JPWO2005073212A1 - クロマン化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

フェノール類、オレフィン類、及びホルムアルデヒド類を、無触媒かつ、フェノール類に対して1から10モル倍の範囲の水共存下に反応させる事を特徴とする、下記一般式(1)で表されるクロマン化合物の製造方法である。(置換基R1からR6、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基、又はエステル残基を表す。R1からR4は、互いに結合する事があっても良い。但し、置換基XとR6の何れか一つはエステル残基である。)無触媒かつ穏和な条件下に、高純度のクロマン化合物を高収率で製造する事が可能である。しかも、副反応及び装置腐食等を引き起こす多量の酸や塩基等を、反応促進や触媒のために用いる事なく工業的に実施可能な手段を提供する事が出来る。【化1】

Description

本発明はクロマン化合物の製造方法に関する。特に、クロマンカルボン酸誘導体、例えば、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸及びそのエステル類の改良された製造方法に関する。該クロマンカルボン酸誘導体は医薬、ビタミン等の重要な原料となる。
クロマンカルボン酸等のクロマン化合物を製造する方法として、例えば、フェノール類、不飽和カルボニル化合物等を出発原料とする多段階法(例えば、特許文献1参照)、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を、炭化水素又はハロゲン化芳香族炭化水素を溶媒に用いて160から250℃で反応させる方法(例えば、特許文献2参照)、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を、2級アミン及び酸の存在下に反応させる方法(例えば、特許文献3参照)、特許文献2及び3の改良法である、フェノール類、ホルムアルデヒド類及びアルコール類を酸及び2級アミン存在下に反応させ、次いで2級アミンを系外に除いた後に不飽和化合物と反応を行う2段階法(例えば、特許文献4参照)、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を、酸の存在下に反応させる方法(例えば、特許文献5参照)等がある。
しかし、特許文献1の方法は、目的物を得る為の反応工程が多く、全工程の短縮が必要であって工業的製造には不向きである。特許文献2の方法は、無触媒かつ一段で簡単にクロマン化合物を製造する事が出来る。しかし、クロマンカルボン酸、又はクロマンカルボン酸エステルを製造する手段としては、目的物の収率が低く不充分である。特許文献3の方法は触媒として酸又はアミンを用いる事で特許文献2の方法に於ける収率の改善を試みた改良法であるが、目的物がクロマンカルボン酸の場合は収率が低く、副生成物も多い。特許文献4の方法は、反応を2段に分けて行う必要があり、触媒除去等の余計な操作が増えるので簡便とは言えない。特許文献5は、酸存在下にクロマンカルボン酸エステルを製造する方法であり、クロマンカルボン酸エステルの収率は60%と改善されているが、未だ不十分な成績であり、さらに改善を要する。
また、特許文献2,4,5の方法は、触媒とは言いながら、何れの場合も、酸を基質のフェノールに対して0.5倍当量程度と相当な量加える事で、反応速度、選択性の向上を図っている。その結果、高温下で多量の酸を用いる事による装置の腐食や複雑化を伴う等、工業的に実施する上で解決すべき新たな課題を生ずる結果となっている。
以上の様に、何れの方法もクロマン化合物の合成方法としては一長一短があり、工業的に実施するには不充分である。特に医薬若しくは健康食品分野向けに用いるには、高純度の製品を出来るだけ安価に製造する必要がある。従来技術では、工業的な規模で高純度のクロマン化合物、特にクロマンカルボン酸誘導体を、簡単な工程・操作で収率良く得る事は出来なかった。
米国特許第4,026,907号明細書 特開昭60−92283号公報 特開平7−97380号公報 特開平11−80147号公報 特開2003−146981号公報
本発明の目的は、クロマン化合物、特にクロマンカルボン酸誘導体を製造するための、反応収率が高く、工程が簡略で、装置腐食等の恐れの無い、工業的に容易に実施可能な方法を提供する事にある。
本発明者らは上記課題の解決に取り組み、フェノール類、ホルムアルデヒド類及びオレフィン類を無触媒で反応させる際に、一定量の水を共存させると、従来に比べて穏和な条件下でも反応が進行し、高収率でクロマンカルボン酸エステル等が得られる事を知った。これによって、反応促進用の触媒として酸を用いる必要が無くなり、従来技術の欠点であった酸による装置腐食等の問題が解決でき、かつ副反応も抑制されるので高純度の目的生成物が得られることを見出した結果、本発明に到達した。
具体的には、例えば、反応基質として1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、ホルムアルデヒド及びメタクリル酸エステル類を過剰に用いて、無溶媒、無触媒、水存在下に、160℃の温度で反応させた場合、所望のクロマンカルボン酸エステル類が化学反応式(2)に従って、従来技術を凌ぐ90%近い高収率で生成する。
Figure 2005073212
前記した従来技術、即ちフェノール類、ホルムアルデヒド類、及びオレフィン類を縮合させてクロマン化合物を製造する方法は、無触媒又は触媒を用いた何れの場合も積極的に水を存在させる事で反応速度が著しく増大し、目的化合物を高い収率で得ることが出来る事並びに装置腐食等につながる酸の使用が避けられる事は一切示されていない。
例えば、前掲の特開昭60−92283号公報(特許文献2)は、炭化水素系溶媒を用いて無触媒で反応を行う方法を開示しているが、反応進行に伴って生成する水は反応溶媒と共沸するので必要に応じて留去しても良いと記されており、実施例に於いて、反応中に生成する縮合水はキシレン蒸気と共に数回留去した事が記載されている。一方、特開平7−97380号公報(特許文献3)では、要件として第2級アミン及び酸の存在下に反応させる事が記載されているのみであり、水の効果については何の記載も無い。さらに、特開2003−146981号公報(特許文献5)では、逆にパラホルムアルデヒド又はトリオキサンに例示される水分含有量の低いホルムアルデヒド類の使用を推奨している。即ち、何れの先行例に於いても、無溶媒、無触媒の穏和な条件下に於いて、水の存在によって高い収率でクロマンカルボン酸類が得られる事は全く示されておらず、これを予見する事は出来ない。この様に本発明は、従来技術と一線を画するものである。
本発明は以下の10項からなる。即ち、
1.フェノール類、オレフィン類、及びホルムアルデヒド類を、無触媒かつ、フェノール類に対して1から10モル倍の範囲の水共存下に反応させる事を特徴とする、下記一般式(1)で表されるクロマン化合物の製造方法。
Figure 2005073212
(置換基R1からR6、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基、又はエステル残基を表す。R1からR4は、互いに結合する事があっても良い。但し、置換基XとR6の何れか一つはエステル残基である。)
2.前記フェノール類が、アルキルフェノール又はポリヒドロキシベンゼンであり、前記オレフィン類がメタクリル酸エステルである1に記載のクロマン化合物の製造方法、
3.前記フェノール類が、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記オレフィン類がメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種である2に記載のクロマン化合物の製造方法、
4.フェノール類、オレフィン類、ホルムアルデヒド類を水共存下、無触媒で反応させるクロマンカルボン酸エステルの製造方法であって、反応系に共存させる水の量がフェノール類に対して、1から10モル倍の範囲であるクロマンカルボン酸エステルの製造方法、
5.前記フェノール類が、アルキルフェノール又はポリヒドロキシベンゼンであり、前記オレフィン類がメタクリル酸エステルである4に記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法、
6.前記フェノール類が、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記オレフィン類がメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種である5に記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法、
