JP5359652B2 - 光学積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
このような帯電を防止するために、光学積層体の一部に導電性の帯電防止剤を含有した帯電防止層を設けることが従来から行われている。
4級アンモニウム塩は、塗布型の帯電防止剤としてしばしば使用されており、例えば、特許文献1には疎水性溶剤や樹脂への溶解性に優れる4級アンモニウム塩基を有するカチオン性共重合体が開示されている。
これらの帯電防止剤を使用する場合は、所望の帯電防止性と光学特性(低ヘイズ、高全光線透過率)を両立させるために、帯電防止剤を含有する1μm程度の薄膜層を形成することによって所望の機能を付与することが行われていた。
しかしながら、これらの層は、それぞれの機能を有する層として別個に形成されていたため、例えば、基材上に、帯電防止層、ハードコート層を順に形成した場合、光学積層体の強度やヘイズは良好である(つまり、低ヘイズであり、全光線透過率が高く良好なこと)が、帯電防止性が不充分となり、一方、基材上にハードコート層、帯電防止層を順に形成した場合は、帯電防止性やヘイズは良好であるが強度が不充分であるといった問題があった。また、帯電防止層及びハードコート層を別々に形成することは光学積層体の製造工程の煩雑化及びコスト増の原因ともなっていた。
ところが、近年、光学積層体には高度な耐熱性が要求されるようになってきているが、4級アンモニウム塩を帯電防止剤として用いてなる帯電防止性ハードコート層を備えた光学積層体は、高温低湿度環境下に長時間置かれると帯電防止性ハードコート層の帯電防止機能が低下してしまうという問題があった。これは、4級アンモニウム塩は、帯電防止機能を発現させるためにはその周囲に水の存在が不可欠であるためであると考えられる。
例えば、特許文献2には、ハードコート機能と帯電防止機能とを有する保護層として、導電性フィラー及び/又は導電性ポリマーを含有するものが開示されている。
また、例えば、特許文献3には、可溶性導電性高分子成分とハードコート成分とを含有する帯電防止性樹脂組成物が開示され、可溶性導電性高分子成分として、導電性高分子成分と可溶化高分子成分とを混合することが開示されている。
また、例えば、特許文献4には、π共役系導電性高分子を含有する帯電防止塗料を用いてなる帯電防止膜を形成した帯電防止フィルムが開示されている。
また、例えば、特許文献5には、導電性高分子を有効成分とする組成物を用いてなる拡散板を備えた液晶ディスプレイ用拡散板が開示されている。
しかしながら、このようなポリチオフェンとポリアニオンとの錯体は、一般に水溶性又は水分散性であるのに対し、ハードコート層を構成するバインダー樹脂は、通常、有機溶剤系であった。このため、ポリチオフェンとポリアニオンとの錯体は、有機溶剤系のバインダー樹脂分散液に対する相溶性が劣り、ハードコート層を形成する際に用いる組成物の透明性及び塗工適性に劣るという問題があった。
このような有機溶剤分散性の導電性高分子/ドーパント錯体を帯電防止剤として用いると、上述の有機溶剤系のバインダー樹脂組成物に対する相溶性は改善できるものの、充分な帯電防止性能を備えたコーティング膜としたときに、該コーティング膜の透明性が低下するという問題があった。
近年、画像表示装置の表示画像の品質に対する要求は益々高まってきており、画像表示装置の最表面に設けられる光学積層体には、極めて高いレベルでの透明性が要求され、よりハード性、帯電防止性及び透明性に優れた光学積層体が求められていた。
また、上記ハードコート層形成用組成物は、更に、溶剤を含有し、上記溶剤は、上記光透過性基材に対して溶解性又は膨潤性を有する浸透性溶剤を含有することが好ましい。
本発明の光学積層体において、上記光透過性基材は、トリアセチルセルロースからなることが好ましい。
また、上記溶剤は、メチルエチルケトンであり、上記疎水性樹脂は、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明はまた、最表面に上述の光学積層体、又は、上述の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明では、特別な記載がない限り、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体を、“樹脂”と記載する。
ここで、従来の有機溶剤分散性の導電性高分子/ドーパント錯体を帯電防止剤として用いてなるコーティング膜は、安定した帯電防止性能を発揮するために、ポリチオフェン(帯電防止剤)を層内に均一に分散させる必要があった。このため、従来の上記コーティング膜は、帯電防止性ハードコート層中のポリチオフェン量をある程度多くしないと、充分な帯電防止性能を発揮することはできなかった。
これに対して、本発明の光学積層体は、従来と比較してハードコート層に含まれるポリチオフェン量が極めて少量であるにもかかわらず、優れた帯電防止性能を発揮するものである。
これは、本願発明の光学積層体では、上記ハードコート層形成用組成物を用いてなるハードコート層は、有機溶剤分散型ポリチオフェンが層中に均一に分散しているのではなく、表面(光透過性基材と反対側の表面)付近に偏在して含まれているからであると考えられる。
上記ハードコート層は、バインダー樹脂と有機溶剤分散型ポリチオフェンとを含有するハードコート層形成用組成物を用いて形成されたものである。
上記有機溶剤分散型ポリチオフェンは、帯電防止剤として機能する材料であり、このような帯電防止剤を用いることで、湿度に対する影響が極めて小さく、帯電防止性、透明性に優れたハードコート層を好適に得ることができる。
なお、本明細書において、「有機溶剤分散型ポリチオフェン」とは、水含有量が20%以下の分散液溶剤中で、良好な分散性を示すポリチオフェンを意味する。
上記ポリチオフェン/ドーパント錯体において、ポリチオフェンとしては、無置換であってもよいが、より導電性を高めることができることから、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基等の官能基が分子中に導入されていることが好ましい。
上記ポリチオフェン/ドーパント錯体におけるポリチオフェンとしては、例えば、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アニオン性化合物としては、アニオン基として、上記ポリチオフェンへの化学酸化ドープが起こりうる官能基を有するものであればよい。なかでも、製造の容易さ及び安定性の観点から、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシル基、スルホ基等が好ましい。更に、官能基のポリチオフェン成分へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
(1)上記ポリチオフェン/ドーパント錯体の水分散体を噴霧乾燥し、得られた乾燥固体を、アミン類及び/又はノニオン性界面活性剤と有機溶媒とに混合し、分散処理する方法。
(2)上記ポリチオフェン/ドーパント錯体の水分散体に沈殿剤を添加し、得られたゲル状膨潤体から水を取り除き、アミン類及び/又はノニオン性界面活性剤と、有機溶媒とを加えて分散処理する方法。
