JP7438582B2 - 二酸化炭素固定分離材と、その二酸化炭素固定分離材の製造方法と、その二酸化炭素固定分離材を用いた装置と、その二酸化炭素固定分離材を用いた二酸化炭素固定分離方法 - Google Patents

二酸化炭素固定分離材と、その二酸化炭素固定分離材の製造方法と、その二酸化炭素固定分離材を用いた装置と、その二酸化炭素固定分離材を用いた二酸化炭素固定分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、気体中の二酸化炭素を吸収・固定し、加熱することで二酸化炭素を分離・放出する二酸化炭素固定分離材を合成可能な二酸化炭素固定分離材料と、その二酸化炭素固定分離材料を用いて合成される二酸化炭素固定分離材と、その二酸化炭素固定分離材の製造方法と、その二酸化炭素固定分離材を用いた装置及びその二酸化炭素固定分離材を用いた二酸化炭素固定分離方法に関する。
カーボンニュートラルを実現するためには、生物活動や産業活動で発生する二酸化炭素を効率的に吸収・固定し、分離・放出によって二酸化炭素を利用できるシステムが必要である。特に、低濃度の二酸化炭素を効率良く回収することが重要であるため、二酸化炭素の吸収条件には、常温・常圧下で運転できることが不可欠となる。また、そのシステムの運用に使用されるエネルギーを得るために、二酸化炭素を吸収する以上に、二酸化炭素を発生させないことが重要である。そのため、二酸化炭素を放出する条件では、排熱や太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーから容易に取り出せる100℃以下で運転できることが望まれる。
さらに、システム運用の鍵となる材料には、安全、安価なものを利用することが望まれることは言うまでもない。
従来、化学プラントで副生される二酸化炭素は、高純度に精製されパイプラインや高圧容器によって輸送され利用されているが、高濃度の二酸化炭素を原料とする必要がある。また、ナノ細孔を持つ多孔質材料のゼオライトを使用する場合、ガス燃焼の排気ガスに圧力をかけることで二酸化炭素を固定化し、圧力を下げることで二酸化炭素を放出しているが、動力源に大きなエネルギーが必要である。
また、セメント等のアルカリ性材料の場合、アルカリ反応により気体中の二酸化炭素を固定化しているが、二酸化炭素を再放出させることはできない。また、アミン化合物を用いた材料の場合、化学結合により二酸化炭素を固定化することができ、100℃以下で二酸化炭素を放出できるが、アミン化合物は安全面と耐久性に課題があった。
さらに、特許文献1には「二酸化炭素回収材、二酸化炭素回収材の生産方法及び二酸化炭素の回収方法」という名称で、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを平均細孔径が5nm~50nmの多孔質材料の細孔内に有する二酸化炭素回収材に関する発明が開示されている。そして、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素回収材(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)から二酸化炭素を分離させる際に120℃以下の加熱が必要であり、また、カリウムとセシウムを含む炭酸水素塩の場合は、100℃付近から二酸化炭素の放出が可能であることが開示されている。
また、特許文献2には「空気由来の二酸化炭素の吸収剤及び発生剤」という名称で、アミン化合物を用いて空気中の二酸化炭素を吸収し、100℃以下の加熱により二酸化炭素の放出を可能とする発明が開示されている。
特許文献3には高温下においても低濃度の炭酸ガスを効率よく吸収することが可能な炭酸ガス吸収材に関する発明が開示されている。
特許文献4については後述する。
非特許文献1には二酸化炭素を多く含む空気を、炭酸ナトリウムを含むアルカリ性反応溶液と反応させ沈殿物を生成し、それを熱分解することで二酸化炭素のみを回収する技術が開示されている。
特開2016-59917号公報 特開2017-31046号公報 特開2009-106812号公報 国際公開第2006/004004号
仲江 百代ほか, 炭酸ナトリウムを用いた二酸化炭素の捕集実験, Scientific and Educational Reports of the Faculty of Science and Technology, Kochi University, 2020年11月16日, Vol.3, No.4
しかしながら、特許文献1に開示される発明では、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素回収材が二酸化炭素を放出し始めるのが120℃付近からであり高いという課題があった。カリウムとセシウムを含む炭酸水素塩の場合でも、100℃付近から二酸化炭素の放出が始まる等、依然として二酸化炭素放出における温度が高いという課題があった。
また、特許文献2に開示される発明では、アミン化合物を用いるものであり、化学結合により二酸化炭素を固定化でき、100℃以下で二酸化炭素を放出可能であるものの、前述のとおり、取扱いの安全性が担保されない可能性があるという課題があった。
特許文献3に開示される発明では、炭酸ガス吸収材の再生、すなわち炭酸ガス吸収材から二酸化炭素を放出させるためには高温(700℃以上)処理が必要となるという課題があった。
また、非特許文献1に開示される発明では、炭酸ナトリウムを溶解させたアルカリ性反応溶液が必要となるため多量の水と水酸化ナトリウムと塩化ナトリウムが必要となる。確かに、この溶液に二酸化炭素が吸収されるとセスキ炭酸ナトリウムが生成するが、回収したセスキ炭酸ナトリウムは加熱すると炭酸ナトリウムとなり、これを再利用しようとすると、さらに、炭酸ナトリウムを溶解させるための多量の水と水酸化ナトリウムの補充を必要とするという課題があった。
本発明は、かかる従来の課題に対処してなされたものであり、低濃度の二酸化炭素を常温常圧で効率良く回収し、貯蔵可能であり、さらに、回収した二酸化炭素を100℃以下の低温で放出可能で、安全で安価な二酸化炭素固定分離材を合成可能な二酸化炭素固定分離材料と、それを用いて合成される二酸化炭素固定分離材と、その二酸化炭素固定分離材の製造方法と、その二酸化炭素固定分離材を用いた装置及び二酸化炭素固定分離材を用いた二酸化炭素固定分離方法を提供することを目的とする。
また、二酸化炭素を放出した二酸化炭素固定分離材は二酸化炭素を吸収する前の二酸化炭素固定分離材に復元され、二酸化炭素固定分離材料の成分を補充する必要がないという優れた特徴を有する二酸化炭素固定分離材と、そのような二酸化炭素固定分離材の製造方法と、その二酸化炭素固定分離材を用いた装置及び二酸化炭素固定分離材を用いた二酸化炭素固定分離方法を提供することも目的とする。
なお、本願における「常温」とは0~25℃を意味する。
上記目的を達成するため、第1の発明である二酸化炭素固定分離材料は、基材として、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムと、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤として、塩化鉄と、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための反応促進剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウムと、を混合してなることを特徴とするものである。
Figure 0007438582000001
式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物(セスキ炭酸ナトリウム)に対する塩化鉄の含有率は、0.1~30重量%であることが望ましい。
但し、結合剤としての塩化鉄の含有量が減ると二酸化炭素の吸収反応自体が衰え、増えると反応は衰えないものの二酸化炭素固定分離材料の単位重量当たりの二酸化炭素固定量が減少するため、より望ましくは5~10重量%である。
式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物に対する塩化ナトリウム等の反応促進剤の含有率も、0.1~30重量%であることが望ましい。但し、塩化鉄と同様に、反応促進剤の含有量が減ると二酸化炭素の吸収反応自体が衰え、増えると反応は衰えないものの二酸化炭素固定分離材料の単位重量当たりの二酸化炭素固定量が減少するため、より望ましくは5~10重量%である。
また、反応促進剤においてはいずれか1つのみに限定するものではなく、複数種類の反応促進剤が含まれてもよい。
なお、本願においては基材における「炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム」などの「又は」はいずれか一方の場合と両方の場合を含む概念である。また、その「又は」が3以上の化合物を選択する場合にも同様にいずれか一つあるいはその中から選んだ任意の複数の化合物であってもよい。他の発明や実施の形態においても同様である。
また、「結合材」の原料を「結合剤」、「二酸化炭素固定分離材」の原料を「二酸化炭素固定分離材料」としてそれぞれ区別している。
さらに、本願では、このように合成されたセスキ炭酸ナトリウムのような合成物を、特に「炭酸塩合成物」と呼ぶ。そして、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムをナトリウム炭酸塩と呼び、このナトリウム炭酸塩による合成物の場合は、「ナトリウム炭酸塩合成物」、同様に炭酸カリウムと炭酸水素カリウムをカリウム炭酸塩と呼び、このカリウム炭酸塩による合成物を「カリウム炭酸塩合成物」、炭酸セシウムと炭酸水素セシウムをセシウム炭酸塩と呼び、このセシウム炭酸塩による合成物を「セシウム炭酸塩合成物」、炭酸リチウムと炭酸水素リチウムをリチウム炭酸塩と呼び、このリチウム炭酸塩による合成物を「リチウム炭酸塩合成物」と呼び、これらのアルカリ金属の炭酸塩を総称して「アルカリ金属炭酸塩」、アルカリ金属の炭酸塩合成物を総称して「アルカリ金属炭酸塩合成物」と呼ぶ。
本願発明において、基材は、結合材や反応促進剤を担持しつつ、アルカリ金属炭酸塩合成物を生成させるための原料と基礎(土台)を提供するものである。
また、結合剤は後述するとおり、基材と共に100℃から120℃に加熱することで結合材となり、この結合材は以下のような3つの機能を備えている。
1)基材同士を結合させる機能
2)結合材の近傍に反応促進剤を保持する機能
3)結合材の近傍に小さなナトリウム炭酸塩等の小さなアルカリ金属炭酸塩を保持する機能
3)の機能はセスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩合成物が分解して生じる炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩が、結合材近傍に再析出することによって発揮されるものである。
結合材がない場合には、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩の結晶が大きくなる、または、反応促進剤が近くにない不特定の場所に析出するため、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩合成物の生成が起こり難くなってしまうのである。
二酸化炭素固定分離材の構造を維持するためには1)の機能が必要であり、二酸化炭素の吸収には2)と3)の機能が必要である。
次に、反応促進剤の機能はアルカリ金属炭酸塩合成物の生成の促進である。
反応促進剤を添加しない場合には、アルカリ金属炭酸塩合成物の生成が遅くなり、条件によっては生成しない。すなわち、反応促進剤は、アルカリ金属炭酸塩合成物の生成に不可欠である。また、反応促進剤は結合剤と可溶性の塩を形成することが必要であり、本願発明では、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウム等の塩化物を使用しているが、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩も選択可能である。
また、塩化鉄等の結合剤を添加して酸化鉄や水酸化鉄等の結合材を合成させる理由は、二酸化炭素固定分離材を、二酸化炭素を分離・放出する温度まで加熱した後の冷却過程で、この結合材がアルカリ金属炭酸塩合成物の生成起点になると考えられるためである。
すなわち、結合材近傍に、小さな結晶のアルカリ炭酸塩と小さな結晶の塩化ナトリウムが隣り合って生成されるため、結合材近傍がアルカリ金属炭酸塩合成物の生成起点となるためである。また、一度、生成したアルカリ金属炭酸塩合成物が加熱によって分解したときに生じるアルカリ金属炭酸塩が結合材近傍に小さな結晶として再び析出するため、生成起点が回復する。結合材が全くないあるいは少ない場合には、アルカリ金属炭酸塩の結晶が大きく成長してしまう。または、反応促進剤の存在しない場所に析出してしまうため、アルカリ金属炭酸塩合成物の生成が遅くなり、結果として二酸化炭素の吸収量が少なくなってしまうのである。アルカリ金属炭酸塩合成物の生成起点が多い場合、結果として、二酸化炭素の吸収速度が速く、吸収量も多くなるのである。また、結合材が、反応促進剤を安定して保持できることから、本発明材料が繰り返して使用しても安定して二酸化炭素を吸収できる。
