JPWO2005111150A1 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

[課題]室温において空気中の湿分と反応して硬化する1液型とすることが可能であり、硬化物の強度、破断時の伸び、耐候性、接着性が優れた硬化性組成物の提供。[解決手段] 架橋性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたビニル系重合体(I)100重量部、及び、分子末端に対する架橋性シリル基の導入率が1H−NMR分析により85%以上である架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)1〜1000重量部を含有してなる硬化性組成物。

Description

本発明は、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体(I)、及び架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)を含有してなる硬化性組成物に関する。
従来から、建築物用、土木用、自動車用などの防水シーリング材、接着剤、塗料などの硬化性組成物に使用される湿気硬化型の樹脂成分として、一般に変成シリコーン樹脂と呼ばれている主鎖がポリエーテルや脂肪族炭化水素系重合体で分子内に架橋性シリル基を含有する樹脂やポリウレタン樹脂などが、作業性や接着性などに優れている点から、広く使用されている。しかしながら、近年、建築物、土木、自動車などの分野においては長期に渡って性能を維持する、いわゆる長寿命化のニーズが高まり、これらに使用されるシーリング材、接着剤、塗料などに対しても、接着性、耐熱性、耐水性、耐候性などの耐久性のさらなる向上が求められている。ポリエーテル系変成シリコーン樹脂は作業性や接着性は良いが、長寿命と言うには耐候性が不十分であり、耐水性や耐熱性などの耐久性に劣るという欠点がある。耐候性を高めるために、ポリエーテル変成シリコーン樹脂にビニル系変成シリコーン樹脂を配合した硬化性組成物も公知であるが(特許文献1)、硬化物の伸びが低く、また近年の高耐候性の要求には応えられないレベルである。ポリエーテル変成シリコーン樹脂にビニル系変成シリコーン樹脂を配合し、さらにアクリル可塑剤を配合した硬化性組成物も公知であるが(特許文献2)、耐候性の改善レベルは小さい。水酸基含有(メタ)アクリル系重合体と、分子内にイソシアネート基と架橋性シリル基を含有する化合物とを反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂(A)と、水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体と、分子内にイソシアネート基と架橋性シリル基を含有する化合物とを反応させて得られる架橋性シリル基含有樹脂(B)を用いた硬化性組成物も公知であるが(特許文献3)、(メタ)アクリル系重合体の架橋性シリル基は分子中にランダムに導入されているため、硬化物の破断時の強度、破断時の伸びは低く、シーリング材としては好ましくない。高耐候性の室温硬化性樹脂として架橋性シリル基を有したポリイソブチレン系樹脂が開発されたが(特許文献4)、ポリイソブチレン系樹脂はほとんど水分を通さないために、いわゆる湿気硬化の1液型シーリング材としての使用に問題がある。シリコーン系シーリング材は耐熱性、耐候性、耐久性に優れるものの、低分子量成分が周辺の汚染を引き起こしたり、塗料を塗布できない等の欠点から使用できる場所は制限される。架橋性シリル基を含有するビニル系樹脂を用いた硬化性組成物も公知であるが(特許文献5)、耐候性や耐熱性に優れるものの、硬化物の伸びが少し低く、高伸びが必要とされる建築用シーリング材への使用が難しかった。
特開昭59−122541号公報 特開2001−354846号公報 特開2002−155145号公報 特開昭63−006041号公報 特開平11−080571号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐候性、接着性、破断時の強度、破断時の伸びが優れるシーリング材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題が、次の本発明によって解決されることを見出した。
[1] 架橋性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたビニル系重合体(I)100重量部、及び、1H−NMR分析により求められる分子末端に対する架橋性シリル基の導入率が85%以上である架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)1〜1000重量部、を含有してなる硬化性組成物。
[2] 分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体(I)を含有する、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものであるビニル系重合体(I)を含有する、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 主鎖が(メタ)アクリル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[5] 主鎖がアクリル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[6] アクリル系重合体が、アクリル酸エステル系重合体である[5]に記載の硬化性組成物。
[7] リビングラジカル重合法が、原子移動ラジカル重合法である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[8] 原子移動ラジカル重合法が、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体を触媒とする、[7]に記載の硬化性組成物。
[9] 触媒とする錯体が銅、ニッケル、ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる錯体である、[8]に記載の硬化性組成物。
[10] 触媒とする錯体が銅の錯体である、[9]に記載の硬化性組成物。
[11] ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が一般式(1)で表される、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (1)
{式中、R1、R2はいずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。}
[12] ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が、主鎖末端にある、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[13] ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が、主鎖末端にのみある、[12]に記載の硬化性組成物。
[14] 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)が複合金属シアン化物錯体触媒の存在下にアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルオリゴマーから誘導される[1]〜[13]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[15] 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の主鎖が主にポリプロピレンオキサイドから形成されたものである[1]〜[14]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[16] 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)が、
(a)1分子中に一般式(2):
2C=C(R3)−R4−O− (2)
(式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)または一般式(3):
HC(R3)=CH−R4−O− (3)
(式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)で示される不飽和基を側鎖または末端に少なくとも1個含有し、主鎖がポリエーテルからなるポリエーテルオリゴマーと、(b)架橋性シリル基含有化合物とを、(c)VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法で得られるものある[1]〜[15]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[17] VIII族遷移金属触媒(c)が白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体からなる群より選択される少なくとも1種である、[16]に記載の硬化性組成物。
[18] 一般式(2)および(3)において、R3がCH3又はCH2CH3のいずれかである、[16]又は[17]に記載の硬化性組成物。
[19] 一般式(2)で表される不飽和基が式(4):
2C=C(CH3)−CH2−O− (4)
で表される不飽和基である、[18]に記載の硬化性組成物。
[20] 一般式(3)で表される不飽和基が式(5):
HC(CH3)=CH−CH2−O− (5)
で表される不飽和基である、[18]に記載の硬化性樹脂組成物。
[21] 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の架橋性シリル基が一般式(1)で表される、[1]〜[20]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (1)
{式中、R1、R2はいずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。}
[22] 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の架橋性シリル基が、主鎖末端にある、[1]〜[21]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[23]架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の架橋性シリル基が、主鎖末端にのみある、[22]に記載の硬化性組成物。
[24] ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して、錫系硬化触媒(III)を0.1〜20重量部含有する、、[1]〜[23]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[25] [1]〜[24]のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなるシーリング材。
[26] [1]〜[24]のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなる接着剤。
室温において空気中の湿分と反応して硬化する1液型が可能であり、硬化物の強度、破断時の伸び、耐候性が優れる硬化性組成物を提供することが可能になる。
本発明は、架橋性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたビニル系重合体(I)、及び、1H−NMR分析により求められる分子末端に対する架橋性シリル基の導入率が85%以上である架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)を含有する硬化性組成物に関するものである。なお、本発明における「架橋性シリル基」とは、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基のことを言う。
以下に、本発明の硬化性組成物について詳述する。
<<主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたビニル系重合体(I)について>>
<主鎖>
本発明のビニル系重合体(I)の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
ビニル系重合体(I)の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体(I)を構成するモノマー単位のうち50モル%以上、好ましくは70モル%以上が、上記モノマーであることを意味する。
なかでも、生成物の物性等から、芳香族ビニル系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
なお、限定はされないが、ゴム弾性を要求する用途には本ビニル系重合体(I)のガラス転移温度が室温ないしは使用温度よりも低いことが好ましい。
本発明のビニル系重合体(I)の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.6以下であり、特に好ましくは1.3以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにておこない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明におけるビニル系重合体(I)の数平均分子量は特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合、500〜1,000,000の範囲が好ましく、5,000〜50,000がさらに好ましい。
<主鎖の合成法>
本発明における、ビニル系重合体(I)の主鎖の合成法は、制御ラジカル重合の中でもリビングラジカル重合に限定されるが、原子移動ラジカル重合が好ましい。以下にこれらについて説明する。
制御ラジカル重合
ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法(フリーラジカル重合法)」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題点がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報などが挙げられる。
本発明において、これらのリビングラジカル重合のうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、原子移動ラジカル重合法が好ましい。
以下にリビングラジカル重合について詳細に説明していくが、その前に、後に説明するビニル系重合体の製造に用いることができる制御ラジカル重合のうちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明する。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。
特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
以下に、リビングラジカル重合について説明する。
そのうち、まず、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピペリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適当である。
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
Macromolecules 1995,28,2993で報告されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
Figure 2005111150
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の官能基を有するものを用いると、末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
原子移動ラジカル重合
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、
65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C65−C(X)(CH32
(ただし、上の化学式中、C65はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
5−C(H)(X)−CO26、R5−C(CH3)(X)−CO26、R5−C(H)(X)−C(O)R6、R5−C(CH3)(X)−C(O)R6
(式中、R5、R6は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
5−C64−SO2
(上記の各式において、R5は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に原子移動ラジカル重合の生長末端構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(6)に示す構造を有するものが例示される。
89C(X)−R10−R11−C(R7)=CH2 (6)
(式中、R7は水素、またはメチル基、R8、R9は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル、または他端において相互に連結したもの、R10は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R11は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
置換基R8、R9の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R8とR9は他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
一般式(2)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2
Figure 2005111150
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=CH2