7.フェノール類に対して化学量論的に過剰のオレフィン類、ホルムアルデヒド類を用いる4から6の何れかに記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法、
8.ホルムアルデヒド類がホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒドからなる群から選ばれる一種以上である、4から7の何れかに記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法、
9.1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、メタクリル酸メチル、及びホルムアルデヒド類を、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼンに対して1から10モル倍の水の共存下、無触媒で反応させる事を特徴とする、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルの製造方法、及び
10.4から8の何れかに記載の方法で得られるクロマンカルボン酸エステル又は請求項9に記載の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを加水分解する事を特徴とするクロマンカルボン酸の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、無触媒かつ穏和な条件下に、高純度のクロマン化合物を高収率で製造する事が可能である。しかも、副反応及び装置腐食等を引き起こす多量の酸や塩基等を、反応促進や触媒のために用いる事なく工業的に実施可能な手段を提供する事が出来る。
本発明で用いる反応基質は、フェノール類、ホルムアルデヒド類及びオレフィン類である。フェノール類としては、例えば、アルキルフェノールやポリヒドロキシベンゼンが好ましい。より具体的には、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、1−ナフトール、2−ナフトール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、2−メチル−3−フェニルフェノール、2−フェニル−4−メチルフェノール、2−フェニル−5−メチルフェノール、3−フェニル−4−メチルフェノール、3−フェニル−5−メチルフェノール、2−フェニル−3,4−ジメチルフェノール、2−フェニル−3,5−ジメチルフェノール、2−フェニル−4,5−ジメチルフェノール、2−フェニル−3,4,5−トリメチルフェノール、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−3−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−5−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−6−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−3,5−ジメチルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等を用いる事が出来る。
これらのうち、特に好ましいのは、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンである。
本発明においては、反応基質として上記フェノール類を単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
ホルムアルデヒド類とはホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド水溶液若しくはホルムアルデヒド溶液又はホルムアルデヒドを生成し得るパラホルムアルデヒドを指す。
本発明では、上記の何れを用いても良いが、特にホルムアルデヒド水溶液又は水存在下にパラホルムアルデヒドを用いる事が好ましい。
本発明で用いるオレフィン類として、構造内に少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を持つ化合物を挙げる事が出来る。好ましいのは、炭素数3から24迄の脂肪族又は芳香族化合物である。例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクロレイン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、2−メチルアクリロニトリル、2−メチルアクリルアミド、メタクロレイン、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトンニトリル、クロトンアミド、クロトンアルデヒド、クロトンアルコール、2−メチルクロトン酸、2−メチルクロトン酸メチル、2−メチルクロトン酸エチル、2−メチルクロトンニトリル、2−メチルクロトンアミド、2−メチルクロトンアルデヒド、2−メチルクロトンアルコール、3−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸メチル、3−メチルクロトン酸エチル、3−メチルクロトンニトリル、3−メチルクロトンアミド、3−メチルクロトンアルデヒド、3−メチルクロトンアルコール、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッド、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッドメチルエステル、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッドエチルエステル、4−メチル−ペント−4−エンア−ル、4−メチル−ペント−4−エン−1−オール、3−メチル−ブテ−3−エン−1−オール、2−メチル−プロプ−2−エン−1−オール等である。これらのうち、特に好ましいのは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類である。
本発明で製造可能な化合物は下記一般式(1)で表される。
Figure 2005073212
一般式(1)において、置換基R1からR6、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基、又はエステル残基を表す。R1からR4は、互いに結合する事があっても良い。但し、置換基XとR6の何れか一つはエステル残基である。なお、上記アルキル基、アリール基、及びアラルキル基に結合する置換基は、例えば、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基などが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,5,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−メチルカルボキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−ヒドロキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−ヒドロキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−カルボキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−エチルカルボキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−メチルカルボキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−エチルカルボキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−メチルカルボキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エチルエステル、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−クロマノール、2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール、2−(2−ヒドロキシ−メチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール等が挙げられ、本発明の製造方法はこれらの製造に適用可能である。
