JP2009170043A - 記録ストラテジ調整方法および情報記録再生装置 - Google Patents

記録ストラテジ調整方法および情報記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】記録ストラテジの調整を、速く確実に実施する技術を提供する。
【解決手段】[a]予め保持されている複数の記録ストラテジから、複数のパルスを含むパルストレイン型記録ストラテジを読み出す。
そして、[b]複数のパルスの各々のパルス幅を基本パルス幅にし、その基本パルス幅を、第1基本パルス幅から第n(nは2以上の自然数)基本パルス幅まで段階的に変更し、第1最適記録パワーから、第n(nは2以上の自然数)最適記録パワーまでを求める。
そして、[c]基本パルス幅の変化に対する最適記録パワーの変化によって得られる変化率を求め、その変化率が示す傾きが、所定の傾きから変化するときのパルス幅を上限パルス幅として特定する。
そして、[d]上限パルス幅に基づいて、パルストレイン型記録ストラテジを調整する。
【選択図】図10

Description

本発明は、光学的情報記録媒体への記録における記録ストラテジの調整方法、およびその方法を用いた情報記録再生装置に関する。
市場に流通している光ディスク装置は、光ディスクに記録された情報を読みだす機能を備えている。光ディスクに記録された情報は、再生光をその光ディスクに照射したときの反射光に基づいて読み出される。
近年の情報処理技術の進歩に伴って、ブランクディスク(ユーザが情報を書き込むことが可能な領域を備え、その領域にデータが書き込まれていない光ディスク)に、情報を記録することができる光学ディスク装置(以下、光学的情報記録装置と呼ぶ。)が普及してきている。光学的情報記録装置は、ブランクディスクの記録層に熱を加え、その記録層を構成する物質の特性を変化させて記録マークを形成する。その記録マークは、その記録マークの長さ(記録マーク長)に対応した矩形波で表される記録データに基づいて形成される。
記録マークを適切に形成するためには、記録層に加える熱を適切にコントロールすることが要求される。記録層に加えられる熱量が小さいと、十分な記録マークを形成することができない。逆に、記録層に加えられる熱量が大きいと、記録マークの形状が不適切になる。また、記録層に加えられる熱量が大きいと、隣接する他の記録マークの形成に悪影響を与えてしまう。
光学的情報記録装置は、記録層に熱を加える手段として、光ヘッドから出力されるレーザを使用している。光学的情報記録装置は、記録データに基づいて入力データ波形を生成し、光ヘッドは、その入力データ波形に応じたレーザを光ディスクに照射する。特定の記録マークを形成するときに照射されるレーザの照射光量は、レーザの出力レベル(例えば、記録パワーやバイアスパワーなど)と、レーザ出力で記録層を過熱する時間(レーザパルスのパルス幅、パルス数、位置など)によって決定する。
光学的情報記録装置は、入力データ波形の形状を変化させることで、レーザの出力レベルと加熱に要する加熱時間とを調整し、記録層に加える熱量のコントロールを行っている。レーザの出力レベル(レーザ光パワー)と加熱時間(照射時間)の調整に用いられる入力データ波形を、記録ストラテジと呼んでいる。なお、本明細書では、記録ストラテジを、時間を横軸にし、レーザ光の出力レベルを縦軸にした波形図で示す。
光学的情報記録装置によって情報の記録がなされる光ディスク媒体のタイプには、追記型や書き換え型などの異なるタイプの媒体があり、記録方式も異なる。記録方式が同じ光ディスクであっても、製造する製造元などが異なる光ディスクでは、その特性が異なることがある。特性が異なる複数の光ディスクに応じた記録ストラテジを使用し、その光ヘッドから照射されるレーザの照射光量を最適化し、特性が異なる光ディスクに情報を記録するときの記録性能(または、光ディスクからの再生性能)を向上させる技術が知られている。
図1は、従来のパルストレイン型の記録ストラテジST1の構成を示す波形図である。図1は、チャネルクロックCLKと、記録データD1と、パルストレイン型記録ストラテジST1と、記録マークMKとの対応を示している。記録データD1やパルストレイン型記録ストラテジST1は、チャネルクロックCLKに基づいて生成される。
光ディスクでは、1と0のビット列の連なりとして情報を記録する。記録されるデータのビット列(または、再生されるデータのビット列)における同一のビット情報の連なりをランという。1ビットに対応する長さを、チャネルビット長と呼ぶ。チャネルビット長に対応させたクロックを、チャネルクロックといい、チャネルクロックの1周期をTとしている。
一般的に、記録データD1と記録マークMKは、T(チャネルクロック周期)を用いて、n(nは2以上の自然数)の倍数として示される。図1に示されているように、パルストレイン型の記録ストラテジST1では、記録データD1がnT記録データの場合に、n−1個の矩形パルスを用いてnT記録マークの記録を行っている(以下、nTデータやnTマークと呼ぶ場合もある。)。このよう関係規則を、「n−1規則」と呼ぶ。「n−1規則」に対応したパルストレイン型記録ストラテジにおいて、n−1個の矩形パルスは、一つのグループとして構成される。
図1は、n=7の場合のチャネルクロックCLK、記録データD1、パルストレイン型記録ストラテジST1および記録マークMKの対応を示している。記録データが7Tマークの時、パルストレインは6つのパルスを含んでいる。なお、パルストレインは最後にクーリングパルスを含んでいても良い。
図1に示されているように、n=7のとき、パルストレイン型記録ストラテジST1は、列に配置される6つのパルスを含んでいる。各々のパルスに対応してレーザが照射され、媒体の記録層が加熱される。
レーザ出射波形において、ゼロレベル、ボトムパワーレベル、バイアスパワー(書き換え可能型の場合消去パワー)レベル、記録パワー(ピークパワーという場合もある)レベルがあり、パルストレインの場合、照射パワーは記録パワーとボトムパワーの間を上下する。パルストレイン型の記録ストラテジST1では、記録層が加熱される時間(加熱時間)と、記録層が殆ど加熱されない時間(非加熱時間)とが交互に並んでいる。レーザは、加熱時間において記録パワーで出射され、非加熱時間において、発振しつつ、ボトムパワーを出射する。したがって、パルストレイン型の記録ストラテジST1で記録マークを形成する場合、記録層に対する加熱と非加熱が交互におこなわれる。非加熱時間には、記録層の加熱がほとんど行われないため、記録層での熱蓄積を減らすことが可能である。これにより形成される記録マーク形状の歪みや熱干渉(所定の記録マークに対し、それの前後のマーク形成での熱が当該マーク形成に影響を及ぼす現象)による不具合(例えば、記録マーク形状の歪み)を少なくすることができる。
パルストレイン型の記録ストラテジST1に対応して記録を行なう場合、特定の場合を除き、光学的情報記録装置は、一定の規則に従って複数のパルスを構成する。そして、光学的情報記録装置は、その複数のパルスに基づいてレーザを照射する。たとえば、上述のn−1規則に従うとき、光学的情報記録装置は、3T記録マークを形成するために、2個のパルスを含むパルストレイン型記録ストラテジST1を構成する。また、4T記録マークを形成するために、光学的情報記録装置は、3個のパルスを含むパルストレイン型記録ストラテジST1を構成する。なお、上述のn−1規則に従うとき、2T記録マークを形成するためのパルストレイン型記録ストラテジST1は、1個のパルスを含む。
記録層に加える熱量を調整する場合、パルストレイン型の記録ストラテジST1では、その複数のパルスのパルス幅や振幅を変更する。変更された複数のパルスのパルス幅や振幅に応じて、レーザパワーや照射時間が変化する。そのため、マーク長が異なる複数の記録マークに対して、ほぼ同程度の割合で記録層に加える熱量を調整することができる。
これによって、マーク長が異なる複数の記録マークに対し、線形性を有するように記録層に加える熱量の調整を行うことができる。ここで、線形性とは、記録する記録データ長と形成される記録マークの長さが比例する度合いを指し、線形性がよいとはその比例度合いが高いことに相当する。また、その複数のパルスのパルス幅や振幅を変更するだけで記録ストラテジの調整が可能であるため、手軽に記録ストラテジの調整を行うことができる。
また、上述のパルストレイン型記録ストラテジ以外の波形の記録ストラテジが知られている。光学的情報記録再生装置は、予め複数の記録ストラテジを保持している。図2は、記録マークに対応する形状の異なる複数の記録ストラテジを示す図である。図2の(a)は、3つのパワーレベルからなるパルストレイン型記録ストラテジを示している。書き換え型の媒体に対しては、バイアスパワーはその役割上消去パワーと呼ばれる。図2の(b)は、2つのパワーレベルからなるパルストレイン型記録ストラテジを示している。図2の(c)は、単純矩形型記録ストラテジを示している。図2の(d)は、部分強調矩形型記録ストラテジを示している。
