JPWO2005055779A1 - 衣類の係止装置 - Google Patents
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Abstract
Description
その1例として、片手が不自由であっても、残る片手で容易に開閉可能なアーム開閉式ハンガーが開示されている(例えば特開2001−286382号公報参照)。
また、中央部から長手方向へ移動する可動アームを有する調節可能な衣類ハンガーも開示されている(例えば特開2002−142954号公報参照)。
しかし、上記した従来技術に係るハンガーは、構成部品点数が多く、その分だけ製造コストが高くなってしまう。
また、上記した従来技術に係るハンガーは、それ自体の厚み寸法が無視出来ない程度に存在するため、同一ハンガーを複数梱包し、運搬する場合等には、嵩張ってしまうという問題を有している。
さらに、上記した従来技術に係るハンガーは、材質が異なる構成要素を具備しているため、廃棄した後、再利用を行うに際しては、材質が異なる部品毎に分別する工程が必須となり、その分だけ労力やコストが増加してしまうという問題点がある。
そして、上記した従来技術に係るハンガーは構造が複雑であるのに加えて、美的な外観を有しているとは言い難い場合があり、係止される対象である衣服のファッション性や当該衣服を陳列する店舗内の内装(インテリア)における美観を損なう可能性が有る。
特に、ファッション性が事業展開における主たるコンセプトとなる婦人服専門店では、従来技術に係るハンガーの使用が躊躇されてしまう恐れがある。
また、本発明は、係止されるべき衣類のファッション性を損なうことが無く、衣類を係止するべき空間の内装(インテリア)における美観を向上することが出来る様な衣類係止装置の提供を目的としている。
本発明の衣類係止装置は、少なくとも1本の直線(X軸、又はY軸)を対象軸とする線対称な形状で且つ可撓性を有する板状部材(10、10A、10B、10C、10D、10E、10F)から成り、該対称軸(X軸、又はY軸)を中心として湾曲し、当該湾曲した部分(13)で衣類を係止して保持する様に構成されていることを特徴としている(請求項1)。
本発明において、前記線対称な形状は十字形(第1実施形態〜第3実施形態)であり、十字形の突起部分(12T、12B)の先端に係止手段(16T、16B;23T、23B)を形成し、前記対称軸(X軸)を中心として湾曲させた際に、当該対象軸(X軸)を包含していない領域に形成された係止手段(16T、16B;23T、23B)同士が係合し、前記対称軸(X軸)を中心として湾曲した状態を維持する様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
ここで、本発明の衣類係止装置を単一の可撓性材料(例えば合成樹脂材料)で構成しても良いし、或いは複数種類(例えば2種類)の材料、その内の少なくとも1種類は、例えば合成樹脂材料の様な可撓性を有する材料としても良い。
2種類の材料で構成する場合においては、可撓性を有していない他の1種類の材料で構成される部分は、例えば金属性のフックボタン(21T、21B)であり、当該フックボタン(21T、21B)は、衣類を係止するため、可撓性板状体を湾曲する際に、対称軸(X軸、又はY軸)を中心として湾曲した状態を保持する湾曲状態保持手段として作用させることができる。
さらに係止手段を有する本発明の衣類係止装置(請求項2の衣類係止装置)において、十字形の突起部分(12T、12B)の先端に形成される係止手段(16T、16B;23T、23B)として、例えば「切れ込み」を選択すれば、係る切れ込み(16T、16B;22T、22B)を噛合わせるだけのシンプルな係止手段とすることができる。
或いは、その係止手段(16T、16B;22T、22B)を着脱自在に構成することが可能である。
また本発明の衣類係止装置は、壁面(W)の表層部を構成する可撓性部材(10A)を、水平方向軸(X)を対象軸とする線対称な形状に切断してあるが、垂直方向上方の領域(14T)は切断されておらず、垂直方向下方の領域(14B)を前記水平方向軸(X)に沿って湾曲させ、当該湾曲させた部分(13)及び残存させた部分(垂直方向上方の領域14T)で衣類を係止して保持する様に構成されている(請求項3)。
