JPWO2005100013A1 - 反射防止フィルム - Google Patents
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- G02B1/113—Anti-reflection coatings using inorganic layer materials only
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Abstract
透明基材、ならびにその上に設けられた反射防止層からなる反射防止フィルムであって、反射防止層は透明基材の上に設けられた第1層、その上に設けられた第2層およびその上に設けられた第3層からなり、第1層および第2層はチタンおよびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり下記式を満足することを特徴とする反射防止フィルムにより、層相互の優れた密着性ならびに優れた物理的および化学的耐久性を備え、良好な反射防止機能を備える反射防止フィルムを提供する。P1>P2(ただし、P1=O1/M1、P2=O2/M2であり、O1は第1層を構成する酸素元素の数、MIは第1層を構成する金属元素の数、O2は第2層を構成する酸素元素の数、M2は第2層を構成する金属元素の数)
Description
本発明は反射防止フィルムに関する。
ショウケースをとおして展示物を見る場合や、窓をとおして景色を見る場合に、ショウケースや窓の表面に外光が映り込み、非常に見にくいことがある。このため、ショウケースや窓を構成する透明基材の上に、反射防止フィルムを貼り合わせることが行われている。
この反射防止フィルムとしては、透明プラスチックフィルムの上に無機化合物や有機フッ素化合物からなる単層の低屈折率層からなる反射防止層を形成した反射防止フィルムが用いられるとともに、透明プラスチックフィルムの上に、低屈折率層と高屈折率層の2層以上の層からなる反射防止層を形成した反射防止フィルムが用いられている。
これらの反射防止層は、金属酸化物の無機化合物から一般的に構成される。反射防止層は、湿式コーティング法や、真空プロセス法を用いて形成される。真空プロセス法を用いると多大のコストがかかることから、湿式コーティング法を用いて形成することが望ましい。しかし、湿式コーティング法では、反射防止性能が不十分であることから、十分な反射防止性能を得る方法として、湿式コーティング法と気相法とを組み合わせて反射防止層を形成する方法が提案されている(特開平10−728号公報)。しかしながら、湿式コーティング法により形成された層と気相法により形成された層の間に、十分な密着を得ることはこれまで困難であり、不十分な耐久性が得られるのみであった。密着性を向上するために、反射防止層を特定の物質の組み合わせで構成する方法が知られているが(特開2003−005069号公報)、いまだに不十分な密着性しか得られていない。
この反射防止フィルムとしては、透明プラスチックフィルムの上に無機化合物や有機フッ素化合物からなる単層の低屈折率層からなる反射防止層を形成した反射防止フィルムが用いられるとともに、透明プラスチックフィルムの上に、低屈折率層と高屈折率層の2層以上の層からなる反射防止層を形成した反射防止フィルムが用いられている。
これらの反射防止層は、金属酸化物の無機化合物から一般的に構成される。反射防止層は、湿式コーティング法や、真空プロセス法を用いて形成される。真空プロセス法を用いると多大のコストがかかることから、湿式コーティング法を用いて形成することが望ましい。しかし、湿式コーティング法では、反射防止性能が不十分であることから、十分な反射防止性能を得る方法として、湿式コーティング法と気相法とを組み合わせて反射防止層を形成する方法が提案されている(特開平10−728号公報)。しかしながら、湿式コーティング法により形成された層と気相法により形成された層の間に、十分な密着を得ることはこれまで困難であり、不十分な耐久性が得られるのみであった。密着性を向上するために、反射防止層を特定の物質の組み合わせで構成する方法が知られているが(特開2003−005069号公報)、いまだに不十分な密着性しか得られていない。
本発明の目的は、これらの問題を解決し、反射防止層の中屈折率層を湿式コーティング法により形成し、高屈折率層を気相法により形成しながらも、これらの層相互の優れた密着性ならびに優れた物理的および化学的耐久性を備え、良好な反射防止性能を備える反射防止フィルムを提供することにある。
すなわち本発明は、透明基材、ならびにその上に設けられた反射防止層からなる反射防止フィルムであって、反射防止層は透明基材の上に設けられた第1層、その上に設けられた第2層およびその上に設けられた第3層からなり、第1層および第2層はチタンおよびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり下記式を満足することを特徴とする反射防止フィルムである。
P1>P2
ただし、P1=O1/M1、P2=O2/M2であり、O1は第1層を構成する酸素元素の数、M1は第1層を構成する金属元素の数、O2は第2層を構成する酸素元素の数、M2は第2層を構成する金属元素の数である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<透明基材>