このような、記録ストラテジを用いて情報の記録を行う技術や、その記録ストラテジの調整方法が知られている(例えば、特許文献1〜6参照)。特許文献1(特開2000−90435号公報)には、
(最小記録マークの振幅の中心)/(最大記録マークの振幅の中心)
の値に応じて、連続冷却パルスcp中の最終冷却パルスcpECPの時間、先頭加熱パルスSPの時間、マルチパルスのデューティー何れか1つ又は2つ或いは3つを補正することで、相変化型光ディスクに対してマークエッジ記録方式で記録した後のマークのアシンメトリを調整する手法が述べられている。
具体的な調整として先頭パルスfpとマルチパルスのデューティーは先頭加熱パルスSPを1T、マルチパルスのデューティーは0.5Tとして調整を開始し、先頭加熱パルスSPの幅をT/4刻み若しくはT/8刻みで小さくすると同時にマルチパルスのデューティーをT/8刻みで小さくして振幅中心の比が1になるようにストラテジを変化させる記述がある。これは、先頭加熱パルスとマルチパルスを小さくなる方向に同時に変化させ、振幅中心を必ずできるだけ1に近くするという調整方法である。
特許文献2(特開平10−64064号公報)には、書込パワー、消去パワー、ボトムパワーをそれぞれ変化させてテスト記録を行い、テスト記録後、これを再生して、アシンメトリ値が最適値となるかまたは変調度が最適となるか、またはエラーレートが最低となる書込パワー、消去パワー、ボトムパワーの各最適値を求め、これら最適値の組合せを用いて実記録を行う技術が記載されている。
特許文献3(特開2003−6868号公報)には、光学的情報記録再生装置の記録パワーを種々変化させて光ディスクのテストエリアにテストデータを記録し、再生した信号から、再生信号品質データの変化又は変化率に基づいて最適記録パワーを設定する技術が記載されている。具体的な再生信号品質としては、各記録パワーに対するβ値(β値に関しては、後述する)の傾き及び傾きの変化率を算出し、傾きの変化率が所定値以下となる範囲は熱波形歪みの生じた範囲と判定し、熱波形歪みの生じていない範囲から基準β値を選択し、この基準β値が得られる記録パワーを最適記録パワーとしてデータ記録する。つまり熱波形歪みを考慮した最適記録パワーの求め方に関して述べられている。
特許文献4(特開2005−216347号公報)には、DVD−Rの記録ストラテジ調整法が開示されており、技術者の熟練度等に影響されることなく記録パルスの最適化を行う手法として、パルス設定を変化させながらテスト記録を行い、その再生信号を検出して得られるジッタ値を測定するという処理を繰り返し行い、記録パルスの最適化を行う技術が記載されている。
特許文献5(特開2007−134006号公報)には、高密度記録対応技術として、1つの記録マークを形成するための発光パルス群のうち、トップパルスまたはラストパルスまたはクーリングパルスのパルスを決定するライトストラテジの最適化処理に関する具術が記載されている。その特許文献4には、決定されたトップ、ラスト、クーリングパルスの少なくとも1つのパルス幅が、光ピックアップで記録マークを形成するために必要な発光量を最低限確保できる発光限界パルス幅未満であるとき、その発光限界パルス幅以下のパルスが所定のパルス幅に変更される技術が記載されている。
特許文献6(特開2003−168215号公報)には、ジッタを指標にパルストレイン記録ストラテジにおける先頭パルス、先頭パルスに続くマルチパルス、最終パルスの後のクーリングパルスを、基準パルス時間幅を基にマルチパルス、先頭パルス、最終パルスの順にパルス時間幅を決定する方法が記載されている。
ここで、記録ストラテジの調整において使用される性能指標に関して説明する。ブランクディスクは、そのディスクの一部に記録パワーを調節するエリアを持っている。その領域を使用して記録パワーの調節が適宜行なわれる。光学的情報記録再生装置は、ブランクディスクが装填されると、そのディスクから、ディスクの種類や媒体メーカ名等の情報を読み出す。光学的情報記録再生装置は、読み出した情報に基づいて、装填された媒体に応じた記録ストラテジや、媒体から読み出した情報が示す推奨記録ストラテジを用いて、OPC(Optimum Power Control)と言われる記録パワーの調整を行う。
記録パワーの調整方法は、長いマークと短いマークの再生振幅により得られるアシンメトリを検査してβ値を求めるβ法や、記録マーク振幅の飽和の程度から判断するγ法などが知られている。DVD−Rではβ法が用いられ、DVD−RW、DVD+RWではγ法が使用されるのが一般的である。先に述べたβ値は、短マークを再生して得られた基準値Refと、長マークのピークレベルとボトムレベルに基づいて算出される。図3は、長マークが11Tマークで、短マークが3T記録マークのときのβ値の算出方法の一例を示す図である。図3に示す算出方法では、基準値Refは、短マーク再生振幅の中心に設定されている。3T記録マークの再生波形から基準値Refを求め、その基準値Refと11Tマークのピークレベルとの差分Aと、11Tマークのボトムレベルとの差分Bとを求める。そして、下記(1)式よりβ値を算出する。
β=0.5×(A−B)/(A+B)・・・(1)
β値は、各パターンの最小値、最大値、平均レベル(平均電圧)等の信号レベルを使用して算出され、最大振幅の中心と最小振幅の中心のズレでありアシンメトリと同義として用いられる。また、β値は、記録信号品質の評価指標であるジッタσやエラー数等の信号品質指標と相関がある。β値は、値そのものは性能を保証するものではなく、β値と性能の絶対値指標、例えばエラー数やエラーレートやジッタ値との対応をとった上で目標として用いる。一般的に、ジッタσが15%以上になると、エラー訂正処理を行ってもエラーが訂正できなくなることがある。したがって、ジッタσを15%以下にしなければならないことが知られている。
また、高密度化された次世代DVDであるHD DVDにおいては、PRML検出が用いられる。HD DVDではジッタ自体の測定が困難である。そのため、HD DVDにおける性能指標としてPRSNRという指標が導入されている(例えば、非特許文献1参照)。PRSNRは、ジッタに代わる信号品質評価指標である。PRSNRは、PRML検出におけるSNR値である。PRSNRはエラーレートへの換算も可能で、この値が高ければ高いほど信号品質は優れていることを意味している。なお、再生波形の品質を評価する他の方法としては、直接エラーレートやエラーバイト数を求めてしまう方法もある。これらは性能の絶対値を示す指標である。
特開2000−90435号公報 特開平10−64064号公報 特開2003−6868号公報 特開2005−216347号公報 特開2007−134006号公報 特開2003−168215号公報 Japanese Journal of Applied Physics Vol.43, No.7B, 2004, pp.4859-4862 "Signal-to-Noise Ratio in a PRML Detection" S.OHKUBO et al
記録ストラテジの調整項目は記録パルスの開始、終了位置を含め複数のパルスのパルス幅や各種、記録パワー、バイアスパワー、ボトムパワーなどの複数の記録時パワーなど、パラメータが多岐にわたる。順次パラメータを調整していく場合に、複数あるパラメータの調整の順番を変えたとき、最適な結果を得ることができなくなってしまうことがある。例えば、調整初期に選ぶパラメータの選択を誤ると、その後、他のパラメータを調整しても、必ずしも最高性能を引き出す調整とできず、局所最適な調整となってしまう場合がある。従って、やみくもに調整を行うと、パラメータの最適化に多大な時間を要してしまう。また、調整される結果は、調整者の熟練度に依存する場合もあり、最適化の効果もばらつくという問題があった。
記録ストラテジにおいてパルス幅、記録時パワーを含めてストラテジを確実にかつ高速に調整する汎用的な手法は知られていなかった。全てのパラメータの組合せを実行した場合、多大な時間を要するばかりで、短時間での調整が困難であり、媒体の最高性能が引き出せていない局所最適な調整に陥る可能性も生じてしまう。記録ストラテジを短時間で最適に調整できる技術が求められている。
また、媒体を製造したメーカが、媒体に予め保持されている情報を生成した装置と、他のメーカで開発、使用される装置の構成とは異なっている。そのため、媒体に予め保持されている情報は、装置によっては、必ずしも適合性の高いパラメータとはなっていない。
