JP2013254116A - 光学積層体、及びこれを用いた偏光板 - Google Patents

光学積層体、及びこれを用いた偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】干渉縞の発生が抑えられ、枠印刷パターンが基材との優れた密着性を有する光学積層体、及びこれを用いた偏光板を提供する。
【解決手段】光透過性基材の一方の面に、プライマー印刷パターン、枠印刷パターン、及びハードコート層を所定の位置関係で有し、該枠印刷パターンが着色剤及び硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である光学積層体、及び偏光子保護シート、偏光子、及び該光学積層体を順に有する偏光板である。
【選択図】図1

Description

本発明は光学積層体、及びこれを用いた偏光板に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、無機及び有機LED(Light−emitting diode)ディスプレイ、電子ペーパーなどに用いられるディスプレイやタッチパネルなどには、その外観や性能に大きな影響を与えるため、厚さを薄くすることが求められている。このようなディスプレイなどの薄板化の要望に伴い、ディスプレイなどに設ける偏光板にも薄板化が求められるようになっている。
これらのディスプレイの観察者側に設ける偏光板としては、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)用の偏光板としては、映像源側保護シートと観察側保護シートの間に偏光子を積層してなるものが、また有機ELディスプレイ(OLED)用の偏光板としては、映像源側の位相差フィルムと観察者側の保護シートとの間に偏光子を積層したものが用いられている。また、ディスプレイの外周枠付近に設けられるドライバーICや配線を隠蔽したり、ディスプレイの意匠性を向上させる、あるいは画像表示領域外からバックライトなどの光が漏れないことなどを目的として、偏光板を構成するいずれかの層に枠印刷パターンを設けることが行われている(例えば、特許文献1)。
本発明者らも、偏光板として、光透過性基材の一方の面に枠印刷パターンを、他方の面にはハードコート層を有する光学積層体を該枠印刷パターン側の面と偏光板の観察者側の保護シート面とを数十μmの厚さの接着層を介してなる第一の態様の偏光板の開発を行ってきた。しかし、この偏光板は構成する層の数が多く、厚くなってしまうため、ディスプレイの薄板化の要望に十分に対応しきれていないという問題があった。また、製造工程数が増えてしまい、使用材料も多いことから高価となってしまうという問題もあった。
特開2011−221371号公報
上記のような問題点を鑑み、本発明者らは、第一の態様の偏光板においてハードコート層を有する光学積層体の光透過性基材が、観察者側の保護シートの機能をも兼ねるようにすることで層の数を減らし、枠印刷パターンを偏光子と該光透過性基材との間に設ける第二の態様の開発を行っている。
枠印刷パターンは、上記のように通常ディスプレイの外周枠付近に設けられるドライバーICや配線を隠蔽するための層であり、光学積層体の外周枠に沿って設けられる。そのため、第二の態様の偏光板は、光透過性基材の一方の面に枠印刷パターンとともに該枠印刷パターンの内側の空間を埋める透明樹脂からなる平滑層を設け、偏光子と貼り合わせて得られる。しかし、この構成においては、観察者側の保護シートと偏光子とを接着させる接着層が、該偏光子の偏光性能を低下させないようにするため数十〜数百nmと非常に薄くする必要があるため、わずかにでも段差ができてしまうと、この段差に起因した気泡の発生に伴う偏光板としての性能低下を招いてしまう場合がある。一方、汎用の製造装置で枠印刷層と平滑層とを光透過性基材上に段差なく設けることは極めて困難であり、その作製にあたって製造装置、あるいは製造条件に過大な負荷を与えることになり、生産の容易性の低下や、歩留まりが低下してしまう。
そこで、本発明者らは、光学積層体においてハードコート層を有する光学積層体の光透過性基材が、観察者側の保護シートの機能をも兼ねるようにすることで層の数を減らし、さらに生産の容易性などを考慮した、光透過性基材の観察者側の面とハードコート層との間に枠印刷パターンを設ける第三の態様の開発も行っている。
本態様においては、偏光子との接着面に平滑性が高い光透過性基材の面そのものを用いるので、数十〜数百nmの厚さの接着層によっても、光透過性基材と偏光子とを容易に積層することができる。一方、光学フィルムにおいては、ハードコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物中に溶媒が含まれることが一般的であるため、枠印刷パターンを形成する硬化性樹脂が溶剤によるアタックをうけて、枠印刷パターンの基材との密着性の低下を生じてしまう場合がある。そのため、枠印刷パターンの、優れた基材との密着性を得ることが課題となっている。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構成を有する光学積層体が、上記の課題を解決し得ることを見出した。本発明の要旨は、以下のとおりである。
1.光透過性基材の一方の面に、プライマー印刷パターン、枠印刷パターン、及びハードコート層を有し、該プライマー印刷パターン及び該枠印刷パターンは該光透過性基材の外周に沿って設けられ、かつ該プライマー印刷パターンは該光透過性基材と該枠印刷パターンとの間に設けられ、該ハードコート層は該光透過性基材と、該プライマー印刷パターンと、該枠印刷パターンとを覆うように全面に設けられており、該枠印刷パターンが着色剤及び硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、光学積層体。
2.前記光透過性基材を構成する材料がトリアセチルセルロースであり、該光透過性基材と前記ハードコート層とが接する部分に含浸層を有する上記1に記載の光学積層体。
3.偏光子保護シート、偏光子、及び上記1又は2に記載の光学積層体を順に有する偏光板。
4.上記1もしくは2に記載の光学積層体、又は上記3に記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、枠印刷パターンが優れた基材との密着性を有する光学積層体、及びこれを用いた偏光板を提供することができる。
本発明の光学積層体の一形態の断面を示す模式図である。 本発明の光学積層体の一形態の断面を示す模式図である。 本発明の光学積層体の一形態の断面を示す模式図である。 本発明の光学積層体の一形態の上面からみた模式図である。 本発明の偏光板の一形態の断面を示す模式図である。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、光透過性基材の一方の面に、プライマー印刷パターン、枠印刷パターン、及びハードコート層を有し、該プライマー印刷パターン及び該枠印刷パターンは該光透過性基材の外周に沿って設けられ、かつ該プライマー印刷パターンは該光透過性基材と該枠印刷パターンとの間に設けられ、該ハードコート層は該光透過性基材と、該プライマー印刷パターンと、該枠印刷パターンとを覆うように全面に設けられており、該枠印刷パターンが着色剤及び硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、というものである。
図1は、本発明の光学積層体の好ましい一形態の断面を示す模式図であり、光透過性基材1の一方の面に、プライマー印刷パターン2、枠印刷パターン3、ハードコート層4、及び該光透過性基材1とハードコート層4とが接する部分に含浸層5を有する態様を示している。
以下、図1を用いて、本発明の光学積層体の構成について詳細に説明する。
(光透過性基材)
光透過性基材は、光透過性を有することはもちろんのこと、平滑性や耐熱性を備え、かつ光学的性能及び機械的性能に優れるものであることが好ましい。光透過性基材は、可視光域380〜780nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、光線透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)に準拠して測定した値である。
このような光透過性基材としては、上記の光透過性を有するものであれば特に制限はなく、例えば樹脂材料により構成される可撓性を有するフレキシブル材、あるいはガラス基板などの可撓性を有しないリジッド材などが好ましく挙げられ、優れた生産性を得る観点からは、フレキシブル材がより好ましい。フレキシブル材を構成する樹脂材料としては、本発明の光学積層体の用途に応じて適宜選択すればよいが、例えばトリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、セロファンなどのセルロース系樹脂;ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンなどのシクロオレフィンから得られるシクロポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのポリエステル樹脂;メチル(メタ)アクリレート樹脂やブチル(メタ)アクリレート樹脂などのアクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂などが好ましく挙げられる。
これらの中でも、機械的性能、とりわけ耐熱性を考慮すると、ポリエステル樹脂が好ましく、また光学的性能、とりわけ偏光性を考慮すると、シクロポリオレフィン樹脂やセルロース系樹脂が好ましく、とりわけトリアセチルセルロース(TAC)が好ましい。
光透過性基材の厚さは、本発明の光学積層体の用途や基材を構成する材料などを考慮して適宜選択すればよく、通常5〜200μm程度である。また、材料としてセルロース系樹脂を選定する場合は、好ましくは15〜100μm、より好ましくは20〜80μmである。光透過性基材の厚さが上記範囲内であると、本発明の光学積層体を薄くすることができ、また十分な機械的強度を確保することができるからである。