これらのうち、本発明の製造方法は、上記一般式(1)におけるXがエステル残基であるクロマンカルボン酸エステルの製造に好適であり、特に、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エステル類の製造に相応しい。
反応は、フェノール類、ホルムアルデヒド類及びオレフィン類を、触媒を用いずに、水をフェノール類に対して、1〜10モル倍共存させて行う。但し、触媒量の酸又は塩基は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば共存する事があっても差し支えない。水を共存させる際に、ホルムアルデヒド水溶液を用いると水を殊更加えなくても済む。ホルムアルデヒドの代わりにパラホルムアルデヒドを用いる場合には、必ず水を添加する必要がある。
本発明に於ける反応溶媒は、必須のものでは無い。基質と異なる溶媒はプロセス操作が煩雑になるので、過剰にオレフィン類を用いて反応を実施するのが好適である。例えば、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、ホルムアルデヒド水溶液、メタクリル酸メチルを用いる場合には、過剰にメタクリル酸メチルを用いる事で反応溶媒を兼ねる事が出来る。
反応に用いる基質の使用量としては、原料フェノール類に対してホルムアルデヒド類を過剰に用いる事が好ましい。ホルムアルデヒド類の使用量は、原料フェノール類1モルに対して1から20モルの範囲から選択できる。オレフィン類の使用量も、過剰に用いる事が好ましく、フェノール類1モルに対して1から10モル用いる事が好ましい。特に、1から5モル用いる事がより好ましい。水の使用量は、上記のようにフェノール類1モルに対して1から10モル用いることを必須とするが、より好ましくは1から5モルである。水の量が適量でない場合は生成物であるクロマンカルボン酸類等のクロマン化合物の収率が低下する。また水の使用量が1モル未満であると、反応の初期段階におけるフェノール類とホルムアルデヒドとの付加反応がスムーズに進行しない。その為、反応性の高いオレフィンが高温下に晒され副反応を生じやすく、結果として収率が下がる。
水の量が10モルを超えると、水とオレフィンとの副反応が無視できなくなる。その結果、オレフィンの対フェノールモル比が低下して収率が低下する。よって、上記範囲が好ましい。
反応温度は、通常は80から250℃の範囲で行うが、好適には100から230℃の範囲が望ましい。特に好ましい温度範囲は、140から170℃である。
反応時間は、反応温度によっても異なるが、通常は0.5から10時間程度で反応を行う。好ましい反応時間は、1から4時間の範囲である。しかし、さらに長時間反応を行っても支障は無い。
反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行っても良く、製造スケール等を勘案して適宜選択すれば良い。
上記の反応で生成したクロマンカルボン酸エステル類は、反応後、冷却して結晶を析出させ濾過する方法、或いは濃縮、抽出、溶媒添加等の操作方法を講じる事によって分離出来る。
通常、冷却して結晶を析出させて濾過すれば容易に生成物を得る事が出来る。例えば、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを製造する場合には、トリメチルヒドロキノン、ホルムアルデヒド水溶液とメタクリル酸メチルを無触媒で反応させた後、冷却した反応混合物にメタノールを加えるだけで高純度の結晶を得る事が出来る。
さらに、上記のようにして得られたクロマンカルボン酸エステル類を加水分解することにより、クロマンカルボン酸を得る方法についても本発明の範囲に包含されるものである。具体的には、例えば上記方法で得られた6-ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを通常の方法で加水分解すれば、従来技術で得る事が極めて困難であった、高純度の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を簡単な操作で容易に、かつ高収率で得る事が出来る。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例にのみ制限されるものではない。
実施例1
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(1.1g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)及びメタクリル酸メチル(3.3g、32.9mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液にメタノールを加え析出した結晶を濾過し、白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルを得た(1.45g、5.5mmol)。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 83.3%
化学純度: 96 %
比較例1
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル
実施例1に於いて、さらに酢酸(0.2g、3.3mmol)を加えた以外は同様に操作し、白色粉末(1.0g、3.8mmol)を得た。反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 57.4%
化学純度: 79 %
実施例2
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、パラホルムアルデヒド(0.4g、13.2mmol)、メタクリル酸メチル(3.3g、32.9mmol)及び水(0.29g、16.1mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液にメタノールを加え析出した結晶を濾過し、白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルを得た(1.3g、4.9mmol)。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 74.2%
化学純度: 92.5%
比較例2
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチル
実施例2に於いて、加える水を(0.06g、3.3mmol)とした以外は同様に操作し、白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを得た(1.1g、4.1mmol)。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 : 75.0%
単離収率: 55.5%
化学純度: 85.5%
比較例3
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチル
実施例2に於いて、水を加えなかった以外は同様に操作し、白色粉末(0.6g、2.3mmol)を得た。反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 : 49 %
単離収率: 34.8%
化学純度: 70.5%
比較例4
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチル
実施例2に於いて、水を加えず酢酸(0.2g、3.3mmol)を加えた以外は同様に操作した。反応成績は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 60.6%
化学純度: 82.0%
実施例3
6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル
1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン(0.91g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(0.73g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)及びメタクリル酸メチル(8.3g、83.0mmol)を、攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。冷却後、反応液を分析したところ、クロマン化合物として6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチルクロマン−2−カルボン酸メチルが得られた。1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼンを基準とする反応成績は以下の通りであった。
