JPH1175300A - 音像定位装置 - Google Patents

音像定位装置

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JPH1175300A
JPH1175300A JP10182500A JP18250098A JPH1175300A JP H1175300 A JPH1175300 A JP H1175300A JP 10182500 A JP10182500 A JP 10182500A JP 18250098 A JP18250098 A JP 18250098A JP H1175300 A JPH1175300 A JP H1175300A
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crosstalk canceling
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crosstalk
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Yoshinori Kumamoto
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路規模と、演算処理負担を軽減し、コスト
が廉価で処理精度が高い音像定位装置を提供することを
目的とする。 【解決手段】 入力する音響信号に対して、まずクロス
トークキャンセル手段(101)においてクロストーク
キャンセル処理を行い、処理後の信号に対して方向定位
手段(102a、102b)において方向定位処理を行
うことで、量処理の処理対象とする信号を共通のもの
(vL、vR)として、保持のための記憶装置の必要量
を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音像定位装置に関
し、特に、音響信号を入力し、上記入力した音響信号に
対しての信号処理を行い、仮想的な音像を定位させ、音
像定位信号を出力する音像定位装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より用いられてきた一般的なステレ
オ音響システムにおいては、複数(一般的には2つ)の
スピーカを用いて音像定位を制御し、受聴者である人間
の聴覚に臨場感を与えることがなされていた。従来のシ
ステムにおいては、通常、受聴者の前面に位置する左右
2つのスピーカを用いて、両スピーカの間に音像を定位
させるものであり、このようなシステムにおいては、2
つのスピーカの外側に、音像を定位させることはされて
いなかった。そして、両スピーカの外側に、すなわち受
聴者の周囲に音像を定位させ、例えば受聴者の後方から
音が聞こえるような効果を得たい場合などでは、前方2
つのスピーカに加えて後方にもスピーカを配置するシス
テムとすること等が行われていた。
【0003】しかし、音声のデジタル化の技術や、DS
P(Digital Signal Prosessor)等のハードウェアの発展
に伴い、種々の信号処理が容易に行い得るようになった
ことから、前方に位置する2つのスピーカを用いるシス
テムにおいても、受聴者の周囲の任意の位置(横方向、
後方等)に音像を定位させるように制御することが行わ
れるようになった。
【0004】従来の技術による音像定位装置として、日
本音響学会平成8年度春期研究発表会講演論文集p54
9−550「音響制御におけるクロストークの打ち消し
に関する一検討」(以下、参考文献1とする。)に記載
されているものがある。
【0005】図19は、音像定位の制御を説明するため
の図である。同図a)は、仮想的に定位される音像を示
す図であり、同図b)は2つのスピーカを用いたシステ
ムを示す図である。ここでは、音像の仮想定位位置と、
2つのスピーカの位置とは共に受聴者にとって左右対称
の位置にあるものとしている。
【0006】音像定位装置においては、音源から受聴者
の頭部、または耳に対しての音の伝達特性を示す頭部伝
達関数を用いた信号処理によって、仮想的な定位位置の
方向を決定する方向定位処理と、クロストーク打ち消し
(クロストークキャンセル)処理とが行われる。
【0007】ここで、クロストーク信号とは、図19
b)のような場合に、左側のスピーカから右耳へ、ある
いは右側のスピーカから左耳に伝達される信号をいい、
クロストーク打ち消し処理のためには、クロストーク打
ち消し信号を生成することが行われるものとなる。
【0008】同図a)に示すように、このシステムにお
いて得られる仮想的な環境では、受聴者の後方に位置す
る左右の仮想的な音像位置から、音響信号uL、および
uRが放射されているものであり、受聴者の左右の耳に
与えられる音圧はそれぞれyL1とyR1となるもので
あるとする。左右対称であるので、左仮想位置から左耳
へ、および右仮想位置から右耳への伝達は等しいものと
なり、この伝達特性を示す頭部伝達関数をTMとする。
同様に左仮想位置から右耳へ、および右仮想位置から左
耳への伝達は、同じ頭部伝達関数TCで表される。この
ような仮想環境においては、これら音圧と関数とについ
て、 yL1=TM・uL+TC・uR (1−1) yR1=TC・uL+TM・uR (1−2) という関係が成立する。
【0009】一方、同図b)に示すシステムにおいて
は、左右のスピーカ1901a、および1901bから
は、音響信号xL、およびxRが放射されているもので
あり、受聴者の左右の耳に与えられる音圧はそれぞれy
L2とyR2となるものであるとする。やはり左右対称
であることから、左スピーカ位置から左耳へ、および右
スピーカ位置から右耳への伝達は同じ頭部伝達関数SM
で、左スピーカ位置から右耳へ、および右スピーカ位置
から左耳への伝達は同じ頭部伝達関数SCで表されるも
のとなる。そしてこれらの音圧と関数とについては、 yL2=TM・xL+TC・xR (2−1) yR2=TC・xL+TM・xR (2−2) という関係が成立する。
【0010】このシステムにおいて、同図b)に示すス
ピーカ1901a、および1901bから出力する音響
によって、同図a)に示す音像を定位させるためには、 yL1=yL2 (3−1) yR1=yR2 (3−2) が成立する必要があり、式3−1、1−1、2−1より
下記の式4−1が、また、式3−2、1−2、2−2よ
り下記の式4−2が導かれる。
【0011】 TM・uL+TC・uR=TM・xL+TC・xR (4−1) TC・uL+TM・uR=TC・xL+TM・xR (4−2) そこで、式4−1と4−2とをxL、およびxRについ
て解くこととなるが、一つの解法によれば、|*|をも
ってゲインを示すものとして、 |(SC/SM)^2|<<1 (5) とみなすことによって、 xL〜(FM+FC・FX)・uL+(FC+FM・FX)・uR (6−1) xR〜(FC+FM・FX)・uL+(FM+FC・FX)・uR (6−2) が得られるものとなる。ただし、式中のFM、FC、お
よびFXは、 FM=TM/SM (7−1) FC=TC/SM (7−2) FX=−SC/SM (7−3) である。
【0012】また、別の解法によることも可能であり、 xL=FM・uL+FC・uR+FX・xR (8−1) xR=FC・uL+FM・uR+FX・xL (8−2) が得られる。ここで式8−1、および8−2において、
右辺第1項と第2項とは音像の方向を示す(方向を定位
する)部分であり、右辺第3項はクロストーク成分をキ
ャンセルする部分である。
【0013】以上のような関係を用いて、音像定位を制
御する従来の技術による音像定位装置の構成を、図17
a)の機能ブロック図に示す。同図に示すように、従来
の技術による音像定位装置は、クロストークキャンセル
手段1701と、方向定位手段1702a、および17
02bと、加算器1703a、および1703bとを備
えたものであり、入力端子1704a、および1704
bから入力音響信号を入力し、信号処理を行った結果得
られる信号を出力端子1705a、および1705bか
ら出力するものである。
【0014】方向定位手段1702a、および1702
bは、入力端子1704a、および1704bから入力
された音響信号に対して、演算処理によって音像位置の
方向を示す信号を生成する。加算器1703a、および
1703bにおいては、入力信号に対しての加算処理を
行う。クロストークキャンセル手段1701は、入力さ
れた信号に対してクロストーク成分を除去する。
【0015】同図b)は、従来の技術による音像定位装
置の詳細な構成の第一例を示す図である。同図a)に示
すクロストークキャンセル手段1701は、同図b)に
示すクロストーク打ち消し信号生成フィルタ1706
a、および1706bと、加算器1703c、および1
703dとからなるものである。また、同図a)に示す
方向定位手段1702a、および1702bは、メイン
パスフィルタ1707a、および1707bと、クロス
トークパスフィルタ1708a、および1708bから
なるものである。なお、メインパスフィルタとクロスト
ークパスフィルタとは、あわせて方向定位フィルタと呼
称される場合もある。
【0016】このように構成される、従来の技術による
音像定位装置は、上述の式6−1、および6−2に従っ
て、出力xL、およびxRを生成するものであり、その
動作を以下に説明する。入力端子1704a、および1
704bから、左右の入力音響信号がそれぞれ入力され
る。図17b)において、入力端子1704aから入力
された第1の入力音響信号は、メインパスフィルタ17
07aと、クロストークパスフィルタ1708aとに入
力される。メインパスフィルタ1707aにおいては、
上述の式7−1に示す係数を、またクロストークパスフ
ィルタ1708aにおいては式7−2に示す係数を乗じ
る演算処理が実行され、メインパスフィルタ1707a
の出力が加算器1703aに、クロストークパスフィル
タ1708aの出力が加算器1703bに入力される。
【0017】同様に、入力端子1704bから入力され
た第2の入力音響信号は、メインパスフィルタ1707
bと、クロストークパスフィルタ1708bとに入力さ
れ、それぞれにおいて上述の式7−1と式7−2とに示
す係数を乗じる演算処理が実行され、メインパスフィル
タ1707bの出力が加算器1703bに、クロストー
クパスフィルタ1708bの出力が加算器1703aに
入力される。
【0018】加算器1703a、および1703bは、
それぞれ入力した信号に対しての加算処理を行い、加算
器1703aは加算結果を加算器1703cとクロスト
ーク打ち消し信号生成フィルタ1706aとに出力す
る。クロストーク打ち消し信号生成フィルタ1706a
は、上述の式7−3に示す係数を乗じる演算処理を実行
することにより、クロストーク打ち消し信号を生成して
加算器1703dに出力する。
【0019】同様に、加算器1703bは加算結果を加
算器1703dとクロストーク打ち消し信号生成フィル
タ1706bとに出力する。クロストーク打ち消し信号
生成フィルタ1706bは、上述の式7−3に示す係数
を乗じる演算処理を実行してクロストーク打ち消し信号
を生成し、加算器1703cに出力する。
【0020】加算器1703c、および1703dにお
いては、それぞれ加算器1703a、および加算器17