本発明における透明基材は、反射防止層を保持する透明な基材である。透明基材は、工業生産性に優れることから、有機高分子のフィルムが好ましい。
有機高分子としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリ(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、トリアセチルセルロース、セロファン等を例示することができる。これら中、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロースが透明性、強度などの面から好ましい。
有機高分子のフィルムは、無延伸フィルムであてもよく、延伸フィルムであってもよい。例えば、ポリエステルフィルムは、通常は二軸延伸フィルムとして用い、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、セロファンフィルムは、無延伸フィルムとして通常は用いる。透明基材には、密着性付与層が形成されていても良い。
透明基材は好ましくは5〜1000μmの厚みを備えるが、この厚みは反射防止フィルムの用途により適宜きめればよい。
<ハードコート層>
透明基材には、反射防止フィルムに所望の硬さを付与するため、好ましくはハードコート層を設ける。ハードコート層は、好ましくは透明であり、適度な硬度を有する。ハードコート層は、例えば電離放射線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂を使用できる。特に、紫外線照射硬化型のアクリル樹脂または有機珪素樹脂、熱硬化型のポリシロキサン樹脂が好適である。これらの樹脂は公知のものを用いることができる。
ハードコート層を形成するにあたり、表面を平滑に且つ均一に形成する塗布方法をとることが好ましい。
ハードコート層は、平均粒子径0.01〜3μmの透明な無機微粒子および/または有機微粒子を含有することが好ましい。含有は混合分散の形態であることが好ましい。これによりアンチグレアと呼ばれる光拡散性を得ることができる。そしてこの光拡散性を付与したハードコート層の上に反射防止層を形成することにより、画像のぼやけが小さくなり、単なる光拡散性の処理を施した場合よりも明瞭な画像を得ることができる。
<反射防止層>
反射防止層の第1層および第2層は、好適な屈折率ならびに良好な透明性および密着性を得る観点から、チタンおよびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなる。
本発明における反射防止層は下記の関係式を満足する。この条件を満足することで優れた反射防止性能を得ることができる。
P1>P2
ただし、P1=O1/M1、P2=O2/M2であり、O1は第1層を構成する酸素元素の数、M1は第1層を構成する金属元素の数、O2は第2層を構成する酸素元素の数、M2は第2層を構成する金属元素の数である。
上記の元素比率を満たすためには、反射防止層の第1層は、チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドに由来する物質の層であることが好ましい。
チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドに由来する物質の層は、チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドを溶剤で希釈し、塗布、乾燥工程中に加水分解を行うことにより形成することが好ましい。この場合、塗布後に塗布層を熱処理するとよい。この熱処理は、透明基材の熱変形温度以下で行うとよい。例えば、透明基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである場合、約80〜150℃の温度で約30秒〜5分熱処理を行うとよい。この熱処理により、酸化珪素のゲル膜を形成することができる。熱処理条件は、透明基材の種類や厚みによって異なるので、適宜決定すればよい。
チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドとしては具体的には下記式で表される化合物を用いることができる。これらは単量体を用いてもよく、2〜6量体を用いてもよい。
M(OR)4
但し、MはTiまたはZr、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表わす。
反射防止層の第1層および/または第2層には、金属酸化物の微粒子を添加してもよく、屈折率調整のために有機珪素化合物を添加してもよい。
反射防止層の第2層は、良好な密着性および透明性を得る観点から下記式を満足することが好ましい。
1.65≦P2≦1.95
さらに好ましくは下記式を満足する。
1.75≦P2≦1.90
P2がこの範囲の上限を超えると強度の低い反射防止層となり、下限を未満であると第1層との低い密着性しか得られず、光の吸収が発生し、不良な透明性を示すことになる。
第2層は代表的な物理的気相法であるスパッタリング法にて形成されることが好ましい。塗布法によって第2層を形成すると、P2を上記範囲のコントロールすることが困難である。スパッタリング法では、薄膜形成時に導入する希ガスと反応性ガスの組成を変えることで、形成される第2層のP2を容易に制御することができる。
