JPWO2004076527A1 - 固相重合用ポリカーボネートプレポリマーおよびポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、界面法は、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生する塩化ナトリウムなどの含塩素化合物によって製造装置が腐蝕することなどの問題がある。また、従来のエステル交換法では、複雑な工程で原料の炭酸ジエステルを製造しなければならず、原料製造工程や副生物のリサイクル工程等を含めた製造工程全体としては、経済的とはいえないなどの問題があった。
固相法は、塩化メチレン等のハロゲン溶剤を使用しないことや、溶融法よりは低い温度で重合を進めることができることから製品品質の優位性や環境に配慮した製造法として注目されている。
従来、固相法においては、プレポリマーを溶融法で製造し、アセトン等の貧溶剤を用いて特定の性状にすることが望ましいとされてきた(特開平3−22330号公報)。しかし、この製法では、溶融法でプレポリマーを製造することから、プレポリマーの分子量分布の制御が難しく、固相重合での分子量向上が不足していた。
また、酸化的カルボニル化反応により生成したプレポリマーをエステル交換反応で高分子量化する方法も提案されている(特開2000−281769号公報)。しかし、この製法では、プレポリマーの物性が制御されていないことや、均一系の触媒を用いていることから、プレポリマーの分離・回収が難しいなど、改善すべき問題があった。
本発明者らは上記の状況に鑑み、高品質ポリカーボネートを環境に配慮しつつ効率良く製造する方法を提供する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族ジヒドロキシ化合物および沸点が330℃以下の一価フェノールと一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化反応により製造された特定物性の固相重合用ポリカーボネートプレポリマーを用いて高分子量化することにより、上記本発明の目的を達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基いて完成したものである。
すなわち、本発明は以下の固相重合用ポリカーボネートプレポリマーおよびポリカーボネートの製造方法を提供するものである。
(1).芳香族ジヒドロキシ化合物および沸点が330℃以下の一価フェノールと、一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化反応により製造された固相重合用ポリカーボネートプレポリマーであって、(a)末端基中に占めるアリールカーボネート基と水酸基の割合が2:8〜8:2、(b)分子量分布(Mw/Mn)が1.1〜2.1であることを特徴とする固相重合用ポリカーボネートプレポリマー。
(2).数平均分子量(Mn)が1000〜10000である上記(1)の固相重合用ポリカーボネートプレポリマー。
(3).酸化的カルボニル化反応が、(a)金属錯体、(b)レドックス触媒能を有する化合物及び(c)芳香族ヒドロキシ化合物を活性化する能力を有する化合物のうち少なくとも1種が担体に結合した触媒組成物の存在下で行なわれたものである上記(1)又は(2)の固相重合用ポリカーボネートプレポリマー。
(4).上記(1)〜(3)のいずれかの固相重合用ポリカーボネートプレポリマーを、固相重合により高分子量化することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
(A)固相重合用ポリカーボネートプレポリマー
(A−1)ポリカーボネートプレポリマーの原料
本発明のポリカーボネートプレポリマーの原料となる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、一般式(I)
で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(I)において、R3及びR4は、それぞれフッ素,塩素,臭素、ヨウ素のハロゲン原子又は炭素数1〜8のアルキル基、例えばメチル基,エチル基、n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基、t−ブチル基,ペンチル基、ヘキシル基,シクロヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基などを示す。R3及びR4は互いに同一であっても異なっていてもよい。またR3が複数ある場合は複数のR3は同一でも異なっていてもよく、R4が複数ある場合は複数のR4は同一でも異なっていてもよい。m及びnは、それぞれ0〜4の整数である。Zは単結合,炭素数1〜8のアルキレン基,炭素数2〜8のアルキリデン基,炭素数5〜15のシクロアルキレン基,炭素数5〜15のシクロアルキリデン基,又は−S−,−SO−、−SO2−,−O−、−CO−結合もしくは式(II),(II’),(II’’),(II’’’)
で示される結合を示す。
炭素数1〜8のアルキレン基,炭素数2〜8のアルキリデン基としては、例えばメチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,ヘキシレン基,エチリデン基,イソプロピリデン基などが挙げられ、炭素数5〜15のシクロアルキレン基,炭素数5〜15のシクロアルキリデン基としては、例えばシクロペンチレン基,シクロヘキシレン基,シクロペンチリデン基,シクロヘキシリデン基などが挙げられる。
ここで、上記一般式(I)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、様々なものがあるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が好ましい。ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビスフェノールA以外のビス(4−ヒドロキシフェニル)化合物または2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のハロゲン化ビスフェノール類等が挙げられる。これらのフェノール類が置換基としてアルキル基を有する場合には、該アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。なお、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独でも、二種以上併用しても差し支えない。
また、プレポリマーを製造する際に、芳香族ジヒドロキシ化合物に沸点が330℃以下の一価フェノールを共存させる。
沸点が330℃以下の一価フェノールとしては、フェノール(181℃)、o−クレゾール(191℃)、m−クレゾール(202℃)、p−クレゾール(202℃)、p−tert−ブチルフェノール(237℃)、p−tert−オクチルフェノール(276℃)、p−tert−アミルフェノール(255℃)、p−メトキシフェノール(243℃)、p−クロロフェノール(220℃)、トリクロロフェノール(246℃)、p−ブロモフェノール(235℃)等のフェノール類が例示される。
これらの中では、副反応が無いことなどから、p−tert−ブチルフェノール(以下、PTBPと記すことがある。)が好ましい。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物および一価フェノールは、単独でも、二種以上併用しても差し支えない。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物および一価フェノールと反応させる一酸化炭素は、単体であってもよいが、不活性ガスで希釈されていても、水素との混合ガスであってもよい。また、上記芳香族ヒドロキシ化合物および一価フェノールと反応させる酸素は、純酸素であっても、空気等の酸素含有ガスであってもよい。
(A−2)プレポリマー製造用触媒
本発明においては、芳香族ジヒドロキシ化合物および一価フェノールと一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化反応は、(a)金属錯体,(b)レドックス触媒能を有する化合物及び(c)芳香族ヒドロキシ化合物を活性化する能力を有する化合物のうち少なくとも1種が担体に結合した触媒組成物の存在下に行うことが好ましい。 このような触媒組成物としては、一般式(III)
[式中、aは前記の(a)成分、bは前記の(b)成分、cは前記の(c)成分を表す。Ra,Rb及びRcはそれぞれ前記の(a)成分、(b)成分、(c)成分を担体と結合させる共有結合を表し、炭素数0以上の置換基を表し、具体的には、単結合,二重結合,三重結合,炭素数1以上20以下の二官能性飽和炭化水素基,二官能性不飽和炭化水素基,炭素数6以上20以下の二官能性芳香族炭化水素基(以上の炭化水素基には適宜ヘテロ原子,金属原子等を含有してもよい),エステル結合,エーテル結合,チオエステル結合,チオエーテル結合、アミノ結合、尿素結合、アミド結合、イミド結合、或いは、これらの二官能性置換基の組合わせで形成される二官能性置換基,三官能性置換基又は四官能性置換基を表す。これらの二官能性置換基,三官能性置換基又は四官能性置換基には適宜置換基を有していてもよい。Sの連なりは担体を表し、炭素,ホウ素,窒素,酸素,リン,ケイ素,硫黄,アルミニウム,ジルコニウム,チタン等から選ばれる一種類以上の原子よりなる原子数1以上の化合物を表す。また、Ra、RbおよびRcから選ばれる少なくとも一種類が、それぞれ同一のSに結合し、放射状または線状の構造を形成してもよい。n、n’及びn”はそれぞれ単独に0以上で、それぞれの合計が1以上の整数を表し、各々が任意の異なった値であってもよい。mは単独に1以上の整数を表す。]が例示される。
