JP4832713B2 - 光ディスク記録装置および光ディスク記録装置におけるライトストラテジの調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録装置に関し、特に、光ディスクに情報を記録する際のライトストラテジの調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信技術の発達により、例えば、インターネット等により、多くの情報がさかんにやり取りされている。こうした状況の中、情報の追記及び書き換えが可能で小型、大容量の追記及び書き換え型光ディスクが注目されている。光記録装置で情報の記録を行う追記及び書き換え型光ディスクについては、それぞれの物性等の違いや光記録装置との相性により、最適なライトストラテジが存在する。したがって、従来は、市場において流通し、よく使われる一般的な光ディスクについては、それぞれの光ディスクについて、既知のライトストラテジを用いて、記録動作が行われるが、未知のディスクに記録を行う場合には、標準的なライトストラテジを用いて、記録動作を行っていたが、未知の光ディスクと標準的なライトストラテジとの相性が悪い場合には、再生不能状態に陥るなどの問題が発生する可能性がある。
【0003】
こうした問題に対応するため、未知の光ディスクに情報を記録する際に、2種類の異なるライトストラテジで記録を行い、記録した情報から補正相関をとって基準ライトストラテジを未知の光ディスクに最適なライトストラテジとするために、記録パワー、マルチパルス、トップパルスの優先順位で補正する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−30837号公報(第2−18頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既知の光ディスクについても、光記憶装置の機差や光ディスクの個体差あるいは動作環境等を考慮すれば、初期に設定したライトストラテジをそれぞれの条件に対応して補正することが望ましい。また、ライトストラテジの初期設定においても、記録パラメータが多いため、試行錯誤的あるいは経験値的な調整方法では、調整に多大な時間を要するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、簡易な方法により、様々な光ディスク、様々な条件において、それぞれに最適なライトストラテジを設定することができる光ディスク記録装置および光ディスク記録装置におけるライトストラテジの調整方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、半導体レーザにより情報を記録する光ディスク記録装置であって、所定のライトストラテジを記憶する記憶手段と、該所定のライトストラテジで記録されたマーク部の前後に形成されたスペース部の長さを測定するスペース長測定手段と、該測定したスペース長と基準となるスペース長とから補正値を演算し、該演算した補正値により前記所定のライトストラテジに関し、記録マーク長のみによって決定される記録パラメータ(スタティックパラメータ)を補正するスタティックパラメータ補正手段とを有することを特徴とする光ディスク記録装置を提案している。
【0008】
請求項7に係る発明は、所定のライトストラテジで記録されたマーク部の前後に形成されたスペース部の長さを測定するステップと、該測定したスペース長と基準となるスペース長とから補正値を演算するステップと、該演算した補正値により前記所定のライトストラテジに関し、記録マーク長のみによって決定される記録パラメータを補正するステップとを有することを特徴とする光ディスク記録装置におけるライトストラテジの調整方法を提案している。
【0009】
これらの発明によれば、スペース長測定手段が所定のライトストラテジで記録されたマーク部の前後に形成されたスペース部の長さを測定し、スタティックパラメータ補正手段が測定したスペース長と基準となるスペース長とから補正値を演算し、演算した補正値によりスタティックパラメータを補正するため、未知の光ディスクに記録を行う場合であっても、ライトストテジを最適化することができる。なお、所定のライトストラテジとしては、基準ディスクに対するライトストラテジや製造メーカ等に対応するライトストラテジ等を用いることができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された光ディスク記録装置について、前記スペース長測定手段が、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各マーク部の前後に設けられた所定の長さを有する各スペース長を測定するとともに、該測定したスペース長を該所定の長さを有する各マーク部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する統計処理手段を有し、前記スタティックパラメータ補正手段が、基準となるスペース長として該統計処理されたスペース長を用いることを特徴とする光ディスク記録装置を提案している。
