JPWO2006087762A1 - シリンジ - Google Patents

Abstract

ガスケットに高圧がかかった場合にも液漏れを防止できるシリンジを提供する。ルアーテーパー部５が形成されたバレル２の内部を摺動自在に閉塞すると共に内周側に空洞部１０を備えるガスケット３と、プランジャーロッド４とを備え、プランジャーロッド４は錨部１１を介してガスケット３に連結される。錨部１１は、プランジャーロッド４の軸方向に直交する面に対して５〜４５°の角度で傾いたテーパー面からなる台座部１８から突出して形成されて、ガスケット３先端の裏面側に当接する先端当接部２２を備えると共に、外周側に遊嵌されガスケット３の内周壁に当接する当接部材１２を備える。台座部１８は先端当接部２２と前記テーパー面との間に凹曲面２０を備え、当接部材１２は、凹曲面２０に対向する部分に凸曲面２８ａを備える。バレル２は、内面側に螺条７を形成したロック筒６を備える。シリンジ１は、造影剤の注入に用いられる。

Description

本発明は、造影剤の注入等の医療行為に用いられるシリンジに関するものである。

従来、体内への薬液の注入、血液の採取等の医療行為に用いられるシリンジとして、図４に示すものが知られている。図４に示すシリンジ４１は、先端部にルアーテーパー部５が形成されたバレル２と、バレル２の内部を摺動自在に閉塞するガスケット３と、ガスケット３に連結されたプランジャーロッド４とを備えている。前記ガスケット３は内周側に空洞部４２を備え、プランジャーロッド４は先端部に設けられた錨部４３が空洞部４２に嵌着されることにより、ガスケット３に連結されるようになっている。

前記シリンジ４１は、バレル２とプランジャーロッド４とが共に合成樹脂の射出成形により形成されているが、このようにして形成するときには、バレル２の内周面２ａとプランジャーロッド４の外周面４ａとの間にある程度のクリアランスを設ける必要がある。前記クリアランスを設けないと、ガスケット３に連結されたプランジャーロッド４をバレル２に円滑に挿入することが難しくなる。尚、ガスケット３は、バレル２の内周面２ａとの間に前記クリアランスを備えるプランジャーロッド４の先端部に装着されたときにバレル２の内周面２ａに密着し、プランジャーロッド４の操作によりバレル２の内周面に沿って摺動する際の液体や空気の漏洩を防止するものである。

前記シリンジ４１では、バレル２の内周面２ａとプランジャーロッド４の外周面４ａとの間に前記クリアランスがあるため、プランジャーロッド４を操作する際に、プランジャーロッド４が該バレル２の軸方向に対して揺動することが避けられない。このとき、ガスケット３がプランジャーロッド４に追随して揺動すると、ガスケット３が変形してバレル２の内周面２ａに対する密着を維持できなくなり、液体や空気の漏洩が生じる。

そこで、前記シリンジ４１では、ガスケット３の内周側に設けられた空洞部４２に、プランジャー４の錨部４３が嵌着されたときに、ガスケット３先端の裏面側と錨部４３の先端部との間に空間４４が形成されるようにしている。このようにするときには、プランジャーロッド４が前記のように揺動しても、錨部４３が空間４４を利用して動くことができるので、ガスケット３はバレル２の内周面２ａに密着した状態を維持することができる。空間４４による前記作用は、体内への低粘度の薬液の注入や、血液の採取等のように、ガスケット３にかかる圧力が約１．１７ＭＰａ未満の場合には非常に有効である。

ところで、近年、被験者の血管に水溶性有機ヨード化合物等の造影剤を注入して、Ｘ線装置等により観察する診断手法が一般化されている。前記診断手法では、前記造影剤をシリンジにより手動で血管に注入することがある。

しかしながら、前記造影剤は、被験者の体重当たり最大１０〜１５ｍｌ／秒の量の注入が必要であり、また一般に高粘度の液体であるため、注入の際にガスケット３にかかる圧力が２．４５ＭＰａ以上となり、図４に示す構成のシリンジ４１では該圧力によりガスケット３が空間４４内に陥没して変形し、液漏れが生じるという不都合がある。