また、光透過性基材には、後述するプライマー印刷パターンや偏光子との密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理などの表面処理やアンカー層を形成する方法などの易接着処理を施すことができる。なかでもコロナ処理、アンカー層を形成する方法、及びこれらを併用する方法が好ましい。
(プライマー印刷パターン)
プライマー印刷パターンは、光透過性基材の外周に沿って設けられているパターンである。
後述する枠印刷パターンを光透過性基材上に設けた場合、後述するハードコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物中に浸透性溶剤を用いると、枠印刷パターンが該浸透性溶剤によるアタックを受けて、基材との密着性の低下を生じてしまう場合がある。本発明においては、このような溶剤によるアタックを受けても枠印刷パターンの基材への密着を維持するため、基材と枠印刷パターンとの間にプライマー印刷パターンを設ける。本発明の光学積層体を各種ディスプレイに用いられる偏光板の保護フィルムとして用いる場合、通常ディスプレイの外周枠付近に設けられる。
本発明における「外周に沿って設けられる」とは、ディスプレイの有効画面の外側の外周枠付近に設けられるドライバーICや配線を隠蔽するために設けられるという枠印刷パターンの設置目的、及び該枠印刷パターンの基材への密着性を確保するという目的を鑑みれば、外周枠付近に設けられ、かつディスプレイの表示画像の視認性を阻害しないように設けられることを示す概念である。すなわち、厳密に外周に沿わなければならないというものではなく、外周近傍であり、かつディスプレイの表示画像の視認性を阻害しない範囲であれば、必ずしも外周に沿わなくてもよく、また全外周に設けず、その一部が欠けるような態様をも含む概念である。
プライマー印刷パターンの形成には、公知のプライマーを用いることができ、光透過性基材の種類や、枠印刷パターンを構成する材料の種類により適宜選択できる。該プライマーとしては、例えば、ウレタン樹脂系プライマー;アクリル樹脂系プライマー;アクリル変性ウレタン樹脂、アクリルとウレタンのブロック共重合体等のアクリル−ウレタン樹脂系プライマー;ポリエステル樹脂系プライマー;ポリカーボネート樹脂系プライマー等が挙げられる。
上記プライマーは、機械的強度及び耐溶剤性の観点から、硬化性樹脂を含む樹脂プライマーであることが好ましい。
硬化性樹脂としては、常温硬化性、熱硬化性、湿気硬化性、電離放射線硬化性を示す樹脂であれば特に制限はないが、機械的強度、製造の容易性や生産性などを考慮すると、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
硬化性樹脂としては、1液硬化性樹脂、2液硬化性樹脂、エマルジョンタイプなど、様々な態様のものを用いることができ、光透過性基材との密着性、耐熱性、取扱いの容易さなどを考慮すると、2液硬化性樹脂が好ましい。また、硬化性樹脂の種類としては、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが好ましく挙げられ、光透過性基材との密着性や取扱いの容易性を考慮するとウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく挙げられる。また、これらの樹脂は、変性されたものであってもよい。
該硬化性樹脂は、これらのなかから単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができ、光透過性基材への密着性の向上の観点から、ウレタン樹脂単体、ウレタン樹脂とニトロセルロース樹脂との組み合わせ、アクリルポリオール樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との組み合わせ、ウレタン樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との組み合わせが好ましい。
上記の硬化性樹脂が2液硬化性樹脂の場合、硬化剤としては上記の樹脂成分の種類によって適宜選択され、例えば、ポリイソシアネート化合物、有機スルホン酸塩、有機アミン、アジリジン環を有するアジリジン化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物やラジカル開始剤などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
プライマー印刷パターンの厚さは、0.05〜2.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0μmである。プライマー印刷パターンの厚さが上記範囲内であると、光透過性基材と枠印刷パターンとの良好な密着性が得られ、プライマー印刷パターン及び枠印刷パターンを設けることによる前記ハードコート層の平滑性阻害を抑制することができる。ここで、プライマー印刷パターンの厚さは、例えば膜厚計を用いて、あるいは、断面写真から、プライマー印刷パターンの印刷面上、及び該プライマー印刷パターンが印刷されていない面上で各々3点測定し、プライマー印刷パターンの印刷面の厚さの平均値と、パターンが印刷されていない面の厚さの平均値との差をもってプライマー印刷パターンの厚さとすることができる。
また、プライマー印刷パターンの幅は、後述する枠印刷パターンの幅と同じか又はそれ以上であればよく、該枠印刷パターンの幅に応じて適宜決定されるが、該枠印刷パターンの幅よりも0.01〜2mm広いことが好ましく、0.1〜1.5mm広いことがより好ましい。プライマー印刷パターンの幅と枠印刷パターンの幅との差が上記範囲内であれば、ディスプレイの見栄えを低下させることもない。なお、ここでいう「プライマー印刷パターンの幅」とは、該プライマー印刷パターンの外周に最も近い部分と、外周から最も遠い部分との最短距離をいう。
(枠印刷パターン)
枠印刷パターンは、該光透過性基材の外周に沿って設けられており、着色剤及び硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなるパターンである。この枠印刷パターンは、本発明の光学積層体を各種ディスプレイに用いられる偏光板の保護フィルムとして用いる場合、通常ディスプレイの外周枠付近に設けられ、意匠性を向上させたり、ドライバーICや配線を隠蔽するために設けられる層である。
図2は、本発明の光学積層体を上面からみた模式図であり、枠印刷パターンは外周に沿って全外周に設けられているが、これは本発明における枠印刷パターンを設ける態様の一例を示すものである。
枠印刷パターンの透過濃度は、3〜8であることが好ましく、より好ましくは4〜6であり、さらに好ましくは4.5〜5.6である。枠印刷パターンの透過濃度が3以上であれば、通常ディスプレイの外周枠付近に設けられるドライバーICや配線を十分に隠蔽することができる。また、8以下であると、枠印刷パターンの厚さを過度に厚くする必要がないので好適である。なお、透過濃度は、ISO5−2(2009)シリーズ等で規格化されるフィルムなどを対象とした入射光に対する透過光の比率として透過濃度計により計測される光学濃度のことである。
硬化性樹脂としては、常温硬化性、熱硬化性、湿気硬化性、電離放射線硬化性を示す樹脂であれば特に制限はないが、光透過性基材の機械的強度を保ち、製造の容易性や生産性などを考慮すると、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
硬化性樹脂としては、1液硬化性樹脂、2液硬化性樹脂、エマルジョンタイプなど、様々な態様のものを用いることができ、光透過性基材との密着性、耐熱性、取扱いの容易さなどを考慮すると、2液硬化性樹脂が好ましい。また、硬化性樹脂の種類としては、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが好ましく挙げられ、光透過性基材との密着性や取扱いの容易性を考慮するとウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく挙げられる。また、これらの樹脂は、変性されたものであってもよい。
本発明において硬化性樹脂は、これらのなかから単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができ、密着性の向上の観点から、ウレタン樹脂単体、ウレタン樹脂とニトロセルロース樹脂との組み合わせ、アクリルポリオール樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との組み合わせ、ウレタン樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との組み合わせが好ましく、ウレタン樹脂単体がさらに好ましい。
上記の硬化性樹脂の硬化前の標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量は、10,000〜100,000であり、好ましくは30,000〜70,000である。重量平均分子量が上記範囲内であると、光透過性基材との優れた密着性、耐熱性、取扱いの容易さが得られるので好ましい。
2液硬化性樹脂の場合、硬化剤としては上記の樹脂成分の種類によって適宜選択され、例えば、ポリイソシアネート化合物、有機スルホン酸塩、有機アミン、アジリジン環を有するアジリジン化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物やラジカル開始剤などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
