JP5815452B2 - 固体酸化物形燃料電池用燃料極 - Google Patents
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Description
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第一実施形態について図1を参照しつつ説明する。本発明における第一の実施形態におけるSOFCのセル1は、固体酸化物電解質3と当該電解質の一方の面に燃料極2を配し他方の面に空気極4を配しており、さらに燃料極2に当該燃料ガス6を酸化する能力を有する酸化触媒5を含むことを特徴とする。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第一実施形態について図2を参照しつつ説明する。本発明における第二の実施形態におけるSOFCのセル1は、固体酸化物電解質3と当該電解質の一方の面に少なくとも1対の燃料極2と空気極4を配しており、さらに燃料極2に当該燃料ガス6を酸化する能力を有する酸化触媒5を含むことを特徴とする。
燃料極2は、燃料ガス6と、空気極4で生じて固体酸化物電解質3を介して燃料極2へ移動してきた酸素イオンとを反応させる極であり、反応後には燃料排ガス6aを排出する。当該燃料極2は燃料極電極触媒と、固体電解質粒子と、酸化触媒5とから構成される。
(I)酸化触媒、燃料極電極触媒、固体電解質粒子のサーメットとして構成される燃料極
(II)燃料極電極触媒と固体電解質粒子のサーメット表面に、酸化触媒が分散した燃料極
(III)燃料極電極触媒と固体電解質粒子のサーメットと、酸化触媒を固体電解質粒子に担持させた担持型酸化触媒との混合物である燃料極
(IV)酸化触媒、燃料極電極触媒、固体電解質粒子の混合物である燃料極
燃料極2においては(1)燃料極電極反応の進行、(2)熱膨張挙動の整合性、(3)ガス拡散性、(4)電子伝導性、(5)化学的・熱力学的安定性等の特性が要求されており、これらの観点から、金属あるいは合金の形態をとる燃料極電極触媒と、酸化物である固体電解質粒子との結合相とした複合材料であるサーメットの形で用いているのが一般的である。同様に、酸化触媒の触媒成分が燃料電池運転中に金属あるいは合金となる場合にはサーメットの形をとることが好ましい。従って前記(I)、(II)、(III)の形態が好ましく、特に(I)の形態が好ましい。
上記の如く、酸化触媒5は、燃料極2に供給される燃料ガス6の一部を酸化燃焼する能力を有する触媒であり、燃焼により生じる熱を得るために用いられるものである。
燃料ガス分解反応とは、炭化水素系燃料ガスにおける水蒸気改質反応や、アンモニアを燃料ガスとした場合の改質反応のように、燃料ガスを水素含有ガスに分解する反応のうち、吸熱反応であるものを表す。燃料ガス分解反応により消費される燃料の消費速度rDは、酸化触媒1g当たり、1秒間に水素含有ガスへの分解反応によって消費される燃料ガスのモル数により定義する。
燃料ガス燃焼反応とは、炭化水素系燃料ガスにおける部分酸化反応や自己熱改質反応、アンモニアを燃料とした場合に進行する以下の式で表される反応であり、燃料ガスを酸素により燃焼させる発熱反応である(反応式4)。
酸化触媒5は、上述の如く、酸化触媒成分の金属および/または金属前駆体をそのまま用いるか、固体電解質粒子とのサーメット状として用いるか、固体電解質粒子に担持させた担持型酸化触媒として用いることができる。
本発明における燃料極2の作製方法は特に限定されるものではなく、シート、薄膜、フィルム等の形成に慣用されている任意の技法を使用して形成することができる。例えばESCの場合では、シート状の固体酸化物電解質3を形成した後、その表面に空気極4及び燃料極2を形成することが可能である。もちろん、他の順序で燃料電池セル1を形成してもよい。
本発明における空気極4は、空気の他、酸素を含むガスなどが導入される極であり、当該極において酸素は酸素イオンとなり、固体酸化物電解質3を介して燃料極2に移動する。その材料としては、通常固体酸化物形燃料電池に用いられる空気極材料を用いることができ、一般的には空気極電極触媒と固体電解質粒子により形成される。
本発明における固体酸化物電解質3は、燃料極2および空気極4が設置されている固体酸化物電解質であり、空気極4で生成した酸素イオンが燃料極2に移動する際に通過する部分を指す。
本発明における固体酸化物形燃料電池セル1は、従来の燃料電池と同様、例えば固体酸化物電解質3と、固体酸化物電解質3の一方の面に形成された燃料極2と、固体酸化物電解質3を挟んで燃料極2と反対の面に形成された空気極4とを含むセルとして構成される。
当該電池セル1を成形し、燃料極2に燃料ガス6を導入し、空気極4に酸化剤ガスを導入する。燃料電池としての発電自体は反応式1で進行する。本発明は、吸熱反応等を伴うような不利な燃料であっても酸化触媒5を含む燃料極2を用いることにより熱を得ることができるので、単に燃料を電池セルに導入するだけで導電率等を向上させることにより、電池セルの発電効率を向上させることができる。