ここで、一般式(III)においてaで表した(a)成分としては、(a)パラジウム原子のみからなる一個以上の金属中心及び有機配位子により構成される金属錯体、又はパラジウム原子とパラジウム原子以外の金属原子よりなる二個以上の金属中心及び有機配位子により構成される金属錯体であればいかなる化合物であってもよい。パラジウム原子を含む金属原子が二個以上金属中心として含まれる場合は、それぞれの金属原子同士が金属結合により直接結合していてもよく、有機配位子を介して結合していてもよい。有機配位子としては、パラジウム錯体等の配位子として一般的な、ホスフィン構造,ホスファイト構造,リン酸エステル構造,ピリジン構造,イミン構造,アミン構造,ニトリル構造,アルシン構造,カルボニル構造等から選ばれる構造を一個以上含んでいるものであればよい。複数の構造が含まれる有機配位子としては、ホスフィン構造を複数含む化合物,ピリジン構造を複数含む化合物,イミン構造を複数含む化合物,アミン構造を複数含む化合物,ニトリル構造を複数含む化合物,カルボニル構造を複数含む化合物,ホスフィン構造とピリジン構造を含む化合物,アルシン構造とピリジン構造を含む化合物等が挙げられる。これらの化合物の具体例としては、一般式(III)のa部分を、Ra部分に結合していない構造(すなわちRa部分の代わりに水素を有している構造)として示すと、以下の有機配位子が挙げられる。
有機配位子構造を一個含んでいるものとしては、トリフェニルホスフィン,トリシクロヘキシルホスフィン,トリ−n−ブチルホスフィン,トリフェニルホスファイト,ピリジン,アルキルピリジン,ヒドロキシピリジン,キノリン,アセトニトリル,ベンゾニトリル等が具体的に挙げられる。複数の構造が含まれる有機配位子としては、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン;1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン;1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン;1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;ビス(ジフェニルアルシノ)メタン;1,2−ビス(ジフェニルアルシノ)エタン;1,3−ビス(ジフェニルアルシノ)プロパン;2,2’−ビキノリン;4,4’−ジメチル−2,2’−ビキノリン;2,2’−ビピリジン;6,6’−ジメチル−2,2’−ビピリジン;フェナントロリン;2,9−ジメチルフェナントロリン;アジポニトリル;フタロニトリル;ピリジルニトリル;2−ジフェニルホスフィノピリジン;ジ−2−ピリジルフェニルホスフィン;トリ−2−ピリジルホスフィン;2−ジフェニルホスフィノキノリン;2−ジフェニルアルシノピリジン;1,2−ジ(フェニルイミノ)エタン;1,2−ビス(ジアルキルフェニルイミノ)エタン;1,2−ビス(トリアルキルフェニルイミノ)エタン;2,3−ジ(フェニルイミノ)ブタン;2,3−ビス(ジアルキルフェニルイミノ)ブタン;2,3−ビス(トリアルキルフェニルイミノ)ブタン;アセチルアセトン、あるいはこれらの有機配位子に置換基を導入した誘導体、又はこれらの位置異性体等が具体的に挙げられる。
これらの有機配位子は、一般式(III)中に示したRa部分を介して担体と結合しており、その結合位置はいかなる部位でもよく、反応に支障のない限り、適宜選択することができる。
上記のように、プレポリマー製造における触媒組成物の(a)成分として挙げた金属錯体としては、パラジウム原子のみからなる一個以上の金属中心及び有機配位子により構成される金属錯体、又はパラジウム原子とパラジウム原子以外の金属原子よりなる二個以上の金属中心及び有機配位子により構成される金属錯体であれば、いかなる化合物であってもよい。このような金属錯体としては、具体的には、一般式(III)のa部分を、Ra部分に結合していない構造(すなわちRa部分の代わりに水素を有している構造)として示すと、以下の金属錯体が挙げられる。
パラジウム原子一個のみからなる金属中心を有する金属錯体としては、具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;ジクロロビス(ピリジン)パラジウム;ジブロモビス(ピリジン)パラジウム;ジクロロビス(キノリン)パラジウム;ジブロモビス(キノリン)パラジウム;ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム;ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム;(2,2’−ビキノリン)パラジウムジクロリド;(4,4’−ジメチル−2,2’−ビキノリン)パラジウムジクロリド;(2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボキシリックアシッド ジポタシウムソルト)パラジウムジクロリド;(ジメチル2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボキシレート)パラジウムジクロリド;(6,7−ジヒドロ−5,8−ジベンゾ[b,j][1,10]フェナントロリン)パラジウムジクロリド;(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジクロリド;(2,9−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジクロリド;(2,9−ジ−t−ブチル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジクロリド;(6,6’−ジメチル−2,2’−ビピリジル)パラジウムジクロリド;(6,6’−ジフェニル−2,2’−ビピリジル)パラジウムジクロリド;(6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジル)パラジウムジクロリド;(2,2’−ビキノリン)パラジウムジブロミド;(4,4’−ジメチル−2,2’−ビキノリン)パラジウムジブロミド;(2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボキシリックアシッド ジポタシウムソルト)パラジウムジブロミド;(ジメチル 2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボキシレート)パラシウムジブロミド;(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジブロミド;(2,9−ジ−t−ブチル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジブロミド;(6,6’−ジメチル−2,2’−ビピリジル)パラジウムジブロミド;(2,2’−ビキノリン)パラジウムジヨーダイド;(4,4’−ジメチル−2,2’−ビキノリン)パラジウムジヨーダイド;(2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボキシリックアシッド ジポタシウムソルト)パラジウムジヨーダイド;(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジヨーダイド;(2,9−ジ−t−ブチル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジヨーダイド;(6,6’−ジメチル−2,2’−ビピリジル)パラジウムジヨーダイド;[1,2−ビス(ジアルキルフェニルイミノ)エタン]パラジウムジクロリド;[2,3−ビス(ジアルキルフェニルイミノ)ブタン]パラジウムジクロリド等が挙げられる。
また、パラジウム原子二個以上からなる金属中心を有する金属錯体としては、具体的には、ジクロロビス[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]ジパラジウム,ジブロモビス[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]ジパラジウム,ジナイトライトビス[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]ジパラジウム,ジアジドビス[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]ジパラジウム,ジシアナトビス[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]ジパラジウム,ジイソシアナトビス[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]ジパラジウム,ジクロロビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジブロモビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジナイトライトビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジアジドビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジシアナトビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジイソシアナトビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジクロロビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジブロモビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジナイトライトビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジアジドビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジシアナトビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジイソシアナトビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジクロロビス(トリ−2−ピリジルホスフィン)ジパラジウム,ジブロモビス(トリ−2−ピリジルホスフィン)ジパラジウム,ジナイトライトビス(トリ−2−ピリジルホスフィン)ジパラジウム,ジアジドビス(トリ−2−ピリジルホスフィン)ジパラジウム,ジシアナトビス(トリ−2−ピリジルホスフィン)ジパラジウム,ジイソシアナトビス(トリ−2−ピリジルホスフィン)ジパラジウム,ジクロロビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジブロモビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジナイトライトビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジアジドビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジシアナトビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジイソシアナトビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウム,テトラクロロビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)トリパラジウム等が挙げられる。