03bの加算結果と、該加算結果を反転した位相とほぼ
同等の位相を有するクロストーク打ち消し信号とが加算
処理されることにより、出力端子1705a、および1
705bには、式6−1、および6−2で示される、ク
ロストーク成分が除去された信号が出力されることとな
る。
【0021】図17b)に示す構成の音像定位装置にお
いては、一方のチャネルにおけるクロストーク打ち消し
信号生成フィルタ(例えば1706a)の出力が、他方
のチャネルの出力側(出力端子1705b側に位置する
加算器1703d)に出力されていることから、フィー
ドフォワード型と称されるものである。
【0022】また、図17a)に示す従来の技術による
音像定位装置を実現する第二の例として、特願平8−4
1665号(以下、参考文献2とする。)に記載された
ものがある。図18は、従来の技術による音像定位装置
の詳細な構成の第二例を示す図である。同図に示す構成
では、図17a)におけるクロストークキャンセル手段
1701は、クロストーク打ち消し信号生成フィルタ1
806a、および1806bと、加算器1803a、お
よび1803bとからなるものである。また、図17
a)に示す方向定位手段1702a、および1702b
は、メインパスフィルタ1807a、および1807b
と、クロストークパスフィルタ1808a、および18
08bからなるものである。加算器1803a、および
1803bは、前述のように図17a)におけるクロス
トークキャンセル手段1701の一部でもあり、同図に
示す加算器1703a、および1703bでもある。
【0023】ここで、図18に示す音像定位装置は、上
述の式8−1、および8−2に従って、出力xL、およ
びxRを生成するものであり、図17b)に示す構成と
は異なり、一方のチャネルにおけるクロストーク打ち消
し信号生成フィルタ(例えば1806a)の出力が、他
方のチャネルの入力側(出力端子1704b側の加算器
1803b)に出力されていることから、フィードバッ
ク型と称されるものである。以下に、このように構成さ
れた音像定位装置の動作を説明する。
【0024】入力端子1804a、および1804bか
ら、左右の入力音響信号がそれぞれ入力される。入力端
子1804aから入力された第1の入力音響信号は、メ
インパスフィルタ1807aと、クロストークパスフィ
ルタ1808aとに入力され、メインパスフィルタ18
07aにおいては、上述の式7−1に示す係数を、また
クロストークパスフィルタ1808aにおいては式7−
2に示す係数を乗じる演算処理が実行され、メインパス
フィルタ1807aの出力が加算器1803aに、クロ
ストークパスフィルタ1808aの出力が加算器180
3bに入力される。同様に、入力端子1804bから入
力された第2の入力音響信号は、メインパスフィルタ1
807bと、クロストークパスフィルタ1808bとに
入力され、それぞれ上述の式7−1、および式7−2に
示す係数を乗じる演算処理が実行され、メインパスフィ
ルタ1807bおよび、クロストークパスフィルタ18
08bの出力は加算器1803b、および1803aに
それぞれ入力される。
【0025】加算器1803a、および1803bは、
それぞれ入力した信号に対しての加算処理を行い、加算
器1803aは加算結果をクロストーク打ち消し信号生
成フィルタ1806aに出力する。クロストーク打ち消
し信号生成フィルタ1806aは、上述の式7−3に示
す係数を乗じる演算処理を実行することにより、クロス
トーク打ち消し信号を生成して加算器1803bに出力
する。同様に、加算器1803bは加算結果をクロスト
ーク打ち消し信号生成フィルタ1806bに出力し、ク
ロストーク打ち消し信号生成フィルタ1806bは、上
述の式7−3に示す係数を乗じる演算処理を実行するこ
とにより、クロストーク打ち消し信号を生成して加算器
1803aに出力する。
【0026】加算器1803a、および1803bにお
いては、方向定位フィルタからの出力の加算結果と、該
加算結果を反転した位相とほぼ同等の位相を有するクロ
ストーク打ち消し信号とが加算処理されることにより、
クロストーク成分が除去される。従って、出力端子18
05a、および1805bには、式8−1、および8−
2で示される信号が出力されることとなる。
【0027】このように構成される、フィードバック型
の音像定位装置においては、クロストーク打ち消し信号
の生成と、該生成した信号を用いるクロストークキャン
セル処理とを繰り返して行う多重キャンセル処理が可能
であり、図17a)に示す第一例のフィードフォワード
型の装置と比較すると、音響信号の低域部分による回折
の影響が低減するので低域特性の改善を図ることが可能
となる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術による音像
定位装置においては、前述のように、音像の仮想定位位
置を求める演算処理と、クロストーク成分を補償する演
算処理とによって、広範囲の音像の定位を可能とするも
のである。しかし、かかる音像定位装置をCPUやDS
Pを用いた計算機システムにおいて実現しようとする場
合には、以下に述べるいくつかの問題点が生じるもので
あった。
【0029】第1の問題点は、演算処理のための一時記
憶に用いるメモリについてのものであり、計算機システ
ムが備えるメモリの量や性能が、演算処理についての限
界となることである。このメモリに関する制約として
は、 (A)音響信号データの記憶に用いるメモリ量による制
約 (B)フィルタの係数の記憶に用いるメモリ量による制
約 (C)メモリのアクセス時間による制約 が主要なものとなる。
【0030】ここで、(A)、および(B)の問題点
は、メモリの量を示すワード数が少ない場合には、この
ことがすなわちフィルタの次数を示すタップ数を制限す
るものとなり、十分なタップ数が得られないことによ
り、演算処理の精度が低下することにつながるものであ
る。
【0031】また、計算機システムが備える高速な内部
メモリの量に限界がある場合に、比較的低速な外部メモ
リ(RAM)を援用して、必要な演算処理の精度を確保
しようとする場合には、(C)の問題点が障害となる。
すなわち、前述のような、方向定位処理やクロストーク
キャンセル処理に用いるディジタルフィルタを実現する
演算処理においては、頻繁なメモリアクセスを要するも
のであるので、アクセス速度の遅い外部メモリを単純に
援用して、メモリ量の制約の解決を図ることは困難であ
った。
【0032】第2の問題点は、計算機システムが備える
DSP等の制御装置についてのものであり、その処理速
度が演算処理についての限界となることである。すなわ
ち、十分な処理速度が得られない場合、ディジタルフィ
ルタの次数が制限されるものとなり、演算処理の精度が
低下することにつながるものである。
【0033】第3の問題点として、従来の技術による音
像定位装置においては、当該音像定位装置を用いる音響
システムの設定変更に対する対応が、必ずしも容易では
ない点が挙げられる。図18に示す、従来技術の第二例
の音像定位装置(フィードバック型)は、前述のよう
に、フィードフォワード型と比較して、低域の再現性を
改善したものである。しかし、このような音像定位装置
を用いた音響システムの備えるスピーカが小口径のもの
である場合には、低域のエネルギーが大きいことが原因
となって音の歪みが生じることがある。この点を改善す
るためには低域をカットするフィルタを用いることが考
えられるが、フィルタの追加のため回路規模の増大とコ
スト上昇につながることとなる。
【0034】さらに、音響システムにおいてスピーカの
配置が変更され、スピーカの開き角が異なるものとなっ
た場合、従来の技術による音像定位装置では、フィルタ
FXのパラメータ全体を変更することが行われていた。
従って、音響システムの設定変更に対応するためには、
各設定ごとのパラメータを保持しておく必要があり、パ
ラメータの格納のために、メモリの必要量が増大するこ
ととなる。
【0035】以上の3つの問題点が示すように、従来の
技術による音像定位装置では、計算機システムにおいて
実現する場合に、メモリの容量や処理速度の高速性を要
求するものであり、音像定位の制御の精度と、計算機シ
ステムのコストの低減とを両立し難い点が課題であっ
た。
【0036】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、メモリの必要量に起因する回路規模の増大を制
限しつつ、精度の良好な音像定位を実現し得る音像定位
装置を提供することを目的とする。
【0037】また、本発明は、高速な内部メモリの容量
に制限がある場合にも、外部メモリを援用することによ
り、精度の良好な音像定位を実現し得る音像定位装置を
提供することを目的とする。
【0038】また、本発明は、演算処理を簡素化するこ
とによって、高性能のDSP等を備えない計算機システ
ムにおいても、精度の良好な音像定位を実現し得る音像
定位装置を提供することを目的とする。
【0039】また、本発明は、音響システムにおける設
定変更があり得る場合にも、かかる変更に対して、回路
規模を増大することなく、柔軟に対応し得る音像定位装
置を提供することを目的とする。
【0040】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項1にかかる音像定位装置は、音響信
号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信号処理
を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号を出力
する音像定位装置において、クロストーク打ち消し信号
を生成し、上記生成したクロストーク打ち消し信号を用
いてクロストークキャンセル処理を行うクロストークキ
ャンセル手段と、上記クロストークキャンセル手段にお
いてクロストークキャンセル処理がされた信号に対し
て、仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段と
を備えたものである。これにより、入力する音響信号に
対してまずクロストークキャンセル処理を行い、その後
に音像定位処理を行う。
【0041】また、請求項2にかかる音像定位装置は、
請求項1の装置において、上記クロストークキャンセル
手段は、第1、および第2のクロストーク打ち消し信号
生成フィルタと、第1、および第2の加算器とを備え、
第1の加算器において、第1の音響信号と第2のクロス
トーク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号とを加
算処理し、第2の加算器において、第2の音響信号と第
1のクロストーク打ち消し信号生成フィルタが生成する
信号とを加算処理するものであり、上記方向定位手段
は、第1、および第2のメインパスフィルタと、第1、
および第2のクロストークパスフィルタと、第1、およ
び第2の加算器とを備え、上記第1の加算器において、
第1のメインパスフィルタにおいて処理した信号と、第
2のクロストークパスフィルタにおいて処理した信号と
を加算処理し、上記第2の加算器において、第2のメイ
ンパスフィルタにおいて処理した信号と、第1のクロス
トークパスフィルタにおいて処理した信号とを加算処理
するものである。これにより、入力する音響信号に対し
