JP3200866U - 装着片、着用物および着用物セット - Google Patents

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Abstract

【課題】衣服等の着用物のデザイン多様性に優れる、着用物セット、ならびに着用物セットに用いられる装着片および着用物を提供する。【解決手段】装着片を取り付けることができるボタンを有する着用物100と、着用物に対して着脱可能な装着片であって、ボタン1、3、4、6と係合するボタンホールを備える装着片200と、を備える。装着片が着用物と異なる素材で形成され、少なくとも1つのボタンホールの向きが、他のボタンホールの向きと異なることが好ましい。【選択図】図1C

Description

本考案は、衣服などの着用物に取り付けられる装着片、着用物および着用物セットに関する。
シャツなどの衣服には、デザイン的な役割を付与するために、ワッペンを縫いつけるか、もしくはアイロンで固定することが行われている。また、物品を保持する機能を付与するために、ポケットが設けられている。しかしながら、通常、これらはいずれも衣服に固定される(着脱不能な)ものである。したがって、需要者は、所望のデザインおよび機能を有する衣服を前もって1つに決定しなければならなかった。
また、衣服のデザインにバリエーションを持たせることを目的として、スナップボタンを用いた衣服およびポケットが提案されている(特許文献1を参照)。
実用新案登録第3184192号公報
衣服に対する個々の需要者の要求は、多様であり、デザインおよび機能の点において優れた、さらなるバリエーションが求められている。
本考案は、上記の点に鑑みて完成されたものであって、衣服等の着用物のデザインの多様性に優れる、着用物セット、ならびにこの着用物セットに用いられる装着片および着用物を提供することを目的とする。
(構成1)
着用物に対して着脱可能な装着片であって、
前記着用物に備えられるボタンと係合するボタンホールを備えることを特徴とする装着片。
(構成2)
前記着用物と異なる素材で形成されることを特徴とする、構成1に記載の装着片。
(構成3)
前記ボタンホールが複数備えられ、当該複数のボタンホールの内、少なくとも1つのボタンホールの向きが、他のボタンホールの向きと異なることを特徴とする、構成1又は構成2に記載の装着片。
(構成4)
前記ボタンホールの向きが、前記装着片の上部では横向き、前記装着片の下部では縦向きであることを特徴とする、構成3に記載の装着片。
(構成5)
折り目片を有し、当該折り目片に前記着用物に備えられるボタンと係合するボタンホールが備えられることを特徴とする、構成1〜4のいずれかに記載の装着片。
(構成6)
前記折り目片が折り返されることにより二重構造となる部分において、二重構造のそれぞれにおいて形成される前記ボタンホールであって、同一の前記ボタンに対して係合するボタンホールの向きが異なっていることを特徴とする構成5に記載の装着片。
(構成7)
二重以上の構造を有することを特徴とする、構成1〜6のいずれかに記載の装着片。
(構成8)
前記二重以上の構造が、上部が開口した袋状体であることを特徴とする、構成7に記載の装着片。
(構成9)
前記着用物のボタンとの係合時に、前記ボタンが前記袋状体の内側に露出しない構造を有することを特徴とする、構成8に記載の装着片。
(構成10)
前記着用物のボタンとの係合時に、前記ボタンが前記装着片の表側に露出しない構造を有することを特徴とする、構成1〜9のいずれかに記載の装着片。
(構成11)
前記装着片が移動可能なように前記ボタンホールが形成されていることを特徴とする、構成1〜10のいずれかに記載の装着片。
(構成12)
構成1〜11のいずれかに記載の装着片が備える前記ボタンホールと係合可能なボタンを有することを特徴とする、着用物。
(構成13)
前記装着片が異なる位置に着脱可能なボタンを有することを特徴とする、構成12に記載の着用物。
(構成14)
構成1〜11のいずれかに記載の装着片と、構成12又は構成13に記載の着用物と、を備えることを特徴とする着用物セット。
(構成15)
前記装着片が複数備えられることを特徴とする構成14に記載の着用物セット。
(構成16)
前記装着片が、前記着用物に対して重ねて取り付けられることを特徴とする構成15に記載の着用物セット。