転化率 :89.1%
単離収率:46.8%
化学純度:94.1%
実施例4
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エチル
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(1.3g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%、水56wt%)、メタクリル酸エチル(6.59g、57.7mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で4時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却してGCで分析した。6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エチルが得られた。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 32.3%
化学純度: 88.8%
実施例5
6−ヒドロキシ−5,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルの製造
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(1.1g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)、及びアクリル酸メチル(3.0g、34.3mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却してGCで分析した。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績は以下の通りであった。
転化率:100 %
単離収率: 55.9%
化学純度: 87.0%
実施例6
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(100Kg)、ホルマリン水溶液(107Kg、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)、及びメタクリル酸メチル(395Kg)を、1000Lステンレス製耐圧反応釜に仕込み、160℃で4時間反応させた。この時、反応釜内の圧力は1.1MPaを示した。
反応終了後、一晩放置して室温まで冷却した。反応液を濾過、メタノール洗浄した後、コニカルドライヤーで乾燥して白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルを得た(137.3Kg)。
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 80 %
化学純度: 94.8%
実施例7
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸
2000Lのグラスライニング製反応釜に、実施例6で得た6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル(137.3Kg)をメタノール(137.3Kg)に溶解し、水(411.9Kg)及び苛性ソーダ(27Kg)を加えた溶液を2時間かけて滴下し、80℃で2時間、加水分解反応を行った。次に、この加水分解反応液を硫酸水素カリウム(91.9Kg)に水(411.9Kg)を加えて溶解した溶液を用いる中和反応を、80℃で2時間行った。その後、遠心分離を施し、コニカルドライヤーで結晶を乾燥して白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸(130.2Kg)を得た。ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による化学純度は以下の通りであった。
転化率 : 99.9%
単離収率: 99.3%
化学純度: 99.6%
本発明の、フェノール類、オレフィン類、及びホルムアルデヒド類を、無触媒、かつ、フェノール類に対して1から10モル倍の範囲の水共存下に反応させる方法によれば、従来に比べて穏和な条件でも反応が進行するため、高純度のクロマン化合物を高収率で製造することが可能となる。また、反応促進用の触媒として酸を用いないため、酸による装置腐食等の問題も解決できる。

本発明はクロマン化合物の製造方法に関する。特に、クロマンカルボン酸誘導体、例えば、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸及びそのエステル類の改良された製造方法に関する。該クロマンカルボン酸誘導体は医薬、ビタミン等の重要な原料となる。
クロマンカルボン酸等のクロマン化合物を製造する方法として、例えば、フェノール類、不飽和カルボニル化合物等を出発原料とする多段階法(例えば、特許文献1参照)、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を、炭化水素又はハロゲン化芳香族炭化水素を溶媒に用いて160から250℃で反応させる方法(例えば、特許文献2参照)、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を、2級アミン及び酸の存在下に反応させる方法(例えば、特許文献3参照)、特許文献2及び3の改良法である、フェノール類、ホルムアルデヒド類及びアルコール類を酸及び2級アミン存在下に反応させ、次いで2級アミンを系外に除いた後に不飽和化合物と反応を行う2段階法(例えば、特許文献4参照)、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を、酸の存在下に反応させる方法(例えば、特許文献5参照)等がある。
しかし、特許文献1の方法は、目的物を得る為の反応工程が多く、全工程の短縮が必要であって工業的製造には不向きである。特許文献2の方法は、無触媒かつ一段で簡単にクロマン化合物を製造する事が出来る。しかし、クロマンカルボン酸、又はクロマンカルボン酸エステルを製造する手段としては、目的物の収率が低く不充分である。特許文献3の方法は触媒として酸又はアミンを用いる事で特許文献2の方法に於ける収率の改善を試みた改良法であるが、目的物がクロマンカルボン酸の場合は収率が低く、副生成物も多い。特許文献4の方法は、反応を2段に分けて行う必要があり、触媒除去等の余計な操作が増えるので簡便とは言えない。特許文献5は、酸存在下にクロマンカルボン酸エステルを製造する方法であり、クロマンカルボン酸エステルの収率は60%と改善されているが、未だ不十分な成績であり、さらに改善を要する。
また、特許文献2,4,5の方法は、触媒とは言いながら、何れの場合も、酸を基質のフェノールに対して0.5倍当量程度と相当な量加える事で、反応速度、選択性の向上を図っている。その結果、高温下で多量の酸を用いる事による装置の腐食や複雑化を伴う等、工業的に実施する上で解決すべき新たな課題を生ずる結果となっている。
以上の様に、何れの方法もクロマン化合物の合成方法としては一長一短があり、工業的に実施するには不充分である。特に医薬若しくは健康食品分野向けに用いるには、高純度の製品を出来るだけ安価に製造する必要がある。従来技術では、工業的な規模で高純度のクロマン化合物、特にクロマンカルボン酸誘導体を、簡単な工程・操作で収率良く得る事は出来なかった。
米国特許第4,026,907号明細書 特開昭60−92283号公報 特開平7−97380号公報 特開平11−80147号公報 特開2003−146981号公報
本発明の目的は、クロマン化合物、特にクロマンカルボン酸誘導体を製造するための、反応収率が高く、工程が簡略で、装置腐食等の恐れの無い、工業的に容易に実施可能な方法を提供する事にある。
本発明者らは上記課題の解決に取り組み、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を無触媒で反応させる際に、一定量の水を共存させると、従来に比べて穏和な条件下でも反応が進行し、高収率でクロマンカルボン酸エステル等が得られる事を知った。これによって、反応促進用の触媒として酸を用いる必要が無くなり、従来技術の欠点であった酸による装置腐食等の問題が解決でき、かつ副反応も抑制されるので高純度の目的生成物が得られることを見出した結果、本発明に到達した。
