JP2002069170A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JP2002069170A
JP2002069170A JP2000254079A JP2000254079A JP2002069170A JP 2002069170 A JP2002069170 A JP 2002069170A JP 2000254079 A JP2000254079 A JP 2000254079A JP 2000254079 A JP2000254079 A JP 2000254079A JP 2002069170 A JP2002069170 A JP 2002069170A
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充 上田
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Michihiko Asai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族二価ヒドロキシ化合物から一段でかつ
高収率で、実用的に充分な分子量を有するポリカーボネ
ートを効率よく製造する方法を提供すること。 【解決手段】 (a−1)パラジウム原子を金属中心と
して複数個有し、ヘテロ二座配位子により架橋された多
核金属錯体化合物又は(a−2)環員窒素原子のα位炭
素に水素を有さないビピリジル系化合物を配位子として
有するパラジウム錯体化合物と(b)レドックス触媒及
び(c)ハロゲン化オニウム化合物からなる触媒の存在
下で、芳香族二価ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸
素を酸化的カルボニル化反応させることを特徴とするポ
リカーボネートの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
の製造方法に関し、詳しくは電気・電子分野,自動車分
野,光学部品分野,構造材料分野等における樹脂材料な
どとして有用なポリカーボネートを、芳香族二価ヒドロ
キシ化合物、一酸化炭素及び酸素から効率よく製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートの製造方法としては、
ビスフェノールA等の芳香族二価ヒドロキシ化合物とホ
スゲンとを直接反応させる方法(界面法)、あるいはビ
スフェノールA等の芳香族二価ヒドロキシ化合物とジフ
エニルカーボネート等の炭酸ジエステルをエステル交換
反応させる方法(エステル交換法)等が知られている。
しかしながら、界面法は有毒なホスゲンを用いなければ
ならないこと、副生する含塩素化合物により製造装置が
腐食すること等の欠点がある。また、エステル交換法で
は、多大な熱エネルギー損失が生じる複雑な工程で原料
の炭酸ジエステルを製造しなければならず、原料製造工
程や副生物のリサイクル工程等を含めた製造工程全体と
しては、経済的とは言えない等の問題があった。このよ
うな背景から簡便なポリカーボネートの製造法の開発が
求められ、幾つかの提案がなされている。例えば、塩基
及びセレン化合物の存在下に、芳香族二価ヒドロキシ化
合物と一酸化炭素とを反応させるポリカーボネートの製
造法(特開昭55−92731号公報)が開示されてい
るが、セレンは猛毒である上、この反応は量論反応であ
るため大量のセレンが必要となる等の問題がある。ま
た、パラジウム系触媒/レドックス系触媒(例えば、特
開平11−292962号公報など)を用いる酸化的カ
ルボニル化反応により芳香族二価ヒドロキシ化合物と一
酸化炭素からポリカーボネートを得ようとしても、反応
速度が不充分であること等が原因となり、重合度の低い
オリゴカーボネートしか得られないという問題があっ
た。一方、酸化的カルボニル化反応を用いないポリカー
ボネートの製造方法としては、炭酸ジメチルと芳香族ヒ
ドロキシ化合物とのエステル交換反応を用いた製造方法
(特開平9−176094号公報)が提案されている
が、この方法は、原料となる炭酸ジメチルの製造工程が
必要となり、必ずしも経済的な方法とは言えない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な従来技術の問題点を解消し、芳香族二価ヒドロキシ化
合物から、一段でかつ高収率で、充分な分子量を有する
ポリカーボネートを効率よく製造する方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
鋭意研究の結果、特定の成分の組合せから成る触媒を用
いることにより、上記の目的を達成しうることを見出し
た。本発明はかかる知見に基づいて完成したものであ
る。すなわち、本発明は、(a−1)パラジウム原子を
金属中心として複数個有し、ヘテロ二座配位子により架
橋された多核金属錯体化合物又は(a−2)環員窒素原
子のα位炭素に水素を有さないビピリジル系化合物を配
位子として有するパラジウム錯体化合物と(b)レドッ
クス触媒及び(c)ハロゲン化オニウム化合物からなる
触媒の存在下で、芳香族二価ヒドロキシ化合物と一酸化
炭素及び酸素を酸化的カルボニル化反応させることを特
徴とするポリカーボネートの製造方法を提供するもので
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の方法において、芳香族二価ヒドロキシ化
