JP2005228367A - 記録パワー導出方法及び情報記録装置 - Google Patents

記録パワー導出方法及び情報記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005228367A
JP2005228367A JP2004033270A JP2004033270A JP2005228367A JP 2005228367 A JP2005228367 A JP 2005228367A JP 2004033270 A JP2004033270 A JP 2004033270A JP 2004033270 A JP2004033270 A JP 2004033270A JP 2005228367 A JP2005228367 A JP 2005228367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
light intensity
reflected light
test
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004033270A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Takeuchi
弘司 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2004033270A priority Critical patent/JP2005228367A/ja
Publication of JP2005228367A publication Critical patent/JP2005228367A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)
  • Optical Head (AREA)

Abstract

【目的】 記録媒体に多値データを記録するための好適な記録パワーを導出できるようにする。
【構成】 記録媒体に対して多値記録方式により情報を記録する際に、複数の異なる記録パワーでテストデータをテスト記録し(S102)、それらテスト記録したテストデータを読み取って反射光強度を検出し(S103)、検出した最大反射光強度L1及び最小反射光強度L2からそれぞれ評価パラメータである変調度Mを算出し(S104)、その変調度Mを記録パワーの関数として2次近似してパワー近似関数M(Pw)を導出し(S108)し、導出したパワー近似関数M(Pw)から、評価パラメータの変調度Mが所定条件(M=0.9Ms)を満たすような記録パワーの値を最適記録パワー値として導出する(S110)。
【選択図】 図5

Description

この発明は、光ディスクのような記録媒体に対して多値データを記録する際の記録パワーの導出方法及び、このような方法で記録媒体に多値データを記録する際の記録パワーを導出する情報記録装置に関する。
情報を記録する媒体の一つであるCD、DVDなどの光記録媒体においては、さらなる記録密度の向上や大容量化が強く要望されてきている。この光記録媒体における記録密度の高密度化を図る方法として、まず光ピックアップの改良が考えられるが、近年ではその改良にも限界が見えつつある。そこで、光ピックアップの改良以外で、情報の高密度化さらには高速転送化を成し遂げる方法の一つとして多値記録方式の採用が挙げられる。
通常の相変化を用いた記録方法としては、記録マークの有無で情報を記録する2値記録が一般的であるが、多値記録は一つの記録単位(セル)に複数の情報を記録する方法であり、一つのセル内に一つのマークを記録し、トラック方向のマーク長を多段階に切り換えることにより、多値記録を行っている。つまり、一つのセル内のアモルファスマークと結晶状態のベースとの比率を変化させ、その反射光強度の変化を検出することによって多値情報を再生する。
しかしながら、光記録媒体や情報記録装置の記録特性には個体差や環境変化によりばらつきがあるため、上記のような光記録媒体へのマーク形成を適切に行うためには、その個体差や環境変化に応じて記録レーザの記録パワーと消去パワー、及び発光時間幅(記録パルス幅)を制御する必要がある。これらのうちで記録パワーを決定するための方法として、従来より以下のような種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、多値記録したデータを確実に再生するために試し書きを行い、理想の信号波形が得られるまでテスト記録(変調データに基づく露光と補正値テーブルの記録)を繰り返し行う方法が開示されている。
また、特許文献2には、記録パワーを漸次変化させてテスト記録を行い、反射光量が飽和状態となった記録パワーを最適記録パワーとして決定する方法が開示されている。これによれば過度の記録パワーによる熱拡散の変化を感知しやすくできる。
特開平10−134353号公報 特開2003−91822号公報
しかしながら、上記従来技術によれば、以下のような問題があった。
まず、特許文献1に記載の方法では、試験用データを記録再生する手順と、理想波形と再生信号波形とを比較する手順と、この比較により収束しているかどうかを判定する手順(収束しているならば終了する)と、レーザ照射条件を補正する手順とを繰り返すループ処理によってテスト記録の補正を行っている。しかし、このような補正は、多くの試し書きの回数と膨大な演算手順が必要となり、テスト記録に必要な処理時間が長くなることから通常の記録開始までの待ち時間が長くなってしまうという問題があった。
1つのセル内にマーク長を多段階に切り替えて記録する多値記録方式においては、図16に示すように、データの記録は、多値データに対応して再生信号レベルが変化するように、記録トラック51上の一定の長さをもつ記録セル52毎に行う。この記録セル52毎に、再生信号レベルに応じた長さで記録マーク53が形成される。そして、多値データの再生時には、所定の周波数(例えば再生光スポット54が記録セル52の中心位置に位置するタイミング)で再生信号をサンプリングし、サンプリングした反射光強度から多値データを判別する。しかし、再生光スポット54のスポット径が記録セルの円周方向の長さより長いために符号間干渉が生じる。そこで、一般に、この符号間干渉を考慮して記録補正を行うことにより、正確に多値データを判定できるようにしている。
しかし、多値データとして8値の再生信号レベルを用いる記録の場合、考慮すべき多値データの組合せは8=512通りになり、ある程度の時間が必要となる。そして、上記特許文献1に記載の方法を採用した場合には、精度の高い結果を得るためには、これを多数回繰り返すことになるから、処理時間は長大なものになってしまう。
特許文献2には、上記従来技術のような煩雑な工程を行わずに、簡便な方法で最適記録条件(記録パワーおよび記録パルス幅)が決定できる記録方法が開示されている。例えば、記録パワーを変化させながらテスト記録を行い、反射光強度が飽和する記録パワーを最適記録パワーとして決定する方法である。しかしながら、この方法により設定された最適記録パワーを用いて多値データを記録した場合には以下のような問題がある。
まず図17に、サンプルディスクAに様々な記録パワーでテストデータを記録した場合の、記録パワーと記録特性との関係を示す。ここで、記録特性は、各記録パワーPwにおける変調度Mと変調度の飽和値Msとの比、及びSDR(Sigma to Dynamic Range)によって示している。
そして、変調度Mとは、データを読みとって得られる反射光強度の最大反射光強度をL1とし、最小反射光強度をL2として、下記式1に従って求めることができる。
M=(L1−L2)/L1 ・・・(式1)
この値は、反射光強度の最大振幅を最大反射光強度で規格化した値である。そして、記録パワーPwで記録したテストデータを読み取った場合の変調度をM(Pw)と記載する。また、Msは、記録パワーを増加させた場合の変調度の飽和値である。
また、SDRは、各多値データにおける反射光強度の標準偏差の平均値を最大振幅で規格化した値のことであり、具体的には、多値データの値kにおける反射光強度の標準偏差をσとし、多値データが取り得る値の数をmとし、またデータを読みとって得られる反射光強度の最大反射光強度をL1とし、最小反射光強度をL2として、下記式2に従って求めることができる。
SDR=(Σσ)/{m×(L1−L2)} ・・・(式2)
そして、このSDRの値が小さければ、反射光強度の偏差が小さいことになるため、多値データを正確に判定できることになる。したがってSDRは多値記録方式において再生信号品質を表す指標となる。
図17に記録特性を示したサンプルディスクAにおいて、上記のような特許文献2に記載の方法により決定される最適記録パワーは、9.4mWになる。一方、SDRが最小になる記録パワーは、グラフからわかるように、この方法によって決定される最適記録パワーである9.4mWより低い8.2mWである。したがって、Pw=9.4mWで記録した場合、SDRの、上限値(多値データを正確に判定できるSDRの限界値)までの余裕を最大限に取ることができていないことになる。すなわち、再生マージンを最大限には取れていないことになる。
このようにSDRが最小になる記録パワーより高いパワー(又は低いパワー)で記録することで再生マージンが小さくなっている記録状態では、光ディスク間や光ディスク装置間における互換性の許容度が小さくなってしまう。すなわち、再生装置毎に、ディスク表面上に集光されるレーザ光のスポット形状、スポット径、光学部品の組み付け精度等が異なるため、同じディスクを再生した場合でも、読み取りによって得られる信号が装置毎に微妙に異なることになるが、このような差異に対する許容度が小さくなってしまう。
