明 細 書
光学的情報記録媒体へのデータ記録における記録パルス条件の最適化 方法
技術分野
[0001] 本発明は、光学的情報記録媒体にレーザ光を照射して物理的性質を変化させるこ とで情報を記録する方法に関し、特に、その記録時に利用される記録パルス条件の 最適化に関する。
背景技術
[0002] 従来の光学的情報記録媒体としては、例えば、 DVD-RAM, DVD_RW、 CD
_RW等の書換型光ディスクが知られている。これらの書換型光ディスクでは、レーザ 光を使って情報が次のように書き換えられる。第 1に、記録再生装置が光ディスクの キャリブレーション用領域から記録パルス標準条件を読み出し、それに基づいて記録 パルス条件を設定する。第 2に、記録再生装置が、記録パルス条件に応じた波形で レーザ光を光ディスクに照射して情報を記録する。ここで、光ディスクの特性や記録 再生装置の記録特性のばらつきにより記録品質の受ける影響を低減させるには、設 定されるべき記録パルス条件が最適化されねばならない。特に、記録パルス標準条 件が光ディスクの実際の特性と合っていない場合、記録パルス条件の最適化により、 良好な記録品質が確保されねばならなレ、。
[0003] 相変化光ディスクでは、照射されたレーザ光の熱によりアモルファスの領域(マーク )が形成され、光反射率が変化する。その光反射率の変化としてデータは光ディスク に記録される。特に高密度記録では、形成されるマークやスペース(マーク間の領域 )のサイズが小さい。従って、マークを形成するために加えたレーザ光の熱力 そのマ ークのみならず、スペースを伝わって前後のマークにまで到達し、各マークの形状に ひずみを与えやすい。そのひずみを回避する目的で、記録パルス条件が例えば次 のように設定される(例えば特許文献 1、 2参照)。レーザ光が複数のパルス列(マル チパルス)で構成される場合、その先頭パルスの位置が自己マーク長と前スペース長 との間の組み合わせに応じて変化する。一方、最終パルスの位置が自己マーク長と
後スペース長との間の組み合わせに応じて変化する。そのような記録パルスの変位 により、マーク間の熱干渉が相殺される。このような記録パルスの位置制御は一般に 、記録補償と呼ばれている。
[0004] 特許文献 1に開示された記録方法によると、マーク長とスペース長との間の可能な 組み合わせのそれぞれにつレ、て記録パルスの位置が特定されてレ、る。この位置情 報が記録パルス標準条件である。記録パルス標準条件は記録に先立ち、光ディスク 力 読み出される。更に、読み出された記録パルス標準条件が修正され、記録パル ス条件が次のように最適化される。第 1に、記録パルス標準条件に含まれるマーク長 とスペース長との間の全ての組み合わせに関する位置情報を用い、光ディスクに対 する第 1の試し書きが行われる。第 2に、第 1の試し書きで記録されたデータが再生さ れ、その再生信号力 第 1ジッタが検出される。第 3に、記録パルス標準条件に含ま れるマーク長とスペース長との間の全ての組み合わせに関する位置情報が一律に変 更される。第 4に、一律に変更された位置情報を用レ、、光ディスクに第 2の試し書きが 行われる。第 5に、第 2の試し書きで記録されたデータが再生され、その再生信号か ら第 2ジッタが検出される。第 6に、第 1ジッタが第 2ジッタと比較され、小さいジッタに 対応する試し書きに用いられた位置情報が最適な記録パルス条件として選択される
[0005] 記録パルス条件の最適化には、例えば特許文献 2に開示されているように、再生信 号のジッタの比較ではなぐ最尤復号法が用いられても良レ、。最尤復号法では、再生 信号の実際の波形からその再生信号のあるべきパターンが推定される。更に、再生 信号の実際の波形と推定されたパターンとの間の比較に基づき、最も確からしいバタ ーンが決定される。ここで、復号時にエラーの発生する確率が最小となるように、記録 ノ ルス条件が最適化される。
特許文献 1 :特開 2000— 200418号公報
特許文献 2:特開 2004— 335079号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 特許文献 1に記載されているような従来の記録パルス条件の最適化方法では、マ
ーク長とスペース長との間の組み合わせごとに複数回ずつ、試し書き、その試し書き で記録されたデータの再生、及びその再生信号からのジッタの検出が繰り返される。 従って、電源投入時や光ディスクの新規投入時、記録パルス条件の学習に費やされ る時間を更に短縮することが困難である。従って、画像やデータの記録開始までに必 要な待ち時間を更に短縮することが困難である。更に、試し書きに用いられる記録パ ルス条件が記録パルス標準条件から、例えば、 ± 2、 ± 1、 0というように単純に、かつ 場当たりに変更される。従って、最適な記録パルス条件が記録パルス標準条件から 大きく外れてレ、る場合、何ステップにもわたって記録パルス条件が変更されねばなら なレ、。その結果、試し書きの回数の更なる削減が困難であるので、学習時間の更な る短縮が困難である。一方、特許文献 2に記載されているように、最尤復号法が記録 ノ ルス条件の最適化に利用される場合、その効率化による試し書き回数の削減方法 までは未だ知られてレヽなレ、。
本発明は、試し書きの回数を更に削減することで学習に要する時間を更に短縮で きる記録パルス条件の最適化方法、及びそれを用いる記録再生装置の提供を目的 とする。
課題を解決するための手段
本発明による記録再生装置は好ましくは、記録パルス条件の最適化に以下の方法 を用いる。その最適化方法は、好ましくは、
二種類以上のマークのそれぞれに対応する記録パルスの部分の長さ又は位相が 異なる複数の記録パルス条件、のそれぞれを用いて記録パルスを生成し、その記録 ノルスに基づいて書き込み可能な光学的情報記録媒体 (好ましくは、光ディスク)のト ラックにマークとスペースとの特定のパターンを記録するステップ;
複数の記録パルス条件のそれぞれで上記の特定のパターンが記録されたトラック の各領域から信号を再生し、それらの領域ごとに再生信号のエッジシフト量を測定す るステップ;
上記の領域ごとに測定されたエッジシフト量からマークの長さのずれ、又は位相の ずれを計算するステップ;及び、
上記の領域間でのマークの長さの差又は位相差力 記録パルスの部分の長さの差
又は位相差に比例する、という近似を用い、複数の記録パルス条件間でのマークの 長さの差又は位相差に基づいて記録パルス条件の補正値を求めるステップ; を有する。ここで、好ましくは、それらのステップが、記録再生装置に搭載された半導 体集積回路により実行される。
本発明によるこの最適化方法では、記録パルス条件の補正値が、線形近似を用い た演算で求められる。従って、必要な試し書きの回数が容易に削減可能であるので、 記録パルス条件の学習に要する時間が短レ、。
[0008] 好ましくは、上記の二種類以上のマークが最短マークとその次に長いマークとを含 む。例えば BDでは、最短マークの長さが記録クロック周期の 2倍であり、その次に長 いマークの長さが記録クロック周期の 3倍である。一般に、これらの短マークでは長マ ークより、最適な記録パルス条件が光ディスクごとに、又は記録再生装置ごとに大き なばらつきを示す。本発明による上記の最適化方法は特に、短マークに関する記録 ノ ルス条件を対象とすることで、全体の処理時間を効率良く短縮できる。
[0009] 好ましくは、記録パルスに対応する記録信号の中に各符号長が実質的に同じ頻度 で出現する。その記録信号では特に、通常の変調方式による記録信号より、長マー クの出現確率が高い。従って、その記録信号を用いて試し書きされた光学的情報記 録媒体のトラックの領域から再生されるクロックは安定性が高い。更に、その領域には マーク長とスペース長との間の様々な組み合わせが含まれている。それ故、その領 域から再生される信号のエッジシフト量が記録パルス条件の最適化に利用されること で、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとの補正値のばらつきが効率良く平 均化される。
[0010] 好ましくは、上記複数の記録パルス条件間では、一つの種類のマークに対応する 記録パルスの部分の位相が進むとき、別の種類のマークに対応する記録パルスの部 分の位相が遅れる。それにより、それらの記録パルス条件を用いて試し書きされたトラ ックの各領域から再生されるクロックは、位相の変動が小さい。従って、再生信号のェ ッジシフト量が正確に測定される。
[0011] 好ましくは、記録パルス力 先頭パルス、最終パルス、又は冷却ノ^レスを含み、上 記複数の記録パルス条件間では、先頭パルス、最終パルス、又は冷却パルスの少な
くともいずれかの長さ、位相、又は位置が異なる。更に好ましくは、上記複数の記録 ノ^レス条件のいずれか二つの間では、先頭パルスの長さと立ち上がり位置とのいず れか一方又は両方が異なり、別の二つの記録パルス条件間では、最終パルスの長さ と位相とのいずれか一方又は両方、先頭パルスの位相、及び冷却パルスの位相、が 異なる。好ましくは、光学的情報記録媒体のトラックに試し書きされる特定のパターン 力 記録クロック周期の 2倍から 8倍までのマークとスペースとを含む。
[0012] 本発明による上記の最適化方法では、記録パルス条件の補正値を求める演算が、 好ましくは、次のような線形近似を用いる。まず、複数の記録パルス条件間では二つ のパラメータについて値の組み合わせが異なる。次に、いずれか二つの記録パルス 条件間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、 L12、 P12とし、別の二つの記録 パルス条件間でのマークの長さの差と位相差とをそれぞれ、 L13、 P13とし、いずれか 一つの記録パルス条件でトラックに記録されたマークの長さのずれと位相のずれとを それぞれ、 L、 Pとし、マークの長さのずれと位相のずれとの各目標値を、 Lt、 Ptとする 。そのとき、上記二つのパラメータの各補正値 m、 nが次式で求まる:
[0013] m=(PXL13— LXP13)/(L12XP13— P12XL13)
+ (PtXL13— LtXP13)/(L12XP13— P12XL13)、
n = (LXP12-PXL12)/(L12XP13-P12XL13)
+ (LtXP12-PtXL12)/(L12XP13-P12XL13)0
[0014] ここで、好ましくは、再生信号の品質が良好となるように目標値 Lt、 Ptが決められる。
更に好ましくは、 目標値 Lt、 Ptがマーク長ごとに可変であり、特に目標値 Lt、 Ptのい ずれか一方又は両方力 である。一方、補正値 m、 nは好ましくは四捨五入により整数 ィ匕される。更に、補正値 m、 nがいずれも 0になるまで、各ステップが繰り返される。
[0015] 好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、
再生信号から生成されたデジタル信号を最尤復号法で 2値化信号に変換するステ ップ、
その 2値化信号に基づき、マークのエッジに対応するデジタル信号の部分の形状 に近似したパターンを所定のパターン群の中から選択するステップ、及び、 選択されたパターンをデジタル信号の上記の部分の形状と比較するステップ、
を含む。更に好ましくは、再生信号のエッジシフト量を測定するステップが、以下の三 つのステップを含む。
一.マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれに対してエッジシフ ト量を測定するステップ;
二マークの種類ごとにマークの始端と終端とのそれぞれのエッジシフト量の平均値 と、マーク長とスペース長との間の可能な組み合わせのそれぞれのエッジシフト量と、 の間の差について、それら組み合わせ間での分散値 SPを次式で計算するステップ:
[0016] SP=∑ Csm[i][j] X (SM[i][j] -AveSM[j])2
u
+∑ Cms[i][j] X (MS[i][j] AveMS[i])2
i.j
[0017] ここで、整数の対 j)は、(2、 2)を除ぐ 2以上の整数の対であり、変数 SM[i][j]は、記 録クロック周期 Tの i倍の長さのスペース(以下、 iTスペースという)と、その直後の、記 録クロック周期 Tの j倍の長さのマーク(以下、 jTマークという)との間のエッジシフト量 であり、変数 MS[i][j]は iTマークとその直後の jTスペースとの間のエッジシフト量であり 、変数 AveSM[j]は jTマークの始端のエッジシフト量の平均値であり、変数 AveMSD]は i Tマークの終端のエッジシフト量の平均値であり、第一の係数 Csm[i][j]と第二の係数 Cms[i][j]とはそれぞれ所定数である;
[0018] 三分散値 SPが所定値より小さいときは記録パルス条件をマーク長ごとに調整し、分 散値 SPがその所定値より大きいときは記録パルス条件をマーク長とスペース長との間 の可能な組み合わせごとに調整するステップ。
これら三つのステップにより、最尤復号法を利用して試し書きの回数が効率良く削 減される。従って、記録パルス条件の最適化に要する時間が更に短縮される。ここで 、好ましくは、第一の係数 Csm[i][j]が ΓΓスペースとその直後の jTマークとの組み合わ せの出現確率で表され、第二の係数 Cms[i][j]が iTマークとその直後の jTスペースと の組み合わせの出現確率で表される。更に好ましくは、第一の係数 Csm[i][j]と第二 の係数 Cms[i][j]と力 又は 0である。