結合材としては酸化鉄や水酸化鉄等の鉄化合物の他、ニッケル化合物やマンガン化合物を用いても同様の効果を発揮させることが可能である。また、これらの化合物に対する基材や反応促進剤の作用・効果も同様である。
セスキ炭酸ナトリウムは、特許文献4の図1に示されるように、温度と相対湿度によって形態が変化する化合物である。具体的には、ウエグシャイダー塩(3NaHCO・NaCO)や炭酸ソーダ1水塩(NaCO・HO)、炭酸ソーダ10水塩(NaCO・10HO)等の炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを組み合せた形態に変化することが知られており、乾燥状態で加熱すると無水の炭酸ナトリウムになる。
セスキ炭酸ナトリウムは、60℃程度以上に加熱した場合、式(A)のように分解し、二酸化炭素を分離する。なお、この式(A)は他のアルカリ金属炭酸塩合成物、例えばセスキ炭酸リチウム、セスキ炭酸カリウム及びセスキ炭酸セシウムにおいても、それぞれNaイオンに代えてLiイオン、Kイオン、Csイオンとすれば成立する化学反応式である。後述の逆の式(B)も同様である。
Figure 0007438582000002
また、二酸化炭素固定分離材料における結合材の合成温度は、カリウム炭酸塩とセシウム炭酸塩を基材とする場合はナトリウム炭酸塩と同様の120℃程度までの加熱であるが、リチウム炭酸塩を基材とする場合は100℃程度までの加熱となる。
結合材が合成され二酸化炭素固定分離材が合成された後に60℃程度まで冷却されると、その状態から室温の範囲で二酸化炭素が吸収されて、セスキ炭酸ナトリウムが生成される。その後、再度60℃程度まで加熱すると、式(A)で示されるように二酸化炭素と水を分離・放出し、炭酸ナトリウムが析出される。この析出は、(大きな)炭酸ナトリウムの表面の結合材(酸化鉄又は水酸化鉄)近傍に(小さな)炭酸ナトリウムと反応促進剤である塩化ナトリウムの析出である。
そして、本願発明の二酸化炭素固定分離材に生成されたセスキ炭酸ナトリウムが炭酸ナトリウムに分解された後には、常圧で常温の範囲から60℃程度までにおいて、式(B)のように再度二酸化炭素を吸収・固定し、再度セスキ炭酸ナトリウムとして固定化させることができる。このとき、結合材(酸化鉄又は水酸化鉄)近傍の小さな炭酸ナトリウムと反応促進剤(塩化ナトリウム)を起点としてセスキ炭酸ナトリウムが形成されるのである。
さらに、式(A)と式(B)の反応を繰り返した場合でも吸収と固定化の効率の低下が見られず耐久性を発揮することも本願発明の大きな特徴である。
Figure 0007438582000003
ナトリウム以外のアルカリ金属炭酸塩合成物でもナトリウム炭酸塩合成物と同様に、常圧で常温の範囲から60℃程度までにおいて二酸化炭素を吸収・固定することが可能であり、60℃程度以上で100℃程度までの加熱により十分に二酸化炭素を分離・放出することが可能であることを発明者らは実験を通じて確認し、本願の発明に至ったのである。
第1の発明では、二酸化炭素固定分離材料として、基材としてのナトリウム炭酸塩と、結合剤としての塩化鉄と、反応促進剤としての塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウムとを混合する。
このように構成される二酸化炭素固定分離材料は、基材としての炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムが、混合物はもちろん、それぞれ単体であっても、水や二酸化炭素が存在する環境下で前述の結合剤と共に120℃程度に加熱されると、結合剤の塩化鉄が酸化鉄又は水酸化鉄に変化して結合材となり、この結合材と反応促進剤が基材に担持されるように作用する。
第2の発明である二酸化炭素固定分離材料は、基材として、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムと、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤として、塩化鉄、硝酸鉄、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩化マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン又は水酸化マンガンと、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための反応促進剤として、塩化ナトリウムと、を混合してなることを特徴とするものである。
第1の発明と同様に、式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物(セスキ炭酸ナトリウム)に対する塩化鉄等の結合剤の含有率は、0.1~30重量%であることが望ましい。また、第1の発明と同様の理由により、結合剤のより望ましい含有率は5~10重量%である。結合剤においてはいずれか1つのみに限定するものではなく、複数種類の結合剤が含まれていてもよい。
さらに、式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物に対する反応促進剤としての塩化ナトリウムの含有率も、0.1~30重量%であることが望ましく、第1の発明と同様の理由により、反応促進剤のより望ましい含有率は5~10重量%である。
また、結合剤においてはいずれか1つのみに限定するものではなく、複数種類の結合剤が含まれてもよい。
このように構成される二酸化炭素固定分離材料は、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムが、混合物はもちろん、それぞれ単体であっても、水や二酸化炭素が存在する環境下で前述の結合剤と共に120℃程度に加熱されると、結合剤の塩化鉄、硝酸鉄、酸化鉄又はオキシ水酸化鉄が酸化鉄又は水酸化鉄に、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル又は水酸化ニッケルが酸化ニッケル又は水酸化ニッケルに、塩化マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン又は水酸化マンガンが酸化マンガン又は水酸化マンガンに変化して結合材となり、この結合材と反応促進剤が基材に担持されるように作用する。なお、塩化鉄等の結合剤及び塩化ナトリウムは添加されても触媒のように働くためセスキ炭酸ナトリウムには含まれず、セスキ炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムの単体あるいは混合物と環境下の水及び二酸化炭素から合成される合成物である。
第3の発明である二酸化炭素固定分離材料は、基材として、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム又は炭酸水素セシウムと、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤として、塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガンと、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための反応促進剤として、塩化ナトリウムと、を混合してなることを特徴とするものである。
Figure 0007438582000004
Figure 0007438582000005
Figure 0007438582000006
第1や第2の発明と同様に、式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物に対する塩化鉄等の結合剤の含有率は、0.1~30重量%であることが望ましい。また、第1や第2の発明と同様の理由により、塩化鉄等の結合剤のより望ましい含有率は5~10重量%である。結合剤においてはいずれか1つのみに限定するものではなく、複数種類の結合剤が含まれていてもよい。
さらに、式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物に対する反応促進剤である塩化ナトリウムの含有率も、0.1~30重量%であることが望ましく、第1や第2の発明と同様の理由により、反応促進剤のより望ましい含有率は5~10重量%である。
なお、炭酸リチウム等の基材においてもいずれか1つのみに限定するものではなく、複数種類の基材が含まれてもよい。
このように構成される二酸化炭素固定分離材料は、基材としての炭酸リチウムや炭酸水素リチウム等が、混合物はもちろん、それぞれ単体であっても、水や二酸化炭素が存在する環境下で前述の結合剤と共に、基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウムの場合は100℃に、基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウム以外の場合は120℃に加熱されると、結合剤の塩化鉄が酸化鉄又は水酸化鉄に、塩化ニッケルが酸化ニッケル又は水酸化ニッケルに、塩化マンガンが酸化マンガン又は水酸化マンガンに変化して結合材となり、この結合材と反応促進剤が基材に担持されるように作用する。なお、塩化鉄等の結合剤及び反応促進剤としての塩化ナトリウムは添加されても触媒のように働くためセスキ炭酸リチウム等には含まれず、セスキ炭酸リチウム等は、炭酸リチウム等や炭酸水素リチウム等の単体あるいは混合物と環境下の水及び二酸化炭素から合成される合成物である。
第4の発明である二酸化炭素固定分離材の製造方法は、
第1乃至第3の発明のいずれか1つに記載の二酸化炭素固定分離材料を、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウムの場合は前記基材と共に100℃に、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウム以外の場合は前記基材と共に120℃に加熱して前記結合材を生成する工程を有して、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させることを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離材の製造方法は、結合材と反応促進剤を基材に担持させて、二酸化炭素固定分離材を合成するように作用する。
第5の発明である二酸化炭素固定分離材は、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄を前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させたことを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離材は、常圧で常温から60℃程度までの温度範囲に維持して二酸化炭素を含む気体を接触させることで、二酸化炭素を吸収させて先の式(1)で示されるアルカリ金属炭酸塩合成物(セスキ炭酸ナトリウム)を生成するように作用する。また、このアルカリ金属炭酸塩合成物を60℃程度から100℃程度に加熱すると二酸化炭素を分離して二酸化炭素固定分離材を復元するように作用する。
第6の発明である二酸化炭素固定分離材は、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、硝酸鉄、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩化マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン又は水酸化マンガンを前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させたことを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離材は、常圧で常温から60℃程度までの温度範囲に維持して二酸化炭素を含む気体を接触させることで、二酸化炭素を吸収させて先の式(1)で示されるアルカリ金属炭酸塩合成物(セスキ炭酸ナトリウム)を生成するように作用する。また、このアルカリ金属炭酸塩合成物を60℃程度から100℃程度に加熱すると二酸化炭素を分離して二酸化炭素固定分離材を復元するように作用する。