【0011】
この発明によれば、スペース長測定手段は、各マーク部の前後に設けられた所定の長さを有する各スペース長を測定する。統計処理手段は、測定したスペース長を所定の長さを有する各マーク部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する。スタティックパラメータ補正手段は、基準となるスペース長として統計処理されたスペース長を用いるので、各光ディスクに対して、さらに、ライトストラテジを最適化することができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、半導体レーザにより情報を記録する光ディスク記録装置であって、所定のライトストラテジを記憶する記憶手段と、該所定のライトストラテジで記録されたスペース部の前後に形成されたマーク部の長さを測定するマーク長測定手段と、該測定したマーク長と予め設定されたマーク長とから補正値を演算し、該演算した補正値により前記所定のライトストラテジに関し、記録マーク長およびその前後に形成されるスペース長によって決定される記録パラメータ(ダイナミックパラメータ)を補正するダイナミックパラメータ補正手段とを有することを特徴とする光ディスク記録装置を提案している。
【0013】
請求項8に係る発明は、所定のライトストラテジで記録されたスペース部の前後に形成されたマーク部の長さを測定するステップと、該測定したマーク長と予め設定されたマーク長とから補正値を演算するステップと、該演算した補正値により前記所定のライトストラテジに関する記録マーク長およびその前後に形成されるスペース長によって決定される記録パラメータを補正するステップとを有することを特徴とする光ディスク記録装置におけるライトストラテジの調整方法を提案している。
【0014】
これらの発明によれば、マーク長測定手段が所定のライトストラテジで記録されたスペース部の前後に形成されたマーク部の長さを測定し、ダイナミックパラメータ補正手段が測定したマーク長と基準となるマーク長とから補正値を演算し、演算した補正値によりダイナミックパラメータを補正するため、未知の光ディスクに記録を行う場合であっても、ライトストテジを最適化することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載された光ディスク記録装置について、前記マーク長測定手段が、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各スペース部の前後に設けられた所定の長さを有する各マーク長を測定するとともに、該測定したマーク長を該所定の長さを有する各スペース部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する統計処理手段を有し、前記ダイナミックパラメータ補正手段が、基準となるマーク長として該統計処理されたマーク長を用いることを特徴とする光ディスク記録装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、マーク長測定手段は、各スペース部の前後に設けられた所定の長さを有する各マーク長を測定する。統計処理手段は、測定したマーク長を所定の長さを有する各スペース部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する。ダイナミックパラメータ補正手段は、基準となるマーク長として統計処理されたマーク長を用いるので、各光ディスクに対して、さらに、ライトストラテジを最適化することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項2または請求項4に記載された光ディスク装置について、前記統計処理手段が各グループの測定値を統計処理して平均値を算出することを特徴とする光ディスク装置を提案している。
この発明によれば、統計処理手段が各グループの平均値を算出し、これに基づいて所定のライトストラテジを各ディスク固有のライトストラテジに補正するため、各光ディスクに対して、ライトストラテジを最適化することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、半導体レーザにより情報を記録する光ディスク記録装置であって、ライトストラテジを記憶する記憶手段と、該所定のライトストラテジで記録され、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各マーク部の前後に形成された所定の長さを有する各スペース部の長さを測定し、該測定したスペース長を所定の長さを有する各マーク部の前後に分けてグループ化して、各グループの平均値を算出する第1の平均値算出手段と、該所定のライトストラテジで記録され、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