Figure 2005111150
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH2n−O−(CH2mCH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2m−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式(7)で示される化合物が挙げられる。
2C=C(R7)−R11−C(R8)(X)−R12−R9 (7)
(式中、R7、R8、R9、R11、Xは上記に同じ、R12は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
11は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R12としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R11が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R12としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
一般式(7)の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH32、CH2=CHC(H)(X)C25、CH2=CHC(H)(X)CH(CH32、CH2=CHC(H)(X)C65、CH2=CHC(H)(X)CH265、CH2=CHCH2C(H)(X)−CO213、CH2=CH(CH22C(H)(X)−CO213、CH2=CH(CH23C(H)(X)−CO213、CH2=CH(CH28C(H)(X)−CO213、CH2=CHCH2C(H)(X)−C65、CH2=CH(CH22C(H)(X)−C65、CH2=CH(CH23C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R13は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64−SO2X、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−O−C64−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式(8)に示す構造を有するものが例示される。
89C(X)−R10−R11−C(H)(R7)CH2−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (8)
(式中、R7、R8、R9、R10、R11、Xは上記に同じ、R1、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする)
一般式(8)の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2nSi(OCH33、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33、(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(OCH33、XCH2C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32、(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(CH3)(OCH32、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH32
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C64−(CH22Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22Si(OCH33、o,m,p−XCH2−C64−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH23Si(OCH33、o,m,p−XCH2−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−XCH2−C64−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH23−Si(OCH33、o,m,p−XCH2−C64−O−(CH22−O−(CH23−Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式(9)で示される構造を有するものが例示される。
(R23-a(Z)aSi−[OSi(R12-b(Z)bl−CH2−C(H)(R7)−R11−C(R8)(X)−R12−R9 (9)
(式中、R7、R8、R9、R11、R12、R1、R2、a、b、l、X、Zは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C65、(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C65、(CH3O)3Si(CH22C(H)(X)−CO211、(CH3O)2(CH3)Si(CH22C(H)(X)−CO213、(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−CO213、(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−CO213、(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−CO213、(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−CO213、(CH3O)3Si(CH29C(H)(X)−CO213、(CH3O)2(CH3)Si(CH29C(H)(X)−CO213、(CH3O)3Si(CH23C(H)(X)−C65、(CH3O)2(CH3)Si(CH23C(H)(X)−C65、(CH3O)3Si(CH24C(H)(X)−C65、(CH3O)2(CH3)Si(CH24C(H)(X)−C65
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R13は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2m−OC(O)C(H)(R5)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R5は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、mは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
2N−(CH2m−OC(O)C(H)(R5)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R5は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、mは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
Figure 2005111150
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、R5は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、mは1〜20の整数)
成長末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
Figure 2005111150
Figure 2005111150
等が挙げられる。
この重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。好ましい配位子は、含窒素化合物であり、より好ましい配位子は、キレート型含窒素化合物であり、さらに好ましい配位子は、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンである。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行なうことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。
また、限定はされないが、重合は0℃〜200℃の範囲で行なうことができ、好ましくは50〜150℃である。
本発明の原子移動ラジカル重合には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合も含まれる。リバース原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II’)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules 1999,32,2872参照)。
<官能基>
架橋性シリル基の数
ビニル系重合体(I)は、少なくとも1個の架橋性シリル基を有するものである。また、組成物の硬化性及び硬化物の物性の点から、架橋性シリル基の数は平均して、好ましくは1.1個以上4.0個以下、さらに好ましくは1.2個以上3.5個以下である。
架橋性シリル基の位置
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性シリル基を分子鎖末端に有するものである。
上記架橋性シリル基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体(I)、中でも(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性シリル基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
以下にこれらの官能基について説明する。
架橋性シリル基
本発明におけるビニル系重合体(I)の架橋性シリル基としては、一般式(1);
−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (1)
{式中、R1、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。}
で表される基があげられる。
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式(10)
−Si(R23-a(Z)a (10)
(式中、R2、Zは前記と同じ。aは1,2,または3である。)で表される架橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
なお、特に限定はされないが、硬化性を考慮するとaは2以上が好ましい。また、aが3のもの(例えばトリメトキシシリル基)は2のもの(例えばジメトキシシリル基)よりも硬化性が早いが、貯蔵安定性や力学物性(伸び等)に関しては2のものの方が優れている場合がある。硬化性と物性バランスをとるために、2のもの(例えばジメトキシシリル基)と3のもの(例えばトリメトキシシリル基)を併用してもよい。
<シリル基導入法>
以下に、本発明のビニル系重合体(I)へのシリル基導入法について説明するが、これに限定されるものではない。
架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体(I)の合成方法としては、
(A)アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体に架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法
(B)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体に一分子中に架橋性シリル基とイソシアネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合物を反応させる方法
(C)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、1分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる方法
(D)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いる方法
(E)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に1分子中に架橋性シリル基と安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法;などが挙げられる。
(A)の方法で用いるアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は種々の方法で得られる。以下に合成方法を例示するが、これらに限定されるわけではない。
(A−a)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば下記の一般式(11)に挙げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
2C=C(R7)−R14−R11−C(R15)=CH2 (11)
(式中、R7は水素またはメチル基を示し、R14は−C(O)O−、またはo−,m−,p−フェニレン基を示し、R11は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。R15は水素、または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(A−b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどのような重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させる方法。
(A−c)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えばアリルトリブチル錫、アリルトリオクチル錫などの有機錫のようなアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を反応させてハロゲンを置換する方法。
(A−d)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(12)に挙げられるようなアルケニル基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
+-(R16)(R17)−R18−C(R15)=CH2 (12)
(式中、R15は上記に同じ、R16、R17はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引基であるか、または一方が前記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基を示す。R18は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。M+はアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを示す)
16、R17の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
(A−e)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にハロゲンやアセチル基のような脱離基を有するアルケニル基含有化合物、アルケニル基を有するカルボニル化合物、アルケニル基を有するイソシアネート化合物、アルケニル基を有する酸ハロゲン化物等の、アルケニル基を有する求電子化合物と反応させる方法。
(A−f)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一般式(13)あるいは(14)に示されるようなアルケニル基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレートアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
2C=C(R15)−R19−O-+ (13)
(式中、R15、M+は上記に同じ。R19は炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)
2C=C(R15)−R11−C(O)O-+ (14)
(式中、R15、M+は上記に同じ。R11は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)
などが挙げられる。
上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
またアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体から得ることも可能であり、以下に例示する方法が利用できるがこれらに限定されるわけではない。水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の水酸基に、
(A−g)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用させ、塩化アリルのようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方法。
(A−h)アリルイソシアネート等のアルケニル基含有イソシアネート化合物を反応させる方法。
(A−i)(メタ)アクリル酸クロリドのようなアルケニル基含有酸ハロゲン化物をピリジン等の塩基存在下に反応させる方法。
(A−j)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸を酸触媒の存在下に反応させる方法;等が挙げられる。
本発明では(A−a)(A−b)のようなアルケニル基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合には、リビングラジカル重合法を用いてビニル系重合体を合成することが好ましい。制御がより容易である点から(A−b)の方法がさらに好ましい。