[0019] 本発明による光学的情報記録媒体は、本発明による上記の記録パルス条件の最 適化方法で最適化された記録パルス条件を用いてデータが記録された光学的情報 記録媒体である。ここで、所定数の種類のマークとスペースとが実質的に等しい出現
確率で記録された領域、を含む記録条件学習領域、をその光学的情報記録媒体が 有しても良い。好ましくは、本発明によるこの光学的情報記録媒体が、上記複数の記 録パルス条件のいずれか二つの間でのマークの長さの差又は位相差、を表すデー タが記録された領域、を有する。ここで、本発明による上記の記録パルス条件の最適 化方法が、上記のデータを光学的情報記録媒体に記録するステップ、を更に有して も良い。好ましくは、本発明による上記の最適化方法が本発明によるこの光学的情報 記録媒体に適用されるとき、その光学的情報記録媒体から上記のデータを予め読み 出す。それにより、記録パルス条件が更に速やかに最適化される。
発明の効果
[0020] 本発明による上記の記録パルス条件の最適化方法は、書き込み可能な光学的情 報記録媒体の特性や記録再生装置の記録特性のばらつきに関わらず、最適な記録 パルス条件でのデータ記録を可能にする。従って、その最適化方法を用いた記録再 生装置によりデータが記録された光学的情報記録媒体では、再生信号の品質が高 レ、。本発明による上記の最適化方法では特に、記録パルス条件の学習に必要な試 し書きの回数が更に削減可能である。それにより、記録再生装置の起動時間が更に 短縮され、画像やデータの記録開始までの待ち時間が更に短縮される。その上、追 記型光ディスクのように 1度しか書き込みができない光学的情報記録媒体では、試し 書きに必要な領域が節約されるので、記録パルス条件の学習回数の許容上限が増 大する。その結果、更に長期間にわたって記録パルス条件の最適化が安定に実行 可能である。
図面の簡単な説明
[0021] [図 1]本発明の実施形態による光学的情報記録再生装置の構成を示すブロック図で ある。
[図 2A]本発明の実施形態によるエッジシフト量の検出方法で利用される、マークの始 端に対応する再生信号の理想的なパターンを表す二つのパスと実際の波形との間 の関係を示す図である。図 2Aでは破線で示されたパスが正解であり、実際の入力信 号に対応するマーク A—の始端が理想的なマーク Aの始端より遅い。
[図 2B]本発明の実施形態によるエッジシフト量の検出方法で利用される、マークの始
端に対応する再生信号の理想的なパターンを表す二つのパスと実際の波形との間 の関係を示す図である。図 2Bでは破線で示されたパスが正解であり、実際の入力信 号に対応するマーク A+の始端が理想的なマーク Aの始端より早い。
園 3A]本発明の実施形態によるエッジシフト量の検出方法で利用される、マークの始 端に対応する再生信号の理想的なパターンを表す二つのパスと実際の波形との間 の関係を示す図である。図 3Aでは太い実線で示されたパスが正解であり、実際の入 力信号に対応するマーク B—の始端が理想的なマーク Bの始端より遅い。
園 3B]本発明の実施形態によるエッジシフト量の検出方法で利用される、マークの始 端に対応する再生信号の理想的なパターンを表す二つのパスと実際の波形との間 の関係を示す図である。図 3Bでは太い実線で示されたパスが正解であり、実際の入 力信号に対応するマーク B +の始端が理想的なマーク Bの始端より早い。
園 4]本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法の第 1のステップで生 成された記録パルス条件のパラメータの値を示す表である。
園 5]本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法の第 4のステップで生 成された記録パルス条件のパラメータの値を示す表である。
園 6]本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法で利用される記録パノレ ス条件のパラメータと記録パルスの波形との間の対応関係を示す波形図である。 園 7]図 5に表示された記録パルス条件間でのパラメータの値の変化と記録パルスの 波形の変化との間の対応関係を示す波形図である。
園 8]本発明の実施形態によるエッジシフト量の検出方法で利用される、マークのエツ ジに対応する再生信号の理想的な八つのパターンを表すグラフである。
[図 9]図 8に示されているパターンの中から、スペース長とマーク長との間の各組み合 わせに対応するパスを指定する表である。
園 10]本発明の実施形態による光学的情報記録媒体の構成を示す平面図である。 園 11]本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法の第 5のステップで得 られるエッジシフト量をマーク長とスペース長との間の組み合わせ別に示す表である 園 12]本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法の第 7のステップで補
正された記録パルス条件のパラメータの値を示す表である。
[図 13]本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法を示すフローチャート である。
[図 14]本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法の第 9のステップで生 成された記録パルス条件のパラメータの値を示す表である。
[図 15]図 7に示されてレ、る各記録パルスで光ディスクのトラックに形成された 2Tマーク 、 3Tマーク、及び 5Tマークを模式的に示す平面図である。
発明を実施するための最良の形態
[0022] 以下、本発明の最適な実施形態を説明する。
本発明の実施形態による光学的情報記録媒体では、外部から照射されるレーザ光 が物理的性質の異なるマークを形成することでデータが記録される。そのような光学 的情報記録媒体として好ましくは、書換型相変化光ディスク(特に BD— RE (書換型 ブルーレイディスク)。以下、単に光ディスクという)が利用される。光ディスク 101は好 ましくは、図 10に示されているように、データ領域 1001、記録条件学習領域 1002、及 び初期値記録領域 1003に分かれている。データ領域 1001は光ディスク 101の大部分 を占める。データ領域 1001にはユーザーデータが記録される。記録学習領域 1002は 光ディスク 101の内周部に設けられ、データ領域 1001に隣接している。記録学習領域 1002では記録条件の学習を目的とする試し記録が行われる。ここで、試し記録は、記 録再生装置の起動時や温度変動時、データ領域 1001に対するデータ記録の前に行 われる。記録再生装置は試し記録により記録条件(特に、記録パワーや記録パルス 条件)を調整する。初期値記録領域 1003は光ディスク 101の最内周部に設けられ、記 録学習領域 1002に隣接している。初期値記録領域 1003には、光ディスク 101ごとに予 め設定された、記録パワーの推奨値、記録パルス条件の推奨値 (以下、記録パルス 標準条件という)、記録線速度、及びディスク ID等が記録されている。初期値記録領 域 1003は再生専用領域であり、情報が好ましくは、トラックの蛇行(ゥォプリング)ゃピ ット等、光ディスク 101の基板上の成形部分を用いて半永久的に記録されている。
[0023] 本発明の実施形態による記録再生装置は、図 1に示されている通り、光照射部 102 、プリアンプ部 103、 AGC部 104、波形等化部 105、 A/D変換部 106、 PLL部 107、パ
ターン検出部 108、エッジシフト検出部 109、記録パルス条件復調部 114、記録パルス 条件演算部 110、記録パターン発生部 111、記録補償部 112、及びレーザ駆動部 113 を有する。好ましくは、レーザ駆動部 113以外の構成要素が一つの半導体集積回路 1 00に統合されている。更に、レーザ駆動部 113がその半導体集積回路 100に集積化さ れても良い。
[0024] 光照射部 102は好ましくは光ピックアップであり、レーザダイオードと光検出器とを搭 載する。レーザダイオードは上記の光ディスク 101にレーザ光を照射する。光検出器 は、光ディスク 101により反射されたレーザ光を検出して電気信号に変換し、アナログ 再生信号として出力する。そのアナログ再生信号は、プリアンプ部 103、 AGC (Autom atic Gain Control)部 104、波形等化部 105、及び A/D変換部 106で順番に処理され 、デジタル再生信号に変換される。ここで、 PLL部 107はデジタル再生信号から再生 クロックを抽出する。一方、 A/D変換部 106はその再生クロックに従ってアナログ再 生信号をサンプリングする。
[0025] パターン検出部 108は好ましくは、最尤復号部(好ましくはビタビ復号部)を含む。パ ターン検出部 108は、まず、デジタル再生信号を整形し、最尤復号部の周波数特性( 好ましくは PR(1,2,2,1)特性)に適合させる。最尤復号部はそのデジタル再生信号を 最尤復号法(好ましくはビタビ復号法)で 2値化信号 (好ましくは NRZI (Non Return t o Zero Inverted)信号)に変換する。パターン検出部 108は更に、その 2値化信号に 基づき、マークのエッジに対応するデジタル再生信号の部分の形状に近似したバタ ーンを所定のパターン群(図 8参照)の中から選択する。エッジシフト検出部 109は、 ノ ターン検出部 108により選択されたパターンをデジタル再生信号の上記の部分の 形状と比較し、マークのエッジシフト量 (理想的なマークのエッジ位置に対する、実際 のマークのエッジ位置のずれ)を測定する。
[0026] 記録パルス条件復調部 114は上記の 2値化信号から、光ディスク 101に記録された 記録パルス標準条件を抽出する。記録パルス条件演算部 110は、記録パルス標準条 件に含まれているパラメータを変化させる。記録パルス条件演算部 110は特に、測定 されたエッジシフト量に基づいて上記のパラメータを補正する。記録パターン発生部 1 11は、光ディスク 101に対するデータ記録時に所定の記録信号を、好ましくは NRZI
信号として出力する。記録補償部 112は、記録パルス条件演算部 110による演算結果 に応じて記録パルス条件を設定し、その記録パルス条件に従って上記の NRZI信号 を記録パルスに変換する。レーザ駆動部 113は、光照射部 102内のレーザダイオード を駆動する。レーザ駆動部 113は特に光ディスク 101に対するデータ記録時では、上 記の記録パルスに従ってレーザ光のパワーを制御し、光ディスク 101にデータを記録 する。
[0027] 以下の説明では次の数値的条件を想定する。光照射部 102は、波長 405nmのレー ザと NA=0.85の対物レンズとを用いる。光ディスク 101では、トラックピッチが 0.32 μ πι であり、レーザ光の入射面を覆ぅカバー層の厚みが75 /1 111〜100 /1 111でぁる。更に、光 ディスク 101に記録されるマークの最短長は記録クロック周期 Τの 2倍( = 2Τ)であり、 0. 138 μ m〜0.160 μ mである。マーク長の種類とスペース長の種類とはいずれも、記録 クロック周期 Tの 2、 3、 · · ·、 8倍( = 2T、 3T、 · · ·、 8Τ)である。記録再生装置の記録速度 は、 BD1倍速(チャネルレート 66MHz (Tw= 15.15nsec) )又は BD2倍速(チャネルレ ート 132MHz (Tw=7.58nsec) )である。
[0028] 本発明の実施形態による記録再生装置は好ましくは、光ディスク 101に対するデー タ記録時に記録パルス条件を、図 13に示されているフローチャートに従って以下の ように最適化する。
[0029] [第 1のステップ]
記録再生装置はまず、光ディスク 101の初期値記録領域 1003にアクセスし、初期値 情報を読み出す。そのとき、記録パルス条件復調部 114が読み出された初期値情報 の中力 記録パルス標準条件を抽出する。抽出された記録パルス標準条件は、パラ メータごとに異なるメモリ領域に格納される。記録パルス条件は好ましくは、図 4に示 されているパラメータを含む。それらのパラメータは、 2Tマークに関するパラメータ、 3 Tマークに関するパラメータ、及び長さが 4T以上のマークに関するパラメータに分類 されている。図 4に示されている各パラメータ dTtop、 Ttop、 Tip, dTeは記録パルスの 波形を決める(図 6参照)。図 6では、 2Tマーク、 3Tマーク、及び 5Tマークの記録を指 示する NRZI信号の各部分 2Tm、 3Tm、 5Tmに対応する記録パルスの波形が示され ている。記録パルスは好ましくは、先頭パルス PT、中間パルス ΡΜ、最終パルス PL、及