スパッタリング法にて第2層が形成される場合、スパッタリングに用いられるターゲットの原子が高いエネルギーを伴って透明基材に衝突するので、透明基材への投錨効果が得られ、透明基材の濡れ性に関係なく、透明基材に強く密着した第2層を得ることができる。
さらに、ターゲットを大きくすることで比較的容易に大面積のスパッタリングを行なうことができる。
第2層をスパッタリング法により形成する場合、ターゲットとして酸化物を用いて酸化チタンまたは酸化ジルコニウムの薄膜層(第2層)を形成する方法と、ターゲットとして金属を用い、膜形成中に希ガスと酸化性ガス(たとえば、酸素やオゾン)を導入して酸化チタンまたは酸化ジルコニウムの薄膜層(第2層)を形成する方法(反応性スパッタリング法)を用いることができる。
前者の方法による場合、第2層のP2をコントロールすることが困難である。後者の方法(反応性スパッタリング法)による場合、希ガスと酸化性ガスの組成を変えることでP2のコントロールを行なうことができる。さらに、この方法では、膜形成速度が遅い酸化物モードと膜形成速度が速い金属モードの中間で第2層の膜形成ができるため、前者の方法に比べて膜形成が速いといった利点もある。そのため、後者の方法(反応性スパッタリング法)により第2層を形成することが好ましい。
第2層のスパッタリングの方法をさらに詳細に説明する。
スパッタリングは、プラズマ発光強度の測定手段と反応性ガスの流量制御手段とを組み合わせた装置で行なうことが好ましい。プラズマ発光強度の測定手段としては、プラズマ発光領域を監視できる位置に設けられた、プラズマ中の金属の励起発光強度(プラズマ発光強度)を計測することができるモニタを用いることが好ましい。反応性ガスの流量制御手段としては、設定値とモニタが測定したプラズマ発光強度とを比較演算して、測定値が設定値と等しくなるようにガス流量調整弁を自動調整して各チャンバーの酸化性ガス流量を制御する装置(以下「PEM」という)を用いることが好ましい。
プラズマ発光強度の測定手段と反応性ガスの流量制御手段とを組み合わせた装置としては、市販のアルデンネ社製の「PEM05」を使用することができる。
この場合、アルゴンガスのみで金属チタンまたは金属ジルコニウムのターゲットを用いて放電したとき(すなわち金属チタンまたは金属ジルコニウムの薄膜を形成するとき)のプラズマ発光強度の測定値を90とし、プラズマ発光強度の設定値をこの値よりも小さく設定するとよい。プラズマ発光強度の設定値を小さくすれば酸素ガス導入バルブの開度が大きくなり酸化度(P2)が上がり、大きくすれば酸素ガス導入バルブの開度が小さくなり酸化度(P2)が下がる。すなわち、P2は、反応性スパッタリングを採用し、プラズマ発光強度を調整することによりコントロールすることができる。
P2を本発明の範囲にするためには、プラズマ発光強度は、好ましくは20〜30、さらに好ましくは22〜28である。
反応性スパッタリング法では、例えば直流マグネトロン方式、高周波マグネトロン方式、デュアルカソードマグネトロン方式、電子サイクロトロン共鳴方式を用いることができる。これらはいずれも方法自体は公知である。
第3層は、良好な強度、屈折率および透明性を得る観点から、好ましくは珪素の酸化物の膜である。第3層は、湿式法および気相法のいずれの方法でも形成することができるが、低いコストで形成できること、高い透明性を得ることができることから、湿式法で形成することが好ましい。湿式法で第2層を形成する場合、珪素のアルコキシドを用いて形成することが好ましい。この場合には高い強度の反射防止層を得ることができる。
珪素のアルコキシドとしては、テトラエチルシリケート、テトラメチルシリケート、テトライソプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケートを用いることができる。これらは単量体で用いてもよく、多量体を用いてもよい。
第3層には、さらに下記一般式で示される有機珪素化合物を、所望の膜の硬度、柔軟性および表面性に応じて適宜添加してもよい。
R1 aR2 bSiX4−(a+b)
(R1、R2は、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリル基又は、ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリル基、フロロ基またはシアノ基を有する炭化水素基であり、Xは炭素数1〜8のアルコキシル基であり、a、bはそれぞれ0、1または2であり、a+bは2以下の数である。)
珪素アルコキシドから、第3層の酸化珪素の膜を形成する方法としては、好ましくは、上記珪素アルコキシドを加水分解することにより得られるゾルを第2層の上に塗布、乾燥および硬化する方法をとる。
ゾルの調整方法としては、上記珪素化合物を有機溶媒に溶解して加水分解する方法をとることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、混合物で用いても良い。
珪素アルコキシドは、溶媒中に珪素アルコキシドが100%加水分解および縮合したときに発生する酸化珪素換算で、好ましくは0.1%重量以上、さらに好ましくは0.1〜10重量%になる濃度で溶解する。濃度が0.1重量%未満であると形成されるゾル膜が所望の特性を十分に発揮できず、10重量%を超えると透明均質膜の形成が困難となり好ましくない。
