JPWO2005075121A1 - 冷間仕上げ継目無鋼管 - Google Patents

冷間仕上げ継目無鋼管 Download PDF

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Abstract

本発明の冷間仕上げ継目無鋼管によれば、冷間加工後の矯正加工によって発生する残留応力を制御し、クランプトン(Crampton)法で測定した残留応力Fを30MPa以上であり、かつそのばらつきが30MPa以下とする。さらに必要に応じて、球状化炭化物の平均粒径を規定することによって、鋼管内外面の旋削加工時に発生する残留歪による寸法変形が少なく、軸受用部品の最終加工において精密な真円度および優れた被削性を確保することができる。これにより、軸受用部品のコスト削減に寄与すると同時に、高い寸法精度で、旋削加工や熱処理等の最終加工における変形の少ない軸受用部品を提供できる。

Description

本発明は、軸受の軌道輪などの軸受用部品に使用される冷間仕上げ継目無鋼管に関し、さらに詳しくは、鋼管内外面の旋削加工時に発生する残留歪による寸法変形が少なく、軸受用部品の最終加工において真円度および被削性に優れる冷間仕上げ継目無鋼管に関するものである。
通常、高い寸法精度が要求される継目無鋼管は、マンネスマン法や押出法等の熱間加工で製管された後、球状化焼鈍等の軟化処理が施され、さらにダイス抽伸またはピルガー圧延の冷間加工が施され、目標の外径および肉厚寸法に精度よく仕上げられる。
冷間仕上げされた継目無鋼管は、焼鈍等の軟化処理に次いで、精整処理として鋼管の曲がり修正と鋼管断面の真円形状を確保するため矯正加工が施され、最終的な鋼管製品として検査され、その後出荷される。冷間加工後に施される矯正加工は、焼鈍後に発生する鋼管の弓曲がりを真直にするため、および楕円断面を修正するために行われ、一般的に、多ロール矯正機または2ロール矯正機が用いられる。
出荷された冷間仕上げ継目無鋼管は、リング状に切断され、旋削加工や研磨加工にて所定の寸法に仕上げられ、各種機械の軸受用部品として多用されており、その代表的な用途例として軸受の軌道輪などがある。
上記の冷間仕上げ継目無鋼管を用いて軸受用部品を加工する場合に、素材鋼管から軸受製品に至る一般的な加工工程として「熱間加工→球状化焼鈍→冷間加工→軟化焼鈍→矯正加工→出荷検査→鋼管切断→旋削加工→焼入れ焼戻し(熱処理)→研磨仕上げ→組立」が例示される。
ところが、上記工程で加工される鋼管は、冷間加工後の矯正加工によって残留応力が発生し、その内部に歪みを存在させることになる。このため、特に外径が70mm以上、かつ外径に対する肉厚の比率が10%以下の薄肉鋼管において、軸受用部品としてリング状に切り出す旋削加工時や最終熱処理としての焼入れ時に、上記の残留応力の影響で真円度が確保できず、寸法不良が発生する場合がある。
残留応力が顕著になると、残留歪みによる加工後の変形が著しくなり、最終仕上げ工程で修正作業のために研削回数が増加したり、さらに過大な変形のために研磨仕上げしても所望の製品形状が得られないという問題がある。
これらの問題に対処するため、従来から種々の提案がなされている。例えば、特開平10−137850号公報では、ユージンセジュルネ押出し方式により製造された継目無鋼管の矯正に際し、2ロールラインコンタクトタイプ矯正機を使用し、上下ロール荷重電流値を最適条件として矯正する低残留歪み矯正方法が提案されている。
また、特開2001−329316号公報では、継目無鋼管の熱間製管後の矯正により生じた残留応力を除去するために520〜630℃で焼鈍し、次いで2ロールエアベンドタイプ矯正機を用い、オフセット5mm以下で、クラッシュが1.5〜5mmとする軽矯正を行い、旋削加工時に寸法変形の少ない熱間仕上げ継目無鋼管の製造方法が開示されている。
しかしながら、最近においては、軸受用部品における製造コストの低減要請が一層高まり、これにともなって部品仕上げ工程での削り代の削減、さらにこれまで以上に精密な真円度を確保することが要求されるようになる。このような要求に対し、従来から提案の製造方法では、対処できないという問題がある。
前述の通り、軸受用部品に使用される継目無鋼管に対して、部品削り代の削減による最終仕上げ工程での寸法精度や仕上がり精度がさらに要求されるようになると、前記特開平10−137850号および特開2001−329316号の各公報が対象とする熱間仕上げ継目無鋼管では要求される精度が確保できず、対応できなくなる。