合物としては、従来公知の種々のものを使用することが
でき、所望のポリカーボネートの種類により適宜選定す
ることができる。例えば、一般式(I) HO−Ar−OH ・・・(I) 〔式中、Arはアリーレン基を示す。〕で表される芳香
族二価ヒドロキシ化合物(二価フェノール)が挙げられ
る。但し、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、
1,4−ジヒドロキシナフタレン、9,10−ジヒドロ
キシアントラセン、1,4−ジヒドロキシフェナントレ
ン等の有機レドックス触媒として作用する化合物は除か
れる。具体的には、1,5−ジヒドロキシナフタレン、
2,6−ジヒドロキシナフタレン等の二価フェノール類
が挙げられる。また、一般式(II)
【0006】
【化1】
【0007】〔式中、Rは、水素原子,ハロゲン原子
(例えば、塩素,臭素,フッ素,ヨウ素),アルコキシ
基,エステル基,カルボキシル基,水酸基,炭素数1〜
8のアルキル基,あるいは全炭素数6〜20の環上に水
素原子又はアルキル基を有する芳香族基であり、o−
位,m−位のいずれに結合していてもよく、このRが複
数の場合、それらは同一であってもよいし、異なってい
てもよく、a及びbは、それぞれ1〜4の整数である。
そしてXは単結合,炭素数1〜8のアルキレン基,炭素
数2〜8のアルキリデン基,炭素数5〜15のシクロア
ルキレン基,炭素数5〜15のシクロアルキリデン基又
は−S−,−SO−,−SO2 −,−O−,−CO−結
合もしくは一般式(III)
【0008】
【化2】
【0009】で表される結合を示す。]で表される炭素
数12〜27の芳香族二価ヒドロキシ化合物(ビスフェ
ノール)が挙げられる。
【0010】ここで、上記一般式(II)で表されるビス
フェノールとしては、様々なものがあるが、特に2,2
ービス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェ
ノールA]が好ましい。ビスフェノールA以外のビスフ
ェノールとしては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビ
スフェノールA以外のビス(4−ヒドロキシフェニル)
化合物又はビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン等のハロゲン化ビスフェノー
ル類等が挙げられる。これらのビスフェノール類が置換
基としてアルキル基を有する場合には、該アルキル基と
しては、炭素数1〜6のアルキル基、特に炭素数1〜4
のアルキル基が好ましい。
【0011】上記芳香族二価ヒドロキシ化合物と反応さ
せる一酸化炭素は、単体であってもよいが、不活性ガス
で希釈されていても、水素との混合ガスであってもよ
い。また、上記芳香族二価ヒドロキシ化合物と反応させ
る酸素は、純酸素であってもよいが、一般には不活性ガ
スで希釈されたもの、例えば空気等の酸素含有ガスであ
ってもよい。
【0012】本発明の方法の酸化的カルボニル化反応に
よるポリカーボネート製造の際には、芳香族二価ヒドロ
キシ化合物に加えて、芳香族一価ヒドロキシ化合物を、
反応開始時より反応系に共存させて原料として用いて
も、反応中に反応系に添加して原料として用いてもよ
い。また、芳香族二価ヒドロキシ化合物のみで反応を充
分に行った後に、さらに芳香族一価ヒドロキシ化合物の
みを添加して、引き続き反応を行ってもよい。芳香族一
価ヒドロキシ化合物としては、従来公知の種々のものが
使用でき、具体例としては、フェノールの他に、p−メ
チルフェノール,m−メチルフェノール,o−メチルフ
ェノール,p−エチルフェノール,m−エチルフェノー
ル,o−エチルフェノール,p−tert−ブチルフェ
ノール,p−tert−オクチルフェノール等のアルキ
ルフェノール類、p−フエニルフェノール,m−フエニ
ルフェノール,o−フエニルフェノール等のフエニルフ
ェノール類、p−クミルフェノール,m−クミルフェノ
ール,o−クミルフェノール等のクミルフェノール類、
p−メトキシフェノール,m−メトキシフェノール,o
−メトキシフェノール,p−エトキシフェノール,m−
エトキシフェノール,o−エトキシフェノール等のアル
コキシフェノール類、1−ナフトール,2−ナフトール
等のナフトール類などが挙げられる。
【0013】一方、本発明の方法において、触媒は、前
述したように(a−1)成分又は(a−2)成分〔これ
らをまとめて(a)成分ということがある。〕と、
(b)成分と(c)成分から構成されている。ここで、
触媒の(a−1)成分としては、一つの多核金属錯体化
合物中にパラジウム原子を金属中心として複数個有し、
ヘテロ二座配位子により架橋されたものであればいかな
る化合物であってもよい。ヘテロ二座配位子としては、
パラジウム錯体の配位子として一般的な、ホスフィン構
造,ホスファイト構造,リン酸エステル構造,ピリジン
構造,イミン構造,アミン構造,ニトリル構造,アルシ
ン構造及びカルボニル構造等から選ばれる異なった二種
類以上の構造を含み、それぞれの構造が一つ以上含まれ
ているものであればよい。本発明においてはこれらのヘ
テロ二座配位子の中で、ホスフィン構造とピリジン構造
とを含む化合物及びアルシン構造とピリジン構造とを含
む化合物が好ましい。ホスフィン構造とピリジン構造と