び冷却パルス PCを含む。先頭パルス PTと冷却パルス PCとは全てのマークの記録に 利用される。最終パルス PLは好ましくは、長さ 3T以上のマークの記録に利用される。 中間ノ^レス PMは好ましくは、長さ 4T以上のマークの記録に利用され、特にその個数 がマーク長と共に増加する。第 1のパラメータ dTtopは、 NRZI信号の所定の基準位 置に対する先頭パルス PTの始端を表す。第 2のパラメータ Ttopは先頭パルス PTの幅 を表す。第 3のパラメータ Tipは最終パルス PLの幅を表す。第 4のパラメータ Tmpは中 間パルス PMの幅を表す。第 5のパラメータ dTeは、 NRZI信号の所定の基準位置に 対する冷却パルス PCの終端を表す。ここで、第 1のパラメータ dTtopと第 5のパラメ一 タ dTeとは極性を持つ。図 6では、左方向(マークの終端から始端に向かう方向)が正 である。
[0030] 図 4に示されている各パラメータの値 a〜kの単位は好ましくは、記録クロックで決ま る基準時間間隔 Twで表される。 BD— REの場合、その単位が基準時間間隔 Twの 16 分の l ( = Tw/16。ここで、 BD2倍速では、 Tw=7.58nsec)に等しレ、。更に、図 4に示 されている各パラメータの値 a〜kがその単位 Tw/16の整数倍で表される。例えば、 記録パルス標準条件 Aでは、長さ 4T以上のマークに関する第 1のパラメータ dTtopの 値 が「NRZI信号の所定の基準位置に対して先頭パルス PTの始端が h X Tw/16 [n sec]の位置にあること」を表している。尚、光ディスク 101に記録されている記録パルス 標準条件の値が同じ単位 TwZl6で表されている場合、記録再生装置は光ディスク 1 01に記録された値をそのまま用いる。一方、光ディスク 101に記録されている記録パ ルス標準条件の値がナノ秒単位で表されてレ、る場合、記録再生装置はその値を単 位 TwZl6に最も近い整数値に変換する。その他に、記録再生装置が単位を光ディ スク 101に記録された値の単位より細力べしても良い。それにより、補償精度が向上す るので、マークのエッジ位置が高精度に調整される。従って、書き込まれたマークから 読み出される信号の品質が向上する。具体的には、光ディスク 101に記録されている 記録パルス標準条件の値が単位 TwZl6で表されてレ、る場合、記録再生装置は光デ イスク 101から読み出された値を倍にしてメモリに格納する。それにより、単位が上記 の半値 Tw/32に設定される。
[0031] 記録パルス条件演算部 110は、光ディスク 101から読み出された記録パルス標準条
件 Aに含まれているパラメータのうち、長さ 4T以上のマークに関する四つのパラメータ dTtop、 Ttop、 Tlp、 dTeの各値 h、 i、 j、 kを基準値として設定する。記録パルス条件演 算部 110は更に、各基準値を次のように変更し、二つの異なる記録パルス条件 B、 C を設定する(図 4参照)。記録パルス条件演算部 110はまず、三つのパラメータ dTtop、 Ttop、 Tipの各基準値 h、 i、 jを 1単位ずつ加算し、第 4のパラメータ dTeの基準値 kを 1 単位減算し、記録パルス条件 Bとしてメモリに格納する。記録パルス条件演算部 110 は次に、三つのパラメータ dTtop、 Ttop、 Tipの各基準値 h、 i、 jを 1単位ずつ減算し、第 4のパラメータ dTeの基準値 kを 1単位カ卩算し、別の記録パルス条件 Cとしてメモリに格 納する。図 6から容易に理解される通り、記録パルス条件 Bでは記録パルス標準条件 Aと比べ、 5Tマークに対応する記録パルスの部分に含まれている先頭ノ ルス PTの幅 が拡大し、かつ立ち上がり位置が早いので、 5Tマークの始端が早い。更に、最終パ ルス PLの幅が拡大し、かつ冷却パルス PCの位相が遅れるので、 5Tマークの終端が 遅い。従って、記録パルス条件 Bでは記録パルス標準条件 Aより長さ 4T以上のマーク が伸びる。一方、記録パルス条件 Cでは記録パルス標準条件 Aと比べ、 5Tマークに 対応する記録パルスの部分に含まれている先頭ノ ルス PTの幅が縮小し、かつ立ち 上がり位置が遅いので、 5Tマークの始端が遅い。更に、最終パルス PLの幅が縮小し 、かつ冷却パルス PCの位相が進むので、 5Tマークの終端が早レ、。従って、記録パル ス条件 Cでは記録パルス標準条件 Aより、長さ 4T以上のマークが縮む。
[第 2のステップ]
記録再生装置はまず、光照射部 102から光ディスク 101に照射される光スポットを記 録条件学習領域 1002内のトラックに移動させ、フォーカシングとトラッキングとを行う。 記録再生装置は次に、上記三つの記録パルス条件 A、 B、 Cのそれぞれを用い、光 ディスク 101の記録学習領域 1002 (図 10参照)に所定の同じパターンの記録信号を 試し書きする。ここで、使用されるパターンに含まれているマークとスペースとはいず れも好ましくは、光照射部 102のレーザのスポットサイズに比べて十分に長レ、。更に好 ましくは、記録パターン発生部 111がそのパターンとして、 5Tマークと 5Tスペースとの 繰り返し力 成る単一パターン (以下、 5T単一信号という)を発生させる。記録補償部 112は 5T単一信号と各記録パルス条件 A、 B、 Cとから記録パルスを生成する。レー
ザ駆動部 113はその記録パルスに従つて光照射部 102内のレーザダイオードを駆動 し、 5T単一信号を光ディスク 101のトラックにセクタ単位で連続して書き込む。それに より、光ディスク 101の記録条件学習領域 1002には 5T単一信号のパターン力 三種 類の記録パルス条件 A、 B、 Cごとに連続して記録される。
[0033] [第 3のステップ]
記録再生装置は、以下のように、光ディスク 101の記録条件学習領域 1002から記録 ノ^レス条件 A、 B、 Cを用いて書き込まれた 5T単一信号を連続して再生し、各再生信 号のエッジシフト量又はァシンメトリを測定する。
まず、光照射部 102から出力された再生信号が、プリアンプ部 103、 AGC部 104、波 形等化部 105、 A/D変換部 106で順番に処理され、パターン検出部 108内の最尤復 号部により 2値化信号に変換される。次に、パターン検出部 108がその 2値化信号に 基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部が Ρ R(l,2,2, l)方式に対応している場合を想定する。
[0034] まず、パターン検出部 108が、最尤復号部に入力されるデジタル再生信号 (以下、 入力信号という)のうち、マークのエッジに対応する部分の形状に近似したパターンを 所定のパターン群(図 8参照)の中から選択する。そのパターン群は好ましくは八つの パターン(Pattern— l〜Pattern— 8)を含み、各パターンが更に二種類のパス PXA、 P ΧΒ (Χ= 1、2、 · ' ·、8)を含む。図 8では、横軸が時間を表し(1目盛がチャネルクロック の 1周期を表す)、縦軸が、パターン検出部 108により PR(1,2,2,1)特性に合わせて整 形された入力信号のレベルを表す。図 8に示されている破線と実線とはそれぞれ、二 種類のパス PXA、 PXB (X = 1、 2、■· ·、 8)を表す。図 8に示されている丸印は、各パス にチャネルクロック間隔で含まれるべきサンプノレの期待値に相当し、特に PR(1,2,2,1) 特性では六つのレベル 0〜6を取り得る。各パターンは、連続する 7ビットの符号を表し 、特に、真ん中のビットを除く 6ビットの可能な組み合わせの一つに対応している(例 えば、?& 601—2はビット歹1卩1, 1, 1 ,0,0,0」 = 0, 1)を表す)。更に、二種類のパス PX A、 PXBは真ん中のビットの二値に対応している(例えば、 Pattern— 2のパス P2Aはビ ット歹1卩1, 1, 1,0,0,0,0」を表す)。マークの始端では反射光が減るので、マークの始端 に対応する入力信号の部分は下向きの波形として再生される。マークの終端では逆
に反射光が増すので、マークの終端に対応する入力信号の部分は上向きの波形とし て再生される。従って、図 8では、上段に示されている四つのパターン(Pattern— 1、 P attern- 2, Pattern- 3, Pattern_4)がマークの始端に対応し、下段に示されている 四つのパターン(Pattern_ 5、 Pattern- 6, Pattern- 7, Pattern_8)がマークの終端 に対応する。更に、図 9に表示されているように、各パターンのパスがマーク長とスぺ ース長との間の組み合わせの一つに対応している。第 2のステップで光ディスク 101に 記録される単一パターンは 5Tマークと 5Tスペースとの繰り返しである。その場合、 5T マークの始端に対応する入力信号の部分の形状は Pattern— 2である(図 9参照)。そ れ故、パターン検出部 108は 5Tマークの始端については Pattern— 2を選択する。一 方、 5Tマークの終端に対応する入力信号の部分の形状は Pattern— 7である(図 9参 照)。それ故、パターン検出部 108は 5Tマークの終端については Pattern— 7を選択す る。
次に、エッジシフト検出部 109が、パターン検出部 108により選択された Pattern— 2を 、 5Tマークの始端に対応する入力信号の部分の形状と比較し、 5Tマークの始端での エッジシフト量を次のように測定する(図 2、 3参照)。
5Tマークの始端に対応する入力信号の部分は、理想的には、 Pattern— 2に含まれ ている二つのパス A、 B (図 2、 3には破線と太い実線とで示されている)のいずれかの 形状を示す。従って、実際の入力信号のその部分も、二つのパス A、 Bのいずれかの 形状に近似しているはずである。図 2、 3では細い実線が実際の入力信号を示す。図 2はパス Aが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパス Aに近似してレ、る 。図 3はパス Bが正解である場合を示し、実際の入力信号の形状がパス Bに近似して いる。図 2、 3では更に、実際の入力信号からチャネルクロック間隔でサンプリングされ たサンプル値が三角印で示されている。エッジシフト検出部 109は、パス Aに含まれて レ、る各サンプルの期待値(図 2では黒レ、丸印で示されてレ、る)と実際のサンプノレ値 ( 三角印)との間の差の二乗和を計算し、パス Aと実際の入力信号との間の距離 Paとし て決定する。同様に、エッジシフト検出部 109はパス Bと実際の入力信号との間の距 離 Pbを決定する。エッジシフト検出部 109は更にそれら二つの距離 Pa、 Pbを比較し、 前者の距離 Paが小さいときはパス Aを正解とみなし、後者の距離 Pbが小さいときはパ
ス Bを正解とみなす。それにより、実際の入力信号のサンプル群が、パス Aを正解とす るサンプノレ群と、パス Bを正解とするサンプノレ群とに分別される。
[0036] エッジシフト検出部 109は上記二つの距離 Pa、 Pb間の差 | Pa_Pb |から正の定数 Pstdを除いた値 I Pa_Pb I —Pstdを計算する。ここで、正の定数 Pstdは、入力信号 が二つのパス A、 Bのいずれかと一致するときの二つの距離 Pa、 Pb間の差を表す。す なわち、距離 Pa、 Pbのいずれ力が 0に等しいとき(Pa= 0、又は Pb = 0)、二つの距離 Pa 、 Pb間の差 I Pa_Pb Iが正の定数 Pstdと等しい: I Pa_Pb | =Pstd。計算値 | Pa -Pb I —Pstdが負であるとき、実際の入力信号の波形が二つのパス A、 B間の領域 に収まっている。計算値 I Pa— Pb I —Pstdが正であるとき、実際の入力信号の波形 が二つのパス A、 B間の領域から外れている。従って、計算値 I Pa—Pb I —Pstdが負 であるときょり正であるときの方力 最尤復号にエラーが生じにくい。この特徴を考慮 し、エッジシフト検出部 109は計算値 I Pa—Pb I —Pstdからエッジシフト量を次のよう に決定する。まず、エッジシフト量の大きさは計算値 I Pa— Pb I —Pstdの大きさで定 義される。次に、エッジシフト量の符号はエッジ位置のずれの方向に対応するように 定義される。図 2、 3では、エッジ位置のずれが左方向(マークの終端から始端に向か う方向)であるとき、エッジシフト量の符号が正に定義される。ここで、パス Aを正解と するサンプノレ群とパス Bを正解とするサンプル群との間では、計算値 I Pa— Pb I -P stdの符号とエッジ位置のずれの方向との間の対応関係が逆であるので、エッジシフ ト量の符号が計算値 I Pa_Pb I —Pstdの符号に基づいて以下のように定義される。
[0037] 図 2Aでは、実際の入力信号に対応するマーク A—の始端が理想的なマーク Aの始 端より遅い。すなわち、実際のマーク A_の始端は理想的なマーク Aの始端力 負方 向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパス A、 Bの間の領域 に収まっているので、計算値 I Pa— Pb I —Pstdは負である。従って、 5Tスペースとそ の直後の 5Tマークとの間のエッジシフト量 5S5M = Δ Α—は計算値 | Pa— Pb | -Pst
