマークの長さと正規の長さ(再生クロック間隔Tのi倍=iT)との間の差を表す。長さのずれLiTが0であれば実際のiTマークの長さが正規の長さと一致し、長さのずれLiTが正であれば実際のiTマークが正規の長さより長く、長さのずれLiTが負であれば実際のiTマークが正規の長さより短い。一方、位相のずれPiT(i=2、3)は、光ディスク101に実際に記録されたiTマークの位相と正規の位相(再生クロックの位相)との間の差を表す。位相のずれPiTが0であれば実際のiTマークの位相が正規の位相と一致し、位相のずれPiTが正であれば実際のiTマークの位相が正規の位相より進み、位相のずれLiTが負であれば実際のiTマークの位相が正規の位相より遅れている。
記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件Dを用いて記録された記録パターンを再生した信号について、2Tマークと3Tマークとのそれぞれの長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとを所定の閾値と比較する。長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとがいずれも閾値以下であった場合、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件Dを最適な記録パルス条件として決定し、記録パルス条件の最適化処理を終える。その他に、後述の第7のステップで求められた補正値m、nがいずれも0になった場合も、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件の最適化処理を終える。一方、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとのいずれかが閾値を超えた場合、記録パルス条件演算部110は第7のステップ以降の処理を続行し、記録パルス条件の補正を行う。尚、この判定に使われるべき指標としては、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとの他に、それらの二乗和、再生信号のジッタ、又は、再生信号の品質を表すその他の指標(例えば、MLSE、bER、SER)の組み合わせが用いられても良い。
[第7のステップ]
記録パルス条件演算部110は、記録パルス条件D、E、Fのそれぞれについて得られた2Tマークと3Tマークとのそれぞれの長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとに基づき、記録パルス条件の補正値を以下のように演算で求める。その演算では以下のパラメータが用いられる:
・記録パルス条件D、E、Fのそれぞれでの長さのずれL2T(D)、L3T(D)、L2T(E)、L3T(E)、L2T(F)、L3T(F)、及び位相のずれP2T(D)、P3T(D)、P2T(E)、P3T(E)、P2T(F)、P3T(F);
・基準の記録パルス条件Dとマーク長調整用の記録パルス条件Eとの間での、長さのずれの差L122T、L123Tと位相のずれの差P122T、P123T;
・基準の記録パルス条件Dとマーク位相調整用の記録パルス条件Fとの間での、長さのずれの差L132T、L133Tと位相のずれの差P132T、P133T;
・マーク長の補正量m2T、m3Tとマークの位相の補正量n2T、n3T。好ましくは、補正量m2T、m3T、n2T、n3Tがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、記録パルス条件D、E、Fのそれぞれについて得られた2Tマークと3Tマークとのそれぞれの長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとに基づき、記録パルス条件の補正値を以下のように演算で求める。その演算では以下のパラメータが用いられる:
・記録パルス条件D、E、Fのそれぞれでの長さのずれL2T(D)、L3T(D)、L2T(E)、L3T(E)、L2T(F)、L3T(F)、及び位相のずれP2T(D)、P3T(D)、P2T(E)、P3T(E)、P2T(F)、P3T(F);
・基準の記録パルス条件Dとマーク長調整用の記録パルス条件Eとの間での、長さのずれの差L122T、L123Tと位相のずれの差P122T、P123T;
・基準の記録パルス条件Dとマーク位相調整用の記録パルス条件Fとの間での、長さのずれの差L132T、L133Tと位相のずれの差P132T、P133T;
・マーク長の補正量m2T、m3Tとマークの位相の補正量n2T、n3T。好ましくは、補正量m2T、m3T、n2T、n3Tがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、長さのずれの差L122T、L123T、L132T、L133T、及び位相のずれの差P122T、P123T、P132T、P133Tをそれぞれ、以下のように計算する。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件D、E間での長さのずれL2T(D)、L2T(E)の差、及びL3T(D)、L3T(E)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L122T、L123Tとして次式で求める:
L122T=L2T(E)−L2T(D)、
L123T=L3T(E)−L3T(D)。
L123T=L3T(E)−L3T(D)。
記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件D、E間での位相のずれP2T(D)、P2T(E)の差、及びP3T(D)、P3T(E)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、E間での位相のずれの差P122T、P123Tとして次式で求める:
P122T=P2T(E)−P2T(D)、
P123T=P3T(E)−P3T(D)。
P123T=P3T(E)−P3T(D)。
記録パルス条件演算部110は続いて、記録パルス条件D、F間での長さのずれL2T(D)、L2T(F)の差、及びL3T(D)、L3T(F)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、F間での長さのずれの差L132T、L133Tとして次式で求める:
L132T=−[L2T(F)−L2T(D)]、
L133T=L3T(F)−L3T(D)。
L133T=L3T(F)−L3T(D)。
記録パルス条件演算部110は更に、記録パルス条件D、F間での位相のずれP2T(D)、P2T(F)の差、及びP3T(D)、P3T(F)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、F間での位相のずれの差P132T、P133Tとして次式で求める:
P132T=−[P2T(F)−P2T(D)]、
P133T=P3T(F)−P3T(D)。
P133T=P3T(F)−P3T(D)。
記録パルス条件演算部110は長さのずれの差L12x、L13x[x=2T、3T]と位相のずれの差P12x、P13xとに基づき、記録パルス条件D、E、Fのうちエッジシフト量が最も小さい記録パルス条件(ここでは、記録パルス条件D)での長さのずれLxと位相のずれPxとのそれぞれを目標値0まで変化させるのに必要な補正量mx、nxを、線形の連立方程式(1)〜(4)(以下、シフト補正方程式という)で求める:
L2T+L122T*m2T+L132T*n2T=0、 (1)
P2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (2)
L3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (3)
P3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (4)
P2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (2)
L3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (3)
P3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (4)
シフト補正方程式(1)〜(4)は以下のことを意味する:
第4のステップでの設定により、記録パルス条件Eは記録パルス条件Dと比べ、パラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図5、7参照)。従って、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと位相のずれの差P12xとはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴う長さのずれの変化と位相のずれの変化とがいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの基準値a、bを補正量m2Tずつ変化させ、かつ基準値d、eを補正量m3Tずつ変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では、長さのずれが記録パルス条件Dでの長さのずれLxから、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと補正量mxとの積だけ変化し、位相のずれが記録パルス条件Dでの位相のずれPxから、記録パルス条件D、E間での位相のずれの差P12xと補正量mxとの積だけ変化する。
第4のステップでの設定により、記録パルス条件Eは記録パルス条件Dと比べ、パラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図5、7参照)。従って、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと位相のずれの差P12xとはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴う長さのずれの変化と位相のずれの変化とがいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの基準値a、bを補正量m2Tずつ変化させ、かつ基準値d、eを補正量m3Tずつ変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では、長さのずれが記録パルス条件Dでの長さのずれLxから、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと補正量mxとの積だけ変化し、位相のずれが記録パルス条件Dでの位相のずれPxから、記録パルス条件D、E間での位相のずれの差P12xと補正量mxとの積だけ変化する。
記録パルス条件Fは記録パルス条件Dと比べ、2Tマークに関するパラメータdTtop、dTeの値が−1単位ずつ異なり、3Tマークに関するパラメータdTtop、dTeの値が+1単位ずつ異なり、3Tマークに関するパラメータTlpの値が−1単位異なる(図5、7参照)。そのようなパラメータdTtop、Tlp、dTeの±1単位の変化によって記録パルス条件D、F間での長さのずれの差L13xと位相のずれの差P13xとが生じる。ここで、「パラメータdTtop、Tlp、dTeの変化に伴う長さのずれの変化と位相のずれの変化とがいずれもパラメータdTtop、Tlp、dTeの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Tlp、dTeの基準値a、c、d、f、gをそれぞれ、−n2T、−n2T、n3T、−n3T、n3T変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では、長さのずれが記録パルス条件Dでの長さのずれLxから、記録パルス条件D、F間での長さのずれの差L13xと補正量nxとの積だけ変化し、位相のずれが記録パルス条件DでのPxから、記録パルス条件D、F間での位相のずれの差P13xと補正量nxとの積だけ変化する。
それ故、シフト補正方程式(1)〜(4)を同時に満たす補正量mx、nxを用いてパラメータの値を基準値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では長さのずれと位相のずれとがいずれも目標値0に一致する。
記録パルス条件Eは主にマーク長の調整を目的として設定され、記録パルス条件Fは主にマーク長の調整を目的として設定される。しかし、記録パルス条件Eで記録されたパターンを再生した信号では、マーク長のずれLxだけでなく、マークの位相のずれPxも変化する。逆に、記録パルス条件Fで記録されたパターンを再生した信号では、マークの位相のずれPxだけでなく、マーク長のずれLxも変化する。すなわち、記録パルス条件の変更に伴うマーク長の変化とマークの位相の変化とが互いに独立ではなく、むしろ相互に依存する。それらの関係をシフト補正方程式(1)〜(4)で線形に近似することにより、長さのずれの差L12x、L13xと位相のずれの差P12x、P13xとの各測定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能である。尚、補正量mx、nxは好ましくは、シフト補正方程式(1)〜(4)を解いた次式(5)〜(8)から計算される:
m2T=(P2T*L132T−L2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (5)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (6)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (7)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (8)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (6)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (7)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (8)
式(5)〜(8)から得られた補正量mx、nxは更に、好ましくは小数点以下を四捨五入することにより、整数値に丸められる。こうして得られた補正量mx、nxを用い、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件を次のように補正する(図12参照)。記録パルス条件演算部110は、まず、2Tマークに関し、パラメータdTtop、Ttopの各基準値a、bをマーク長の補正量m2Tずつ加算する。更に、パラメータdTtop、dTeの各基準値a、cをマークの位相の補正量n2Tずつ加算する:
2T:dTtop=a+m2T+n2T、
2T:Ttop=b+m2T、
2T:dTe=c+n2T。
2T:Ttop=b+m2T、
2T:dTe=c+n2T。
記録パルス条件演算部110は、次に、3Tマークに関し、パラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeの各基準値d、e、f、gを補正量m3T、n3Tを使って次式のように補正する:
3T:dTtop=d+m3T+n3T、
3T:Ttop=e+m3T、
3T:Tlp=f−m3T、
3T:dTe=g+n3T。
3T:Ttop=e+m3T、
3T:Tlp=f−m3T、
3T:dTe=g+n3T。
記録パルス条件演算部110は上記の補正で得られた記録パルス条件Gを、記録パルス条件Dに代えて初期条件として設定する。それにより、次の第8のステップで第4のステップからの処理の繰り返しが判断された場合、次の第4のステップでは記録パルス条件Dに代え、記録パルス条件Gのパラメータの値が基準値として設定される。
シフト補正方程式(1)〜(4)では長さのずれと位相のずれとの各目標値が一律に、0に設定されている。それにより、最尤復号処理でのエラーの発生確率が最小化されるように、記録パルス条件が最適化される。ここで、最尤復号処理でのエラーの発生確率と、再生信号の品質を表す他の指標(例えば、ジッタやリミットイコライザ後のジッタ)との間の良好なバランスが望まれている場合、各目標値が0以外の値に設定されても良く、更に2Tマークと3Tマークとの間で異なっていても良い。長さのずれと位相のずれとの各目標値をLtx、Ptx(x=2T、3T)とするとき、シフト補正方程式は以下の連立方程式(9)〜(12)で表され、その解は式(13)〜(16)で表される:
L2T+Lt2T+L122T*m2T+L132T*n2T=0、 (9)
P2T+Pt2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (10)
L3T+Lt3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (11)
P3T+Pt3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (12)
m2T=(P2T*L132T−L2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Pt2T*L132T−Lt2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (13)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Lt2T*P122T−Pt2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (14)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Pt3T*L133T−Lt3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (15)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Lt3T*P123T−Pt3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (16)
P2T+Pt2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (10)
L3T+Lt3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (11)
P3T+Pt3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (12)
m2T=(P2T*L132T−L2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Pt2T*L132T−Lt2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (13)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Lt2T*P122T−Pt2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (14)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Pt3T*L133T−Lt3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (15)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Lt3T*P123T−Pt3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (16)
ここで、補正量mx、nx(x=2T、3T)は好ましくは、小数点以下を四捨五入することで整数に丸められる。尚、記録再生装置は好ましくは、各目標値Ltx、Ptxを光ディスクの種類別に予め記憶している。
[第8のステップ]
第1〜第7のステップでは、マーク長とその前後のスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量が測定され、各測定結果からマーク長ごとの平均エッジシフト量が求められ、その平均エッジシフト量に基づいて記録パルス条件が調整される。ここで、平均エッジシフト量では、マークの前後のスペース長の違いによるエッジシフト量の変動が均されている。しかし、光ディスク101の種類によっては、マークとスペースとの間での熱の干渉がマークの前後のスペース長に応じて顕著に変動し得る。そのような光ディスクにデータが書き込まれるときは、記録パルス条件が、マーク長だけでなく、前後のスペース長にも応じて変化しなければならない。ここで、マークの前後のスペース長が考慮される場合、記録パルス条件に含まれるべきパラメータの組み合わせの数が、マーク長とスペース長との間の組み合わせの数と共に著しく増加する。試し記録により調整されるべきパラメータの数が多い場合、学習に要する時間が長く、しかも、記録条件学習領域1003のトラックが多数消費される。特に追記型ディスクのようにデータを一回しか記録できない光ディスクでは記録条件学習領域のトラック数の制限から学習回数が制限されるので、一回の学習で消費されるトラック数はできるだけ少ないことが好ましい。従って、第8のステップでは、光ディスク101の種類や第1〜第7のステップの結果に基づき、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要か否かが判断される。その補償が不要である場合、第9のステップ以降がスキップされ、処理が第4のステップから繰り返される。特に二回目の第4のステップでは、図5に示されている記録パルス条件D、E、Fに代え、図12に示されている記録パルス条件G、H、Iが利用される。従って、記録パルス条件の補正にはマーク長ごとの平均エッジシフト量のみが利用される。このように補正対象のパラメータが限定されることで、記録パルス条件の調整時間が更に短縮可能であり、かつ、マークの品質が更に向上可能である。一方、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要である場合(例えば、光ディスク101の種類がそのような光ディスクである場合や、第1〜第7のステップの結果ではマークのエッジシフト量の補償が不十分であった場合)、処理が第9のステップに進み、マークの前後スペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が実行される。
