JPWO2004112474A1 - 釣竿 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、振出形式と呼ばれる連結手法を採用した釣竿は、穂先側端部内周を嵌合雌部とする大径竿体と、竿元側端部外周を嵌合雄部として大径竿体の穂先側に連結される小径竿体とを有している。この振出形式の釣竿では、大径竿体内に穂先側から小径竿体が挿入され出し入れ自在となっている。そして、釣りを行う際には各竿体を順次穂先側に引き出して嵌合固定して一本の竿体として用いる。一方、収納時には穂先側の竿体を順次竿元側の竿体内に収納してコンパクトな状態とする。
また、並継形式と呼ばれる連結手法を採用した釣竿も、上記のケースと同様に大径竿体と小径竿体とを連結するものである。この手法では、小径竿体は大径竿体の内部に出し入れ自在となっていない。個々の竿体を使用時に順次連結して一本の釣竿とする。その他、印籠継ぎと呼ばれる連結手法もある。
このように様々な手法をもって複数の竿体が連結されて一本の釣竿が構成されているが、複数の竿体を連結する釣竿において生じる問題に、釣竿の曲がりが連続的なものになりにくいということがある。
即ち、複数の竿体を連結して一本の釣竿とする場合、竿体同士の連結部分では2つの竿体が重なり合うことになる。そして、竿体が2重に重なる部分は他の部分に比較して曲がり難くなる。釣竿は、仕掛けに魚が係った際に、手元側の竿体から穂先側の竿体まで連続的にきれいな弧を描くように曲がるのが好ましいものとされ、魚を釣り上げる際の操作性も良好であるとされる。
従って、竿体同士の連結部分での曲がりを良好にして、釣竿全体として連続的にきれいな弧を描けるように様々な工夫が提案されてきた。例えば、竿体同士を連結する連結部分の素材の弾性を調整し、若しくは、連結部分を構成する繊維強化樹脂素材の繊維の配向方向を調整する等の工夫が提案されてきた(日本国特許:特開2000−236782号公報など参照)。
このように、竿体の素材の特性などに関して様々な工夫が提案されてきた。しかし、必ずしも釣人の要請に十分に応じ得るだけの釣竿は未だ提供されておらず、さらなる改良が求められている。
本発明の課題は、複数の竿体を連結してなる釣竿において、全体の曲がりとして連続的なきれいな弧を描き得るような釣竿を提供することにある。
本発明の釣竿は、複数の竿体を連結してなる釣竿であって、先細りの筒状体であり、穂先側端部内周面に嵌合雌部を有する第1竿体と、第1竿体の穂先側に連結された先細りの筒状体であり、竿元側端部外周面に他の部分より一段大径化しており且つ嵌合雌部のテーパに整合するテーパ面となっている嵌合雄部を有する第2竿体とを備えている。この第1竿体の穂先側外周面には、穂先側端縁より嵌合雌部の領域を超えない範囲において、穂先側ほど外径が小径化する面取りテーパが施されており、第1竿体の穂先側外周面には、穂先側端縁より少なくとも嵌合雌部の領域を超えて竿元側に至るまでの領域に塗布され、且つ面取りテーパ部分の竿元側の領域においては軸方向において外径が変化しないように塗布されている塗膜層が形成されている。また、第2竿体の嵌合雄部は、第1竿体の穂先側に第2竿体が延びている状態にあっても第1竿体の内部に完全に収納されている。
この釣竿では、第1竿体と第2竿体とを連結する際には、第1竿体の嵌合雌部に第2竿体の嵌合雄部が嵌着する。第1竿体と第2竿体とが振出形式である場合には、第2竿体を第1竿体の内部から引き出して相互に連結する。第1竿体と第2竿体とが並継形式である場合には、第2竿体の嵌合雄部を第1竿体の穂先側から挿入して相互に連結する。
ここでは、嵌合雄部と嵌合雌部とのテーパを統一化し、第1竿体と第2竿体とが連続的に周面で接触している。次いで、第1竿体の穂先側外周面の穂先側ほど外径が小径化する面取りテーパが、第1竿体の穂先側と第2竿体の竿元側との段差を可及的に抑える。さらに、第1竿体の穂先側外周面の塗膜層が視覚的に竿体の曲がりの連続性を演出する。この塗膜層は可及的に軸方向に長く形成すると視覚効果がより大きくなる。少なくとも、穂先側端縁より少なくとも嵌合雌部の領域を超えて竿元側に至るまでの領域に於いては塗膜層を形成する。また、この第2竿体の嵌合雄部は、第1竿体の穂先側に第2竿体が延びている状態にあっても第1竿体の内部に完全に収納されており、嵌合雄部の周面が外観上顕れない。