第7の発明である二酸化炭素固定分離材は、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム又は炭酸水素セシウムを基材とし、前記基材同士をに結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガンに対し、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウムの場合は前記基材と共に100℃に、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウム以外の場合は前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させたことを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離材は、常圧で常温から60℃程度までの温度範囲に維持して二酸化炭素を含む気体を接触させることで、二酸化炭素を吸収させて先の式(2)-(4)で示されるアルカリ金属炭酸塩合成物(セスキ炭酸リチウム、セスキ炭酸カリウム、セスキ炭酸セシウム)を生成するように作用する。また、このアルカリ金属炭酸塩合成物を60℃程度から100℃程度に加熱すると二酸化炭素を分離して二酸化炭素固定分離材を復元するように作用する。
第8の発明である二酸化炭素固定分離材は、第6の発明である二酸化炭素固定分離材において、前記オキシ水酸化鉄は50nm以下の細孔を含む多孔質担体であることを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離材は、多孔質担体は吸湿性を備えていることから、二酸化炭素固定分離材の二酸化炭素吸収速度を速める作用を促進する。具体的には、多孔質担体の孔内の水分に炭酸塩を構成するアルカリ金属が溶け込み、アルカリ金属炭酸塩合成物が形成され、加熱によって二酸化炭素が放出されるものの、孔内の水は大部分が残っていると考えられ、二酸化炭素を吸収する反応の際には、二酸化炭素と反応する前に反応に必要な水分との反応が起こり、続いて二酸化炭素が反応するため、水分をできるだけ早く吸収できる構造又は水分を保持している構造になっている方が有利と考えられる。
また、オキシ水酸化鉄による多孔質担体であれば、含められても二酸化炭素固定分離材による二酸化炭素の吸収・固定及び分離・放出の反応に対して悪影響を及ぼすことがなく、水分を保持する細孔のみを提供するように作用する。
第9の発明である二酸化炭素固定分離装置は、第5乃至第8の発明のいずれか1つに記載された二酸化炭素固定分離材と、この二酸化炭素固定分離材を加熱する熱源と、この熱源と前記二酸化炭素固定分離材を収容する容器と、を有し、この容器は二酸化炭素を含む気体を吸入する吸気口と、前記容器から前記気体を放出する排気口と、前記吸気口から前記気体を吸入するための吸気ポンプ及び前記排気口から前記気体を排出するための排気ポンプのいずれか1つ又は両方と、を含むことを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離装置は、二酸化炭素を含む気体を吸入し、二酸化炭素固定分離材で二酸化炭素を吸収して固定し、その後熱源で100℃程度以下に加熱して二酸化炭素固定分離材で固定された二酸化炭素を分離・放出するように作用する。
熱源は二酸化炭素固定分離材に固定された二酸化炭素を分離可能な100℃程度以下まで加熱可能であれば特に限定するものではなく、例えば熱を発生させるヒーターを設けたり、熱媒体を流動させるような構成としてもよい。加熱方法も二酸化炭素固定分離材と接触させて伝熱による直接加熱としてもよいし、非接触として輻射や対流による間接的な加熱としてもよい。吸気ポンプや排気ポンプは容器内に収容された二酸化炭素固定分離材に二酸化炭素を含む気体を供給して二酸化炭素を吸収して固定させたり、あるいは二酸化炭素固定分離材に固定された二酸化炭素を分離して放出したりするためのものであるので、気流を生じさせることが可能であれば、いずれか一方でもよいし、両方設置されていてもよい。
第10の発明である二酸化炭素固定分離方法は、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄を前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化鉄又は水酸化鉄を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させた二酸化炭素固定分離材を常圧で常温から60℃までの温度範囲に維持し、前記二酸化炭素固定分離材に二酸化炭素を含む気体を接触させ前記二酸化炭素を吸収させて前記アルカリ金属炭酸塩合成物を生成する二酸化炭素固定工程と、前記アルカリ金属炭酸塩合成物を熱源で60℃から100℃に加熱して前記二酸化炭素を分離させ前記二酸化炭素固定分離材を復元する二酸化炭素分離工程と、を有することを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離方法は、二酸化炭素固定工程が二酸化炭素固定分離材によって二酸化炭素を吸収して固定するように作用し、二酸化炭素分離工程が二酸化炭素固定分離材から二酸化炭素を分離して放出するように作用し、その結果、二酸化炭素固定分離材を復元するように作用する。
第11の発明である二酸化炭素固定分離方法は、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、硝酸鉄、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩化マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン又は水酸化マンガンを前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させた二酸化炭素固定分離材を常圧で常温から60℃までの温度範囲に維持し、前記二酸化炭素固定分離材に二酸化炭素を含む気体を接触させ前記二酸化炭素を吸収させて前記アルカリ金属炭酸塩合成物を生成する二酸化炭素固定工程と、前記アルカリ金属炭酸塩合成物を熱源で60℃から100℃に加熱して前記二酸化炭素を分離させ前記二酸化炭素固定分離材を復元する二酸化炭素分離工程と、を有することを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離方法は、用いられる二酸化炭素固定分離材の結合材と反応促進剤が異なるものの、その作用は第10の発明に係る二酸化炭素固定分離方法と同じである。
第12の発明である二酸化炭素固定分離方法は、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム又は炭酸水素セシウムを基材とし、前記基材同士をに結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガンに対し、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウムの場合は前記基材と共に100℃に、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウム以外の場合は前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させた二酸化炭素固定分離材を常圧で常温から60℃までの温度範囲に維持し、前記二酸化炭素固定分離材に、二酸化炭素を含む気体を接触させて前記アルカリ金属炭酸塩合成物を生成する二酸化炭素固定工程と、前記アルカリ金属炭酸塩合成物を熱源で60℃から100℃に加熱して前記二酸化炭素を分離させ前記二酸化炭素固定分離材を復元する二酸化炭素分離工程と、を有することを特徴とするものである。
このように構成される二酸化炭素固定分離方法は、用いられる二酸化炭素固定分離材の基材、結合材及び反応促進剤が異なるものの、その作用は第10の発明に係る二酸化炭素固定分離方法と同じである。
本発明の二酸化炭素固定分離材料によれば、100℃程度から120℃程度まで加熱して冷却することで二酸化炭素固定分離材を合成可能である。また、二酸化炭素固定分離材料は安全で安価で調達も容易である。
また、本発明の二酸化炭素固定分離材の製造方法は、二酸化炭素固定分離材料を100℃から120℃で加熱する工程という容易に実施可能な工程によって、二酸化炭素固定分離材を製造することが可能である。
この二酸化炭素固定分離材は気体中の二酸化炭素を常温・常圧下で効率的に吸収・固定してアルカリ金属炭酸塩合成物を合成することが可能であるので、二酸化炭素の貯蔵も可能である。そして、100℃程度以下の低温でアルカリ金属炭酸塩合成物から二酸化炭素を分離・放出することが可能である。
さらに、アルカリ金属炭酸塩合成物が加熱により瞬時に二酸化炭素を放出することで二酸化炭素固定分離材が復元され、この二酸化炭素固定分離材の繰り返し使用による効率の低下も見られないので、耐久性を有する二酸化炭素固定分離材を提供することが可能である。
また、本発明の二酸化炭素固定分離装置や二酸化炭素固定分離方法においても、安全かつ容易に気体中の二酸化炭素を常温・常圧下で効率的に吸収・固定することが可能であり、100℃程度以下の低温で二酸化炭素を分離・放出することも可能である。さらに効率の低下なく長期間反復して使用することが可能である。
本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材料から二酸化炭素固定分離材が製造される状態を示す概念図であり、(a)は二酸化炭素固定分離材料の構成の概念図であり、(b)は製造された二酸化炭素固定分離材の構成の概念図である。 本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材の製造方法のフロー図である。 本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置を示す概念図である。 本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置のチャンバー(容器)の変形例を示す概念図である。 本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材を用いた二酸化炭素固定分離方法のフロー図である。 本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材を用いて二酸化炭素が固定・分離される状態を示す概念図であり、(a)は二酸化炭素を吸収する前の二酸化炭素固定分離材の状態の概念図、(b)は二酸化炭素を吸収して固定した後の二酸化炭素固定分離材の状態の概念図、(c)は二酸化炭素を分離して放出した二酸化炭素固定分離材が復元された状態の概念図である。 (a)は本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材を用いて二酸化炭素を吸収して固定した後の二酸化炭素固定分離材表面の電子顕微鏡画像であり、(b)は固定された二酸化炭素を分離・放出した後の二酸化炭素固定分離材表面の電子顕微鏡画像であり、(c)は(b)の一部を拡大した電子顕微鏡画像である。 図6(a)-(c)に示されるサイクルを300回実施して、図3に示される二酸化炭素固定分離装置から入口弁と出口弁及び排気ポンプを除いた装置を用いて分離・放出される二酸化炭素の変化を二酸化炭素濃度計を用いて測定した結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る実施例1-1に係る二酸化炭素固定分離材による二酸化炭素吸収と放出の特性を示すグラフである。 本発明の実施例1-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を示すグラフである。 本発明の実施例1-1と比較例1-2の二酸化炭素固定分離材をX線回折で組成分析した結果を示すチャートである。 本発明の実施例3-2~4に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を示すグラフである。 本発明の実施例3-5~8に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を示すグラフである。 本発明の実施例3-9~12に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を示すグラフである。 本発明の実施例5-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を比較例5と比較して示すグラフである。 本発明の実施例6-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を比較例6と比較して示すグラフである。 本発明の実施例7-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を比較例7と比較して示すグラフである。 本発明の実施例8-1及び8-2に係る二酸化炭素固定分離材による二酸化炭素放出と吸収の特性を示すグラフである。 比較例8-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を示すグラフである。
以下に、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材料とその二酸化炭素固定分離材料から合成される二酸化炭素固定分離材とその製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。図1(a)は二酸化炭素固定分離材料の構成の概念図であり、(b)は製造された二酸化炭素固定分離材の構成の概念図である。また、図2は本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材の製造方法、すなわち、二酸化炭素固定分離材の合成工程を示すフロー図である。