反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することによりアルケニル基を導入する場合は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合すること(原子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点から(A−f)の方法がさらに好ましい。
また、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に制限はないが、代表的なものを示すと、一般式(15)で示される化合物が例示される。
H−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (15)
{式中、R1、R2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。}
これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式(16)
H−Si(R23-a(Z)a (16)
(式中、R2、Zは前記と同じ。aは1,2,または3である。)
で示される架橋性基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。
上記の架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物をアルケニル基に付加させる際には、遷移金属触媒が通常用いられる。遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。
(B)および(A−g)〜(A−j)の方法で用いる水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の製造方法は以下のような方法が例示されるが、これらの方法に限定されるものではない。
(B−a)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば下記の一般式(17)に挙げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
2C=C(R7)−R14−R11−OH (17)
(式中、R7、R14、R11は上記に同じ)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(B−b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールを反応させる方法。
(B−c)例えば特開平5−262808に示される水酸基含有ポリスルフィドのような水酸基含有連鎖移動剤を多量に用いてビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
(B−d)例えば特開平6−239912、特開平8−283310に示されるような過酸化水素あるいは水酸基含有開始剤を用いてビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
(B−e)例えば特開平6−116312に示されるようなアルコール類を過剰に用いてビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
(B−f)例えば特開平4−132706などに示されるような方法で、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲンを加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(B−g)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(18)に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
+-(R16)(R17)−R18−OH (18)
(式中、R16、R17、R18、は上記に同じ)
16、R17の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
(B−h)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(B−i)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一般式(19)あるいは(20)に示されるような水酸基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレートアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
HO−R19−O-+ (19)
(式中、R19およびM+は前記に同じ)
HO−R11−C(O)O-+ (20)
(式中、R11およびM+は前記に同じ)
(B−j)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(21)に示される化合物等が挙げられる。
2C=C(R7)−R19−OH (21)
(式中、R7およびR19は上述したものと同様である。)
上記一般式(21)に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
等が挙げられる。
本発明では(B−a)〜(B−e)及び(B−j)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合には、リビングラジカル重合法を用いてビニル系重合体を合成することが好ましい。制御がより容易である点から(B−b)の方法がさらに好ましい。
反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合すること(原子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点から(B−i)の方法がさらに好ましい。
また、一分子中に架橋性シリル基とイソシアネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合物としては、例えばγ−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、必要により一般に知られているウレタン化反応の触媒を使用できる。
(C)の方法で用いる一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物としては、例えばγ−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、γ−メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなどのような、下記一般式(22)で示すものが挙げられる。
2C=C(R7)−R14−R20−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (22)
(式中、R1、R2、R7、R14、Z、a、b、lは上記に同じ。R20は、直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。)
一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる時期に特に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(D)の連鎖移動剤法で用いられる、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤としては例えば特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報に示される、架橋性シリル基を有するメルカプタン、架橋性シリル基を有するヒドロシランなどが挙げられる。
(E)の方法で用いられる、上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。一分子中に架橋性シリル基と安定化カルバニオンを併せ持つ化合物としては一般式(23)で示すものが挙げられる。
+-(R16)(R17)−R11−C(H)(R21)−CH2−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (23)
(式中、R1、R2、R16、R17、Z、a、b、l、は前記に同じ。R11は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい、R21は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。)
16、R17の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。

<<分子末端に対する架橋性シリル基の導入率が1H−NMR分析により85%以上である架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)>>
本発明の硬化性組成物に使用される架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)は、1H−NMR分析により求められる分子鎖末端に対する架橋性シリル基の数が85%以上である。
本発明でいう架橋性シリル基とは、ケイ素原子に結合した水酸基及び/又は加水分解性基を有する基であって、相互間の縮合反応によりシロキサン結合を形成して架橋しうる基であり、特に限定されるものではないが、好ましいものとしては、例えば一般式(1)で表される基が挙げられる。
−[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (1)
{式中、R1、R2はいずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。}
また上記一般式(1)におけるR1、およびR2の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基などが挙げられる。R1、R2,R’としてはメチル基が特に好ましい。
上記Zのうちの加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であれば良い。具体的には例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、加水分解性が穏やかで取扱やすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
この水酸基や加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は1から5であるのが好ましい。水酸基や加水分解性基が架橋性シリル基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であっても良く、異なっていてもよい。
架橋性シリル基中のケイ素原子の数は1個でもよく2個以上でもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された架橋性シリル基の場合には20個程度でもよい。
なお下記一般式(10)で表される架橋性シリル基が入手が容易であるため好ましい。
−Si(R23-a(Z)a (10)
(式中R2、Zは上記一般式(1)と同様である。また、aは1,2,または3である。)
上記架橋性シリル基はポリエーテル分子鎖の内部に側鎖として存在してもよく、末端に存在してもよいが、建築物のシーラント用途等には末端に存在するのが特に好ましい。架橋性シリル基が内部に側鎖として存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれるポリエーテルオリゴマー成分の有効網目鎖量が小さくなるため、高弾性率で低伸びを示すゴム状硬化物が得られやすくなる。一方、架橋性シリル基が分子鎖の末端近傍に存在すると最終的に形成される硬化物に含まれるポリエーテルオリゴマー成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高伸びで低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。特に、架橋性シリル基が分子鎖の末端に存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれるポリエーテルオリゴマー成分の有効網目鎖量が最も大きくなるため、引張り物性として大きい伸び特性と柔軟性に富むゴム弾性を有することが望ましい建築物のシーラント用途等にはより好ましい。特に好ましくは、全ての架橋性シリル基を分子鎖末端に有するものである。
このような架橋性シリル基導入率を測定するには種々の方法が考えられるが、本発明においては、架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の1H−NMR分析により行う。即ち架橋性シリル基の導入率は、1H−NMR分析により架橋性シリル基の数とポリエーテルオリゴマーの分子鎖末端の数の比率を求める事で算出できる。
硬化性組成物の硬化性のみの観点からすれば、架橋性シリル基の数はポリエーテルオリゴマーの末端数に対し、50%以上存在すれば充分である。しかし硬化物の強度、破断時の伸びを改善するためには、85%以上存在することが必要である。更なる改善の為には、90%以上存在するのが好ましく、95%以上存在するのがより好ましい。特に好ましくは98%以上である。このようなポリエーテルオリゴマーを含有する硬化性組成物は、一般建築用シーリング材組成物として要求される表面のべたつきが抑えられると共に、従来のものと比べて強度、破断時の伸びを改善した硬化物を与えることができる。上記値が85%未満では、硬化物の強度、伸びが少し不足しており、また表面のべたつきが課題であった。
架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の主鎖構造としては、−R−O−で示される構造を繰り返し単位とする構造であればよく、このとき、Rは水素、酸素及び炭素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基であればよい。また繰り返し単位の全てが同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さらに、主鎖中に分岐構造を有していても良い。
このような架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の主鎖構造は、2価アルコール若しくは多価アルコールまたは水酸基を有する各種オリゴマーを開始剤として、種々の触媒の存在下で、2個から12個の炭素原子を有する置換または非置換エポキシ化合物を開環重合させる事によって得られるヒドロキシ基含有ポリエーテルオリゴマーの主鎖構造に由来するものである。
上記エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、アルキレンオキサイド類、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキシド、およびアルキル、アリルまたはアリールグリシジルエーテル類、具体的にはメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。なかでも、アルキレンオキシド類が好ましい。特に、架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の主鎖構造は、原料の入手性、コスト、反応制御の点から、主にプロピレンオキサイドから形成されたものが特に好ましい。ここで、「主にプロピレンオキサイドから形成された」とは、主鎖構造の全繰返し単位中、50%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上の繰返し単位をプロピレンオキサイドが占めるようなことをいう。
また、上記開始剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
上記開環重合の触媒としてはKOH、NaOH等のアルカリ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触媒等の既に公知のものが用いられる。特に、複合金属シアン化物錯体触媒を使用した場合、副反応成分として副生するアリル末端のポリエーテルオリゴマー成分が少ないために、アリル基以外の不飽和基を導入する際に該アリル基以外の不飽和基の導入比率が向上するので好ましい。
架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の主鎖構造は、複合金属シアン化物錯体の存在下にアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルオリゴマーから誘導されるものが特に好ましい。
また、重合して得られたポリエーテルオリゴマーは、多価ハロゲン化合物等と反応させることでさらに高分子量化してもよいし、しなくてもよい。
架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)を得る方法としては、例えば、重合によりヒドロキシ基含有ポリエーテルオリゴマーを得、該ポリエーテルオリゴマーのヒドロキシ基を特定の不飽和基に変換して架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(A)の前駆体とし、この末端不飽和基をヒドロシリル化する方法が挙げられる。
具体的には、(a)1分子中に一般式(2):
2C=C(R3)−R4−O− (2)
(式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)または一般式(3):
HC(R3)=CH−R4−O− (3)
(式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)で示される不飽和基を側鎖または末端に少なくとも1個含有し、主鎖がポリエーテルからなるポリエーテルオリゴマーと、(b)架橋性シリル基含有化合物とを、(c)VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。