従って、光ディスクや光ディスク装置の個体差及び使用環境の変化により、ある装置では正確に多値データを再生できても、別の再生装置では再生できないという事態が発生する危険がある。
そこで、最適記録パワーは、SDRの値が最小になるような記録パワーに設定するのが望ましいが、上記特許文献2に記載の方法ではそのような最適記録パワーを導出することが困難であった。
また、最適記録パワーは、光ディスク及び光ディスク装置の個体差及び使用環境の変化により変動するため、データの記録を行う直前に決定する必要がある。
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、記録媒体に多値データを記録するための好適な記録パワーを導出できるようにすることを目的とする。
この発明は、上記の目的を達成するため、記録媒体に多値データを記録するための記録パワーを導出する記録パワー導出方法において、上記記録媒体に複数の異なる記録パワーでテストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応する反射光強度を検出する第1ステップと、その第1ステップで検出した反射光強度からそれぞれ評価パラメータを算出し、その評価パラメータを記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する第2ステップと、その第2ステップで導出したパワー近似関数から、上記評価パラメータが所定条件を満たすような記録パワーの値を最適記録パワー値として導出する第3ステップとを設けたものである。
上記の記録パワー導出方法において、上記テストデータに、反射光強度が最大になる多値データの値と反射光強度が最小になる多値データの値とをそれぞれ3個以上連続して繰り返した長周期パターンを設け、上記評価パラメータMを、テスト記録したテストデータに係る最大反射光強度をL1とし、同じく最小反射光強度をL2とした場合のM=(L1−L2)/L1とし、上記所定条件を、記録パワーを増加させた場合のMの飽和値をMsとして、0.75Ms<X<1.0Msなる所定値XについてM=Xとなる条件とするとよい。
あるいは、上記テストデータに、反射光強度が最大になる多値データの値と反射光強度が最小になる多値データの値とをそれぞれ3個以上連続して繰り返した長周期パターンと、反射光強度が最大になる多値データの値と反射光強度が最小になる多値データの値とを繰り返した短周期パターンとを設け、上記評価パラメータαを、テスト記録したテストデータに係る最大反射光強度をL1、同じく最小反射光強度をL2、上記短周期パターンのピーク反射光強度をL3、上記短周期パターンのボトム反射光強度をL4として、α=(L1+L2−L3−L4)/{2×(L1−L2)}とし、上記所定条件を、上記評価パラメータαが最小になる条件としてもよい。
あるいは、上記テストデータを上記多値データのランダムパターンとし、上記評価パラメータSDRを、上記ランダムパターンにおける最大反射光強度をL1、最小反射光強度をL2とし、多値データの値kにおける反射光強度の標準偏差をσとし、多値データの取り得る値の数をmとして、SDR=(Σσ)/{m×(L1−L2)}とし、上記所定条件を、上記評価パラメータSDRが最小になる条件としてもよい。
あるいは、上記テストデータを多値データのランダムパターンとし、上記評価パラメータを多値シンボルエラー率とし、上記所定条件を、多値シンボルエラー率が最小になる条件としてもよい。
また、この発明は、記録媒体に多値データを記録する記録パワー導出方法において、あらかじめ上記記録媒体に記録されているテストデータを読み取ってプリ反射光強度を検出する第1ステップと、上記記録媒体に複数の異なる記録パワーで上記テストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応するテスト反射光強度を検出する第2ステップと、上記第1ステップで検出したプリ反射光強度と上記第2ステップで検出した各記録パワーについての上記テスト反射光強度との誤差の2乗和をそれぞれ算出し、その誤差の2乗和を記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する第3ステップと、その第3ステップで導出したパワー近似関数から、上記誤差の2乗和が最小になる記録パワーを最適記録パワー値として導出する第4ステップとを設けたものである。
さらに、上記の記録パワー導出方法において、上記第2ステップで検出した上記テスト反射光強度を第1テスト反射光強度とし、上記第3ステップで算出した上記誤差の2乗和を第1評価パラメータとして、上記第4ステップにおいて、上記第3ステップで導出したパワー近似関数から、上記第1評価パラメータが最小になる記録パワーを最適記録パワー値として導出するようにし、さらに、上記記録媒体に上記最適記録パワー値により複数の異なる記録パルス幅で上記テストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応する第2テスト反射光強度を検出する第5ステップと、上記第1ステップで検出したプリ反射光強度と上記第5ステップで検出した各記録パルス幅についての第2テスト反射光強度との誤差の2乗和をそれぞれ第2評価パラメータとして算出し、その第2評価パラメータを記録パルス幅の関数として近似してパルス幅近似関数を導出する第6ステップと、その第6ステップで導出したパルス幅近似関数から、上記第2評価パラメータが最小になる記録パルス幅を最適記録パルス幅として導出する第7ステップとを設けるとよい。
また、これらの記録パワー導出方法において、上記テストデータを多値データのランダムパターンとし、あらかじめ上記記録媒体に記録されているテストデータがプリピットで形成されているとよい。さらに、導出した最適記録パワー値でテスト記録したテストデータを読み取って得られる最大反射光強度をL1oとし、同じく最小反射光強度をL2oとして、(L1o−L2o)/L1o>0.60を満たさない場合には、上記最適記録パワー値を多値データの記録に使用しないようにするとよい。
またさらに、上記記録媒体を、少なくともGe、Sb、Teを含むSb−Te共晶系の材質を相変化記録膜に用いた相変化型光ディスクとするとよい。
また、この発明は、記録媒体に多値データを記録する情報記録装置において、上記記録媒体に複数の異なる記録パワーでテストデータをテスト記録する手段と、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応する反射光強度を検出する手段と、その反射光強度からそれぞれ評価パラメータを算出する手段と、その評価パラメータを記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する手段と、そのパワー近似関数から、上記評価パラメータが所定条件を満たすような記録パワーの値を最適記録パワーとして導出する手段とを設けたものである。
また、この発明の情報記録装置は、記録媒体に多値データを記録する情報記録装置において、あらかじめ上記記録媒体に記録されているテストデータを読み取って対応するプリ反射光強度を検出する手段と、上記記録媒体に複数の異なる記録パワーで上記テストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応するテスト反射光強度を検出する手段と、上記プリ反射光強度と各記録パワーについての上記テスト反射光強度との誤差の2乗和をそれぞれ算出する手段と、その誤差の2乗和を記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する手段と、そのパワー近似関数から、上記誤差の2乗和が最小になる記録パワーを最適記録パワー値として導出する手段とを設けたものである。
以上のような記録パワー導出方法及び情報記録装置によれば、記録媒体に多値データを記録するための好適な記録パワーを導出できるようにすることができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔情報記録装置の基本構成例:図1乃至図4〕
まず、この発明の記録パワー導出方法を実行するための情報記録装置の実施形態であり、またこの発明の情報記録装置の実施形態である光ディスク装置の構成について説明する。図1は、その光ディスク装置の構成を示すブロック図であり、図2はその光ディスク装置におけるピックアップのLD(レーザダイオード)光源と受光素子およびその出力信号検出部の構成例を示す図である。
図1に示す光ディスク装置1は、記録媒体である光ディスク2に対して多値記録方式により情報を記録する際に、光ディスク2や光ディスク装置1の個体差および記録時変動や環境変化によって変動する最適記録パワー及び最適記録パルス幅を、テスト記録とそのテスト記録に係るデータを読み取って得た反射光強度とから導出する機能を備えている。そして、この光ディスク装置1は、ハードウェアとしては、受光素子3とLD光源4を有するピックアップ5、再生信号検出回路6、サンプルホールド回路7、AD変換回路8、ウォブル検出回路9、クロック検出回路10、コントローラ11、メモリ12、LD駆動回路13を備えている。
ピックアップ5の詳細な構成としては、図2に示すように、半導体レーザであるLD光源4から射出されたレーザ光Lをコリメートレンズ14、偏光ビームスプリッタ15、ミラー16、λ/4板17、対物レンズ18を介して集光し、回転駆動されている光ディスク2に投光することにより情報の記録、再生が行われる。また光ディスク2からの反射光は対物レンズ18、λ/4板17を通過し、ミラー16で反射された後、偏光ビームスプリッタ15により入射光と分離して偏向され、検出レンズ19により4分割に構成された受光素子3上に導かれ、再生信号、フォーカス誤差信号、トラック誤差信号等が検出される。
