JPWO2006004004A1 - 炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性評価方法 - Google Patents

炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性評価方法 Download PDF

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Abstract

炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、JIS K 7129で規定される水蒸気透過度(40℃、相対湿度差90%)として3g/(m2・24h)以上を有する包装材料で密閉して、温度が17〜35℃、二酸化炭素ガス濃度が0.03〜0.05容量%、かつ40〜95%の間の相対湿度で2週間〜3月間静置し、塊状となった炭酸水素ナトリウム結晶粒子の割合を求めることにより固結のしやすさを評価することを特徴とする炭酸水素ナトリウムの固結性評価方法。再現性が良く、定量的で、汎用性の高い、固結試験の結果を得ることができる、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の新規な固結評価試験方法を提供できる。

Description

本発明は、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性の新規な評価方法に関する。
従来から、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)(重曹や重炭酸ソーダとも呼ばれる)は、ベーキングパウダー、清涼飲料などの添加剤として各種の食料品分野や、人工透析剤、胃腸薬その他として医薬品分野に、さらに、消火剤、浴用剤、洗浄剤、ブラストメディア、酸性ガス中和剤などとして広く使用されている。これらの炭酸水素ナトリウムは、ほとんどの場合において粉末乃至粒状の結晶粒子の形態で製造、搬送、貯蔵、販売され、また使用されている。
しかし、市販されている炭酸水素ナトリウムの結晶粒子は一般的に固結性を示し、特に、梅雨時期等の湿気の多い保管環境下では、製造工程での乾燥によって、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面にわずかに生成した炭酸ナトリウム無水塩や炭酸ナトリウム一水塩やウェグシャイダー塩等に起因して、固結性を有することが経験的に知られている。固結が生じた場合には、粒子の流動性が低下し、上記流通から使用時の各過程における取り扱い性が著しく低下し、各種の障害をもたらす。よって、固結性は、炭酸水素ナトリウムの商品価値を失いかねる大きな問題である。
しかし、従来、この炭酸水素ナトリウム結晶粒子の保管中に実際に固結するか否かを短期間に、かつ再現性良く定量的に見極めることは極めて困難であった。例えば、特許文献1には、炭酸水素ナトリウム結晶粒子のサンプルを温度30℃、相対湿度80%にて1週間保管することによる固結評価試験が開示されている。しかし、この条件では、期間が短く実際に梅雨時に発生する固結現象を正確に再現していないために評価方法としては適切ではない。さらに、質量や容積を計るなどの定量的な評価方法でなく、一定量を包装するとはされてはおらず、固結に起因する塊を定量的に測定できず再現性に乏しい。
また、特許文献2には、炭酸水素ナトリウム結晶粒子のサンプルを温度30℃、相対湿度80%で1日間保管し、さらに、温度20℃、相対湿度50%で1日間保管することを交互に3週間繰り返す固結評価試験の開示がなされている。しかし、この条件による評価試験も、特許文献1と同じく、実際に梅雨時に発生する固結現象を再現したものではないために評価方法としては適切ではない。例えば、ここで開示された30℃と20℃の温度変化を昼夜間での差として考えても、夜間温度が低下すれば、袋内部の相対湿度は上昇するので、現実に発生している現象とは逆である。さらに包装材料の材質や積層構成も開示もされていない。よって正確に再現することができない。
特許文献3では、炭酸水素ナトリウム結晶粒子25kgの包装袋を5段積み重ねて加圧して25℃で4週間保管する条件による評価試験が開示されているが相対湿度の開示がない。また、特許文献4にも同様な条件による固結性の評価試験が開示されている。これら従来の固結評価試験は、評価条件の開示が不十分であったり、評価方法に定量性がなかったりしており、いずれも再現性に乏しい。
このように固結性の評価試験が再現性と定量性に乏しい場合には、評価試験の結果について信頼性が小さいとともに、2以上の比較対照サンプルがある場合、固結性試験の評価は同時に実施しないといけないこととなる。即ち、時間と場所を別にして実施した固結評価試験は、相互に比較することは困難となり、固結評価試験の結果は、その後のデータの活用にあたって汎用性が著しく低いものとなる。
一方、医薬品においては、厚生省の医薬品の安定性試験ガイドライン(医薬審第0603001号)がある。ここで採用されている、安定性評価の条件は、温度25℃又は30℃、相対湿度60%及び温度40℃で相対湿度75%である。この条件は炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性の評価方法としてとらえると、期間が12カ月又は6カ月と非常に長く評価に時間がかかりすぎ、また、40℃は炭酸水素ナトリウム自身が分解しやすい条件であり、実際の固結の発生状況と大幅に相違してしまうので、短期間で再現性の大きい固結試験結果を与えない。
