JPWO2006006412A1 - 疲労き裂成長曲線の推定法、推定プログラムおよび推定装置 - Google Patents

疲労き裂成長曲線の推定法、推定プログラムおよび推定装置 Download PDF

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Abstract

ゼロの大きさのき裂から連続的にき裂が成長していく現実的な現象に従って、金属の疲労寿命とき裂成長の詳細な様子を厳密に推定することが可能な疲労き裂成長曲線の推定法、推定プログラムおよび推定装置を提供する。本発明の疲労き裂成長曲線の推定装置1は、第1の演算手段11、第2の演算手段12、 第3の演算手段13、第4の演算手段14、第5の演算手段15により、き裂成長に寄与しない荷重対については計算を省きながら、最初の結晶粒内から発生・成長するき裂の成長の詳細な様子を厳密に推定する。

Description

本発明は、多結晶体である鋼構造物中の応力集中箇所での疲労き裂の発生・成長曲線を、定量的に推定するための疲労き裂発生・成長曲線の推定法、推定プログラムおよび推定装置に関する。
工業技術の発展とともに、高能率・高性能化、低コスト化および安全性への要求が一段と強くなり、鋼構造物の使用環境は過酷化し続けている。このため、高性能化、経済性と安全性の相反する立場から合理的に設計することが、設計技術者には求められている。
しかし、安全に設計したはずの構造物が、意外に早く破損にいたる事例がしばしば報告されている。鋼構造物の場合、材料性能が飛躍的に向上した結果、最近では、その破損事例の80%以上は、直接または間接的に「疲労」に起因していると言われている。
疲労設計は、一定荷重振幅下における試験片での破断(き裂発生)寿命を、単に応力振幅の関数として数式化したS−N曲線をベースとして、実際の物理現象を考慮せずに、構造物が受ける累積応力頻度分布に対してある疲労被害度以下にすることにのみ着目して行われている。S−N曲線を用いた疲労設計は、実機のフィードバックという経験則によりある程度有効であるが、き裂の大きさの情報などは得られず、また、新しい構造様式において無力となる場合が多々生じる。
一方、損傷解析では、初期き裂を仮定して破壊力学を用いたき裂伝播寿命推定がなされることが多い。この場合、用いる初期き裂は損傷とつじつまが合うように適当に調整され、疲労設計はあたかも機能しているかのごとく振る舞う。ところが、現状は増厚などによる作用応力減少で個々に対策を施しているだけで、全く対処療法しか採用できず、き裂の発生と進展を同一の土俵で論じることが可能な疲労設計法の確立が要請されている。
本発明者は、S−N曲線を用いる疲労設計は健全部からいきなりある大きさのき裂が生じると仮想し、安定破壊の範疇に属する疲労現象を不安定破壊的に取り扱っている、という矛盾をこれまでに指摘している。さらに、長年の研究の結果、き裂発生と進展を一つのパラメータで評価できることを世界に先駆けて見いだし、このパラメータにより、ゼロの大きさのき裂から連続的なき裂成長曲線が推定できるという理論を展開している。
また、本発明者はこれまでに、負荷過程で引張塑性域、除荷過程で圧縮塑性域が生じ、この両者の重なった領域寸法が、き裂伝播速度を律しているとの単純な仮定のもとに、一定振幅荷重の繰返しが作用する場合を想定し、非特許文献1に記載のとおり、最初の結晶粒内を伝播するき裂の疲労寿命予測を行っている。
豊貞雅宏、丹羽敏男著,「鋼構造物の疲労寿命予測」,共立出版,2001年12月25日,p.182−186
上記非特許文献1に記載の方法によって、本発明者は、ゼロの大きさのき裂から連続的なき裂成長曲線の推定を行うことを可能としている。しかし、上記非特許文献1に記載の方法は、初期の疲労被害蓄積領域先端位置の算定において以下の問題を抱えている。
長いき裂における負荷過程において、引張塑性域が成長する区間の荷重振幅に対応する応力拡大係数範囲ΔKRPと疲労被害蓄積領域の関係が、最初の結晶粒界にき裂が達した時点でもそのまま成立すると仮定し、最初の結晶粒界に達した時点のΔKRPより疲労被害蓄積領域先端位置を演算している。
しかし、き裂の初期段階は剪断型き裂であり、引張応力もき裂面に働くのに対して、長いき裂では引張応力はき裂面に働かないので、前述した仮定は必ずしも成立しない。さらに、き裂の初期段階は剪断き裂であり引張応力もき裂面で受け持つが、その現象を全く無視している。
つまり、疲労き裂成長曲線の推定には閉口型の剪断き裂を想定しているにもかかわらず、疲労き裂曲線の推定に必要なパラメータ算出段階では、開口型のき裂を想定している。
また、上記非特許文献1に記載の方法によって、最初の結晶粒内のき裂成長分を含んだ疲労き裂成長曲線の推定が可能となるが、上記のような仮定を含んでいたため、最初の結晶粒内におけるき裂は安全側という観点により初めから開口型き裂となっており、最初の結晶粒内を進むき裂が剪断型き裂から開口型き裂に変化する遷移現象の詳細な様子については分からない。
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑みて、ゼロの大きさのき裂、つまりはき裂が全く存在しない状態から健全部において連続的にき裂が成長していく現実的な現象に従って、金属の疲労寿命とき裂発生・成長の詳細な様子を厳密に推定することが可能な疲労き裂成長曲線の推定法、推定プログラムおよび推定装置を提供することを目的とする。
本発明の疲労き裂成長曲線の推定法は、実構造中におけるき裂長さと、残留応力による内力および外力による応力拡大係数との関係を一次元き裂に再現するそれぞれの等価分布応力を用いて、健全部からの疲労き裂成長曲線を推定する疲労き裂成長曲線の推定法であって、応力集中部に繰返し負荷がかかるときの最大荷重時における引張塑性域先端位置および引張残留変形層厚さを演算する第1のステップ、繰返し負荷の最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、圧縮塑性域先端位置を引張残留変形層厚さより演算する第2のステップ、引張塑性域先端位置および圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加える第3のステップ、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、結晶粒内において、繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、結晶粒外において、塑性ひずみ増分を演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、塑性ひずみ増分を演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、結晶粒内において、累積塑性ひずみが応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、き裂が開口型に遷移したと判断し、結晶粒外において、累積塑性ひずみを用いて、き裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算する第4のステップ、次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し、第1のステップに戻る第5のステップを含む。
ここで、き裂前方に形成される疲労被害蓄積領域とは、引張塑性域先端位置より求まる引張塑性域と圧縮塑性域先端位置より求まる圧縮塑性域とが重なった領域のことを示す。また、き裂増分の領域とは、き裂増分だけき裂が進展する領域のことを示す。
本発明によれば、繰返し塑性域である疲労被害蓄積領域寸法がき裂の成長速度を律していると仮定していることにより、き裂が全く存在しない健全部から連続的にき裂が成長していく現実的な現象に従って、金属の疲労寿命とき裂発生・成長の詳細な様子を厳密に推定することができる。
荷重変化の小さい荷重振幅下で得られている疲労き裂伝播の下限界ΔKthなどの閾値は、ランダム荷重下で一定に保たれるという保証がないにもかかわらず他に方法がないため、どのような荷重変動下でも一定に保たれるとの願望を込めた取り扱いが一般的になされているが、本発明によれば、疲労被害蓄積領域寸法がき裂の成長速度を律していると仮定し、疲労被害蓄積領域寸法を用いることによって、疲労被害蓄積領域が生じなければ、つまり塑性変形が進行しなければき裂は進展しないという物理的に自明の取り扱いができる。
切欠底における最初の結晶粒内においては、初期には圧縮応力だけでなく引張応力も受け持つ剪断型き裂となっているが、剪断型き裂が最初の結晶粒界を越えた後には、最初の結晶粒内でのすべり線とは傾いた方向で転位が移動することになり、繰返し荷重による最初の結晶粒内のすべりに垂直な方向の塑性ひずみが蓄積され、この蓄積された累積塑性ひずみが材料固有の延性限界に達した位置は引張応力を受け持たない開口型き裂に遷移すると取り扱うことで、徐々に剪断型き裂から開口型き裂に遷移するという実際の挙動を再現することができる。なお、累積塑性ひずみの代わりに、マンソン−コフィン(Manson−Coffin)則を用いたマイナー(Miner)則により開口型き裂に遷移するとしてもよく、この取り扱いにおいても、徐々に剪断型き裂から開口型き裂に遷移するという実際の挙動を再現できる。
荷重レベルによりき裂前方に生じている引張残留変形層厚さが異なり、き裂が入る荷重レベルで取り込まれる引張残留変形層厚さも異なるので、最小荷重時のき裂開口変位とき裂閉口域が生じないため接触応力が働かない場合のき裂開口変位との差に対して累積塑性ひずみの関数として決まる割合を乗じたものが最小荷重時のき裂開口変位より小さくまたは大きくなるとして取り扱うことによって、実験で得られる再引張塑性域形成荷重と同じ荷重が解析的に与えられる。