A
d自体で定義される:
[0038] 5S5M = Δ Α- = | Pa-Pb | —Pstdく 0。
A
[0039] 図 2Bでは、実際の入力信号に対応するマーク A+の始端が理想的なマーク Aの始 端より早い。すなわち、実際のマーク A +の始端は理想的なマーク Aの始端から正方
向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパス A、 Bの間の領域 力も外れているので、計算値 | Pa— Pb I — Pstdは正である。従って、 5Tスペースとそ の直後の 5Tマークとの間のエッジシフト量 5S5M = Δ Α+は計算値 | Pa— Pb | -Pst
A
d自体で定義される:
[0040] 5S5M = Δ Α+ = | Pa— Pb | — Pstd > 0。
A
[0041] 図 3Aでは、実際の入力信号に対応するマーク B—の始端が理想的なマーク Bの始 端より遅い。すなわち、実際のマーク B _の始端は理想的なマーク Bの始端力 負方 向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパス A、 Bの間の領域 力も外れているので、計算値 I Pa— Pb I —Pstdは正である。従って、 5Tスペースとそ の直後の 5Tマークとの間のエッジシフト量 5S5M = Δ Β—は計算値 | Pa— Pb | —Pst
B
dの逆符号で定義される:
[0042] 5S5M = Δ Β - = - [ | Pa— Pb | —Pstd]く 0。
B
[0043] 図 3Bでは、実際の入力信号に対応するマーク B +の始端が理想的なマーク Bの始 端より早い。すなわち、実際のマーク B +の始端は理想的なマーク Bの始端から正方 向にずれている。その場合、実際の入力信号の波形は二つのパス A、 Bの間の領域 に収まっているので、計算値 I Pa— Pb I —Pstdは負である。従って、 5Tスペースとそ の直後の 5Tマークとの間のエッジシフト量 5S5M = Δ Β +は計算値 | Pa— Pb | —Pst
B
dの逆符号で定義される:
[0044] 5S5M = Δ Β + = - [ | Pa-Pb | — Pstd] > 0。
B
[0045] エッジシフト検出部 109は続いて、パターン検出部 108により選択された Pattern_ 7 の各パス A、 Bを、 5Tマークの終端に対応する入力信号の部分の形状と比較し、上記 と同様に、各パス A、 Bを正解とするサンプノレ群ごとに 5Tマークの終端でのエッジシフ ト量 5M5S 、 5M5Sを計算する。エッジシフト検出部 109は更に、二つのサンプル群間
A B
で 5Tマークの始端と終端とでの各エッジシフト量を平均し、各平均値を 5Tマークの始 端と終端とでの各エッジシフト量 5S5M、 5M5Sとして決定し、それら二つの平均値の差 を 5Tマークの長さのずれ L として決定する:
5T
[0046] 5S5 = (5S5M + 5S5 )/2、
A B
5M5S = (5M5S + 5M5S )/2、
L =5S5M_5M5S。
5T
[0047] 長さのずれ L は 5Tマークの正規の長さ 5Tからのずれ量を表す。長さのずれ L 力 ^
5Τ 5T であれば 5Tマークが 5Tスペースと同じ長さであり、長さのずれ L が正であれば 5Tマ
5T
ークが 5Tスペースより長 長さのずれ L が負であれば 5Tマークが 5Tスペースより短
5T
レ、。すなわち、長さのずれ L が大きければ、ァシンメトリがマークに偏った状態であり
5T
、長さのずれ L 力 、さければ、ァシンメトリがスペースに偏った状態である。
5T
[0048] 長さのずれ L は、各記録パルス条件 A、 B、 Cを用いて光ディスク 101に記録された
5T
単一パターンのそれぞれについて計算される。エッジシフト検出部 109は、得られた 三つのずれ L のうち、所定の目標値に最も近いずれ L を選択する。ここで、その目
5T 5T
標値は好ましくは、光ディスク 101の初期値記録領域 1003 (図 10参照)に予め記録さ れてレ、るターゲットァシンメトリ情報である。ターゲットァシンメトリ情報が初期値記録 領域 1003に記録されていない場合は、記録再生装置に予め記憶された初期値 (好ま しくは、ァシンメトリがない状態を表す「0」)が上記の目標値として設定される。もし、ァ シンメトリ情報に準じる情報 (例えば β値)が光ディスク 101の初期値記録領域 1003に 予め記録されている場合、その情報の示す値を長さのずれ L に対応させる変換係
5Τ
数が記録再生装置に予め設定されていても良い。その場合、その変換係数を用いて 変換された値が上記の目標値として設定可能である。
[0049] エッジシフト検出部 109は更に、選択された長さのずれ L に対応する単一パターン
5Τ
を記録したときに用いた記録パルス条件を最適な条件として選択する。例えば、記録 ノ^レス条件 Αを用いて記録された単一パターンから得られた長さのずれ L が最も 0
5T に近い場合、記録パルス条件 Aが最適な条件として選択される。記録パルス条件 B、 Cについても同様である。最適な条件として選択された記録パルス条件に含まれてい る長さ 4T以上のマーク長に関する四つのパラメータの値 dTtop = h'、 Ttop = i'、 Tlp=j '、 dTe=k 'が最適値としてメモリに保持される(図 5参照)。
[0050] 但し、三つの記録パルス条件 A、 B、 Cのいずれについても、実測された長さのずれ L が目標値から所定の閾値以上乖離している場合は、記録パルス条件が再度設定
5T
された上で上記の処理が第 2のステップ (試し書き)から繰り返される。例えば、記録 ノ ルス条件 Cに対応する長さのずれ L が最も 0に近い場合でも、その長さのずれ L
が閾値より大きい正値である場合は処理が繰り返される。ここで、好ましくは、記録パ ルス条件演算部 110が記録パルス標準条件 Aに代え、記録パルス条件 Cに含まれて レ、るパラメータの各値を基準値として設定し、残り二つの記録パルス条件を第 1のス テツプと同様に生成する。そのような処理の繰り返しの結果、実測された長さのずれ L と目標値との間の差が閾値未満になった場合、その長さのずれ L に対応する記録
5T 5T
ノ ルス条件が最適な条件として選択される。
[0051] 第 1のステップでは、記録パルス条件演算部 110が記録パルス標準条件 Aに含まれ ているパラメータの各値を基準値とし、それらの基準値を ± 1単位変更して二種類の 記録パルス条件 B、 Cを新たに設定する(図 4参照)。その他に、光ディスク 101に予め 記録されている記録パルス標準条件と記録再生装置の記録再生特性との間の差異 が大きい場合、記録パルス条件演算部 110が上記の基準値を ± 1単位だけでなく ± 2 単位変更し、記録パルス標準条件 Aと合わせて五種類の記録パルス条件を設定して も良い。更に好ましくは、第 2のステップで記録再生装置がそれら五つの記録パルス 条件のそれぞれを用い、光ディスク 101の記録学習領域 1002に単一パターンを試し 書きしても良レ、。それにより、第 3のステップでは長さのずれ L のサンプル数が増える
5T
ので、一回の試し記録で最適な記録パルス条件が決定される確率が高まる。こうして 、長マークに関しては記録パルス条件の学習時間が更に短縮可能である。
[0052] 本発明の実施形態による記録パルス条件の最適化方法では、長さ 4T以上のマーク に対して同一の記録パルス条件が設定される(図 4参照)。従って、上記の単一パタ ーンは 5T単一信号に限らず、長さ 4T以上のマークと長さ 4T以上のスペースとの間の 組み合わせから成る単一パターンであれば良レ、。尚、記録信号の変調方式が 17PP 変調である場合、マーク長分布の中心値が約 5Tである。従って、 5T単一信号が記録 パルス条件の最適化に利用されることで、長さ 4T以上の長マークのエッジシフトの平 均値が揃いやすレ、。それ故、記録品質の更なる向上という効果を発揮する点では、 5 T単一信号の利用が好ましい。その他に、 5T単一信号に代え、例えば、 8Tマークと 8 Tスペースとの組み合わせから成る単一パターン(以下、 8T単一信号という)が試し記 録に用いられても良い。 5T単一信号の再生波形は正弦波に近い。それに対し、 8T単 一信号では、基本波、 2次高調波、 3次高調波、及び 4次高調波が信号帯域となるの
で、 8T単一信号の再生波形は矩形状である。従って、その矩形状の波形を検出する ことで再生信号の調整が可能である。例えば、記録時にマークの終端が過熱された 場合、そのマークの終端近傍が適正な形状から更に膨らむ。 8Τ単一信号の再生波 形からはそのようなマークの膨らみが容易に検出可能であるので、マークの終端に関 する記録パルス条件のパラメータを補正するための情報が容易に得られる、と期待で きる。
[0053] [第 4のステップ]
記録再生装置は、第 3のステップで最適化された長マークに関するパラメータに加 え、記録パルス標準条件 Αに含まれている 2Τマークと 3Τマークとに関するパラメータ を用い、新たな三種類の記録パルス条件 D、 E、 Fを生成する(図 5参照)。更に、そ れら新たな記録パルス条件 D、 E、 Fのそれぞれを用い、光ディスク 101の記録学習領 域 1002 (図 10参照)に特定のパターンの記録信号を試し書きする。
[0054] 図 5に記録パルス条件 D、 E、 Fを示す。記録パルス条件 Dでは、 2Tマークと 3Tマー クとに関するパラメータの値が記録パルス標準条件 Aでの値 a〜gと等しい。一方、長 さ 4T以上のマークに関するパラメータの値は、第 3のステップで得られた最適値 dTto p=h'、 Ttop=i\ Tlp=j'、 dTe = k 'である。記録パルス条件演算部 110はまず、記録 パルス条件 Dに含まれている、 2Tマークと 3Tマークとに関する七つのパラメータの値 a 〜gを基準値として設定する。記録パルス条件演算部 110は次に、ノ ラメータ dTtop、 Ttopの基準値 a、 b、 d、 eをそれぞれ 1単位ずつ加算し、他の基準値 c、 f、 gと共に、記 録パルス条件 Eとしてメモリに格納する。記録パルス条件演算部 110は更に、 2Tマー クに関する二つのパラメータ dTtop、 dTeの基準値 a、 cをそれぞれ 1単位ずつ減算し、 3Tマークに関する二つのパラメータ dTtop、 dTeの基準値 d、 gをそれぞれ 1単位ずつ 加算し、 3Tマークに関するパラメータ Tipの基準値 f¾rl単位減算し、残り二つの基準 値 b、 eと共に、記録パルス条件 Fとしてメモリに格納する。
[0055] 図 7と図 15とから容易に理解される通り、記録パルス条件 Eでは記録パルス条件 D と比べ、 2Tマーク 2Tmと 3Tマーク 3Tmとのそれぞれに対応する記録パルスの各部分 に含まれている先頭パルス PTの幅が拡大し、かつ立ち上がり位置が早い(図 7では 左側にシフトする)。従って、記録パルス条件 Eでは記録パルス条件 Dより、 2Tマーク
2Tmと 3Tマーク 3Tmとの各始端が早ぐかつそれぞれが伸びる(図 15参照)。このよう に、記録パルス条件 Eは主にマーク長の調整を目的として設定される。ここで、 2Tマ ーク 2Tmの中心の位相 P (E)は 3Tマーク 3Tmの中心の位相 P (E)と同一方向に変化
2Τ 3T する。一方、記録パルス条件 Fでは記録パルス条件 Dと比べ、 2Tマーク 2Tmに対応 する記録パルスの部分に含まれている先頭パルス PTと冷却パルス PCとの各位相が 遅れる(図 7では右側にシフトする)。更に 3Tマーク 3Tmに対応する記録パルスの部 分では、先頭パルス PTの位相が進み、最終パルス PLの幅が縮小し、冷却パルス PC の位相が進む(図 7では左側にシフトする)。従って、記録パルス条件 Fでは記録パノレ ス条件 Dより、 2Tマーク 2Tmの位相が遅れ、 3Tマーク 3Tmの位相が進む(図 15参照) 。このように、記録パルス条件 Fは主にマークの位相の調整を目的として設定される。 特に、 2Tマーク 2Tmの中心の位相 P (F)が 3Tマーク 3Tmの中心の位相 P (F)とは逆
2Τ 3T 方向に変化する。
記録パルス条件 Eを用いて光ディスク 101に記録された 2Tマーク 2Tmと 3Tマーク 3T mとの各位相 P (E)、 P (E)は記録パルス条件 Dでの各マークの位相 P (D)、 P (D)に
2T 3T 2T 3T 対して同一方向に変化する(図 15参照)。従って、二つの記録パルス条件 D、 Eのそ れぞれを用いて記録された各マークから再生される信号間では一般に、 PLL部 107 ( 図 1参照)により得られる再生クロックに位相差が生じる。その場合、 2Tマーク 2Tmの 位相のずれが 3Tマークのエッジシフト量の測定誤差として含まれ、逆に、 3Tマーク 3T mの位相のずれが 2Tマークのエッジシフト量の測定誤差として含まれる。それらの誤 差が過大な場合、各エッジシフト量の正確な測定が阻まれる。一方、記録パルス条件 Fでは上記の通り、 2Tマーク 2Tmの位相 P (F)が 3Tマーク 3Tmの位相 P (F)とは逆方