この場合、垂直方向上方の領域(14T)及び垂直方向下方の領域(14B)に係止手段(21T、21B;16T、16B;23T、23B)を設け、該係止手段(21T、21B;16T、16B;23T、23B)同士を係合させることにより、前記水平方向軸(X)に沿って湾曲した状態を維持する様に構成されているのが好ましい(請求項4)。
先ず、図1及び図2の第1実施形態の一実施例について説明する。
図1は、第1実施形態の衣類用ハンガー1の未使用時の状態を示している。当該衣類用ハンガー1は、縦軸YとそのY軸に直交する横軸Xに対して線対称である。
当該衣類用ハンガー1は、可撓性を有する、例えば樹脂製の板状主部材10と、一対の、例えば金属性フックボタン21T、21Bとによって構成されている。
前記板状主部材10は、当該衣類用ハンガー1が未使用時には、横軸X上の左右両端部11L、11Rに円弧が形成され、横方向の中央に近づくにつれて外縁が太くなる横軸部11(湾曲部13)と、縦軸Y上の上下両端部12T、12Bに円弧が形成され、縦方向の中央に近づくにつれて外縁が太くなる縦軸部12とを有している。
そしてその横軸部11と縦軸部12とは交差するように連続して、いわゆる「クロス(十字架)」状(十字形)に形成されている。
縦軸Yの上端部(12T)近傍には、第1のフックボタン21Tが、また、縦軸Yの下端(12B)近傍には前記第1のフックボタン21Tに係合する第2のフックボタン21Bが取付けてある。
ハンガーとして使用するに際して、図1における矢印A1で示すように、横軸X(図1を参照)に沿って丸めるように湾曲させて折り返し(X軸を中心に湾曲させ)、前記第1のフックボタン21T及び第2のフックボタン21B同士を押圧し、係合させる(図2参照)。
図2で示す様に、第1のフックボタン21T及び第2のフックボタン21B同士を係合してハンガーとして使用するため、壁等に当該ハンガー1を掛ける場合には、板状主部材10の上下端部12T、12Bを折り返して重ね合わせる際に、予め輪状に結んだ、例えば紐状部材30で前記フックボタン21T、21Bを包囲するように挟み込んでおく。そして、挟み込んだ紐状部材30を壁に立設した吊り下げ用棒状部材40に引っ掛けて使用する。
上述した第1実施形態によれば、例えばプラスティックの板状部材を主要部材(板状主部材)10として、その板状主部材10を中央の横軸Xで折り返し、一対の金属性のフックボタン21T、21Bで係合するように構成されており、厚みが極めて薄い。加えて未使用時には、裁断時の形状に展開されるので、多数枚に重ねても嵩張らなく、梱包、運搬に便利である。
板状主部材10、10Aは、複数枚の素形材(可撓性を有する樹脂製)Sを重ねた状態で型刃によって裁断(トリムカット)出来るので、生産性はきわめて高い。
板状主部材10、10Aの加工工程は、可撓性を有する樹脂製素材Sを裁断するのみであるあるため、展開形状として自由な曲線を選ぶことが出来、インテリアとしての機能も高い。従って、衣類を系止するための装置(ハンガ)及び内装材としても適用可能である。
一対のフックボタン21T、21Bによって係合手段が構成されているので、上下の中央で折り返しフックボタン21T、21Bを互いに押込むことで容易にハンガー状に係合できる。
図3、図4は、本発明の第2実施形態を示している。
図1、図2では、1対のフックボタン21T、21B同士(前記第1のフックボタン21Tと第1のフックボタン21B)を押圧し、係合させている。これに対して、図3、図4の第2実施形態では、2対のフックボタン21T、21B、21T2、21B2を設けている。
使用に際しては、フックボタン21Bと21Tとを係合すれば、図1、図2で示すのと同様に、X軸で折り返す(X軸を中心に湾曲させる)こととなる。
一方、フックボタン21B2と21T2とを係合する様に折り曲げる(或いは湾曲させる)と、図3の矢印A2で示す様に、Y軸を中心に湾曲させることとなる。