を含む化合物の具体例としては、2−ジフェニルホスフ
ィノピリジン,ジ(2−ピリジル)フェニルホスフィ
ン,トリ(2−ピリジル)ホスフィン,2−ジフェニル
ホスフィノキノリン等が挙げられ、アルシン構造とピリ
ジン構造とを含む化合物の具体例としては、2−ジフェ
ニルアルシノピリジン等が挙げられる。
【0014】このようなパラジウム原子を金属中心とし
て複数個有し、ヘテロ二座配位子により架橋された多核
金属錯体化合物としては、具体的には、ジフルオロビス
(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,
ジクロロビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジ
パラジウム,ジブロモビス(2−ジフェニルホスフィノ
ピリジン)ジパラジウム,ジヨードビス(2−ジフェニ
ルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジナイトライト
ビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラジウ
ム,ジアジドビス(2−ジフェニルホスフィノピリジ
ン)ジパラジウム,ジイソチオシアナトビス(2−ジフ
ェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジチオシア
ナトビス(2−ジフェニルホスフィノピリジン)ジパラ
ジウム,ジシアナトビス(2−ジフェニルホスフィノピ
リジン)ジパラジウム,ジイソシアナトビス(2−ジフ
ェニルホスフィノピリジン)ジパラジウム,ジフルオロ
ビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウ
ム,ジクロロビス(2−ジフェニルホスフィノキノリ
ン)ジパラジウム,ジブロモビス(2−ジフェニルホス
フィノキノリン)ジパラジウム,ジヨードビス(2−ジ
フェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジナイト
ライトビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジパ
ラジウム,ジアジドビス(2−ジフェニルホスフィノキ
ノリン)ジパラジウム,ジイソチオシアナトビス(2−
ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジチオ
シアナトビス(2−ジフェニルホスフィノキノリン)ジ
パラジウム,ジシアナトビス(2−ジフェニルホスフィ
ノキノリン)ジパラジウム,ジイソシアナトビス(2−
ジフェニルホスフィノキノリン)ジパラジウム,ジフル
オロビス[ジ(2−ピリジル)フェニルホスフィン]ジ
パラジウム,ジクロロビス[ジ(2−ピリジル)フェニ
ルホスフィン]ジパラジウム,ジブロモビス[ジ(2−
ピリジル)フェニルホスフィン]ジパラジウム,ジヨー
ドビス[ジ(2−ピリジル)フェニルホスフィン]ジパ
ラジウム,ジナイトライトビス[ジ(2−ピリジル)フ
ェニルホスフィン]ジパラジウム,ジアジドビス[ジ
(2−ピリジル)フェニルホスフィン]ジパラジウム,
ジイソチオシアナトビス[ジ(2−ピリジル)フェニル
ホスフィン]ジパラジウム,ジチオシアナトビス[ジ
(2−ピリジル)フェニルホスフィン]ジパラジウム,
ジシアナトビス[ジ(2−ピリジル)フェニルホスフィ
ン]ジパラジウム,ジイソシアナトビス[ジ(2−ピリ
ジル)フェニルホスフィン]ジパラジウム,ジフルオロ
ビス[トリ(2−ピリジル)ホスフィン]ジパラジウ
ム,ジクロロビス[トリ(2−ピリジル)ホスフィン]
ジパラジウム,ジブロモビス[トリ(2−ピリジル)ホ
スフィン]ジパラジウム,ジヨードビス[トリ(2−ピ
リジル)ホスフィン]ジパラジウム,ジナイトライトビ
ス[トリ(2−ピリジル)ホスフィン]ジパラジウム,
ジアジドビス[トリ(2−ピリジル)ホスフィン]ジパ
ラジウム,ジイソチオシアナトビス[トリ(2−ピリジ
ル)ホスフィン]ジパラジウム,ジチオシアナトビス
[トリ(2−ピリジル)ホスフィン]ジパラジウム,ジ
シアナトビス[トリ(2−ピリジル)ホスフィン]ジパ
ラジウム,ジイソシアナトビス[トリ(2−ピリジル)
ホスフィン]ジパラジウム,ジクロロビス(2−ジフェ
ニルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジブロモビス
(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジ
ヨードビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラ
ジウム,ジナイトライトビス(2−ジフェニルアルシノ
ピリジン)ジパラジウム,ジアジドビス(2−ジフェニ
ルアルシノピリジン)ジパラジウム,ジイソチオシアナ
トビス(2−ジフェニルアルシノピリジン)ジパラジウ
ム,ジチオシアナトビス(2−ジフェニルアルシノピリ
ジン)ジパラジウム,ジシアナトビス(2−ジフェニル
アルシノピリジン)ジパラジウム,ジクロロビス(2−
ジフェニルホスフィノピリジン)(μ−ジメチルアセチ
レンジカルボキシレート)ジパラジウム,ジクロロビス
[ジ(2−ピリジル)フェニルホスフィン](μ−ジメ
チルアセチレンジカルボキシレート)ジパラジウム,ジ