パラジウム原子とパラジウム以外の金属原子よりなる二個以上の金属中心を有する金属錯体としては、一つの多核金属錯体化合物中にパラジウム原子及びパラジウム以外の金属原子を有しているものであればいかなる化合物であってもよい。パラジウム原子とパラジウム以外の金属原子よりなる二個以上の金属中心を有する金属錯体の、好ましいパラジウム以外の金属原子としては、スズ,チタン,鉄,ジルコニウム,モリブデン,コバルト,ニッケル,ルテニウム,ロジウム,イリジウム,プラチナ,銅,銀,金,亜鉛,アルミニウム,鉛等が挙げられる。これらパラジウム原子とパラジウム以外の金属原子よりなる二個以上の金属中心を有する金属錯体において、パラシウム及びパラジウム以外の金属原子の含有数は、その構造中において、それぞれが一つ以上含まれるものであればよい。このようなパラジウム原子とパラジウム以外の金属原子よりなる二個以上の金属中心を有する金属錯体としては、具体的には、ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン](トリクロロチン)ジパラジウムクロリド,ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]ビス(トリクロロチン)ジパラジウム,ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン](トリクロロチタニウム)ジパラジウムクロリド,ビス「(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]ビス(トリクロロチタニウム)ジパラジウム,ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン](ジクロロアイアン)ジパラジウムクロリド,ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]ビス(ジクロロアイアン)ジパラジウム,ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン](トリクロロチン)(トリクロロチタニウム)ジパラジウム,ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン](トリクロロチン)(ジクロロアイアン)ジパラジウム,ビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン](トリクロロチタニウム)(ジクロロアイアン)ジパラジウム,π−アリル(トリフェニルホスフィン)(トリクロロチン)パラジウム,π−アリル(トリフェニルホスフィン)(トリクロロチタニウム)パラジウム,π−アリル(トリフェニルホスフィン)(ジクロロアイアン)パラジウム,ビス(トリクロロチン)パラジウム,ビス(トリクロロチタニウム)パラジウム,ビス(ジクロロアイアン)パラジウム,ジクロロカルボニルイリジウムビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)パラジウムクロリド,ジクロロカルボニルイリジウムビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド,カルボニルイリジウムビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド,ジクロロカルボニルロジウムビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)パラジウムクロリド,ジクロロカルボニルロジウムビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド,カルボニルロジウムビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド,トリクロロジカルボニルルテニウムビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)パラジウムクロリド,トリクロロジカルボニルルテニウムビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド,クロロジカルボニルルテニウムビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド,クロロプラチナビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)パラジウムクロリド,クロロプラチナビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド,クロロニッケルビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)パラジウムクロリド,クロロニッケルビス[(ビスジフェニルホスフィノ)メタン]パラジウムクロリド等が挙げられる。
プレポリマーの製造方法において、上記触媒組成物の(a)成分として挙げた金属錯体は、それぞれ一種で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの金属錯体の前駆体となり得る化合物を、それぞれ単独に用い、物理的に混合した形のものであってもよい。また、これら触媒組成物の(a)成分には、反応に支障のない限り、適宜、アルキルホスフィンあるいは芳香族ホスフィン,亜リン酸エステル,リン酸エステル等の配位子やアセトニトリル等のニトリル配位子等を組み合わせてもよい。これらの金属錯体は、適宜の位置でRaを介し担体に結合させればよい。
プレポリマーの製造方法に用いられる触媒組成物において、触媒組成物に含まれる(a)成分、(c)成分又は担体等により(b)成分の作用を代用できる場合は用いる必要はないが、必要となる場合は、上記(a)成分及び(c)成分の他に、さらに上記一般式(III)においてbとして表される(b)成分を適当量、担体に結合させ用いる。(b)成分としては、レドックス触媒能を有する化合物を用いる。この化合物としては、ランタノイド化合物,周期律表第5族遷移金属化合物,第6族遷移金属化合物,第7族遷移金属化合物,鉄化合物,コバルト化合物,ニッケル化合物,銅化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を用いるが、これらは、有機錯体,有機塩及び無機塩のいずれの形でもあってもよい。具体的にはセリウム化合物,バナジウム化合物,クロム化合物,マンガン化合物,鉄化合物,コバルト化合物,銅化合物等が挙げられ、好ましくはセリウム化合物,マンガン化合物が挙げられる。上記触媒組成物の(b)成分として挙げたレドックス触媒は、それぞれ一種で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのレドックス触媒の前駆体となり得る化合物を、それぞれ単独に用い、物理的に混合した形のものであってもよい。これらの化合物は、適宜の位置でRbを介して担体に結合させればよい。
プレポリマーの製造方法に用いられる触媒組成物において、触媒組成物に含まれる(a)成分、(b)成分又は担体等により(c)成分の作用を代用できる場合は用いる必要はないが、必要となる場合は、上記(a)成分及び(b)成分の他に、さらに上記一般式(III)においてcとして表される(c)成分を適当量、担体に結合させ用いる。(c)成分としては芳香族ヒドロキシ化合物を活性化する能力を有する化合物が好適に用いられる。より好ましい例としては、ハロゲン化オニウム化合物,ルイス酸性を有する金属化合物,塩基触媒化合物等が挙げられる。
ハロゲン化オニウム化合物の例としては、次の式(IV)で表される化合物が具体的に挙げられる。
[式中、Aは窒素原子またはリン原子、Bはフッ素,塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン原子,ヒドロキシ基,アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。R1〜R4はそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基等が挙げられる。R1〜R4は各々同一でも、異なっていてもよい。また、R1及びR2、R3及びR4はそれぞれ一緒になって−(CH2)n−で表される2価の基であって、nが2〜7の整数であるものを形成してもよい。]さらに、上記ハロゲン化オニウム化合物としては、上記式(IV)で表される化合物以外のビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムハライド類も使用できる。それらの具体例としてはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド,テトラフェニルホスホニウムブロミド,ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミド,ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムヒドロキシド,ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムフェノキシド等が挙げられる。これらの化合物は、適宜の位置でRcを介して担体に結合させればよい。
プレポリマーの製造方法において用いる触媒組成物において、一般式(III)におけるRa〜Rcに相当する、(a)〜(c)成分を担体と結合させるために用いる成分としては、反応に支障のない限り、いかなる置換基を用いてもよい。具体的には、単結合,二重結合,三重結合(以上の結合については、ここでは炭素数0の置換基として考える。),炭素数1〜20の二官能性飽和炭化水素基,二官能性不飽和炭化水素基,炭素数6〜20の二官能性芳香族炭化水素基(以上の炭化水素基には適宜ヘテロ原子、金属原子等を含有してもよい。),エステル結合,エーテル結合、チオエステル結合,チオエーテル結合,アミノ結合,尿素結合,アミド結合,イミド結合,あるいは、これらの二官能性置換基及び結合の組合わせで形成される二官能性置換基,三官能性置換基又は四官能性置換基を用いてもよい。これらの二官能性置換基,三官能性置換基又は四官能性置換基は、反応に支障のない限り、適宜置換基を有していてもよい。