このピックアップ5により光ディスク2に対するテスト記録を行う場合、図1のコントローラ11は、テスト記録のためのテストデータと、後述する記録波形のパルス幅設定情報および記録パワーや消去パワー、バイアスパワー等の記録設定情報を記録情報としてLD駆動回路13に出力し、LD駆動回路13は変調した信号によりピックアップ5のLD光源4を駆動して光ディスク2へ記録を行う。このテスト記録を行う前には、光ディスク2が備えるプリフォーマット情報をウオブル信号やプリピット信号から読み出したり、光ディスク装置の図示しない内部メモリから記録設定情報を読み出すことであらかじめ前述の記録波形を設定する。
記録した情報を再生する場合には、上記の受光素子3による光電変換と再生信号検出回路6での電流電圧変換と加算回路によって再生信号を検出する。またこの再生信号検出回路6の出力から、ウォブル検出回路9により前述のウォブル信号が検出され、クロック検出回路10がこのウォブル信号からPLLクロックを生成し再生時のクロックとする。なお、このクロックは記録時のクロックと同様なものが得られるようにしている。そして、このようなクロックを用いて同期することで、各テストパターン中の中央位置における再生信号レベルが検出され、これを多値データの各値に対応する再生信号レベル値としてサンプルホールド回路7でサンプリングする。AD変換回路8でこの再生信号レベル値をレベルデータに変換し、コントローラ11がメモリ(RAM)12に格納する。
ここで、各実施例で用いる多値データは、各値が0から7の8値のレベルを取るものとなっている。なおここでは、0が反射光強度が最大になる多値データの値、7が反射光強度が最小になる多値データの値である。そして、上述のテスト記録を行う際のデータ内容の単位である上記テストデータの種類としては、周期データとランダムデータの2つを用いることができ、それらは後述する種々の評価パラメータや処理に応じて使い分ける。
周期データは、多値データの0又は7の値に対応する記録波形をそれぞれ5回連続して出力する長周期パターンと、それぞれ1回づつ交互に出力する短周期パターンとからなっている。これを読み込んだ場合には図3に示すような反射光強度の変化が得られる。
ここで、長周期パターンにおいて検出される最大反射光強度L1と最小反射光強度L2は、それぞれ隣り合った同じ多値の値のセル同士で符号間干渉が生じることにより検出されるものである。なお、長周期パターンにおける同じ値の記録波形を連続して繰り返す数は3回以上であればよい。
また短周期パターンにおいては、7の値に対応してL1よりも小さいピーク反射光強度L3が得られ、0の値に対応してL2よりも大きいボトム反射光強度L4が得られる。
そして、もう一方のランダムデータは、図示しないが、多値データの各値がランダムに配列されたパターンで構成されている。しかし、このランダムな値の配列そのものは、定型のものとして規定されたものである。
ここで、上記テストパターンで構成される多値データを、実際に光ディスクに記録するためのパルス列について説明する。このパルス列は、図4に示すように、レーザ光Lを記録パワーPwでトップパルス時間Tonの間照射するトップパルスと、その直後にバイアスパワーPbでオフパルス時間Toff経過させるオフパルスと、それらを除く期間に消去パワーPeで照射する消去パルスで構成する。消去パワーPeは記録パワーPwに定数εを乗じた一定比率のパワーであって、通常はε=0.5近傍に設定される。
このようなパルス列の構成は、各テストパターンの開始基準となる記録クロックエッジからそれぞれ計測した期間として示される記録パルスの立上がり期間Ta、記録パルスの立下り期間Tb、消去パルス立上がり期間Tcで定義され、またはトップパルス幅Ton=Tb−Ta、オフパルス幅Toff=Tc−Tbにより定義してもよい。
このようなパルス列の記録波形によると、トップパルスにおけるレーザ照射で光ディスクの記録膜が加熱されて記録層が融点を超えた後、オフパルス幅Toffの領域において急冷され、結晶相がアモルファス相に相変化することによって反射光量が低下する領域が形成される。さらに、オフパルスの直後に続く消去パルスにより記録層は徐冷され、結晶相になることで反射光量が高い領域が形成される。通常は、アモルファス相の領域を記録マーク、結晶相の領域を記録スペースと称する。
ここで、記録された多値データの各値は、一定長のセル内における記録マークの長さ(それによる反射光強度の大きさ)に対応するものであるが、この記録マークの長さは記録パワーPwの強さで決まるものではない。つまり、多値データのどの値でも同じ記録パワーPwの大きさで同じトップパルス幅Tonの期間レーザを照射し、その直後の各値に対応する急冷期間の長さ(オフパルス幅Toff)によってのみ記録マークの長さが決まることになる。すなわち、最適な記録パワー及び記録パルス幅(トップパルス幅Ton)が一度決定すれば、多値データのどの値でもその一つの最適記録パワーによって記録されることになる。
そして以上のような構成の記録波形において、多値データの各値に共通するトップパルス幅Ton(記録パルス幅)、記録パワーPwおよび消去パワーPeの設定や、各値によってそれぞれ異なるオフパルス幅Toffの設定は、上述したように光ディスクのプリフォーマット情報もしくは光ディスク装置の記憶部から記録設定情報を読み出すことである程度適正値に近い値を設定することができる。
しかし、このようにして得られる記録設定情報は、例えば所定の条件の下で多値データの判定の正確さが確認されている固定推奨値でしかない。従って、光ディスクや光ディスク装置の個体差および環境変化などの記録時の状況によっては最適である値が大きく変動してしまい、その固定推奨値による記録波形のままでは正しい動作が得られない場合がある。そこで、記録波形は適宜状況に合わせてデータの記録を行う直前に再設定する必要がある。特に、最適記録パワーの変動が多値データの判定の正確さに与える影響は大きい。
ここで、このような多値データの判定の正確さを示す指標としては、例えばSDRを用いることができる。SDRは、多値データの各値における反射光強度の標準偏差の平均値を最大振幅(最大反射光強度L1−最小反射光強度L2)で除して規格化した値のことである。このSDRの値が小さいほど反射光強度の偏差が小さいことになるため、多値データを正確に判定できることになる。そして、このSDRの値は、記録パワーの大きさ及び記録パルスの長さに応じて変化する値である。
光ディスクに多値データを記録する際、上限値(多値データを正確に判定できる限界値)に対する余裕が小さいSDRとする記録パワーで記録した場合、すなわち再生マージンの小さい記録パワーで記録した場合には、光ディスク間や光ディスク装置間における互換性の許容度が小さくなってしまう。
従って、光ディスクや光ディスク装置の個体差及び使用環境の変化により、ある装置では正確に多値データを再生できても、別の再生装置では再生できないという事態が発生する危険がある。
そこで、この光ディスク装置1においては、光ディスク2に情報を記録する際に、複数の異なる記録パワーでそれぞれテストデータをテスト記録し、そのテスト記録のテストデータを読み取って得た反射光強度から記録時の状況において最もSDRを小さくできるような最適記録パワーを導出し、その記録パワーによって情報の記録を行うようにしている。また、同様な考え方により最適記録パルス幅を導出し、その記録パルス幅によって情報を記録するようにするとよい。
〔記録パワー決定処理の第1実施例:図5乃至図9〕
次に、上述のように記録媒体に多値データを記録するための記録パワーを決定する記録パワー決定処理の第1の実施例について説明する。この処理は、この発明の記録パワー導出方法の第1の実施形態に係る処理である。
この処理は、大まかには以下の3つのステップからなる。すなわち、光ディスクに上記のテストデータを異なる複数の記録パワーでテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み込んでそれぞれの反射光強度を検出する第1ステップ、それら検出された反射光強度からそれぞれ特定の評価パラメータ値を算出し、それら複数の評価パラメータ値を記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する第2ステップ、そして、評価パラメータが所定の条件を満たす場合の記録パワーをパワー近似関数から求めて最適記録パワーに設定する第3ステップである。第3ステップにおける所定の条件としては、予め確認してある評価パラメータとSDRの関係から、SDRが最小になるような評価パラメータの条件を定めればよい。
以上の最適記録パワーの導出は、以下の関係から成り立つものである。つまり、反射光強度は、記録パワーの大きさや、記録波形、テストデータのパターンに相関して多様に変化する値である。そして、その反射光強度から算出される評価パラメータもまた、当然、記録パワーの大きさに応じて変化する値となっている。また、SDRも評価パラメータの一種であり、記録パワーの大きさに応じて変化する値である。
ここで、最も単純には、SDRをそのまま評価パラメータとしてパワー近似関数を導出し、SDRを最小とする記録パワーをパワー近似関数から直接求めて最適記録パワーとすることが考えられる。しかしそれ以外に、記録パワーとの相関関係がわかっている他の評価パラメータを用いた場合でも、SDRが最小になるような評価パラメータの条件がわかっていれば、評価パラメータがこの条件(上記の所定条件)を満たすような記録パワーをパワー近似関数から導出することで、SDRが最小になるような最適記録パワーを間接的に導出することができる。