(3)上記ポリチオフェン/ドーパント錯体の水分散体に沈殿剤を添加し、得られたゲル状膨潤体から水を取り除き、ラジカル重合性基を有するアミド系化合物と、アミン類及び/又はノニオン系界面活性剤と、有機溶媒とを加えて分散処理する方法。
また、上記以外のモルホリン等の含酸素アミン類やピリジン等も用いることができる。なかでも、ポリアルキレンオキサイド構造を有するアミン類が分散安定性の点で好ましく、特にポリオキシエチレンアルキルアミン類が好ましい。
上記アルコール類としては、水酸基を有するものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のモノアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類等が挙げられる。
上記ケトン類としては、分子中にケトン構造を有するものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
上記エーテル類としては特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル類等のエーテル類等が挙げられる。
上記アミド類としては特に限定されず、例えば、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
上記スルホキシド類としては特に限定されず、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記スルホン類としては特に限定されず、例えば、スルホラン等が挙げられる。
上記エステル類としては特に限定されず、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。
上記ニトリル類としては特に限定されず、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
これらは、単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでは、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコール等のアルコール類が取り扱い性と分散安定性の点から好ましい。
また、上記酸類としては特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸類、酢酸、酪酸、シュウ酸、アジピン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸樹脂等のポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸が系に残留した場合の分散安定性の点で好ましい。これら酸類は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記沈殿剤の調製に用いられるアミン類又は酸類の配合量としては特に限定されないが、通常、上記有機溶媒100重量部に対し、0.1〜25重量部程度であることが好ましい。
上記沈殿剤の添加量としては、具体的には、上記ポリチオフェン/ドーパントの合計量(固形分)100質量部に対して、上記沈殿剤中のアミン類又は酸類を好ましくは5〜100質量部、より好ましくは5〜70質量部、更に好ましくは5〜50質量部添加すればよい。
生成した上記ゲル状膨潤体の分離は、例えば、従来公知のろ過、有機溶媒及び水の蒸発により行うことができる。
具体的には、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、3−アクリルアミドフェニルボロン酸等等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
使用する脱水剤としては特に限定されず、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
なお、高度な処理が必要な場合には、ビーズミル、高圧ホモジナイザー等の処理を追加してもよい。
本発明の光学積層体において、上記バインダー樹脂は、ウレタンアクリレートを含有することが好ましい。ウレタンアクリレートを含有することで、本発明の光学積層体の帯電防止性能を優れたものとすることができる。
なお、本明細書において、「疎水性樹脂」とは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の親水性官能基を含有せず、ビニル基、ウレタン基、(メタ)アクリロイル基等の疎水性官能基を有するアクリル酸エステル樹脂を意味する。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが好適に用いられる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
また、本発明の好ましい態様によれば、電離放射線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂とを少なくとも含んでなる樹脂を用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては一般的に例示されるものが利用される。上記溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、上記熱可塑性樹脂は、一般的に例示されるものが利用される。
上記溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。
好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及び、ゴム又はエラストマー等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶剤(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶剤)に可溶な樹脂を使用することが好ましい。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記溶剤としては、バインダー樹脂の種類及び溶解性に応じて選択し使用することができ、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
例えば、上記バインダー樹脂が光透過性基材に対して密着性がない場合は、光透過性基材に対して浸透性を持つ溶剤を使用することが好ましい。例えば、光透過性基材がTACである場合、浸透性溶剤の具体例としては、ケトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、エステル類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、含窒素化合物;ニトロメタン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、グリコール類;メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、エーテル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、ハロゲン化炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロルエタン、グリコールエーテル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、その他、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンが挙げられ、またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくはエステル類、ケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。その他、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類も、上記浸透性溶剤と混合して用いることができる。