転位が進行する領域を最初の最大荷重時に求める必要があり、繰返し荷重下の降伏点をもとに引張降伏領域を求めている。しかし、実際は転位が移動を開始するのは比例限である。しかし、比例限を精度良く求めるのはかなり難しいので、本発明は、繰返し荷重下の降伏点を比例限に代用し、加工硬化で静的降伏点までき裂進展とともに降伏応力が増大していくモデルとなっている。このことにより、一定荷重振幅下で剪断的にき裂が進んでいく初期の状態で、2サイクル目以後でも塑性の成長が起こることを保証していると同時に、疲労限直下で何サイクルも受けてき裂停留が生じている状態で、疲労限より少し大きな荷重振幅が与えられた場合に、き裂が成長せずに見かけの疲労限の上昇が起こるといういわゆるコーキシング効果が、本発明により実現される。
本発明の疲労き裂成長曲線の推定法は、実構造中におけるき裂長さと、残留応力による内力および外力による応力拡大係数との関係を一次元き裂に再現するそれぞれの等価分布応力を用いて、健全部からの疲労き裂成長曲線を推定する疲労き裂成長曲線の推定法であって、き裂長さの初期値を‘0’、剪断型き裂と開口型き裂とを‘1’または‘0’で表現するき裂判断係数の初期値を‘1’と設定した後、応力集中部に繰返し負荷がかかるとき、最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから演算された引張塑性域先端位置から最大荷重時の引張残留変形層厚さを演算する第1のステップ、繰返し負荷の最小荷重と単位外荷重が作用した場合のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力ならびに最大荷重時の引張残留変形層厚さとから最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、最大荷重時の引張残留変形層厚さと最小荷重時の引張残留変形層厚さ分布とから最小荷重時における圧縮塑性域先端位置を演算し、最小荷重時の引張残留変形層厚さと繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さを演算する第2のステップ、引張塑性域先端位置および圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加える第3のステップ、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、結晶粒内において、繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、結晶粒外において、塑性ひずみ増分を引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、塑性ひずみ増分を引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、結晶粒内において、累積塑性ひずみが応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂と遷移したと判断し、き裂判断係数を‘0’とし、結晶粒外において、累積塑性ひずみと繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とからき裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算する第4のステップ、次の最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と塑性拘束係数とから次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し、第1のステップに戻る第5のステップを含む。
本発明によれば、最大荷重と最小荷重の対によって生じる繰返し塑性域である疲労被害蓄積領域寸法をもとに疲労き裂の成長を演算することができ、き裂が全く存在しない状態から連続的にき裂が成長していく現実的な現象に従って、き裂部に負荷される荷重履歴を考慮し、金属の疲労寿命とき裂発生・成長の詳細な様子を厳密に推定することができる。
また、本発明の疲労き裂成長曲線の推定プログラムは、き裂長さの初期値を‘0’、剪断型き裂と開口型き裂とを‘1’または‘0’で表現するき裂判断係数の初期値を‘1’と設定して記憶手段に記憶するコンピュータに、応力集中部に繰返し負荷がかかるとき、最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから演算された引張塑性域先端位置から最大荷重時の引張残留変形層厚さを演算し、引張塑性域先端位置と引張残留変形層厚さとを記憶手段に記憶する第1のステップ、繰返し負荷の最小荷重と単位外荷重が作用した場合のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力ならびに記憶手段から読み出した最大荷重時の引張残留変形層厚さとから最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、記憶手段から読み出した最大荷重時の引張残留変形層厚さと最小荷重時の引張残留変形層厚さ分布とから最小荷重時における圧縮塑性域先端位置を演算し、最小荷重時の引張残留変形層厚さと繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さを演算し、引張残留変形層厚さと圧縮塑性域先端位置とを記憶手段に記憶する第2のステップ、記憶手段から読み出した引張塑性域先端位置および圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加え、記憶手段に記憶する第3のステップ、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、結晶粒内において、繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、結晶粒外において、塑性ひずみ増分を記憶手段から読み出した引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算して記憶手段に記憶し、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、塑性ひずみ増分を記憶手段から読み出した引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し記憶手段に記憶し、結晶粒内において、累積塑性ひずみが応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂と遷移したと判断し、き裂判断係数を‘0’とし記憶手段に記憶し、結晶粒外において、累積塑性ひずみと繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とからき裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算し、記憶手段に記憶する第4のステップ、次の最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と塑性拘束係数ならびに記憶手段から読み出したき裂判断係数とから次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し記憶手段に記憶し、第1のステップに戻る第5のステップを実行させるためのものである。本発明の疲労き裂成長曲線の推定プログラムの実行により、上記本発明の疲労き裂成長曲線の推定方法を実施できる。
また、本発明の疲労き裂成長曲線の推定装置は、き裂長さの初期値を‘0’、剪断型き裂と開口型き裂とを‘1’または‘0’で表現するき裂判断係数の初期値を‘1’と設定して記憶する記憶手段と、応力集中部に繰返し負荷がかかるとき、最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから演算された引張塑性域先端位置から最大荷重時の引張残留変形層厚さを演算し、引張塑性域先端位置と引張残留変形層厚さとを記憶手段に記憶する第1の演算手段と、繰返し負荷の最小荷重と単位外荷重が作用した場合のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力ならびに記憶手段から読み出した最大荷重時の引張残留変形層厚さとから最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、記憶手段から読み出した最大荷重時の引張残留変形層厚さと最小荷重時の引張残留変形層厚さ分布とから最小荷重時における圧縮塑性域先端位置を演算し、最小荷重時の引張残留変形層厚さと繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さを演算し、引張残留変形層厚さと圧縮塑性域先端位置とを記憶手段に記憶する第2の演算手段と、記憶手段から読み出した引張塑性域先端位置および圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加え、記憶手段に記憶する第3の演算手段と、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、結晶粒内において、繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、結晶粒外において、塑性ひずみ増分を記憶手段から読み出した引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算して記憶手段に記憶し、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、塑性ひずみ増分を記憶手段から読み出した引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し記憶手段に記憶し、結晶粒内において、累積塑性ひずみが応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂と遷移したと判断し、き裂判断係数を‘0’とし記憶手段に記憶し、結晶粒外において、累積塑性ひずみと繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とからき裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算し、記憶手段に記憶する第4の演算手段と、次の最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力とx軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と塑性拘束係数ならびに記憶手段から読み出したき裂判断係数とから次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し記憶手段に記憶し、第1の演算手段に戻る第5の演算手段とを有するものである。本発明の疲労き裂成長曲線の推定装置によれば、上記本発明の疲労き裂成長曲線の推定方法を実施できる。