従来、不飽和基と架橋性シリル基含有化合物とのヒドロシリル化反応において、不飽和基としてアリル基を有するポリエーテルオリゴマーでは、副反応であるアリル基の内部転位によりプロペニル基が生成するため、不飽和基に対する反応性ケイ素含有基の反応収率に限界があった。ところが、一般式(2)、(3)に示した不飽和基を含有するポリエーテルオリゴマーに対して、ヒドロシリル化反応により架橋性シリル基含有化合物を導入すると、従来得ることができなかった架橋性シリル基の導入率が85%以上のポリエーテルオリゴマーを得ることができる。
上記一般式(2)及び(3)において、R3としては例えば直鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、分岐アルキル基、例えばイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、イソヘキシルやアリール基、例えばフェニル基等を示すことができ、1種類のみであっても、複数の種類の混合物であっても良い。さらに反応性の点からは、CH3−、CH3CH2−が特に好ましく、CH3−が特に好ましい。R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基であり、例えば、−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C64−、−C612−、−C714、−C816−、C918、−C1020−、−CH(CH3)−、−CH2−CH(CH3)−、−CH2−CH(CH3)−CH2−、−C24−CH(CH3)−、−CH2−C64−、−CH2−C64−CH2−、−C24−C64−等の基が例示される。合成が容易である点で−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−が好ましい。さらに、原料入手の容易さから、−CH2−が特に好ましい。
また、このような不飽和基の具体的な構造としては、H2C=C(CH3)−CH2−O− 、H2C=C(CH2CH3)−CH2−O− 、H2C=C(CH2CH(CH3))−CH2−O− 、HC(CH3)=CH−CH2−O− などが挙げられ、特に、反応性の点から、H2C=C(CH3)−CH2−O− 、HC(CH3)=CH−CH2−O−が好ましい。さらに、原料入手、および合成の容易さからH2C=C(CH3)−CH2−O−が特に好ましい。
上述した開環付加重合を行い得られたヒドロキシ基末端ポリエーテルオリゴマーに不飽和基を導入して(a)を製造する方法としては、公知の方法を用いればよく、たとえば、水酸基末端ポリエーテルオリゴマーに不飽和結合を有する化合物を反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などにより結合させる方法などが挙げられる。例えばエーテル結合により不飽和基を導入する場合は、ポリエーテルオリゴマーの水酸基末端のメタルオキシ化により−OM1(M1はNaまたはK)を生成した後、一般式(24):
2C=C(R3)−R4−X1(24)
(式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基、X1はハロゲン)または一般式(25):
HC(R3)=CH−R4−X1 (25)
(式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基、X1はハロゲン)で示される有機ハロゲン化合物と反応させて末端に不飽和基を有するポリエーテルオリゴマーを製造する方法が挙げられる。
(a)成分のポリエーテルオリゴマーの分子量には特に制限はないが、数平均分子量が1,000から100,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000未満では得られる架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマーの硬化物が脆くなり、100,000を超えると官能基濃度が低くなりすぎ、硬化速度が低下する、また、ポリマーの粘度が高くなりすぎ、取扱いが困難となるため好ましくない。さらに、数平均分子量が1,000から50,000であることが、得られる架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマーの粘度の点から好ましく、5,000〜50,000であることが機械物性発現上特に好ましい。
ここでのポリエーテルオリゴマーの数平均分子量とは、JISK1557の水酸基価の測定方法と、JISK0070のよう素価の測定方法の原理に基づいた滴定分析により、直接的に末端基濃度を測定し、ポリエーテルオリゴマーの構造を考慮して求めた数平均分子量と定義している。また、数平均分子量の相対測定法として一般的なGPC測定により求めたポリスチレン換算分子量と上記末端基分子量の検量線を作成し、GPC分子量を末端基分子量に換算して求めることも可能である。
架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の製造に用いられる架橋性シリル基含有化合物(b)とは、上記水酸基や加水分解性基と結合したケイ素含有基を分子内に1個以上有し、かつ1個以上のSi−H基を分子内に有している化合物であればよい。代表的なものを示すと、例えば下記一般式(15)で表される化合物が挙げられる。
H−[Si(R12-b(Z)bO]lSi(R23-a)(Z)a (15)
(式中R1、R2、Z、a、b及びlは、上記一般式(1)と同様である)
具体的には、トリクロルシラン、メチルジクロルシラン、ジメチルクロルシラン、フェニルジクロルシラン、トリメチルシロキシメチルクロルシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1−ブロモジシロキサンの如きハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメトキシシラン、トリメチルシロキシジエトキシシランの如きアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシラン、トリメチルシロキシジアセトキシシランの如きアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、トリス(アセトキシメート)シランの如きケトキシメートシラン類;メチルイソプロペニルオキシシランの如きアルケニルオキシシラン類などが挙げられる。これらの内、特にアルコキシシラン類が好ましく、アルコキシ基の中でもメトキシ基が特に好ましい。
更に本発明においては、得られる末端シリル基中の加水分解性基Zを他の加水分解性基Z’に変換することができる。特にZ基がハロゲンである場合には水分による硬化に際し刺激臭の強いハロゲン化水素を発生させるので他の加水分解性基に変換することが好ましい。変換しうる加水分解性官能基としてはアルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基およびメルカプト基などが挙げられる。
ハロゲン官能基をこれら加水分解性官能基に変換する方法としては種々の方法が挙げられる。
例えばアルコキシ基に変換する方法としては、(1)メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、sec−ブタノール、ter−ブタノールおよびフェノールなどの如きアルコール類およびフェノール類、(2)アルコール類およびフェノール類のナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルコキシド類、(3)オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチルなどの如きオルトギ酸エステル類、(4)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、アリルグリシジルエーテルなどの如きエポキシ化合物類などをハロゲン官能基と反応させる方法が具体例に挙げられる。特に(1)と(3)を組み合わせたアルコール類およびフェノール類とオルトギ酸エステル類とからなる反応系、(1)と(4)を組み合わせたアルコール類およびフェノール類とエポキシ化合物類とからなる反応系を使用すれば容易に反応を行うことができ好ましい結果が得られる。
同様にアシルオキシ基に変換する方法として、(1)酢酸およびプロピオン酸の如きカルボン酸類、(2)無水酢酸のような酸無水物、(3)カルボン酸類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。
同様にアミノオキシ基に変換する方法として、(1)N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−メチルフェニルヒドロキシルアミン及びN−ヒドロキシルピロリジンのようなヒドロキシルアミン類、(2)ヒドロキシルアミン類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。
同様にアミド基に変換する方法として、(1)N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N−メチルフェニルアミン及びピロリジンの如き1級および2級アミン類、(2)1級及び2級アミン類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。
同様に酸アミドに変換する方法として、(1)アセトアミド、ホルムアミド及びプロピオンアミドの如き窒素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する酸アミド類、(2)該酸アミド類のナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩;等をハロゲン官能基と反応させる方法が具体的に挙げられる。
アセトキシム、メチルエチルケトキシムの如きケトキシム類;N−オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンの如きメルカプタン類とオルトギ酸エステル類又はエポキシ化合物類とを組み合わせた反応系を使用すれば、それぞれケトキシメート基およびメルカプト基に一部変換させることができ、他の部分はオルトギ酸エステル又はエポキシ化合物から誘導されるアルコキシル基に変換させることができる。
上述した如くハロゲン官能基の場合だけ、他の加水分解性官能基に変換するのではなく、種々の加水分解性官能基を別の加水分解性官能基に変換し使用することも可能である。
架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の製造に用いられるVIII族遷移金属触媒(c)としては、白金、ロジウム、コバルト、パラジウム及びニッケル等のVIII族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒等が有効に使用される。例えば、H2PtCl6・6H2O,白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、Ptメタル,RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等のような化合物が使用できるが、ヒドロシリル化の反応性の点から、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体のいずれかであることが特に好ましい。
ここでいう白金−ビニルシロキサン錯体とは、白金原子に対し、配位子として分子内にビニル基を有する、シロキサン、ポリシロキサン、環状シロキサンが配位している化合物の総称であり、上記配位子の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル1,3−ジビニルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。白金−オレフィン錯体のオレフィン配位子の具体例は1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。上記配位子の中でも1,9−デカジエンが特に好ましい。なお、白金−オレフィン錯体については特公平8−9006に開示されている。
触媒使用量としては特に制限は無いが、通常、アルケニル基1モルに対して白金触媒を10-1から10-8モル使用することが好ましく、更に好ましくは10-3から10-6モルの範囲で使用することができる。触媒の量が少ない場合はヒドロシリル化反応が十分に進行しない可能性がある。また、触媒量が多すぎると触媒消費によるコストの負担が増えたり、製品への残留触媒が増えるなどの問題がある。
架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の製造におけるヒドロシリル化反応は、通常10〜150℃、好ましくは20〜120℃、さらに好ましくは40〜100℃の範囲とするのが好適である。
また、上記ヒドロシリル化反応においては、反応温度の調節、反応系の粘度の調整などの必要に応じて、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの溶剤を用いることができる。
特に高分子化合物のヒドロシリル化を行う場合においては、液状化や粘度低下のために溶媒を用いる方法が好ましい。高分子化合物の製品化工程において加えられる可塑剤を反応溶媒とすることもできる。
上記ヒドロシリル化反応を行う際の反応器気相部は、窒素やヘリウムなどの不活性ガスのみからなってもよいし、酸素等が存在してもよい。ヒドロシリル化反応を行う際には、可燃性物質取扱いの安全性の観点から反応器気相部は窒素やヘリウムなどの不活性ガスの存在下で実施することがある。しかしながら、反応器気相部を窒素やヘリウムなどの不活性ガスの存在下行った場合には、ヒドロシリル化の反応系条件によっては反応速度が低下する場合もある。
上記ヒドロシリル化反応では、反応器気相部の酸素濃度を爆発性混合組成を回避する値に設定することにより、酸素存在下で安全にヒドロシリル化反応を促進することができる。反応器気相部の酸素濃度は、例えば0.5〜10%とすることができる。
さらにヒドロシリル化反応においてポリエーテルオリゴマー、反応溶媒、系中の可塑剤等が酸素により酸化されることを抑制するために、酸化防止剤の存在下でヒドロシリル化反応を行うことができる。酸化防止剤としては、ラジカル連鎖禁止剤の機能を有するフェノール系酸化防止剤、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、1,1,3−トリス(2−メチルー4−ヒドロキシー5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどを用いることができる。同様のラジカル連鎖禁止剤としてアミン系酸化防止剤、例えばフェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどを用いることもできるがこれらに限定されるものではない。
ヒドロシリル化反応の反応促進という点では、酸素の使用による触媒の再活性化(特開平8−283339)や硫黄添加を行うのが好ましい。硫黄の添加は高価な白金触媒の増量などに伴うコストアップや残留触媒の除去などの問題を起こさず製造時間の短縮を可能とし製造コスト削減、さらには生産性のアップに寄与する。
硫黄化合物としては硫黄単体、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、チオケトン等が挙げられ、特に硫黄が好ましいがこれに限定されるものではない。液相反応系に硫黄化合物を添加するには、例えば反応液や溶媒の一部にあらかじめ硫黄化合物を溶解混合してから全体に一様に分散することができる。例えばトルエン、ヘキサン、キシレンなどの有機溶媒に硫黄化合物を溶解してから添加することができる。
硫黄化合物の添加量については、例えばその量が金属触媒モル数を基準として0.1〜10倍量、もしくはアルケニル基のモル数を基準として10-3から10-6倍量、あるいは反応液全体重量を基準として0.001〜10ppmであるような範囲で設定することができる。添加量が少ないと本発明の効果が十分に達成されない場合がある。硫黄化合物の量が多すぎる場合には触媒活性を低下させたり、反応を阻害するような問題が起こる場合も有り、添加量を適切に選定することが好ましい。
以上のような方法により得ることができる架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)は、本発明の硬化性組成物において単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。また、分子末端に対する架橋性シリル基の導入率が1H−NMR分析により85%未満である架橋性シリル基含有ポリエーテルを併用してもよい。
さらに(II)成分として架橋性シリル基を有するポリエーテルオリゴマーの変性体を用いることもできる。代表的な変性体としては架橋性シリル基を有するポリエーテルオリゴマー存在下に下記一般式(26)で表される炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーと下記一般式(27)で表される炭素数9以上のアルキル基を有するアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸アルキルエステルモノマーの混合物を重合して得られる変性体である。この変性体を用いると硬化性樹脂組成物の硬化物の耐候性がより改善される。
CH2=C(R7)(COOR22) (26)
(式中R7は水素原子またはメチル基、R22は炭素数1から8のアルキル基を示す)
CH2=C(R7)(COOR23) (27)
(式中R7は前記に同じ。R23は炭素数9以上のアルキル基を示す)
前記一般式(26)のR22としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基などの炭素数1〜8、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基を挙げることができる。なお一般式(26)で表されるモノマーは1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
前記一般式(27)のR23としては、たとえばラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ビフェニル基などの炭素数9以上、通常は10〜30、好ましくは10〜20の長鎖アルキル基が挙げられる。なお一般式(27)で示されるモノマーは1種類でもよく、2種以上用いてもよい。