本考案に係る着用物セット、装着片、または着用物によれば、個々の需要者の多様な要求を満たすことができる。
実施形態1の着用物(Tシャツ)を示す図 実施形態1の装着片を示す図 実施形態1の着用物セットを示す図 実施形態1の装着片の他の例を示す図 実施形態2の装着片を示す図 実施形態2の装着片のデザインを示す図 実施形態2の着用物セットを示す図 実施形態3の着用物を示す図 実施形態3の装着片を示す図 実施形態3の着用物セットを示す図 実施形態3の装着片の他の例を示す図 実施形態3の装着片の他の例を示す図 実施形態3の装着片の他の例を示す図 実施形態3の装着片の他の例を示す図 実施形態4の着用物を示す図 実施形態4の装着片を示す図
以下、本考案の実施態様について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施態様は、本考案を具体化する際の一形態であって、本考案をその範囲内に限定するものではない。
本考案は、衣服などの着用物に取り付けられる装着片、着用物および着用物セットに関し、本考案に係る装着片とは、下記の着用物に装着される加工された生地であって、ボタンホールを有するものである。ボタンホールは、着用物が有するボタンに対して着脱可能に係合される線状部分(線状の孔と、その周辺にほつれ防止の縫目等があるもの)を有し、この線状部分は、直線状もしくは曲線状、またはそれらを組み合わせて形成される。 また、ボタンホールは、それぞれ固有の向きを有する。その向きは、線状部分が直線状の場合にはその直線の傾きであり、曲線状の場合には曲率半径で表される弧における弦の傾きであり、直線と曲線が組み合わせられた場合には、他のボタンホールの向きを考慮した上で、装着片の移動もしくは固定の度合いに最も寄与する直線もしく弦の傾きである。
本考案における着用物とは、Tシャツ、ワイシャツ、セーター、ジャケット等の上衣、ズボン、スカート等の下衣などの衣服、帽子、靴などの、人もしくは愛玩動物が身に着用するもの等も含む。実施形態においては、着用物である衣服の一例として、Tシャツを用いて以下に詳細に説明するが、一般的に使用されるのと同様に、Tシャツのネック側を上部、ボタンが取り付けられている方を表側とし、これを基準として、左右とする。また、装着片の上下左右、表裏は、装着される衣服と同じである。なお、他の着用物においても、同様である。
〈実施形態1〉
図1Aは、本実施形態の着用物(Tシャツ)を示す図であり、Tシャツ100の右上部(左胸部分)に6つのボタン1〜6を有している。
本実施形態のボタン1〜6は、ボタンホールに係合される、表穴ボタンや裏穴ボタンである。
ボタン1〜6の素材としては、需要者が所望する任意の素材が用いられるが、これには、例えば、ポリエステル、ABS樹脂、金属、ナイロン、ユリア、貝、ナット等が挙げられる。それぞれの素材が固有の品質、外観、触感、質感を有しているが、さらに色、模様、形状等を加えることで、ボタン1〜6にさらなるデザイン性を付与することもできる。また、表穴ボタンの場合には、着用物もしくは装着片に合わせた、糸の色、穴の配置、結び方を採用することにより、さらなるデザイン性を付与することができる。
図1Bは、本実施形態の装着片200を示しており、直線状の4つのボタンホール11〜14を有し、Tシャツ100のボタン1、3、4、6にそれぞれ係合されるように配置されている。また、装着片200の上部のボタンホール11、14は横向き、下部のボタンホール12、13は縦向きであり、その向きが90度異なる。
Tシャツ(着用物)100および装着片200は、同じ素材を用いても良いし、需要者の所望により異なる素材を用いても良い。Tシャツ100と装着片200の素材は、一般的に衣服等の着用物の生地に用いられる原材料を用いて製造される。そのような原材料としては、例えば、綿、麻等の植物繊維、絹、羊毛、カシミヤ等の動物繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等の再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維、およびこれらの混合材料、ならびに動物の皮革等が挙げられ、それぞれの原材料が固有の品質、外観、触感、質感を有している。