また、本発明の疲労き裂成長曲線の推定法は、応力集中部に繰返し一定振幅負荷が連続してかかるときは、第3のステップは、疲労被害蓄積領域寸法を演算し、疲労被害蓄積領域寸法から一度に進め得るき裂増分を与え、き裂伝播式よりき裂増分に必要なサイクル数を演算し、第4のステップは、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、塑性ひずみ増分を‘0’とし、結晶粒外において、塑性ひずみ増分を引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分にサイクル数を乗じたものを加えて累積塑性ひずみを演算し、健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、塑性ひずみ増分を引張残留変形層厚さの変化より演算し、塑性ひずみ増分にサイクル数を乗じたものを加えて累積塑性ひずみを演算し、結晶粒内において、累積塑性ひずみが応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂と遷移したと判断し、き裂判断係数を‘0’とし、結晶粒外において、累積塑性ひずみと繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とからき裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算することが望ましい。
本発明によれば、一定振幅荷重がしばらく続く場合は、計算で一度に進め得るき裂増分の上限は疲労被害蓄積領域寸法の5%であることを考慮して、一度にき裂を成長させることができる。
さらに、本発明の疲労き裂成長曲線の推定法には、き裂成長に寄与する最大荷重と最小荷重の荷重対のみを抽出する荷重抽出ステップを含むことが望ましい。荷重抽出ステップによって、き裂成長に寄与しない荷重対については、き裂成長に関する計算を省くことが可能となる。
本発明の疲労き裂成長曲線の推定法における荷重抽出ステップには、き裂成長に寄与する最大荷重と最小荷重の荷重対を、応力集中部に繰返し負荷が連続してかかるときの除荷過程において最大荷重時の引張残留変形層厚さ分布、単位荷重が作用した場合のx軸上に働く垂直等価分布応力、静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力、x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力、繰返し荷重下における降伏点、および塑性拘束係数から演算される再圧縮塑性域形成荷重と、応力集中部に繰返し負荷が連続してかかるときの負荷過程において最小荷重時における引張残留変形層厚さ分布、単位外荷重が作用した場合のx軸上に働く垂直等価分布応力、静的荷重によって生じるx軸上の垂直等価分布応力、x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力、繰返し荷重下における降伏点、および塑性拘束係数から演算される再引張塑性域形成荷重とを閾値として抽出することが望ましい。
除荷過程で最大荷重から再圧縮塑性域形成荷重の間の荷重範囲内、および負荷過程で最小荷重から再引張塑性域形成荷重の間の荷重範囲内では、弾性変形しかせず塑性領域が生じないので、再圧縮塑性域形成荷重と再引張塑性域形成荷重を閾値としたことにより、直接き裂進展に寄与する荷重変動を抜き出すことができ、間接的なレインフロー法や、レンジペアー法などの波形計数法よりも明らかに優れた荷重計数法となっている。
(1)本発明によれば、繰返し塑性域である疲労被害蓄積領域寸法がき裂の成長速度を律していると仮定していることにより、き裂が全く存在しない健全部から連続的にき裂が成長していく現実的な現象に従って、金属の疲労寿命とき裂発生・成長の詳細な様子を厳密に推定することができる。
(2)本発明によれば、疲労被害蓄積領域寸法がき裂の成長速度を律していると仮定し、疲労被害蓄積領域を用いることによって、疲労被害蓄積領域が生じなければ、つまり塑性変形が進行しなければき裂は進展しないという物理的に自明の取り扱いができる。
(3)本発明によれば、切欠底における最初の結晶粒内においては、初期には圧縮応力だけでなく引張応力も受け持つ剪断型き裂となっているが、剪断型き裂が最初の結晶粒界を越えた後には、最初の結晶粒内でのすべり線とは傾いた方向で転位が移動することになり、繰返し荷重による最初の結晶粒内のすべりに垂直な方向の塑性ひずみが蓄積され、この蓄積された累積塑性ひずみが材料固有の延性限界に達した位置は引張応力を受け持たない開口型き裂に遷移すると取り扱うことで、徐々に剪断型き裂から開口型き裂に遷移するという実際の挙動を再現することができる。
(4)本発明によれば、荷重レベルによりき裂前方に生じている引張残留変形層厚さが異なり、き裂が入る荷重レベルで取り込まれる引張残留変形層厚さも異なるので、最小荷重時のき裂開口変位とき裂閉口域が生じないため接触応力が働かない場合のき裂開口変位との差に対して累積塑性ひずみの関数として決まる割合を乗じたものが最小荷重時のき裂開口変位より小さくまたは大きくなるとして取り扱うことによって、実験で得られる再引張塑性域形成荷重と同じ荷重が解析的に与えられる。
(5)本発明によれば、一定荷重振幅下で剪断的にき裂が進んでいく初期の状態で、2サイクル目以後でも塑性の成長が起こることを保証していると同時に、疲労限直下で何サイクルも受けてき裂停留が生じている状態で、疲労限より少し大きな荷重振幅が与えられた場合に、き裂が成長せずに見かけの疲労限の上昇が起こるといういわゆるコーキシング効果が実現される。
(6)一定振幅荷重がしばらく続く場合は、計算で一度に進め得るき裂増分の上限は5%であることを考慮して、一度にき裂を成長させることができる。
(7)本発明によれば、除荷過程で最大荷重から再圧縮塑性域形成荷重の間の荷重範囲内、および負荷過程で最小荷重から再引張塑性域形成荷重の間の荷重範囲内では、弾性変形しかせず塑性領域が生じないので、再圧縮塑性域形成荷重と再引張塑性域形成荷重を閾値としたことにより、直接き裂進展に寄与する荷重変動を抜き出すことができる。
本発明の実施の形態1における疲労き裂成長曲線の推定装置を示す図である。 本発明の実施の形態1における疲労き裂成長曲線の推定装置の機能ブロック図である。 本発明の実施の形態1における疲労き裂成長曲線の推定装置の処理の詳細を示す図である。 切欠底から引張塑性域先端位置までをn分割した図である。 圧縮塑性域先端位置を決定する方法を示す図である。 荷重サイクルの一部を示す図である。 最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルにおける繰返し塑性域内での応力−ひずみ履歴を示す図である。 切欠きもしくはき裂先端位置で生じる塑性ひずみ増分を説明する図である。 最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルにおける繰返し塑性域内での応力−ひずみ履歴を示す図である。 一定振幅荷重下で一度にき裂を進展させた場合の累積塑性ひずみの取り扱い説明図である。 Δc間での圧縮塑性域寸法変化の線形仮定を示す図である。 Δc間での圧縮塑性ひずみ変化の線形仮定を示す図である。 き裂進展時に解放される塑性収縮を示す図である。 き裂成長に寄与する荷重対のみを抽出する構成を示す図である。
符号の説明
1 疲労き裂成長曲線の推定装置
2 入力手段
3 記憶手段
4 出力手段
10 中央処理演算手段
11 第1の演算手段
12 第2の演算手段
13 第3の演算手段
14 第4の演算手段
15 第5の演算手段
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における疲労き裂成長曲線の推定装置である。
疲労き裂成長曲線の推定装置1は、入力手段2と、記憶手段3と、出力手段4と、中央処理演算手段10とを備える。入力手段2は、例えばキーボードやポインティングデバイスなどによって、演算に必要なパラメータの初期値を入力するものである。また、入力手段2は、演算に必要なパラメータの初期値を入力したファイルを読み込むことにより入力する構成とすることもできる。中央処理演算手段10はコンピュータの中央処理装置などによって演算を行うものである。
記憶手段3は、例えばハードディスクやコンピュータのメモリなどに中央処理演算手段10によって演算されたパラメータの値を一時的に記憶しておくものである。出力手段4は中央処理演算手段10によって演算されたパラメータの値を記録媒体に出力するものである。出力手段4は、例えば、フレキシブルディスクやハードディスク、CD−ROMなどの記録媒体に電子データを記録する。また、出力手段4は、紙やシートなどの記録媒体にも画像形成装置などにより出力する構成とすることもできる。
図2は図1の中央処理演算手段10の機能ブロック図である。
図2に示すように、中央処理演算手段10は、第1の演算手段11、第2の演算手段12、第3の演算手段13、第4の演算手段14および第5の演算手段15を有する。
以下、上記各手段11〜15の詳細について説明する。
第1の演算手段11では、最大荷重時における引張塑性域先端位置を演算し、引張塑性域先端位置から最大荷重時の引張残留変形層厚さを演算し、引張塑性域先端位置と最大荷重時の引張残留変形層厚さとを記憶手段3に記憶する。