式(26)のモノマーと式(27)のモノマーの混合比は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
この重合には式(26)及び式(27)以外のモノマーを併用してもよく、そのようなモノマーとしては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸やアクリルアミド、メタクリルアミド、Nーメチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基を含むモノマーやアクリロニトリル、スチレン、αーメチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレンなどのモノマーが挙げられる。この場合、重合した式(26)及び式(27)のモノマーの合計が重合したモノマー全体の50重量%以上、特に70重量%以上であることが好ましい。
架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の使用量は、ビニル系重合体(I)100重量部に対して1〜1000重量部の範囲で使用される。特に架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)は5〜30重量部の範囲で使用するのが好ましい。架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の使用量が少ない場合には、硬化物の耐候性、耐熱性が良好であるものの強度、破断時の伸びが少し低く、建築用シーリング材への適用が難しいことがある。架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の使用量が多い場合には、硬化物の強度、破断時の伸びは高いものの、耐候性、耐熱性が不十分な場合がある。ビニル系重合体(I)100重量部と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)1〜1000重量部を使用した場合には、長所がそれほど損なわれず両者の欠点が補われ、耐候性、耐熱性、強度、破断時の伸びを兼ね備えた硬化性組成物が可能となる。
<<錫系硬化触媒(III)>>
本発明における硬化性組成物には、さらに錫系硬化触媒(III)を配合してもよい。錫系硬化触媒(III)としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫カルボン酸塩類;
ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの混合物等のジアルキル錫オキサイド類;
ジアルキル錫オキサイドやジアルキル錫ジアセテート等の4価錫化合物と、テトラエトキシシランやメチルトリエトキシシランやジフェニルジメトキシシランやフェニルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有する低分子ケイ素化合物との反応物;
オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫等の2価の錫化合物類;
モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;
ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物及び混合物等のアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;
ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジオクチル錫ビスアセチルセトナート、ジブチル錫ビスエチルアセトナート、ジオクチル錫ビスエチルアセトナート等のキレート化合物;
ジブチル錫ジメチラート、ジブチル錫ジエチラート、ジオクチル錫ジメチラート、ジオクチル錫ジエチラート等の錫アルコラート類等が挙げられる。
この中でも、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート等のキレート化合物や錫アルコラート類は、シラノール縮合触媒としての活性が高いのでより好ましい。あたジブチル錫ジラウレートは、最終の硬化性組成物の着色が少なく、低コストであり、入手が容易であるために好ましい。
これらの錫系硬化触媒(III)は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
この錫系硬化触媒(III)の配合量は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部程度が好ましく、0.5〜10重量部が更に好ましい。錫系硬化触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、錫系硬化縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じて良好な硬化物が得られ難くなったり、ポットライフが短くなって、作業性が低下し易い傾向がある。
<<硬化性組成物>>
本発明の硬化性組成物においては、各架橋性シリル基に応じて、硬化触媒や硬化剤が必要になるものがある。また、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<硬化触媒・硬化剤>
架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
このような縮合触媒としては、既に述べた錫系硬化触媒(III)以外に、次のようなものも使用できる。テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよく、錫系硬化触媒(III)と併用しても良い。この縮合触媒の配合量は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部程度が好ましく、0.5〜10重量部が更に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。
本発明の硬化性組成物においては、縮合触媒の活性をより高めるために、一般式(28)
24 cSi(OR254-c (28)
(式中、R24およびR25は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基であり、R24又はR25がそれぞれ2個以上存在するときは、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。cは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるシラノール基をもたないケイ素化合物を添加しても構わない。
前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(28)中のR24が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
このケイ素化合物の配合量は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して0.01〜20重量部程度が好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
<接着性付与剤>
本発明の組成物には、シランカップリング剤や、シランカップリング剤以外の接着性付与剤を添加することができる。接着付与剤を添加すると、外力により目地幅等が変動することによって、シーリング材がサイディングボード等の被着体から剥離する危険性をより低減することができる。また、場合によっては接着性向上の為に用いるプライマーの使用の必要性がなくなり、施工作業の簡略化が期待される。シランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(β−カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
本発明に用いるシランカップリング剤は、通常、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲で使用される。特に、0.5〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。本発明の硬化性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。
シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。特に限定はされないが、接着性、特にオイルパンなどの金属被着面に対する接着性を向上させるために、上記接着性付与剤の中でもシランカップリング剤を0.1〜20重量部、併用することが好ましい。
<可塑剤>
本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤を必要に応じて用いても良い。可塑剤を後述する充填材と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填材を混合できたりするためより有利となるが、必ずしも添加しなければならないものではない。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。
なかでも数平均分子量500〜15000の重合体である高分子可塑剤は、添加することにより、該硬化性組成物の粘度やスランプ性および該組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持することができる。また屋外等に使用した場合には、可塑剤の表面層へのブリードが抑えられ埃等が付着しにくく、また硬化性組成物の表面に塗料等を塗布する場合においても塗膜の軟化や、それによる塗膜の汚れが生じにくく、長期にわって美観を保つことができる。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
上記で高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000と記載したが、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系重合体(I)あるいは架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)と相溶するものが好ましい。中でも相溶性および耐候性、耐熱性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。このアクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207、特公平5−58005、特開平1−313522、USP5010166)にて作製されるため本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが東亞合成(株)製ARUFON UP−1000、UP−1020、UP−1110等や、ジョンソンポリマー(株)製JDX−P1000、JDX−P1010、JDX−P1020等が挙げられる。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して5〜800重量部、好ましくは10〜600重量部、さらに好ましくは10〜500重量部である。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、800重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する。
<充填材>
本発明の硬化性組成物には、各種充填材を必要に応じて用いても良い。充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、白土、シリカ(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸等)、カーボンブラックのような補強性充填材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、べんがら、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等のような繊維状充填材等が挙げられる。
これら充填材のうちでは沈降性シリカ、フュームドシリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。
特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を添加できる。なかでも、比表面積(BET吸着法による)が50m2/g以上、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜300m2/g程度の超微粉末状のシリカが好ましい。またその表面が、オルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが更に好ましい。
補強性の高いシリカ系充填材のより具体的な例としては、特に限定されないが、燃焼法シリカ(ヒュームドシリカ)の1つである日本アエロジル社のアエロジルや、沈降法シリカの1つである日本シリカ社工業のNipsil等が挙げられる。特にヒュームドシリカについては、一次粒子の平均粒径5nm以上50nm以下のヒュームドシリカを用いると、補強効果が特に高いのでより好ましい。
また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を添加できる。なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果はより大きくなる。
更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、本発明の組成物の作業性を改善し、該硬化性組成物の接着性と耐候接着性の改善効果がより向上すると考えられる。前記の表面処理剤としては脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等の有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の各種カップリング剤が用いられている。具体例としては、以下に限定されるものではないが、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪酸と、それら脂肪酸のナトリウム、カリウム等の塩、そして、それら脂肪酸のアルキルエステルが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルや長鎖アルコール硫酸エステル等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等の硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、またアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホンコハク酸等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン酸型陰イオン界面活性剤等が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、該硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
特に限定はされないが、炭酸カルシウムを用いる場合、配合物のチクソ性や硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性等の改善効果を特に期待する場合には膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。
一方、重質炭酸カルシウムは配合物の低粘度化や増量、コストダウン等を目的として添加することがあるが、この重質炭酸カルシウムを用いる場合は必要に応じて下記のようなものを使用することができる。
重質炭酸カルシウムとは、天然のチョーク(白亜)、大理石、石灰石などを機械的に粉砕・加工したものである。粉砕方法については乾式法と湿式法があるが、湿式粉砕品は本発明の硬化性組成物の貯蔵安定性を悪化させることが多いために好ましくないことが多い。重質炭酸カルシウムは、分級により、様々な平均粒子径を有する製品となる。特に限定されないが、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果を期待する場合には、比表面積の値が1.5m2/g以上50m2/g以下のものが好ましく、2m2/g以上50m2/g以下が更に好ましく、2.4m2/g以上50m2/g以下がより好ましく、3m2/g以上50m2/g以下が特に好ましい。比表面積が1.5m2/g未満の場合には、その改善効果が充分でないことがある。もちろん、単に粘度を低下させる場合や増量のみを目的とする場合などはこの限りではない。
なお、比表面積の値とは、測定方法としてJIS K 5101に準じて行なった空気透過法(粉体充填層に対する空気の透過性から比表面積を求める方法。)による測定値をいう。測定機器としては、島津製作所製の比表面積測定器SS−100型を用いるのが好ましい。
これらの充填材は目的や必要に応じて単独で併用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に限定はされないが、例えば、必要に応じて比表面積の値が1.5m2/g以上の重質炭酸カルシウムと膠質炭酸カルシウムを組み合わせると、配合物の粘度の上昇を程々に抑え、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が大いに期待できる。
<添加量>
充填材を用いる場合の添加量は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して、充填材を5〜5000重量部の範囲で使用するのが好ましく、10〜2500重量部の範囲で使用するのがより好ましく、15〜1500重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、5000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。充填材は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
<微小中空粒子>
