JP2005297271A - 光吸収性反射防止フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外光の反射防止性に優れ、暗室コントラストも向上でき、しかも埃などの付着を抑制できる十分な帯電防止性と層間の密着性とを具備する光吸収性反射防止フィルムの提供。
【解決手段】 透明基材の片面に、酸化チタン薄膜からなる高屈折率層および屈折率1.3〜1.5の低屈折率層がこの順で積層され、高屈折率層が、酸素のチタンに対する原子数比が1.30から1.55の光吸収性酸化チタン層とその両表面に形成された酸素のチタンに対する原子数比が1.6より大きい透明酸化チタン層とからなり、反射防止フィルム全体の全光線透過率が75%以上93%以下の範囲にある光吸収性反射防止フィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射防止フィルムに関する。さらに詳しくは、表示装置の表示面や透明カバー基材の表面に配置して用いる光吸収性能を有する反射防止フィルムに関する。
ディスプレイの多くは室内外を問わず、外光が入射する環境下で使用される。特に最近のフラット化されたディスプレイでは、入射した外光がディスプレイ表面にて正反射され、ディスプレイの表示画面に外光の虚像が顕著に再生されてしまう。このため、外光による像、例えば蛍光灯等が画面に映り、表示画像の視認性の悪化を引き起こす。
従来、このような外光のディスプレイへの入射を防止するのと同時に画面のコントラスト向上を目的として、透明基材表面に反射防止層を形成した反射防止フィルムをディスプレイの外表面上に貼合せることが行なわれている。この反射防止層としては、金属酸化物などからなる高屈折率層と低屈折率層をこの順で積層したものや、無機化合物や有機フッ素化合物などの低屈折率層を単層で積層したものが知られている。
最近、発展が著しいプラズマディスプレイ(以下、PDPと称することがある。)では暗室コントラストを向上させるために黒表示時の背景輝度を押さえる必要がでてきた。しかしながら、反射防止フィルムは可視光領域で吸収のない薄膜を反射防止層として使用しており、反射防止機能によって明室コントラストを向上させることができるものの、透過率が高くなるために背景輝度を抑えられず、暗室コントラストの向上は望めなかった。
そこで、特開平10−87348号公報(特許文献1)には、幾何学的膜厚5〜25nmで酸素のチタンに対する原子数比が0.11〜0.33の酸窒化チタン膜と、幾何学的膜厚70〜130nmでシリカを主成分とする膜とが透明基材の表面に形成された光吸収性反射防止体が提案されている。しかしながら、該公報で提案されている酸窒化チタン膜は、他の層との密着性が乏しくなりやすいという問題があった。
また、ディスプレイはパネル面に静電気が発生しやすく、それによって埃がパネル面に付着して視認性が悪くなるという問題があり、ディスプレイの表面に配置する反射防止フィルムには帯電防止性も強く求められている。
そこで、特開2001−264505号公報(特許文献2)では、透明基材と反射防止層の間に金属微粒子を有する透明導電層を設けることが提案されている。しかしながら、該公報のフィルムでは、反射防止層のほかに、別に透明導電層を設ける工程が必要であり、また、金属微粒子を有する透明導電層は、透明性を確保するために膜厚を薄くすると、均一な厚みの成膜ができずに膜厚むらが生じ、その結果、反射光の色むらが発生し、透過画像の視認性が低下することがある。
特開平10−87348号公報 特開2001−264505号公報
したがって、本発明は、外光の反射防止性に優れ、ディスプレイの明室コントラストだけでなく暗室コントラストも向上でき、しかも埃などの付着を抑制できる十分な帯電防止性と層間の密着性とを具備する光吸収性反射防止フィルムの提供を目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、高屈折率層を有する反射防止層を用い、かつ該高屈折率層を、酸素のチタンに対する原子数比が異なる複数の酸化チタン薄膜にすることによって達成できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、本発明の目的は、透明基材の片面に、酸化チタン薄膜からなる高屈折率層および屈折率1.3〜1.5の低屈折率層がこの順で積層された反射防止フィルムであって、
高屈折率層が、酸素のチタンに対する原子数比が1.30から1.55の光吸収性酸化チタン層とその両表面に形成された酸素のチタンに対する原子数比が1.6より大きい透明酸化チタン層とからなり、反射防止フィルム全体の全光線透過率が75%以上93%以下の範囲にある光吸収性反射防止フィルムによって達成される。