得られた溶液に、少なくと加水分解に必要な量の水を加え、好ましくは15〜35℃、さらに好ましくは22〜28℃の温度で、好ましくは0.5〜48時間、さらに好ましくは2〜35時間攪拌を行い加水分解を行う。
加水分解においては触媒を用いることが好ましい。触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸または酢酸等の酸が好ましい。触媒の酸を好ましくは0.0001〜12N、さらに好ましくは0.0005〜5Nの水溶液として加えるとよい。この水溶液中の水分を加水分解用の水として用いてもよいが、溶液全体のpHが4〜10になるように調製することが好ましい。触媒としては、アンモニア等の塩基を用いてもよい。
得られたゾルの塗布方法としては、通常のコーティング作業で用いられる方法を用いることができ、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビートコーター法、マイクログラビアコーター法を用いることができる。
ゾルの塗布後に塗布層の熱処理を行なう。この熱処理は、透明基材の熱変形温度以下で行う。例えば、透明基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである場合には、約80〜150℃の温度で約30秒〜5分熱処理を行って酸化珪素のゲル膜を形成するとよい。熱処理の条件は、使用する透明基材の種類や厚みによって異なるので、使用する透明基材の種類の応じて決定すればよい。
<防汚層>
反射防止層の表面を保護し、さらに防汚性を高めるために反射防止層上に、防汚層を形成してもよい。形成材料としては、例えば、疎水基を有する化合物を用いることができる。具体的には、例えばフルオロカーボンやパーフルオロシラン、またこれらの高分子化合物を用いることができる。特に指紋拭き取り汚性向上のためには、撥油性を有する高分子化合物を用いることが好ましい。
防汚層は、形成に用いる材料に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、プラズマ重合法等の真空製膜プロセスを用いて形成してもよく、マイクログラビア、スクリーン、ディップ等のウエットプロセスのコーティング方法を用いて形成してもよい。
防汚層を設ける場合、反射防止層の機能を損なわないように、防汚層の膜厚が1〜50nmとなるように形成するのが好ましい。これより厚いと反射防止層の機能に影響を与え、これより薄いと防汚性能が発現しにくく好ましくない。
発明の効果
本発明によれば、反射防止層の中屈折率層を湿式コーティング法により形成し、高屈折率層を気相法により形成しながらも、これらの層相互の優れた密着性ならびに優れた物理的および化学的耐久性を備え、良好な反射防止性能を備える反射防止フィルムを提供することができる。
すなわち本発明は、透明基材、ならびにその上に設けられた反射防止層からなる反射防止フィルムであって、反射防止層は透明基材の上に設けられた第1層、その上に設けられた第2層およびその上に設けられた第3層からなり、第1層および第2層はチタンおよびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり下記式を満足することを特徴とする反射防止フィルムである。
P1>P2
ただし、P1=O1/M1、P2=O2/M2であり、O1は第1層を構成する酸素元素の数、M1は第1層を構成する金属元素の数、O2は第2層を構成する酸素元素の数、M2は第2層を構成する金属元素の数である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<透明基材>
本発明における透明基材は、反射防止層を保持する透明な基材である。透明基材は、工業生産性に優れることから、有機高分子のフィルムが好ましい。
有機高分子としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリ(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、トリアセチルセルロース、セロファン等を例示することができる。これら中、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロースが透明性、強度などの面から好ましい。
有機高分子のフィルムは、無延伸フィルムであてもよく、延伸フィルムであってもよい。例えば、ポリエステルフィルムは、通常は二軸延伸フィルムとして用い、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、セロファンフィルムは、無延伸フィルムとして通常は用いる。透明基材には、密着性付与層が形成されていても良い。
透明基材は好ましくは5〜1000μmの厚みを備えるが、この厚みは反射防止フィルムの用途により適宜きめればよい。
<ハードコート層>
透明基材には、反射防止フィルムに所望の硬さを付与するため、好ましくはハードコート層を設ける。ハードコート層は、好ましくは透明であり、適度な硬度を有する。ハードコート層は、例えば電離放射線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂を使用できる。特に、紫外線照射硬化型のアクリル樹脂または有機珪素樹脂、熱硬化型のポリシロキサン樹脂が好適である。これらの樹脂は公知のものを用いることができる。