第1〜第7のステップでは、マーク長とその前後のスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量が測定され、各測定結果からマーク長ごとの平均エッジシフト量が求められ、その平均エッジシフト量に基づいて記録パルス条件が調整される。ここで、平均エッジシフト量では、マークの前後のスペース長の違いによるエッジシフト量の変動が均されている。しかし、光ディスク101の種類によっては、マークとスペースとの間での熱の干渉がマークの前後のスペース長に応じて顕著に変動し得る。そのような光ディスクにデータが書き込まれるときは、記録パルス条件が、マーク長だけでなく、前後のスペース長にも応じて変化しなければならない。ここで、マークの前後のスペース長が考慮される場合、記録パルス条件に含まれるべきパラメータの組み合わせの数が、マーク長とスペース長との間の組み合わせの数と共に著しく増加する。試し記録により調整されるべきパラメータの数が多い場合、学習に要する時間が長く、しかも、記録条件学習領域1003のトラックが多数消費される。特に追記型ディスクのようにデータを一回しか記録できない光ディスクでは記録条件学習領域のトラック数の制限から学習回数が制限されるので、一回の学習で消費されるトラック数はできるだけ少ないことが好ましい。従って、第8のステップでは、光ディスク101の種類や第1〜第7のステップの結果に基づき、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要か否かが判断される。その補償が不要である場合、第9のステップ以降がスキップされ、処理が第4のステップから繰り返される。特に二回目の第4のステップでは、図5に示されている記録パルス条件D、E、Fに代え、図12に示されている記録パルス条件G、H、Iが利用される。従って、記録パルス条件の補正にはマーク長ごとの平均エッジシフト量のみが利用される。このように補正対象のパラメータが限定されることで、記録パルス条件の調整時間が更に短縮可能であり、かつ、マークの品質が更に向上可能である。一方、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要である場合(例えば、光ディスク101の種類がそのような光ディスクである場合や、第1〜第7のステップの結果ではマークのエッジシフト量の補償が不十分であった場合)、処理が第9のステップに進み、マークの前後スペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が実行される。
第8のステップでは好ましくは、マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整の必要性が次のように定量的に判断される。記録パルス条件演算部110は、マーク長iT(i=2、3、4以上)ごとに、前後のスペース長jT(j=2、3、4、5以上)に応じたエッジシフト量jSiM、iMjSの各分散値σxSiM 2、σiMxS 2(エッジシフト量jSiM、iMjSと平均エッジシフト量xSiM、iMxSとの間の差の二乗平均値)を求め、得られた分散値σxSiM 2、σiMxS 2の平均値の平方根を指標σSPとして決定する:
σxS2M 2
=[(3S2M−xS2M)2+(4S2M−xS2M)2+(5S2M−xS2M)2]/3、 (17)
σxS3M 2
=[(2S3M−xS3M)2+(3S3M−xS3M)2
+(4S3M−xS3M)2+(5S3M−xS3M)2]/4、 (18)
σxS4M 2
=[(2S4M−xS4M)2+(3S4M−xS4M)2
+(4S4M−xS4M)2+(5S4M−xS4M)2]/4、 (19)
σ2MxS 2
=[(2M3S−2MxS)2+(2M4S−2MxS)2+(2M5S−2MxS)2]/3、 (20)
σ3MxS 2
=[(3M2S−3MxS)2+(3M3S−3MxS)2
+(3M4S−3MxS)2+(3M5S−3MxS)2]/4、 (21)
σ4MxS 2
=[(4M2S−4MxS)2+(4M3S−4MxS)2
+(4M4S−4MxS)2+(4M5S−4MxS)2]/4、 (22)
σSP=sqrt[(σxS2M 2+σxS3M 2+σxS4M 2+σ2MxS 2+σ3MxS 2+σ4MxS 2)/6]。(23)
=[(3S2M−xS2M)2+(4S2M−xS2M)2+(5S2M−xS2M)2]/3、 (17)
σxS3M 2
=[(2S3M−xS3M)2+(3S3M−xS3M)2
+(4S3M−xS3M)2+(5S3M−xS3M)2]/4、 (18)
σxS4M 2
=[(2S4M−xS4M)2+(3S4M−xS4M)2
+(4S4M−xS4M)2+(5S4M−xS4M)2]/4、 (19)
σ2MxS 2
=[(2M3S−2MxS)2+(2M4S−2MxS)2+(2M5S−2MxS)2]/3、 (20)
σ3MxS 2
=[(3M2S−3MxS)2+(3M3S−3MxS)2
+(3M4S−3MxS)2+(3M5S−3MxS)2]/4、 (21)
σ4MxS 2
=[(4M2S−4MxS)2+(4M3S−4MxS)2
+(4M4S−4MxS)2+(4M5S−4MxS)2]/4、 (22)
σSP=sqrt[(σxS2M 2+σxS3M 2+σxS4M 2+σ2MxS 2+σ3MxS 2+σ4MxS 2)/6]。(23)
ここで、偏差σxSiMは、iTマーク(i=2、3、4以上)についてその直前のスペース長に応じた始端のばらつきの大きさを表す。偏差σiMxSは、iTマークについてその直後のスペース長に応じた終端のばらつきの大きさを表す。式(23)で得られた指標σSPは、前後のマーク長に依らない、スペース長ごとの長さのばらつきの大きさを表す指標として用いられる。尚、例えば分散σxS2M 2は式(17)に代え、次式(24)のように重み係数Csm32、Csm42、Csm52を用いて計算されても良い:
σxS2M 2
=[Csm32*(3S2M−xS2M)2+Csm42*(4S2M−xS2M)2
+Csm52*(5S2M−xS2M)2]/3。 (24)
=[Csm32*(3S2M−xS2M)2+Csm42*(4S2M−xS2M)2
+Csm52*(5S2M−xS2M)2]/3。 (24)
ここで、各重み係数Csmj2(j=3、4、5)は、jTスペースに続いて2Tマークが出現する確率を表す。他の分散値も同様な重み付けで計算されても良い。それにより、マーク長とスペース長との間の各組み合わせが出現する頻度に応じた分散値が得られる。
記録パルス条件演算部110は更に、指標σSPを所定の基準値と比較する。指標σSPが基準値より大きい場合、マークの前後のスペース長に応じてエッジシフト量が過大に変化しているので、「マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が必要である」と判断される。その場合、処理が第9のステップに進み、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件が調整される。一方、指標σSPが基準値より小さい場合、「マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が不要である」と判断され、処理が第4のステップに戻り、マーク長ごとに記録パルス条件の補正が繰り返される。
[第9のステップ]
マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件を調整する目的で、試し書きが以下のように行われる。
ここで、試し書きに利用される記録パルス条件を図14に示す。記録パルス条件Gは、第7のステップの補正で得られた記録パルス条件である。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件Gに含まれているパラメータの値を初期値として設定する。記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件Gに含まれている、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせに関し、二つのパラメータdTtop、Ttopの初期値をそれぞれ1単位ずつ加算し、他の初期値と共に、記録パルス条用Jとしてメモリに格納する。
マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件を調整する目的で、試し書きが以下のように行われる。
ここで、試し書きに利用される記録パルス条件を図14に示す。記録パルス条件Gは、第7のステップの補正で得られた記録パルス条件である。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件Gに含まれているパラメータの値を初期値として設定する。記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件Gに含まれている、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせに関し、二つのパラメータdTtop、Ttopの初期値をそれぞれ1単位ずつ加算し、他の初期値と共に、記録パルス条用Jとしてメモリに格納する。
記録再生装置は記録パルス条件G、Jのそれぞれを用い、第4のステップで用いられた特定の記録パターンを、第2のステップと同様に、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に試し書きする。すなわち、記録条件学習領域1002には上記の記録パターンが記録パルス条件G、Jごとに連続して記録される。
尚、マークとスペースとの間の熱干渉がエッジシフト量に与える影響は、短いスペースに続くマークと最短マーク(2Tマーク)とで大きい。従って、第9のステップでは上記の通り、2Tスペースと3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースと長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースと2Tマークとの組み合わせ、の三種類に関するパラメータが1単位ずつ加算される(図14参照)。しかし、パラメータの動かし方はこれらに限られない。特に、他のマーク長と他のスペース長との組み合わせに関するパラメータが変更されても良い。その他に、マークの直前のスペースごとに分類されたパラメータdTtop、Ttopの各値に代え、マークの直後のスペース長ごとに分類されたパラメータTlp、dTeの各値が変更されても良い。
[第10のステップ]
記録再生装置は、以下のように、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量を測定する。まず、記録パルス条件G、Jのそれぞれで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンが再生される。更に、エッジシフト検出部109がその再生信号のエッジシフト量を、第3及び第5のステップと同様に測定する。それにより、図11に示されている、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとのエッジシフト量が全て測定される。
記録再生装置は、以下のように、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量を測定する。まず、記録パルス条件G、Jのそれぞれで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンが再生される。更に、エッジシフト検出部109がその再生信号のエッジシフト量を、第3及び第5のステップと同様に測定する。それにより、図11に示されている、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとのエッジシフト量が全て測定される。
[第11のステップ]
記録再生装置は第8のステップと同様な判断を行う。すなわち、記録パルス条件演算部110がまず、第10のステップで得られたエッジシフト量に基づいて上記の指標σSPを計算し、得られた指標σSPを所定の基準値と比較する。指標σSPが基準値より大きい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が過大である」と判断される。その場合、処理が第12のステップに進む。一方、指標σSPが基準値より小さい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が十分に小さい」と判断され、記録パルス条件の最適化処理が終了する。
記録再生装置は第8のステップと同様な判断を行う。すなわち、記録パルス条件演算部110がまず、第10のステップで得られたエッジシフト量に基づいて上記の指標σSPを計算し、得られた指標σSPを所定の基準値と比較する。指標σSPが基準値より大きい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が過大である」と判断される。その場合、処理が第12のステップに進む。一方、指標σSPが基準値より小さい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が十分に小さい」と判断され、記録パルス条件の最適化処理が終了する。
[第12のステップ]
記録パルス条件演算部110は、第10のステップでエッジシフト検出部109により測定されたエッジシフト量に基づき、記録パルス条件の補正量を演算で求める。その演算に用いられるパラメータは次の通りである:
・記録パルス条件G、Jでのエッジシフト量2S3M(G)、2S4M(G)、5S2M(G)、2S3M(J)、2S4M(J)、5S2M(J);
・記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2M;
・記録パルス条件の補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M。好ましくは、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、第10のステップでエッジシフト検出部109により測定されたエッジシフト量に基づき、記録パルス条件の補正量を演算で求める。その演算に用いられるパラメータは次の通りである:
・記録パルス条件G、Jでのエッジシフト量2S3M(G)、2S4M(G)、5S2M(G)、2S3M(J)、2S4M(J)、5S2M(J);
・記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2M;
・記録パルス条件の補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M。好ましくは、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、まず、記録パルス条件G、Jのそれぞれで記録された各記録パターンを再生した信号間で、エッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mの差e2S3M、e2S4M、e5S2Mを次式で求める:
e2S3M=2S3M(J)−2S3M(G)、
e2S4M=2S4M(J)−2S4M(G)、
e5S2M=5S2M(J)−5S2M(G)。
e2S4M=2S4M(J)−2S4M(G)、
e5S2M=5S2M(J)−5S2M(G)。
記録パルス条件演算部110は次に、エッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2Mに基づき、記録パルス条件Gでのエッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mをいずれも目標値0まで変化させるのに必要な補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを、次のシフト補正方程式(25)〜(27)で求める:
2S3M+e2S3M*q2S3M=0、 (20)
2S4M+e2S4M*q2S4M=0、 (21)
5S2M+e5S2M*q5S2M=0。 (22)
2S4M+e2S4M*q2S4M=0、 (21)
5S2M+e5S2M*q5S2M=0。 (22)
シフト補正方程式(20)〜(22)は以下のことを意味する:
第9のステップでの設定により、記録パルス条件Jは記録パルス条件Gと比べ、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせのそれぞれに関するパラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図14参照)。従って、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2MはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴うエッジシフト量の変化がいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの各初期値を補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量が、記録パルス条件Gでのエッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mから、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2Mと補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mとの積だけ変化する。それ故、シフト補正方程式(20)〜(22)を同時に満たす補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを用いてパラメータの値を初期値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量がいずれも目標値0に一致する。こうして、シフト補正方程式(20)〜(22)による線形近似に基づき、エッジシフト量の差の各測定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能である。尚、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mは好ましくは、シフト補正方程式(20)〜(22)を解いた次式(23)〜(25)から計算される:
第9のステップでの設定により、記録パルス条件Jは記録パルス条件Gと比べ、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせのそれぞれに関するパラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図14参照)。従って、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2MはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴うエッジシフト量の変化がいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの各初期値を補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量が、記録パルス条件Gでのエッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mから、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2Mと補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mとの積だけ変化する。それ故、シフト補正方程式(20)〜(22)を同時に満たす補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを用いてパラメータの値を初期値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量がいずれも目標値0に一致する。こうして、シフト補正方程式(20)〜(22)による線形近似に基づき、エッジシフト量の差の各測定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能である。尚、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mは好ましくは、シフト補正方程式(20)〜(22)を解いた次式(23)〜(25)から計算される:
q2S3M=−2S3M/e2S3M、 (23)
q2S4M=−2S4M/e2S4M、 (24)
q5S2M=−5S2M/e5S2M。 (25)
q2S4M=−2S4M/e2S4M、 (24)
q5S2M=−5S2M/e5S2M。 (25)
式(23)〜(25)から得られた補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mは更に、好ましくは小数点以下を四捨五入することにより、整数値に丸められる。こうして得られた記録パルス条件の補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを用い、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件を次のように補正する。記録パルス条件演算部110は、まず、2Tスペースと3Tマークとの組み合わせに関し、パラメータdTtop、Ttopの各初期値Gを補正量q2S3Mずつ加算する:
