JPWO2006009058A1 - 音像定位装置 - Google Patents

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歌津衣 房川
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元邦 伊藤
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Abstract

ここに開示された音像定位装置(10)は、入力された音響信号を高域音響信号と低域音響信号とに分割する帯域分割手段(11)と、高域音響信号に対して定位処理する第1フィルタ(12)及び第2フィルタ(13)と、低域音響信号に対して定位処理する第3フィルタ(14)及び第4フィルタ(15)を有する低域定位処理手段(16)と、第1フィルタ(12)及び第3フィルタ(14)の出力信号を加算する第1加算器(17)と、第2フィルタ(13)及び第4フィルタ(15)の出力信号を加算する第2加算器(18)とを備えている。このようにして構成された音像定位装置(10)は、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和し、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。

Description

本発明は、例えば携帯電話や携帯ゲーム機等のスピーカから出力された音の音像を定位させる音像定位装置に関する。
従来の音像定位装置は、所望の方向に音像を定位させるための伝達特性を音響信号に与えて音像を定位させる音像定位部と、複数のスピーカからそれぞれ出力された音が受聴者の左右の耳に到達する経路における伝達特性の影響を除去するフィルタとを備え、各スピーカから受聴者の左右の耳に至る少なくとも4つの伝達特性が予め想定され、伝達特性を表す伝達関数に基づいてフィルタ定数が決定されることにより、想定された伝達特性が得られる位置で受聴者に受聴する受聴者に対してスピーカが置かれていない方向から音が聞こえてくるよう音像を所望の方向に定位させることができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−70797号公報(第3−5頁、第1図)
しかしながら、このような従来の音像定位装置では、想定された伝達特性が得られる位置を忠実に再現するためには受聴者の頭部がほぼ固定されることが必要であり、受聴範囲が極めて狭い範囲に制限されるという問題があった。
例えば、従来の音像定位装置では、想定された伝達特性が得られる位置に対して受聴者の頭部の位置が僅かにずれた場合は、受聴者の前方に配置されたスピーカで受聴者の後方に音像を定位させたり、受聴者の後方に配置されたスピーカで受聴者の前方に音像を定位させたりすることが困難であるという問題があった。
特に、高音は低音よりも波長が短いため受聴者の位置ずれの影響を受けやすいことから、従来の音像定位装置では、高音の音像を定位させるのは困難であるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和し、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる音像定位装置を提供するものである。
本発明の音像定位装置は、所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置された左右の音響出力部から出力される所定周波数以上の高域音の音像を定位処理する高域定位処理手段と、前記左右の音響出力部から出力される所定周波数未満の低域音の音像を定位処理する低域定位処理手段とを備え、前記低域定位処理手段は、前記低域音の音像を定位させる目標位置から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左右の音響出力部から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数に基づいて前記低域音の音像を定位処理することを特徴とする構成を有している。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右のスピーカにより生成された所定の高域音の指向性を有する音場において、高域定位処理手段は、受聴者の左耳に入力される左側スピーカからの高域音及び受聴者の右耳に入力される右側スピーカからの高域音の音像を定位処理し、低域定位処理手段は、受聴者の左右の耳にそれぞれ入力される左右のスピーカからの低域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記高域定位処理手段は、前記高域音の音像を定位させる前記目標位置から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数に基づいて前記高域音の音像を定位処理する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、高域定位処理手段が、高域音の音像を定位させる目標位置から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数に基づいて高域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記低域定位処理手段は、前記低域音の音像を定位させる前記目標位置から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数の影響を付加するフィルタ手段と、前記低域音の音像から前記左右の音響出力部から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去するフィルタ手段とを有する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、低域定位処理手段が、低域音の音像を定位させる目標位置から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数に基づいて高域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、さらに、左右の音響出力部から出力される所定周波数以上の高域音の指向性を制御する指向性制御手段を備えた構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、指向性制御手段が、左右のスピーカから出力される所定周波数以上の高域音の指向性を制御することによって、左側のスピーカからの高域音及び右側のスピーカからの高域音が、それぞれ、受聴者の左耳及び右耳に入力される音場を生成し、高域定位処理手段は、受聴者の左耳に入力される左側スピーカからの高域音及び受聴者の右耳に入力される右側スピーカからの高域音の音像を定位処理し、低域定位処理手段は、受聴者の左右の耳にそれぞれ入力される左右のスピーカからの低域音の音像を定位処理所定するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記指向性制御手段は、前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去するフィルタ手段を有する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、指向性制御手段が、前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去するように左右のスピーカから出力される所定周波数以上の高域音の指向性を制御することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部は互いに外向きに配置されている構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部を所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部は前記受聴者の左右の耳よりそれぞれ所定の距離をおいて対向配置されている構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部を所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部はそれぞれから出力された高域音の音圧レベルが、前記受聴者の左耳と右耳とにおいて10dB以上の差が生じるように設定されている構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部を所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記高域定位処理手段と前記低域定位処理手段とを一体化した構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、高域定位処理手段と低域定位処理手段とが一体化されるので、高域の音響信号と低域の音響信号とを分離する手段が不要となり、装置を簡略化することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部のうちの少なくとも一方の音響出力部は複数のスピーカから構成される構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部のうちの少なくとも一方の音響出力部を構成する複数のスピーカから出力される音の音像を受聴者の周囲の任意の方向に定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部のうちの少なくとも一つの音響出力部は所定の指向性を有する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、指向性を有するスピーカからの音が受聴者の左耳又は右耳に入力されるので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