特許第3306873号公報 特開2003−104722号公報 特開2004−2166号公報 特開2004−203673号公報
本発明は、上記の事情に鑑みて、再現性が良く、定量的で、比較的短期間で測定可能で、汎用性が高く、有用で利用価値の高い固結試験の結果を得ることができる、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の新規な固結評価試験方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するべく炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結について鋭意研究を重ねたところ、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結は以下に記載する過程を通じて生起することを確認した。
すなわち、炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、乾燥工程において、あるいは乾燥工程から取り出した場合に接触する雰囲気のガスの温度、湿度及び二酸化炭素ガス濃度の諸条件によりその表面は、わずかに炭酸水素ナトリウムが炭酸ナトリウム無水塩(Na2CO3)に分解して、さらにその後、炭酸ナトリウム一水塩(Na2CO3・H2O)又はウェグシャイダー塩(Na2CO3・3NaHCO3)となり、次いで、倉庫等での保管期間中や流通している間にセスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)となる。この炭酸ナトリウム無水塩が炭酸ナトリウム一水塩を経由してセスキ炭酸ナトリウムとなる変化については、米国化学会モノグラフシリーズ、「MANUFACTURE OF SODA」第2版、XXIX章、 Behavior of Soda Ash in Strage、509〜515頁、(Reinhold Publishing社発行、1942)にも述べられている。
そして、本発明者の研究によると、炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、その表面が、炭酸ナトリウム無水塩から炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩となり、また、炭酸ナトリウム無水塩が炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩を経由してセスキ炭酸ナトリウムとなる場合に固結が生じることが確認された。この固結は、前者の炭酸ナトリウム無水塩から炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩の変化の場合は比較的弱いが、後者の炭酸ナトリウム無水塩から最終的なセスキ炭酸ナトリウムへの変化の場合にはより強固な固結が起こることを見出した。これは、下記の表1に示されるように、上記の変化では、結晶自体が変化するのみならずその体積や質量が増加するために、結晶同士の接触点で両粒子が架橋することに起因するものと思われる。上記の結晶の体積や質量の変化は、炭酸ナトリウム無水塩から炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩となるよりも、炭酸ナトリウム無水塩からセスキ炭酸ナトリウムとなる方が大きい。このことは、経験的にも固結の程度がこれにほぼ比例していることから理解できる。また、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面がセスキ炭酸ナトリウムである場合は、上記の変化は発生しないので、固結性は小さくなる。何れの表面組成にするかは、製造プロセスやコストによって選定される。
Figure 2006004004
このように、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結の程度は、炭酸ナトリウム無水塩が炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩になるよりも、炭酸ナトリウム無水塩がセスキ炭酸ナトリウムとなる場合が強固である。このために、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性の評価は、かかるセスキ炭酸ナトリウムを生起する条件での、固結評価試験が必須であることがわかる。
一方で、本発明者らは、詳細なる実験及び熱力学的検討の結果、大気中の二酸化炭素ガス濃度0.04容量%では、炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムの境界は、図1に示されるような関係にあることを見出した。即ち、図1に示されるセスキ炭酸ナトリウムの領域に、測定するサンプルを静置する必要がある。その範囲は温度が17〜35℃で40〜95%の間の相対湿度である。
上記のような、炭酸ナトリウム一水塩からセスキ炭酸ナトリウムへの変化は、二酸化炭素ガス濃度が0.03〜0.05容量%においても同様に生起することが見出された。かくして本発明では、固結性を評価する炭酸水素ナトリウム結晶粒子をセスキ炭酸ナトリウムが安定して生成する条件に比較的短期間の一定時間静置し、塊状となった炭酸水素ナトリウム結晶粒子の割合を求めることにより、再現性が良く、定量的で、汎用性の高い、固結試験の結果を得ることに成功した。