ここで、発明が解決しようとする課題の項で説明した変調度Mを評価パラメータとして使用する場合の、上述の記録パワー決定処理の例を図5のフローチャートに示す。このフローチャートでは、各処理のステップをSと記している。また、このフローチャートに示す処理は、光ディスク装置1のコントローラ11が必要なタイミングで、例えば光ディスク2への情報の記録や最適記録パワーの算出が指示された場合に、図示しない内部のメモリに格納されたプログラムに従って実行する処理である。
そして、この処理においては、まずステップ101でiを1にセットすると共に、記録パワーPwを初期値Pに設定する。ここで、iはテスト記録の回数を計数するカウンタ変数であり、テスト記録は全部でk回行うものとする。記録パワーPwは、i回目のテスト記録時の記録パワーである。
次に、ステップ102〜ステップ107のループ処理で、テスト記録動作、読み込み動作及び評価パラメータの算出動作をk回行う。
これらの処理において、まずステップ102では、その回の記録パワーPwにより所定のテストデータを記録する。ここで使用するテストデータは、図3を用いて説明したような長周期パターンを有するデータである。そして、ステップ103でそのテスト記録したテストデータを読み取り、その読み取りで得た再生信号から最大反射光強度L1及び最小反射光強度L2を検出する。
その後、ステップ104で記録パワーPwにおける変調度M(Pw)を算出する。この変調度は、ステップ103で検出したL1及びL2から、上述の通り
M(Pw)=(L1−L2)/L1
により求めることができる。
次に、ステップ105に進んでカウンタ変数iを1増加させ、ステップ106でiがkより大きいか否か、すなわち最後(k回目)のテスト記録が終了したか否かを判断する。そして、終了していない場合は、ステップ107で記録パワーPwにPwi−1+ΔPwをセットした後、すなわち新たな記録パワーとして前回の記録パワーにΔPwを加えた値を設定した後に、ステップ102に戻ってその記録パワーPwによるテスト記録動作と読み取り動作を繰り返す。
ただし、ΔPwが一定値であることや、正の値であることは必須ではない。さらに言えば、記録パワーが小さい順または大きい順にテスト記録を行うことも必須ではない。
一方、ステップ106で最後のテスト記録が終了したと判断した場合には、ステップ108に進み、k個得られた変調度M(Pw)を記録パワーPwの関数として2次近似して
M(Pw)=aPw+bPw+c ・・・(式3)
なる関数を導出する。
この関数が、評価パラメータである変調度M(Pw)についてのパワー近似関数であり、この関数は、光ディスクと光ディスク装置の組合せや各々の特性、そのときの使用状況に応じて異なるものが得られる。なお、具体的な導出方法については、M(Pw)とPwの値ペアが適当な数与えられれば、公知の手法を適用できるから、説明は省略する。
なお、ここで2次近似を採用したのは、計算量と精度の兼ね合いから好ましいためであり、より高次の関数や、分数関数、対数関数等の他の関数による近似を行うようにしてもよい。後述するように評価パラメータとして他のパラメータを使用する場合には、パラメータの特性に応じて近似に用いる関数を選択するとよい。
ステップ108の後は、ステップ109に進んで、変調度Mの飽和値Msを算出する。この飽和値Msは、例えばPwが増加してもM(Pw)が殆ど変化しなくなった場合の値とすることができる。
その後、ステップ110で、上記の所定条件としてM(Pw)=0.9Msをパワー近似関数に代入し、Pwの2次方程式の解を求めることにより、この所定条件を満たす記録パワーPwを導出し、この値を最適記録パワーとして処理を終了する。なお、この2次方程式からは2つの解が得られるが、そのうちテスト記録で用いた記録パワーの範囲内又は近い方の解を最適記録パワーとするとよい。また、使用する記録媒体や記録装置に応じて上記の所定条件が異なることはもちろんであるが、ここでM(Pw)=0.9Msを用いた理由については後述する。
以上の処理において、ステップ102及び103の処理が第1ステップの処理である。ステップ104及び108の処理が第2ステップの処理である。ステップ109及び110の処理が第3ステップの処理である。また、ステップ104の処理をステップ106の後に行い、全てのテスト記録及び読み取りが完了してから評価パラメータを算出するようにしてもよい。
以上のような処理により、光ディスク2に多値データを記録するための記録パワーとして、SDRが最小になるような最適な記録パワーを導出することができる。
そして、光ディスク装置1において、ユーザデータの記録前にこのような処理によって最適記録パワーを求め、その記録パワーでユーザデータの記録を行うことにより、光ディスク、光ディスク装置の個体差及び使用環境の影響を受けることなく安定した記録ができ、再生マージンも十分に確保できる。また、この処理は、評価パラメータとして比較的簡易な変調度Mを用いているため、最適記録パワー算出のための処理時間が短くて済み、記録待ち時間を短縮できる。
ここで、上述した変調度M(Pw)が満たすべき所定条件の定め方について説明する。ここでは、具体例として、波長405nm、対物レンズの開口数NA=0.65のレーザー光で記録可能な相変化型の光ディスクを使用した場合について説明する。この光ディスクは、基板が直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネートからなり、基板表面上には射出成形によりグルーブ溝が連続したスパイラル(螺旋)で形成されている。また、この基板上に、誘電体膜,Ge−Sb−Teなどからなる相変化記録膜,誘電体膜,反射膜を順次積層して作成したものである。
図6及び図7に、このようなサンプルディスクに様々な記録パワーでテストデータを記録した場合の、記録パワーと記録特性との関係を示す。これらの図は、発明が解決しようとする課題の項で説明した図17と対応するものである。そして、図17,6,7に示したデータは、それぞれ異なる飽和値Msを有するサンプルディスクA,B,Cを作製して評価した結果である。
また、これらの図中の曲線は、M(Pw)/Ms及びSDRとPwとの関係を2次近似して得られた近似関数のグラフである。そして、これらの各曲線61乃至66の式は、縦軸の値をy、横軸の値をxとすると、下記表1のようなものである。
Figure 2005228367
これらの図を参照すると、いずれのサンプルディスクにおいても、M(Pw)/Msが約0.9となる、すなわち変調度M(Pw)が飽和値Msの約90%となる記録パワーPwでSDRが最小値となっていることがわかる。上述の所定条件M(Pw)=0.9Msは、このような根拠に基づいて定めたものである。なお、図17からは、変調度Mが飽和値Msに達する記録パワーPopt′より低い記録パワーPoptで記録する方が、SDRを下げられることがわかる。
なお、M(Pw)が丁度0.9Msとなるようにすることが必須でないことはもちろんである。実際には、多値シンボル誤り数/全シンボル数で求められるSER(多値シンボルエラー率)が1.0×10−2未満であれば、多値データの読み取りに大きな支障はない。図8にSDRとSERとの関係を示すが、この図からわかるように、SER<1.0×10−2を確保するためには、SDRが概ね3.0%未満であればよいことがわかる。そして再生マージンを0.5%と見込んだ場合、SDRが2.5%であれば、多少の条件変動があった場合でも安定的な記録を行うことができると言える。
そして、このようにSDR<2.5%となるとなるようなM(Pw)/Msの範囲は、図17よりサンプルディスクAにおいては概ね0.8<M(Pw)/Ms<1.0であることがわかり、図6よりサンプルディスクBにおいては概ね0.75<M(Pw)/Ms<0.95となることがわかる。したがって、0.75<M(Pw)/Ms<1.0となる記録パワーPw、より好ましくは0.8<M(Pw)/Ms<0.95となるような記録パワーPwを最適記録パワーとして設定すれば、十分な再生マージンを確保できることがわかる。以上より、最適記録パワーを求めるための上記所定条件として、0.75Ms<X<1.0Ms、より好ましくは0.8Ms<X<0.95Msなる所定値Xについて変調度M(Pw)=Xとなる条件を採用すれば、適切な記録パワーを導出することができると言える。なお、この範囲は、SDRを最小値とする場合の上記所定条件M(Pw)=0.9Msを包含した範囲となっている。
また、図9に、上述のサンプルディスクA,B,Cを含め、種々のMsを有するサンプルディスクを作製して測定した、変調度Mの飽和値MsとSDRとの関係を示す。そして、この図から、正確に多値データを記録するためのSDR<2.5%を確保するためには、概ねMs>0.60である必要があることがわかる。
そこで、上述の処理により導出した最適記録パワー値でテスト記録したテストデータに係る変調度がこの範囲にならない場合には、正確な多値データの記録が行えないことが予想されるため、導出した最適記録パワー値を多値データの記録に使用しないようにすることが考えられる。情報記録装置においてユーザデータの記録前に導出した際にこのような事態が生じた場合には、エラー処理を行って情報記録装置の記録動作を中断することが考えられる。
このための具体的なチェック処理としては、最適記録パワーを導出した後で再度その最適記録パワーによりテストデータをテスト記録し、これを読み取って得た最大反射光強度をL1oとし、同じく最小反射光強度をL2oとして、(L1o−L2o)/L1o>0.60であるかどうかをチェックする。このような処理を行うことにより、より確実に必要SDRを確保して正確な多値データの記録が可能となる。
〔第1実施例の第1変形例:図10乃至図12〕