また、本実施形態のTシャツ100および装着片200に加工される生地は、上記の原材料から製造されるものであり、例えば、綿のみで、あるいはこれに麻、ウール、シルク等を使用して織られた生地等が挙げられる。また、原材料の種類が同じでも、織り方、染色材料および方法、または、プリントもしくは色の異なる糸による織りこみによるキャラクター、模様等の図柄によって、それぞれの生地は、固有の品質、外観、触感、質感が変わり得る。織り方が、品質等に大きく影響を与える例としては、デニム生地が挙げられる。デニム生地には、デニム、ダンガリー、オックスフォード、シャンブレー等があるが、原材料の種類が同じであっても、織り方を変更することによって、それぞれ異なる品質、外観、触感、質感を有する。
なお、本明細書において、素材が異なるという場合には、上記のように原材料の種類が異なる場合、生地の種類が異なる場合、織り方が異なる場合等のいずれをも含む。
図1Cは、Tシャツ100のボタン1、3、4、6に、装着片200のボタンホール11〜14を係合した着用物セット300を示す図である。図1Aに示されるごとく、Tシャツ100は、装着片200のボタンホール11〜14に対応するボタン1、3、4、6以外に、他のボタン(ボタン2、5)を有しても良く、装着片が重なるボタンの全てがボタンホールに係合されなくても良い。
また、装着片200が、Tシャツ100のボタン1〜6が配される範囲を全て覆う大きさで形成されることを要するものではなく、一部のボタンが露呈するような大きさの装着片としてもよい。図1Dはそのような装着片の一例を示す図である。装着片210は、装着片200よりも小さく、ボタンホール21〜24が、それぞれTシャツ100のボタン2〜5に対応し、係合されるように配置されている。即ち、装着片210をTシャツ100に取り付けた際に、装着片210の範囲外において、Tシャツ100のボタン1,6が配される構成となるものであり、さらにデザインのバリエーションを豊富化し得るものである。
以上のごとく、本実施形態によれば、需要者は、1つの衣服(Tシャツ100)に対して、視覚的効果を有する生地素材、所望の模様もしくはキャラクター等の図柄、またはそれらを組み合わせた、異なる装着片200を衣服等の着用物に着脱することにより、衣服のデザインのバリエーションを増やすことができる。
また、図1Cに示されるごとく、ボタン1、3、4、6の外観が表面に露出することにより、装着片200のデザインだけでなく、ボタン1、3、4、6の配置もしくは素材(色や触感)等を組み合わせた、より高度なデザインを生み出すことができる。同時に、Tシャツ100においても、ボタン1〜6をデザインの一部とすることができ、装着片200を取り付けるための部材によって、装着片200が取り付けられていない状態の衣服(Tシャツ100)のデザイン性が損なわれることが抑止される。
また、衣服等の着用物の機能の点において、装着片200が取り付けられた着用物セット300では、下部や側面となるボタンの配置により、下部や側面も開口した状態であり、一般的なポケットとしての役割は果たさないが、例えば、バラやカーネーションのように先端(花部)が比較的大きなものを挿入することにより、茎部を貫通させて、花等の比較的長い物品を保持する機能と同時に、その物品と組み合わせて、さらに高度な視覚的効果を生ずることもできる。一方、左右の貫通部を利用して、ストラップ等の輪状構造物を掛けることもできる。
なお、ボタンの配置、数を変更することにより、着用物と装着片との間の下部や側面における隙間を点線状に閉口することにより、ポケットと同様の物品保持機能を付与することもできる。
また、需要者が所望の素材の装着片200を選択し得ることは、特に有用である。需要者によっては、肌と直接接触する部分には使用したくないが、デザイン的には使用したい、あるいは、好きな手触りの素材を衣服の表面の所望の位置に配置しておくことで、その触感を楽しみたいという要求があり、それらを満たすことができるからである。
さらに、需要者は、品質等に優れた高級な素材の装着片200を使用することにより、その衣服等の着用物にかかる費用を抑えつつ、優れた品質の着用物(部分的に)を使用しているという優越感を持ち得、その着用物に満足する。
このように、装着片200とTシャツ(着用物)100のそれぞれの品質等を決定し得る素材を異なるものとすることにより、従来品では満たせなかった需要者の要求を満たすことができる。