また、ハードコート層形成用組成物中において、上記浸透性溶剤は、溶剤全量中10〜100質量%、特に50〜100質量%となることが望ましい。
上記ハードコート層形成用組成物には、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する、防眩性を付与する等の目的に応じて、樹脂、分散剤、界面活性剤、上述した有機溶剤分散型ポリチオフェンとは別のその他の公知の帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
上記塗布の方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
なお、上記ハードコート層の膜厚は、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定した値である。
上記光透過性基材としては、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。
光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度とに優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ(株)製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記光透過性基材は、その上に上述したハードコート層等を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤若しくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
以下、任意の層について説明する。
上記防眩層は、例えば、上記光透過性基材とハードコート層又は低屈折率層(後記)との間に形成されて良い。上記防眩層は、樹脂及び防眩剤を含む防眩層用組成物から形成されて良い。
上記微粒子の平均粒径としては特に限定されないが、一般的には、0.01〜20μm程度とすれば良い。
また、上記微粒子の形状は、真球状、楕円状等のいずれであっても良く、好ましくは真球状のものが挙げられる。
上記プラスチックビーズの具体例としては、例えば、スチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS−NT:ライカ社製:倍率「300〜1000倍」)にて、光学積層体の断面を透過観察し、界面の有無を判断し下記の測定基準により測定することができる。具体的には、ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物レンズを使用し、かつ、光学積層体の上に屈折率1.518のオイルを約2ml乗せて観察し判断する。オイルの使用は、対物レンズと光学積層体との間の空気層を消失させるために用いる。
測定手順
1:レーザー顕微鏡観察により平均層厚を測定した。
2:測定条件は、上記の通りであった。
3:1画面につき 凹凸の最大凸部、最小凹部の基材からの層厚を1点ずつ計2点測定し、それを5画面分、計10点測定し、平均値を算出し、これを、防眩層の膜厚とする。このレーザー顕微鏡は、各層に屈折率差があることによって非破壊断面観察をすることができる。また、各層の組成の違いで観察できるSEM及びTEM断面写真の観察を用いて、5画面分の観察を行うことで同様に求めることができる。
上記低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が本発明の光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。これらの低屈折率層は、その屈折率が1.45以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の乾燥厚みは限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
上記フッ素系樹脂以外の樹脂については、上記ハードコート層形成用組成物を構成する樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
上記重合性化合物としては特に限定されず、例えば、電離放射線硬化性基、熱硬化性極性基等の硬化反応性基を有するものが好ましい。また、これらの反応性基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、上記重合体とは、上記のような反応性基等を一切もたないものである。
上記熱硬化性極性基を持つ重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品等が挙げられる。
これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も使うこともできる。
更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、被膜内部での微粒子の分散状態により、内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。この微粒子を使用した低屈折率層は、屈折率を1.30〜1.45に調節することが可能である。
dA=mλ/(4nA) (I)
(上記式中、nAは低屈折率層の屈折率を表し、mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)を満たすものが好ましい。
120<nAdA<145 (II)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
上記防汚層は、本発明の光学積層体の最表面に汚れ(指紋、水性又は油性のインキ類、鉛筆等)が付着しにくく、又は付着した場合でも容易に拭取ることができるという役割を担う層である。本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けても良く、特に低屈折率層が形成された光透過性基材の一方の面と反対の両側に防汚層が設けることが好ましい。防汚層の形成により、本発明の光学積層体に対して防汚性と耐擦傷性の更なる改善を図ることが可能となる。低屈折率層がない場合でも、最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けても良い。
上記防汚染剤は、本発明の光学積層体の最表面の汚れ防止を主目的とするものであり、本発明の光学積層体に耐擦傷性を付与することもできる。