第2の演算手段12では、記憶手段3から読み出した最大荷重時の引張残留変形層厚さから最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、最大荷重時と最小荷重時の引張残留変形層厚さ分布から最小荷重時の圧縮塑性域先端位置を演算し、その時点での降伏点から圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さを演算し、引張残留変形層厚さと圧縮塑性域先端位置を記憶手段3に記憶する。
第3の演算手段13では、記憶手段3から読み出した引張塑性域先端位置と圧縮塑性域先端位置とからき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加え、き裂長さを記憶手段3に記憶する。
第4の演算手段14では、記憶手段3より読み出した健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、この結晶粒内において、塑性ひずみ増分を‘0’とする。また、結晶粒外において、記憶手段3より読み出した引張残留変形層厚さの変化より塑性ひずみ増分を演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算して記憶手段3に記憶する。さらに、記憶手段3より読み出した健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、記憶手段3より読み出した引張残留変形層厚さの変化より塑性ひずみ増分を演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算して記憶手段3に記憶する。そして、健全部から最初の結晶粒内において、記憶手段3より読み出した累積塑性ひずみが材料固有の延性限界に達していれば、その位置におけるき裂判断係数を‘0’とし記憶手段3に記憶する。また、結晶粒外において、累積塑性ひずみよりき裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算し、記憶手段3に記憶する。
第5の演算手段15では、き裂判断係数および等価応力分布より次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し、記憶手段3に記憶した後、第1の演算手段11に戻る。
図3は図1の中央処理演算手段10の処理の詳細を示すフロー図である。本発明の実施の形態1に係る疲労き裂成長曲線の推定法について図3に基づいて説明する。
本発明の実施の形態1に係る疲労き裂成長曲線の推定法では、初期き裂はゼロ、つまりき裂が全く存在しない状態からスタートする。そこで、初期設定として、き裂長さc=0とする。また、切欠底における最初の結晶粒(粒径=d)内においてき裂が発生してもそのき裂はいきなり開口型き裂とはならず剪断型き裂となる。そこで、引張応力を受け持つ剪断型き裂を“1”、引張応力を受け持たない開口型き裂を“0”で表現するき裂判断係数δ(xi)を用い、初期設定として、き裂判断係数δ(xi)=1とする(ステップS100)。ただし、δ(xi)はxi≦dにおいてのみ定義される。
なお、マンソン−コフィン則にしたがって、剪断型き裂から開口型き裂に変化すると仮定することもでき、この場合には、
Figure 2006006412
ただし、εf:破断延性,ΔεPi:iサイクル目の荷重対による塑性ひずみ増分
として、疲労被害度Dが“1”になったとき、剪断型き裂から開口型き裂に変化する、すなわちδ(xi)=0と変化するとした取り扱いをすることもできる。
まず、最大荷重時の引張塑性域先端位置と引張残留変形層厚さを演算する(ステップS101)。次に、最小荷重時の引張残留変形層厚さと圧縮塑性域先端位置と圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さとを演算する(ステップS102)。
さらに、き裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、この疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、き裂長さに加える(ステップS103)。次に、ステップS103で求めたき裂長さが最初の結晶粒径以上になったかどうかを判断する(ステップS104)。最初の結晶粒径以上になっていればステップS107に進み、なっていなければステップS105およびステップS106へと進む。
ここで、ステップS104において、き裂長さが最初の結晶粒径以上になったかどうかを判断する際、最初の結晶粒の粒径の1/2を閾値としてもよい。
最初の結晶粒の粒径の1/2を閾値とすることは、最初の結晶粒径の半分に当たる位置までき裂が進んだ後、き裂開口モードが徐々に現れ始めると仮定することを意味する。これは、3次元的に隙間なく配置された結晶粒が応力集中部である切欠底で切断される場合、切欠底に位置する結晶粒の境界と切欠底までの距離は平均的には粒径の1/2となり、2次元問題に理想化した計算では、粒径の1/2離れた位置までが降伏して初めて降伏現象が現れたとみなせるからである。
以下、き裂長さが最初の結晶粒の粒径以上になったかどうかの判断に最初の結晶粒の粒径の1/2を閾値として扱った場合について説明する。
ステップS105では、最初の結晶粒内において塑性ひずみ増分を‘0’と設定する。また、ステップS106では、最初の結晶粒外において塑性ひずみ増分を演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算する。ステップS105およびステップS106を終了した後はステップS111へと進む。
ステップS107では、塑性ひずみ増分を演算し、塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算する。次に、最初の結晶粒内においては、累積塑性ひずみが応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達したか否かを判断する(ステップS108)。累積塑性ひずみが材料固有の延性限界に達していれば、その位置のき裂は開口型き裂になったとして、き裂判断係数δ(xi)=0とし(ステップS109)、ステップS111へと進む。達していなければ、そのままステップS111へと進む。また、最初の結晶粒外においては、き裂増分領域で取り込まれる引張残留変形層厚さを演算し(ステップS110)ステップS111へと進む。
ステップS111では、次の最大荷重時における繰返し荷重下における降伏点を演算する。そしてステップS101へと進む。
次に、それぞれのステップにおける計算の詳細について説明する。ステップS100において初期設定を行った後、第1の演算手段11は、最大荷重時の引張塑性域先端位置と、引張残留変形層厚さとを演算する(ステップS101)。
いまxの位置の上下き裂面に一対の集中荷重pが働く場合の実構造中のき裂(き裂長:a)の応力拡大係数K値を、K=pg(x,a)で表す。残留応力による内力および外力による応力拡大係数との関係を一次元き裂に再現する等価分布応力下では、以下の式が成り立つ。
Figure 2006006412
ただし、最大荷重:Pmax、単位外荷重が作用した場合の垂直等価分布応力:S(x)、静的荷重によって生じる垂直等価分布応力:sm(x)、残留応力に対する等価分布応力:sR(x)、繰返し荷重下における降伏点:σCY、塑性拘束係数:λである。pg(x,a)は、無限板中の直線板厚貫通き裂(き裂全長:2a)のき裂中央から左右にxだけ等距離離れたき裂面に、単位双集中荷重が垂直に作用する場合の応力拡大係数K値であり、
Figure 2006006412
と与えられる。ここで、xは剪断き裂を主き裂面へ投影した切欠底からの距離である。等価分布応力を使用していることから、各大きさのき裂になった時点のき裂前方の弾性学的応力分布は、評価しようとしているき裂(例えば表面き裂の最深部)の前方におけるそれと同じであることが保証される。
過去における最大荷重をPbmax(最初は0)とする。現時点の最大荷重をPcmaxとする。後述する数式(28)による降伏点が静的降伏点以上と評価された場合、降伏点は静的降伏点となり、過去の引張塑性域先端を越えて引張塑性域が成長することになる。
図4に切欠底から引張塑性域先端位置までをn分割した図を示す。図4に示すように、0〜a間をn分割し、分点xiにおけるS(x)の値をSi、sm(x)とsR(x)の和で表されるsmR(x)の値をsmRi(i=0,n)とし、分点間のS(x)およびsmR(x)は線形に変化すると一次近似すると、数式(2)を数式(1)に代入することにより、
Figure 2006006412
と表される。数式(3)によって、引張塑性域先端位置aが求められる。このサイクルにおける引張塑性域先端位置ω+はaになる。
したがって、xjにおけるき裂開口変位V(xj)は、
Figure 2006006412
ここで、
Figure 2006006412
である。
数式(4),(5)で得られた(仮想)き裂開口変位V(xj)(この長さの棒がこのき裂のxjの位置に配置されており、引張降伏強さの弾性応力がこの棒の両端に働いていることになり、この弾性応力が解放された棒の長さが引張残留変形層厚さとなる)から、最大荷重時の引張残留変形層厚さL(xj)は、
Figure 2006006412
によって求められる。
第2の演算手段12は、最小荷重時の引張残留変形層厚さと圧縮塑性域先端位置と圧縮降伏した引張残留変形層厚さとを演算する(ステップS102)。
除荷過程におけるき裂開口変位は、
Figure 2006006412
また、引張残留変形層厚さに弾性応力σjが働いた場合のき裂開口変位は、
Figure 2006006412
で表現される。ここで、最小荷重時には数式(7),(8)が弾性状態にある位置で等値される。ただし、数式(7)中のPは最小荷重の値であり、数式(8)のL(xj)は有効な直前の最大荷重時の引張残留変形層厚さである。したがって、数式(7),(8)を等値して、σjに関しての式に整理し、ガウスザイエル法で収束計算することにより、最小荷重時の作用応力分布が求められる。この収束過程で、