クロロビス[トリ(2−ピリジル)ホスフィン](μ−
ジメチルアセチレンジカルボキシレート)ジパラジウ
ム,テトラクロロビス(2−ジフェニルホスフィノピリ
ジン)トリパラジウム等が挙げられる。また、これらの
多核金属錯体化合物の合成前駆体となる、ヘテロ二座配
位子とパラジウム原子を有する化合物をそれぞれ単独に
用い、物理的に混合した形のものであってもよい。
【0015】触媒の(a−2)成分としては、環員窒素
原子のα位炭素に水素を有さないビピリジル系化合物を
配位子として有するパラジウム錯体化合物であればいか
なる化合物であってもよい。このようなパラジウム錯体
化合物としては、具体的には、一般式(IV)
【0016】
【化3】
【0017】〔式中、R1 とR8 は、それぞれ独立に炭
素数1〜20の脂肪族炭化水素基又は全炭素数6〜20
の環上に炭化水素基を有する芳香族基を示し、R2 〜R
7 は、それぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族炭化水素
基、全炭素数6〜20の環上に炭化水素基を有する芳香
族基又は水素原子を示し、R1 とR2 、R2 とR3 、R
3 とR4 、R4 とR5 、R5 とR6 、R6 とR7 、R7
とR8 のように互いに隣接した置換基はそれぞれ結合し
て芳香族環、あるいは窒素原子,酸素原子,リン原子等
のヘテロ原子を含む芳香族環又は不飽和脂肪族環を形成
していてもよい。A及びBは、それぞれ独立にハロゲン
原子,ヒドロキシ基,芳香族アルコキシ基,脂肪族アル
コキシ基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。〕で
表される錯体化合物を挙げることができる。
【0018】上記一般式(IV)において、R1 〜R8
のうちの炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、
炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又
は炭素数3〜20のシクロアルキル基等が挙げられる。
具体的にはメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソ
プロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブ
チル基,tert−ブチル基,ペンチル基,へキシル
基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,テトラデシル
基,ヘキサデシル基,オクタデシル基,シクロペンチル
基,シクロヘキシル基,シクロオクチル基などが挙げら
れる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル
基などの適当な置換基が導入されていてもよい。また、
全炭素数6〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基
としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族
基や、フェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭
素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が
1個以上導入された基などが挙げられる。
【0019】また、このR1 〜R8 は互いに同一であっ
てもよく、異なっていてもよい。一方、A及びBのうち
のハロゲン原子としては、塩素、臭素及びヨウ素原子等
が挙げられる。A及びBのうちの芳香族アルコキシ基と
しては、上記一般式(I)及び(II)において説明した
芳香族二価ヒドロキシ化合物,または、フェノール,ア
ルキルフェノール,フェニルフェノール,クミルフェノ
ール,アルコキシフェノール,ナフトール類等の芳香族
一価ヒドロキシ化合物から誘導される芳香族アルコキシ
基が挙げられる。A及びBのうちの脂肪族アルコキシ基
としては、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基等の
炭素数20以下の脂肪族アルコキシ基が挙げられる。ま
た、A及びBのうちの炭素数1〜20の炭化水素基は、
上記R1〜R8 における炭素数1〜20の炭化水素基に
ついて説明したとおりである。このA及びBとしては特
に塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子及び芳香族アルコキ
シ基が好ましい。また、AとBは、互いに同一であって
もよく異なっていてもよい。さらに、上記ビピリジル構
造中に、芳香族環,不飽和脂肪族環,アルキル基,アル
キルカルボニル基,アルコキシカルボニル基等、本発明
の反応に悪影響を与えない範囲内において置換基を適宜
有していてもよい。
【0020】上記一般式(IV)で表される錯体化合物
の例としては、(2,2’−ビキノリン)パラジウムジ
クロリド、(4,4’−ジメチル−2,2’−ビキノリ
ン)パラジウムジクロリド、(2,2’−ビキノリン−
4,4’−ジカルボキシリックアシッド ジポタシウム
ソルト)パラジウムジクロリド、(ジメチル 2,2’
−ビキノリン−4,4’−ジカルボキシレート)パラジ
ウムジクロリド、(6,7−ジヒドロ−5,8−ジベン