本発明が解決しようとする課題は、記録ストラテジの調整を、速く確実に実施する技術を提供するものである。
以下に、課題を解決するための手段を説明する。上記課題を解決するために、光学的情報記録媒体に照射するレーザ光の出力波形を特定する記録ストラテジを調整する記録ストラテジを、以下の記録ストラテジ調整方法を用いて調整する。その記録ストラテジ調整方法は、
[a]予め保持されている複数の記録ストラテジから、複数のパルスを含むパルストレイン型記録ストラテジを読み出すストラテジ特定ステップと、
[b]前記複数のパルスの各々のパルス幅を基本パルス幅にし、前記基本パルス幅を、第1基本パルス幅から第n(nは2以上の自然数)基本パルス幅まで段階的に変更し、前記第1基本パルス幅において最良の再生信号品質が得られる記録パワーである第1最適記録パワーから、前記第n基本パルス幅において最良の再生信号品質が得られる記録パワーである第n(nは2以上の自然数)最適記録パワーまでを求める最適記録パワー測定ステップと、
[c]前記基本パルス幅の変化に対する前記最適記録パワーの変化によって得られる変化率を求め、前記変化率が示す傾きが、所定の傾きから変化するときのパルス幅を上限パルス幅として特定する上限パルス幅特定ステップと、
[d]前記上限パルス幅に基づいて、前記パルストレイン型記録ストラテジを調整するストラテジ調整ステップと
を具備する記録ストラテジ調整方法である。
本発明によると、記録ストラテジの調整を、速く確実に実施することができる。
また、本発明によると、記録調整のために使用する媒体の領域を少なく抑えることができる。
また、本発明によると、記録ストラテジの調整を行うのに多くの経験や熟練した技術を要さず、広く汎用的に調整が可能となる。
[第1実施形態]
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明を行う。以下の実施形態においては、近年出荷され始めた次世代DVDであるHD DVD(High Definition DVD)の記録ストラテジを調整する場合に対応して説明を行う。一般的に、HD DVDでは、追記型のHD DVD−Rも書き換え可能型のHD DVD−RW(またはHD DVD−RAM)もパルストレイン型(マルチパルス型)の記録ストラテジが使用されている。したがって、以下では、パルストレイン型記録ストラテジの調整に対応して、本実施形態の構成・動作を説明する。また、以下の実施形態においては、パルストレイン型ストラテジは、「n−1規則」に従うものとする。例えば、nT(nは2以上の自然数)の長さの記録マークを記録する場合、n−1個のパルスで記録を行う。n=2である2Tは先頭パルスfpだけ、n=3である3Tは先頭パルスfpと最終パルスepだけからなる。
図4は、本実施形態の光学的情報記録再生装置1の構成を例示するブロック図である。光学的情報記録再生装置1は、光ディスク10の装着が可能なように構成されている。光学的情報記録再生装置1は、スピンドル駆動系9と、光ヘッド部20と、RF回路部3と、復調器4と、システムコントローラ5と、変調器6と、LD駆動部7と、サーボコントローラ8とを備えている。また、システムコントローラ5は、記録ストラテジ調整器15を含んでいる。
スピンドル駆動系9は、光ディスク10を駆動する。RF回路部3は、入力信号にフィルタリング等の処理を行って信号品質の測定を行い、信号品質を示す値をシステムコントローラ5に出力する。RF回路部3の詳細は後述される。復調器4は、RF回路部3の出力信号を復調し、システムコントローラ5に出力する。変調器6は、記録すべき信号を変調する。変調器6の出力は、LD駆動部7に出力されるとともに、RF回路部3にも出力されて信号品質の測定に供される。LD駆動部7は、変調器7の出力信号に基づいて、光ヘッド部20のレーザダイオード(LD)26を駆動する。サーボコントローラ8は、サーボ信号をコントロールする。システムコントローラ5は記録ストラテジ調整器15を内蔵し、記録パワー、バイアスパワーを含む記録ストラテジの調整を行う。また、システムコントローラ5は、装置全体の統括を行なう。
光ヘッド部20は、レーザダイオード(LD)26、対物レンズ28、ビームスプリッタ25および受光部22を備えている。光ヘッド部20は、レーザダイオード(LD)26が出力するレーザ光を、対物レンズ28を介して光ディスク10に照射する。また光ヘッド部20は、光ディスク10からの反射光を受光部22により検出する。本実施形態において、光ヘッド部20のレーザダイオード(LD)26から出射される光のLD波長は405nmであり、対物レンズ28のNA(開口数)が0.65である場合を例示する。
レーザダイオード(LD)26から出射されたレーザ光は、対物レンズ28で集光されて光ディスク10に照射される。光ディスク10が反射した反射光は、ビームスプリッタ25によって出射光と分離される。分離された反射光は、受光部22によって検出され、電気信号に変換されてRF回路部3に出力される。
図5は、RF回路部3の構成を例示するブロック図である。RF回路部3は、プリフィルタ31、オートゲインコントロール回路(AGC)32、A/Dコンバータ(ADC)34、フェーズロックドループ回路(PLL)35、適応等化器37、識別器38を備え、入力信号を2値化信号に変換する。また、RF回路部3は、変調器6から出力される記録データを保持する記憶部30と、信号品質を算出する信号品質算出部40とを備えている。
記憶部30は、変調器6が出力する記録データ、すなわち記録に使用されるパターン列を保持し、システムコントローラ5の制御に基づいて保持する記録データを信号品質算出部40に供給する。信号品質算出部40は、適応等化器37および識別器38の出力と、記憶部30の出力とに基づいて信号品質を算出する。
光ヘッド部20から入力される入力信号は、プリフィルタ31によりフィルタリングされ、オートゲインコントロール回路(AGC)32により振幅制御された後、A/Dコンバータ(ADC)34によってデジタル化される。デジタル信号化された信号は、フェーズロックドループ回路(PLL)35でクロック信号が抽出されるとともに、チャネル周波数に同期化されて適応等化器37に出力される。
適応等化器37は、PR(1,2,2,2,1)特性に近づくように入力信号を等化再生信号に変換する。FIRフィルタにて構成される適応等化器37でタップ係数をLMS(least mean square)アルゴリズムを用いて周波数特性が適応的に修正される。適応等化器37で周波数特性が修正された等化再生信号は、ビタビ復号器を含む識別器38に出力されるとともに、信号品質算出部40に出力される。識別器38は、適応等化器37から出力される等化再生信号を入力し、等化再生信号とのユークリッド距離が最も小さいパスを選択し、選択されたパスに対応する符号ビット系列を2値化信号(推定パターン列)として出力する。2値化信号は、復調器4に出力されるとともに、適応等化器37にフィードバックされ、信号品質算出部40に出力される。
図5に示されているように、信号品質算出部40は、基準波形信号生成器41と、誤差算出器42と、タイミング調整回路43と、エラーレート算出器45と、PRSNR算出器47とを備えている。基準波形信号生成器41は、識別器38から出力される2値化信号に基づいて、記録再生チャネルに所定の応答特性を仮定したときの基準(理想)再生波形信号を生成する。また、基準波形信号生成器41は、記憶部30に記憶されている記録データに基づいて、基準再生波形を生成してもよい。誤差算出器42は、タイミング調整回路43を介してタイミングが調整された等化再生信号による再生波形と、基準波形信号生成器41から出力される基準再生波形との差(誤差)を算出する。
PRSNR算出器47は、誤差算出器42から出力される再生波形と基準再生波形との誤差に基づいて、PRSNR値を算出する。エラーレート算出器45は、記憶部30に記憶されている記録データおよび識別器38から出力される2値化信号に基づいて、エラーレートを算出する。なお、エラーレートは必要に応じて算出される。信号品質算出部40で算出されたPRSNR値、エラーレートは、システムコントローラ5に出力される。
システムコントローラ5に内蔵される記録ストラテジ調整器15は、RF回路部3から供給されるPRSNR値、エラーレートや等化誤差の情報、所定のECC(Error Correction Code)ブロックにおけるエラーバイト数によって、記録条件と信号品質との対応を認識する。ECCブロックにおけるエラーバイト数は、復調器4によって復調されたデータ列から得られる。これらの信号品質の測定結果に基づいて、記録ストラテジ調整器15は、一連の調整シーケンスをコントロールし、最適な記録ストラテジのパラメータの抽出やパラメータの選択、つまりストラテジ構成パルスのパルス幅の抽出と選択を行う。