て、まずクロストーク打ち消し信号生成フィルタが生成
する信号を用いてクロストークキャンセル処理を行い、
その後にメインパスフィルタとクロストークパスフィル
タとによる音像定位処理を行う。
【0042】また、請求項3にかかる音像定位装置は、
音響信号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信
号処理を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号
を出力する音像定位装置において、くし型フィルタを用
いることによりクロストーク打ち消し信号を生成し、上
記生成したクロストーク打ち消し信号を用いてクロスト
ークキャンセル処理を行うクロストークキャンセル手段
と、仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段と
を備えたものである。これにより、係数が同一であるく
し型フィルタを用いるクロストーク打ち消し信号生成フ
ィルタが生成する信号を用いてクロストークキャンセル
処理を行う。
【0043】また、請求項4にかかる音像定位装置は、
音響信号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信
号処理を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号
を出力する音像定位装置において、ある時刻に生成した
上記クロストーク打ち消し信号を保持し、上記保持した
信号を遅延して生成する複数の信号を保持し、上記保持
した複数の信号のうち特定のものに対して所定の係数を
乗じることによって得られる信号を用いて、上記ある時
刻に後続する時刻におけるクロストーク打ち消し信号を
生成し、上記生成したクロストーク打ち消し信号を用い
てクロストークキャンセル処理を行うクロストークキャ
ンセル手段と、仮想的な音源位置の方向を定位する方向
定位手段とを備えたものである。これにより、演算処理
負担を軽減したくし型フィルタ代替回路を用いるクロス
トーク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号を用い
てクロストークキャンセル処理を行う。
【0044】また、請求項5にかかる音像定位装置は、
請求項3または4のいずれかの装置において、上記クロ
ストークキャンセル手段に対する入力信号、または出力
信号を処理する低域通過フィルタをさらに備えたもので
ある。これにより、高域成分を除去した信号に対して、
くし型フィルタ、またはくし型フィルタ代替回路を用い
るクロストーク打ち消し信号生成フィルタが生成する信
号を用いてクロストークキャンセル処理を行う。
【0045】また、請求項6にかかる音像定位装置は、
音響信号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信
号処理を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号
を出力する音像定位装置において、クロストーク打ち消
し信号を生成するクロストーク打ち消し信号生成フィル
タと、上記クロストーク打ち消しフィルタにより生成さ
れたクロストーク打ち消し信号を、当該クロストーク打
ち消し信号生成フィルタの入力側に出力してクロストー
クキャンセル処理に用いるか、または出力側に出力して
クロストークキャンセル処理に用いるかを切り替える切
り替えスイッチとを備えたクロストークキャンセル手段
と、仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段と
を備えたものである。これにより、フィードバック型処
理とフィードフォワードが多処理とを切り替えて行う。
【0046】また、請求項7にかかる音像定位装置は、
音響信号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信
号処理を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号
を出力する音像定位装置において、上記クロストーク打
ち消し信号を生成するクロストーク打ち消し信号生成フ
ィルタと、上記クロストーク打ち消し信号生成フィルタ
に対する入力信号、または出力信号を処理する、遅延時
間が可変である遅延手段とを備えたクロストークキャン
セル手段と、仮想的な音源位置の方向を定位する方向定
位手段とを備えたものである。これにより、クロストー
クキャンセル処理における初期遅延の量を切り替えて処
理を行う。
【0047】また、請求項8にかかる音像定位装置は、
第1の方向に定位すべき入力音響信号と、第2の方向に
定位すべき入力音響信号とを入力し得るものであって、
上記入力した音響信号に対しての信号処理を行い、仮想
的な音像を定位させ、音像定位信号を出力する音像定位
装置において、第1、および第2のフィルタを備えるも
のであり、上記第1のフィルタをクロストーク打ち消し
信号生成フィルタとして用いる第1のモードと、上記第
1のフィルタを上記第2の方向の定位のためのフィルタ
として用いるとともに、上記第2のフィルタをクロスト
ーク打ち消し信号生成フィルタとして用いる第2のモー
ドとを切り替える切り替えスイッチを備えたクロストー
クキャンセル手段と、仮想的な音源位置の方向を定位す
る方向定位手段とを備えたものである。これにより、第
1の方向に定位すべき音像を定位する処理と、第2の方
向に定位すべき音像を定位する処理とに用いるクロスト
ーク打ち消し信号生成フィルタを切り替えて用いて処理
を行う。
【0048】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.本発明の実施の形態1による音像定位装
置は、クロストークキャンセル処理された信号に対して
方向定位処理を実行することで、必要なメモリ量の低減
を図るものである。
【0049】図1a)は、本実施の形態1による音像定
位装置の構成を示すブロック図である。図示するよう
に、本実施の形態1の音像定位装置は、クロストークキ
ャンセル手段101と、方向定位手段102a、および
102bと、加算器103a、および103bとを備え
たものであり、入力端子104a、および104bから
入力音響信号を入力し、信号処理を行った結果得られる
信号を出力端子105a、および105bから出力する
ものである。
【0050】クロストークキャンセル手段101は、入
力端子104a、および104bから入力された信号に
対してクロストーク成分を除去する。方向定位手段10
2a、および102bは、入力された音響信号に対し
て、演算処理によって音像位置の方向を示す信号を生成
する。加算器103a、および103bにおいては、入
力信号に対しての加算処理を行う。
【0051】このように構成された本実施の形態1によ
る音像定位装置で行う演算処理を以下に説明する。ま
ず、従来の技術において示した式1−1から8−2に加
え、下記の式を成立させるvLとvRとを定義する。
【0052】 xL=FM・vL+FC・vR (9−1) xR=FC・vL+FM・vR (9−2) 式9−1を式8−1に代入し、式9−2を式8−2に代
入することによって、下記の式が得られる。
【0053】 FM・vL+FC・vR =FM・uL+FC・uR+FX・(FC・vL+FM・vR) (10−1) FC・vL+FM・vR =FC・uL+FM・uR+FX・(FM・vL+FC・vR) (10−2) 式10−1と式10−2とからは、FMとFCとを消去
することができ、下記の式が得られる。
【0054】vL=uL+FX・vR (11−1) vR=uR+FX・vL (11−2) そして、この式11−1と11−2とは、入力側にクロ
ストークキャンセル手段を設けることを、上記の式9−
1と9−2とは、出力側に方向定位手段を設けることを
意味するものである。従って、本実施の形態1の音像定
位装置は、図1a)に示すように、入力側にクロストー
クキャンセル手段101を、出力側に方向定位手段10
2a、および102bを備えたものとなっている。
【0055】また、同図b)は、本実施の形態1による
音像定位装置の詳細な構成の第一例を示す図である。同
図a)に示すクロストークキャンセル手段101は、同
図b)に示すクロストーク打ち消し信号生成フィルタ1
06a、および106bと、加算器103c、および1
03dとからなるものである。また、同図a)に示す方
向定位手段102a、および102bは、メインパスフ
ィルタ107a、および107bと、クロストークパス
フィルタ108a、および108bからなるものであ
る。以下に、このように構成された本実施の形態1によ
る音像定位装置の第一例の動作を説明する。
【0056】入力端子104a、および104bから、
左右の入力音響信号uLとuRとが、それぞれ入力され
る。図1b)において、入力端子104aから入力され
た第1の入力音響信号uLは、加算器103cに、入力
端子104bから入力された第2の入力音響信号uR
は、加算器103dに入力される。本実施の形態1の音
像定位装置における処理が開始した直後は、クロストー
ク打ち消し信号生成フィルタ106a、および106b
における信号生成は行われていないので、それぞれから
加算器103c、および103dに対しての信号出力は
なく、加算器103c、および103dは、入力された
信号uL、およびuRをそのまま出力し、信号uLは信
号vLとしてクロストーク打ち消し信号生成フィルタ1
06aに、また信号uRは信号vRとしてクロストーク
打ち消し信号生成フィルタ106bに入力される。
【0057】クロストーク打ち消し信号生成フィルタ1
06aは、上述の式7−3に示す係数を乗じる演算処理
を実行することにより、クロストーク打ち消し信号を生
成して加算器103dに出力する。クロストーク打ち消
し信号生成フィルタ106bは同様の演算処理を実行す
ることにより、クロストーク打ち消し信号を生成して加
算器103cに出力する。
【0058】加算器103cにおいては、入力音響信号
uLと、クロストーク打ち消し信号とが加算されること
により、クロストークキャンセル処理が行われ、式11
−1に示す信号vLが生成される。生成された信号vL
は、メインパスフィルタ107aと、クロストークパス
フィルタ108aとに入力される。同様に加算器103
dからは、式11−2に示す信号vRが生成され、メイ
ンパスフィルタ107bと、クロストークパスフィルタ
108bとに入力される。
【0059】メインパスフィルタ107aにおいては、
上述の式7−1に示す係数を、またクロストークパスフ
ィルタ108aにおいては式7−2に示す係数を乗じる
演算処理が実行され、メインパスフィルタ107aの出
力が加算器103aに、クロストークパスフィルタ10
8aの出力が加算器103bに入力される。ここでメイ
ンパスフィルタ107aの出力は、式9−1の右辺第1
項であり、クロストークパスフィルタ108aの出力は
式9−2の右辺第2項である。
【0060】同様に、加算器103dにおいては、入力
音響信号uRに対してクロストーク打ち消し信号が加算
されるクロストークキャンセル処理が行われ、得られた
信号vRが、メインパスフィルタ107bと、クロスト
ークパスフィルタ108bとに入力され、それぞれにお
いて上述の式7−1と式7−2とに示す係数を乗じる演