また、本発明者らは、固結性を評価する炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、嵩密度が真密度の0.2〜0.7倍になるように包装材料に収納し密閉して静置することにより良好な固結試験の結果を得ることができることを見出した。
かくして、本発明は、前述の新規な知見に基づくもので、以下の要旨を有するものである。
(1)炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、JIS K 7129で規定される水蒸気透過度(40℃、相対湿度差90%)として3g/(m2・24h)以上を有する包装材料で密閉して、温度が17〜35℃、二酸化炭素ガス濃度が0.03〜0.05容量%、かつ40〜95%の間の相対湿度で2週間〜3月間静置し、塊状となった炭酸水素ナトリウム結晶粒子の割合を求めることにより固結のしやすさを評価することを特徴とする炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性評価方法。
(2)炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムからなる群から選択される一以上を表面に有する(1)に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
(3)炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、嵩密度が真密度の0.2〜0.7倍になるように包装材料にて密閉して静置する上記(1)又は(2)に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
(4)静置する温度が20〜29℃である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
(5)静置する期間が3週間〜2月間である請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
本発明によれば、再現性が良く、定量的で、比較的短期間で測定可能で、汎用性の高い、固結試験の結果を得ることができる、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の新規な固結評価方法が初めて提供される。本発明の固結評価方法により何故にこのような再現性が良く、定量的で、汎用性の高い、固結試験の結果を得ることができるかについては、上記したように、固結が最も問題とされる、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面にセスキ炭酸ナトリウムが確実に生成する静置条件を、静置直後の袋内部の湿度変化も考慮して、条件設定したことにある。
本発明の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の静置条件を説明するためのものであり、二酸化炭素ガス濃度が0.04容量%の場合における炭酸ナトリウム無水塩と炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムとウェグシャイダー塩の平衡図である。
本発明において固結性が評価される炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、例えば、その表面は炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムからなる群から選択される一以上を有する場合が多い。炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、製造時の乾燥及びその後の変化によって、その表面は、炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩、セスキ炭酸ナトリウム、あるいはこれらの混合した組成となる。特に製造直後の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面は、炭酸ナトリウム無水塩と、炭酸ナトリウム一水塩及び/又はウェグシャイダー塩との組成となっている。その後、倉庫等での保管あるいは流通期間中にセスキ炭酸ナトリウムとなる。
一方、炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、その表面状態、すなわち、表面における炭酸ナトリウム無水塩と炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムの存在割合により固結のし易さが変化するが、本発明の方法ではこの固結性が評価されるものである。
本発明で固結性が評価される炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、いずれの平均粒子径を有するものでもよいが、平均粒子径が50〜500μm、好ましくは70〜300μmの範囲において効果的である。平均粒子径が500μmを越えると、結晶粒子の質量の影響が大きくなり重力によって固結は崩れやすくなる。また、50μmを下回るとファンデルワールス力等の粒子間力の影響により凝集し、さらには粉体層の単位容積当りの粒子同士の接触点数が増加するために、本質的に固結しやすい結晶粒子になる。ここで、平均粒子径とは質量基準の平均粒子径であり、篩い分け法で質量基準の累積粒度分布で50%の粒子径として定義される。具体的には、ロータップ型篩振盪機とJIS Z 8801−1に規定する篩分け法(以下、単に篩い分け法という)を用いて測定される。