2Tスペース/3Tマーク:dTtop=G+q2S3M、
2Tスペース/3Tマーク:Ttop=G+q2S3M。
2Tスペース/3Tマーク:Ttop=G+q2S3M。
記録パルス条件演算部110は、2Tスペースと長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースと2Tマークとの組み合わせのそれぞれに関しても同様に、パラメータdTtop、Ttopの各初期値Gを補正量q2S4M、q5S2Mを使って次式のように補正する:
2Tスペース/4T以上マーク:dTtop=G+q2S4M、
2Tスペース/4T以上マーク:Ttop=G+q2S4M、
5T以上スペース/2Tマーク:dTtop=G+q5S2M、
5T以上スペース/2Tマーク:Ttop=G+q5S2M。
2Tスペース/4T以上マーク:Ttop=G+q2S4M、
5T以上スペース/2Tマーク:dTtop=G+q5S2M、
5T以上スペース/2Tマーク:Ttop=G+q5S2M。
記録パルス条件演算部110は上記の補正で得られた記録パルス条件Kを、記録パルス条件Gに代えて初期条件に設定する。その後、処理が第9のステップから繰り返される。特に、次の第9のステップでは記録パルス条件Gに代え、記録パルス条件Kのパラメータの値が初期値として設定される。
シフト補正方程式(23)〜(25)ではエッジシフト量の目標値が一律に、0に設定されている。それにより、最尤復号処理でのエラーの発生確率が最小化されるように、記録パルス条件が最適化される。ここで、最尤復号処理でのエラーの発生確率と、再生信号の品質を表す他の指標(例えば、ジッタやリミットイコライザ後のジッタ)との間の良好なバランスが望まれている場合、各目標値が0以外の値に設定されても良く、更にマーク長とスペース長との間の組み合わせごとに異なっていても良い。
好ましくは、光ディスク101の初期値記録領域1003等に、基準の記録パルス条件とマーク長調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差、及び、基準の記録パルス条件とマーク位相調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差が記録されている。その他に、二つの記録パルス条件間でのエッジシフト量の差がマーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録されていても良い。その場合、更に好ましくは、例えば光ディスク101のローディング時、記録パルス条件復調部114(図1参照)が光ディスク101の初期値記録領域1003から長さのずれの差と位相のずれの差とを読み出す。それにより、第7のステップでは光ディスク101から読み出された長さのずれの差と位相のずれの差とが補正に利用されても良い。同様に、第12のステップでは、光ディスク101から予め読み出されたエッジシフト量の差が補正に利用されても良い。その結果、実際の試し書きには基準の記録パルス条件のみが用いられれば良いので、試し書きの回数が更に削減可能である。
その他に、記録再生装置が、上記の最適化処理で利用された、基準の記録パルス条件とマーク長調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差、基準の記録パルス条件とマーク位相調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差、又は二つの記録パルス条件間でのエッジシフト量の差を光ディスク101に記録しても良い。それにより、次の記録時では、記録パルス条件復調部114がそれらの値を参照する。その結果、記録パルス条件が更に速やかに最適化される。
本発明は光ディスク記録再生装置及びそのデータ記録方法に関し、上記の通り、記録パルス条件を最適化する。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
本発明は、光学的情報記録媒体にレーザ光を照射して物理的性質を変化させることで情報を記録する方法に関し、特に、その記録時に利用される記録パルス条件の最適化に関する。
従来の光学的情報記録媒体としては、例えば、DVD−RAM、DVD−RW、CD−RW等の書換型光ディスクが知られている。これらの書換型光ディスクでは、レーザ光を使って情報が次のように書き換えられる。第1に、記録再生装置が光ディスクのキャリブレーション用領域から記録パルス標準条件を読み出し、それに基づいて記録パルス条件を設定する。第2に、記録再生装置が、記録パルス条件に応じた波形でレーザ光を光ディスクに照射して情報を記録する。ここで、光ディスクの特性や記録再生装置の記録特性のばらつきにより記録品質の受ける影響を低減させるには、設定されるべき記録パルス条件が最適化されねばならない。特に、記録パルス標準条件が光ディスクの実際の特性と合っていない場合、記録パルス条件の最適化により、良好な記録品質が確保されねばならない。
相変化光ディスクでは、照射されたレーザ光の熱によりアモルファスの領域(マーク)が形成され、光反射率が変化する。その光反射率の変化としてデータは光ディスクに記録される。特に高密度記録では、形成されるマークやスペース(マーク間の領域)のサイズが小さい。従って、マークを形成するために加えたレーザ光の熱が、そのマークのみならず、スペースを伝わって前後のマークにまで到達し、各マークの形状にひずみを与えやすい。そのひずみを回避する目的で、記録パルス条件が例えば次のように設定される(例えば特許文献1、2参照)。レーザ光が複数のパルス列(マルチパルス)で構成される場合、その先頭パルスの位置が自己マーク長と前スペース長との間の組み合わせに応じて変化する。一方、最終パルスの位置が自己マーク長と後スペース長との間の組み合わせに応じて変化する。そのような記録パルスの変位により、マーク間の熱干渉が相殺される。このような記録パルスの位置制御は一般に、記録補償と呼ばれている。
特許文献1に開示された記録方法によると、マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれについて記録パルスの位置が特定されている。この位置情報が記録パルス標準条件である。記録パルス標準条件は記録に先立ち、光ディスクから読み出される。更に、読み出された記録パルス標準条件が修正され、記録パルス条件が次のように最適化される。第1に、記録パルス標準条件に含まれるマーク長とスペース長との間の全ての組み合わせに関する位置情報を用い、光ディスクに対する第1の試し書きが行われる。第2に、第1の試し書きで記録されたデータが再生され、その再生信号から第1ジッタが検出される。第3に、記録パルス標準条件に含まれるマーク長とスペース長との間の全ての組み合わせに関する位置情報が一律に変更される。第4に、一律に変更された位置情報を用い、光ディスクに第2の試し書きが行われる。第5に、第2の試し書きで記録されたデータが再生され、その再生信号から第2ジッタが検出される。第6に、第1ジッタが第2ジッタと比較され、小さいジッタに対応する試し書きに用いられた位置情報が最適な記録パルス条件として選択される。
記録パルス条件の最適化には、例えば特許文献2に開示されているように、再生信号のジッタの比較ではなく、最尤復号法が用いられても良い。最尤復号法では、再生信号の実際の波形からその再生信号のあるべきパターンが推定される。更に、再生信号の実際の波形と推定されたパターンとの間の比較に基づき、最も確からしいパターンが決定される。ここで、復号時にエラーの発生する確率が最小となるように、記録パルス条件が最適化される。
特開2000−200418号公報
特開2004−335079号公報
特許文献1に記載されているような従来の記録パルス条件の最適化方法では、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに複数回ずつ、試し書き、その試し書きで記録されたデータの再生、及びその再生信号からのジッタの検出が繰り返される。従って、電源投入時や光ディスクの新規投入時、記録パルス条件の学習に費やされる時間を更に短縮することが困難である。従って、画像やデータの記録開始までに必要な待ち時間を更に短縮することが困難である。更に、試し書きに用いられる記録パルス条件が記録パルス標準条件から、例えば、±2、±1、0というように単純に、かつ場当たりに変更される。従って、最適な記録パルス条件が記録パルス標準条件から大きく外れている場合、何ステップにもわたって記録パルス条件が変更されねばならない。その結果、試し書きの回数の更なる削減が困難であるので、学習時間の更なる短縮が困難である。一方、特許文献2に記載されているように、最尤復号法が記録パルス条件の最適化に利用される場合、その効率化による試し書き回数の削減方法までは未だ知られていない。
本発明は、試し書きの回数を更に削減することで学習に要する時間を更に短縮できる記録パルス条件の最適化方法、及びそれを用いる記録再生装置の提供を目的とする。
本発明は、試し書きの回数を更に削減することで学習に要する時間を更に短縮できる記録パルス条件の最適化方法、及びそれを用いる記録再生装置の提供を目的とする。
本発明による記録再生装置は好ましくは、記録パルス条件の最適化に以下の方法を用いる。その最適化方法は、好ましくは、
二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、その記録パルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体(好ましくは、光ディスク)のトラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録するステップ;
複数の記録パルス条件のそれぞれで上記の特定のパターンが記録されたトラックの各領域から信号を再生し、それらの領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定するステップ;
上記の領域ごとに測定されたエッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相のずれを計算するステップ;及び、
上記の領域間でのマークの長さの差又は位相差が、記録パルスの部分の長さの差又は位相差に比例する、という近似を用い、複数の記録パルス条件間でのマークの長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求めるステップ;
を有する。ここで、好ましくは、それらのステップが、記録再生装置に搭載された半導体集積回路により実行される。
本発明によるこの最適化方法では、記録パルス条件の補正値が、線形近似を用いた演算で求められる。従って、必要な試し書きの回数が容易に削減可能であるので、記録パルス条件の学習に要する時間が短い。
二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、その記録パルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体(好ましくは、光ディスク)のトラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録するステップ;
複数の記録パルス条件のそれぞれで上記の特定のパターンが記録されたトラックの各領域から信号を再生し、それらの領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定するステップ;
上記の領域ごとに測定されたエッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相のずれを計算するステップ;及び、
上記の領域間でのマークの長さの差又は位相差が、記録パルスの部分の長さの差又は位相差に比例する、という近似を用い、複数の記録パルス条件間でのマークの長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求めるステップ;
を有する。ここで、好ましくは、それらのステップが、記録再生装置に搭載された半導体集積回路により実行される。
本発明によるこの最適化方法では、記録パルス条件の補正値が、線形近似を用いた演算で求められる。従って、必要な試し書きの回数が容易に削減可能であるので、記録パルス条件の学習に要する時間が短い。
好ましくは、上記の二種類以上のマークが最短マークとその次に長いマークとを含む。例えばBDでは、最短マークの長さが記録クロック周期の2倍であり、その次に長いマークの長さが記録クロック周期の3倍である。一般に、これらの短マークでは長マークより、最適な記録パルス条件が光ディスクごとに、又は記録再生装置ごとに大きなばらつきを示す。本発明による上記の最適化方法は特に、短マークに関する記録パルス条件を対象とすることで、全体の処理時間を効率良く短縮できる。
好ましくは、記録パルスに対応する記録信号の中に各符号長が実質的に同じ頻度で出現する。その記録信号では特に、通常の変調方式による記録信号より、長マークの出現確率が高い。従って、その記録信号を用いて試し書きされた光学的情報記録媒体のトラックの領域から再生されるクロックは安定性が高い。更に、その領域にはマーク長とスペース長との間の様々な組み合わせが含まれている。それ故、その領域から再生される信号のエッジシフト量が記録パルス条件の最適化に利用されることで、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとの補正値のばらつきが効率良く平均化される。
好ましくは、上記複数の記録パルス条件間では、一つの種類のマークに対応する記録パルスの部分の位相が進むとき、別の種類のマークに対応する記録パルスの部分の位相が遅れる。それにより、それらの記録パルス条件を用いて試し書きされたトラックの各領域から再生されるクロックは、位相の変動が小さい。従って、再生信号のエッジシフト量が正確に測定される。
好ましくは、記録パルスが、先頭パルス、最終パルス、又は冷却パルスを含み、上記複数の記録パルス条件間では、先頭パルス、最終パルス、又は冷却パルスの少なくともいずれかの長さ、位相、又は位置が異なる。更に好ましくは、上記複数の記録パルス条件のいずれか二つの間では、先頭パルスの長さと立ち上がり位置とのいずれか一方又は両方が異なり、別の二つの記録パルス条件間では、最終パルスの長さと位相とのいずれか一方又は両方、先頭パルスの位相、及び冷却パルスの位相、が異なる。好ましくは、光学的情報記録媒体のトラックに試し書きされる特定のパターンが、記録クロック周期の2倍から8倍までのマークとスペースとを含む。
本発明による上記の最適化方法では、記録パルス条件の補正値を求める演算が、好ましくは、次のような線形近似を用いる。まず、複数の記録パルス条件間では二つのパラメータについて値の組み合わせが異なる。次に、いずれか二つの記録パルス条件間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、L12、P12とし、別の二つの記録パルス条件間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、L13、P13とし、いずれか一つの記録パルス条件でトラックに記録されたマークの長さのずれと位相のずれとをそれぞれ、L、Pとし、マークの長さのずれと位相のずれとの各目標値を、Lt、Ptとする。そのとき、上記二つのパラメータの各補正値m、nが次式で求まる:
m=(P×L13−L×P13)/(L12×P13−P12×L13)
+(Pt×L13−Lt×P13)/(L12×P13−P12×L13)、
n=(L×P12−P×L12)/(L12×P13−P12×L13)
+(Lt×P12−Pt×L12)/(L12×P13−P12×L13)。
+(Pt×L13−Lt×P13)/(L12×P13−P12×L13)、
n=(L×P12−P×L12)/(L12×P13−P12×L13)
+(Lt×P12−Pt×L12)/(L12×P13−P12×L13)。
ここで、好ましくは、再生信号の品質が良好となるように目標値Lt、Ptが決められる。更に好ましくは、目標値Lt、Ptがマーク長ごとに可変であり、特に目標値Lt、Ptのいずれか一方又は両方が0である。一方、補正値m、nは好ましくは四捨五入により整数化される。更に、補正値m、nがいずれも0になるまで、各ステップが繰り返される。
好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、
再生信号から生成されたデジタル信号を最尤復号法で2値化信号に変換するステップ、
その2値化信号に基づき、マークのエッジに対応するデジタル信号の部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群の中から選択するステップ、及び、
選択されたパターンをデジタル信号の上記の部分の形状と比較するステップ、
を含む。更に好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、以下の三つのステップを含む。
一.マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれに対してエッジシフト量を測定するステップ;
二.マークの種類ごとにマークの始端と終端とのそれぞれのエッジシフト量の平均値と、マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれのエッジシフト量と、の間の差について、それら組み合わせ間での分散値SPを次式で計算するステップ:
再生信号から生成されたデジタル信号を最尤復号法で2値化信号に変換するステップ、
その2値化信号に基づき、マークのエッジに対応するデジタル信号の部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群の中から選択するステップ、及び、
選択されたパターンをデジタル信号の上記の部分の形状と比較するステップ、
を含む。更に好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、以下の三つのステップを含む。
一.マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれに対してエッジシフト量を測定するステップ;
二.マークの種類ごとにマークの始端と終端とのそれぞれのエッジシフト量の平均値と、マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれのエッジシフト量と、の間の差について、それら組み合わせ間での分散値SPを次式で計算するステップ:
SP=Σi,jCsm[i][j]×(SM[i][j]−AveSM[j])2
+Σi,jCms[i][j]×(MS[i][j]−AveMS[i])2
+Σi,jCms[i][j]×(MS[i][j]−AveMS[i])2
ここで、整数の対(i、j)は、(2、2)を除く、2以上の整数の対であり、変数SM[i][j]は、記録クロック周期Tのi倍の長さのスペース(以下、iTスペースという)と、その直後の、記録クロック周期Tのj倍の長さのマーク(以下、jTマークという)との間のエッジシフト量であり、変数MS[i][j]はiTマークとその直後のjTスペースとの間のエッジシフト量であり、変数AveSM[j]はjTマークの始端のエッジシフト量の平均値であり、変数AveMS[i]はiTマークの終端のエッジシフト量の平均値であり、第一の係数Csm[i][j]と第二の係数Cms[i][j]とはそれぞれ所定数である;
三.分散値SPが所定値より小さいときは記録パルス条件をマーク長ごとに調整し、分散値SPがその所定値より大きいときは記録パルス条件をマーク長とスペース長との間の可能な組み合わせごとに調整するステップ。
これら三つのステップにより、最尤復号法を利用して試し書きの回数が効率良く削減される。従って、記録パルス条件の最適化に要する時間が更に短縮される。ここで、好ましくは、第一の係数Csm[i][j]がiTスペースとその直後のjTマークとの組み合わせの出現確率で表され、第二の係数Cms[i][j]がiTマークとその直後のjTスペースとの組み合わせの出現確率で表される。更に好ましくは、第一の係数Csm[i][j]と第二の係数Cms[i][j]とが1又は0である。
これら三つのステップにより、最尤復号法を利用して試し書きの回数が効率良く削減される。従って、記録パルス条件の最適化に要する時間が更に短縮される。ここで、好ましくは、第一の係数Csm[i][j]がiTスペースとその直後のjTマークとの組み合わせの出現確率で表され、第二の係数Cms[i][j]がiTマークとその直後のjTスペースとの組み合わせの出現確率で表される。更に好ましくは、第一の係数Csm[i][j]と第二の係数Cms[i][j]とが1又は0である。
本発明による光学的情報記録媒体は、本発明による上記の記録パルス条件の最適化方法で最適化された記録パルス条件を用いてデータが記録された光学的情報記録媒体である。ここで、所定数の種類のマークとスペースとが実質的に等しい出現確率で記録された領域、を含む記録条件学習領域、をその光学的情報記録媒体が有しても良い。好ましくは、本発明によるこの光学的情報記録媒体が、上記複数の記録パルス条件のいずれか二つの間でのマークの長さの差又は位相差、を表すデータが記録された領域、を有する。ここで、本発明による上記の記録パルス条件の最適化方法が、上記のデータを光学的情報記録媒体に記録するステップ、を更に有しても良い。好ましくは、本発明による上記の最適化方法が本発明によるこの光学的情報記録媒体に適用されるとき、その光学的情報記録媒体から上記のデータを予め読み出す。それにより、記録パルス条件が更に速やかに最適化される。
本発明による上記の記録パルス条件の最適化方法は、書き込み可能な光学的情報記録媒体の特性や記録再生装置の記録特性のばらつきに関わらず、最適な記録パルス条件でのデータ記録を可能にする。従って、その最適化方法を用いた記録再生装置によりデータが記録された光学的情報記録媒体では、再生信号の品質が高い。本発明による上記の最適化方法では特に、記録パルス条件の学習に必要な試し書きの回数が更に削減可能である。それにより、記録再生装置の起動時間が更に短縮され、画像やデータの記録開始までの待ち時間が更に短縮される。その上、追記型光ディスクのように1度しか書き込みができない光学的情報記録媒体では、試し書きに必要な領域が節約されるので、記録パルス条件の学習回数の許容上限が増大する。その結果、更に長期間にわたって記録パルス条件の最適化が安定に実行可能である。