ゾ[b,j][1,10]フェナントロリン)パラジウ
ムジクロリド、(2,9−ジメチル−1,10−フェナ
ントロリン)パラジウムジクロリド、(2,9−ジフェ
ニル−1,10−フェナントロリン)パラジウムジクロ
リド、(2,9−ジ−tert−ブチル−1,10−フ
ェナントロリン)パラジウムジクロリド、(6,6’−
ジメチル−2,2’−ビピリジル)パラジウムジクロリ
ド、(6,6’−ジフェニル−2,2’−ビピリジル)
パラジウムジクロリド、(6,6’−ジ−tert−ブ
チル−2,2’−ビピリジル)パラジウムジクロリド、
(2,2’−ビキノリン)パラジウムジブロミド、
(4,4’−ジメチル−2,2’−ビキノリン)パラジ
ウムジブロミド、(2,2’−ビキノリン−4,4’−
ジカルボキシリックアシッド ジポタシウムソルト)パ
ラジウムジブロミド、(ジメチル 2,2’−ビキノリ
ン−4,4’−ジカルボキシレート)パラジウムジブロ
ミド、(6,7−ジヒドロ−5,8−ジベンゾ[b,
j][1,10]フェナントロリン)パラジウムジブロ
ミド、(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリ
ン)パラジウムジブロミド、(2,9−ジフェニル−
1,10−フェナントロリン)パラジウムジブロミド、
(2,9−ジ−t−ブチル−1,10−フェナントロリ
ン)パラジウムジブロミド、(6,6’−ジメチル−
2,2’−ビピリジル)パラジウムジブロミド、(6,
6’−ジフェニル−2,2’−ビピリジル)パラジウム
ジブロミド、(6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−
ビピリジル)パラジウムジブロミド、(2,2’−ビキ
ノリン)パラジウムジヨーダイド、(4,4’−ジメチ
ル−2,2’−ビキノリン)パラジウムジヨーダイド、
(2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボキシリッ
クアシッド ジポタシウムソルト)パラジウムジヨーダ
イド、(ジメチル 2,2’−ビキノリン−4,4’−
ジカルボキシレート)パラジウムジヨーダイド、(6,
7−ジヒドロ−5,8−ジベンゾ[b,j][1,1
0]フェナントロリン)パラジウムジヨーダイド、
(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)パ
ラジウムジヨーダイド、(2,9−ジフェニル−1,1
0−フェナントロリン)パラジウムジヨーダイド、
(2,9−ジ−t−ブチル−1,10−フェナントロリ
ン)パラジウムジヨーダイド、(6,6’−ジメチル−
2,2’−ビピリジル)パラジウムジヨーダイド、
(6,6’−ジフェニル−2,2’−ビピリジル)パラ
ジウムジヨーダイド、(6,6’−ジ−t−ブチル−
2,2’−ビピリジル)パラジウムジヨーダイド等が挙
げられる。また、これらのパラジウム錯体化合物の合成
前駆体となる、環員窒素原子のα位炭素に水素を有さな
いビピリジル系化合物とパラジウム原子を有する化合物
をそれぞれ単独に用い、物理的に混合した形のものであ
ってもよい。
【0021】本発明において、上記触媒の(a)成分の
多核金属錯体化合物及びパラジウム錯体化合物は、それ
ぞれ一種で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用い
てもよい。また、これらの多核金属錯体化合物又はパラ
ジウム錯体化合物の前駆体となり得る化合物をそれぞれ
単独で用い、物理的に混合した形のものであってもよ
い。また、これら触媒の(a)成分には、反応に支障の
ない限り、適宜アルキルホスフィン,芳香族ホスフィ
ン,亜リン酸エステル,リン酸エステル等の配位子やア
セトニトリル等のニトリル配位子などを組み合わせても
よい。
【0022】本発明の製造方法においては、(b)成分
としてレドックス触媒を用いる。使用しうるレドックス
触媒には、(b−1)金属レドックス触媒及び(b−
2)有機レドックス触媒がある。このレドックス触媒の
うち、(b−1)金属レドックス触媒としては、ランタ
ノイド化合物,周期律表第V族遷移金属(新周期律表で
は第5族)化合物,第VI族遷移金属(新周期律表では
第6族)化合物,第VII族遷移金属(新周期律表では
第7族)化合物,鉄化合物,コバルト化合物,ニッケル
化合物,銅化合物,鉛化合物が例示される。これらは、
有機錯体、有機塩及び無機塩のいずれの形であってもよ
い。好ましい具体例としてはセリウム化合物,バナジウ
ム化合物,クロム化合物,マンガン化合物,鉄化合物,
コバルト化合物,銅化合物,鉛化合物などが挙げられ
る。また、レドックス触媒のうち、(b−2)有機レド
ックス触媒としては、キノン類,ハイドロキノン類など
が挙げられる。好ましい具体例としては、1,4−ベン
ゾキノン,1,2−ベンゾキノン,1,4−ナフトキノ
ン,アントラキノン,1,4−フェナントレンキノン,
ハイドロキノン,カテコール,レゾルシン,1,4−ジ
ヒドロキシナフタレン,9,10−ジヒドロキシアント
ラセン,1,4−ジヒドロキシフェナントレンなどが挙
げられる。(b)成分としては、上記(b−1)金属レ
ドックス触媒と(b−2)有機レドックス触媒のいずれ
かの1種を単独で用いてもよいが、(b−1)金属レド
ックス触媒と(b−2)有機レドックス触媒との混合物
を用いても、異なる二種類以上の(b−1)金属レドッ
