JPWO2004102704A1 - 固体酸化物型燃料電池とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
より低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池と、その製造方法とを提供する。アノードと、カソードと、アノードおよびカソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、アノードは、金属粒子(2)とアノード触媒(1)とイオン伝導体(3)とを含み、金属粒子(2)の表面にはアノード触媒(1)が付着しており、第1の固体酸化物およびイオン伝導体(3)は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有する固体酸化物型燃料電池とする。
Description
本発明は、固体酸化物型燃料電池とその製造方法とに関する。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電解質にイオン伝導性を有する固体酸化物を用いた燃料電池である。一般に、固体酸化物にはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)が用いられており、YSZが酸化物イオンを伝導することによって発電が行われる。電解質にYSZを用いた場合、発電温度は一般に800℃以上である。
電解質である固体酸化物は、アノードとカソードとによって狭持されている。アノードには、一般に、YSZなどの固体酸化物とニッケルなどの金属粒子とからなる多孔質のサーメットが用いられている。また、カソードには、一般に、YSZなどの固体酸化物とランタンマンガナイトなどからなる導電性の多孔質体が用いられている。各々の電極は触媒活性を有しており、電解質との間で酸化物イオンの授受(電解質の種類によっては、水素イオンの授受)を行うことができる。
上述のようにSOFCの運転温度は800℃以上と高温であるため、一般に、SOFCを構成する部材にはセラミクスが用いられている。しかし、セラミクスは、ヒートショックや衝撃に弱い特徴がある。このため、SOFCの発電温度を600℃以下に下げることが検討されている。発電温度が600℃以下になれば、SOFCを構成する部材にステンレスなどの金属を用いることが可能になり、より耐久性、運転特性に優れるSOFCとすることができる。
しかし、発電温度を単に下げただけでは、電池の出力密度が低下する。これは、発電温度が下がることによる電解質のイオン伝導度の低下と、電極の触媒活性の低下が原因であると考えられている。現在、より低温においても高いイオン伝導度を示す固体酸化物の開発が進められている。
例えば、ガドリニウムドープセリウム酸化物(GDC)の1種が、Changrong Xia,et al.”Low−temperature SOFCs based on Gd0.1Ce0.9O1.9 5fabricated by dry pressing”,Solid State Ionics,(2001),144,p.249−255(文献A)に開示されている。上記GDCは、600℃程度の低温において高いイオン伝導度(0.5Ω・cm2/厚さ20μm)を示すことができる。上記文献では、ニッケル粒子と上記GDCとを混合した多孔質のサーメットをアノードに用いることによって、600℃程度の低温において従来よりも高い出力を得ている。
しかしながら、ニッケル粒子と固体酸化物とを混合した多孔質のサーメットを用いた場合、600℃よりも低温の領域において出力が大きく低下する傾向にある。これは、触媒活性の低下が主な要因であると考えられており、アノードの多孔度や組成比を最適化することによって触媒活性の向上が試みられているが、十分な結果が得られていない。ニッケル粒子の代わりに、ニッケル粒子よりも低温の触媒活性に優れる白金粒子を混合したサーメットも考えられるが、高価な白金を多量に含む必要があることから、コスト的に課題がある。
電解質である固体酸化物は、アノードとカソードとによって狭持されている。アノードには、一般に、YSZなどの固体酸化物とニッケルなどの金属粒子とからなる多孔質のサーメットが用いられている。また、カソードには、一般に、YSZなどの固体酸化物とランタンマンガナイトなどからなる導電性の多孔質体が用いられている。各々の電極は触媒活性を有しており、電解質との間で酸化物イオンの授受(電解質の種類によっては、水素イオンの授受)を行うことができる。
上述のようにSOFCの運転温度は800℃以上と高温であるため、一般に、SOFCを構成する部材にはセラミクスが用いられている。しかし、セラミクスは、ヒートショックや衝撃に弱い特徴がある。このため、SOFCの発電温度を600℃以下に下げることが検討されている。発電温度が600℃以下になれば、SOFCを構成する部材にステンレスなどの金属を用いることが可能になり、より耐久性、運転特性に優れるSOFCとすることができる。
しかし、発電温度を単に下げただけでは、電池の出力密度が低下する。これは、発電温度が下がることによる電解質のイオン伝導度の低下と、電極の触媒活性の低下が原因であると考えられている。現在、より低温においても高いイオン伝導度を示す固体酸化物の開発が進められている。
例えば、ガドリニウムドープセリウム酸化物(GDC)の1種が、Changrong Xia,et al.”Low−temperature SOFCs based on Gd0.1Ce0.9O1.9 5fabricated by dry pressing”,Solid State Ionics,(2001),144,p.249−255(文献A)に開示されている。上記GDCは、600℃程度の低温において高いイオン伝導度(0.5Ω・cm2/厚さ20μm)を示すことができる。上記文献では、ニッケル粒子と上記GDCとを混合した多孔質のサーメットをアノードに用いることによって、600℃程度の低温において従来よりも高い出力を得ている。
しかしながら、ニッケル粒子と固体酸化物とを混合した多孔質のサーメットを用いた場合、600℃よりも低温の領域において出力が大きく低下する傾向にある。これは、触媒活性の低下が主な要因であると考えられており、アノードの多孔度や組成比を最適化することによって触媒活性の向上が試みられているが、十分な結果が得られていない。ニッケル粒子の代わりに、ニッケル粒子よりも低温の触媒活性に優れる白金粒子を混合したサーメットも考えられるが、高価な白金を多量に含む必要があることから、コスト的に課題がある。
よって、本発明は、新しいアノードを示すことによって、より低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池と、その製造方法とを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の固体酸化物型燃料電池は、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、前記アノードは、金属粒子とアノード触媒とイオン伝導体とを含み、前記金属粒子の表面には前記アノード触媒が付着しており、前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
また、本発明の固体酸化物型燃料電池は、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、前記アノードは、イオン伝導体と、粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子とを含み、前記複数の種類の金属粒子から選ばれる少なくとも1種の金属粒子は、他の前記金属粒子の表面に付着しており、前記表面に付着している前記少なくとも1種の金属粒子はアノード触媒であり、前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有していてもよい。
次に、本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(ii)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)前記薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記薄膜、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した前記積層体を熱処理することによって前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
また、本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(I)アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(II)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(III)前記薄膜を熱処理することによって、前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、
(IV)形成した前記アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記アノード、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を積層する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有していてもよい。
上記目的を達成するために、本発明の固体酸化物型燃料電池は、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、前記アノードは、金属粒子とアノード触媒とイオン伝導体とを含み、前記金属粒子の表面には前記アノード触媒が付着しており、前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
また、本発明の固体酸化物型燃料電池は、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、前記アノードは、イオン伝導体と、粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子とを含み、前記複数の種類の金属粒子から選ばれる少なくとも1種の金属粒子は、他の前記金属粒子の表面に付着しており、前記表面に付着している前記少なくとも1種の金属粒子はアノード触媒であり、前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有していてもよい。
次に、本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(ii)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)前記薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記薄膜、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した前記積層体を熱処理することによって前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
また、本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(I)アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(II)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(III)前記薄膜を熱処理することによって、前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、
(IV)形成した前記アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記アノード、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を積層する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有していてもよい。
図1は、本発明の固体酸化物型燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。
図2は、本発明の固体酸化物型燃料電池に含まれるアノードの構造の一例を模式的に示す図である。
図3は、従来の固体酸化物型燃料電池に含まれるアノードの構造の一例を模式的に示す図である。
図4は、本発明の固体酸化物型燃料電池に含まれるアノードの構造の別の一例を模式的に示す図である。
図5A〜図5Dは、本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
図6は、実施例において測定した、本発明および従来の固体酸化物型燃料電池の発電特性の結果を示す図である。
図7は、実施例において測定した、本発明の固体酸化物型燃料電池の発電特性の結果を示す図である。
図8は、実施例において用いた固体酸化物型燃料電池におけるPt使用量の変化を示す図である。
図2は、本発明の固体酸化物型燃料電池に含まれるアノードの構造の一例を模式的に示す図である。
図3は、従来の固体酸化物型燃料電池に含まれるアノードの構造の一例を模式的に示す図である。
図4は、本発明の固体酸化物型燃料電池に含まれるアノードの構造の別の一例を模式的に示す図である。
図5A〜図5Dは、本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
図6は、実施例において測定した、本発明および従来の固体酸化物型燃料電池の発電特性の結果を示す図である。
図7は、実施例において測定した、本発明の固体酸化物型燃料電池の発電特性の結果を示す図である。
図8は、実施例において用いた固体酸化物型燃料電池におけるPt使用量の変化を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態の説明において、同一の部材には同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
最初に、本発明の固体酸化物型燃料電池(以下、単に「燃料電池」ともいう)について説明する。
図1は、本発明の固体酸化物型燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す固体酸化物型燃料電池11(燃料電池11)は、アノード13と、カソード14と、アノード13およびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12とを含んでいる。ここで、アノード13は、金属粒子とアノード触媒とイオン伝導体とを含んでおり、金属粒子の表面にはアノード触媒が付着している。また、第1の固体酸化物12と、アノード13に含まれるイオン伝導体とは、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。このような燃料電池11とすることによって、低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池11に含まれるアノード13の構造の一例を図2に示す。図2に示すアノードは、金属粒子2とアノード触媒1とイオン伝導体3とを含んでいる。金属粒子2の表面にはアノード触媒1が付着している。このようなアノードでは、低温においても触媒活性の劣化を抑制することができる。このため、図2に示すようなアノードを含むことによって、低温においても発電特性に優れる燃料電池11とすることができる。なお、「付着」とは、両者が物理的に接触してさえいればよく、両者の接合面が化学的に結合している必要は必ずしもない。ただし、両者の接合面が化学的に結合している場合の方が、よりアノードとしての特性を安定的に保持することができる。両者の接合面が化学的に結合している場合、金属粒子2の表面にアノード触媒1が担持されている、ともいえる。また、図2に示す例では、アノード触媒1は金属粒子2の表面にのみ存在しているが、アノード触媒1が存在する領域は金属粒子2の表面に限定されず、その他の領域に存在していてもよい。
本発明の燃料電池11におけるアノード13の構造は、従来の固体酸化物型燃料電池におけるアノードの構造とは全く異なっている。図3に、従来の燃料電池におけるアノードの構造の一例を示す。図3に示すアノードは、アノード触媒としての役割を担う金属粒子101と、イオン伝導体である固体酸化物102とを含む多孔質のサーメットである。金属粒子101には、例えば、ニッケル粒子や白金粒子などが用いられる。金属粒子101は導電体としての役割も担っており、アノード中に導電経路を形成するために、また、固体酸化物102とともにサーメットを形成するために、金属粒子101にはある程度のサイズ(例えば、平均粒径にして0.5μm程度以上)が要求される。また、アノード中における金属粒子101の割合もある程度以上(例えば、30体積%程度以上)必要である。このため、例えば、低温における触媒活性の低下を抑制するなどの理由から、白金粒子などの貴金属粒子を金属粒子101として用いた場合などに、製造コストの増大が予想される。
これに対して、本発明の燃料電池11におけるアノード13では、図2に示すように、アノード触媒1と、導電体としての役割を担う金属粒子2とが分離されている。このため、アノード触媒1のサイズや、アノード13中におけるアノード触媒の割合をより柔軟に設定することが可能である。よって、例えば、アノード触媒1のサイズを従来のアノード(従来のアノードにおける金属粒子)に比べてより小さくすることができ、低温における発電時にも触媒活性の低下を抑制することが可能となる。また、例えば、アノード触媒1に白金などの貴金属を用いる場合においても、導電体の役割を担う金属粒子2が必ずしも上記貴金属を含む必要はないため、より低コストでの製造が可能となる。その他、例えば、金属粒子2の表面におけるアノード触媒1の分布を制御することによって、アノード触媒1同士の焼結などによるアノード特性の低下を抑制することなども可能である。なお、本発明の燃料電池11において、アノード触媒1だけではなく、金属粒子2がアノード触媒としての作用を有していても(アノード触媒活性を有していても)よい。
また、アノード13が、複数の種類のアノード触媒1(例えば、複数の互いに組成が異なるアノード触媒1)を含んでいてもよい。例えば、異なる温度領域において触媒活性がピークとなる複数のアノード触媒1をアノード13が含むことによって、より幅広い温度領域において発電特性に優れる燃料電池とすることができる。このとき、本発明の燃料電池におけるアノード13のように、アノード触媒1と金属粒子2とを分離した構成とすると、アノード触媒1の種類をより柔軟に選択することができる。
本発明の燃料電池では、金属粒子2の組成と、アノード触媒1の組成とが異なっていてもよい。より具体的には、例えば、金属粒子2に含まれる元素(例えば、金属元素)と、アノード触媒1に含まれる元素(例えば、金属元素)とが異なっていてもよい。このような構成は、従来の燃料電池におけるアノードでは困難である。本発明の燃料電池では、例えば、低温での触媒活性の低下を抑制するために貴金属元素を含むアノード触媒1を用いながら、貴金属元素を含まない金属粒子2を用いることによって製造コストの低減を図ることができる。
アノード触媒1の組成(アノード触媒1に含まれる元素)は、発電時におけるアノード13の内部の環境に耐えることができる限り特に限定されない。ただし、燃料電池の発電原理上、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が酸化物イオン伝導性を有する場合には、燃料と酸化物イオンとの反応に対して触媒活性を有する必要がある。また、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が水素イオン伝導性を有する場合には、燃料から水素イオンを生成する反応に対して触媒活性を有する必要がある。例えば、アノード触媒1が遷移元素を含んでいればよい。このとき、遷移元素を含む単体であっても合金であってもよい。なお、本明細書において「合金」とは、金属間化合物および固溶体なども含む概念である。
本発明の燃料電池では、アノード触媒1が貴金属元素を含んでいてもよい。より具体的には、例えば、アノード触媒1が、Pt、Ir、Rh、Pd、AgおよびAuから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。低温における触媒活性の低下を抑制することができ、低温においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池では、アノード触媒1が、PtRu、PtSn、PtRe、PtOs、PtW、IrRu、IrSnおよびIrWから選ばれる少なくとも1種の合金を含んでいてもよい。このような合金は、特に触媒活性が高く、発電特性により優れる燃料電池とすることができる。なお、上記合金における各元素の組成比は特に限定されない。
その他、本発明の燃料電池では、アノード触媒1が、例えば、タングステン酸化物、銅酸化物および亜鉛酸化物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含んでいてもよい。同様に、低温における触媒活性の低下を抑制することができ、低温においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
アノード触媒1のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、2nm〜400nmの範囲であればよく、2nm〜20nmの範囲が好ましい。平均粒径が上記範囲(2nm〜400nm)にあるアノード触媒1とすることによって、低温における触媒活性の低下をより抑制することができる。また、なかでも平均粒径が2nm〜20nmの範囲の場合に、アノード13全体におけるアノード触媒1の使用量を大きく低減することができるため、製造コストの低減を図ることができる。アノード13中に含まれるアノード触媒1の具体的な割合(アノード13におけるアノード触媒の使用量ともいえる)も特に限定されず、質量%にして、例えば、0.01質量%〜10質量%の範囲であればよく、0.1質量%〜3質量%の範囲が好ましい。