また、複雑な構造を有さない1枚の生地による一重構造の装着片200について、所望の素材を選択した後に、デザインとボタンホールを付与することのみによって、衣服のデザインおよび機能のバリエーションを増やすことができるため、製造会社は、装着片200の製造コストを抑えることができる。
さらに、少なくとも1つのボタンホールの向きが異なっていると、装着片のずれもしくはよれを低減することができる。すなわち、装着片200において、ボタンホール11〜14が全て縦の場合には、装着片200は縦にずれ、もしくはよれてしまい、ボタンホール11〜14が全て横の場合には、装着片200は横にずれ、もしくはよれる可能性が高くなるためである。また、ボタンホールの向きを交互に90度ずつずらすこと等により、装着片の周囲にわたる固定度の均一性を上げることができる。特に、本実施形態の装着片200では、上部(ボタンホール11、14)を横向きに、下部(ボタンホール12、13)を縦向きにすることにより、装着片200のずれおよびよれを、さらに低減することができる。即ち、上部のボタンホール11、14が縦向きである場合、重力によって装着片200の上側部分が下に下がってしまい、ボタンホールの中心とボタンの中心が合わない(縦方向にずれる)状態となってしまうが、上部のボタンホール11、14を横向きにしていることによりこれが抑止され、且つ、下部のボタンホール12、13縦向きにすることにより、横方向のずれも抑止されるものである。これにより、ボタンホールの中心とボタンの中心が合うように保持する効力が得られ、意匠的にも優れるものである。
本実施形態は、上記のように構成されているため、装着片200とTシャツ(着用物)100があらかじめ組み合わせられた着用物セット300は、ボタンの配置等の寸法や、一定のデザインバランスを有する組み合わせがあらかじめ揃えられている。よって、需要者は、手軽に装着物の付け替えを楽しむことができる。
また、需要者は、Tシャツ(着用物)100を1つ持っていれば、複数の装着片200との組み合わせにより、その1つを用いてさまざまな衣服として楽しむことができる。一方、装着片200を1つ持っていれば、複数のTシャツ(着用物)100との組み合わせにより、さまざまな衣服として楽しむことができる。従って、自分好みの衣服を作り上げると同時に、衣服等にかける費用を抑えることができる。
〈実施形態2〉
図2Aは、実施形態2の装着片220を示す図である。本実施形態の装着片220は、実施形態1のTシャツ(着用物)100に対して着脱可能なものである。
なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を省略もしくは簡略化する。
図2Aに示される装着片220は、折り目221より上の部分については、ボタンホール15、16が追加されている以外は実施形態1の装着片200と同様の構成であるが、実施形態1の装着片200の下端から延設されるようにして、折り目221で折り曲げられる折り目片222を備える。折り目片222には、Tシャツ(着用物)100に備えられるボタン2〜5と係合するボタンホール35〜38が備えられる。
このような構成により、折り目片222が折り目221で表もしくは裏に折り返されてボタンホール35〜38がTシャツ100のボタン2〜5に係合されると、下部が閉口され、折り返された折り目片222が存在する部分において二重構造となる。さらに、折り目片222のボタンホール35〜38は、ボタンホール12、13、15、16に対して縦向きと横向きの組み合わせであるため、折り返しにより、十字状となって、同じボタンに係合される。
なお、折り目221については、所望の位置に、縫い目を付けておく、あるいは生地の織り方を変更する等して、折り目をつけやすいように、折り目構造をあらかじめ形成しておくことができる。
図2Bは、装着片220にデザインを付したものである。表側には、ゾウと草原、裏側にはシマウマと川のデザインが付されている。
図2Cは、Tシャツ100に、装着片220を折り返して装着した着用物セット310を示している。
図2B及び図2Cから理解されるように、需要者は、折り目片222を折り返さない状態で、装着片220の表と裏を使い分けることによって、(1)ゾウと草原、(2)シマウマと川のデザインを利用でき、折り目片222を表裏に折り返すことにより、さらに、(3)ゾウのみ、(4)シマウマのみ、(5)ゾウと川、(6)シマウマと草原の、6通りのデザインバリエーションが楽しむことができる。このような組み合わせは、ストライプ、チェック柄等の模様にも応用できる。