クス触媒の混合物を用いてもよい。
【0023】本発明の方法においては、さらに(c)成
分としてハロゲン化オニウム化合物を用いる。ハロゲン
化オニウム化合物の例としては、次の一般式(V)で表
される化合物が挙げられる。 R9 101112CD ・・・(V) 〔式中、Cは窒素原子又はリン原子を示し、Dはフッ
素,塩素,臭素,ヨウ素等のハロゲン原子,ヒドロキシ
基,アルコキシ基,アリールオキシ基,テトラフエニル
ボレート基又はテトラフルオロボレート基を示す。R9
〜R12は、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基又は炭素
数6〜12のアリール基であり、具体的には、メチル
基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘ
キシル基,オクチル基,シクロヘキシル基,フェニル
基,トリル基,キシリル基,ナフチル基などが挙げられ
る。R9 〜R12は各々同一でも、異なっていてもよい。
また、R9及びR10、R11及びR12はそれぞれ一緒にな
って−(CH2 n −で表される2価の基であって、n
が2〜7の整数であるものを形成してもよい。〕 さらに、ハロゲン化オニウム化合物として、上記式
(V) で表される化合物以外のビス(トリフェニルホス
ホラニリデン)アンモニウムハライド類も使用できる。
その具体例としてはテトラ−n−ブチルアンモニウムブ
ロミド,テトラフェニルホスホニウムブロミド,ビス
(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミ
ド,ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウ
ムヒドロキシド,ビス(トリフェニルホスホラニリデ
ン)アンモニウムフェノキシド等が挙げられる。
【0024】本発明の方法においては、その反応に際し
ては水が副生するが、その副生量が反応を阻害するのに
充分な量となる場合には、この副生水を反応系から連続
的に除去するのが好ましい。反応系からの副生水を除去
する方法としては、従来公知の各種の方法が使用できる
が、上記(a)、(b)及び(c)成分の他に、(d)
成分として脱水剤を添加することが好ましい。特に好ま
しい脱水剤の例としては、モレキュラーシーブ類(ゼオ
ライト),塩化カルシウム,酸化カルシウム,五酸化二
リン,水素化ナトリウム,無水水酸化ナトリウム等の無
機脱水剤、アセトアルデヒドジメチルアセタール,アセ
トアルデヒドジフエニルアセタール,アセトンジメチル
アセタール,アセトンジフエニルアセタール等の有機脱
水剤などが挙げられる。
【0025】本発明の製造方法において、触媒の使用量
については特に制限はなく、通常の触媒量でよいが、例
えば、(a)成分については、その使用量は原料である
芳香族二価ヒドロキシ化合物1モルに対して、パラジウ
ムとして1×10-8〜1.0モル、好ましくは1×10
-6〜0.2モルである。上記使用量が1×10-8未満で
は、反応速度が遅く実用的でない場合がある。一方、
1.0モルを超えても、それに相当する効果が認められ
ず経済的に不利である。また、(b)成分の使用量は、
(a)成分のパラジウム1モルに対して通常0.1〜2
00モル、好ましくは0.5〜100モルである。上記
使用量が0.1モル未満では、反応速度が遅い場合があ
り実用的でなく、200モルを超えると生成したポリカ
ーボネートの(b)成分による酸化分解等の副反応が進
行し経済的に不利である。さらに、(c)成分の使用量
は、(a)成分のパラジウム1モルに対して通常0.1
〜200モル、好ましくは0.5〜100モルである。
上記使用量が0.1モル未満では、反応速度が遅い場合
があり実用的でなく、200モルを超えても、それに相
当する効果が認められず経済的に不利である。さらにま
た、(d)成分の量は、反応系から副生水を除去するの
に充分な量以上用いればよく、特に規定されない。
【0026】本発明の製造方法においては、反応は無溶
媒下でも、溶媒中でも進行する。一般に無溶媒下で本発
明の方法を行なう方が経済的に有利ではあるが、ポリカ
ーボネートの製造プロセス上の都合等で必要な場合は、
溶媒中で行なってもよい。ここで、使用できる溶媒とし
ては、例えば脂肪族炭化水素,環状脂肪族炭化水素,芳
香族炭化水素,ハロゲン化炭化水素,含酸素溶媒,含窒
素溶媒,含硫黄溶媒等が挙げられ、本発明の製造方法に
用いる触媒の種類、組み合わせにより、適宜選択するこ
とができる。
【0027】本発明においては、反応温度は特に制限は
ないが、通常は50〜200℃で、好ましくは70〜1
50℃の範囲である。上記範囲より高温では、分解反応
等の副反応が多くなり、また上記範囲より低温では、反
応速度が低下して実用的でない。また、反応圧力は、一
酸化炭素や酸素等のガス状の原料を用いるため、加圧状
態に設定することが一般的であり、一酸化炭素分圧は1
×10-2〜40MPa、好ましくは1×10-2〜20M
Paの範囲内で、酸素分圧は1×10-2〜20MPa、
好ましくは1×10-2〜10MPaの範囲内であればよ
い。特に、酸素分圧は、反応系内のガス組成が爆発範囲
を外れるように調節することが望ましく、上記反応圧力
があまり低圧では反応速度が低下し、また高圧過ぎると
反応装置が大型となり、建設費用が高く、経済的に不利