また、更に、物性の大きな低下を起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的として、微小中空粒子をこれら補強性充填材に併用しても良い。
このような微少中空粒子(以下バルーンという)は、特に限定はされないが、「機能性フィラーの最新技術」(CMC)に記載されているように、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成された中空体が挙げられる。特に、真比重が1.0g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましく、更には0.5g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましい。
前記無機系バルーンとして、珪酸系バルーンと非珪酸系バルーンとが例示でき、珪酸系バルーンには、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン等が、非珪酸系バルーンには、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等が例示できる。これらの無機系バルーンの具体例として、シラスバルーンとしてイヂチ化成製のウインライト、三機工業製のサンキライト、ガラスバルーンとして住友スリーエム製のセルスターZ−28、EMERSON&CUMING製のMICRO BALLOON、PITTSBURGE CORNING製のCELAMIC GLASSMODULES、3M製のGLASS BUBBLES、シリカバルーンとして旭硝子製のQ−CEL、太平洋セメント製のE−SPHERES、フライアッシュバルーンとして、PFAMARKETING製のCEROSPHERES、FILLITE U.S.A製のFILLITE、アルミナバルーンとして昭和電工製のBW、ジルコニアバルーンとしてZIRCOA製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEES、カーボンバルーンとして呉羽化学製クレカスフェア、GENERAL TECHNOLOGIES製カーボスフェアが市販されている。
前記有機系バルーンとして、熱硬化性樹脂のバルーンと熱可塑性樹脂のバルーンが例示でき、熱硬化性のバルーンにはフェノールバルーン、エポキシバルーン、尿素バルーンが、熱可塑性バルーンにはサランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系バルーンが例示できる。また、架橋した熱可塑性樹脂のバルーンも使用できる。ここでいうバルーンは、発泡後のバルーンでも良く、発泡剤を含むものを配合後に発泡させてバルーンとしても良い。
これらの有機系バルーンの具体例として、フェノールバルーンとしてユニオンカーバイド製のUCAR及びPHENOLIC MICROBALLOONS、エポキシバルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES、尿素バルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES VF−O、サランバルーンとしてDOW CHEMICAL製のSARAN MICROSPHERES、AKZO NOBEL製のエクスパンセル、松本油脂製薬製のマツモトマイクロスフェア、ポリスチレンバルーンとしてARCO POLYMERS製のDYLITE EXPANDABLE POLYSTYRENE、BASF WYANDOTE製の EXPANDABLE POLYSTYRENE BEADS、架橋型スチレン−アクリル酸バルーンには日本合成ゴム製のSX863(P)が、市販されている。
上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で分散性および配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる。これらの、バルーンは配合物を硬化させた場合の物性のうち、柔軟性および伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウンするために使用される。
バルーンの含有量は、特に限定されないがビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、更に好ましくは0.1〜30重量部の範囲で使用できる。この量が0.1重量部未満では軽量化の効果が小さく50重量部以上ではこの配合物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。またバルーンの比重が0.1以上の場合は3〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部が好ましい。
<物性調整剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。
物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
物性調整剤は、特に限定されないがビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜80重量部、更に好ましくは0.1〜50重量部の範囲で使用できる。この量が0.1重量部未満では軽量化の効果が小さく80重量部以上ではこの配合物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。
<<シラノール含有化合物について>>
本発明で用いるシラノール含有化合物とは、分子内に1個のシラノール基を有する化合物、及び/又は、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物のことをいう。これらは一方のみを用いてもよいし、両化合物を同時に用いてもよい。
本発明で用いる成分の一つである分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、特に限定されず、下記に示した化合物、
(CH33SiOH、(CH3CH23SiOH、(CH3CH2CH23SiOH、(n−Bu)3SiOH、(sec−Bu)3SiOH、(t−Bu)3SiOH、(t−Bu)Si(CH32OH、(C5113SiOH、(C6133SiOH、(C653SiOH、(C652Si(CH3)OH、(C65)Si(CH32OH、(C652Si(C25)OH、C65Si(C252OH、C65CH2Si(C252OH、C107Si(CH32OH
(ただし、上記式中C65はフェニル基を、C107はナフチル基を示す。)
等のような(R”)3SiOH(ただし式中R”は同一または異種の置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基)で表すことができる化合物、
Figure 2005111150
等のようなシラノール基を含有する環状ポリシロキサン化合物、
Figure 2005111150
(式中、R26は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、mは正の整数を示す。)
等のようなシラノール基を含有する鎖状ポリシロキサン化合物、
Figure 2005111150
(式中、R26は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示し、mは正の整数を示す。)
等のような主鎖が珪素、炭素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 2005111150
(式中、mは正の整数を示す。)
等のようなポリシラン主鎖末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 2005111150
(式中、mは正の整数を示し、nは整数を示す。)
等のような主鎖が珪素、炭素、酸素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物等が例示できる。このうち下記一般式(29)で表される化合物が好ましい。
(R263SiOH (29)
(式中、R26は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR26は同一であってもよく又は異なっていてもよい。)
26は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらに易入手性、効果の点からメチル基が好ましい。
上記、分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
また本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、水分と反応して生成する分子内に1個のシラノール基を有する化合物(加水分解生成物)が、上記一般式(29)で表される化合物が好ましい。例えば、特に限定されるわけではないが、後述するような一般式(30)で表される化合物以外に下記の化合物を挙げることができる。
N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、(CH33SiNHSi(CH33、(CH33SiNSi(CH32
Figure 2005111150
等が好適に使用できるが加水分解生成物の含有シラノール基の量からは(CH33SiNHSi(CH33が特に好ましい。
さらには本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、上記化合物以外に下記一般式(30)で表される化合物が好ましい。
((R263SiO)q27 (30)
(式中、R26は上述したものと同様である。qは正の整数を、R27は活性水素含有化合物から一部あるいは全ての活性水素を除いた基を示す。)
26は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
(R263Si基は、3個のR26が全てメチル基であるトリメチルシリル基が特に好ましい。また、qは1〜5が好ましい。
上記R27の由来となる活性水素含有化合物としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類;フェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ヒドロキノン等のフェノール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、イミダゾール等のアミン類;アセトアミド、ベンズアミド等の酸アミド類、尿素、N,N’−ジフェニル尿素等の尿素類;アセトン、アセチルアセトン、2,4−ヘプタジオン等のケトン類等が挙げられる。
上記一般式(30)で表される水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、例えば上述の活性水素含有化合物等に、トリメチルシリルクロリドやジメチル(t−ブチル)シリルクロリド等のようなシリル化剤とも呼ばれる(R263Si基とともにハロゲン基等の活性水素と反応し得る基を有する化合物を反応させることにより得ることができるが、これらに限定されるものではない(ただし、R26は上述したものと同様である。)。
上記一般式(30)で表される化合物を具体的に例示すると、アリロキシトリメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、一般式((R283SiO(R29O)stDで表すことができるような化合物、CH3O(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33、CH2=CHCH2(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33、(CH33SiO(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33、(CH33SiO(CH2CH(CH3)O)7Si(CH33
(式中、R28は同一または異種の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基または水素原子、R29は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、s、tは正の整数で、tは1〜6、s×tは5以上、Dは1〜6価の有機基)
等も好適に使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物の中では、貯蔵安定性、耐候性等に悪影響を及ぼさない点で、加水分解後に生成する活性水素化合物はフェノール類、酸アミド類及びアルコール類が好ましく、活性水素化合物が水酸基であるフェノール類およびアルコール類が更に好ましい。
上記の化合物の中では、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物等が好ましい。
この水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、貯蔵時、硬化時あるいは硬化後に水分と反応することにより、分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成する。この様にして生成した分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、上述のようにビニル系重合体(I)の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
シラノール含有化合物の添加量は、硬化物の期待物性に応じて適宜調整可能である。シラノール含有化合物は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部添加できる。0.1重量部未満では添加効果が現れず、50重量部を越えると架橋が不十分になり、硬化物の強度やゲル分率が低下しすぎる。
また、シラノール含有化合物をビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)に添加する時期は特に限定されず、ビニル系重合体(I)あるいは架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)のいずれかの製造時に添加してもよく、硬化性組成物の作製時に添加してもよい。
<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。
また、垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類、水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
チクソ性付与剤は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜25重量部添加できる。添加量が0.1重量部未満ではチクソ付与効果が十分発現せず、また50重量部を越えて用いると配合物の粘度が高くなり、さらに配合物の貯蔵安定性が低下してしまう。
<光硬化性物質について>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて光硬化性物質を添加しても良い。光硬化性物質とは、光の作用によって短時間に、分子構造が化学変化をおこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。この光硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。この光硬化性物質は、光をあてることにより硬化し得る物質であるが、代表的な光硬化性物質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近)に1日間、室温で静置することにより硬化させることができる物質である。この種の化合物には、有機単量体、オリゴマー、樹脂あるいはそれらを含む組成物など多くのものが知られており、その種類は特に限定されないが、例えば、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が挙げられる。
不飽和アクリル系化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアルコール等の低分子量アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA、イソシアヌル酸等の酸あるいは上記低分子量アルコール等をエチレンオキシドやプロピレンオキシドで変性したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;主鎖がポリエーテルで末端に水酸基を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリエーテルであるポリオール中でビニル系モノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーポリオール、主鎖がポリエステルで末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、主鎖がビニル系あるいは(メタ)アクリル系重合体であり、主鎖中に水酸基を有するポリオール等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA型やノボラック型等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシアクリレート系オリゴマー類;ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレート等を反応させることにより得られる分子鎖中にウレタン結合および(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
ポリケイ皮酸ビニル類とは、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂であり、ポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル系誘導体が挙げられる。
アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液のほか「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、93頁〜、106頁から、117頁〜)に詳細な例示があり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。