さらに、軸受用部品として精密な真円度が必要になり、最終の加工工程で一層変形が少ない鋼管の製造が要求されるようになると、軸受用鋼管の製造プロセスとしてこれらの要請に対応できる新たな処置が必要になる。また、軸受用部品の部品加工工程での被削性を確保することも、さらに検討する必要がある。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、軸受用部品のコスト削減に寄与すると同時に、高い寸法精度で、旋削加工や熱処理等の最終加工における変形の少ない、軸受の軌道輪などの軸受用部品に使用することができる冷間仕上げ継目無鋼管を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、継目無鋼管を軸受用部品として旋削加工する場合に発生する変形、およびその後の焼入れ時に発生する変形について詳細に検討した結果、これらの変形を効果的に抑制するため、冷間加工後の矯正加工によって発生する残留応力、さらには焼入れ時の変形に影響を及ぼす球状化炭化物の粒径に着目した。
鋼管の旋削加工における技術進歩は著しく、例えば、6爪チャックの適用等により被削材の材質、寸法に拘わらず、高精度で加工することが可能になる。しかし、鋼管の旋削加工に際し、被削材のそのものの真円度が確保できなければ、チャック解放後の形状は被削材の真円度に依存し、被削材の状況によっては、加工後において真円とはかけ離れた断面形状になる。
鋼管の残留応力が“0(ゼロ)”の状態であれば、旋削加工時に歪みによる変形は発生しない。しかしながら、継目無鋼管の製造に際し、曲がりの矯正および断面形状の修正のために、曲がり矯正は必須の工程となる。このため、ある程度の残留応力の発生を前提としなければならない。
しかも、鋼管の切削は一種の破壊であることから、ある程度の残留応力を内在させることによって、鋼管の被削性を向上させることができる。すなわち、鋼管の内部に残留する歪みの作用によって切削加工を進展させると同時に、形成される切粉の排出を促進できる。これにより、工具寿命の延長を図るとともに、被削性を改善することができる。
したがって、冷間加工後の矯正加工によって、ある程度の残留応力の発生を前提とし、その前提での残留応力の発生状況を制御することが必要になる。具体的には、鋼管に残留応力を内在させた条件で、その鋼管内での残留応力のばらつきを制御することによって、旋削加工時に発生する変形を抑制できる。
軸受用部品は、耐摩耗性を確保するために、旋削加工後に油焼入れ等の熱処理を実施し高強度を確保する必要がある。しかし、焼入れにともなう変形が大きくなると、熱処理後に行われる研磨ラインに部品を投入できないため、修正作業としての研削加工を追加せざるを得ない。さらにその変形が過大になると、研磨仕上げを施しても所望の製品形状が得られず、寸法不良が発生することになる。
ところで、旋削加工後に焼入れを実施する場合に、鋼管の組織中の炭化物が均一に基地内に固溶しなければ、鋼管の円周方向に焼きむらが発生し、焼入れにともなって変形が発生する。したがって、焼入れにともなう変形を抑制するには、焼入れ時に炭化物の固溶を均一にする必要があり、そのために炭化物の平均粒径を均一にするのが有効である。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)および(2)の冷間仕上げ継目無鋼管を要旨としている。
(1)クランプトン(Crampton)法で測定した残留応力F(下記(1)式で算出)が30MPa以上であり、かつそのばらつきが30MPa以下であることを特徴とする冷間仕上げ継目無鋼管である。
F=E・(1/D−1/D’)・t/(1−ν) ・・・ (1)
ただし、E:ヤング率(MPa)、 ν:ポアソン比
D:スリット加工前の試験片外径(mm)
D’:スリット加工後の試験片外径(mm)
t:試験片の平均肉厚(mm)
(2)上記(1)の冷間仕上げ継目無鋼管では、組織中の球状化炭化物の平均粒径を0.35〜0.70μmにするのが望ましい。さらに、上記の冷間仕上げ継目無鋼管は、鋼管内での残留応力のばらつきを抑制するために、抽伸加工によって冷間加工を実施するのが望ましい。