各スペース部の前後に形成された所定の長さを有する各マーク部の長さを測定し、該測定したマーク長を該所定の長さを有する各スペース部の前後に分けてグループ化して、各グループの平均値を算出する第2の平均値算出手段と、該算出されたスペース長の各平均値と測定されたスペース長とから補正値を算出する第1の補正値算出手段と、該算出されたマーク長の各平均値と測定されたマーク長とから補正値を算出する第2の補正値算出手段とを有し、該第1の補正値算出手段により算出された補正値と第2の補正値算出手段により算出された補正値の和により、前記所定のストラテジを補正することを特徴とする光ディスク記録装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、所定のライトストラテジに対する補正値が、スタティックパラメータおよびダイナミックパラメータ双方の補正値の和であることから、より詳細な補正を行うことができ、各光ディスクに対するライトストラテジをより最適化することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るについて図1から図10を参照して詳細に説明する。
本実施形態にかかる光記録装置は、図1に示すように、光ディスク1と、光ピックアップ2と、APC(APC:Auto Power Control)3と、RFアンプ4と、サーボ回路5と、信号処理回路6と、CPU(CPU:Central Processing Unit)7と、ドライバー8と、統計処理部9と、記憶部10、クロック生成部11とを備えている。
【0021】
光ディスク1は、半導体レーザにより情報の記録、再生、消去を行える記録媒体であり、例えば、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW等がある。光ピックアップ2は、図示しないレーザダイオード等のレーザ光源や、コリメータレンズ、フォーカスアクチュエータあるいはトラッキングアクチュエータとによって駆動される対物レンズ、偏光ビームスプリッタ、シリンドリカルレンズ等の光学部品、及びA,B,C,Dの4つの領域に分割され、光を電気信号に変換する4分割あるいは2分割のフォトディテクタ(PD)あるいは記録再生時のレーザ出力をモニタするフロントモニタダイオード等を備えている。APC3は、光ピックアップ2内のフロントモニタダイオードからの電流をモニタして、半導体レーザの出射パワーを所望の値に制御するための制御ブロックである。
【0022】
RFアンプ4は、光ディスク1からの反射光を検出し、検出した反射光より反射光量を演算して、4分割PDの各領域への反射光量の総和を示すRF信号を生成するとともに、光ピックアップ2の照射レーザの焦点ずれを検出した信号であるフォーカスエラー信号(FE)を非点収差法によって生成し、さらに光ピックアップ2の照射レーザのトラックずれを検出した信号であるトラッキングエラー信号(TE)をプッシュプル法によって生成する。サーボ回路5は、RFアンプ4において生成されたFE及びTEに基づいて、フォーカス駆動信号(FODRV)、トラッキング駆動信号(TRDRV)を生成する。
【0023】
信号処理回路6は、再生時のRF信号から生成したEFM信号を入力し、データの処理を行う一方、図示しないPLL回路を備え、スピンドルモータの回転を制御する。CPU7は、ROM(ROM:Read Only Memory)等に格納された制御プログラムに基づいて、装置全体の制御を行う。また、本実施形態においては、測定したマーク長やスペース長と記憶部10に格納された各マークおよびスペースの平均値とを比較して、ライトストラテジの補正量を算出し、これを信号処理回路6内の図示しないエンコーダに出力する。ドライバー8は、RFアンプ4において生成されたフォーカス駆動信号(FODRV)、トラッキング駆動信号(TRDRV)、あるいは、信号処理回路6において生成されたスピンドル制御信号を入力し、これを所望の大きさに増幅した後、フォーカスアクチュエータ、トラッキングアクチュエータあるいはスピンドルモータ等に供給する。
【0024】
統計処理部9は、信号処理回路6から入力した2値化されたRF信号と、クロック生成部11から供給されたクロック信号からマーク部、スペース部の長さを測定するとともに、各マークおよびスペースの発生頻度を測定し、これらの値から各マークおよびスペースの平均値を算出する。なお、詳細については後述する。記憶部10は、RAM(RAM:Random Access Memory)等の書き換え可能な記憶装置により構成され、統計処理部9において算出された各マークおよびスペースの平均値等のデータを格納する。
【0025】
統計処理部9は、図2に示すように、スペース長測定回路21と、マーク長測定回路22と、スペース/マーク長加算器23と、発生頻度測定回路24と、除算器25とから構成されている。スペース長測定回路21およびマーク長測定回路22は、信号処理回路6から2値化されたRF信号を入力し、このRF信号からマーク部、スペース部の長さを測定クロックに基づいて算出する。スペース/マーク長加算器23は、スペース長測定回路21およびマーク長測定回路22から出力された各マーク部およびスペース部の長さを光ディスク1上に形成された所定の長さを有する各マークおよびスペース長ごとに加算し、総和を算出するとともに、各マーク部およびスペース部について、各マーク部およびスペース部の前後に形成されたマーク長およびスペース長との関係から分類された各測定値の総和を算出する。
【0026】
発生頻度測定回路24は、スペース長測定回路21およびマーク長測定回路22から出力された情報により、光ディスク1上に形成された所定の長さを有する各マークおよびスペース長ごとの発生頻度を測定するとともに、各マーク部およびスペース部の前後に形成されたマーク長およびスペース長との関係から分類された各マーク部およびスペース部についての発生頻度を算出する。除算器25は、スペース/マーク長加算器23において、算出された各マークおよびスペース長ごとの測定値の総和を発生頻度測定回路24で算出された各マークおよびスペース長ごとの発生頻度の総和で除算して、各マークおよびスペース長における平均値を算出するとともに、各マーク部およびスペース部の前後に形成されたマーク長およびスペース長との関係から分類された各測定値の総和を各マーク部およびスペース部の前後に形成されたマーク長およびスペース長との関係から分類された各マーク部およびスペース部についての発生頻度で除算して、それぞれ分類された各マーク部およびスペース部についての平均値を算出する。なお、各マーク部およびスペース部の前後に形成されたマーク長およびスペース長との関係から分類された各マーク部およびスペース部についての平均値を算出する場合には、全体の発生頻度から求めた重み付け値を用いて、平均値を算出してもよい。
【0027】
次に、ライトストラテジの補正に関して、その概念を追記型CD系のEFM変調の例で説明する。
一般に、ライトストラテジは、記録されるマーク長のみによって決定されるスタティックと呼ばれるパラメータと、記録されるマーク長およびその前後のスペース長によって決定されるダイナミックと呼ばれるパラメータに分類される。いま、CD系の3Tから11Tまでのスペース長の度数分布の模式図は、図3のようになる。なお、3Tから11Tまでのマーク長の度数分布の模式図も同様に表すことができる。
【0028】
図3を用いて、3Tスペースの度数分布について詳細に説明すると、最外輪部が全3Tスペースの度数分布を示しており、3Tスペースジッタを求めるための母集団になっている。この全3Tスペースは、さらに、3Tから11Tマーク部直前の3Tスペース(9通り)、3Tから11Tマーク部直後の3Tスペース(9通り)の計18通りに分類することができる。
【0029】
図5は、記録EFMのデータパターンとそのときのレーザ出力との関係を示しており、同図(a)は、3Tスペースの直後に8Tマークがある場合を示している。また、図4は、3Tスペースの度数分布を拡大したものである。図4から、8Tマーク直前の3Tスペースの度数分布をみてみると、全3Tスペースの度数分布における平均値と8Tマーク直前の3Tスペースの度数分布の平均値とは、後者が12nsマイナスしていることがわかる。したがって、この場合、ライトストラテジを補正するには、図5(a)におけるレーザ出力波形のA部を現状よりも12nsプラスする必要がある。すなわち、図5(a)のA部を12nsプラスすることにより8Tマーク直前の3Tスペースが相対的に12nsプラスされることになる。同様に、4Tマーク直後の3Tスペースを示した図5(b)の場合も、図4の度数分布から全3Tスペースの度数分布における平均値に対して、5nsプラスしているため、図5(b)におけるレーザ出力波形のB部を現状よりも5nsマイナスする必要がある。この場合も、図5(b)のB部を5nsマイナスすることにより4Tマーク直後の3Tスペースが相対的に5nsマイナスされることになる。
【0030】
次に、図6および図7を用いて、ダイナミックパラメータの補正方法について説明する。
図7は、記録EFMのデータパターンとそのときのレーザ出力との関係を示しており、同図(a)は、3Tマークの直後に8Tスペースがある場合を示している。また、図6は、3Tマークの度数分布を拡大したものである。図6から、8Tスペース直前の3Tマークの度数分布をみてみると、全3Tマークの度数分布における平均値と8Tスペース直前の3Tマークの度数分布の平均値とは、後者が12nsマイナスしていることがわかる。したがって、この場合、ライトストラテジを補正するには、図7(a)におけるレーザ出力波形のb部を現状よりも12nsマイナスする必要がある。すなわち、図7(a)のb部を12nsマイナスすることにより8Tスペース直前の3Tマークが12nsプラスされることになる。同様に、4Tスペース直後の3Tマークを示した図7(b)の場合も、図6の度数分布から全3Tマークの度数分布における平均値に対して、5nsプラスしているため、図7(b)におけるレーザ出力波形のa部を現状よりも5nsプラスする必要がある。この場合も、図7(b)のa部を5nsプラスすることにより4Tスペース直後の3Tマークが5nsマイナスされることになる。