本発明における炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価試験では、評価すべき炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、JIS K 7129で規定される水蒸気透過度(40℃、相対湿度差90%)として3g/(m2・24h)以上を有する包装材料で密閉して、温度が17〜35℃、二酸化炭素ガス濃度が0.03〜0.05容量%、かつ40〜95%の間の相対湿度で2週間〜3月間静置する。そして、塊状となった炭酸水素ナトリウム結晶粒子の割合を求めることにより固結のしやすさを評価する。
図1は、上記の静置条件を説明するための、二酸化炭素ガス濃度が0.04容量%の場合における炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム無水塩と炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムとの平衡図である。炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムなどの生成領域は、それぞれ図に示されるとおりである。
図1から明らかなように、相対湿度が40%以上である場合に、セスキ炭酸ナトリウムが安定して生成されることがわかる。なお、図1は、二酸化炭素ガス濃度が0.04容量%の場合であるが、二酸化炭素ガス濃度が0.03〜0.05容量%の場合においても、セスキ炭酸ナトリウムの生成領域は同様に実験と熱力学的計算から求められる。
本発明の方法における炭酸水素ナトリウム結晶粒子の静置温度は17〜35℃である。この範囲の温度が実際の保管条件に近いので適切である。上限の温度に関して、低い温度で包装した測定サンプルを高い温度に静置すると、袋内部に水蒸気が透過する前にサンプルの温度が上昇するために、袋内部の相対湿度が一時的に低下してしまう。このため、袋内部が一旦ウェグシャイダー塩や炭酸ナトリウム無水塩の領域になり、固結評価試験の静置時間において低湿度の期間が長時間に渡り、本来のセスキ炭酸ナトリウム領域での静置時間が短くなってしまい、かつ測定の再現性も損なうので好ましくない。同様に下限の温度に関して、高い温度で包装した測定サンプルを低い温度に静置すると、サンプルの温度の低下に伴い袋内部の相対湿度が一時的に上昇して結露してしまうため、実際の固結現象と乖離してしまい、かつ測定の再現性を損なうので好ましくない。このような測定サンプルを恒温恒湿器等に静置する際の袋内の相対湿度の変動を考慮すると、より好ましくは20〜29℃である。
また、二酸化炭素ガス濃度は、上記0.03〜0.05%の範囲であれば支障なく評価できるが、地域によって違いがあるので上記の範囲から選択して実施すれば、空気が使用でき、実際の保管環境とも同等となるので好ましい。
また、相対湿度は40〜95%である。相対湿度の上限は二酸化炭素濃度のみならず静置温度にもよるが、95%超であると、静置時に結露が発生しやすくなるので好ましくない。より好ましくは85%以下である。一方、40%未満であると、ウェグシャイダー塩の領域に近くなるので好ましくない。炭酸水素ナトリウム結晶粒子の静置条件である、温度、二酸化炭素ガス濃度、及び相対湿度は、本発明の範囲内でそれぞれその組み合わせを適宜に選ぶことにより、静置条件を選定することができる。
ここで、固結評価試験での測定サンプルの静置は恒温恒湿器により好適に行うことができるが、測定サンプルからの二酸化炭素ガスの放出があるために、適時換気して恒温恒湿器内部の二酸化炭素ガスが上昇しないように留意する必要がある。
例えば、炭酸水素ナトリウム結晶粒子を静置する具体的な好ましい条件としては、二酸化炭素ガス濃度が0.04容量%、温度20℃以上で22℃未満の場合は相対湿度が40〜85%で、温度22℃以上で24℃未満の場合は相対湿度が40〜86%、温度24℃以上で26℃未満の場合は相対湿度が40〜87%、温度26℃以上で28℃未満の場合は相対湿度が40〜89%、温度28℃以上で30℃未満の場合は相対湿度を40〜90%、温度30℃以上で32℃未満の場合は相対湿度が40%〜91%、温度32℃以上で34℃未満の場合は相対湿度が40%〜92%、温度34℃以上で35℃未満の場合は相対湿度が40%〜93%、温度35℃の場合は相対湿度が40%〜95%とする条件が挙げられる。
本発明において炭酸水素ナトリウム結晶粒子を静置する場合、包装材料に収納して密閉して行う。固結評価試験において包装する意義は、現実の炭酸水素ナトリウム結晶粒子が包装されて保管や流通していること、また固結により発生する炭酸水素ナトリウム結晶粒子の塊が定量しやすく、形状や生成量の再現性もよいことである。本発明においては、セスキ炭酸ナトリウムが安定となる、湿度が高い条件に固結評価試験用のサンプルを静置するが、サンプルが包装されているために外気の湿度が包装材料を通して透過するのに時間がかかる。固結評価試験時間を短くするためには包装材料の水蒸気透過度が高い方が良い。包装材料の水蒸気透過度は40℃、相対湿度差90%で3g/(m2・24h)以上を有する必要がある。これより低いと評価に時間がかかり過ぎる。特に好ましくは、6g/(m2・24h)以上である。包装材料については、透湿性以外には、測定サンプルを充填した際に取扱いしやすければよいのであって、透湿性の上限はない。