図1(a)において、二酸化炭素固定分離材料は、二酸化炭素固定分離材(図1(b)の符号4a参照)の基材となる炭酸ナトリウム1a又は炭酸水素ナトリウム1bと、基材同士を結合させる結合材の原料である結合剤としての塩化鉄2と、この塩化鉄2と可溶性の塩を形成するとともにアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための反応促進剤としての塩化ナトリウム3を有し、これらを混合してなるものである。
また、図1(b)では、二酸化炭素固定分離材料の基材としての炭酸ナトリウム1a又は炭酸水素ナトリウム1bに対して、結合剤としての塩化鉄2から加熱によって結合材としての酸化鉄2a又は水酸化鉄2bへ変化して、反応促進剤としての塩化ナトリウム3と共に基材に担持された状態の概念を示している。
図2においては、ステップS1として二酸化炭素固定分離材料をポリエチレングリコール等と共に乳鉢で混合してペースト状とし、このペーストを100℃程度から120℃程度で30分程度加熱する工程として示されている。このステップS1で結合剤が結合材へ変化している。
次に、ステップS2は加熱後の二酸化炭素固定分離材料の結合剤が結合材となって、反応促進剤とともに基材に担持させる工程である。担持は結合材である酸化鉄2a又は水酸化鉄2bが基材である炭酸ナトリウム1a又は炭酸水素ナトリウム1b同士間を結合することによってなされる。
ステップS3は基材に結合材と反応促進剤が担持されたことによって二酸化炭素固定分離材4aが合成される工程である。
したがって、ステップS1の後にステップS2、その後にステップS3としたが、ステップS1、ステップS2及びステップS3はほぼ同時に起こることになる。
ステップS4は合成された二酸化炭素固定分離材4aを60℃程度まで冷却する工程である。このステップS4は強制的に冷却する必要はなく、100℃程度から120℃程度まで加熱された状態から自然冷却でよい。したがって、本実施の形態においては含めたが含めなくともよい。
次に、図3~8を参照しながら、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置と二酸化炭素固定分離材を用いて二酸化炭素を固定・分離する方法について説明する。図3は本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置を示す概念図である。
図3において、二酸化炭素固定分離装置11は、空気等の気体26を取り入れる吸気口13を備えて容器としてのチャンバー16aに接続される吸入配管12と、この吸入配管12の途中に設けられた吸気ポンプ14と、この吸気ポンプ14とチャンバー16aの間に設けられた入口弁15と、チャンバー16aの出口側に接続される放出配管20と、この放出配管20の気体32の排気口23とチャンバー16aの間に接続される出口弁19、排気ポンプ21及び二酸化炭素濃度計22とを有している。
なお、入口弁15と出口弁19は開度を調整可能なコントロール弁を採用しつつ、吸気ポンプ14及び排気ポンプ21に設けられる出力の制御装置(図示せず)と相俟って気体26の取入れ量や気体32の排出量を調整するが、吸気ポンプ14及び排気ポンプ21の出力のみでも気体26の取入れ量や気体32の排出量は調整可能である場合も多いため、必ずしも開度調整は必要ではなく全閉と全開のみのオンオフ弁であってもよい。また、逆に吸気ポンプ14又は排気ポンプ21の出力が制御されない場合に入口弁15と出口弁19をコントロール弁としてチャンバー16aへの気体26の取入れ量や気体32の排出量を調整してもよい。
さらに、本実施の形態においては吸気ポンプ14と排気ポンプ21を、チャンバー16aを挟んでそれぞれ吸気口13側と排気口23側に設けたが、いずれか一方で気体26,32の流量として十分確保可能であれば、いずれか一方のみ設けてもよい。ただ、チャンバー16aの上流側と下流側で気体流量や気体の圧力を安定した一定流量で維持するためには両方設置することが望ましい。
チャンバー16a内には二酸化炭素固定分離材17が熱源としてのヒーター18に接触するようにして収容されている。
吸入配管12における吸気ポンプ14と入口弁15の配置及び放出配管20における出口弁19、排気ポンプ21と二酸化炭素濃度計22の配置は、図3に示される順序に限定するものではなく、チャンバー16aやその内部の二酸化炭素固定分離材17及びヒーター18も含めてこれらの構成要素が安全かつ安定して運用可能であれば、その順序、配置に自由度を持たせてもよい。
次に、熱源としてヒーター18に代えて熱媒体25を用いる変形例について図4を参照しながら説明する。図4は本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置のチャンバーの変形例を示す概念図である。
図4において、チャンバー16b内に金属プレート27と二酸化炭素固定分離材28を張り合わせて平行に対向した平板状あるいは筒状に形成させた熱媒体流路29内と気体流路30内のそれぞれに、チャンバー16b外から供給される熱媒体25と二酸化炭素を固定したり分離するために二酸化炭素を含有する空気等の気体26をそれぞれ流通させ、熱媒体流路29と気体流路30のそれぞれの出口から排出される熱媒体31と気体32はチャンバー16b外へ排出される。
熱媒体25はチャンバー16b外で加熱された水あるいは油等であるが、その加熱方法や媒体は特に限定するものではなく、熱媒体流路29内へ流入可能で金属プレート27や二酸化炭素固定分離材28を加熱可能であればよい。
二酸化炭素固定分離装置11の作動の説明は、図5から図7も参照しながら、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離方法の説明も兼ねて行う。
なお、図3及び図4に記載される気体26と気体32は、二酸化炭素の吸収・固定を行う場合では、少なくとも気体26が二酸化炭素を含む必要があり、二酸化炭素固定分離材17で固定されるため、二酸化炭素濃度は気体26よりも気体32の方が低くなる。逆に、二酸化炭素の分離・放出を行う場合では、二酸化炭素濃度は気体26よりも気体32の方が高くなる。
図5は二酸化炭素固定分離材を用いた二酸化炭素固定分離方法のフロー図であり、図6(a)は二酸化炭素を吸収する前の状態、(b)は二酸化炭素を吸収して固定した後の状態、(c)は二酸化炭素を分離・放出して二酸化炭素固定分離材が復元された状態を示す概念図である。また、図7(a)は本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材を用いて二酸化炭素を吸収して固定した後の二酸化炭素固定分離材表面の電子顕微鏡画像であり、(b)は固定された二酸化炭素を分離・放出した後の二酸化炭素固定分離材表面の電子顕微鏡画像であり、(c)は(b)の一部を拡大した電子顕微鏡画像である。なお、図7において、二酸化炭素の吸収は常温(室温)で行い放出は86℃で行った。
図5において、実施の形態に係る二酸化炭素固定分離方法24は、大きく、二酸化炭素固定工程と二酸化炭素分離工程から構成され、それぞれの工程はさらにステップS5~S10の6工程、ステップS11~S16の6工程から構成されている。これらのステップの右側に付された符号は図1,3,4,6に示された二酸化炭素固定分離材4a,4b、二酸化炭素固定分離装置11とそれに含まれるチャンバー16aとその内部に収容された二酸化炭素固定分離材17、さらに変形例であるチャンバー16bとその内部に収容された二酸化炭素固定分離材28を含めて機能する構成要素を示しているが、以下の説明では図3に示される二酸化炭素固定分離装置11における符号を代表符号として付して説明する。また、後述する二酸化炭素固定分離材料と二酸化炭素固定分離材の実施例における説明も同様とする。
図5中、ステップS5~S10の二酸化炭素固定工程は、二酸化炭素固定分離材17が二酸化炭素の吸収・固定を行って、アルカリ金属炭酸塩合成物(セスキ炭酸ナトリウム5)を生成する工程である。まず、図2で示される工程で合成された二酸化炭素固定分離材4aを二酸化炭素固定分離装置11のチャンバー16a内に設置し、ステップS5に示されるとおり、二酸化炭素固定分離材17の温度を常温から60℃程度までに維持する。この常温が含まれるために特に加熱を要しないので熱源の起動についての記載はないが、常温からさらに60℃までの高温にする場合には熱源としてヒーター18を起動させてもよい。
このステップS5の状態にある二酸化炭素固定分離材17を概念図として示すのが図6(a)の二酸化炭素固定分離材4aである。この二酸化炭素固定分離材4aは既に説明した図1(b)の二酸化炭素固定分離材4aと同じであるが、炭酸ナトリウム1a又は炭酸水素ナトリウム1bに結合材としての酸化鉄2a又は水酸化鉄2bと塩化ナトリウム3を担持させて合成される二酸化炭素固定分離材である。
次に、チャンバー16a内に二酸化炭素を含んだ気体26を取り入れるために、ステップS6として吸入配管12上の入口弁15及び放出配管20上の出口弁19を開く。その後、ステップS7として吸気ポンプ14及び排気ポンプ21を起動し、ステップS8として吸気口13から二酸化炭素を含む空気等の気体26をチャンバー16a内に取り込む。吸気ポンプ14はチャンバー16a側に送風しているので、吸気口13側は負圧となり、吸気口13から気体26がチャンバー16a内に送風される。
ステップS9では、チャンバー16a内の二酸化炭素固定分離材17が、取り込まれた気体に含まれる二酸化炭素を吸収し固定する。このステップS9ではヒーター18は起動されておらず常温・常圧で二酸化炭素は吸収される。また、排気ポンプ21が放出配管20の排気口23側へ送風しているので、チャンバー16a側が負圧となり、二酸化炭素が吸収された気体32は放出配管20の排気口23から排出される。その際に二酸化炭素濃度計22は放出される気体32の二酸化炭素濃度を測定する。
ステップS9で二酸化炭素を吸収した二酸化炭素固定分離材17では、アルカリ金属炭酸塩合成物(セスキ炭酸ナトリウム5)が生成される(ステップS10)。
このステップS10の状態にある二酸化炭素固定分離材17を概念図として示すのが図6(b)の二酸化炭素固定分離材4bである。
この図6(b)において、炭酸ナトリウム1a又は炭酸水素ナトリウム1bに担持された結合材としての酸化鉄2a又は水酸化鉄2bは、二酸化炭素を放出したときに生成する炭酸ナトリウム1aや炭酸水素ナトリウム1bのサイズを小さく抑え、かつ酸化鉄2a又は水酸化鉄2bの近傍に析出させる機能を有する。また、炭酸ナトリウム1aや炭酸水素ナトリウム1bの構造の上に結合材としての酸化鉄2a又は水酸化鉄2bが均一に分散し、かつ、その酸化鉄2a又は水酸化鉄2b周辺の針状の炭酸ナトリウム1aや炭酸水素ナトリウム1b同士が結合材としての酸化鉄2a又は水酸化鉄2bによって強固に結合されているため、ミクロ的な構造の崩壊を防ぐ役割を果たしている。また、吸湿し水分が多量にある場合でも、炭酸ナトリウム1aや炭酸水素ナトリウム1bのアルカリ成分(ナトリウム)の溶解溶出を抑える働きがあり、アルカリ成分を凝集なく担持できている。
また、二酸化炭素固定分離材4bにおける反応促進剤としての塩化ナトリウム3は、水分量によって完全に溶解されるものではなく、そのため、図6(b)に示すとおり、大部分の塩化ナトリウム3は、構造体内に均一に結晶として析出したままとなっている。セスキ炭酸ナトリウム5の生成時に塩化ナトリウム3の必要量が溶解するものの、その後に二酸化炭素を分離させるために加熱するときに結合材である酸化鉄2a又は水酸化鉄2b近傍に再析出すると考えられる。
そして、このステップS10の二酸化炭素固定分離材17(図6(b)の二酸化炭素固定分離材4b)の表面を電子顕微鏡で撮影した画像が図7(a)である。セスキ炭酸ナトリウム5の生成が表面に現れている状態が、二酸化炭素を分離・放出した後の二酸化炭素固定分離材17の表面の画像(図7(b))と比較するとよく理解できる。
次に、ステップS11からステップS16の二酸化炭素分離工程において、二酸化炭素固定分離材17から二酸化炭素を分離して放出する場合について説明する。
ステップS11として、ステップS6と同様に吸入配管12上の入口弁15及び放出配管20上の出口弁19を開く。そして、ステップS12で熱源としてヒーター18を起動して二酸化炭素固定分離材17を加熱する。ここで、図3に示される実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置11では熱源としてヒーター18を使用するが、図4に示されるその変形例では、熱源として熱媒体流路29内へ供給する熱媒体25を利用して二酸化炭素固定分離材28を加熱する。