本発明は、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和し、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができるという効果を有する音像定位装置を提供することができるものである。
本発明の第1の実施の形態の音像定位装置のブロック図 (a)本発明の第1の実施の形態の音像定位装置が適用された携帯電話の外観斜視図(b)本発明の第1の実施の形態に係る音像定位装置が適用された携帯電話による音像定位の一例を示す図 本発明の第1の実施の形態の音像定位装置の各ステップのフロー図 本発明の第1の実施の形態の音像定位装置に係る低域定位処理手段のブロック図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置のブロック図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置に係る指向性制御手段が形成する死角の説明図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置に係る指向性制御手段のブロック図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置の各ステップのフロー図
符号の説明
10、50 音像定位装置
11 帯域分割手段
12 第1フィルタ(高域定位処理手段)
13 第2フィルタ(高域定位処理手段)
14 第3フィルタ
15 第4フィルタ
16 低域定位処理手段
17 第1加算器
18 第2加算器
20 受聴者
21、51 左側スピーカ(左側音響出力部)
21a、22a、51a、52a 軸線
22、52 右側スピーカ(右側音響出力部)
23、24、25 仮想スピーカ
30 携帯電話
31 キーボード
32 液晶画面
41 第5フィルタ(第1フィルタ手段)
42 第6フィルタ(第1フィルタ手段)43 第1逆フィルタ(第2フィルタ手段)
44 第2逆フィルタ(第2フィルタ手段)
45 第3逆フィルタ(第2フィルタ手段)
46 第4逆フィルタ(第2フィルタ手段)
60 指向性制御手段
61 第1補正フィルタ(第3フィルタ手段)
62 第2補正フィルタ(第3フィルタ手段)
63 第1指向性制御フィルタ(第3フィルタ手段)
64 第2指向性制御フィルタ(第3フィルタ手段)
65 第3加算器
66 第4加算器
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態の音像定位装置の構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の音像定位装置10は、入力された音響信号を高域音響信号と低域音響信号とに分割する帯域分割手段11と、高域音響信号に対して定位処理する高域定位処理手段としての第1フィルタ12及び第2フィルタ13と、低域音響信号に対して定位処理する第3フィルタ14及び第4フィルタ15を有する低域定位処理手段16と、第1フィルタ12及び第3フィルタ14の出力信号を加算する第1加算器17と、第2フィルタ13及び第4フィルタ15の出力信号を加算する第2加算器18とを備えている。
音像定位装置10は、例えばマイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)で構成され、受聴者20の前方に設置された左側音響出力部を構成する左側スピーカ21と右側音響出力部を構成する右側スピーカ22とに接続されている。
左側スピーカ21及び右側スピーカ22は、音の出力方向を示す軸線21a及び22aが所定の角度θに設定されて近接配置されている。ここで、左側スピーカ21と右側スピーカ22との間隔及び角度θは、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からそれぞれ出力された高域音の音圧レベルが、受聴者20の左耳と右耳とにおいて例えば10dB以上の差が生じるように設定されている。この配置により、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からの高域音の指向性が設定される。
帯域分割手段11は、例えば2kHzの周波数を分割の基準周波数とし、入力された音響信号を2kHz以上の高域音響信号と2kHz未満の低域音響信号とに分割するようになっている。
第1フィルタ12及び第2フィルタ13は、例えば、遅延器、乗算器、加算器等を含むFIR(Finite Impulse Response)フィルタで構成され、高域音響信号に対し、左側スピーカ21から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GLLと、右側スピーカ22から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GRRとを補正することにより、受聴者20の周囲の任意の方向の頭部伝達関数に係る高域成分の処理を実行するようになっている。
本実施の形態では、説明を容易にするため、受聴者20の周囲の任意の方向とは、例えば図1においては受聴者20の左側後方の方向とし、以下「目標方向」というものとする。この方向に音像が定位されることにより、受聴者20は仮想スピーカ23から出力された音を受聴しているように認識する。また、頭部伝達関数とは、仮想スピーカ23から受聴者20の外耳道入り口までの音響の伝達関数のことをいい、以下の記載において、仮想スピーカ23から受聴者20の左耳までの頭部伝達関数をAL、仮想スピーカ23から受聴者20の右耳までの頭部伝達関数をARとする。
第3フィルタ14及び第4フィルタ15は、例えばFIRフィルタで構成され、低域音響信号に対し、左側スピーカ21から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GLL、左側スピーカ21から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GLR、右側スピーカ22から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GRR及び右側スピーカ22から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GRLを補正することにより、目標方向の頭部伝達関数に係る低域成分の処理を実行するようになっている。
音像定位装置10は、例えば図2(a)に示すような携帯電話に適用される。図2(a)に示された携帯電話30は、キーボード31と、液晶画面32と、液晶画面32の下部の筐体内部に近接設置された左側スピーカ21及び右側スピーカ22とを備えている。左側スピーカ21及び右側スピーカ22は、前述のように受聴者20に対して音の出力方向が角度θになるように設けてある。
また、図2(b)に示すように受聴者20が携帯電話30を手に持ったとき、左側スピーカ21及び右側スピーカ22から受聴者20の左右の耳までの距離において、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からそれぞれ出力される音の音圧レベルが、受聴者20の左右の耳において所定の音圧レベル差が生じるよう設定される。例えば左側スピーカ21から出力された音の音圧レベルは、受聴者20の左耳と右耳とにおいて10dB以上の差が生じるようになっている。
次に、本実施の形態の音像定位装置10の動作について、図1及び図3を用いて説明する。
まず、帯域分割手段11によって、入力された音響信号が高域音響信号と低域音響信号とに分割される(ステップS11)。例えば2kHzの周波数を分割の基準周波数とし、入力された音響信号が2kHz以上の高域音響信号と2kHz未満の低域音響信号とに分割される。
次いで、第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、及び第4フィルタ15によって、頭部伝達関数AL及びARの高域音響信号及び低域音響信号の処理が実行される(ステップS12)。具体的には、予め設定されたフィルタ係数に基づいて高域音響信号及び低域音響信号の音響信号が以下説明するように処理される。
最初に高域音響信号の処理に係るフィルタ係数の設定について説明する。第1フィルタ12及び第2フィルタ13には、下記の式(1)及び(2)を満たすフィルタ係数HR及びHLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
Figure 2006009058
フィルタ係数HR及びHLがそれぞれ設定された第1フィルタ12及び第2フィルタ13によって、図1に示された左側スピーカ21から受聴者20の左耳に至る経路の伝達関数GLLと、右側スピーカ22から受聴者20の右耳に至る経路の伝達関数GRRとがそれぞれ独立に補正され、目標方向の頭部伝達関数AL及びARに係る高域成分が処理される。このように、第1フィルタ12及び第2フィルタ13は、高域音の音像を定位させる目標位置である仮想スピーカ23から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数AL、AR及び左側スピーカ21から左側スピーカ21に近い方の受聴者の耳、すなわち左耳に至る経路の伝達関数GLL及び右側スピーカ22から右側スピーカ22に近い方の受聴者の耳、すなわち右耳に至る経路の伝達関数GRRに基づいて高域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
次に低域音響信号の処理に係るフィルタ係数の設定について説明する。第3フィルタ14及び第4フィルタ15には、下記の式(3)を満たすフィルタ係数FR及びFLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