ハードコート層を形成するにあたり、表面を平滑に且つ均一に形成する塗布方法をとることが好ましい。
ハードコート層は、平均粒子径0.01〜3μmの透明な無機微粒子および/または有機微粒子を含有することが好ましい。含有は混合分散の形態であることが好ましい。これによりアンチグレアと呼ばれる光拡散性を得ることができる。そしてこの光拡散性を付与したハードコート層の上に反射防止層を形成することにより、画像のぼやけが小さくなり、単なる光拡散性の処理を施した場合よりも明瞭な画像を得ることができる。
<反射防止層>
反射防止層の第1層および第2層は、好適な屈折率ならびに良好な透明性および密着性を得る観点から、チタンおよびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなる。
本発明における反射防止層は下記の関係式を満足する。この条件を満足することで優れた反射防止性能を得ることができる。
P1>P2
ただし、P1=O1/M1、P2=O2/M2であり、O1は第1層を構成する酸素元素の数、M1は第1層を構成する金属元素の数、O2は第2層を構成する酸素元素の数、M2は第2層を構成する金属元素の数である。
上記の元素比率を満たすためには、反射防止層の第1層は、チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドに由来する物質の層であることが好ましい。
チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドに由来する物質の層は、チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドを溶剤で希釈し、塗布、乾燥工程中に加水分解を行うことにより形成することが好ましい。この場合、塗布後に塗布層を熱処理するとよい。この熱処理は、透明基材の熱変形温度以下で行うとよい。例えば、透明基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである場合、約80〜150℃の温度で約30秒〜5分熱処理を行うとよい。この熱処理により、酸化珪素のゲル膜を形成することができる。熱処理条件は、透明基材の種類や厚みによって異なるので、適宜決定すればよい。
チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキシドとしては具体的には下記式で表される化合物を用いることができる。これらは単量体を用いてもよく、2〜6量体を用いてもよい。
M(OR)4
但し、MはTiまたはZr、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表わす。
反射防止層の第1層および/または第2層には、金属酸化物の微粒子を添加してもよく、屈折率調整のために有機珪素化合物を添加してもよい。
反射防止層の第2層は、良好な密着性および透明性を得る観点から下記式を満足することが好ましい。
1.65≦P2≦1.95
さらに好ましくは下記式を満足する。
1.75≦P2≦1.90
P2がこの範囲の上限を超えると強度の低い反射防止層となり、下限を未満であると第1層との低い密着性しか得られず、光の吸収が発生し、不良な透明性を示すことになる。
第2層は代表的な物理的気相法であるスパッタリング法にて形成されることが好ましい。塗布法によって第2層を形成すると、P2を上記範囲のコントロールすることが困難である。スパッタリング法では、薄膜形成時に導入する希ガスと反応性ガスの組成を変えることで、形成される第2層のP2を容易に制御することができる。
スパッタリング法にて第2層が形成される場合、スパッタリングに用いられるターゲットの原子が高いエネルギーを伴って透明基材に衝突するので、透明基材への投錨効果が得られ、透明基材の濡れ性に関係なく、透明基材に強く密着した第2層を得ることができる。
さらに、ターゲットを大きくすることで比較的容易に大面積のスパッタリングを行なうことができる。
第2層をスパッタリング法により形成する場合、ターゲットとして酸化物を用いて酸化チタンまたは酸化ジルコニウムの薄膜層(第2層)を形成する方法と、ターゲットとして金属を用い、膜形成中に希ガスと酸化性ガス(たとえば、酸素やオゾン)を導入して酸化チタンまたは酸化ジルコニウムの薄膜層(第2層)を形成する方法(反応性スパッタリング法)を用いることができる。
前者の方法による場合、第2層のP2をコントロールすることが困難である。後者の方法(反応性スパッタリング法)による場合、希ガスと酸化性ガスの組成を変えることでP2のコントロールを行なうことができる。さらに、この方法では、膜形成速度が遅い酸化物モードと膜形成速度が速い金属モードの中間で第2層の膜形成ができるため、前者の方法に比べて膜形成が速いといった利点もある。そのため、後者の方法(反応性スパッタリング法)により第2層を形成することが好ましい。
第2層のスパッタリングの方法をさらに詳細に説明する。
スパッタリングは、プラズマ発光強度の測定手段と反応性ガスの流量制御手段とを組み合わせた装置で行なうことが好ましい。プラズマ発光強度の測定手段としては、プラズマ発光領域を監視できる位置に設けられた、プラズマ中の金属の励起発光強度(プラズマ発光強度)を計測することができるモニタを用いることが好ましい。反応性ガスの流量制御手段としては、設定値とモニタが測定したプラズマ発光強度とを比較演算して、測定値が設定値と等しくなるようにガス流量調整弁を自動調整して各チャンバーの酸化性ガス流量を制御する装置(以下「PEM」という)を用いることが好ましい。