具体的には、例えば、反応基質として1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、ホルムアルデヒド及びメタクリル酸エステル類を過剰に用いて、無溶媒、無触媒、水存在下に、160℃の温度で反応させた場合、所望のクロマンカルボン酸エステル類が下記の化学反応式に従って、従来技術を凌ぐ90%近い高収率で生成する。
Figure 2005073212
前記した従来技術、即ちフェノール類、ホルムアルデヒド類、及び不飽和化合物類を縮合させてクロマン化合物を製造する方法は、無触媒又は触媒を用いた何れの場合も積極的に水を存在させる事で反応速度が著しく増大し、目的化合物を高い収率で得ることが出来る事並びに装置腐食等につながる酸の使用が避けられる事は一切示されていない。
例えば、前掲の特開昭60−92283号公報(特許文献2)は、炭化水素系溶媒を用いて無触媒で反応を行う方法を開示しているが、反応進行に伴って生成する水は反応溶媒と共沸するので必要に応じて留去しても良いと記されており、実施例に於いて、反応中に生成する縮合水はキシレン蒸気と共に数回留去した事が記載されている。一方、特開平7−97380号公報(特許文献3)では、要件として第2級アミン及び酸の存在下に反応させる事が記載されているのみであり、水の効果については何の記載も無い。さらに、特開2003−146981号公報(特許文献5)では、逆にパラホルムアルデヒド又はトリオキサンに例示される水分含有量の低いホルムアルデヒド重合体の使用を推奨している。即ち、何れの先行例に於いても、無溶媒、無触媒の穏和な条件下に於いて、水の存在によって高い収率でクロマンカルボン酸類が得られる事は全く示されておらず、これを予見する事は出来ない。この様に本発明は、従来技術と一線を画するものである。
すなわち本発明は、以下の項目からなる。
1.下記一般式(1)で表されるクロマン化合物を、
Figure 2005073212
1 からR 4 水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基を表し、R1からR4は、互いに結合する事があっても良い。 5 、R 6 は水素原子、又は炭素数1から12迄のアルキル基を表す。Xは、水素原子、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、アルデヒド基、エステル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基を表す。置換基はハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基又はエステル基である。)
一般式(2)で表されるフェノール類、
Figure 2005073212
(R 1 からR 4 は一般式(1)のR 1 からR 4 と同様である。)
一般式(3)で表される不飽和化合物類
Figure 2005073212
(R 5 、R 6 及びXは一般式(1)のR 5 、R 6 及びXと同様である。)
及びホルムアルデヒド類を、無触媒かつ、フェノール類に対して1から10モル倍の範囲の水共存下に反応させる事を特徴とするクロマン化合物の製造方法。
2.前記フェノール類が、アルキルフェノール又はポリヒドロキシベンゼンであり、前記不飽和化合物類炭素数3から24迄の脂肪族化合物である上記1のクロマン化合物の製造方法。
3.前記フェノール類が、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記不飽和化合物類アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクロレイン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、2−メチルアクリロニトリル、2−メチルアクリルアミド、メタクロレイン、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトンニトリル、クロトンアミド、クロトンアルデヒド、クロトンアルコール、2−メチルクロトン酸、2−メチルクロトン酸メチル、2−メチルクロトン酸エチル、2−メチルクロトンニトリル、2−メチルクロトンアミド、2−メチルクロトンアルデヒド、2−メチルクロトンアルコール、3−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸メチル、3−メチルクロトン酸エチル、3−メチルクロトンニトリル、3−メチルクロトンアミド、3−メチルクロトンアルデヒド、3−メチルクロトンアルコール、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッド、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッドメチルエステル、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッドエチルエステル、4−メチル−ペント−4−エンア−ル、4−メチル−ペント−4−エン−1−オール、3−メチル−ブテ−3−エン−1−オール、2−メチル−プロプ−2−エン−1−オールからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記2のクロマン化合物の製造方法。
4.下記一般式(4)で表されるクロマンカルボン酸エステルを、
Figure 2005073212
1 からR 4 水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基を表し、R1からR4は、互いに結合する事があっても良い。Rは置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基を表す。置換基はハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基又はエステル基である。)
一般式(2)で表されるフェノール類、
Figure 2005073212
(R 1 からR 4 は一般式(4)のR 1 からR 4 と同様である。)
一般式(5)で表されるメタクリル酸エステル
Figure 2005073212
(Rは一般式(4)のRと同様である。)
及びホルムアルデヒド類を、無触媒かつ、フェノール類に対して1から10モル倍の範囲の水共存下に反応させる事を特徴とするクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
5.前記フェノール類が、アルキルフェノール又はポリヒドロキシベンゼンである上記4のクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
6.前記フェノール類が、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記メタクリル酸エステルがメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記5に記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
7.フェノール類に対して化学量論的に過剰のメタクリル酸エステル、ホルムアルデヒド類を用いる上記4のクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
8.ホルムアルデヒド類がホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒドからなる群から選ばれる一種以上である、上記4の何れかのクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
9.1,4−ジヒドロキシ−2,3,5トリメチルベンゼン、メタクリル酸メチル、及びホルムアルデヒド類を、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5トリメチルベンゼンに対して1から10モル倍の水の共存下、無触媒で反応させる事を特徴とする、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルの製造方法。
10.上記4から8の何れかの方法で得られるクロマンカルボン酸エステル又は上記9の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを加水分解する事を特徴とするクロマンカルボン酸の製造方法。
本発明によれば、無触媒かつ穏和な条件下に、高純度のクロマン化合物を高収率で製造する事が可能である。しかも、副反応及び装置腐食等を引き起こす多量の酸や塩基等を、反応促進や触媒のために用いる事なく工業的に実施可能な手段を提供する事が出来る。
本発明で用いる反応基質は、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類である。