次に、上述した第1実施例の第1変形例について説明する。この変形例においては、概略的な処理手順は上述した第1実施例とほぼ同じであるが、パワー近似関数を求めるにあたって採用する評価パラメータがアシンメトリである点が異なる。そして、それに伴って、使用するテストデータの内容や、評価パラメータが満たすべき所定条件も変更している。
まず、この変形例において使用するテストデータは、図3に示したように、長周期パターンと短周期パターンとを有するテストデータである。そして、このようなテストデータをテスト記録し、これを読み取って反射光強度を得ると、図3を用いて上述したように、長周期パターンの部分から、最大反射光強度L1及び最小反射光強度L2が得られるとともに、短周期パターンの部分から、ピーク反射光強度L3及びボトム反射光強度L4を得ることができる。
そして、アシンメトリは、これらのL1乃至L4を用い、
α=(L1+L2−L3−L4)/{2×(L1−L2)} ・・・(式4)
で示される値である。これは、最大反射光強度とピーク反射光強度との差と、最小反射光強度とボトム反射光強度との差との間の差をとり、これを最大振幅で規格化した値をさらに半分とした値である。
つまり、最大反射光強度L1と最小反射光強度L2との間の大振幅に対し、ピーク反射光強度L3とボトム反射光強度L4との間の小振幅がどのくらいの非対称性で配置されているかを示す値である。このアシンメトリが0に近ければ小振幅は大振幅の中央付近に位置していることになり、それより大きいほど小振幅は反射光強度の増加側に偏って位置し、小さいほど減少側に偏って位置していることになる。α(Pw)は、記録パワーPwで記録したテストデータを読み取った場合の変調度の値である。
ここで、図10乃至図12に、それぞれ上述したサンプルディスクA乃至Cに対して実際にテスト記録と読み込みを行い、それぞれの検出結果から求めた記録パワーPwと変調度M(Pw)及びアシンメトリα(Pw)と記録パワーPwとの対応関係を示す。
また、これらの図中の曲線67,69,71は、M(Pw)とPwとの関係を2次近似して得られた近似関数のグラフである。そして、これらの各曲線の式は、縦軸の値をy、横軸の値をxとすると、下記表2のようなものである。
Figure 2005228367
また、曲線68,70,72は、α(Pw)とPwとの関係を示す近似関数である。
これらの図を図17,5,6と比較するとわかるように、いずれのサンプルディスクにおいても、アシンメトリαが最小になる記録パワーPwは、SDRが最小になる記録パワーPwとほぼ一致している。従って、アシンメトリαを評価パラメータとし、評価パラメータが満たすべき所定条件としてアシンメトリαが最小になるという条件を採用することにより、図5に示した処理と概ね同様な処理により最適記録パワーを導出することができる。
なお、この処理は、ステップ103,104,108,109,110の処理が図5に示した処理と異なるので、ここでこの相違部分について説明する。
本変形例の処理においては、ステップ103では、テストデータの読み取りで得た反射光強度から、最大反射光強度L1及び最小反射光強度L2の他に、アシンメトリαの算出に必要なピーク反射光強度L3及びボトム反射光強度L4も検出する。そして、ステップ104で記録パワーPwにおけるアシンメトリαを算出するようにし、ステップ102〜107のループ処理によりk個のアシンメトリを得る。そしてステップ108において、k個のアシンメトリαを記録パワーPwの関数として2次近似して、
α(Pw)=a×Pw+b×Pw+c ・・・(式5)
なるパワー近似関数を導出する。そして、ステップ109は省略して次にステップ110に進み、パワー近似関数を用いてα(Pw)が最小値となる記録パワーPwを導出し、この値を最適記録パワーとしてこの処理を終える。
なお、図10乃至図12に示したPopt′は、従来の技術の項で説明した特許文献2に記載の方法を用いて決定した最適記録パワーの値を、Poptは上記のようにアシンメトリαを評価パラメータとして導出した最適記録パワーの値を示す。
以上のようなこの変形例によっても、上述のような第1の実施例の場合と同様な効果を奏する。また、評価パラメータとして比較的簡易なアシンメトリαを用いているため、最適記録パワー算出のための処理時間が短くて済み、情報記録装置に適用する場合にも、記録待ち時間を短縮できる。
〔第1実施例の第2変形例〕
次に、上述した実施例の第2変形例について説明する。この変形例においても、概略的な処理手順は上述した第1実施例とほぼ同じであるが、パワー近似関数を求めるにあたってSDRそのものを評価パラメータに採用している点が異なる。そして、それに伴って、使用するテストデータの内容や、評価パラメータが満たすべき所定条件も変更している。
この変形例においては、テスト記録するテストデータとしてランダムデータを用い、読み取り時に、多値データの0〜7の8値レベル全てに対応する反射光強度がユーザデータに近い状態で検出されるようにしている。
テストデータを読み取って得た再生信号からのSDRの算出法については発明が解決すべき課題の項に記載したのでここでは説明を省略するが、記録パワーPwで記録したテストデータを読み取った場合のSDRの値をSDR(Pw)と記載することにする。
そしてこの変形例においては、評価パラメータが満たすべき所定条件として、SDRが最小になるという条件を採用することにより、図5に示した処理と概ね同様な処理により最適記録パワーを導出することができる。
なお、この処理は、ステップ103,104,108,109,110の処理が図5に示した処理と異なるので、ここでこの相違部分について説明する。
本変形例の処理においては、ステップ103で、テストデータの読み取りによって得た再生信号から、最大反射光強度L1及び最小反射光強度L2の他に、SDRの算出に必要な、テストデータ中の各多値データと対応する反射光強度も検出する。そして、ステップ104で記録パワーPwにおけるSDRを算出するようにし、ステップ102〜107のループ処理によりk個のSDRを得る。そしてステップ108において、k個のSDRを記録パワーPwの関数として2次近似して、
SDR(Pw)=a×Pw+b×Pw+c ・・・(式6)
なるパワー近似関数を導出する。そして、ステップ109は省略して次にステップ110に進み、パワー近似関数を用いてSDR(Pw)が最小値となる記録パワーPwを導出し、この値を最適記録パワーとしてこの処理を終える。
以上のようなこの変形例によっても、上述のような第1の実施例の場合と同様な効果を奏する。また、この変形例においては、評価パラメータとしてSDRそのものを用いているため、SDRを最低にするような記録パワーを精度よく導出することができる。またこのような記録パワーで多値データの記録を行うことにより、多値データを高い精度で記録できる。
〔第1実施例の第3変形例〕
次に、上述した実施例の第3変形例について説明する。この変形例においても、概略的な処理手順は上述した第1実施例とほぼ同じであるが、パワー近似関数を求めるにあたって上述したSERを評価パラメータに採用している点が異なる。そして、それに伴って、使用するテストデータの内容や、評価パラメータが満たすべき所定条件も変更している。
まず、この変形例で用いるテストデータは、上述の第2の変形例の場合と同様なランダムデータである。そして、評価パラメータとして採用したSERは、多値シンボルエラー率であり、小さいほど多値データを誤検出する確率が低いことを示すパラメータである。従って、SERが低いほど多値データを正確に判定できることになる。記録パワーPwで記録したテストデータを読み取った場合のSERの値をSER(Pw)と記載することにする。
また、図8からわかるように、SDRとSERの対数とは略線形の関係にあるので、SERが最小になるような記録パワーPwでSDRも最小になると言える。従って、SERを評価パラメータとし、評価パラメータが満たすべき所定条件としてSERが最小になるという条件を採用することにより、図5に示した処理と概ね同様な処理により最適記録パワーを導出することができる。
なお、この処理は、ステップ103,104,108,109,110の処理が図5に示した処理と異なるので、ここでこの相違部分について説明する。
本変形例の処理においては、ステップ103で、テストデータの読み取りによって得た再生信号をデコードし、テストデータ中の各値をどの値として読み取ったかを判断する。そして、ステップ104でこの判断結果をもとに記録パワーPwにおけるSERを算出するようにし、ステップ102〜107のループ処理によりk個のSERを得る。そしてステップ108において、k個のSERを記録パワーPwの関数として2次近似して、
SER(Pw)=a×Pw+b×Pw+c ・・・(式7)
なるパワー近似関数を導出する。そして、ステップ109は省略して次にステップ110に進み、パワー近似関数を用いてSER(Pw)が最小値となる記録パワーPwを導出して、この値を最適記録パワーとしてこの処理を終える。
以上のようなこの変形例によっても、上述のような第1の実施例の場合と同様な効果を奏する。
また、この変形例においては、評価パラメータとしてSERを用いているため、読み取り時のエラー率が低く、またSDRを最低にするような記録パワーを精度よく導出することができる。そして、このような記録パワーで多値データの記録を行うことにより、多値データを高い精度で記録できる。
〔記録パワー決定処理の第2実施例:図13乃至図15〕
次に、上述のように記録媒体に多値データを記録するための記録パワーを決定する記録パワー決定処理の第2の実施例について説明する。この処理は、この発明の記録パワー導出方法の第2の実施形態に係る処理である。