包装材料にて密閉する条件としては、嵩密度が真密度の好ましくは0.2〜0.7倍、特に好ましくは0.3〜0.6倍になるように充填する。かくすることにより、炭酸水素ナトリウム結晶粒子が固結性を有する場合には塊を形成するので、この質量割合を測定することで固結性を定量的に評価することが可能となる。
上記のように、包装材料にて密閉し、所定の時間静置した炭酸水素ナトリウム結晶粒子はその間における固結の割合を次のようにして評価される。すなわち、静置後の炭酸水素ナトリウム結晶粒子を包装袋から塊の状態を崩さないように慎重に取り出し、該結晶粒子より大きな目開きの篩等の金網の上にそっと置き、固結している塊の部分が秤量される。金網の目開きは2mm〜5mmが好適である。塊部分の量が多いほど固結性が高いと言える。さらに、この塊が載った篩を、塊がゆっくりと篩の上を滑る様にして、水平に10〜30cmの円を描くように手で回して、一定時間篩った後に残っている塊の部分を秤量することで、より強く固結した量を定量的に知ることができる。
固結評価試験の日数は、2週間〜3月間である。静置期間の下限は好ましくは3週間で、上限は評価時間を短くして試験の効率を上げるために好ましくは2月間、より好ましくは6週間である。発明者らの実験による知見からは、評価に値する固結が発生するのは、透湿量が炭酸水素ナトリウムあたり100質量ppm以上である。例えば、質量1kg程度をJIS K 7129で規定される水蒸気透過度(40℃、相対湿度差90%)として3g/(m2・24h)以上を有する包装材料よりなるLDPE(低密度ポリエチレン)製の小袋で密閉して、温度が17〜35℃、かつ40〜95%の間の相対湿度に静置した条件下であれば1〜3日程度で前記の吸湿量の範囲となり始める。測定サンプルとしての炭酸水素ナトリウム結晶粒子あたりの透湿量としては100質量ppm以上が好ましく、より好ましくは500質量ppm、さらに好ましくは1000質量ppm以上である。この水分の測定方法は、後述する無水メタノール抽出法とTGA法によって、固結評価試験前後の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の組成変化を測定すればよい。例えば、固結評価試験前の炭酸ナトリウム無水塩量が固結評価試験後に減少し、炭酸ナトリウム一水塩のみが増加していれば、その分が透湿量となる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の解釈はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
例1(実施例)
以下の条件によって、種々の表面組成の炭酸水素ナトリウム結晶粒子を得た。
まず、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液20m3を撹拌機付き貯槽(50m3)に入れ、温度を80℃に昇温させた。この状態で、100容積%の濃度の二酸化炭素ガスを標準状態換算で毎分10m3の流量で5時間吹き込み反応晶析させた。この晶析工程は、まず水酸化ナトリウムが二酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムを生成する。ここまでは結晶は析出しない。さらに二酸化炭素と炭酸ナトリウムが反応し炭酸水素ナトリウムとなる。ここで炭酸水素ナトリウムの溶解度が低いために炭酸水素ナトリウムの結晶が析出する。その後に、二酸化炭素ガスを引き続き吹き込み続けつつ温度を40℃に冷却することにより、炭酸水素ナトリウム結晶をさらに析出させた。得られたスラリーを遠心分離機を用いて母液を分離して、湿潤した炭酸水素ナトリウム結晶粒子を得た。
ロータリードライヤー(増野製作所社製)を使用し、下記の表2にそれぞれ示される乾燥条件(温度、相対湿度、二酸化炭素濃度)にて、二酸化炭素ガス含有空気からなる乾燥用ガスと並流方式で接触させることにより湿潤した炭酸水素ナトリウム結晶粒子を乾燥し、および同炭酸水素ナトリウム結晶粒子の一部分を焼成して炭酸ナトリウム無水塩とした。その直後に、パドル混合機と間接冷却ジャケットを有した円筒形の冷却機で炭酸水素ナトリウム結晶粒子を30℃に冷却した。この冷却にあっては露点−40℃の乾燥空気を20℃に加熱して冷却機に注入し、結晶粒子に同伴するガスをパージした。
そして得られた炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、0.25mmの目開きのメッシュを取り付けた超音波発振器付振動篩機を用いて篩い分け、平均粒子径が0.1mmの篩下の粒子を得た。この炭酸水素ナトリウム結晶粒子を固結評価試験に用いるサンプル(以下、「本サンプル」という)とした。以下の固結に関する評価ではこの本サンプルを用いた。
