JP4253257B2 - 記録パワー決定方法及び情報記録装置 - Google Patents

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Description

この発明は、光ディスクのような相変化型の光記録媒体に対して多値データを記録する際の記録パワーを適切に決定するための記録パワー決定方法及び、このような方法で決定した記録パワーで相変化型の光記録媒体に多値データを記録する情報記録装置に関する。
従来より情報を記録する媒体は種々あるが、その中でも近年においてはCD、DVDなどの光記録媒体の普及が著しい。そして、これら光記録媒体はさらなる記録密度の向上や大容量化が強く要望されてきている。この光記録媒体における記録密度の高密度化を図る方法として、まず光ピックアップの改良が考えられる。具体的には、光源の短波長化や、対物レンズ開口数(NA)を大きくする手段等により光記録媒体上に形成されるスポット小径化があげられるが、このようなスポット小径化には限界がある。
そこで、上記の光ピックアップの改良以外で情報の高密度化さらには高速転送化を成し遂げる方法の一つとして多値記録方式の採用が挙げられる。通常の相変化を用いた記録方法としては、記録マークの有無で情報を記録する2値記録が一般的であるが、多値記録は一つの記録単位(セル)に複数の情報を記録する方法であり、一つのセル内に一つのマークを記録し、トラック方向のマーク長を多段階に切り換えることにより、多値記録を行っている。つまり、一つのセル内のアモルファスマークと結晶状態のベースとの比率を変化させ、その反射光強度の変化を検出することによって多値情報を再生する。
このように相変化型の光記録媒体に対して多値情報を記録する方法の例としては、特許文献1に記載の方法が挙げられる。そして、この文献には、データの0または1の個数に比例した長さのマーク/スペースを記録し、マークの前後両エッジ位置に情報を持たせるマークエッジ記録方式が開示されている。
しかしながら、光記録媒体や情報記録装置の記録特性には個体差や環境変化によりばらつきがあるため、上記のような光記録媒体へのマーク形成を適切に行うためには、状態に応じて最適な記録パワーを決定する必要がある。このような記録パワーを決定するための試し書きの方法として、従来より以下のような種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献2には、記録パワーPを逐次変化させながらパターンを試し書きし、これを再生して記録パワーPに対応した記録信号振幅mをモニターし、ΔPをPの近傍における微小変化量とし、Δmをmの近傍におけるΔPに対応した微小変化量として、規格化された傾斜であるg(P)=(Δm/m)/(ΔP/P)を求め、このg(P)に基づいて記録パワーPの過不足を評価することにより、最適記録パワーを決定する方法が開示されている。これによれば、記録信号振幅mと記録パワーPとの間に一般的に生じるずれの関係に拘わらず、普遍的に記録パワーPの評価を行うことができるため、常に同一の記録状態で情報を記録できる利点がある。
また、特許文献3には、上記特許文献2と同様の記録パワーPおよび記録信号振幅mについての規格化した変化量であるgamma=(Δm/m)/(ΔP/P)なる式を求め、記録パワーPとgammaの複数の組み合わせからgammaを記録パワーPの連続関数として関数近似し、この連続関数が所定値となる記録パワーPの根に応じた値を最適記録パワーとして決定する方法が開示されている。
またさらに、特許文献4には、多値データの記録における最適記録パワーを求める方法として、記録パワーを漸次変化させて試し記録を行い、反射光量が飽和状態となった記録パワーを最適記録パワーとして決定する方法が開示されている。これによれば過度の記録パワーによる熱拡散の変化を感知しやすくできる。
また、特許文献5には、多値記録したデータを確実に再生するために試し書きを行い、理想の信号波形が得られるまでテスト記録(変調データに基づく露光と補正値テーブルの記録)を繰り返し行う方法が開示されている。
特開平8−147695号公報 特開平9−138946号公報 特開平11−134691号公報 特開2003−91822号公報 特開平10−134353号公報
上述した多値データの記録動作を行うにあたって最適記録パワーを適切に決定するには、対応する多値データと再生信号レベルの線形性(直線性)が重要である。また、試し書きする場合の記録パワーの段階的な切り替え変化や、再生信号レベルのモニターや、各種の信号処理や数値化処理を簡易に行う必要があり、かつ最適記録パワーを高い精度で算出しなければならない。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、記録パワーPに対応した再生信号振幅mの規格化された傾斜g(P)に基づいて、最適記録パワーを決定する具体的な手法については言及していない。そして、この方法では、光学的情報記録媒体固有の所定値に等しくなる記録パワーを求めるために、g(P)の値に基づいてPの値を修正する必要があるが、少ない回数の修正で正確な最適記録パワーを求めることは困難であった。
またこれに対して、特許文献3に記載の方法では、同様の規格化された変化量gammaに基づいて最適記録パワーを決定する具体的な手法について開示されている。しかしながら、この算出方法は、2値データ記録方式のように再生信号振幅mとその変化量gammaとが高い相関をもつ場合には有効であるが、多値データを再生信号レベルに対応させて記録する多値記録方式に適用する場合には、多値データと再生信号レベルの分離のための直線性が確保されるとは限らず、信号振幅に基づく間接的な最適記録パワーの算出では精度確保が困難であった。
特許文献4に記載の方法では、他の上記従来技術のような煩雑な工程を行わずに、簡便な方法で最適記録条件(記録パワーおよび記録パルス幅)が決定できる記録方法が開示されている。すなわち、反射光強度が飽和する記録パワーを最適記録パワーとして設定している。しかしこの方法により設定された最適記録パワーによっても、多値データと再生信号レベルの分離のための直線性の確保という点では不十分であった。
また、特許文献5に記載の方法では、試験用データを記録再生する手順と、理想波形と再生信号波形とを比較する手順と、この比較により収束しているかどうかを判定する手順(収束しているならば終了する)と、レーザ照射条件を補正する手順とを繰り返すループ処理によってテスト記録の補正を行っている。しかし、このような補正は、多くの試し書きの回数と膨大な演算手順が必要となり、テスト記録に必要な処理時間が長くなることから通常の記録開始までの待ち時間が長くなってしまうという問題があった。