金属粒子2の表面に付着するアノード触媒1の形態は、特に限定されない。例えば、粒子状のアノード触媒1が金属粒子2の表面に付着していればよい。このとき、金属粒子2の表面全体をアノード触媒1が覆っている必要はなく、金属粒子2の表面をアノード触媒1が覆う程度は、燃料電池として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。
金属粒子2の組成(金属粒子2に含まれる元素)は、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、金属粒子2が導電性を有する限り特に限定されない。具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいればよい。より具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni単体、Co単体、Fe単体、NiFe合金、NiCo合金、NiFeCo合金などであればよい。このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。発電特性により優れる具体的な理由は明確ではないが、NiやCo、Feを含む金属粒子2の表面では、低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)において水素分子が吸着しやすくなっており、さらに、水素分子がアノード触媒によって水素原子となった場合に、金属粒子2の表面を水素原子が移動しやすくなっている可能性が理由として考えられる。
金属粒子2のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、300nm〜10μmの範囲であればよく、500nm〜2μmの範囲が好ましい。このような範囲において、良好な導電経路をアノード中に形成することができる。また、本発明の燃料電池では、アノード13が、金属粒子2の表面にアノード触媒1が付着している構成を有することから、金属粒子2の平均粒径はアノード触媒1の平均粒径よりも大きいことが好ましい。
アノード13中に含まれる金属粒子2の割合は特に限定されず、体積%にして、例えば、25体積%〜50体積%の範囲であればよく、30体積%〜40体積%の範囲が好ましい。このような範囲において、良好な導電経路をアノード中に形成することができる。なお、金属粒子2の形状は特に限定されない。
イオン伝導体3は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有し、第1の固体酸化物12と同一のイオン伝導性を有する限り、その組成、構造、形状などは特に限定されない。例えば、第1の固体酸化物12と同一のイオン伝導性を有する第2の固体酸化物であればよい。このとき、第1の固体酸化物12の組成と、第2の固体酸化物の組成とは、同一であっても、互いに異なっていてもよい。
上述したように、本発明の燃料電池は、低温における発電特性に優れる燃料電池とすることができる。従来の燃料電池では、ヒートショックなどによる破壊を抑制するために、アノード中に含まれる固体酸化物の組成と第1の固体酸化物の組成とを同一にする場合が多かった(組成が同一であれば熱膨張率も同一となる)。本発明の燃料電池では、発電温度を低温にすることができるため、必要な発電特性に応じて、第1の固体酸化物12の組成と、第2の固体酸化物の組成とをより柔軟に選択することができる。具体的な例としては、第1の固体酸化物12の組成は、例えば、成膜時の緻密性などの成膜特性に優れる固体酸化物を選択すればよく、第2の固体酸化物の組成は、例えば、イオン伝導特性に優れる固体酸化物を選択すればよい。
第2の固体酸化物の組成は、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している限り特に限定されない。例えば、Zr、Ceを含む固体酸化物を用いればよい。なかでもCeを含む固体酸化物を用いることが好ましい。低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。
より具体的には、例えば、第2の固体酸化物が、式Ce1−xMxO2− αによって示される組成を有していてもよい。ただし、Mは、Gd、LaおよびSmから選ばれる少なくとも1種の元素であり、xおよびαは、式0<x<1および式0≦α<2を満たす数値である。なかでも、xおよびαが、式0<x<0.4、0≦α<1を満たすことが好ましい。なお、αは、酸素の欠損を反映した値である(以下、同様とする)。
また、例えば、第2の固体酸化物が、式Ba(Zr1−x’Cex’)1− y’Gdy’O3−αによって示される組成を有していてもよい。ただし、、x’、y’およびαは、式0<x’<1、式0<y’<1および式0≦α<3を満たす数値である。なかでも、式0.1≦x’<1、0.1≦y’≦0.3、0≦α<1を満たすことが好ましい。
また、例えば、第2の固体酸化物が、式Lax’’Sr1−x’’Gay’’Mg1−y’’−zCOzO3−αによって示される組成を有していてもよい。ただし、x’’、y’’、zおよびαは、式0<x’’<1、式0<y’’<1、式0<z<1および式0<α<3を満たす数値である。
このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。
第2の固体酸化物のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、0.1μm〜5μmの範囲であればよく、0.2μm〜1μmの範囲が好ましい。また、アノード13中に含まれる第2の固体酸化物の割合も特に限定されず、体積%にして、例えば、20体積%〜60体積%の範囲であればよく、25体積%〜50体積%の範囲が好ましい。第2の固体酸化物の形状は特に限定されない。
アノード13は、上述したイオン伝導体(例えば、第2の固体酸化物)、アノード触媒1および金属粒子2を含み、かつ、各々が上述した関係を満たす限り、その構造、構成、形状などは特に限定されない。図1に示すように平板状のアノード13である場合、アノードの厚さは、例えば、10μm〜500μmの範囲である。
カソード14は、燃料電池11の発電温度領域においてカソード触媒活性を有しており、かつ、導電性を有する限り、その構造、構成、形状などは特に限定されない。ここで、カソード触媒活性とは、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が酸化物イオン伝導性を有する場合には、酸化剤(例えば、空気)から酸化物イオンを生成する反応に対する触媒活性を意味している。第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が水素イオン伝導性を有する場合には、水素イオンと酸化剤との反応に対する触媒活性を意味している。
カソード14には、例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池に用いられている電極を用いればよい。具体的には、例えば、LaMnO3、La0.7Sr0.3MnO3、Sm0.5Sr0.5CoO3などを用いればよい。カソード14には、第1の固体酸化物12と組成が同一の酸化物が含まれていてもよい。図1に示すように平板状のカソード14である場合、カソードの厚さは、例えば、500μm〜3mmの範囲である。
アノード13およびカソード14に狭持された電解質である第1の固体酸化物12は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有する限り、特に限定されない。例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池において電解質として用いられている固体酸化物を用いればよい。酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物としては、例えば、ZrO2・Y2O3(8%)や、ZrO2・CaO(12%)などを用いればよい。また、水素イオン伝導性を有する固体酸化物としては、例えば、上述のCe1−xMxO2−α、Ba(Zr1−x’Cex’)1−y’My’O3−αなどを用いればよい。図1に示すように平板状の第1の固体電解質12である場合、第1の固体電解質の厚さは、例えば、1μm〜100μmの範囲である。
本発明の燃料電池におけるその他の部材について説明する。
図1に示す燃料電池11では、第1の固体酸化物12、アノード13およびカソード14の積層体は、基板15に形成された貫通孔に嵌め込まれている。基板15と上記積層体との隙間はシールガラス16によってシールされている。基板15、上記積層体およびシールガラス16は、一対のセパレータ17によって狭持されている。一方のセパレータ17にはアノード流路18が形成されており、アノード流路18が形成されたセパレータ17はアノード13と接するように配置されている。また、他方のセパレータ17にはカソード流路19が形成されており、カソード流路19が形成されたセパレータ17はカソード14と接するように配置されている。このような燃料電池11では、アノード流路18に燃料(例えば、水素、メタノール、ジメチルエーテル、メタン、エタン、プロパン、ブタンなど)を、カソード流路19に酸化剤(例えば、空気、酸素、酸素を含む気体など)を供給することによって発電が行われる。
セパレータ17に用いる材料は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、ステンレス、グラッシーカーボンなどを用いればよい。セパレータ17に形成されるアノード流路18およびカソード流路19の形状も特に限定されず、必要な発電特性に応じて任意に設定すればよい。図1に示すような平板状のセパレータ17である場合、セパレータの厚さは、例えば、500μm〜3mmの範囲である。
基板5に用いる材料は、特に限定されない。例えば、アルミナ、ジルコニアなどを用いればよい。また基板が電気的に絶縁であれば、一対のセパレータ17間の絶縁をより容易に保つことができる。その他、シールガラス16に用いる材料も特に限定されない。例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池に用いる材料を用いればよい。
なお、図1に示すような燃料電池11は、一般に、平板型と呼ばれる燃料電池である。図1に示す燃料電池11を複数積層することも可能であり、この場合、燃料電池全体としての出力電圧を大きくすることができる。また、本発明の燃料電池は、図1に示すような平板型の燃料電池に限定されない。その他の構造の燃料電池(例えば、いわゆる円筒型の燃料電池)であってもよい。同様の効果を得ることができる。
上述したように、本発明の燃料電池11は、低温における発電特性に優れる燃料電池とすることができる。このため、環境温度からの起動性を向上させた燃料電池とすることも可能である。また、従来の燃料電池に比べて断熱材などを少なくすることができるため、より小型の燃料電池とすることも可能である。さらに、燃料電池を構成する部材に、ステンレスなどの金属を用いることが可能になり、上述した部材に金属を用いた場合、電池の起動時あるいは出力変動時などにおけるヒートショックへの耐性をより向上させることができる。即ち、耐久性および/または運転特性により優れる燃料電池とすることも可能である。なお、上述した部材とは、図1に示すセパレータや、燃料電池自体あるいは燃料電池に含まれる各部材間の気密性を保つガスケット、燃料電池に燃料や酸化剤を供給する、あるいは、燃料電池から未使用の燃料や酸化剤、反応によって生成した水、二酸化炭素などを排出するマニホールドなどである。また、上記部材に用いる金属は特に限定されず、部材の種類、発電温度などに応じて設定すればよい。例えば、ステンレスなどを用いればよい。
本発明の燃料電池は、以下のように表現することもできる。
即ち、図1に示すように、本発明の燃料電池11は、アノード13と、カソード14と、アノー13ドおよびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12を含んでいる。図4に示すように、アノード13は、イオン伝導体3と、粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子22とを含んでいる。ここで、複数の種類の金属粒子から選ばれる少なくとも1種の金属粒子22aは、他の金属粒子22bの表面に付着している。他の金属粒子22bの表面に付着している少なくとも1種の金属粒子22aはアノード触媒である(アノード触媒活性を有している)。また、他の金属粒子22bは、導電経路をアノード中に形成する役割を担っている。第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子22を含むとは、例えば、平均粒径が互いに異なる金属粒子を複数含むことをいう。例えば、図4に示す例では、平均粒径が相対的に大きい金属粒子22bと、平均粒径が相対的に小さい金属粒子22aとの2種類の金属粒子を含むといえる。複数の種類の金属粒子間において、組成など、金属粒子を特定するその他の特性が異なっていてもよい。例えば、平均粒径および組成が互いに異なる金属粒子22aおよび22bを2種類含むともいえる。具体的には、金属粒子22aは、上述したアノード触媒1と同様であればよく、金属粒子22bは、上述した金属粒子2と同様であればよい。その他、イオン伝導体3についても同様である。
ここで、複数の種類の金属粒子の中で、少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、その他の金属粒子の平均粒径よりも小さいことが好ましい。少なくとも1種の金属粒子はアノード触媒であるため、平均粒径をその他の金属粒子よりも小さくすることによって、低温における触媒活性の低下を抑制することができ、アノード触媒としての使用量を低減することができる。具体的には、例えば、少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、上述したアノード触媒1の平均粒径と同様であればよい。具体的には、少なくとも1種の金属粒子22aのサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、2nm〜400nmの範囲であればよく、2nm〜20nmの範囲が好ましい。アノード触媒1の平均粒径の説明において上述した効果と同様の効果を得ることができる。なお、その他の金属粒子がアノード触媒としての作用を有していてもよい。
次に、本発明の燃料電池の製造方法について説明する。本発明の燃料電池は、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、アノードおよびカソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に化合物を還元することによって、金属粒子の表面にアノード触媒となる元素を析出させ、上記元素が付着した金属粒子を形成する工程と、
(ii)金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、薄膜、カソードおよび第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した積層体を熱処理することによって上記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程を含んでいる。ここで、第1の固体酸化物およびイオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
このような製造方法とすることによって、低温における発電特性に優れる燃料電池を得ることができる。具体的には、上記工程(i)によれば、アノード触媒と金属粒子とを単に物理的に混合する場合に比べて、アノード触媒が金属粒子の表面に分散して付着する割合を高くすることができる。このため、金属粒子から分離したアノード触媒(即ち、触媒として機能が低いアノード触媒)が生じる割合を抑制することができるため、低温における触媒活性の低下が抑制され、触媒使用量を低減させたアノードとすることができる。即ち、アノードにサーメットを用いた場合に比べて、低温における発電特性に優れ、製造コストが低減された燃料電池を得ることができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法の一例を図5A〜図5Dに示す。
最初に、アノード触媒1となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子2を加えた後に上記化合物を還元することによって、金属粒子2の表面にアノード触媒1となる元素を析出させ、図5Aに示すように、アノード触媒1が表面に付着した金属粒子2を形成する(工程(i))。
次に、図5Bに示すように、アノード触媒1が表面に付着した金属粒子2と、イオン伝導体とを含む薄膜21を形成する(工程(ii))。
次に、図5Cに示すように、別に形成したカソード14と第1の固体酸化物12とを用い、薄膜21とカソード14とによって第1の固体酸化物12を狭持するように薄膜21、カソード14および第1の固体酸化物12とを配置して積層体を形成し、形成した積層体を熱処理することによって薄膜21からアノード13を形成する(工程(iii))。
このようにして、アノード触媒を含むアノード13と、カソード14と、アノード13およびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12とを含む固体酸化物型燃料電池11を形成することができる(図5D)。
カソード14および第1の固体酸化物12を形成する方法は、特に限定されない。一般的な固体酸化物型燃料電池の製造方法を用いればよく、カソードと第1の固体酸化物とを別々に形成してもよいし、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成してもよい。具体例については実施例に後述する(以降の工程における具体例についても同様である)。
上記工程(i)において、アノード触媒となる元素の化合物は、溶液を調製できる限り特に限定されない。例えば、塩化白金酸、塩化ルテニウム、酢酸スズ、タングステン酸、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム、硝酸パラジウム、酢酸銀および塩化金酸から選ばれる少なくとも1種を用いればよい。1種類の化合物を用いれば、単体のアノード触媒を得ることができる。また、複数の種類の化合物を用いれば、合金のアノード触媒を得ることができる。例えば、塩化白金酸からは白金(Pt)を含むアノード触媒を得ることができる。同様に、塩化ルテニウムからはルテニウム(Ru)を、酢酸スズからはスズ(Sn)を、タングステン酸からはタングステン(W)を、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウムからはイリジウム(Ir)を、塩化ロジウムからはロジウム(Rh)を、硝酸パラジウムからはパラジウム(Pd)を、酢酸銀からは銀(Ag)を、塩化金酸からは金(Au)を含むアノード触媒を得ることができる。
アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液における上記化合物の濃度は、好ましくは、0.005mol/L〜0.5mol/Lの範囲である。溶液の溶媒には、例えば、水、エタノールなどを用いればよく、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを添加してもよい。また、必要に応じて上記化合物を含む溶液のpHを調整してもよい。例えば、塩化白金酸水溶液を用いる場合、水酸化ナトリウムなどを加えることによって、pHを5程度に調整することが好ましい。
上記工程(i)において、上記化合物を含む溶液中に金属粒子を加える方法は特に限定されない。例えば、単純に混合すればよい。また、上記化合物を還元する方法は、例えば、過酸化水素水、酸(例えば、酢酸)、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)などを上記化合物および上記金属粒子を含む溶液に加えればよい。上記溶液中において上記化合物を還元することによって、アノード触媒が表面に付着した金属粒子を形成することができる。
上記工程(ii)において、上記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜21を形成する方法は、特に限定されない。例えば、金属繊維のメッシュをディッピングして形成してもよい。あるいは、任意の基材上に印刷法などの方法を用いて薄膜を形成すればよい。この場合、基材は任意の時点において薄膜と分離すればよい。また、薄膜中には、必要に応じて、導電材として金属繊維メッシュなどを加えてもよい。なお、形成する薄膜の厚さは、アノードとして必要な厚さであればよく、図5Dに示すような平板状のアノード13である場合、例えば、10μm〜500μmの範囲である。
薄膜に加えるイオン伝導体は、本発明の燃料電池において説明したように、例えば、第2の固体酸化物であればよい。
上記工程(iii)において、積層体を形成する方法は、特に限定されない。例えば、単に積層すればよい。また、必要に応じて、プレスを行ってもよく、プレスには加熱を併用してもよい。
上記工程(iii)における熱処理は、例えば、空気雰囲気下において、アノード触媒および金属粒子の融点以下で行えばよい。具体的には、例えば、950℃〜1400℃の範囲で行えばよい。熱処理の時間は、例えば、30分〜180分の範囲である。熱処理を行うことによって、薄膜21からアノード13が形成され、本発明の燃料電池を得ることができる。