プラズマ発光強度の測定手段と反応性ガスの流量制御手段とを組み合わせた装置としては、市販のアルデンネ社製の「PEM05」を使用することができる。
この場合、アルゴンガスのみで金属チタンまたは金属ジルコニウムのターゲットを用いて放電したとき(すなわち金属チタンまたは金属ジルコニウムの薄膜を形成するとき)のプラズマ発光強度の測定値を90とし、プラズマ発光強度の設定値をこの値よりも小さく設定するとよい。プラズマ発光強度の設定値を小さくすれば酸素ガス導入バルブの開度が大きくなり酸化度(P2)が上がり、大きくすれば酸素ガス導入バルブの開度が小さくなり酸化度(P2)が下がる。すなわち、P2は、反応性スパッタリングを採用し、プラズマ発光強度を調整することによりコントロールすることができる。
P2を本発明の範囲にするためには、プラズマ発光強度は、好ましくは20〜30、さらに好ましくは22〜28である。
反応性スパッタリング法では、例えば直流マグネトロン方式、高周波マグネトロン方式、デュアルカソードマグネトロン方式、電子サイクロトロン共鳴方式を用いることができる。これらはいずれも方法自体は公知である。
第3層は、良好な強度、屈折率および透明性を得る観点から、好ましくは珪素の酸化物の膜である。第3層は、湿式法および気相法のいずれの方法でも形成することができるが、低いコストで形成できること、高い透明性を得ることができることから、湿式法で形成することが好ましい。湿式法で第2層を形成する場合、珪素のアルコキシドを用いて形成することが好ましい。この場合には高い強度の反射防止層を得ることができる。
珪素のアルコキシドとしては、テトラエチルシリケート、テトラメチルシリケート、テトライソプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケートを用いることができる。これらは単量体で用いてもよく、多量体を用いてもよい。
第3層には、さらに下記一般式で示される有機珪素化合物を、所望の膜の硬度、柔軟性および表面性に応じて適宜添加してもよい。
R1 aR2 bSiX4−(a+b)
(R1、R2は、それぞれアルキル基、アルケニル基、アリル基又は、ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリル基、フロロ基またはシアノ基を有する炭化水素基であり、Xは炭素数1〜8のアルコキシル基であり、a、bはそれぞれ0、1または2であり、a+bは2以下の数である。)
珪素アルコキシドから、第3層の酸化珪素の膜を形成する方法としては、好ましくは、上記珪素アルコキシドを加水分解することにより得られるゾルを第2層の上に塗布、乾燥および硬化する方法をとる。
ゾルの調整方法としては、上記珪素化合物を有機溶媒に溶解して加水分解する方法をとることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、混合物で用いても良い。
珪素アルコキシドは、溶媒中に珪素アルコキシドが100%加水分解および縮合したときに発生する酸化珪素換算で、好ましくは0.1%重量以上、さらに好ましくは0.1〜10重量%になる濃度で溶解する。濃度が0.1重量%未満であると形成されるゾル膜が所望の特性を十分に発揮できず、10重量%を超えると透明均質膜の形成が困難となり好ましくない。
得られた溶液に、少なくと加水分解に必要な量の水を加え、好ましくは15〜35℃、さらに好ましくは22〜28℃の温度で、好ましくは0.5〜48時間、さらに好ましくは2〜35時間攪拌を行い加水分解を行う。
加水分解においては触媒を用いることが好ましい。触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸または酢酸等の酸が好ましい。触媒の酸を好ましくは0.0001〜12N、さらに好ましくは0.0005〜5Nの水溶液として加えるとよい。この水溶液中の水分を加水分解用の水として用いてもよいが、溶液全体のpHが4〜10になるように調製することが好ましい。触媒としては、アンモニア等の塩基を用いてもよい。
得られたゾルの塗布方法としては、通常のコーティング作業で用いられる方法を用いることができ、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビートコーター法、マイクログラビアコーター法を用いることができる。
ゾルの塗布後に塗布層の熱処理を行なう。この熱処理は、透明基材の熱変形温度以下で行う。例えば、透明基材がポリエチレンテレフタレートフィルムである場合には、約80〜150℃の温度で約30秒〜5分熱処理を行って酸化珪素のゲル膜を形成するとよい。熱処理の条件は、使用する透明基材の種類や厚みによって異なるので、使用する透明基材の種類の応じて決定すればよい。
<防汚層>
反射防止層の表面を保護し、さらに防汚性を高めるために反射防止層上に、防汚層を形成してもよい。形成材料としては、例えば、疎水基を有する化合物を用いることができる。具体的には、例えばフルオロカーボンやパーフルオロシラン、またこれらの高分子化合物を用いることができる。特に指紋拭き取り汚性向上のためには、撥油性を有する高分子化合物を用いることが好ましい。