以下、本発明の最適な実施形態を説明する。
本発明の実施形態による光学的情報記録媒体では、外部から照射されるレーザ光が物理的性質の異なるマークを形成することでデータが記録される。そのような光学的情報記録媒体として好ましくは、書換型相変化光ディスク(特にBD−RE(書換型ブルーレイディスク)。以下、単に光ディスクという)が利用される。光ディスク101は好ましくは、図10に示されているように、データ領域1001、記録条件学習領域1002、及び初期値記録領域1003に分かれている。データ領域1001は光ディスク101の大部分を占める。データ領域1001にはユーザーデータが記録される。記録学習領域1002は光ディスク101の内周部に設けられ、データ領域1001に隣接している。記録学習領域1002では記録条件の学習を目的とする試し記録が行われる。ここで、試し記録は、記録再生装置の起動時や温度変動時、データ領域1001に対するデータ記録の前に行われる。記録再生装置は試し記録により記録条件(特に、記録パワーや記録パルス条件)を調整する。初期値記録領域1003は光ディスク101の最内周部に設けられ、記録学習領域1002に隣接している。初期値記録領域1003には、光ディスク101ごとに予め設定された、記録パワーの推奨値、記録パルス条件の推奨値(以下、記録パルス標準条件という)、記録線速度、及びディスクID等が記録されている。初期値記録領域1003は再生専用領域であり、情報が好ましくは、トラックの蛇行(ウォブリング)やピット等、光ディスク101の基板上の成形部分を用いて半永久的に記録されている。
本発明の実施形態による光学的情報記録媒体では、外部から照射されるレーザ光が物理的性質の異なるマークを形成することでデータが記録される。そのような光学的情報記録媒体として好ましくは、書換型相変化光ディスク(特にBD−RE(書換型ブルーレイディスク)。以下、単に光ディスクという)が利用される。光ディスク101は好ましくは、図10に示されているように、データ領域1001、記録条件学習領域1002、及び初期値記録領域1003に分かれている。データ領域1001は光ディスク101の大部分を占める。データ領域1001にはユーザーデータが記録される。記録学習領域1002は光ディスク101の内周部に設けられ、データ領域1001に隣接している。記録学習領域1002では記録条件の学習を目的とする試し記録が行われる。ここで、試し記録は、記録再生装置の起動時や温度変動時、データ領域1001に対するデータ記録の前に行われる。記録再生装置は試し記録により記録条件(特に、記録パワーや記録パルス条件)を調整する。初期値記録領域1003は光ディスク101の最内周部に設けられ、記録学習領域1002に隣接している。初期値記録領域1003には、光ディスク101ごとに予め設定された、記録パワーの推奨値、記録パルス条件の推奨値(以下、記録パルス標準条件という)、記録線速度、及びディスクID等が記録されている。初期値記録領域1003は再生専用領域であり、情報が好ましくは、トラックの蛇行(ウォブリング)やピット等、光ディスク101の基板上の成形部分を用いて半永久的に記録されている。
本発明の実施形態による記録再生装置は、図1に示されている通り、光照射部102、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106、PLL部107、パターン検出部108、エッジシフト検出部109、記録パルス条件復調部114、記録パルス条件演算部110、記録パターン発生部111、記録補償部112、及びレーザ駆動部113を有する。好ましくは、レーザ駆動部113以外の構成要素が一つの半導体集積回路100に統合されている。更に、レーザ駆動部113がその半導体集積回路100に集積化されても良い。
光照射部102は好ましくは光ピックアップであり、レーザダイオードと光検出器とを搭載する。レーザダイオードは上記の光ディスク101にレーザ光を照射する。光検出器は、光ディスク101により反射されたレーザ光を検出して電気信号に変換し、アナログ再生信号として出力する。そのアナログ再生信号は、プリアンプ部103、AGC(Automatic Gain Control)部104、波形等化部105、及びA/D変換部106で順番に処理され、デジタル再生信号に変換される。ここで、PLL部107はデジタル再生信号から再生クロックを抽出する。一方、A/D変換部106はその再生クロックに従ってアナログ再生信号をサンプリングする。
パターン検出部108は好ましくは、最尤復号部(好ましくはビタビ復号部)を含む。パターン検出部108は、まず、デジタル再生信号を整形し、最尤復号部の周波数特性(好ましくはPR(1,2,2,1)特性)に適合させる。最尤復号部はそのデジタル再生信号を最尤復号法(好ましくはビタビ復号法)で2値化信号(好ましくはNRZI(Non Return to Zero Inverted)信号)に変換する。パターン検出部108は更に、その2値化信号に基づき、マークのエッジに対応するデジタル再生信号の部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群(図8参照)の中から選択する。エッジシフト検出部109は、パターン検出部108により選択されたパターンをデジタル再生信号の上記の部分の形状と比較し、マークのエッジシフト量(理想的なマークのエッジ位置に対する、実際のマークのエッジ位置のずれ)を測定する。
記録パルス条件復調部114は上記の2値化信号から、光ディスク101に記録された記録パルス標準条件を抽出する。記録パルス条件演算部110は、記録パルス標準条件に含まれているパラメータを変化させる。記録パルス条件演算部110は特に、測定されたエッジシフト量に基づいて上記のパラメータを補正する。記録パターン発生部111は、光ディスク101に対するデータ記録時に所定の記録信号を、好ましくはNRZI信号として出力する。記録補償部112は、記録パルス条件演算部110による演算結果に応じて記録パルス条件を設定し、その記録パルス条件に従って上記のNRZI信号を記録パルスに変換する。レーザ駆動部113は、光照射部102内のレーザダイオードを駆動する。レーザ駆動部113は特に光ディスク101に対するデータ記録時では、上記の記録パルスに従ってレーザ光のパワーを制御し、光ディスク101にデータを記録する。
以下の説明では次の数値的条件を想定する。光照射部102は、波長405nmのレーザとNA=0.85の対物レンズとを用いる。光ディスク101では、トラックピッチが0.32μmであり、レーザ光の入射面を覆うカバー層の厚みが75μm〜100μmである。更に、光ディスク101に記録されるマークの最短長は記録クロック周期Tの2倍(=2T)であり、0.138μm〜0.160μmである。マーク長の種類とスペース長の種類とはいずれも、記録クロック周期Tの2、3、…、8倍(=2T、3T、…、8T)である。記録再生装置の記録速度は、BD1倍速(チャネルレート66MHz(Tw=15.15nsec))又はBD2倍速(チャネルレート132MHz(Tw=7.58nsec))である。
本発明の実施形態による記録再生装置は好ましくは、光ディスク101に対するデータ記録時に記録パルス条件を、図13に示されているフローチャートに従って以下のように最適化する。
[第1のステップ]
記録再生装置はまず、光ディスク101の初期値記録領域1003にアクセスし、初期値情報を読み出す。そのとき、記録パルス条件復調部114が読み出された初期値情報の中から記録パルス標準条件を抽出する。抽出された記録パルス標準条件は、パラメータごとに異なるメモリ領域に格納される。記録パルス条件は好ましくは、図4に示されているパラメータを含む。それらのパラメータは、2Tマークに関するパラメータ、3Tマークに関するパラメータ、及び長さが4T以上のマークに関するパラメータに分類されている。図4に示されている各パラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeは記録パルスの波形を決める(図6参照)。図6では、2Tマーク、3Tマーク、及び5Tマークの記録を指示するNRZI信号の各部分2Tm、3Tm、5Tmに対応する記録パルスの波形が示されている。記録パルスは好ましくは、先頭パルスPT、中間パルスPM、最終パルスPL、及び冷却パルスPCを含む。先頭パルスPTと冷却パルスPCとは全てのマークの記録に利用される。最終パルスPLは好ましくは、長さ3T以上のマークの記録に利用される。中間パルスPMは好ましくは、長さ4T以上のマークの記録に利用され、特にその個数がマーク長と共に増加する。第1のパラメータdTtopは、NRZI信号の所定の基準位置に対する先頭パルスPTの始端を表す。第2のパラメータTtopは先頭パルスPTの幅を表す。第3のパラメータTlpは最終パルスPLの幅を表す。第4のパラメータTmpは中間パルスPMの幅を表す。第5のパラメータdTeは、NRZI信号の所定の基準位置に対する冷却パルスPCの終端を表す。ここで、第1のパラメータdTtopと第5のパラメータdTeとは極性を持つ。図6では、左方向(マークの終端から始端に向かう方向)が正である。
記録再生装置はまず、光ディスク101の初期値記録領域1003にアクセスし、初期値情報を読み出す。そのとき、記録パルス条件復調部114が読み出された初期値情報の中から記録パルス標準条件を抽出する。抽出された記録パルス標準条件は、パラメータごとに異なるメモリ領域に格納される。記録パルス条件は好ましくは、図4に示されているパラメータを含む。それらのパラメータは、2Tマークに関するパラメータ、3Tマークに関するパラメータ、及び長さが4T以上のマークに関するパラメータに分類されている。図4に示されている各パラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeは記録パルスの波形を決める(図6参照)。図6では、2Tマーク、3Tマーク、及び5Tマークの記録を指示するNRZI信号の各部分2Tm、3Tm、5Tmに対応する記録パルスの波形が示されている。記録パルスは好ましくは、先頭パルスPT、中間パルスPM、最終パルスPL、及び冷却パルスPCを含む。先頭パルスPTと冷却パルスPCとは全てのマークの記録に利用される。最終パルスPLは好ましくは、長さ3T以上のマークの記録に利用される。中間パルスPMは好ましくは、長さ4T以上のマークの記録に利用され、特にその個数がマーク長と共に増加する。第1のパラメータdTtopは、NRZI信号の所定の基準位置に対する先頭パルスPTの始端を表す。第2のパラメータTtopは先頭パルスPTの幅を表す。第3のパラメータTlpは最終パルスPLの幅を表す。第4のパラメータTmpは中間パルスPMの幅を表す。第5のパラメータdTeは、NRZI信号の所定の基準位置に対する冷却パルスPCの終端を表す。ここで、第1のパラメータdTtopと第5のパラメータdTeとは極性を持つ。図6では、左方向(マークの終端から始端に向かう方向)が正である。
図4に示されている各パラメータの値a〜kの単位は好ましくは、記録クロックで決まる基準時間間隔Twで表される。BD−REの場合、その単位が基準時間間隔Twの16分の1(=Tw/16。ここで、BD2倍速では、Tw=7.58nsec)に等しい。更に、図4に示されている各パラメータの値a〜kがその単位Tw/16の整数倍で表される。例えば、記録パルス標準条件Aでは、長さ4T以上のマークに関する第1のパラメータdTtopの値hが「NRZI信号の所定の基準位置に対して先頭パルスPTの始端がh×Tw/16[nsec]の位置にあること」を表している。尚、光ディスク101に記録されている記録パルス標準条件の値が同じ単位Tw/16で表されている場合、記録再生装置は光ディスク101に記録された値をそのまま用いる。一方、光ディスク101に記録されている記録パルス標準条件の値がナノ秒単位で表されている場合、記録再生装置はその値を単位Tw/16に最も近い整数値に変換する。その他に、記録再生装置が単位を光ディスク101に記録された値の単位より細かくしても良い。それにより、補償精度が向上するので、マークのエッジ位置が高精度に調整される。従って、書き込まれたマークから読み出される信号の品質が向上する。具体的には、光ディスク101に記録されている記録パルス標準条件の値が単位Tw/16で表されている場合、記録再生装置は光ディスク101から読み出された値を倍にしてメモリに格納する。それにより、単位が上記の半値Tw/32に設定される。
記録パルス条件演算部110は、光ディスク101から読み出された記録パルス標準条件Aに含まれているパラメータのうち、長さ4T以上のマークに関する四つのパラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeの各値h、i、j、kを基準値として設定する。記録パルス条件演算部110は更に、各基準値を次のように変更し、二つの異なる記録パルス条件B、Cを設定する(図4参照)。記録パルス条件演算部110はまず、三つのパラメータdTtop、Ttop、Tlpの各基準値h、i、jを1単位ずつ加算し、第4のパラメータdTeの基準値kを1単位減算し、記録パルス条件Bとしてメモリに格納する。記録パルス条件演算部110は次に、三つのパラメータdTtop、Ttop、Tlpの各基準値h、i、jを1単位ずつ減算し、第4のパラメータdTeの基準値kを1単位加算し、別の記録パルス条件Cとしてメモリに格納する。図6から容易に理解される通り、記録パルス条件Bでは記録パルス標準条件Aと比べ、5Tマークに対応する記録パルスの部分に含まれている先頭パルスPTの幅が拡大し、かつ立ち上がり位置が早いので、5Tマークの始端が早い。更に、最終パルスPLの幅が拡大し、かつ冷却パルスPCの位相が遅れるので、5Tマークの終端が遅い。従って、記録パルス条件Bでは記録パルス標準条件Aより長さ4T以上のマークが伸びる。一方、記録パルス条件Cでは記録パルス標準条件Aと比べ、5Tマークに対応する記録パルスの部分に含まれている先頭パルスPTの幅が縮小し、かつ立ち上がり位置が遅いので、5Tマークの始端が遅い。更に、最終パルスPLの幅が縮小し、かつ冷却パルスPCの位相が進むので、5Tマークの終端が早い。従って、記録パルス条件Cでは記録パルス標準条件Aより、長さ4T以上のマークが縮む。
[第2のステップ]
記録再生装置はまず、光照射部102から光ディスク101に照射される光スポットを記録条件学習領域1002内のトラックに移動させ、フォーカシングとトラッキングとを行う。記録再生装置は次に、上記三つの記録パルス条件A、B、Cのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に所定の同じパターンの記録信号を試し書きする。ここで、使用されるパターンに含まれているマークとスペースとはいずれも好ましくは、光照射部102のレーザのスポットサイズに比べて十分に長い。更に好ましくは、記録パターン発生部111がそのパターンとして、5Tマークと5Tスペースとの繰り返しから成る単一パターン(以下、5T単一信号という)を発生させる。記録補償部112は5T単一信号と各記録パルス条件A、B、Cとから記録パルスを生成する。レーザ駆動部113はその記録パルスに従って光照射部102内のレーザダイオードを駆動し、5T単一信号を光ディスク101のトラックにセクタ単位で連続して書き込む。それにより、光ディスク101の記録条件学習領域1002には5T単一信号のパターンが、三種類の記録パルス条件A、B、Cごとに連続して記録される。
記録再生装置はまず、光照射部102から光ディスク101に照射される光スポットを記録条件学習領域1002内のトラックに移動させ、フォーカシングとトラッキングとを行う。記録再生装置は次に、上記三つの記録パルス条件A、B、Cのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に所定の同じパターンの記録信号を試し書きする。ここで、使用されるパターンに含まれているマークとスペースとはいずれも好ましくは、光照射部102のレーザのスポットサイズに比べて十分に長い。更に好ましくは、記録パターン発生部111がそのパターンとして、5Tマークと5Tスペースとの繰り返しから成る単一パターン(以下、5T単一信号という)を発生させる。記録補償部112は5T単一信号と各記録パルス条件A、B、Cとから記録パルスを生成する。レーザ駆動部113はその記録パルスに従って光照射部102内のレーザダイオードを駆動し、5T単一信号を光ディスク101のトラックにセクタ単位で連続して書き込む。それにより、光ディスク101の記録条件学習領域1002には5T単一信号のパターンが、三種類の記録パルス条件A、B、Cごとに連続して記録される。
[第3のステップ]
記録再生装置は、以下のように、光ディスク101の記録条件学習領域1002から記録パルス条件A、B、Cを用いて書き込まれた5T単一信号を連続して再生し、各再生信号のエッジシフト量又はアシンメトリを測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
記録再生装置は、以下のように、光ディスク101の記録条件学習領域1002から記録パルス条件A、B、Cを用いて書き込まれた5T単一信号を連続して再生し、各再生信号のエッジシフト量又はアシンメトリを測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
まず、パターン検出部108が、最尤復号部に入力されるデジタル再生信号(以下、入力信号という)のうち、マークのエッジに対応する部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群(図8参照)の中から選択する。そのパターン群は好ましくは八つのパターン(Pattern−1〜Pattern−8)を含み、各パターンが更に二種類のパスPXA、PXB(X=1、2、…、8)を含む。図8では、横軸が時間を表し(1目盛がチャネルクロックの1周期を表す)、縦軸が、パターン検出部108によりPR(1,2,2,1)特性に合わせて整形された入力信号のレベルを表す。図8に示されている破線と実線とはそれぞれ、二種類のパスPXA、PXB(X=1、2、…、8)を表す。図8に示されている丸印は、各パスにチャネルクロック間隔で含まれるべきサンプルの期待値に相当し、特にPR(1,2,2,1)特性では六つのレベル0〜6を取り得る。各パターンは、連続する7ビットの符号を表し、特に、真ん中のビットを除く6ビットの可能な組み合わせの一つに対応している(例えば、Pattern−2はビット列「1,1,1,x,0,0,0」(x=0,1)を表す)。更に、二種類のパスPXA、PXBは真ん中のビットの二値に対応している(例えば、Pattern−2のパスP2Aはビット列「1,1,1,0,0,0,0」を表す)。マークの始端では反射光が減るので、マークの始端に対応する入力信号の部分は下向きの波形として再生される。マークの終端では逆に反射光が増すので、マークの終端に対応する入力信号の部分は上向きの波形として再生される。従って、図8では、上段に示されている四つのパターン(Pattern−1、Pattern−2、Pattern−3、Pattern−4)がマークの始端に対応し、下段に示されている四つのパターン(Pattern−5、Pattern−6、Pattern−7、Pattern−8)がマークの終端に対応する。更に、図9に表示されているように、各パターンのパスがマーク長とスペース長との間の組み合わせの一つに対応している。第2のステップで光ディスク101に記録される単一パターンは5Tマークと5Tスペースとの繰り返しである。その場合、5Tマークの始端に対応する入力信号の部分の形状はPattern−2である(図9参照)。それ故、パターン検出部108は5Tマークの始端についてはPattern−2を選択する。一方、5Tマークの終端に対応する入力信号の部分の形状はPattern−7である(図9参照)。それ故、パターン検出部108は5Tマークの終端についてはPattern−7を選択する。
次に、エッジシフト検出部109が、パターン検出部108により選択されたPattern−2を、5Tマークの始端に対応する入力信号の部分の形状と比較し、5Tマークの始端でのエッジシフト量を次のように測定する(図2、3参照)。
5Tマークの始端に対応する入力信号の部分は、理想的には、Pattern−2に含まれている二つのパスA、B(図2、3には破線と太い実線とで示されている)のいずれかの形状を示す。従って、実際の入力信号のその部分も、二つのパスA、Bのいずれかの形状に近似しているはずである。図2、3では細い実線が実際の入力信号を示す。図2はパスAが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスAに近似している。図3はパスBが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスBに近似している。図2、3では更に、実際の入力信号からチャネルクロック間隔でサンプリングされたサンプル値が三角印で示されている。エッジシフト検出部109は、パスAに含まれている各サンプルの期待値(図2では黒い丸印で示されている)と実際のサンプル値(三角印)との間の差の二乗和を計算し、パスAと実際の入力信号との間の距離Paとして決定する。同様に、エッジシフト検出部109はパスBと実際の入力信号との間の距離Pbを決定する。エッジシフト検出部109は更にそれら二つの距離Pa、Pbを比較し、前者の距離Paが小さいときはパスAを正解とみなし、後者の距離Pbが小さいときはパスBを正解とみなす。それにより、実際の入力信号のサンプル群が、パスAを正解とするサンプル群と、パスBを正解とするサンプル群とに分別される。
