JP6471406B2 - 光学積層体 - Google Patents
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Description
また特許文献2には、透明樹脂フィルムの一方の面にハードコート層を有し、他方の面に、黒枠等の印刷層が形成されてなるハードコートフィルムが開示されている。
上述のような干渉縞の発生は、ディスプレイの画質を低下させる原因となる。また、透明樹脂フィルムと黒枠印刷層との界面で反射が起こると、当該ハードコートフィルムのハードコート層側(画像表示装置の観察者側)で観測される表面反射率も高くなり、外光の写り込み等の原因となる。
通常のハードコート層の形成においては、レベリング時間を長くして表面平滑性を得るため、基材とハードコート層用の硬化性樹脂組成物との接触時間が比較的長く、かつ硬化性樹脂組成物の塗布量も多いため浸透層が形成されやすい。しかしながら黒枠印刷層のようにパターン印刷により形成される層においては、パターン崩れを防ぐため、基材と、印刷用の硬化性樹脂組成物との接触時間は短く、かつ塗布量も少なくする必要がある。そのため、上記のハードコート層に比べて浸透層を形成しにくく、界面を不明瞭にするのがより困難である。
2.上記1に記載の光学積層体を有する前面板。
3.上記1に記載の光学積層体を有する画像表示装置。
本発明の光学積層体は、基材の一方の面に干渉防止層及び枠印刷層を順に有し、該干渉防止層及び該枠印刷層は該基材の外周に沿って設けられており、かつ該基材の他方の面にハードコート層を有するものである。
図1は、本発明の光学積層体の好ましい一形態の断面を示す模式図であり、図2は、本発明の光学積層体の好ましい一形態の上面からみた模式図である。図3及び図4は、本発明の光学積層体を有する前面板の好ましい一形態の断面を示す模式図である。以下、図面を用いて、本発明の光学積層体の構成について詳細に説明する。
枠印刷層3は、ディスプレイの有効画面の外側の外周枠付近に設けられるドライバーICや配線を隠蔽するために設けられる。また干渉防止層2は、枠印刷層3の形成面での界面反射及び干渉縞を抑制する目的で、基材1と枠印刷層3との間に設けられる。
ここで、本発明における「外周に沿って設けられる」とは、干渉防止層2及び枠印刷層3の上記設置目的を鑑みれば、外周枠付近に設けられ、かつディスプレイの表示画像の視認性を阻害しないように設けられることを示す概念である。すなわち、厳密に外周に沿わなければならないというものではなく、外周近傍であり、かつディスプレイの表示画像の視認性を阻害しない範囲であれば、必ずしも外周に沿わなくてもよく、また全外周に設けず、その一部が欠けるような態様をも含む概念である。図2において、干渉防止層2及び枠印刷層3は外周に沿って全外周に設けられているが、これは本発明における態様の一例を示すものである。
(基材)
本発明に用いられる基材は、光透過性の高い基材であることが好ましく、従来公知の光学フィルムに用いられている樹脂基材等を適宜選択して用いることができる。
樹脂基材を構成する材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を主体とするものが挙げられる。中でも、アセチルセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれる材料を用いることが好ましく、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル系樹脂及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる材料を用いることがより好ましく、光透過性に優れ、屈折率異方性が小さい点から、トリアセチルセルロース(TAC)又はアクリル系樹脂を用いることがさらに好ましく、トリアセチルセルロースを用いることがさらに好ましい。ポリエチレンテレフタレート基材としては、超延伸ポリエチレンテレフタレート基材も含まれる。
なお、「主体とする」とは、基材を構成する成分の中で最も含有割合が高いことを示す。また、主体とする成分の含有割合は、通常90質量%以上であり、本発明の効果が損なわれない限り、添加物等が含まれていてもよいことを意味する。また、「アクリル系樹脂」とは、アクリル系のもの及び/又はメタクリル系のものを意味し、以下に記載するアクリル系樹脂を用いることがより好ましい。
アクリル系樹脂基材が含有するアクリル系樹脂としては特に限定されないが、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合してなるものが好ましく、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチルを用いて得られるものが好ましい。また、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、イミド環構造を有するアクリル系樹脂等の環構造を有するものを用いてもよい。
上記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂の具体例としては、例えば、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報等に記載のものが挙げられる。
上記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂としては、下記一般式(2)で表されるグルタルイミド構造を有することが好ましい。
なお、このようなグルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミン等のイミド化剤によりイミド化して形成できる。ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。
なお、このようなN−置換マレイミド構造を主鎖に有するアクリル系樹脂は、例えば、N−置換マレイミドと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合することにより製造できる。
アクリル系樹脂基材は、アクリル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよいが、アクリル基材のうちアクリル系樹脂の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