2Τ 3T
向に変化するので、再生クロックの位相に与える影響が相殺される。従って、二つの 記録パルス条件 D、Fのそれぞれを用いて記録された各マークから再生される信号 間では一般に、再生クロックの位相差が小さい。その結果、エッジシフト量の測定誤 差が更に低減可能である。尚、記録パルス条件 Eでは記録パルス条件 Fと同様に、 2 Tマークと 3Tマークとの間で各始端が逆方向に変化しても良レ、。すなわち、 2Tマーク 2Tmと 3Tマーク 3Tmとの各位相 P (E)、 P (E)が記録パルス条件 Dでの各マークの位
2Τ 3T
相 P (D)、 P (D)に対して逆方向に変化しても良レ、。それにより、記録パルス条件 Fと
同様に、エッジシフト量の測定誤差が低減し得る。
[0057] 記録パルス条件 Eの設定方法は上記の方法(図 5、 7参照)とは別でも良い。例えば 、マークの始端を移動させる目的で、先頭パルスの幅 Ttopを固定した状態で先頭パ ルスの位置 dTopを(例えば 1単位)変えても良レ、。その他に、先頭パルスの立ち上が り位置 dTtopを固定した状態で先頭パルスの幅 Ttopを(例えば 1単位)変えても良レ、。 更に、マークの終端を移動させる目的で、最終パルスの幅 Tipを例えば 1単位変え、 又は、冷却パルスの立ち上がり位置 dTeを例えば 1単位変えても良レ、。但し、上記の 設定方法のように先頭パルスの立ち上がり位置 dTtopと幅 Ttopとを同時に変える場合 、先頭パルスの立ち下がり位置が固定されているので、先頭パルスの後端が後続の ノ ルス(中間パルス又は最終ノ ルス)の前端と重ならず、更に、先頭パルスと後続の ノ ルスとの間隔が過小にならなレ、。従って、記録パルスの正確な波形が得られる。尚 、特に BD2倍速以上の高速記録時では、レーザの応答速度に起因するレーザ光の パルス波形の歪みを避けるには、記録パルスの間隔が少なくとも 2ns以上確保される ことが望ましい。
[0058] 記録パルス条件 Fの設定方法は上記の方法(図 5、 7参照)とは別でも良い。例えば 、最終パルスの幅 Tipを固定した状態で最終パルスの位相を変えても良レ、。それによ り、 3Tマークの長さの変化量 L (F) (図 15参照)が抑えられる。従って、マークの長さ
3T
と位相との間の干渉が低減するので、更に正確な位相の変化量 P (F) (図 15参照)
3T
が検出可能である。
[0059] 記録パルス条件 D、 E、 Fを用いた試し書きで利用されるべき記録パターンでは好ま しくは、 2Tから 8Tまでの各符号長の出現頻度がほぼ均等であり、かつ DSV (Digital S urn Value)制御が施されている。これは、従来の記録パターンとは異なる。従来の記 録パターンは、ユーザーデータと同様に、 17PP変調方式で変調される。従って、従来 の記録パターンでは、 2Tマークの出現確率が約 38%であり、 3Tマークの出現確率が 約 25%であり、 4Tマークの出現確率が約 16%である。長さ 5T以上の長マークの各出 現確率は更に低い。すなわち、各符号長の出現頻度が符号長の増大と共に低下す る。このように符号長ごとに出現頻度の異なる記録パターンが上記の試し書きに利用 される場合、光ディスク 101に書き込まれた記録パターンから PLL部 107により得られ
る再生クロックの位相が出現頻度の高い短マーク(特に出現確率力 Si/3以上である 2 Tマーク)の位相でほぼ決まる。しかし、記録パルス条件 D、 E、 F間では上記の通り、 短マークのエッジ位置が大きく異なるので、従来の記録パターンから得られる再生ク ロックの位相が大きく異なる。その結果、 (特に第 3のステップによりエッジシフト量が 既に小さいはずである)長さ 4T以上の長マークから測定されるエッジシフト量や位相 が顕著な誤差を含む。それらの誤差は、第 5のステップで行われる短マークのエッジ シフト量の高精度な測定を阻む。それに対し、第 4のステップで用いられる記録パタ ーンでは各符号長の出現頻度がほぼ均等である。従って、 2Tマークと 3Tマークとの 各出現確率力 であるのに対し、長さ 4T以上のマークのいずれかが出現する頻 度が 5/7である。すなわち、第 4のステップで用いられる記録パターンでは長さ 4T以 上の長マークが大勢を占める。この場合、光ディスク 101に書き込まれたその記録パ ターンから PLL部 107により得られる再生クロックの位相が長マークの位相でほぼ決 まる。その結果、 2Tマークや 3Tマークのエッジ位置の変化に関わらず、再生クロック の位相が安定しているので、第 5のステップでは 2Tマークや 3Tマークのエッジシフト 量が高精度に測定可能である。
[0060] 記録再生装置は記録パルス条件 D、 E、 Fのそれぞれを用いて上記の記録パター ンを、第 2のステップと同様に、光ディスク 101の記録学習領域 1002 (図 10参照)に試 し書きする。すなわち、記録条件学習領域 1002には上記の記録パターン力 記録パ ルス条件 D、 E、 Fごとに連続して記録される。
[0061] 尚、好ましくは、 4Tマークのエッジ位置が長さ 5T以上のマークの平均エッジ位置か ら大きく外れている場合、 4Tマークに関する記録パルス条件のパラメータを 3Tマーク に関するパラメータと同様に変化させて試し記録を行っても良い。それにより、第 5の ステップ以降の処理では、短マークと共に 4Tマークについてもエッジシフト量が測定 され、更にその測定結果に基づいて 4Tマークに関するパラメータが補正される。
[0062] 記録パルス条件 E、 Fの設定では、パラメータ dTop、 Ttop、 Tip, dTeの変化量力 記 録再生装置により設定可能な最小単位の等倍の他に、その単位の 2倍以上であって も良い。その場合、好ましくは、第 5のステップで測定されるエッジシフト量から、パラメ 一タカ 単位変化した場合のエッジシフト量が換算される。それにより、記録パルス条
件の変化に伴うエッジシフト量の変化が微細な光ディスクに対しても、パラメータが 1 単位変化した場合のエッジシフト量が正確に測定可能である。
[0063] [第 5のステップ]
記録再生装置は、以下のように、記録パルス条件 D、 E、 Fで上記の記録パターン が記録されたトラックから各記録パターンを連続して再生し、再生信号のエッジシフト 量を測定する。
まず、光照射部 102から出力された再生信号が、プリアンプ部 103、 AGC部 104、波 形等化部 105、 A/D変換部 106で順番に処理され、パターン検出部 108内の最尤復 号部により 2値化信号に変換される。次に、パターン検出部 108がその 2値化信号に 基づき、再生信号のエッジシフト量を以下のように測定する。ここで、最尤復号部が P R(l,2,2, l)方式に対応している場合を想定する。
[0064] エッジシフト量の測定の基本原理は、第 3のステップの説明に記載されている通りで ある。但し、第 5のステップでは第 3のステップとは特に、パターン検出部 108により選 択されるパターンが異なる(図 8、 9参照)。パターン検出部 108は図 9に示されている 分類に従い、 2Tマークの始端を検出する場合は Pattern— 3と Pattern— 4とを用い、 2 Tマークの終端を検出する場合は Pattern— 6と Pattern— 8とを用レ、、 3Tマークの始端 を検出する場合は Pattern— l〜Pattern— 4を用い、 3Tマークの終端を検出する場合 は Pattern_ 5〜Pattern_8を用いる。更に詳細には、例えば、 2Tスペースに続く 3Tマ 一クの始端を検出する場合、 Pattern— 3のパス P3Aが選択される。 3Tスペースに続く 3Tマークの始端を検出する場合、 Pattern— 1のパス P1Bと Pattern_4のパス P4Aとが 選択される。尚、図 9に示されている分類から明らかな通り、 2Tマークと 2Tスペースと のいずれかを含むパターンでは正解のパスの候補が一つしか存在しなレ、。一方、 2T マークと 2Tスペースとのいずれも含まないパターンでは正解のパスの候補が常に二 つ存在する。以下のステップでは、マークの始端と終端とのそれぞれに対応する再生 信号の部分が、マーク長とスペース長との間のあらゆる組み合わせについて、図 9に 示されている各パスに近づくように、記録パルス条件のパラメータが最適化される。そ のようなパラメータが最尤復号法によるデータ再生にとっては最適である。
[0065] 尚、図 9では、 2Tスペースの直後に 2Tマークがあるパターンと、 2Tマークの直後に 2
Tスペースがあるパターンとのレ、ずれに対してもパスが設定されてレ、なレ、。それらのパ ターンは図 8に示されている八つのパターン(Pattern_ l〜Pattern_8)では検出不 能である。従って、それらのパターンについては以下の方法とは別の方法でエッジシ フト量が測定されても良い。但し、最尤復号法によるデータ再生では、それらのパタ ーンが、 17PP変調には用いられない符号長 1Tのパターンとして誤って検出されやす レ、。しかし、それらのパターンに起因するエラーは容易に識別可能である。従って、 それらのパターンについては記録パルス条件が光ディスク 101ごとに最適化されなく ても良く、適切な初期値が一律に利用されても良レ、。
[0066] 次に、エッジシフト検出部 109が第 3のステップと同様に、 2Tマークと 3Tマークとのそ れぞれのエッジシフト量を測定する。例えば、 3Tマークの始端については、パターン 検出部 108により選択された正解のパスの候補 P3A、 P1B、 P4A、 P2Bの四つのそれぞ れに対し、エッジシフト検出部 109がエッジシフト量を以下のように測定する。
4Tスペースが 3Tマークの直前にある場合、パターン検出部 108は Pattern— 2のパス P2Bと Pattern—4のパス P4Aとを選択する(図 8、 9参照)。エッジシフト検出部 109は最 尤復号部への入力信号の対応部分の波形を各パス P2B、 P4Aと比較し、それらの間 の距離から、各パス P2B、 P4Aを正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量 4S3M、 4
B
S3Mを計算する。エッジシフト検出部 109は更に、それら二つのエッジシフト量 4S3M
A B
、 4S3Mを平均し、その平均値を、 4Tスペースが 3Tマークの直前にある場合のエッジ
A
シフト量 4S3Mとして決定する:
[0067] 4S3M = (4S3M +4S3M )/20
B A
[0068] 長さ 5T以上のスペースが 3Tマークの直前にある場合も同様に、入力信号の対応部 分の波形が各パス P2B、 P4Aと比較され、それらの間の距離から、各パス P2B、 P4Aを 正解とするサンプル群ごとにエッジシフト量 5S3M、 5S3Mが計算される。更に、それ
B A
らの平均値が、長さ 5T以上のスペースが 3Tマークの直前にある場合のエッジシフト 量 5S3Mとして決定される。こうして、 3Tマークの直前にあるスペースの長さごとに、図 8、 9に示されているパターンが入力信号の対応部分の波形と比較されてエッジシフ ト量が測定される。それらのエッジシフト量はマーク長とスペース長との間の組み合わ せ別に図 11に表示されている。尚、正解のパスの候補が二つ(PXA、 PYB (X、 Y= l、
2、 ·■·、 8) )存在する組み合わせについては、図 11に表示された変数は、各パス PXA 、 PYBを正解とするサンプル群間でのエッジシフト量の平均値を意味する。
[0069] エッジシフト検出部 109は更に、マーク長とスペース長との間の組み合わせ別に得ら れたエッジシフト量から、前後のスペース長に依らない、マーク長ごとの平均エッジシ フト量を以下のように求める。例えば、 3Tマークの始端の平均エッジシフト量 xS3Mは 次式で得られる:
[0070] xS3M = (C * 2S3M + C * 3S3M + C * 4S3M + C * 5S3M)
——4 3S3 4S3 5S3M
+c +c +c )。
[0071] こで、四つの定数 C (i= 2、 3、 4、 5)は、エッジシフト量の測定に利用された iTスぺ ースとその直後の 3Tマークとの組み合わせのサンプノレ数を表す。すなわち、各長さ のマークについて、直前のスペース長ごとのエッジシフト量が上記のサンプル数に応 じた重み付けで平均されることで、各マークの始端の平均エッジシフト量が得られる。 こうして、エッジシフト検出部 109が 2Tマークと 3Tマークとのそれぞれについて、始端 の平均エッジシフト量 XS2M、 xS3M、及び終端の平均エッジシフト量 2MxS、 3MxSを演 算で求める。
[0072] [第 6のステップ]
記録パルス条件演算部 110はまず、エッジシフト検出部 109により測定された平均ェ ッジシフト量を利用し、 2Tマークと 3Tマークとのそれぞれについて、長さのずれ L 、 L と位相のずれ P 、P とを記録パルス条件 D、 E、 Fごとに次式で求める:
3T 2T 3T
[0073] L =xS2M- 2MxS,
2T
L =xS3M— 3MxS、
3Τ
Ρ =xS2M + 2MxS.