5Tマークの始端に対応する入力信号の部分は、理想的には、Pattern−2に含まれている二つのパスA、B(図2、3には破線と太い実線とで示されている)のいずれかの形状を示す。従って、実際の入力信号のその部分も、二つのパスA、Bのいずれかの形状に近似しているはずである。図2、3では細い実線が実際の入力信号を示す。図2はパスAが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスAに近似している。図3はパスBが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパスBに近似している。図2、3では更に、実際の入力信号からチャネルクロック間隔でサンプリングされたサンプル値が三角印で示されている。エッジシフト検出部109は、パスAに含まれている各サンプルの期待値(図2では黒い丸印で示されている)と実際のサンプル値(三角印)との間の差の二乗和を計算し、パスAと実際の入力信号との間の距離Paとして決定する。同様に、エッジシフト検出部109はパスBと実際の入力信号との間の距離Pbを決定する。エッジシフト検出部109は更にそれら二つの距離Pa、Pbを比較し、前者の距離Paが小さいときはパスAを正解とみなし、後者の距離Pbが小さいときはパスBを正解とみなす。それにより、実際の入力信号のサンプル群が、パスAを正解とするサンプル群と、パスBを正解とするサンプル群とに分別される。
エッジシフト検出部109は上記二つの距離Pa、Pb間の差|Pa−Pb|から正の定数Pstdを除いた値|Pa−Pb|−Pstdを計算する。ここで、正の定数Pstdは、入力信号が二つのパスA、Bのいずれかと一致するときの二つの距離Pa、Pb間の差を表す。すなわち、距離Pa、Pbのいずれかが0に等しいとき(Pa=0、又はPb=0)、二つの距離Pa、Pb間の差|Pa−Pb|が正の定数Pstdと等しい:|Pa−Pb|=Pstd。計算値|Pa−Pb|−Pstdが負であるとき、実際の入力信号の波形が二つのパスA、B間の領域に収まっている。計算値|Pa−Pb|−Pstdが正であるとき、実際の入力信号の波形が二つのパスA、B間の領域から外れている。従って、計算値|Pa−Pb|−Pstdが負であるときより正であるときの方が、最尤復号にエラーが生じにくい。この特徴を考慮し、エッジシフト検出部109は計算値|Pa−Pb|−Pstdからエッジシフト量を次のように決定する。まず、エッジシフト量の大きさは計算値|Pa−Pb|−Pstdの大きさで定義される。次に、エッジシフト量の符号はエッジ位置のずれの方向に対応するように定義される。図2、3では、エッジ位置のずれが左方向(マークの終端から始端に向かう方向)であるとき、エッジシフト量の符号が正に定義される。ここで、パスAを正解とするサンプル群とパスBを正解とするサンプル群との間では、計算値|Pa−Pb|−Pstdの符号とエッジ位置のずれの方向との間の対応関係が逆であるので、エッジシフト量の符号が計算値|Pa−Pb|−Pstdの符号に基づいて以下のように定義される。
図2Aでは、実際の入力信号に対応するマークA−の始端が理想的なマークAの始端より遅い。すなわち、実際のマークA−の始端は理想的なマークAの始端から負方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域に収まっているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは負である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MA=ΔA−は計算値|Pa−Pb|−Pstd自体で定義される:
5S5MA=ΔA−=|Pa−Pb|−Pstd<0。
図2Bでは、実際の入力信号に対応するマークA+の始端が理想的なマークAの始端より早い。すなわち、実際のマークA+の始端は理想的なマークAの始端から正方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域から外れているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは正である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MA=ΔA+は計算値|Pa−Pb|−Pstd自体で定義される:
5S5MA=ΔA+=|Pa−Pb|−Pstd>0。
図3Aでは、実際の入力信号に対応するマークB−の始端が理想的なマークBの始端より遅い。すなわち、実際のマークB−の始端は理想的なマークBの始端から負方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域から外れているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは正である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MB=ΔB−は計算値|Pa−Pb|−Pstdの逆符号で定義される:
5S5MB=ΔB−=−[|Pa−Pb|−Pstd]<0。
図3Bでは、実際の入力信号に対応するマークB+の始端が理想的なマークBの始端より早い。すなわち、実際のマークB+の始端は理想的なマークBの始端から正方向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパスA、Bの間の領域に収まっているので、計算値|Pa−Pb|−Pstdは負である。従って、5Tスペースとその直後の5Tマークとの間のエッジシフト量5S5MB=ΔB+は計算値|Pa−Pb|−Pstdの逆符号で定義される:
5S5MB=ΔB+=−[|Pa−Pb|−Pstd]>0。
エッジシフト検出部109は続いて、パターン検出部108により選択されたPattern−7の各パスA、Bを、5Tマークの終端に対応する入力信号の部分の形状と比較し、上記と同様に、各パスA、Bを正解とするサンプル群ごとに5Tマークの終端でのエッジシフト量5M5SA、5M5SBを計算する。エッジシフト検出部109は更に、二つのサンプル群間で5Tマークの始端と終端とでの各エッジシフト量を平均し、各平均値を5Tマークの始端と終端とでの各エッジシフト量5S5M、5M5Sとして決定し、それら二つの平均値の差を5Tマークの長さのずれL5Tとして決定する:
5S5M=(5S5MA+5S5MB)/2、
5M5S=(5M5SA+5M5SB)/2、
L5T=5S5M−5M5S。
5M5S=(5M5SA+5M5SB)/2、
L5T=5S5M−5M5S。
長さのずれL5Tは5Tマークの正規の長さ5Tからのずれ量を表す。長さのずれL5Tが0であれば5Tマークが5Tスペースと同じ長さであり、長さのずれL5Tが正であれば5Tマークが5Tスペースより長く、長さのずれL5Tが負であれば5Tマークが5Tスペースより短い。すなわち、長さのずれL5Tが大きければ、アシンメトリがマークに偏った状態であり、長さのずれL5Tが小さければ、アシンメトリがスペースに偏った状態である。
長さのずれL5Tは、各記録パルス条件A、B、Cを用いて光ディスク101に記録された単一パターンのそれぞれについて計算される。エッジシフト検出部109は、得られた三つのずれL5Tのうち、所定の目標値に最も近いずれL5Tを選択する。ここで、その目標値は好ましくは、光ディスク101の初期値記録領域1003(図10参照)に予め記録されているターゲットアシンメトリ情報である。ターゲットアシンメトリ情報が初期値記録領域1003に記録されていない場合は、記録再生装置に予め記憶された初期値(好ましくは、アシンメトリがない状態を表す「0」)が上記の目標値として設定される。もし、アシンメトリ情報に準じる情報(例えばβ値)が光ディスク101の初期値記録領域1003に予め記録されている場合、その情報の示す値を長さのずれL5Tに対応させる変換係数が記録再生装置に予め設定されていても良い。その場合、その変換係数を用いて変換された値が上記の目標値として設定可能である。
エッジシフト検出部109は更に、選択された長さのずれL5Tに対応する単一パターンを記録したときに用いた記録パルス条件を最適な条件として選択する。例えば、記録パルス条件Aを用いて記録された単一パターンから得られた長さのずれL5Tが最も0に近い場合、記録パルス条件Aが最適な条件として選択される。記録パルス条件B、Cについても同様である。最適な条件として選択された記録パルス条件に含まれている長さ4T以上のマーク長に関する四つのパラメータの値dTtop=h'、Ttop=i'、Tlp=j'、dTe=k'が最適値としてメモリに保持される(図5参照)。
但し、三つの記録パルス条件A、B、Cのいずれについても、実測された長さのずれL5Tが目標値から所定の閾値以上乖離している場合は、記録パルス条件が再度設定された上で上記の処理が第2のステップ(試し書き)から繰り返される。例えば、記録パルス条件Cに対応する長さのずれL5Tが最も0に近い場合でも、その長さのずれL5Tが閾値より大きい正値である場合は処理が繰り返される。ここで、好ましくは、記録パルス条件演算部110が記録パルス標準条件Aに代え、記録パルス条件Cに含まれているパラメータの各値を基準値として設定し、残り二つの記録パルス条件を第1のステップと同様に生成する。そのような処理の繰り返しの結果、実測された長さのずれL5Tと目標値との間の差が閾値未満になった場合、その長さのずれL5Tに対応する記録パルス条件が最適な条件として選択される。
第1のステップでは、記録パルス条件演算部110が記録パルス標準条件Aに含まれているパラメータの各値を基準値とし、それらの基準値を±1単位変更して二種類の記録パルス条件B、Cを新たに設定する(図4参照)。その他に、光ディスク101に予め記録されている記録パルス標準条件と記録再生装置の記録再生特性との間の差異が大きい場合、記録パルス条件演算部110が上記の基準値を±1単位だけでなく±2単位変更し、記録パルス標準条件Aと合わせて五種類の記録パルス条件を設定しても良い。更に好ましくは、第2のステップで記録再生装置がそれら五つの記録パルス条件のそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002に単一パターンを試し書きしても良い。それにより、第3のステップでは長さのずれL5Tのサンプル数が増えるので、一回の試し記録で最適な記録パルス条件が決定される確率が高まる。こうして、長マークに関しては記録パルス条件の学習時間が更に短縮可能である。
本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法では、長さ4T以上のマークに対して同一の記録パルス条件が設定される(図4参照)。従って、上記の単一パターンは5T単一信号に限らず、長さ4T以上のマークと長さ4T以上のスペースとの間の組み合わせから成る単一パターンであれば良い。尚、記録信号の変調方式が17PP変調である場合、マーク長分布の中心値が約5Tである。従って、5T単一信号が記録パルス条件の最適化に利用されることで、長さ4T以上の長マークのエッジシフトの平均値が揃いやすい。それ故、記録品質の更なる向上という効果を発揮する点では、5T単一信号の利用が好ましい。その他に、5T単一信号に代え、例えば、8Tマークと8Tスペースとの組み合わせから成る単一パターン(以下、8T単一信号という)が試し記録に用いられても良い。5T単一信号の再生波形は正弦波に近い。それに対し、8T単一信号では、基本波、2次高調波、3次高調波、及び4次高調波が信号帯域となるので、8T単一信号の再生波形は矩形状である。従って、その矩形状の波形を検出することで再生信号の調整が可能である。例えば、記録時にマークの終端が過熱された場合、そのマークの終端近傍が適正な形状から更に膨らむ。8T単一信号の再生波形からはそのようなマークの膨らみが容易に検出可能であるので、マークの終端に関する記録パルス条件のパラメータを補正するための情報が容易に得られる、と期待できる。
[第4のステップ]
記録再生装置は、第3のステップで最適化された長マークに関するパラメータに加え、記録パルス標準条件Aに含まれている2Tマークと3Tマークとに関するパラメータを用い、新たな三種類の記録パルス条件D、E、Fを生成する(図5参照)。更に、それら新たな記録パルス条件D、E、Fのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に特定のパターンの記録信号を試し書きする。
記録再生装置は、第3のステップで最適化された長マークに関するパラメータに加え、記録パルス標準条件Aに含まれている2Tマークと3Tマークとに関するパラメータを用い、新たな三種類の記録パルス条件D、E、Fを生成する(図5参照)。更に、それら新たな記録パルス条件D、E、Fのそれぞれを用い、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に特定のパターンの記録信号を試し書きする。
図5に記録パルス条件D、E、Fを示す。記録パルス条件Dでは、2Tマークと3Tマークとに関するパラメータの値が記録パルス標準条件Aでの値a〜gと等しい。一方、長さ4T以上のマークに関するパラメータの値は、第3のステップで得られた最適値dTtop=h'、Ttop=i'、Tlp=j'、dTe=k'である。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件Dに含まれている、2Tマークと3Tマークとに関する七つのパラメータの値a〜gを基準値として設定する。記録パルス条件演算部110は次に、パラメータdTtop、Ttopの基準値a、b、d、eをそれぞれ1単位ずつ加算し、他の基準値c、f、gと共に、記録パルス条件Eとしてメモリに格納する。記録パルス条件演算部110は更に、2Tマークに関する二つのパラメータdTtop、dTeの基準値a、cをそれぞれ1単位ずつ減算し、3Tマークに関する二つのパラメータdTtop、dTeの基準値d、gをそれぞれ1単位ずつ加算し、3Tマークに関するパラメータTlpの基準値fを1単位減算し、残り二つの基準値b、eと共に、記録パルス条件Fとしてメモリに格納する。
図7と図15とから容易に理解される通り、記録パルス条件Eでは記録パルス条件Dと比べ、2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとのそれぞれに対応する記録パルスの各部分に含まれている先頭パルスPTの幅が拡大し、かつ立ち上がり位置が早い(図7では左側にシフトする)。従って、記録パルス条件Eでは記録パルス条件Dより、2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとの各始端が早く、かつそれぞれが伸びる(図15参照)。このように、記録パルス条件Eは主にマーク長の調整を目的として設定される。ここで、2Tマーク2Tmの中心の位相P2T(E)は3Tマーク3Tmの中心の位相P3T(E)と同一方向に変化する。一方、記録パルス条件Fでは記録パルス条件Dと比べ、2Tマーク2Tmに対応する記録パルスの部分に含まれている先頭パルスPTと冷却パルスPCとの各位相が遅れる(図7では右側にシフトする)。更に3Tマーク3Tmに対応する記録パルスの部分では、先頭パルスPTの位相が進み、最終パルスPLの幅が縮小し、冷却パルスPCの位相が進む(図7では左側にシフトする)。従って、記録パルス条件Fでは記録パルス条件Dより、2Tマーク2Tmの位相が遅れ、3Tマーク3Tmの位相が進む(図15参照)。このように、記録パルス条件Fは主にマークの位相の調整を目的として設定される。特に、2Tマーク2Tmの中心の位相P2T(F)が3Tマーク3Tmの中心の位相P3T(F)とは逆方向に変化する。
記録パルス条件Eを用いて光ディスク101に記録された2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとの各位相P2T(E)、P3T(E)は記録パルス条件Dでの各マークの位相P2T(D)、P3T(D)に対して同一方向に変化する(図15参照)。従って、二つの記録パルス条件D、Eのそれぞれを用いて記録された各マークから再生される信号間では一般に、PLL部107(図1参照)により得られる再生クロックに位相差が生じる。その場合、2Tマーク2Tmの位相のずれが3Tマークのエッジシフト量の測定誤差として含まれ、逆に、3Tマーク3Tmの位相のずれが2Tマークのエッジシフト量の測定誤差として含まれる。それらの誤差が過大な場合、各エッジシフト量の正確な測定が阻まれる。一方、記録パルス条件Fでは上記の通り、2Tマーク2Tmの位相P2T(F)が3Tマーク3Tmの位相P3T(F)とは逆方向に変化するので、再生クロックの位相に与える影響が相殺される。従って、二つの記録パルス条件D、Fのそれぞれを用いて記録された各マークから再生される信号間では一般に、再生クロックの位相差が小さい。その結果、エッジシフト量の測定誤差が更に低減可能である。尚、記録パルス条件Eでは記録パルス条件Fと同様に、2Tマークと3Tマークとの間で各始端が逆方向に変化しても良い。すなわち、2Tマーク2Tmと3Tマーク3Tmとの各位相P2T(E)、P3T(E)が記録パルス条件Dでの各マークの位相P2T(D)、P3T(D)に対して逆方向に変化しても良い。それにより、記録パルス条件Fと同様に、エッジシフト量の測定誤差が低減し得る。
記録パルス条件Eの設定方法は上記の方法(図5、7参照)とは別でも良い。例えば、マークの始端を移動させる目的で、先頭パルスの幅Ttopを固定した状態で先頭パルスの位置dTopを(例えば1単位)変えても良い。その他に、先頭パルスの立ち上がり位置dTtopを固定した状態で先頭パルスの幅Ttopを(例えば1単位)変えても良い。更に、マークの終端を移動させる目的で、最終パルスの幅Tlpを例えば1単位変え、又は、冷却パルスの立ち上がり位置dTeを例えば1単位変えても良い。但し、上記の設定方法のように先頭パルスの立ち上がり位置dTtopと幅Ttopとを同時に変える場合、先頭パルスの立ち下がり位置が固定されているので、先頭パルスの後端が後続のパルス(中間パルス又は最終パルス)の前端と重ならず、更に、先頭パルスと後続のパルスとの間隔が過小にならない。従って、記録パルスの正確な波形が得られる。尚、特にBD2倍速以上の高速記録時では、レーザの応答速度に起因するレーザ光のパルス波形の歪みを避けるには、記録パルスの間隔が少なくとも2ns以上確保されることが望ましい。
記録パルス条件Fの設定方法は上記の方法(図5、7参照)とは別でも良い。例えば、最終パルスの幅Tlpを固定した状態で最終パルスの位相を変えても良い。それにより、3Tマークの長さの変化量L3T(F)(図15参照)が抑えられる。従って、マークの長さと位相との間の干渉が低減するので、更に正確な位相の変化量P3T(F)(図15参照)が検出可能である。
記録パルス条件D、E、Fを用いた試し書きで利用されるべき記録パターンでは好ましくは、2Tから8Tまでの各符号長の出現頻度がほぼ均等であり、かつDSV(Digital Sum Value)制御が施されている。これは、従来の記録パターンとは異なる。従来の記録パターンは、ユーザーデータと同様に、17PP変調方式で変調される。従って、従来の記録パターンでは、2Tマークの出現確率が約38%であり、3Tマークの出現確率が約25%であり、4Tマークの出現確率が約16%である。長さ5T以上の長マークの各出現確率は更に低い。すなわち、各符号長の出現頻度が符号長の増大と共に低下する。このように符号長ごとに出現頻度の異なる記録パターンが上記の試し書きに利用される場合、光ディスク101に書き込まれた記録パターンからPLL部107により得られる再生クロックの位相が出現頻度の高い短マーク(特に出現確率が1/3以上である2Tマーク)の位相でほぼ決まる。しかし、記録パルス条件D、E、F間では上記の通り、短マークのエッジ位置が大きく異なるので、従来の記録パターンから得られる再生クロックの位相が大きく異なる。その結果、(特に第3のステップによりエッジシフト量が既に小さいはずである)長さ4T以上の長マークから測定されるエッジシフト量や位相が顕著な誤差を含む。それらの誤差は、第5のステップで行われる短マークのエッジシフト量の高精度な測定を阻む。それに対し、第4のステップで用いられる記録パターンでは各符号長の出現頻度がほぼ均等である。従って、2Tマークと3Tマークとの各出現確率が1/7であるのに対し、長さ4T以上のマークのいずれかが出現する頻度が5/7である。すなわち、第4のステップで用いられる記録パターンでは長さ4T以上の長マークが大勢を占める。この場合、光ディスク101に書き込まれたその記録パターンからPLL部107により得られる再生クロックの位相が長マークの位相でほぼ決まる。その結果、2Tマークや3Tマークのエッジ位置の変化に関わらず、再生クロックの位相が安定しているので、第5のステップでは2Tマークや3Tマークのエッジシフト量が高精度に測定可能である。
記録再生装置は記録パルス条件D、E、Fのそれぞれを用いて上記の記録パターンを、第2のステップと同様に、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に試し書きする。すなわち、記録条件学習領域1002には上記の記録パターンが、記録パルス条件D、E、Fごとに連続して記録される。
尚、好ましくは、4Tマークのエッジ位置が長さ5T以上のマークの平均エッジ位置から大きく外れている場合、4Tマークに関する記録パルス条件のパラメータを3Tマークに関するパラメータと同様に変化させて試し記録を行っても良い。それにより、第5のステップ以降の処理では、短マークと共に4Tマークについてもエッジシフト量が測定され、更にその測定結果に基づいて4Tマークに関するパラメータが補正される。
記録パルス条件E、Fの設定では、パラメータdTop、Ttop、Tlp、dTeの変化量が、記録再生装置により設定可能な最小単位の等倍の他に、その単位の2倍以上であっても良い。その場合、好ましくは、第5のステップで測定されるエッジシフト量から、パラメータが1単位変化した場合のエッジシフト量が換算される。それにより、記録パルス条件の変化に伴うエッジシフト量の変化が微細な光ディスクに対しても、パラメータが1単位変化した場合のエッジシフト量が正確に測定可能である。
[第5のステップ]
記録再生装置は、以下のように、記録パルス条件D、E、Fで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンを連続して再生し、再生信号のエッジシフト量を測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
記録再生装置は、以下のように、記録パルス条件D、E、Fで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンを連続して再生し、再生信号のエッジシフト量を測定する。
