JPWO2005056677A1 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
1.(A)ポリトリメチレンテレフタレート1〜99重量部と(B)ポリカーボネート99〜1重量部を含む熱可塑性樹脂組成物であって、下記式(I)によって算出される、該熱可塑性樹脂組成物を0℃から20℃/minの条件で昇温した時に得られる(A)成分の結晶化エンタルピーΔHccが0〜15J/gである、上記熱可塑性樹脂組成物:
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/熱可塑性樹脂組成物の全重量に対する(A)成分含有率(重量%)×100=ΔHcc(J/g)・・・(I)。
2.該熱可塑性樹脂組成物を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化温度Tcが145℃以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.該熱可塑性樹脂組成物を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化温度Tcが175℃以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.(A)成分1〜50重量部と(B)成分99〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.(A)成分50〜99重量部と(B)成分50〜1重量部を含む(D)樹脂組成物2〜99重量部と、(B)成分98〜1重量部を((D)成分+(B)成分=100重量部)の条件で、溶融混練することにより得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.該熱可塑性樹脂組成物は更に、(B)成分100重量部に対して0.1〜100重量部である(C)ポリアルキレンテレフタレート樹脂(ポリトリメチレンテレフタレートを除く)を含み、そして、
(A)成分及び(C)成分の結晶化エンタルピーΔHccを求めるために、上記式(I)に代えて下記式(II)を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物:
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/(熱可塑性樹脂組成物の全量に対する(A)成分含有率(重量%)と(C)成分含有率(重量%)の和)×100=ΔHcc(J/g)・・・(II)。
7.(C)成分がポリエチレンテレフタレート樹脂及び/又はポリブチレンテレフタレート樹脂である、請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物。
8.請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする樹脂成形品。
9.下記式(III)あるいは(IV)によって算出される、該樹脂成形品を0℃から20℃/minの条件で昇温した時に得られる(A)成分あるいは(A)成分及び(C)成分の結晶化エンタルピーΔHccが0〜15J/gである、請求項8に記載の樹脂成形品:
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/樹脂成形品の全重量に対する(A)成分含有率(重量%)×100=ΔHcc(J/g)・・・(III)
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/(樹脂成形品の全重量に対する(A)成分含有率(重量%)と(C)成分含有率(重量%)の和)×100=ΔHcc(J/g)・・・(IV)。
10.該樹脂成形品を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化温度Tcが145℃以上である、請求項9に記載の樹脂成形品。
11.該樹脂成形品を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化速度Tcが175℃以上である、請求項9に記載の樹脂成形品。
12.請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、(A)成分50〜99重量部と(B)成分50〜1重量部を含む(D)樹脂組成物2〜99重量部と(B)成分98〜1重量部を((D)成分+(B)成分=100重量部)の条件で、溶融混練することを含む、上記方法
13.請求項8〜11のいずれか1項に記載の樹脂成形品の成形方法であって、(A)成分50〜99重量部と(B)成分50〜1重量部を含む(D)樹脂組成物2〜99重量部と(B)成分98〜1重量部を((D)成分+(B)成分=100重量部)の条件で、ドライブレンドすること、及び、続いてドライブレンド物を成形加工することを含む、上記方法。
である。
極限粘度[η]については、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中にPTTをPTT/溶液=1.00g/dlになるように溶解させ、比粘度ηspを測定し、下記式により求めることができる。
[η]=0.713×ηsp/C+0.1086
C=1.00g/dl
−(O−Ar−O−CO)− (1)
(式中、Arは、二価の芳香族残基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレンや、下記式(2)で表される基が挙げられる。)
−Ar1−Y−Ar2− (2)
(式中、Ar1及びAr2はそれぞれアリーレン基であり、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ピリジレン等の基を表す。Yはアルキレン基または置換アルキレン基である。)
また、下記式(3)で示される二価の芳香族残基を共重合体成分として含有している場合も含む。
−Ar1−Z−Ar2− (3)
(式中Ar1、Ar2は式(2)と同じ。Zは単なる結合または−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−CO2−、−CONR1−等の二価の基である。ただし、R1は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6〜30のアリール基である。)
(式中、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6〜30のアリール基である。m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合は各R8はそれぞれ同一でも異なるものであっても良い。)
特に、上記の式(5)で表される基をArとする繰り返し単位を85モル%以上(ポリカーボネート中の全モノマー単位を基準として)含むポリカーボネートが特に好ましい。また、本発明に用いることができるポリカーボネートは、三価以上の芳香族残基を共重合成分として含有している場合も含む。
重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行い、測定条件は以下の通りである。すなわち、テトラヒドロフランを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