金属粒子2の組成(金属粒子2に含まれる元素)は、上述したように、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、金属粒子2が導電性を有する限り特に限定されない。具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいればよい。より具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni単体、Co単体、Fe単体、NiFe合金、NiCo合金、NiFeCo合金などであればよい。このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池を得ることができる。得られた燃料電池が発電特性により優れる具体的な理由は上述した通りである。
本発明の製造方法では、イオン伝導体が第2の固体酸化物である場合に、上記工程(ii)が、(a)第2の固体酸化物となる元素の化合物を含む第2の溶液に金属粒子を加え、第2の溶液中の溶媒を除去した後に熱処理を行うことによって、金属粒子と第2の固体酸化物とを含む薄膜を形成する工程を含んでいてもよい。
上記工程(a)において、第2の固体酸化物となる元素の化合物は、溶液を調製できる限り特に限定されない。例えば、酢酸セリウム、塩化ランタン、塩化サマリウム、酢酸バリウム、硫酸ジルコニウムおよび塩化ガドリニウムから選ばれる少なくとも1種を用いればよい。複数の種類の化合物を用いる場合、必要な第2の固体酸化物の組成(組成比)に応じて、溶液中における各々の化合物の割合を設定すればよい。
第2の固体酸化物となる元素の化合物を含む溶液における上記化合物の濃度は、例えば、0.005mol/L〜1mol/Lの範囲である。溶液の溶媒には、例えば、水を用いればよい。また、上記工程(a)において、上記化合物を含む溶液中に、表面にアノード触媒が付着した金属粒子を加える方法は特に限定されない。例えば、単純に混合すればよい。また、溶媒(上記溶液が水溶液である場合は水分)を除去する方法も特に限定されない。
上記工程(a)における熱処理は、例えば、空気雰囲気下において、800℃〜1000℃の範囲で行えばよい。熱処理の時間は、例えば、30分〜180分の範囲である。熱処理を行うことによって、第2の固体酸化物と金属粒子とを含む薄膜21を形成することができる。
本発明の製造方法では、上記工程(iii)の代わりに、(III)薄膜を熱処理することによって、薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、(IV)形成したアノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、アノード、カソードおよび第1の固体酸化物を積層する工程とを含んでいてもよい。このような製造方法とすることによっても、低温における発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池を得ることができる。この場合、上記工程(III)における熱処理は、上記工程(iii)における熱処理と同様であればよい。また、上記工程(IV)において、アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように各部材を積層する方法は、上記工程(iii)において積層体を形成する方法と同様であればよい。
なお、本発明の製造方法では、カソード触媒、金属粒子、第1の固体酸化物、イオン伝導体、第2の固体酸化物、セパレータなどの各部材には、本発明の燃料電池において上述した材料を用いればよい。
最初に、本発明の固体酸化物型燃料電池(以下、単に「燃料電池」ともいう)について説明する。
図1は、本発明の固体酸化物型燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す固体酸化物型燃料電池11(燃料電池11)は、アノード13と、カソード14と、アノード13およびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12とを含んでいる。ここで、アノード13は、金属粒子とアノード触媒とイオン伝導体とを含んでおり、金属粒子の表面にはアノード触媒が付着している。また、第1の固体酸化物12と、アノード13に含まれるイオン伝導体とは、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。このような燃料電池11とすることによって、低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池11に含まれるアノード13の構造の一例を図2に示す。図2に示すアノードは、金属粒子2とアノード触媒1とイオン伝導体3とを含んでいる。金属粒子2の表面にはアノード触媒1が付着している。このようなアノードでは、低温においても触媒活性の劣化を抑制することができる。このため、図2に示すようなアノードを含むことによって、低温においても発電特性に優れる燃料電池11とすることができる。なお、「付着」とは、両者が物理的に接触してさえいればよく、両者の接合面が化学的に結合している必要は必ずしもない。ただし、両者の接合面が化学的に結合している場合の方が、よりアノードとしての特性を安定的に保持することができる。両者の接合面が化学的に結合している場合、金属粒子2の表面にアノード触媒1が担持されている、ともいえる。また、図2に示す例では、アノード触媒1は金属粒子2の表面にのみ存在しているが、アノード触媒1が存在する領域は金属粒子2の表面に限定されず、その他の領域に存在していてもよい。
本発明の燃料電池11におけるアノード13の構造は、従来の固体酸化物型燃料電池におけるアノードの構造とは全く異なっている。図3に、従来の燃料電池におけるアノードの構造の一例を示す。図3に示すアノードは、アノード触媒としての役割を担う金属粒子101と、イオン伝導体である固体酸化物102とを含む多孔質のサーメットである。金属粒子101には、例えば、ニッケル粒子や白金粒子などが用いられる。金属粒子101は導電体としての役割も担っており、アノード中に導電経路を形成するために、また、固体酸化物102とともにサーメットを形成するために、金属粒子101にはある程度のサイズ(例えば、平均粒径にして0.5μm程度以上)が要求される。また、アノード中における金属粒子101の割合もある程度以上(例えば、30体積%程度以上)必要である。このため、例えば、低温における触媒活性の低下を抑制するなどの理由から、白金粒子などの貴金属粒子を金属粒子101として用いた場合などに、製造コストの増大が予想される。
これに対して、本発明の燃料電池11におけるアノード13では、図2に示すように、アノード触媒1と、導電体としての役割を担う金属粒子2とが分離されている。このため、アノード触媒1のサイズや、アノード13中におけるアノード触媒の割合をより柔軟に設定することが可能である。よって、例えば、アノード触媒1のサイズを従来のアノード(従来のアノードにおける金属粒子)に比べてより小さくすることができ、低温における発電時にも触媒活性の低下を抑制することが可能となる。また、例えば、アノード触媒1に白金などの貴金属を用いる場合においても、導電体の役割を担う金属粒子2が必ずしも上記貴金属を含む必要はないため、より低コストでの製造が可能となる。その他、例えば、金属粒子2の表面におけるアノード触媒1の分布を制御することによって、アノード触媒1同士の焼結などによるアノード特性の低下を抑制することなども可能である。なお、本発明の燃料電池11において、アノード触媒1だけではなく、金属粒子2がアノード触媒としての作用を有していても(アノード触媒活性を有していても)よい。
また、アノード13が、複数の種類のアノード触媒1(例えば、複数の互いに組成が異なるアノード触媒1)を含んでいてもよい。例えば、異なる温度領域において触媒活性がピークとなる複数のアノード触媒1をアノード13が含むことによって、より幅広い温度領域において発電特性に優れる燃料電池とすることができる。このとき、本発明の燃料電池におけるアノード13のように、アノード触媒1と金属粒子2とを分離した構成とすると、アノード触媒1の種類をより柔軟に選択することができる。
本発明の燃料電池では、金属粒子2の組成と、アノード触媒1の組成とが異なっていてもよい。より具体的には、例えば、金属粒子2に含まれる元素(例えば、金属元素)と、アノード触媒1に含まれる元素(例えば、金属元素)とが異なっていてもよい。このような構成は、従来の燃料電池におけるアノードでは困難である。本発明の燃料電池では、例えば、低温での触媒活性の低下を抑制するために貴金属元素を含むアノード触媒1を用いながら、貴金属元素を含まない金属粒子2を用いることによって製造コストの低減を図ることができる。
アノード触媒1の組成(アノード触媒1に含まれる元素)は、発電時におけるアノード13の内部の環境に耐えることができる限り特に限定されない。ただし、燃料電池の発電原理上、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が酸化物イオン伝導性を有する場合には、燃料と酸化物イオンとの反応に対して触媒活性を有する必要がある。また、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が水素イオン伝導性を有する場合には、燃料から水素イオンを生成する反応に対して触媒活性を有する必要がある。例えば、アノード触媒1が遷移元素を含んでいればよい。このとき、遷移元素を含む単体であっても合金であってもよい。なお、本明細書において「合金」とは、金属間化合物および固溶体なども含む概念である。
本発明の燃料電池では、アノード触媒1が貴金属元素を含んでいてもよい。より具体的には、例えば、アノード触媒1が、Pt、Ir、Rh、Pd、AgおよびAuから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。低温における触媒活性の低下を抑制することができ、低温においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池では、アノード触媒1が、PtRu、PtSn、PtRe、PtOs、PtW、IrRu、IrSnおよびIrWから選ばれる少なくとも1種の合金を含んでいてもよい。このような合金は、特に触媒活性が高く、発電特性により優れる燃料電池とすることができる。なお、上記合金における各元素の組成比は特に限定されない。
その他、本発明の燃料電池では、アノード触媒1が、例えば、タングステン酸化物、銅酸化物および亜鉛酸化物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含んでいてもよい。同様に、低温における触媒活性の低下を抑制することができ、低温においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
アノード触媒1のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、2nm〜400nmの範囲であればよく、2nm〜20nmの範囲が好ましい。平均粒径が上記範囲(2nm〜400nm)にあるアノード触媒1とすることによって、低温における触媒活性の低下をより抑制することができる。また、なかでも平均粒径が2nm〜20nmの範囲の場合に、アノード13全体におけるアノード触媒1の使用量を大きく低減することができるため、製造コストの低減を図ることができる。アノード13中に含まれるアノード触媒1の具体的な割合(アノード13におけるアノード触媒の使用量ともいえる)も特に限定されず、質量%にして、例えば、0.01質量%〜10質量%の範囲であればよく、0.1質量%〜3質量%の範囲が好ましい。
金属粒子2の表面に付着するアノード触媒1の形態は、特に限定されない。例えば、粒子状のアノード触媒1が金属粒子2の表面に付着していればよい。このとき、金属粒子2の表面全体をアノード触媒1が覆っている必要はなく、金属粒子2の表面をアノード触媒1が覆う程度は、燃料電池として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。
金属粒子2の組成(金属粒子2に含まれる元素)は、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、金属粒子2が導電性を有する限り特に限定されない。具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいればよい。より具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni単体、Co単体、Fe単体、NiFe合金、NiCo合金、NiFeCo合金などであればよい。このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。発電特性により優れる具体的な理由は明確ではないが、NiやCo、Feを含む金属粒子2の表面では、低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)において水素分子が吸着しやすくなっており、さらに、水素分子がアノード触媒によって水素原子となった場合に、金属粒子2の表面を水素原子が移動しやすくなっている可能性が理由として考えられる。
金属粒子2のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、300nm〜10μmの範囲であればよく、500nm〜2μmの範囲が好ましい。このような範囲において、良好な導電経路をアノード中に形成することができる。また、本発明の燃料電池では、アノード13が、金属粒子2の表面にアノード触媒1が付着している構成を有することから、金属粒子2の平均粒径はアノード触媒1の平均粒径よりも大きいことが好ましい。
アノード13中に含まれる金属粒子2の割合は特に限定されず、体積%にして、例えば、25体積%〜50体積%の範囲であればよく、30体積%〜40体積%の範囲が好ましい。このような範囲において、良好な導電経路をアノード中に形成することができる。なお、金属粒子2の形状は特に限定されない。
イオン伝導体3は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有し、第1の固体酸化物12と同一のイオン伝導性を有する限り、その組成、構造、形状などは特に限定されない。例えば、第1の固体酸化物12と同一のイオン伝導性を有する第2の固体酸化物であればよい。このとき、第1の固体酸化物12の組成と、第2の固体酸化物の組成とは、同一であっても、互いに異なっていてもよい。
上述したように、本発明の燃料電池は、低温における発電特性に優れる燃料電池とすることができる。従来の燃料電池では、ヒートショックなどによる破壊を抑制するために、アノード中に含まれる固体酸化物の組成と第1の固体酸化物の組成とを同一にする場合が多かった(組成が同一であれば熱膨張率も同一となる)。本発明の燃料電池では、発電温度を低温にすることができるため、必要な発電特性に応じて、第1の固体酸化物12の組成と、第2の固体酸化物の組成とをより柔軟に選択することができる。具体的な例としては、第1の固体酸化物12の組成は、例えば、成膜時の緻密性などの成膜特性に優れる固体酸化物を選択すればよく、第2の固体酸化物の組成は、例えば、イオン伝導特性に優れる固体酸化物を選択すればよい。
第2の固体酸化物の組成は、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している限り特に限定されない。例えば、Zr、Ceを含む固体酸化物を用いればよい。なかでもCeを含む固体酸化物を用いることが好ましい。低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。
より具体的には、例えば、第2の固体酸化物が、式Ce1−xMxO2− αによって示される組成を有していてもよい。ただし、Mは、Gd、LaおよびSmから選ばれる少なくとも1種の元素であり、xおよびαは、式0<x<1および式0≦α<2を満たす数値である。なかでも、xおよびαが、式0<x<0.4、0≦α<1を満たすことが好ましい。なお、αは、酸素の欠損を反映した値である(以下、同様とする)。
また、例えば、第2の固体酸化物が、式Ba(Zr1−x’Cex’)1− y’Gdy’O3−αによって示される組成を有していてもよい。ただし、、x’、y’およびαは、式0<x’<1、式0<y’<1および式0≦α<3を満たす数値である。なかでも、式0.1≦x’<1、0.1≦y’≦0.3、0≦α<1を満たすことが好ましい。
また、例えば、第2の固体酸化物が、式Lax’’Sr1−x’’Gay’’Mg1−y’’−zCOzO3−αによって示される組成を有していてもよい。ただし、x’’、y’’、zおよびαは、式0<x’’<1、式0<y’’<1、式0<z<1および式0<α<3を満たす数値である。
このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。
第2の固体酸化物のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、0.1μm〜5μmの範囲であればよく、0.2μm〜1μmの範囲が好ましい。また、アノード13中に含まれる第2の固体酸化物の割合も特に限定されず、体積%にして、例えば、20体積%〜60体積%の範囲であればよく、25体積%〜50体積%の範囲が好ましい。第2の固体酸化物の形状は特に限定されない。
アノード13は、上述したイオン伝導体(例えば、第2の固体酸化物)、アノード触媒1および金属粒子2を含み、かつ、各々が上述した関係を満たす限り、その構造、構成、形状などは特に限定されない。図1に示すように平板状のアノード13である場合、アノードの厚さは、例えば、10μm〜500μmの範囲である。
カソード14は、燃料電池11の発電温度領域においてカソード触媒活性を有しており、かつ、導電性を有する限り、その構造、構成、形状などは特に限定されない。ここで、カソード触媒活性とは、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が酸化物イオン伝導性を有する場合には、酸化剤(例えば、空気)から酸化物イオンを生成する反応に対する触媒活性を意味している。第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が水素イオン伝導性を有する場合には、水素イオンと酸化剤との反応に対する触媒活性を意味している。
カソード14には、例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池に用いられている電極を用いればよい。具体的には、例えば、LaMnO3、La0.7Sr0.3MnO3、Sm0.5Sr0.5CoO3などを用いればよい。カソード14には、第1の固体酸化物12と組成が同一の酸化物が含まれていてもよい。図1に示すように平板状のカソード14である場合、カソードの厚さは、例えば、500μm〜3mmの範囲である。
アノード13およびカソード14に狭持された電解質である第1の固体酸化物12は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有する限り、特に限定されない。例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池において電解質として用いられている固体酸化物を用いればよい。酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物としては、例えば、ZrO2・Y2O3(8%)や、ZrO2・CaO(12%)などを用いればよい。また、水素イオン伝導性を有する固体酸化物としては、例えば、上述のCe1−xMxO2−α、Ba(Zr1−x’Cex’)1−y’My’O3−αなどを用いればよい。図1に示すように平板状の第1の固体電解質12である場合、第1の固体電解質の厚さは、例えば、1μm〜100μmの範囲である。
本発明の燃料電池におけるその他の部材について説明する。
図1に示す燃料電池11では、第1の固体酸化物12、アノード13およびカソード14の積層体は、基板15に形成された貫通孔に嵌め込まれている。基板15と上記積層体との隙間はシールガラス16によってシールされている。基板15、上記積層体およびシールガラス16は、一対のセパレータ17によって狭持されている。一方のセパレータ17にはアノード流路18が形成されており、アノード流路18が形成されたセパレータ17はアノード13と接するように配置されている。また、他方のセパレータ17にはカソード流路19が形成されており、カソード流路19が形成されたセパレータ17はカソード14と接するように配置されている。このような燃料電池11では、アノード流路18に燃料(例えば、水素、メタノール、ジメチルエーテル、メタン、エタン、プロパン、ブタンなど)を、カソード流路19に酸化剤(例えば、空気、酸素、酸素を含む気体など)を供給することによって発電が行われる。
セパレータ17に用いる材料は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、ステンレス、グラッシーカーボンなどを用いればよい。セパレータ17に形成されるアノード流路18およびカソード流路19の形状も特に限定されず、必要な発電特性に応じて任意に設定すればよい。図1に示すような平板状のセパレータ17である場合、セパレータの厚さは、例えば、500μm〜3mmの範囲である。
基板5に用いる材料は、特に限定されない。例えば、アルミナ、ジルコニアなどを用いればよい。また基板が電気的に絶縁であれば、一対のセパレータ17間の絶縁をより容易に保つことができる。その他、シールガラス16に用いる材料も特に限定されない。例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池に用いる材料を用いればよい。
なお、図1に示すような燃料電池11は、一般に、平板型と呼ばれる燃料電池である。図1に示す燃料電池11を複数積層することも可能であり、この場合、燃料電池全体としての出力電圧を大きくすることができる。また、本発明の燃料電池は、図1に示すような平板型の燃料電池に限定されない。その他の構造の燃料電池(例えば、いわゆる円筒型の燃料電池)であってもよい。同様の効果を得ることができる。