着色剤としては、着色染料、着色顔料などを用いることができ、上記のドライバーICや配線を隠蔽し、また変色などが生じにくいことから着色顔料を用いることが好ましい。着色顔料としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック、鉄黒、パール顔料、弁柄、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム緑、コバルト緑、黄鉛、チタンイエロー、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトポン、バライト、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、沈降性シリカや、アルミペーストなどのシルバー顔料などの無機顔料が好ましく挙げられ、これらの中から単独で、又は複数種を組み合わせて用いることがでる。なかでも、ディスプレイの外周枠付近に設けられるドライバーICや配線を隠蔽し、またディスプレイを消したときのディスプレイの色合いに近く、目立たなくするという観点から、例えば黒色や灰色などの暗色を呈する着色顔料が好ましく、カーボンブラック、アルミペーストなどのシルバー顔料、パール顔料が好ましい。
カーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが用いられる。カーボンブラックの平均一次粒径は、5〜70nmが好ましく、5〜60nmがより好ましく、5〜50nmがさらに好ましく、特に好ましくは20〜30nmである。カーボンブラックの平均一次粒径が上記範囲内にあれば、優れた隠蔽性が得られる。ここで、平均一次粒径は、カーボンブラックをクロロホルムなどの溶媒で十分に希釈分散させた分散液を、コロジオン膜付メッシュ上に展開、乾燥させた後、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影したTEM写真のコンピューター画像解析を行い、抽出された各凝集体の面積と等しい面積を有する円の直径(等面積円径)を粒径とし、得られた粒径分布より求めた算術平均径(数平均値)である。
カーボンブラックは、DBP吸油量が40〜150ml/100gであるものが好ましく、40〜130ml/100gがより好ましく、50〜120ml/100gがさらに好ましい。DBP吸油量が上記範囲内にあれば、良好な印刷適性を得ることができるので、良好な隠蔽性が得られる。ここで、DBP吸油量は、JIS K6221 A法で測定された値である。
カーボンブラックの比表面積は、10〜300m2/gが好ましく、10〜250m2/gがより好ましく、20〜250m2/gがさらに好ましい。比表面積が上記範囲内にあれば、黒色の濃度を向上させることができ、また良好な印刷適性が得られるため、良好な隠蔽性が得られる。ここで、比表面積は、窒素吸着によるJIS K6221に準拠して測定された値である。
また、カーボンブラックのpHは、特に制限はないが、硬化性樹脂組成物中の保存安定性を向上する観点から、3〜10が好ましく、3〜7がより好ましく、3〜5がさらに好ましい。カーボンブラックのpHは、水性懸濁液を調製し、ガラス電極で測定することにより求められる。
カーボンブラックは、酸化処理を施されたものであってもよい。カーボンブラックの酸化処理は、硫酸、硝酸、塩素酸塩、過硫酸塩などの酸化剤の水溶液中にカーボンブラックを入れて、攪拌混合して行われる。この酸化処理は、室温〜90℃程度で行われることが好ましい。酸化処理されたカーボンブラックは、その表面上にカルボキシル基、水酸化基などが生成して表面変性したものであり、このようなカーボンブラックを用いることで、硬化性樹脂組成物の保存安定性が向上する。
硬化性樹脂組成物中の着色剤の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、10〜70質量部が好ましく、より好ましくは10〜50質量部であり、さらに好ましくは20〜50質量部である。着色剤の含有量が上記範囲内であれば、良好な隠蔽性が得られ、また硬化性樹脂組成物の塗布がしやすく生産性に優れ、保存安定性も良好となる。
枠印刷パターンの厚さは、2〜5μmであることが好ましく、より好ましくは3.5〜4.5μmである。枠印刷パターンの厚さが上記範囲内であると、良好な隠蔽性が得られ、またハードコート層の表面の優れた平滑性が得られる。ここで、枠印刷パターンの厚さは、例えば膜厚計を用いて、あるいは、断面写真から、枠印刷パターンの印刷面上、及び該枠印刷パターン近傍のパターンが印刷されていない面上で各々3点測定し、枠印刷パターンの印刷面の厚さの平均値とパターンが印刷されていない面の厚さの平均値との差をもって枠印刷パターンの厚さとすることができる。
また、枠印刷パターンの幅は、隠蔽しようとするドライバーICや配線の設置幅、及びディスプレイデザインの見栄えなどにより適宜決定されるが、通常3〜20mmであることが好ましく、より好ましくは5〜15mmである。枠印刷パターンの幅が上記範囲内であれば、ドライバーICや配線を隠蔽するのに十分であり、ディスプレイの見栄えを低下させることもない。
(保護印刷パターン)
本発明の光学積層体には、必要に応じてさらに保護印刷パターンを設けてもよい。保護印刷パターンは、上記の枠印刷パターンを覆うようにして、かつ該枠印刷パターンと該ハードコート層との間に設けられる層である。後述するハードコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物中に浸透性溶剤を用いると、枠印刷パターンが該浸透性溶剤によるアタックにより、ひび割れ、あるいは基材との密着性の低下を生じてしまう場合がある。本発明においては、プライマー印刷パターンを設けることにより枠印刷パターンの基材との密着性を確保しているが、上記のような溶剤によるアタックから枠印刷パターンを保護するため、保護印刷パターンを設けることもできる。隠蔽性を向上させるために着色剤の含有量を多くした枠印刷パターンにあっては、耐溶剤性に劣るため特に有用である。
保護印刷パターンの形成には、好ましくは硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を用いる。硬化性樹脂としては、枠印刷パターンを形成する硬化性樹脂組成物に用いられる硬化性樹脂を好ましく挙げることができる。なかでも、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく、アクリルポリオール樹脂単独、あるいはアクリルポリオール樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との組み合わせがより好ましい。
図3及び図4は、それぞれ本発明の光学積層体において保護印刷パターン6をさらに設けた場合の一形態の断面を示す模式図である。保護印刷パターンの形状は、枠印刷パターンを覆うようにして、かつ該枠印刷パターンと該ハードコート層との間に設けられていれば特に制限はなく、例えば図3に示されるように単に枠印刷パターンを覆うような形状であってもよいし、より枠印刷パターンを保護するために、図4に示されるように階段状の形状としてもよい。
保護印刷パターンの厚さは、0.5〜2.5μmであることが好ましく、より好ましくは1〜2μmである。保護印刷パターンの厚さが上記範囲内であると、優れた枠印刷パターンの保護性能が得られ、またハードコート層の表面の優れた平滑性が得られる。ここで、保護印刷パターンの厚さは、例えば膜厚計を用いて、あるいは、断面写真から、保護印刷パターンの印刷面上、及び該保護印刷パターン近傍のパターンが印刷されていない面上で各々3点測定し、保護印刷パターンの印刷面の厚さの平均値とパターンが印刷されていない面の厚さの平均値との差をもって保護印刷パターンの厚さとすることができる。
また、保護印刷パターンと光透過性基材とが接する幅は、該保護印刷パターンの厚さと同じ又はそれ以上であり、該保護印刷パターンの厚さ以上とする場合は、該保護印刷パターンの形状を図3に示すような階段状の形状とすることが好ましい。この場合の保護印刷パターンと光透過性基材とが接する幅は、0.1〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜2mmであり、さらに好ましくは0.3〜1.2mmである。保護印刷パターンと光透過性基材とが接する幅が上記範囲内であると、優れた保護性能が得られるとともに、該保護印刷パターンが視認されず、意匠性を低下させることがない。なお、保護印刷パターンをディスプレイの全面に設けるなど、保護印刷パターンと光透過性基材とが接する面積が大きいと、後述するように、保護印刷パターンと光透過性基材との屈折率の差に起因する干渉縞の発生という問題を生じる場合があり、上記の接する幅とすることが好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、本発明の光学積層体に耐擦傷性などの表面硬度の性能を向上させる目的で設けられ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層である。該ハードコート層は、前記光透過性基材と、前記プライマー印刷パターンと、前記枠印刷パターンとを覆うように全面に設けられる。ここで、ハードコートとは、JIS5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示す性能のことをいう。
ハードコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂のほか、好ましくは溶剤、光重合開始剤や、各種添加剤を含む樹脂組成物である。電離放射線硬化性樹脂は、電磁波または荷電粒子線の中で分子を重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、硬化する樹脂であり、本発明においては、優れた表面硬度が得られ、かつ耐溶剤性や防汚性などの性能を容易に付与することができるなどの観点から、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。