上記溶融押し出し工程では、1軸、2軸、又は2軸以上のスクリューを使用することができ、スクリューの回転方向、回転数、溶融温度は任意に設定できる。
上記延伸は、延伸後に所望の厚みになるように行うことが好ましい。また、延伸倍率は限定されないが、1.2倍以上、4.5倍以下が好ましい。延伸時の温度、湿度は任意に決められる。延伸方法は、一般的な方法でよい。
上記アクリル系樹脂基材は、アクリルゴム粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを含んでもよい。
トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂基材は、溶剤や低分子量樹脂成分等の低分子量成分の浸透性を有する点からも好ましい。以下、浸透性を有する基材を「浸透性基材」ともいう。
ここで、浸透性基材を用いることの効果について説明する。本発明の光学積層体において互いに隣接する層、例えば基材1とハードコート層4との屈折率が異なる場合には、基材とハードコート層との界面に由来する界面反射が発生し、該光学積層体を画像表示装置に適用した場合に干渉縞が発生するなどして画像の視認性を低下させる場合がある。しかしながら浸透性基材を用いると、該基材上にハードコート層形成用の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した際、該樹脂層中の溶剤により基材が膨潤して硬化性の低分子量樹脂成分が基材に含浸するので、溶剤除去後に該組成物を硬化させると、基材中で硬化性低分子量樹脂成分が硬化し、基材とハードコート層との界面付近に浸透層が形成されて界面が不明瞭になる。その結果、基材と屈折率が異なる材料を用いた場合でも、界面反射や干渉縞を低減させることができるものである。
また、本発明に用いられる基材の厚みは特に制限されず、適宜選択して用いることができる。通常、基材の厚みは、10〜300μmであり、取り扱い性、強度及び光学積層体の薄型化の点から、15〜200μmとすることが好ましい。
干渉防止層2は、基材の外周に沿って設けられる層であり、基材1と枠印刷層3との間に位置する。干渉防止層2は実質的に隠蔽性を有さない層であればよく、当該隠蔽性は後述する枠印刷層の隠蔽性よりも低いことが要求される。より具体的には、例えば、干渉防止層の透過濃度が枠印刷層の透過濃度より低くければよく、より好ましくは、干渉防止層の透過濃度が2未満であることである。
図1の層構成を有する光学積層体において、後述する枠印刷層3を基材1上に直接設けた場合、基材1と枠印刷層3を構成する硬化性樹脂等のバインダー成分の硬化物とが異なる屈折率を有すると、枠印刷層3の形成面において、基材1と枠印刷層3との界面に由来する界面反射が生じ、画像表示装置に適用した際に干渉縞が生じる原因となる。さらに、当該光学積層体のハードコート層側(画像表示装置の観察者側)の面で観測される表面反射率も高くなり、外光の写り込み等の原因となる。本発明においてはこのような現象を防止するため、基材と枠印刷層との間に、上記干渉縞の発生を抑制するための干渉防止層を設けるものである。
(1)干渉防止層(又は該干渉防止層を構成する硬化性樹脂等のバインダー成分の硬化物)の屈折率ncの値が、基材の屈折率naと、枠印刷層を構成する硬化性樹脂等のバインダー成分の硬化物の屈折率nbとの間の値(na≦nc≦nb又はnb≦nc≦na)である。
(2)干渉防止層が内部拡散性を有する。
(3)干渉防止層の界面が、光学距離がλ/4(λ:波長)以上異なりかつピッチが肉眼の解像度以下の凹凸を有する。
(4)基材と干渉防止層、及び干渉防止層と枠印刷層との関係において、下記(a)と(b)との組み合わせ((a1)又は(a2)と、(b1)又は(b2)との組み合わせ)を満たす。
(a1)基材の屈折率naと干渉防止層(又は該干渉防止層を構成する硬化性樹脂等のバインダー成分の硬化物)の屈折率ncが同程度(好ましくは屈折率差が0.10以下、より好ましくは0.05以下)である。
(a2)基材が浸透性基材であり、かつ干渉防止層形成用の樹脂組成物が基材への浸透性を有する。
(b1)干渉防止層(又は該干渉防止層を構成する硬化性樹脂等のバインダー成分の硬化物)の屈折率ncと、枠印刷層を構成する硬化性樹脂等のバインダー成分の硬化物の屈折率nbが同程度(好ましくは屈折率差が0.10以下、より好ましくは0.05以下)である。
(b2)枠印刷層形成用の樹脂組成物が干渉防止層への浸透性を有する。
(5)干渉防止層(又は該干渉防止層を構成する硬化性樹脂等のバインダー成分の硬化物)の屈折率ncが(na×nb)1/2で表され、かつ、干渉防止層の厚みがλ/4を満たす(λ:波長)。
干渉防止層は上記(1)〜(5)から選ばれる要件を複数満たしていてもよい。また上記態様のうち、干渉縞の発生を抑制する観点からは(1)且つ(2)の態様が好ましい。
上記(2)に関して、内部拡散性とは、干渉防止層の内部で光拡散が生じる性質を有することをいう。具体的には、干渉防止層に後述する微粒子を含有させることなどにより、内部拡散性を付与することができる。
上記(3)の態様の干渉防止層とする方法としては、該干渉防止層の表面に機械的に凹凸を付与する方法、干渉防止層に後述する微粒子を含有させる方法などが挙げられる。また基材と干渉防止層との界面を凹凸にする場合には、基材を部分的に溶解しうる溶剤を含む樹脂組成物を用いて干渉防止層を形成する方法も挙げられる。
また、上記(5)の態様の干渉防止層とする方法としては、基材、干渉防止層、枠印刷層を構成する材料及びその組み合わせを選択し、かつ干渉防止層を所定の厚みに制御する方法などが挙げられる。
当該硬化性樹脂としては、常温硬化性、熱硬化性、湿気硬化性、電離放射線硬化性を示す樹脂であれば特に制限はないが、機械的強度、製造の容易性や生産性などを考慮すると、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
硬化性樹脂としては、1液硬化性樹脂、2液硬化性樹脂、エマルジョンタイプなど、様々な態様のものを用いることができ、基材との密着性、耐熱性、取扱いの容易さなどを考慮すると、2液硬化性樹脂が好ましい。また、硬化性樹脂の種類としては、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが好ましく挙げられ、基材との密着性や取扱いの容易性を考慮すると、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく挙げられる。また、これらの樹脂は、変性されたものであってもよい。