算処理が実行され、メインパスフィルタ107bの出力
が加算器103bに、クロストークパスフィルタ108
bの出力が加算器103aに入力される。メインパスフ
ィルタ107bの出力は、式9−2の右辺第1項であ
り、クロストークパスフィルタ108bの出力は式9−
1の右辺第2項である。
【0061】加算器103a、および加算器103bに
おいてそれぞれ入力された信号が加算され、加算の結果
が出力端子105a、および105bに出力されること
により、本実施の形態1の第一例の音像定位装置の装置
出力として、式9−1、および9−2で示される、音像
定位処理がされた信号xL、およびxRが出力されるこ
ととなる。
【0062】このように、本実施の形態1の音像定位装
置では、クロストークキャンセル処理をされた信号に対
して方向定位処理を行うものとしたことで、図1b)に
示すように、クロストーク打ち消し信号生成フィルタ
(FX)と、方向定位フィルタ(FM、およびFC)と
は、フィルタ入力とするvL、およびvRが共通の信号
となるものである。従って、フィルタ処理のためには、
この2種の信号を保持すれば良いこととなり、図17
b)、および図18に示す、4種の信号を保持する要が
ある従来の技術による音像定位装置と比較して、従来技
術の第1の問題点の(A)において述べた、音響信号保
持のために必要なメモリの容量を小さなものとすること
ができる。
【0063】ここで、本実施の形態1の装置におけるメ
モリの必要量を説明するために、クロストークキャンセ
ル処理、および方向定位処理に用いる各フィルタの構成
を以下に示す。
【0064】フィルタとしては、入力信号に対しての積
和演算を行うFIR(Finite Impulse Response) フィル
タと、入力信号に加えて、出力信号に対しても積和演算
を行うIIR(Infinite Impulse Response) フィルタと
があるが、本実施の形態1の音像定位装置は、いずれの
フィルタを用いるものとしても実現可能である。図2は
本実施の形態1の第一例の装置(図1b)が備えるクロ
ストーク打ち消し信号生成フィルタ106a、および1
06bと、方向定位フィルタ107a、107b、10
8a、および108bをFIRフィルタを用いて構成し
た例を示す図である。また、図3は、図1b)に示す各
フィルタを、FIRフィルタとIIRフィルタとを縦続
接続するものとして構成した例を示す図である。
【0065】図2に示す例において、本実施の形態1の
第一例(図1b)の音像定位装置が備えるクロストーク
打ち消し信号生成フィルタ106aは、遅延器111
a、同111c〜111f、乗算器110x1〜110
x5、および加算器103iで構成される。クロストー
ク打ち消し信号生成フィルタ106bは、遅延器111
b、同111g〜111j、乗算器110x6〜110
x10、および加算器103jで構成される。なお、図
2において、乗算器110x1〜110x5や、遅延器
111c〜111fのように点線で表した部分について
は、乗算器、遅延器等の個数が可変であることを示すも
のである。
【0066】メインパスフィルタ107aは、遅延器1
11c〜111f、乗算器110m1〜110m5、お
よび加算器103eで構成される。メインパスフィルタ
107bは、遅延器111g〜111j、乗算器110
m6〜110m10、および加算器103fで構成され
る。クロストークパスフィルタ108aは、遅延器11
1c〜111f、同111n〜111p、乗算器110
c1〜110c5、および加算器103gで構成され
る。クロストークパスフィルタ107bは、遅延器11
1g〜111j、同111k〜111m、乗算器110
c6〜110c10、および加算器103hで構成され
る。
【0067】また、図2における乗算器110a1、お
よび110a2は、固定小数演算を実行する際にオーバ
ーフローが起こることを防止するために設けられたアッ
テネータとして機能するものである。そして、遅延器1
11k〜111pは、両耳間の時間差を実現するために
備えられたものである。
【0068】図2に示すフィルタの構成では、遅延器1
11c〜111jを備えたことで、図1b)に示す信号
vL、およびvRとして、クロストーク打ち消し信号生
成フィルタに対する入力と、方向定位フィルタに対する
入力とを、これら遅延器において共有化して保持してい
るものである。従って、各フィルタへの入力をそれぞれ
保持する場合と比較して、保持のためのメモリの必要量
を低減することが可能となる。
【0069】図3は、前述のようにIIRフィルタを用
いた構成例である。図示するようにこの例においては、
クロストーク打ち消し信号生成フィルタを構成するII
RフィルタFXI 112a、および112b、メイン
パスフィルタを構成するIIRフィルタFMI 113
a、および113b、クロストークパスフィルタを構成
するIIRフィルタFCI 114a、および114b
を備えたものであり、これらのIIRフィルタと、図2
に示したFIRフィルタとが縦続接続されたものとなっ
ている。
【0070】これにより、メインパスフィルタ、クロス
トークパスフィルタ、およびクロストーク打ち消し信号
生成フィルタそれぞれのFIRフィルタで構成する部分
をFMF、FCF、およびFXFとすると、式7−1〜
7−3に示したFM、FC、およびFXは、 FM=FMF・FMI (12−1) FC=FCF・FCI (12−2) FX=FXF・FXI (12−3) となるものである。
【0071】この場合においても、図2に示す構成の場
合と同様に、FIRフィルタの部分については、入力を
共有化し得るものであり、同様にメモリ必要量の低減を
可能とするものである。ただし、FIRフィルタのみで
構成する場合ほど顕著な低減効果は得られるものではな
い。
【0072】図4は、図1a)に示す本実施の形態1の
音像定位装置の詳細な構成の第二例を示す図である。同
図に示すように、第二例の音像定位装置は、加算器10
3a〜103dと、クロストーク打ち消し信号生成フィ
ルタ106a、および106bと、メインパスフィルタ
107a、および107bと、クロストークパスフィル
タ108a、および108bと、高域用メインパスフィ
ルタ117a、および117bと、帯域分割回路115
a、および115bと、帯域合成回路116a、および
116bとを備えたものである。この例においても、図
1b)に示す第一例と同様に、入力端子104a、およ
び104bから入力音響信号を入力し、信号処理を行っ
た結果得られる信号を出力端子105a、および105
bから出力する。
【0073】帯域分割回路115a、および115b
は、入力された信号に対して所定の分割処理を行い、低
域成分と高域成分とを生成する。帯域合成回路116
a、および116bは、入力された信号に対して所定の
合成処理を行い、合成信号を生成する。高域用メインパ
スフィルタ117a、および117bは、メインパスフ
ィルタ107a、および107bと同様の演算処理を行
う。加算器103a〜103d、クロストーク打ち消し
信号生成フィルタ106a、および106b、メインパ
スフィルタ107a、および107b、クロストークパ
スフィルタ108a、および108bについては第一例
と同様のものである。
【0074】このように構成された本実施の形態1の第
二例による音像定位装置の動作を以下に説明する。入力
端子104a、および104bから、左右の入力音響信
号が、それぞれ入力される。入力端子104aから入力
された第1の入力音響信号は、帯域分割回路115aに
入力され、帯域分割回路115aは分割処理により、第
1の入力音響信号を、高域成分と低域成分とに分割す
る。そして帯域分割回路115aは、高域成分を高域用
メインパスフィルタ117aに、低域成分を加算器10
3cに出力する。また、帯域分割回路115bも同様の
動作となる。
【0075】高域用メインパスフィルタ117a、およ
び117bは、それぞれ入力された高域成分に対して、
式7−1に示す係数を乗じる演算処理を行い、生成した
信号を帯域合成回路116a、および116bに出力す
る。
【0076】入力音響信号の低域成分については、第一
例と同様にクロストークキャンセル処理と方向定位処理
とが実行され、生成された信号は帯域合成回路115
a、および115bに入力される。帯域合成回路115
a、および115bは、高域用フィルタで処理された高
域成分由来の信号と、クロストークキャンセル処理後に
方向定位処理がされた低域成分由来の信号とに対して合
成処理を行い、生成した合成信号を出力端子105a、
および105bに出力する。
【0077】このように、第二例の音像定位装置におい
ては、入力信号のうち低域成分に対してのみクロストー
ク成分を考慮した処理を実行するものである。一般に音
響信号において、その高域成分については、音響システ
ムの受聴者のわずかな位置ズレの影響が大きく、また、
個人差も大きなものとなるため、クロストークキャンセ
ル処理の実行の対象とすることによる効果が少ないもの
であるので、第二例の音像定位装置では、高域成分につ
いてはメインパスフィルタを用いる処理のみを実行する
ものとしている。従って、クロストークキャンセル処理
では低域成分のみを対象とすることから、サンプリング
周波数を落とすことが可能となり、図2や図3のように
構成するフィルタの回路規模をより小さくすることが、
音像定位の精度を低下させることなく可能となるもので
ある。
【0078】このように、本実施の形態1の音像定位装
置によれば、図1a)に示すように、入力側にクロスト
ークキャンセル手段101を、出力側に方向定位手段1
02a、および102bを備えたことで、クロストーク
キャンセル手段101と、方向定位手段102a、およ
び102bとが備える各フィルタについて、図2や図3
に示すように遅延器を用いて、入力を共有化するので、
音響信号の保持に必要なメモリ量を小さなものとして、
良好な音像定位を行うことが可能となる。
【0079】実施の形態2.本発明の実施の形態2によ
る音像定位装置は、くし型フィルタを用いるものであ
る。図5は、本実施の形態2の音像定位装置の第一例の
構成を示すブロック図である。本実施の形態2による音
像定位装置の概略構成は、図18に示す従来の技術によ
るフィードバック型のものと同様のものである。図5に
示すように、本実施の形態2による音像定位装置は、加
算器503a、503b、503e、および503f
と、メインパスフィルタ507a、および507bと、
クロストークパスフィルタ508a、および508b
と、遅延器511a〜511jと、乗算器510x1〜
510x10とを備えたものであり、入力端子504
a、および504bから入力音響信号を入力し、信号処
理を行った結果得られる信号を出力端子505a、およ
び505bから出力する。なお、図2等と同様に、図中
の遅延器や乗算器の並びにおける点線は任意の個数であ
ることを示している。
【0080】同図において、遅延器511a、同511
c〜511f、乗算器510x1〜510x5、および
加算器503eが図18に示すクロストーク打ち消し信
号生成フィルタ1806aを構成するものであり、遅延
器511b、同511g〜511j、乗算器510x6
〜510x10、および加算器503fが図18に示す
クロストーク打ち消し信号生成フィルタ1806bを構