上述したように、本発明の燃料電池11は、低温における発電特性に優れる燃料電池とすることができる。このため、環境温度からの起動性を向上させた燃料電池とすることも可能である。また、従来の燃料電池に比べて断熱材などを少なくすることができるため、より小型の燃料電池とすることも可能である。さらに、燃料電池を構成する部材に、ステンレスなどの金属を用いることが可能になり、上述した部材に金属を用いた場合、電池の起動時あるいは出力変動時などにおけるヒートショックへの耐性をより向上させることができる。即ち、耐久性および/または運転特性により優れる燃料電池とすることも可能である。なお、上述した部材とは、図1に示すセパレータや、燃料電池自体あるいは燃料電池に含まれる各部材間の気密性を保つガスケット、燃料電池に燃料や酸化剤を供給する、あるいは、燃料電池から未使用の燃料や酸化剤、反応によって生成した水、二酸化炭素などを排出するマニホールドなどである。また、上記部材に用いる金属は特に限定されず、部材の種類、発電温度などに応じて設定すればよい。例えば、ステンレスなどを用いればよい。
本発明の燃料電池は、以下のように表現することもできる。
即ち、図1に示すように、本発明の燃料電池11は、アノード13と、カソード14と、アノー13ドおよびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12を含んでいる。図4に示すように、アノード13は、イオン伝導体3と、粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子22とを含んでいる。ここで、複数の種類の金属粒子から選ばれる少なくとも1種の金属粒子22aは、他の金属粒子22bの表面に付着している。他の金属粒子22bの表面に付着している少なくとも1種の金属粒子22aはアノード触媒である(アノード触媒活性を有している)。また、他の金属粒子22bは、導電経路をアノード中に形成する役割を担っている。第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子22を含むとは、例えば、平均粒径が互いに異なる金属粒子を複数含むことをいう。例えば、図4に示す例では、平均粒径が相対的に大きい金属粒子22bと、平均粒径が相対的に小さい金属粒子22aとの2種類の金属粒子を含むといえる。複数の種類の金属粒子間において、組成など、金属粒子を特定するその他の特性が異なっていてもよい。例えば、平均粒径および組成が互いに異なる金属粒子22aおよび22bを2種類含むともいえる。具体的には、金属粒子22aは、上述したアノード触媒1と同様であればよく、金属粒子22bは、上述した金属粒子2と同様であればよい。その他、イオン伝導体3についても同様である。
ここで、複数の種類の金属粒子の中で、少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、その他の金属粒子の平均粒径よりも小さいことが好ましい。少なくとも1種の金属粒子はアノード触媒であるため、平均粒径をその他の金属粒子よりも小さくすることによって、低温における触媒活性の低下を抑制することができ、アノード触媒としての使用量を低減することができる。具体的には、例えば、少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、上述したアノード触媒1の平均粒径と同様であればよい。具体的には、少なくとも1種の金属粒子22aのサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、2nm〜400nmの範囲であればよく、2nm〜20nmの範囲が好ましい。アノード触媒1の平均粒径の説明において上述した効果と同様の効果を得ることができる。なお、その他の金属粒子がアノード触媒としての作用を有していてもよい。
次に、本発明の燃料電池の製造方法について説明する。本発明の燃料電池は、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、アノードおよびカソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に化合物を還元することによって、金属粒子の表面にアノード触媒となる元素を析出させ、上記元素が付着した金属粒子を形成する工程と、
(ii)金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、薄膜、カソードおよび第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した積層体を熱処理することによって上記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程を含んでいる。ここで、第1の固体酸化物およびイオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
このような製造方法とすることによって、低温における発電特性に優れる燃料電池を得ることができる。具体的には、上記工程(i)によれば、アノード触媒と金属粒子とを単に物理的に混合する場合に比べて、アノード触媒が金属粒子の表面に分散して付着する割合を高くすることができる。このため、金属粒子から分離したアノード触媒(即ち、触媒として機能が低いアノード触媒)が生じる割合を抑制することができるため、低温における触媒活性の低下が抑制され、触媒使用量を低減させたアノードとすることができる。即ち、アノードにサーメットを用いた場合に比べて、低温における発電特性に優れ、製造コストが低減された燃料電池を得ることができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法の一例を図5A〜図5Dに示す。
最初に、アノード触媒1となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子2を加えた後に上記化合物を還元することによって、金属粒子2の表面にアノード触媒1となる元素を析出させ、図5Aに示すように、アノード触媒1が表面に付着した金属粒子2を形成する(工程(i))。
次に、図5Bに示すように、アノード触媒1が表面に付着した金属粒子2と、イオン伝導体とを含む薄膜21を形成する(工程(ii))。
次に、図5Cに示すように、別に形成したカソード14と第1の固体酸化物12とを用い、薄膜21とカソード14とによって第1の固体酸化物12を狭持するように薄膜21、カソード14および第1の固体酸化物12とを配置して積層体を形成し、形成した積層体を熱処理することによって薄膜21からアノード13を形成する(工程(iii))。
このようにして、アノード触媒を含むアノード13と、カソード14と、アノード13およびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12とを含む固体酸化物型燃料電池11を形成することができる(図5D)。
カソード14および第1の固体酸化物12を形成する方法は、特に限定されない。一般的な固体酸化物型燃料電池の製造方法を用いればよく、カソードと第1の固体酸化物とを別々に形成してもよいし、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成してもよい。具体例については実施例に後述する(以降の工程における具体例についても同様である)。
上記工程(i)において、アノード触媒となる元素の化合物は、溶液を調製できる限り特に限定されない。例えば、塩化白金酸、塩化ルテニウム、酢酸スズ、タングステン酸、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム、硝酸パラジウム、酢酸銀および塩化金酸から選ばれる少なくとも1種を用いればよい。1種類の化合物を用いれば、単体のアノード触媒を得ることができる。また、複数の種類の化合物を用いれば、合金のアノード触媒を得ることができる。例えば、塩化白金酸からは白金(Pt)を含むアノード触媒を得ることができる。同様に、塩化ルテニウムからはルテニウム(Ru)を、酢酸スズからはスズ(Sn)を、タングステン酸からはタングステン(W)を、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウムからはイリジウム(Ir)を、塩化ロジウムからはロジウム(Rh)を、硝酸パラジウムからはパラジウム(Pd)を、酢酸銀からは銀(Ag)を、塩化金酸からは金(Au)を含むアノード触媒を得ることができる。
アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液における上記化合物の濃度は、好ましくは、0.005mol/L〜0.5mol/Lの範囲である。溶液の溶媒には、例えば、水、エタノールなどを用いればよく、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを添加してもよい。また、必要に応じて上記化合物を含む溶液のpHを調整してもよい。例えば、塩化白金酸水溶液を用いる場合、水酸化ナトリウムなどを加えることによって、pHを5程度に調整することが好ましい。
上記工程(i)において、上記化合物を含む溶液中に金属粒子を加える方法は特に限定されない。例えば、単純に混合すればよい。また、上記化合物を還元する方法は、例えば、過酸化水素水、酸(例えば、酢酸)、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)などを上記化合物および上記金属粒子を含む溶液に加えればよい。上記溶液中において上記化合物を還元することによって、アノード触媒が表面に付着した金属粒子を形成することができる。
上記工程(ii)において、上記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜21を形成する方法は、特に限定されない。例えば、金属繊維のメッシュをディッピングして形成してもよい。あるいは、任意の基材上に印刷法などの方法を用いて薄膜を形成すればよい。この場合、基材は任意の時点において薄膜と分離すればよい。また、薄膜中には、必要に応じて、導電材として金属繊維メッシュなどを加えてもよい。なお、形成する薄膜の厚さは、アノードとして必要な厚さであればよく、図5Dに示すような平板状のアノード13である場合、例えば、10μm〜500μmの範囲である。
薄膜に加えるイオン伝導体は、本発明の燃料電池において説明したように、例えば、第2の固体酸化物であればよい。
上記工程(iii)において、積層体を形成する方法は、特に限定されない。例えば、単に積層すればよい。また、必要に応じて、プレスを行ってもよく、プレスには加熱を併用してもよい。
上記工程(iii)における熱処理は、例えば、空気雰囲気下において、アノード触媒および金属粒子の融点以下で行えばよい。具体的には、例えば、950℃〜1400℃の範囲で行えばよい。熱処理の時間は、例えば、30分〜180分の範囲である。熱処理を行うことによって、薄膜21からアノード13が形成され、本発明の燃料電池を得ることができる。
金属粒子2の組成(金属粒子2に含まれる元素)は、上述したように、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、金属粒子2が導電性を有する限り特に限定されない。具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいればよい。より具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni単体、Co単体、Fe単体、NiFe合金、NiCo合金、NiFeCo合金などであればよい。このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池を得ることができる。得られた燃料電池が発電特性により優れる具体的な理由は上述した通りである。
本発明の製造方法では、イオン伝導体が第2の固体酸化物である場合に、上記工程(ii)が、(a)第2の固体酸化物となる元素の化合物を含む第2の溶液に金属粒子を加え、第2の溶液中の溶媒を除去した後に熱処理を行うことによって、金属粒子と第2の固体酸化物とを含む薄膜を形成する工程を含んでいてもよい。
上記工程(a)において、第2の固体酸化物となる元素の化合物は、溶液を調製できる限り特に限定されない。例えば、酢酸セリウム、塩化ランタン、塩化サマリウム、酢酸バリウム、硫酸ジルコニウムおよび塩化ガドリニウムから選ばれる少なくとも1種を用いればよい。複数の種類の化合物を用いる場合、必要な第2の固体酸化物の組成(組成比)に応じて、溶液中における各々の化合物の割合を設定すればよい。
第2の固体酸化物となる元素の化合物を含む溶液における上記化合物の濃度は、例えば、0.005mol/L〜1mol/Lの範囲である。溶液の溶媒には、例えば、水を用いればよい。また、上記工程(a)において、上記化合物を含む溶液中に、表面にアノード触媒が付着した金属粒子を加える方法は特に限定されない。例えば、単純に混合すればよい。また、溶媒(上記溶液が水溶液である場合は水分)を除去する方法も特に限定されない。
上記工程(a)における熱処理は、例えば、空気雰囲気下において、800℃〜1000℃の範囲で行えばよい。熱処理の時間は、例えば、30分〜180分の範囲である。熱処理を行うことによって、第2の固体酸化物と金属粒子とを含む薄膜21を形成することができる。
本発明の製造方法では、上記工程(iii)の代わりに、(III)薄膜を熱処理することによって、薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、(IV)形成したアノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、アノード、カソードおよび第1の固体酸化物を積層する工程とを含んでいてもよい。このような製造方法とすることによっても、低温における発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池を得ることができる。この場合、上記工程(III)における熱処理は、上記工程(iii)における熱処理と同様であればよい。また、上記工程(IV)において、アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように各部材を積層する方法は、上記工程(iii)において積層体を形成する方法と同様であればよい。
なお、本発明の製造方法では、カソード触媒、金属粒子、第1の固体酸化物、イオン伝導体、第2の固体酸化物、セパレータなどの各部材には、本発明の燃料電池において上述した材料を用いればよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
本実施例では、以下に示す各方法を用いて燃料電池を作製し(サンプル1〜サンプル20)、各燃料電池の発電特性(発電温度依存性)を評価した。最初に、各サンプルの作製方法を示す。なお、サンプル20は、従来の燃料電池であり、比較例である。
−サンプル1−
最初に、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成した。
まず、平均粒径5μm以下のLaMnO3粒子と、平均粒径5μm以下のCe0.9Gd0.1O2粒子と、平均粒径10μmのカーボン粉末(日本カーボン製)とを混合し、さらにプロピレングリコールを添加、混合することによって、上記材料が含まれるペーストを作製した。次に、石英ガラス基板上に印刷法を用いて上記ペーストを塗布し、熱処理(120℃、60分)することによって、厚さ1mmの乾燥膜を形成した。次に、空気雰囲気下において熱処理(1350℃、60分)することによって、LaMnO3粒子とCe0.9Gd0.1O2粒子とを焼結させ、石英ガラス基板から分離して厚さ1mmのカソード(LaMnO3/Ce0.9Gd0.1O2粒子複合多孔質膜、平均孔径10μm)を形成した。このとき、カーボン粉末は酸化によって焼き飛ばされた。続いて、形成したカソード上に、スパッタリング法を用いて、第1の固体電解質であるCe0.9Gd0.1O2緻密膜(厚さ10μm)を形成し、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成した。このとき、スパッタリングのターゲットにはCe0.9Gd0.1O2焼結体を用いた。
カソードおよび第1の固体酸化物の積層体とは別に、アノード触媒と第2の固体電解質と金属粒子とを含む薄膜を作製した。
まず、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L:田中貴金属製)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した。次に、金属粒子として平均粒径1μmのNi粒子を加えた後、還元処理を行う(過酸化水素水を加える)ことによって、アノード触媒として平均粒径5nmのPtが付着した金属粒子を形成した。なお、Ni粒子上にPt粒子が付着していることや、付着しているPt粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線回折法(XRD)などにより確認した。
次に、上記Ni粒子と、平均粒径1μmのCe0.9Gd0.1O2粒子と、平均粒径10μmのカーボン粉末(日本カーボン製)とを、重量比で1:1.37:0.15の割合で混合し、さらにプロピレングリコールを添加、混合することによって、上記材料が含まれるスラリーを作製した。このスラリー中に、平均線径130μmのワイヤーからなる平均厚さ260μmのNiメッシュを浸漬して引き出し、Niメッシュ上にスラリーの膜を形成した。次に、全体を熱処理(120℃、60分)することによって、Ni粒子が30体積%、Ce0.9Gd0.1O2粒子が50体積%、カーボン粒子が20体積%の乾燥膜(厚さ0.3mm)を形成した。
このようにして形成した薄膜を裁断した後に、別に形成したカソードと第1の固体酸化物との積層体における第1の固体酸化物上に配置した。続けて、軽くプレスした後に空気中で熱処理(900℃、1時間)することによって、上記乾燥膜中のカーボン粉末を酸化して焼き飛ばし、上記Ni粒子とCe0.9Gd0.1O2粒子とを焼結して厚さ0.3mmのアノード(Ce0.9Gd0.1O2粒子/Pt付着Ni粒子複合多孔質膜、平均孔径10μm)を形成した。即ち、アノードとカソードとによって第1の固体酸化物が狭持された積層体(膜電極接合体)が形成できた。
このようにして形成した積層体を用いて、図1に示すような燃料電池を作製した。基板にはアルミナを、セパレータにはステンレスを用いた。また、積層体の膜面に垂直な方向から見た積層体のサイズは、20mm×20mmとした。
−サンプル2−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−塩化ルテニウム(関東化学製)水溶液を用いた(PtとRuとの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−塩化ルテニウム水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、塩化ルテニウム水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtRu合金粒子が付着していた。
−サンプル3−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−酢酸スズ(関東化学製)水溶液を用いた(PtとSnの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−酢酸スズ水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、酢酸スズ水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtSn合金粒子が付着していた。
−サンプル4−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−タングステン酸(関東化学製)水溶液を用いた(PtとWの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−タングステン酸水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、タングステン酸水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtW合金粒子が付着していた。
−サンプル5−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム(関東化学製)水溶液を用いた。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Ir付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのIr粒子が付着していた。
−サンプル6−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−塩化ルテニウム水溶液を用いた(IrとRuの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−塩化ルテニウム水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、塩化ルテニウム水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrRu合金粒子が付着していた。
−サンプル7−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−酢酸スズ水溶液を用いた(IrとSnの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−酢酸スズ水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、酢酸スズ水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrSn合金粒子が付着していた。