このような樹脂としては、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマー(ないしはプレポリマー)の中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの4官能以上の(メタ)アクリレート;上記した多官能性(メタ)アクリレートモノマーのエチレンオキシド変性品、プロピレンオキシド変性品、カプロラクトン変性品、プロピオン酸変性品などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、優れた表面硬度が得られる観点から、トリ(メタ)アクリレートよりも多官能の、すなわち3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上記した多官能性(メタ)アクリレートモノマーとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートモノマーを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが好ましく挙げられる。さらに、重合性オリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマーなども好ましく挙げられる。
重合性オリゴマーは、数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が20,000以下のものが好ましく、より好ましくは300〜10,000であり、さらに好ましくは300〜5,000である。このような重合性オリゴマーを使用することで、重合による発熱や収縮を抑えられ、発熱によるダメージ(皺)やカール、折り曲げを防止することができる。
また、重合性オリゴマーは多官能であることが好ましく、より好ましくは3〜12官能、さらに好ましくは3〜10官能であることが好ましい。官能基数が上記範囲内であると、優れた表面特性が得られる。
上記の電離放射線硬化性樹脂は、溶剤乾燥型樹脂と併用して用いることもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することにより、光透過性基材との接着性の向上や塗布面の被膜欠陥を有効に防止できるため、優れた表面硬度の性能が得られるからである。
該溶剤乾燥型樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニルエーテル樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂を好ましく挙げられる。これらの樹脂は、非結晶性であり、かつ溶剤に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性などの観点から、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂などが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合開始剤を電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部程度添加することが好ましく、1〜7質量部の添加がより好ましい。光重合開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アルキルフェノン系、ベンゾイン系、ケタール系、アントラキノン系、ジスルフィド系、チオキサントン系、チウラム系、フルオロアミン系などの光重合開始剤が挙げられ、これらのいずれかを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
なかでも電離放射線の照射によりラジカルを発生し、樹脂組成物の硬化のきっかけとなりうる、アセトフェノン系、アルキルフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、チオキサントン系などのラジカル系光重合開始剤が好ましく、さらに光透過性の観点から、アセトフェノン系、アルキルフェノン系のものが好ましく、より好ましくはヒドロキシアセトフェノン系、ヒドロキシアルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系のものである。このような光重合開始剤は市販品として入手可能であり、例えば、「イルガキュア184(商品名)」(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)、「イルガキュア907(商品名)」(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、「イルガキュア127(商品名)」(2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン)(いずれもBASF社製)などが挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤としては、光学積層体の各層を設ける樹脂組成物に用いられる溶剤であれば特に制限なく用いることができるが、光透過性基材を構成する材料としてセルロース系樹脂、とりわけトリアセチルセルロースを採用し、ハードコート層がいわゆる防眩性を有しない(グレア)ハードコート層である場合は、光透過性基材に対して浸透性を有する浸透性溶剤を用いることが好ましい。このような場合、ハードコート層の表面反射での反射光とハードコート層と光透過性基材との界面での反射光とが干渉することにより干渉縞が発生し、光学積層体の性能を低下させる要因となることがある。この干渉縞の発生を低減させるためには、光透過性基材とハードコート層との界面の屈折率差を小さくすることが有効であり、その手法として前記モノマーや、分子量の小さいオリゴマーが基材に浸透した層である、後述する含浸層を形成することが好ましく挙げられる。そこで、溶剤として該浸透性溶剤を用いると、前記モノマーや、分子量の小さいオリゴマーがより基材に浸透するので、含浸層が形成しやすくなるのである。ここで、浸透性溶剤とは、光透過性基材に対する浸透性、膨潤性、湿潤性、浸透溶解性などの性能を有する溶剤である。
このような浸透性溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトアルコールなどのケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの含窒素類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロルエタンなどのハロゲン化炭化水素類;メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのグリコールエーテル類、などが好ましく挙げられ、これらの中から単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、光透過性基材に浸透させて干渉縞を低減させる観点から、ケトン類、あるいはエステル類が好ましく、とりわけメチルエチルケトン、酢酸メチル、シクロヘキサノンが好ましい。
また、溶剤として上記の浸透性溶剤と組み合わせて非浸透性溶剤を用いることが好ましい。浸透性溶剤だけでは光透過性基材への浸透性、膨潤性、湿潤性、浸透溶解性などが強すぎる場合、非浸透性溶剤を組み合わせることで、光透過性基材とハードコート層とが接する部分に形成する含浸層の厚さが厚くなることにより発生する白化を抑え、かつ所望の厚さへの調整が容易となるとともに、後述する各種添加剤などの分散や溶解性を向上させることが可能となるからである。
このような非浸透性溶剤としては、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類;酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;メチルグリコール、エチルグリコールアセテートなどのグリコールエーテル類;イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類などが好ましく挙げられ、これらの中から単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。なかでも、ブタノールが好ましい。ここで、上記の浸透性溶剤と非浸透性溶剤とで重複する溶剤が存在するが、互いに組み合わせる浸透性の相対的な強弱により浸透性、非浸透性のいずれにもなり得ること、また非浸透性溶剤として用いると好ましいものであること、などから重複して列記するものである。
非浸透性溶剤の使用量は、干渉縞の発生を抑え、かつ浸透層の形成による白化発生を抑える観点から、上記の浸透性溶剤100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、通常20〜70質量%であり、好ましくは30〜65質量%、より好ましくは35〜60質量%である。溶剤の含有量が上記範囲内であると、含浸層を安定して形成することができ、また塗布適性に優れ、樹脂成分の分散安定性や長期保存性に優れるので好ましい。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられる溶剤は、該組成物を塗布した後になされる乾燥及び硬化処理により蒸発するので、ハードコート層中には存在しない。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、所望の性能に応じて、各種添加剤を添加することができる。
各種添加剤としては、無機系あるいは有機系の微粒子が好ましく挙げられる。このような微粒子としては、例えば、反射率を低下させる目的からSiO2(屈折率n=1.45)、MgF2(屈折率n=1.38)、LiF(屈折率n=1.36)、NaF(屈折率n=1.33)、CaF2(屈折率n=1.44)、3NaF・AlF3(屈折率n=1.4)、AlF3(屈折率n=1.37)、Na3AlF6(屈折率n=1.33)などの低屈折率微粒子が、紫外線遮蔽の効果を向上させる目的からZnO(屈折率n=1.9)、TiO2(屈折率n=2.3〜2.7)、CeO2(屈折率n=1.95)などの微粒子が、また、帯電防止効果が付与されて埃の付着を防止する目的からアンチモンがドープされたSnO2(屈折率n=1.95)やITO(屈折率n=1.95)、リンがドープされたSnO2(屈折率n=1.75〜1.85)、五酸化アンチモン(屈折率n=2.04)などの金属酸化物微粒子や、金属微粒子などが好ましく挙げられる。また、高屈折率層を得る目的から、Al23(屈折率n=1.63)、La23(屈折率n=1.95)、ZrO2(屈折率n=2.05)、Y23(屈折率n=1.87)などの高屈折率微粒子も好ましく挙げられる。