図6は、システムコントローラ5の構成を例示するブロック図である。システムコントローラ5は、記録ストラテジ調整器15とパラメータ保持部16とを含んでいる。記録ストラテジ調整器15は、記録ストラテジが示す波形のパルス幅やパルス開始位置の調整を行う。また、記録ストラテジ調整器15は、記録パワー、ミドルパワー、バイアスパワー等のパワー関係の調整をコントロールする。パラメータ保持部16は、記録ストラテジが示す波形の時間軸方向のパラメータと、パワーレベルのパラメータとを組み合わせたものをストラテジパラメータとして保持している。
図6に示されているように、記録ストラテジ調整器15は、パワーコントロール部17と波形調整部18とを含んでいる。パワーコントロール部17は、記録ストラテジが示す波形における時間軸方向のパラメータをコントロールする。波形調整部18は、記録マークの形成に用いられる記録パワー、ミドルパワー、バイアスパワー等の記録時パワーを独立にコントロールする。システムコントローラ5は、変調器6から得られる信号品質を示す指標と、パラメータ保持部16に保持されているストラテジパラメータとの対応を示す対応情報を生成する。記録ストラテジ調整器15は、その対応情報を用いて後述する一連の調整シーケンスを実行し、ストラテジパラメータを最適化する。
図7は、光ディスク10の構成を例示するブロック図である。光ディスク10は、リードインエリアと、データエリアと、リードアウトエリアを備えている。リードインエリアは、HD DVDのディスク内周部に構成されている。リードインエリアは、システムリードインエリア(システム情報領域)を含み、そのシステムリードインエリア内のコントロールデータゾーンには、Disc Manufacturing informationが備えられている。
これらのHD DVD−Rは記録層に短波長対応の有機色素系の部材を用い、記録を行うと反射率が高くなるタイプの媒体で、Low−To−Highメディアと呼ばれている。ディスクの物理構造としては、ポリカーボネイトからなる、厚さが0.6mm、直径が12cmである円板状の透明な基板に、プリグルーブと呼ばれる案内溝が形成されている。記録及び再生時には、光学的情報記録再生装置1(光ディスクドライブ)の光ビームがこの案内溝に沿って走査できるようになっている。この基板上に記録用の膜が成膜されている。また、以下の実施形態においては、物理フォーマットとして、ビットピッチが0.15μm、トラックピッチが0.40μmのイングルーブ・フォーマットを使用した場合を例示する。
光学的情報記録再生装置1は、光ディスク10にETM(Eight to Twelve Modulation)と呼ばれる変調符号を用いて記録を行う。ETMは、最短マークあるいは最短スペース長は2T(Tはチャネルクロック周期)で、(1−7)RLL( Run Length Limited )の一種である。入力データ系列を1と0のビット列の連なりとすると、同一ビット情報の連なりをラン(Run)という。(1‐7)RLLは、最小ランが1、最長ランが7である変調規則である。(1‐7)RLLに従うと、最小マークまたは最小スペースは2Tとなる。また、最長マークまたは最長スペースは8Tとなる。
図8は、本実施形態における調整対象の記録ストラテジの構成を例示する波形図である。図8は、5T(Tはチャネルクロック周期)マークを記録するときの記録データ波形と、その記録データ波形に対応する(n−1)型パルストレインの波形が示されている。記録ストラテジST1は、所定の記録パワーレベルを有する先頭パルスfpおよび最終パルスepと、その間に2つの中間パルスmpとを含んでいる。また、最終パルスepの後段には、クーリングパルスcpを含んでいる。以下の実施形態においては、これらのパルスを、記録層を加熱するため加熱パルスと呼ぶ場合もある。各パルスの間は、ボトムパワーレベルになっている。このボトムパワーレベルは、できるだけゼロレベルに近いパワーが好ましく、ここでは0.1mWに設定されているものとする。
光学的情報記録再生装置1に光ディスク10が装填されると、システムコントローラ5は、光ヘッド部20を光ディスク10のシステム情報領域に移動する。光学的情報記録再生装置1は、光ディスク10のシステム情報領域からDisc Manufacturing informationを読み出し、その情報に基づいてディスクの種類、ディスクメーカ名等を取得する。システムコントローラ5は、取得した情報に基づいて、装填された光ディスク10がHDDVD規格でのHDDVD−R、Low−to−High媒体であると判定する。光学的情報記録再生装置1は、光ディスク10から読み出した情報に基づいて、媒体の種類やメーカ名を判別し、その媒体に関するパラメータテーブルを取得する。
図9は、光学的情報記録再生装置1が、予め保持しているパラメータの構成を例示するパラメータテーブルである。パラメータテーブルには、記録パワー、バイアスパワー、想定されるPRSNR値や、最短マークパルス幅、3T先頭パルス幅Tfp、4T以上の記録マークの先頭パルス幅Tfp、中間パルスmp幅、最終パルス幅Tep、冷却パルスcp等の代表的なパルス幅の情報が備えられている。これらの値は、予め所定の装置で調整された推奨値である。なお、このパラメータテーブルは、光ディスク10のシステム情報領域に格納されていてもよい。光学的情報記録再生装置1に保持される場合、光学的情報記録再生装置1は、光ディスク10から取得されるディスクメーカ名やディスクの種類に基づいて検索し、パラメータテーブルを得る。また、予め準備されたパラメータテーブルが無い場合は、平均的なパラメータからなるパラメータテーブルを利用する。
図10は、光学的情報記録再生装置1における、記録ストラテジ調整動作を例示するフローチャートである。本実施形態では、光学的情報記録再生装置1が、記録ストラテジ調整プログラムに示される手順に従って動作するものとする。以下の説明では、調整の対象となる媒体が、HD DVDの規格に対応した1度だけ記録が可能な追記型の光ディスク(例えば、HD DVD−R)である場合を例示する。また、以下の説明では、光ディスク10の記録層にマークとスペースからなるパターン列を記録するときの変復調符号として、ETM(Eight to Twelve Modulation)符号を用いるものとする。
ステップS101において、記録ストラテジ調整器15は、パラメータテーブルに基づいて、最初に設定される記録時パワーとして、記録パワーを9.0mW、バイアスパワーを3.6mWに設定する。このとき、先頭パルスfp、中間パルスmp、最終パルスepは全て同じパルス幅とし、このパルス幅を基本パルス幅と称する。また、冷却パルスcpのパルス幅はゼロとする。
そして、基本パルス幅を0.40Tから0.90Tまでの範囲で略0.05Tの刻み幅に変更すると設定し、各パルス幅において、記録パワー9.0mWを中心に±24%の範囲を8%刻みで変更して、光ディスクに所定のテストパターンを記録する。このとき、パルス幅の変更により位置を変えるパルスの縁(エッジ)は、どのパルスにおいてもパルスの前縁とする。
ステップS102において、記録ストラテジ調整器15は、記録されたテストパターンを再生し、その信号品質(PRSNR)に基づいて各基本パルス幅各々に対し、最適記録パワーを求める。記録ストラテジ調整器15は、各々のパルス幅に対して最良の再生信号品質が得られる時の記録パワーを求める。
ステップS103において、パルス幅の可変範囲における記録パワーの測定が終了したか否かを判断する。その判断の結果、記録パワーの測定が終了していない場合、処理はステップS102に戻る。その判断の結果、記録パワーの測定が終了した場合、処理はステップS104に進む。以下、ステップS101〜ステップS103までの処理を、パルス幅対応最適記録パワー測定ステップと呼ぶ場合もある。
ステップS104において、パルス幅変化に対する前記最適記録パワーの変化率が顕著に変化する近傍のパルス幅値を求める。この値を、パルストレインの中央部を構成する中間パルスmpの上限パルス幅とする。以下、ステップS104の処理を、許容可能パルス幅決定ステップと呼ぶ場合もある。
図11は、パルス幅対応最適記録パワー測定ステップを実行することによって得られた異なる複数の基本パルス幅と記録パワーとの対応を示すグラフである。図11には、異なる複数の基本パルス幅おいて、記録・再生された信号の性能が最良性能として得られる記録パワーを、パルス幅変化に対する前記最適記録パワーの変化率として示されている。