1つのセル内にマーク長を多段階に切り替えて記録する多値記録方式においては、図11に示すように、データの記録は、多値データに対応して再生信号レベルが変化するように、記録トラック51上の一定の長さをもつ記録セル52毎に行う。この記録セル52毎に、再生信号レベルに応じた長さで記録マーク53が形成される。そして、多値データの再生は、所定の周波数(例えば再生光スポット54が記録セル52の中心位置に位置するタイミング)で再生信号をサンプリングし、サンプリングした反射光強度から多値データを判別する。また、再生光スポット54のスポット径は、記録セルの円周方向の長さより長いために符号間干渉が生じる。そこで、一般に、この符号間干渉を考慮して記録補正を行うことにより、正確に多値データを判定できるようにしている。
しかし、多値データとして8値の再生信号レベルを用いる記録の場合、考慮すべき多値データの組合せは8=512通りになり、ある程度の時間が必要となる。そして、上記特許文献5に記載の方法を採用した場合には、精度の高い結果を得るためには、これを多数回繰り返すことになるから、処理時間は長大なものになってしまう。
この発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、記録媒体に多値データを記録するための最適な記録パワーを、高速かつ高精度に算出できるようにすることを目的とする。
この発明は、上記の目的を達成するため、相変化型の光記録媒体に多値データを記録するための記録パワーを決定する記録パワー決定方法において、上記記録媒体に、複数の異なる試し書きパワーでそれぞれ上記多値データの各値に対応する試し書きを行い、その試し書きのデータを読み取って再生信号レベルを検出し、上記試し書きパワーの各値毎に、上記多値データの値とその読み取りに係る再生信号レベルとの相関を示すデータ近似関数を導出し、その各データ近似関数の特性と書き込みパワーの値との相関を示すパワー近似関数を導出し、そのパワー近似関数から、上記データ近似関数が線形ないし略線形の関数となるような書き込みパワーの値を導出し、その値を上記記録パワーの値とすることを特徴とするようにしたものである。
また、この発明は、記録パワー決定方法において、上記光記録媒体に、複数の異なる試し書きパワーでそれぞれ上記多値データの各値に対応する試し書きを行い、その試し書きのデータを読み取って再生信号レベルを検出し、上記試し書きパワーの各値毎に、上記多値データの値とその読み取りに係る再生信号レベルとの相関を示す近似式として、上記再生信号レベルを上記多値データの値の連続関数で表わしたデータ近似式を導出し、その各データ近似式の係数と上記試し書きに係る書き込みパワーとの相関を示す近似式として、上記データ近似式の係数の値を上記書き込みパワーの連続関数で表わしたパワー近似式を導出し、そのパワー近似式において上記係数として上記データ近似式が線形ないし略線形の関数になるような所定値を代入した場合の書き込みパワーの解を上記記録パワーの値とするようにしたものである。
また、上記の各記録パワー決定方法において、上記多値データの値をmとし、上記再生信号レベルをIとした場合に、上記データ近似式を2次式I=a×m2+b×m+cとし、上記パワー近似式を、上記係数aの値を上記書き込みパワーの連続関数で表わした式とするとよい。
あるいは、上記多値データをmとし、上記再生信号レベルをIとした場合に、上記データ近似式を2次式I=a×m2+b×m+cとし、上記パワー近似式を、上記係数bの値を上記書き込みパワーの連続関数で表わした式としてもよい。
さらに、上記書き込みパワーをPwとした場合に、上記パワー近似式を2次式a=a′×Pw2+b′×Pw+c′とし、その2次式のaに上記所定値を代入して、書き込みパワーの2次式の解を算出し、その一方を上記記録パワーの値とするようにするとよい。
あるいは、上記書き込みパワーをPwとした場合に、上記パワー近似式を2次式b=a″×Pw2+b″×Pw+c″とし、その2次式のbに上記所定値を代入して、書き込みパワーの2次式の解を算出し、その一方を上記記録パワーの値とするようにするとよい、
さらに上記データ近似式が略線形となる場合の勾配の値を上記bの所定値とするとよい。
また、上記各記録パワー決定方法において、上記記録媒体のプリフォーマット情報または上記試し書きを行う情報記録装置の記憶部から、標準記録パワー及びパルス幅の情報と、上記係数a又は上記係数bの目標値の情報とを読み出し、これを参照して上記試し書きを行う際の各試し書きパワー値及び記録波形を決定し、また上記所定値を定めるようにするとよい。
さらに、上記パワー近似式から算出される書き込みパワーの2つの解のうち、上記記録媒体のプリフォーマット情報または上記情報記録装置の記憶部から読み出された記録パワーの目標値との差が小さい方の値を、上記記録パワーの値とするようにするとよい。
また、この発明の情報記録装置は、相変化型の光記録媒体に所望の記録パワーで多値データを記録する情報記録装置において、上記記録媒体に、複数の異なる試し書きパワーでそれぞれ上記多値データの各値に対応する試し書きを行う手段と、その試し書きのデータを読み取って再生信号レベルを検出する手段と、上記試し書きパワーの各値毎に、上記多値データの値とその読み取りに係る再生信号レベルとの相関を示すデータ近似関数を導出する手段と、その各データ近似関数の特性と書き込みパワーの値との相関を示すパワー近似関数を導出する手段と、そのパワー近似関数から、上記データ近似関数が線形ないし略線形の関数となるような書き込みパワーの値を導出し、その書き込みパワーの値を記録パワーの値とする手段とを設けたものである。
以上のような記録パワー決定方法及び情報記録装置によれば、相変化型の光記録媒体に多値データを記録するための最適な記録パワーを、高速かつ高精度に算出できるようにすることができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔各実施例に共通の構成〕
図2は、この発明による情報記録装置の実施例である光ディスク装置の構成を示すブロック図であり、図3はその光ディスク装置におけるピックアップのLD(レーザダイオード)光源と受光素子およびその出力信号検出部の構成例を示す図である。