フェノール類は、一般式(2)で表されるフェノール類である。
Figure 2005073212
(R 1 からR 4 は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基を表す。R 1 からR 4 は、互いに結合する事があっても良い。置換基はハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基又はエステル基である。
フェノール類としては、例えば、アルキルフェノールやポリヒドロキシベンゼンが好ましい。より具体的には、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、1−ナフトール、2−ナフトール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、2−メチル−3−フェニルフェノール、2−フェニル−4−メチルフェノール、2−フェニル−5−メチルフェノール、3−フェニル−4−メチルフェノール、3−フェニル−5−メチルフェノール、2−フェニル−3,4−ジメチルフェノール、2−フェニル−3,5−ジメチルフェノール、2−フェニル−4,5−ジメチルフェノール、2−フェニル−3,4,5−トリメチルフェノール、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−3−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−5−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−6−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2−フェニル−3,5−ジメチルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等を用いる事が出来る。
これらのうち、特に好ましいのは、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンである。
本発明においては、反応基質として上記フェノール類を単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
ホルムアルデヒド類とはホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド水溶液若しくはホルムアルデヒド溶液又はホルムアルデヒドを生成し得るパラホルムアルデヒドを指す。
本発明では、上記の何れを用いても良いが、特にホルムアルデヒド水溶液又は水存在下にパラホルムアルデヒドを用いる事が好ましい。
本発明で用いる不飽和化合物類は下記一般式(3)で表されるものである。
Figure 2005073212
5 、R 6 は、水素原子、又は炭素数1から12迄のアルキル基を表す。Xは、水素原子、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、アルデヒド基、エステル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基を表す。置換基はハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基又はエステル基である。)
このように構造内に炭素−炭素二重結合を持つ不飽和化合物類として好ましいのは、炭素数3から24迄の脂肪族化合物である。例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクロレイン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、2−メチルアクリロニトリル、2−メチルアクリルアミド、メタクロレイン、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトンニトリル、クロトンアミド、クロトンアルデヒド、クロトンアルコール、2−メチルクロトン酸、2−メチルクロトン酸メチル、2−メチルクロトン酸エチル、2−メチルクロトンニトリル、2−メチルクロトンアミド、2−メチルクロトンアルデヒド、2−メチルクロトンアルコール、3−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸メチル、3−メチルクロトン酸エチル、3−メチルクロトンニトリル、3−メチルクロトンアミド、3−メチルクロトンアルデヒド、3−メチルクロトンアルコール、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッド、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッドメチルエステル、4−メチル−ペント−4−エノイックアシッドエチルエステル、4−メチル−ペント−4−エンア−ル、4−メチル−ペント−4−エン−1−オール、3−メチル−ブテ−3−エン−1−オール、2−メチル−プロプ−2−エン−1−オール等である。これらのうち、特に好ましいのは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類である。
本発明で製造可能な化合物は下記一般式(1)で表される。
Figure 2005073212
一般式(1)において、 1 からR 4 水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基を表し、R1からR4は、互いに結合する事があっても良い。 5 、R 6 は水素原子、又は炭素数1から12迄のアルキル基を表す。Xは、水素原子、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、アルデヒド基、エステル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基を表す。なお、上記アルキル基、アリール基、及びアラルキル基に結合する置換基は、例えば、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、エステル基などが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,5,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−メチルカルボキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−ヒドロキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−ヒドロキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−カルボキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7−トリメチル−2−エチルカルボキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−メチルカルボキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−エチルカルボキシメチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−メチルカルボキシエチルクロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エチルエステル、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−クロマノール、2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール、2−(2−ヒドロキシ−メチル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール等が挙げられ、本発明の製造方法はこれらの製造に適用可能である。
これらのうち、本発明の製造方法は、上記一般式(1)におけるXがエステル基であるクロマンカルボン酸エステルの製造に好適であり、特に、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エステル類の製造に相応しい。
反応は、フェノール類、ホルムアルデヒド類及び不飽和化合物類を、触媒を用いずに、水をフェノール類に対して、1〜10モル倍共存させて行う。但し、触媒量の酸又は塩基は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば共存する事があっても差し支えない。水を共存させる際に、ホルムアルデヒド水溶液を用いると水を殊更加えなくても済む。ホルムアルデヒドの代わりにパラホルムアルデヒドを用いる場合には、必ず水を添加する必要がある。