すなわち、図3、図4の第2実施形態では、ハンガーとして使用するに際して湾曲の中心となる軸が2本存在するのである。この点で、ハンガーとして使用する際には、1本の軸(X軸)のみを中心に湾曲する図1、図2の第1実施形態とは相違している。
図3において、X軸はY軸よりも長い。図2と図4とを比較すれば明らかな様に、図2で示す様にX軸を中心に折り曲げたハンガーの方が、図4で示す様にY軸を中心に折り曲げた状態のハンガーよりも、衣類を係止する部分の寸法、すなわち、衣類の肩幅に相当する寸法が長くなる。
従って、図3、図4の第2実施形態に係るハンガーであれば、肩幅が大きい男性用衣類を係止する際にはX軸を中心に折り曲げ、肩幅が狭い女性用衣類を係止する際にはY軸を中心に折り曲げる、というように、使い分けをする事が出来る。
換言すれば、図3、図4の実施形態に係るハンガーであれば、複数の肩幅寸法の衣類に使用することが出来るのである。
その他の構成及び作用効果については、図3、図4の第2実施形態は、図1、図2の第1実施形態と同様である。
次に図5〜図8を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。ここで、図5〜図8において、衣類用ハンガーは符号1Bで示されている。
図5〜図8の第3実施形態では、板状主部材10Bの展開状態から横軸Xに沿ってハンガー状に折り曲げ湾曲させた際に、縦軸部12の上端部12Tと下端部12Bとを係合するための手段を設けた点と、横軸11の両端部11L、11R近傍にデザイン用抜き孔Oを設けた点で、図1〜図4の実施形態とは相違している。
縦軸部12の上下端部12T、12Bを係合する手段は、以下のように構成されている。すなわち、上端部12T近傍であって、図示においては上方の箇所に、半円弧の切り込み(スリット)16Tが形成されている。一方、下端部12B近傍であって、図5では上方の箇所にも、半円弧の切り込み(スリット)16Bが形成されている。
前記2箇所の半円弧のスリット16T、16Bの円弧の略中心位置には、ハンガー1Bを図示しない吊掛け棒状体に吊り掛けるための孔18が形成されている。
縦軸部12の上下端部12T、12Bを係合するに際しては、横軸Xよりも下側部分14Bを横軸Xを中心に、矢印A(図5)で示す様に、手前側(上側部分14Tの方向)に折り曲げ湾曲させる。そして、図7及び図8に示すように、下向に凸になった前記下端部12B側のスリット16Bに、上端部12T側のスリット16Tとそのスリット16Tの両端を結ぶ直線によって囲まれた舌状部分17Tを差し込むことによって、上端部12Tと下端部12Bとが係合する。
図6は、下側部分14を横軸X(図5参照)を中心にして折り返し、ハンガー1Bとして使用するために、上端部12Tと下端部12Bとを係合手段である前記スリット16T、16Bの内側で形成される舌状部17T、17Bを差込、噛み合わせることによって係合が成立した状態を示している。
その他の構成及び作用効果については、図5〜図8の第3実施形態は、上述した実施形態と同様である。
次に図9〜図11を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図9及び図10で示す本発明の第4実施形態に係る衣類用ハンガー1C(板状主部材としては符号10Cで示す)は、図5〜図8の第3実施形態に対して、壁等への吊掛け手段とデザイン用抜き孔の形状が異なる。図5〜図8の第3実施形態と異なる部分について、以下に説明する。
図9及び図10で示す本発明の第4実施形態に係る衣類用ハンガー1Cにおいては、図5〜図8の第3実施形態における2箇所の半円弧のスリット16T、16Bの略中心位置に形成された吊り掛け用の孔18は省略され、その代わり、図9に示すように、第4実施形態における板状主部材10Cの上端部12Tの図面裏側には、植毛のいわゆる「マジックテープ」19が貼り付けられている。
尚、上端部12Tと下端部12Bとを係合する係合用スリット16T、16Bは残されている。
また、横軸部11の左右両端11L、11R近傍には馬蹄状の抜き孔20が馬蹄の先方を横軸部11の外方に向けるように形成されている。