成するものである。ここで、乗算器510x1〜510
x10の係数を全て等しくすることができ、このような
場合がくし型フィルタとなるものである。従ってくし型
フィルタを用いる場合には、従来技術の第1の問題点の
(B)において述べた、係数を保持するためのメモリの
必要量を低減することが可能となる。
【0081】このように構成された本実施の形態2によ
る音像定位装置の動作は、従来の技術によるフィードバ
ック型の音像定位装置と同様のものとなる。図7は、フ
ィルタの周波数特性を説明するための図である。同図
a)は、振幅特性を、同図b)は位相特性を示す図であ
る。また、いずれにおいても実線が本実施の形態2で用
いたくし型フィルタの特性を、破線が頭部伝達関数の比
から求めた特性を示すものである。一般にくし型フィル
タは直線位相型の低域通過特性を有するものである。図
示するように、振幅特性、および位相特性の双方におい
て、低域部分では類似した特性を示すものとなってい
る。実施の形態1において説明したように、クロストー
クキャンセル処理の効果は、音響信号の低域部分につい
て特に有効なものであり、低域部分の特性が近似してい
ることから、くし型フィルタを用いた場合に低域部分に
対しては良好な処理を行い得ることが分かる。そして、
特性が異なる高域部分については、クロストークキャン
セル処理の効果が小さなものであるから、特性の相異の
影響は小さなものであると言える。
【0082】図6は、本実施の形態2の音像定位装置の
第二例の構成を示すブロック図である。図示するよう
に、この例では、第一例の音像定位装置に対して、低域
通過フィルタ620a、および620bを追加した構成
となっている。低域通過フィルタ620aは、加算器6
03c、乗算器610f1、および610f2、遅延器
611aから構成されている。低域通過フィルタ620
bは、加算器603d、乗算器610f3、および61
0f4、遅延器611bから構成されている。
【0083】このように構成された、本実施の形態2の
第二例の音像定位装置の動作は、図18に示す、クロス
トーク打ち消し信号生成フィルタ1806a、および1
806bに対する入力について、高周波成分が除去され
るものであり、それ以外は第一例と同様のものとなる。
前述のように、クロストーク打ち消し信号の生成にあた
っては、音響信号の高域成分に対する考慮はあまり必要
なものではなく、本例においては、高域成分を処理対象
外とすることで、第一例よりも音像定位の精度を向上す
ることが可能となる。なお、第二例によれば、低域通過
フィルタの分、第一例よりも若干回路規模が大きなもの
となる。
【0084】なお、本第二例においては、クロストーク
打ち消し信号生成フィルタの前方(入力側)に低域通過
フィルタを備えた構成としているが、後方(出力側)に
備えた構成とすることも可能であり、同様の効果が得ら
れる。
【0085】図8は、本実施の形態2の音像定位装置の
第三例の構成を示す図である。図示するように、この例
では、第一例と同様のくし型フィルタを用いるものであ
るが、該くし型フィルタが、タップ数の少ないFIRで
構成されたものである。図示する構成ではタップ数を2
としたものであって、係数の値を例えば全て-0.46 とす
ることができ、この場合には直線位相型の低域通過特性
を有するフィルタとなる。このように構成された音像定
位装置は、第一例と同様の動作を行うものである。
【0086】当該音像定位装置を用いる音響システムに
おいて、スピーカ間隔が狭く(例えば開き角10〜20
度程度)設定されている場合には、図19b)に示す頭
部伝達関数の比SC/SMが1に近い値をとることとな
る。従って、音像定位の安定性と、音響信号の回折によ
る高域成分の減少とを考慮すると、このような場合には
タップ数が少ないフィルタであっても十分近似処理が可
能なものとなる。従って、このような場合には図8に示
すような構成とすることで、図5に示す第一例と比較し
て、さらに係数の記憶のためのメモリの必要量を低減す
ることができ、遅延回路において保持するデータ量も少
ないものとなって、回路規模の小型化を図ることが可能
となる。
【0087】図9、および図10は、本実施の形態2の
音像定位装置の第四例の構成を示す図である。図9に示
すように、本例の音像定位装置は、第三例の装置に対し
て、高域用メインパスフィルタ917a、および917
bと、帯域分割回路915a、および915bと、帯域
合成回路916a、および916bとを備えたものであ
る。これらは、実施の形態1の第二例に示した、高域用
メインパスフィルタ117a、および117b、帯域分
割回路115a、および115b、そして帯域合成回路
116a、および116bと同様のものである。また、
図10に示す高域用メインパスフィルタ1017a、お
よび1017bと、帯域分割回路1015a、および1
015bと、帯域合成回路1016a、および1016
bも同様である。
【0088】このように構成される本例の音像定位装置
の動作は、帯域分割処理と帯域合成処理が実施の形態1
の第二例と同様に行われ、それ以外は本実施の形態2の
第一例と同様のものとなる。従って、実施の形態1の第
二例、および本実施の形態2の第三例と同様にメモリの
必要量を低減し、回路規模を小型化することが可能とな
る。
【0089】第三例と同様のタップ数2であるFIRフ
ィルタとしたクロストーク打ち消し信号生成フィルタ
は、図9に示す構成においては、方向定位フィルタと帯
域合成回路の間に設置したものであり、図10に示す構
成においては、帯域合成回路の後方(出力側)に備えた
ものであるが、帯域分割回路の前方(入力側)に備えた
ものとすることや、帯域分割回路と方向定位フィルタと
の間に備えるものとして、帯域分割回路から出力される
低域成分のみを処理対象として入力するものとすること
も可能であり、同様の効果が得られる。
【0090】このように、本実施の形態2による音像定
位装置によれば、図5に示す乗算器510x1〜510
x10の係数を全て等しくしたくし型フィルタを用いる
ものとしたことで、フィルタを用いた演算処理のための
パラメータ(係数)が唯一のものとなり、係数の保持の
ために必要なメモリ量を小さなものとして、良好な音像
定位を行うことが可能となる。
【0091】なお、本実施の形態2では、概略構成が、
図18に示すフィードバック型音像定位装置であるもの
としたが、図17b)に示すフィードフォワード型の装
置や、図1b)に示す実施の形態1の装置において、く
し型フィルタを用いることも可能であり、同様の効果が
得られる。
【0092】実施の形態3.本発明の実施の形態3によ
る音像定位装置は、実施の形態2におけるくし型フィル
タの代替に、遅延バッファと、累積和レジスタ(又はメ
モリ)とを備えた回路を用いるものである。図11は、
本実施の形態3の音像定位装置の構成を示すブロック図
である。本実施の形態3による音像定位装置の概略構成
は、実施の形態2と同様に図18に示す従来の技術によ
るフィードバック型のものである。図11に示すよう
に、本実施の形態3による音像定位装置は、加算器11
03a、1103b、1103c、および1103d
と、メインパスフィルタ1107a、および1107b
と、クロストークパスフィルタ1108a、および11
08bと、遅延器1111a〜1111jと、乗算器1
110f1〜1110f4と、同1110x1、111
0x5、1110x6、および1110x10とを備え
たものであり、入力端子1104a、および1104b
から入力音響信号を入力し、信号処理を行った結果得ら
れる信号を出力端子1105a、および1105bから
出力する。なお、図2等と同様に、図中の遅延器の並び
における点線は任意の個数であることを示している。
【0093】同図において、加算器1103c、乗算器
1110f1、および1110f2、遅延器1111m
からなる部分と、加算器1103d、乗算器1110f
3、および1110f4、遅延器1111nからなる部
分とは、実施の形態2の第二例と同様の低域通過フィル
タを構成するものである。そして、実施の形態2におい
て、クロストーク打ち消し信号生成フィルタ(図18の
1806a、および1806b)を構成していたくし型
フィルタの代替として、本実施の形態3の音像定位装置
では、図11に示す遅延器1111a、1111b、1
111c〜1111f、および1111g〜1111j
と、乗算器1110x1、1110x5、1110x
6、および1110x10と、加算器1103e〜11
03hを備えたものである。
【0094】図5に示す実施の形態2の装置が備えるく
し型フィルタは、ある時刻に用いるクロストーク打ち消
し信号を生成するために、その時刻において、同図の遅
延器511c〜511fで保持するデータの平均を求め
る処理に相当する演算処理を行うものである。従って、
ある時刻において得られたクロストーク打ち消し信号に
基づいて、保持するデータのうち最古のものを1/nし
て減じ、さらに最新のデータを1/nしたものを加算す
ることで、次の時刻におけるクロストーク打ち消し信号
を取得することができる。
【0095】図11に示す本実施の形態3による音像定
位装置では、遅延器1111a、および1111bに直
前の時刻における信号を保持するものであり、この信号
に対して、遅延器1111c〜1111f、および11
11g〜1111jに保持したデータのうち、最古のも
の(図では遅延が最大である遅延器1111f、および
1111jに保持されたもの)を乗算器1110x5、
および1110x10により1/nし、加算器1103
g、および1103hを用いて減算処理をする。さらに
この減算処理の結果に対して、各遅延器に保持したデー
タのうち、最新のもの(図では遅延が最小である遅延器
1111c、および1111gに保持されるもの)を乗
算器1110x1、および1110x6により1/n
し、加算器1103e、および1103fを用いて加算
処理をする。この加算結果は、上述のようにくし型フィ
ルタの演算処理により得られるものと同様に、クロスト
ーク打ち消し信号となる。また、生成した信号は、次時
刻の信号生成のために、遅延器1111a、および11
11bにおいて保持される。
【0096】本実施の形態3の音像定位装置では、遅延
器1111c〜1111f、および1111g〜111
1jに保持したデータについては、最古のデータの取り
出しの際と、最新のデータの記憶の際にのみアクセスが
行われるものとなる。実施の形態2のくし型フィルタが
備える遅延器においては、頻繁にアクセスがされるた
め、高速なメモリを用いることが必要であるのと比較し
て、本実施の形態3の遅延器には、比較的低速なメモリ
を用いることが可能となる。また、本実施の形態3で
は、乗算処理や加算処理についても、実施の形態2より
削減されるものである。従って、本実施の形態3の音像
定位装置は、従来の技術による音像定位装置における、
第1の問題点(C)に記したメモリのアクセス時間に関
する問題と、第2の問題点である処理速度に関する問題
とを解決し得るものとなる。
【0097】このように、本実施の形態3の音像定位装
置によれば、クロストークキャンセル処理に用いるフィ
ルタとして、遅延バッファ(図11の遅延器1111c
〜1111f、および1111g〜1111j)と、累
積和レジスタ(同図1111a、および1111b)と
を備えたくし型フィルタ代替回路を用いるものとしたこ