この第2竿体の嵌合雄部は周方向に強化繊維が配向された繊維強化樹脂から形成するのが好ましい。この周方向とは、竿体の軸方向に直交する方向若しくは多少軸方向に傾いた螺旋方向を含む。軸方向に配向される強化繊維は軸方向の曲げ剛性に大きな影響を与えるので、上述の周方向に強化繊維を配向する。
さらに、第2竿体が第1竿体の穂先側に延びている状態において、第2竿体の嵌合雄部の穂先側端縁と第1竿体の穂先側端縁との距離が0〜5mmに設定するのが好ましい。この距離を短く設定することで、竿体の曲がりがよりきれいに見える。
また、第1竿体の穂先側端部の面取りテーパの軸方向の傾斜角は軸方向に対して45度以下とするのが好ましい。係る角度が大きく急傾斜のテーパとすると、第1竿体と第2竿体との連結部分における曲がりが不自然に見える。なお、穂先側端部に面取りテーパが施された第1竿体の穂先側端縁の厚さは、面取りテーパ部分の竿元側端部の厚さの1/2となるようにするのが好ましい。
(図面の説明)
第1図:本発明の第1実施形態を採用した中通し竿の全体図。
第2図: 第1図の中通し竿において、中竿3と元上竿2との連結部分を示した図。
第3図:第2図の元上竿2の穂先側端部の拡大図。
第4図:中竿3の嵌合雄部3a付近を示した図。
第5図:元上竿2の嵌合雌部2a付近の変形例
第6図:実施例1の#4と#5との連結部分の写真(傾斜角30度)。
第7図:実施例1の#4と#5との連結部分の写真(傾斜角40度)。
第8図:比較例1の#4と#5との連結部分の写真(傾斜角30度)。
第9図:比較例1の#4と#5との連結部分の写真(傾斜角40度)。
本発明の第1実施形態につき、図面を参照しつつ説明する。
この釣竿は、図1に示すように、元竿1と、元竿1の穂先側に順次連結される、元上竿2,中竿3,穂先竿4とを有している。これら各竿体は、それぞれ炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維にエポキシ樹脂などの合成樹脂を含浸させたプリプレグ素材からなる先細り筒状部材である。後に詳しく説明するように、これらの各竿体はいわゆる振出形式で連結されており、穂先側に位置する竿体は順次竿元側に位置する竿体内部に収納可能である。
元竿1は、全体として竿元側ほど大径化するようなテーパが施された筒状体である。竿元側周面にリールを脱着自在に装着可能なリールシート5を有し、竿元側端部には尻栓9が脱着自在に装着されている。また、元竿1の穂先側の外周面には、リールからの釣糸を竿体内に導入するための釣糸導入口6が設けられ、釣糸導入口6付近にはリールからの釣糸を導入口内に案内するための導入ガイド7が装着されている。
元上竿2〜穂先竿4も先細りテーパが施された筒状体であり、内部は釣糸が挿通するための釣糸通路となっている。必要に応じて、釣糸通路となる各竿体の内周面には釣糸と内周面との接触面積を低減するための釣糸支持突起を形成してもよい。なお、最も穂先側に位置する穂先竿4の穂先側端部にはトップガイド8が装着されている。そして、釣糸はトップガイド8から外部に導出されることになる。
続いて、各竿体同士の連結部分について、元上竿2と中竿3とを例にして説明する。図2に示すように、元上竿2と中竿3とは、中竿3が元上竿2の内部に穂先側から出し入れ自在に連結されている。
元上竿2は、その穂先側端部の軸方向の一定の範囲において、その内周面が嵌合雌部2aとなっている。嵌合雌部2aは、他の部分に比較してテーパ傾斜が緩やかに穂先側ほど小径化している。もっとも、嵌合雌部2aのテーパはこのようなケースに限定されるものではなく、他の部分と均一なテーパ傾斜としても良い。若しくは、逆に、この嵌合雌部2aを他の部分に比較してテーパ傾斜が急になるように穂先側ほど小径化させてもよい。さらに、図5に示すように、元上竿2は穂先側に向かって一定のテーパで先細りとなり、穂先側において一度急テーパとなり、その後、再び緩やかなテーパとなって穂先側端に至るものとする。そして、この再び緩やかなテーパとなった部分を嵌合雌部2aとしてもよい。