また、本発明によれば、本発明の光吸収性反射防止フィルムの好ましい態様として、(1)透明基材が厚み20〜500μmのプラスチックフィルムであること、(2)低屈折率層が膜厚80nmから120nmの二酸化珪素からなる層であること、(3)高屈折率層が反応性スパッタリングによって形成されていること、(5)光吸収性酸化チタン層の厚みが15〜25nmの範囲で、透明酸化チタン層の厚みが1〜5nmの範囲であること、(6)透明基材と高屈折率層が、ハードコート層を介して積層されていること、(7)ハードコート層と高屈折率層が、高屈折率層と低屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層を介して積層されていること、(8)中屈折率層がチタンまたはジルコニウムの酸化物からなり、厚みが80〜120nmの範囲で、屈折率が1.6〜1.9の範囲であること、および(9)光吸収性反射防止フィルムの低屈折率層側表面の表面抵抗が1×10〜1×1010Ω/□の範囲にあることの少なくともいずれかを具備する光吸収性反射防止フィルムも提供される。
また、本発明によれば、透明基材の片面に、金属チタンをターゲットとしてアルゴンガスと酸化性ガスの混合ガスにより酸化させる反応性スパッタリングにより、酸素のチタンに対する原子数比が1.6より大きい透明酸化チタン層、酸素のチタンに対する原子数比が1.30〜1.55の光吸収性酸化チタン層および酸素のチタンに対する原子数比が1.6より大きい透明酸化チタン層がこの順で形成された高屈折率層を形成し、さらに該高屈折率層の表面に屈折率1.3〜1.5の低屈折率層を形成する光吸収性反射防止フィルムの製造方法も提供される。
さらにまた、本発明によれば、本発明の光吸収性反射防止フィルムの製造方法の好ましい態様として、(1)低屈折率層が有機珪素化合物を加水分解して調製したゾル液を塗布して形成された二酸化珪素からなる膜厚80nmから120nmの層であること、(2)透明基材の片面にハードコート層を形成してから高屈折率層を形成すること、および(3)透明基材とは接していないハードコート層の表面にチタンまたはジルコニウムのアルコキシドを塗布し加水分解されてできる金属酸化物薄膜からなる屈折率が低屈折率層と高屈折率層の間にある中屈折率層を形成してから高屈折率層を形成することの少なくともいずれかを具備する光吸収性反射防止フィルムの製造方法も提供される。
本発明の光吸収性反射防止フィルムは、優れた反射防止性と帯電防止性と光吸収性能とを併せ持ち、TVブラウン管やコンピュータディスプレイとして用いられるCRTディスプレイやプラズマディスプレイ等の外表面上に貼り合わせることによって、外光の映りこみ、黒表示時の背景輝度および埃の付着を抑制できる。しかも、透明導電層などを別に形成しなくても帯電防止性能を具備できることから、導電性被膜などを形成する方法に比べて設備も工程も格段に簡略化できる。また、本発明の光吸収性反射防止フィルムを構成する高屈折率層は、他の層との密着性に優れることから、層間の剥離が起きにくく、しかも低屈折率層や中屈折率層を気層法に比べて設備や工程が簡便な塗布塗布で形成しても実用上十分な密着性を発現できる。例えば、反射防止層を気相法と液相法の両方を組み合わせて形成しても、十分な層間の密着性を発現できることから、設備や工程を簡略化でき、製造コストを抑えることができる。また、本発明の反射防止層はTVブラウン管やコンピュータディスプレイとして用いられるCRTやプラズマディスプレイ等の外表面上に張り合わせることが出来るので、フェースパネルなどに直接導電性被膜などを形成する方法に比べて、設備や工程を格段に簡略化することもできる。
以下、本発明の光吸収性反射防止フィルムおよびその製造方法について、説明する。
まず、本発明の光吸収性反射防止フィルムの層構成について、図1を用いて説明する。図1は本発明の光吸収性反射防止フィルムの好ましい一実施形態の層構成を示す断面模式図である。図1中の、符号1は透明基材、符号2はハードコート層、符号3は中屈折率層、符号4は高屈折率層、符号5は低屈折率層、符号6は防汚層、符号7および9は高屈折率層を形成する透明酸化チタン薄膜層、符号8は高屈折率層を形成する光吸収性酸化チタン薄膜層である。図1の光吸収性反射防止フィルムは、透明基材1の表面にハードコート層2を介して、中屈折率層3、高屈折率層4、低屈折率層5が順次積層されており、最外層には防汚層6が形成されている。なお、本発明の光吸収性反射防止フィルムは、透明基材の片面に光吸収性酸化チタン薄膜層8を透明酸化チタン薄膜層7および9で挟んだ高屈折率層4および低屈折率層5がこの順で積層されていれば良く、中屈折率層3、ハードコート層2および防汚層6については、図1の構造に限定されるものではない。また、必要があれば透明基材の片面だけでなく、両面に高屈折率層4および低屈折率層5を形成しても良い。なお、本発明における高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層は、相対的な屈折率の高低による分類である。高屈折率層は好ましくは屈折率が1.8〜2.5の範囲で、低屈折率は好ましくは1.3〜1.5の範囲で、中屈折率は両者の間に屈折率があればよいが、好ましくは屈折率が1.6〜1.9の範囲である。各層の厚みは通常80〜120nmであり、反射スペクトルの調整のために適宜調整すればよい。