当該硬化性樹脂は、これらのなかから単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができ、基材への密着性の向上の観点から、ウレタン樹脂単体、ウレタン樹脂とニトロセルロース樹脂との組み合わせ、アクリルポリオール樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との組み合わせ、ウレタン樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との組み合わせが好ましい。
干渉防止層が微粒子を含むことにより上記効果が得られる理由は定かではないが、該微粒子が干渉防止層において光拡散効果(態様(2))、基材と干渉防止層との界面を凹凸にして界面を不明瞭にする効果(態様(3))、又は屈折率調整効果等を発現して、界面反射を低減していると推測される。また干渉防止層に対し、枠印刷層形成用の樹脂組成物の浸透度合いを制御する効果も有していると考えられる(態様(b2))。
当該微粒子は、干渉防止層中に均一に分散させることが可能であり、上記効果を発現しうるものであれば特に制限はなく、有機粒子、無機粒子のいずれも用いることができる。中でも、分散安定性及び耐久性の観点から、無機粒子が好ましく、金属酸化物粒子がより好ましい。上記金属酸化物としては、ZrO2、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、CeO2等が挙げられ、SiO2(シリカ)がより好ましい。当該シリカとしては特に限定されず、結晶性、ゾル状、ゲル状のいずれの状態でもよく、不定形、球形であってもよい。また、当該微粒子は、硬化性樹脂組成物に対する親和性の観点から、表面処理が施されていてもよい。
上記微粒子は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
当該着色剤としては、着色性を有するものであれば特に制限はなく、公知の染料、顔料等を用いることができる。
ここで、浸透性溶剤とは、基材に対する浸透性、膨潤性、湿潤性、浸透溶解性などの性能を有する溶剤である。
本発明においては、基材に浸透させて上述の作用により干渉縞を低減させる観点から、ケトン類、あるいはエステル類が好ましく、メチルイソブチルケトンがより好ましい。
また、干渉防止層の幅は、後述する枠印刷層の幅と同じか又はそれ以上であればよく、該枠印刷層の幅に応じて適宜決定されるが、該枠印刷層の幅よりも0〜2mm広いことが好ましく、0.1〜2mm広いことがより好ましく、0.2〜1.5mm広いことがより好ましい。枠印刷層を、後述するように印刷層を2層以上重ね刷りして形成する場合に、干渉防止層の幅が枠印刷層の幅よりも0.1mm以上広ければ、枠印刷層の重ね刷りの際に発生しうる印刷ずれを目立たなくすることができる。また、干渉防止層の幅と枠印刷層の幅との差が2mm以下であれば、干渉防止層の幅を過度に広くしすぎることによりディスプレイの見栄えを低下させることもない。この差の値は、枠印刷層の幅に対する、干渉防止層の両サイドにおける幅の差を合計した値である。例えば、干渉防止層の幅を枠印刷層の幅よりも合計0.4mm広くする場合は、干渉防止層の幅を両サイドで0.2mmずつ広くすればよい。なお、ここでいう「干渉防止層の幅」とは、該干渉防止層の外周に最も近い部分と、外周から最も遠い部分との最短距離をいう。
なお、干渉防止層の硬化性樹脂組成物に微粒子や着色剤を含む場合は、印刷ずれがより目立たなくなり好ましい。
枠印刷層は、前記基材の外周に沿って、かつ干渉防止層上に設けられる、印刷法により形成された層である。枠印刷層は、通常ディスプレイの外周枠付近になるように設けられ、ディスプレイの意匠性を向上させ、並びにドライバーICや配線等を隠蔽することができる。上記機能を付与する観点から、本発明における「枠印刷層」は、少なくとも隠蔽性を有する層である。
硬化性樹脂としては、常温硬化性、熱硬化性、湿気硬化性、電離放射線硬化性を示す樹脂であれば特に制限はないが、硬化性の観点から熱硬化性樹脂が好ましく、干渉防止層に用いる硬化性樹脂と同じ樹脂を用いることが好ましい。これにより枠印刷層と干渉防止層との屈折率差が小さくなるので、枠印刷層に由来する界面反射を低減し、干渉縞の発生を抑制できるためである。
当該硬化性樹脂の好ましい態様は、前述の干渉防止層に用いる硬化性樹脂と同様である。
当該無機顔料としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック、鉄黒、パール顔料、弁柄、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム緑、コバルト緑、黄鉛、チタンイエロー、酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトポン、バライト、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、沈降性シリカや、アルミペースト等のシルバー顔料等が好ましく挙げられ、これらの中から単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。中でも、ディスプレイの外周枠付近に設けられるドライバーICや配線を隠蔽し、またディスプレイの画像への影響が少ないことから、カーボンブラック、アルミペースト等のシルバー顔料、パール顔料が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
なお、着色性や色味の調整などの観点から、隠蔽剤と、隠蔽性を有さない着色剤(顔料、染料等)とを併用してもよい。
また、カーボンブラックのpHは、特に制限はないが、硬化性樹脂組成物中の保存安定性を向上する観点から、3〜10が好ましく、3〜7がより好ましく、3〜5がさらに好ましい。カーボンブラックのpHは、水性懸濁液を調製し、ガラス電極で測定することにより求められる。
印刷層は2層以上であればよく、枠印刷層の隠蔽性の観点からは3層以上が好ましい。また、製造コストの観点からは、枠印刷層を構成する印刷層は5層以下であることが好ましい。
枠印刷層の厚みは、例えば膜厚計を用いて、あるいは光学積層体の断面写真から、枠印刷層の印刷面上、及び該枠印刷層近傍の印刷層が形成されていない面上で各々3点測定し、枠印刷層の印刷面の厚みの平均値と印刷層が形成されていない面の厚みの平均値との差をもって枠印刷層の厚みとすることができる。