【0031】
次に、図8を用いて、本実施形態における光ディスク記録装置のライトストラテジ調整方法の処理について説明する。
まず、記録する光ディスクに対して、所望のβ値を得られる記録パワーを決定する(ステップ101)。なお、β値とは、図10に示すように、AC結合時のRF信号の0Vに対するレベルをそれぞれA1、A2としたときに、以下の(1)式により定まる値をいう。
β={(A1+A2)/(A1−A2)} (1)
このβ値は、式(1)に示すように、RF振幅の非対称性を示す尺度であり、それぞれのディスクについて固有値が決まっている。
【0032】
次に、記録する光ディスクに対応する対象ストラテジで試し書きを実行する(ステップ102)。なお、未知の光ディスクに対しては、標準的なライトストラテジを用いる。記録された全マークおよび全スペースは、信号処理回路6から統計処理部9に供給される2値化されたRF信号に基づいて、その記録長が測定される(ステップ103)。測定されたデータは、3Tから11Tの各マークおよびスペース長ごとにグループ化され、統計処理部9内のスペース/マーク長加算部23で、3Tから11Tの各マークおよびスペース長ごとに加算された値と発生頻度測定回路24でカウントされた3Tから11Tの各マークおよびスペース長ごとの発生頻度を除算器25に入力して、各マークおよびスペース長ごとの平均値を算出される(ステップ104)。算出された各マークおよびスペース長ごとの平均値は、CPU7を介して、記憶部10に格納され、CPU7は、測定された各マーク長およびスペース長を記憶部10に格納した対応する平均値と比較して補正値を算出し、この補正値を信号処理回路6内の図示しないエンコーダに出力してライトストラテジを変更する(ステップ105)。
【0033】
統計処理部9の処理を表1から表20を用いて、追記型CD系ディスクの実測データに基づいて説明する。
表1から表9は、スタティックパラメータに関する実測データを示したものである。スタティックパラメータの場合には、まず、3Tから11Tの各マークの直前あるいは直後にある3Tから11Tまでのスペース長が統計処理部9内のスペース長測定回路21により測定される。この結果は、例えば、以下の表1および表6のようになる。
【表1】
【表2】
【0034】
次に、スペース長測定回路21の測定結果に基づき、発生頻度測定回路24が3Tから11Tの各マークの直前あるいは直後にある3Tから11Tまでのスペースについて、その発生頻度を測定する。この結果は、例えば、以下の表2および表7のようになる。そして、測定した3Tから11Tまでのスペース長の発生頻度から各スペースに関して重み付けした値が算出される。この結果は、例えば、以下の表3および表8のようになる。なお、本実施形態においては、重み付けした値の算出に関し、測定された度数が合計度数の3%以下であるものについては省略している。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0035】
測定した3Tから11Tまでのスペース長から各スペース長の全平均値が求められる。この結果は、例えば、以下の表4のようになる。次に、算出された平均値と重み付け値は対比され、各スペースに対して差分値が求められる。求められた差分値からさらに、各マークごとの平均値が求められ、求められた平均値により、各マークあるいはスペースに対するストラテジの補正量と補正の方向が決定される。なお、補正量は、使用するICの分解能により制限される。この結果は、例えば、以下の表5および表9のようになる。
【表7】
【表8】
【表9】
【0036】
表10から表18は、ダイナミックパラメータに関する実測データを示したものである。ダイナミックパラメータの場合も、3Tから11Tの各スペースの直前あるいは直後にある3Tから11Tまでのマークについて、同様の処理がなされる。この結果は、例えば、以下の表14および表18のようになる。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【0037】
こうして、求められた補正値は、表19のような補正テーブルにまとめられ、図9に示すように、各記録マークについて、Aとa、Bとbが加算された値によって、ライトストラテジが補正される。
【表19】
本実施形態におけるライトストラテジの補正方法によれば、表20に示す実測データのように、各スペースおよびマークについて平均で約3ns程度のジッタの改善が認められる。
【表20】
【0038】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態においては、光ディスクについては、特に限定しなかったが、CD−R、DVD−R、CD−RW、DVD−RW等はもちろんのこと、これに限らず、他の形態の光ディスクであってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、未知の光ディスクに対して、適切なライトストラテジの補正を行うことにより、記録ジッタ値を改善することができるという効果がある。