ところで、本発明の光吸収性反射防止フィルム全体の全光線透過率は、75%以上93%以下の範囲である。好ましい全光線透過率は80%以上90%以下の範囲である。全光線透過率が下限を下回ると、ディスプレイから表示される画像の視認性が低下し、一方上限を超えると暗室コントラストの向上効果が乏しくなる。このような全光線透過率は、後述の各層を形成する材料の選択や、高屈折率層の酸素のチタンに対する原子比や厚みを調整することで達成できる。
また、本発明の光吸収性反射防止フィルムの低屈折率層側表面の表面抵抗は、1×10〜1×1010Ω/□の範囲にあることが好ましい。さらに好ましい表面抵抗は10〜10Ω/□の範囲である。表面抵抗を下限未満にすると、全光線透過率を75%以上にすることが難しくなり、一方上限を超えると、帯電防止性能が十分に得られない。このような表面抵抗は、後述の各層を形成する材料の選択や、高屈折率層の酸素のチタンに対する原子比や厚みを調整することで達成できる。
次に、本発明の光吸収性反射防止フィルムを構成する各層について、説明する。
ディスプレイ用途として実用上十分な程度の透過率を確保するために低屈折率層5の膜厚は80nm〜120nmの範囲であることが好ましい。もちろん、暗室コントラストを向上させるため、透過率が高くなりすぎないように調整してある。
本発明に用いられる透明基材1は、プラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーには、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ(メタ)アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、トリアセテート、セロファン等を例示することが出来る。これらの中でも、PET、PCおよびPMMAが好ましい。
前記プラスチックフィルムは、ポリマーの種類によって無延伸フィルムであったり、延伸フィルムであったりする。例えば、ポリエステルフィルム例えばPETフィルムは、通常、二軸延伸フィルムであり、またPCフィルム、トリアセテートフィルム、セロファンフィルム等は、通常、無延伸フィルムである。
前記透明基材の厚さは、特に制限はなく、反射防止フィルムの用途により適宜決定されるが、20μmから500μmの範囲にあることが好ましい。薄すぎるとフィルム強度が弱く、厚いとスティフネスが大きく貼り付けが困難になる場合がある。好ましい透明基材の厚さは50μmから200μmである。透明基材は、その上に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、表面処理を施すことができる。たとえば、コロナ放電処理、グロー放電処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられる。さらに、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。
本発明において、ハードコート層は、透明性を有し、適度な硬度を有する層を形成することが好ましい。その形成材料には特に制限されず、例えば電離放射線や紫外線照射による硬化樹脂や熱硬化性樹脂などを使用できる。特に、紫外線照射硬化型のアクリル系もしくは有機珪素系の樹脂、または熱硬化型のポリシロキサン樹脂が好適である。これらの樹脂はそれ自体公知のものを好適に用いることができる。ハードコート層は透明基材と屈折率が同等もしくは近似していることが好ましいが、ハードコート層の膜厚が3μm以上の場合には、特に屈折率は制限されない。このハードコート層により、本発明の光吸収性反射防止フィルムは、表面に傷がつくことを防止することができる。
前記ハードコート層は通常塗布によって形成され、その塗布方法は特に制限されないが、表面を平滑に且つ均一に形成できる塗布方法を適宜選択すればよい。
ハードコート層は、その形成過程、すなわち架橋反応による収縮率を調整するために、平均粒子径0.01μmから1μmの透明な無機微粒子を混合分散されていることが好ましい。透明な無機微粒子を混合分散させることで、架橋収縮率を調整して、より塗膜の平面性を向上させることができる。
本発明において、中屈折率層は、チタンまたはジルコニウムのアルコキシドを加水分解してできる金属酸化物薄膜からなることが好ましい。これらの金属酸化物膜は、チタンまたはジルコニウムのアルコキシドを溶剤で希釈し、塗布、乾燥工程中に加水分解をさせることによって形成できる。該金属酸化物薄膜は、膜中に、平均粒径が1nm〜100nmの粒子を、アルコキシド加水分解物に対して、重量比で0.1〜25%分散していてもよい。こうした粒子が分散していることにより、金属酸化物膜の表面には、微細な凹凸が形成され、本発明の光吸収性反射防止フィルムをロール状に巻き取った際のブロッキングを抑えることができる。