−サンプル8−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−タングステン酸水溶液を用いた(IrとWの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−タングステン酸水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、タングステン酸水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrW合金粒子が付着していた。
−サンプル9−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化ロジウム(関東化学製)水溶液を用いた。塩化ロジウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Rh付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのRh粒子が付着していた。
−サンプル10−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、硝酸パラジウム(関東化学製)水溶液を用いた。硝酸パラジウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Pd付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのPd粒子が付着していた。
−サンプル11−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、酢酸銀(関東化学製)水溶液を用いた。酢酸銀水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Ag付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのAg粒子が付着していた。
−サンプル12−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化金酸水溶液(田中貴金属製)を用いた。塩化金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Au付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのAu粒子が付着していた。
−サンプル13−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、金属粒子としてNi粒子の代わりに、平均粒径1μmのCo粒子を用いた。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるCo粒子には、平均粒径20nmのPt粒子が付着していた。
−サンプル14−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、金属粒子としてNi粒子の代わりに、平均粒径1μmのFe粒子を用いた。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるFe粒子には、平均粒径20nmのPt粒子が付着していた。
−サンプル15−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのCe0.9La0.1O2粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル16−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのCe0.8Sm0.2O2粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル17−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル18−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのLa0.8Sr0.2Ga0.9Mg0.05Co0.05O3粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル19−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製し、Ni粒子を加えた後の還元処理時間を調整することによって、付着するPtの平均粒径を2nm、20nmおよび400nmに変えて作製した。なお、サンプル1と同様に平均粒径の確認は、SEM、TEM、XRDなどで行った。
−サンプル20(比較例)−
比較例であるサンプル20として、上述の文献Aに開示されている燃料電池を作製した。より具体的には、アノードには、平均粒径1μmのニッケルとGd0.1Ce0.9O1.95粒子とからなる多孔質サーメットを用い、電解質(第1の固体酸化物)には厚さ20μmのGd0.1Ce0.9O1.95酸化物を用いた。また、カソードには、Sm0.5Sr0.5CO3およびGd0.1Ce0.9O1.95からなる多孔質膜を用いた。製造方法は、文献Aに従った。その他の部材、および、電解質、アノードおよびカソードの両電極のサイズなどは、サンプル1〜19と同一とした。
以上のように準備した各サンプルに対して、燃料として水素を、酸化剤として空気を用い、実際に発電を行った。また、発電に際しては、発電温度を400℃および600℃とし、利用率をアノード側70%、カソード側40%とした。サンプル1およびサンプル20(比較例)の発電特性の結果を図4に示す。
図4に示すように、比較例であるサンプル20に比べてサンプル1の方が発電特性に優れる結果となった。なかでも発電温度が400℃の場合に、サンプル20の出力が大きく低下したのに対して、サンプル1では低下の度合いが大幅に軽減できた。サンプル20に比べてサンプル1では、低温における触媒活性の低下が抑制できると考えられる。
同様にサンプル1〜サンプル18およびサンプル20の発電結果について、以下の表1に示す。表1では、各発電温度における最大出力(W/cm2)を示す。
表1に示すように、サンプル2〜サンプル18の各サンプルにおいても、サンプル1とほぼ同様の結果が得られた。
次に、サンプル1(Pt平均粒径5nm)およびサンプル19(Pt平均粒径2nm、20nm、400nm)における最大出力(発電温度400℃および600℃)の結果を図7に、サンプル1およびサンプル19における、アノード中のPtの使用量の値を図8に示す。
図7に示すように、アノード触媒として金属粒子の表面に付着しているPtの平均粒径が2nm〜400nmの範囲において、ほぼ同様の発電特性が得られることがわかった。この結果から、アノード触媒であるPtの触媒活性は、発電温度400℃〜600℃の範囲において、平均粒径に対して依存しないことがわかった。この理由は明確ではないが、金属粒子の表面を水素原子が移動しやすくなることによって、Ptの表面積の低下を補うように少ない表面積でも高い触媒活性を示すようになっていることが考えられる。また、図8に示すように、Ptの平均粒径が小さくなるほど、発電特性を保持したままPtの使用量を低減できることがわかった。この現象は、金属粒子上においてPtが付着する点が反応時間の経過によっても増大しないことによると考えられる。反応時間を長くした場合、新たなPt粒子の付着は抑制されるようであるが、生成したPt粒子は成長する傾向にある。このため、金属粒子に付着したPt粒子数が、Ptの平均粒径が増加した場合でもほぼ同一であることがPtの使用量を低減できる理由として考えられる。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
本実施例では、以下に示す各方法を用いて燃料電池を作製し(サンプル1〜サンプル20)、各燃料電池の発電特性(発電温度依存性)を評価した。最初に、各サンプルの作製方法を示す。なお、サンプル20は、従来の燃料電池であり、比較例である。
−サンプル1−
最初に、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成した。
まず、平均粒径5μm以下のLaMnO3粒子と、平均粒径5μm以下のCe0.9Gd0.1O2粒子と、平均粒径10μmのカーボン粉末(日本カーボン製)とを混合し、さらにプロピレングリコールを添加、混合することによって、上記材料が含まれるペーストを作製した。次に、石英ガラス基板上に印刷法を用いて上記ペーストを塗布し、熱処理(120℃、60分)することによって、厚さ1mmの乾燥膜を形成した。次に、空気雰囲気下において熱処理(1350℃、60分)することによって、LaMnO3粒子とCe0.9Gd0.1O2粒子とを焼結させ、石英ガラス基板から分離して厚さ1mmのカソード(LaMnO3/Ce0.9Gd0.1O2粒子複合多孔質膜、平均孔径10μm)を形成した。このとき、カーボン粉末は酸化によって焼き飛ばされた。続いて、形成したカソード上に、スパッタリング法を用いて、第1の固体電解質であるCe0.9Gd0.1O2緻密膜(厚さ10μm)を形成し、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成した。このとき、スパッタリングのターゲットにはCe0.9Gd0.1O2焼結体を用いた。
カソードおよび第1の固体酸化物の積層体とは別に、アノード触媒と第2の固体電解質と金属粒子とを含む薄膜を作製した。
まず、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L:田中貴金属製)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した。次に、金属粒子として平均粒径1μmのNi粒子を加えた後、還元処理を行う(過酸化水素水を加える)ことによって、アノード触媒として平均粒径5nmのPtが付着した金属粒子を形成した。なお、Ni粒子上にPt粒子が付着していることや、付着しているPt粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線回折法(XRD)などにより確認した。
次に、上記Ni粒子と、平均粒径1μmのCe0.9Gd0.1O2粒子と、平均粒径10μmのカーボン粉末(日本カーボン製)とを、重量比で1:1.37:0.15の割合で混合し、さらにプロピレングリコールを添加、混合することによって、上記材料が含まれるスラリーを作製した。このスラリー中に、平均線径130μmのワイヤーからなる平均厚さ260μmのNiメッシュを浸漬して引き出し、Niメッシュ上にスラリーの膜を形成した。次に、全体を熱処理(120℃、60分)することによって、Ni粒子が30体積%、Ce0.9Gd0.1O2粒子が50体積%、カーボン粒子が20体積%の乾燥膜(厚さ0.3mm)を形成した。
このようにして形成した薄膜を裁断した後に、別に形成したカソードと第1の固体酸化物との積層体における第1の固体酸化物上に配置した。続けて、軽くプレスした後に空気中で熱処理(900℃、1時間)することによって、上記乾燥膜中のカーボン粉末を酸化して焼き飛ばし、上記Ni粒子とCe0.9Gd0.1O2粒子とを焼結して厚さ0.3mmのアノード(Ce0.9Gd0.1O2粒子/Pt付着Ni粒子複合多孔質膜、平均孔径10μm)を形成した。即ち、アノードとカソードとによって第1の固体酸化物が狭持された積層体(膜電極接合体)が形成できた。
このようにして形成した積層体を用いて、図1に示すような燃料電池を作製した。基板にはアルミナを、セパレータにはステンレスを用いた。また、積層体の膜面に垂直な方向から見た積層体のサイズは、20mm×20mmとした。
−サンプル2−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−塩化ルテニウム(関東化学製)水溶液を用いた(PtとRuとの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−塩化ルテニウム水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、塩化ルテニウム水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtRu合金粒子が付着していた。
−サンプル3−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−酢酸スズ(関東化学製)水溶液を用いた(PtとSnの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−酢酸スズ水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、酢酸スズ水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtSn合金粒子が付着していた。
−サンプル4−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−タングステン酸(関東化学製)水溶液を用いた(PtとWの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−タングステン酸水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、タングステン酸水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtW合金粒子が付着していた。
−サンプル5−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム(関東化学製)水溶液を用いた。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Ir付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのIr粒子が付着していた。
−サンプル6−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−塩化ルテニウム水溶液を用いた(IrとRuの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−塩化ルテニウム水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、塩化ルテニウム水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrRu合金粒子が付着していた。
−サンプル7−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−酢酸スズ水溶液を用いた(IrとSnの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−酢酸スズ水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、酢酸スズ水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrSn合金粒子が付着していた。
−サンプル8−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−タングステン酸水溶液を用いた(IrとWの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−タングステン酸水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、タングステン酸水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrW合金粒子が付着していた。
−サンプル9−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化ロジウム(関東化学製)水溶液を用いた。塩化ロジウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Rh付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのRh粒子が付着していた。
−サンプル10−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、硝酸パラジウム(関東化学製)水溶液を用いた。硝酸パラジウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Pd付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのPd粒子が付着していた。
−サンプル11−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、酢酸銀(関東化学製)水溶液を用いた。酢酸銀水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Ag付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのAg粒子が付着していた。
−サンプル12−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化金酸水溶液(田中貴金属製)を用いた。塩化金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Au付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのAu粒子が付着していた。
−サンプル13−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、金属粒子としてNi粒子の代わりに、平均粒径1μmのCo粒子を用いた。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるCo粒子には、平均粒径20nmのPt粒子が付着していた。
−サンプル14−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、金属粒子としてNi粒子の代わりに、平均粒径1μmのFe粒子を用いた。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるFe粒子には、平均粒径20nmのPt粒子が付着していた。
−サンプル15−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのCe0.9La0.1O2粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル16−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのCe0.8Sm0.2O2粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル17−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル18−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのLa0.8Sr0.2Ga0.9Mg0.05Co0.05O3粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル19−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製し、Ni粒子を加えた後の還元処理時間を調整することによって、付着するPtの平均粒径を2nm、20nmおよび400nmに変えて作製した。なお、サンプル1と同様に平均粒径の確認は、SEM、TEM、XRDなどで行った。
−サンプル20(比較例)−
比較例であるサンプル20として、上述の文献Aに開示されている燃料電池を作製した。より具体的には、アノードには、平均粒径1μmのニッケルとGd0.1Ce0.9O1.95粒子とからなる多孔質サーメットを用い、電解質(第1の固体酸化物)には厚さ20μmのGd0.1Ce0.9O1.95酸化物を用いた。また、カソードには、Sm0.5Sr0.5CO3およびGd0.1Ce0.9O1.95からなる多孔質膜を用いた。製造方法は、文献Aに従った。その他の部材、および、電解質、アノードおよびカソードの両電極のサイズなどは、サンプル1〜19と同一とした。
以上のように準備した各サンプルに対して、燃料として水素を、酸化剤として空気を用い、実際に発電を行った。また、発電に際しては、発電温度を400℃および600℃とし、利用率をアノード側70%、カソード側40%とした。サンプル1およびサンプル20(比較例)の発電特性の結果を図4に示す。
図4に示すように、比較例であるサンプル20に比べてサンプル1の方が発電特性に優れる結果となった。なかでも発電温度が400℃の場合に、サンプル20の出力が大きく低下したのに対して、サンプル1では低下の度合いが大幅に軽減できた。サンプル20に比べてサンプル1では、低温における触媒活性の低下が抑制できると考えられる。
同様にサンプル1〜サンプル18およびサンプル20の発電結果について、以下の表1に示す。表1では、各発電温度における最大出力(W/cm2)を示す。
表1に示すように、サンプル2〜サンプル18の各サンプルにおいても、サンプル1とほぼ同様の結果が得られた。
次に、サンプル1(Pt平均粒径5nm)およびサンプル19(Pt平均粒径2nm、20nm、400nm)における最大出力(発電温度400℃および600℃)の結果を図7に、サンプル1およびサンプル19における、アノード中のPtの使用量の値を図8に示す。