図11に示されているように、許容可能パルス幅決定ステップでは、上限パルス幅として0.80Tが求まっている。ここで求まる許容可能パルス幅とは、このパルス幅までは性能が保証されうる上限のパルス幅ということである。このパラメータを目安に用いて、パラメータ探索範囲を限定することによって、他の各種パラメータの調整が、短時間で適切に実施できることになる。なお、バイアスパワーはマージンが広いので、ある程度ラフに設定されてよいが、最適記録パワーを用いてバイアスパワーを種々変更してバイアスパワーの選定を行うステップを加えて実施するとしてもよい。
ここで、パルス幅変化に対する最適記録パワー変化率の関係について説明を行う。図11のグラフの第2領域では、パワーが十分高くなくても記録マークの大きさがパルス幅によって、確保されて(形成されて)しまう。その結果、第2領域では、マークを形成する温度近傍でマークが形成され、不安定なマークが形成されてしまう。例えば、マークの形状としては径方向が狭いマークで、マークの周囲形状もエッジにガタツキをもった形状のマークが形成されてしまう。
上限パルス幅より広い幅のパルスを骨格として最初に選んだ場合、つまり、骨格として不安定なマークが形成されるストラテジを土台とした場合、この後、別のパラメータを詳細に調整していっても、最終的には最高の性能は引き出せなくなる。
上限パルス幅よりパルス幅が狭い場合、形成マークの大きさを確保するのに余計にパワーを高くする必要がでてくるが、マーク形成に必要な温度を十分に超えるので、より安定なマークを形成できる。つまり、幅方向も第2領域でのマークよりは太く、マーク周囲形状のエッジガタツキが少ない形状となる。
一方、光学的情報記録再生装置1において、その記録に使用するレーザダイオード(LD)26の出射光出力には限界がある。出射光出力の限界の範囲内で、媒体の性能を最大限に引き出すパラメータを見つける必要がある。したがって、第2領域と第1領域の境界となる特徴点の近傍に相当するパルス幅と記録パワーを利用すれば、できるだけパワーを抑えた最適記録パワーの選定を含め、重点的に探索すべきパルス幅レンジとパワーレンジが決まる。第2領域と第1領域の境界となる特徴点は、調整における大きな指針となる。つまり、第2領域と第1領域の境界となる特徴点を指針にすることで、余計な調整をする必要がなくなり、また、確実に調整ができる保証となる。
なお、パルス幅に関し、あまりにパルスの幅が狭い場合、パルストレインの構成パルス間の熱の保持性(ホールド性)に問題(不都合)が生じるので、程度というのが存在するのは当然である。
図10に戻り、ステップS105において、許容可能パルス幅(上限パルス幅ということもある)に基づいて、記録ストラテジの各パラメータを順次調整する。光学的情報記録再生装置1において調整できる記録ストラテジのパラメータとして、最短マークのパルス幅、最短マークより長いマークの先頭パルス幅Tfp、最終パルス幅Tep、冷却パルス幅Tcp、記録パワー値およびバイアスパワー値を含む記録時パワーがある。本実施形態では、これらのパラメータのうちの1つのパラメータを可変として、その可変範囲と刻み幅とが設定され、その他のパラメータの値は固定される。
ステップS106において、それぞれの可変値に対する信号品質を測定する。可変とするパラメータの可変範囲および刻み幅が設定されると、それぞれの可変値において光ディスクに所定のテストパターンが記録され、その記録されたテストパターンを再生して信号品質を算出する。
それぞれの可変値に対する信号品質が測定されると、記録ストラテジ調整器15は、その測定結果に基づいてパラメータ値候補を選択する。測定された信号品質値によりパラメータ候補値を選択する場合、パラメータ変更範囲において、最も信号品質値が良好であるパラメータ値を選択することが好ましい。所定の信号品質以上である複数の測定値が得られた場合、それらの測定値に対応するパラメータ値の平均値に最も近いパラメータ値を選択してもよい。または、パラメータ値の中央値をパラメータ候補値として選択してもよい。なお、所定の信号品質以上である測定値が多い場合、可変パラメータ値の刻み数すなわち可変範囲を刻み幅で分割した数に応じて平均値(中央値)を求めるパラメータ値を選択することが好ましい。
ステップS107において、パラメータ値候補として選択されたパラメータ値を、次の可変パラメータを求めるときの値として設定する。ステップS108において、全ての可変パラメータに対して、信号品質の測定が終了したか否かの判断を行う。その判断の結果、全ての可変パラメータに対して、信号品質の測定が終了していない場合、処理は、ステップS105に戻り、終了していた場合、処理はステップS109に進む。ステップS109において、パラメータの設定を行う。これによって、各可変パラメータのパラメータ候補値が組み合わされて、徐々に信号品質を向上させながらパラメータ値候補を求めていくことになる。
図12は、ステップS105の動作の詳細を例示するフローチャートである。光学的情報記録再生装置1は、図12に示されるような順で、複数のパラメータのそれぞれを可変パラメータとして選択する。可変パラメータは、最短マークのパルス幅、記録時パワー、最短マークより1T以上長いマークにおける先頭パルス幅Tfp、最終パルス幅Tep、冷却パルス幅Tcpの順に設定され、それぞれにおけるパラメータ候補値が求められる。この順番は、固定的ではなく、適宜入れ替わっていてもよい。
ステップS201において、最短マークパルス幅の設定を行う。このとき、許容可能パルス幅決定ステップにおいて求められた基本パルス幅に基づいて、信号品質の評価指標をPRSNRとて、最短マークに対応する先頭パルス幅Tfpを求める。このときのパルス幅は、基本パルス幅を中心として、その−0.06Tから+0.18Tまでの範囲内を略0.03T刻みに変更して設定される。従って、基本パルス幅は0.80Tであるので、0.74T〜0.98Tまで変更される。
各パルス幅において、所定のテストパターンが記録再生され、信号品質を示すPRSNRが算出される。記録ストラテジ調整器15は、各パルス幅のうちの信号品質が良好であったパルス幅をパラメータ候補値として選択する。また、パラメータ候補値として選択されたパルス幅は、次の可変パラメータの測定のときに最短マークパルス幅として使用される。また、最短マークパルス幅の設定の場合、最初に情報として媒体から得られた情報に基づくパルス幅を中心としてその−0.06Tから+0.18Tまでの範囲内を略0.03T刻みに変更して設定されるとしてもよいが、許容可能パルス幅決定ステップにおいて求められた基本パルス幅に基づく方がより好ましい。
ステップS202において、記録時パワー(記録パワーおよびバイアスパワー)を可変パラメータとして記録時パワーを設定する。このとき、最短マークパルス幅は、ステップS201で選択された値に固定されている。記録パワーは、上限パルス幅となる時のパワー(図11ではラフパワー8mW)を中心パワーとして、略±12%の範囲内を3%刻みに変更して設定される。また、バイアスパワーは、システム情報領域より得た情報を利用した初期の所定のバイアスパワーを中心として、略±12%の範囲内を3%刻みに変更して設定される。各パワー値において、所定のテストパターンが記録再生され、信号品質を示すPRSNRが算出される。記録ストラテジ調整器15は、各パワー値のうちの信号品質が良好であったパワー値をパラメータ候補値として選択する。
記録再生装置における設定精度の制約により、自由なパルス幅の調整をすることができない場合がある。記録時パワーの設定は、パルス幅の調整に比べて細かい調整ができるため、微調整に向いている。なお、ステップS202におけるパラメータ刻み幅は、各パルス幅で、ステップS102の時の探索範囲よりも狭く、刻み幅は小さい方が好ましい。記録時パワーの探索範囲や調整時に変化させるパラメータ刻み幅を細かくすることにより、さらに正確なパワーを求めることが可能となる。
このようにして求められた記録時パワーのうちの良好な記録品質を得た記録時パワー値は、パラメータ候補値として選択される。また、パラメータ候補値として選択された記録時パワーは、次の可変パラメータの測定のときに記録時パワーとして使用される。なお、ステップS201の最短マークのパルス幅の設定と、ステップS202の記録時パワーの設定とは、その順番を入れ替えてもよい。所定の記録時パワーは、装置が予め所持している所定の記録時パワー、または媒体に予め保持されている情報、多くの媒体に対する平均的なパワーを用いるとしてもよいが、記録パワーは許容可能パルス幅(上限パルス幅)となる時のパワーを中心パワーとして調整を実施することがより好ましい。
ステップS203において、最短マークよりも1T(記録単位長)以上長いマークを記録するための先頭パルスfpの幅である先頭パルス幅Tfpを設定する。ETM変調の場合、最短マークは2T記録マークであり、最長マークは13T記録マークである。したがって、ステップS203では、そのうち、3T記録マークから13T記録マークまでの先頭パルス幅Tfpを設定する。