中間屈折率層を形成するのに用いるチタンまたはジルコニウムのアルコキシドとしては、具体的にはチタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド、もしくはそれらの2〜6量体が挙げられ、また、ジエトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジプロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジブトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジエトキシジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジプロポキシジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジブトキシジルコニウムビスアセチルアセトネート等のキレート化合物も挙げることができる。
本発明において、高屈折率層は、図1に示したように、透明酸化チタン薄膜層で光吸収性酸化チタン薄膜層を挟んだ構成からなる。そして、高屈折率層を形成する透明酸化チタン薄膜層(図1中の7および9)は、層中の酸素のチタンに対する原子数比(以下、酸素/チタン比と称することがある。)が1.6より大きいことが必要である。好ましい透明酸化チタン薄膜層の酸素/チタン比の下限は、 1.62 以上、さらに 1.64 以上であり、上限は通常高々2である。透明酸化チタン薄膜層の酸素/チタン比が下限を下回ると、他の層、例えば低屈折率層などとの密着性が不十分となる。また、高屈折率層を形成する光吸収性酸化チタン薄膜層8の酸素/チタン比は、1.30から1.55の範囲にあることが必要である。光吸収性酸化チタン薄膜層8の酸素/チタン比がこの範囲にあることで、光吸収性酸化チタン薄膜層は可視光領域の光を吸収し、可視光領域の広い範囲で高い反射防止効果を有し、さらに透過率が高くなりすぎることを防いでディスプレイの画像コントラストを向上させることができる。また、酸素/チタン比がこの範囲にあることにより、光吸収性酸化チタン薄膜層8は導電性を有するようになり、帯電防止効果も発現することができる。好ましい光吸収性酸化チタン薄膜層の酸素/チタン比は、1.32〜1.50、さらに1.34〜1.45の範囲である。光吸収性酸化チタン薄膜層8の酸素/チタン比が下限よりも小さい場合には、光の吸収が強いので実用上十分な透過率を得ることができなかったり、他方上限よりも大きい場合には可視光領域で十分な光吸収性が得られず透過率が高くなりすぎたり、帯電防止効果が十分に得られるほどの導電性が発現しなくなる。
高屈折率層を形成する酸化チタン薄膜層の形成方法は、塗布法であっても気層法であっても良いが、代表的な物理的気相法であるスパッタリング法にて形成されることが、薄膜形成時に導入する希ガスと反応性ガスの組成により形成される酸化チタンの酸素/チタン比を容易に制御でき、しかも屈折率を高めやすいことから好ましい。
また、上記のスパッタリング法以外の気相法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などを挙げることができ、これらも好適に採用できるが、特に密着性と大面積化の観点からスパッタリング法が好ましい。スパッタリング法が密着性に優れる理由は、スパッタリングされた原料の原子が高エネルギーで基材に入射するので投錨効果が得られ、スパッタリングされる表面の濡れ性に関係なく強く密着した皮膜を形成することができるからである。また、スパッタリング法が大面積化の観点から好ましい理由は、他の気層法に比べて、出発原料であるターゲットを大きくすることで比較的容易に大面積化に対応できるからである。
高屈折率層を構成する酸化チタン薄膜層を形成するためのスパッタリング法について、さらに説明する。本発明で用いるスパッタリング法としては、酸化物ターゲットを出発原料として酸化チタン薄膜層を形成する方法と金属ターゲットを出発原料として膜形成中に希ガスと酸化性ガス(たとえば、酸素やオゾン)を導入して酸化チタン薄膜層を形成する方法とがある。前者の酸化物ターゲットを使用する場合には形成される酸化チタンの組成(酸素/チタン比)はほとんどターゲットの組成を反映して変更が難しく、一方の出発原料として金属チタンターゲットを用いる反応性スパッタリング法では、希ガスと酸化性ガスの組成を変えることで酸素/チタン比を容易に調整できることから、本発明では、反応性スパッタリング法が特に好ましい。しかも、本発明における高屈折率層を形成する酸化チタン薄膜は、金属と酸化物の中間であることから、換言すれば、膜形成速度が遅い酸化物モードと膜形成速度が速い金属モードの中間で膜形成ができることから、酸化物ターゲットを使用して酸化チタンを形成する場合に比べて膜形成が速いといった利点もある。