本発明は、かかる不都合を解消して、ガスケットに高い圧力がかかった場合にも液漏れの発生を防止することができるシリンジを提供することを目的とする。

かかる目的を達成するために、本発明のシリンジは、先端部にルアーテーパー部が形成されたバレルと、該バレルの内部を摺動自在に閉塞すると共に内周側に空洞部を備えるガスケットと、先端部から該ガスケット側に突出し該空洞部に嵌着する錨部が形成されると共に該バレルの内周面に対して所定の間隙を存して配設されたプランジャーロッドとを備え、該プランジャーロッドは該錨部を介して該ガスケットに連結されるシリンジにおいて、該錨部は、該プランジャーロッドの先端部に形成された台座部から突出して形成されて、該ガスケット先端の裏面側に当接する先端当接部を備えると共に、外周側に遊嵌され該ガスケットの内周壁に当接する当接部材を備え、該台座部は該プランジャーロッドの軸方向に直交する面に対して５〜４５°の角度で傾いたテーパー面からなることを特徴とする。

本発明のシリンジによれば、前記錨部が前記ガスケットの前記空洞部に嵌着されたときに、該錨部の先端当接部が該ガスケット先端の裏面側に当接するので、該錨部と該ガスケット先端の裏面側との間に空間が形成されることがない。また、前記錨部の外周側には、当接部材が遊嵌されており、該当接部材が内周壁に当接するので、該当接部材と該ガスケットの内周壁との間に空間が形成されることがない。

従って、前記ガスケットに高い圧力がかかったときには、該ガスケットが内面から前記錨部の先端当接部と前記当接部材とにより支持されることとなり、該ガスケットの変形を阻止して液漏れの発生を防止することができる。

ところで、医師が被験者の血管に造影剤を注入してＸ線装置等により観察する場合、医師はＸ線装置のモニター等を注視しているため、手元に対する注意が不十分になる傾向があり、シリンジにより該造影剤を注入するときに前記プランジャーロッドが前記バレルの軸方向に対して揺動しやすい。このとき、本発明のシリンジでは、前述のように、前記ガスケット先端の裏面側に前記錨部の先端当接部が当接し、該ガスケットの内周壁に前記当接部材が当接していて、該ガスケット内面と該錨部または該当接部材との間に空間が無い。このため、前記プランジャーロッドが前記バレルの軸方向に対して揺動したときに、前記ガスケットが該揺動に追随して変形し、液漏れが発生することが懸念される。

そこで、本発明のシリンジは、該プランジャーロッドの先端部に形成された台座部から突出して形成された錨部の外周側に前記当接部材が遊嵌されていると共に、該台座部がプランジャーロッドの軸方向に直交する面に対して５〜４５°の角度で傾いたテーパー面により形成された構成となっている。前記台座部は、前記テーパー面とすることにより、該台座部の表面と前記当接部材の底面との間に間隙を形成することができる。

この結果、本発明のシリンジによれば、前記プランジャーロッドは、前記のように遊嵌された当接部材と錨部との間隙、前記テーパー面により前記台座部の表面と該当接部材の底面との間に形成される前記間隙とにより、前記ガスケットにバレルの内周面に密着した状態を維持させたまま、前記バレルの軸方向に対して揺動することができる。従って、前記プランジャーロッドの揺動に伴って、前記ガスケットが変形することを阻止して、液漏れの発生を防止することができる。

前記テーパー面のプランジャーロッドの軸方向に直交する面に対する傾きが５°未満であるときには、前記台座部の表面と前記当接部材の底面との間に十分な間隙を形成することができず、前記プランジャーロッドが前記ガスケットにバレルの内周面に密着した状態を維持させたまま、前記バレルの軸方向に対して揺動することができるという作用を得ることができない。また、前記テーパー面のプランジャーロッドの軸方向に直交する面に対する傾きが４５°を超えても、それ以上には前記作用は改善されない。