図7に示すように、アノード触媒として金属粒子の表面に付着しているPtの平均粒径が2nm〜400nmの範囲において、ほぼ同様の発電特性が得られることがわかった。この結果から、アノード触媒であるPtの触媒活性は、発電温度400℃〜600℃の範囲において、平均粒径に対して依存しないことがわかった。この理由は明確ではないが、金属粒子の表面を水素原子が移動しやすくなることによって、Ptの表面積の低下を補うように少ない表面積でも高い触媒活性を示すようになっていることが考えられる。また、図8に示すように、Ptの平均粒径が小さくなるほど、発電特性を保持したままPtの使用量を低減できることがわかった。この現象は、金属粒子上においてPtが付着する点が反応時間の経過によっても増大しないことによると考えられる。反応時間を長くした場合、新たなPt粒子の付着は抑制されるようであるが、生成したPt粒子は成長する傾向にある。このため、金属粒子に付着したPt粒子数が、Ptの平均粒径が増加した場合でもほぼ同一であることがPtの使用量を低減できる理由として考えられる。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
以上説明したように、本発明によれば、より低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池と、その製造方法とを提供することができる。また、本発明の固体酸化物型燃料電池は、その特長から、様々な用途の電源、例えば、自動車用の電源や携帯機器用の電源として用いることができる。
本発明は、固体酸化物型燃料電池とその製造方法に関する。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電解質にイオン伝導性を有する固体酸化物を用いた燃料電池である。一般に、固体酸化物にはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)が用いられており、YSZが酸化物イオンを伝導することによって発電が行われる。電解質にYSZを用いた場合、発電温度は一般に800℃以上である。
電解質である固体酸化物は、アノードとカソードとによって狭持されている。アノードには、一般に、YSZなどの固体酸化物とニッケルなどの金属粒子とからなる多孔質のサーメットが用いられている。また、カソードには、一般に、YSZなどの固体酸化物とランタンマンガナイトなどからなる導電性の多孔質体が用いられている。各々の電極は触媒活性を有しており、電解質との間で酸化物イオンの授受(電解質の種類によっては、水素イオンの授受)を行うことができる。
上述のようにSOFCの運転温度は800℃以上と高温であるため、一般に、SOFCを構成する部材にはセラミクスが用いられている。しかし、セラミクスは、ヒートショックや衝撃に弱い特徴がある。このため、SOFCの発電温度を600℃以下に下げることが検討されている。発電温度が600℃以下になれば、SOFCを構成する部材にステンレスなどの金属を用いることが可能になり、より耐久性、運転特性に優れるSOFCとすることができる。
しかし、発電温度を単に下げただけでは、電池の出力密度が低下する。これは、発電温度が下がることによる電解質のイオン伝導度の低下と、電極の触媒活性の低下が原因であると考えられている。現在、より低温においても高いイオン伝導度を示す固体酸化物の開発が進められている。
例えば、ガドリニウムドープセリウム酸化物(GDC)の1種が、非特許文献1に開示されている。上記GDCは、600℃程度の低温において高いイオン伝導度(0.5Ω・cm2/厚さ20μm)を示すことができる。上記文献では、ニッケル粒子と上記GDCとを混合した多孔質のサーメットをアノードに用いることによって、600℃程度の低温において従来よりも高い出力を得ている。
Changrong Xia, et al. "Low-temperature SOFCs based on Gd0.1Ce0.9O1.95 fabricated by dry pressing", Solid State Ionics, (2001), 144, p.249-255
しかしながら、ニッケル粒子と固体酸化物とを混合した多孔質のサーメットを用いた場合、600℃よりも低温の領域において出力が大きく低下する傾向にある。これは、触媒活性の低下が主な要因であると考えられており、アノードの多孔度や組成比を最適化することによって触媒活性の向上が試みられているが、十分な結果が得られていない。ニッケル粒子の代わりに、ニッケル粒子よりも低温の触媒活性に優れる白金粒子を混合したサーメットも考えられるが、高価な白金を多量に含む必要があることから、コスト的に課題がある。
よって、本発明は、新しいアノードを示すことによって、より低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池と、その製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の固体酸化物型燃料電池は、アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、前記アノードは、金属粒子とアノード触媒とイオン伝導体とを含み、前記金属粒子の表面には前記アノード触媒が付着しており、前記金属粒子の組成と、前記アノード触媒の組成とが異なり、前記金属粒子の平均粒径が、前記アノード触媒の平均粒径よりも大きいことを特徴とする。
次に、本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(ii)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)前記薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記薄膜、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した前記積層体を熱処理することによって前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(ii)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)前記薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記薄膜、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した前記積層体を熱処理することによって前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
また、本発明の別の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(I)アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(II)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(III)前記薄膜を熱処理することによって、前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、
(IV)形成した前記アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記アノード、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を積層する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
(I)アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(II)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(III)前記薄膜を熱処理することによって、前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、
(IV)形成した前記アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記アノード、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を積層する工程とを含み、
前記第1の固体酸化物および前記イオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
以上説明したように、本発明によれば、より低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池と、その製造方法とを提供することができる。また、本発明の固体酸化物型燃料電池は、その特長から、様々な用途の電源、例えば、自動車用の電源や携帯機器用の電源として用いることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態の説明において、同一の部材には同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
最初に、本発明の固体酸化物型燃料電池(以下、単に「燃料電池」ともいう)について説明する。
図1は、本発明の固体酸化物型燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す固体酸化物型燃料電池11(燃料電池11)は、アノード13と、カソード14と、アノード13およびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12とを含んでいる。ここで、アノード13は、金属粒子とアノード触媒とイオン伝導体とを含んでおり、金属粒子の表面にはアノード触媒が付着している。また、第1の固体酸化物12と、アノード13に含まれるイオン伝導体とは、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。このような燃料電池11とすることによって、低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池11に含まれるアノード13の構造の一例を図2に示す。図2に示すアノードは、金属粒子2とアノード触媒1とイオン伝導体3とを含んでいる。金属粒子2の表面にはアノード触媒1が付着している。このようなアノードでは、低温においても触媒活性の劣化を抑制することができる。このため、図2に示すようなアノードを含むことによって、低温においても発電特性に優れる燃料電池11とすることができる。なお、「付着」とは、両者が物理的に接触してさえいればよく、両者の接合面が化学的に結合している必要は必ずしもない。ただし、両者の接合面が化学的に結合している場合の方が、よりアノードとしての特性を安定的に保持することができる。両者の接合面が化学的に結合している場合、金属粒子2の表面にアノード触媒1が担持されている、ともいえる。また、図2に示す例では、アノード触媒1は金属粒子2の表面にのみ存在しているが、アノード触媒1が存在する領域は金属粒子2の表面に限定されず、その他の領域に存在していてもよい。
本発明の燃料電池11におけるアノード13の構造は、従来の固体酸化物型燃料電池におけるアノードの構造とは全く異なっている。図3に、従来の燃料電池におけるアノードの構造の一例を示す。図3に示すアノードは、アノード触媒としての役割を担う金属粒子101と、イオン伝導体である固体酸化物102とを含む多孔質のサーメットである。金属粒子101には、例えば、ニッケル粒子や白金粒子などが用いられる。金属粒子101は導電体としての役割も担っており、アノード中に導電経路を形成するために、また、固体酸化物102とともにサーメットを形成するために、金属粒子101にはある程度のサイズ(例えば、平均粒径にして0.5μm程度以上)が要求される。また、アノード中における金属粒子101の割合もある程度以上(例えば、30体積%程度以上)必要である。このため、例えば、低温における触媒活性の低下を抑制するなどの理由から、白金粒子などの貴金属粒子を金属粒子101として用いた場合などに、製造コストの増大が予想される。
これに対して、本発明の燃料電池11におけるアノード13では、図2に示すように、アノード触媒1と、導電体としての役割を担う金属粒子2とが分離されている。このため、アノード触媒1のサイズや、アノード13中におけるアノード触媒の割合をより柔軟に設定することが可能である。よって、例えば、アノード触媒1のサイズを従来のアノード(従来のアノードにおける金属粒子)に比べてより小さくすることができ、低温における発電時にも触媒活性の低下を抑制することが可能となる。また、例えば、アノード触媒1に白金などの貴金属を用いる場合においても、導電体の役割を担う金属粒子2が必ずしも上記貴金属を含む必要はないため、より低コストでの製造が可能となる。その他、例えば、金属粒子2の表面におけるアノード触媒1の分布を制御することによって、アノード触媒1同士の焼結などによるアノード特性の低下を抑制することなども可能である。なお、本発明の燃料電池11において、アノード触媒1だけではなく、金属粒子2がアノード触媒としての作用を有していても(アノード触媒活性を有していても)よい。
また、アノード13が、複数の種類のアノード触媒1(例えば、複数の互いに組成が異なるアノード触媒1)を含んでいてもよい。例えば、異なる温度領域において触媒活性がピークとなる複数のアノード触媒1をアノード13が含むことによって、より幅広い温度領域において発電特性に優れる燃料電池とすることができる。このとき、本発明の燃料電池におけるアノード13のように、アノード触媒1と金属粒子2とを分離した構成とすると、アノード触媒1の種類をより柔軟に選択することができる。
本発明の燃料電池では、金属粒子2の組成と、アノード触媒1の組成とが異なっていてもよい。より具体的には、例えば、金属粒子2に含まれる元素(例えば、金属元素)と、アノード触媒1に含まれる元素(例えば、金属元素)とが異なっていてもよい。このような構成は、従来の燃料電池におけるアノードでは困難である。本発明の燃料電池では、例えば、低温での触媒活性の低下を抑制するために貴金属元素を含むアノード触媒1を用いながら、貴金属元素を含まない金属粒子2を用いることによって製造コストの低減を図ることができる。
アノード触媒1の組成(アノード触媒1に含まれる元素)は、発電時におけるアノード13の内部の環境に耐えることができる限り特に限定されない。ただし、燃料電池の発電原理上、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が酸化物イオン伝導性を有する場合には、燃料と酸化物イオンとの反応に対して触媒活性を有する必要がある。また、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が水素イオン伝導性を有する場合には、燃料から水素イオンを生成する反応に対して触媒活性を有する必要がある。例えば、アノード触媒1が遷移元素を含んでいればよい。このとき、遷移元素を含む単体であっても合金であってもよい。なお、本明細書において「合金」とは、金属間化合物および固溶体なども含む概念である。
本発明の燃料電池では、アノード触媒1が貴金属元素を含んでいてもよい。より具体的には、例えば、アノード触媒1が、Pt、Ir、Rh、Pd、AgおよびAuから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。低温における触媒活性の低下を抑制することができ、低温においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
本発明の燃料電池では、アノード触媒1が、PtRu、PtSn、PtRe、PtOs、PtW、IrRu、IrSnおよびIrWから選ばれる少なくとも1種の合金を含んでいてもよい。このような合金は、特に触媒活性が高く、発電特性により優れる燃料電池とすることができる。なお、上記合金における各元素の組成比は特に限定されない。
その他、本発明の燃料電池では、アノード触媒1が、例えば、タングステン酸化物、銅酸化物および亜鉛酸化物から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含んでいてもよい。同様に、低温における触媒活性の低下を抑制することができ、低温においても発電特性に優れる燃料電池とすることができる。
アノード触媒1のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、2nm〜400nmの範囲であればよく、2nm〜20nmの範囲が好ましい。平均粒径が上記範囲(2nm〜400nm)にあるアノード触媒1とすることによって、低温における触媒活性の低下をより抑制することができる。また、なかでも平均粒径が2nm〜20nmの範囲の場合に、アノード13全体におけるアノード触媒1の使用量を大きく低減することができるため、製造コストの低減を図ることができる。アノード13中に含まれるアノード触媒1の具体的な割合(アノード13におけるアノード触媒の使用量ともいえる)も特に限定されず、質量%にして、例えば、0.01質量%〜10質量%の範囲であればよく、0.1質量%〜3質量%の範囲が好ましい。
金属粒子2の表面に付着するアノード触媒1の形態は、特に限定されない。例えば、粒子状のアノード触媒1が金属粒子2の表面に付着していればよい。このとき、金属粒子2の表面全体をアノード触媒1が覆っている必要はなく、金属粒子2の表面をアノード触媒1が覆う程度は、燃料電池として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。
金属粒子2の組成(金属粒子2に含まれる元素)は、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、金属粒子2が導電性を有する限り特に限定されない。具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいればよい。より具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni単体、Co単体、Fe単体、NiFe合金、NiCo合金、NiFeCo合金などであればよい。このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。発電特性により優れる具体的な理由は明確ではないが、NiやCo、Feを含む金属粒子2の表面では、低温(例えば、200℃〜600℃の範囲、好ましくは400℃〜600℃の範囲)において水素分子が吸着しやすくなっており、さらに、水素分子がアノード触媒によって水素原子となった場合に、金属粒子2の表面を水素原子が移動しやすくなっている可能性が理由として考えられる。
金属粒子2のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、300nm〜10μmの範囲であればよく、500nm〜2μmの範囲が好ましい。このような範囲において、良好な導電経路をアノード中に形成することができる。また、本発明の燃料電池では、アノード13が、金属粒子2の表面にアノード触媒1が付着している構成を有することから、金属粒子2の平均粒径はアノード触媒1の平均粒径よりも大きいことが好ましい。
アノード13中に含まれる金属粒子2の割合は特に限定されず、体積%にして、例えば、25体積%〜50体積%の範囲であればよく、30体積%〜40体積%の範囲が好ましい。このような範囲において、良好な導電経路をアノード中に形成することができる。なお、金属粒子2の形状は特に限定されない。
イオン伝導体3は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有し、第1の固体酸化物12と同一のイオン伝導性を有する限り、その組成、構造、形状などは特に限定されない。例えば、第1の固体酸化物12と同一のイオン伝導性を有する第2の固体酸化物であればよい。このとき、第1の固体酸化物12の組成と、第2の固体酸化物の組成とは、同一であっても、互いに異なっていてもよい。
上述したように、本発明の燃料電池は、低温における発電特性に優れる燃料電池とすることができる。従来の燃料電池では、ヒートショックなどによる破壊を抑制するために、アノード中に含まれる固体酸化物の組成と第1の固体酸化物の組成とを同一にする場合が多かった(組成が同一であれば熱膨張率も同一となる)。本発明の燃料電池では、発電温度を低温にすることができるため、必要な発電特性に応じて、第1の固体酸化物12の組成と、第2の固体酸化物の組成とをより柔軟に選択することができる。具体的な例としては、第1の固体酸化物12の組成は、例えば、成膜時の緻密性などの成膜特性に優れる固体酸化物を選択すればよく、第2の固体酸化物の組成は、例えば、イオン伝導特性に優れる固体酸化物を選択すればよい。
第2の固体酸化物の組成は、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している限り特に限定されない。例えば、Zr、Ceを含む固体酸化物を用いればよい。なかでもCeを含む固体酸化物を用いることが好ましい。低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。
より具体的には、例えば、第2の固体酸化物が、式Ce1-xMxO2-αによって示される組成を有していてもよい。ただし、Mは、Gd、LaおよびSmから選ばれる少なくとも1種の元素であり、xおよびαは、式0<x<1および式0≦α<2を満たす数値である。なかでも、xおよびαが、式0<x<0.4、0≦α<1を満たすことが好ましい。なお、αは、酸素の欠損を反映した値である(以下、同様とする)。
また、例えば、第2の固体酸化物が、式Ba(Zr1-x'Cex')1-y'Gdy'O3-αによって示される組成を有していてもよい。ただし、、x’、y’およびαは、式0<x’<1、式0<y’<1および式0≦α<3を満たす数値である。なかでも、式0.1≦x’<1、0.1≦y’≦0.3、0≦α<1を満たすことが好ましい。
また、例えば、第2の固体酸化物が、式Lax''Sr1-x''Gay''Mg1-y''-zCozO3-αによって示される組成を有していてもよい。ただし、x’’、y’’、zおよびαは、式0<x’’<1、式0<y’’<1、式0<z<1および式0<α<3を満たす数値である。
このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池とすることができる。