すなわち、1枚生地の装着片の表裏に、所望のデザインを適切に配置して折り返すことにより、複数の装着片を使用することなく、デザインバリエーションを増やすことができる。
以上のごとく、本実施形態の装着片220(及びTシャツ(着用物)100)によれば、折り目221を境に装着片220の表と裏で異なるデザインを付すことにより、折り目片222の折り方に応じて異なる外観を呈することができるため、1枚の装着片220により、多様なデザインを得ることができる。
また、折り目片222の折り曲げによって、装着片220の下部を完全に閉口するこができるため、ポケットとしての物品保持機能を付与する際に有利である。ポケットとしての機能を重視する場合には、折り目片222をより大きく形成して二重構造となる範囲を大きくしたり、左右のボタン(及びボタンホール)の数を増やして側面における開口を小さくするとよい。
また、本実施形態の装着片220によれば、装着片220を折り目片222で折り返した際に、下部で重なりあうボタンホール(二重構造のそれぞれにおいて形成されるボタンホールであって、同一のボタンに対して係合するボタンホール)は、垂直に十字状に交わるため、装着片220を点で固定することができ、装着片220のずれやよれをさらに低減することができる。(ボタンホールの向きを垂直に十字状に交わるようにすることで当該効果が最大化されるが、垂直にしなくとも、ボタンホールの向きを異ならせることによって、当該効果を得ることができる。)
また、折り目221に折り目構造を形成しておくことにより、需要者は、簡単に折り目を付けて本考案の装着片を楽しむことができる。
〈実施形態3〉
図3Aは実施形態3のTシャツ110を示す図である。本実施形態のTシャツ110は、装着片が異なる2か所に着脱可能なボタン41〜44、とボタン45〜48を有している。
図3Bは、実施形態3の装着片230を示す図である。
なお、実施形態1や2と同様の構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を省略もしくは簡略化する。
本実施形態の装着片230は、実施形態1の装着片200に対し、ボタンホールを有さない生地が、表側に上部以外で縫いつけられて、上部のみが開口する袋状体を形成している。
図3Cは、Tシャツ110に対して複数の装着片230を装着した着用物セット320を示す図である。
本実施形態の着用物セット320によれば、図3Cから明らかなように、複数の装着片を異なる位置に装着することができる(本実施形態の装着片230に限られず、実施形態1や2の装着片も利用できる)。これにより、異なるデザインの装着片の配置を変えることで、異なるデザインの衣服である印象を与えることができる。例えば、バス停が描かれた装着片とバスが描かれた装着片は、いずれか1か所に、単独で用いることができるが、組み合わせることにより、一体的なデザインを生じ得、さらにそれらの配置の左右を逆にすることで、バスが出発もしくは到着するという、異なる印象を与えるデザインを生じさせることができる。
また、装着片230は、装着片自体があらかじめ上部が開口した袋状体に形成されているため、ボタンの数を増やすことなく、着用物に係合されることのみによって、ポケット機能を発揮することができる。
このように予め袋状体として形成される装着片の別の例を、図3D〜図3Gに示した。
図3D〜図3Gに示される装着片は、着用物のボタンとの係合時に、ボタンが袋状体の内側に露出しない構造を有するものである。
図3Dに示される装着片240は、図3Bに示される装着片230のボタンホールを有する裏面とボタンホールを有さない表面との間に、もう1枚のボタンホールを有さない中面241が挿入され、中面241は全周囲において裏面と縫いつけられているが、表面とは上部以外で縫いつけられているため、3枚の生地で構成され、中面241と表面により上部のみが開口する袋状のポケットを形成している。