プレポリマーの製造方法において用いる触媒組成物に用いる担体[一般式(III)におけるSの連なりに相当する。]としては、反応に支障のない限り、炭素,ホウ素,窒素,酸素,リン,ケイ素,硫黄,アルミニウム,ジルコニウム,チタン等から一種類以上選ばれる原子よりなる原子数1以上の化合物であれば、いかなる化合物でも用いることができる。また、Ra、Rb及びRcから選ばれる少なくとも一種類が、それぞれ一般式(III)における同一のSに結合し、放射状又は線状の構造を形成してもよい。好ましい具体例としては、有機ポリマー類,デンドリマー類,フラーレン類,カーボンナノチューブ類,糖類,生体高分子類等の有機担体、あるいはゼオライト類,シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,金属炭酸塩,金属硫酸塩,金属酸化物等の無機担体等が挙げられる。より好ましい担体としては、p−メチルポリスチレン,ポリスチレンなどのポリスチレン類、p−メチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリスチレン,ポリビニルピロリドン,ポリピリジン類,ポリエステル類,ポリビニルアルコール,ポリビニルアセテート,シリカ、スメクタイト、カオリナイト、モンモリナイト、ベントナイト、バーミュクライト、ハイドロタルサイト、ハイドロアパタイト等が挙げられる。
プレポリマーの製造方法に用いる触媒組成物において、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分、(a)〜(c)成分を担体と結合させるために用いる成分、担体の他に、反応に支障のない限り、各成分又は担体の性質を改良する添加物、すなわち、有機バインダー,無機バインダー,架橋剤,改質剤等の添加物を、必要に応じ適宜加えても良い。また、触媒組成物の形状は反応に支障のない限りいかなる形状であってもよく、反応形式の都合により、粉末状であっても、ペレット形状、ハニカム形状、板形状等の成形体となっていてもよい。また、これらの触媒の前駆体となり得る金属錯体,化合物,担体,添加物等は、それぞれ単独に用い、物理的に混合した形のものであってもよい。
プレポリマーの製造方法において、上記の触媒組成物のうち、特に好ましい触媒組成物の具体例としては、(1)パラジウム化合物及びピリジン環構造を有する化合物からなる金属錯体、又はパラジウム化合物及びビピリジン環構造を有する化合物からなる金属錯体をp−メチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に結合させ、さらに塩化ピリジニウム塩を同一のp−メチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に同時に結合させた触媒組成物、(2)パラジウム化合物及びトリフェニルホスフィン結合スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる触媒組成物、(3)パラジウム化合物、レドックス触媒能を有する化合物及びポリビニルピロリドンからなる触媒組成物が挙げられる。
プレポリマーの製造方法において、触媒組成物の使用量については特に制限はなく、通常の触媒量でよいが、例えば、(a)成分については、その使用量は原料である芳香族ヒドロキシ化合物1モルに対して、パラジウムとして1×10−8〜0.5モル、好ましくは1×10−6〜0.1モルである。上記使用量が1×10−8モル未満では、反応速度が遅く実用的でない場合がある。一方、0.5モルを越えても、それに相当する効果が認められず経済的に不利である。また、(b)成分の使用量は、(a)成分のパラジウム1モルに対して通常0.1〜100モル、好ましくは0.5〜50モルである。0.1モル未満では、反応速度が遅い場合があり実用的でなく、100モルを越えると生成した芳香族エステル化合物の(b)成分による酸化分解反応が進行し経済的に不利である。また、(c)成分の使用量は、(c)成分のパラジウム1モルに対して通常0.1〜1000モル、好ましくは0.5〜500モルである。0.1モル未満では、反応速度が遅い場合があり実用的でなく、1000モルを越えると、(c)成分による副反応が進行し経済的に不利である。上記以外の触媒成分、すなわち担体等の使用量は、各成分の担体に対する結合量に依存するため一概に規定できない。
一方、(a)成分、(b)成分及び(c)成分のうち、それぞれ一成分又は二成分が上記触媒に含まれていなくてもよい。その場合においては、その触媒に含まれていない(a)成分、(b)成分、(c)成分等により発現される触媒機能を追加する必要がある場合は、それぞれの(a)成分、(b)成分、(c)成分等を単独に用い、別途添加することにより用いてもよい。その際に用いる(a)成分、(b)成分、(c)成分等は、担体に結合している形態でも、結合していない形態でもよい。
(A−3)プレポリマー製造の反応条件
本発明において、プレポリマー製造の際の酸化的カルボニル化反応は、無溶媒下でも溶媒中でも進行する。一般に無溶媒下で反応させる方が経済的に有利ではあるが、ポリカーボネートの製造プロセス上で必要な場合は、溶媒中で行なってもよい。ここで、使用できる溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素、環状脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、エステル類、含窒素溶媒、含硫黄溶媒等が挙げられ、用いる触媒の種類、組み合わせにより、適宜選択することができる。
酸化的カルボニル化反応によるプレポリマーの製造における反応温度は30〜180℃で、好ましくは50〜150℃、より好ましくは80〜120℃の範囲である。上記範囲より高温では、分解反応等の副反応が多くなり、また上記範囲より低温では、反応速度が低下して実用的でない。また、反応圧力は、一酸化炭素や酸素等のガス状の原料を用いるため、加圧状態に設定することが一般的であり、一酸化炭素分圧は1×10−2〜20MPa、好ましくは1×10−2〜10MPaの範囲内で、酸素分圧は1×10−2〜10MPa、好ましくは1×10−2〜5MPaの範囲内であればよい。特に、酸素分圧は、反応系内のガス組成が爆発範囲を外れるように調節することが望ましく、上記反応圧力があまり低圧では反応速度が低下し、また高圧過ぎると反応装置が大型となり、建設費用が高く、経済的に不利である。不活性ガスや水素等を用いる際には、その分圧は特に規定されないが、適宜実用的な圧力範囲で用いればよい。反応時間は、たとえば回分式の場合は1〜48時間の場合が好ましい。1時間以上であれば充分な収率が確保でき、48時間以下であれば経済的な不利益もない。以上の観点から反応時間は、好ましくは2〜36時間、より好ましくは3〜24時間である。
プレポリマー製造の際の反応方式は、回分式、原料と触媒等を連続的に投入する半連続式、原料と触媒等を連続的に投入し、反応生成物を連続的に抜き出す連続式のいずれでも可能である。
(A−4)プレポリマーの物性
本発明の固相重合用ポリカーボネートプレポリマーは、芳香族ジヒドロキシ化合物および沸点が330℃以下の一価フェノールと、一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化反応により製造され、(a)末端基中に占めるアリールカーボネート基と水酸基の割合が2:8〜8:2、(b)分子量分布(Mw/Mn)が1.1〜2.1であることを特徴とするものである。
沸点が330℃を超える一価フェノールを用いると固相重合による高分子化が短時間では困難になる。
固相重合用ポリカーボネートプレポリマーの末端基中に占めるアリールカーボネート基と水酸基の割合は2:8〜8:2の範囲であり、好ましくは3:7〜7:3の範囲である。この範囲から外れて末端基中に占めるアリールカーボネート基の割合が多すぎる場合も、末端基中に占める水酸基の割合が多すぎる場合も、固相重合が進展せず高分子量体が得られ難い。
また、固相重合用ポリカーボネートプレポリマーの分子量分布(Mw/Mn)が1.1未満のプレポリマーは製造が困難であり、利益がないのに対して、2.1を越える場合には、固相重合後のポリマーの分子量が不十分であり、分子量分布も広くなり易い。
なお、固相重合用ポリカーボネートプレポリマーの数平均分子量(Mn)は、1000〜10000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは1500〜8000の範囲であることが更に好ましい。プレポリマーの数平均分子量(Mn)が1000未満の場合では、固相重合の際に溶融してしまい重合不能となり易く、10000を越える場合には、プレポリマーの重合が困難なことから、生産性を著しく損なうことになり易い。
(B)ポリカーボネートの製造方法
本発明のポリカーボネートの製造方法では、プレポリマーを調製した後、結晶化し、膨潤状態又は固相状態で重合させる。
前記の工程で生成されたプレポリマーに、必要に応じ酸化防止剤を添加しても良い。また、重合後に得られたポリカーボネートに添加しても良い。重合の際には触媒として四級ホスホニウム塩を加えることが好ましい。
(B−1)酸化防止剤
プレポリマーに必要に応じて添加される酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤が好ましく、例えばトリアルキルホスファイト、トリシクロアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、モノアルキルジアリールホスファイト、トリアルキルホスフェート、トリシクロアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート等が挙げられる。
(B−2)触媒
プレポリマーを膨潤状態又は固相状態で重合させる際に使用する四級ホスホニウム塩としては、特に制限はなく、各種のものがあるが、例えば下記一般式(IX)又は(X)