板状主部材10Cをハンガー状に湾曲せしめて使用する際、前記馬蹄形の抜き孔20の後端部20aには、図11で示すように、衣類における紐状の部分(例えば女性用衣類であるキャミソールKのストラップKs等)を引っ掛けることが出来る。
図9及び図10に係る第4実施形態では、壁等への吊掛け手段としてマジックテープ19が用いられているため、図11に示すように、壁材Wは毛足の長いファブリックであり、ハンガー1Cに掛ける衣類としては比較的重さの小さな例えば下着類等(図11参照)の場合に適する。
上述したような構成の第4実施形態によれば、吊り下げる衣類の重さが小さい場合は、ハンガー1Cを壁等に吊り掛ける手段として、マジックテープ19を、例えば毛足の長いファブリックの壁に押し付けるだけでハンガー1Cを吊り下げることが出来る。
第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第3実施形態と同様である。
次に図12及び図13を参照して、本発明の第5実施形態を説明する。
図12、図13の第5実施形態に係る衣類用ハンガー1D(板状主部材としては符号10Dで示す)は、その外形(輪郭)については、図1〜図11の各実施形態と概略同様である。
図12において、第5実施形態に係る衣類用ハンガーの板状主部材10Dにおける横軸部11には、横軸Xを跨いで上下2条の溝状の抜き孔22、22が略全長に亙って形成されている。
縦軸部12の上下両端12T、12Bの近傍で縦軸Y上には2箇所に吊り掛け用孔18、18が形成されている。そしてその吊り掛け用孔18、18には図示の例では孔18の真横に、上端、下端では互いに「斜交」となる位置に、縦軸部12の外縁12Rと孔18とを接続する直線の切り込み(スリット)23T(上端側)、23B(下端側)が形成されている。
縦軸部12の上下端部12T、12Bを係合するに際しては、図12の矢印Aで示す様に折り曲げた際に、前記上端部12T側のスリット23Tと、前記下端部12B側のスリット23Bとを、互いに噛み合わせるように差し込む。これにより、上端部12Tと下端部12Bとが係合する。
前記2条の溝状の抜き孔22、22は、当該抜き孔22、22に図示しないスカートや、マフラー等を通して吊り下げることに適している。
その他の構成及び作用効果については、図12及び図13の第5実施形態は、図1〜図11の各実施形態と同様である。
次に図14及び図15を参照して、本発明の第6実施形態を説明する。
図14及び図15の第6実施形態に係る衣類用ハンガー符号1E(板状主部材としては符号10Eで示す)は、図14に示すように、縦軸部12に縦軸Yを跨いで左右2条の溝状の抜き孔24、24が上下方向の略全長に亙って形成されている。
また、板状主部材10Eの横軸部11の少なくとも上下何れか一方の外縁には円弧状の切欠き部25、25が形成されている。
図14において矢印Aで示すように折り曲げてハンガー1Eとして使用する場合は、前記2条の抜き孔24、24の間の桟状部26には、該桟状部26の折り曲げられた中央部26aに、例えば、ベルト60等を通して使用することが出来る。
第6実施形態に関するその他の作用効果は、上述した各実施形態と実質的に同様である。
次に図16〜図18を参照して、本発明の第7実施形態を説明する。
図1〜図15の各実施形態は、それ自体が独立した衣類係止用のハンガーとして概略十字形の板状主部材で構成されている。それに対して、図16〜図18の第7実施形態は、壁面の表層部を構成する可撓性部材(例えばカーペット等)の一部を衣類係止用のハンガーとして使用可能に構成した点で、明確に相違している。
そして図16〜図18の第7実施形態は、壁面の表層部を構成する可撓性部材(カーペット等)の一部から構成されているため、単に衣類を係止する手段というのみならず、室内インテリア用品としての性格も併せ持っている。
図16〜図18において、室内の1壁面(内壁の1面)Wと、第7実施形態に係る衣類係止用のハンガーを構成する可撓性部材Sとは、別体の様に図示されており、壁面Wの1区画のみが可撓性部材Sで被覆されているかのように表現されている。
しかし、これは、単に図面に壁面Wと可撓性部材Sとを明確に表示するための便宜的な表現である。