上記の光硬化性物質の中では、取り扱い易いという理由で不飽和アクリル系化合物が好ましい。
光硬化性物質は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して0.01〜30重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また30重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類等の促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。
<空気酸化硬化性物質について>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて空気酸化硬化性物質を添加しても良い。空気酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化できる不飽和基を有する化合物である。この空気酸化硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。本発明における空気酸化硬化性物質は、空気と接触させることにより硬化し得る物質であり、より具体的には、空気中の酸素と反応して硬化する性質を有するものである。代表的な空気酸化硬化性物質は、例えば空気中で室内に1日間静置することにより硬化させることができる。
空気酸化硬化性物質としては、例えば、桐油、アマニ油等の乾性油;これら乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂;1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、C5〜C8ジエンの重合体や共重合体、更には該重合体や共重合体の各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが具体例として挙げられる。これらのうちでは桐油、ジエン系重合体のうちの液状物(液状ジエン系重合体)やその変性物が特に好ましい。
上記液状ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等のジエン系化合物を重合又は共重合させて得られる液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させて得られるNBR,SBR等の重合体や更にはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら液状ジエン系化合物のうちでは液状ポリブタジエンが好ましい。
空気酸化硬化性物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また空気酸化硬化性物質と同時に酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用すると効果を高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩やアミン化合物等が例示される。
空気酸化硬化性物質は、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して0.01〜30重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また30重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。
<酸化防止剤、光安定剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、酸化防止剤あるいは光安定剤を用いても良い。酸化防止剤、光安定剤としては、各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
酸化防止剤としては、特に限定はされないがアデカスタブ PEP−36、アデカスタブ AO−23等のチオエーテル系酸化防止剤(以上いずれも旭電化工業製)、Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)等のようなリン系酸化防止剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には以下のものが例示できる。
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
商品名で言えば、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業製)、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−616、アデカスタブ AO−635、アデカスタブ AO−658、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−15、アデカスタブ AO−18、アデカスタブ 328、アデカスタブ AO−37(以上いずれも旭電化工業製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、SumilizerGM、SumilizerGA−80(以上いずれも住友化学製)等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
また、光安定剤としては、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)等のようなベンゾエート系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系化合物等が例示できる。
なかでも、ヒンダードアミン系化合物がより好ましい。ヒンダードアミン系化合物としては、具体的には以下のものが例示できるがこれらに限定されるものではない。
コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリディニル)エステル等が挙げられる。
商品名で言えば、チヌビン622LD、チヌビン144、CHIMASSORB944LD、CHIMASSORB119FL、(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、アデカスタブ LA−52、アデカスタブ LA−57、アデカスタブ LA−62、アデカスタブ LA−67、アデカスタブ LA−63、アデカスタブ LA−68、アデカスタブ LA−82、アデカスタブ LA−87(以上いずれも旭電化工業製)、サノールLS−770、サノールLS−765、サノールLS−292、サノールLS−2626、サノールLS−1114、サノールLS−744、サノールLS−440(以上いずれも三共製)などが例示できるがこれらに限定されるものではない。
酸化防止剤と光安定剤とは併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、耐熱性や耐候性等が向上することがあるため特に好ましい。予め酸化防止剤と光安定剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)などを使用しても良い。
なお、耐候性向上のために、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物(HALS)を組み合わせることがあるが、この組み合わせはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。
酸化防止剤あるいは光安定剤は、得には限定されないが、高分子量のものを用いることにより本発明の耐熱性の改善効果を更に長期に亘って発現するためより好ましい。
酸化防止剤または光安定剤の使用量は、それぞれ、ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐熱性改善の効果が少なく、20重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
その他の添加剤
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤が添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、硬化性調整剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
<硬化性組成物の作製>
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製しても良く、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整しても良い。2成分型にすると、2成分の混合時に着色剤を添加することができ、例えば、サイディングボードの色に合わせたシーリング材を提供する際に、限られた在庫で豊富な色揃えをすることが可能となるなど、市場から要望されている多色化対応が容易となり、低層建物用等により好ましい。着色剤は、例えば顔料と可塑剤、場合によっては充填材を混合しペースト化したものを用いると作業し易い。また、更に2成分の混合時に遅延剤を添加することにより硬化速度を作業現場にて微調整することができる。
<<硬化物>>
<用途>
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材、接着剤、弾性接着剤、コーティング材、ガスケット、注型材料、各種成形材料、人工大理石、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車や船舶、家電等に使用される防振・制振・防音・免震材料、自動車部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤等の様々な用途に利用可能である。なかでも、接着剤、シーリング材、液状ガスケットとして、より好適に利用可能である。
以下に、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
(合成例1)
1Lフラスコに臭化銅(I)2.84g(19.8mmol)、アセトニトリル39mLを仕込み、窒素気流下70℃で20分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.93g(16.5mmol)、アクリル酸ブチル280mL(1.95mol)、アクリル酸メチル49mL(0.53mol)、アクリル酸ステアリル54mL(0.16mol)を加え、さらに80℃で20分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.41mL(1.98mmol)を加えて反応を開始した。さらにトリアミンを0.14mL(0.66mmol)追加した。80℃で加熱攪拌を続け、この間にトリアミン0.14mL(0.66mmol)を追加した。反応開始から180分後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。反応開始から240分後、アセトニトリル118mL、1,7−オクタジエン49mL(0.33mol)、トリアミン1.38mL(6.59mmol)添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から620分後加熱を停止した。反応溶液を減圧加熱して揮発分を除去した後、トルエンで希釈して濾過し、ろ液を濃縮することで重合体を得た。得られた重合体とキョ-ワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)、キョ-ワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。3時間後、珪酸アルミを濾過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去した。重合体を180℃で12時間加熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより共重合体中からBr基を脱離させた。重合体とキョ-ワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)、キョ-ワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。5時間後、珪酸アルミをろ過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去しアルケニル末端重合体A−1を得た。
重合体の数平均分子量はGPC測定により(ポリスチレン換算)により29000、分子量分布は1.3であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H−NMR分析より平均95%であった。
次に、200mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体(23.3g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(2.55mL、20.7mmol)、オルトぎ酸ジメチル(0.38mL、3.45mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対して、モル比で2×10−4当量とした。反応混合物を100℃で3時間加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸メチル/アクリル酸ステアリル)の重合体(ポリマーA)を得た。得られた重合体(ポリマーA)の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により、29000分子量分布は1.3であった。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への架橋性シリル基導入率は85%であった。
(合成例2)
1Lフラスコに臭化銅(I)2.84g(19.8mmol)、アセトニトリル39mLを仕込み、窒素気流下70℃で20分間加熱攪拌した。これに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.93g(16.5mmol)、アクリル酸ブチル254mL(1.77mol)、アクリル酸エチル61mL(0.66mol)、アクリル酸ステアリル71mL(0.21mol)を加え、さらに80℃で20分間加熱攪拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)0.41mL(1.98mmol)を加えて反応を開始した。さらにトリアミンを0.14mL(0.66mmol)追加した。80℃で加熱攪拌を続け、この間にトリアミン0.14mL(0.66mmol)を追加した。反応開始から180分後、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去した。反応開始から240分後、アセトニトリル118mL、1,7−オクタジエン49mL(0.33mol)、トリアミン1.38mL(6.59mmol)添加し、引き続き80℃で加熱攪拌を続け、反応開始から620分後加熱を停止した。反応溶液を減圧加熱して揮発分を除去した後、トルエンで希釈して濾過し、ろ液を濃縮することで重合体を得た。得られた重合体とキョ-ワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)、キョ-ワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して2重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。3時間後、珪酸アルミを濾過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去した。重合体を180℃で12時間加熱脱揮(減圧度10torr以下)することにより共重合体中からBr基を脱離させた。重合体とキョ-ワード500SH(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)、キョ-ワード700SL(協和化学製:重合体100重量部に対して3重量部)をキシレン(重合体100重量部に対して100重量部)に混合し、130℃で攪拌した。5時間後、珪酸アルミをろ過し、濾液の揮発分を減圧下加熱して留去しアルケニル末端重合体B−1を得た。
重合体の数平均分子量はGPC測定により(ポリスチレン換算)により27000、分子量分布は1.3であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H−NMR分析より平均95%であった。
次に、200mLの耐圧ガラス反応容器に、上記重合体(23.3g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(2.55mL、20.7mmol)、オルトぎ酸ジメチル(0.38mL、3.45mmol)、および白金触媒を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対して、モル比で2×10−4当量とした。反応混合物を100℃で3時間加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸ステアリル)の重合体(ポリマーB)を得た。得られた重合体(ポリマーB)の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により、27000分子量分布は1.3であった。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への架橋性シリル基導入率は85%であった。