この実施例においても、概略的な処理手順は上述した第1実施例と同様な部分が多いので、重複する説明については省略する。すなわち、この実施例における記録パワー導出方法は、光ディスクにあらかじめ記録されているテストデータと、あらたにテスト記録したテストデータのそれぞれの反射光強度の誤差の2乗和を評価パラメータに用いて、それにより導出されるパワー近似関数と所定条件とからSDRを最小にする最適記録パワーを導出するものである。またこの実施例の処理は、この最適記録パワーを導出した後に、さらに同様の方法により最適記録パルス幅を導出する処理を含む。
この実施例の記録パワー決定処理においては、記録媒体である光ディスクとして、あらかじめ所定の領域にテストデータが記録された光ディスクを用いる。そして、このテストデータの記録は、製造時にプリピットとして形成して行うものとする。このようにすれば、光ディスクごとに記録する工程が省けるため製造効率がよく製造コストを抑えることができると共に、均一な記録品質でテストデータを記録することができる。ただし、このようにすることは必須ではなく、光ディスクの製造後に所要の記録装置によってテストデータの記録を行うこともできる。また、テストデータとしては、ユーザデータに近い状態のランダムデータを用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
そしてこの実施例の光ディスク装置が最適記録パワーを導出する際には、まず光ディスクにあらかじめ記録されているテストデータを読み込んでプリ反射光強度を検出する。その後に、同じあらかじめ記録されているテストデータと同じ配列の多値データからなるテストデータを複数の異なる記録パワーでテスト記録し、それらを読み込んで第1テスト反射光強度を検出する。これによりプリ反射光強度S(j)(j=1,2,…,n)と、各記録パワーによるテスト記録と対応するテスト反射光強度T(j)(i=1,2,…,k,j=1,2,…,n)が得られることになる。ここで、iは何番目のテスト記録に係るデータを読み取って得た反射光強度であるかを示すパラメータであり、jはテストデータ中の何番目の多値データを読み取って得た反射光強度であるかを示すパラメータである。そして、kはテスト記録の回数を、nはテストデータ中の多値データの数を示す。
そして、この実施例においては、以上のようなプリ反射光強度とテスト反射光強度とから、最適記録パワーを導出するようにしている。具体的には、評価パラメータとして、下記の式8に従って求められるプリ反射光強度S(j)とテスト反射光強度T(j)との誤差2乗和Eを採用している。
Figure 2005228367
この誤差2乗和Eは、あらかじめ記録しておいたテストデータと、ある記録パワーで記録したテストデータとをそれぞれ読み取った場合に得られる反射光強度のずれの度合いを示す値であり、これが小さいほど、テストデータをあらかじめ記録しておいたものと同じように記録できたことになる。
図13は、所定の光ディスク装置で上述したサンプルディスクAにあらかじめテストデータを記録しておき、図1に示した光ディスク装置1で種々の記録パワーによりテスト記録と読み込みを行った結果から求めたSDR及び誤差2乗和Eと記録パワーPwとの関係を示す図である。図中の曲線73,74は、SDR及びEとPwとの関係を2次近似して得られた近似関数のグラフである。
この図からわかるように、誤差2乗和Eが最小になる記録パワーは、SDRが最小となる記録パワーとほぼ一致している。従って、誤差2乗和Eを評価パラメータとし、評価パラメータが満たすべき所定条件として誤差2乗和Eが最小になるという条件を採用することにより、上述した第1実施例の場合と同様に最適記録パワーを導出することができる。
なお、この実施例においては、最適記録パワーを導出した後、導出した最適記録パワーで記録パルスの幅を変えて順次上述の場合と同じテストデータのテスト記録を行い、これらを読み取って得た反射光強度から、最適記録パルス幅も導出するようにしている。この場合も、上記と同様な考え方が可能であり、あらかじめ記録しておいたテストデータと、ある記録パルス幅で記録したテストデータとをそれぞれ読み取った場合に得られる反射光強度のずれの度合いを示す誤差2乗和が最小になるような記録パルス幅を最適記録パルス幅として導出することができる。
ここで、以上のようなこの実施例の記録パワー導出方法に係る処理を、図13及び図14のフローチャートに示す。このフローチャートに示す処理は、光ディスク装置1のコントローラ11が必要なタイミングで、例えば光ディスク2への情報の記録や最適記録パワーの算出が指示された場合に、図示しない内部のメモリに格納されたプログラムに従って実行する処理である。
そして、この処理においては、まず図13のステップ201で、光ディスクにあらかじめ記録されているテストデータを読み取る。次にステップ202へ進み、ステップ201の読み取りで得た信号をサンプリングし、テストデータ中のn個の多値データに対応する反射光強度をプリ反射光強度S(j)(j=1、2、…、n)として検出し、ステップ203で記憶する。
次にステップ204に進んで、iを1にリセットし、記録パワーPwを初期値Pに設定する。
次に、ステップ205〜ステップ210のループ処理で、テスト記録動作、読み込み動作及び第1評価パラメータの算出動作をk回行う。ステップ205では、その回の記録パワーPwによりテストデータを記録する。このテストデータは、光ディスクに予め記録されているテストデータと同じ値を有するものである。そして、ステップ206で、ステップS205で記録したテストデータを読み込んで、テストデータ中のn個の多値データに対応する反射光強度を第1テスト反射光強度T1(j)(j=1、2、…、n)として検出する。
次にステップ207で、ステップ203で記憶したプリ反射光強度群S(j)と第1テスト反射光強度群T1(j)との誤差2乗和E1を算出する。この算出は、上述した式8を利用し、具体的には下記式9のように行うことができる。
Figure 2005228367
次にステップ208に進んで、カウンタ変数iを1増加させ、ステップ209で最後(k回目)のテスト記録が終了したかを判断する。終了していない場合は、ステップ210で記録パワーPwにPwi−1+ΔPwをセットした後、ステップ205に戻ってその記録パワーPwによるテスト記録動作と読み取り動作を繰り返す。これらのステップ208乃至210の処理は、図5のステップ105乃至107の処理と同様なものである。
ステップ209で最後のテスト記録が終了したと判断した場合には、ステップ211に進み、k個得られた誤差2乗和E1を記録パワーの関数として2次近似して、
E1(Pw)=aPw+bPw+c ・・・(式10)
なる関数を導出する。この関数が、評価パラメータである誤差2乗和E1についてのパワー近似関数である。なお、具体的な導出方法については、E1とPwの値ペアが適当な数与えられれば、公知の手法を適用できるから、説明は省略する。
そして、次のステップ212で、パワー近似関数を用いて誤差2乗和E1(Pw)が最小となる記録パワーPwを導出し、この値を最適記録パワーとする。ここでは、パワー近似関数が2次関数であることから、a>0であれば、−b/2aがこのようなPwとなる。
ここまでの処理で最適記録パワー値を導出することができるので、最適記録パルス幅の導出が不要である場合には、ここで処理を終了してもよい。
しかしここでは、さらに最適記録パルス幅を導出するため、続けて図15に示す部分の処理を行う。そして、図15のステップ213に進んで、iを1にリセットし、記録パルス幅Wtを初期値Wに設定する。
次に、ステップ214〜ステップ219のループ処理で、テスト記録動作、読み込み動作及び第2評価パラメータの算出動作をk回行う。ステップ214では、その回の記録パルス幅Wtによりテストデータを記録する。このテストデータは、光ディスクに予め記録されているテストデータと同じ値を有するものである。また、記録パワー値は、ステップ212で導出した最適記録パワー値を用いる。
そして、ステップ215で、ステップS214で記録したテストデータを読み込んで、テストデータ中のn個の多値データに対応する反射光強度を第2テスト反射光強度T2(j)(j=1、2、…、n)として検出する。
次にステップ216で、ステップ203で記憶したプリ反射光強度群S(j)と第2テスト反射光強度群T2(j)との誤差2乗和E2を算出する。この算出は、上述した式8を利用し、具体的には下記式11のように行うことができる。
Figure 2005228367
次にステップ217に進んで、カウンタ変数iを1増加させ、ステップ218で最後(h回目)のテスト記録が終了したかを判断する。終了していない場合は、ステップ210で記録パルス幅WtにWti−1+ΔWtをセットした後、ステップ205に戻ってその記録パワーPwによるテスト記録動作と読み取り動作を繰り返す。
ステップ218で最後のテスト記録が終了したと判断した場合には、ステップ219に進み、m個得られた誤差2乗和E2を記録パワーの関数として2次近似して、
E2(Pw)=aPw+bPw+c ・・・(式12)
なる関数を導出する。この関数が、評価パラメータである誤差2乗和E2についてのパルス幅近似関数である。なお、具体的な導出方法については、E2とPwの値ペアが適当な数与えられれば、公知の手法を適用できるから、説明は省略する。
そして、次のステップ212で、パルス幅近似関数を用いて誤差2乗和E2(Pw)が最小となる記録パルス幅Wtを導出し、この値を最適記録パルス幅として処理を終了する。ここでは、パルス幅近似関数が2次関数であることから、a>0であれば、−b/2aがこのようなWtとなる。
以上のステップ213乃至221の処理は、図14のステップ204乃至212の処理と対応するものである。