とで、メモリに対するアクセス頻度と、加算処理、およ
び乗算処理とを低減するので、当該音像定位装置を実現
する計算機システムにおいて、高速なメモリの容量や、
プロセッサ等の処理速度に限界がある場合にも、良好な
音像の定位を可能とする。
【0098】なお、本実施の形態3においても、実施の
形態2と同様に、概略構成が、図18に示すフィードバ
ック型音像定位装置であるものとしたが、図17b)に
示すフィードフォワード型の装置や、図1b)に示す実
施の形態1の装置において、くし型フィルタ代替回路を
用いることも可能であり、同様の効果が得られる。
【0099】実施の形態4.本発明の実施の形態4によ
る音像定位装置は、切り替えによりフィードフォワード
型、およびフィードバック型双方の音像定位を行い得る
ものである。図12は、本実施の形態4の音像定位装置
の第一例の構成を示す図である。図示するように、本例
の音像定位装置は、図18に示す装置に、加算器120
3c、および1203dと、切り替えスイッチ1218
aおよび1218bとを追加した構成となっている。
【0100】図12では、切り替えスイッチ1218a
および1218bをいずれもフィードバック側(図中の
FB側)に設定している場合を示している。この状態に
おいては、クロストーク打ち消し信号生成フィルタ12
06a、および1206bで生成されたクロストーク打
ち消し信号は、加算器1203a、および1203bに
入力されることとなる。すなわちクロストーク打ち消し
信号を入力側に出力するフィードバック型の装置とな
り、図18に示す装置と同等のものとなる。この場合、
本実施の形態5の装置は、従来の技術による第一例の装
置と同様の動作をする。
【0101】これに対して、図12に示す切り替えスイ
ッチ1218aおよび1218bをいずれもフィードフ
ォワード側(図中のFF側)に設定た場合には、クロス
トーク打ち消し信号生成フィルタ1206a、および1
206bで生成されたクロストーク打ち消し信号は、加
算器1203c、および1203dに入力されることと
なる。すなわちクロストーク打ち消し信号を出力側に出
力するフィードフォワード型の装置となり、図17b)
に示す装置と同等のものとなる。この場合、本実施の形
態5の装置は、従来の技術による第二例の装置と同様の
動作をする。
【0102】一般に、フィードバック型の装置では、低
域からの再現性が良好なものとなる。しかし、従来の技
術の問題点として述べた(第3の問題点)ように、フィ
ードバック型の音像定位装置を用いる音響システムにお
いて、口径の小さなスピーカが用いられる場合には、低
域エネルギーが原因となって音の歪みにつながることが
ある。フィードフォワード型の装置は、低域がカットさ
れる高域通過型の周波数特性を有するものとなるので、
このようなシステムにおいては適していることとなる。
従って、本実施の形態4の音像定位装置は、スイッチの
切り替えによりフィードバック型、およびフィードフォ
ワード型双方の音像定位装置として使用することができ
るので、口径の大きなスピーカが用いられる場合にはフ
ィードバック型として用いることで、良好な再生音質が
得られるようにはかり、一方、口径の小さなスピーカが
用いられる場合には、フィードフォワード型として用い
ることで、音の歪みの防止を図ることができるものであ
る。
【0103】このように、本実施の形態4の音像定位装
置によれば、切り替えスイッチ1218a、および12
18bを備えたことで、当該装置を用いる音響システム
に対応して、切り替えスイッチの設定を行うことによ
り、フィードバック型、またはフィードフォワード型の
うち、より適切なタイプの音像定位装置として使用する
ことが可能となる。
【0104】図13は、本実施の形態4による音像定位
装置の第二例、図14は本実施の形態4による音像定位
装置の第三例の構成を示す図である。図13に示すよう
に、第二例の装置においては、実施の形態1に準じた、
クロストークキャンセル処理を入力側において行う装置
に切り替えスイッチを追加したものである。また、図1
4に示す第三例の装置においては、第一例と同様に図1
8のフィードバック型の装置に切り替えスイッチを追加
したものであり、第一例ではクロストーク打ち消し信号
生成フィルタの後方(出力側)に切り替えスイッチを有
するものであるのに対して、前方(入力側)にスイッチ
を追加したものである。図13、または図14に示す第
二例、または第三例の音像定位装置においても、音響シ
ステムに対応して、フィードバック型、またはフィード
フォワード型のうち、より適切なタイプの音像定位装置
として使用することが可能となる。
【0105】実施の形態5.本発明の実施の形態5によ
る音像定位装置は、クロストーク打ち消し信号の生成に
おいて、初期遅延の程度を切り替えられるようにしたも
のである。図15は、本実施の形態5による音像定位装
置の構成を示す図である。図示するように、本実施の形
態5の音像定位装置は、図18に示すフィードバック型
の装置に対して、遅延器1511a〜1511dと、切
り替えスイッチ1518a、および1518bとを追加
したものである。
【0106】図15に示す状態においては、切り替えス
イッチ1518a、および1518bは、クロストーク
打ち消し信号生成フィルタ1506a、および1506
bの出力を、遅延器を介さずに加算器1503b、およ
び1503aに出力する設定となっている。この状態に
おいて、本実施の形態5による音像定位装置は、図18
に示す装置と同等のものとなっている。この状態におけ
る本実施の形態5の装置の動作は、従来技術による第二
例の装置と同様のものとなる。
【0107】そして、本実施の形態5による音像定位装
置では、切り替えスイッチ1518a、および1518
bの設定により、遅延器1511b、および遅延器15
11dに保持された、遅延されたクロストーク打ち消し
信号を用いること、また、遅延器1511a、および遅
延器1511cに保持された、遅延されたクロストーク
打ち消し信号を用いることが可能である。この状態にお
ける本実施の形態5の装置の動作は、遅延されたクロス
トーク打ち消し信号がクロストークキャンセル処理に用
いられるものとなり、この点を除いては従来技術の第二
例と同様のものとなる。
【0108】クロストーク打ち消し信号生成フィルタが
行う演算処理は、式6−3に示すように、図19b)に
示す頭部伝達関数SCとSMとの比で表される係数を乗
じるものである。ここで、図19b)に示すように、ク
ロストークパスはメインパスよりも長くなるため、スピ
ーカから伝達される音響信号については、左右の到達時
間の差が生じるものとなる。ここで、両スピーカの開き
角が小さい場合には到達時間差は小さく、開き角が大き
な場合には到達時間差は大きなものとなるので、音像定
位の差にはこのことを考慮する必要がある。かかる到達
時間差は、クロストーク打ち消し信号生成フィルタにお
いては、初期遅延量に相当するものである。従って、音
像定位装置を用いる音響システムにおいて、固定的な初
期遅延量を用いるならば、スピーカの設置位置が変更さ
れた場合などには、クロストークキャンセル処理が良好
に行い得なくなる可能性がある。
【0109】クロストーク打ち消し信号生成フィルタに
おいて、初期遅延をのぞいた部分の周波数特性は、開き
角が30〜60度程度であれば大きな差は認められない
ものであり、開き角の変更は初期遅延の切り替えによっ
て対応可能なものである。そして、本実施の形態5の音
像定位装置では、切り替えスイッチの設定により、初期
遅延の量を段階的に変更できるものとしている。
【0110】このように、本実施の形態5の音像定位装
置によれば、フィードバック型の装置に対して、遅延器
1511a〜1511dと、切り替えスイッチ1518
a、および1518bとを追加したものとしたことで、
当該音像定位装置を用いる音響システムにおいて、スピ
ーカの開き角が変更された場合にも、容易にこれに対応
して良好な音像定位を行うことが可能となる。
【0111】実施の形態6.本発明の実施の形態6によ
る音像定位装置は、クロストーク打ち消し信号生成フィ
ルタを切り替えて用いるものである。
【0112】図16は、本実施の形態6による音像定位
装置の構成を示すブロック図である。図示するように、
本実施の形態6の音像定位装置は、メインパスフィルタ
1607a、および1607bと、クロストークパスフ
ィルタ1608a、および1608bと、加算器160
3a〜1603fと、クロストーク打ち消し信号生成フ
ィルタ1606a、および1606bと、遅延器161
1a〜1611dと、乗算器1610x1〜1610x
4と、反転回路1631a、および1631bと、切り
替えスイッチ1618a〜1618fとを備えたもので
あり、入力端子1604a〜1604dより入力音響信
号を入力し、当該音像定位装置の装置出力を1605
a、および1605bから出力する。
【0113】遅延器1611a、および1611bと、
乗算器1610x1、および1610x2と、加算器1
603cとは、第1の2タップのFIRフィルタを構成
し、遅延器1611c、および1611dと、乗算器1
610x3、および1610x4と、加算器1603d
とは、第2の2タップのFIRフィルタを構成するもの
であって、これらはいずれもクロストーク打ち消し信号
生成フィルタとして用いられるものである。切り替えス
イッチ1618a〜1618fは、当該音像定位装置を
用いる音響システムにおけるスピーカ間隔に対応して切
り替えられるものである。
【0114】メインパスフィルタ1607a、および1
607b、クロストークパスフィルタ1608a、およ
び1608b、加算器1603a〜1603b、そし
て、クロストーク打ち消し信号生成フィルタ1606
a、および1606bは図18に示すフィードバック型
の音像定位装置と同様のものである。このように構成さ
れる、本実施の形態6の音像定位装置の動作を、スピー
カ間隔が広い場合、および狭い場合について以下に説明
する。
【0115】まず、スピーカ間隔が広い場合には、スイ
ッチ1618a、1618b、1618e、および16
18fをW側に設定するとともに、スイッチ1618c
と1618dとは開放状態とするものである(図示する
状態)。これにより、入力端子1604c、および16
04dから入力される音響信号は、加算器1603e、
および1603fを介して、本実施の形態6の音像定位
装置をスルーし、出力端子1605a、および1606
bから出力される。
【0116】一方入力端子1604a、および1604
bから入力された信号は、方向定位処理の後、スイッチ
1618a、および1618bを経由して、クロストー
ク打ち消し信号生成フィルタ1606a、および160
6bに入力される。そして、第1、および第2の2タッ
プのFIRフィルタから出力される信号は、スイッチ1
618c、および1618dが開放されているので、用
いられないものとなる。従って、この場合には図18に
示すフィードバック型音像定位装置と同等のものとして
動作することとなる。
【0117】これに対して、スピーカ間隔が狭い場合に
は、スイッチ1618a、1618b、1618e、お
よび1618fをN側に設定するとともに、スイッチ1
618cと1618dとは接続状態とするものである。
従って、方向定位処理された信号は、第1、および第2