ハードコート層は、基材の他方の面、すなわち、基材の干渉防止層及び枠印刷層を順に有する面の反対面に設けられる。ハードコート層は、本発明の光学積層体100に耐擦傷性などの表面硬度の性能を向上させる目的で設けられ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。ここで、ハードコートとは、JIS5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示す性能のことをいう。
このような樹脂としては、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマー(ないしはプレポリマー)の中から適宜選択して用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの4官能以上の(メタ)アクリレート;上記した多官能性(メタ)アクリレートモノマーのエチレンオキシド変性品、プロピレンオキシド変性品、カプロラクトン変性品、プロピオン酸変性品などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、優れた表面硬度が得られる観点から、トリ(メタ)アクリレートよりも多官能の、すなわち3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重合性オリゴマーは多官能であることが好ましく、より好ましくは3〜12官能、さらに好ましくは3〜10官能である。官能基数が上記範囲内であると、優れた機械的強度が得られる。
溶剤乾燥型樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニルエーテル樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂が好ましく挙げられる。これらの樹脂は、非結晶性であり、かつ溶剤に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性などの観点から、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂などが好ましい。
なかでも電離放射線の照射によりラジカルを発生し、樹脂組成物の硬化のきっかけとなりうる、アセトフェノン系、アルキルフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、チオキサントン系などのラジカル系光重合開始剤が好ましく、さらに光透過性の観点から、アセトフェノン系、アルキルフェノン系のものが好ましく、より好ましくはヒドロキシアセトフェノン系、ヒドロキシアルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系のものである。このような光重合開始剤は市販品として入手可能であり、例えば、「イルガキュア184(商品名)」(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、「イルガキュア907(商品名)」(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、「イルガキュア127(商品名)」(2−ヒドロキシ−1−[4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン)(いずれもBASF社製)等が挙げられる。
本発明においては、浸透性基材に浸透させて界面反射及び干渉縞を低減させる観点から、ケトン類、あるいはエステル類が好ましく、メチルイソブチルケトンがより好ましい。
各種添加剤としては、無機系あるいは有機系の微粒子が好ましく挙げられる。このような微粒子としては、例えば、反射率を低下させる目的からSiO2(屈折率n=1.45)、MgF2(屈折率n=1.38)、LiF(屈折率n=1.36)、NaF(屈折率n=1.33)、CaF2(屈折率n=1.44)、3NaF・AlF3(屈折率n=1.4)、AlF3(屈折率n=1.37)、Na3AlF6(屈折率n=1.33)などの低屈折率微粒子が、紫外線遮蔽の効果を向上させる目的からZnO(屈折率n=1.9)、TiO2(屈折率n=2.3〜2.7)、CeO2(屈折率n=1.95)などの微粒子が、また、帯電防止効果が付与されて埃の付着を防止する目的からアンチモンがドープされたSnO2(屈折率n=1.95)、ITO(屈折率n=1.95)、リンがドープされたSnO2(屈折率n=1.75〜1.85)、五酸化アンチモン(屈折率n=2.04)などの金属酸化物微粒子や、金属微粒子などが好ましく挙げられる。また、高屈折率層を得る目的から、Al2O3(屈折率n=1.63)、La2O3(屈折率n=1.95)、ZrO2(屈折率n=2.05)、Y2O3(屈折率n=1.87)などの高屈折率微粒子も好ましく挙げられる。
上記の微粒子は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、脂肪酸、界面活性剤などで表面処理されたものであってもよい。例えば、SiO2はその表面がシランカップリング剤で処理されたものが好ましく用いられる。シランカップリング剤は、特に制限なく使用することができるが、官能基として(メタ)アクリロイル基を有する剤が好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば市販される「KBM−502」、「KBM−503」、「KBE−503」、「KBM−5103」(商品名、いずれも信越化学工業株式会社製)などが好ましく挙げられる。
中空粒子の材料としては、無機物及び有機物のいずれでもよく、金属、金属酸化物、樹脂などが挙げられ、特にシリカ微粒子を用いることが好ましい。このような中空粒子の具体例としては、特開平7−133105号公報、特開2001−233611号公報などに開示された複合酸化物ゾル又は中空シリカ微粒子が挙げられる。このような空隙を有する無機系粒子は硬度が高いため、ハードコート層の層強度が向上するという利点も得られる。
これらの帯電防止剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
これらの透光性微粒子は、単独で、又は成分が異なるもの、形状が異なるもの、粒度分布が異なるものなどの複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明の光学積層体においては、所望に応じて、低屈折率層や高屈折率層、あるいは防汚層、帯電防止層、防眩層等を設けてもよい。これらの層は、上記のハードコート層の上に設けることが好ましい。低屈折率層を設ける場合は低屈折率層が最表層となるように設けることが好ましく、防汚層を設ける場合は防汚層を最表層となるように設けることが好ましい。また、低屈折率層に防汚性を同時にもたせてもよい。