具体的な酸素/チタン比の異なる酸化チタン薄膜層からなる高屈折率層を形成する装置としては、雰囲気を独立に制御可能な隔壁で区切られた複数の成膜室(チャンバー)を有する巻き取り式のスパッタリング装置を用いることが好ましい。こうすることで、生産性を落とすことなく2層以上の酸化チタン薄膜層を一度に形成することが可能となる。さらに、前記巻き取り式のスパッタリング装置の各チャンバーには、プラズマ発光領域を監視できる位置にプラズマ中のチタンの励起発光強度(OEI)が計測できるモニタが設けられており、モニタ制御装置がOEIの測定値と設定値を比較演算して、前記測定値が前記設定値と等しくなるようにガス流量調整弁を自動調整して各チャンバーの酸化性ガス流量を制御できる装置(以下、PEM)が組み込まれていることが好ましい。このようなOEIの測定モニタと反応性ガスの流量制御手段を組み合わせた装置としては、市販のアルデンネ社製の「PEM05」を使用することができる。反応性スパッタリング法における放電方式は特に限定されるものではなく、従来の直流マグネトロン方式、高周波マグネトロン方式、デュアルカソードマグネトロン方式、電子サイクロトロン共鳴方式等、公知の方式を用いることができる。
このようにして、酸素/チタン比の異なる酸化チタン薄膜層からなる高屈折率層は形成できるが、図1に示したような3層構造に限らず、透明酸化チタン薄膜層と光吸収性酸化チタン薄膜層が交互に3層以上積層されたものであっても、高屈折率層以外の層と接する表面に透明酸化チタン薄膜層が配置されていれば本発明に含まれる。
本発明において、低屈折率層は、屈折率が1.3から1.5の範囲である。好ましい低屈折率層の屈折率は1.40〜1.48の範囲である。低屈折率層の屈折率がこの範囲以外では可視光領域内の十分広い範囲で十分な反射防止効果が得られないことがある。また、低屈折率層の膜厚は、80nmから120nmの範囲にあることが好ましい。低屈折率層の厚みがこの範囲以外では、可視光領域全般に十分な反射防止効果が得られないことがある。好ましい低屈折率層の厚みは、85〜115nmの範囲である。本発明で使用する低屈折率層は、上記のような屈折率を有するものであれば制限されないが、塗布法で形成され、有機珪素化合物の加水分解により得られる(二酸化珪素)ゾルを塗工して形成された酸化珪素膜であることが、製造設備や工程を簡略化しつつ、優れた反射防止性能を発現できることから好ましい。前記酸化珪素膜を形成する材料としては、有機珪素化合物、特にテトラアルコキシシランを含む珪素アルコキシドを加水分解した(二酸化珪素)ゾルを用いる。このゾルは有機珪素化合物を塗布に適した有機溶剤に溶解し、一定量の水を用いて加水分解を行って調製することができる。
このゾルの形成に使用する有機珪素化合物の例としては、以下の一般式
1 a2 bSiX4−(a+b)
で表される化合物を好ましく例示できる。ここで、R1、R2はそれぞれアルキル基、アルケニル基、アリル基又は、ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリル基若しくはシアノ基を有する炭化水素基からなる群より選ばれた少なくとも1種であり、Xはアルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲンないしアシルオキシ基から選ばれた加水分解可能な基からなる群より選ばれた少なくとも1種であり、a、bはそれぞれ0、1又は2であるが、a+bは2以下である。
前記有機珪素化合物の加水分解は、該有機珪素化合物を適当な溶媒中に溶解して行うのが好ましい。使用する溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のアルコール、ケトン、エステル類、ハロゲン化炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、及びこれらの混合物が挙げられる。前記有機珪素化合物は前記溶媒中に、該珪素化合物が100%加水分解及び縮合したとして生じる二酸化珪素換算で0.1重量%以上、好ましくは0.1重量%から10重量%になるように溶解する。前記濃度が0.1重量%未満であると、形成されるゾル膜が所望の特性が充分に発揮できず、一方10重量%を越えると、透明にかつ均質な膜を形成することが困難となりやすい。また、本発明においては、上記の固形分濃度以内であるならば、有機物や無機物バインダーを併用することも可能である。
前記低屈折率層を形成するゾルの塗工は、通常のコーティング作業で用いられる方法を用いることができ、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビートコーター法、マイクログラビアコーター法等を挙げることができる。そして、これらの方法によって塗布した後、塗膜を乾燥させることで、低屈折率層が形成できる。乾燥温度(熱処理温度)は60℃から150℃が好ましい。