図2に示す光ディスク装置1は、記録媒体である光ディスク2に対して多値記録方式により情報を記録する際に、光ディスク2や光ディスク装置1の個体差および記録時変動や環境変化によって変動する最適記録パワーを、試し書きとその再生信号レベルから算出する機能を備えている。そして、この光ディスク装置1は、ハードウェアとしては、受光素子3とLD光源4を有するピックアップ5、再生信号検出回路6、サンプルホールド回路7、AD変換回路8、ウォブル検出回路9、クロック検出回路10、コントローラ11、メモリ12、LD駆動回路13を備えている。
ピックアップ5の詳細な構成としては、図3に示すように、半導体レーザであるLD光源4から射出されたレーザ光Lをコリメートレンズ14、偏光ビームスプリッタ15、ミラー19、λ/4板16、対物レンズ17を介して集光し、回転駆動されている光ディスク2に投光することにより情報の記録、再生が行われる。また光ディスク2からの反射光は対物レンズ17、λ/4板16を通過し、ミラー19で反射された後、偏光ビームスプリッタ15により入射光と分離して偏向され、検出レンズ18により4分割に構成された受光素子3上に導びかれ、再生信号、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号等が検出される。
このピックアップ5により光ディスク2に対する試し書きを行う場合、図2のコントローラ11は、試し書きのためのテストパターンと、後述する記録波形のパルス幅設定情報および記録パワーや消去パワー、バイアスパワーの記録設定情報を記録情報としてLD駆動回路13に出力し、LD駆動回路13は変調した信号によりピックアップ5のLD光源4を駆動して光ディスク2へ記録を行う。この試し書きを行う前には、光ディスク2が備えるプリフォーマット情報をウオブル信号やプリピット信号から読み出したり、情報記録再生装置の図示しない内部メモリから記録設定情報を読み出すことで、あらかじめ前述の記録波形を設定する。
試し書きした情報を再生する場合には、上記の受光素子3による光電変換と再生信号検出回路6での電流電圧変換と加算回路によって再生信号を検出する。またこの再生信号検出回路6の出力から、ウォブル検出回路9により前述のウォブル信号が検出され、クロック検出回路10がこのウォブル信号からPLLクロックを生成し記録時のクロックとする。再生時も同様のクロックを用いて同期することで各テストパターン中の中央位置における再生信号レベルが検出され、これを多値データの各値に対応する再生信号レベル値としてサンプルホールド回路7でサンプリングする。AD変換回路8でこの再生信号レベル値をレベルデータに変換し、コントローラ11がメモリ(RAM)12に格納する。
なお、上述の試し書きを行う際のデータ内容の単位である上記テストパターンとしては、表1に示すように多値データが前後に対称である(XYX)パターンを用いることができる。多値データの各値が0から7の8値を取る場合では、表1からわかるように64通りのパターンを有する。
Figure 0004253257
ここで、上記テストパターンで構成される多値データを、実際に光ディスクに記録するためのパルス列について説明する。このパルス列は、図4に示すようにレーザー光Lを記録パワー(書き込みパワー)Pwでトップパルス時間Tonの間照射するトップパルスと、その直後にバイアスパワーPbでオフパルス時間Toff経過させるオフパルスと、それらを除く期間に消去パワーPeで照射する消去パルスで構成する。消去パワーPeは記録パワーPwに定数εを乗じた一定比率のパワーであって、通常はε=0.5近傍に設定される。
このようなパルス列の構成は、各テストパターンの開始基準となる記録クロックエッジからそれぞれ計測した期間として示される記録パルスの立上がり期間Ta、記録パルスの立下り期間Tb、消去パルス立上がり期間Tcで定義され、またはトップパルス幅Ton=Tb−Ta、オフパルス幅Toff=Tc−Tbにより定義してもよい。
このようなパルス列の記録波形によると、トップパルスにおけるレーザ照射で光ディスクの記録膜が加熱されて記録層が融点を超えた後、オフパルス幅Toffの領域によって急冷され、結晶相がアモルファス相に相変化することによって反射光量が低下する領域が形成される。さらに、オフパルスの直後に続く消去パルスにより記録層は徐冷され、結晶相になることで反射光量が高い領域が形成される。通常は、アモルファス相の領域を記録マーク、結晶相の領域を記録スペースと称する。
ここで、記録された多値データの各値は、一定長のセル内における記録マークの長さ(それによる反射光強度の大きさ)に対応するものであるが、この記録マークの長さは記録パワーPwの強さで決まるものではない。つまり、多値データのどの値でも同じ記録パワーPwの大きさで同じトップパルス幅Tonの期間レーザを照射し、その直後の各値に対応する急冷期間の長さ(オフパルス幅Toff)によってのみ記録マークの長さが決まることになる。すなわち、最適な記録パワーが一度決定すれば、多値データのどの値でもその一つの最適記録パワーによって記録されることになる。
そして以上のような構成の記録波形において、多値データの各値に共通するトップパルス幅Ton、記録パワーPwおよび消去パワーPeの設定や、各値によってそれぞれ異なるオフパルス幅Toffの設定は、上述したように光ディスクのプリフォーマット情報もしくは光ディスク装置の記憶部から記録設定情報を読み出すことである程度適正値に近い値を設定することができる。
しかし、このようにして得られる記録設定情報は、例えば所定の条件の下で多値データと再生信号レベルの線形性が確認されている固定推奨値でしかない。従って、光ディスクや光ディスク装置の個体差および環境変化などの記録時の状況によっては最適である値が大きく変動してしまい、その固定推奨値による記録波形のままでは正しい動作が得られない場合がある。そこで、記録波形は適宜状況に合わせて再設定する必要がある。特に、最適記録パワーの変動が多値データと再生信号レベルの線形性に与える影響は大きい。
ここで、図5に記録パワーを最適値より大きく設定して記録した場合の多値データの値と再生信号レベルとの関係を示す。
この図5から明らかなように、記録パワーがその状況における最適値からずれると、多値データと再生信号レベルの線形性が崩れることがわかる。この場合には、再生時に得られた再生信号レベルから多値データの各値を一意的に対応付けることが難しく、多値データを誤検出する原因となってしまう。