本発明のクロマン化合物の製造方法に於ける反応溶媒は、必須のものでは無い。基質と異なる溶媒はプロセス操作が煩雑になるので、過剰に不飽和化合物類を用いて反応を実施するのが好適である。例えば、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン、ホルムアルデヒド水溶液、メタクリル酸メチルを用いる場合には、過剰にメタクリル酸メチルを用いる事で反応溶媒を兼ねる事が出来る。
反応に用いる基質の使用量としては、原料フェノール類に対してホルムアルデヒド類を過剰に用いる事が好ましい。ホルムアルデヒド類の使用量は、原料フェノール類1モルに対して1から20モルの範囲から選択できる。不飽和化合物類の使用量も、過剰に用いる事が好ましく、フェノール類1モルに対して1から10モル用いる事が好ましい。特に、1から5モル用いる事がより好ましい。水の使用量は、上記のようにフェノール類1モルに対して1から10モル用いることを必須とするが、より好ましくは1から5モルである。水の量が適量でない場合は生成物であるクロマンカルボン酸類等のクロマン化合物の収率が低下する。また水の使用量が1モル未満であると、反応の初期段階におけるフェノール類とホルムアルデヒドとの付加反応がスムーズに進行しない。その為、反応性の高いオレフィンが高温下に晒され副反応を生じやすく、結果として収率が下がる。
水の量が10モルを超えると、水とオレフィンとの副反応が無視できなくなる。その結果、オレフィンの対フェノールモル比が低下して収率が低下する。よって、上記範囲が好ましい。
反応温度は、通常は80から250℃の範囲で行うが、好適には100から230℃の範囲が望ましい。特に好ましい温度範囲は、140から170℃である。
反応時間は、反応温度によっても異なるが、通常は0.5から10時間程度で反応を行う。好ましい反応時間は、1から4時間の範囲である。しかし、さらに長時間反応を行っても支障は無い。
反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行っても良く、製造スケール等を勘案して適宜選択すれば良い。
上記の反応で生成したクロマンカルボン酸エステル類は、反応後、冷却して結晶を析出させ濾過する方法、或いは濃縮、抽出、溶媒添加等の操作方法を講じる事によって分離出来る。
通常、冷却して結晶を析出させて濾過すれば容易に生成物を得る事が出来る。例えば、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを製造する場合には、トリメチルヒドロキノン、ホルムアルデヒド水溶液とメタクリル酸メチルを無触媒で反応させた後、冷却した反応混合物にメタノールを加えるだけで高純度の結晶を得る事が出来る。
さらに、上記のようにして得られたクロマンカルボン酸エステル類を加水分解することにより、クロマンカルボン酸を得る方法についても本発明の範囲に包含されるものである。具体的には、例えば上記方法で得られた6-ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを通常の方法で加水分解すれば、従来技術で得る事が極めて困難であった、高純度の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を簡単な操作で容易に、かつ高収率で得る事が出来る。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの例にのみ制限されるものではない。
実施例1
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル)
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(1.1g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)及びメタクリル酸メチル(3.3g、32.9mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液にメタノールを加え析出した結晶を濾過し、白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルを得た(1.45g、5.5mmol)。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 83.3%
化学純度: 96 %
比較例1
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル)
実施例1に於いて、さらに酢酸(0.2g、3.3mmol)を加えた以外は同様に操作し、白色粉末(1.0g、3.8mmol)を得た。反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 57.4%
化学純度: 79 %
実施例2
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル)
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、パラホルムアルデヒド(0.4g、13.2mmol)、メタクリル酸メチル(3.3g、32.9mmol)及び水(0.29g、16.1mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却した反応液にメタノールを加え析出した結晶を濾過し、白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルを得た(1.3g、4.9mmol)。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 74.2%
化学純度: 92.5%
比較例2
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチル)
実施例2に於いて、加える水を(0.06g、3.3mmol)とした以外は同様に操作し、白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを得た(1.1g、4.1mmol)。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 : 75.0%
単離収率: 55.5%
化学純度: 85.5%
比較例3
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチル)
実施例2に於いて、水を加えなかった以外は同様に操作し、白色粉末(0.6g、2.3mmol)を得た。反応成績及びHPLCによる化学純度は以下の通りであった。
転化率 : 49 %
単離収率: 34.8%
化学純度: 70.5%
比較例4
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチル)
実施例2に於いて、水を加えず酢酸(0.2g、3.3mmol)を加えた以外は同様に操作した。反応成績は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 60.6%
化学純度: 82.0%
実施例3
(6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル)
1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン(0.91g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(0.73g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)及びメタクリル酸メチル(8.3g、83.0mmol)を、攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。冷却後、反応液を分析したところ、クロマン化合物として6−ヒドロキシ−2,7,8−トリメチルクロマン−2−カルボン酸メチルが得られた。1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼンを基準とする反応成績は以下の通りであった。
転化率 :89.1%
単離収率:46.8%
化学純度:94.1%
実施例4
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エチル)