フィルタ係数FR及びFLがそれぞれ設定された第3フィルタ14及び第4フィルタ15によって、図1に示された左側スピーカ21から受聴者20の左耳に至る経路の伝達関数GLL、左側スピーカ21から受聴者20の右耳に至る経路の伝達関数GLR、右側スピーカ22から受聴者20の右耳に至る経路の伝達関数GRR及び右側スピーカ22から受聴者20の左耳に至る経路の伝達関数GRLが補正され、目標方向の頭部伝達関数に係る低域成分が処理される。
低域音響信号は高域音響信号よりも波長が長いため、図1に示すような角度θで開いた左側スピーカ21と右側スピーカ22とを近接配置して指向性を付加した場合でも、例えば左側スピーカ21から出力された音が受聴者20の頭部を回折して右耳に回り込むクロストークが発生してしまう。そこで、式(3)に示すように、GLL、GLR、GRR及びGRLの4つの伝達特性に対する逆フィルタ処理と、目標方向の頭部伝達関数AL及びARとで演算されたフィルタ係数FR及びFLがそれぞれ第3フィルタ14及び第4フィルタ15に設定される。
引き続き、図1に示すように、第1加算器17によって、第1フィルタ12及び第3フィルタ14から出力された音響信号が加算され、第2加算器18によって、第2フィルタ13及び第4フィルタ15から出力された音響信号が加算される(ステップS13)。
そして、第1加算器17及び第2加算器18によって、加算された音響信号がそれぞれ右側スピーカ22及び左側スピーカ21に出力される(ステップS14)。
以上述べた処理を音像定位装置10が備えられた携帯電話30で実行すれば、図2(b)に示すように受聴者20が携帯電話30を手に持ったとき、仮想スピーカ23の方向から音が出ているように受聴者20に認識させることができる。また、頭部伝達関数AL及びARを変更することにより、仮想スピーカ24又は25の方向から音が出ているように受聴者20に認識させることもできる。
以上のように、本実施の形態の音像定位装置10によれば、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からの高域音の指向性が設定された音場において、第1フィルタ12及び第2フィルタ13は、受聴者20の左右の耳に入力される音のうち音圧レベルが大きい音の高域音響信号を左右独立に定位処理し、第3フィルタ14及び第4フィルタ15は、音場の逆フィルタ処理を行う構成としたので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音響信号に関し、左側スピーカ21から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GLR及び右側スピーカ22から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GRLに係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者20の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
なお、本実施の形態において、低域定位処理手段16を第3フィルタ14及び第4フィルタ15の2つのフィルタで構成する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図4に示すような構成としても同様の効果を得ることができる。
図4に示された低域定位処理手段16は、第3フィルタ14及び第4フィルタ15に代えて、目標方向の頭部伝達関数AR及びALを入力された低域信号にそれぞれ与える第5フィルタ41及び第6フィルタ42と、GRR、GLR、GRL、及びGLLの4つの伝達特性に対する逆フィルタ特性を音響信号にそれぞれ与える第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46とを備え、再生音場における伝達特性GRR、GLR、GRL及びGLLの影響を取り除くようになっている。なお、第5フィルタ41、第6フィルタ42、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46は、例えばFIRフィルタによって構成される。
第5フィルタ41及び第6フィルタ42は、低域音の音像を定位させる目標位置である仮想スピーカ23から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数AR及びALの影響を付加する第1フィルタ手段を構成し、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46は、低域音の音像から左側スピーカ21、右側スピーカ22から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数GRR、GLR、GRL及びGLLの影響を除去する第2フィルタ手段を構成している。
第5フィルタ41及び第6フィルタ42には、それぞれ、フィルタ係数AR及びALが設定され、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46には、下記の式(4)に示されたフィルタ係数FLL、FLR、FRL及びFRRがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
また、本実施の形態において、帯域分割手段11を第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、及び第4フィルタ15の前段に設けた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、帯域分割手段11を第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、及び第4フィルタ15の後段に設ける構成としても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、帯域分割手段11と第1加算器17及び第2加算器18とを備えた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第1フィルタ12と第3フィルタ14とを一体化した右チャンネルフィルタと、第2フィルタ13と第4フィルタ15とを一体化した左チャンネルフィルタとを備え、右チャンネルフィルタ及び左チャンネルフィルタが共に高域及び低域の音響信号に対し定位処理すれば、帯域分割手段11と第1加算器17及び第2加算器18とを廃止して構成を簡略化しても同様の効果を得ることができる。
また、例えば携帯電話や携帯ゲーム機のように、低域音の再生が高域音の再生よりも重視されない装置においては、帯域分割手段11及び低域定位処理手段16を廃止して音像定位装置10の構成を簡略化しても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、左側スピーカ21及び右側スピーカ22の2つで音像定位処理を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば左側スピーカを2つ、右側スピーカを1つで構成しても同様の効果を得ることができる。この場合、例えば左側のスピーカの1つを指向性が鋭いスピーカとし、このスピーカから受聴者20の左耳に入力される音圧レベルを右耳に入力される音圧レベルよりも10dB以上として左右独立に定位処理を行うこともできる。
また、本実施の形態において、左側スピーカ21及び右側スピーカ22が互いに外向きに配置される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば左側スピーカ21及び右側スピーカ22をそれぞれ受聴者の左右の耳より所定の距離をおいて対向配置した場合においても同様の効果を得ることができる。この場合のように、左右のスピーカの指向性が十分確保できる場合は、帯域分割手段11を廃し、前述した第1フィルタ12及び第2フィルタ13が行う定位処理と同様な定位処理を第4フィルタ15及び第3フィルタ14にそれぞれ実行させ、入力された音響信号に対して全帯域で左右独立に定位処理の制御を行う構成としても良い。
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態の音像定位装置の構成について説明する。
図5に示すように、本実施の形態の音像定位装置50は、本発明の第1の実施の形態の音像定位装置10の第1フィルタ12及び第2フィルタ13の後段に指向性制御手段60を追加した構成であるので、その他の構成については、音像定位装置10と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
なお、本実施の形態の音像定位装置50は、受聴者20の正面に音の出力方向を示す軸線51a及び52aがほぼ平行になるよう近接配置された左側スピーカ51及び右側スピーカ52と接続されている。また、左側スピーカ51から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数をGsLL、左側スピーカ51から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GsLR、右側スピーカ52から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GsRR及び右側スピーカ52から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GsRLとする。