図2及び図3に詳しく示すように、元上竿2の穂先側外周面には、穂先側端縁から竿元側に向かって、嵌合雌部2aの領域を超えない範囲において、穂先側ほど外径が小径化する面取りテーパが施された面取り部分10が形成されている。この面取り部分10の形成にあっては、好ましくは、この面取り部分10を有する元上竿2の穂先側端縁の厚さを、面取り部分10の竿元側端部の厚さの1/2となるように設定する(図3の1/2A及びAを参照)。穂先側端部の厚さを竿元側端部の厚さの1/2にすることで、元上竿2の素材自体の強度を担保しつつ、元上竿2と中竿3との周面の段差を外観上可及的に抑えられる。さらにまた、この面取り部分10を元上竿2の穂先側端部に形成する際には、軸方向の傾斜角α(図3参照)は軸方向に対して45度以下となるように設定するのが好ましい。傾斜角αをなるべく小さく設定することで、曲がりが自然に見えるようになる。さらに、面取り部分10について上述の厚さの設定をすると共に傾斜角αを45度以下に設定することを併用するがより好ましい。
また、元上竿2の穂先側外周面には、穂先側端縁より少なくとも嵌合雌部2aの領域を超えて竿元側に至るまでの領域に塗料を塗布して形成した塗膜層15が形成されている。塗膜層15は、例えば、エポキシ樹脂等に所定の塗料等を混入させた塗料からなる。塗膜層15は元上竿2の穂先側端部より可及的に竿元側に長く塗布するのがよい。好ましくは、5〜150mm程度の軸方向長さで塗膜層15を形成する。
この塗膜層15は、元上竿2の穂先側端縁から形成されており、元上竿2の面取り部分10領域内に於いては、面取り部分10の径変化と同様に穂先側ほど径が小径化するように塗布されている。一方、面取り部分10の竿元側の領域においては軸方向において外径が変化しないように塗布されている。即ち、元上竿2は穂先側ほど小径化するようなテーパが施されているが、塗膜層15は、面取り部分10の竿元側の領域においては竿元側ほど徐々に厚さが薄くなるように塗布され、軸方向において外径が均一になるように塗布されている。
一方、中竿3は元上竿2の穂先側に連結された先細りの筒状体である。中竿3は、竿元側端部外周面に他の部分より一段大径化した嵌合雄部3aを有する。中竿3は上述のように炭素繊維強化樹脂等から製造される。そして、図4に示すように、詳しくは、中竿3の軸方向に強化繊維を配向した軸方向プリプレグ層と、軸方向プリプレグ層の周面に積層された中竿3の周方向に強化繊維を配向した周方向プリプレグ層とからなる。この周方向プリプレグ層によって嵌合雄部3aが形成されている。具体的には、芯材の周面にシート状に加工した軸方向プリプレグを巻回し、その竿元側の周面にシート状若しくはテープ状に加工した周方向プリプレグを巻回する。その後、これらを焼成して中竿3を製造する。周方向プリプレグとしてテープ状の素材を螺旋状に巻回した場合、繊維方向は厳密には中竿3の周方向に直交する方向からやや傾斜することになる。なお、この嵌合雄部3aは嵌合雌部2aのテーパに整合するテーパ面となっている。即ち、元上竿2の嵌合雌部2aのテーパと中竿3の嵌合雄部3aの外径は一致するように設定され、嵌合雌部2aと嵌合雄部3aとが、軸方向にも周方向にも連続的に全周面で接触することが予定されている。
また、図2に示すように、元上竿2の穂先側に中竿を引き出した状態にあっても、中竿3の嵌合雄部3aは元上竿2の内部に完全に収納されている。即ち、中竿3を元上竿2の穂先側に引き出した状態においても、中竿3の嵌合雄部3aの穂先側端部は元上竿2の穂先側端縁よりその内部にΔXだけ内部に位置する。このようにすることで、嵌合雄部3aが不当に外観上顕れず、ゴミなどが入り難い。また、このΔXはなるべく小さく設定するのが、釣竿の曲がりを連続的に見えるようにするためには好ましい。特に、ΔXは5mm程度以下に設定するのが好ましい。
なお、ここでは、元上竿2と中竿3とを例にして各竿体の連結部分に関する構造を説明しているが、その他の竿体についてもそれぞれ同様の構造を採用する。