Figure 2006006412
と置き換えればよい。得られた応力を数式(7)に代入することにより、最小荷重時のき裂開口変位が求められる。
図5に圧縮塑性域先端位置を決定する方法を示す。図5に示すように、最大荷重時の引張残留変形層厚さL(x)が圧縮降伏に相当する弾性収縮した場合の曲線と、最小荷重時のき裂開口変位V(x)との交点位置が、最小荷重時の圧縮塑性域先端位置ω-となる。
また、圧縮降伏した領域では、引張残留変形層厚さL(x)は、
Figure 2006006412
と置き換わる。
第3の演算手段13は、き裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、この疲労被害蓄積領域寸法からき裂増分を演算し、き裂長さに加える(ステップS103)。
引張塑性域先端位置ω+と圧縮塑性域先端位置ω-を比較して、小さい方をω’とし、
Figure 2006006412
により疲労被害蓄積領域
Figure 2006006412
を求める。
き裂増分Δcは、1サイクル毎に荷重振幅が変動する場合は、
Figure 2006006412
より、
Figure 2006006412
で与えられる。ただし、ΔN=1である。また、cbは直前のき裂長さ、ccは新しいき裂長さである。そして、新しいき裂長さcc=cb+Δcとなる。
ここで、一定振幅荷重がしばらく続く場合は、計算で一度に進め得るき裂増分の上限は疲労被害蓄積領域
Figure 2006006412
の5%であることを考慮して、
Figure 2006006412
によりサイクル数を求め、数式(11)によりき裂増分を求めることができる。ここで、
Figure 2006006412
となる。
第4の演算手段14は、まず、ステップS103で求めたき裂長さが最初の結晶粒の粒径の1/2より大きくなったかどうかを判断する(ステップS104)。
ここで、塑性ひずみ増分および累積塑性ひずみの求め方について説明する。
図6Aに荷重サイクルの一部を示す。図6Bに最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルにおける繰返し塑性域内での応力−ひずみ履歴を示す。また、図6Cに切欠きもしくはき裂先端位置で生じる塑性ひずみ増分を説明する図を示す。さらに、図7に荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルにおける繰返し塑性域内での応力−ひずみ履歴を示す。
図6Aに示すような変動荷重が作用した場合に、最小荷重Pmin1から次の最小荷重Pmin2直後までの1サイクルによって生じたき裂(あるいは切欠底)前方x1およびx2の位置(x1の方がき裂先端あるいは切欠底に近い位置とする:図6C参照)における塑性ひずみ増分を考える。Pmin1時に圧縮塑性域が形成されており、x1およびx2の位置はどちらもその塑性域内に位置していたとすると、図6Bの応力〜ひずみ線図上で1および9と示したところにそれぞれ位置する。
これより、負荷過程に入るが、Pmin1時にき裂閉口域が形成されていてもいなくても、全体が弾性状態(除荷弾性も含めて)となるので、図6Bに示すように線形的に‘1’→‘2’および‘9’→‘10’へと応力〜ひずみ線図上を移動する。そしてき裂(初期は切欠底)先端から引張塑性域が形成され、その塑性域が成長しだす荷重:再引張塑性域形成荷重PRPGから荷重の増加とともに大きくなる。そのため、き裂先端に近くなればなるほど、再引張塑性域形成荷重時は図6Bの応力〜ひずみ線図上では、塑性となる点の‘3’や‘11’へ近づくことになる。そして降伏してから、最大荷重Pmax2になるまでの応力〜ひずみ線図上の道程は、き裂先端に近づくほど長くなりx1の位置では‘4’、x2の位置では‘12’で最大荷重Pmax2に達する。
これより、除荷過程に入る。どの箇所も(除荷)弾性状態になるので、線形的に応力/ひずみは小さくなる。再圧縮塑性域形成荷重PRCPG荷重でき裂(初期は切欠底)先端から圧縮塑性域が成長しだす。さらに除荷すると、圧縮塑性域が成長してx1の位置では‘5’→‘6’→‘7’、x2の位置では‘13’→‘14’→‘15’の軌跡を画き、最小荷重Pmin2に到達する。ふたたび負荷過程にはいると、図6Bに示すように線形的に‘7’→‘8’、‘15’→‘16’と軌跡を画く。
ところで、1サイクルで受ける繰返し塑性エネルギーは、完全弾塑性体では塑性ひずみ増分と両振り弾性応力振幅の積で与えられる。図6Bでは、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルにおける繰返塑性域内での応力−ひずみ履歴について示しているが、この場合、図6Bに示すように塑性ひずみ増分としては、圧縮降伏に入ってから最小荷重にいたるひずみ増分が対応する。一方、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルでは図7に示すように、引張降伏してから最大荷重にいたるひずみ増分が対応する。
すなわち、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルでは、塑性ひずみとしては、x1の位置では図6Bの‘6’→‘7’、x2の位置では‘14’→‘15’の間のひずみ差を1サイクルにおける塑性ひずみ増分として定義すればよいことになる。この塑性ひずみ増分分布は図6Cに示すように、最小荷重時における圧縮塑性域内でのみ形成され、その先端で“0”となり、き裂先端に近づくほど大きくなる。そして、最小荷重時のき裂開口変位V(x)Pminをもとに、
Figure 2006006412
のように与えられる。ただし、L(x)は、最大荷重時Pmin2の引張残留変形層厚さである。
一方、最大荷重時の引張塑性域の方が最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルでは、塑性ひずみとしては、x1の位置では図7の‘3’→‘4’、x2の位置では‘11’→‘12’の間のひずみ差を1サイクルにおける塑性ひずみ増分として定義すればよいことになる。この塑性ひずみ増分分布は、最大荷重時における引張圧縮塑性域内でのみ形成され、その先端で“0”となり、き裂先端に近づくほど大きくなる。そして、最大荷重時のき裂開口変位V(x)Pmaxをもとに、
Figure 2006006412
のように与えられる。ただし、L(x)は、最大荷重時Pmin1の引張残留変形層厚さである。
従って、き裂長さccとなる時点までに蓄積された累積塑性ひずみ〔ΣΔεp(x)〕cは、
Figure 2006006412
のように与えられる。ただし、〔ΣΔεp(x)〕bは直前の計算サイクル後の累積塑性ひずみであり、Nはサイクル数(変動荷重下では“1”)である。
ここで、最初の結晶粒内において、一定振幅荷重がしばらく続く場合は、以下の方法で累積塑性ひずみを求める。計算で一度に進め得るき裂増分の上限は疲労被害蓄積領域
Figure 2006006412
の5%であることを考慮して、
Figure 2006006412
から、
Figure 2006006412
によりサイクル数を求め、数式(16)により累積塑性ひずみを求めることもできる。
ここで、最初の結晶粒外において、一定振幅荷重がしばらく続く場合について図8および図9を用いて説明する。図8は、一定振幅荷重下で一度にき裂を進展させた場合の累積塑性ひずみの取り扱い説明図を示す。また、図9A、図9Bは、それぞれΔc間での疲労被害蓄積領域寸法変化および塑性ひずみ変化の線形仮定を示す。
最初の結晶粒外においても、結晶粒内における計算と同様に、計算で一度に進め得るき裂増分の上限は疲労被害蓄積領域
Figure 2006006412
の5%であることを考慮する。この場合、現時点の
Figure 2006006412

Figure 2006006412
とし、進展後の
Figure 2006006412
を図8のように求めこれを
Figure 2006006412
とする。Δc間は図9Aに示すように
Figure 2006006412
は線形的に変化すると理想化する。すなわち、
Figure 2006006412
ここで、
Figure 2006006412
であるから、
Figure 2006006412
となる。したがって、図8でΔc進展するのにNサイクルかかったことになる。
ここで、直前の疲労被害蓄積領域での1サイクルにおける塑性ひずみ増分をΔεp1(x)、Δc進展した後の1サイクルにおける塑性ひずみ増分をΔεp2(x)とする。図9Bに示すように、Δεp1(x)からΔεp2(x)へサイクル数に対して線形に変化すると一次近似すると、図8において“き裂2”になった時点までにxの位置で受けた累積塑性ひずみΣΔεp2(x)は、
Figure 2006006412
となる。
第4の演算手段14は、ステップS104でき裂長さが最初の結晶粒の粒径の1/2より小さいと判断した場合、最初の結晶粒内において、塑性ひずみ増分を“0”とする(ステップS105)。また、最初の結晶粒外において、上述した方法により塑性ひずみ増分から累積塑性ひずみを演算する(ステップS106)。
また、第4の演算手段14は、ステップS104でき裂長さが最初の結晶粒の粒径の1/2以上になったと判断した場合は、上述した方法により塑性ひずみ増分から累積塑性ひずみを演算する(ステップS107)。
次に、最初の結晶粒内において、ステップS107で求めた累積塑性ひずみが材料固有の延性限界に達したかどうかを判断する(ステップS108)。累積塑性ひずみが材料固有の延性限界に達していれば、その位置は開口型き裂に遷移したと判断する。そこで、最初の結晶粒内の各位置において、き裂判断係数はδ(xi)=0となる(ステップS109)。
また、最初の結晶粒外において、累積塑性ひずみからき裂増分領域で取り込まれる引張残留変形層厚さを求める(ステップS110)。