指向性制御手段60は、例えばマイクロコンピュータやDSPで構成され、左側スピーカ51及び右側スピーカ52から受聴者20の左右の耳までの間において生じるクロストーク、すなわち伝達関数GsLR及びGsRLに係る高域音響信号(以下「クロストーク信号」という。)をキャンセルするよう左側スピーカ51及び右側スピーカ52の指向性を制御するようになっている。本実施の形態では、説明を容易にするため、図6に示すように右側スピーカ52から出力された音が受聴者20の左耳に入る方向に死角(破線部分)を形成するようになっているものとする。本実施の形態では第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、第4フィルタ15に設定されるフィルタ係数HR、HL、FL、FR、及び逆フィルタ特性を適用する場合は、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、第4逆フィルタ46に設定されるフィルタ係数FLL、FLR、FRL、FRRは、数式(1)〜(4)において、GRRをGsRRとし、GLLをGsLLとし、GRLをGsRLとし、GLRをGsLRとして算出することができる。
具体的には、指向性制御手段60は、例えば図7に示すように、第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62と、第1指向性制御フィルタ63及び第2指向性制御フィルタ64と、第3加算器65及び第4加算器66とで構成される。
第1指向性制御フィルタ63は、右側スピーカ52から受聴者20の左耳に入力されるクロストーク信号を遅延処理及び位相の反転処理によってキャンセルするクロストークキャンセル信号を左チャンネルに出力するようになっている。ここで、遅延処理とは、例えば、左側スピーカ51から出力された高域音が受聴者の右耳に入力されるまでの時間と、右側スピーカ52から出力された高域音が受聴者の右耳に入力されるまでの時間とを一致させる処理をいう。
第2指向性制御フィルタ64は、左側スピーカ51から受聴者20の右耳に入力されるクロストーク信号を遅延処理及び位相の反転処理によってキャンセルするクロストークキャンセル信号を右チャンネルに出力するようになっている。ここで、遅延処理とは、例えば、右側スピーカ52から出力された高域音が受聴者の左耳に入力されるまでの時間と、左側スピーカ51から出力された高域音が受聴者の左耳に入力されるまでの時間とを一致させる処理をいう。
第1補正フィルタ61は、左側スピーカ51から出力されるクロストークキャンセル信号が受聴者20の右耳に入力されることによって目的信号が変形するのを補正するようになっている。
第2補正フィルタ62は、右側スピーカ52から出力されるクロストークキャンセル信号が受聴者20の左耳に入力されることによって目的信号が変形するのを補正するようになっている。
第3加算器65は、第1補正フィルタ61の出力信号と第2指向性制御フィルタ64の出力信号とを加算し、第1加算器17に出力するようになっている。第4加算器66は、第2補正フィルタ62の出力信号と第1指向性制御フィルタ63の出力信号とを加算し、第2加算器18に出力するようになっている。
次に、本実施の形態の音像定位装置50の動作について、図7及び図8を用いて説明する。ただし、本発明の第1の実施の形態の音像定位装置10と同様な動作については説明を省略し、指向性制御手段60の動作についてのみ説明する。
図8のステップS12において、第1フィルタ12及び第2フィルタ13によって演算処理された高域音響信号が、それぞれ、指向性制御手段60の第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62に入力され、第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62によって、高域音響信号の指向性の制御処理が実行される(ステップS21)。
具体的には、第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62には、下記の式(5)及び式(6)を満たすフィルタ係数CR及びCLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
Figure 2006009058
ここで、DR及びDLは、それぞれ、第1指向性制御フィルタ63及び第2指向性制御フィルタ64のフィルタ定数であり、入力された高域音響信号に対し、位相の反転及び遅延処理をしてクロストークキャンセル信号を出力するよう設定される。
第1補正フィルタ61によって補正された高域音響信号は、第3加算器65及び第1指向性制御フィルタ63に出力される。同様に、第2補正フィルタ62によって補正された高域音響信号は、第4加算器66及び第2指向性制御フィルタ64に出力される。
そして、第3加算器65によって、第1補正フィルタ61からの高域音響信号と第2指向性制御フィルタ64からの高域音響信号とが加算され、第1加算器17に出力される。同様に、第4加算器66によって、第2補正フィルタ62からの高域音響信号と第1指向性制御フィルタ63からの高域音響信号とが加算され、第2加算器18に出力される。このように、第1補正フィルタ61、第1指向性制御フィルタ63、第2補正フィルタ62、第2指向性制御フィルタ64は、左側スピーカから左側スピーカに遠い方の受聴者の耳、すなわち右耳に至る経路の伝達関数GsLR及び右側スピーカから右側スピーカに遠い方の受聴者の耳、すなわち左耳に至る経路の伝達関数GsRLの影響を除去する第3フィルタ手段を構成している。
以上のように、本実施の形態の音像定位装置50によれば、指向性制御手段60は、クロストーク信号を打ち消す高域音響信号を出力して指向性を設定する構成としたので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音響信号に関し、左側スピーカ51から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GsLR及び右側スピーカ52から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GsRLに係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者20の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
なお、本実施の形態において、左側スピーカ51及び右側スピーカ52が、ほぼ平行になるよう近接配置された例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば本発明の第1の実施の形態の音像定位装置10(図1参照)に接続された左側スピーカ21及び右側スピーカ22のように互いに外向きに近接配置されたスピーカに対しても前述の指向性の制御処理を行うことによって同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、左側スピーカ51及び右側スピーカ52の2つで音像定位処理を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、左側スピーカを2つ、右側スピーカを1つの構成とし、或いは、左側スピーカ51と右側スピーカ52との間に1つ以上のスピーカを設置して指向性の制御処理を行う構成としても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、第1フィルタ12及び第2フィルタ13と指向性制御手段60とを別個に構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1フィルタ12、第1補正フィルタ61及び第1指向性制御フィルタ63を備えた第3指向性フィルタと、第2フィルタ13、第2補正フィルタ62及び第2指向性制御フィルタ64を備えた第4指向性フィルタとで構成することができる。この場合、第3指向性フィルタ及び第4指向性フィルタには、下記の式(7)及び式(8)に示すフィルタ係数HsR及びHsLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
Figure 2006009058
また、本実施の形態において、左側スピーカ51及び右側スピーカ52の2つで音像定位処理を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上のスピーカで構成しても同様の効果を得ることができる。
この場合、高域の音響信号によって左右どちらかの耳に指向性が付加されるよう3つ以上のスピーカの指向性を指向性制御手段60によって制御し、高域の音響信号に対しては、一方の耳に入力される音圧レベルを反対側の耳に入力される音圧レベルよりも10dB以上として左右独立に定位処理を行い、低域の音響信号に対しては、音場の逆フィルタ処理を行うことによって、前述した2つのスピーカを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明に係る音像定位装置は、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和し、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができるという効果を有し、携帯電話や携帯ゲーム機等のスピーカから出力された音の音像を定位させる音像定位装置等として有用である。
本発明は、例えば携帯電話や携帯ゲーム機等のスピーカから出力された音の音像を定位させる音像定位装置に関する。
従来の音像定位装置は、所望の方向に音像を定位させるための伝達特性を音響信号に与えて音像を定位させる音像定位部と、複数のスピーカからそれぞれ出力された音が受聴者の左右の耳に到達する経路における伝達特性の影響を除去するフィルタとを備え、各スピーカから受聴者の左右の耳に至る少なくとも4つの伝達特性が予め想定され、伝達特性を表す伝達関数に基づいてフィルタ定数が決定されることにより、想定された伝達特性が得られる位置で受聴者に受聴する受聴者に対してスピーカが置かれていない方向から音が聞こえてくるよう音像を所望の方向に定位させることができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−70797号公報(第3−5頁、第1図)