本発明の光吸収性反射防止フィルムは、高屈折率層と低屈折率層、要すればさらに中屈折率層からなる反射防止層の表面を保護しつつ、更に防汚性を高めるために、最外層に防汚層が形成されていることが好ましい。防汚層を形成する材料としては、透明性を有し、要求性能が満たされる限り、いかなる材料でも制限がなく使用することができる。例えば、疎水基を有する化合物、具体的には、フルオロカーボンやパーフルオロシラン等、またこれらの高分子化合物等を好ましくは使用することができる。また、指紋などの拭き取り性向上のためには、メチル基の様な発油性を有する高分子化合物が好適である。
防汚層の形成方法としては、当該形成材料に応じて真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法。プラズマCVD法、プラズマ重合法などの真空成膜プロセスや、マイクログラビア、スクリーン、ディップ等のウエットプロセスの各種コーティング方法を用いることができる。
防汚層の厚さは中屈折率層、高屈折率層そして低屈折率層からなる反射防止層の機能を損なわないよう設定することが必要であり、通常、膜厚を50nm以下とすることが好ましい。
このようにして得られる本発明の光吸収性反射防止フィルムは、液晶表示素子(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示素子(CRT)等の表示面に適用可能であり、従来の反射防止フィルムと同様に、粘着剤や接着剤等を用いてガラス板、プラスチック板、偏光板等と貼り合わせることにより反射防止性を有する光学部材とすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例中の測定および評価は以下に示す方法にて行った。
(1)酸素/チタン比:
サンプルの積層フィルムの表面を、加速エネルギー0.5keVのアルゴンイオンにて1.5nm/分の速度でスパッタエッチングし、サンプルの測定すべき表面を露出させて、X線光電子分光測定を、アルバック・ファイ製PHI−QUANTUM−2000を用いて行い、酸素の1sピークの積分強度とチタンの2pピークの積分強度との比によって酸素/チタン比を算出した。
(2)反射率:
大塚電子株式会社製FE3000を用い、測定する反射防止フィルムの反射防止層が形成されていない側の表面に黒色塗料(寺西化学工業株式会社製、商品名:マジックインキ)を塗布し、反射防止層が形成されている側から照光して、380nmから780nmの波長範囲で反射率を測定した。得られた反射スペクトルからJIS A5759に基づき視感度反射率を算出した。
(3)バンド幅比:
低反射波長領域の範囲の大小を判定するために、上記(2)の反射率の測定で得られた反射スペクトルから、反射率が1.0%となる低波長側の波長と、反射率が1.0%となる高波長側の波長とを求め、前者の波長で後者の波長を除したものをバンド幅比として定義し、これを求めた。なお、ハンド幅比が大きいほど広い波長領域で反射防止性能が達成されていることを意味する。
(4)全光線透過率:
日本電色工業製のヘーズ測定器(NDH−2000)を用いてJIS K7105に基づいて全光線透過率を測定した。測定は3回行い、平均値を代表値とした。
(5)表面抵抗:
三菱化学株式会社製 商品名:「ハイレスタ」を用いて、反射防止フィルムの表面にプローブを押し付けて表面抵抗を測定した。なお、測定は異なる位置5点について測定し、それらの平均値を代表値とした。
(6)密着性:
JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験にて評価した。碁盤目大きさは1mm×1mm角とし、碁盤目の数は100個とした。セロハン粘着テープはニチバン株式会社性CT405A−18を使用した。評価は、1つも剥離しない場合は○、剥離した碁盤目の数が10個以下の場合を△、剥離した五番目の数が10個を超えていた場合を×とした。
[実施例1]
透明基材として二軸配向PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:O3PF8W、厚さ100μm)を用い、該二軸配向PETフィルムの片面にUV硬化性ハードコート剤(JSR株式会社製、商品名:デソライトZ7501)を厚さ約5μmになるようにマイクログラビアコーティングにより塗工し、UV硬化させて厚さ約5μmのハードコート層を形成した。次いでハードコート層の上にテトラブチルチタネートの4量体(日本曹達株式会社製、商品名:TBT B−4 )のtert−ブタノール/2−ブタノール(3/1)溶液(濃度10.5%)に、二酸化珪素粒子(日本エアロジル株式会社製、商品名:AEROSIL R972、平均粒径:20nm)を、テトラブチルチタネートに対し0.5重量%となるように添加・分散させたものをマイクログラビアコーティングにより塗工し、150℃で2分間乾燥して厚さ110nmの膜を形成した。
次に、高屈折率層の形成は、雰囲気を独立に制御可能な隔壁で区切られたPEMが組み込まれている5つのチャンバーを有する巻き取り式のスパッタリング装置を用いた。チャンバーは、フィルムの巻きだし側から巻き取り側に向かって、A室、B室、C室、D室、E室とする。各チャンバーには金属チタンのターゲットを配置し、各チャンバーを5×10−4Paまで排気した後、アルゴンと酸素の混合ガスを各チャンバーに導入し、デュアルカソードマグネトロン方式にて放電した。ターゲットへの投入電力は、すべてのチャンバーで17kWとした。