繰返し塑性域にき裂が入る瞬間が、最小荷重付近か最大荷重付近かにより、き裂が閉口する荷重レベルが異なる。図10にはき裂が伝播しないで最小荷重に到達した場合のき裂開口変位V’と、き裂閉口域が形成されずにき裂がΔc進展した場合の最小荷重時のき裂開口変位V”を模式的に示してある。V’は、
Figure 2006006412
ただし、ζ(0)=0、ξ(k+1)=0、ζ(l+1)=0、ξ(n+1)=0で、他はζ(i)=ξ(i)=1
で表される数式(22)に、
Figure 2006006412
で表される数式(23)とを等値して、σj=という形に整理し、ガウスザイエル法を用いて、数式(9)の条件下で解き、得られたσjを数式(22)に代入することによって得られる。
一方、V”は、
Figure 2006006412
ただし、xl+1=c+Δc、ζ(0)=0、ξ(k)=0、ζ(l+1)=0、ξ(n+1)=0、他はζ(i)=ξ(i)=1
で表される数式(24)と、σiにはi=l+1に2重点が配置されていることを考慮して数式(23)とを等値して、σj=という形に整理し、ガウスザイエル法を用いて数式(9)の条件下で解き、得られたσjを数式(24)に代入することによって得られる。
したがって、図10より、δj=V’−V”となる。実際に実き裂に取り込まれる引張残留変形層厚さはV’+δjとV’−δjの間と考えられ、その割合は、き裂が生じるまでに受けたΣ累積塑性ひずみΔεp2(x)に比例すると考えられる。
したがって、新しい破面が生じる所の引張残留変形層厚さは、
Figure 2006006412
で求められ、ここで、kは
Figure 2006006412
と与えられる。ここでαは、塑性収縮係数であり材料定数である。
第5の演算手段15は、次の最大荷重時における繰返し荷重下における降伏点を演算する(ステップS111)。
最初の結晶粒内のき裂部で剪断型き裂と開口型き裂が混合する混合変位型から開口型に遷移した所は、き裂部は引張応力を受け持たなくなる。引張塑性域先端位置aが最大荷重時に過去の引張塑性域先端位置a’を越えて成長する場合、
Figure 2006006412
が成り立つ。ただし、σYは直前の最小荷重時の降伏点である。この場合、比例限から降伏点は加工硬化で上昇し、降伏点σYが静的降伏点σYSを超えないかぎり、過去の引張塑性域先端位置a’に引張塑性域先端位置aが保持されるので、
Figure 2006006412
となる。ただし、数式(28)で得られた降伏点σYが静的降伏点σYSより大きくなれば、これ以降の降伏点はσYSとなる。
また、数式(28)で得られた降伏点σYが直前の降伏点よりも小さくなれば、加工硬化は進行せず、直前の降伏点のままとなる。
ステップS111で次の繰返し荷重下における降伏点を求めた後、ステップS101へと戻るが、この際、数式(28)で得られた降伏点σYが静的降伏点σYSより大きい場合、数式(27)の降伏点σYに静的降伏点σYSを代入し、数式(27)で引張塑性域先端位置aを求め直す必要がある。
引張塑性域先端位置aが過去の引張塑性域先端位置a’を越えて遠方となる場合は、き裂開口変位Vは次のようにして求める。
Figure 2006006412
数式(29)によって、き裂開口変位Vが求められる。
したがって、き裂前方のc〜a間ならびにδ(i)=1の位置における引張残留変形層厚さaは、
Figure 2006006412
によって求められる。他の位置の引張残留変形層厚さは直前のものが保持される。また、引張塑性域先端位置ω+はaとなる。
また、数式(28)で得られた降伏点σYが直前の降伏点より小さい場合は引張塑性域先端位置aは過去の引張塑性域先端位置a’内に位置することになり、この場合も同様に、ステップS101へと戻る際、数式(22)を用いて最大荷重時の作用応力分布を求め、き裂開口変位を求める必要がある。
引張塑性域先端位置aが過去の引張塑性域先端位置a’内に位置する場合、数式(22)と数式(23)とを等値し、σj=という形に変形し、ガウスザイエル法を用い、
Figure 2006006412
Figure 2006006412
と収束過程で置き換えをする。
収束したσjが最大荷重時の作用応力分布となり、これを数式(22)に代入することにより、最大荷重時のき裂開口変位Vが求められる。
次に、本発明の疲労き裂成長曲線の推定法において、き裂成長に寄与する荷重対のみを抽出する構成について図11に基づいて説明する。図11はき裂成長に寄与する荷重対のみを抽出する構成を示す図である。
まず、ステップS101が終了した後、ステップS201において再圧縮塑性域形成荷重PRCPGを求める。
ここで、き裂先端位置が最初の結晶粒内にある場合は、再圧縮塑性域形成荷重PRCPGを以下の方法で求める。
再引張塑性域形成荷重時におけるき裂開口変位は数式(22)で与えられる。また、直前の最小荷重時に得られた残留引張変形層厚さを用いると、数式(23)が弾性域で成立する。数式(22)、(23)を等値し、σj=という形の式(j=k+1,n)と、P=という形の式(j=k)を作成し、き裂先端位置j=k+1について、σj=−λσCYとし、
Figure 2006006412
となるようにガウスザイエル法で解けば、得られたPが再圧縮塑性域形成荷重PRCPGとなる。
続く荷重対(Pmin,Pmax)が、PmaxとPRCPGの間に位置する場合(図11中A)には、これらの荷重対によるき裂の発生・成長は生じない。この荷重対は無効な荷重対、他の荷重対を有効な荷重対と呼ぶ。そして、最初にこの荷重間をはずれるのが最大荷重の場合、過去の最大荷重Pbmaxより大きい荷重ならば、ステップS101に戻り、仮想き裂先端位置aならびに引張塑性域先端ω+を求める。過去の最大荷重より小さい場合、数式(22)、(23)でガウスザイエル法式に定式化し、数式(31)、(32)の制限下で作用応力分布を求め、それを数式(22)に代入してき裂開口変位を求める。ここで、最初にPmaxとPRCPGの間からはずれるのが最小荷重の場合(図11中B)は先に進む。
続く荷重対(Pmin,Pmax)が、PmaxとPRCPGの間に位置する場合には、これらの荷重対によるき裂の発生・成長は生じない。この荷重対は無効な荷重対となる。そして、最初にこの荷重間をはずれるのが最大荷重の場合、過去の最大荷重Pbmaxより大きい荷重ならば(図11中A)、ステップS101に戻り、改めて仮想き裂先端位置aならびに引張塑性域先端ω+を求める。また、最初にこの荷重間をはずれるのが最小荷重の場合(図11中B)は先に進む。
さらに、ステップS102が終了した後、ステップS202において再引張塑性域形成荷重PRPGを求める。
ここで、き裂先端位置が最初の結晶粒内にある場合は、再引張塑性域形成荷重PRPGを以下の方法で求める。
再引張塑性域形成荷重時におけるき裂開口変位は数式(22)で与えられる。また、直前の最小荷重時に得られた残留引張変形層厚さを用いると、数式(23)が弾性域で成立する。再引張塑性域形成荷重時には、切欠底の結晶内は引張塑性域となり、最初の結晶粒界が引張弾塑性境界となることから、き裂先端位置j=k+1について、σj=λσCYとし、
Figure 2006006412
となるようにガウスザイエル法で解けば、得られたPが再引張塑性域形成荷重PRPGとなる。
続く荷重対(Pmin,Pmax)が、直前の最小荷重PminとPRPGの間に位置する場合には、これらの荷重対によるき裂の発生・成長は生じない。よって、これらの荷重対は無効な荷重対となる。そして、最初にこの荷重間をはずれるのが最小荷重の場合(図11中D)、数式(22)(ただし、Pは次の最小荷重)、数式(23)(ただし、
Figure 2006006412
は直前の最大荷重で生じた引張残留変形層厚さ)を等値して、数式(31)、(32)の条件下で最小荷重時のき裂開口変位を求め直す。この場合、cbなるき裂長さ、サイクル数もΔNだけ戻す必要がある。また、最初にこの荷重間をはずれるのが最大荷重の場合、最大荷重が過去の最大荷重Pbmaxより大きい場合は先に進む。過去の最大荷重より小さい場合(図11中C)にも同様に先に進むが、特別に以下の取り扱いをする。
最大荷重が過去の最大荷重より小さい場合には、数式(22)(ただし、Pは対象とする最大荷重)が成立し、数式(22)、数式(23)(ただし、
Figure 2006006412
は直前の最小荷重で生じた引張残留変形層厚さ)を等値し、数式(31)、(32)の条件下で解けば作用応力分布が求められる。得られたσ(xj)を数式(22)に代入することにより、最大荷重時のき裂開口変位V(x)が求められ、これより引張塑性域となった所は残留引張変形層厚さL(x)が数式(6)のように変化する。この場合、図5に示すように、最大荷重時の引張残留変形層厚さL(x)が圧縮降伏に相当する弾性収縮した場合の曲線と、最大荷重時のき裂開口変位V(x)との交点位置が、最大荷重時の引張塑性域先端位置ω+となる。
続く荷重対(Pmin,Pmax)が、PminとPRPGの間に位置する場合には、これらの荷重対によるき裂の成長は生じない。この荷重対は無効な荷重対となる。そして、最初にこの荷重間をはずれるのが最小荷重の場合(図11中D)、この荷重を用いて、ステップS102へと戻り、改めてき裂成長後の最小荷重時のき裂開口変位と引張残留変形層厚さを求める。また、最初にこの荷重間をはずれるのが最大荷重の場合(図11中C)は先に進む。
以上のような構成からなる本発明の疲労き裂成長曲線の推定法によれば、き裂が全く存在しない状態から連続的にき裂が成長していく現実的な現象に従って、1サイクルごとのき裂の形状とその成長の様子を推定することが可能となり、金属の疲労寿命とき裂成長の詳細な様子を厳密に推定することができる。
また、一定振幅荷重がしばらく続く場合は、計算で一度に進め得るき裂増分の上限は疲労被害蓄積領域
Figure 2006006412
の5%であることを考慮することにより、一定振幅荷重がしばらく続く場合のき裂を一度に成長させることができ、計算時間を省くことができる。