上記一般式(IX)又は(X)において、R12は有機基を示し、この有機基としては、例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,シクロヘキシル基などのアルキル基やシクロアルキル基、フェニル基,トリル基,ナフチル基,ビフェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアリールアルキル基等を挙げることができる。四つのR12は互いに同一でも異なっていてもよく、また二つのR12が結合して環構造を形成していてもよい。X2はハロゲン原子,水酸基,アルキルオキシ基,アリールオキシ基,R’COO,HCO3,(R’O)2P(=O)O又はBR’’4などの1価のアニオン形成が可能な基を示す。ここで、R’はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、二つのR’Oは互いに同一でも異なっていてもよい。またR’’は水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、四つのR’’はたがいに同一でも異なっていてもよい。Y1はCO3などの2価のアニオン形成が可能な基を示す。
このような四級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド,テトラナフチルホスホニウムヒドロキシド,テトラ(クロロフェニル)ホスホニウムヒドロキシド,テトラ(ビフェニル)ホスホニウムヒドロキシド,テトラトリルホスホニウムヒドロキシド,テトラメチルホスホニウムヒドロキシド,テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラ(アリール又はアルキル)ホスホニウムヒドロキシド類、さらにはテトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラフェニルホスホニウムブロミド,テトラフェニルホスホニウムフェノラート,テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,メチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ビフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラトリルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラフェニルホスホニウムフェノレート,テトラ(p−t−ブチルフェニル)ホスホニウムジフェニルホスフェート,トリフェニルブチルホスホニウムフェノレート,トリフェニルブチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
これらの四級ホスホニウム塩の中で、触媒活性が高く、かつ熱分解が容易でポリマー中に残留しにくいなどの点から、アルキル基を有するホスホニウム塩、具体的には、テトラメチルホスホニウムメチルトリフェニルボレート,テトラエチルホスホニウムエチルトリフェニルボレート,テトラプロピルホスホニウムプロピルトリフェニルボレート,テトラブチルホスホニウムブチルトリフェニルボレート,テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラエチルホスホニウムテトラフェニルボレート,トリメチルエチルホスホニウムトリメチルフェニルボレート,トリメチルベンジルホスホニウムベンジルトリフェニルボレート等が好適である。
また、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド,テトラエチルホスホニウムヒドロキシド,テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルホスホニウム塩は、分解温度が比較的低いので容易に分解し、製品ポリカーボネートに不純物として残る恐れが小さい。また、炭素数が少ないので、ポリカーボネートの製造における原単位を低減でき、コスト的に有利であるという点で好ましい。
また、上記一般式(IX)又は(X)で表される化合物以外に、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのビス−テトラフェニルホスホニウム塩、エチレンビス(トリフェニルホスホニウム)ジブロミド,トリメチレンビス(トリフェニルホスホニウム)−ビス(テトラフェニルボレート)なども挙げることができる。
更に、アリール基及び/又は分岐状アルキル基を有する四級ホスホニウム塩も用いることができる。例えば、下記一般式(XI)又は(XII)
で表される化合物が用いられる。
上記一般式(XI)又は(XII)において、nは1〜4の整数である。
R13はアリール基又は分岐状アルキル基から選ばれた少なくとも一種類を示す。分岐状アルキル基とは、R3C−の構造を有し、ここでRは、水素,アルキル基,置換基を有するアルキル基,アリール基及び置換基を有するアリール基から選ばれた少なくとも1つであり、3つのRのうち少なくとも2つが結合して環構造を形成していてもよい。但し、同時に2個が水素である場合は除く。例えばシクロアルキル基,イソプロピル基,tert−ブチル基などの分岐状アルキル基やベンジル基などのアリールアルキル基などが挙げられる。また、nが2以上の場合、Rは同一でも異なっていてもよい。
R14は、アルキル基、置換基を有するアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基である。
X2は、ハロゲン原子,水酸基,アルキルオキシ基,アリールオキシ基,R’COO,HCO3,(R’O)2P(=O)O又はBR’’4などの1価のアニオン形成が可能な基を示す。ここで、R’はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、二つのR’Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。またR’’は水素原子又はアルキル基やアリール基などの炭化水素基を示し、四つのR’’はたがいに同一でも異なっていてもよい。
Y1はCO3などの2価のアニオン形成が可能な基を示す。
このような四級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド,テトラナフチルホスホニウムヒドロキシド,テトラ(クロロフェニル)ホスホニウムヒドロキシド,テトラ(ビフェニル)ホスホニウムヒドロキシド,テトラトリルホスホニウムヒドロキシド,テトラヘキシルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラ(アリール又はアルキル)ホスホニウムヒドロキシド類、メチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,エチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,プロピルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,ブチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,オクチルトリフエニルホスホニウムヒドロキシド,テトラデシルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,ベンジルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,エトキシベンジルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,メトキシメチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,アセトキシメチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,フェナシルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,クロロメチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,ブロモメチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,ビフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,ナフチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,クロロフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,アセトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシドなどのモノ(アリール又はアルキル)トリフェニルホスホニウムヒドロキシド類、フェニルトリメチルホスホニウムヒドロキシド,ビフェニルトリメチルホスホニウムヒドロキシド,フェニルトリヘキシルホスホニウムヒドロキシド,ビフェニルトリヘキシルホスホニウムヒドロキシドなどのモノ(アリール)トリアルキルホスホニウムヒドロキシド類、ジメチルジフェニルホスホニウムヒドロキシド,ジエチルジフェニルホスホニウムヒドロキシド,ジ(ビフェニル)ジフェニルホスホニウムヒドロキシドなどのジアリールジアルキルホスホニウムヒドロキシド類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラナフチルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラ(クロロフェニル)ホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラ(ビフェニル)ホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラトリルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのテトラアリールホスホニウムテトラフェニルボレート類、メチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,エチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,プロピルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ブチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,オクチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラデシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,エトキシベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,メトキシメチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、アセトキシメチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,フェナシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,クロロメチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ブロモメチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ビフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ナフチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,クロロフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,アセトキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのモノ(アリール又はアルキル)トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート類、フェニルトリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート,ビフェニルトリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート,フェニルトリヘキシルホスホニウムテトラフェニルボレート,ビフェニルトリヘキシルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのモノアリールトリアルキルホスホニウムテトラフェニルボレート類、ジメチルジフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ジエチルジフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ジ(ビフェニル)ジフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのジアリールジアルキルホスホニウムテトラフェニルボレート類が挙げられる。
さらに、対アニオンとして、上記のヒドロキシドやテトラフェニルボレート類の代わりに、フェノキシドなどのアリールオキシ基,メトキシド,エトキシドなどのアルキルオキシ基、アセテートなどのアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾネートなどのアリールカルボニルオキシ基、クロライト,ブロマイドなどのハロゲン原子を用いた上記四級ホスホニウム塩が挙げられる。
また、上記一般式(XI)で表される化合物以外に、一般式(XII)で表される2価の対アニオンを有するもの、例えばビス(テトラフェニルホスホニウム)カーボネート,ビス(ビフェニルトリフェニルホスホニウム)カーボネートなどの四級ホスホニウム塩や、さらに、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのビス−テトラフェニルホスホニウム塩、エチレンビス(トリフェニルホスホニウム)ジブロミト、トリメチレンビス(トリフェニルホスホニウム)−ビス(テトラフェニルボレート)なども挙げることができる。
さらに、下記一般式(XIII)又は(XIV)
で表される化合物が用いられる。上記一般式(XIII)又は(XIV)において、nは1〜4の整数、R15は有機基を示し、たがいに同一でも異なっていてもよく、X3はハロゲン原子,水酸基,アルキルオキシ基,アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基,アリールカルボニルオキシ基、HCO3又はBR4(Rは水素原子又は炭化水素基を示し、四つのRはたがいに同一でも異なっていてもよい)を示し、Phはフェニル基を示し、Y2はCO3を示す。
このような四級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド,ビフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド,テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,シクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ビフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート,テトラフェニルホスホニウムフェノキシド、ビフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド,メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド,フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド,ナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムフェノキシド,テトラフェニルホスホニウムクロライド,ビフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド,メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド,フェノキシフェニルトリフェニルホスホニウムクロライド又はナフチルフェニルトリフェニルホスホニウムクロライドなどが挙げられる。これらの四級ホスホニウム塩のうち、触媒効果と得られるポリカーボネートの品質とのバランスからシクロヘキシルトリラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが好ましく用いられる。
また、分岐状アルキル基を含む四級ホスホニウム塩の具体例としては、イソプロピルトリメチルホスホニウム;イソプロピルトリエチルホスホニウム;イソプロピルトリブチルホスホニウム;イソプロピルトリフェニルホスホニウム;テトライソプロピルホスホニウム;シクロヘキシルトリエチルホスホニウム;シクロヘキシルトリメチルホスホニウム;シクロヘキシルトリブチルホスホニウム;シクロヘキシルトリフェニルホスホニウム;テトラシクロヘキシルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリメチルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリエチルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリブチルホスホニウム;1,1,1−トリフェニルメチルトリフェニルホスホニウムなどを挙げることができる。
対アニオンに係るX3の具体例としては、ヒドロキサイド;ボロハイドライド;テトラフェニルボレート;アセテート;プロピオネート;フルオライド;クロライド;ハイドロカーボネートなどを挙げることができる。また、Y2の具体例としては、カーボネートなどを挙げることができる。分岐状アルキル基を含む四級ホスホニウム(カチオン)とX3またはY2(アニオン)とからなる塩の具体例としては、上記各種具体例の組合せから種々のものを挙げることができ、イソプロピルトリメチルホスホニウムヒドロキサイド;シクロヘキシルトリフェニルホスホニウムクロライド;1,1,1−トリフェニルメチルトリエチルホスホニウムアセテート;ビス(イソプロピルトリエチルホスホニウム)カーボネート等が例示できる。
これら分岐状アルキル基を含む四級ホスホニウム塩のうち、特にシクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートやシクロペンチルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが触媒効果と得られるポリカーボネートの品質とのバランスに優れる点で好ましく使用される。さらに分岐状アルキル基を含む四級ホスホニウム塩として、テトラメチルホスホニウムアセテート,テトラエチルホスホニウムアセテート,テトラプロビルホスホニウムアセテート,テトラブチルホスホニウムアセテート,テトラベンチルホスホニウムアセテート,テトラヘキシルホスホニウムアセテート,テトラヘプチルホスホニウムアセテート,テトラオクチルホスホニウムアセテート,テトラデシルホスホニウムアセテート,テトラドデシルホスホニウムアセテート,テトラトリルホスホニウムアセテート,テトラフェニルホスホニウムアセテート,テトラメチルホスホニウムベンゾエート,テトラエチルホスホニウムベンゾエート,テトラプロピルホスホニウムベンゾエート、テトラフェニルホスホニウムベンゾエート,テトラメチルホスホニウムホルメート,テトラエチルホスホニウムホルメート,テトラプロピルホスホニウムホルメート,テトラフェニルホスホニウムホルメート,テトラメチルホスホニウムプロピオネート,テトラエチルホスホニウムプロピオネート,テトラプロピルホスホニウムプロピオネート,テトラメチルホスホニウムブチレート,テトラエチルホスホニウムブチレート,テトラプロピルホスホニウムブチレートなどのカルボン酸塩もあげることができる。
なお、これらの四級ホスホニウム塩は、金属不純物の合有量ができるだけ少ないものが好ましく、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属化合物の合有量が50ppm以下のものが好適である。また、原料の二価ジヒドロキシ化合物1モルに対して、上記四級ホスホニウム塩を好ましくは10−2〜10−8モル用いるのが望ましい。四級ホスホニウム塩の使用量が10−8モル未満では反応後期での触媒活性が不充分となり、また10−2モルを超えるとコストアップに繋がり好ましくない。
(B−3)プレポリマーの重合工程
▲1▼プレポリマーの結晶化