中でも、反射防止性能を付与する観点から、本発明の光学積層体は、図1に示すようにハードコート層4上に低屈折率層5を有することが好ましい。なお本発明において「低屈折率層」とは、少なくとも隣接する層よりも屈折率が低い層をいい、高屈折率層とは、少なくとも隣接する層よりも屈折率が高い層をいう。
また、例えば低屈折率層は、上記の微粒子、フッ化ビニリデン共重合体やシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体などの含フッ素化合物、1分子中に反応性官能基を2つ以上有する、例えばペンタエリスリトール骨格を有するような含フッ素モノマー、及び電離放射線硬化性樹脂などを好ましく含む硬化性樹脂組成物を用いて形成してもよい。
なかでも、低屈折率層は、微粒子及び電離放射線硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。当該微粒子としては、上述した中空粒子が好ましく、中空シリカ微粒子がより好ましい。
本発明の光学積層体は、その他の層として、さらに被覆層を有していてもよい。被覆層は図1に示すように、基材、干渉防止層及び枠印刷層を覆うように、基材の全面に設けられる層である。枠印刷層3は段差を有することから、枠印刷層3の形成面に他の層を積層する際に気泡が混入しやすいという問題があるが、基材、干渉防止層及び枠印刷層を覆うように被覆層を全面に設けることで当該段差を埋めて、積層時の気泡混入を抑制できる。また、被覆層を設けることで光学積層体の機械的強度を向上させ、さらに前記枠印刷層の表面を保護することで枠印刷層が湿度等の影響を受けにくくなることから、枠印刷層の寸法安定性を向上させることができる。
硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられ、これらを併用してもよい。なかでも、被覆層の機械的強度、基材及び枠印刷層との密着性の観点から、樹脂成分として少なくとも電離放射線硬化性樹脂を含むことが好ましい。すなわち被覆層の形成に用いられる硬化性樹脂組成物は、好ましくは電離放射線硬化性樹脂組成物である。
当該電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂、溶剤、光重合開始剤、及びこれらの好ましい態様は、前述のハードコート層の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物と同様である。なお溶剤に関しては、ケトン類、あるいはエステル類が好ましく、特に、浸透性基材を用いた際に、該基材に溶剤及び低分子量の樹脂成分を浸透させて基材と被覆層との界面の屈折率差を小さくする観点からは、メチルエチルケトンがより好ましい。
溶剤乾燥型樹脂としては、前述のハードコート層において記載した樹脂と同様のものが挙げられる。
易滑粒子としては、光透過性を有する粒子が好適に使用され、有機粒子及び無機粒子のいずれも用いることができる。中でも無機粒子は、少量の添加で耐ブロッキング性を付与し得る点で好適である。また、易滑粒子の形状は、球形、不定形、中空、多孔質及び中実等のいずれであってもよい。
上記粒子の中でも、少量の添加でブロッキングを防止し得る無機粒子が好適である。また、無機粒子の中でも、透明性の観点からシリカが好適である。
易滑粒子の平均粒子径は、耐ブロッキング性を付与する観点、硬化性樹脂組成物中での易滑粒子の分散性の観点から、10〜5000nmであることが好ましく、15〜2000nmであることがより好ましい。
また、硬化性樹脂組成物中の易滑粒子の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対し0.01〜1質量部であることが好ましく、0.1〜0.5質量部であることがより好ましい。
また、上記と同様の観点から、枠印刷層上に設けられた被覆層の厚みは1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μmであり、また上記の枠印刷層が設けられていない部分の被覆層の厚みよりも小さい厚みである。
被覆層の厚みは、例えば本発明の光学積層体の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察して、測定した任意の十点についての測定値の平均値を採用することができる。
本発明の光学積層体の製造方法は、上記の構成を有する光学積層体が得られれば特に制限されず、例えば、(a)基材を準備する工程、(b)干渉防止層、枠印刷層、ハードコート層、及び所望により設けられるその他の層を形成する樹脂組成物を調製する工程、(c)基材の他方の面にハードコート層を形成する工程、(d)基材の一方の面に、該基材の外周に沿って干渉防止層を形成する工程、及び(e)基材の一方の面に、該基材の外周に沿って枠印刷層を形成する工程、の各工程を順に有する製造方法が好ましく挙げられる。なお(c)工程は、(d)及び(e)工程の後に行ってもよい。
また、本発明の光学積層体が被覆層6を有する場合には、(e)工程の枠印刷層の形成を行った後に、(f)該基材、干渉防止層及び該枠印刷層を覆うように被覆層を全面に形成する工程を有する。
上記(d)〜(e)工程の干渉防止層及び枠印刷層の形成には、前述のようにグラビア印刷法を採用することが好ましい。
上記(c)工程及び(f)工程において、ハードコート層及び被覆層の形成は、各層を形成する樹脂組成物を塗布して行えばよく、塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、グラビアコート法、スピンコート法、スプレー法、ダイコート法、スライドコート法、バーコート法、メニスカスコーター法、スクリーン印刷法、ピードコーター法などの各種方法から選択することができる。
また、(c)工程において、ハードコート層形成用の硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂組成物であり、該組成物中の溶剤として浸透性溶剤を用いた場合には、電離放射線の照射の前に、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して形成した未硬化樹脂層を、例えば乾燥温度:40〜120℃、乾燥時間:20〜120秒の条件で乾燥処理を行うことが好ましい。上記の条件で乾燥処理を行うことで、溶剤が基材に十分に浸透する前に揮発することがなく、浸透性溶剤としての機能を発揮するので、基材との界面の反射に由来する干渉縞の発生を抑えることができる。