また、上記SiO2、Al23は、ハードコート層の硬度の向上のために用いることもできる。
上記の微粒子は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、脂肪酸、界面活性剤などで表面処理されたものであってもよい。例えば、SiO2はその表面がシランカップリング剤で処理されたものが好ましく用いられる。シランカップリング剤は、特に制限なく使用することができるが、官能基として(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば市販される「KBM−502」、「KBM−503」、「KBE−502」、「KBE−503」、「KBM−5103」(商品名、いずれも、信越化学工業株式会社製)などが好ましく挙げられる。
これらの微粒子は単独で又は混合して使用され、溶剤又は水に分散したコロイド状になったものが分散性の点において良好であり、その粒径としては、通常1〜100nm程度であり、塗膜の透明性から好ましくは5〜60nmである。
各種添加剤として、反射率を低下させる目的で、空隙を有する微粒子、すなわち微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成する微粒子(以下「中空粒子」と称する場合がある)も好ましく用いることができる。また、微粒子の形態、構造、凝集状態、膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
中空粒子の材料としては、無機物及び有機物のいずれでもよく、金属、金属酸化物、樹脂などが挙げられ、特にシリカ微粒子を用いることが好ましい。このような中空粒子の具体例としては、特開平7−133105号公報、特開2001−233611号公報などに開示された複合酸化物ゾル又は中空シリカ微粒子が挙げられる。
各種添加剤として、帯電防止性を付与し、その表面にほこりなどが付着しにくくするため、帯電防止剤を添加することも好ましい。帯電防止剤としては、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの導電性ポリマーや、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基などのカチオン性基を有する各種カチオン性化合物;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物;アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物;アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物;スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物などが挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。
これらの帯電防止剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
各種添加剤として、防汚性を付与するため、防汚剤を添加することも好ましい。防汚剤を添加することにより、本発明の光学積層体の表面の表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくすることができ、汚れが付着した際でも拭き取りなどにより汚れを容易に除去しやすくなる。そのような防汚剤としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの混合物が挙げられ、特にフロロアルキル基を有する化合物が好ましい。また、これらの防汚剤は、分子内に1個以上の電離放射線硬化性の重合性不飽和基を有していることが好ましい。該不飽和基を有していると、繰り返しの拭き取りが可能となり、耐久性にも優れる。
また、その他の各種添加剤として、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤などが挙げられる。
枠印刷パターン及びプライマー印刷パターンがいずれも設けられていない部分のハードコート層の厚さは、5〜20μmであることが好ましく、より好ましくは7〜15μmである。ハードコート層の厚さが上記範囲内であると、優れた表面硬度の性能が得られ、また硬化させるときに生じる硬化収縮によるカールやクラックの発生が低減されるので好ましい。
また、枠印刷パターン上(保護印刷パターンを設ける場合は、枠印刷パターン上に設けられた保護印刷パターン上。以下同じ)のハードコート層の厚さは3〜15μmであることが好ましく、より好ましくは5〜10μmであり、また上記の枠印刷パターン及びプライマー印刷パターンが設けられていない部分のハードコート層の厚さよりも小さい厚さである。枠印刷パターン上(又は保護印刷パターン上)のハードコート層の厚さが上記範囲内であると、優れた表面硬度の性能が得られ、また硬化させるときに生じる硬化収縮によるカールやクラックの発生が低減されるので好ましい。ここで、ハードコート層の厚さは、例えば本発明の光学積層体の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察して、測定した値を任意の十点についての測定値の平均値を採用することができる。
また、各種添加剤として、防眩性を付与するため、防眩剤を添加して、防眩性を有する(ノングレア)ハードコート層とすることも好ましい。防眩剤としては透光性微粒子が好ましく挙げられ、無機系、有機系のものを使用することができる。有機系のものとしては、スチレンビーズ(屈折率n=1.60)、メラミンビーズ(屈折率n=1.57)、アクリルビーズ(屈折率n=1.50〜1.53)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率n=1.54〜1.58)、ベンゾグアナミンビーズ、ポリカーボネートビーズ(屈折率n=1.57)、ポリエチレンビーズ(屈折率n=1.50)、シリコーンビーズ(屈折率n=1.42)などのプラスチックビーズが挙げられる。また、無機系微粒子としては、シリカ微粒子、不定形シリカ微粒子、無機シリカビーズなどが好ましく挙げられる。
これらの透光性微粒子は、単独で、又は成分が異なるもの、形状が異なるもの、粒度分布が異なるものなどの複数種を組み合わせて用いることができる。
各種添加剤として防眩剤を用いた場合、拡散により干渉縞が視認できなくなるため、硬さが低下しやすい含浸層を薄くすることができるので、ハードコート層の厚さが薄くとも十分なハードコート特性が得られる。したがってこの場合の枠印刷パターン及び保護印刷パターンが設けられていない部分のハードコート層の厚さは、優れた表面硬度の性能が得られ、また硬化させるときに生じる硬化収縮によるカールやクラックの発生が低減される観点から1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは3〜10μmである。
また、枠印刷パターン上(又は保護印刷パターン上)のハードコート層の厚さは、0.5〜15μmであることが好ましく、より好ましくは1〜10μmであり、また上記の枠印刷パターン及びプライマー印刷パターンが設けられていない部分のハードコート層の厚さよりも小さい厚さである。枠印刷パターン上(又は保護印刷パターン上)のハードコート層の厚さが上記範囲内であると、優れた表面硬度の性能が得られ、また硬化させるときに生じる硬化収縮によるカールやクラックの発生が低減されるので好ましい。
(含浸層)
本発明の光学積層体は、光透過性基材とハードコート層とが接する部分に含浸層を有することが好ましく、とりわけ光透過性基材を構成する材料としてトリアセチルセルロースを用い、かつハードコート層が防眩性を有しない(グレア)ハードコート層である場合に好ましい。本発明の光学積層体において含浸層を形成させると、光透過性基材とハードコート層との間の界面における屈折率の変化に勾配を形成することができるため、光透過性基材とハードコート層との屈折率の差に起因して発生する干渉縞を抑えることができ、また接着性も向上する。
含浸層は、例えば、ハードコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の樹脂成分、すなわち上記したモノマー、オリゴマーなどの少なくとも一成分を光透過性基材に含浸させて、該光透過性基材とハードコート層とが接する部分に形成させることが好ましい。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物中の樹脂成分のうち、分子量のより小さいものが光透過性基材に含浸しやすい傾向にあり、モノマー、オリゴマーの順に含浸しやすい傾向にある。また、分子量が大きいポリマーは含浸しにくいか、あるいは含浸しない。
本発明において、より安定的に含浸層を得られる観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤として、上記の浸透性溶剤を用いることが好ましい。浸透性溶剤を用いると、光透過性基材が溶解又は膨潤しやすくなり、電離放射線硬化性樹脂組成物中の樹脂成分が光透過性基材に浸透しやすくなるためである。なお、上記浸透性溶剤は該光透過性基材中に浸透するが、最終的に光透過性基材中には残存しない。