しかしながら、このような従来の音像定位装置では、想定された伝達特性が得られる位置を忠実に再現するためには受聴者の頭部がほぼ固定されることが必要であり、受聴範囲が極めて狭い範囲に制限されるという問題があった。
例えば、従来の音像定位装置では、想定された伝達特性が得られる位置に対して受聴者の頭部の位置が僅かにずれた場合は、受聴者の前方に配置されたスピーカで受聴者の後方に音像を定位させたり、受聴者の後方に配置されたスピーカで受聴者の前方に音像を定位させたりすることが困難であるという問題があった。
特に、高音は低音よりも波長が短いため受聴者の位置ずれの影響を受けやすいことから、従来の音像定位装置では、高音の音像を定位させるのは困難であるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和し、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる音像定位装置を提供するものである。
本発明の音像定位装置は、所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置された左右の音響出力部から出力される所定周波数以上の高域音の音像を定位処理する高域定位処理手段と、前記左右の音響出力部から出力される所定周波数未満の低域音の音像を定位処理する低域定位処理手段とを備え、前記低域定位処理手段は、前記低域音の音像を定位させる目標位置から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左右の音響出力部から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数に基づいて前記低域音の音像を定位処理することを特徴とする構成を有している。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右のスピーカにより生成された所定の高域音の指向性を有する音場において、高域定位処理手段は、受聴者の左耳に入力される左側スピーカからの高域音及び受聴者の右耳に入力される右側スピーカからの高域音の音像を定位処理し、低域定位処理手段は、受聴者の左右の耳にそれぞれ入力される左右のスピーカからの低域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記高域定位処理手段は、前記高域音の音像を定位させる前記目標位置から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数に基づいて前記高域音の音像を定位処理する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、高域定位処理手段が、高域音の音像を定位させる目標位置から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数に基づいて高域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記低域定位処理手段は、前記低域音の音像を定位させる前記目標位置から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数の影響を付加するフィルタ手段と、前記低域音の音像から前記左右の音響出力部から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去するフィルタ手段とを有する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、低域定位処理手段が、低域音の音像を定位させる目標位置から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数に基づいて高域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、さらに、左右の音響出力部から出力される所定周波数以上の高域音の指向性を制御する指向性制御手段を備えた構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、指向性制御手段が、左右のスピーカから出力される所定周波数以上の高域音の指向性を制御することによって、左側のスピーカからの高域音及び右側のスピーカからの高域音が、それぞれ、受聴者の左耳及び右耳に入力される音場を生成し、高域定位処理手段は、受聴者の左耳に入力される左側スピーカからの高域音及び受聴者の右耳に入力される右側スピーカからの高域音の音像を定位処理し、低域定位処理手段は、受聴者の左右の耳にそれぞれ入力される左右のスピーカからの低域音の音像を定位処理所定するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記指向性制御手段は、前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去するフィルタ手段を有する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、指向性制御手段が、前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去するように左右のスピーカから出力される所定周波数以上の高域音の指向性を制御することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部は互いに外向きに配置されている構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部を所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部は前記受聴者の左右の耳よりそれぞれ所定の距離をおいて対向配置されている構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部を所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部はそれぞれから出力された高域音の音圧レベルが、前記受聴者の左耳と右耳とにおいて10dB以上の差が生じるように設定されている構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部を所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記高域定位処理手段と前記低域定位処理手段とを一体化した構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、高域定位処理手段と低域定位処理手段とが一体化されるので、高域の音響信号と低域の音響信号とを分離する手段が不要となり、装置を簡略化することができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部のうちの少なくとも一方の音響出力部は複数のスピーカから構成される構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、左右の音響出力部のうちの少なくとも一方の音響出力部を構成する複数のスピーカから出力される音の音像を受聴者の周囲の任意の方向に定位させることができる。
また、本発明の音像定位装置は、前記左右の音響出力部のうちの少なくとも一つの音響出力部は所定の指向性を有する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の音像定位装置は、指向性を有するスピーカからの音が受聴者の左耳又は右耳に入力されるので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
本発明は、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和し、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができるという効果を有する音像定位装置を提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態の音像定位装置の構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の音像定位装置10は、入力された音響信号を高域音響信号と低域音響信号とに分割する帯域分割手段11と、高域音響信号に対して定位処理する高域定位処理手段としての第1フィルタ12及び第2フィルタ13と、低域音響信号に対して定位処理する第3フィルタ14及び第4フィルタ15を有する低域定位処理手段16と、第1フィルタ12及び第3フィルタ14の出力信号を加算する第1加算器17と、第2フィルタ13及び第4フィルタ15の出力信号を加算する第2加算器18とを備えている。
音像定位装置10は、例えばマイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)で構成され、受聴者20の前方に設置された左側音響出力部を構成する左側スピーカ21と右側音響出力部を構成する右側スピーカ22とに接続されている。
左側スピーカ21及び右側スピーカ22は、音の出力方向を示す軸線21a及び22aが所定の角度θに設定されて近接配置されている。ここで、左側スピーカ21と右側スピーカ22との間隔及び角度θは、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からそれぞれ出力された高域音の音圧レベルが、受聴者20の左耳と右耳とにおいて例えば10dB以上の差が生じるように設定されている。この配置により、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からの高域音の指向性が設定される。
帯域分割手段11は、例えば2kHzの周波数を分割の基準周波数とし、入力された音響信号を2kHz以上の高域音響信号と2kHz未満の低域音響信号とに分割するようになっている。