そこで、この光ディスク装置1においては、光ディスク2に情報を記録する際に、記録対象の光ディスク2に対して複数の異なる試し書きパワーでそれぞれ多値データの各値に対応する試し書きを行い、その試し書きのデータを読み取って得た再生信号レベルから記録時の状況における最適記録パワーを算出し、その記録パワーによって情報の記録を行うようにしている。また、その最適とする基準を多値データと再生信号レベルの線形性としている。
次に、光ディスク装置1において行うこのような記録パワーの決定方法について説明する。この方法は、この発明の記録パワー決定方法に該当する。
この記録パワー決定方法においては、複数の異なる試し書きパワーPtでそれぞれ多値データの各値m(m=0、1、2、〜、7)に対応したオフパルス幅Toffを切り替えて試し書き行う。そして、その試し書きのデータを読み取る(再生する)と、例えば図6に示すように各値mに対応した反射光量の変化が測定されるので、各試し書きパワー毎に試し書きされた各領域を全て同じ再生パワーで再生し、各テストパターンのそれぞれの中央に位置する最高レベル(反射光量のピーク)を再生信号レベルI(m)としてサンプリングする。
なお、上記の試し書きパワーPtは、プリフォーマット情報などから示される最適記録パワーの目標値を中心とした±15〜30%程度の範囲を、少なくとも4分割以上の適当な数の間隔に分割して設定するとよい。このとき、各間隔は均等であることが好ましい。試し書きの回数は、試し書きパワーPtの設定数と同じ回数となるので、あまり細かく設定しすぎると、読み書きに要する時間が長くなり、好ましくない。
ここで、図7に、各試し書きパワーについて、多値データの値と、上記のサンプリングによって得られた再生信号レベルとの関係を示す。なお、実際の再生信号レベルは光ディスクの周内変動を受けるため、各試し書きパワーPt毎に多値データの値m=0の再生信号レベルI(0)で正規化した値同士で比較するのがよい。そこで、周内変動による影響を抑えるため、図7においても、再生信号レベルは、各試し書きパワーPt毎に、多値データの値m=0の再生信号レベルI(0)に対する各値の再生信号レベルI(m)の割合の百分率換算で示している。このように再生信号レベルI(m)を正規化した値を、正規化レベルId(m)と呼ぶことにする。なお、周内変動の影響がない場合や気にする必要がない場合には、再生信号レベルI(m)をそのまま利用してもよい。
ところで、上述したように、光ディスク2に情報を記録する際の最適記録パワーは、多値データと再生信号レベルとの関係が線形になるような記録パワーである。従って、図7のようなグラフにおいて、多値データの値mと正規化レベルId(m)との対応関係を示す近似曲線が略直線となる場合の記録パワーPwが最適であることになる。
このような条件となる記録パワーは、例えば、V′(m)をサンプリングした多値データの値mの再生信号レベルとし、
V(m)={m×(V′(7)−V′(0))/7}+V′(0)
を多値データの値mの目標線形信号レベルとした場合の
Σδ=Σ{V′(m)―V(m)} ……(式1)
で表される量を最小とする記録パワーとして求めることができる。
しかし、この(式1)に代入できる再生信号レベルV(m)、V′(m)は離散的に得られる実測値であり、同様に多値データの値mも離散的な値しか取り得ないことから、(式1)を用いて算出できる最適記録パワーも離散的にしか求めることができず、精度が低くなってしまう。
これに対し、光ディスク装置1が実行する記録パワー決定方法によれば、離散的な実測値をもとに高精度で最適記録パワーを求めることができる。以下、このための具体的な処理及び動作について、2つの実施例を示す。
〔第1実施例〕
この実施例における記録パワー決定方法の概略的な手順は、上記の試し書き及び読み取りに続き、各試し書きパワーの各値毎に多値データの各値と再生信号レベルとの相関を関数近似してそれぞれデータ近似関数を導出し、さらに各データ近似関数の係数と記録パワーとの相関を関数近似してパワー近似関数を導出し、このパワー近似関数からデータ近似関数が上記の線形条件を満たすような記録パワーを導出し、これを最適記録パワーとするものである。
具体的には、まず、図7に示したような多値データの値mと正規化レベルIdとの関係を、
Id=a×m2+b×m+c ……(式2)
のような連続な2次関数で近似する。この関数がデータ近似関数であり、この関数は、試し書きパワーごとに得られる。なお、具体的な導出方法については、mとIdの値ペアが適当な数与えられれば、公知の手法を適用できるから、説明は省略する。
そして、以上のようなデータ近似関数を得た後、さらに、各試し書きパワーPtについて得られた係数aと対応する試し書きパワーとの関係を、
a=a′×Pw2+b′×Pw+c′ ……(式3)
のような連続な2次関数で近似する。この関数がパワー近似関数であり、各データ近似関数の特性と書き込みパワーPwの値との相関を示す関数である。この関数の具体的な導出方法については、aとPtの値ペアが適当な数与えられれば、公知の手法を適用できるから、説明は省略する。
ところで、上述のデータ近似関数が線形関数になる場合、多値データの値mと正規化レベルIdとの関係は線形に近く、このような条件を満たす書き込みパワーPwを求めれば、最適な記録パワーが得られる。そこで、この実施例においては、データ近似関数において2次の係数aが0となるような書き込みパワーPwを最適記録パワーとして算出するようにしている。
そして、(式3)は、係数aと書き込みパワーとの関係を示す式であるから、上記のような書き込みパワーPwは、(式3)の左辺のaに0を代入したPwについての2次方程式を解くことにより、求めることができる。そしてこの解は、パワー近似式の各係数a′,b′,c′から、
Figure 0004253257
に従って求めることができる。
なお、この式からは2つの解が得られるが、そのうち試し書きで用いた書き込みパワーの範囲内の解を最適記録パワーとするとよい。試し書きパワーは、プリフォーマット情報等として記録されている最適記録パワーから所定の範囲内に定めるため、実際の最適記録パワーもこの範囲内にあると考えられるためである。また、光ディスク2のプリフォーマット情報または光ディスク装置1のメモリ12から読み出された記録パワーの目標値との差が小さい方の値を最適記録パワーとしてもよい。なお、(式4)の場合、2次式の領域と傾きから、値の大きい方の解を採用すればよいことがわかる。
そして、このようにして決定された書き込みパワーの値を光ディスク装置1における記録パワーとして採用することにより、最適な記録パワーを設定することができる。