これらのマーク長のうち、3T記録マークおよび4T記録マークを記録する記録ストラテジパラメータに対応する先頭パルス幅Tfpが求められる。ここでは、本発明の理解を容易にするために、4T以上の記録マークを1つのカテゴリとする。そして、4T以上の記録マークを記録する記録ストラテジの全てにおいて、4T記録マークの記録ストラテジパラメータと同じ先頭パルス幅Tfpを使用する。
ステップS203における調整の順番に制限は無く、ここでは、3T記録マーク、4T記録マーク(以上)に対応するストラテジパラメータの順に行うものとする。基本パルス幅に基づいて3T記録マークに対応する先頭パルス幅Tfpを決定し、4T記録マークに対応する先頭パルス幅Tfpを決定する。このとき、基本パルス幅を中心として、その−0.06T〜+0.18Tの範囲内を略0.03T刻みで設定する。この範囲は、予め設定されている。パルス幅は、各パルスの前縁の位置が変更されて設定される。信号品質を示す評価指標としてPRSNRを用いる。
記録ストラテジ調整器15は、良好な信号品質となった3T記録マーク、4T(以上)記録マークに対応する記録ストラテジの先頭パルス幅Tfpを、パラメータ候補値として選択する。パラメータ候補値として選択された先頭パルス幅Tfpは、次の可変パラメータの測定に際して先頭パルス幅Tfpとして設定される。
ステップS204において、最終パルスepのパルス幅を設定する。4T以上の記録マークにおける最終パルスepは、4T記録マークのパラメータを代表として調整する。すなわち、4T以上の記録マークを記録する記録ストラテジの最終パルス幅Tepは、全て同じパルス幅とする。ステップS204において、最短マーク(2T記録マーク)、3T記録マーク、4T記録マークに対応する記録ストラテジパラメータの最終パルスepの後端が順に調整される。
最終パルス幅Tepとしては、基本パルス幅を中心にその−0.16Tから+0.18Tまでの範囲内を略0.03T刻みに変更されたパルス幅が設定される。最終パルスepのパルス幅を変化させながら所定のテストパターンが光ディスクに記録再生され、信号品質が測定される。このときの信号品質を示す評価指標はPRSNRが用いられる。
記録ストラテジ調整器15は、求められた信号品質に基づいて、良好な信号品質となったときの最終パルス幅Tepをパラメータ候補値として選択する。パラメータ候補値として選択された最終パルス幅Tepは、次の可変パラメータの測定に際して最終パルス幅Tepとして使用される。
なお、「n−1規則」に従ったパルストレイン型記録ストラテジ(以下、(n−1)型パルストレインと呼ぶ)の場合、2T記録マークは先頭パルスfpだけのパルスになる。そのため、ここでは、ステップS201において、最短マークパルス幅を設定したときに利用したパルスの縁(エッジ)と逆の縁(エッジ)を調整する。或いは、(n−1)型パルストレインの2T記録マークに対する最終パルス幅Tepの調整を保留する。
2T、3T、4T記録マークを調整する順番に制限は無い。例えば、4T、3T、2T記録マークの順に調整されてもよい。また、3T、4T記録マークのどちらかの最終パルスepの後端の調整を保留することも可能である。さらに、4T記録マークのカテゴリを細分化して調整してもよい。上述の動作によって、マーク記録のための最終パルスepのパルス幅が適切に設定される。
ステップS205において、冷却パルスcpのパルス幅を設定する。4T以上の記録マークにおいては、4T記録マークのパラメータを代表として冷却パルスcpの幅を調整する。4T以上の記録マークを記録するための記録ストラテジの冷却パルスcpの幅は、全て同じパルス幅とする。
ステップS205において、最短(2T)マーク、3T記録マーク、4T記録マークに対応した記録ストラテジの冷却パルスcpの後端を順に調整する。それぞれのマーク長に対する冷却パルスcpのパルス幅を、冷却パルスcpがない状態、すなわち、パルス幅がゼロの状態から略1.50Tのパルス幅まで略0.25T刻みで設定する。冷却パルスcpのパルス幅を変化させながら所定のテストパターンを光ディスク10に記録し、そのテストパターンを再生して信号品質を測定する。このときの信号品質を示す評価指標はPRSNRが用いられる。
記録ストラテジ調整器15は、求められた信号品質に基づいて、良好な信号品質となったときの冷却パルス幅Tcpをパラメータ候補値として選択する。この冷却パルスcpのパルス幅設定において、簡略的に、全てのマーク長に対する冷却パルス幅Tcpが同じパルス幅として設定されてもよい。このように、マーク記録のための冷却パルスcpの幅が適切に設定される。
図13は、パルス幅を変えた時のパルス幅とPRSNRとの対応を例示するグラフである。上述の動作によって、各パルスのパルス幅が設定されるが、各パルスの幅の可変範囲や刻み幅などは、調整に掛かる時間的制約と、調整精度とに基づいて変更しても良い。
また、ステップS204における最終パルス幅Tepの設定は、ステップS203における最短マークより長いマークの先頭パルス幅Tfpの設定より前に実行されてもよい。また、ステップS202における記録時パワーの設定の後に、ステップS203における最短マークより長いマークの先頭パルス幅Tfpの設定をスキップして、ステップS204における最終パルス幅Tepの設定を行ってもよい。
図14は、可変パラメータと、基準PRSNR値との対応を例示するパラメータテーブルである。図14に示されるように、信号品質評価指標としてPRSNRが用いられる場合、調整ステップが進む毎に要求される信号品質が高くなるように設定されることが好ましい。また、これらの可変パラメータが順次選択されていく過程で、信号品質がパラメータテーブルに設定されている“想定されるPRSNR値”を超えたとき、以降の可変パラメータの選択を取り止めてもよい。
図15は、信号品質評価指標がエラーレートである場合の可変パラメータとエラーレートとの対応を例示するパラメータテーブルである。信号品質評価指標は、PRSNR、エラーレートの一方だけであってもよいが、可変パラメータ毎に変えても、組み合わせて用いてもよい。調整の実行順や処理の省略は調整にかかる時間の制約と調整精度の兼ね合いによる。
さらに、詳細調整には、記録されるマークの前、後の様々な長さのスペース長に対応させて、記録ストラテジの記録パルスのパルス幅を調整するステップを加えてもよい。
また、必ずしも先頭、最終パルス幅Tepは中間パルスmpのパルス幅と同じである必要はない。この場合、先頭または最終パルス幅Tepは個々に、中間パルスmp幅の0.5倍〜1.5倍の範囲とするのが好ましい。なお、この場合においても、パルス幅の変更は、一様に一律のパルス幅で変更される。また、中間パルスmpを構成する個々のパルス幅は同一幅が好ましい。以上のように、可変パラメータが順次設定され、最終的に最適なパラメータ値の組み合わせとして選択される。
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態について説明を行う。第2実施形態における光学的情報記録再生装置1の構成は、第1実施形態と同様である。第2実施形態では、パルス幅の上限幅となる時の記録パワーの情報を用いて探索中心記録パワーを設定する。図16は、第2実施形態の動作を例示するフローチャートである。図16におけるステップS101からステップS104までの動作は、第1実施形態と同様である。
ステップS104において、許容可能パルス幅を決定する。その後、ステップS110において、上限パルス幅に対する記録パワーを用いて探索中心記録パワーを設定する。
この場合、最終的に調整される記録パワーは上がる可能性がある。しかしながら、許容可能パルス幅(上限パルス幅)に対応する記録パワーは有効パラメータ範囲の端に相当し、他のパラメータを順次調整する際、局所最適に陥りやすい場合がある。従って、有効パラメータ範囲の端以外の中心的なパラメータを選択することで、局所最適となる可能性を下げることができ、より確実な調整が達成できる。
ステップS110では、許容可能パルス幅となる記録パワーと、レーザダイオード(LD)26の出射限界のパワーの略中央のパワーとを、その後の詳細調整での中心記録パワーとしてシステムコントローラに設定する。この時点で、性能が保証されうるパラメータの探索範囲が絞り込まれる。ことで、調整の確度が上がり、汎用性を保証することになる。以降、第1実施形態と同様に、ステップS105からステップS109までの処理を実行する。
図17は、第2実施形態において、光学的情報記録再生装置1が、可変パラメータを変更する手順を例示するフローチャートである。光学的情報記録再生装置1は、可変パラメータを、図17に示される順に変えながら、ステップS105からステップS108までの処理を実行する。したがって、各可変パラメータのパラメータ候補値が組み合わされて、徐々に信号品質を向上させながらパラメータ値候補を求めていくことになる。