(合成例3)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量20,000の水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。脱塩精製処理を実施した後に得られたオリゴマー500gに対し、酸化防止剤として2,6ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、共沸溶媒としてヘキサンを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して硫黄(1重量%のトルエン溶液)25μl、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)56μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)11.5gをゆっくりと滴下した。90℃で5時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への架橋性シリル基導入率は98%であることを確認した(ポリマーC)。
(合成例4)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量25,000の水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。脱塩精製処理を実施した後に得られたオリゴマー500gに対し、酸化防止剤として2,6ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、共沸溶媒としてヘキサンを加えて90℃で共沸脱水を行った。ヘキサンを減圧下留去後、8%O2/N2で容器内を置換した。これに対して硫黄(1重量%のトルエン溶液)25μl、白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のキシレン溶液)56μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)9.65gをゆっくりと滴下した。90℃で5時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への架橋性シリル基導入率は96%であることを確認した(ポリマーD)。
(合成例5)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量10,000の水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたオリゴマー500gに対し、酸化防止剤として2,6ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、共沸溶媒としてヘキサンを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して塩化白金酸触媒(5重量%のイソプロパノール溶液)40μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)9.0gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への架橋性シリル基導入率は79%であることを確認した(ポリマーE)。
(合成例6)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、数平均分子量20,000の水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたオリゴマー500gに対し、酸化防止剤として2,6ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、共沸溶媒としてヘキサンを加えて90℃で共沸脱水を行い、ヘキサンを減圧下留去した後、窒素置換した。これに対して塩化白金酸触媒(5重量%のイソプロパノール溶液)40μlを加え、撹拌しながら、DMS(ジメトキシメチルシラン)4.7gをゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のDMSを減圧下留去し架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体を得た。得られた重合体の1H−NMR分析より、末端への架橋性シリル基導入率は78%であることを確認した(ポリマーF)。
(実施例1)
合成例1で得られたポリマーAを50重量部、合成例3で得られたポリマーCを50重量部に対して、可塑剤としてポリプロピレングリコール系可塑剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名;アクトコールP−23、分子量3000)80重量部、表面処理膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名:白艶華CCR)150重量部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)商品名;ナノックス25A)20重量部、酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:タイペークR−820)10重量部、チクソ性付与剤(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン6500)2重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン213)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名:サノールLS765)1重量部を計量、混合して充分混練りした後、3本ペイントロールに3回通して分散させた。この後、120℃で2時間減圧脱水を行い、50℃以下に冷却後、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名:A−171)2重量部、接着付与剤としてN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名:A−1120)2重量部、硬化触媒としてジブチル錫ビスアセチルアセトナート(日東化成(株)製、商品名:ネオスタンU−220)2重量部を加えて混練し、実質的に水分の存在しない状態で混練した後、防湿性の容器に密閉し、1液型硬化性組成物を得た。
(実施例2)
実施例1におけるポリマーAの重量を70重量部に変更し、ポリマーCの重量を30重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例3)
実施例1におけるポリマーCの代わりにポリマーDを50重量部用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例4)
実施例2におけるポリマーCの代わりにポリマーDを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例5)
実施例1におけるポリマーAの代わりにポリマーBを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例1)
実施例1におけるポリマーCの代わりにポリマーEを50重量部用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例2)
実施例2におけるポリマーCの代わりにポリマーFを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例3)
実施例1におけるポリマーCを使用せず、ポリマーAを100重量部用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例4)
実施例1におけるポリマーAを使用せず、ポリマーCを100重量部用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
上記実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた硬化性組成物を用いて、各物性について以下のようにして測定・評価を行い、その結果を表1に示した。
(23℃において硬化性組成物が表面に皮が張るまでの時間)
23℃、50%R.H.条件下にて上記硬化性組成物を厚みが約3mmになるよう伸ばし、ミクロスパテュラを用いてときどき硬化性組成物の表面に軽く触れ、組成物がミクロスパテュラについてこなくなるまでの時間を測定した。
(硬化性組成物の粘度)
硬化性組成物を100ccのカップに空気が入らないように詰め、23℃50%R.H.条件下において(株)トキメック社製BS型粘度計を用いて、1rpm、2rpm、10rpmにおける粘度をそれぞれ測定した。
(硬化物の引張物性)
硬化性組成物を厚さ約3mmのシート状試験体にして23℃×3日、50℃×4日の養生を行って硬化させた後、3号ダンベル型に打ち抜いた。島津(株)製オートグラフを用いて引張速度200mm/分で引張試験(23℃、50%R.H.)を行い、50%引張モジュラス、100%引張モジュラス、破断時の強度(Tb)、破断時の伸び(Eb)を測定した。
(耐候性)
硬化性組成物を厚さ約3mmのシート状試験体にして23℃×3日、50℃×4日の養生を行って硬化させた後、アルミ板にはりつけてスガ試験機(株)製サンシャインウェザーメーターを用いて、促進耐候性試験を行った。表面が初期と同じ状態であるのを「良好」と評価し、表面にクラック(割れ)が生じたものを「不良」と評価した。
Figure 2005111150
分子末端に対する架橋性シリル基の導入率が85%以上であるポリエーテルオリゴマー(II)の使用量が30重量部である実施例2、4は、耐候性試験において10000時間後も表面の劣化が見られず耐候性が大変良好であり、破断強度が1.3MPa以上、破断時の伸びは770%以上と引張物性も良好である。。ポリエーテルオリゴマー(II)の使用量が50重量部である実施例1、3、5は、耐候性試験において5000時間後も表面の劣化が見られず耐候性が良好で、破断強度が1.5MPa以上、破断時の伸びは995%以上と機械物性が優れている。架橋性シリル基の導入率が85%未満であるポリエーテルオリゴマーを使用した比較例1、2は、耐候性試験において5000時間後も劣化が見られず耐候性は良好であるが、破断時の強度が1.2MPa未満、破断時の伸びは690%以下と引張物性が劣る。ポリエーテルオリゴマー(II)を使用しない比較例3は、耐候性試験において10000時間後も表面劣化が生じず耐候性は良好であるものの、破断時の強度が0.93MPa、破断時の伸びが450%と低く、建築用シーリング材には使用できない。ビニル系重合体(I)を使用しない比較例4は、引張物性は大変良好なものの、耐候性試験において1000時間後にクラックが入り、長期の使用に耐えない。
本発明の硬化性組成物は、室温において空気中の湿分と反応して硬化する1液型とすることが可能であり、硬化物の強度、破断時の伸び、耐候性、接着性が優れた硬化性組成物である。また、当該硬化性組成物は、シーリング材、接着剤等として好適に使用できる。

Claims (26)

  1. 架橋性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたビニル系重合体(I)100重量部、及び、1H−NMR分析により求められる分子末端に対する架橋性シリル基の導入率が85%以上である架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)1〜1000重量部、を含有してなる硬化性組成物。
  2. 分子量分布(Mw/Mn)が1.8未満であるビニル系重合体(I)を含有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものであるビニル系重合体(I)を含有する、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 主鎖が(メタ)アクリル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 主鎖がアクリル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. アクリル系重合体が、アクリル酸エステル系重合体である請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. リビングラジカル重合法が、原子移動ラジカル重合法である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. 原子移動ラジカル重合法が、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体を触媒とする、請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 触媒とする錯体が銅、ニッケル、ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる錯体である、請求項8に記載の硬化性組成物。
  10. 触媒とする錯体が銅の錯体である、請求項9に記載の硬化性組成物。
  11. ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が一般式(1)で表される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
    −[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (1)
    {式中、R1、R2はいずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。}
  12. ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が、主鎖末端にある、請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  13. ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が、主鎖末端にのみある、請求項12に記載の硬化性組成物。
  14. 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)が複合金属シアン化物錯体触媒の存在下にアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルオリゴマーから誘導される請求項1〜13のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  15. 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の主鎖が主にポリプロピレンオキサイドから形成されたものである請求項1〜14のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  16. 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)が、
    (a)1分子中に一般式(2):
    2C=C(R3)−R4−O− (2)
    (式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)または一般式(3):
    HC(R3)=CH−R4−O− (3)
    (式中R3は炭素数10以下の炭化水素基、R4は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される1種以上を構成原子として含有する炭素数1から20の2価の有機基)で示される不飽和基を側鎖または末端に少なくとも1個含有し、主鎖がポリエーテルからなるポリエーテルオリゴマーと、(b)架橋性シリル基含有化合物とを、(c)VIII族遷移金属触媒の存在下で反応させる方法で得られるものある請求項1〜15のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  17. VIII族遷移金属触媒(c)が白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項16に記載の硬化性組成物。
  18. 一般式(2)および(3)において、R3がCH3又はCH2CH3のいずれかである、請求項16又は17に記載の硬化性組成物。
  19. 一般式(2)で表される不飽和基が式(4):
    2C=C(CH3)−CH2−O− (4)
    で表される不飽和基である、請求項18に記載の硬化性組成物。
  20. 一般式(3)で表される不飽和基が式(5):
    HC(CH3)=CH−CH2−O− (5)
    で表される不飽和基である、請求項18に記載の硬化性樹脂組成物。
  21. 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の架橋性シリル基が一般式(1)で表される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
    −[Si(R12-b(Z)bO]l−Si(R23-a(Z)a (1)
    {式中、R1、R2はいずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基または加水分解性基を示し、Zが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。lは0〜19の整数である。ただし、a+Σb≧1であることを満足するものとする。}
  22. 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の架橋性シリル基が、主鎖末端にある、請求項1〜21のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  23. 架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の架橋性シリル基が、主鎖末端にのみある、請求項22に記載の硬化性組成物。
  24. ビニル系重合体(I)と架橋性シリル基含有ポリエーテルオリゴマー(II)の合計100重量部に対して、錫系硬化触媒(III)を0.1〜20重量部含有する、、請求項1〜23のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  25. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなるシーリング材。
  26. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含有してなる接着剤。
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