第1フィルタ12及び第2フィルタ13は、例えば、遅延器、乗算器、加算器等を含むFIR(Finite Impulse Response)フィルタで構成され、高域音響信号に対し、左側スピーカ21から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GLLと、右側スピーカ22から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GRRとを補正することにより、受聴者20の周囲の任意の方向の頭部伝達関数に係る高域成分の処理を実行するようになっている。
本実施の形態では、説明を容易にするため、受聴者20の周囲の任意の方向とは、例えば図1においては受聴者20の左側後方の方向とし、以下「目標方向」というものとする。この方向に音像が定位されることにより、受聴者20は仮想スピーカ23から出力された音を受聴しているように認識する。また、頭部伝達関数とは、仮想スピーカ23から受聴者20の外耳道入り口までの音響の伝達関数のことをいい、以下の記載において、仮想スピーカ23から受聴者20の左耳までの頭部伝達関数をAL、仮想スピーカ23から受聴者20の右耳までの頭部伝達関数をARとする。
第3フィルタ14及び第4フィルタ15は、例えばFIRフィルタで構成され、低域音響信号に対し、左側スピーカ21から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GLL、左側スピーカ21から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GLR、右側スピーカ22から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GRR及び右側スピーカ22から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GRLを補正することにより、目標方向の頭部伝達関数に係る低域成分の処理を実行するようになっている。
音像定位装置10は、例えば図2(a)に示すような携帯電話に適用される。図2(a)に示された携帯電話30は、キーボード31と、液晶画面32と、液晶画面32の下部の筐体内部に近接設置された左側スピーカ21及び右側スピーカ22とを備えている。左側スピーカ21及び右側スピーカ22は、前述のように受聴者20に対して音の出力方向が角度θになるように設けてある。
また、図2(b)に示すように受聴者20が携帯電話30を手に持ったとき、左側スピーカ21及び右側スピーカ22から受聴者20の左右の耳までの距離において、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からそれぞれ出力される音の音圧レベルが、受聴者20の左右の耳において所定の音圧レベル差が生じるよう設定される。例えば左側スピーカ21から出力された音の音圧レベルは、受聴者20の左耳と右耳とにおいて10dB以上の差が生じるようになっている。
次に、本実施の形態の音像定位装置10の動作について、図1及び図3を用いて説明する。
まず、帯域分割手段11によって、入力された音響信号が高域音響信号と低域音響信号とに分割される(ステップS11)。例えば2kHzの周波数を分割の基準周波数とし、入力された音響信号が2kHz以上の高域音響信号と2kHz未満の低域音響信号とに分割される。
次いで、第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、及び第4フィルタ15によって、頭部伝達関数AL及びARの高域音響信号及び低域音響信号の処理が実行される(ステップS12)。具体的には、予め設定されたフィルタ係数に基づいて高域音響信号及び低域音響信号の音響信号が以下説明するように処理される。
最初に高域音響信号の処理に係るフィルタ係数の設定について説明する。第1フィルタ12及び第2フィルタ13には、下記の式(1)及び(2)を満たすフィルタ係数HR及びHLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
Figure 2006009058
フィルタ係数HR及びHLがそれぞれ設定された第1フィルタ12及び第2フィルタ13によって、図1に示された左側スピーカ21から受聴者20の左耳に至る経路の伝達関数GLLと、右側スピーカ22から受聴者20の右耳に至る経路の伝達関数GRRとがそれぞれ独立に補正され、目標方向の頭部伝達関数AL及びARに係る高域成分が処理される。このように、第1フィルタ12及び第2フィルタ13は、高域音の音像を定位させる目標位置である仮想スピーカ23から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数AL、AR及び左側スピーカ21から左側スピーカ21に近い方の受聴者の耳、すなわち左耳に至る経路の伝達関数GLL及び右側スピーカ22から右側スピーカ22に近い方の受聴者の耳、すなわち右耳に至る経路の伝達関数GRRに基づいて高域音の音像を定位処理するので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音に関し、左側スピーカから受聴者の右耳までの経路の伝達関数及び右側スピーカから受聴者の左耳までの経路の伝達関数に係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
次に低域音響信号の処理に係るフィルタ係数の設定について説明する。第3フィルタ14及び第4フィルタ15には、下記の式(3)を満たすフィルタ係数FR及びFLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
フィルタ係数FR及びFLがそれぞれ設定された第3フィルタ14及び第4フィルタ15によって、図1に示された左側スピーカ21から受聴者20の左耳に至る経路の伝達関数GLL、左側スピーカ21から受聴者20の右耳に至る経路の伝達関数GLR、右側スピーカ22から受聴者20の右耳に至る経路の伝達関数GRR及び右側スピーカ22から受聴者20の左耳に至る経路の伝達関数GRLが補正され、目標方向の頭部伝達関数に係る低域成分が処理される。
低域音響信号は高域音響信号よりも波長が長いため、図1に示すような角度θで開いた左側スピーカ21と右側スピーカ22とを近接配置して指向性を付加した場合でも、例えば左側スピーカ21から出力された音が受聴者20の頭部を回折して右耳に回り込むクロストークが発生してしまう。そこで、式(3)に示すように、GLL、GLR、GRR及びGRLの4つの伝達特性に対する逆フィルタ処理と、目標方向の頭部伝達関数AL及びARとで演算されたフィルタ係数FR及びFLがそれぞれ第3フィルタ14及び第4フィルタ15に設定される。
引き続き、図1に示すように、第1加算器17によって、第1フィルタ12及び第3フィルタ14から出力された音響信号が加算され、第2加算器18によって、第2フィルタ13及び第4フィルタ15から出力された音響信号が加算される(ステップS13)。
そして、第1加算器17及び第2加算器18によって、加算された音響信号がそれぞれ右側スピーカ22及び左側スピーカ21に出力される(ステップS14)。
以上述べた処理を音像定位装置10が備えられた携帯電話30で実行すれば、図2(b)に示すように受聴者20が携帯電話30を手に持ったとき、仮想スピーカ23の方向から音が出ているように受聴者20に認識させることができる。また、頭部伝達関数AL及びARを変更することにより、仮想スピーカ24又は25の方向から音が出ているように受聴者20に認識させることもできる。
以上のように、本実施の形態の音像定位装置10によれば、左側スピーカ21及び右側スピーカ22からの高域音の指向性が設定された音場において、第1フィルタ12及び第2フィルタ13は、受聴者20の左右の耳に入力される音のうち音圧レベルが大きい音の高域音響信号を左右独立に定位処理し、第3フィルタ14及び第4フィルタ15は、音場の逆フィルタ処理を行う構成としたので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音響信号に関し、左側スピーカ21から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GLR及び右側スピーカ22から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GRLに係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者20の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
なお、本実施の形態において、低域定位処理手段16を第3フィルタ14及び第4フィルタ15の2つのフィルタで構成する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図4に示すような構成としても同様の効果を得ることができる。
図4に示された低域定位処理手段16は、第3フィルタ14及び第4フィルタ15に代えて、目標方向の頭部伝達関数AR及びALを入力された低域信号にそれぞれ与える第5フィルタ41及び第6フィルタ42と、GRR、GLR、GRL及びGLLの4つの伝達特性に対する逆フィルタ特性を音響信号にそれぞれ与える第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46とを備え、再生音場における伝達特性GRR、GLR、GRL及びGLLの影響を取り除くようになっている。なお、第5フィルタ41、第6フィルタ42、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46は、例えばFIRフィルタによって構成される。