図3E〜3Gに示される装着片は、何れも袋状体部分にはボタンホールを設けずに、袋状体の範囲外において、ボタンホールを設けているものである。図3Eに示される装着片250は、袋状体部分の両側面に延設される延設部251においてボタンホールが設けられる。延設部251は一重構造であるため、ボタンは表側に露出する。これに対し、図3Fに示される装着片260は、装着片250の延設部251を2重構造とし、ボタンが表側に露呈しないようにしたものである。図3Gに示される装着片270は、ボタンホール付近のみを装着片260と同様の構成とし、それ以外の部分については袋状体としたものである。図3D〜図3Gに示される装着片によれば、着用物のボタンが装着片のボタンホールと係合されても、装着片の開口部により形成されるポケットの内側にボタンが露出しない。よって、需要者は、この装着片によるポケット内にボールペン等の物品を入れる時にその物品がボタンに引っ掛かったり、あるいはポケットの中身を取り出す時に、指がボタンに引っ掛かったりすることを抑止することができる。
〈実施形態4〉
図4Aは実施形態4のTシャツ120を示す図であり、図4Bは実施形態4の装着片280を示す図である。
図4Aに示されるTシャツ120には、一見、単なる炎のようなデザインが描かれており、デザイン的にも単独で着用できる。これに対して、図4Bに示される装着片280には、ロケットが描かれている。また、装着片280は、上部に横向きのボタンホール61、64を有し、上部から下部にかけて縦向きに長いボタンホール(62、63)を有している。
本実施形態は、衣服のデザインと装着片の移動を利用した例であり、装着片280をボタン51〜53、58〜60に係合すれば、単なる炎部分はロケットの噴射炎の印象を与え、ロケットが発射した後のデザインを表すが、ボタン53〜58に係合して、Tシャツ120の炎のデザインを隠すように着用すると、Tシャツ120にロケットのデザインのみを表すことができる。さらに、係合された6個のボタンのうち、上部のボタン53、58および下部のボタン55、56を外して、中間のボタン54、57は外さずに縦長のボタンホールに沿って装着片を上側にスライドさせた後に、再度係合することにより、ロケットが発射した直後のデザインを表すことができる。すなわち、装着片を固定することを目的とする横向きのボタンホールと主に移動を目的とした縦に長いボタンホールとを組み合わせることで、全てのボタンを取り外して付け直すことなくスライドさせることにより、異なるデザインバリエーションを生じることができる。なお、このデザインバリエーション効果は、全てのボタンを取り外して、ボタンホールの長さに制限される範囲を超えて移動させることによっても達成される。
また、本実施形態における装着片280において、縦向きのボタンホールを下側に貫通させることにより、下部のボタンホール62、63は、上下に固定する機能を失うものの、左右の固定機能を保持しながら、縦向きのボタンホールの長さに制限されることなく、移動が可能となる。
なお、本実施形態における、直線もしくは曲線で形成されるボタンホールの線状の長さおよび向きは、移動させたい範囲に従い適宜調整できる。
以上のごとく、各実施形態に係る装着片、着用物、着長物セットによれば、様々なバリエーションのデザインを創出することが可能である。
なお、各装着片は、1箇所に対して1つに限定されるものではなく、複数の装着片を重ねて着用物に取り付けるようにしてもよい。例えば、袋状の装着片と、当該袋状の装着片の上部においてポケットチーフ状に飛び出る装着片とを重ねて取り付けることにより、胸ポケットにポケットチーフを入れているような使い方が可能である。また、大きさや形状、及びデザインの異なる装着片を重ねて取り付けることにより、実施形態2の折り返し片を有する装着片において説明したのと同様の機能を奏することができる(より多彩な組み合わせを実現できる)。
各実施形態の装着片(生地1枚からなる一重構造の装着片、二重構造以上の装着片、折り返し構造を有する装着片、袋状体の装着片、移動可能な装着片など)を、それぞれ、もしくは任意の組み合わせで、着用物に、折り返して、重ね合わせて、または異なる位置に装着することができ、これにより多彩なデザインを得ることができるものである。
なお、上記の各実施形態において、本考案の理解を妨げない範囲で、装着片におけるボタンホールの図示を一部省略したが、四角形状の装着片の四隅等、所望の数のボタンホールを所望の位置に配置することができる。
100...着用物
200...装着片
300...着用物セット
1〜6...ボタン
11〜14...ボタンホール
(構成7)