である。不活性ガスや水素等を用いる際には、その分圧
は特に規定されないが、適宜実用的な圧力範囲で用いれ
ばよい。
【0028】反応方式は、回分,半連続,連続のいずれ
でも可能である。ここで反応系の状態は、液相状態の場
合と、液相と気相の混合状態の場合と、気相と固相の混
合状態の場合と、液相と固相の混合状態の場合と、液相
と気相と固相の混合状態の場合のいずれかである。ま
た、触媒の反応系における状態は、均一系であっても不
均一系であってもよく、触媒を適宜選択することにより
選ぶことができる。触媒は、必要に応じて適当な担体に
担持した状態で用いてもよい。上記原料成分及び触媒
は、必要に応じて希釈してもよく、希釈剤としては、液
相では飽和炭化水素等の不活性溶媒が用いられ、気相で
は窒素,アルゴン,エタン,プロパン等の不活性ガスが
用いられる。生成したポリカーボネートは、通常の方法
により反応系から容易に分離精製することができる。
【0029】本発明の製造方法は、芳香族二価ヒドロキ
シ化合物と、一酸化炭素及び酸素を原料として、これら
を上記特定の触媒の存在下で反応させて、ポリカーボネ
ートを製造するものである。この反応で得られる目的物
であるポリカーボネートとしては、様々なものがあり、
例えば、一般式(VI)
【0030】
【化4】
【0031】〔式中、R、a、b及びXは、前記一般式
(II)の場合と同じである。mはポリカーボネートにお
いて充分な分子量として最低限必要な値である10以上
の整数であり、生成物の分子量により異なる。なお、分
子の末端構造は特に規定されない。〕で表されるポリカ
ーボネートが挙げられる。本発明で得られるポリカーボ
ネートは、その末端基を介して他の化合物と反応させる
ことができる。
【0032】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例により、
更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によっ
て何ら限定されるものではない。また、以下の例で使用
した触媒及び試薬は、それぞれ市販の製品又は文献記載
の方法に従い調製したものである。
【0033】実施例1 容量30ミリリットルのステンレス製オートクレーブ
に、ビスフェノールA(0.950g、4.16ミリモ
ル)、ジナイトライトビス(2−ジフエニルホスフィノ
ピリジン)ジパラシウム(5.2mg、6.25マイク
ロモル、Pdとして12.5マイクロモル)、Ce
(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジ
オナート)4 (65.5mg、75.0マイクロモ
ル)、ビス(トリフエニルホスホラニリデン)アンモニ
ウムブロミド(0.232g、0.375ミリモル)、
ハイドロキノン(41.3mg、0.375ミリモ
ル)、モレキュラーシーブ3A(1g)及び塩化メチレ
ン(5ml)を封入した。このオートクレーブ内を窒素
ガスにより置換した後、一酸化炭素で加圧及び脱圧する
ことにより一酸化炭素置換した。その後25℃換算で
6.0MPaとなるように一酸化炭素を加圧し、さら
に、全体の圧力が6.3MPaとなるように酸素を加圧
した。
【0034】この反応容器を磁気攪拌機付き油浴中にお
いて、100℃に加熱攪拌することにより24時間反応
させた。反応後、冷却し、脱圧した後、内容物を塩化メ
チレン30ミリリットルで洗い出し、濾過した。この濾
液の一部を分取し、GPC(ゲル透過型液体クロマトグ
ラフ装置、溶離液:クロロホルム、カラム:Shode
x K−804L、標準物質:ポリスチレン)にてポリ
マーが得られていることを確認した後、残りの濾液を減
圧濃縮し、メタノール中に投入して沈殿物を得た。この
沈殿物をメタノールで洗浄した後、3時間減圧乾燥し、
粉末状生成物(ポリカーボネート)を得た。得られたポ
リカーボネートは、IR、NMR等の構造解析の結果、
ビスフェノールAを原料とする市販のポリカーボネート
と同じ主鎖構造を持つポリマーであることを確認した。
さらに、得られたポリカーボネートの重量から、その中
に含まれるビスフェノールA構造の総モル数を求め、仕
込んだビスフェノールAのモル数を基準として、収率
(82%)を算出するとともに、GPCを用い、その重
量平均分子量(Mw=6.12×103 )、数平均分子
量(Mn=3.20×103 )、分子量分布(Mw/M
n=1.91)を求めた。その結果を第1表に示す。
【0035】実施例2 実施例1においてジナイトライトビス(2−ジフエニル
ホスフィノピリジン)ジパラシウムの代わりに(2,
2’−ビキノリン)パラジウムジクロリド(5.4m
g、12.5マイクロモル)、Ce(2,2,6,6−
テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)4 の代わ
りにMn(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘ
プタンジオナート)3 (45.4mg、75.0マイク
ロモル)を添加した以外は、実施例1と同様に実施し
た。その結果を第1表に示す。
【0036】実施例3 実施例2において(2,2’−ビキノリン)パラジウム
ジクロリドの代わりに(6,6’−ジメチル−2,2’
−ビピリジル)パラジウムジクロリド(4.5mg、1
2.5マイクロモル)を用いた以外は、実施例2と同様
に実施した。その結果を第1表に示す。