以上のような算出方法によれば、試し書きパワーとして採用した値だけでなく、その間の値についても連続的に最適記録パワーの導出(探索)を行うことができる。従って、最適記録パワーを算出するための試し書きパワーの回数を最小限に減らすことができ、実際の最適記録パワーと中心付近がずれた範囲で試し書きパワーを変化させて設定した場合でも、近似式から容易に最適記録パワーの解を算出することができる。
次に、本実施例の処理により実際に最適記録パワーを算出する処理例を、具体的な設計値と合わせて説明する。
まず、本処理例に用いた光ディスクは、波長405nmで記録可能な相変化型のものである。基板は直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネートからなり、基板表面上には射出成形によりグルーブ溝が形成されている。また、グルーブ溝からなるトラックピッチは0.44μmとしており、この基板上に、誘電体膜Ge−Sb−Teなどからなる相変化記録膜−誘電体膜−反射膜を順次積層して光ディスクを作成している。また、記録再生波長は405nm、対物レンズの開口数NA=0.65、光ディスク上のスポット径は約0.52μmである。記録再生の線速度は6m/s、記録クロック周期はT=2.7ns(ナノ秒)で1セル当たりの期間はセル期間Tt=16クロックで構成され、セルの円周方向の長さは0.32μmである。
図1は本処理例による試し書きと最適記録パワーの算出までの処理を示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す処理は、図2に示した光ディスク装置1のコントローラ11が図示しない内部のメモリに格納されたプログラムに従って実行する処理手順を示している。また、このフローチャートでは、各処理のステップをSと記している。
図2に示した光ディスク装置1において、コントローラ11は、光ディスク2への情報の記録又は最適記録パワーの算出が指示されると、図1のフローチャートに示す処理を開始する。そして、まずステップ101で、光ディスク2のプリフォーマット情報あるいはや光ディスク装置1の内部メモリ12から、テストパターンや記録波形のパルス幅設定情報、記録パワー、消去パワー、バイアスパワーなどの記録設定情報を読み出す。次にステップ102へ進んで、この記録設定情報から試し書きの回数と各試し書きパワーPtを設定する。本処理例では、6回の試し書きを行うとし、各試し書きパワーPtを6mWから11mWまで1mWの間隔で設定した。
次に、ステップ103〜ステップ105のループ処理で6回の試し書き動作を行う。ステップ103では、その回の試し書きパワーPtを書き込みパワーとして設定し、次のステップ104でその試し書きパワーPtにより、表1に示したテストパターンを最小単位領域(1セクタ)に記録する。そして、ステップ105で最後(6回目)の試し書きが終了したかを判断し、終了するまでステップ103に戻ってループ処理を行う。
全ての試し書きが終了した後は、ステップ106へ進んで、LD光源を0.5mWの再生パワーに調整し、ステップ103〜ステップ105で試し書きを行ったデータを読み取り、再生信号を検出してサンプリングする。
次にステップ107に進んで、これらサンプリングした信号を試し書きパワーPt毎にAD変換し、再生信号レベルとしてメモリ12に格納する。これらの再生信号レベルは、光ディスク2の複屈折や面ぶれや記録感度のばらつきなどの影響を受けてディスク周内で変動するため、次のステップ108でその変動を抑えるよう再生信号レベルの正規化を行う。
この正規化は、上述したように、各試し書きパワーPt毎に、多値データmの各値(m=0〜7)に係る再生信号レベルI(m)をそれぞれ多値データの値m=0に係る再生信号レベルI(0)で除することにより正規化を行う処理である。表2に、本処理例における上記の再生信号レベルI及びその正規化によって得られた正規化レベルIdを、試し書きパワーPt及び多値データmの各値を示す。
Figure 0004253257
ここで、図7の各ドットは、この表2の正規化レベルId(m)と多値データの値mとの値の組み合わせを示すものである。
次に、ステップ109へ進んで、多値データの値mと対応する正規化レベルId(m)の値とを用いて2次回帰計算を行い、ステップ110でデータ近似式である2次式のId=a×m2+b×m+cの係数a、b、cを算出する。このようなデータ近似式の導出は、試し書きパワーPt毎に実行され、これにより係数a、b、cの組合せが6組算出されることになる。表3は、本処理例においてこのようにして得られた係数a、b、cの値を、試し書きパワーPtの各値毎にを示したものである。
Figure 0004253257
ここで、図7に示した各曲線は、この表3の係数で構成されるデータ近似式の2次曲線を、上述のようなドットに重ねて示したものである。
次にステップ111へ進んで、試し書きパワーPtの各値とその各値に対応する係数aの値とを用いて2次回帰計算を行い、ステップ112でパワー近似式である2次式のa=a′×Pw2+b′×Pw+c′(式3)の係数a′、b′、c′を算出する。これによりパワー近似式は1つだけ導出されることになり、図8は、本処理例においてこのようにして得られた係数a′、b′、c′で構成されるパワー近似式の2次曲線を示している。なお、図8に示す各ドットは、上記の試し書きパワーPtの各値とその各値に対応する係数aの値とをプロットしたものである。
ここで、上述したように、多値データの値mと正規化レベルId(m)との関係が線形となる理想的な条件は、2次のデータ近似式が直線を示す場合であるから、その係数aが0となる場合がこれに相当する。従って、次のステップ113では、(式3)でa=0とした場合の、書き込みパワーPwについての2次方程式の解を算出する。すなわち、上述の(式4)にステップ112で算出したa′、b′、c′を代入して2つの解Po1(小)及びPo2(大)を得る。本処理例では、a′=0.082、b′=−0.88、c′=1.71が算出され、解Po1=2.5mW、解Po2=8.2mWを得ることができる。
そしてステップ114に進んで、上記の2つの解を、光ディスクのプリフォーマット情報や光ディスク装置の内部メモリから読み出された記録設定情報のうちの最適記録パワーの目標値(標準記録パワーの目標値)と比較し、ステップ115で最適記録パワーの目標値と近い方の解を最適記録パワーPoとして選定し、この値を記録パワーに設定してこの処理を終える。
本処理例では、最適記録パワーの目標値を8mWとしており、Po1との差が5.5mW、Po2との差が0.2mWとなるため、差が小さい方のPo2が選択されることになる。このようにして2つの解を選択することで、容易かつ確実に最適記録パワーPoを選定することができる。