含浸層の厚さは、0.2〜8μmであることが好ましく、より好ましくは1〜7μm、さらに好ましくは1〜5μmである。含浸層の厚さが上記範囲内であると、干渉縞の発生が抑えられ、また白化の発生も抑えられる。ここで、含浸層の厚さは、例えば本発明の光学積層体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)などで観察し、測定することができる。より具体的には、まず本発明の光学積層体を熱硬化性樹脂で包埋し、ミクロトームで超薄切片を作製する。得られた超薄切片をOsO4(酸化オスニウム)に数分浸漬して染色し、さらにカーボンを蒸着させて、含浸層の厚さを測定するためのサンプルを作製する。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、例えば加速電圧:30kV、エミッション電流:10μA、倍率:50の条件で測定を行い、含浸層の厚さを測定することができる。
また、ハードコート層が防眩性を有する(ノングレア)ハードコート層である場合、ハードコート層と光透過性基材との接着性を向上させる観点から、含浸層を設けることが好ましい。この場合の含浸層の厚さは、0.01〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.25μmである。ハードコート層を、防眩性を有する(ノングレア)ハードコート層とする場合、干渉縞は発生しないので、干渉縞の発生の低減の観点から含浸層を設ける必要性はなく、接着性の向上だけを考慮すればよいため、ハードコート層を、防眩性を有しない(グレア)ハードコート層とする場合よりも薄くてもよいからである。
(その他の層)
本発明の光学積層体においては、所望に応じて、低屈折率層や高屈折率層、あるいは防汚層、帯電防止層、防眩層などを設けてもよい。これらの層は、上記のハードコート層の上に設けることが好ましく、低屈折率層が最上層となるように設けることがより好ましく、防汚層を設ける場合は防汚層が最上層となるように設けるのが好ましい、また、低屈折率層に防汚性を同時にもたせてもよい。
これらの低屈折率層や高屈折率層は、例えば上記の低屈折率微粒子や高屈折率微粒子を用いて、真空蒸着、スパッタリンッグなどの方法により形成することもできるし、また、より容易に層を形成する観点からは、これらの微粒子を硬化性樹脂、例えば上記のハードコート層を形成する際に好ましく用いる電離放射線硬化性樹脂などをバインダー樹脂として、該バインダー樹脂中に分散した樹脂組成物などを用いて、公知の方法により形成することが好ましい。また、例えば低屈折率層は、上記の微粒子、フッ化ビニリデン共重合体やシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体などの含フッ素化合物、1分子中に反応性官能基を2つ以上有する、例えばペンタエリスリトール骨格を有するような含フッ素モノマー、及び電離放射線硬化性樹脂などを好ましく含む硬化性樹脂組成物を用いて形成してもよい。
防汚層は、例えば上記のような防汚剤と上記のハードコート層を形成する際に好ましく用いる電離放射線硬化性樹脂とを含む樹脂組成物などを用いて、公知の方法により形成すればよい。
また、本発明の光学積層体においては、所望に応じて帯電防止層を設けることもできる。帯電防止層は、上記のハードコート層の上に設けてもよいし、光透過性基材とハードコート層との間に設けてもよく、その設置順序は特に制限はない。
帯電防止層は、例えば上記のような帯電防止剤、防汚剤などと上記のハードコート層を形成する際に好ましく用いる電離放射線硬化性樹脂とを含む樹脂組成物などを用いて、公知の方法により形成すればよい。
(光学積層体の製造方法)
本発明の光学積層体の製造方法は、上記の構成を有する光学積層体が得られれば特に制限されず、例えば、(a)光透過性基材を準備する工程、(b)プライマー印刷パターン、枠印刷パターン、ハードコート層、及び所望により設けられる保護印刷パターン、屈折率層、帯電防止層、防眩層、防汚層などを形成する樹脂組成物を調製する工程、(c)光透過性基材の外周に沿ってプライマー印刷パターンを形成する工程、(d)光透過性基材の外周に沿って枠印刷パターンを形成する工程、及び(e)該光透過性基材と、該プライマー印刷パターンと、該枠印刷パターンとを覆うように全面に電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬化樹脂層を形成する工程、(f)該未硬化樹脂層に電離放射線を照射してハードコート層を設ける工程、の各工程を順に有する製造方法が好ましく挙げられる。
なお、前記保護印刷パターンを設ける場合には、上記(d)と(e)との間に、該枠印刷パターンを覆うようにして、かつ該枠印刷パターンと該ハードコート層との間に保護印刷パターンを形成する工程を行う。
上記(b)工程において、各層用の樹脂組成物は、一般的な調製法に従って、上記した各樹脂組成物に含まれる成分を混合し分散処理することにより調製することができる。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミルなどにより、分散処理すればよい。
上記(c)〜(e)工程において、各層の形成は、各層を形成する樹脂組成物を塗布して行えばよく、塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、エクストルージョン法、スピンコート法、スプレー法、ダイコート法、スライドコート法、バーコート法、メニスカスコーター法、スクリーン印刷法、ピードコーター法などの各種方法から選択することができる。なかでも、(d)工程の枠印刷パターンの形成には、ハードコート層の平滑性や厚さの精度を確保する観点から、グラビアコート法を採用することが好ましく、厚さを上記の所定の範囲とするために、少なくとも2回刷りすることが好ましく、3回刷りすることがより好ましい。
硬化性樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合、加熱による硬化処理は、通常上記(c)〜(e)工程の各工程の間に行ったり、あるいは(f)工程の電離放射線の照射前、あるいは後に行ってもよい。温度条件や処理時間は、使用する硬化性樹脂に応じて適宜決定すればよく、加熱による硬化処理方法は公知の方法により行えばよい。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤として浸透性溶剤を用いた場合には、(f)工程の電離放射線の照射の前に、ハードコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して形成した未硬化樹脂層を、例えば乾燥温度:40〜80℃、乾燥時間:20〜70秒、風速:5〜20m/minの条件で乾燥処理を行うことが好ましい。上記の条件で乾燥処理を行うことで、溶剤が光透過性基材に十分に浸透し、含浸層の厚さがばらつくことなく安定し、また上記の所定の範囲内への調整が容易になる。
(f)工程において、未硬化樹脂層の硬化方法は、用いる硬化性樹脂により適宜選択すればよく、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと未硬化樹脂層の厚みとが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、光透過性基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による光透過性基材の劣化を最小限にとどめることができる。
照射線量は、ハードコート層を形成する硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましい。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。この場合の照射線量は、ハードコート層を形成する硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、ハードコート層の厚みや紫外線の照度によって適宜選択できるが、硬化性、及び硬化後の皺の発生を抑制する観点から、好ましくは50〜300mJ/cm2、より好ましくは100〜250mJ/cm2である。なお、光透過性基材を構成する材料としてセルロース系樹脂(とりわけ、トリアセチルセルロース樹脂)を採用する場合は、電子線の照射により材料が劣化しやすいため、電離放射線として紫外線を採用することが好ましい。
このようにして得られた、本発明の光学積層体は、枠印刷パターンが基材との優れた密着性を有しており、また厚さが薄く、また光透過性基材としてトリアセチルセルロース基材を用いた場合は干渉縞の発生が抑えられるため、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、無機及び有機LED(Light−emitting diode)ディスプレイ、電子ペーパーなどに用いられるディスプレイやタッチパネルなどに用いられる偏光子の保護用シートとして好適に用いられる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子保護シート、偏光子、及び本発明の光学積層体を順に有するものである。図5に、本発明の偏光板の構成例を示す。図5において、本発明の偏光板11は、偏光子8の一方の面と本発明の光学積層体10の光透過性基材1とが接着層7を介して設けられており、他方の面には偏光子保護シート9が設けられた構成を有している。通常、本発明の偏光板は、偏光子保護シートが映像源側となり、本発明の光学積層体が観察者側となるようにディスプレイに設けられる。
偏光子に本発明の光学積層体、偏光子保護シートを設ける方法としては、偏光子の上に光学積層体、偏光子保護シートを直接成形して設ける方法や、光学積層体、偏光子保護シートを先に作製しておき、その後、接着剤層を介して偏光子に貼り合わせる方法などが好ましく挙げられる。
(偏光子)
偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であればいかなるものでもよく、一般的にはPVA(ポリビニルアルコール)系偏光子が好ましく用いられる。
PVA系偏光子としては、例えばPVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもPVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