PEMの設定については次のようにする。アルゴンガスのみで金属チタンターゲットを用いて放電したとき(すなわち金属チタン薄膜が形成される場合)のOEIの測定値を90とし、OEIの設定値をこの値よりも小さく設定すると、OEIの測定値が設定値と等しくなるように酸素ガス導入バルブの開度が調節され酸化チタン薄膜を形成することができる。OEIの設定値を小さくすれば酸素ガス導入バルブの開度が大きくなり酸化度(酸素/チタン比)が上がり、大きくすれば酸素ガス導入バルブの開度が小さくなり酸化度(酸素/チタン比)が下がる。
本発明の高屈折率層を形成するために、各チャンバーのOEI設定値は、A室:25、B室:40、C室:40、D室:40、E室:25とした。この設定により高屈折率層は図1と同じく3層構成、すなわち、A室とE室にて透明酸化チタン薄膜層を、B〜D室にて光吸収酸化チタン薄膜層を、ハードコート層の表面に形成された膜の上に形成した。
なお、ライン速度は3m/分とし、3層の酸化チタン薄膜層からなる高屈折率層の厚みは25nm(A室で形成された透明酸化チタン薄膜層の厚み:2nm、B〜D室で形成された光吸収酸化チタン薄膜層の厚み:21nm、E室で形成された透明酸化チタン薄膜層の厚み:2nm)とした。なお、高屈折率層を形成した段階の積層フィルムは、灰色に近い青色に着色しており、光吸収していることが目視にて確認できた。このようにして形成した酸化チタン薄膜層の酸素/チタン比を測定すると、A室とE室にて形成した透明酸化チタン薄膜層ではそれぞれ、1.65と1.70であり、B〜D室にて形成した光吸収性酸化チタン層では平均して1.40であった。
さらに、前記高屈折率層の上に、テトラエチルシランの加水分解にて得られた二酸化珪素ゾルを乾燥したときの膜厚が105nmとなるようにマイクログラビアコーティングにより塗工し、100℃で1分間乾燥して低屈折率層を形成した。そして、低屈折率層の上に防汚層として、フッ素系界面活性剤(ダイキン工業株式会社性、商品名「オプツールDSX」)を厚み2nmでマイクログラビアコーティングにより塗工し光吸収性反射防止フィルムを得た。
こうして得られた光吸収性反射防止フィルムの視感度反射率は0.26%であり、バンド幅比は1.53であった。可視光領域の広い範囲で反射率が非常に小さく抑えることができた。全光線透過率は87.5%、表面抵抗値は6×10Ω/□であった。光吸収性酸化チタン膜が設けられていることによって透過率が高くなりすぎず、さらに、良好な帯電防止効果が得られる程度に低い表面抵抗値を実現できた。碁盤目テープ剥離試験の結果、剥離は観察されず、評価は○であった。
[実施例2]
高屈折率層を形成する際に、PEMのOEI設定値をA室:25、B室:25、C室:40、D室:40、E室:25として、ライン速度を2.7m/分とした以外は実施例1と同様な操作を繰り返して、光吸収性反射防止フィルムを作成した。得られた光吸収性反射防止フィルムは、A〜B室にて厚み4.5nmの透明酸化チタン層、C〜D室にて厚み16nmの光吸収性酸化チタン層、およびE室にて厚み2.2nmの透明酸化チタン層が形成されていた。高屈折率層を形成した段階での積層フィルムは灰色に近い青色に着色しており、光吸収していることが目視にて確認できた。
高屈折率層の酸素/チタン比を測定すると、A〜B室にて形成した透明酸化チタン薄膜層では平均1.75、E室にて形成した透明酸化チタン薄膜層では1.65であり、C〜D室にて形成した光吸収性酸化チタン薄膜層では1.35であった。
得られた光吸収性反射防止フィルムの視感度反射率は0.28%であり、バンド幅比は1.50であった。可視光領域の広い範囲で反射率が非常に小さく抑えることができた。全光線透過率は88.0%、表面抵抗値は1×10Ω/□であった。実施例1と同じく、光吸収性の高屈折率層が設けられていることによって透過率が高くなりすぎず、さらに、良好な帯電防止効果が得られる程度に低い表面抵抗値を実現できた。碁盤目テープ剥離試験の結果、剥離は観察されず、評価は○であった。
[比較例1]
高屈折率層を形成する際に、PEMのOEI設定値をA室:40、B室:40、C室:40、D室:40、E室:40として、ライン速度を3.5m/分とした以外は実施例1と同様な操作を繰り返して、光吸収性反射防止フィルムを作成した。この設定においては、高屈折率層は実質的に光吸収性酸化チタン薄膜層1層からなり、厚みは28nmであった。高屈折率層を形成した段階での積層フィルムは灰色に近い青色に強く着色しており、光吸収が大きいことが目視にて確認できた。
高屈折率層の酸素/チタン比を測定すると、平均して1.30であった。
得られた光吸収性反射防止フィルムの視感度反射率は0.21%であり、バンド幅比は1.54であり、可視光領域の広い範囲で反射率が非常に小さく抑えることができた。しかし、全光線透過率は78.0%と低くディスプレイ用途としては実用的ではなかった。また、表面抵抗値は2×10Ω/□であった。碁盤目テープ剥離試験の結果、部分的に剥離が観察され、評価は△であった。なお、剥離は中屈折率層/高屈折率層界面で起こっていた。