ステップS13として吸気ポンプ14及び排気ポンプ21を起動し外部から空気等の気体26(外気)を取り入れつつ、ステップS14としてヒーター18の起動によって加熱された二酸化炭素固定分離材17から二酸化炭素が分離される。分離された二酸化炭素は吸気ポンプ14によって取り入れられた外気と共にチャンバー16aから放出配管20、排気ポンプ21及び二酸化炭素濃度計22を介して排気口23から放出される(ステップS15)。その際に二酸化炭素濃度計22は放出される気体の二酸化炭素濃度を測定する。
なお、ヒーター18による加熱は60~100℃程度で行うことができる。低温で可能であることから、エネルギー消費も少ないので、常温・常圧での二酸化炭素吸収・固定はもちろんのこと、分離・放出の際にも必要なエネルギーを得るために排出される二酸化炭素を抑制することが可能である。もちろん、ヒーター18の性能からすれば100℃程度以上に加熱することも可能であるが、再生可能エネルギーを用いて容易に取り出せる100℃程度以下で運転することが望ましい。
また、二酸化炭素固定分離装置11では二酸化炭素固定分離材17とヒーター18を直接接触させることで、より効率的に加熱することが可能となり、二酸化炭素固定分離材17に固定された二酸化炭素を短時間で放出させることが可能である。但し、必ずしも直接接触させる必要はなく、間接的な手段、例えば、二酸化炭素固定分離装置11の変形例であるチャンバー16b内で熱媒体25を金属プレート27で構成される熱媒体流路29内を流動させて、その金属プレート27からの伝熱で二酸化炭素固定分離材28を60℃程度から100℃程度に加熱するような場合でもよい。この場合は温度変化が緩和され安定して変動の少ない温度で加熱することが可能である。二酸化炭素固定分離装置11においても、二酸化炭素固定分離材17と離して設置したヒーター18で発生した熱の輻射による加熱でもよい。
また、ヒーター18に対し、二酸化炭素固定分離材17の表面温度が前述の60~100℃程度に制御する制御装置を設けてもよい。その際に二酸化炭素固定分離材17の表面温度を測定する測定装置を備えて表面温度の測定値を制御装置に入力して制御に供するようにしてもよい。さらに、二酸化炭素固定分離装置11の変形例においては熱媒体流路29の入口と出口における熱媒体25,31の温度を測定し、その温度によって熱媒体25の温度や流量を制御するようにしてもよい。
ステップS16は、ステップS15で二酸化炭素固定分離材17から二酸化炭素が分離・放出された後に二酸化炭素固定分離材17がステップS5で用いられた二酸化炭素固定分離材17と同様の材料として復元された状態を表す工程である。
この復元された状態にある二酸化炭素固定分離材17を概念図として示すのが図6(c)の二酸化炭素固定分離材4aである。図6(c)に示すとおり、二酸化炭素固定分離材4bから二酸化炭素6が分離・放出され、また、水7も放出されて塩化ナトリウム3が再析出し、結合材である酸化鉄2a又は水酸化鉄2bと複合化構造を形成してセスキ炭酸ナトリウム5を生成する前の図6(a)に示された二酸化炭素固定分離材4aに復元されている。
この二酸化炭素固定分離材17(図6(c)の二酸化炭素固定分離材4a)の表面を電子顕微鏡で撮影した画像が図7(b)である。図7(a)と比較するとセスキ炭酸ナトリウム5が分解して二酸化炭素6や水7が分離・放出されて基材としての炭酸ナトリウム1aが析出している状態が把握できる。
また、図7(c)は図7(b)の一部を拡大した画像であるが、図7(c)中の白矢印で示されるのがセスキ炭酸ナトリウム5が分解して析出した(小さな)炭酸ナトリウム1aである。この炭酸ナトリウム1aは10μm以下のサイズで鉄組成(酸化鉄2a又は水酸化鉄2b)の表面に形成されていることが確認された。但し、塩素成分(塩化ナトリウム3)は形状としては確認できないものの、走査電子顕微鏡(SEM)のエネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いると塩素成分が検出された。したがって、図6(b)を参照しながら説明したとおり、炭酸ナトリウム1aが小さなサイズで保たれ、そのことによってセスキ炭酸ナトリウム5の生成起点となるものと考えられる。
本実施の形態では、図6(a)-(c)に示されるとおり、炭酸ナトリウム1a又は炭酸水素ナトリウム1bに結合材としての酸化鉄2a又は水酸化鉄2b及び塩化ナトリウム3を担持させた二酸化炭素固定分離材4aに対し、二酸化炭素6を吸収・固定させてセスキ炭酸ナトリウム5を生成した二酸化炭素固定分離材4bとし、その後二酸化炭素6を分離・放出させて二酸化炭素固定分離材4aに復元することで、そのまま再度二酸化炭素6を吸収・固定させ、その後更に二酸化炭素6を分離・放出させるというサイクルを安定した状態で連続させることが可能である。
図8に図6(a)-(c)のサイクルを300回実施して、図3に示される二酸化炭素固定分離装置11から入口弁15と出口弁19及び排気ポンプ21を除いた装置を用いて分離・放出される二酸化炭素濃度の変化を二酸化炭素濃度計22を用いて測定した結果を示す。二酸化炭素濃度の変化曲線の線種とサイクル回数に関する凡例はグラフ外に示すとおりである。
二酸化炭素固定分離材17として炭酸ナトリウム1aに結合剤として塩化鉄2を用いた結合材の酸化鉄2a又は水酸化鉄2bと塩化ナトリウム3を担持させたものを0.1g用い、常温(室温)で大気中の二酸化炭素を吸収させた後、二酸化炭素固定分離材17を100℃程度に加熱して排気口23の二酸化炭素濃度計22で二酸化炭素濃度を測定した。
図8から1回目から300回目まで排出される二酸化炭素濃度が時間の経過と併せて概ね一定であり、二酸化炭素固定分離材17の劣化等がなく、耐久性を備えて安定して二酸化炭素の吸収・固定と分離・放出が可能であることが理解できる。
本実施の形態においては、基材として炭酸ナトリウム1a、結合剤として塩化鉄2、反応促進剤として塩化ナトリウム3を用いて二酸化炭素固定分離材17を合成させたが、実施例として後述するすべての基材、結合剤及び反応促進剤を利用することが可能である。
以下、本実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置11と二酸化炭素固定分離方法24に関する選択的な変形例について説明する。
本実施の形態においては、ステップS11において入口弁15及び出口弁19を開として、ステップS12の熱源(ヒーター18)を起動してから、ステップS13で吸気ポンプ14及び排気ポンプ21を起動して空気等の気体(外気)を取り入れている。この場合はヒーター18の出力に留意する必要があるが、外気を取り入れる前に二酸化炭素固定分離材17を加熱することから、より濃度の高い二酸化炭素をチャンバー16aから放出させることが可能である。
一方、入口弁15及び出口弁19を開いて吸気ポンプ14及び排気ポンプ21を起動させて外気を取り入れてから熱源を起動させてもよい。すなわち、ステップS12とステップS13を入れ替えてもよい。この場合は、先に外気が取り入れられるので、ヒーター18による過熱のリスクを減らすことが可能である。
吸気ポンプ14及び排気ポンプ21の出力を制御することでチャンバー16aから放出される二酸化炭素濃度が制御可能となるので、前述のとおり吸気ポンプ14出力及び排気ポンプ21出力の制御装置を備えていることが望ましい。この制御装置を備える場合にはステップS7の吸気ポンプ14及び排気ポンプ21の起動においても利用可能であり、吸気ポンプ14及び排気ポンプ21で消費される電力と二酸化炭素の吸収・固定の効果との費用対効果のバランスを取ることが可能となる。
また、本実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置11では二酸化炭素濃度計22を備えたが、二酸化炭素濃度計22は選択的な構成要素であり、放出配管20から放出される気体の二酸化濃度を測定する必要がない場合には設けなくともよい。加えて、入口弁15や出口弁19も選択的な構成要素であり、吸入配管12から常に気体を取り入れて放出配管20から常に気体を放出することで足りる場合は設けなくともよい。その場合は入口弁15や出口弁19を開閉することによる効果が発揮されないものの、二酸化炭素固定分離材17による二酸化炭素の吸収・固定や分離・放出に関する効果は発揮される。また、本実施の形態では吸気ポンプ14と排気ポンプ21の両方を備えているが、いずれか一方でチャンバー16aへの気体の吸入とチャンバー16aからの排出が均一に安定して可能であれば、いずれか一方でもよい。
さらに、本実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置11では気体に対する流量は概ねポンプ出力から求めることが可能であるため流量計を設けていないが、入口弁15や出口弁19の開度も制御する場合も含めて、流量計を設けて気体の流量を測定し、その測定値を吸気ポンプ14や排気ポンプ21の制御装置に入力して吸気ポンプ14や排気ポンプ21の出力制御に供してもよい。
加えて、チャンバー16a自体に吸気口13と入口弁15、排気口23と出口弁19を設け、吸入配管12や放出配管20を設けない構成としてもよい。その場合は二酸化炭素濃度計22も必要に応じてチャンバー16a内の排気口23側に設けるとよい。
二酸化炭素固定分離装置11及び二酸化炭素固定分離方法24によれば、空気等の気体を容易にチャンバー16a内に取り込み、二酸化炭素固定分離材17によって二酸化炭素を吸収・固定し、その後にヒーター18によって二酸化炭素固定分離材17を加熱することで、固定された二酸化炭素を容易に分離して放出させることが可能である。
以上、二酸化炭素固定分離装置11と二酸化炭素固定分離方法24の選択的な変形例については、二酸化炭素固定分離装置11におけるチャンバー16aに代えてチャンバー16bとする変形例においても可能であり、その作用・効果も同様である。
以下、表1~7及び図3,9~19を参照しながら実施例に係る二酸化炭素固定分離材料とそれらから合成された二酸化炭素固定分離材について説明する。
[第1の発明に対応する実施例]
表1は、実施例1-1~2-3に係る二酸化炭素固定分離材料について、その基材の原料(炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム)、反応促進剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウム)及び結合剤(塩化鉄)を用い、加熱して結合材として合成される際(図2のステップS1)の温度、そして結合材と反応促進剤を基材に担持させた二酸化炭素固定分離材17に吸収・固定された二酸化炭素を分離・放出させた際(図5のステップS15)の温度として加熱によって二酸化炭素の放出が始まる開始温度とその後最も放出量が多くなるピーク温度及び二酸化炭素の放出量をまとめたものである。
二酸化炭素の放出量は、二酸化炭素固定分離材17の二酸化炭素吸収前の重量(g)を基準として、吸収後の重量(g)と放出後の重量(g)の差分を率(重量%)として計算したものである。
表1に記載される実施例の二酸化炭素固定分離材17は、基材の原料として炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムを90g、結合剤として塩化鉄を10g、反応促進剤として塩化ナトリウム、塩化カリウムあるいは塩化リチウムを10g、さらに、ポリエチレングリコールを10gとして乳鉢で混合し、ペースト状とし、このペーストをステンレス製の板に厚み500μmで塗布した。続いて、120℃程度で30分間加熱して結合材として酸化鉄又は水酸化鉄を合成し、二酸化炭素固定分離材17の試料を作製した。
Figure 0007438582000007
二酸化炭素の吸収量と放出量は、図3に示される二酸化炭素固定分離装置11から入口弁15と出口弁19及び排気ポンプ21を除いた装置を用いて測定した。チャンバー16aとしては、試料サイズに応じて直径10mmから100mmのものから選択した。気体として空気を用い、流量としては10mL/分から1000mL/分に調整した。さらに、湿度は相対湿度として30~95%の範囲で調整した。二酸化炭素固定分離装置11のヒーター18にはプレート型ヒーターを用いて、室温から120℃程度の範囲で調整した。なお、ここでの室温は13℃である。
二酸化炭素の吸収・固定時間は1~48時間の範囲、二酸化炭素の分離・放出のための加熱は1~2時間とした。二酸化炭素の濃度は、二酸化炭素濃度計22の他、精度を高めるためオルザット分析計を用いて測定した。同時に、二酸化炭素固定分離材17の二酸化炭素と水分の含有量は熱分析により測定した。二酸化炭素固定分離材17の組成は、X線回折装置を用いて分析した。さらに、二酸化炭素固定分離材17の安定性を確認するため、室温(13℃)から100℃程度までの加熱と自然冷却のサイクル試験を10回行い、その平均値をとっている。
表1に示される実施例1-1~3は、いずれも基材の原料として炭酸水素ナトリウム、結合剤として塩化鉄を用い、反応促進剤として塩化ナトリウムの他、塩化カリウムと塩化リチウムを用いている。実験の結果、常温で二酸化炭素を吸収し、その放出も開始温度からピーク温度までいずれも100℃程度以下という低温で二酸化炭素の放出も可能という優れた特性を示している。また、その放出量も2.1重量%から3.9重量%とある程度の量の放出が確認されている。