【0037】実施例4 実施例3においてビスフェノールAの仕込量を0.47
5g(2.08ミリモル)とした以外は、実施例3と同
様に実施した。その結果を第1表に示す。
【0038】比較例1 実施例1においてジナイトライトビス(2−ジフエニル
ホスフィノピリジン)ジパラシウムの代わりに臭化パラ
ジウム(3.3mg、12.5マイクロモル)を、Ce
(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジ
オナート)4 の代わりに酢酸セリウム・一水和物(2
5.1mg、75.0マイクロモル)を用いた以外は、
実施例1と同様に実施した。その結果を第1表に示す。
【0039】
【表1】
【0040】なお、表中の記号は、下記のものを意味す
る。 Pd2 (Ph2PPy)2(NO2)2 :ジナイトライトビス(2
−ジフエニルホスフィノピリジン)ジパラシウム Pd(biqu) Cl2:(2,2’−ビキノリン)パラジウム
ジクロリドPd(6,6’−Me2−2,2’−bpy)Cl2
(6,6’−ジメチル−2,2’−ビピリジル)パラジ
ウムジクロリド Pd Br2 :臭化パラジウム TMHD:2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘ
プタンジオナート Ce(OAc)3 ・H2 O:酢酸セリウム・一水和物
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族二価ヒドロキシ
化合物から、一段でかつ高収率で、実用的に充分な分子
量を有するポリカーボネートを効率よく製造することが
でき、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野、構
造材料分野等における樹脂材料などとして有用なポリカ
ーボネートを効率よく製造できる方法として利用価値が
高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 宏寿 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所 精密重合集中共 同研究体内 (72)発明者 上田 充 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 竹内 和彦 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 浅井 道彦 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB04 BB12A BB13A BB16A BC05A BC06A BD10 BE05A BF14A BG07X BH02 HA01 HC08 HC09 JA082 JB151 JC091 JC231 JC631 JC751 JF071 JF291 JF381 JF421 JF511 JF541 JF561 JF571 JF581 KB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a−1)パラジウム原子を金属中心と
    して複数個有し、ヘテロ二座配位子により架橋された多
    核金属錯体化合物と(b)レドックス触媒及び(c)ハ
    ロゲン化オニウム化合物からなる触媒の存在下で、芳香
    族二価ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸素を酸化的
    カルボニル化反応させることを特徴とするポリカーボネ
    ートの製造方法。
  2. 【請求項2】 (a−2)環員窒素原子のα位炭素に水
    素を有さないビピリジル系化合物を配位子として有する
    パラジウム錯体化合物と(b)レドックス触媒及び
    (c)ハロゲン化オニウム化合物からなる触媒の存在下
    で、芳香族二価ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸素
    を酸化的カルボニル化反応させることを特徴とするポリ
    カーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】 (b)レドックス触媒成分として、一種
    以上の(b−1)金属レドックス触媒と一種以上の(b
    −2)有機レドックス触媒とを用いる請求項1又は2に
    記載のポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】 (b)レドックス触媒成分として、異な
    る二種類以上の(b−1)金属レドックス触媒を用いる
    請求項1又は2に記載のポリカーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】 さらに(d)脱水剤を添加する請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 酸化的カルボニル化反応を芳香族一価ヒ
    ドロキシ化合物の共存下で行う請求項1〜5のいずれか
    1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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