[比較例2]
高屈折率層を形成する際に、PEMのOEI設定値をA室:25、B室:25、C室:25、D室:25、E室:25として、ライン速度を1.5m/分とした以外は実施例1と同様な操作を繰り返して、光吸収性反射防止フィルムを作成した。この設定においては、高屈折率層は実質的に透明酸化チタン薄膜層1層からなり、厚みは24nmであった。積層フィルムの光吸収はないことが目視にて確認できた。
高屈折率層の酸素/チタン比を測定すると、平均して1.70であった。
得られた透明反射防止フィルムの視感度反射率は0.38%であり、バンド幅比は1.45であり、実施例1や実施例2の光吸収性反射防止フィルムに比較して視感度反射率が高く、低反射領域も狭いので、反射防止性能が劣ることが確認できた。全光線透過率は95.8%と非常に高くディスプレイのコントラスト向上効果は実施例1や実施例2の光吸収性反射防止フィルムに比較して劣っていた。表面抵抗値は2×1012Ω/□と実施例1や実施例2の光吸収性反射防止フィルムと比較して高く、帯電防止性能も劣っていた。碁盤目テープ剥離試験の結果は、剥離が観察されず、評価は○であった。
本発明の光吸収性反射防止フィルムの断面模式図の一例である。
符号の説明
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3 中屈折率層
4 高屈折率層
5 低屈折率層
6 防汚層
7 透明酸化チタン薄膜層
8 光吸収性酸化チタン薄膜層
9 透明酸化チタン薄膜層

Claims (13)

  1. 透明基材の片面に、酸化チタン薄膜からなる高屈折率層および屈折率1.3〜1.5の低屈折率層がこの順で積層された反射防止フィルムであって、
    高屈折率層が、酸素のチタンに対する原子数比が1.30から1.55の光吸収性酸化チタン層とその両表面に形成された酸素のチタンに対する原子数比が1.6より大きい透明酸化チタン層とからなり、反射防止フィルム全体の全光線透過率が75%以上93%以下の範囲にあることを特徴とする光吸収性反射防止フィルム。
  2. 透明基材が厚み20〜500μmのプラスチックフィルムである請求項1記載の光吸収性反射防止フィルム。
  3. 低屈折率層が膜厚80nmから120nmの二酸化珪素からなる層である請求項1記載の光吸収性反射防止フィルム。
  4. 高屈折率層が、反応性スパッタリングによって形成された酸化チタン薄膜層である請求項1記載の光吸収性反射防止フィルム。
  5. 光吸収性酸化チタン薄膜層の厚みが15〜25nmの範囲、透明酸化チタン薄膜層の厚みが1〜5nmの範囲である請求項1記載の光吸収性反射防止フィルム。
  6. 透明基材と高屈折率層が、ハードコート層を介して積層されている請求項1記載の光吸収性反射防止フィルム。
  7. ハードコート層と高屈折率層が、高屈折率層と低屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層を介して積層されている請求項6記載の光吸収性反射防止フィルム。
  8. 中屈折率層がチタンまたはジルコニウムの酸化物からなり、厚みが80〜120nmの範囲で、屈折率が1.6 〜 1.9の範囲である請求項7記載の光吸収性反射防止フィルム。
  9. 光吸収性反射防止フィルムの低屈折率層側表面の表面抵抗が1×10〜1×1010Ω/□の範囲にある請求項1記載の光吸収性反射防止フィルム。
  10. 透明基材の片面に、金属チタンをターゲットとしてアルゴンガスと酸化性ガスの混合ガスにより酸化させる反応性スパッタリングにより、酸素のチタンに対する原子数比が1.6より大きい透明酸化チタン層、酸素のチタンに対する原子数比が1.30〜1.55の光吸収性酸化チタン層および酸素のチタンに対する原子数比が1.6より大きい透明酸化チタン層がこの順で形成された高屈折率層を形成し、さらに該高屈折率層の表面に屈折率1.3〜1.5の低屈折率層を形成することを特徴とする光吸収性反射防止フィルムの製造方法。
  11. 低屈折率層が有機珪素化合物を加水分解して調製したゾル液を塗布して形成された二酸化珪素からなる膜厚80nmから120nmの層である請求項10記載の光吸収性反射防止フィルムの製造方法。
  12. 透明基材の片面にハードコート層を形成してから高屈折率層を形成する請求項10記載の光吸収性反射防止フィルムの製造方法。
  13. 透明基材とは接していないハードコート層の表面にチタンまたはジルコニウムのアルコキシドを塗布し加水分解されてできる金属酸化物薄膜からなる屈折率が低屈折率層と高屈折率層の間にある中屈折率層を形成してから高屈折率層を形成する請求項12記載の光吸収性反射防止フィルムの製造方法。
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