防汚層は、形成に用いる材料に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、プラズマ重合法等の真空製膜プロセスを用いて形成してもよく、マイクログラビア、スクリーン、ディップ等のウエットプロセスのコーティング方法を用いて形成してもよい。
防汚層を設ける場合、反射防止層の機能を損なわないように、防汚層の膜厚が1〜50nmとなるように形成するのが好ましい。これより厚いと反射防止層の機能に影響を与え、これより薄いと防汚性能が発現しにくく好ましくない。
発明の効果
本発明によれば、反射防止層の中屈折率層を湿式コーティング法により形成し、高屈折率層を気相法により形成しながらも、これらの層相互の優れた密着性ならびに優れた物理的および化学的耐久性を備え、良好な反射防止性能を備える反射防止フィルムを提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
なお、フィルム特性を下記の方法で評価した。「部」は重量部である。
(1)密着性
反射防止フィルムを60℃で500時間経時させた後に、反射防止層の側からカッターナイフにより2mm間隔で縦横各6本の切れ目を入れて、25個の碁盤目を作った。この碁盤目上にニチバンセロテープを添付し、セロテープを90°の剥離角度で剥離し、反射防止フィルム上に残留した反射防止層の碁盤目の数を目視によりカウントし以下の基準で評価した。
○:25個残留(剥離無し)
△:20〜24個
×:19個以下
(2)M、Oの元素比率
X線光電子分光装置PHI−QUANTAM−2000(PHI製)を用い、表面をスパッタエッチングしながらM、Oの比率を測定した。
エッチング条件;Ar+、E=0.5keV、2mm□ラスター、スパッタ速度1.5m/分(SiO2換算)
(3)クラック
反射防止フィルムを8mmΦの棒に反射防止層面が外側になるように巻きつけ、10秒保持した後、反射防止層を観察し、ひび割れの有無を目視で確認した。
○:クラック無し
×:クラック有り
塗料1
エチルシリケート25部に対しエタノール37.6部を加え、さらに精製水17.5部、0.001N HCl 6部を加え、23℃にて24時間加水分解を行ったものをコーティング剤とした。
実施例1
透明基材として易接着処理されている二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製:OPFW−188μm)を用い、この片面にUV硬化性ハードコート剤(JSR製:デソライト Z7501)をバーコーターで塗布乾燥、UV硬化させてハードコート層を設け、次いでハードコート層の上にテトラブチルチタネートの4量体(銘柄:TBT B−4 日本曹達製)のリグロイン/n−ブタノール(3/1)溶液をバーコーターで塗布、150℃1分間乾燥し、厚さ約110nmになる反射防止層の第1層を形成した。
得られたフィルムを、PEMの組み込まれているスパッタリング装置にセットし、3×10−3Paまで減圧した。その後Arガスを投入し、ガス圧を0.5Paとし、ターゲットにはTiを用いて1kWの電力をかけスパッタリングを行い、この時のTiのプラズマ発光強度を測定し90とした。その後プラズマ発光強度を設定しO2ガスを導入し、Tiのプラズマ発光強度を25に保つようにしながらシャッターを開け、フィルムへの成膜を開始し、反射防止層の第2層を25nm形成した。さらに、塗料1をバーコーターにて塗布150℃1分乾燥させ、厚さ100nmの反射防止層の第3層を形成し、反射防止フィルムを得た。
実施例2
反射防止層の第2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を27とした以外は実施例1と同様に行った。
実施例3
反射防止層の第2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を30とした以外は実施例1と同様に行った。
実施例4
反射防止層の第2層の形成のときにターゲットとしてZrを用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例5
反射防止層第の2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を20とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例1
反射防止層の第2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を35とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例2
反射防止層の第2層の形成のときにターゲットとしてTiO2を使用し、電力を500Wとし、スパッタガスとして、Ar/O2=39/1としたものを用い、圧力を0.3Paとし、13.56MHzの高周波電源にてスパッタリングを行った以外は実施例1と同様に行った。
評価結果をまとめて表1に示す。
なお、フィルム特性を下記の方法で評価した。「部」は重量部である。
(1)密着性
反射防止フィルムを60℃で500時間経時させた後に、反射防止層の側からカッターナイフにより2mm間隔で縦横各6本の切れ目を入れて、25個の碁盤目を作った。この碁盤目上にニチバンセロテープを添付し、セロテープを90°の剥離角度で剥離し、反射防止フィルム上に残留した反射防止層の碁盤目の数を目視によりカウントし以下の基準で評価した。