上記防汚染剤としては、例えば、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、又は、これらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
上記樹脂としては特に限定されず、上述のハードコート層形成用組成物で例示した樹脂が挙げられる。
上記防汚層は、例えばハードコート層自身に防汚性能を付与することにより代替することもできる。
上記偏光素子と本発明の光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材(好ましくは、トリアセチルセルロースフィルム)にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
このため、本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等に好適に適用することができ、特に、VA方式の液晶ディスプレイに好適に適用することができる。
透明基材(厚み80μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム(富士写真フィルム社製、TF80UL)を準備し、該フィルムの片面に、下記表1に示した組成のハードコート層形成用組成物を塗布し塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜を温度50℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が50mJになるように照射して塗膜を硬化させることにより、10μm厚み(乾燥時)の帯電防止性ハードコート層を形成し、各実施例及び比較例に係る光学積層体を作製した。
なお、表1に示した各組成は、以下のとおりである。
PEDOT/PSS:ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸・荒川化学工業社製(溶剤質量比率 エチレングリコール:エタノール:イソプロピルアルコール:メチルエチルケトン=11:18:3:68、含水量4.6%)
M−450:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)・東亞合成社製
M−309:トリメチロールプロパントリアクリレート・東亞合成社製
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート・日本化薬社製
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート・日本化薬社製
M−5400:フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート
M−5700:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート
M−7300K:多官能ポリエステルアクリレート
M−8060:多官能ポリエステルアクリレート
M−8560:多官能ポリエステルアクリレート
M−9050:多官能ポリエステルアクリレート
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
ウレタンアクリレート(1):BS577、荒川化学工業社製、6官能、重量平均分子量1000(固形分中の60%PETAを含有)
ウレタンアクリレート(2):BS577CP−2、荒川化学工業社製、6官能、重量平均分子量1000(固形分中の60%PETTAを含有)
ウレタンアクリレート(3):UV1700B、日本合成社製、10官能、重量平均分子量2000
ウレタンアクリレート(4):UN3320HSBA、根上工業社製、15官能、重量平均分子量5000
ウレタンアクリレート(5):Ebecryl5129、ダイセル・サイテック社製、6官能、重量平均分子量800
表面抵抗値(Ω/□)は、表面抵抗値測定器(三菱化学社製、製品番号;Hiresta IP MCP−HT260)にて印加電圧500Vで測定した。
飽和帯電圧は、スタティックオネストメータH−0110(シシド静電気社製)を用いて、印加電圧10kV、距離20mm、25℃、40%RHの条件下で、JIS L 1094に従い測定した。
なお、飽和帯電圧が1以下であると、表面電荷の影響を受けやすいIPAモードにおいても特に有効に使用することができる。
光学積層体のハードコート層と逆の面に、裏面反射を防止するための黒色テープを貼り、ハードコート層の面から光学積層体を目視により観察し、干渉縞の発生の有無を評価した。評価は、干渉縞がなく良好な場合を「なし」、干渉縞が発生した場合を「あり」とした。
鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製したハードコートフィルム(上記光学積層体)を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆(硬度H〜3H)を用いて、JIS K5600−5−4(1999)が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、4.9Nの荷重にて実施した。
全光線透過率(%)は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7361に従い測定した。全光線透過率が90%以上を良好と判断した。
ヘイズ値(%)は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に従い測定した。
Claims (6)
- 光透過性基材上に、ハードコート層を有する光学積層体であって、
前記ハードコート層は、バインダー樹脂100質量部に対して、有機溶剤分散型ポリチオフェンを固形分で0.1〜0.4質量部含有するハードコート層形成用組成物を用いて形成されたものであり、かつ、膜厚が2〜20μm、表面抵抗値が106〜1013Ω/□であり、
前記バインダー樹脂は、ウレタンアクリレート20〜70質量部に対して、前記ウレタンアクリレート以外の樹脂を30〜80質量部含有し、
前記ウレタンアクリレート以外の樹脂は、疎水性樹脂又はペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートである
ことを特徴とする光学積層体。 - ハードコート層形成用組成物は、更に、溶剤を含有し、
前記溶剤は、光透過性基材に対して溶解性又は膨潤性を有する浸透性溶剤を含有する
請求項1記載の光学積層体。 - 光透過性基材は、トリアセチルセルロースからなる請求項1又は2記載の光学積層体。
- 溶剤は、メチルエチルケトンであり、
疎水性樹脂は、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である
請求項2又は3記載の光学積層体。 - 偏光素子を備えてなる偏光板であって、
前記偏光素子の表面に請求項1、2、3又は4記載の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板。 - 最表面に請求項1、2、3若しくは4記載の光学積層体、又は、請求項5記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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