また、本発明のシリンジにおいて、前記台座部は、前記先端当接部と前記テーパー面との間に形成された凹曲面を備え、前記当接部材は、該凹曲面に対向する部分に凸曲面を備えることを特徴とする。

前記台座部が前記凹曲面を備えると共に、前記当接部材が前記凸曲面を備えることにより、前記プランジャーロッドが前記バレルの軸方向に対してさらに容易に揺動することができるようになる。

また、本発明のシリンジにおいて、前記バレルは、前記ルアーテーパー部の基部から該ルアーテーパー部の軸方向に沿って延在し、内面側に螺条を形成したロック筒を備えることを特徴とする。本発明のシリンジは、前記ロック筒の内面側に形成された螺条に、他の部材の端部を螺合することにより、該他の部材と接続することができる。前記他の部材としては、例えば、前記端部としての針元を備える注射針や、複数の三方活栓を備える接続部材等を挙げることができる。

本発明のシリンジは、前述のように前記錨部と前記当接部材とにより前記ガスケットを内面側から支持して該ガスケットの変形を防止すると共に、前記プランジャーが前記ガスケットにバレルの内周面に密着した状態を維持させたまま、前記バレルの軸方向に対して揺動することができるので、前記ガスケットに高い圧力がかかる用途、例えば、被験者の血管内へ高粘度の造影剤を注入する用途等に好適に用いることができる。

次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図１は本実施形態のシリンジの構成を示す説明的断面図、図２は図１に示すシリンジの組立図、図３は図１に示すシリンジの要部拡大図である。

図１に示すように、本実施形態のシリンジ１は、バレル２と、バレル２の内部に配設されたガスケット３と、ガスケット３に連結されたプランジャーロッド４とからなる。バレル２とプランジャーロッド４とは例えばポリカーボネート樹脂、ＡＢＳ樹脂（アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂）等の合成樹脂の射出成形により形成されており、バレル２の内周面２ａとプランジャーロッド４の外周面４ａとの間には、プランジャーロッド４の挿入を円滑に行うためのクリアランスが設けられている。また、ガスケット３は例えばシリコーンゴム等の合成ゴムにより形成されており、５０〜７０Ａの範囲のゴム硬さ（ＪＩＳ Ｋ ６２５３）を備えていることが好ましい。

バレル２は、先端部にルアーテーパー部５が形成されていると共に、ルアーテーパー部５の基部からルアーテーパー部５の軸方向に沿って延在するロック筒６を備えている。ロック筒６の内面には、螺条７が形成されている。シリンジ１は、例えば、ロック筒６の螺条７に注射針の針元や、複数の三方活栓を備える接続部材の端部等を螺合することにより、前記注射針や、接続部材等と接続することができる。

次に、ガスケット３は、図１，２に示すように、先端部に形成された円錐状突起８と、外周面に形成された２条の周状突起９ａ，９ｂとを備え、内周側に空洞部１０を備えている。ガスケット３は、周状突起９ａ，９ｂがバレル２の内面２ａに当接されることによりバレル２の内部を摺動自在に閉塞するようになっている。

空洞部１０は、プランジャーロッド４の先端部からガスケット３側に突出して形成された錨部１１と、錨部１１の外周側に遊嵌されたリング状の当接部材１２とが嵌着されるものである。そこで、空洞部１０は、錨部１１と当接部材１２とを案内するための、先端側ほど縮径されたテーパー部１３と、テーパー部１３の先端部に連続して形成された円筒状部１４と、円筒状部１４の先端部に連続して円筒状部１４より大径に形成されて、当接部材１２の先端部に形成された周状突部１５が係合される係合部１６とを備えている。また、ガスケット３において、円錐状突起８の裏面８ａは平坦であり、テーパー部１７を介して係合部１６に接続されている。