さらに、再引張塑性域形成荷重と再圧縮塑性域形成荷重を求め、これらの値を閾値としてき裂発生・成長に寄与する荷重対のみを抽出する構成により、き裂先端に引張塑性域や圧縮塑性域が生じない荷重はき裂を成長させない荷重として、き裂成長に関する計算を省くことができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1においては、分点間のS(x)およびsmR(x)が線形に変化すると一次近似したが、本発明の実施の形態2では、これらを二次近似して、疲労き裂成長曲線を推定する。
分点間のS(x)およびsmR(x)を次のように二次近似する。
Figure 2006006412
(smR(x)iについても同様)
そして、数式(2)を数式(1)に代入することにより、
Figure 2006006412
と表される。数式(3)’によって、引張塑性域先端位置aが求められる。このサイクルにおける引張塑性域先端位置ω+はaになる。
したがって、xjにおけるき裂開口変位V(xj)は、
Figure 2006006412
・・・(4)’
であり、この数式(4)’と(5)で得られた(仮想)き裂開口変位V(xj)から、実施の形態1と同様に最大荷重時の引張残留変形層厚さL(xj)は数式(6)を用いて求められる。
また、実施の形態1における数式(7)で表現される除荷過程におけるき裂開口変位は、実施の形態2では、
Figure 2006006412
・・・(7)’
で表現される。ここで、aσi,bσi,cσiは、S(x)およびsmR(x)と同様に、分点間の棒要素に働く応力を二次近似した場合の係数である。以下、実施の形態1における数式(7)を数式(7)’に置き換えて計算を進める。
なお、実施の形態2においては、図10において模式的に示されている、き裂が伝播しないで最小荷重に到達した場合のき裂開口変位V’と、き裂閉口域が形成されずにき裂がΔc進展した場合の最小荷重時のき裂開口変位V”とを求めるための数式(22)および数式(24)は、それぞれ
Figure 2006006412
・・・(22)’
および、
Figure 2006006412
・・・(24)’
に置き換えられる。
また、引張塑性域先端位置aが過去の引張塑性域先端位置a’を越えて遠方となる場合のき裂開口変位Vを求める数式(29)は、
Figure 2006006412
・・・(29)’
に置き換えられる。
以下、実施の形態1と同様にその後の計算を進めて、疲労き裂成長曲線を推定する。
以上のように、分点間のS(x)およびsmR(x)を二次近似することにより、一次近似した場合よりもさらに精度よく疲労き裂成長曲線を推定することができる。
本発明は、ゼロの大きさのき裂、つまりはき裂が全く存在しない状態から健全部において連続的にき裂が成長していく現実的な現象に従って、金属の疲労寿命とき裂発生・成長の詳細な様子を厳密に推定することが可能である。よって、新規構造物の疲労寿命を設計段階から定量的に予測し構造物の疲労事故防止に極めて高く貢献できるとともに、既存構造物の余寿命を的確に定量的に診断できるため、合理的な保守点検計画の策定およびこれまでの過剰な保守点検経費の大幅な削減が可能となるので、あらゆる機器設備や構造物(例えば、高速道路構造物、船舶、電力発電装置、橋梁、鉄塔、自動車、航空機、土木建設機械、製鉄機械等)の寿命推定に用いることができる。

Claims (7)

  1. 実構造中におけるき裂長さと、残留応力による内力および外力による応力拡大係数との関係を一次元き裂に再現するそれぞれの等価分布応力を用いて、健全部からの疲労き裂成長曲線を推定する疲労き裂成長曲線の推定法であって、
    応力集中部に繰返し負荷がかかるときの最大荷重時における引張塑性域先端位置および引張残留変形層厚さを演算する第1のステップ、
    前記繰返し負荷の最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、圧縮塑性域先端位置を該引張残留変形層厚さより演算する第2のステップ、
    前記引張塑性域先端位置および前記圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、該疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加える第3のステップ、
    健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、
    前記結晶粒内において、前記繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、
    前記結晶粒外において、前記塑性ひずみ増分を演算し、該塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、
    前記健全部からのき裂長さが前記切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、
    前記塑性ひずみ増分を演算し、該塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、
    前記結晶粒内において、前記累積塑性ひずみが前記応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、き裂が開口型に遷移したと判断し、
    前記結晶粒外において、前記累積塑性ひずみを用いて、前記き裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算する第4のステップ、
    次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し、第1のステップに戻る第5のステップ、
    を含む疲労き裂成長曲線の推定法。
  2. 実構造中におけるき裂長さと、残留応力による内力および外力による応力拡大係数との関係を一次元き裂に再現するそれぞれの等価分布応力を用いて、健全部からの疲労き裂成長曲線を推定する疲労き裂成長曲線の推定法であって、
    き裂長さの初期値を‘0’、剪断型き裂と開口型き裂とを‘1’または‘0’で表現するき裂判断係数の初期値を‘1’と設定した後、
    応力集中部に繰返し負荷がかかるとき、最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから演算された引張塑性域先端位置から最大荷重時の引張残留変形層厚さを演算する第1のステップ、
    前記繰返し負荷の最小荷重と単位外荷重が作用した場合の前記x軸上に働く垂直等価分布応力と前記静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力ならびに前記最大荷重時の引張残留変形層厚さとから最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、前記最大荷重時の引張残留変形層厚さと前記最小荷重時の引張残留変形層厚さ分布とから最小荷重時における圧縮塑性域先端位置を演算し、前記最小荷重時の引張残留変形層厚さと前記繰返し荷重下における降伏点と前記塑性拘束係数とから圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さを演算する第2のステップ、
    前記引張塑性域先端位置および前記圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、該疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加える第3のステップ、
    健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、
    前記結晶粒内において、前記繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、
    前記結晶粒外において、前記塑性ひずみ増分を前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、
    前記健全部からのき裂長さが前記切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、
    前記塑性ひずみ増分を前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し、
    前記結晶粒内において、前記累積塑性ひずみが前記応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂に遷移したと判断し、前記き裂判断係数を‘0’とし、
    前記結晶粒外において、前記累積塑性ひずみと前記繰返し荷重下における降伏点と前記塑性拘束係数とから前記き裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算する第4のステップ、
    次の最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と塑性拘束係数ならびに前記き裂判断係数とから前記次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し、第1のステップに戻る第5のステップ、
    を含む疲労き裂成長曲線の推定法。
  3. 請求項1または2に記載の疲労き裂成長曲線の推定法において、前記応力集中部に繰返し一定振幅負荷が連続してかかるときは、
    前記第3のステップは、前記疲労被害蓄積領域を演算し、該疲労被害蓄積領域から一度に進め得るき裂増分を与え、き裂伝播式より前記き裂増分に必要なサイクル数を演算し、
    前記第4のステップは、
    前記健全部からのき裂長さが前記切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、
    前記塑性ひずみ増分を‘0’とし、
    前記結晶粒外において、前記塑性ひずみ増分を前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分に前記サイクル数を乗じたものを加えて累積塑性ひずみを演算し、