次いで具体的な本サンプルの固結性の評価試験方法を以下に説明する。本サンプルを1kg秤量し、厚さ120μmのLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルム製の袋に充填して、ヒートシールで密閉包装した。本包装袋の寸法は縦200mmで横300mmであり、JIS K 7129で規定する透湿度は40℃で6.0g/m2・日であった。これを25℃で相対湿度85%の雰囲気に1月間静置保管した。静置保管後の本サンプルを崩さないように慎重に開封して、3mmの目開きの金網を張った内径200mmのJIS Z 8801−1の標準篩(以下、単に「篩」という。)の上にそっと流し入れた。これを篩ごと質量を測定して、篩に載った本サンプルの質量を測定し、包装充填時の本サンプルに対する質量割合を測定した。これを「弱固結量」ということとする。ここで開封時に全体が固まっているものを100%とする。次いで、本サンプルの載った篩を軽く手で3秒間篩い、篩ごと質量を測定して、篩に載った本サンプルの質量を測定し、包装充填時の本サンプルに対する質量割合を測定した。これを「中固結量」ということとする。さらに、本サンプルの載った篩を軽く手で10秒間篩い、篩ごと質量を測定して、篩に載った本サンプルの質量を測定し、包装充填時の本サンプルに対する質量割合を測定した。これを「強固結量」ということとする。「強固結量」は、硬い塊となった部分の割合を示しており、この割合が多いということは、強固に固結したということとなる。
固結評価試験前の本サンプルの平均粒子径の測定は篩い分け法による。平均粒子径とは質量基準の平均粒子径であり、篩い分け法で質量基準の累積粒度分布で50%の粒子径として定義される。具体的には、ロータップ型篩振盪機とJIS Z 8801−1に規定する篩分け法(以下、単に篩い分け法という)を用いて測定される。使用する篩いの目開きは、355μm、250μm、180μm、150μm、106μm、75μm、45μmとした。
また、本サンプルの、炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩、セスキ炭酸ナトリウムの測定は、下記に説明する無水メタノール抽出法で本サンプル中の炭酸ナトリウム無水塩と炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムの総量を定量して、下記に説明するTGA法によって本サンプル中の炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩の含有量とセスキ炭酸ナトリウムの含有量を求めた。そして両方法の測定結果から、本サンプル中の炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩、セスキ炭酸ナトリウムの各々の量を求めた。
以下に、無水メタノール抽出法について説明する。
本発明において「無水メタノール抽出法」とは、本サンプル中の炭酸ナトリウム無水塩と炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムの総量を無水メタノールによって、これらの成分を炭酸水素ナトリウム結晶粒子から抽出し、これを中和滴定することによって分析する方法をいう。具体的には、本サンプルを5g秤量し、これを100mL(ミリリットル)の無水メタノールに入れ、30分間振とうする。これを0.1規定の濃度の塩酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定することによって、本サンプル中の炭酸ナトリウム無水塩と炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムの総量を定量できる。ここで0.1規定の塩酸は水分の混入を極力減らすために、35質量%の塩酸水溶液を無水メタノールで希釈して調製する。あるいは塩化水素のメタノール溶液を使用してもよい。ここでウェグシャイダー塩は無水メタノールに実質的には溶解しないので、無水メタノール抽出法では測定されない。
次いでTGA法について説明する。本発明において「TGA法」とは、炭酸水素ナトリウム結晶粒子中の炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムの含量を測定する方法であって、各成分の加熱分解による質量減少を、二種の特定の温度条件において、加熱重量減分析装置で測定して、二種の温度の減量プロファイルの違いから炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩の成分の含量と、セスキ炭酸ナトリウムの成分の含量を分析する方法をいう。
測定すべきサンプルである本サンプルを試料セルに一定量入れて、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウム無水塩や炭酸ナトリウム一水塩やウェグシャイダー塩やセスキ炭酸ナトリウムと反応しない窒素ガス等の乾燥ガス中で、本サンプルを一定温度で加熱して、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムが炭酸ナトリウム無水塩に分解する際の質量減少を精密に測定する。
具体的には加熱重量減分析装置(Thermogravimetric analyzer)で水分を実質的に含まない窒素ガスを使用して、本サンプルを所定量試料セルに秤量し、所定の温度で、等温法によって測定する。ここで、本発明者らが新たに見出した炭酸水素ナトリウムが炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩又はセスキ炭酸ナトリウムより熱的に安定で分解しにくいことと、さらにセスキ炭酸ナトリウムの方が炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩より加熱条件下で安定であることを利用して測定できる。すなわち測定する所定の温度を二水準として、その差異から炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩の含量とセスキ炭酸ナトリウムの含量を正確に知ることが出来る。二水準の温度のうち低い方の温度(以下、第一の温度ともいう。)は、一定時間で炭酸ナトリウム一水塩又はウェグシャイダー塩の分解が実質的に完了しセスキ炭酸ナトリウムの分解が実質的に開始しない温度を選定する。また高い方の温度(以下、第二の温度ともいう。)は、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムの分解が、一定時間で実質的に完了する温度を選定する。各温度と時間は測定サンプル量、測定機器の構造、サンプル容器の構造等によって差異がある。