MPC=0.3591MPS 1.0388
(式中、MPCはポリカーボネートの重量平均分子量、MPSはポリスチレンの重量平均分子量である。)
ΔHcc=ΔH/nPTT×100
PTT含有率(重量%)は、例えば該樹脂組成物100mgをHFIP:CDCl3=1:1に溶解させ、不溶成分をMEMBRANE FILTER(1μm、PTFE)で濾過するか、あるいは遠心分離機で不溶成分を沈殿させ取り除いた溶液を用いて、1H−NMR測定を行い、PCのポジションeのおけるシグナル(4H分)とPTTのポジションcのおけるシグナル(4H分)の積分値を元に求めることが出来る。PCのポジションeとPTTのポジションcについては以下の式(6)及び(7)参照のこと。
|μ(A)−μ(B)|≦18,000(poise)
この溶融粘度差は、(A)ポリトリメチレンテレフタレートと(B)ポリカーボネートに対する相溶化を進め、樹脂組成物の成形性および物性を発揮させるために望ましい範囲である。
上記の樹脂成形体の製造方法における後段工程としての成形加工とは、公知の成形方法である。例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、発泡成形が挙げられる。また、本発明の樹脂成形体は形状には特に制限されない。
繊維状無機充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ウォラストナイト、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質があげられる。特に代表的な繊維状無機充填剤はガラス繊維およびカーボン繊維である。なおポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
一方、粉粒状無機充填剤としてはカーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土、のごとき硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。
又、板状無機充填剤としてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。
これらの無機充填剤は一種又は二種以上併用することができる。繊維状無機充填剤、特にガラス繊維と粒状及び/又は板状無機充填剤の併用は、機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。
これらの無機充填剤は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられる。表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム形成剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤があげられる。これ等の化合物はあらかじめ表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加してもよい。
この中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−α−(アミノエチル)−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシランおよびエポキシシランが好ましく用いられる。
衝撃性改良剤としては、ゴム様のコア上に一つ以上のシェルをグラフトさせて構成されているコアーシェルポリマーが挙げられる。コアとなるゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−プロプレンゴム、二トリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加した形のものを挙げることができる。一方のシェル成分としては、ビニル芳香族化合物、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸およびこれらの共重合可能なビニル化合物を挙げることができる。ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができる。また、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができる。さらに、上記コア及び/またはシェルは架橋剤及び/またはグラフト剤として機能し得る多官能性化合物を含んでいることが好ましい。
更に、スチレン含有ポリマーも衝撃性改良剤として好ましく用いられる。例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン、α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、メタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、その他耐衝撃性のスチレン含有ポリマーが挙げられる。
高級脂肪酸類としては、高級飽和脂肪酸類、高級不飽和脂肪酸類あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
(x−1)高級飽和脂肪酸類
高級脂飽和肪酸類は、例えばカプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
(x−2)高級不飽和脂肪酸類
高級不飽和脂肪酸類としては、炭素数が6〜22の不飽和脂肪酸が好ましく用いられる。中でも、より好ましいものとしては、例えばウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビル酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸、2−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、ガドレイン酸、ガドエライジン酸、11−エイコセン酸など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
高級脂肪酸金属塩類としては、高級飽和脂肪酸金属塩類、高級不飽和脂肪酸金属塩類あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
(y−1)高級飽和脂肪酸金属塩類
高級脂飽和肪酸類は、下記一般式で示される。
CH3(CH2)nCOO(M)
ここで、n=8〜30であり、金属元素(M)が、元素周期律表の1A、2A、3A族元素、亜鉛、アルミニウムなどが好ましく用いられる。
中でも、より好ましいものとしては、例えばカプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
(y−2)高級不飽和脂肪酸金属塩類