の2タップのFIRフィルタにおいて処理された後、ス
イッチ1618cとスイッチ1618dとを経由して、
加算器1603a、および1603bに入力されること
となるので、第1、および第2の2タップのFIRフィ
ルタが、クロストークキャンセル処理に用いられるもの
となる。
【0118】一方、入力端子1604c、および160
4dから入力される音響信号は、スイッチ1618e、
および1618fより、加算器1603a、および16
03bに入力されるとともに、反転回路1631a、お
よび1631bにおいて、位相が反転された後、スイッ
チ1618a、および1618bを経由してフィルタ1
606a、および1606bに入力される。フィルタ1
606a、および1606bは、位相反転信号に基づい
て信号生成処理を行い、生成した信号を加算器1603
a、および1603bに出力する。
【0119】この場合には、スイッチ1618e、およ
び1618fより、加算器1603a、および1603
bへの経路がメインパスとして機能し、フィルタ160
6a、および1606bは、クロストーク信号を生成す
るように機能することとなる。これは、前方に定位させ
るべき音像と、任意位置(横方向、後方等)に定位させ
るべき音像とが混在する音響信号を処理対象とする場合
に有効な処理であり、スピーカ間隔が狭い場合にも、前
方に定位するべき音像をより外側に広げることで、ステ
レオ効果を大きなものとすることが可能となる。
【0120】すなわち、本実施の形態6の装置におい
て、入力端子1604aと1604bとには任意の位置
に定位させるべき音像の音響信号を、入力端子1604
cと1604dとには前方に定位させるべき音像の音響
信号を入力し、スピーカ間隔が広い場合には、前方に定
位させるべき音像についてはそのまま出力するものと
し、任意の位置に定位させるべき音像については、従来
技術の第二例と同様のクロストークキャンセル処理を行
うものである。また、スピーカ間隔が狭い場合には、前
方に定位させるべき音像について、前述のように外側に
広げる効果を与える。一方、任意の位置に定位させるべ
き音像については、かかる音像の定位に用いるクロスト
ーク打ち消し信号生成フィルタが行う演算処理は、式6
−3に示すように、図19b)に示す頭部伝達関数SC
とSMとの比で表される係数を乗じるものであるので、
スピーカ間隔が狭いことによりこの比は小さなものとな
るので、タップ数の小さなフィルタを用いることが可能
となる。従って、2タップのフィルタを用いて処理を行
うものである。
【0121】このように、本実施の形態6の音像定位装
置によれば、従来の技術によるフィードバック型音像定
位装置に対して、遅延器1611a〜1611d、乗算
器1610x1〜1610x4、加算器1603c〜1
603dからなる、2タップのFIRフィルタと、切り
替えスイッチ1618a〜1618fと、反転回路16
31a、および1631bとを備えたことで、スピーカ
間隔が広い場合には、従来の技術によるフィードバック
型音像定位を行い、スピーカ間隔が狭い場合には、かか
る音像定位とともに、前方に定位すべき音像をより外側
に広げるような処理をも行うことが可能となる。
【0122】なお、本実施の形態6では、図18に示す
フィードバック型音像定位装置に準じた構成であるもの
としたが、図17b)に示すフィードフォワード型の装
置や、図1b)に示す実施の形態1の装置に準じたもの
とすることも可能であり、同様の効果が得られる。
【0123】
【0124】
【発明の効果】請求項1の音像定位装置によれば、音響
信号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信号処
理を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号を出
力する音像定位装置において、クロストーク打ち消し信
号を生成し、上記生成したクロストーク打ち消し信号を
用いてクロストークキャンセル処理を行うクロストーク
キャンセル手段と、上記クロストークキャンセル手段に
おいてクロストークキャンセル処理がされた信号に対し
て、仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段と
を備えたものとしたことで、入力する音響信号に対して
まずクロストークキャンセル処理を行い、その後に音像
定位処理を行うので、クロストークキャンセル処理と方
向定位処理とのために保持すべき信号を共通のものとし
て、保持に用いる記憶装置の必要量を低減することが可
能となる。
【0125】請求項2の音像定位装置によれば、請求項
1の装置において、上記クロストークキャンセル手段
は、第1、および第2のクロストーク打ち消し信号生成
フィルタと、第1、および第2の加算器とを備え、第1
の加算器において、第1の音響信号と第2のクロストー
ク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号とを加算処
理し、第2の加算器において、第2の音響信号と第1の
クロストーク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号
とを加算処理するものであり、上記方向定位手段は、第
1、および第2のメインパスフィルタと、第1、および
第2のクロストークパスフィルタと、第1、および第2
の加算器とを備え、上記第1の加算器において、第1の
メインパスフィルタにおいて処理した信号と、第2のク
ロストークパスフィルタにおいて処理した信号とを加算
処理し、上記第2の加算器において、第2のメインパス
フィルタにおいて処理した信号と、第1のクロストーク
パスフィルタにおいて処理した信号とを加算処理するも
のとしたことで、入力する音響信号に対して、まずクロ
ストーク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号を用
いてクロストークキャンセル処理を行い、その後にメイ
ンパスフィルタとクロストークパスフィルタとによる音
像定位処理を行うので、クロストークキャンセル処理と
方向定位処理とのために保持すべき信号を共通のものと
して、保持に用いる記憶装置の必要量を低減することが
可能となる。
【0126】請求項3の音像定位装置によれば、音響信
号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信号処理
を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号を出力
する音像定位装置において、くし型フィルタを用いるこ
とによりクロストーク打ち消し信号を生成し、上記生成
したクロストーク打ち消し信号を用いてクロストークキ
ャンセル処理を行うクロストークキャンセル手段と、仮
想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段とを備え
たものとしたことで、くし型フィルタを用いるクロスト
ーク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号を用いて
クロストークキャンセル処理を行うので、係数がすべて
共通のくし型フィルタにおいて、係数を保持するために
必要な記憶装置の必要量を低減することが可能となる。
【0127】請求項4の音像定位装置によれば、音響信
号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信号処理
を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号を出力
する音像定位装置において、ある時刻に生成した上記ク
ロストーク打ち消し信号を保持し、上記保持した信号を
遅延して生成する複数の信号を保持し、上記保持した複
数の信号のうち特定のものに対して所定の係数を乗じる
ことによって得られる信号を用いて、上記ある時刻に後
続する時刻におけるクロストーク打ち消し信号を生成
し、上記生成したクロストーク打ち消し信号を用いてク
ロストークキャンセル処理を行うクロストークキャンセ
ル手段と、仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位
手段とを備えたものとしたことで、くし型フィルタ代替
回路を用いるクロストーク打ち消し信号生成フィルタが
生成する信号を用いてクロストークキャンセル処理を行
うので、さらに記憶装置の必要量を低減し得ることに加
えて、演算処理の量をも低減することが可能となる。
【0128】請求項5の音像定位装置によれば、請求項
3または4のいずれかの装置において、上記クロストー
クキャンセル手段に対する入力信号、または出力信号を
処理する低域通過フィルタをさらに備えたものとしたこ
とで、高域成分を除去した信号に対して、くし型フィル
タ、またはくし型フィルタ代替回路を用いるクロストー
ク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号を用いてク
ロストークキャンセル処理を行うので、クロストークキ
ャンセル処理の処理対象を適切な信号に限定することで
処理の精度の向上を図ることが可能となる。
【0129】請求項6の音像定位装置によれば、音響信
号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信号処理
を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号を出力
する音像定位装置において、クロストーク打ち消し信号
を生成するクロストーク打ち消し信号生成フィルタと、
上記クロストーク打ち消しフィルタにより生成されたク
ロストーク打ち消し信号を、当該クロストーク打ち消し
信号生成フィルタの入力側に出力してクロストークキャ
ンセル処理に用いるか、または出力側に出力してクロス
トークキャンセル処理に用いるかを切り替える切り替え
スイッチとを備えたクロストークキャンセル手段と、仮
想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段とを備え
たものとしたことで、フィードバック型処理とフィード
フォワードが多処理とを切り替えて行うので、回路規模
を大きく増大することなく、音響システムの設定に対応
して、適切な音像定位を行うことが可能となる。
【0130】請求項7の音像定位装置によれば、音響信
号を入力し、上記入力した音響信号に対しての信号処理
を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号を出力
する音像定位装置において、上記クロストーク打ち消し
信号を生成するクロストーク打ち消し信号生成フィルタ
と、上記クロストーク打ち消し信号生成フィルタに対す
る入力信号、または出力信号を処理する、遅延時間が可
変である遅延手段とを備えたクロストークキャンセル手
段と、仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段
とを備えたものとしたことで、クロストークキャンセル
処理における初期遅延の量を切り替えて処理を行うの
で、回路規模を大きく増大することなく、音響システム
の設定に対応して、適切な音像定位を行うことが可能と
なる。
【0131】請求項8の音像定位装置によれば、第1の