2Τ
Ρ =xS3M + 3MxS。
3Τ
[0074] ここで、長さのずれ L (i = 2、 3)は、光ディスク 101に実際に記録された iTマークの長さ
iT
と正規の長さ(再生クロック間隔 Tの 1倍= )との間の差を表す。長さのずれ L 力 で
iT あれば実際の iTマークの長さが正規の長さと一致し、長さのずれ L が正であれば実
iT
際の iTマークが正規の長さより長 長さのずれ L が負であれば実際の iTマークが正
iT
規の長さより短い。一方、位相のずれ P (i= 2、 3)は、光ディスク 101に実際に記録さ
れた iTマークの位相と正規の位相(再生クロックの位相)との間の差を表す。位相の ずれ P 力 であれば実際の iTマークの位相が正規の位相と一致し、位相のずれ P が iT iT 正であれば実際の iTマークの位相が正規の位相より進み、位相のずれ L が負であ
iT
れば実際の iTマークの位相が正規の位相より遅れている。
[0075] 記録パルス条件演算部 110は次に、記録パルス条件 Dを用いて記録された記録パ ターンを再生した信号について、 2Tマークと 3Tマークとのそれぞれの長さのずれ L
2T
、 L と位相のずれ P 、 P とを所定の閾値と比較する。長さのずれ L 、 L と位相のず
3T 2T 3T 2T 3T れ P 、 P とがいずれも閾値以下であった場合、記録パルス条件演算部 110は記録パ
2T 3T
ルス条件 Dを最適な記録パルス条件として決定し、記録パルス条件の最適化処理を 終える。その他に、後述の第 7のステップで求められた補正値 m、 nがいずれも 0にな つた場合も、記録パルス条件演算部 110は記録パルス条件の最適化処理を終える。 一方、長さのずれ L 、L と位相のずれ P 、P とのいずれかが閾値を超えた場合、
2T 3T 2T 3T
記録パルス条件演算部 110は第 7のステップ以降の処理を続行し、記録パルス条件 の補正を行う。尚、この判定に使われるべき指標としては、長さのずれ L 、 L と位相
2T 3T のずれ P 、P との他に、それらの二乗和、再生信号のジッタ、又は、再生信号の品
2T 3T
質を表すその他の指標(例えば、 MLSE、 bER、 SER)の組み合わせが用いられて ち民い。
[0076] [第 7のステップ]
記録パルス条件演算部 110は、記録パルス条件 D、 E、 Fのそれぞれについて得ら れた 2Tマークと 3Tマークとのそれぞれの長さのずれ L 、L と位相のずれ P 、P とに
2T 3T 2T 3T 基づき、記録パルス条件の補正値を以下のように演算で求める。その演算では以下 のパラメータが用いられる:
•記録パルス条件 D、 E、 Fのそれぞれでの長さのずれ L (D)、 L (D)、 L (E)、 L (E)
2T 3T 2T 3T
、 L (F)、L (F)、及び位相のずれ P (D)、 P (D)、 P (E)、 P (E)、 P (F)、 P (F) ;
2T 3T 2T 3T 2T 3T 2T 3T
•基準の記録パルス条件 Dとマーク長調整用の記録パルス条件 Eとの間での、長さ のずれの差 L12 、 L12 と位相のずれの差 P12 、 P12 ;
2T 3T 2T 3T
•基準の記録パルス条件 Dとマーク位相調整用の記録パルス条件 Fとの間での、長 さのずれの差 L13 、 L13 と位相のずれの差 P13 、 P13 ;
2T 3T 2T 3T
'マーク長の補正量 m 、 m とマークの位相の補正量 n 、 n 。好ましくは、補正量 m
2T 3T 2T 3T 2
、 m 、 n 、 n がいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される
T 3T 2T 3T
[0077] 記録パルス条件演算部 110は、長さのずれの差 L12 、 L12 、 L13 、 L13 、及び位
2T 3T 2T 3T 相のずれの差 P12 、 P12 、 P13 、 P13 をそれぞれ、以下のように計算する。記録パ
2T 3T 2T 3T
ルス条件演算部 110はまず、記録パルス条件 D、 E間での長さのずれ L (D)、L (E)の
2T 2T 差、及び L (D)、 L (E)の差をそれぞれ、記録パルス条件 D、 E間での長さのずれの
3T 3T
差 L12 、し 12 として次式で求める:
2Τ 3T
[0078] L12 =L (E)— L (D)ヽ
2T 2T 2T
L12 =L (E)— L (D)。
3T 3T 3T
[0079] 記録パルス条件演算部 110は次に、記録パルス条件 D、 E間での位相のずれ P (D)
2T
、 P (E)の差、及び P (D)、P (E)の差をそれぞれ、記録パルス条件 D、 E間での位相
2T 3T 3T
のずれの差 P12 、 P12 として次式で求める:
2Τ 3T
[0080] P12 =P (E)— P (D)ゝ
2T 2T 2T
P12 =P (E)— P (D)。
3T 3T 3T
[0081] 記録パルス条件演算部 110は続いて、記録パルス条件 D、 F間での長さのずれ L (
2T
D)、L (F)の差、及び L (D)、L (F)の差をそれぞれ、記録パルス条件 D、 F間での長
2T 3T 3T
さのずれの差 L13 、 L13 として次式で求める:
2Τ 3T
[0082] L13 = _ [L (F)-L (D)]、
2T 2Τ 2Τ
L13 =L (F)-L (D)。
3Τ 3Τ 3Τ
[0083] 記録パルス条件演算部 110は更に、記録パルス条件 D、 F間での位相のずれ P (D)
2T
、 P (F)の差、及び P (D)、P (F)の差をそれぞれ、記録パルス条件 D、 F間での位相
2T 3T 3T
のずれの差 P13 、 P13 として次式で求める:
2Τ 3T
[0084] P13 = _ [P (F)-P (D)]、
2T 2Τ 2Τ
P13 =Ρ (F)-P (D)。
3Τ 3Τ 3Τ
[0085] 記録パルス条件演算部 110は長さのずれの差 L12x、 L13x[x = 2T、 3T]と位相のず れの差 Ρ12χ、 Ρ13χとに基づき、記録パルス条件 D、 E、 Fのうちエッジシフト量が最も 小さい記録パルス条件(ここでは、記録パルス条件 D)での長さのずれ Lxと位相のず
れ Pxとのそれぞれを目標値 0まで変化させるのに必要な補正量 mx、 nxを、線形の連 立方程式ひ)〜 (4) (以下、シフト補正方程式とレ、う)で求める:
[0086] L +L12 * m +L13 * n =0、 (1)
2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ
Ρ +P12 * m +P13 * η =0、 (2)
2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ
L +L12 * m +L13 * η =0、 (3)
3Τ 3Τ 3Τ 3Τ 3Τ
Ρ +P12 * m +P13 * η =0 (4)
3Τ 3Τ 3Τ 3Τ 3Τ
[0087] シフト補正方程式ひ)〜 (4)は以下のことを意味する:
第 4のステップでの設定により、記録パルス条件 Εは記録パルス条件 Dと比べ、パラ メータ dTtop、 Ttopの値が + 1単位ずつ異なる(図 5、 7参照)。従って、記録パルス条 件 D、 E間での長さのずれの差 L12xと位相のずれの差 P12xとはパラメータ dTtop、 Tto pの + 1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータ dTtop、 Ttopの変化に伴う長さ のずれの変化と位相のずれの変化とがレ、ずれもパラメータ dTtop、 Ttopの変化に比 例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、ノ ラメータ d Ttop, Ttopの基準値 a、 bを補正量 m ずつ変化させ、かつ基準値 d、 eを補正量 m ず
2T 3T つ変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パターンを再生した 信号では、長さのずれが記録パルス条件 Dでの長さのずれ Lxから、記録パルス条件 D、 E間での長さのずれの差 L12xと補正量 mxとの積だけ変化し、位相のずれが記録 パルス条件 Dでの位相のずれ Pxから、記録パルス条件 D、 E間での位相のずれの差 P12xと補正量 mxとの積だけ変化する。
[0088] 記録パルス条件 Fは記録パルス条件 Dと比べ、 2Tマークに関するパラメータ dTtop、 dTeの値が— 1単位ずつ異なり、 3Tマークに関するパラメータ dTtop、 dTeの値が + 1 単位ずつ異なり、 3Tマークに関するパラメータ Tipの値が一 1単位異なる(図 5、 7参照 )。そのようなパラメータ dTtop、 Tlp、 dTeの ± 1単位の変化によって記録パルス条件 D 、 F間での長さのずれの差 L13xと位相のずれの差 P13xとが生じる。ここで、「パラメ一 タ dTtop、 Tip, dTeの変化に伴う長さのずれの変化と位相のずれの変化とがいずれも パラメータ dTtop、 Tip, dTeの変化に比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定から は次のことが言える:もし、パラメータ dTtop、 Tlp、 dTeの基準値 a、 c、 d、 f、 gをそれぞ れ、 n n 、n n 、n 変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、
2T 2T 3T 3T 3T
その記録パターンを再生した信号では、長さのずれが記録パルス条件 Dでの長さの ずれ Lxから、記録パルス条件 D、 F間での長さのずれの差 L13xと補正量 nxとの積だ け変化し、位相のずれが記録パルス条件 Dでの Pxから、記録パルス条件 D、 F間での 位相のずれの差 P13xと補正量 nxとの積だけ変化する。
[0089] それ故、シフト補正方程式 (1)〜(4)を同時に満たす補正量 mx、 nxを用いてパラメ一 タの値を基準値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、その記録パ ターンを再生した信号では長さのずれと位相のずれとがいずれも目標値 0に一致す る。
[0090] 記録パルス条件 Eは主にマーク長の調整を目的として設定され、記録パルス条件 F は主にマーク長の調整を目的として設定される。しかし、記録パルス条件 Eで記録さ れたパターンを再生した信号では、マーク長のずれ Lxだけでなぐマークの位相のず れ Pxも変化する。逆に、記録パルス条件 Fで記録されたパターンを再生した信号では 、マークの位相のずれ Pxだけでなぐマーク長のずれ Lxも変化する。すなわち、記録 ノ ルス条件の変更に伴うマーク長の変化とマークの位相の変化とが互いに独立では なぐむしろ相互に依存する。それらの関係をシフト補正方程式ひ)〜 (4)で線形に近 似することにより、長さのずれの差 L12x、 L13xと位相のずれの差 P12x、 P13xとの各測 定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能である。尚、 補正量 mx、 nxは好ましくは、シフト補正方程式ひ)〜 (4)を解いた次式 (5)〜(8)から計算 される:
[0091] mm ==((PP ** LL1133 _-LL ** PP1133 ))//((LL1122 ** PP1133 __PP1122 ** LL1133 ))、、 (5)
2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T
n =(L * P12 — P * L12 )/(L12 * P13 -P12 * L13 )、 (6)
2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T
m =(P * L13 — L * P13 )/(L12 * P13 -P12 * L13 )、 (7)