高級不飽和脂肪酸金属塩類としては、炭素数が6〜22の不飽和脂肪酸と、元素周期律表の1A、2A、3A族元素、亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩が好ましく用いられる。中でも、より好ましいものとしては、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビル酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸、2−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、ガドレイン酸、ガドエライジン酸、11−エイコセン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩など、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明における高級脂肪酸エステル類は、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル、あるいは多価アルコールと高級脂肪酸とのエステル、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
(z−1)高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類
高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル類として、好ましいのは、炭素数8以上の脂肪族アルコールと炭素数8以上の高級脂肪酸とのエステル類である。好ましい高級脂肪酸エステル類としては、例えばラウリルラウレート、ラウリルミリステート、ラウリルパルミテート、ラウリルステアレート、ラウリルベヘネート、ラウリルリグノセレート、ラウリルメリセート、ミリスチルラウレート、ミリスチルミリステート、ミリスチルステアレート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルリグノセレート、ミリスチルメリセート、パルミチルラウレート、パルミチルミリステート、パルミチルステアレート、パルミチルベヘネート、パルミチルリグノセレート、パルミチルメリセート、ステアリルラウレート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルベヘネート、ステアリルアラキネート、ステアリルリグノセレート、ステアリルメリセート、アイコシルラウレート、アイコシルパルミテート、アイコシルステアレート、アイコシルベヘネート、アイコシルリグノセレート、アイコシルメリセート、ベヘニルラウレート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルアラキネート、ベヘニルメリセート、テトラコサニルラウレート、テトラコサパルミテート、テトラコサニルステアレート、テトラコサニルベヘネート、テトラコサニルリグノセレート、テトラコサニルセロテート、セロチニルステアレート、セロチニルベヘネート、セロチニルセロチネート、メリシルラウレート、メリシルステアレート、メリシルベヘネート、メリシルメリセートなど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
多価アルコールと高級脂肪酸の部分エステル類は、多価アルコールとして、例えばグリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、エリスリット、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、マニトール、ソルビトールなどが好ましく用いられる。また高級脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などが好ましく用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種成形加工性に優れるため、公知の成形方法、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、発泡成形などを用いて良好に成形加工ができる。
以下実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。ただし本発明はこれらの例になんら限定されるものではない。なお、使用した熱可塑性樹脂およびその配合剤は下記のとおりである。
・PTT1:ポリトリメチレンテレフタレート樹脂。
極限粘度[η]=1.10dl/gのポリトリメチレンテレフタレート
極限粘度[η]については、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中に(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が1.00g/dlになるように溶解させ、比粘度ηspを測定し、下記式により求めた。
[η]=0.713×ηsp/C+0.1086
C=1.00g/dl
・PTT2:ポリトリメチレンテレフタレート樹脂
極限粘度[η]=0.89dl/gのポリトリメチレンテレフタレート
・PET1:ポリエチレンテレフタレート樹脂;NEH−2050、ユニチカ社製
・PBT1:ポリブチレンテレフタレート樹脂;ジュラネックス2002、ウィンテック社製
・PC1:ポリカーボネート樹脂;ユーピロンS−2000、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
・GF1:ガラス繊維;T−187、日本電気硝子社製(エポキシ集束処理、繊維径13μm)
・MF1:タルク;MS−P、日本タルク社製
・MF2:タルク;ミクロエースL−1、日本タルク社製
・EL1:MBS;パラロイド EXL2602、呉羽化学社製
・S1:IRGAFOS168、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製
・S2:IRGANOX1098、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製
1.樹脂成形品の作成および物性
樹脂成形品は、射出成形機を用いて作成した。装置は日精樹脂(株)製FN3000、金型温度80℃に設定し、射出20秒、冷却20秒の射出成形条件で、樹脂成形品を得た。なお、シリンダー温度は255℃に設定した。
上記成形条件で成形したISOダンベル試験片(4mm厚)から5mgを切出し、示差走査熱量測定器(DSC)を使用して、0℃で3min保持した後、0℃から200℃まで20℃/minの昇温速度で加熱した際に発熱ピークとして現われる結晶化ピーク面積ΔH(J/g)を樹脂成形品中におけるPTT含有率(重量%)nPTTで割った数値をΔHcc(J/g)とした。PTTの替わりにPBTを用いた場合(比較例2)には、同様に結晶化ピーク面積ΔH(J/g)を、PBT含有率(重量%)nPBTで割った数値をΔHcc(J/g)とした。また、PTTとPETあるいはPTTとPBTを併用した場合(実施例7〜14)は、結晶化ピーク面積ΔHcc(J/g)を、PTTとPETを含めた含有率(重量%)nPTT+PETあるいはPTTとPBTを含めた含有率(重量%)nPTT+PBTで割った数値をΔHccとした。すなわち、結晶化エンタルピーΔHccの計算式は以下の通りである。
ΔHcc=ΔH/n×100(n=nPTT、nPBT、nPTT+PET、nPTT+PBT)
濾過して取り除いた不溶成分は真空乾燥後重量を測定し、PTT(PBT、PET)含有率を求める際に用いた。