また、この発明によれば、基準となるライトストラテジおよび記録パワーに対して補正を行うことから、補正のために使用する光ディスクの記録領域を最小限に抑えることができる。
また、この発明によれば、記録パラメータの補正に関して、補正を行う方向やその補正量を把握できるため、補正に要する時間を最小限に抑えることができるという効果がある。
また、この発明によれば、ランダム記録パターンでライトストラテジを補正することが可能であるため、特別なテスト記録パターン等を必要としないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る光ディスク記録装置の構成図である。
【図2】 本実施形態に係る統計処理部の構成図である。
【図3】 各スペースの度数分布図である。
【図4】 3Tスペースの度数分布を示す拡大図である。
【図5】 半導体レーザ出力と記録マークとの関係を示す図である。
【図6】 3Tマークの度数分布を示す拡大図である。
【図7】 半導体レーザ出力と記録マークとの関係を示す図である。
【図8】 本実施形態における処理フローである。
【図9】 半導体レーザ出力と記録マークおよび記録マークの前後に形成されたスペースとの関係を示す図である。
【図10】 β値を示す概念図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、2・・・光ピックアップ、3・・・APC、4・・・RFアンプ、5・・・サーボ回路、6・・・信号処理回路、7・・・CPU、8・・・ドライバー、9・・・統計処理部、10・・・記憶部、11・・・クロック生成部、21・・・スペース長測定回路、22・・・マーク長測定回路、23・・・スペース/マーク長加算器、24・・・発生頻度測定回路、25・・・除算器、
Claims (6)
- 半導体レーザにより情報を記録する光ディスク記録装置であって、
所定のライトストラテジを記憶する記憶手段と、
該所定のライトストラテジで記録されたマーク部の前後に形成されたスペース部の長さを測定するスペース長測定手段と、
該測定したスペース長と基準となるスペース長とから補正値を演算し、該演算した補正値によって、前記所定のライトストラテジにおける、記録マーク長のみによって決定される記録パラメータであるスタティックパラメータを補正するスタティックパラメータ補正手段とを有し、
前記スペース長測定手段が、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各マーク部の前後に設けられた所定の長さを有する各スペース長を測定するとともに、
該測定したスペース長を該所定の長さを有する各マーク部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する統計処理手段を有し、
前記スタティックパラメータ補正手段が、基準となるスペース長として該統計処理されたスペース長を用い、
前記所定のライトストラレジは、前記スタティックパラメータと、記録マーク長およびその前後に形成されるスペース長によって決定される記録パラメータであるダイナミックパラメータとを有することを特徴とする光ディスク記録装置。 - 半導体レーザにより情報を記録する光ディスク記録装置であって、
所定のライトストラテジを記憶する記憶手段と、
該所定のライトストラテジで記録されたスペース部の前後に形成されたマーク部の長さを測定するマーク長測定手段と、
該測定したマーク長と予め設定されたマーク長とから補正値を演算し、該演算した補正値によって、前記所定のライトストラテジにおける、記録マーク長およびその前後に形成されるスペース長によって決定される記録パラメータであるダイナミックパラメータを補正するダイナミックパラメータ補正手段とを有し、
前記マーク長測定手段が、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各スペース部の前後に設けられた所定の長さを有する各マーク長を測定するとともに、
該測定したマーク長を該所定の長さを有する各スペース部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する統計処理手段を有し、
前記ダイナミックパラメータ補正手段が、基準となるマーク長として該統計処理されたマーク長を用い、
前記所定のライトストラレジは、前記ダイナミックパラメータと、記録されるマーク長のみによって決定されるスタティックパラメータとを有することを特徴とする光ディスク記録装置。 - 前記統計処理手段が各グループの測定値を統計処理して平均値を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された光ディスク装置。
- 半導体レーザにより情報を記録する光ディスク記録装置であって、