以上の処理において、ステップ201乃至203の処理が第1ステップの処理、ステップ205及び206の処理が第2ステップの処理、ステップ207及び211の処理が第3ステップの処理、ステップ212の処理が第4ステップの処理、ステップ214及び215の処理が第5ステップの処理、ステップ216及び220の処理が第6ステップの処理、ステップ221の処理が第7ステップの処理である。また、ステップ207の処理をステップ209の後に行ったり、ステップ216の処理をステップ218の後で行ったりして、全てのテスト記録及び読み取りが完了してから評価パラメータを算出するようにしてもよい。
以上の処理により最適記録パワー及び最適記録パルス幅を導出することができ、このような最適記録パワーの導出方法によれば、上記第1実施例と同様に、SDRが最小になるような最適な記録パワーを導出することができる。また、光ディスク装置に適用すれば、光ディスク、光ディスク装置の個体差及び使用環境の影響を受けることなく安定した記録ができ、再生マージンも十分に確保できる。さらに、SDRが最小になるような最適な記録パルス幅も導出することができるので、より精度や品質のよい記録が可能になる。
また、この処理は、あらかじめ記録してあるテストデータの場合に最も近い再生信号を得ることができるような記録パワー値を最適記録パワー値として導出するようにしているので、個体差や使用環境の影響を排除して正確な多値データの記録が可能である。また、あらかじめ記録しておくテストデータの特性を変えた場合でも、その特性に近い記録を行うことができるような最適記録パワー値を導出することができる。最適記録パルス幅についても同様であり、双方を組み合わせることにより、より精度や品質のよい記録が可能になる。
以上で実施例の説明を終了するが、上記2つの実施例で共通して用いられる光ディスクのような記録媒体は、少なくともGe、Sb、Teを含むSb−Te共晶系の材質を相変化記録膜に用いた相変化型光記録媒体を用いるのが望ましい。つまり、多値データを反射光強度に対応させて記録する方式においては、急冷却と徐冷却によりアモルファス相と結晶相とに相変化する記録層を備えた光記録媒体を用いることで、記録マークの形状を高い精度で制御できる。
また、上記2つの実施例に共通して、算出した各種の数値や、2次式などの演算式の表現は、上記のものに限定されるものではなく、光学系の設計値や光記録媒体の種類などに応じ、本発明の主旨における範囲内で種々の値や、数式を適用することが可能である。また、導出した最適値に必要な変更を加えて実際の記録に使用することを妨げるものではない。記録媒体も、相変化型の光記録媒体に限定されるものではない。
以上説明してきたように、この発明の記録パワー導出方法及び情報記録装置によれば、記録媒体に多値データを記録するための好適な記録パワーを導出できるようにすることができる。
従って、記録媒体に高い品質で多値データを記録可能な情報記録装置を提供することができる。
この発明の情報記録装置の実施形態である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 図1に示した光ディスク装置におけるピックアップの光学系の構成例を示す図である。 長周期パターンと短周期パターンとからなる周期データをテスト記録して読み込んだ場合の反射光強度の変化の例を示す図である。 光ディスクに多値データを記録する際のパルス列の例を示す図である。
この発明の記録パワー導出方法の第1実施例に係る記録パワー決定処理を示すフローチャートである。 サンプルディスクに様々な記録パワーでテストデータを記録した場合の、M(Pw)/Ms及びSDRと記録パワーPwとの関係を示す図である。 別のサンプルディスクについて同様な関係を示す図である。 SDRとSERの関係を示す図である。 種々のMsを有するサンプルディスクを作製して測定した、変調度Mの飽和値MsとSDRとの関係を示す図である。
サンプルディスクに様々な記録パワーでテストデータを記録した場合の、M(Pw)及びα(Pw)と記録パワーPwとの関係を示す図である。 別のサンプルディスクについて同様な関係を示す図である。 さらに別のサンプルディスクについて同様な関係を示す図である。 サンプルディスクに様々な記録パワーでテストデータを記録した場合の、SDR及び誤差2乗和Eと記録パワーPwとの関係を示す図である。 この発明の記録パワー導出方法の第2実施例に係る記録パワー決定処理の一部を示すフローチャートである。 図14の続きの処理を示すフローチャートである。
多値記録方式における、各セルの記録マークの状態と対応する反射光強度との関係について説明するための図である。 サンプルディスクに様々な記録パワーでテストデータを記録した場合の、M(Pw)/Ms及びSDRと記録パワーPwとの関係を示す図である。
符号の説明
1:光ディスク装置 2:光ディスク
3:受光素子 4:LD光源
5:ピックアップ 6:再生信号検出回路
7:サンプルホールド回路 8:AD変換回路
9:ウォブル検出回路 10:クロック検出回路
11:コントローラ 12:メモリ
13:LD駆動回路 14:コリメートレンズ
15:偏光ビームスプリッタ 16:ミラー
17:λ/4板 18:対物レンズ
19:検出レンズ 51:記録トラック
52:記録セル 53:記録マーク
54:再生光スポット L:レーザ光

Claims (12)

  1. 記録媒体に多値データを記録するための記録パワーを導出する記録パワー導出方法であって、
    前記記録媒体に複数の異なる記録パワーでテストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応する反射光強度を検出する第1ステップと、
    該第1ステップで検出した反射光強度からそれぞれ評価パラメータを算出し、該評価パラメータを記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する第2ステップと、
    該第2ステップで導出したパワー近似関数から、前記評価パラメータが所定条件を満たすような記録パワーの値を最適記録パワー値として導出する第3ステップとを有することを特徴とする記録パワー導出方法。
  2. 請求項1記載の記録パワー導出方法であって、
    前記テストデータは、反射光強度が最大になる多値データの値と反射光強度が最小になる多値データの値とをそれぞれ3回以上連続して繰り返した長周期パターンを有し、
    前記評価パラメータMは、テスト記録したテストデータに係る最大反射光強度をL1とし、同じく最小反射光強度をL2とした場合のM=(L1−L2)/L1であり、
    前記所定条件は、記録パワーを増加させた場合のMの飽和値をMsとして、0.75Ms<X<1.0Msなる所定値XについてM=Xとなる条件であることを特徴とする記録パワー導出方法。
  3. 請求項1記載の記録パワー導出方法であって、
    前記テストデータは、反射光強度が最大になる多値データの値と反射光強度が最小になる多値データの値とをそれぞれ3回以上連続して繰り返した長周期パターンと、反射光強度が最大になる多値データの値と反射光強度が最小になる多値データの値とを繰り返した短周期パターンとを有し、前記評価パラメータαは、テスト記録したテストデータに係る最大反射光強度をL1、同じく最小反射光強度をL2、前記短周期パターンのピーク反射光強度をL3、前記短周期パターンのボトム反射光強度をL4として、α=(L1+L2−L3−L4)/{2×(L1−L2)}であり、
    前記所定条件は、前記評価パラメータαが最小になる条件であることを特徴とする記録パワー導出方法。
  4. 請求項1記載の記録パワー導出方法であって、
    前記テストデータは前記多値データのランダムパターンであり、
    前記評価パラメータSDRは、前記ランダムパターンにおける最大反射光強度をL1、最小反射光強度をL2とし、多値データの値kにおける反射光強度の標準偏差をσとし、多値データの取り得る値の数をmとして、SDR=(Σσ)/{m×(L1−L2)}であり、
    前記所定条件は、前記評価パラメータSDRが最小になる条件であることを特徴とする記録パワー導出方法。
  5. 請求項1記載の記録パワー導出方法であって、
    前記テストデータは多値データのランダムパターンであり、
    前記評価パラメータは多値シンボルエラー率であり、
    前記所定条件は、多値シンボルエラー率が最小になる条件であることを特徴とする記録パワー導出方法。
  6. 記録媒体に多値データを記録する記録パワー導出方法であって、
    あらかじめ前記記録媒体に記録されているテストデータを読み取ってプリ反射光強度を検出する第1ステップと、
    前記記録媒体に複数の異なる記録パワーで前記テストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応するテスト反射光強度を検出する第2ステップと、
    前記第1ステップで検出したプリ反射光強度と前記第2ステップで検出した各記録パワーについての前記テスト反射光強度との誤差の2乗和をそれぞれ算出し、該誤差の2乗和を記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する第3ステップと、
    該第3ステップで導出したパワー近似関数から、前記誤差の2乗和が最小になる記録パワーを最適記録パワー値として導出する第4ステップとを有することを特徴とする記録パワー導出方法。
  7. 記録媒体に多値データを記録する記録パワー導出方法であって、
    あらかじめ前記記録媒体に記録されているテストデータを読み取ってプリ反射光強度を検出する第1ステップと、
    前記記録媒体に複数の異なる記録パワーで前記テストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応する第1テスト反射光強度を検出する第2ステップと、