本発明の前面板は、本発明の光学積層体を有するものである。図3及び図4に本発明の前面板の構成例を示す。
図3に示す本発明の前面板200は、図1に示す本発明の光学積層体100の被覆層6側の面と、偏光板7とが接着剤層10を介して積層された構成を有している。偏光板7は、偏光膜8と保護シート9とを少なくとも有する。前面板200は、保護シート9が映像源側となり、光学積層体100が観察者側となるようにディスプレイに設けられる。
また、図4に示す本発明の前面板201は、本発明の光学積層体101とガラス板12とが、接合層11を介して積層された構成を有している。光学積層体101は、基材1の一方の面に干渉防止層2及び枠印刷層3を順に有し、基材1の他方の面にハードコート層4を有する態様であり、ハードコート層4上には前記低屈折率層5を有してもよい。接合層11は、粘着性又は接着性を有する層であり、光学積層体101の基材1、干渉防止層2及び枠印刷層3を覆うように全面に設けられている。 画像表示装置の中でも、薄型テレビジョン等に適用される液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ及び有機ELディスプレイ等のFPD(Flat Panel Display)装置では、表示パネルの前面に、「前面フィルタ」とも呼ばれるガラス製の前面板が設置されている。この前面板は例えば図4に示される構成を有し、主として、周囲光の反射防止、FPD装置の強度向上、及びFPD装置の衝撃破損防止等を目的として設置される。
(偏光膜)
図3に例示される本発明の前面板200において、偏光板7を構成する偏光膜8としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光膜であればいかなるものでもよく、一般的にはPVA(ポリビニルアルコール)系偏光膜が好ましく用いられる。
PVA系偏光膜としては、例えばPVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもPVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光膜が好適に用いられる。これら偏光子の厚みは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
図3に例示される本発明の前面板200において、偏光板7は、偏光膜8の保護のために、さらに保護シート9を有してもよい。保護シート9は偏光膜8を保護することができ、かつ光透過性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば本発明の光学積層体100の基材1で用いられるトリアセチルセルロース基材や、トリアセチルセルロース以外のセルロース系、例えばジアセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、セロファンなどのセルロース系基材、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル基材、ポリカーボネート基材、シクロポリオレフィン基材、ポリアミド基材、ポリイミド基材等が好ましく挙げられる。
図3に例示される本発明の前面板200において、光学積層体100を構成する被覆層6と、偏光板7を構成する偏光膜8との間に積層される接着剤層10は、親水性の偏光膜との接着性の観点から、親水性の接着剤からなる接着剤層であることが好ましい。該接着剤層を構成する接着剤としては、公知のPVA系接着剤が好ましく挙げられる。
接着剤層10は、光学積層体100を構成する被覆層6、あるいは偏光板7を構成する偏光膜8のいずれかの側又は両側に接着剤を塗布して形成することができる。接着剤層10の厚みは、前面板の透明性及び薄型化の観点から、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μmである。
図4に例示される本発明の前面板201において、光学積層体101とガラス板12との間に積層される接合層11は、粘着性又は接着性を有する層である。接合層11は、光学積層体101とガラス板12とを接合する観点から、粘着剤又は紫外線硬化型接着剤からなることが好ましい。
当該粘着剤としては、光学積層体とガラス板との接合が可能であれば特に制限はなく、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等を例示できる。
当該紫外線硬化型接着剤としては、光学積層体とガラス板との接合が可能であり、紫外線により硬化しうる接着剤であれば特に制限はなく、アクリル系UV接着剤、エポキシ系UV接着剤等を例示できる。
接合層11の厚みは特に制限されないが、光学積層体とガラス板とを接合する観点、前面板の透明性及び薄型化の観点から、好ましくは1〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。
図4に例示される本発明の前面板201において、ガラス板12は、周囲光の反射防止、FPD装置等の画像表示装置の強度向上及び衝撃破損防止等を目的として用いられる。ガラス板12は、無色透明でかつ表面平坦性が高く、一般的な画像表示装置に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。ガラス板の厚みは、通常0.2〜3mmの範囲である。
図3に示す本発明の前面板200は、例えば、上述のようなPVA系フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系フィルムを偏光膜とし、本発明の光学積層体100を構成する被覆層6と、偏光板を構成する偏光膜6の面とを貼り合わせる工程を経て製造される。図3に示す前面板のように、偏光板7が保護シート9を有する場合には、偏光膜8の他方の面に保護シート9を貼り合わせる工程をさらに有する。
本発明の画像表示装置は、上記の本発明の光学積層体、又は本発明の前面板を有することを特徴とする。このような画像表示装置としては、液晶ディスプレイ(LCD)や電子ペーパーなどに用いられるディスプレイなどの非自発光型画像表示装置、あるいはプラズマディスプレイ(PDP)、無機及び有機ELディスプレイなどの自発光型画像表示装置などが好ましく挙げられる。