上記(1)、(2)の冷間仕上げ継目無鋼管によれば、冷間加工後の矯正加工によって発生する残留応力を制御し、さらに必要に応じて、球状化炭化物の平均粒径を規定することによって、鋼管内外面の旋削加工時に発生する残留歪による寸法変形が少なく、軸受用部品の最終加工において精密な真円度および優れた被削性を確保することができる。
これにより、軸受用部品のコスト削減に寄与すると同時に、高い寸法精度で、旋削加工や熱処理等の最終加工における変形の少ない、軸受軌道輪などの軸受用部品を提供することができる。
図1は、2ロール矯正機の構成例として2−2−2−1型対向型ロールの構成を示す図である。
図2は、クランプトン法による試験片の採取要領を説明する図であり、(a)はリング状試験片を鋼管の軸方向から採取する箇所を示しており、(b)および(c)はスリット加工前後の試験片の形状を示している。
図3は、実施例2で採用した球状化焼鈍のヒートパターンを示す図である。
本発明では軸受用部品の素材鋼として、特に成分組成を限定するものではないが、JIS G4805で規格化されたSUJ2鋼などの高炭素クロム軸受鋼を採用するのが望ましい。
本発明が対象とする継目無鋼管は、マンネスマン圧延法やユージンセジュルネ押出法の熱間製管法により所定寸法の鋼管に製造した後、軟化を目的とした球状化焼鈍を受け、次いで冷間抽伸、または冷間圧延などの冷間加工が施される。さらに、冷間加工で目標寸法に仕上げ加工された後、焼鈍等で軟化処理して、多ロール矯正機または2ロール矯正機で曲がり矯正が行われる。
図1は、2ロール矯正機の構成例として2−2−2−1型対向型ロールを示す図である。図1に示す2ロール矯正機では、互いに軸の傾斜したロール2を同一方向に回転させ、両ロール2の間で鋼管1に回転曲げを与えながら矯正を行う構造である。2ロール矯正機では、矯正条件としてクラッシュ量(mm)およびオフセット量(mm)が適宜選択されることになる。
例えば、2−2−2−1型対向型ロールで曲がり矯正を行う場合には、鋼管の外径D(mm)、鋼管の肉厚t(mm)とした場合に、下記(2)および(3)式に示すクラッシュ量Lc(mm)およびオフセット量Lo(mm)を目標とすることができる。2ロール矯正機で矯正条件を下記(2)および(3)式で管理することにより、断面形状を真円に維持しつつ、曲がり矯正と残留応力を制御でき、鋼管の旋削加工時や軸受用部品の焼入れ時に寸法変形の少ない冷間仕上げ継目無鋼管を得ることができる。
Lc=0.005×D+2.3+0.01×t ・・・ (2)
Lo=−0.06×D+17.4 ・・・ (3)
一方、多ロール矯正機は、図示しないが、矯正ロールを3個以上千鳥型に配置した構成であり、曲がり管の矯正はオフセット量(mm)のみの調整によって行われる。
通常、多ロールまたは2ロール矯正機等で曲がり矯正を行う場合に、製品鋼管の曲がりは1mm/1000mm以下で管理される。
本発明で規定する鋼管の残留応力の測定方法は、クランプトン(Crampton)法による。同法によれば、薄肉鋼管の円周方向の残留応力を精度よく測定することができるからである。
図2は、クランプトン法による試験片の採取要領を説明する図であり、(a)はリング状試験片を鋼管の軸方向から採取する箇所を示しており、(b)および(c)はスリット加工前後の試験片の形状を示している。矯正後の鋼管1端部は矯正ロールへの噛み込み等の影響を受けて変形が生じやすいので、端部を避け、図2(a)に示すように、鋼管1から幅10mmのリング状の試験片1aを連続的に4〜10枚輪切りにして採取する。
得られた試験片1aを円周方向位置を合わせた状態で、鋼管の軸方向に揃えてスリット加工し、スリット3を形成する。
図2(b)に示すように、スリット加工前の試験片1aの外径Dおよび平均肉厚tを測定する。次に、図2(c)に示すように、スリット加工後において、スリット加工位置と90°交叉する位置の試験片1aの鋼管外径D’を測定し、下記(1)式により残留応力Fを算出する。ただし、式中の記号は、ヤング率E(MPa)およびポアソン比νとする。
F=E・(1/D−1/D’)・t/(1−ν) ・・・ (1)
本発明では、測定した残留応力Fが30MPa以上であり、かつ、そのばらつきが30MPa以下であることが必要である。
鋼管に内在する残留応力Fを30MPa以上とするのは、安定した残留歪みを内在させ、軸受用鋼管としての被削性を確保するためである。前述の通り、切削は一種の破壊であることから、残留応力Fが30MPa以上として、内部歪みの作用によって被削性を改善し、併せて工具寿命の延長を図る。