○:25個残留(剥離無し)
△:20〜24個
×:19個以下
(2)M、Oの元素比率
X線光電子分光装置PHI−QUANTAM−2000(PHI製)を用い、表面をスパッタエッチングしながらM、Oの比率を測定した。
エッチング条件;Ar+、E=0.5keV、2mm□ラスター、スパッタ速度1.5m/分(SiO2換算)
(3)クラック
反射防止フィルムを8mmΦの棒に反射防止層面が外側になるように巻きつけ、10秒保持した後、反射防止層を観察し、ひび割れの有無を目視で確認した。
○:クラック無し
×:クラック有り
塗料1
エチルシリケート25部に対しエタノール37.6部を加え、さらに精製水17.5部、0.001N HCl 6部を加え、23℃にて24時間加水分解を行ったものをコーティング剤とした。
実施例1
透明基材として易接着処理されている二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製:OPFW−188μm)を用い、この片面にUV硬化性ハードコート剤(JSR製:デソライト Z7501)をバーコーターで塗布乾燥、UV硬化させてハードコート層を設け、次いでハードコート層の上にテトラブチルチタネートの4量体(銘柄:TBT B−4 日本曹達製)のリグロイン/n−ブタノール(3/1)溶液をバーコーターで塗布、150℃1分間乾燥し、厚さ約110nmになる反射防止層の第1層を形成した。
得られたフィルムを、PEMの組み込まれているスパッタリング装置にセットし、3×10−3Paまで減圧した。その後Arガスを投入し、ガス圧を0.5Paとし、ターゲットにはTiを用いて1kWの電力をかけスパッタリングを行い、この時のTiのプラズマ発光強度を測定し90とした。その後プラズマ発光強度を設定しO2ガスを導入し、Tiのプラズマ発光強度を25に保つようにしながらシャッターを開け、フィルムへの成膜を開始し、反射防止層の第2層を25nm形成した。さらに、塗料1をバーコーターにて塗布150℃1分乾燥させ、厚さ100nmの反射防止層の第3層を形成し、反射防止フィルムを得た。
実施例2
反射防止層の第2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を27とした以外は実施例1と同様に行った。
実施例3
反射防止層の第2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を30とした以外は実施例1と同様に行った。
実施例4
反射防止層の第2層の形成のときにターゲットとしてZrを用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例5
反射防止層第の2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を20とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例1
反射防止層の第2層の形成のときにTiのプラズマ発光強度を35とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例2
反射防止層の第2層の形成のときにターゲットとしてTiO2を使用し、電力を500Wとし、スパッタガスとして、Ar/O2=39/1としたものを用い、圧力を0.3Paとし、13.56MHzの高周波電源にてスパッタリングを行った以外は実施例1と同様に行った。
評価結果をまとめて表1に示す。
Claims (6)
- 透明基材、ならびにその上に設けられた反射防止層からなる反射防止フィルムであって、反射防止層は透明基材の上に設けられた第1層、その上に設けられた第2層およびその上に設けられた第3層からなり、第1層および第2層はチタンおよびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり下記式を満足することを特徴とする反射防止フィルム。
P1>P2
(ただし、P1=O1/M1、P2=O2/M2であり、O1は第1層を構成する酸素元素の数、M1は第1層を構成する金属元素の数、O2は第2層を構成する酸素元素の数、M2は第2層を構成する金属元素の数である。) - P2が1.65〜1.95である、クレーム1記載の反射防止フィルム。
- 第2層が気相法で形成されたクレーム1記載の反射防止フィルム。
- 第3層が珪素の酸化物からなるクレーム1記載の反射防止フィルム。
- 第1層が酸化チタンからなるクレーム1記載の反射防止フィルム。
- 酸化チタンがチタンのアルコキシドに由来するクレーム5記載の反射防止フィルム。
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- 2004-04-06 EP EP04726006A patent/EP1733870A1/en not_active Withdrawn
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Legal Events
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20080118 |