まず、光照射部102から出力された再生信号が、プリアンプ部103、AGC部104、波形等化部105、A/D変換部106で順番に処理され、パターン検出部108内の最尤復号部により2値化信号に変換される。次に、パターン検出部108がその2値化信号に基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部がPR(1,2,2,1)方式に対応している場合を想定する。
エッジシフト量の測定の基本原理は、第3のステップの説明に記載されている通りである。但し、第5のステップでは第3のステップとは特に、パターン検出部108により選択されるパターンが異なる(図8、9参照)。パターン検出部108は図9に示されている分類に従い、2Tマークの始端を検出する場合はPattern−3とPattern−4とを用い、2Tマークの終端を検出する場合はPattern−6とPattern−8とを用い、3Tマークの始端を検出する場合はPattern−1〜Pattern−4を用い、3Tマークの終端を検出する場合はPattern−5〜Pattern−8を用いる。更に詳細には、例えば、2Tスペースに続く3Tマークの始端を検出する場合、Pattern−3のパスP3Aが選択される。3Tスペースに続く3Tマークの始端を検出する場合、Pattern−1のパスP1BとPattern−4のパスP4Aとが選択される。尚、図9に示されている分類から明らかな通り、2Tマークと2Tスペースとのいずれかを含むパターンでは正解のパスの候補が一つしか存在しない。一方、2Tマークと2Tスペースとのいずれも含まないパターンでは正解のパスの候補が常に二つ存在する。以下のステップでは、マークの始端と終端とのそれぞれに対応する再生信号の部分が、マーク長とスペース長との間のあらゆる組み合わせについて、図9に示されている各パスに近づくように、記録パルス条件のパラメータが最適化される。そのようなパラメータが最尤復号法によるデータ再生にとっては最適である。
尚、図9では、2Tスペースの直後に2Tマークがあるパターンと、2Tマークの直後に2Tスペースがあるパターンとのいずれに対してもパスが設定されていない。それらのパターンは図8に示されている八つのパターン(Pattern−1〜Pattern−8)では検出不能である。従って、それらのパターンについては以下の方法とは別の方法でエッジシフト量が測定されても良い。但し、最尤復号法によるデータ再生では、それらのパターンが、17PP変調には用いられない符号長1Tのパターンとして誤って検出されやすい。しかし、それらのパターンに起因するエラーは容易に識別可能である。従って、それらのパターンについては記録パルス条件が光ディスク101ごとに最適化されなくても良く、適切な初期値が一律に利用されても良い。
次に、エッジシフト検出部109が第3のステップと同様に、2Tマークと3Tマークとのそれぞれのエッジシフト量を測定する。例えば、3Tマークの始端については、パターン検出部108により選択された正解のパスの候補P3A、P1B、P4A、P2Bの四つのそれぞれに対し、エッジシフト検出部109がエッジシフト量を以下のように測定する。
4Tスペースが3Tマークの直前にある場合、パターン検出部108はPattern−2のパスP2BとPattern−4のパスP4Aとを選択する(図8、9参照)。エッジシフト検出部109は最尤復号部への入力信号の対応部分の波形を各パスP2B、P4Aと比較し、それらの間の距離から、各パスP2B、P4Aを正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量4S3MB、4S3MAを計算する。エッジシフト検出部109は更に、それら二つのエッジシフト量4S3MB、4S3MAを平均し、その平均値を、4Tスペースが3Tマークの直前にある場合のエッジシフト量4S3Mとして決定する:
4Tスペースが3Tマークの直前にある場合、パターン検出部108はPattern−2のパスP2BとPattern−4のパスP4Aとを選択する(図8、9参照)。エッジシフト検出部109は最尤復号部への入力信号の対応部分の波形を各パスP2B、P4Aと比較し、それらの間の距離から、各パスP2B、P4Aを正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量4S3MB、4S3MAを計算する。エッジシフト検出部109は更に、それら二つのエッジシフト量4S3MB、4S3MAを平均し、その平均値を、4Tスペースが3Tマークの直前にある場合のエッジシフト量4S3Mとして決定する:
4S3M=(4S3MB+4S3MA)/2。
長さ5T以上のスペースが3Tマークの直前にある場合も同様に、入力信号の対応部分の波形が各パスP2B、P4Aと比較され、それらの間の距離から、各パスP2B、P4Aを正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量5S3MB、5S3MAが計算される。更に、それらの平均値が、長さ5T以上のスペースが3Tマークの直前にある場合のエッジシフト量5S3Mとして決定される。こうして、3Tマークの直前にあるスペースの長さごとに、図8、9に示されているパターンが入力信号の対応部分の波形と比較されてエッジシフト量が測定される。それらのエッジシフト量はマーク長とスペース長との間の組み合わせ別に図11に表示されている。尚、正解のパスの候補が二つ(PXA、PYB(X、Y=1、2、…、8))存在する組み合わせについては、図11に表示された変数は、各パスPXA、PYBを正解とするサンプル群間でのエッジシフト量の平均値を意味する。
エッジシフト検出部109は更に、マーク長とスペース長との間の組み合わせ別に得られたエッジシフト量から、前後のスペース長に依らない、マーク長ごとの平均エッジシフト量を以下のように求める。例えば、3Tマークの始端の平均エッジシフト量xS3Mは次式で得られる:
xS3M=(C2S3M*2S3M+C3S3M*3S3M+C4S3M*4S3M+C5S3M*5S3M)
/(C2S3M+C3S3M+C4S3M+C5S3M)。
/(C2S3M+C3S3M+C4S3M+C5S3M)。
ここで、四つの定数CiS3M(i=2、3、4、5)は、エッジシフト量の測定に利用されたiTスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせのサンプル数を表す。すなわち、各長さのマークについて、直前のスペース長ごとのエッジシフト量が上記のサンプル数に応じた重み付けで平均されることで、各マークの始端の平均エッジシフト量が得られる。こうして、エッジシフト検出部109が2Tマークと3Tマークとのそれぞれについて、始端の平均エッジシフト量xS2M、xS3M、及び終端の平均エッジシフト量2MxS、3MxSを演算で求める。
[第6のステップ]
記録パルス条件演算部110はまず、エッジシフト検出部109により測定された平均エッジシフト量を利用し、2Tマークと3Tマークとのそれぞれについて、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとを記録パルス条件D、E、Fごとに次式で求める:
記録パルス条件演算部110はまず、エッジシフト検出部109により測定された平均エッジシフト量を利用し、2Tマークと3Tマークとのそれぞれについて、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとを記録パルス条件D、E、Fごとに次式で求める:
L2T=xS2M−2MxS、
L3T=xS3M−3MxS、
P2T=xS2M+2MxS、
P3T=xS3M+3MxS。
L3T=xS3M−3MxS、
P2T=xS2M+2MxS、
P3T=xS3M+3MxS。
ここで、長さのずれLiT(i=2、3)は、光ディスク101に実際に記録されたiTマークの長さと正規の長さ(再生クロック間隔Tのi倍=iT)との間の差を表す。長さのずれLiTが0であれば実際のiTマークの長さが正規の長さと一致し、長さのずれLiTが正であれば実際のiTマークが正規の長さより長く、長さのずれLiTが負であれば実際のiTマークが正規の長さより短い。一方、位相のずれPiT(i=2、3)は、光ディスク101に実際に記録されたiTマークの位相と正規の位相(再生クロックの位相)との間の差を表す。位相のずれPiTが0であれば実際のiTマークの位相が正規の位相と一致し、位相のずれPiTが正であれば実際のiTマークの位相が正規の位相より進み、位相のずれP iT が負であれば実際のiTマークの位相が正規の位相より遅れている。
記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件Dを用いて記録された記録パターンを再生した信号について、2Tマークと3Tマークとのそれぞれの長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとを所定の閾値と比較する。長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとがいずれも閾値以下であった場合、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件Dを最適な記録パルス条件として決定し、記録パルス条件の最適化処理を終える。その他に、後述の第7のステップで求められた補正値m、nがいずれも0になった場合も、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件の最適化処理を終える。一方、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとのいずれかが閾値を超えた場合、記録パルス条件演算部110は第7のステップ以降の処理を続行し、記録パルス条件の補正を行う。尚、この判定に使われるべき指標としては、長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとの他に、それらの二乗和、再生信号のジッタ、又は、再生信号の品質を表すその他の指標(例えば、MLSE、bER、SER)の組み合わせが用いられても良い。
[第7のステップ]
記録パルス条件演算部110は、記録パルス条件D、E、Fのそれぞれについて得られた2Tマークと3Tマークとのそれぞれの長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとに基づき、記録パルス条件の補正値を以下のように演算で求める。その演算では以下のパラメータが用いられる:
・記録パルス条件D、E、Fのそれぞれでの長さのずれL2T(D)、L3T(D)、L2T(E)、L3T(E)、L2T(F)、L3T(F)、及び位相のずれP2T(D)、P3T(D)、P2T(E)、P3T(E)、P2T(F)、P3T(F);
・基準の記録パルス条件Dとマーク長調整用の記録パルス条件Eとの間での、長さのずれの差L122T、L123Tと位相のずれの差P122T、P123T;
・基準の記録パルス条件Dとマーク位相調整用の記録パルス条件Fとの間での、長さのずれの差L132T、L133Tと位相のずれの差P132T、P133T;
・マーク長の補正量m2T、m3Tとマークの位相の補正量n2T、n3T。好ましくは、補正量m2T、m3T、n2T、n3Tがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、記録パルス条件D、E、Fのそれぞれについて得られた2Tマークと3Tマークとのそれぞれの長さのずれL2T、L3Tと位相のずれP2T、P3Tとに基づき、記録パルス条件の補正値を以下のように演算で求める。その演算では以下のパラメータが用いられる:
・記録パルス条件D、E、Fのそれぞれでの長さのずれL2T(D)、L3T(D)、L2T(E)、L3T(E)、L2T(F)、L3T(F)、及び位相のずれP2T(D)、P3T(D)、P2T(E)、P3T(E)、P2T(F)、P3T(F);
・基準の記録パルス条件Dとマーク長調整用の記録パルス条件Eとの間での、長さのずれの差L122T、L123Tと位相のずれの差P122T、P123T;
・基準の記録パルス条件Dとマーク位相調整用の記録パルス条件Fとの間での、長さのずれの差L132T、L133Tと位相のずれの差P132T、P133T;
・マーク長の補正量m2T、m3Tとマークの位相の補正量n2T、n3T。好ましくは、補正量m2T、m3T、n2T、n3Tがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、長さのずれの差L122T、L123T、L132T、L133T、及び位相のずれの差P122T、P123T、P132T、P133Tをそれぞれ、以下のように計算する。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件D、E間での長さのずれL2T(D)、L2T(E)の差、及びL3T(D)、L3T(E)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L122T、L123Tとして次式で求める:
L122T=L2T(E)−L2T(D)、
L123T=L3T(E)−L3T(D)。
L123T=L3T(E)−L3T(D)。
記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件D、E間での位相のずれP2T(D)、P2T(E)の差、及びP3T(D)、P3T(E)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、E間での位相のずれの差P122T、P123Tとして次式で求める:
P122T=P2T(E)−P2T(D)、
P123T=P3T(E)−P3T(D)。
P123T=P3T(E)−P3T(D)。
記録パルス条件演算部110は続いて、記録パルス条件D、F間での長さのずれL2T(D)、L2T(F)の差、及びL3T(D)、L3T(F)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、F間での長さのずれの差L132T、L133Tとして次式で求める:
L132T=−[L2T(F)−L2T(D)]、
L133T=L3T(F)−L3T(D)。
L133T=L3T(F)−L3T(D)。
記録パルス条件演算部110は更に、記録パルス条件D、F間での位相のずれP2T(D)、P2T(F)の差、及びP3T(D)、P3T(F)の差をそれぞれ、記録パルス条件D、F間での位相のずれの差P132T、P133Tとして次式で求める:
P132T=−[P2T(F)−P2T(D)]、
P133T=P3T(F)−P3T(D)。
P133T=P3T(F)−P3T(D)。
記録パルス条件演算部110は長さのずれの差L12x、L13x[x=2T、3T]と位相のずれの差P12x、P13xとに基づき、記録パルス条件D、E、Fのうちエッジシフト量が最も小さい記録パルス条件(ここでは、記録パルス条件D)での長さのずれLxと位相のずれPxとのそれぞれを目標値0まで変化させるのに必要な補正量mx、nxを、線形の連立方程式(1)〜(4)(以下、シフト補正方程式という)で求める:
L2T+L122T*m2T+L132T*n2T=0、 (1)
P2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (2)
L3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (3)
P3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (4)
P2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (2)
L3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (3)
P3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (4)
シフト補正方程式(1)〜(4)は以下のことを意味する:
第4のステップでの設定により、記録パルス条件Eは記録パルス条件Dと比べ、パラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図5、7参照)。従って、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと位相のずれの差P12xとはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴う長さのずれの変化と位相のずれの変化とがいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの基準値a、bを補正量m2Tずつ変化させ、かつ基準値d、eを補正量m3Tずつ変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では、長さのずれが記録パルス条件Dでの長さのずれLxから、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと補正量mxとの積だけ変化し、位相のずれが記録パルス条件Dでの位相のずれPxから、記録パルス条件D、E間での位相のずれの差P12xと補正量mxとの積だけ変化する。
第4のステップでの設定により、記録パルス条件Eは記録パルス条件Dと比べ、パラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図5、7参照)。従って、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと位相のずれの差P12xとはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴う長さのずれの変化と位相のずれの変化とがいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの基準値a、bを補正量m2Tずつ変化させ、かつ基準値d、eを補正量m3Tずつ変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では、長さのずれが記録パルス条件Dでの長さのずれLxから、記録パルス条件D、E間での長さのずれの差L12xと補正量mxとの積だけ変化し、位相のずれが記録パルス条件Dでの位相のずれPxから、記録パルス条件D、E間での位相のずれの差P12xと補正量mxとの積だけ変化する。
記録パルス条件Fは記録パルス条件Dと比べ、2Tマークに関するパラメータdTtop、dTeの値が−1単位ずつ異なり、3Tマークに関するパラメータdTtop、dTeの値が+1単位ずつ異なり、3Tマークに関するパラメータTlpの値が−1単位異なる(図5、7参照)。そのようなパラメータdTtop、Tlp、dTeの±1単位の変化によって記録パルス条件D、F間での長さのずれの差L13xと位相のずれの差P13xとが生じる。ここで、「パラメータdTtop、Tlp、dTeの変化に伴う長さのずれの変化と位相のずれの変化とがいずれもパラメータdTtop、Tlp、dTeの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Tlp、dTeの基準値a、c、d、f、gをそれぞれ、−n2T、−n2T、n3T、−n3T、n3T変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では、長さのずれが記録パルス条件Dでの長さのずれLxから、記録パルス条件D、F間での長さのずれの差L13xと補正量nxとの積だけ変化し、位相のずれが記録パルス条件DでのPxから、記録パルス条件D、F間での位相のずれの差P13xと補正量nxとの積だけ変化する。
それ故、シフト補正方程式(1)〜(4)を同時に満たす補正量mx、nxを用いてパラメータの値を基準値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号では長さのずれと位相のずれとがいずれも目標値0に一致する。
記録パルス条件Eは主にマーク長の調整を目的として設定され、記録パルス条件Fは主にマーク位相の調整を目的として設定される。しかし、記録パルス条件Eで記録されたパターンを再生した信号では、マーク長のずれLxだけでなく、マークの位相のずれPxも変化する。逆に、記録パルス条件Fで記録されたパターンを再生した信号では、マークの位相のずれPxだけでなく、マーク長のずれLxも変化する。すなわち、記録パルス条件の変更に伴うマーク長の変化とマークの位相の変化とが互いに独立ではなく、むしろ相互に依存する。それらの関係をシフト補正方程式(1)〜(4)で線形に近似することにより、長さのずれの差L12x、L13xと位相のずれの差P12x、P13xとの各測定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能である。尚、補正量mx、nxは好ましくは、シフト補正方程式(1)〜(4)を解いた次式(5)〜(8)から計算される:
m2T=(P2T*L132T−L2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (5)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (6)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (7)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (8)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (6)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (7)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (8)
式(5)〜(8)から得られた補正量mx、nxは更に、好ましくは小数点以下を四捨五入することにより、整数値に丸められる。こうして得られた補正量mx、nxを用い、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件を次のように補正する(図12参照)。記録パルス条件演算部110は、まず、2Tマークに関し、パラメータdTtop、Ttopの各基準値a、bをマーク長の補正量m2Tずつ加算する。更に、パラメータdTtop、dTeの各基準値a、cをマークの位相の補正量n2Tずつ加算する:
2T:dTtop=a+m2T+n2T、
2T:Ttop=b+m2T、
2T:dTe=c+n2T。
2T:Ttop=b+m2T、
2T:dTe=c+n2T。
記録パルス条件演算部110は、次に、3Tマークに関し、パラメータdTtop、Ttop、Tlp、dTeの各基準値d、e、f、gを補正量m3T、n3Tを使って次式のように補正する:
3T:dTtop=d+m3T+n3T、
3T:Ttop=e+m3T、
3T:Tlp=f−m3T、
3T:dTe=g+n3T。
3T:Ttop=e+m3T、
3T:Tlp=f−m3T、
3T:dTe=g+n3T。
記録パルス条件演算部110は上記の補正で得られた記録パルス条件Gを、記録パルス条件Dに代えて初期条件として設定する。それにより、次の第8のステップで第4のステップからの処理の繰り返しが判断された場合、次の第4のステップでは記録パルス条件Dに代え、記録パルス条件Gのパラメータの値が基準値として設定される。
シフト補正方程式(1)〜(4)では長さのずれと位相のずれとの各目標値が一律に、0に設定されている。それにより、最尤復号処理でのエラーの発生確率が最小化されるように、記録パルス条件が最適化される。ここで、最尤復号処理でのエラーの発生確率と、再生信号の品質を表す他の指標(例えば、ジッタやリミットイコライザ後のジッタ)との間の良好なバランスが望まれている場合、各目標値が0以外の値に設定されても良く、更に2Tマークと3Tマークとの間で異なっていても良い。長さのずれと位相のずれとの各目標値をLtx、Ptx(x=2T、3T)とするとき、シフト補正方程式は以下の連立方程式(9)〜(12)で表され、その解は式(13)〜(16)で表される:
L2T+Lt2T+L122T*m2T+L132T*n2T=0、 (9)
P2T+Pt2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (10)
L3T+Lt3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (11)
P3T+Pt3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (12)
m2T=(P2T*L132T−L2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Pt2T*L132T−Lt2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (13)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Lt2T*P122T−Pt2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (14)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Pt3T*L133T−Lt3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (15)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Lt3T*P123T−Pt3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (16)
P2T+Pt2T+P122T*m2T+P132T*n2T=0、 (10)
L3T+Lt3T+L123T*m3T+L133T*n3T=0、 (11)
P3T+Pt3T+P123T*m3T+P133T*n3T=0。 (12)
m2T=(P2T*L132T−L2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Pt2T*L132T−Lt2T*P132T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (13)
n2T=(L2T*P122T−P2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)
+(Lt2T*P122T−Pt2T*L122T)/(L122T*P132T−P122T*L132T)、 (14)
m3T=(P3T*L133T−L3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Pt3T*L133T−Lt3T*P133T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)、 (15)
n3T=(L3T*P123T−P3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)
+(Lt3T*P123T−Pt3T*L123T)/(L123T*P133T−P123T*L133T)。 (16)
ここで、補正量mx、nx(x=2T、3T)は好ましくは、小数点以下を四捨五入することで整数に丸められる。尚、記録再生装置は好ましくは、各目標値Ltx、Ptxを光ディスクの種類別に予め記憶している。
[第8のステップ]
第1〜第7のステップでは、マーク長とその前後のスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量が測定され、各測定結果からマーク長ごとの平均エッジシフト量が求められ、その平均エッジシフト量に基づいて記録パルス条件が調整される。ここで、平均エッジシフト量では、マークの前後のスペース長の違いによるエッジシフト量の変動が均されている。しかし、光ディスク101の種類によっては、マークとスペースとの間での熱の干渉がマークの前後のスペース長に応じて顕著に変動し得る。そのような光ディスクにデータが書き込まれるときは、記録パルス条件が、マーク長だけでなく、前後のスペース長にも応じて変化しなければならない。ここで、マークの前後のスペース長が考慮される場合、記録パルス条件に含まれるべきパラメータの組み合わせの数が、マーク長とスペース長との間の組み合わせの数と共に著しく増加する。試し記録により調整されるべきパラメータの数が多い場合、学習に要する時間が長く、しかも、記録条件学習領域1003のトラックが多数消費される。特に追記型ディスクのようにデータを一回しか記録できない光ディスクでは記録条件学習領域のトラック数の制限から学習回数が制限されるので、一回の学習で消費されるトラック数はできるだけ少ないことが好ましい。従って、第8のステップでは、光ディスク101の種類や第1〜第7のステップの結果に基づき、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要か否かが判断される。その補償が不要である場合、第9のステップ以降がスキップされ、処理が第4のステップから繰り返される。特に二回目の第4のステップでは、図5に示されている記録パルス条件D、E、Fに代え、図12に示されている記録パルス条件G、H、Iが利用される。従って、記録パルス条件の補正にはマーク長ごとの平均エッジシフト量のみが利用される。このように補正対象のパラメータが限定されることで、記録パルス条件の調整時間が更に短縮可能であり、かつ、マークの品質が更に向上可能である。一方、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要である場合(例えば、光ディスク101の種類がそのような光ディスクである場合や、第1〜第7のステップの結果ではマークのエッジシフト量の補償が不十分であった場合)、処理が第9のステップに進み、マークの前後スペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が実行される。
第1〜第7のステップでは、マーク長とその前後のスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量が測定され、各測定結果からマーク長ごとの平均エッジシフト量が求められ、その平均エッジシフト量に基づいて記録パルス条件が調整される。ここで、平均エッジシフト量では、マークの前後のスペース長の違いによるエッジシフト量の変動が均されている。しかし、光ディスク101の種類によっては、マークとスペースとの間での熱の干渉がマークの前後のスペース長に応じて顕著に変動し得る。そのような光ディスクにデータが書き込まれるときは、記録パルス条件が、マーク長だけでなく、前後のスペース長にも応じて変化しなければならない。ここで、マークの前後のスペース長が考慮される場合、記録パルス条件に含まれるべきパラメータの組み合わせの数が、マーク長とスペース長との間の組み合わせの数と共に著しく増加する。試し記録により調整されるべきパラメータの数が多い場合、学習に要する時間が長く、しかも、記録条件学習領域1003のトラックが多数消費される。特に追記型ディスクのようにデータを一回しか記録できない光ディスクでは記録条件学習領域のトラック数の制限から学習回数が制限されるので、一回の学習で消費されるトラック数はできるだけ少ないことが好ましい。従って、第8のステップでは、光ディスク101の種類や第1〜第7のステップの結果に基づき、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要か否かが判断される。その補償が不要である場合、第9のステップ以降がスキップされ、処理が第4のステップから繰り返される。特に二回目の第4のステップでは、図5に示されている記録パルス条件D、E、Fに代え、図12に示されている記録パルス条件G、H、Iが利用される。従って、記録パルス条件の補正にはマーク長ごとの平均エッジシフト量のみが利用される。このように補正対象のパラメータが限定されることで、記録パルス条件の調整時間が更に短縮可能であり、かつ、マークの品質が更に向上可能である。一方、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必要である場合(例えば、光ディスク101の種類がそのような光ディスクである場合や、第1〜第7のステップの結果ではマークのエッジシフト量の補償が不十分であった場合)、処理が第9のステップに進み、マークの前後スペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が実行される。
第8のステップでは好ましくは、マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整の必要性が次のように定量的に判断される。記録パルス条件演算部110は、マーク長iT(i=2、3、4以上)ごとに、前後のスペース長jT(j=2、3、4、5以上)に応じたエッジシフト量jSiM、iMjSの各分散値σxSiM 2、σiMxS 2(エッジシフト量jSiM、iMjSと平均エッジシフト量xSiM、iMxSとの間の差の二乗平均値)を求め、得られた分散値σxSiM 2、σiMxS 2の平均値の平方根を指標σSPとして決定する:
σxS2M 2
=[(3S2M−xS2M)2+(4S2M−xS2M)2+(5S2M−xS 2M)2]/3、 (17)
σxS3M 2
=[(2S3M−xS3M)2+(3S3M−xS3M)2
+(4S3M−xS3M)2+(5S3M−xS3M)2]/4、 (18)
σxS4M 2
=[(2S4M−xS4M)2+(3S4M−xS4M)2
+(4S4M−xS4M)2+(5S4M−xS4M)2]/4、 (19)
σ2MxS 2
=[(2M3S−2MxS)2+(2M4S−2MxS)2+(2M5S−2M xS)2]/3、 (20)
σ3MxS 2
=[(3M2S−3MxS)2+(3M3S−3MxS)2
+(3M4S−3MxS)2+(3M5S−3MxS)2]/4、 (21)
σ4MxS 2
=[(4M2S−4MxS)2+(4M3S−4MxS)2
+(4M4S−4MxS)2+(4M5S−4MxS)2]/4、 (22)
σSP=sqrt[(σxS2M 2+σxS3M 2+σxS4M 2+σ 2MxS 2+σ3MxS 2+σ4MxS 2)/6]。 (23)
=[(3S2M−xS2M)2+(4S2M−xS2M)2+(5S2M−xS 2M)2]/3、 (17)
σxS3M 2
=[(2S3M−xS3M)2+(3S3M−xS3M)2
+(4S3M−xS3M)2+(5S3M−xS3M)2]/4、 (18)
σxS4M 2
=[(2S4M−xS4M)2+(3S4M−xS4M)2
+(4S4M−xS4M)2+(5S4M−xS4M)2]/4、 (19)
σ2MxS 2
=[(2M3S−2MxS)2+(2M4S−2MxS)2+(2M5S−2M xS)2]/3、 (20)
σ3MxS 2
=[(3M2S−3MxS)2+(3M3S−3MxS)2
+(3M4S−3MxS)2+(3M5S−3MxS)2]/4、 (21)
σ4MxS 2
=[(4M2S−4MxS)2+(4M3S−4MxS)2
+(4M4S−4MxS)2+(4M5S−4MxS)2]/4、 (22)
σSP=sqrt[(σxS2M 2+σxS3M 2+σxS4M 2+σ 2MxS 2+σ3MxS 2+σ4MxS 2)/6]。 (23)
ここで、偏差σxSiMは、iTマーク(i=2、3、4以上)についてその直前のスペース長に応じた始端のばらつきの大きさを表す。偏差σiMxSは、iTマークについてその直後のスペース長に応じた終端のばらつきの大きさを表す。式(23)で得られた指標σSPは、前後のマーク長に依らない、スペース長ごとの長さのばらつきの大きさを表す指標として用いられる。尚、例えば分散σxS2M 2は式(17)に代え、次式(24)のように重み係数Csm32、Csm42、Csm52を用いて計算されても良い:
σxS2M 2
=[Csm32*(3S2M−xS2M)2+Csm42*(4S2M−xS2M)2
+Csm52*(5S2M−xS2M)2]/3。 (24)
=[Csm32*(3S2M−xS2M)2+Csm42*(4S2M−xS2M)2
+Csm52*(5S2M−xS2M)2]/3。 (24)
ここで、各重み係数Csmj2(j=3、4、5)は、jTスペースに続いて2Tマークが出現する確率を表す。他の分散値も同様な重み付けで計算されても良い。それにより、マーク長とスペース長との間の各組み合わせが出現する頻度に応じた分散値が得られる。
記録パルス条件演算部110は更に、指標σSPを所定の基準値と比較する。指標σSPが基準値より大きい場合、マークの前後のスペース長に応じてエッジシフト量が過大に変化しているので、「マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が必要である」と判断される。その場合、処理が第9のステップに進み、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件が調整される。一方、指標σSPが基準値より小さい場合、「マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件の更なる調整が不要である」と判断され、処理が第4のステップに戻り、マーク長ごとに記録パルス条件の補正が繰り返される。
[第9のステップ]
マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件を調整する目的で、試し書きが以下のように行われる。
ここで、試し書きに利用される記録パルス条件を図14に示す。記録パルス条件Gは、第7のステップの補正で得られた記録パルス条件である。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件Gに含まれているパラメータの値を初期値として設定する。記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件Gに含まれている、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせに関し、二つのパラメータdTtop、Ttopの初期値をそれぞれ1単位ずつ加算し、他の初期値と共に、記録パルス条件Jとしてメモリに格納する。
マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件を調整する目的で、試し書きが以下のように行われる。
ここで、試し書きに利用される記録パルス条件を図14に示す。記録パルス条件Gは、第7のステップの補正で得られた記録パルス条件である。記録パルス条件演算部110はまず、記録パルス条件Gに含まれているパラメータの値を初期値として設定する。記録パルス条件演算部110は次に、記録パルス条件Gに含まれている、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせに関し、二つのパラメータdTtop、Ttopの初期値をそれぞれ1単位ずつ加算し、他の初期値と共に、記録パルス条件Jとしてメモリに格納する。
記録再生装置は記録パルス条件G、Jのそれぞれを用い、第4のステップで用いられた特定の記録パターンを、第2のステップと同様に、光ディスク101の記録学習領域1002(図10参照)に試し書きする。すなわち、記録条件学習領域1002には上記の記録パターンが記録パルス条件G、Jごとに連続して記録される。
尚、マークとスペースとの間の熱干渉がエッジシフト量に与える影響は、短いスペースに続くマークと最短マーク(2Tマーク)とで大きい。従って、第9のステップでは上記の通り、2Tスペースと3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースと長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースと2Tマークとの組み合わせ、の三種類に関するパラメータが1単位ずつ加算される(図14参照)。しかし、パラメータの動かし方はこれらに限られない。特に、他のマーク長と他のスペース長との組み合わせに関するパラメータが変更されても良い。その他に、マークの直前のスペースごとに分類されたパラメータdTtop、Ttopの各値に代え、マークの直後のスペース長ごとに分類されたパラメータTlp、dTeの各値が変更されても良い。
[第10のステップ]
記録再生装置は、以下のように、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量を測定する。まず、記録パルス条件G、Jのそれぞれで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンが再生される。更に、エッジシフト検出部109がその再生信号のエッジシフト量を、第3及び第5のステップと同様に測定する。それにより、図11に示されている、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとのエッジシフト量が全て測定される。
記録再生装置は、以下のように、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとにエッジシフト量を測定する。まず、記録パルス条件G、Jのそれぞれで上記の記録パターンが記録されたトラックから各記録パターンが再生される。更に、エッジシフト検出部109がその再生信号のエッジシフト量を、第3及び第5のステップと同様に測定する。それにより、図11に示されている、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとのエッジシフト量が全て測定される。
[第11のステップ]
記録再生装置は第8のステップと同様な判断を行う。すなわち、記録パルス条件演算部110がまず、第10のステップで得られたエッジシフト量に基づいて上記の指標σSPを計算し、得られた指標σSPを所定の基準値と比較する。指標σSPが基準値より大きい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が過大である」と判断される。その場合、処理が第12のステップに進む。一方、指標σSPが基準値より小さい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が十分に小さい」と判断され、記録パルス条件の最適化処理が終了する。
記録再生装置は第8のステップと同様な判断を行う。すなわち、記録パルス条件演算部110がまず、第10のステップで得られたエッジシフト量に基づいて上記の指標σSPを計算し、得られた指標σSPを所定の基準値と比較する。指標σSPが基準値より大きい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が過大である」と判断される。その場合、処理が第12のステップに進む。一方、指標σSPが基準値より小さい場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が十分に小さい」と判断され、記録パルス条件の最適化処理が終了する。
[第12のステップ]
記録パルス条件演算部110は、第10のステップでエッジシフト検出部109により測定されたエッジシフト量に基づき、記録パルス条件の補正量を演算で求める。その演算に用いられるパラメータは次の通りである:
・記録パルス条件G、Jでのエッジシフト量2S3M(G)、2S4M(G)、5S2M(G)、2S3M(J)、2S4M(J)、5S2M(J);
・記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2M;
・記録パルス条件の補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M。好ましくは、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、第10のステップでエッジシフト検出部109により測定されたエッジシフト量に基づき、記録パルス条件の補正量を演算で求める。その演算に用いられるパラメータは次の通りである:
・記録パルス条件G、Jでのエッジシフト量2S3M(G)、2S4M(G)、5S2M(G)、2S3M(J)、2S4M(J)、5S2M(J);