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(1.3g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%、水56wt%)、メタクリル酸エチル(6.59g、57.7mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で4時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却してGCで分析した。6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸エチルが得られた。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 32.3%
化学純度: 88.8%
実施例5
(6−ヒドロキシ−5,7,8−トリメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル)
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(1.0g、6.6mmol)、ホルマリン水溶液(1.1g、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)、及びアクリル酸メチル(3.0g、34.3mmol)を攪拌装置付きの30mlステンレス製耐圧反応容器に仕込み、密閉して180℃で3時間、攪拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却してGCで分析した。1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績は以下の通りであった。
転化率: 100%
単離収率: 55.9%
化学純度: 87.0%
実施例6
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル)
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン(100Kg)、ホルマリン水溶液(107Kg、ホルムアルデヒド37wt%:メタノール7wt%:水56wt%)、及びメタクリル酸メチル(395Kg)を、1000Lステンレス製耐圧反応釜に仕込み、160℃で4時間反応させた。この時、反応釜内の圧力は1.1MPaを示した。
反応終了後、一晩放置して室温まで冷却した。反応液を濾過、メタノール洗浄した後、コニカルドライヤーで乾燥して白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルを得た(137.3Kg)。
1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンを基準とする反応成績及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による化学純度は以下の通りであった。
転化率 :100 %
単離収率: 80 %
化学純度: 94.8%
実施例7
(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸)
2000Lのグラスライニング製反応釜に、実施例6で得た6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチル(137.3Kg)をメタノール(137.3Kg)に溶解し、水(411.9Kg)及び苛性ソーダ(27Kg)を加えた溶液を2時間かけて滴下し、80℃で2時間、加水分解反応を行った。次に、この加水分解反応液を硫酸水素カリウム(91.9Kg)に水(411.9Kg)を加えて溶解した溶液を用いる中和反応を、80℃で2時間行った。その後、遠心分離を施し、コニカルドライヤーで結晶を乾燥して白色粉末状の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸(130.2Kg)を得た。6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−2−カルボン酸メチルを基準とする反応成績及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による化学純度は以下の通りであった。
転化率 : 99.9%
単離収率: 99.3%
化学純度: 99.6%
本発明の、フェノール類、不飽和化合物類、及びホルムアルデヒド類を、無触媒、かつ、フェノール類に対して1から10モル倍の範囲の水共存下に反応させる方法によれば、従来に比べて穏和な条件でも反応が進行するため、高純度のクロマン化合物を高収率で製造することが可能である。また、反応促進用の触媒として酸を用いないため、酸による装置腐食等の問題も解決できる。

Claims (10)

  1. フェノール類、オレフィン類、及びホルムアルデヒド類を、無触媒かつ、フェノール類に対して1から10モル倍の範囲の水共存下に反応させる事を特徴とする、下記一般式(1)で表されるクロマン化合物の製造方法。
    Figure 2005073212
    (置換基R1からR6、Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、カルボキシル基、又は置換基を有する事のある炭素数1から12迄のアルキル基、置換基を有する事のある炭素数6から12迄のアリール基、置換基を有する事のある炭素数7から12迄のアラルキル基、又はエステル残基を表す。R1からR4は、互いに結合する事があっても良い。但し、置換基XとR6の何れか一つはエステル残基である。)
  2. 前記フェノール類が、アルキルフェノール又はポリヒドロキシベンゼンであり、前記オレフィン類がメタクリル酸エステルである請求項1に記載のクロマン化合物の製造方法。
  3. 前記フェノール類が、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記オレフィン類がメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のクロマン化合物の製造方法。
  4. フェノール類、オレフィン類、ホルムアルデヒド類を水共存下、無触媒で反応させるクロマンカルボン酸エステルの製造方法であって、反応系に共存させる水の量がフェノール類に対して、1から10モル倍の範囲であるクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
  5. 前記フェノール類が、アルキルフェノール又はポリヒドロキシベンゼンであり、前記オレフィン類がメタクリル酸エステルである請求項4に記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
  6. 前記フェノール類が、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、ヒドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記オレフィン類がメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
  7. フェノール類に対して化学量論的に過剰のオレフィン類、ホルムアルデヒド類を用いる請求項4から6の何れかに記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
  8. ホルムアルデヒド類がホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒドからなる群から選ばれる一種以上である、請求項4から7の何れかに記載のクロマンカルボン酸エステルの製造方法。
  9. 1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン、メタクリル酸メチル、及びホルムアルデヒド類を、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼンに対して1から10モル倍の水の共存下、無触媒で反応させる事を特徴とする、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルの製造方法。
  10. 請求項4から8の何れかに記載の方法で得られるクロマンカルボン酸エステル又は請求項9に記載の6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸メチルを加水分解する事を特徴とするクロマンカルボン酸の製造方法。

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