本発明では、さらに同一鋼管の残留応力Fのばらつきを30MPa以下にする必要がある。すなわち、鋼管に残留応力が30MPa以上存在していても、同一鋼管内のばらつきを30MPa以下に制御することによって、軸受用部品への旋削加工時における寸法変形を抑制することができる。これにより、軸受用部品の削り代削減や、研磨仕上げ工程の簡素化が可能になる。
本発明が対象とする継目無鋼管では、組織中の球状化炭化物の平均粒径を0.35〜0.70μmにするのが望ましい。前述の通り、鋼管を軸受用部品に旋削加工した後に焼入れを実施する場合に、鋼管の組織中の炭化物が均一に基地内に固溶しなければ、鋼管の円周方向に焼きむらが発生し、焼入れにともなって変形が発生する。
理由は明確ではないが、球状化炭化物の平均粒径が大きすぎる、または小さすぎると真円度が劣ることになる。このため、本発明では、必要に応じて、球状化炭化物の平均粒径を規定することとした。
本発明では、冷間仕上げでの冷間加工方法として抽伸加工および冷間圧延のいずれも適用することができる。しかし、同一鋼管内で良好な残留応力Fのばらつきを確保するには、冷間加工として孔ダイスを使用する抽伸加工を採用するのが望ましい。
冷間加工に抽伸加工を適用する場合に、使用する孔ダイスの開き角を20〜25°にするのがよい。この開き角度から外れる孔ダイスを使用した場合に、残留応力に大きなばらつきが生ずることがあるからである。
以下に、本発明の冷間仕上げ継目無鋼管が発揮する効果を、具体的に実施例1〜2に基づいて説明する。
(実施例1)
表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、JIS G4805に規定されたSUJ2の軸受鋼の供試材とした。この供試材を素材として熱間製管法により冷間加工用の素管を製造し、球状化焼鈍を施した後、冷間加工を行った。冷間加工後、軟化焼鈍を施して曲がり矯正を実施し、供試鋼管を製造した。
Figure 2005075121
熱間製管法としてマンネスマンマンドレルミルを用いて、外径が38〜110mmで肉厚が3.1〜6mmの冷間加工用の素管を製管し、熱間製管後は大気中で放冷した。得られた各素管に球状化焼鈍を施した後、通常の方法で酸洗による脱スケール処理および表面処理を行い、次いで表2に示す加工スケジュールで冷間抽伸を行い、外径が30〜100mmで肉厚が2.5〜5mmである冷間仕上げ鋼管を製造した。このときの加工率は、25〜36%とした。
抽伸加工に際しては、テーパ型ダイスと、テーパ型または円筒型プラグを使用した。このときのダイス開き角度は、後述する表3に示すように、10〜25°の範囲で変動させた。
Figure 2005075121
冷間加工後には軟化焼鈍を施して曲がり矯正を実施し、次いで鋼管特性の検査を行った。実施例1では、軟化焼鈍の条件は均熱温度が680℃で保持時間を20分とした。また、曲がり矯正は2−2−2−1対向型ロール矯正機を用い、各供試鋼管毎にクラッシュ量およびオフセット量を調整した。矯正段取りは、表3に示す。
曲がり矯正後における残留応力Fをクランプトン法によって測定するため、鋼管から幅10mmのリング状の試験片を4〜10枚連続的に輪切りした。得られた試験片を円周方向位置を合わせた状態で輪切り前の鋼管の軸方向に揃え、スリット加工により周方向の一部を切除した。スリット加工位置と90°交叉する位置の試験片外径D’、スリット加工前の試験片外径Dおよび試験片の平均肉厚tを用いて、下記(1)式からF値を算出した。ただし、E:ヤング率(MPa)およびν:ポアソン比とした。
F=E・(1/D−1/D’)・t/(1−ν) ・・・ (1)
さらに、前記リング試験片を用いて、走査型電子顕微鏡で球状化炭化物の平均粒径を測定した。表3には、残留応力Fの最大値、最小値および最大値と最小値との差であるばらつき、並びに球状化炭化物の平均粒径を示した。
リング状に切断された鋼管を0.2〜0.3mm内外削加工し、真円度を測定した。その後、830℃×30分加熱し油焼入れを行い、さらに真円度を測定した。真円度の測定は、外径の最大値−外径の最小値(mm)で測定した。
Figure 2005075121
表3に示す結果から、残留応力Fが30MPa以上であり、かつ残留応力Fのばらつきが30MPa以下となる本発明例(No.1〜5)では、旋削加工等において切削性に優れるとともに、焼入れ後の真円度も0.12mm以下と良好な結果であった。