またはステップ114とステップ115における最適記録パワーPoの選定については、図8に示すように係数aは書き込みパワーの増加に応じて負の値から正の値に増加する特徴があり、また書き込みパワーは負の値を取ることがないため、2つの解のうちの値の大きい方の解であるPo2を最適記録パワーPoとして選定するようにしてもよい。本処理例では、解Po1=2.5mW、解Po2=8.2mWのうち、図8からわかるように、値の大きい方の解であるPw=8.2mWは試し書きパワー範囲にあり、上記の場合と同じ最適記録パワーPoが選定される。
以上のような処理を行うことにより、離散的に与えられる試し書きパワーについてそれぞれ対応する再生信号レベルの適否を直接判定するのではなく、関数近似によって得られる連続関数により最適記録パワーを求めるため、それぞれの再生信号レベルのばらつきが直接的に記録パワーの誤差になることがなく、高精度に最適記録パワーを算出することができる。
また、その再生信号レベルについての連続関数の近似式における係数について、さらに対応する記録パワーの連続関数として近似し、この連続関数の近似式の係数が所定値となる記録パワーの解を最適記録パワーとすれば、計算アルゴリズムが簡素となり計算時間も早くなることから、最適記録パワー算出のための処理時間が短くなり、情報記録装置の記録待ち時間を短縮できる。
また、多値データの値mと対応する再生信号レベルとの関係が略線形となるように、最適記録パワーを算出して記録パワーとすれば、近似式における特定の解を正確に算出することができ、それぞれの再生信号レベルのばらつきが直接的に記録パワーの誤差になることがなく、高精度に最適記録パワーを算出することができる。
さらに、データ近似関数の係数が、多値データの値と対応する再生信号レベルとの関係が略線形となるような所定値となるような、記録パワーの解を算出するようにすれば、ピックアップにゴミや汚れなどがあったり、光ディスク装置の環境温度によるLD光源の波長変動や光記録媒体の感度変動が生じて試し書きパワーが実際の最適記録パワーと大きなずれを生じても、適正な最適記録パワーを算出することが可能となる。
また、再生信号レベルと多値データの値との関係を2次式で近似し、そのうち2次の係数aを記録パワーの関数として近似するようにすれば、多値データの値と対応する再生信号レベルとの関係が略線形となる条件を正確に設定することができ、実際の最適記録パワーが試し書きパワーの設定範囲になくとも、高精度に最適記録パワーを算出することが可能となる。
また、データ近似式の2次の係数aと記録パワーの値との関係を2次式で近似し、その2次式のaに所定値を代入して記録パワーの2次式の解を算出するようにすれば、光デイスクや光ディスク装置の種類や、多値データの値と再生信号レベルの相関に応じて高精度な最適記録パワーの算出を行うことができる。
また、試し書きするための記録波形を構成するパルス幅と、最適記録パワーと、略線形性の目標値とを、光ディスクのプリフォーマット情報もしくは光ディスク装置の記憶部に記録しておき、試し書きに際してこれらの目標値を読み出して利用するようにすれば、試し書きパワーの範囲を、予想される最適記録パワーと近い範囲に設定することができるので、最適記録パワーを高精度に算出することができる。
また、上記の近似式から算出された2つの記録パワーの解のうち、最適記録パワーの目標値との差が小さい方を、最適記録パワーとして選定するようにすれば、ピックアップにゴミや汚れなどがあったり、光ディスク装置の環境温度によるLD光源の波長変動や光ディスクの感度変動があって、試し書きパワーが実際の最適記録パワーと大きなずれを生じても、2次近似式から適正な最適記録パワーを算出することが可能となる。
〔第2実施例〕
次に、この発明による記録パワー決定方法に係る処理及び動作の第2実施例について説明する。この実施例においても、概略的な処理手順は上述した第1実施例とほぼ同じであるが、パワー近似関数を求めるにあたって採用するデータ近似関数の係数がbである点及び、最適記録パワーを求めるためのパワー近似関数の取り扱いが異なる。
すなわち、試し書きパワー毎に得られるデータ近似関数(式2)までが同じであり、(式2)において各試し書きパワーPtについて得られた1次の係数bと、対応する試し書きパワーとの関係を、
b=a″×Pw2+b″×Pw+c″ ……(式5)
のような連続な2次関数で近似する点が異なる。この実施例においては、この関数がパワー近似関数であり、各データ近似関数の特性と書き込みパワーの値との相関を示す関数である。
ここで、本実施例では、上述のデータ近似関数が線形関数になる条件を、データ近似関数が線形関数として直線を描く場合の多値データに対する再生信号レベルの勾配が、所定勾配値になることを利用して定めている。
この点について説明する。
まず、書き込みパワーを増加させて多値データの最大値(反射率最低)を書き込んだ場合、書き込みパワーに対して再生レベル(正規化レベル)が飽和する書き込みパワーの付近で、多値データの値mとそれに対応する正規化レベルIdとの関係が線形になることが知られている。従って、試し書きパワーPtの中からまずこれに近い状態の書き込みパワーを探索し、そのデータについて、多値データが0の場合のドットと多値データが7の場合のドットを結んだ直線の傾きを求めれば、データ近似関数が略線形になる場合の勾配の値が得られることになる。
すなわち、まず、隣接する試し書きパワー間でm=7の場合の正規化レベルの差がほぼゼロとなる書き込みパワー(表2に示した例では9mW)を探索し、その試し書きパワーにおけるm=0の場合のId値とm=7の場合のId値とから、下記(式6)によって所定勾配値を求めることができる。
所定勾配値D={Id(0)-Id(7)}/(0−7) ……(式6)
なお、前述の光ディスクのプリフォーマット情報や光ディスク装置の記憶部に格納された記録設定情報として所定勾配値を記憶させておき、そこから読み出した値を用いるようにしてもよい。
従って、データ近似関数が線形になる場合には、係数bが上記の所定勾配値に近い値になるはずであるから、(式5)の左辺bにこのような所定勾配値Dを代入したPwの2次方程式の解(下記式7に示す)が、最適記録パワーの候補となる。
Figure 0004253257
そして、これらの2つの解のうち、試し書きで用いた範囲内の解を最適記録パワーとするとよい。また、2次式の領域と傾きから、本実施例でも値の大きい方の解が最適記録パワーであることがわかるので、このような基準で解を選択してもよい。そして、以上により算出された書き込みパワーを、光ディスク装置1における記録パワーに設定すればよい。