次に、プランジャーロッド４は、図１，２に示すように、先端部に形成された台座部１８と、台座部１８の後方に形成された周状凸部１９とを備え、前記錨部１１は台座部１８からガスケット３方向に突出して形成されている。台座部１８は、図３に拡大して示すように、プランジャーロッド４の軸方向に直交する面に対して角度θで傾いたテーパー面となっており、先端ほど縮径されている。前記角度θは、５〜４５°の範囲、好ましくは７〜１５°の範囲に設定され、例えば８°に設定されている。また、台座部１８の外周縁１８ａはプランジャーロッド４の外周面から突出して形成されている。

錨部１１は、図１，２に示すように、台座部１８に連接された凹曲面部２０と、凹曲面部２０に連接された円筒状の軸部２１と、軸部２１の先端部に軸部２１より大径に形成された先端当接部２２とを備えている。凹曲面部２０はプランジャー４の径にもよるが、０．８〜２ｍｍの直径を備えている。先端当接部２２の先端面２２ａは平坦であり、テーパー部２３を介して先端当接部２２の外周面に接続されている。

次に、当接部材１２は、図１，２に示すように、ガスケット３の後端部３ａに当接されるフランジ部２４と、フランジ部２４に連接されガスケット３のテーパー部１３に当接されるテーパー状当接面２５と、テーパー状当接面２５に連接されガスケット３の円筒状部１４に当接される円筒状当接面２６と、円筒状当接面２６に連接され円筒状当接面２６より大径に形成された前記周状凸部１５とを備え、内周側には貫通孔２７が形成されている。

貫通孔２７は、錨部１１が挿入されるための構成であり、プランジャーロッド４の側に形成された大径部２８と、大径部２８に連接され先端側ほど縮径されたテーパー部２９と、テーパー部２９に連接された小径部３０と、大径部２８と小径部３０との中間の径を備え、小径部３０に連接される先端開口部３１とを備える。大径部２８は錨部１１が挿入されたときにテーパー部２０を収容するものであり、プランジャーロッド４側の開口部に、プランジャー４の凹曲面２０に対向して凸曲面２８ａを備えている。凸曲面２８ａは、プランジャー４の径にもよるが、０．３〜１ｍｍの直径を備えている。

また、小径部３０は錨部１１が挿入されたときに軸部２１に遊嵌するものである。小径部３０は錨部１１の先端当接部２２よりも小径に形成されているため、先端当接部２２の挿通を容易にするために軸方向に沿って形成された溝部３２を、円周方向に沿って等角度毎に４か所に備えている。また、先端開口部３１は、錨部１１が挿入されたときに先端当接部２２を収容して、小径部３０との境界の段差部に先端当接部２２を係合して抜け止めするようになっている。

次に、本実施形態のシリンジ１の作動について説明する。

本実施形態のシリンジ１では、まず、プランジャーロッド４の錨部１１をリング状の当接部材１２の貫通孔２７に挿通する。このとき、図１，２に示すように、錨部１１の先端に形成された先端当接部２２は、先端開口部３１に収容されると共に、先端開口部３１と小径部３０との境界の段差に係合されて抜け止めされるが、先端当接部２２の外周面と先端開口部３１との間、軸部２１と小径部３０との間には、それぞれクリアランスがある。従って、当接部材１２は、プランジャーロッド４の錨部１１の外周側に遊嵌された状態となる。また、錨部１１の最先端部を構成する先端面２２ａとテーパー部２３とは、当接部材１２の先端開口部３１からガスケット３方向に突出した状態となる。

次に、ガスケット３の空洞部１０に、前述のように当接部材１２が遊嵌された錨部１１を嵌着する。このとき、錨部１１の先端部では、先端当接部２２の先端面２２ａが、ガスケット３の円錐状突起８の裏面８ａに当接されると共に、当接部材１２の周状凸部１５が、空洞部１０の係合部１６に係合され、ガスケット３が錨部１１に抜け止めされる。一方、錨部１１の外周側（さらに詳しくは軸部１１の外周側）では、当接部材１２の円筒状当接面２６がガスケット３の円筒状部１４に当接されると共に、当接部材１２のテーパー状当接面２５がガスケット３のテーパー部１３に当接される。