・記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2M;
・記録パルス条件の補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M。好ましくは、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mがいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
記録パルス条件演算部110は、まず、記録パルス条件G、Jのそれぞれで記録された各記録パターンを再生した信号間で、エッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mの差e2S3M、e2S4M、e5S2Mを次式で求める:
e2S3M=2S3M(J)−2S3M(G)、
e2S4M=2S4M(J)−2S4M(G)、
e5S2M=5S2M(J)−5S2M(G)。
e2S4M=2S4M(J)−2S4M(G)、
e5S2M=5S2M(J)−5S2M(G)。
記録パルス条件演算部110は次に、エッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2Mに基づき、記録パルス条件Gでのエッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mをいずれも目標値0まで変化させるのに必要な補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを、次のシフト補正方程式(25)〜(27)で求める:
2S3M+e2S3M*q2S3M=0、 (25)
2S4M+e2S4M*q2S4M=0、 (26)
5S2M+e5S2M*q5S2M=0。 (27)
2S4M+e2S4M*q2S4M=0、 (26)
5S2M+e5S2M*q5S2M=0。 (27)
シフト補正方程式(25)〜(27)は以下のことを意味する:
第9のステップでの設定により、記録パルス条件Jは記録パルス条件Gと比べ、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせのそれぞれに関するパラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図14参照)。従って、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2MはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴うエッジシフト量の変化がいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの各初期値を補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量が、記録パルス条件Gでのエッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mから、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2Mと補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mとの積だけ変化する。それ故、シフト補正方程式(25)〜(27)を同時に満たす補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを用いてパラメータの値を初期値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量がいずれも目標値0に一致する。こうして、シフト補正方程式(25)〜(27)による線形近似に基づき、エッジシフト量の差の各測定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能である。尚、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mは好ましくは、シフト補正方程式(25)〜(27)を解いた次式(28)〜(30)から計算される:
第9のステップでの設定により、記録パルス条件Jは記録パルス条件Gと比べ、2Tスペースとその直後の3Tマークとの組み合わせ、2Tスペースとその直後の長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースとその直後の2Tマークとの組み合わせのそれぞれに関するパラメータdTtop、Ttopの値が+1単位ずつ異なる(図14参照)。従って、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2MはパラメータdTtop、Ttopの+1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータdTtop、Ttopの変化に伴うエッジシフト量の変化がいずれもパラメータdTtop、Ttopの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、パラメータdTtop、Ttopの各初期値を補正量q2S3M、q2S4M、q5S2M変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量が、記録パルス条件Gでのエッジシフト量2S3M、2S4M、5S2Mから、記録パルス条件G、J間でのエッジシフト量の差e2S3M、e2S4M、e5S2Mと補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mとの積だけ変化する。それ故、シフト補正方程式(25)〜(27)を同時に満たす補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを用いてパラメータの値を初期値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量がいずれも目標値0に一致する。こうして、シフト補正方程式(25)〜(27)による線形近似に基づき、エッジシフト量の差の各測定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能である。尚、補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mは好ましくは、シフト補正方程式(25)〜(27)を解いた次式(28)〜(30)から計算される:
q2S3M=−2S3M/e2S3M、 (28)
q2S4M=−2S4M/e2S4M、 (29)
q5S2M=−5S2M/e5S2M。 (30)
q2S4M=−2S4M/e2S4M、 (29)
q5S2M=−5S2M/e5S2M。 (30)
式(28)〜(30)から得られた補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mは更に、好ましくは小数点以下を四捨五入することにより、整数値に丸められる。こうして得られた記録パルス条件の補正量q2S3M、q2S4M、q5S2Mを用い、記録パルス条件演算部110は記録パルス条件を次のように補正する。記録パルス条件演算部110は、まず、2Tスペースと3Tマークとの組み合わせに関し、パラメータdTtop、Ttopの各初期値Gを補正量q2S3Mずつ加算する:
2Tスペース/3Tマーク:dTtop=G+q2S3M、
2Tスペース/3Tマーク:Ttop=G+q2S3M。
2Tスペース/3Tマーク:Ttop=G+q2S3M。
記録パルス条件演算部110は、2Tスペースと長さ4T以上のマークとの組み合わせ、及び長さ5T以上のスペースと2Tマークとの組み合わせのそれぞれに関しても同様に、パラメータdTtop、Ttopの各初期値Gを補正量q2S4M、q5S2Mを使って次式のように補正する:
2Tスペース/4T以上マーク:dTtop=G+q2S4M、
2Tスペース/4T以上マーク:Ttop=G+q2S4M、
5T以上スペース/2Tマーク:dTtop=G+q5S2M、
5T以上スペース/2Tマーク:Ttop=G+q5S2M。
2Tスペース/4T以上マーク:Ttop=G+q2S4M、
5T以上スペース/2Tマーク:dTtop=G+q5S2M、
5T以上スペース/2Tマーク:Ttop=G+q5S2M。
記録パルス条件演算部110は上記の補正で得られた記録パルス条件Kを、記録パルス条件Gに代えて初期条件に設定する。その後、処理が第9のステップから繰り返される。特に、次の第9のステップでは記録パルス条件Gに代え、記録パルス条件Kのパラメータの値が初期値として設定される。
シフト補正方程式(28)〜(30)ではエッジシフト量の目標値が一律に、0に設定されている。それにより、最尤復号処理でのエラーの発生確率が最小化されるように、記録パルス条件が最適化される。ここで、最尤復号処理でのエラーの発生確率と、再生信号の品質を表す他の指標(例えば、ジッタやリミットイコライザ後のジッタ)との間の良好なバランスが望まれている場合、各目標値が0以外の値に設定されても良く、更にマーク長とスペース長との間の組み合わせごとに異なっていても良い。
好ましくは、光ディスク101の初期値記録領域1003等に、基準の記録パルス条件とマーク長調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差、及び、基準の記録パルス条件とマーク位相調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差が記録されている。その他に、二つの記録パルス条件間でのエッジシフト量の差がマーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録されていても良い。その場合、更に好ましくは、例えば光ディスク101のローディング時、記録パルス条件復調部114(図1参照)が光ディスク101の初期値記録領域1003から長さのずれの差と位相のずれの差とを読み出す。それにより、第7のステップでは光ディスク101から読み出された長さのずれの差と位相のずれの差とが補正に利用されても良い。同様に、第12のステップでは、光ディスク101から予め読み出されたエッジシフト量の差が補正に利用されても良い。その結果、実際の試し書きには基準の記録パルス条件のみが用いられれば良いので、試し書きの回数が更に削減可能である。
その他に、記録再生装置が、上記の最適化処理で利用された、基準の記録パルス条件とマーク長調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差、基準の記録パルス条件とマーク位相調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差、又は二つの記録パルス条件間でのエッジシフト量の差を光ディスク101に記録しても良い。それにより、次の記録時では、記録パルス条件復調部114がそれらの値を参照する。その結果、記録パルス条件が更に速やかに最適化される。
本発明は光ディスク記録再生装置及びそのデータ記録方法に関し、上記の通り、記録パルス条件を最適化する。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
Claims (22)
- 二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、前記記録パルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体のトラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録するステップ;
前記複数の記録パルス条件のそれぞれで前記特定のパターンが記録された前記トラックの各領域から信号を再生し、前記領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定するステップ;
前記領域ごとに前記エッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相のずれを計算するステップ;及び、
前記領域間でのマークの長さの差又は位相差が、前記記録パルスの部分の長さの差又は位相差に比例する、という近似を用い、前記複数の記録パルス条件間でのマークの長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求めるステップ;
を有する、記録パルス条件の最適化方法。 - 前記二種類以上のマークが、最短マークとその次に長いマークとを含む、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記記録パルスに対応する記録信号の中に各符号長が実質的に同じ頻度で出現する、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記複数の記録パルス条件間では、一つの種類のマークに対応する記録パルスの部分の位相が進むとき、別の種類のマークに対応する記録パルスの部分の位相が遅れる、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記記録パルスが、先頭パルス、最終パルス、又は冷却パルスを含み、
前記複数の記録パルス条件間では、前記先頭パルス、前記最終パルス、又は前記冷却パルスの少なくともいずれかの長さ、位相、又は位置が異なる、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。 - 前記複数の記録パルス条件のいずれか二つの間では、前記先頭パルスの長さと立ち上がり位置とのいずれか一方又は両方が異なり、
前記複数の記録パルス条件の別の二つの間では、前記最終パルスの長さと位相とのいずれか一方又は両方、前記先頭パルスの位相、及び前記冷却パルスの位相、が異なる、請求項5に記載の、記録パルス条件の最適化方法。 - 前記特定のパターンが、記録クロック周期の2倍から8倍までのマークとスペースとを含む、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記複数の記録パルス条件間では二つのパラメータについて値の組み合わせが異なり、
前記複数の記録パルス条件のいずれか二つの間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、L12、P12とし、
前記複数の記録パルス条件の別の二つの間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、L13、P13とし、
前記複数の記録パルス条件のいずれか一つでトラックに記録されたマークの長さのずれと位相のずれとをそれぞれ、L、Pとし、
マークの長さのずれと位相のずれとの各目標値を、Lt、Ptとするとき、
前記二つのパラメータの各補正値m、nが次式で求まる、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法:
m=(P×L13−L×P13)/(L12×P13−P12×L13)
+(Pt×L13−Lt×P13)/(L12×P13−P12×L13)、
n=(L×P12−P×L12)/(L12×P13−P12×L13)
+(Lt×P12−Pt×L12)/(L12×P13−P12×L13)。 - 前記再生信号の品質が良好となるように前記目標値Lt、Ptが決められる、請求項8記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記目標値Lt、Ptがマーク長ごとに可変である、請求項8に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記目標値Lt、Ptのいずれか一方又は両方が0である、請求項8に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記補正値m、nが四捨五入により整数化される、請求項8に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記補正値m、nがいずれも0になるまで、各ステップを繰り返す、請求項8に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、
前記再生信号から生成されたデジタル信号を最尤復号法で2値化信号に変換するステップ、
前記2値化信号に基づき、マークのエッジに対応する前記デジタル信号の部分の形状に近似したパターンを所定のパターン群の中から選択するステップ、及び、
選択されたパターンを前記デジタル信号の部分の形状と比較するステップ、
を含む、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。 - 前記再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、
マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれに対して前記エッジシフト量を測定するステップ;
マークの種類ごとにマークの始端と終端とのそれぞれのエッジシフト量の平均値と、前記組み合わせのそれぞれのエッジシフト量と、の間の差について、前記組み合わせ間での分散値SPを次式で計算するステップ:
SP=Σi,jCsm[i][j]×(SM[i][j]−AveSM[j])2
+Σi,jCms[i][j]×(MS[i][j]−AveMS[i])2
ここで、整数の対(i、j)は、(2、2)を除く、2以上の整数の対であり、
変数SM[i][j]は、記録クロック周期Tのi倍の長さのスペース(以下、iTスペースという)と、その直後の、記録クロック周期Tのj倍の長さのマーク(以下、jTマークという)との間のエッジシフト量であり、
変数MS[i][j]はiTマークとその直後のjTスペースとの間のエッジシフト量であり、
変数AveSM[j]はjTマークの始端のエッジシフト量の平均値であり、
変数AveMS[i]はiTマークの終端のエッジシフト量の平均値であり、
第一の係数Csm[i][j]と第二の係数Cms[i][j]とはそれぞれ、所定数である;
分散値SPが所定値より小さいときは記録パルス条件をマークごとに調整し、分散値SPが前記所定値より大きいときは記録パルス条件を前記組み合わせごとに調整するステップ;
を含む、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。 - 前記第一の係数Csm[i][j]がiTスペースとその直後のjTマークとの組み合わせの出現確率で表され、前記第二の係数Cms[i][j]がiTマークとその直後のjTスペースとの組み合わせの出現確率で表される、請求項15に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記第一の係数Csm[i][j]と前記第二の係数Cms[i][j]とが1又は0である、請求項15に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 前記複数の記録パルス条件のいずれか二つの間でのマークの長さの差又は位相差、を表すデータを前記光学的情報記録媒体に記録するステップ、を更に有する、請求項1に記載の、記録パルス条件の最適化方法。
- 二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、前記記録パルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体のトラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録し、前記複数の記録パルス条件のそれぞれで前記特定のパターンが記録された前記トラックの各領域から信号を再生し、前記領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定する記録再生装置であり、
前記領域ごとに前記エッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相のずれを計算し、
前記領域間でのマークの長さの差又は位相差が、前記記録パルスの部分の長さの差又は位相差に比例する、という近似を用い、前記複数の記録パルス条件間でのマークの長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求める、
記録再生装置。 - 二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、前記記録パルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体のトラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録し、前記複数の記録パルス条件のそれぞれで前記特定のパターンが記録された前記トラックの各領域から信号を再生し、前記領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定する記録再生装置、に搭載される半導体集積回路であり、
前記領域ごとに前記エッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相のずれを計算し、
前記領域間でのマークの長さの差又は位相差が、前記記録パルスの部分の長さの差又は位相差に比例する、という近似を用い、前記複数の記録パルス条件間でのマークの長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求める、
半導体集積回路。 - 二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が異なる二つの記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録されたマーク間での長さの差又は位相差、を表すデータが記録された領域、を有する光学的情報記録媒体。
- 所定数の種類のマークとスペースとが実質的に等しい出現確率で記録された領域、を含む記録条件学習領域、を有する光学的情報記録媒体。
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