第2の固体酸化物のサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、0.1μm〜5μmの範囲であればよく、0.2μm〜1μmの範囲が好ましい。また、アノード13中に含まれる第2の固体酸化物の割合も特に限定されず、体積%にして、例えば、20体積%〜60体積%の範囲であればよく、25体積%〜50体積%の範囲が好ましい。第2の固体酸化物の形状は特に限定されない。
アノード13は、上述したイオン伝導体(例えば、第2の固体酸化物)、アノード触媒1および金属粒子2を含み、かつ、各々が上述した関係を満たす限り、その構造、構成、形状などは特に限定されない。図1に示すように平板状のアノード13である場合、アノードの厚さは、例えば、10μm〜500μmの範囲である。
カソード14は、燃料電池11の発電温度領域においてカソード触媒活性を有しており、かつ、導電性を有する限り、その構造、構成、形状などは特に限定されない。ここで、カソード触媒活性とは、第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が酸化物イオン伝導性を有する場合には、酸化剤(例えば、空気)から酸化物イオンを生成する反応に対する触媒活性を意味している。第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3が水素イオン伝導性を有する場合には、水素イオンと酸化剤との反応に対する触媒活性を意味している。
カソード14には、例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池に用いられている電極を用いればよい。具体的には、例えば、LaMnO3、La0.7Sr0.3MnO3、Sm0.5Sr0.5CoO3などを用いればよい。カソード14には、第1の固体酸化物12と組成が同一の酸化物が含まれていてもよい。図1に示すように平板状のカソード14である場合、カソードの厚さは、例えば、500μm〜3mmの範囲である。
アノード13およびカソード14に狭持された電解質である第1の固体酸化物12は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有する限り、特に限定されない。例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池において電解質として用いられている固体酸化物を用いればよい。酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物としては、例えば、ZrO2・Y2O3(8%)や、ZrO2・CaO(12%)などを用いればよい。また、水素イオン伝導性を有する固体酸化物としては、例えば、上述のCe1-xMxO2-α、Ba(Zr1-x'Cex')1-y'My'O3-αなどを用いればよい。図1に示すように平板状の第1の固体電解質12である場合、第1の固体電解質の厚さは、例えば、1μm〜100μmの範囲である。
本発明の燃料電池におけるその他の部材について説明する。
図1に示す燃料電池11では、第1の固体酸化物12、アノード13およびカソード14の積層体は、基板15に形成された貫通孔に嵌め込まれている。基板15と上記積層体との隙間はシールガラス16によってシールされている。基板15、上記積層体およびシールガラス16は、一対のセパレータ17によって狭持されている。一方のセパレータ17にはアノード流路18が形成されており、アノード流路18が形成されたセパレータ17はアノード13と接するように配置されている。また、他方のセパレータ17にはカソード流路19が形成されており、カソード流路19が形成されたセパレータ17はカソード14と接するように配置されている。このような燃料電池11では、アノード流路18に燃料(例えば、水素、メタノール、ジメチルエーテル、メタン、エタン、プロパン、ブタンなど)を、カソード流路19に酸化剤(例えば、空気、酸素、酸素を含む気体など)を供給することによって発電が行われる。
セパレータ17に用いる材料は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、ステンレス、グラッシーカーボンなどを用いればよい。セパレータ17に形成されるアノード流路18およびカソード流路19の形状も特に限定されず、必要な発電特性に応じて任意に設定すればよい。図1に示すような平板状のセパレータ17である場合、セパレータの厚さは、例えば、500μm〜3mmの範囲である。
基板5に用いる材料は、特に限定されない。例えば、アルミナ、ジルコニアなどを用いればよい。また基板が電気的に絶縁であれば、一対のセパレータ17間の絶縁をより容易に保つことができる。その他、シールガラス16に用いる材料も特に限定されない。例えば、一般的な固体酸化物型燃料電池に用いる材料を用いればよい。
なお、図1に示すような燃料電池11は、一般に、平板型と呼ばれる燃料電池である。図1に示す燃料電池11を複数積層することも可能であり、この場合、燃料電池全体としての出力電圧を大きくすることができる。また、本発明の燃料電池は、図1に示すような平板型の燃料電池に限定されない。その他の構造の燃料電池(例えば、いわゆる円筒型の燃料電池)であってもよい。同様の効果を得ることができる。
上述したように、本発明の燃料電池11は、低温における発電特性に優れる燃料電池とすることができる。このため、環境温度からの起動性を向上させた燃料電池とすることも可能である。また、従来の燃料電池に比べて断熱材などを少なくすることができるため、より小型の燃料電池とすることも可能である。さらに、燃料電池を構成する部材に、ステンレスなどの金属を用いることが可能になり、上述した部材に金属を用いた場合、電池の起動時あるいは出力変動時などにおけるヒートショックへの耐性をより向上させることができる。即ち、耐久性および/または運転特性により優れる燃料電池とすることも可能である。なお、上述した部材とは、図1に示すセパレータや、燃料電池自体あるいは燃料電池に含まれる各部材間の気密性を保つガスケット、燃料電池に燃料や酸化剤を供給する、あるいは、燃料電池から未使用の燃料や酸化剤、反応によって生成した水、二酸化炭素などを排出するマニホールドなどである。また、上記部材に用いる金属は特に限定されず、部材の種類、発電温度などに応じて設定すればよい。例えば、ステンレスなどを用いればよい。
本発明の燃料電池は、以下のように表現することもできる。
即ち、図1に示すように、本発明の燃料電池11は、アノード13と、カソード14と、アノー13ドおよびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12を含んでいる。図4に示すように、アノード13は、イオン伝導体3と、粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子22とを含んでいる。ここで、複数の種類の金属粒子から選ばれる少なくとも1種の金属粒子22aは、他の金属粒子22bの表面に付着している。他の金属粒子22bの表面に付着している少なくとも1種の金属粒子22aはアノード触媒である(アノード触媒活性を有している)。また、他の金属粒子22bは、導電経路をアノード中に形成する役割を担っている。第1の固体酸化物12およびイオン伝導体3は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子22を含むとは、例えば、平均粒径が互いに異なる金属粒子を複数含むことをいう。例えば、図4に示す例では、平均粒径が相対的に大きい金属粒子22bと、平均粒径が相対的に小さい金属粒子22aとの2種類の金属粒子を含むといえる。複数の種類の金属粒子間において、組成など、金属粒子を特定するその他の特性が異なっていてもよい。例えば、平均粒径および組成が互いに異なる金属粒子22aおよび22bを2種類含むともいえる。具体的には、金属粒子22aは、上述したアノード触媒1と同様であればよく、金属粒子22bは、上述した金属粒子2と同様であればよい。その他、イオン伝導体3についても同様である。
ここで、複数の種類の金属粒子の中で、少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、その他の金属粒子の平均粒径よりも小さいことが好ましい。少なくとも1種の金属粒子はアノード触媒であるため、平均粒径をその他の金属粒子よりも小さくすることによって、低温における触媒活性の低下を抑制することができ、アノード触媒としての使用量を低減することができる。具体的には、例えば、少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、上述したアノード触媒1の平均粒径と同様であればよい。具体的には、少なくとも1種の金属粒子22aのサイズは特に限定されず、平均粒径にして、例えば、2nm〜400nmの範囲であればよく、2nm〜20nmの範囲が好ましい。アノード触媒1の平均粒径の説明において上述した効果と同様の効果を得ることができる。なお、その他の金属粒子がアノード触媒としての作用を有していてもよい。
次に、本発明の燃料電池の製造方法について説明する。本発明の燃料電池は、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法は、アノード触媒を含むアノードと、カソードと、アノードおよびカソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に化合物を還元することによって、金属粒子の表面にアノード触媒となる元素を析出させ、上記元素が付着した金属粒子を形成する工程と、
(ii)金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、薄膜、カソードおよび第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した積層体を熱処理することによって上記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程を含んでいる。ここで、第1の固体酸化物およびイオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に化合物を還元することによって、金属粒子の表面にアノード触媒となる元素を析出させ、上記元素が付着した金属粒子を形成する工程と、
(ii)金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、薄膜、カソードおよび第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した積層体を熱処理することによって上記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程を含んでいる。ここで、第1の固体酸化物およびイオン伝導体は、酸化物イオン伝導性および水素イオン伝導性から選ばれるいずれかのイオン伝導性を有している。
このような製造方法とすることによって、低温における発電特性に優れる燃料電池を得ることができる。具体的には、上記工程(i)によれば、アノード触媒と金属粒子とを単に物理的に混合する場合に比べて、アノード触媒が金属粒子の表面に分散して付着する割合を高くすることができる。このため、金属粒子から分離したアノード触媒(即ち、触媒として機能が低いアノード触媒)が生じる割合を抑制することができるため、低温における触媒活性の低下が抑制され、触媒使用量を低減させたアノードとすることができる。即ち、アノードにサーメットを用いた場合に比べて、低温における発電特性に優れ、製造コストが低減された燃料電池を得ることができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池の製造方法の一例を図5A〜図5Dに示す。
最初に、アノード触媒1となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子2を加えた後に上記化合物を還元することによって、金属粒子2の表面にアノード触媒1となる元素を析出させ、図5Aに示すように、アノード触媒1が表面に付着した金属粒子2を形成する(工程(i))。
次に、図5Bに示すように、アノード触媒1が表面に付着した金属粒子2と、イオン伝導体とを含む薄膜21を形成する(工程(ii))。
次に、図5Cに示すように、別に形成したカソード14と第1の固体酸化物12とを用い、薄膜21とカソード14とによって第1の固体酸化物12を狭持するように薄膜21、カソード14および第1の固体酸化物12とを配置して積層体を形成し、形成した積層体を熱処理することによって薄膜21からアノード13を形成する(工程(iii))。
このようにして、アノード触媒を含むアノード13と、カソード14と、アノード13およびカソード14に狭持された第1の固体酸化物12とを含む固体酸化物型燃料電池11を形成することができる(図5D)。
カソード14および第1の固体酸化物12を形成する方法は、特に限定されない。一般的な固体酸化物型燃料電池の製造方法を用いればよく、カソードと第1の固体酸化物とを別々に形成してもよいし、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成してもよい。具体例については実施例に後述する(以降の工程における具体例についても同様である)。
上記工程(i)において、アノード触媒となる元素の化合物は、溶液を調製できる限り特に限定されない。例えば、塩化白金酸、塩化ルテニウム、酢酸スズ、タングステン酸、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム、硝酸パラジウム、酢酸銀および塩化金酸から選ばれる少なくとも1種を用いればよい。1種類の化合物を用いれば、単体のアノード触媒を得ることができる。また、複数の種類の化合物を用いれば、合金のアノード触媒を得ることができる。例えば、塩化白金酸からは白金(Pt)を含むアノード触媒を得ることができる。同様に、塩化ルテニウムからはルテニウム(Ru)を、酢酸スズからはスズ(Sn)を、タングステン酸からはタングステン(W)を、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウムからはイリジウム(Ir)を、塩化ロジウムからはロジウム(Rh)を、硝酸パラジウムからはパラジウム(Pd)を、酢酸銀からは銀(Ag)を、塩化金酸からは金(Au)を含むアノード触媒を得ることができる。
アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液における上記化合物の濃度は、好ましくは、0.005mol/L〜0.5mol/Lの範囲である。溶液の溶媒には、例えば、水、エタノールなどを用いればよく、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを添加してもよい。また、必要に応じて上記化合物を含む溶液のpHを調整してもよい。例えば、塩化白金酸水溶液を用いる場合、水酸化ナトリウムなどを加えることによって、pHを5程度に調整することが好ましい。
上記工程(i)において、上記化合物を含む溶液中に金属粒子を加える方法は特に限定されない。例えば、単純に混合すればよい。また、上記化合物を還元する方法は、例えば、過酸化水素水、酸(例えば、酢酸)、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)などを上記化合物および上記金属粒子を含む溶液に加えればよい。上記溶液中において上記化合物を還元することによって、アノード触媒が表面に付着した金属粒子を形成することができる。
上記工程(ii)において、上記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜21を形成する方法は、特に限定されない。例えば、金属繊維のメッシュをディッピングして形成してもよい。あるいは、任意の基材上に印刷法などの方法を用いて薄膜を形成すればよい。この場合、基材は任意の時点において薄膜と分離すればよい。また、薄膜中には、必要に応じて、導電材として金属繊維メッシュなどを加えてもよい。なお、形成する薄膜の厚さは、アノードとして必要な厚さであればよく、図5Dに示すような平板状のアノード13である場合、例えば、10μm〜500μmの範囲である。
薄膜に加えるイオン伝導体は、本発明の燃料電池において説明したように、例えば、第2の固体酸化物であればよい。
上記工程(iii)において、積層体を形成する方法は、特に限定されない。例えば、単に積層すればよい。また、必要に応じて、プレスを行ってもよく、プレスには加熱を併用してもよい。
上記工程(iii)における熱処理は、例えば、空気雰囲気下において、アノード触媒および金属粒子の融点以下で行えばよい。具体的には、例えば、950℃〜1400℃の範囲で行えばよい。熱処理の時間は、例えば、30分〜180分の範囲である。熱処理を行うことによって、薄膜21からアノード13が形成され、本発明の燃料電池を得ることができる。
金属粒子2の組成(金属粒子2に含まれる元素)は、上述したように、発電時におけるアノードの内部の環境に耐えることができ、金属粒子2が導電性を有する限り特に限定されない。具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいればよい。より具体的には、例えば、金属粒子2が、Ni単体、Co単体、Fe単体、NiFe合金、NiCo合金、NiFeCo合金などであればよい。このような構成とすることによって、低温における発電特性により優れる燃料電池を得ることができる。得られた燃料電池が発電特性により優れる具体的な理由は上述した通りである。
本発明の製造方法では、イオン伝導体が第2の固体酸化物である場合に、上記工程(ii)が、(a)第2の固体酸化物となる元素の化合物を含む第2の溶液に金属粒子を加え、第2の溶液中の溶媒を除去した後に熱処理を行うことによって、金属粒子と第2の固体酸化物とを含む薄膜を形成する工程を含んでいてもよい。
上記工程(a)において、第2の固体酸化物となる元素の化合物は、溶液を調製できる限り特に限定されない。例えば、酢酸セリウム、塩化ランタン、塩化サマリウム、酢酸バリウム、硫酸ジルコニウムおよび塩化ガドリニウムから選ばれる少なくとも1種を用いればよい。複数の種類の化合物を用いる場合、必要な第2の固体酸化物の組成(組成比)に応じて、溶液中における各々の化合物の割合を設定すればよい。
第2の固体酸化物となる元素の化合物を含む溶液における上記化合物の濃度は、例えば、0.005mol/L〜1mol/Lの範囲である。溶液の溶媒には、例えば、水を用いればよい。また、上記工程(a)において、上記化合物を含む溶液中に、表面にアノード触媒が付着した金属粒子を加える方法は特に限定されない。例えば、単純に混合すればよい。また、溶媒(上記溶液が水溶液である場合は水分)を除去する方法も特に限定されない。
上記工程(a)における熱処理は、例えば、空気雰囲気下において、800℃〜1000℃の範囲で行えばよい。熱処理の時間は、例えば、30分〜180分の範囲である。熱処理を行うことによって、第2の固体酸化物と金属粒子とを含む薄膜21を形成することができる。
本発明の製造方法では、上記工程(iii)の代わりに、(III)薄膜を熱処理することによって、薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、(IV)形成したアノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、アノード、カソードおよび第1の固体酸化物を積層する工程とを含んでいてもよい。このような製造方法とすることによっても、低温における発電特性に優れる固体酸化物型燃料電池を得ることができる。この場合、上記工程(III)における熱処理は、上記工程(iii)における熱処理と同様であればよい。また、上記工程(IV)において、アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように各部材を積層する方法は、上記工程(iii)において積層体を形成する方法と同様であればよい。
なお、本発明の製造方法では、カソード触媒、金属粒子、第1の固体酸化物、イオン伝導体、第2の固体酸化物、セパレータなどの各部材には、本発明の燃料電池において上述した材料を用いればよい。
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
本実施例では、以下に示す各方法を用いて燃料電池を作製し(サンプル1〜サンプル20)、各燃料電池の発電特性(発電温度依存性)を評価した。最初に、各サンプルの作製方法を示す。なお、サンプル20は、従来の燃料電池であり、比較例である。
−サンプル1−
最初に、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成した。
最初に、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成した。
まず、平均粒径5μm以下のLaMnO3粒子と、平均粒径5μm以下のCe0.9Gd0.1O2粒子と、平均粒径10μmのカーボン粉末(日本カーボン製)とを混合し、さらにプロピレングリコールを添加、混合することによって、上記材料が含まれるペーストを作製した。次に、石英ガラス基板上に印刷法を用いて上記ペーストを塗布し、熱処理(120℃、60分)することによって、厚さ1mmの乾燥膜を形成した。次に、空気雰囲気下において熱処理(1350℃、60分)することによって、LaMnO3粒子とCe0.9Gd0.1O2粒子とを焼結させ、石英ガラス基板から分離して厚さ1mmのカソード(LaMnO3/Ce0.9Gd0.1O2粒子複合多孔質膜、平均孔径10μm)を形成した。このとき、カーボン粉末は酸化によって焼き飛ばされた。続いて、形成したカソード上に、スパッタリング法を用いて、第1の固体電解質であるCe0.9Gd0.1O2緻密膜(厚さ10μm)を形成し、カソードと第1の固体酸化物との積層体を形成した。このとき、スパッタリングのターゲットにはCe0.9Gd0.1O2焼結体を用いた。