図17に示されているよう、第2実施形態における光学的情報記録再生装置1は、ステップS206に示される処理を実行した後、ステップS201〜ステップS205の処理を実行する。なお、ステップS206より後のステップの順番は、第1実施形態と同様に固定ではなく、適宜入れ替わっていてもよい。
次に、ステップS206において、光学的情報記録再生装置1は、パルストレインパルス幅を設定する。ここにおいて、レーザダイオード(LD)26の出射パワー限界が12mWであるとして説明する。光学的情報記録再生装置1は、レーザダイオード(LD)26の出射限界パワーが12mWであり、許容可能パルス幅が0.80Tであるので、記録パワーを8.0mWとする。
上述のステップS110において、記録パワーは12mWと8mWの中央値として、10.0mWと求まる。光学的情報記録再生装置1は、記録パワーを10mW固定とし、バイアスパワーをHDDVD−Rでの平均的なパワーとして予め代表的な装置で得られている3.5mWとする。そして、全てのパルス幅を同一パルス幅とし、同一エッジを一様に可変させて、ステップS104で求められる許容可能パルス幅から略0.03T刻みにてパルス幅が狭くなる方向にパルス幅を可変させて設定する。パルス幅の下限値(下限幅)はLD出射限界となる0.40Tを用いるが、装置が想定している所定の値までとしてもよい。パルス幅は下限幅から上限幅に増加するとしてもよい。
次に、それぞれの可変値において光ディスクに所定のテストパターンが記録され、その記録されたテストパターンを再生して信号品質を測定する。それぞれの可変値に対する信号品質が測定されると、記録ストラテジ調整器15は、その測定結果に基づいてパラメータ値候補が選択する。例えば、可変パラメータの調整において、信号品質が所定の値より良好であるいくつかの値をパラメータ値候補とする。或いは、その可変パラメータの調整において、信号品質の良好な順に所定の数のパラメータ値をパラメータ値候補とする。
このステップにおいてパラメータ値候補として選択されたパラメータ値は、次の可変パラメータを求めるときに、記録ストラテジのパラメータの新しい値として使用され、残りの可変パラメータを図17に示される順に変えながら、ステップS105からステップS108まで実行する
なお、ステップS110では、パルストレインのパルス幅の選定において、許容可能パルス幅に対応する記録パワーを用いて、探索中心記録パワーを設定している。ステップS101からステップS104を実施することによって得られるパルス幅とパワーの結果を用いて、パワー10mWに近いパルス幅を選択するとしてもよい。また、記録パワーとパルス幅の関係を用いて、近似式により記録パワー10mWに対応するパルス幅を選定する動作を実施するとしてもよい。この場合近似式には上限パルス幅と、LD出射限界での下限パルス幅、上限パルス幅に対応する記録パワーとLD出射限界記録パワーとでなる一次近似式を用いる。また、10mWをまたぎ、10mW近傍の記録パワーとパルス幅の値を用いるとしてもよい。この場合、さらに高速な調整とすることができる。これらの一連の動作はシステムコントローラによって実施される。
また、信号品質の測定値は、光学的情報記録再生装置1の性能や光ディスク10の性能により大きく変わるため、光学的情報記録再生装置1は、信号品質が条件を満たしたときに調整を打ち切ってステップS150を実行し、その段階における最適パラメータの組を求めるように動作してもよい。すなわち、記録ストラテジ調整器15は、調整にかかる時間の制約と調整精度の兼ね合いで可変パラメータを選択するように動作してもよい。
上述の複数の実施形態において、光ディスク10としてLow−to−High媒体にお対応して光学的情報記録再生装置1の構成・動作を例示してきた。これは、本実施形態の光学的情報記録再生装置1が、Low−to−High媒体にのみ適用可能であることを意味するものではない。光ディスク10がHigh−to−Low媒体であっても、本実施形態を適用することが可能である。また、追記型媒体だけでなく、オーバーライト可能媒体に対しても適用可能である。さらに、本実施形態の光学的情報記録再生装置1が備える光ヘッド部20は、波長405nm、NA(開口数)0.65に限定されることなく、あらゆる波長、およびNAに本発明は適応可能である。
さらに、上記実施の形態では、適応等化器37は、PR(12221)というクラスを使用するとして説明されたが、PR(1221)、PR(3443)など他のクラスでも同様に使用することができる。また、変調符号としてHD DVDで採用されているETMを仮定したが、その他の変調符号でも同様に使用できる。その場合、例えば、kT(kは3以上の自然数)というような最短データ長が変わることもある。また、HD DVDに限らず、ブルーレイディスク(Blu−rayディスク)に適用することも可能である。
また、基本パルス幅の設定範囲に関し、その下限値(狭くしできる最細パルス幅)は光ヘッド部20でのレーザダイオード(LD)26の出射限界パワーを用いて決めるとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、骨格となるパルス幅となる基本パルス幅を最初に見極める構成を有している。そのため、多岐に渡る記録ストラテジパラメータに対し、汎用的に、かつ確実なパラメータ調整を可能にし、またそのパラメータを高速に決定することができる。
本実施形態の光学的情報記録再生装置1は、多くのステップからなる詳細調整を実施した最終段階まできた時点で調整されたパラメータの妥当性を判断する必要がなく、パラメータ選定初期の段階で最高性能を導けるストラテジの骨格を決定できる。ここで骨格とは後続パルスのパルス幅、主には中間パルス幅を指す。
光ディスクに対する情報記録において、マーク形成には予め設計されている所望の熱量の加熱が必要である。この加熱により媒体の特性を変化させてマークを形成する。その変化には、所定の温度閾値を超える必要があり、総合的な熱量は、主には与えられる時間幅とパワーによって決まる。パルストレインを例とすると、後続パルスは、長めのマークに対し、マークのほとんどがこのパルスにより形成されるため長いマークの代表値になり、後続パルスと記録パワーのコンビネーションで多くの長さの記録マークの大きさが大枠決まってしまうということになる。
このコンビネーションが適当でないと、容易にローカルミニマムなパラメータに陥ってしまう。逆に、骨格がしっかりしていれば、その後の調整により他のパラメータにて、最高性能が導けるパラメータに追い込むことが可能で、良好な調整ができる。骨格を初期の段階で速く正確に選定できるということ、あるいは、どの範囲までのパラメータが有効なパラメータとなるかという情報を持って調整できることは、最高性能を引き出すパラメータを選択するうえでとても重要となる。さらに、高速記録や多層媒体にて記録パワーをできるだけ下げたい場合があり、このような場合、パワーを上げることができない分パルス幅を広くすることで補う。パルス幅が広い場合は特にパラメータの妥当性を見極めることが難しく、調整が難しいが、このような場合においても確実かつ高速な調整とすることができ、汎用性が高い調整とできる。
図1は、従来のパルストレイン型の記録ストラテジST1の構成を示す波形図である。 図2は、記録マークに対応する形状の異なる複数の記録ストラテジを示す図である。 図3は、長マークが11Tマークで、短マークが3T記録マークのときのβ値の算出方法の一例を示す図である。 図4は、本実施形態の光学的情報記録再生装置1の構成を例示するブロック図である。 図5は、RF回路部3の構成を例示するブロック図である。 図6は、システムコントローラ5の構成を例示するブロック図である。 図7は、光ディスク10の構成を例示するブロック図である。 図8は、本実施形態における調整対象の記録ストラテジの構成を例示する波形図である。 図9は、光学的情報記録再生装置1が、予め保持しているパラメータの構成を例示するパラメータテーブルである。 図10は、光学的情報記録再生装置1における、記録ストラテジ調整動作を例示するフローチャートである。 図11は、パルス幅対応最適記録パワー測定ステップを実行することによって得られた異なる複数の基本パルス幅と記録パワーとの対応を示すグラフである。 図12は、記録ストラテジ調整動作の詳細を例示するフローチャートである。 図13は、パルス幅を変えた時のパルス幅とPRSNRとの対応を例示するグラフである。 図14は、可変パラメータと、基準PRSNR値との対応を例示するパラメータテーブルである。 図15は、信号品質評価指標がエラーレートである場合の可変パラメータとエラーレートとの対応を例示するパラメータテーブルである。 図16は、第2実施形態の動作を例示するフローチャートである。 図17は、第2実施形態において、可変パラメータを変更する手順を例示するフローチャートである。