これに対し、残留応力Fのばらつきが38〜42MPaとなる比較例(No.7、8)では、焼入れ後の真円度が0.24〜0.32mmとなり不良の結果であった。
なお、供試材No.6は、オフセット量が1mmと軽微であったため、矯正後も弓曲がりが残り、曲がりが2mm/1000mm程度と不調なため、リング試験片を作製できず、残留応力Fおよび焼入れ後の真円度の測定はできなかった。
(実施例2)
実施例1と同様に、表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、JIS G4805に規定されたSUJ2の軸受鋼を素材として、熱間製管により冷間加工用の素管を製造した。
図3は、実施例2で採用した球状化焼鈍のヒートパターンを示す図である。その球状化焼鈍パターンは、780〜820℃で加熱保持後、Ar未満の温度まで50〜200℃/hrの速度で冷却する第1次球状処理を行い、引き続きAcを超えAc+40℃以下の温度に加熱後、Ar以下の温度まで50〜200℃/hrの速度で冷却する第2次球状化処理を3回以上繰り返すものである。
このとき、球状化焼鈍パターンを制御することにより、様々な炭化物粒径の鋼管を製造した。その後、冷間加工を行い、軟化焼鈍を施して曲がり矯正を実施し、供試鋼管を製造した。
熱間製管ではマンネスマンマンドレルミルを用いて、外径が95mmで肉厚が6mmの冷間加工用の素管を製管し、熱間製管後は大気中で放冷した。得られた各素管にパターンを制御した球状化焼鈍を施した後、通常の方法で酸洗による脱スケール処理および表面処理を行い、次いで加工度が25%の冷間抽伸を行い、仕上げ寸法で外径が85mmで肉厚が5mmの冷間仕上げ鋼管とした。実施例1の場合と同様に、テーパ型ダイスおよび円筒型プラグを使用し、ダイス開き角度は25°とした。
また、軟化焼鈍の条件を均熱温度が680℃で保持時間を20分とし、曲がり矯正後の検査工程では、実施例1と同じ条件で、残留応力Fおよび球状化炭化物の平均粒径を測定した。さらにリング状に切断された鋼管を0.2〜0.3mm内外削加工し、真円度を測定した。その後、830℃×30分加熱し油焼入れを行い、さらに真円度を測定した。
表4に、抽伸加工スケジュール、矯正段取り、並びに残留応力F、球状化炭化物の平均粒径および真円度の測定結果を示す。
Figure 2005075121
表4に示す結果から、残留応力Fが30MPa以上で、旋削加工後の真円度が良好であっても、球状化炭化物の平均粒径が0.35〜0.70μmを外れるようになると(No.10、11)、焼入れ後の真円度が0.21〜0.22mmと若干低下することが分かる。
産業上の利用の可能性
本発明の冷間仕上げ継目無鋼管によれば、冷間加工後の矯正加工によって発生する残留応力を制御し、クランプトン(Crampton)法で測定した残留応力Fを30MPa以上であり、かつそのばらつきが30MPa以下とする。さらに必要に応じて、球状化炭化物の平均粒径を規定することによって、鋼管内外面の旋削加工時に発生する残留歪による寸法変形が少なく、軸受用部品の最終加工において精密な真円度および優れた被削性を確保することができる。これにより、軸受用部品のコスト削減に寄与すると同時に、高い寸法精度で、旋削加工や熱処理等の最終加工における変形の少ない軸受用部品を提供することができるので、各種の産業機械用の軸受用鋼管として広く適用できる。

Claims (3)

  1. クランプトン(Crampton)法で測定した残留応力F(下記(1)式で算出)が30MPa以上であり、かつそのばらつきが30MPa以下であることを特徴とする冷間仕上げ継目無鋼管。
    F=E・(1/D−1/D’)・t/(1−ν) ・・・ (1)
    ただし、E:ヤング率(MPa)、 ν:ポアソン比
    D:スリット加工前の試験片外径(mm)
    D’:スリット加工後の試験片外径(mm)
    t:試験片の平均肉厚(mm)
  2. 組織中の球状化炭化物の平均粒径が0.35〜0.70μmであることを特徴とする請求項1に記載の冷間仕上げ継目無鋼管。
  3. 冷間加工が抽伸加工によって行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷間仕上げ継目無鋼管。
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