カソードおよび第1の固体酸化物の積層体とは別に、アノード触媒と第2の固体電解質と金属粒子とを含む薄膜を作製した。
まず、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L:田中貴金属製)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した。次に、金属粒子として平均粒径1μmのNi粒子を加えた後、還元処理を行う(過酸化水素水を加える)ことによって、アノード触媒として平均粒径5nmのPtが付着した金属粒子を形成した。なお、Ni粒子上にPt粒子が付着していることや、付着しているPt粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線回折法(XRD)などにより確認した。
次に、上記Ni粒子と、平均粒径1μmのCe0.9Gd0.1O2粒子と、平均粒径10μmのカーボン粉末(日本カーボン製)とを、重量比で1:1.37:0.15の割合で混合し、さらにプロピレングリコールを添加、混合することによって、上記材料が含まれるスラリーを作製した。このスラリー中に、平均線径130μmのワイヤーからなる平均厚さ260μmのNiメッシュを浸漬して引き出し、Niメッシュ上にスラリーの膜を形成した。次に、全体を熱処理(120℃、60分)することによって、Ni粒子が30体積%、Ce0.9Gd0.1O2粒子が50体積%、カーボン粒子が20体積%の乾燥膜(厚さ0.3mm)を形成した。
このようにして形成した薄膜を裁断した後に、別に形成したカソードと第1の固体酸化物との積層体における第1の固体酸化物上に配置した。続けて、軽くプレスした後に空気中で熱処理(900℃、1時間)することによって、上記乾燥膜中のカーボン粉末を酸化して焼き飛ばし、上記Ni粒子とCe0.9Gd0.1O2粒子とを焼結して厚さ0.3mmのアノード(Ce0.9Gd0.1O2粒子/Pt付着Ni粒子複合多孔質膜、平均孔径10μm)を形成した。即ち、アノードとカソードとによって第1の固体酸化物が狭持された積層体(膜電極接合体)が形成できた。
このようにして形成した積層体を用いて、図1に示すような燃料電池を作製した。基板にはアルミナを、セパレータにはステンレスを用いた。また、積層体の膜面に垂直な方向から見た積層体のサイズは、20mm×20mmとした。
−サンプル2−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−塩化ルテニウム(関東化学製)水溶液を用いた(PtとRuとの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−塩化ルテニウム水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、塩化ルテニウム水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtRu合金粒子が付着していた。
−サンプル3−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−酢酸スズ(関東化学製)水溶液を用いた(PtとSnの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−酢酸スズ水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、酢酸スズ水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtSn合金粒子が付着していた。
−サンプル4−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化白金酸水溶液−タングステン酸(関東化学製)水溶液を用いた(PtとWの原子組成比が、5:5)。塩化白金酸水溶液−タングステン酸水溶液は、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、タングステン酸水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのPtW合金粒子が付着していた。
−サンプル5−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム(関東化学製)水溶液を用いた。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Ir付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのIr粒子が付着していた。
−サンプル6−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−塩化ルテニウム水溶液を用いた(IrとRuの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−塩化ルテニウム水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、塩化ルテニウム水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrRu合金粒子が付着していた。
−サンプル7−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−酢酸スズ水溶液を用いた(IrとSnの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−酢酸スズ水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、酢酸スズ水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrSn合金粒子が付着していた。
−サンプル8−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−タングステン酸水溶液を用いた(IrとWの原子組成比が、5:5)。ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液−タングステン酸水溶液は、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、タングステン酸水溶液(濃度0.02mol/L)を添加することによって調製した。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるNi粒子には、平均粒径20nmのIrW合金粒子が付着していた。
−サンプル9−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化ロジウム(関東化学製)水溶液を用いた。塩化ロジウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Rh付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのRh粒子が付着していた。
−サンプル10−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、硝酸パラジウム(関東化学製)水溶液を用いた。硝酸パラジウム水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Pd付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのPd粒子が付着していた。
−サンプル11−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、酢酸銀(関東化学製)水溶液を用いた。酢酸銀水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Ag付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのAg粒子が付着していた。
−サンプル12−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液の代わりに、塩化金酸水溶液(田中貴金属製)を用いた。塩化金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製した後、Ni粒子を加え、還元処理を行う(過酸化水素を加える)ことによって、Au付着Ni粒子を得た。サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、Ni粒子には、平均粒径20nmのAu粒子が付着していた。
−サンプル13−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、金属粒子としてNi粒子の代わりに、平均粒径1μmのCo粒子を用いた。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるCo粒子には、平均粒径20nmのPt粒子が付着していた。
−サンプル14−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、金属粒子としてNi粒子の代わりに、平均粒径1μmのFe粒子を用いた。なお、サンプル1と同様に、SEM、TEM、XRDなどにより確認したところ、金属粒子であるFe粒子には、平均粒径20nmのPt粒子が付着していた。
−サンプル15−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのCe0.9La0.1O2粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル16−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのCe0.8Sm0.2O2粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル17−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのBaZr0.6Ce0.2Gd0.2O3粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル18−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、アノード作製に用いたCe0.9Gd0.1O2粒子の代わりに、平均粒径1μmのLa0.8Sr0.2Ga0.9Mg0.05Co0.05O3粒子を用いた。アノードの平均孔径はサンプル1と同様であった。
−サンプル19−
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
サンプル1と同様にして、図1に示すような燃料電池を作製した。
ただし、塩化白金酸水溶液(濃度0.02mol/L)に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5に調製し、Ni粒子を加えた後の還元処理時間を調整することによって、付着するPtの平均粒径を2nm、20nmおよび400nmに変えて作製した。なお、サンプル1と同様に平均粒径の確認は、SEM、TEM、XRDなどで行った。
−サンプル20(比較例)−
比較例であるサンプル20として、上述の文献Aに開示されている燃料電池を作製した。より具体的には、アノードには、平均粒径1μmのニッケルとGd0.1Ce0.9O1.95粒子とからなる多孔質サーメットを用い、電解質(第1の固体酸化物)には厚さ20μmのGd0.1Ce0.9O1.95酸化物を用いた。また、カソードには、Sm0.5Sr0.5CO3およびGd0.1Ce0.9O1.95からなる多孔質膜を用いた。製造方法は、文献Aに従った。その他の部材、および、電解質、アノードおよびカソードの両電極のサイズなどは、サンプル1〜19と同一とした。
比較例であるサンプル20として、上述の文献Aに開示されている燃料電池を作製した。より具体的には、アノードには、平均粒径1μmのニッケルとGd0.1Ce0.9O1.95粒子とからなる多孔質サーメットを用い、電解質(第1の固体酸化物)には厚さ20μmのGd0.1Ce0.9O1.95酸化物を用いた。また、カソードには、Sm0.5Sr0.5CO3およびGd0.1Ce0.9O1.95からなる多孔質膜を用いた。製造方法は、文献Aに従った。その他の部材、および、電解質、アノードおよびカソードの両電極のサイズなどは、サンプル1〜19と同一とした。
以上のように準備した各サンプルに対して、燃料として水素を、酸化剤として空気を用い、実際に発電を行った。また、発電に際しては、発電温度を400℃および600℃とし、利用率をアノード側70%、カソード側40%とした。サンプル1およびサンプル20(比較例)の発電特性の結果を図4に示す。
図4に示すように、比較例であるサンプル20に比べてサンプル1の方が発電特性に優れる結果となった。なかでも発電温度が400℃の場合に、サンプル20の出力が大きく低下したのに対して、サンプル1では低下の度合いが大幅に軽減できた。サンプル20に比べてサンプル1では、低温における触媒活性の低下が抑制できると考えられる。
同様にサンプル1〜サンプル18およびサンプル20の発電結果について、以下の表1に示す。表1では、各発電温度における最大出力(W/cm2)を示す。
表1に示すように、サンプル2〜サンプル18の各サンプルにおいても、サンプル1とほぼ同様の結果が得られた。
次に、サンプル1(Pt平均粒径5nm)およびサンプル19(Pt平均粒径2nm、20nm、400nm)における最大出力(発電温度400℃および600℃)の結果を図7に、サンプル1およびサンプル19における、アノード中のPtの使用量の値を図8に示す。
図7に示すように、アノード触媒として金属粒子の表面に付着しているPtの平均粒径が2nm〜400nmの範囲において、ほぼ同様の発電特性が得られることがわかった。この結果から、アノード触媒であるPtの触媒活性は、発電温度400℃〜600℃の範囲において、平均粒径に対して依存しないことがわかった。この理由は明確ではないが、金属粒子の表面を水素原子が移動しやすくなることによって、Ptの表面積の低下を補うように少ない表面積でも高い触媒活性を示すようになっていることが考えられる。また、図8に示すように、Ptの平均粒径が小さくなるほど、発電特性を保持したままPtの使用量を低減できることがわかった。この現象は、金属粒子上においてPtが付着する点が反応時間の経過によっても増大しないことによると考えられる。反応時間を長くした場合、新たなPt粒子の付着は抑制されるようであるが、生成したPt粒子は成長する傾向にある。このため、金属粒子に付着したPt粒子数が、Ptの平均粒径が増加した場合でもほぼ同一であることがPtの使用量を低減できる理由として考えられる。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
Claims (23)
- アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、
前記アノードは、金属粒子とアノード触媒とイオン伝導体とを含み、
前記金属粒子の表面には前記アノード触媒が付着している固体酸化物型燃料電池。 - 前記金属粒子の組成と、前記アノード触媒の組成とが異なる請求項1に記載の固体電解質型燃料電池。
- 前記アノード触媒が、Pt、Ir、Rh、Pd、AgおよびAuから選ばれる少なくとも1種の元素を含む請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記アノード触媒が、PtRu、PtSn、PtRe、PtOs、PtW、IrRu、IrSnおよびIrWから選ばれる少なくとも1種の合金を含む請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記アノード触媒の平均粒径が、2nm〜400nmの範囲である請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記金属粒子が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含む請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記金属粒子の平均粒径が、前記アノード触媒の平均粒径よりも大きい請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記イオン伝導体が、第2の固体酸化物である請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記第2の固体酸化物が、Ceを含む請求項8に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記第2の固体酸化物が、式Ce1−xMxO2−αによって示される組成を有する請求項9に記載の固体酸化物型燃料電池。
ただし、Mは、Gd、LaおよびSmから選ばれる少なくとも1種の元素であり、
xおよびαは、以下の式を満たす数値である。
0<x<1
0≦α<2 - 前記第2の固体酸化物が、式Ba(Zr1−x’Cex’)1−y’Gdy’O3−αによって示される組成を有する請求項9に記載の固体酸化物型燃料電池。
ただし、x’、y’およびαは、以下の式を満たす数値である。
0<x’<1
0<y’<1
0≦α<3 - 前記第2の固体酸化物が、式Lax’’Sr1−x’’Gay’’Mg1−y’’−zCozO3−αによって示される組成を有する請求項8に記載の固体酸化物型燃料電池。
ただし、x’’、y’’、zおよびαは、以下の式を満たす数値である。
0<x’’<1
0<y’’<1
0<z<1
0<α<3 - 前記第1の固体酸化物の組成と前記第2の固体酸化物の組成とが互いに異なる請求項8に記載の固体酸化物型燃料電池。
- アノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含み、
前記アノードは、イオン伝導体と、粒径が分布する範囲が互いに異なる複数の種類の金属粒子とを含み、
前記複数の種類の金属粒子から選ばれる少なくとも1種の金属粒子は、他の前記金属粒子の表面に付着しており、
前記表面に付着している前記少なくとも1種の金属粒子はアノード触媒である固体酸化物型燃料電池。 - 前記複数の種類の金属粒子の中で、前記少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、その他の金属粒子の平均粒径よりも小さい請求項14に記載の固体酸化物型燃料電池。
- 前記少なくとも1種の金属粒子の平均粒径が、2nm〜400nmの範囲である請求項14に記載の固体酸化物型燃料電池。
- アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(i)アノード触媒となる元素の化合物を含む第1の溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(ii)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(iii)前記薄膜とカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記薄膜、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を配置して積層体を形成し、形成した前記積層体を熱処理することによって前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法。 - 前記イオン伝導体が、第2の固体酸化物である請求項17に記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。
- 前記アノード触媒となる元素の化合物が、塩化白金酸、塩化ルテニウム、酢酸スズ、タングステン酸、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム、硝酸パラジウム、酢酸銀および塩化金酸から選ばれる少なくとも1種である請求項17に記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。
- 前記金属粒子が、Ni、CoおよびFeから選ばれる少なくとも1種の元素を含む請求項17に記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。
- 前記工程(ii)が、
(a)第2の固体酸化物となる元素の化合物を含む第2の溶液中に前記金属粒子を加え、前記第2の溶液中の溶媒を除去した後に熱処理を行うことによって、前記金属粒子と前記第2の固体酸化物とを含む薄膜を形成する工程を含む請求項18に記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。 - 前記第2の固体酸化物となる元素の化合物が、酢酸セリウム、塩化ランタン、塩化サマリウム、酢酸バリウム、硫酸ジルコニウムおよび塩化ガドリニウムから選ばれる少なくとも1種である請求項21に記載の固体酸化物型燃料電池の製造方法。
- アノード触媒を含むアノードと、カソードと、前記アノードおよび前記カソードに狭持された第1の固体酸化物とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法であって、
(I)アノード触媒となる元素の化合物を含む溶液中に金属粒子を加えた後に前記化合物を還元することによって、前記金属粒子の表面に前記元素を析出させ、前記元素が付着した前記金属粒子を形成する工程と、
(II)前記金属粒子とイオン伝導体とを含む薄膜を形成する工程と、
(III)前記薄膜を熱処理することによって、前記薄膜からアノード触媒を含むアノードを形成する工程と、
(IV)形成した前記アノードとカソードとによって第1の固体酸化物を狭持するように、前記アノード、前記カソードおよび前記第1の固体酸化物を積層する工程とを含む固体酸化物型燃料電池の製造方法。
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