例えば、第一の温度と時間は、炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩の炭酸ナトリウム無水塩への分解が実質的に完了しセスキ炭酸ナトリウムの分解が実質的に開始しない温度と時間であり、温度は45〜57℃の間で選択し、時間は40〜60分の間で選択するのが好ましい。第一の温度は、特に、51〜55℃が好ましく、時間は45〜55分が好ましい。また、第二の温度と時間は、炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムの分解が実質的に完了する温度と時間であり、温度は58〜70℃の間で選択し、時間は40〜60分の間で選択するのが好ましい。第二の温度は、特に、61〜65℃が好ましく、時間は45〜55分が好ましい。第一及び第二の温度両者の差は5〜15℃が好ましく、特に7〜15℃が好適である。
炭酸ナトリウム一水塩の絶対量、ウェグシャイダー塩の絶対量及びセスキ炭酸ナトリウムの絶対量は、各成分の微粒を、実質的に炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムを含まない炭酸水素ナトリウム結晶粒子に所定量混合したサンプルを測定して得た分析値を基準として、目的の本サンプルを定量する、標準添加法によって求める。
本実施例では、エスアイアイナノテクノロジー株式会社製の示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200を使用した。今回の測定では、低温側の温度は53℃とし、高温側の温度は63℃とし、各々50分経過後の減量を測定した。測定に使用した本サンプルの量は60mgである。一方、二水準の温度での一定時間の炭酸水素ナトリウム自体の分解による減量を補正するために、炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムを実質的に含まない炭酸水素ナトリウムだけで別途測定してこの減量をベースラインとして各測定値から差し引いた。53℃で50分経過後の減量が炭酸ナトリウム一水塩含量又はウェグシャイダー塩の含量に相当し、63℃で50分経過後の減量から53℃で50分経過後の減量を引いた部分がセスキ炭酸ナトリウムの含量に相当する。表2において炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩の区別は、測定されるサンプルが処理又は保管された雰囲気の温度と相対湿度と二酸化炭素ガス濃度の条件を元に、相平衡図で炭酸ナトリウム一水塩の領域かウェグシャイダー塩の領域かを判別することにより行った。なお、相平衡図によらない場合は、その雰囲気下に炭酸ナトリウム無水塩の結晶を長時間保管してその結晶の変化をX線回折により結晶の構造解析を行っておく。なお、TGA法で測定するサンプルを長時間室温に放置したままにしておくと、吸湿してウェグシャイダー塩を生成するので、サンプリング後は早急に分析する。
無水メタノール抽出法で得た、炭酸ナトリウム無水塩と炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムの合計に相当する含有量から、TGA法で求めた、炭酸ナトリウム一水塩とセスキ炭酸ナトリウムの含有量を引いた残りが、炭酸ナトリウム無水塩となる。本TGA法で炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩およびセスキ炭酸ナトリウムの加熱分解による質量減少がなければ、無水メタノール抽出法で得た分析値は、全量が炭酸ナトリウム無水塩であることとなる。本実施例で使用した固結評価試験前の炭酸水素ナトリウム結晶粒子はこの場合に相当し、無水メタノール抽出法で得た値が炭酸ナトリウム無水塩の含量であり、炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムは含まれない。
下記の表2に炭酸ナトリウム無水塩を含有し、炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムを含有しない本サンプルの固結性の評価試験結果を示す。表2に記載した各含有量はいずれも炭酸ナトリウム無水塩に換算している。ただし、各成分の含量の基準とする炭酸水素ナトリウム結晶粒子の質量は、そのものの質量であり、炭酸ナトリウム無水塩に換算しない。評価試験後の組成について、TGA法における炭酸ナトリウム一水塩とウェグシャイダー塩の区別は、図1により判断できる。すなわちここでの試験条件では炭酸ナトリウム一水塩は生成しない。ウェグシャイダー塩の生成に関しては、発明者は以下のように推測している。まず炭酸ナトリウム無水塩の存在によって、炭酸水素ナトリウム結晶粒子を包装した袋内部の相対湿度が低下し、初めにウェグシャイダー塩が生成した。そして炭酸ナトリウム無水塩が消失してから袋内部の相対湿度が上昇して、セスキ炭酸ナトリウムが生成した。ここで、この相対湿度の変化に関しては、袋内部に湿度計を設置して確認した。表3に関しても同様にウェグシャイダー塩が生成した。