前記装着片自体が二重以上の構造を有することを特徴とする、構成1〜6のいずれかに記載の装着片。
(構成9)
前記袋状体において前記ボタンホールが形成される裏面と縫いつけられる中面を備えることにより、または、前記袋状体の範囲外においてボタンホールを設けることにより、前記着用物のボタンとの係合時に、前記ボタンが前記袋状体の内側に露出しない構造を有することを特徴とする、構成8に記載の装着片。
(構成10)
前記ボタンホールが形成される箇所を2重構造として、当該2重構造の裏面側に前記ボタンホールを形成することにより、前記着用物のボタンとの係合時に、前記ボタンが前記装着片の表側に露出しない構造を有することを特徴とする、構成1〜9のいずれかに記載の装着片。
(構成11)
前記ボタンホールが前記着用物の複数のボタンと同時に係合可能な長さを有することにより、当該複数のボタンのうちの少なくとも1つを外した際に前記装着片が移動可能なように前記ボタンホールが形成されていることを特徴とする、構成1〜5、7〜10のいずれかに記載の装着片。
(構成13)
前記装着片を着脱する一組の前記ボタンが、複数箇所に設けられることにより、前記装着片が異なる位置に着脱可能であることを特徴とする、構成12に記載の着用物。

Claims (16)

  1. 着用物に対して着脱可能な装着片であって、
    前記着用物に備えられるボタンと係合するボタンホールを備えることを特徴とする装着片。
  2. 前記着用物と異なる素材で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の装着片。
  3. 前記ボタンホールが複数備えられ、当該複数のボタンホールの内、少なくとも1つのボタンホールの向きが、他のボタンホールの向きと異なることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の装着片。
  4. 前記ボタンホールの向きが、前記装着片の上部では横向き、前記装着片の下部では縦向きであることを特徴とする、請求項3に記載の装着片。
  5. 折り目片を有し、当該折り目片に前記着用物に備えられるボタンと係合するボタンホールが備えられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の装着片。
  6. 前記折り目片が折り返されることにより二重構造となる部分において、二重構造のそれぞれにおいて形成される前記ボタンホールであって、同一の前記ボタンに対して係合するボタンホールの向きが異なっていることを特徴とする請求項5に記載の装着片。
  7. 二重以上の構造を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の装着片。
  8. 前記二重以上の構造が、上部が開口した袋状体であることを特徴とする、請求項7に記載の装着片。
  9. 前記着用物のボタンとの係合時に、前記ボタンが前記袋状体の内側に露出しない構造を有することを特徴とする、請求項8に記載の装着片。
  10. 前記着用物のボタンとの係合時に、前記ボタンが前記装着片の表側に露出しない構造を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の装着片。
  11. 前記装着片が移動可能なように前記ボタンホールが形成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の装着片。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の装着片が備える前記ボタンホールと係合可能なボタンを有することを特徴とする、着用物。
  13. 前記装着片が異なる位置に着脱可能なボタンを有することを特徴とする、請求項12に記載の着用物。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の装着片と、請求項12又は請求項13に記載の着用物と、を備えることを特徴とする着用物セット。
  15. 前記装着片が複数備えられることを特徴とする請求項14に記載の着用物セット。
  16. 前記装着片が、前記着用物に対して重ねて取り付けられることを特徴とする請求項15に記載の着用物セット。
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