実際には、可撓性部材Sは壁面Wの室内側表面全体を被覆しており、壁面Wの表層部を構成している。換言すれば、図16〜図18で壁面Wの1領域のみを被覆しているかの様に表示されている可撓性部材Sは、室内の1壁面W全面を被覆しており、当該壁面Wの表層部を構成しているカーペットその他なのである。
可撓性部材Sにおいて、少なくとも衣類用ハンガー1Aの板状主部材10Aを構成する部分は、図16〜図18では明確に示していないが、表面側と裏面側でデザインの異なる不織布を用い、その表裏の不織布の間に可撓製の例えば樹脂製板材を挟み込むように積層した、積層材を用いることが可能である。
図16において、室内の1壁面W全体を被覆して、当該壁面Wの表層部を構成する可撓性部材Sには、図1で示す板状主部材10Aに相当する形状の部分(図16、図17の実施形態においても、板状主部材として表現し、符号10Aで示す)は、その上端部分を残して、素材Sから殆ど切り抜かれた状態となっている。そして、板状主部材10Aは、その上端部12Tのみで可撓性部材Sに繋がっている。
図16において、板状主部材10Aを除く残存部分(或いは、残りの部分)が符号Bで示されており、換言すれば、図16では、残存部分Bに板状主部材10Aを嵌め込んだままの(残存部分Bから板状主部材10Aを抜き出さない)状態が示されている。
図17は、図16の横軸Xに対して、X軸の下側部分14Bを折り曲げ、持ち上げて、横軸Xを中心として湾曲せしめ、フックボタン21Tと21Bを係合させ、ハンガー形状に形成し、以って、衣類係止用ハンガー1Aを構成した状態である。
折り曲げ、持ち上げられた下側部分14Bの抜き痕15からは、壁Wが見える。
尚、図4において符号11Aは横軸部を、13Aは横軸部11Aの湾曲部を示す。
図18は、図17の状態にある衣類ハンガー1Aの横軸部11Aの湾曲部13Aにジャケット5を係止した状態を示している。図18中、衣類ハンガー1Aの中央下部にはジャケット5の裏地5aが見えている。
係る構成を具備する本発明の第7実施形態によれば、第1実施形態〜第6実施形態と同様に、1壁面Wの表層部を形成するカーペットの様な可撓性部材SのX軸の下側部分14Bを折り曲げ、持ち上げて、横軸Xを中心として湾曲せしめることにより、可撓性部材Sの一部を衣類係止用のハンガーとして機能させることが出来る。
ここで、可撓性部材Sは横軸Xを対象軸とする線対称な形状に切断してあるが、垂直方向上方の領域14Tは切断されていないので、衣類を係止しない場合には、切断されている領域は壁面Wの表層部を構成している状態を維持する。
すなわち第7実施形態によれば、衣類を係止していない状態では、衣類係止用のハンガー1Aは可撓性部材S(例えばカーペット)と同化しており、肉眼においては、「衣類を係止していない状態のハンガー」ではなく、「内装(インテリア)の一部を構成する例えばカーペットの様な可撓性部材S」と把握されることになる。
この様に、第7実施形態に係る衣類係止用のハンガーは、衣類を係止するという本来の役割に加えて、内装材としても機能するのである。
なお、ハンガー1Aとしての形状を保持している場合であっても、図17で示す様に抜き痕15から壁Wが見えること自体が、インテリア装飾的な効果を奏する場合もあり得る。
次に図19を参照して、本発明の第8実施形態について説明する。
この第8実施形態は、第7実施形態と概略同様であるが、第7実施形態において、図17で示す様に、ハンガー(符号1Gで示す)として使用する際に、その背面にスペーサ61を挿入している。
係るスペーサを採用することで、例えば女性用衣類を展示する際に、胸部に相当する部分に立体感を持たせる様に展示することが可能となるのである。
第8実施形態のその他の構成及び作用効果については、第7実施形態と同様である。
次に図20〜図22を参照して、本発明の第9実施形態を説明する。
この第9実施形態は、第1実施形態〜第6実施形態と同様に、線対称の板状主部材を対称軸を中心として折り曲げて、衣類係止用ハンガーを構成するタイプの実施形態である。
図20は、ハンガーとして使用されていない場合における板状主部材10Fを示している。