第5フィルタ41及び第6フィルタ42は、低域音の音像を定位させる目標位置である仮想スピーカ23から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数AR及びALの影響を付加する第1フィルタ手段を構成し、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46は、低域音の音像から左側スピーカ21、右側スピーカ22から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数GRR、GLR、GRL及びGLLの影響を除去する第2フィルタ手段を構成している。
第5フィルタ41及び第6フィルタ42には、それぞれ、フィルタ係数AR及びALが設定され、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、及び第4逆フィルタ46には、下記の式(4)に示されたフィルタ係数FLL、FLR、FRL及びFRRがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
また、本実施の形態において、帯域分割手段11を第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、及び第4フィルタ15の前段に設けた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、帯域分割手段11を第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、及び第4フィルタ15の後段に設ける構成としても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、帯域分割手段11と第1加算器17及び第2加算器18とを備えた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第1フィルタ12と第3フィルタ14とを一体化した右チャンネルフィルタと、第2フィルタ13と第4フィルタ15とを一体化した左チャンネルフィルタとを備え、右チャンネルフィルタ及び左チャンネルフィルタが共に高域及び低域の音響信号に対し定位処理すれば、帯域分割手段11と第1加算器17及び第2加算器18とを廃止して構成を簡略化しても同様の効果を得ることができる。
また、例えば携帯電話や携帯ゲーム機のように、低域音の再生が高域音の再生よりも重視されない装置においては、帯域分割手段11及び低域定位処理手段16を廃止して音像定位装置10の構成を簡略化しても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、左側スピーカ21及び右側スピーカ22の2つで音像定位処理を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば左側スピーカを2つ、右側スピーカを1つで構成しても同様の効果を得ることができる。この場合、例えば左側のスピーカの1つを指向性が鋭いスピーカとし、このスピーカから受聴者20の左耳に入力される音圧レベルを右耳に入力される音圧レベルよりも10dB以上として左右独立に定位処理を行うこともできる。
また、本実施の形態において、左側スピーカ21及び右側スピーカ22が互いに外向きに配置される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば左側スピーカ21及び右側スピーカ22をそれぞれ受聴者の左右の耳より所定の距離をおいて対向配置した場合においても同様の効果を得ることができる。この場合のように、左右のスピーカの指向性が十分確保できる場合は、帯域分割手段11を廃し、前述した第1フィルタ12及び第2フィルタ13が行う定位処理と同様な定位処理を第4フィルタ15及び第3フィルタ14にそれぞれ実行させ、入力された音響信号に対して全帯域で左右独立に定位処理の制御を行う構成としても良い。
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態の音像定位装置の構成について説明する。
図5に示すように、本実施の形態の音像定位装置50は、本発明の第1の実施の形態の音像定位装置10の第1フィルタ12及び第2フィルタ13の後段に指向性制御手段60を追加した構成であるので、その他の構成については、音像定位装置10と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
なお、本実施の形態の音像定位装置50は、受聴者20の正面に音の出力方向を示す軸線51a及び52aがほぼ平行になるよう近接配置された左側スピーカ51及び右側スピーカ52と接続されている。また、左側スピーカ51から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数をGsLL、左側スピーカ51から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GsLR、右側スピーカ52から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GsRR及び右側スピーカ52から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GsRLとする。
指向性制御手段60は、例えばマイクロコンピュータやDSPで構成され、左側スピーカ51及び右側スピーカ52から受聴者20の左右の耳までの間において生じるクロストーク、すなわち伝達関数GsLR及びGsRLに係る高域音響信号(以下「クロストーク信号」という。)をキャンセルするよう左側スピーカ51及び右側スピーカ52の指向性を制御するようになっている。本実施の形態では、説明を容易にするため、図6に示すように右側スピーカ52から出力された音が受聴者20の左耳に入る方向に死角(破線部分)を形成するようになっているものとする。本実施の形態では第1フィルタ12、第2フィルタ13、第3フィルタ14、第4フィルタ15、逆フィルタ特性を適用する場合は、第1逆フィルタ43、第2逆フィルタ44、第3逆フィルタ45、第4逆フィルタ46に設定されるフィルタ係数HR、HL、FL、FR、FLL、FLR、FRL、FRRは、数式(1)〜(4)において、GRRをGsRRとし、GLLをGsLLとし、GRLをGsRLとし、GLRをGsLRとして算出することができる。
具体的には、指向性制御手段60は、例えば図7に示すように、第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62と、第1指向性制御フィルタ63及び第2指向性制御フィルタ64と、第3加算器65及び第4加算器66とで構成される。
第1指向性制御フィルタ63は、右側スピーカ52から受聴者20の左耳に入力されるクロストーク信号を遅延処理及び位相の反転処理によってキャンセルするクロストークキャンセル信号を左チャンネルに出力するようになっている。ここで、遅延処理とは、例えば、左側スピーカ51から出力された高域音が受聴者の右耳に入力されるまでの時間と、右側スピーカ52から出力された高域音が受聴者の右耳に入力されるまでの時間とを一致させる処理をいう。
第2指向性制御フィルタ64は、左側スピーカ51から受聴者20の右耳に入力されるクロストーク信号を遅延処理及び位相の反転処理によってキャンセルするクロストークキャンセル信号を右チャンネルに出力するようになっている。ここで、遅延処理とは、例えば、右側スピーカ52から出力された高域音が受聴者の左耳に入力されるまでの時間と、左側スピーカ51から出力された高域音が受聴者の左耳に入力されるまでの時間とを一致させる処理をいう。
第1補正フィルタ61は、左側スピーカ51から出力されるクロストークキャンセル信号が受聴者20の右耳に入力されることによって目的信号が変形するのを補正するようになっている。
第2補正フィルタ62は、右側スピーカ52から出力されるクロストークキャンセル信号が受聴者20の左耳に入力されることによって目的信号が変形するのを補正するようになっている。
第3加算器65は、第1補正フィルタ61の出力信号と第2指向性制御フィルタ64の出力信号とを加算し、第1加算器17に出力するようになっている。第4加算器66は、第2補正フィルタ62の出力信号と第1指向性制御フィルタ63の出力信号とを加算し、第2加算器18に出力するようになっている。
次に、本実施の形態の音像定位装置50の動作について、図7及び図8を用いて説明する。ただし、本発明の第1の実施の形態の音像定位装置10と同様な動作については説明を省略し、指向性制御手段60の動作についてのみ説明する。
図8のステップS12において、第1フィルタ12及び第2フィルタ13によって演算処理された高域音響信号が、それぞれ、指向性制御手段60の第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62に入力され、第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62によって、高域音響信号の指向性の制御処理が実行される(ステップS21)。
具体的には、第1補正フィルタ61及び第2補正フィルタ62には、下記の式(5)及び式(6)を満たすフィルタ係数CR及びCLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
Figure 2006009058
ここで、DR及びDLは、それぞれ、第1指向性制御フィルタ63及び第2指向性制御フィルタ64のフィルタ定数であり、入力された高域音響信号に対し、位相の反転及び遅延処理をしてクロストークキャンセル信号を出力するよう設定される。
第1補正フィルタ61によって補正された高域音響信号は、第3加算器65及び第1指向性制御フィルタ63に出力される。同様に、第2補正フィルタ62によって補正された高域音響信号は、第4加算器66及び第2指向性制御フィルタ64に出力される。