3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T
n =(L * P12 — P * L12 )/(L12 * P13 -P12 * L13 )。 (8)
3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T
[0092] 式 (5)〜(8)から得られた補正量 mx、 nxは更に、好ましくは小数点以下を四捨五入する ことにより、整数値に丸められる。こうして得られた補正量 mx、 nxを用い、記録パルス 条件演算部 110は記録パルス条件を次のように補正する(図 12参照)。記録パルス条 件演算部 110は、まず、 2Tマークに関し、パラメータ dTtop、 Ttopの各基準値 a、 bをマ ーク長の補正量 m ずつ加算する。更に、パラメータ dTtop、 dTeの各基準値 a、 cをマ
-クの位相の補正量 n ずつ加算する:
2T
[0093] 2T:dTtop = a + m +n
2T :
2T:Ttop = b + m 、
2Τ
2T:dTe = c + n 。
[0094] 記録パルス条件演算部 110は、次に、 3Tマークに関し、パラメータ dTtop、 Ttop、 Tip 、 dTeの各基準値 d、 e、 f、 gを補正量 m 、n を使って次式のように補正する:
3T 3T
[0095] 3T:dTtop = d + m +n 、
3Τ 3Τ
3T:Ttop = e + m 、
3Τ
3T:Tlp=f-m 、
3Τ
3Τ: dTe = g + n 。
3Τ
[0096] 記録パルス条件演算部 110は上記の補正で得られた記録パルス条件 Gを、記録パ ルス条件 Dに代えて初期条件として設定する。それにより、次の第 8のステップで第 4 のステップからの処理の繰り返しが判断された場合、次の第 4のステップでは記録パ ルス条件 Dに代え、記録パルス条件 Gのパラメータの値が基準値として設定される。
[0097] シフト補正方程式ひ)〜 (4)では長さのずれと位相のずれとの各目標値が一律に、 0 に設定されている。それにより、最尤復号処理でのエラーの発生確率が最小化され るように、記録パルス条件が最適化される。ここで、最尤復号処理でのエラーの発生 確率と、再生信号の品質を表す他の指標(例えば、ジッタやリミットイコライザ後のジッ タ)との間の良好なバランスが望まれている場合、各目標値が 0以外の値に設定され ても良ぐ更に 2Τマークと 3Τマークとの間で異なっていても良レ、。長さのずれと位相 のずれとの各目標値を Ltx、 Ptx(x = 2T、 3T)とするとき、シフト補正方程式は以下の 連立方程式 (9)〜(12)で表され、その解は式 (13)〜(16)で表される:
[0098] L +Lt +L12 *m +L13 *n =0、 (9)
2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ
Ρ +Pt +P12 *m +P13 *η =0、 (10)
2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ
L +Lt +L12 *m +L13 *η =0、 (11)
3Τ 3Τ 3Τ 3Τ 3Τ 3Τ
Ρ +Pt +P12 *m +P13 *η =0。 (12)
3Τ 3Τ 3Τ 3Τ 3Τ 3Τ
m =(Ρ *L13 -L *Ρ13 )/(L12 *Ρ13 _Ρ12 *L13 )
2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ 2Τ
+ (Pt *L13 — Lt *P13 )/(L12 *P13 — P12 *L13 )、 (13)
2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T
n =(L * P12 -P * L12 )/(L12 * P13 _P12 * L13 )
2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T
+ (Lt * P12 -Pt * L12 )/(L12 * P13 _P12 * L13 )、 (14)
2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T 2T m =(P * L13 -L * P13 )/(L12 * P13 _P12 * L13 )
3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T
+ (Pt * L13 -Lt * P13 )/(L12 * P13 _P12 * L13 )、 (15)
3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T n =(L * P12 -P * L12 )/(L12 * P13 _P12 * L13 )
3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T
+ (Lt * P12 -Pt * L12 )/(L12 * P13 _P12 * L13 )。 (16)
3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T 3T
[0099] ここで、補正量 mx、 nx (x = 2T、 3T)は好ましくは、小数点以下を四捨五入することで 整数に丸められる。尚、記録再生装置は好ましくは、各目標値 Ltx、 Ptxを光ディスク の種類別に予め記憶している。
[0100] [第 8のステップ]
第 1〜第 7のステップでは、マーク長とその前後のスペース長との間の組み合わせ ごとにエッジシフト量が測定され、各測定結果からマーク長ごとの平均エッジシフト量 が求められ、その平均エッジシフト量に基づいて記録パルス条件が調整される。ここ で、平均エッジシフト量では、マークの前後のスペース長の違いによるエッジシフト量 の変動が均されている。し力 、光ディスク 101の種類によっては、マークとスペースと の間での熱の干渉がマークの前後のスペース長に応じて顕著に変動し得る。そのよ うな光ディスクにデータが書き込まれるときは、記録パルス条件力 マーク長だけでな く、前後のスペース長にも応じて変化しなければならなレ、。ここで、マークの前後のス ペース長が考慮される場合、記録パルス条件に含まれるべきパラメータの組み合わ せの数が、マーク長とスペース長との間の組み合わせの数と共に著しく増加する。試 し記録により調整されるべきパラメータの数が多い場合、学習に要する時間が長ぐ し力も、記録条件学習領域 1003のトラックが多数消費される。特に追記型ディスクの ようにデータを一回しか記録できない光ディスクでは記録条件学習領域のトラック数 の制限から学習回数が制限されるので、一回の学習で消費されるトラック数はできる だけ少ないことが好ましい。従って、第 8のステップでは、光ディスク 101の種類や第 1 〜第 7のステップの結果に基づき、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償 が必要か否かが判断される。その補償が不要である場合、第 9のステップ以降がスキ ップされ、処理が第 4のステップ力も繰り返される。特に二回目の第 4のステップでは
、図 5に示されている記録パルス条件 D、 E、 Fに代え、図 12に示されている記録パ ルス条件 G、 H、 Iが利用される。従って、記録パルス条件の補正にはマーク長ごとの 平均エッジシフト量のみが利用される。このように補正対象のパラメータが限定される ことで、記録パルス条件の調整時間が更に短縮可能であり、かつ、マークの品質が 更に向上可能である。一方、マークの前後のスペース長を考慮した更なる補償が必 要である場合 (例えば、光ディスク 101の種類がそのような光ディスクである場合や、 第 1〜第 7のステップの結果ではマークのエッジシフト量の補償が不十分であった場 合)、処理が第 9のステップに進み、マークの前後スペース長に応じた記録パルス条 件の更なる調整が実行される。
[0101] 第 8のステップでは好ましくは、マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条 件の更なる調整の必要性が次のように定量的に判断される。記録パルス条件演算部 110は、マーク長 iT (i= 2、 3、 4以上)ごとに、前後のスペース長 jT (j=2、 3、 4、 5以上) に応じたエッジシフト量 jSiM、 iMjSの各分散値 σ σ 2 (エッジシフト量 jSiM、 iMj xSiM i xS
Sと平均エッジシフト量 xSiM、 iMxSとの間の差の二乗平均値)を求め、得られた分散 値 σ σ 2の平均値の平方根を指標 σ として決定する:
xSiM iMxS SP
[0102] σ 2
xS2M
= [(3S2M -xS2M)2 + (4S2M-xS2M) + (5S2M-xS2M)2]/3, (17)
2
σ
xS3M
= [(2S3 -xS3M)2 + (3S3M-xS3 )2
+ (4S3M— xS3M)2 + (5S3M— xS3M)2]/4、 (18)
2
σ
xS4
= [(2S4 - xS4M)2 + (3S4M - xS4 )2
+ (4S4M— xS4M)2 + (5S4M— xS4M)2]/4、 (19)
2
σ
2 xS
= [(2 3S -2 xS)2 + (2M4S- 2MxS)2 + (2 5S - 2MxS)2]/3, (20)
2
σ
3 xS
= [(3 2S - 3 xS)2 + (3M3S- 3MxS)2
+ (3M4S - 3MxS)2 + (3M5S - 3MxS)2]/4, (21)
2
σ
4MxS
= [(4M2S - 4MxS)2 + (4M3S- 4MxS)2
+ (4M4S - 4MxS)2 + (4M5S - 4MxS)2]/4、 (22)
σ =sqrt [( CT 2+ σ 2+ σ 2+ σ + σ + σ 2)/6 ]。 (23)
SP xS2 xS3M xS4M 2 xS 3 xS 4MxS
[0103] ここで、偏差 σ は、 iTマーク(i = 2、 3、 4以上)につレ、てその直前のスペース長に応
xSi
じた始端のばらつきの大きさを表す。偏差 σ は、 iTマークについてその直後のス
i xS
ペース長に応じた終端のばらつきの大きさを表す。式 (23)で得られた指標 σ は、前
SP
後のマーク長に依らない、スペース長ごとの長さのばらつきの大きさを表す指標とし て用いられる。尚、例えば分散 σ 2は式 (17)に代え、次式 (24)のように重み係数 C xS2 sm3
、 C 、 C を用いて計算されても良い:
2 sm42 sm52
[0104] σ 2
xS2
= [C * (3S2M—xS2M)2 + C * (4S2M—xS2M)2
sm32 sm42
+ C * (5S2M—xS2M)2]/3。 (24)
sm52
[0105] ここで、各重み係数 C (j= 3、 4、 5)は、 jTスペースに続いて 2Tマークが出現する確
smj2
率を表す。他の分散値も同様な重み付けで計算されても良い。それにより、マーク長 とスペース長との間の各組み合わせが出現する頻度に応じた分散値が得られる。
[0106] 記録パルス条件演算部 110は更に、指標 σ を所定の基準値と比較する。指標 σ
SP SP
が基準値より大きい場合、マークの前後のスペース長に応じてエッジシフト量が過大 に変化しているので、「マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件の更なる 調整が必要である」と判断される。その場合、処理が第 9のステップに進み、マーク長 とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件が調整される。一方、指標 σ が基準値より小さい場合、「マークの前後のスペース長に応じた記録パルス条件
SP
の更なる調整が不要である」と判断され、処理が第 4のステップに戻り、マーク長ごと に記録パルス条件の補正が繰り返される。
[0107] [第 9のステップ]
マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録パルス条件を調整する目的 で、試し書きが以下のように行われる。
ここで、試し書きに利用される記録パルス条件を図 14に示す。記録パルス条件 Gは
、第 7のステップの補正で得られた記録パルス条件である。記録パルス条件演算部 1 10はまず、記録パルス条件 Gに含まれているパラメータの値を初期値として設定する 。記録パルス条件演算部 110は次に、記録パルス条件 Gに含まれている、 2Tスペース とその直後の 3Tマークとの組み合わせ、 2Tスペースとその直後の長さ 4T以上のマー クとの組み合わせ、及び長さ 5T以上のスペースとその直後の 2Tマークとの組み合わ せに関し、二つのパラメータ dTtop、 Ttopの初期値をそれぞれ 1単位ずつ加算し、他 の初期値と共に、記録パルス条件 Jとしてメモリに格納する。
[0108] 記録再生装置は記録パルス条件 G、 Jのそれぞれを用い、第 4のステップで用いら れた特定の記録パターンを、第 2のステップと同様に、光ディスク 101の記録学習領域 1002 (図 10参照)に試し書きする。すなわち、記録条件学習領域 1002には上記の記 録パターンが記録パルス条件 G、 Jごとに連続して記録される。
[0109] 尚、マークとスペースとの間の熱干渉がエッジシフト量に与える影響は、短いスぺー スに続くマークと最短マーク(2Tマーク)とで大きい。従って、第 9のステップでは上記 の通り、 2Tスペースと 3Tマークとの組み合わせ、 2Tスペースと長さ 4T以上のマークと の組み合わせ、及び長さ 5T以上のスペースと 2Tマークとの組み合わせ、の三種類に 関するパラメータ力 単位ずつ加算される(図 14参照)。しかし、ノ メータの動かし方 はこれらに限られなレ、。特に、他のマーク長と他のスペース長との組み合わせに関す るパラメータが変更されても良い。その他に、マークの直前のスペースごとに分類され たパラメータ dTtop、 Ttopの各値に代え、マークの直後のスペース長ごとに分類され たパラメータ Tlp、 dTeの各値が変更されても良レ、。
[0110] [第 10のステップ]
記録再生装置は、以下のように、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに エッジシフト量を測定する。まず、記録パルス条件 G、 Jのそれぞれで上記の記録バタ ーンが記録されたトラックから各記録パターンが再生される。更に、エッジシフト検出 部 109がその再生信号のエッジシフト量を、第 3及び第 5のステップと同様に測定する 。それにより、図 11に示されている、マーク長とスペース長との間の組み合わせごとの エッジシフト量が全て測定される。
[0111] [第 11のステップ]
記録再生装置は第 8のステップと同様な判断を行う。すなわち、記録パルス条件演 算部 110がまず、第 10のステップで得られたエッジシフト量に基づいて上記の指標 σ を計算し、得られた指標 σ を所定の基準値と比較する。指標 σ が基準値より大き
SP SP SP
い場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が過大である」と判断さ れる。その場合、処理が第 12のステップに進む。一方、指標 σ が基準値より小さい
SP
場合、「マークの前後のスペース長に応じたエッジシフト量が十分に小さい」と判断さ れ、記録パルス条件の最適化処理が終了する。
[第 12のステップ]
記録パルス条件演算部 110は、第 10のステップでエッジシフト検出部 109により測定 されたエッジシフト量に基づき、記録パルス条件の補正量を演算で求める。その演算 に用いられるパラメータは次の通りである:
'記録パルス条件 G、 Jでのエッジシフト量 2S3M(G)、 2S4M(G)、 5S2M(G)、 2S3M(J)、 2 S4M(J)、 5S2M(J) ;
'記録パルス条件 G、 J間でのエッジシフト量の差 e 、 e 、 e ;
2S3 2S4 5S2
•記録パルス条件の補正量 q 、 q 、 q 。好ましくは、補正量 q 、 q 、 q
2S3M 2S4 5S2M 2S3M 2S4 5S2M がいずれも、記録パルス条件のパラメータの単位の整数倍で表される。
[0113] 記録パルス条件演算部 110は、まず、記録パルス条件 G、 Jのそれぞれで記録され た各記録パターンを再生した信号間で、エッジシフト量 2S3M、 2S4M、 5S2Mの差 e
2S3 e 、 e を次式で求める:
2S4M 5S2M
[0114] e =2S3M(J)_ 2S3M(G)、
2S3M
e =2S4M(J)- 2S4M(G),
2S4M
e = 5S2M(J)- 5S2M(G)0
5S2M
[0115] 記録パルス条件演算部 110は次に、ェ :の差 e 、 e 、 e に基づき、
2S3M 2S4M 5S2M 記録パルス条件 Gでのエッジシフト量 2S3M、 2S4M、 5S2Mをいずれも目標値 0まで変 化させるのに必要な補正量 q 、 q 、 q を、次のシフト補正方程式 (25)〜(27)で
2S3 2S4 5S2
求める:
[0116] 2S3M + e * q =0、 (20)
2S3M 2S3
2S4M + e * q =0、 (21)
2S4M 2S4
5S2M + e * q =0。 (22)
5S2M 5S2
[0117] シフト補正方程式 (20)〜(22)は以下のことを意味する:
第 9のステップでの設定により、記録パルス条件 Jは記録パルス条件 Gと比べ、 2Tス ペースとその直後の 3Tマークとの組み合わせ、 2Tスペースとその直後の長さ 4T以上 のマークとの組み合わせ、及び長さ 5T以上のスペースとその直後の 2Tマークとの組 み合わせのそれぞれに関するパラメータ dTtop、 Ttopの値が + 1単位ずつ異なる(図 14参照)。従って、記録パルス条件 G、 J間でのエッジシフト量の差 e 、 e 、 e は
2S3 2S4 5S2 パラメータ dTtop、 Ttopの + 1単位の変化によって生じる。ここで、「パラメータ dTtop、 Ttopの変化に伴うエッジシフト量の変化がいずれもパラメータ dTtop、 Ttopの変化に 比例する」と仮定する(線形近似)。その仮定からは次のことが言える:もし、ノ ラメータ dTtop、 Ttopの各初期値を補正量 q 、 q 、 q 変化させた記録パルス条件でデ
2S3 2S4M 5S2
ータを記録すれば、その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量力 記録パ ルス条件 Gでのエッジシフト量 2S3M、 2S4M、 5S2Mから、記録パルス条件 G、 J間での エッジシフト量の差 e 、 e 、 e と補正量 q 、 q 、 q との積だけ変化する。
2S3 2S4 5S2M 2S3 2S4M 5S2
それ故、シフト補正方程式 (20)〜(22)を同時に満たす補正量 q 、 q 、 q を用い
2S3M 2S4 5S2M てパラメータの値を初期値から変化させた記録パルス条件でデータを記録すれば、 その記録パターンを再生した信号ではエッジシフト量力 Sレ、ずれも目標値 0に一致する 。こうして、シフト補正方程式 (20)〜(22)による線形近似に基づき、エッジシフト量の差 の各測定値から、記録パルス条件の最適化に必要な補正量が演算で決定可能であ る。尚、補正量 q 、 q 、 q は好ましくは、シフト補正方程式 (20)〜(22)を解いた
2S3 2S4M 5S2
次式 (23)〜(25)から計算される:
[0118] q = -2S3M/e 、 (23)
2S3 2S3
q = -2S4M/e 、 (24)
2S4 2S4
q = - 5S2M/e 。 (25)
5S2 5S2
[0119] 式 (23)〜(25)から得られた補正量 q 、 q 、 q は更に、好ましくは小数点以下を
2S3 2S4 5S2
四捨五入することにより、整数値に丸められる。こうして得られた記録パルス条件の補 正量 q 、 q 、 q を用レ、、記録パルス条件演算部 110は記録パルス条件を次のよ
2S3 2S4 5S2
うに補正する。記録パルス条件演算部 110は、まず、 2Tスペースと 3Tマークとの組み
合わせに関し、ノ ラメータ dTtop、 Ttopの各初期値 Gを補正量 q ずつ加算する:
2S3
[0120] 2Tスペース /3Tマーク: dTtop = G + q 、
2S3
2Tスペース /3Tマーク: Ttop = G + q 。
2S3
[0121] 記録パルス条件演算部 110は、 2Tスペースと長さ 4T以上のマークとの組み合わせ、 及び長さ 5T以上のスペースと 2Tマークとの組み合わせのそれぞれに関しても同様に 、パラメータ dTtop、 Ttopの各初期値 Gを補正量 q 、 q を使って次式のように補正
2S4 5S2
する:
[0122] 2Tスペース /4T以上マーク: dTtop = G + q 、
2S4M
2Tスペース /4T以上マーク: Ttop = G + q 、
2S4M
5T以上スペース /2Tマーク: dTtop = G + q 、
5S2M
5T以上スペース /2Tマーク: Ttop = G + q 。
5S2M
[0123] 記録パルス条件演算部 110は上記の補正で得られた記録パルス条件 Kを、記録パ ルス条件 Gに代えて初期条件に設定する。その後、処理が第 9のステップ力 繰り返 される。特に、次の第 9のステップでは記録パルス条件 Gに代え、記録パルス条件 K のパラメータの値が初期値として設定される。
[0124] シフト補正方程式 (23)〜(25)ではエッジシフト量の目標値が一律に、 0に設定されて いる。それにより、最尤復号処理でのエラーの発生確率が最小化されるように、記録 パルス条件が最適化される。ここで、最尤復号処理でのエラーの発生確率と、再生信 号の品質を表す他の指標 (例えば、ジッタやリミットイコライザ後のジッタ)との間の良 好なバランスが望まれている場合、各目標値力 以外の値に設定されても良ぐ更に マーク長とスペース長との間の組み合わせごとに異なっていても良い。
[0125] 好ましくは、光ディスク 101の初期値記録領域 1003等に、基準の記録パルス条件と マーク長調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの差、及 び、基準の記録パルス条件とマーク位相調整用の記録パルス条件との間での長さの ずれの差と位相のずれの差が記録されている。その他に、二つの記録パルス条件間 でのエッジシフト量の差がマーク長とスペース長との間の組み合わせごとに記録され ていても良い。その場合、更に好ましくは、例えば光ディスク 101のローデイング時、記 録パルス条件復調部 114 (図 1参照)が光ディスク 101の初期値記録領域 1003から長
さのずれの差と位相のずれの差とを読み出す。それにより、第 7のステップでは光ディ スク 101から読み出された長さのずれの差と位相のずれの差とが補正に利用されても 良レ、。同様に、第 12のステップでは、光ディスク 101から予め読み出されたエッジシフ ト量の差が補正に利用されても良い。その結果、実際の試し書きには基準の記録パ ルス条件のみが用いられれば良いので、試し書きの回数が更に削減可能である。
[0126] その他に、記録再生装置が、上記の最適化処理で利用された、基準の記録パルス 条件とマーク長調整用の記録パルス条件との間での長さのずれの差と位相のずれの 差、基準の記録パルス条件とマーク位相調整用の記録パルス条件との間での長さの ずれの差と位相のずれの差、又は二つの記録パルス条件間でのエッジシフト量の差 を光ディスク 101に記録しても良レ、。それにより、次の記録時では、記録パルス条件復 調部 114がそれらの値を参照する。その結果、記録パルス条件が更に速やかに最適 化される。
産業上の利用可能性
[0127] 本発明は光ディスク記録再生装置及びそのデータ記録方法に関し、上記の通り、 記録パルス条件を最適化する。このように、本発明は明らかに産業上利用可能であ る。