縦軸Y上の上下の中央部で横軸Xを跨いで人間の臀部を模った部分円弧部31T、31Bが形成され、その部分円弧部31T、31Bに連続して人間の腰部である括れ部32T、32Bが形成され、その括れ部32T、32Bに連続して人間の胸部である部分円弧部33T、33Bが形成され、その部分円弧部33T、33Bに連続して首部34T、34Bが形成されている。
また、前記首部34T、34Bには、吊り掛け用孔18、18と、スリット23T、23Bとが形成されている。
ここで、各部の数字符号(31〜34)の後の符号Tは、横軸Xの上方側を、符号Bは、横軸の下側を示す。
横軸Xの上方側の胸部である部分円弧部33Tの近傍には、例えば、女性の胸部を側方から視たのと類似する輪郭が、互いにその先端が向き合う様な切り込み(スリット)41、41として形成されている。その切り込み41、41を切り込み41、41の上下端部を結ぶ直線41aで折り曲げ、紙面に対して直角に胸部形状の切り込み41、41を起こした状態が図22に示してある。
尚、図21は図20の横軸Xに沿って上下を折り曲げて、ハンガー1Fとして使用できる状態に形成されたものである。
図22は、図21を側方から見た図であり、図21及び図22における符号51は、例えば女性用水着の胸部分を、符号52は同じく女性用水着の腰部分を示す。
このように、切り込み41、41によって一部を起こして立体的にハンガーを演出することにより、特に女性用衣類においては、女性の体型に合致した展示を行うことが出来る。
その結果、第8実施形態に係るハンガーに衣類を係止すれば、係る衣類(図20〜図22では女性用水着を示す)を購買者である女性が見ることにより、ハンガーに係止された状態から着用時の状況を想起することが出来るので、購買意欲を喚起する効果が期待される。
それとともに、いわゆる「マネキン人形」と同様に、店内のインテリアをも兼ねることが出来る。
第9実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第1実施形態と概略同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図1〜図4の第1実施形態及び第2実施形態における係合手段であるフックボタン21T、21Bを、図5〜図8の第3実施形態の係合手段である切り込み(スリット)16T、16Bと置き換えても良い。
また、図14、図15の第6実施形態において、切欠き25は上方側のみに形成されているが上下双方の合計4箇所に形成しても良い。
すなわち、衣服を係止する必要が無い場合には(未使用時には)、本発明の衣類係止装置は、線対称な形状をした板状部材(裁断時の形状に展開された状態)でしかないため、厚みが極めて薄く、多数枚に重ねても嵩張らなく、梱包、運搬に便利である。
また、係る構成を有する衣類係止装置を製造するに際しては、複数枚の素形材(可撓性材料製の板状部材S)を重ねた状態で、型刃によって裁断(トリムカット)することが出来るので、生産性はきわめて高い。換言すれば、製造コストを極めて低く抑えることが可能なのである。
そして、本発明の衣類係止装置(請求項1、2の衣類係止装置)を製造するに際して、製造工程としては、可撓性を有する1枚の板状部材(素形材S)を裁断すれば良いので、展開形状として自由な曲線を選ぶことが出来る。そのため、ハンガーとしての形状の自由度が極めて高く、デザイン性、ファッション性に飛んだ形状が選択できる。
従って、本発明の衣類係止装置(請求項1、2の衣類係止装置)は、衣類を係止するためのハンガー自体が内装(インテリア)の美観を向上させる作用を奏することができる。
さらに、前記線対称な形状は十字形である本発明の衣類係止装置(請求項2の衣類係止装置)において、2本の対称軸の長さを相違する様に構成すれば、1個のハンガー(請求項1、2の衣類係止装置)にて、肩幅寸法の大きい男性用衣類のハンガーとしての機能と、肩幅寸法の小さい女性用衣類のハンガーとしての機能とを、果たさせることが可能となる。