実施例2-1~3は、基材の原料が炭酸ナトリウムに変更されたのみで、その他結合剤と反応促進剤は実施例1-1~3と同じである。この実験においても同様に二酸化炭素の放出量が1.9重量%から3.1重量%と同様にある程度の量の放出が確認された。
[実施例1-1の二酸化炭素吸収放出特性]
ここで、実施例1-1の二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素吸収と放出の特性を示すグラフを図9に示す。このグラフでは、試料を0.1gとして、取り入れた空気の湿度は60%、二酸化炭素濃度は400ppmであった。また、サイクル試験10回後の特性を示している。なお、その後100回以上安定していることも確認済である。
図9中実線は二酸化炭素の吸収・固定時間(二酸化炭素固定工程)として7時間、その後の二酸化炭素の分離・放出のための加熱(二酸化炭素分離工程)は矢印で示す「加熱開始」から試料を100℃に約2時間加熱して測定された二酸化炭素濃度の変化を示している。破線は二酸化炭素固定工程における二酸化炭素固定分離材17に吸収・固定された二酸化炭素の換算CO重量%(試料重量当たりの重量%)である。一点鎖線は加熱開始時(二酸化炭素分離工程)から、二酸化炭素固定分離材17から分離・放出された二酸化炭素の換算CO重量%である。
図9に示すとおり、二酸化炭素固定工程においては二酸化炭素固定分離材17によって二酸化炭素が7時間に亘って吸収・固定され、基準とする空気(大気)の二酸化炭素濃度(400ppm)に比べて下がっていることがわかる。そして、7時間後には、試料重量に対して2%相当の二酸化炭素を吸収している。その後の加熱による二酸化炭素分離工程では、60℃以上になると二酸化炭素の放出が起こり(図9中の一点鎖線参照)、排気口23の二酸化炭素濃度が1000ppm以上に上昇した。すなわち、急速に二酸化炭素が分離・放出されたことが理解できる。放出された二酸化炭素の量は、試料重量当たり2%相当となった。
また、サイクル試験を10回行った後のデータであり、その後100回以上安定していることも確認しており、二酸化炭素固定分離材17の二酸化炭素の吸収・固定と分離・放出の特性として十分安定していることが理解される。
次に、実施例1-1における熱分析の結果について図10を参照しながら説明する。熱分析用の二酸化炭素固定分離材17の試料は、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムを90g、塩化鉄を10g、塩化ナトリウムを10gとして乳鉢に入れ混合し、120℃で30分間加熱することで粉末状態のままとして、室温から100℃までの加熱と自然冷却のサイクル試験を10回行った。
図10は実施例1に係る二酸化炭素固定分離材17の熱分析結果を示すグラフである。試料は前述のとおりの熱分析用のものを用いた。図10において、実線は二酸化炭素固定分離材17の試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、破線は同じく試料温度の変化に伴う示差熱(μV)である。図10から、二酸化炭素固定分離材17の試料温度が60℃までに水分の蒸発が起こり、前述のとおり60℃以上から100℃までに二酸化炭素と水の離脱に伴った大半の吸熱と重量減少が確認された。二酸化炭素の分離・放出温度は60℃程度から始まり、分離・放出温度ピークは80℃程度であった。重量減少量は、式(1)で求められる割合から計算すると、7.4%の重量減少のうちの二酸化炭素の重量は2%程度と考えられる。
以上のことから、60℃程度から100℃程度までの低温において、十分な二酸化炭素の分離・放出がなされることが確認された。
なお、他の実施例においても同様の解析を行っており、その結果としてまとめたものが表1となる。
次に、表2に示される比較例1-1~2-5は、実施例1-1~2-3に対して反応促進剤と結合剤のうちいずれか一方あるいは両方を含まない場合の比較例をまとめたものであり、試料の作製方法や測定・解析方法については表1の実施例の場合と同様である。
表2において、基材の原料が炭酸水素ナトリウムの場合と炭酸ナトリウムの場合の両方で、反応促進剤と結合剤の両方を含まない場合には二酸化炭素の放出量はほぼないことがわかる。また、反応促進剤として塩化ナトリウム、塩化カリウムあるいは塩化リチウムを用いて、結合剤を用いない場合も二酸化炭素の放出量はほぼないことがわかる。
Figure 0007438582000008
一方、結合剤として塩化鉄を用いて反応促進剤を用いない場合には、炭酸水素ナトリウムの場合で0.9重量%、炭酸ナトリウムの場合で1.8重量%といずれの実施例1-1~2-3よりも少ないながら二酸化炭素の放出が確認された。これは、二酸化炭素固定分離材17が合成される際に、基材の原料の炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムのナトリウムと結合剤の塩化鉄の塩素が反応して塩化ナトリウムも生成され、実質的には反応促進剤が含まれることになるためと考えられる。したがって、比較例1-2,2-2としているが、実質的には実施例となる。なお、この比較例1-2,2-2の結合材も酸化鉄又は水酸化鉄である。
[比較例1-2の二酸化炭素吸収放出特性]
次に、図11を参照しながら、比較例1-2の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素吸収と放出の特性について説明する。比較例1-2は実施例1-1から反応促進剤である塩化ナトリウムを除いた場合であるが、前述のとおり、二酸化炭素固定分離材17が合成される際に塩化ナトリウムが生成され、実質的には反応促進剤が含まれることになったものである。材料の成分とその合成温度及び試験結果については表2に示すとおりである。また、図11は実施例1-1と比較例1-2の二酸化炭素固定分離材料をX線回折で組成分析した結果を示すチャートである。
比較例1-2においても二酸化炭素固定分離材17の試料の作製方法、試験方法は実施例1-1と同様である。試験の結果として、二酸化炭素の吸収・固定量は試料重量当たりの重量%として、0.9%程度であった。これは反応促進剤としての塩化ナトリウムを積極的に混合せず、二酸化炭素固定分離材17の合成時に生成される塩化ナトリウムのみで試験を行ったため、積極的に反応促進剤として塩化ナトリウムを混合した実施例1-1と比較して二酸化炭素の吸収・固定量が少なくなったものと考えられる。
この数値は実施例1-1と比較すると低いが、この差が反応促進剤の効果を定量的に表現しているものと考えられる。図11においては、実施例1-1の二酸化炭素固定分離材17に関する線が2本、その下に比較例1-2の二酸化炭素固定分離材17に関する線が2本示され、それぞれ上側が二酸化炭素吸収時、下側が二酸化炭素放出時となっている。二酸化炭素吸収時のセスキ炭酸ナトリウム(NaCO・NaHCO・2HO)の存在を示すピークは、比較例1-2でもわずかに示されるものの、実施例1-1の方が高く示されており、実施例1-1の方が二酸化炭素の吸収・固定が優れていることが理解できる。なお、図11において、反応促進剤の塩化ナトリウムのピークが実施例1-1では示されている。
[第2の発明に対応する実施例]
表3は、実施例3-1~4-12に係る二酸化炭素固定分離材料について、その基材の原料(炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウム)、反応促進剤(塩化ナトリウム)及び結合剤(塩化鉄等)を用い、加熱して結合材として合成する際(図2のステップS1)の温度、そして結合材と反応促進剤を基材に担持させた二酸化炭素固定分離材に吸収・固定された二酸化炭素を分離・放出させた際(図5のステップS15)の温度として加熱によって二酸化炭素の放出が始まる開始温度とその後最も放出量が多くなるピーク温度及び二酸化炭素の放出量をまとめたものである。なお、実施例3-1は実施例1-1と同一であるが第2の発明にも対応するため実施例3-1としても記載している。
表3に示される実施例に関する試料の作製方法や測定・解析方法については表1の実施例の場合と同様である。
第2の発明において合成される結合材は、結合剤が鉄化合物の場合は酸化鉄又は水酸化鉄、ニッケル化合物の場合は酸化ニッケル又は水酸化ニッケル、マンガン化合物の場合は酸化マンガン又は水酸化マンガンである。
Figure 0007438582000009
表3より、これらの実施例ではいずれも100℃以下で二酸化炭素の放出量が0.9~5.1重量%であり、放出量にばらつきはあるものの、十分な放出があることが理解できる。
[実施例3-2~4の二酸化炭素吸収放出特性]
次に、図12を参照しながら、実施例3-2~4の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素放出の特性について比較して説明する。図12は本発明の実施例3-2~4に係る二酸化炭素固定分離材17の熱分析結果を示すグラフである。
縦軸は試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、実線は硝酸鉄(実施例3-2)、破線は酸化鉄(実施例3-3)、一点鎖線はオキシ水酸化鉄(実施例3-4)を示している。図12から、実施例3-2~4の二酸化炭素固定分離材17のいずれによっても、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こっていることが理解できる。実施例3-2~4の試験の結果は表に示すとおり、二酸化炭素の吸収・固定量は試料重量当たりの重量%として、それぞれ2.4%、1.8%、1.9%程度であった。
[実施例3-5~8の二酸化炭素吸収放出特性]
次に、図13を参照しながら、実施例3-5~8の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素放出の特性について比較して説明する。図13は本発明の実施例3-5~8に係る二酸化炭素固定分離材17の熱分析結果を示すグラフである。
縦軸は試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、実線は塩化ニッケル(実施例3-5)、破線は硝酸ニッケル(実施例3-6)、一点鎖線は酸化ニッケル(実施例3-7)、二点鎖線は水酸化ニッケル(実施例3-8)を示している。図13から、実施例3-5~8の二酸化炭素固定分離材17のいずれによっても、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こっていることが理解できる。実施例3-5~8の試験の結果は表に示すとおり、二酸化炭素の吸収・固定量は試料重量当たりの重量%として、それぞれ3.4%、5.1%、3.3%、3.1%程度であった。
[実施例3-9~12の二酸化炭素吸収放出特性]
さらに、図14を参照しながら、実施例3-9~12の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素放出の特性について比較して説明する。図14は本発明の実施例3-9~12に係る二酸化炭素固定分離材17の熱分析結果を示すグラフである。
縦軸は試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、実線は塩化マンガン(実施例3-9)、破線は硝酸マンガン(実施例3-10)、一点鎖線は酸化マンガン(実施例3-11)、二点鎖線は水酸化マンガン(実施例3-12)を示している。図14から、実施例3-9~12の二酸化炭素固定分離材17のいずれによっても、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こっていることが理解できる。実施例3-9~12の試験の結果は表に示すとおり、二酸化炭素の吸収・固定量は試料重量当たりの重量%として、それぞれ1.2%、3.1%、0.9%、3.9%程度であった。
なお、実施例4-1~12についてはグラフを示さないが、基材の原料として炭酸ナトリウムを用いた場合も二酸化炭素吸収・固定量は大差なく、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こることは確認済である。
[第3の発明(炭酸水素リチウムと炭酸リチウム)に対応する実施例]
表4は、実施例5-1~5-6に係る二酸化炭素固定分離材料について、その基材の原料(炭酸水素リチウムと炭酸リチウム)、反応促進剤(塩化ナトリウム)及び結合剤(塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガン)を用い、加熱して結合材として合成する際(図2のステップS1)の温度、そして結合材と反応促進剤を基材に担持させた二酸化炭素固定分離材に吸収・固定された二酸化炭素を分離・放出させた際(図5のステップS15)の温度として加熱によって二酸化炭素の放出が始まる開始温度とその後最も放出量が多くなるピーク温度及び二酸化炭素の放出量をまとめたものである。
表4に示される実施例に関する試料の作製方法や測定・解析方法については、二酸化炭素固定分離材の合成温度以外は、表1の実施例の場合と同様である。また、比較例5として炭酸リチウム単体を用いて同様の測定・解析を行った。但し、炭酸リチウム単体の場合の合成温度の欄に示される温度は水分を除去した際の加熱温度である。