    前記健全部からのき裂長さが前記切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、
    前記塑性ひずみ増分を前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分に前記サイクル数を乗じたものを加えて累積塑性ひずみを演算し、
    前記結晶粒内において、前記累積塑性ひずみが前記応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂と遷移したと判断し、前記き裂判断係数を‘0’とし、
    前記結晶粒外において、前記累積塑性ひずみと前記繰返し荷重下における降伏点と前記塑性拘束係数とから前記き裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算する
    ことを特徴とする疲労き裂成長曲線の推定法。
  4. き裂成長に寄与する最大荷重と最小荷重の荷重対のみを抽出する荷重抽出ステップを含む請求項1から3のいずれかに記載の疲労き裂成長曲線の推定法。
  5. 前記荷重抽出ステップは、前記き裂成長に寄与する最大荷重と最小荷重の荷重対を、
    前記応力集中部に繰返し負荷が連続してかかるときの除荷過程において最大荷重時の引張残留変形層厚さ分布、単位荷重が作用した場合の前記x軸上に働く垂直等価分布応力、静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力、前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力、繰返し荷重下における降伏点、および塑性拘束係数から演算される再圧縮塑性域形成荷重と、
    前記応力集中部に繰返し負荷が連続してかかるときの負荷過程において最小荷重時における引張残留変形層厚さ分布、前記単位外荷重が作用した場合の前記x軸上に働く垂直等価分布応力、静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力、前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力、前記繰返し荷重下における降伏点、および前記塑性拘束係数から演算される再引張塑性域形成荷重と
    を閾値として抽出することを特徴とする請求項4に記載の疲労き裂成長曲線の推定法。
  6. き裂長さの初期値を‘0’、剪断型き裂と開口型き裂とを‘1’または‘0’で表現するき裂判断係数の初期値を‘1’と設定して記憶手段に記憶するコンピュータに、
    応力集中部に繰返し負荷がかかるとき、最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから演算された引張塑性域先端位置から最大荷重時の引張残留変形層厚さを演算し、前記引張塑性域先端位置と引張残留変形層厚さとを記憶手段に記憶する第1のステップ、
    前記繰返し負荷の最小荷重と単位外荷重が作用した場合の前記x軸上に働く垂直等価分布応力と前記静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力ならびに前記記憶手段から読み出した前記最大荷重時の引張残留変形層厚さとから最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、前記記憶手段から読み出した前記最大荷重時の引張残留変形層厚さと前記最小荷重時の引張残留変形層厚さ分布とから最小荷重時における圧縮塑性域先端位置を演算し、前記最小荷重時の引張残留変形層厚さと前記繰返し荷重下における降伏点と前記塑性拘束係数とから圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さを演算し、前記引張残留変形層厚さと前記圧縮塑性域先端位置とを前記記憶手段に記憶する第2のステップ、
    前記記憶手段から読み出した前記引張塑性域先端位置および前記圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、該疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加え、前記記憶手段に記憶する第3のステップ、
    健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、
    前記結晶粒内において、前記繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、
    前記結晶粒外において、前記塑性ひずみ増分を前記記憶手段から読み出した前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算して前記記憶手段に記憶し、
    前記健全部からのき裂長さが前記切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、
    前記塑性ひずみ増分を前記記憶手段から読み出した前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し前記記憶手段に記憶し、
    前記結晶粒内において、前記累積塑性ひずみが前記応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂と遷移したと判断し、前記き裂判断係数を‘0’とし前記記憶手段に記憶し、
    前記結晶粒外において、前記累積塑性ひずみと前記繰返し荷重下における降伏点と前記塑性拘束係数とから前記き裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算し、前記記憶手段に記憶する第4のステップ、
    次の最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と塑性拘束係数ならびに前記記憶手段から読み出した前記き裂判断係数とから前記次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し前記記憶手段に記憶し、第1のステップに戻る第5のステップ、
    を実行させるための疲労き裂成長曲線の推定プログラム。
  7. き裂長さの初期値を‘0’、剪断型き裂と開口型き裂とを‘1’または‘0’で表現するき裂判断係数の初期値を‘1’と設定して記憶する記憶手段と、
    応力集中部に繰返し負荷がかかるとき、最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と繰返し荷重下における降伏点と塑性拘束係数とから演算された引張塑性域先端位置から最大荷重時の引張残留変形層厚さを演算し、前記引張塑性域先端位置と引張残留変形層厚さとを記憶手段に記憶する第1の演算手段と、
    前記繰返し負荷の最小荷重と単位外荷重が作用した場合の前記x軸上に働く垂直等価分布応力と前記静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力ならびに前記記憶手段から読み出した前記最大荷重時の引張残留変形層厚さとから最小荷重時における引張残留変形層厚さを演算し、前記記憶手段から読み出した前記最大荷重時の引張残留変形層厚さと前記最小荷重時の引張残留変形層厚さ分布とから最小荷重時における圧縮塑性域先端位置を演算し、前記最小荷重時の引張残留変形層厚さと前記繰返し荷重下における降伏点と前記塑性拘束係数とから圧縮降伏した領域の引張残留変形層厚さを演算し、前記引張残留変形層厚さと前記圧縮塑性域先端位置とを前記記憶手段に記憶する第2の演算手段と、
    前記記憶手段から読み出した前記引張塑性域先端位置および前記圧縮塑性域先端位置からき裂前方に形成される疲労被害蓄積領域を演算し、該疲労被害蓄積領域からき裂増分を演算し、このき裂増分をき裂長さに加え、前記記憶手段に記憶する第3の演算手段と、
    健全部からのき裂長さが切欠底における最初の結晶粒の粒径より小さい場合は、
    前記結晶粒内において、前記繰返し負荷がかかるときの最大荷重と最小荷重との対によって、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より大きい荷重サイクルの場合には圧縮塑性域にだけ形成され、前記最大荷重時の引張塑性域の方が前記最小荷重時の圧縮塑性域より小さい荷重サイクルの場合には引張塑性域だけに形成される塑性ひずみ増分を‘0’とし、
    前記結晶粒外において、前記塑性ひずみ増分を前記記憶手段から読み出した前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算して前記記憶手段に記憶し、
    前記健全部からのき裂長さが前記切欠底における最初の結晶粒の粒径以上の場合は、
    前記塑性ひずみ増分を前記記憶手段から読み出した前記引張残留変形層厚さの変化より演算し、前記塑性ひずみ増分より累積塑性ひずみを演算し前記記憶手段に記憶し、
    前記結晶粒内において、前記累積塑性ひずみが前記応力集中部を構成する材料の材料固有の延性限界に達している場合は、開口型き裂と遷移したと判断し、前記き裂判断係数を‘0’とし前記記憶手段に記憶し、
    前記結晶粒外において、前記累積塑性ひずみと前記繰返し荷重下における降伏点と前記塑性拘束係数とから前記き裂増分の領域に取り込まれる引張残留変形層厚さを演算し、前記記憶手段に記憶する第4の演算手段と、
    次の最大荷重が作用した場合の任意のx軸上に働く垂直等価分布応力と静的荷重によって生じる前記x軸上の垂直等価分布応力と前記x軸上に働いている残留応力に対する等価分布応力と塑性拘束係数ならびに前記記憶手段から読み出した前記き裂判断係数とから前記次の最大荷重において次の繰返し荷重下における降伏点を演算し前記記憶手段に記憶し、第1の演算手段に戻る第5の演算手段と、
    を有する疲労き裂成長曲線の推定装置。
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