壁面(W)の表層部を構成する可撓性部材(10A)から構成された本発明の衣類係止装置(請求項3、4の衣類係止装置)によれば、水平方向軸(X)を対象軸とする線対称な形状に切断してあるが、垂直方向上方の領域(14T)は切断されていないので、衣類を係止しない場合には、切断されている領域は壁面(W)の表層部を構成している状態を維持する。
すなわち、衣類を係止していない状態では、係る衣類係止装置(請求項3、4の衣類係止装置)は壁面(W)の表層部(例えばカーペット)と同化しており、「衣類を係止していない状態のハンガー」ではなく、内装(インテリア)の一部と把握されることになる。
そして、衣類を係止する際には、垂直方向下方の領域(14B)を前記水平方向軸(X)に沿って湾曲させ、当該湾曲させた部分(13)及び残存させた部分(垂直方向上方の領域14T)で衣類を係止可能にせしめている。
この様に、上述した衣類係止装置(請求項3、4の衣類係止装置)は、衣類を係止するという本来の役割に加えて、内装材としても機能するのである。
これに加えて、本発明の衣類係止装置(請求項1〜4の衣類係止装置)によれば、構成要素の大部分が、可撓性を有する板状部材であるため、リサイクルに際しては殆ど分別する必要が無い。
従って、環境問題意識が向上した今日の状況に良く合致している。
また、中央部から長手方向へ移動する可動アームを有する調節可能な衣類ハンガーも開示されている(例えば特許文献2参照)。
また、上記した従来技術に係るハンガーは、それ自体の厚み寸法が無視出来ない程度に存在するため、同一ハンガーを複数梱包し、運搬する場合等には、嵩張ってしまうという問題を有している。
さらに、上記した従来技術に係るハンガーは、材質が異なる構成要素を具備しているため、廃棄した後、再利用を行うに際しては、材質が異なる部品毎に分別する工程が必須となり、その分だけ労力やコストが増加してしまうという問題点がある。
特に、ファッション性が事業展開における主たるコンセプトとなる婦人服専門店では、従来技術に係るハンガーの使用が躊躇されてしまう恐れがある。
従って、環境問題意識が向上した今日の状況に良く合致している。
先ず、図1及び図2の第1実施形態の一実施例について説明する。
当該衣類用ハンガー1は、可撓性を有する、例えば樹脂製の板状主部材10と、一対の、例えば金属性フックボタン21T、21Bとによって構成されている。
そしてその横軸部11と縦軸部12とは交差するように連続して、いわゆる「クロス(十字架)」状(十字形)に形成されている。
図1、図2では、1対のフックボタン21T、21B同士(前記第1のフックボタン21Tと第1のフックボタン21B)を押圧し、係合させている。これに対して、図3、図4の第2実施形態では、2対のフックボタン21T、21B、21T2、21B2を設けている。
一方、フックボタン21B2と21T2とを係合する様に折り曲げる(或いは湾曲させる)と、図3の矢印A2で示す様に、Y軸を中心に湾曲させることとなる。
その他の構成及び作用効果については、図3、図4の第2実施形態は、図1、図2の第1実施形態と同様である。
その他の構成及び作用効果については、図5〜図8の第3実施形態は、上述した実施形態と同様である。
図9及び図10で示す本発明の第4実施形態に係る衣類用ハンガー1C(板状主部材としては符号10Cで示す)は、図5〜図8の第3実施形態に対して、壁等への吊掛け手段とデザイン用抜き孔の形状が異なる。図5〜図8の第3実施形態と異なる部分について、以下に説明する。
また、横軸部11の左右両端11L、11R近傍には馬蹄状の抜き孔20が馬蹄の先方を横軸部11の外方に向けるように形成されている。
第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第3実施形態と同様である。
図12、図13の第5実施形態に係る衣類用ハンガー1D(板状主部材としては符号10Dで示す)は、その外形(輪郭)については、図1〜図11の各実施形態と概略同様である。
その他の構成及び作用効果については、図12及び図13の第5実施形態は、図1〜図11の各実施形態と同様である。
また、板状主部材10Eの横軸部11の少なくとも上下何れか一方の外縁には円弧状の切欠き部25、25が形成されている。