偏光子を構成する樹脂として好適に用いられるPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
(偏光子保護シート)
本発明の偏光板において、偏光子保護シートは偏光子を保護することができ、かつ光透過性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば本発明の光学積層体の光透過性基材で用いられるトリアセチルセルロース基材や、トリアセチルセルロース以外のセルロース系、例えばジアセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、セロファンなどのセルロース系基材、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル基材、ポリカーボネート基材、シクロポリオレフィン基材、ポリアミド基材、ポリイミド基材などが好ましく挙げられる。
本発明の偏光板を各種ディスプレイに用いる場合、偏光子保護シートとしては、屈折率異方性を付与しうるものを用いることが好ましい。そのようなシートとしては、λ/4板としての性能を有するシートが好ましく挙げられる。通常、λ/4板としての性能とは、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、本発明においては厳密に1/4の値を示すものではなく、1/4の値の±10%の範囲の値を示すものも含むものとする。また、偏光子保護シートがλ/4板としての性能を有する場合、該シートの面内位相差値Re値の波長分散は、波長が短くなるほどRe値が小さくなる逆分散特性を示すものがより好ましい。
また、偏光子保護シートの偏光子と接する面に、偏光子との密着性を向上させるためにコロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理などの表面処理やアンカー層を形成する方法などの易接着処理を施したり、あるいは易接着層(プライマー層)を設けることができる。なかでもコロナ処理、アンカー層を形成する方法、及びこれらを併用する方法が好ましい。
(偏光板の製造方法)
偏光板は、例えば、上述のようなPVA系フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系フィルムを偏光子とし、本発明の光学積層体を該偏光子の一方の面に、また上記の偏光子保護シートを他方の面に貼り付ける工程を経て、製造される。
光学積層体、及び偏光子保護シートは、光学積層体、及び偏光子保護シート、あるいは偏光子のいずれかの側又は両側に接着剤を塗布して接着層を設けて貼りつけることができる。接着層に用いられる接着剤としては、光透過性基材がトリアセチルセルロースなどの吸湿性を有する材料で形成されるときは、例えば公知のPVA系接着剤が好ましく挙げられ、また光透過性基材がポリエステル樹脂などの吸湿性を有しない材料で形成されるときは、紫外線硬化性接着剤が好ましく挙げられる。
接着層の厚みは、乾燥後の厚さが厚くなりすぎると光学積層体、及び偏光子保護シートの接着性が低下することから、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.03〜0.5μmである。
次いで、上記のようにして易接着処理を行った面に接着層を形成し、該接着層を介して、偏光子と光学積層体、及び偏光子保護シートとを貼り合わせる。貼り合わせは、ロールラミネーターなどにより行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
本発明の偏光板は、枠印刷パターンが基材との優れた密着性を有しており、また厚さが薄い光学積層体を用いており、該光学積層体における光透過性基材としてトリアセチルセルロース基材を用いた場合は干渉縞の発生が抑えられるため、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、無機及び有機LED(Light−emitting diode)ディスプレイ、電子ペーパーなどに用いられるディスプレイやタッチパネルなどに好適に用いられる。これらの用途においては、光透過性基材としてトリアセチルセルロース基材を用い、かつハードコート層が防眩性を有しない(グレア)ハードコート層とする態様が、最も顕著な本発明の効果が得られることから、好ましい態様である。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上記の本発明の光学積層体、又は上記の本発明の偏光板を備えることを特徴とするものである。このような画像表示装置としては、液晶ディスプレイ(LCD)や電子ペーパーなどに用いられるディスプレイなどの非自発光型画像表示装置、あるいはプラズマディスプレイ(PDP)、無機及び有機LED(Light−emitting diode)ディスプレイなどの自発光型画像表示装置などが好ましく挙げられる。
本発明の画像表示装置は、これらの画像表示装置のいずれかの場所に本発明の光学積層体又は偏光板を備えていれば、その構成に特に制限はなく、例えば液晶ディスプレイにおいて液晶表示素子と偏光板との間に必要に応じて挿入される位相差板などといった、各ディスプレイに必要に応じて設けられる構成部品を適宜用いることについても制限はない。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)密着性の評価
実施例及び比較例で得られた光学積層体について、クロスカット碁盤目試験により、元のカット部数(10×10=100マス,1マスの大きさ:1mm×1mm)に対する粘着テープを貼付し、剥離した後の、光学積層体の表面の状態について、下記の基準で評価した。
◎ :全く剥離を生じないマスが95個以上存在した。
○ :全く剥離を生じないマスが85個以上94個以下存在した。
△ :全く剥離を生じないマスが75個以上84個以下存在した。
× :全く剥離を生じないマスが74個未満存在した。
(2)干渉縞の評価
実施例及び比較例で得られた光学積層体のハードコート層と逆の面に、裏面反射を防止するための黒色テープを貼り、ハードコート層をNaランプ、又は三波長型蛍光灯で照らし、ハードコート層側から目視で観察し、干渉縞の発生の有無を評価した。
◎ 干渉縞は全く発生しなかった
○ 干渉縞はほとんど発生しなかった
△ 干渉縞は若干発生したものの、実用上問題なかった
× 干渉縞が発生した
(3)枠印刷パターンの透過濃度の測定
実施例及び比較例で得られた光学積層体の枠印刷パターンについて、透過濃度計(「X−Rite 361T(型番)」,X−Rite社製)を用いて、3mm径のアパーチャーで、透過濃度を測定した。透過濃度は、枠印刷パターンの印刷面側を縦横方向にそれぞれ100mm間隔で3点測定し、その平均値とした。
(4)プライマー印刷パターン及び枠印刷パターンの厚さの測定
実施例及び比較例で得られた光学積層体のプライマー印刷パターン、枠印刷パターンについて、デジタル厚み計(「デジマチックインジケーターID−H0530(型番)」,株式会社ミツトヨ製)を用いて厚さ測定を行った。各パターンの厚さは、印刷パターンの印刷面上、及び該パターン近傍のパターンが印刷されていない面上を縦横方向に各々100mm間隔で3点測定し、印刷パターンの印刷面の厚さの平均値とパターンが印刷されていない面の厚さの平均値との差をもって、印刷パターンの厚さとした。
実施例1
光透過性基材(トリアセチルセルロースフィルム,厚さ:60μm,「TD60UL(型番)」,富士フイルム株式会社製)を準備し、該基材の一方の面に、下記のプライマー印刷パターン用樹脂組成物A(「VM−Dメヂウム(商品名)」,大日精化工業株式会社製)をグラビア印刷法により1回刷りし、温度70℃の熱オーブン中で60秒間加熱して乾燥させて、厚さ:1.0μm、幅:14mmのプライマー印刷パターンを形成した。次に、2液硬化性を有する下記の黒色の枠印刷パターン用樹脂組成物A(「VM−D795墨(商品名)」,大日精化工業株式会社製)をグラビア印刷法により2回刷りし、温度70℃の熱オーブン中で60秒間加熱して乾燥させて、厚さ:3.0μm、幅:12mmの枠印刷パターンを形成した。さらに、これを40℃のオーブン中で24時間加熱処理を行い、プライマー印刷パターン及び枠印刷パターンを硬化させた。
次いで、下記の紫外線硬化性樹脂組成物をグラビアコート法で塗布して未硬化樹脂層を形成し、温度70℃の熱オーブン中で30秒間加熱して溶剤のメチルエチルケトンを揮発させてから、紫外線を積算光量が150mJ/cm2となるように照射して、厚さ:10μmのハードコート層を形成して、図1に示されるような光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
<プライマー印刷パターン用樹脂組成物A>
アクリルポリオール樹脂(重量平均分子量:60,000):18質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(重量平均分子量:50,000):7質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「PTC−L8改 硬化剤(商品名)」,大日精化工業株式会社製):7質量部
溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=5/5):68質量部
<枠印刷パターン用樹脂組成物A>
アクリルポリオール樹脂(重量平均分子量:60,000):16質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(重量平均分子量:50,000):6質量部
カーボンブラック(一次平均粒径:20nm):9質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「PTC−L8改 硬化剤(商品名)」、大日精化工業株式会社製):7質量部
溶剤(メチルエチルケトン/トルエン=5/5):62質量部
<紫外線硬化性樹脂組成物>