この結果、ガスケット３は、空洞部１０のほぼ全体が錨部１１または錨部１１との間に介装された当接部材１２に密着しており、錨部１１と当接部材１２とにより内面側から支持されている。

また、プランジャーロッド４の台座部１８は、前述のようにプランジャーロッド４の軸方向に直交する面に対して角度θで傾いて、先端ほど縮径されたテーパー面となっている。この結果、錨部１１に遊嵌された当接部材１２の底面と台座部１８の表面との間には、断面視くさび状の間隙が形成されている。

本実施形態のシリンジ１は、例えば、水溶性有機ヨード化合物等の造影剤を被験者の血管内に注入する用途に用いられる。このとき、まず、ガスケット３が装着されたプランジャーロッド４がバレル２内に挿入された状態で、ロック筒６の螺条７に、複数の三方活栓を備える接続部材（図示せず）の一方の端部が接続される。次に、前記三方活栓の１つをを開いて、プランジャーロッド４を引いて、水溶性有機ヨード化合物等の造影剤をバレル２内に吸引する。次に、前記三方活栓を閉じた後、プランジャーロッド４を押して、前記接続部材の他方の端部に接続されたチューブ、注射針等から前記造影剤を被験者の血管内に注入する。

前記造影剤を被験者の血管内に注入するときには、ガスケット３にかかる圧力が２．４５ＭＰａ以上の高圧となる。しかし、シリンジ１のガスケット３は、空洞部１０のほぼ全体が錨部１１または錨部１１との間に介装された当接部材１２に密着して、錨部１１と当接部材１２とにより内面側から支持されているので前記圧力により変形することがなく、液漏れの発生を防止することができる。尚、ガスケット３と錨部１１または当接部材１２との間には、前記高圧がかかってもガスケット３が変形しない範囲であれば、空洞部１０のテーパー部１７が錨部１１のテーパー部２３に対向する部分のような微小な間隙があってもよい。

また、前記造影剤を被験者の血管内に注入するときには、医師はＸ線装置のモニター等を注視しているため、手元に対する注意が不十分になりやすい。ところが、バレル２の内周面２ａとプランジャーロッド４の外周面４ａとの間には、前記クリアランスが設けられているために、医師の手元に対する注意が不十分になると、プランジャーロッド４がバレル２の軸方向に対して揺動しやすくなる。

しかし、プランジャーロッド４は、当接部材１２が錨部１１の外周側に遊嵌されていることによる両者の間のクリアランスと、台座部１８が前記テーパー面であることによる当接部材１２の底面と台座部１８との間の間隙とにより、ガスケット３にバレル２の内周面２ａに密着した状態を維持させたまま、前述のように揺動することができる。さらに、プランジャーロッド４が台座部１８に連接する凹曲面２０を備え、当接部材１２が凹曲面２０に対向する凸曲面２８ａを備えていることにより、前記揺動が容易になる。従って、シリンジ１では、プランジャーロッド４がバレル２の軸方向に対して揺動したときにも、ガスケット３が変形することが無く、液漏れの発生を防止することができる。

尚、プランジャーロッド４は、外周面４ａに周状凸部１９を備えるので、前述のように揺動したときに、周状凸部１９がバレル２の内周面２ａに接触することにより、揺動を小さく規制することができる。

本発明のシリンジの一実施形態の構成を示す説明的断面図。 図１に示すシリンジの組立図。 図１に示すシリンジの要部拡大図。 従来のシリンジの一構成例を示す説明的断面図。

符号の説明

１…シリンジ、 ２…バレル、 ３…ガスケット、 ４…プランジャーロッド、 ５…ルアーテーパー部、 ６…ロック筒、 ７…螺条、 １０…空洞部、 １１…錨部、 １２…当接部材、 １８…台座部、 ２２…先端当接部。