上記成形条件で成形したISOダンベル試験片(4mm厚)を1mm角の大きさに刻み、120℃、5時間真空乾燥機で乾燥した。その後、該成形品5mgを示差走査熱量測定器を使用して、窒素雰囲気下、30℃から270℃まで20℃/minの速度で昇温し、270℃で2min保持した後、270℃から50℃まで−20℃/minの降温速度で冷却した。前記冷却過程で出現する結晶化ピーク温度を結晶化温度Tc(℃)とした。
ISO 527−1に準じて測定した。
(1−4)曲げ弾性率(GPa)(23℃、70℃)
ISO短冊試験片(4mm厚)を23℃あるいは70℃の温度で1時間保持した後、測定を行った。ISO 178に準じて測定した。
(1−5)ノッチ付きシャルピー衝撃強度(KJ/m2)
ISO 179に準じて測定した。
(1−6)荷重たわみ温度(℃)
ISO 75−1に準じて測定した。その際の荷重は0.46MPaとした。
PTT2、PC1、PBT1、GF1、MF1、EL1、S1、S2を下記の表1に示した配合比でドライブレンドし、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM58)を用いて溶融混練した。スクリュー回転数300rpm、シリンダー温度280℃(先端ノズル付近のポリマー温度は、290℃であった)、押出速度150Kg/hr(滞留時間1分)、減圧度は0.04MPaで押出を行った。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行いペレットとした。該ペレットを其々Blend1〜6とした。
Blend1〜6とPC1を120℃、5時間、除湿型乾燥機で乾燥した後、以下の表2に示した配合比でドライブレンドし、上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、所定の方法で物性測定および解析を行った。
PTT1〜PTT2、PET1、PBT1、PC1、GF1、MF1、MF2、EL1、S1、S2を以下の表2に示した配合比でドライブレンドし、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM58)を用いて溶融混練した。スクリュー回転数300rpm、シリンダー温度280℃(先端ノズル付近のポリマー温度は、300℃であった)、押出速度150Kg/hr(滞留時間1分)、減圧度は0.04MPaで押出を行った。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行いペレットとした。該ペレットを120℃で5時間、除湿型乾燥機で乾燥した後、上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、所定の方法で物性測定および解析を行った。
Claims (13)
- (A)ポリトリメチレンテレフタレート1〜99重量部と(B)ポリカーボネート99〜1重量部を含む熱可塑性樹脂組成物であって、下記式(I)によって算出される、該熱可塑性樹脂組成物を0℃から20℃/minの条件で昇温した時に得られる(A)成分の結晶化エンタルピーΔHccが0〜15J/gである、上記熱可塑性樹脂組成物:
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/熱可塑性樹脂組成物の全重量に対する(A)成分含有率(重量%)×100=ΔHcc(J/g)・・・(I)。 - 該熱可塑性樹脂組成物を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化温度Tcが145℃以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂組成物を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化温度Tcが175℃以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分1〜50重量部と(B)成分99〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分50〜99重量部と(B)成分50〜1重量部を含む(D)樹脂組成物2〜99重量部と、(B)成分98〜1重量部を((D)成分+(B)成分=100重量部)の条件で、溶融混練することにより得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂組成物は更に、(B)成分100重量部に対して0.1〜100重量部である(C)ポリアルキレンテレフタレート樹脂(ポリトリメチレンテレフタレートを除く)を含み、そして、
(A)成分及び(C)成分の結晶化エンタルピーΔHccを求めるために、上記式(I)に代えて下記式(II)を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物:
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/(熱可塑性樹脂組成物の全量に対する(A)成分含有率(重量%)と(C)成分含有率(重量%)の和)×100=ΔHcc(J/g)・・・(II)。 - (C)成分がポリエチレンテレフタレート樹脂及び/又はポリブチレンテレフタレート樹脂である、請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする樹脂成形品。
- 下記式(III)あるいは(IV)によって算出される、該樹脂成形品を0℃から20℃/minの条件で昇温した時に得られる(A)成分あるいは(A)成分及び(C)成分の結晶化エンタルピーΔHccが0〜15J/gである、請求項8に記載の樹脂成形品:
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/樹脂成形品の全重量に対する(A)成分含有率(重量%)×100=ΔHcc(J/g)・・・(III)
DSCを用いて測定された結晶化ピーク面積ΔH(J/g)/(樹脂成形品の全重量に対する(A)成分含有率(重量%)と(C)成分含有率(重量%)の和)×100=ΔHcc(J/g)・・・(IV)。 - 該樹脂成形品を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化温度Tcが145℃以上である、請求項9に記載の樹脂成形品。
- 該樹脂成形品を270℃の溶融状態から−20℃/minの条件で降温した時に得られる結晶化速度Tcが175℃以上である、請求項9に記載の樹脂成形品。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、(A)成分50〜99重量部と(B)成分50〜1重量部を含む(D)樹脂組成物2〜99重量部と(B)成分98〜1重量部を((D)成分+(B)成分=100重量部)の条件で、溶融混練することを含む、上記方法
- 請求項8〜11のいずれか1項に記載の樹脂成形品の成形方法であって、(A)成分50〜99重量部と(B)成分50〜1重量部を含む(D)樹脂組成物2〜99重量部と(B)成分98〜1重量部を((D)成分+(B)成分=100重量部)の条件で、ドライブレンドすること、及び、続いてドライブレンド物を成形加工することを含む、上記方法。
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