符号の説明
1…光学的情報記録再生装置
3…RF回路部
4…復調器
5…システムコントローラ
6…変調器
7…LD駆動部
8…サーボコントローラ
9…スピンドル駆動系
10…光ディスク
15…記録ストラテジ調整器
16…パラメータ保持部
17…パワーコントロール部
18…波形調整部
20…光ヘッド部
22…受光部
25…ビームスプリッタ
26…レーザダイオード(LD)
28…対物レンズ
30…記憶部
31…プリフィルタ
32…オートゲインコントロール回路(AGC)
34…A/Dコンバータ(ADC)
35…フェーズロックドループ回路(PLL)
37…適応等化器
38…識別器
40…信号品質算出部
41…基準波形信号生成器
42…誤差算出器
43…タイミング調整回路
45…エラーレート算出器
47…PRSNR算出器
fp…先頭パルス
mp…中間パルス
ep…最終パルス
cp…クーリングパルス
Tfp…先頭パルス幅
Tmp…中間パルス幅
Tep…最終パルス幅
Tcp…クーリングパルス幅
Ref…基準値
ST1…記録ストラテジ

Claims (12)

  1. 光学的情報記録媒体に照射するレーザ光の出力波形を特定する記録ストラテジを調整する記録ストラテジ調整方法であって、
    (a)予め保持されている複数の記録ストラテジから、複数のパルスを含むパルストレイン型記録ストラテジを読み出すストラテジ特定ステップと、
    (b)前記複数のパルスの各々のパルス幅を基本パルス幅にし、前記基本パルス幅を、第1基本パルス幅から第n(nは2以上の自然数)基本パルス幅まで段階的に変更し、前記第1基本パルス幅において最良の再生信号品質が得られる記録パワーである第1最適記録パワーから、前記第n基本パルス幅において最良の再生信号品質が得られる記録パワーである第n(nは2以上の自然数)最適記録パワーまでを求める最適記録パワー測定ステップと、
    (c)前記基本パルス幅の変化に対する前記最適記録パワーの変化によって得られる変化率を求め、前記変化率が示す傾きが、所定の傾きから変化するときのパルス幅を上限パルス幅として特定する上限パルス幅特定ステップと、
    (d)前記上限パルス幅に基づいて、前記パルストレイン型記録ストラテジを調整するストラテジ調整ステップと
    を具備する
    記録ストラテジ調整方法。
  2. 請求項1に記載の記録ストラテジ調整方法において、
    前記複数のパルスは、先頭パルスと、中間パルスと、後端パルスとを含み、
    前記(b)ステップは、
    前記先頭パルスのパルス幅と、前記中間パルスのパルス幅と、前記後端パルスのパルス幅とを前記基本パルス幅に統一するステップと、
    前記基本パルス幅を変更するときの範囲と刻み幅とを設定するステップと、
    前記基本パルス幅を、前記刻み幅で前記第1基本パルス幅から前記第n基本パルス幅まで段階的に変更するステップと、
    前記第1基本パルス幅から前記第n基本パルス幅の各々において、記録パワーを段階的に変更して、光ディスクに所定のテストパターンを記録するステップと、
    前記テストパターンを再生することによって得られた再生信号に基づいて前記第1最適記録パワーから前記第n最適記録パワーを決定するステップと
    を含む
    記録ストラテジ調整方法。
  3. 請求項2に記載の記録ストラテジ調整方法において、
    前記(c)ステップは、
    前記第1基本パルス幅から前記第n基本パルス幅に対応して前記第1最適記録パワーから前記第n最適記録パワーをプロットしたときに、前記基本パルス幅の遷移に応じて前記記録パワーが遷移する第1領域と、前記基本パルス幅の遷移に対応して前記記録パワーが一定の第2領域とを特定するステップと、
    前記第1領域と前記第2領域との間に対応するパルス幅を前記上限パルス幅として特定するステップ
    を含む
    記録ストラテジ調整方法。
  4. 請求項3に記載の記録ストラテジ調整方法において、
    前記(d)ステップは、
    前記中間パルスのパルス幅を前記上限パルス幅に固定したまま前記先頭パルスまたは前記後端パルスの調整を行うステップを含む
    記録ストラテジ調整方法。
  5. 請求項4に記載の記録ストラテジ調整方法において、さらに、
    前記第2領域の前記最適記録パワーを、記録パワーの基準値とするステップと、
    前記基準値を中心に±20%の範囲内でパワーを変化させ、詳細なストラテジ調整を行うステップと
    を含む
    記録ストラテジ調整方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の記録ストラテジ調整方法において、
    前記再生信号品質は、
    前記パターン列を再生した再生信号に基づいて算出されるPRSNR値またはエラーレートである
    記録ストラテジ調整方法。
  7. 光学的情報記録媒体に照射するレーザ光を出力する光ヘッドと、
    前記レーザ光の出力波形を特定する記録ストラテジを調整する記録ストラテジ調整器と
    を具備し、
    前記記録ストラテジ調整器は、
    予め保持されている複数の記録ストラテジから、複数のパルスを含むパルストレイン型記録ストラテジを読み出すストラテジ特定手段と、
    前記複数のパルスの各々のパルス幅を基本パルス幅にし、前記基本パルス幅を、第1基本パルス幅から第n(nは2以上の自然数)基本パルス幅まで段階的に変更し、前記第1基本パルス幅において最良の再生信号品質が得られる記録パワーである第1最適記録パワーから、前記第n基本パルス幅において最良の再生信号品質が得られる記録パワーである第n(nは2以上の自然数)最適記録パワーまでを求める最適記録パワー測定手段と、
    前記基本パルス幅の変化に対する前記最適記録パワーの変化によって得られる変化率を求め、前記変化率が示す傾きが、所定の傾きから変化するときのパルス幅を上限パルス幅として特定する上限パルス幅特定手段と、
    前記上限パルス幅に基づいて、前記パルストレイン型記録ストラテジを調整するストラテジ調整手段と
    を備える
    光学的情報記録再生装置。
  8. 請求項7に記載の光学的情報記録再生装置において、
    前記複数のパルスは、先頭パルスと、中間パルスと、後端パルスとを含み、
    前記最適記録パワー測定手段は、
    前記先頭パルスのパルス幅と、前記中間パルスのパルス幅と、前記後端パルスのパルス幅とを前記基本パルス幅に統一し、前記基本パルス幅を変更するときの範囲と刻み幅とを設定し、
    前記基本パルス幅を、前記刻み幅で前記第1基本パルス幅から前記第n基本パルス幅まで段階的に変更したときに、前記第1基本パルス幅から前記第n基本パルス幅の各々において、記録パワーを段階的に変更して、光ディスクに所定のテストパターンを記録し、
    前記テストパターンを再生することによって得られた再生信号に基づいて前記第1最適記録パワーから前記第n最適記録パワーを決定する
    光学的情報記録再生装置。
  9. 請求項8に記載の光学的情報記録再生装置において、
    前記上限パルス幅特定手段は、
    前記第1基本パルス幅から前記第n基本パルス幅に対応して前記第1最適記録パワーから前記第n最適記録パワーをプロットしたときに、前記基本パルス幅の遷移に応じて前記記録パワーが遷移する第1領域と、前記基本パルス幅の遷移に対応して前記記録パワーが一定の第2領域とを特定し、前記第1領域と前記第2領域との間に対応するパルス幅を前記上限パルス幅として特定する
    光学的情報記録再生装置。
  10. 請求項9に記載の光学的情報記録再生装置において、
    前記ストラテジ調整手段は、
    前記中間パルスのパルス幅を前記上限パルス幅に固定したまま前記先頭パルスまたは前記後端パルスの調整を行う
    光学的情報記録再生装置。
  11. 請求項10に記載の光学的情報記録再生装置において、
    最適記録パワー測定手段は、
    前記第2領域の前記最適記録パワーを、記録パワーの基準値とし、前記基準値を中心に±20%の範囲内でパワーを変化させ、詳細なストラテジ調整を行う
    光学的情報記録再生装置。
  12. 請求項7から11のいずれか1項に記載の光学的情報記録再生装置において、
    前記再生信号品質は、
    前記パターン列を再生した再生信号に基づいて算出されるPRSNR値またはエラーレートである
    光学的情報記録再生装置。
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