【０００２】
ロッド４が前記のように揺動しても、錨部４３が空間４４を利用して動くことができるので、ガスケット３はバレル２の内周面２ａに密着した状態を維持することができる。空間４４による前記作用は、体内への低粘度の薬液の注入や、血液の採取等のように、ガスケット３にかかる圧力が約１．１７ＭＰａ未満の場合には非常に有効である。
［０００６］
ところで、近年、被験者の血管に水溶性有機ヨード化合物等の造影剤を注入して、Ｘ線装置等により観察する診断手法が一般化されている。前記診断手法では、前記造影剤をシリンジにより手動で血管に注入することがある。
［０００７］
しかしながら、前記造影剤は、被験者の体重当たり最大１０〜１５ｍｌ／秒の量の注入が必要であり、また一般に高粘度の液体であるため、注入の際にガスケット３にかかる圧力が２．４５ＭＰａ以上となり、図４に示す構成のシリンジ４１では該圧力によりガスケット３が空間４４内に陥没して変形し、液漏れが生じるという不都合がある。
［発明の開示］
［発明が解決しようとする課題］
［０００８］
本発明は、かかる不都合を解消して、ガスケットに高い圧力がかかった場合にも液漏れの発生を防止することができるシリンジを提供することを目的とする。
［課題を解決するための手段］
［０００９］
かかる目的を達成するために、本発明のシリンジは、先端部にルアーテーパー部が形成されたバレルと、該バレルの内部を摺動自在に閉塞すると共に内周側に空洞部を備えるガスケットと、先端部から該ガスケット側に突出し該空洞部に嵌着する錨部が形成されると共に該バレルの内周面に対して所定の間隙を存して配設されたプランジャーロッドとを備え、該プランジャーロッドは該錨部を介して該ガスケットに連結されるシリンジにおいて、該錨部は、該プランジャーロッドの先端部に形成された台座部から突出して形成されて、該ガスケット先端の裏面側に当接する先端当接部を備えると共に、外周側に遊嵌され該ガスケットの内周壁に当接する当接部材を備え、該台座部は該プランジャーロッドの軸方向に直交する面に対して５〜４５°の角度で傾き、該台座部の表面と該当接部材の底面との間に間隙を形成するテーパー面からなることを特徴とする。
［００１０］
本発明のシリンジによれば、前記錨部が前記ガスケットの前記空洞部に嵌着されたときに、該錨部の先端当接部が該ガスケット先端の裏面側に当接するので、該錨部と

Claims (4)

1. 先端部にルアーテーパー部が形成されたバレルと、該バレルの内部を摺動自在に閉塞すると共に内周側に空洞部を備えるガスケットと、先端部から該ガスケット側に突出し該空洞部に嵌着する錨部が形成されると共に該バレルの内周面に対して所定の間隙を存して配設されたプランジャーロッドとを備え、該プランジャーロッドは該錨部を介して該ガスケットに連結されるシリンジにおいて、
   該錨部は、該プランジャーロッドの先端部に形成された台座部から突出して形成されて、該ガスケット先端の裏面側に当接する先端当接部を備えると共に、外周側に遊嵌され該ガスケットの内周壁に当接する当接部材を備え、
   該台座部は該プランジャーロッドの軸方向に直交する面に対して５〜４５°の角度で傾いたテーパー面を備えることを特徴とするシリンジ。
2. 前記台座部は、前記先端当接部と前記テーパー面との間に形成された凹曲面を備え、前記当接部材は、該凹曲面に対向する部分に凸曲面を備えることを特徴とする請求項１記載のシリンジ。
3. 前記バレルは、前記ルアーテーパー部の基部から該ルアーテーパー部の軸方向に沿って延在し、内面側に螺条を形成したロック筒を備えることを特徴とする請求項１記載のシリンジ。
4. 造影剤の注入に用いられることを特徴とする請求項１記載のシリンジ。

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