そして、第3加算器65によって、第1補正フィルタ61からの高域音響信号と第2指向性制御フィルタ64からの高域音響信号とが加算され、第1加算器17に出力される。同様に、第4加算器66によって、第2補正フィルタ62からの高域音響信号と第1指向性制御フィルタ63からの高域音響信号とが加算され、第2加算器18に出力される。このように、第1補正フィルタ61、第1指向性制御フィルタ63、第2補正フィルタ62、第2指向性制御フィルタ64は、左側スピーカから左側スピーカに遠い方の受聴者の耳、すなわち右耳に至る経路の伝達関数GsLR及び右側スピーカから右側スピーカに遠い方の受聴者の耳、すなわち左耳に至る経路の伝達関数GsRLの影響を除去する第3フィルタ手段を構成している。
以上のように、本実施の形態の音像定位装置50によれば、指向性制御手段60は、クロストーク信号を打ち消す高域音響信号を出力して指向性を設定する構成としたので、音像定位に大きく影響を及ぼす高域音響信号に関し、左側スピーカ51から受聴者20の右耳までの経路の伝達関数GsLR及び右側スピーカ52から受聴者20の左耳までの経路の伝達関数GsRLに係る影響を回避することができ、その結果、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和することができ、受聴者20の周囲の任意の方向に音像を定位させることができる。
なお、本実施の形態において、左側スピーカ51及び右側スピーカ52が、ほぼ平行になるよう近接配置された例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば本発明の第1の実施の形態の音像定位装置10(図1参照)に接続された左側スピーカ21及び右側スピーカ22のように互いに外向きに近接配置されたスピーカに対しても前述の指向性の制御処理を行うことによって同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、左側スピーカ51及び右側スピーカ52の2つで音像定位処理を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、左側スピーカを2つ、右側スピーカを1つの構成とし、或いは、左側スピーカ51と右側スピーカ52との間に1つ以上のスピーカを設置して指向性の制御処理を行う構成としても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、第1フィルタ12及び第2フィルタ13と指向性制御手段60とを別個に構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1フィルタ12、第1補正フィルタ61及び第1指向性制御フィルタ63を備えた第3指向性フィルタと、第2フィルタ13、第2補正フィルタ62及び第2指向性制御フィルタ64を備えた第4指向性フィルタとで構成することができる。この場合、第3指向性フィルタ及び第4指向性フィルタには、下記の式(7)及び式(8)に示すフィルタ係数HsR及びHsLがそれぞれ設定される。
Figure 2006009058
Figure 2006009058
また、本実施の形態において、左側スピーカ51及び右側スピーカ52の2つで音像定位処理を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上のスピーカで構成しても同様の効果を得ることができる。
この場合、高域の音響信号によって左右どちらかの耳に指向性が付加されるよう3つ以上のスピーカの指向性を指向性制御手段60によって制御し、高域の音響信号に対しては、一方の耳に入力される音圧レベルを反対側の耳に入力される音圧レベルよりも10dB以上として左右独立に定位処理を行い、低域の音響信号に対しては、音場の逆フィルタ処理を行うことによって、前述した2つのスピーカを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明に係る音像定位装置は、受聴範囲の制限を従来のものよりも緩和し、受聴者の周囲の任意の方向に音像を定位させることができるという効果を有し、携帯電話や携帯ゲーム機等のスピーカから出力された音の音像を定位させる音像定位装置等として有用である。
本発明の第1の実施の形態の音像定位装置のブロック図 (a)本発明の第1の実施の形態の音像定位装置が適用された携帯電話の外観斜視図 (b)本発明の第1の実施の形態に係る音像定位装置が適用された携帯電話による音像定位の一例を示す図 本発明の第1の実施の形態の音像定位装置の各ステップのフロー図 本発明の第1の実施の形態の音像定位装置に係る低域定位処理手段のブロック図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置のブロック図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置に係る指向性制御手段が形成する死角の説明図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置に係る指向性制御手段のブロック図 本発明の第2の実施の形態の音像定位装置の各ステップのフロー図
符号の説明
10、50 音像定位装置
11 帯域分割手段
12 第1フィルタ(高域定位処理手段)
13 第2フィルタ(高域定位処理手段)
14 第3フィルタ
15 第4フィルタ
16 低域定位処理手段
17 第1加算器
18 第2加算器
20 受聴者
21、51 左側スピーカ(左側音響出力部)
21a、22a、51a、52a 軸線
22、52 右側スピーカ(右側音響出力部)
23、24、25 仮想スピーカ
30 携帯電話
31 キーボード
32 液晶画面
41 第5フィルタ(第1フィルタ手段)
42 第6フィルタ(第1フィルタ手段) 43 第1逆フィルタ(第2フィルタ手段)
44 第2逆フィルタ(第2フィルタ手段)
45 第3逆フィルタ(第2フィルタ手段)
46 第4逆フィルタ(第2フィルタ手段)
60 指向性制御手段
61 第1補正フィルタ(第3フィルタ手段)
62 第2補正フィルタ(第3フィルタ手段)
63 第1指向性制御フィルタ(第3フィルタ手段)
64 第2指向性制御フィルタ(第3フィルタ手段)
65 第3加算器
66 第4加算器

Claims (11)

  1. 所定の高域音の指向性を有する音場を生成するように配置された左右の音響出力部から出力される所定周波数以上の高域音の音像を定位処理する高域定位処理手段と、前記左右の音響出力部から出力される所定周波数未満の低域音の音像を定位処理する低域定位処理手段とを備え、前記低域定位処理手段は、前記低域音の音像を定位させる目標位置から受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左右の音響出力部から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数に基づいて前記低域音の音像を定位処理することを特徴とする音像定位装置。
  2. 前記高域定位処理手段は、前記高域音の音像を定位させる前記目標位置から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数及び前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に近い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数に基づいて前記高域音の音像を定位処理することを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  3. 前記低域定位処理手段は、前記低域音の音像を定位させる前記目標位置から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数の影響を付加する第1フィルタ手段と、前記低域音の音像から前記左右の音響出力部から前記受聴者の左右の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去する第2フィルタ手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  4. さらに、左右の音響出力部から出力される所定周波数以上の高域音の指向性を制御する指向性制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  5. 前記指向性制御手段は、前記左側音響出力部から前記左側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数及び前記右側音響出力部から前記右側音響出力部に遠い方の前記受聴者の耳に至る経路の伝達関数の影響を除去する第3フィルタ手段を有することを特徴とする請求項4に記載の音像定位装置。
  6. 前記左右の音響出力部は互いに外向きに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  7. 前記左右の音響出力部は前記受聴者の左右の耳よりそれぞれ所定の距離をおいて対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  8. 前記左右の音響出力部はそれぞれから出力された高域音の音圧レベルが、前記受聴者の左耳と右耳とにおいて10dB以上の差が生じるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  9. 前記高域定位処理手段と前記低域定位処理手段とを一体化したことを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  10. 前記左右の音響出力部のうちの少なくとも一方の音響出力部は複数のスピーカから構成されることを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  11. 前記左右の音響出力部のうちの少なくとも一つの音響出力部は所定の指向性を有することを特徴とする請求項10に記載の音像定位装置。
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