第3の発明において合成される結合材は、結合剤が鉄化合物の場合は酸化鉄又は水酸化鉄、ニッケル化合物の場合は酸化ニッケル又は水酸化ニッケル、マンガン化合物の場合は酸化マンガン又は水酸化マンガンである。
Figure 0007438582000010
[実施例5-1と比較例5の二酸化炭素吸収放出特性]
次に、図15を参照しながら、実施例5-1の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素放出の特性について比較例5と比較して説明する。
図15は本発明の実施例5-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を比較例5と比較して示すグラフである。実線は実施例5-1に係る二酸化炭素固定分離材17の試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、破線は同じく試料温度の変化に伴う示差熱(μV)である。また、一点鎖線は比較例5の炭酸リチウムの試料温度の変化に伴う重量変化率(%)である。
図15から、実施例5-1の二酸化炭素固定分離材17によっても、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こっていることがわかり、比較例5と比べて重量減少量が多くなっていることも理解できる。実施例5-1に係る二酸化炭素固定分離材17の試験結果として、二酸化炭素の吸収・固定量は試料重量当たりの重量%として、2.2%程度であった。
なお、実施例5-2~6についてはグラフを示さないが、表4からわかるとおり炭酸リチウムの方が炭酸水素リチウムに比較して二酸化炭素吸収・固定量が多いものの、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こることは確認済である。
[第3の発明(炭酸水素カリウムと炭酸カリウム)に対応する実施例]
表5は、実施例6-1~6-6に係る二酸化炭素固定分離材料について、その基材の原料(炭酸水素カリウムと炭酸カリウム)、反応促進剤(塩化ナトリウム)及び結合剤(塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガン)を用い、加熱して結合材として合成する際(図2のステップS1)の温度、そして結合材と反応促進剤を基材に担持させた二酸化炭素固定分離材に吸収・固定された二酸化炭素を分離・放出させた際(図5のステップS15)の温度として加熱によって二酸化炭素の放出が始まる開始温度とその後最も放出量が多くなるピーク温度及び二酸化炭素の放出量をまとめたものである。
表5に示される実施例に関する試料の作製方法や測定・解析方法については表1の実施例の場合と同様である。また、比較例6として炭酸カリウム単体を用いて同様の測定・解析を行った。但し、炭酸カリウム単体の場合の合成温度の欄に示される温度は水分を除去した際の加熱温度である。
Figure 0007438582000011
[実施例6-1と比較例6の二酸化炭素吸収放出特性]
次に、図16を参照しながら、実施例6-1の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素放出の特性について比較例6と比較して説明する。
図16は本発明の実施例6-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を比較例6と比較して示すグラフである。実線は実施例6-1に係る二酸化炭素固定分離材17の試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、破線は同じく試料温度の変化に伴う示差熱(μV)である。また、一点鎖線は比較例6の炭酸カリウムの試料温度の変化に伴う重量変化率(%)である。
図16から、実施例6-1の二酸化炭素固定分離材17によっても、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こっていることがわかり、比較例6と比べて重量減少量が多くなっていることも理解できる。実施例6-1の試験の結果として、二酸化炭素の吸収・固定量は試料重量当たりの重量%として、6.4%程度であった。
なお、実施例6-2~6についてはグラフを示さないが、表5からわかるとおり二酸化炭素吸収・固定量が、基材の原料として炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムを採用するよりも多く、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こることは確認済である。
[第3の発明(炭酸水素セシウムと炭酸セシウム)に対応する実施例]
表6は、実施例7-1~7-6に係る二酸化炭素固定分離材料について、その基材の原料(炭酸水素セシウムと炭酸セシウム)、反応促進剤(塩化ナトリウム)及び結合剤(塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガン)を用い、加熱して結合材として合成する際(図2のステップS1)の温度、そして結合材と反応促進剤を基材に担持させた二酸化炭素固定分離材に吸収・固定された二酸化炭素を分離・放出させた際(図5のステップS15)の温度として加熱によって二酸化炭素の放出が始まる開始温度とその後最も放出量が多くなるピーク温度及び二酸化炭素の放出量をまとめたものである。
表6に示される実施例に関する試料の作製方法や測定・解析方法については表1の実施例の場合と同様である。また、比較例7として炭酸セシウム単体を用いて同様の測定・解析を行った。但し、炭酸セシウム単体の場合の合成温度の欄に示される温度は水分を除去した際の加熱温度である。
Figure 0007438582000012
[実施例7-1と比較例7の二酸化炭素吸収放出特性]
次に、図17を参照しながら、実施例7-1の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素放出の特性について比較例1と比較して説明する。
図17は本発明の実施例7-1に係る二酸化炭素固定分離材17の熱分析結果を比較例7と比較して示すグラフである。実線は実施例7-1に係る二酸化炭素固定分離材17の試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、破線は同じく試料温度の変化に伴う示差熱(μV)である。また、一点鎖線は比較例7の炭酸セシウムの試料温度の変化に伴う重量変化率(%)である。
図17から、実施例7-1の二酸化炭素固定分離材17によっても、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こった。比較例7と比べて重量減少量が多くなっていることが理解できる。実施例7-1の試験の結果として、二酸化炭素の吸収・固定量は試料重量当たりの重量%として、8.1%程度であった。
実施例7-2~6についてはグラフを示さないが、表6からわかるとおり二酸化炭素吸収・固定量が、基材の原料として炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムを採用するよりも多く、100℃以下で吸熱反応を伴った二酸化炭素と水分の放出による重量減少が起こることは確認済である。
[その他の実施例]
表7は、実施例8-1~4に係る二酸化炭素固定分離材料について、その基材の原料(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム)、反応促進剤(塩化ナトリウム)及び結合剤(塩化鉄及びオキシ水酸化鉄、塩化鉄及び酸化鉄)を用い、加熱して結合材として合成する際(図2のステップS1)の温度、そして結合材と反応促進剤を基材に担持させた二酸化炭素固定分離材に吸収・固定された二酸化炭素を分離・放出させた際(図5のステップS15)の温度として加熱によって二酸化炭素の放出が始まる開始温度とその後最も放出量が多くなるピーク温度及び二酸化炭素の放出量をまとめたものである。
実施例8-1の二酸化炭素固定分離材料は、炭酸塩として炭酸水素ナトリウム80g、鉄化合物として塩化鉄7g、反応促進剤として塩化ナトリウム8gに加えて、多孔質担体として、200℃に加熱することにより50nm以下の細孔を持たせたオキシ水酸化鉄(FeOOH)5gとポリエチレングリコール10gを乳鉢に入れて混合しペースト状とした。このペーストをステンレス製の板に厚み500μmで塗布した。
実施例8-2は実施例8-1に対する比較例である。実施例8-2ではオキシ水酸化鉄に代えて酸化鉄(Fe)5gを添加している。いずれも120℃で30分間加熱して二酸化炭素固定分離材17の試料を作製した。
さらに、室温から100℃までの加熱と自然冷却のサイクル試験を10回行った。その他、材料の成分とその合成温度及び試験結果についてはそれぞれ表7に示すとおりである。
実施例8-3,4はそれぞれ実施例8-1,2における基材の材料を炭酸水素ナトリウムから炭酸ナトリウムへ替えて同様に試料を作成して試験を実施したものである。また、比較例8-1,2の二酸化炭素固定分離材17の試料を実施例8-1,2と同様の作製方法で作製し、同様の試験方法で試験を実施した。
なお、この実施例8-1~4の結合材も酸化鉄又は水酸化鉄である。
Figure 0007438582000013
[実施例8-1,2の二酸化炭素吸収放出特性]
図18は、実施例8-1及び8-2に係る二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17による二酸化炭素放出と吸収の特性を示すグラフである。10回のサイクル試験の後、湿度52%、室温12℃、流速100mL/分の空気(大気)を24時間流し、実施例8-1及び実施例8-2に係る二酸化炭素固定分離材17の試料に二酸化炭素を吸収・固定させた。
その後、図18中に示すとおり、加熱を開始すると、実施例8-1の多孔質担体(オキシ水酸化鉄)を含む二酸化炭素固定分離材17が放出した二酸化炭素濃度の方が、実施例8-2の酸化鉄担体を含む二酸化炭素固定分離材17よりも急激に立ち上がり、1200ppmを超えてピークを形成した後、急激に降下しており、多孔質担体を備えることで、二酸化炭素の分離・放出速度が増加していることが理解できる。したがって、放出した換算二酸化炭素重量(%)も二酸化炭素固定分離材17の試料に対する約4%という数値へ速く到達している。なお、表7によれば、実施例8-1,8-2のいずれも放出量は1.9重量%であるが、図18に示される試験とは別に12時間加熱した場合の二酸化炭素の放出量であり、4%は24時間で吸収した二酸化炭素をすべて放出させた場合の放出量であるので、2倍程度の値となっている。
また、その後、加熱を止めて大気を導入し始めてからの二酸化炭素の吸収についても多孔質担体を含む二酸化炭素固定分離材17の方が、吸収速度が速く、換算二酸化炭素重量(%)の時間当たりの勾配が急になっている。これは排出される二酸化炭素濃度が、多孔質担体を含む二酸化炭素固定分離材17の方が、大気の400ppmからより低くなっていることからも理解できる。
なお、実施例8-3,4についてはグラフを示さないが、二酸化炭素吸収・固定量の特性は、基材の原料として炭酸水素ナトリウムを採用する場合と比較して同等以上であることは確認済である。
[比較例8-1の二酸化炭素吸収放出特性]
次に、図19を参照しながら、比較例8-1の二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材17における二酸化炭素放出の特性について説明する。比較例8-1の二酸化炭素固定分離材料は、炭酸塩として炭酸水素ナトリウム、鉄化合物としてオキシ水酸化鉄を有するが、反応促進剤は含んでおらず、材料の成分とその合成温度及び試験結果については表7に示すとおりである。この比較例8-1は実施例8-1に対して反応促進剤を含まない比較例となっている。なお、比較例8-1は実施例8-1の結合剤のうち塩化鉄も含んでいないが、塩化鉄が含まれると塩化ナトリウムを生成して実質的に反応促進剤を含んでしまうことになるので塩化鉄は含めていない。
図19は比較例8-1に係る二酸化炭素固定分離材の熱分析結果を示すグラフである。実線は比較例8-1に係る二酸化炭素固定分離材の試料温度の変化に伴う重量変化率(%)であり、破線は同じく試料温度の変化に伴う示差熱(μV)である。図19から、80℃までに水分の放出に伴った重量減少が起こり、100℃付近から二酸化炭素と水分の放出に伴った重量減少は始まった。二酸化炭素の放出ピークは120℃付近であった。なお、88℃付近にもわずかな量の二酸化炭素放出が確認された。X線回折による組成分析の結果、二酸化炭素の吸収によりセスキ炭酸ナトリウムがわずかに生成していたことがわかった。しかしながら、生成量が少ないため、二酸化炭素の放出温度ピークが100℃以上になっていた。
なお、比較例8-2についてはグラフを示さないが、二酸化炭素吸収・固定量の特性は比較例8-1と比較して同等程度であることは確認済である。