以上のような算出方法によっても、上記第1位実施例の算出方法と同様に試し書きパワーの回数を最小限に減らすことができ、試し書きパワーを実際の最適記録パワーと離れた範囲で設定した場合でも最適記録パワーの解を算出できる。
次に、本実施例の処理により実際に最適記録パワーの値を算出する処理例を、図9によって説明する。図9は、本処理例による試し書きと最適記録パワーの算出までの処理を示す、図1と対応するフローチャートである。なお、この図9のフローチャートにおいて、前述した図1のフローチャートと異なるのはステップ111′と112′と113′だけであるので、ここではこれらの処理を中心に説明する。
図9に示す処理においては、光ディスク装置1のCPU11は、図1のステップ101〜ステップ110と同様な処理を行った後、ステップ111′で、試し書きパワーPtの各値とその各値に対応する係数bの値(表3参照)とを用いて2次回帰計算を行い、ステップ112′でパワー近似式である2次式のb=a″×Pw2+b″×Pw+c″(式5)の係数a″、b″、c″を算出する。これによりパワー近似式は1つだけ導出されることになる。
図10に、本処理例においてこのようにして得られた係数a″、b″、c″で構成されるパワー近似式の2次曲線を示す。また、図10に示す各ドットは、上記の試し書きパワーPtの各値とその各値に対応する係数bの値とをプロットしたものである。
ここで、上述したように、多値データの値mと正規化レベルId(m)との関係が線形となる理想的な条件は、2次のデータ近似式が直線を示す場合であるから、上述のように、多値データの値m=7における正規化レベルId(7)が略飽和する際のId(7)の値(ここでは37)を利用して、上述の(式6)により所定勾配値Dを算出する。なお、これに代えて、上述したように記録設定情報から読み出した値を所定勾配値として用いることもできる。
次にステップ113′に進んで、(式5)で左辺bにこの所定勾配値Dを代入した場合の書き込みパワーPwについての2次方程式の解を算出する。すなわち、上述の(式7)にステップ112′で算出したa″、b″、c″及び上記の所定勾配値Dを代入して2つの解Po3(小)とPo4(大)を得る。本処理例ではa″=−0.20、b″=−0.94、c″=12.7と、D=(100−37)/(−7)=−9.0が算出され、解Po3=−13.0mW、解Po4=8.3mWを得ることができる。
そして図1に示す第1実施例の場合と同様に、次のステップ114で2つの解を最適記録パワーの目標値と比較し、ステップ115で最適記録パワーの目標値と近い方の解を最適記録パワーPoとして選定し、この値を記録パワーに設定してこの処理を終える。
本処理例では、最適記録パワーの目標値を8mWとしており、Po3との差が21mW、Po4との差が0.3mWとなるため、差が小さい方のPo4が選択されることになる。このようにして2つの解を選択することで、容易かつ確実に最適記録パワーPoを選定することができる。
またはステップ114とステップ115における最適記録パワーPoの選定については、図10に示すように係数bは書き込みパワーPwの増加に応じて減少する特徴があるので、2つの解のうち値の大きい方の解であるPo4を最適記録パワーPoとして選定するようにしてもよい。本処理例では、解Po3=−13.0mW、解Po4=8.3mWのうち、図10からわかるように、値の大きい方の解であるPo4=8.3mWは試し書きパワー範囲にあり、上記の場合と同じ最適記録パワーPoが選定される。
本処理例におけるその他のステップの処理は、図1で説明したステップと同じであるから、その説明は省略する。この場合の効果については、図1の説明の最後に述べた通りである。
また、本実施例においては、データ近似関数の1次の係数が、多値データの値と再生信号レベル(正規化レベル)との関係が略線形となる場合の値となるような書き込みパワーの値を求めることにより、光ディスクや光ディスク装置の種類、多値データと再生信号レベルの相関に応じて高精度な最適記録パワーの算出を行うことができる。
なお、上記2つの実施例で共通して用いられる光ディスクのような光記録媒体は、相変化型光記録媒体を用いるのが望ましい。つまり、多値データを再生信号レベルに対応させて記録する方式においては、記録層としてGe-Sb-Te系、Ge-Te-Sb-S系、Te-Ge-Sn-Au系、Ge-Te-Sn系、Sb-Se系、Sb-Se-Te系、Sn-Se-Te系、Ga-Se-Te系、Ga-Se-Te-Ge系、In-Se系、In-Se-Te系、Ag-In-Sb-Te系などを用いた、急冷却と徐冷却によりアモルファス相と結晶相が相変化する光記録媒体が、試し書きでの異なる複数の試し書きパワーに対して再生信号レベルの変化の感度が高く、最適記録パワーの算出も容易であり高品質な記録が可能である。
さらに、本実施例の試し書きと最適記録パワーの算出を行った後の通常の記録は、決定した最適記録パワーによって多値データの記録を行う。多値記録では、再生結果から計算した多値データ別の反射光強度の偏差を平均した値であるσと、最大の再生信号レベルImax−飽和信号再生レベルIsである最大振幅DR(Dynamic Range)との比σ/DRにより定義した値で記録品質を定義することができるが、以上説明してきた方法により決定した記録パワーで多値データを記録すると、最適記録パワーに近い記録パワーを定めることができるので、σ/DRの小さい良好な信号品質を得ることができる。
また、上記2つの実施例に共通して、表に示したり算出したりした各種の数値や、2次式などの演算式の表現は、上記のものに限定されるものではなく、光学系の設計値や光記録媒体の種類などに応じ、本発明の主旨における範囲内で種々の値や、数式を適用することが可能である。
以上説明してきたように、この発明の記録パワー決定方法及び情報記録装置によれば、記録媒体に多値データを記録するための最適な記録パワーを、高速かつ高精度に算出できるようにすることができる。
従って、記録媒体に高速かつ高精度に、高い品質で多値データを記録可能な情報記録装置を提供することができる。
この発明の記録パワー決定方法の第1実施例に係る処理を示すフローチャートである。 この発明の情報記録装置の実施形態である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 図2に示した光ディスク装置におけるピックアップの光学系の構成例を示す図である。 光ディスクに多値データを記録する際のパルス列の例を示す図である。 記録パワーを最適値より大きく設定して記録した場合の多値データと再生信号レベルとの関係について説明するための図である。