本発明の画像表示装置は、これらの画像表示装置のいずれかの位置に本発明の光学積層体又は前面板を有していれば、その構成に特に制限はなく、例えば液晶ディスプレイにおいて液晶表示素子と光学積層体又は前面板との間に必要に応じて挿入される位相差板などといった、各種画像表示装置に必要に応じて設けられる構成部品を適宜用いることについても制限はない。
(1)干渉縞の評価
実施例及び比較例で得られた光学積層体のハードコート層側から目視で観察し、干渉縞の発生の有無を評価した。目視観察は、一般環境下(蛍光灯下)、及び、暗室にてハードコート層側から三波長型蛍光灯で照らした状態で行った。
◎ 暗室にて三波長型蛍光灯で照らした場合にも干渉縞は観察されなかった
○ 暗室にて三波長型蛍光灯で照らした場合にわずかに干渉縞が観察された
△ 暗室にて三波長型蛍光灯で照らした場合に干渉縞が観察された
× 一般環境下で干渉縞が観察された
分光光度計(「MPC3100(型番)」、(株)島津製作所製)を用いて、波長380〜780nmの範囲において、入射角5°での正反射率を測定した。この正反射率の測定結果を、人間が目で感じる明度として換算するソフトウェア(「UVPC用カラー測定ソフトウェア」、(株)島津製作所製)を用いてY値(%)を算出した。
実施例及び比較例で得られた光学積層体の枠印刷層について、透過濃度計(「X−Rite 361T(型番)」、X−Rite社製)を用いて、3mm径のアパーチャーで、透過濃度を測定した。透過濃度は、枠印刷層の印刷面側を縦横方向にそれぞれ100mm間隔で3点測定し、その平均値とした。
実施例及び比較例で得られた光学積層体の干渉防止層、枠印刷層について、デジタル厚み計(「デジマチックインジケーターID−H0530(型番)」、株式会社ミツトヨ製)を用いて厚み測定を行った。各層の厚みは、各層の印刷面上、及び該層近傍の印刷されていない面上を縦横方向に各々100mm間隔で3点測定し、印刷面の厚みの平均値と印刷されていない面の厚みの平均値との差をもって、各層の厚みとした。
基材(トリアセチルセルロースフィルム「TD60UL P」、厚み:60μm、富士フイルム(株)製)を準備し、該基材の一方の面に、下記のハードコート層用紫外線硬化性樹脂組成物Aをバーコート法で塗布して未硬化樹脂層を形成し、温度70℃の熱オーブン中で30秒間加熱して溶剤のメチルエチルケトンを揮発させてから、紫外線を積算光量が150mJ/cm2となるように照射して、厚み:10μm(STEM断面観察による)のハードコート層を形成した。さらに、形成したハードコート層の上に、下記組成の低屈折率層用樹脂組成物Aを、乾燥(70℃×1分)後の膜厚が0.1μmとなるように塗布した。そして、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を積算光量が200mJ/cm2となるように照射して硬化させ、低屈折率層を形成した。低屈折率層の膜厚の調整は、反射率の極小値が波長550nm付近になるように行った。
次いで、該基材の反対面に、2液硬化性を有する下記の干渉防止層用樹脂組成物Aをグラビア印刷法により1回刷りし、温度70℃の熱オーブン中で60秒間加熱して乾燥させて、厚み:1μm、幅:20mmの干渉防止層を形成した。次に、2液硬化性を有する下記の黒色の枠印刷層用樹脂組成物Aをグラビア印刷法により3回刷りし、温度70℃の熱オーブン中で60秒間加熱して乾燥させて、厚み:3μm、幅:20mmの枠印刷層を形成した。さらに、これを40℃のオーブン中で24時間加熱処理を行い、干渉防止層及び枠印刷層を硬化させた。
得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
10官能ウレタンアクリレート(「UV1700B(商品名)」、日本合成工業株式会社製、重量平均分子量:2000):50質量部
3官能ポリエステルアクリレート系オリゴマー(「M9050(商品名)」、東亞合成株式会社製、重量平均分子量:400〜430):50質量部
光重合開始剤(「イルガキュア184(商品名)」、BASF社製):4質量部
メチルエチルケトン:100質量部
レベリング剤(「F477(型番)」、DIC株式会社製、ノニオン性含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー):0.2質量部
中空状シリカ微粒子(平均粒径:60nm、日揮触媒化成(株)製):120質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA、日本化薬(株)製):100質量部
光重合開始剤(「イルガキュア127」(商品名)、BASF社製):7質量部
変性シリコーンオイル(「X22164E(商品名)」、信越化学工業(株)製):5質量部
溶剤:(メチルイソブチルケトン):7000質量部
溶剤:(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):800質量部
ウレタン樹脂A(重量平均分子量:50000):20質量部
シリカ微粒子(「オルガノシリカゾルMEK−ST−ZL(商品名)」、日産化学工業(株)製、固形分濃度;30質量%、平均粒径:85nm):1質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「ラミックBハードナー(商品名)」、大日精化工業株式会社製):1質量部
溶剤:(メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=4/4/2):78質量部
ウレタン樹脂A(重量平均分子量:50000):13質量部
カーボンブラック(平均一次粒径:20nm):13質量部
シリカ微粒子(「オルガノシリカゾルMEK−ST−ZL(商品名)」、日産化学工業(株)製、固形分濃度;30質量%、平均粒径:85nm):1質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「ラミックBハードナー(商品名)」、大日精化工業株式会社製):2質量部
溶剤:(メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=4/4/2):71質量部
実施例1において、干渉防止層用樹脂組成物Aを下記の干渉防止層用樹脂組成物Bとした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<干渉防止層用樹脂組成物B>
ウレタン樹脂A(重量平均分子量:50000):20質量部
カーボンブラック(平均一次粒径:20nm):1質量部