所定のライトストラテジを記憶する記憶手段と、
該所定のライトストラテジで記録され、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各マーク部の前後に形成された所定の長さを有する各スペース部の長さを測定し、該測定したスペース長を所定の長さを有する各マーク部の前後に分けてグループ化して、各グループの平均値を算出する第1の平均値算出手段と、
該所定のライトストラテジで記録され、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各スペース部の前後に形成された所定の長さを有する各マーク部の長さを測定し、該測定したマーク長を該所定の長さを有する各スペース部の前後に分けてグループ化して、各グループの平均値を算出する第2の平均値算出手段と、
該算出されたスペース長の各平均値と測定されたスペース長とから補正値を算出する第1の補正値算出手段と、
該算出されたマーク長の各平均値と測定されたマーク長とから補正値を算出する第2の補正値算出手段とを有し、
該第1の補正値算出手段により算出された補正値と第2の補正値算出手段により算出された補正値の和により、前記所定のストラテジを補正し、
前記第1の平均値算出手段が、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各マーク部の前後に設けられた所定の長さを有する各スペース長を測定するとともに、
前記第2の平均値算出手段が、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各スペース部の前後に設けられた所定の長さを有する各マーク長を測定するとともに、
前記第1の補正値算出手段が、基準となるスペース長として該統計処理されたスペース長を用い、
前記第2の補正値算出手段が、基準となるマーク長として該統計処理されたマーク長を用い、
前記所定のライトストラレジは、記録マーク長のみによって決定される記録パラメータであるスタティックパラメータと、記録マーク長およびその前後に形成されるスペース長によって決定される記録パラメータであるダイナミックパラメータとを有することを特徴とする光ディスク記録装置。 - 所定のライトストラテジで記録されたマーク部の前後に形成されたスペース部の長さを測定するステップと、
該測定したスペース長と基準となるスペース長とから補正値を演算するステップと、
該演算した補正値によって、前記所定のライトストラテジにおける、記録マーク長のみによって決定される記録パラメータであるスタティックパラメータを補正するステップとを有し、
前記ステップのそれぞれは、光ディスク記録装置によって実行され、
前記所定のライトストラレジは、前記スタティックパラメータと、記録されるマーク長およびその前後のスペース長によって決定される記録パラメータであるダイナミックパラメータとを有し、
前記スペース部の長さを測定するステップが、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各マーク部の前後に設けられた所定の長さを有する各スペース長を測定するステップを有するとともに、
該測定したスペース長を該所定の長さを有する各マーク部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する統計処理ステップを有し、
前記スタティックパラメータを補正するステップが、基準となるスペース長として該統計処理されたスペース長を用いることを特徴とする光ディスク記録装置におけるライトストラテジの調整方法。 - 所定のライトストラテジで記録されたスペース部の前後に形成されたマーク部の長さを測定するステップと、
該測定したマーク長と予め設定されたマーク長とから補正値を演算するステップと、
該演算した補正値によって、前記所定のライトストラテジにおける、記録マーク長およびその前後に形成されるスペース長によって決定される記録パラメータであるダイナミックパラメータを補正するステップとを有し、
前記ステップのそれぞれは、光ディスク記録装置によって実行され、
前記所定のライトストラレジは、記録されるマーク長のみによって決定される記録パラメータであるスタティックパラメータと、前記ダイナミックパラメータとを有し、
前記マーク部の長さを測定するステップが、前記光ディスク上に形成された所定の長さを有する各スペース部の前後に設けられた所定の長さを有する各マーク長を測定するステップを有するとともに、
該測定したマーク長を該所定の長さを有する各スペース部の前後に分けてグループ化し、各グループの測定値を統計処理する統計処理ステップを有し、
前記ダイナミックパラメータを補正するステップが、基準となるマーク長として該統計処理されたマーク長を用いることを特徴とする光ディスク記録装置におけるライトストラテジの調整方法。
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