試し書きした多値データの各値を読み取った場合の反射光量の例を示す図である。 各試し書きパワーについて、多値データの値と、試し書きに係るデータを読み取って得られる再生信号レベルとの関係を示す図である。 図1に示した処理において得られるパワー近似式の例を示す図である。 この発明の記録パワー決定方法の第2実施例に係る処理を示すフローチャートである。 図9に示した処理において得られるパワー近似式の例を示す図である。 多値記録方式における、各セルの記録マークの状態と対応する反射光強度との関係について説明するための図である。
符号の説明
1:光ディスク装置 2:光ディスク
3:受光素子 4:LD光源
5:ピックアップ 6:再生信号検出回路
7:サンプルホールド回路 8:AD変換回路
9:ウォブル検出回路 10:クロック検出回路
11:コントローラ 12:メモリ
13:LD駆動回路 14:コリメートレンズ
15:偏光ビームスプリッタ 16:λ/4板
17:対物レンズ 18:検出レンズ
19:ミラー 51:記録トラック
52:記録セル 53:記録マーク
54:再生光スポット L:レーザ光

Claims (10)

  1. 相変化型の光記録媒体に多値データを記録するための記録パワーを決定する記録パワー決定方法であって、
    前記光記録媒体に、複数の異なる試し書きパワーでそれぞれ前記多値データの各値に対応する試し書きを行い、その試し書きのデータを読み取って再生信号レベルを検出し、前記試し書きパワーの各値毎に、前記多値データの値とその読み取りに係る再生信号レベルとの相関を示すデータ近似関数を導出し、該各データ近似関数の特性と書き込みパワーの値との相関を示すパワー近似関数を導出し、該パワー近似関数から、前記データ近似関数が線形ないし略線形の関数となるような書き込みパワーの値を導出し、その値を前記記録パワーの値とすることを特徴とする記録パワー決定方法。
  2. 相変化型の光記録媒体に多値データを記録するための記録パワーを決定する記録パワー決定方法であって、
    前記光記録媒体に、複数の異なる試し書きパワーでそれぞれ前記多値データの各値に対応する試し書きを行い、その試し書きのデータを読み取って再生信号レベルを検出し、前記試し書きパワーの各値毎に、前記多値データの値とその読み取りに係る再生信号レベルとの相関を示す近似式として、前記再生信号レベルを前記多値データの値の連続関数で表わしたデータ近似式を導出し、該各データ近似式の係数と前記試し書きに係る書き込みパワーとの相関を示す近似式として、前記データ近似式の係数の値を前記書き込みパワーの連続関数で表わしたパワー近似式を導出し、該パワー近似式において前記係数として前記データ近似式が線形ないし略線形の関数になるような所定値を代入した場合の書き込みパワーの解を前記記録パワーの値とするようにしたことを特徴とする記録パワー決定方法。
  3. 請求項2記載の記録パワー決定方法であって、
    前記多値データの値をmとし、前記再生信号レベルをIとした場合に、前記データ近似式が2次式I=a×m2+b×m+cであって、前記パワー近似式が前記係数aの値を前記書き込みパワーの連続関数で表わした式であることを特徴とする記録パワー決定方法。
  4. 請求項2記載の記録パワー決定方法であって、
    前記多値データをmとし、前記再生信号レベルをIとした場合に、前記データ近似式が2次式I=a×m2+b×m+cであって、前記パワー近似式が前記係数bの値を前記書き込みパワーの連続関数で表わした式であることを特徴とする記録パワー決定方法。
  5. 請求項3記載の記録パワー決定方法であって、
    前記書き込みパワーをPwとした場合に、前記パワー近似式が2次式a=a′×Pw2+b′×Pw+c′であり、該2次式のaに前記所定値を代入して、書き込みパワーの2次式の解を算出し、その一方を前記記録パワーの値とすることを特徴とする記録パワー決定方法。
  6. 請求項4記載の記録パワー決定方法であって、
    前記書き込みパワーをPwとした場合に、前記パワー近似式が2次式b=a″×Pw2+b″×Pw+c″であり、該2次式のbに前記所定値を代入して、書き込みパワーの2次式の解を算出し、その一方を前記記録パワーの値とすることを特徴とする記録パワー決定方法。
  7. 請求項6記載の記録パワー決定方法であって、
    前記データ近似式が略線形となる場合の勾配の値を前記bの所定値とすることを特徴とする記録パワー決定方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の記録パワー決定方法であって、
    前記光記録媒体のプリフォーマット情報または前記試し書きを行う情報記録装置の記憶部から、標準記録パワー及びパルス幅の情報と、前記係数a又は前記係数bの目標値の情報とを読み出し、これを参照して前記試し書きを行う際の各試し書きパワー値及び記録波形を決定し、また前記所定値を定めることを特徴とする記録パワー決定方法。
  9. 請求項5乃至7のいずれか一項に記載の記録パワー決定方法であって、
    前記パワー近似式から算出される書き込みパワーの2つの解のうち、前記光記録媒体のプリフォーマット情報または前記情報記録装置の記憶部から読み出された記録パワーの目標値との差が小さい方の値を、前記記録パワーの値とすることを特徴とする記録パワー決定方法。
  10. 相変化型の光記録媒体に所望の記録パワーで多値データを記録する情報記録装置であって、
    前記光記録媒体に、複数の異なる試し書きパワーでそれぞれ前記多値データの各値に対応する試し書きを行う手段と、
    その試し書きのデータを読み取って再生信号レベルを検出する手段と、
    前記試し書きパワーの各値毎に、前記多値データの値とその読み取りに係る再生信号レベルとの相関を示すデータ近似関数を導出する手段と、
    該各データ近似関数の特性と書き込みパワーの値との相関を示すパワー近似関数を導出する手段と、
    該パワー近似関数から、前記データ近似関数が線形ないし略線形の関数となるような書き込みパワーの値を導出し、その書き込みパワーの値を記録パワーの値とする手段とを設けたことを特徴とする情報記録装置。
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