前述したように、プレポリマーを膨潤状態又は固相状態で重合させる場合には、重合前にプレプリマーを結晶化しておく。プレポリマーを結晶化させる方法については、特に制限はないが、溶媒処理法及び加熱結晶化法が好ましく用いられる。前者の溶媒処理法は、クロロメタン,塩化メチレン,クロロホルム、アセトフェノン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサン、プロピレンカーボネート等の溶煤を用いてプレポリマーを結晶化させる方法である。用いられる溶媒の量は、種々条件によって異なるが、好ましくはプレポリマーに対して重量基準で0.05〜100倍、好ましくは0.1〜50倍の範囲で選ばれる。後者の加熱結晶化法は、プレポリマーを、目的とする芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以上、かつプレポリマーの溶融開始温度未満の範囲の温度で加熱することによって、結晶化させる方法である。
フレーク化工程では、従来から知られている方法、例えば転動造粒法,押出し造粒法,圧縮造粒法,熔融造粒法,噴霧乾燥造粒法,流動層造粒法,破砕造粒法,擬絆造粒法,液相造粒法又は真空凍結造粒法などが、場合に応じて使用可能である。フレークの形状としては、特に制限はないが、操作性からペレット,ビーズ状等が好ましい。また、次工程で便用する膨潤溶媒にプレポリマーを一度溶解し、そこへポリカーボネートに対する貧溶媒を混合しながらフレーク化する攪拌造粒法なども有効である。なお、重合に際しては、フレークの乾燥は特に必要とされない。
▲2▼固相状態での重合
結晶化した状態の固体のプレポリマーについて、上記四級ホスホニウム塩を触媒として、重合反応を行わせる。この場合、反応によって副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、ジアリールカーボネート又はその両方を系外に抜き出すことによって、その反応が促進される。そのためには、窒素,アルゴン,ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガスあるいは炭化水素ガスや貧溶媒蒸気などを導入し、これらのガスに同伴させて除去する方法、減圧下に反応を行う方法、又はこれらを併用した方法などが好ましく用いられる。また、同伴用のガスを導入する場合には、これらのガスを反応温度付近の温度に加熱しておくことが望ましい。
貧溶媒の条件としては、下記の反応条件で溶媒へのポリカーボネート溶解度が0.1重量%以下であり、反応に関与する可能性が少ない直鎖又は分岐鎖を有する炭素数4〜18の飽和炭化水素化合物、又は炭素数4〜18でかつ低度の不飽和炭化水素化合物が好ましい。沸点は、250℃を越えると残留溶剤の除去が困難となり、品質が低下する可能性があり好ましくない。この固相重合反応を実施する場合の結晶化プレポリマーの形状については、特に制限はないが、ペレット状,ビーズ状のものが好適である。
この固相重合での反応触媒としては、好ましくは四級ホスホニウム塩及び必要に応じて他の触媒も用いられるが、プレポリマー生成工程で添加し、残存しているものをそのまま使用しても、又は前記触媒を再度粉末、液体又は気体状態で添加してもよい。この固相重合反応を実施する際の反応温度Tp(℃)及び反応時間は、結晶化プレポリマーの種類(化学構造,分子量等)や形状、結晶化プレポリマー中の触媒の有無,種類又は量、必要に応じて追加される触媒の種類又は量、結晶化プレポリマーの結晶化の度合や溶融温度Tm’(℃)の違い、目的とする芳香族ポリカーボネートの必要重合度、他の反応条件などによって異なるが、好ましくは目的とする芳香族ポリカーボネートのガラス転移湿度以上で、かつ固相重合中の結晶化プレポリマーが溶融しないで固相状態を保つ範囲の温度、より好ましくは下記式(XV)
で示される範囲の温度において、1分〜100時間、好ましくは0.1〜50時間程度加熱することにより、固相重合反応を行う。
このような温度範囲としては、例えばビスフェノールAのポリカーボネートを製造する場合には、約150〜260℃が好ましく、特に約180〜245℃が好ましい。また、重合工程では、重合中のポリマーにできるだけ均一に熱を与え、副生物の抜き出しを有利に進めるために、攪拌したり、反応器自身を回転させたり、又は加熱ガスによって流動させる方法などが好ましく用いられる。
一般に工業的に有用な芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は、6000〜20万程度であり、上記固相重合工程を実施することによって、このような重合度のポリカーボネートが容易に得られる。結晶化プレポリマーの固相重合によって得られた芳香族ポリカーボネートの結晶化度は、重合前のプレポリマーの結晶化度より増大していることから、本発明の方法では、結晶性芳香族ポリカーボネート粉体が得られる。結晶性芳香族ポリカーボネート粉体は、冷却せず直接押出機に導入してペレット化することもでき、冷却せずに直接成形機に導入して成形することもできる。重合に寄与する予備重合と固相重合との割合は、必要に応じて適宜変えてもよい。
▲3▼膨潤固相状態での重合
この重合方法は、上記方法で結晶化したプレポリマーを、後述する膨潤ガスにより膨潤させた状態での固相重合によって、さらに重合を行わせる方法である。この方法は、エステル交換反応によりポリカーボネートを製造する方法において、副生するフェノールのような低分子化合物を脱気又は抽出除去する場合、膨潤ガスにより膨潤状態にある高分子(オリゴカーボネート)から、低分子化合物を脱気又は抽出除去する方が、高粘度溶融高分子や結晶化した固体からの脱気又は抽出除去よりも物質移動速度が速くなり、高効率で反応できることを利用したものである。
ここで使用する膨潤溶媒は、ポリカーボネートを以下に示す反応条件で膨潤可能な単一膨潤溶媒、それらの単一膨潤溶媒の混合物、又は単一膨潤溶媒もしくはそれらの混合物にポリカーボネートの貧溶媒を単一あるいは数種類混合したものを示す。
本工程における膨潤状態とは、以下に示した反応条件の範囲において、反応原料であるプレポリマーフレークを熱膨潤値以上に体積的又は重量的に増加した状態をいい、膨潤溶媒とは、下記反応条件の範囲において完全に気化する沸点を有するか、又は通常50mmHg以上の蒸気圧を有する単一化合物又はそれらの混合物であり、同時に上記の膨潤状態を形成させることができるものをいう。
このような膨潤溶媒は、上記の膨潤条件を満たしていれば、特に制限はない。例えば、溶解度パラメーターが4〜20(cal/cm3)1/2の範囲、好ましくは7〜14(cal/cm3)1/2の範囲にある芳香族化合物や含酸素化合物が該当する。膨潤溶媒としては、例えばベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,ジエチルベンゼン,プロピルベンゼン,ジプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等のケトン類などが挙げられる。これらの中でも、炭素数6〜20の芳香族炭化水素の単一化合物又は混合物が好ましい。
また、膨潤溶媒と混合される貧溶媒の条件としては、下記の反応条件で溶媒へのポリカーボネート溶解度が0.1重量%以下であり、反応に関与する可能性が少ない直鎖又は分岐鎖を有する炭素数4〜18の飽和炭化水素化合物、又は炭素数4〜18でかつ低度の不飽和炭化水素化合物が好ましい。膨潤溶媒及び貧溶媒の沸点が、共に250℃を越えると残留溶剤の除去が困難となり、品質が低下する可能性があり好ましくない。
このような貧溶媒と膨潤溶媒とを混合して用いる場合には、その混合溶媒中に膨潤溶媒が1重量%以上合有されていれば良く、好ましくは5重量%以上の膨潤溶媒を混合溶媒中に存在させる。この膨潤固相重合工程では、反応温度が好ましくは100〜240℃であり、反応時の圧力が好ましくは10Torr〜5kg/cm2G、特に好ましくは大気圧下で実施する。反応温度が上記範囲より低いとエステル交換反応が進行せず、反応温度がプレポリマーの融点を超える高温条件では、固相状態を維持できず、粒子間で融着等の現象が生じ、運転操作性が著しく低下する。従って、反応温度は融点以下にする必要がある。
この膨潤固相重合での反応触媒としては、好ましくは四級ホスホニウム塩及び必要に応じて他の触媒も用いられるが、プレポリマー生成工程で添加し、残存しているものをそのまま使用しても、又は前記触媒を再度粉末、液体又は気体状態で添加してもよい。膨潤溶媒ガスの供給は、液体状態で反応器に供給し反応器内で気化させても、予め熱交換器などにより気化させた後、反応器に供給してもよい。ガス供給量としてはプレポリマー1g当り0.5リットル(標準状態)/hr以上のガスを反応器に供給することが好ましい。膨潤溶媒ガスの流通量は反応速度と密接に関係し、フェノール除去効果と同時に熱媒体としての作用をもしているため、ガスの流通量の増加に伴い反応速度が向上する。このような膨潤固相重合に用いられる反応器に特に制限はない。
以下に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また、以下の例で使用した触媒、試薬は、市販の製品又は文献記載の方法に従い調製したものである。
なお、以下の実施例及び比較例において、数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はGPC装置を用いて測定した。
遊離液:クロロホルム
カラム:Shodex K−804L
検量線:ポリエチレン標準分子量:1050、5870、17100、98900、355000の5サンプルで作成した。
検出器:紫外線(UV)検出器
また、末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)はNMR装置を用いて測定した。
使用装置:600メガ、JIM−LA6000FT
(日本電子製)
溶媒:重クロロホルム
測定温度:室温