方向に定位すべき入力音響信号と、第2の方向に定位す
べき入力音響信号とを入力し得るものであって、上記入
力した音響信号に対しての信号処理を行い、仮想的な音
像を定位させ、音像定位信号を出力する音像定位装置に
おいて、第1、および第2のフィルタを備えるものであ
り、上記第1のフィルタをクロストーク打ち消し信号生
成フィルタとして用いる第1のモードと、上記第1のフ
ィルタを上記第2の方向の定位のためのフィルタとして
用いるとともに、上記第2のフィルタをクロストーク打
ち消し信号生成フィルタとして用いる第2のモードとを
切り替える切り替えスイッチを備えたクロストークキャ
ンセル手段と、仮想的な音源位置の方向を定位する方向
定位手段とを備えたものとしたことで、第1の方向に定
位すべき音像を定位する処理と、第2の方向に定位すべ
き音像を定位する処理とに用いるクロストーク打ち消し
信号生成フィルタを切り替えて用いて処理を行うので、
回路規模を大きく増大することなく、音響システムの設
定に対応して、適切な音像定位を行うことが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による音像定位装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態の音像定位装置が備えるフィルタ
の構成例を示す図である。
【図3】同実施の形態の音像定位装置が備えるフィルタ
の構成例を示す図である。
【図4】同実施の形態の応用例である音像定位装置の構
成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2による音像定位装置の構
成を示すブロック図である。
【図6】同実施の形態の応用例である音像定位装置の構
成を示すブロック図である。
【図7】同実施の形態において用いられるフィルタの働
きを説明するための、フィルタの周波数特性を示す図で
ある。
【図8】同実施の形態の応用例である音像定位装置の構
成を示すブロック図である。
【図9】同実施の形態の応用例である音像定位装置の構
成を示すブロック図である。
【図10】同実施の形態の応用例である音像定位装置の
構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態3による音像定位装置の
構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態4による音像定位装置の
構成を示すブロック図である。
【図13】同実施の形態の応用例である音像定位装置の
構成を示すブロック図である。
【図14】同実施の形態の応用例である音像定位装置の
構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態5による音像定位装置の
構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態6による音像定位装置の
構成を示すブロック図である。
【図17】従来の技術による音像定位装置の第一例の構
成を示すブロック図である。
【図18】従来の技術による音像定位装置の第二例の構
成を示すブロック図である。
【図19】音像定位を説明するための図である。
【符号の説明】
101,1701 クロストークキャンセル手段 102,1702 方向定位手段 103,503,603,803,903,1003,
1103,1203,1303,1403,1503,
1603,1703,1803加算器 104,504,604,804,904,1004,
1104,1204,1304,1404,1504,
1604,1704,1804入力端子 105,505,605,805,905,1005,
1105,1205,1305,1405,1505,
1605,1705,1805出力端子 106,1206,1306,1406,1506,1
606,1706,1806クロストーク打ち消し信号
生成フィルタ 107,507,607,807,907,1007,
1107,1207,1307,1407,1507,
1607,1707,1807メインパスフィルタ 108,508,608,808,908,1008,
1108,1208,1308,1408,1508,
1608,1708,1808クロストークパスフィル
タ 110,510,610,821,822,823,8
24,921,922,923,924,1021,1
022,1023,1024,1110,1510乗算
器 111,511,511,811,911,1011,
1111,1511,1611遅延器 115,915,1015 帯域分割回路 116,916,1016 帯域合成回路 117,917,1017 高域用メインパスフィル
タ 1218,1318,1418,1518,1618切
り替えスイッチ 520 低域通過フィルタ 1621 反転回路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音響信号を入力し、上記入力した音響信
    号に対しての信号処理を行い、仮想的な音像を定位さ
    せ、音像定位信号を出力する音像定位装置において、 クロストーク打ち消し信号を生成し、上記生成したクロ
    ストーク打ち消し信号を用いてクロストークキャンセル
    処理を行うクロストークキャンセル手段と、 上記クロストークキャンセル手段においてクロストーク
    キャンセル処理がされた信号に対して、仮想的な音源位
    置の方向を定位する方向定位手段とを備えたことを特徴
    とする音像定位装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の音像定位装置におい
    て、 上記クロストークキャンセル手段は、第1、および第2
    のクロストーク打ち消し信号生成フィルタと、第1、お
    よび第2の加算器とを備え、 第1の加算器において、第1の音響信号と第2のクロス
    トーク打ち消し信号生成フィルタが生成する信号とを加
    算処理し、第2の加算器において、第2の音響信号と第
    1のクロストーク打ち消し信号生成フィルタが生成する
    信号とを加算処理するものであり、 上記方向定位手段は、第1、および第2のメインパスフ
    ィルタと、第1、および第2のクロストークパスフィル
    タと、第1、および第2の加算器とを備え、 上記第1の加算器において、第1のメインパスフィルタ
    において処理した信号と、第2のクロストークパスフィ
    ルタにおいて処理した信号とを加算処理し、上記第2の
    加算器において、第2のメインパスフィルタにおいて処
    理した信号と、第1のクロストークパスフィルタにおい
    て処理した信号とを加算処理するものであることを特徴
    とする音像定位装置。
  3. 【請求項3】 音響信号を入力し、上記入力した音響信
    号に対しての信号処理を行い、仮想的な音像を定位さ
    せ、音像定位信号を出力する音像定位装置において、 くし型フィルタを用いることによりクロストーク打ち消
    し信号を生成し、上記生成したクロストーク打ち消し信
    号を用いてクロストークキャンセル処理を行うクロスト
    ークキャンセル手段と、 仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段とを備
    えたことを特徴とする音像定位装置。
  4. 【請求項4】 音響信号を入力し、上記入力した音響信
    号に対しての信号処理を行い、仮想的な音像を定位さ
    せ、音像定位信号を出力する音像定位装置において、 ある時刻に生成した上記クロストーク打ち消し信号を保
    持し、上記保持した信号を遅延して生成する複数の信号
    を保持し、上記保持した複数の信号のうち特定のものに
    対して所定の係数を乗じることによって得られる信号を
    用いて、上記ある時刻に後続する時刻におけるクロスト
    ーク打ち消し信号を生成し、上記生成したクロストーク
    打ち消し信号を用いてクロストークキャンセル処理を行
    うクロストークキャンセル手段と、 仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段とを備
    えたことを特徴とする音像定位装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4のいずれかに記載の音
    像定位装置において、 上記クロストークキャンセル手段に対する入力信号、ま
    たは出力信号を処理する低域通過フィルタをさらに備え
    たものであることを特徴とする音像定位装置。
  6. 【請求項6】 音響信号を入力し、上記入力した音響信
    号に対しての信号処理を行い、仮想的な音像を定位さ
    せ、音像定位信号を出力する音像定位装置において、 クロストーク打ち消し信号を生成するクロストーク打ち
    消し信号生成フィルタと、上記クロストーク打ち消しフ
    ィルタにより生成されたクロストーク打ち消し信号を、
    当該クロストーク打ち消し信号生成フィルタの入力側に
    出力してクロストークキャンセル処理に用いるか、また
    は出力側に出力してクロストークキャンセル処理に用い
    るかを切り替える切り替えスイッチとを備えたクロスト
    ークキャンセル手段と、 仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段とを備
    えたことを特徴とする音像定位装置。
  7. 【請求項7】 音響信号を入力し、上記入力した音響信
    号に対しての信号処理を行い、仮想的な音像を定位さ
    せ、音像定位信号を出力する音像定位装置において、 上記クロストーク打ち消し信号を生成するクロストーク
    打ち消し信号生成フィルタと、上記クロストーク打ち消
    し信号生成フィルタに対する入力信号、または出力信号
    を処理する、遅延時間が可変である遅延手段とを備えた
    クロストークキャンセル手段と、 仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段とを備
    えたことを特徴とする音像定位装置。
  8. 【請求項8】 第1の方向に定位すべき入力音響信号
    と、第2の方向に定位すべき入力音響信号とを入力し得
    るものであって、上記入力した音響信号に対しての信号
    処理を行い、仮想的な音像を定位させ、音像定位信号を
    出力する音像定位装置において、 第1、および第2のフィルタを備えるものであり、上記
    第1のフィルタをクロストーク打ち消し信号生成フィル
    タとして用いる第1のモードと、上記第1のフィルタを
    上記第2の方向の定位のためのフィルタとして用いると
    ともに、上記第2のフィルタをクロストーク打ち消し信
    号生成フィルタとして用いる第2のモードとを切り替え
    る切り替えスイッチを備えたクロストークキャンセル手
    段と、 仮想的な音源位置の方向を定位する方向定位手段とを備
    えたものであることを特徴とする音像定位装置。
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