以上説明したとおり、本実施の形態及び実施例に係る二酸化炭素固定分離材料によれば、これを合成することで二酸化炭素固定分離材を得ることが可能である。この二酸化炭素固定分離材は、気体中の二酸化炭素を常温・常圧下で効率的に吸収・固定することが可能であり、100℃程度以下の低温で二酸化炭素を分離・放出することが可能である。また、材料の成分はいずれも安全かつ安価であり、その調達も容易であり、二酸化炭素固定分離材への合成も容易であるため、二酸化炭素の吸収・固定及び分離・放出といった実施も容易である。さらに、加熱により短時間で二酸化炭素を放出し、特に多孔質担体を備える場合にはその短時間が顕著である。また、繰り返し使用によっても二酸化炭素固定分離材が復元され、二酸化炭素の固定と分離の効率の低下も見られず、耐久性にも優れている。
また、この二酸化炭素固定分離材料から合成された二酸化炭素固定分離材を備えた、本実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置や二酸化炭素固定分離方法においても、二酸化炭素固定分離材の特性と相俟って、安全かつ容易に気体中の二酸化炭素を常温・常圧下で効率的に吸収・固定することが可能であり、100℃程度以下の低温で二酸化炭素を分離・放出することも可能である。
よって、環境負荷を低くしながら、二酸化炭素の吸収・固定及びその分離・放出を容易に制御可能であり、常温・常圧で二酸化炭素の貯蔵も可能である。よって、サステナブルでありながらカーボンニュートラルに供することが可能である。
なお、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離材料とその二酸化炭素固定分離材料から合成される二酸化炭素固定分離材とその製造方法については図1及び図2を参照しながら、また、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素固定分離装置と二酸化炭素固定分離材を用いて二酸化炭素を固定・分離する方法については図3-7を参照しながら、二酸化炭素固定分離材料の基材として炭酸ナトリウム1a又は炭酸水素ナトリウム1b、結合剤としての塩化鉄2、この結合剤から合成される結合材としての酸化鉄2a又は水酸化鉄2b、反応促進剤として塩化ナトリウム3の場合で説明したが、その他、上述した第1-第3の発明の実施例及びその他の実施例で説明した基材、結合剤、結合材及び反応促進剤を用いても同様に実施可能であり、その作用・効果も同様である。
本発明は、大気中あるいは他の気体中に存在する二酸化炭素を吸収・固定及び分離・放出する技術分野、あるいは環境保護に係る技術分野において利用可能である。
1a…炭酸ナトリウム 1b…炭酸水素ナトリウム 2…塩化鉄 2a…酸化鉄 2b…水酸化鉄 3…塩化ナトリウム 4a,4b…二酸化炭素固定分離材 5…セスキ炭酸ナトリウム 6…二酸化炭素 7…水 8…二酸化炭素固定分離材の製造方法 11…二酸化炭素固定分離装置 12…吸入配管 13…吸気口 14…吸気ポンプ 15…入口弁 16a,16b…チャンバー 17…二酸化炭素固定分離材 18…ヒーター 19…出口弁 20…放出配管 21…排気ポンプ 22…二酸化炭素濃度計 23…排気口 24…二酸化炭素固定分離方法 25…熱媒体 26…二酸化炭素含有空気 27…金属プレート 28…二酸化炭素固定分離材 29…熱媒体流路 30…気体流路 31…熱媒体 32…気体

Claims (11)

  1. 基材として、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムと、前記基材同士を結合させる結合材となる結合剤として、塩化鉄と、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための反応促進剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウムと、を混合してなる二酸化炭素固定分離材料を、120℃に加熱して前記結合材を生成する工程を有して、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させることを特徴とする二酸化炭素固定分離材の製造方法
    Figure 0007438582000014
  2. 基材として、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムと、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤として、塩化鉄、硝酸鉄、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩化マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン又は水酸化マンガンと、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための反応促進剤として、塩化ナトリウムと、を混合してなる二酸化炭素固定分離材料を、120℃に加熱して前記結合材を生成する工程を有して、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させることを特徴とする二酸化炭素固定分離材の製造方法
    Figure 0007438582000015
  3. 基材として、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム又は炭酸水素セシウムと、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤として、塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガンと、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための反応促進剤として、塩化ナトリウムと、を混合してなる二酸化炭素固定分離材料を、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウムの場合は100℃に、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウム以外の場合は120℃に加熱して前記結合材を生成する工程を有して、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させることを特徴とする二酸化炭素固定分離材の製造方法
    Figure 0007438582000016
    Figure 0007438582000017
    Figure 0007438582000018
  4. 炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄を前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させたことを特徴とする二酸化炭素固定分離材。
    Figure 0007438582000019
  5. 炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、硝酸鉄、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩化マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン又は水酸化マンガンを前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させたことを特徴とする二酸化炭素固定分離材。
    Figure 0007438582000020
  6. 炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム又は炭酸水素セシウムを基材とし、前記基材同士をに結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガンに対し、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウムの場合は前記基材と共に100℃に、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウム以外の場合は前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させたことを特徴とする二酸化炭素固定分離材。
    Figure 0007438582000021
    Figure 0007438582000022
    Figure 0007438582000023
  7. 前記オキシ水酸化鉄は50nm以下の細孔を含む多孔質担体であることを特徴とする請求項記載の二酸化炭素固定分離材。
  8. 請求項乃至請求項のいずれか1項に記載された二酸化炭素固定分離材と、この二酸化炭素固定分離材を加熱する熱源と、この熱源と前記二酸化炭素固定分離材を収容する容器と、を有し、この容器は二酸化炭素を含む気体を吸入する吸気口と、前記容器から前記気体を放出する排気口と、前記吸気口から前記気体を吸入するための吸気ポンプ及び前記排気口から前記気体を排出するための排気ポンプのいずれか1つ又は両方と、を含むことを特徴とする二酸化炭素固定分離装置。
  9. 炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄を前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化鉄又は水酸化鉄を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化リチウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させた二酸化炭素固定分離材を常圧で常温から60℃までの温度範囲に維持し、前記二酸化炭素固定分離材に二酸化炭素を含む気体を接触させ前記二酸化炭素を吸収させて前記アルカリ金属炭酸塩合成物を生成する二酸化炭素固定工程と、前記アルカリ金属炭酸塩合成物を熱源で60℃から100℃に加熱して前記二酸化炭素を分離させ前記二酸化炭素固定分離材を復元する二酸化炭素分離工程と、を有することを特徴とする二酸化炭素固定分離方法。
    Figure 0007438582000024
  10. 炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを基材とし、前記基材同士を結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、硝酸鉄、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩化マンガン、硝酸マンガン、酸化マンガン又は水酸化マンガンを前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(1)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させた二酸化炭素固定分離材を常圧で常温から60℃までの温度範囲に維持し、前記二酸化炭素固定分離材に二酸化炭素を含む気体を接触させ前記二酸化炭素を吸収させて前記アルカリ金属炭酸塩合成物を生成する二酸化炭素固定工程と、前記アルカリ金属炭酸塩合成物を熱源で60℃から100℃に加熱して前記二酸化炭素を分離させ前記二酸化炭素固定分離材を復元する二酸化炭素分離工程と、を有することを特徴とする二酸化炭素固定分離方法。
    Figure 0007438582000025
  11. 炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム又は炭酸水素セシウムを基材とし、前記基材同士をに結合させる結合材の材料である結合剤としての塩化鉄、塩化ニッケル又は塩化マンガンに対し、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウムの場合は前記基材と共に100℃に、前記基材が炭酸リチウム又は炭酸水素リチウム以外の場合は前記基材と共に120℃に加熱して得た酸化物又は水酸化物を結合材とし、前記結合剤と可溶性の塩を形成するとともに式(2)-(4)で示すアルカリ金属炭酸塩合成物の生成を促進させるための塩化ナトリウムを反応促進剤として、前記結合材と前記反応促進剤を前記基材に担持させた二酸化炭素固定分離材を常圧で常温から60℃までの温度範囲に維持し、前記二酸化炭素固定分離材に、二酸化炭素を含む気体を接触させて前記アルカリ金属炭酸塩合成物を生成する二酸化炭素固定工程と、前記アルカリ金属炭酸塩合成物を熱源で60℃から100℃に加熱して前記二酸化炭素を分離させ前記二酸化炭素固定分離材を復元する二酸化炭素分離工程と、を有することを特徴とする二酸化炭素固定分離方法。
    Figure 0007438582000026
    Figure 0007438582000027
    Figure 0007438582000028
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