第6実施形態に関するその他の作用効果は、上述した各実施形態と実質的に同様である。
図1〜図15の各実施形態は、それ自体が独立した衣類係止用のハンガーとして概略十字形の板状主部材で構成されている。それに対して、図16〜図18の第7実施形態は、壁面の表層部を構成する可撓性部材(例えばカーペット等)の一部を衣類係止用のハンガーとして使用可能に構成した点で、明確に相違している。
しかし、これは、単に図面に壁面Wと可撓性部材Sとを明確に表示するための便宜的な表現である。
折り曲げ、持ち上げられた下側部分14Bの抜き痕15からは、壁Wが見える。
尚、図4において符号11Aは横軸部を、13Aは横軸部11Aの湾曲部を示す。
すなわち第7実施形態によれば、衣類を係止していない状態では、衣類係止用のハンガー1Aは可撓性部材S(例えばカーペット)と同化しており、肉眼においては、「衣類を係止していない状態のハンガー」ではなく、「内装(インテリア)の一部を構成する例えばカーペットの様な可撓性部材S」と把握されることになる。
なお、ハンガー1Aとしての形状を保持している場合であっても、図17で示す様に抜き痕15から壁Wが見えること自体が、インテリア装飾的な効果を奏する場合もあり得る。
この第8実施形態は、第7実施形態と概略同様であるが、第7実施形態において、図17で示す様に、ハンガー(符号1Gで示す)として使用する際に、その背面にスペーサ61を挿入している。
第8実施形態のその他の構成及び作用効果については、第7実施形態と同様である。
この第9実施形態は、第1実施形態〜第6実施形態と同様に、線対称の板状主部材を対称軸を中心として折り曲げて、衣類係止用ハンガーを構成するタイプの実施形態である。
また、前記首部34T、34Bには、吊り掛け用孔18、18と、スリット23T、23Bとが形成されている。
横軸Xの上方側の胸部である部分円弧部33Tの近傍には、例えば、女性の胸部を側方から視たのと類似する輪郭が、互いにその先端が向き合う様な切り込み(スリット)41、41として形成されている。その切り込み41、41を切り込み41、41の上下端部を結ぶ直線41aで折り曲げ、紙面に対して直角に胸部形状の切り込み41、41を起こした状態が図22に示してある。
尚、図21は図20の横軸Xに沿って上下を折り曲げて、ハンガー1Fとして使用できる状態に形成されたものである。
このように、切り込み41、41によって一部を起こして立体的にハンガーを演出することにより、特に女性用衣類においては、女性の体型に合致した展示を行うことが出来る。
第9実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第1実施形態と概略同様である。
例えば、図1〜図4の第1実施形態及び第2実施形態における係合手段であるフックボタン21T、21Bを、図5〜図8の第3実施形態の係合手段である切り込み(スリット)16T、16Bと置き換えても良い。
Claims (4)
- 少なくとも1本の直線を対象軸とする線対称な形状で且つ可撓性を有する板状部材から成り、該対称軸を中心として湾曲し、当該湾曲した部分で衣類を係止して保持する様に構成されていることを特徴とする衣類係止装置。
- 前記線対称な形状は十字形であり、十字形の突起部分の先端に係止手段を形成し、前記対称軸を中心として湾曲した際に、当該対象軸を包含していない領域に形成された係止手段同士が係合し、前記対称軸を中心として湾曲した状態を維持する様に構成されている請求項1の衣類係止装置。
- 壁面の表層部を構成する可撓性部材を、水平方向軸を対象軸とする線対称な形状に切断してあるが、垂直方向上方の領域は切断されておらず、垂直方向下方の領域を前記水平方向軸に沿って湾曲させ、当該湾曲させた部分及び残存させた部分で衣類を係止して保持する様に構成されていることを特徴とする衣類係止装置。
- 垂直方向上方の領域及び垂直方向下方の領域に係止手段を設け、該係止手段同士を係合させることにより、前記水平方向軸に沿って湾曲した状態を維持する様に構成されている請求項3の衣類係止装置。
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