    前記第1ステップで検出したプリ反射光強度と前記第2ステップで検出した各記録パワーについての前記第1テスト反射光強度との誤差の2乗和をそれぞれ第1評価パラメータとして算出し、該第1評価パラメータを記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する第3ステップと、
    該第3ステップで導出したパワー近似関数から、前記第1評価パラメータが最小になる記録パワーを最適記録パワー値として導出する第4ステップと、
    前記記録媒体に、前記最適記録パワー値により複数の異なる記録パルス幅で前記テストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応する第2テスト反射光強度を検出する第5ステップと、
    前記第1ステップで検出したプリ反射光強度と前記第5ステップで検出した各記録パルス幅についての第2テスト反射光強度との誤差の2乗和をそれぞれ第2評価パラメータとして算出し、該第2評価パラメータを記録パルス幅の関数として近似してパルス幅近似関数を導出する第6ステップと、
    該第6ステップで導出したパルス幅近似関数から、前記第2評価パラメータが最小になる記録パルス幅を最適記録パルス幅として導出する第7ステップとを有することを特徴とする記録パワー導出方法。
  8. 請求項6又は7記載の記録パワー導出方法であって、
    前記テストデータは多値データのランダムパターンであり、あらかじめ前記記録媒体に記録されているテストデータはプリピットで形成されていることを特徴とする記録パワー導出方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記録パワー導出方法であって、
    導出した最適記録パワー値でテスト記録したテストデータを読み取って得られる最大反射光強度をL1oとし、同じく最小反射光強度をL2oとして、(L1o−L2o)/L1o>0.60を満たさない場合には、前記最適記録パワー値を多値データの記録に使用しないようにすることを特徴とする記録パワー導出方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の記録パワー導出方法であって、
    前記記録媒体は、少なくともGe、Sb、Teを含むSb−Te共晶系の材質を相変化記録膜に用いた相変化型光ディスクであることを特徴とする記録パワー導出方法。
  11. 記録媒体に多値データを記録する情報記録装置であって、
    前記記録媒体に複数の異なる記録パワーでテストデータをテスト記録する手段と、
    それらテスト記録したテストデータを読み取って対応する反射光強度を検出する手段と、
    該反射光強度からそれぞれ評価パラメータを算出する手段と、
    該評価パラメータを記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する手段と、
    該パワー近似関数から、前記評価パラメータが所定条件を満たすような記録パワーの値を最適記録パワーとして導出する手段とを設けたことを特徴とする情報記録装置。
  12. 記録媒体に多値データを記録する情報記録装置であって、
    あらかじめ前記記録媒体に記録されているテストデータを読み取って対応するプリ反射光強度を検出する手段と、
    前記記録媒体に複数の異なる記録パワーで前記テストデータをテスト記録し、それらテスト記録したテストデータを読み取って対応するテスト反射光強度を検出する手段と、
    前記プリ反射光強度と各記録パワーについての前記テスト反射光強度との誤差の2乗和をそれぞれ算出する手段と、
    該誤差の2乗和を記録パワーの関数として近似してパワー近似関数を導出する手段と、
    該パワー近似関数から、前記誤差の2乗和が最小になる記録パワーを最適記録パワー値として導出する手段とを設けたことを特徴とする情報記録装置。
JP2004033270A 2004-02-10 2004-02-10 記録パワー導出方法及び情報記録装置 Pending JP2005228367A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033270A JP2005228367A (ja) 2004-02-10 2004-02-10 記録パワー導出方法及び情報記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033270A JP2005228367A (ja) 2004-02-10 2004-02-10 記録パワー導出方法及び情報記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005228367A true JP2005228367A (ja) 2005-08-25

Family

ID=35002944

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004033270A Pending JP2005228367A (ja) 2004-02-10 2004-02-10 記録パワー導出方法及び情報記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005228367A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115833941A (zh) * 2023-01-10 2023-03-21 中天通信技术有限公司 Dwdm光模块apd调试方法、电子设备及计算机可读存储介质

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115833941A (zh) * 2023-01-10 2023-03-21 中天通信技术有限公司 Dwdm光模块apd调试方法、电子设备及计算机可读存储介质

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1306489C (zh) 记录条件设定方法及使用该方法的信息记录装置
US8213283B2 (en) Information recording method for optical recording medium and optical recording apparatus
JPWO2006112277A1 (ja) 光学的情報記録媒体へのデータ記録における記録パルス条件の最適化方法
US20140185422A1 (en) Information recording medium, information recording method, and information recording apparatus
JP2006302332A (ja) 記録再生装置
US7733750B2 (en) Information recording method for recording multi-value data in optimum recording condition
RU2359343C2 (ru) Способ записи оптического носителя записи, оптический носитель записи и устройство для записи информации
JP2005228367A (ja) 記録パワー導出方法及び情報記録装置
JP4446348B2 (ja) 情報記録方法及び情報記録装置
JP4268312B2 (ja) 光学的記録再生装置
US20080285401A1 (en) Optical disc apparatus and optical disc recording and reproducing method
JP2003091822A (ja) 光情報記録方法、光情報記録装置および光情報記録媒体
JP4253257B2 (ja) 記録パワー決定方法及び情報記録装置
JP4410080B2 (ja) 情報記録方法、情報記録装置、光ディスク、プログラム及びコンピュータ読み取り可能記録媒体
US8068398B2 (en) Recording method for optical recording medium and recording apparatus
WO2005038787A1 (ja) 情報記録方法、情報記録装置、光ディスク、プログラム及びコンピュータ読み取り可能記録媒体
JP4623202B2 (ja) 光記録媒体の情報記録方法、光記録装置
US20080285402A1 (en) Optical disc apparatus and optical disc recording and reproducing method
JP4297635B2 (ja) 情報再生方法、情報再生装置、及び情報記録再生装置
JP2006172573A (ja) 多値データ記録方法及び光記録装置
JP2007294047A (ja) 光ディスク記録再生装置
JP4597789B2 (ja) 光情報記録装置および方法および信号処理回路
JP3895274B2 (ja) 多値情報記録方法及び多値情報記録再生装置
JP2003162817A (ja) 光記憶媒体記録方法、光記憶媒体記録装置および光記憶媒体
JP2004178619A (ja) 情報記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060517

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080715

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090623