10官能ウレタンアクリレート(「UV1700B(商品名)」,日本合成工業株式会社製,重量平均分子量:2000):50質量部
3官能ポリエステルアクリレート系オリゴマー(「M9050(商品名)」,東亞合成株式会社製,重量平均分子量:400〜430):50質量部
光重合開始剤(「イルガキュア184(商品名)」,BASF社製):4質量部
メチルエチルケトン:100質量部
レベリング剤(「F477(型番)」,DIC株式会社製,ノニオン性含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー):0.2質量部
実施例2
実施例1において、枠印刷パターン用樹脂組成物Aを下記の枠印刷パターン形成用樹脂組成物B(「SS 805墨(商品名)」,大日精化工業株式会社製)とし、これをグラビア印刷法で3回刷りして枠印刷パターンの厚さを4.5μmとした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
<枠印刷パターン形成用樹脂組成物B>
ウレタン樹脂(重量平均分子量:50000):13質量部
カーボンブラック(一次平均粒径:20nm):13質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「ラミックBハードナー(商品名)」,大日精化工業株式会社製):2質量部
溶剤:(メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=4/4/2):72質量部
実施例3
実施例1において、枠印刷パターン用樹脂組成物Aを下記の枠印刷パターン形成用樹脂組成物C(「NB300 805墨(商品名)」,大日精化工業株式会社製)として、該樹脂組成物Cをグラビア印刷法で3回刷りして枠印刷パターンの厚さを4.5μmとした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
<枠印刷パターン用樹脂組成物C>
ウレタン樹脂(重量平均分子量:50000):11質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(重量平均分子量:50000):3質量部
カーボンブラック(一次平均粒径:20nm):14質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「ラミックBハードナー(商品名)」,大日精化工業株式会社製):2質量部
溶剤:(メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=4/4/2):70質量部
実施例4
実施例1において、プライマー印刷パターン形成用樹脂組成物Aを下記のプライマー印刷パターン形成用樹脂組成物Bとして、該プライマー印刷パターンの厚さを1.0μmとした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
<プライマー印刷パターン用樹脂組成物B>
アクリルポリオール樹脂(重量平均分子量:60,000):18質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂(重量平均分子量:50,000):7質量部
UV反応型イソシアネート系硬化剤(「カレンズMOI(商品名)」,昭和電工株式会社製):7質量部
溶剤(メチルエチルケトン):68質量部
実施例5
実施例1において、光透過性基材をポリエチレンテレフタレート基材(「A4300」(商品名)、東洋紡績株式会社製、厚さ:50μm)とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例6
実施例1において、紫外線硬化性樹脂組成物に含有される溶剤をメチルイソブチルケトンとした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例7
実施例1で得られた光学積層体において、形成したハードコート層の上に、下記組成の低屈折率層用塗工液を、乾燥(70℃×1分)後の膜厚が0.1μmとなるように塗布した。そして、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、照射線量200mJ/cm2で紫外線照射を行って硬化させて、低屈折率層を形成し、反射防止フィルム(反射率:0.9%)を得た。低屈折率層の膜厚の調整は、反射率の極小値が波長550nm付近になるように行った。
得られた反射防止フィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
<低屈折率層用塗工液>
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA):100.0質量部
中空状シリカ微粒子(「スルーリア(商品名)」、不揮発分:20%、日揮触媒化学株式会社製、平均粒子径:60nm):600.0質量部
防汚剤(UV反応型フッ素系化合物「RS−74(商品名)」、不揮発分:20%、DIC株式会社製):80.0質量部
光重合開始剤(「イルガキュア127(商品名)」、BASF社製):7.0質量部
メチルイソブチルケトン:6168.6質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル:2870.8質量部
比較例1
実施例1において、プライマー印刷パターンを設けなかった以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
比較例2
実施例2において、プライマー印刷パターンを設けなかった以外は、実施例2と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
比較例3
実施例3において、プライマー印刷パターンを設けなかった以外は、実施例3と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例の光学積層体は、密着性及び干渉縞の評価のいずれにおいても優れていることが確認された。一方、プライマー印刷パターンを設けなかった比較例1〜3では、枠印刷パターンと光透過性基材との密着性が低下した。また、実施例1〜4及び7の光学積層体は、実施例5及び6の光学積層体よりも含浸層が厚いため、干渉縞の評価の点で優れていることが確認された。
本発明の光学積層体は、枠印刷パターンが基材との優れた密着性を有しており、また厚さが薄く、光透過性基材としてトリアセチルセルロース基材を用いた場合は干渉縞の発生が抑えられるため、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、無機及び有機LED(Light−emitting diode)ディスプレイ、電子ペーパーなどに用いられるディスプレイやタッチパネルなどに用いられる偏光子の保護用シートとして好適に用いられる。
1 光透過性基材
2 プライマー印刷パターン
3 枠印刷パターン
4 ハードコート層
5 含浸層
6 保護印刷パターン
7 接着層
8 偏光子
9 偏光子保護シート
10 光学積層体
11 偏光板

Claims (15)

  1. 光透過性基材の一方の面に、プライマー印刷パターン、枠印刷パターン、及びハードコート層を有し、該プライマー印刷パターン及び該枠印刷パターンは該光透過性基材の外周に沿って設けられ、かつ該プライマー印刷パターンは該光透過性基材と該枠印刷パターンとの間に設けられ、該ハードコート層は該光透過性基材と、該プライマー印刷パターンと、該枠印刷パターンとを覆うように全面に設けられており、該枠印刷パターンが着色剤及び硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、光学積層体。
  2. 前記光透過性基材を構成する材料がトリアセチルセルロースであり、該光透過性基材と前記ハードコート層とが接する部分に含浸層を有する請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記含浸層の厚さが0.2〜8μmである請求項2に記載の光学積層体。
  4. 前記枠印刷パターンの透過濃度が3〜8である請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体。
  5. 前記着色剤が、着色顔料である請求項1〜4のいずれかに記載の光学積層体。
  6. 前記着色顔料がカーボンブラックを含む請求項5に記載の光学積層体。
  7. 前記着色顔料が、平均一次粒径が5〜70nmのカーボンブラックである請求項6に記載の光学積層体。
  8. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体。
  9. 前記枠印刷パターンの厚さが2〜5μmであり、幅が3〜20mmである請求項1〜8のいずれかに記載の光学積層体。
  10. 前記プライマー印刷パターンの厚さが0.05〜2.5μmであり、該プライマー印刷パターンの幅が前記枠印刷パターンの幅よりも0.01〜2mm広いものである請求項1〜9のいずれかに記載の光学積層体。
  11. 前記ハードコート層の前記枠印刷パターン及び前記プライマー印刷パターンが設けられていない部分の厚さが5〜20μmであり、かつ該枠印刷パターン上の該ハードコート層の厚さが3〜15μmである請求項1〜10のいずれかに記載の光学積層体。
  12. 偏光子保護シート、偏光子、及び請求項1〜11のいずれかに記載の光学積層体を順に有する偏光板。
  13. 前記偏光子保護シートが、λ/4板としての性能を有するものである請求項12に記載の偏光板。
  14. 前記偏光子保護シートが、逆分散特性を有する請求項12又は13に記載の偏光板。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載の光学積層体、又は請求項12〜14のいずれかに記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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