このような釣竿では、各竿体が順次穂先側に引き出され、穂先竿4,中竿3,元上竿2,元竿1において、竿元側に位置する竿体の嵌合雌部に穂先側に隣接する竿体の嵌合雄部が嵌着する。例えば、中竿3を元上竿2の内部から穂先側に引き出して相互に連結する。この中竿3と元上竿2とにおいては、▲1▼嵌合雄部3aと嵌合雌部2aとのテーパを統一化されており、また、▲2▼元上竿2の穂先側外周面の穂先側ほど外径が小径化する面取り部分10が形成されており、▲3▼元上竿2の穂先側外周面の塗膜層15が設けられていることで、仕掛けに魚が係って釣竿が大きく曲がる際に、竿体の連結部でも他の部分と同様に連続的に湾曲し、また、視覚的にも竿体の曲がりの連続性が演出される。
[他の実施形態]
(a)複数の竿体を連結して一本の釣竿としている場合、特に、竿体同士の連結部分での連続的な曲がりが損なわれるのは、竿元側に位置する太径の竿体である。そこで、上記竿体の連結部分に関する構造は、特に、最も竿元側に位置する元竿と元上竿とのみに用いることもできる。
(b)上記実施形態では、振出形式の釣竿において説明しているが、並継形式の釣竿においても本件発明を適用可能である。また、中通し竿のみではなく、その他の延べ竿などにおいて適用することも当然に可能である。
このような釣竿を、水平方向より30度方向で穂先側を傾斜させて、元竿(#8)の竿元側端部を固定し、穂先竿(#1)の穂先側端部に200gの錘を装着し、釣竿の湾曲状態を観察した。#4と#5との連結部分を図6に示す。
また、同じ釣竿において、水平方向より40度方向で穂先竿を傾斜させて、穂先竿(#1)の竿元側端部を固定し、元竿(#8)の穂先側端部に200gの錘を装着し、釣竿の湾曲状態を観察した。#4と#5との連結部分を図7に示す。
[比較例1]
上記実施例の竿体(#4)(#5)に代えて、以下のような条件で連結部分を形成した。
このような釣竿を、水平方向より30度方向で穂先側を傾斜させて、元竿(#8)の竿元側端部を固定し、穂先竿(#1)の穂先側端部に200gの錘を装着し、釣竿の湾曲状態を観察した。#4と#5との連結部分を図8に示す。
さらに、このような釣竿を、水平方向より40度方向で穂先側を傾斜させて、元竿(#8)の竿元側端部を固定し、穂先竿(#1)の穂先側端部に200gの錘を装着し、釣竿の湾曲状態を観察した。#4と#5との連結部分を図9に示す。
このように、図6と図8と、若しくは、図7と図9とを比較すると、図6・図7に示す実施例の方が竿体同士の曲がりがスムーズになっていることがわかる。
Claims (7)
- 複数の竿体を連結してなる釣竿であって、
先細りの筒状体であり、穂先側端部内周面に嵌合雌部を有する第1竿体と、
前記第1竿体の穂先側に連結された先細りの筒状体であり、竿元側端部外周面に他の部分より一段大径化しており且つ前記嵌合雌部のテーパに整合するテーパ面となっている嵌合雄部を有する第2竿体とを備え、
前記第1竿体の穂先側外周面には、穂先側端縁より前記嵌合雌部の領域を超えない範囲において、穂先側ほど外径が小径化する面取りテーパが施されており、
前記第1竿体の穂先側外周面には、穂先側端縁より少なくとも前記嵌合雌部の領域を超えて竿元側に至るまでの領域に塗布され、且つ前記面取りテーパ部分の竿元側の領域においては軸方向において外径が変化しないように塗布されている塗膜層が形成されており、
前記第2竿体の嵌合雄部は、前記第1竿体の穂先側に前記第2竿体が延びている状態にあっても前記第1竿体の内部に完全に収納されている、釣竿。 - 前記第1竿体の穂先側端部の面取りテーパの軸方向の傾斜角は軸方向に対して45度以下である、請求項1に記載の釣竿。
- 前記穂先側端部に面取りテーパが施された第1竿体の穂先側端縁の厚さは、面取りテーパ部分の竿元側端部の厚さの1/2である、請求項1に記載の釣竿。
- 前記第2竿体の嵌合雄部は周方向に強化繊維が配向された繊維強化樹脂から形成されている、請求項1に記載の釣竿。
- 前記第2竿体が前記第1竿体の穂先側に延びている状態において、前記第2竿体の嵌合雄部の穂先側端縁と前記第1竿体の穂先側端縁との距離が0〜5mmである、請求項4に記載の釣竿。
- 前記第1竿体の穂先側端部の面取りテーパの軸方向の傾斜角は軸方向に対して45度以下である、請求項4に記載の釣竿。
- 前記穂先側端部に面取りテーパが施された第1竿体の穂先側端縁の厚さは、面取りテーパ部分の竿元側端部の厚さの1/2である、請求項4に記載の釣竿。
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