本発明における燃料ガス6は、本発明にかかる燃料電池に燃料として用いることができるガスであれば何れのガスであっても良いが、好ましくは水素、水素を含む化合物ガスであり、更に好ましくはアンモニア、ヒドラジンである。当該燃料ガスは単体もしくは適宜混合して使用することができる。また、燃料ガス6には発電効率が落ちない程度に窒素や希ガスなどの不活性ガスや水蒸気を含んでいてもよい。
本発明における酸化剤ガス7としては、燃料ガスを酸化する能力を有するものであれば特に問わないが、酸素を主に含有するガスのほか、空気などを用いることができる。
(燃料極材料)
酸化触媒として、市販のジニトロジアンミン白金溶液(田中貴金属製)、 電極触媒として、市販の酸化ニッケル粉末(正同化学社製:製品名:Green、平均粒子径:0.7μm、比表面積:3.5m2/g)、電解質粒子として、市販の10モル%スカンジア1モル%セリア安定化ジルコニア粒子(第一稀元素化学工業社製;製品名:10Sc1CeSZ、平均粒子径:0.6μm、比表面積:10.8m2/g)を選択した。まず、当該酸化ニッケル粉末55体積%と安定化ジルコニア粒子45体積%とを攪拌混合して混合物とした後、当該混合物100質量部に対してジニトロジアンミン白金溶液を2質量部(白金金属換算)となるよう添加し混合した。これを300℃で1時間焼成し、燃料極材料を調製した。
市販の酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化コバルトおよび酸化鉄粉末から固相法で合成したランタンストロンチウムコバルトフェライト粉末La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(平均粒子径:0.7μm、比表面積:3.5m2/g)80質量%と、市販の酸化サマリウムおよび酸化セリア粉末から固相法で合成した30モル%サマリアドープセリア(平均粒子径:1.9μm、比表面積:2.4m2/g)20質量%とを攪拌混合して空気極材料とした。
電解質支持型燃料電池用セルの燃料極は、ドクターブレード法を用いて作成した10モル%スカンジア1モル%安定化ジルコニアシート(直径:120mm、厚さ200μm)の一方に面に、上記の燃料極材料にバインダー(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、n−パラフィン、テレピン油、セルロース系樹脂)を加えた後混練して調製した燃料極ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、乾燥後、1300℃で2時間焼成して形成した。なお、燃料極の厚さは40μmで気孔率は35%であった。
次いで、上記安定化ジルコニアシートの他方の面に、上記の空気極材料とバインダーを用い、同様にして空気極ペーストを調製し、950℃で焼成した以外は同様にして空気極を形成し、電極有効面積が95cm2の固体酸化物形燃料電池用セルを作製した。
実施例1の燃料極材料において、酸化触媒を添加せず、酸化ニッケル粉末と安定化ジルコニア粒子とを攪拌混合した混合物を燃料極材料とした以外は、実施例1と全く同様にして、セルを作製した。
上記実施例1と比較例1で得たセルを用い、電気炉設定温度600℃および700℃で 発電試験を行った。まず当該セルの燃料極側にニッケル網(80メッシュ)を、空気極側に白金網(80メッシュ)によりセル挟持し、さらに当該ニッケル網と白金網の両側に金属マニホルドを設け、燃料ガスとしてボンベのアンモニア(流量100cc/min)、酸化剤ガスとして酸素(流量100cc/min)を供給した。
結果を表1に示す。
2:燃料極
3:固体酸化物電解質
4:空気極
5:酸化触媒
6:燃料ガス
6a:燃料排ガス
7:酸化剤ガス
7a:酸化剤排ガス
8:反応器
9:電気負荷
Claims (3)
- 水素を含む化合物を燃料とする固体酸化物形燃料電池であって、当該固体酸化物形燃料電池の燃料極に当該燃料を酸化する能力を有する酸化触媒を含み、当該酸化触媒が周期律表第6族〜11族の元素の金属からなる群より選択される少なくとも1種の金属、酸化物、または合金であり、かつ反応温度700℃におけるrA/rDが0.2以上であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。(なお、燃料ガス、酸素の分圧をそれぞれ40kPa、4kPaとした場合、吸熱反応による燃料の消費速度をrD、発熱反応による燃料の消費速度をrAで示す。)
- 前記水素を含む化合物を燃料がアンモニアまたはヒドラジンの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 請求項1または2に記載の電池を用いて電気を得る方法。
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