シリカ微粒子(「オルガノシリカゾルMEK−ST−ZL(商品名)」、日産化学工業(株)製、固形分濃度;30質量%、平均粒径:85nm):1質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「ラミックBハードナー(商品名)」、大日精化工業株式会社製):1質量部
溶剤:(メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=4/4/2):77質量部
実施例1において、干渉防止層用樹脂組成物Aを下記の干渉防止層用樹脂組成物Cとした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<干渉防止層用樹脂組成物C>
ウレタン樹脂A(重量平均分子量:50000):19.5質量部
カーボンブラック(平均一次粒径:20nm):3.5質量部
シリカ微粒子(「オルガノシリカゾルMEK−ST−ZL(商品名)」、日産化学工業(株)製、固形分濃度;30質量%、平均粒径:85nm):1質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「ラミックBハードナー(商品名)」、大日精化工業株式会社製):1質量部
溶剤:(メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=4/4/2):75質量部
実施例1において、干渉防止層形成用樹脂組成物Aを下記の干渉防止層形成用樹脂組成物Dとした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<干渉防止層用樹脂組成物D>
ウレタン樹脂A(重量平均分子量:50000):21質量部
ポリイソシアネート硬化剤(「ラミックBハードナー(商品名)」、大日精化工業株式会社製):1質量部
溶剤:(メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール=4/4/2):78質量部
実施例1において、基材をアクリル樹脂基材(メチルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体、厚み:40μm)とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、基材をポリエチレンテレフタレート基材(「U403(品番)」、東レ株式会社製、厚み:100μm)とした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、干渉防止層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例5において、干渉防止層を設けなかった以外は、実施例5と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1において、枠印刷層をグラビア印刷法で6回刷りして形成したこと以外は、比較例1と同様にして光学積層体を得た。得られた光学積層体について、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
2 干渉防止層
3 枠印刷層
4 ハードコート層
5 低屈折率層
6 被覆層
7 偏光板
8 偏光膜
9 保護シート
10 接着剤層
11 接合層
12 ガラス板
100、101 光学積層体
200、201 前面板
Claims (13)
- 基材の一方の面に干渉防止層及び枠印刷層を順に有し、該干渉防止層及び該枠印刷層は該基材の外周に沿って設けられており、該干渉防止層が硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物であり、かつ該基材の他方の面にハードコート層を有し、該干渉防止層が微粒子を含み、内部拡散性を有する、光学積層体。
- 前記硬化性樹脂組成物中の前記微粒子の含有量が、硬化性樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部である、請求項1に記載の光学積層体。
- 前記枠印刷層が隠蔽剤及び硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
- 前記隠蔽剤がカーボンブラックを含む、請求項3に記載の光学積層体。
- 前記基材を構成する材料がトリアセチルセルロース、アクリル系樹脂、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる、請求項1〜4のいずれかに記載の光学積層体。
- 前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項1〜5のいずれかに記載の光学積層体。
- 前記干渉防止層の厚さが0.05〜2.5μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
- 前記ハードコート層上にさらに低屈折率層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体。
- 基材の一方の面に干渉防止層及び枠印刷層を順に有し、該干渉防止層及び該枠印刷層は該基材の外周に沿って設けられており、かつ該基材の他方の面に電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であるハードコート層を有し、該干渉防止層が微粒子を含み、内部拡散性を有する、光学積層体。
- 基材の一方の面に干渉防止層及び枠印刷層を順に有し、該干渉防止層及び該枠印刷層は該基材の外周に沿って設けられており、該干渉防止層の厚さが0.05〜2.5μmであり、かつ該基材の他方の面にハードコート層を有し、該干渉防止層が微粒子を含み、内部拡散性を有する、光学積層体。
- 基材の一方の面に干渉防止層及び枠印刷層を順に有し、該干渉防止層及び該枠印刷層は該基材の外周に沿って設けられており、かつ該基材の他方の面にハードコート層を有し、該ハードコート層上にさらに低屈折率層を有し、該干渉防止層が微粒子を含み、内部拡散性を有する、光学積層体。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の光学積層体を有する前面板。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の光学積層体を有する画像表示装置。
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