表2より、固結評価試験前の炭酸ナトリウム無水塩の量が多いほど、固結評価試験後のウェグシャイダー塩とセスキ炭酸ナトリウムに移行する量が各々大きくなっている。そして、固結評価試験後のセスキ炭酸ナトリウムの含量が大きいサンプルNo.3の強固結量が最も大きいことが示される。かくして、表面組成の異なる炭酸水素ナトリウム結晶粒子により、固結性の違いは明白に示されており、この例1における評価方法が固結性の評価方法として優れていることがわかる。
Figure 2006004004
例2(比較例)
実施例1で使用した各サンプルを用いて、固結評価試験の保管を、温度を40℃で相対湿度を75%、静置期間を1週間に変更して試験した。その結果を表3に示す。表3に示す各成分の濃度(質量%)はいずれも炭酸ナトリウム無水塩に換算している。温度40℃で相対湿度75%に静置した期間を1週間としたのは、2週間であると炭酸水素ナトリウム結晶の分解が大きくなり、現実の保管状態とは異なってしまうためである。
表3より、固結評価試験前の炭酸ナトリウム無水塩の量が多くなっても、固結評価試験後のウェグシャイダー塩の量は増加しているが、セスキ炭酸ナトリウムに移行する量は増加していない。また、サンプルNo.1〜No.3により強固結量の大きさもそれほど違わない。かくして、セスキ炭酸ナトリウムへの移行が不十分であるために、表面組成の異なる炭酸水素ナトリウム結晶粒子による固結性の違いは明白でなく、この例が固結性の評価方法として不適切であることがわかる。
ここでセスキ炭酸ナトリウムへの組成の変化が少なかった理由としては、常温で包装したサンプルを静置条件である40℃にした恒温恒湿器に入れた結果、袋内部の相対湿度が低下したこと、そして炭酸水素ナトリウム結晶粒子が僅かに分解し袋内部の二酸化炭素濃度が上昇した結果、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の保管環境がウェグシャイダー塩領域になったことであると推測している。以下に詳細に説明する。まず、炭酸水素ナトリウム結晶粒子をLLDPEの袋に包装した条件は温度25℃で相対湿度52%であった。これは絶対湿度で12.35mmHgである。ここで、恒温恒湿器に静置すると、水蒸気は袋内部へは直ちには透湿しないために、温度が40℃になるのみであると、40℃の飽和湿度は55.33mmHgであるので、相対湿度は22%に低下することとなる。よって、恒温恒湿器は相対湿度75%のセスキ炭酸ナトリウムの領域となっていても、包装袋内部は相対湿度22%のウェグシャイダー塩の領域となっているために、セスキ炭酸ナトリウムへの変化が遅くなる。
さらには、40℃であると、炭酸水素ナトリウムが分解しやすくなり、包装袋内部の二酸化炭素濃度が上昇する。前述の無水メタノール抽出法では検出できない程度の分解、例えば0.001質量%であっても、包装袋内部の二酸化炭素濃度は2000〜3000ppmも上昇し、ウェグシャイダー塩と炭酸水素ナトリウムの領域を高温、高湿度方向に大きく拡大する。これもセスキ炭酸ナトリウムへの変化が遅延する要因である。
Figure 2006004004
本発明によれば、従来再現性の乏しかった、炭酸水素ナトリウム結晶粒子の表面組成がセスキ炭酸ナトリウムに変化することに起因する固結の発生のし易さを評価するに当って、再現性が良く、定量的で、汎用性の高い、データを得ることが出来る。

なお、2004年6月30日に出願された日本特許出願2004−194540号及び2004年8月30日に出願された日本特許出願2004−250749号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (5)

  1. 炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、JIS K 7129で規定される水蒸気透過度(40℃、相対湿度差90%)として3g/(m2・24h)以上を有する包装材料で密閉して、温度が17〜35℃、二酸化炭素ガス濃度が0.03〜0.05容量%、かつ40〜95%の間の相対湿度で2週間〜3月間静置し、塊状となった炭酸水素ナトリウム結晶粒子の割合を求めることにより固結のしやすさを評価することを特徴とする炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結性評価方法。
  2. 炭酸水素ナトリウム結晶粒子は、炭酸ナトリウム無水塩、炭酸ナトリウム一水塩、ウェグシャイダー塩及びセスキ炭酸ナトリウムからなる群から選択される一以上を表面に有する請求項1に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
  3. 炭酸水素ナトリウム結晶粒子を、嵩密度が真密度の0.2〜0.7倍になるように包装材料で密閉して静置する請求項1又は2に記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
  4. 静置する温度が20〜29℃である請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
  5. 静置する期間が3週間〜2月間である請求項1〜4のいずれかに記載の炭酸水素ナトリウム結晶粒子の固結評価方法。
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