容量30ミリリットルのオートクレーブに、触媒組成物Pd−PPh2−PSを41.6mg(Pdとして12マイクロモル)、ビスフェノールA(以下、BPAと略す)を0.95g(4.16ミリモル)、PTBPを0.158g(1.05ミリモル)、ベンゾキノンを0.0676g(0.625ミリモル)、Mn(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)3を14.5mg(24マイクロモル)、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミドを0.15g(0.24ミリモル)、合成ゼオライトA−3粉末(和光純薬製、粒径75ηm未満)を1g、塩化メチレンを10ミリリットル封入した。一酸化炭素で加圧及び脱圧することにより、このオートクレーブ内を一酸化炭素置換した。その後、25℃換算で6.0MPaとなるように一酸化炭素を加圧し、さらに、全体の圧力が6.3MPaとなるように空気を加圧した。 これを100℃に加熱し24時間反応させた。冷却し脱圧した後、塩化メチレン20ミリリットルを添加し、濃褐色の懸濁液を得た。この懸濁液を濾過することにより触媒組成物を分離することが容易にでき、濃褐色の均一溶液が得られた。この溶液に固相重合用の触媒としてシクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを0.028mg(1.0×10−5モル/BPAモル)を添加した後、溶媒を除去し、目的の固相重合用プレポリマーを得た。得られたプレポリマーの数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)を第1表に示す。
次に、得られたプレポリマー粉体500mgを、直径58mm、長さ170mmのSUS管に入れ、窒素ガスを100ミリリットル/分の速度で導入し、室温から190℃で2時間、210℃で2時間、230℃で4時間固相重合を実施して、ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートについても数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)を測定し、結果を第1表に示す。
内容量50mlのオート−クレーブに、BPA6.3ミリモル、PTBP2.7ミリモル、上記で得られた担持型触媒59mg、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.94ミリモル、ベンゾキノン0.47ミリモル、合成ゼオライトA−3粉末(和光純薬(株)製、粒径75μm未満)1.5g、プロピレンカーボネート15mlを入れ、一酸化炭素6.0MPa、酸素0.3MPaを25℃で充填した。封入さた後に容器を閉構造とし、100℃で24時間加熱した。反応終了後、合成ゼオライト及び担持型触媒を除き、メタノール再沈殿により、ポリカーボネートプレポリマーを得た。これを100℃、24時間、真空乾燥した。
該ポリカーボネートプレポリマー500mgにシクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを300ppm添加し、内径1.3cmのSUS管に入れ、窒素ガス100ml/分の速度で導入し、190℃で2時間、210℃で2時間、230℃で4時間、計8時間の固相重合を実施し、ポリカーボネートを製造した。得られた固相重合用プレポリマー及びポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)を第1表に示す。
〔比較例1〕
実施例1においてPTBPを用いなかった以外は実施例1と同様に実施した。得られた固相重合用プレポリマー及びポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)を第1表に示す。
〔比較例2〕
実施例1においてPTBPに代えてp−クミルフェノールを0.38g(1.79ミリモル)とした以外は実施例1と同様に実施した。得られた固相重合用プレポリマー及びポリカーボネートの収率、数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)を第1表に示す。
〔比較例3〕
(界面法によるポリカーボネートオリゴマーAの製造)
400リットルの5重量%水酸化ナトリウム水溶液に60kgのBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。次いで、室温に保持した該BPAの水酸化ナトリウム水溶液を138リットル/時間の流量で、塩化メチレンを69リットル/時間の流量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリフィス板を通して導入し、これにホスゲンを並流して10.7kg/時間の流量で吹込み、3時間連続的に反応させた。用いた管型反応器は二重管であり、ジャケット部分に冷却水を通して反応液の排出温度を25℃に保った。また、排出液のpHが10〜11を示すように調整した。このようにして得られた反応液を静置することによって、水相を分離除去し、塩化メチレン相220リットルを採取した。得られたポリカーボネートオリゴマーAの重合度は2〜4であり、溶液の濃度は344g/リットルで、クロロホーメート基の濃度は0.75Nであった。
(PTBP末端100%のポリカーボネートオリゴマーBの製造)
内容積1リットルの攪拌機付き容器に、上記により得られたポリカーボネートオリゴマーAを261ミリリットル、塩化メチレンを189ミリリットル、PTBPを16g、トリエチルアミンを2.7マイクロリットル、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ12g、亜二チオン酸ナトリウム45mgを水135ミリリットルに溶解させた水溶液にビスフェノールA22.3gを溶解させたもの)を入れ300rpmで攪拌しながら1時間反応させた。反応後、塩化メチレン250ミリリットルを加え、有機相と水相を分離し、有機相を順次15容量%づつの0.2N塩酸、0.03N水酸化ナトリウム水溶液、0.2N塩酸で洗浄し、洗浄後の水相中の電気で伝導度が0.1μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。次いで塩化メチレンを除きフレーク状のアリールカーボネート基(PTBP)が末端100%、数平均分子量(Mn)が1300、重量数平均分子量(Mw)が3700、分子量分布(Mw/Mn)が2.8のポリカーボネートオリゴマーBを製造した。
(OH末端100%のポリカーボネートオリゴマーCの製造)
内容積100リットルの攪拌機付き容器に、上記により得られたポリカーボネートオリゴマーAを1650ミリリットル、塩化メチレンを1275ミリリットル、水を1300ミリリットル、28重量%アンモニア水を200ミリリットル入れ、300rpmで攪拌しながら2時間反応させた。反応後、遠心分離機にて有機相と水相を分離し、有機相を順次15容量%づつの0.2N塩酸、0.03N水酸化ナトリウム水溶液、0.2N塩酸で洗浄し、洗浄後の水相中の電気で伝導度が0.1μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。次いで塩化メチレンを除きフレーク状のOH末端が100%、数平均分子量(Mn)が1300、重量数平均分子量(Mw)が3700、分子量分布(Mw/Mn)が2.8のポリカーボネートオリゴマーCを製造した。
(プレポリマーの製造および固相重合)
300リットルのナス型フラスコに、上記により得られたポリカーボネートオリゴマーBを7g、ポリカーボネートオリゴマーCを3g、シクロヘキシルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを0.26mg、塩化メチレンを100ミリリットルを入れ、溶液ブレンドして均一溶液となった後に、アセトンを30ミリリットル添加した。次いでエバポレーターにて溶媒を除去し、粉末状プレポリマー(末端比PTBP/OH=70/30)を製造した。
得られた粉末状プレポリマー5gを、直径58mm、長さ170mmのSUS管に入れ、190℃で2時間、210℃で2時間、230℃で4時間の固相重合を行なってポリカーボネートを製造した。得られた粉末状プレポリマー及びポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)を第1表に示す。
〔比較例4〕
比較例3のプレポリマーの製造工程において、ポリカーボネートオリゴマーBを3g、ポリカーボネートオリゴマーCを7gとした他は比較例2と同様にしてプレポリマーの製造及び固相重合を行なった。得られた粉末状プレポリマー及びポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量数平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および末端基中に占めるアリールカーボネート基(PTBP)と水酸基(OH)の割合(PTBP/OH)を第1表に示す。
産業上の利用分野
本発明においては、酸化的カルボニル化反応を行なう際に、担持型触媒や一価フェノールを用いることで、分子量分布が制御された固相重合に適したポリカーボネートプレポリマーが提供される。従って本発明によるプレポリマーを用いて固相重合により得られたポリカーボネートも、分子量分布が制御され、ポリカーボネートが本来保持している高い性能を発現させることができる。
その結果、本発明により得られるポリカーボネートは、非常に高品質が要求されるCD,CD−ROM,MO,CD−R、CD−RW、DVD−ROM,DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM等の光学式ディスクの基板としても、好適に用いることができる。
Claims (4)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物及び沸点が330℃以下の一価フェノールと、一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化反応により製造された固相重合用ポリカーボネートプレポリマーであって、(a)末端基中に占めるアリールカーボネート基と水酸基の割合が2:8〜8:2、(b)分子量分布(Mw/Mn)が1.1〜2.1であることを特徴とする固相重合用ポリカーボネートプレポリマー。
- 数平均分子量(Mn)が1000〜10000である請求項1に記載の固相重合用ポリカーボネートプレポリマー。
- 酸化的カルボニル化反応が、(a)金属錯体、(b)レドックス触媒能を有する化合物及び(c)芳香族ヒドロキシ化合物を活性化する能力を有する化合物のうち少なくとも1種が担体に結合した触媒組成物の存在下で行なわれたものである請求項1又は請求項2に記載の固相重合用ポリカーボネートプレポリマー。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の固相重合用ポリカーボネートプレポリマーを、固相重合により高分子量化することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
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