JPWO2004070045A1 - 光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一般式(1a)または(1b)[式中、R1は水素、C1〜C6アルキル基またはアラルキル基であり、R2はそれぞれ独立して水素、C1〜C6アルキル基またはアラルキル基である]で表される化合物と、一般式(2)[式中、R3はC1〜C6アルキル基である]で表される光学活性なアミンをプロテアーゼ存在下に反応させ、(1b)を使用した場合はさらに酸処理することからなる一般式(3)[式中、R3はC1〜C6アルキル基である]で表される、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体の製造方法に関する。本発明の方法は、糖尿病、肥満症などの予防および治療薬として有用な1,4−ベンゾジキシン−2−カルボン酸誘導体の合成中間体である光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体を効率よく製造することができる。
Description
本発明は、糖尿病、肥満症などの予防および治療薬として有用な1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体の(RRR)−光学異性体の合成中間体である光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体の製造方法に関する。
WO96/35685には、糖尿病、肥満症などの予防および治療薬として有用な下記一般式(A)で表される1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体
(式中、R4はヒドロキシ基または(C1〜C4)アルコキシ基であり、R5およびR6は同一または異なっていてもよくそれぞれ水素、ハロゲン、(C1〜C6)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1〜C6)アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基もしくはアリール(C1〜C6)アルキルオキシ基であり、上記アリール基、アリールオキシ基もしくはアリール(C1〜C6)アルキルオキシ基は場合により1または2個のハロゲンで置換されていてもよく、またはR5およびR6は一緒になって−OCH2O−を表す)の(RRR)−光学異性体およびその製法並びにその合成中間体である一般式(3)で表される光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(式中、R3はC1〜C6アルキル基である)およびその製造方法が開示されている。
WO96/35685に開示された方法によれば、上記光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)は、下記スキームIに示すようにして製造される。
すなわち、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(5)と式(6)の化合物(式中、R3は上述した通りであり、Xはハロゲンである)を反応させて1,4−ベンゾジオキシン環を構築した後に、ニトリルの加水分解を行うことにより6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸(8)とする。これを、一般式(2)で表される光学活性なアミンと縮合させてジアステレオマー混合物(3″)とし、さらに分別再結晶またはカラムクロマトグラフィーにより分離することで光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を得る。
一方、生体触媒であるプロテアーゼは、鏡像体を認識して加水分解およびアミド化を進行させることができ、例えば、Yi−Foong Wang et.al.,Tetrahedron Letters.Vol.37,P.5317−5320,1996には、ラセミ体のアミンと光学活性なアミノ酸エステルとを種々の溶媒中、プロテアーゼ存在下で反応させることにより、光学活性体としてアミド体を得る一般的な方法が開示されている。また、Jones J.B.,Tetrahedron,Vol.42,P.3351,1986には、光学活性を有する化合物を反応系内でラセミ化する方法が開示されている。しかしながら、下記一般式(1a)または(1b)のような化合物にプロテアーゼを適用した例は知られていない。
(式中、R4はヒドロキシ基または(C1〜C4)アルコキシ基であり、R5およびR6は同一または異なっていてもよくそれぞれ水素、ハロゲン、(C1〜C6)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1〜C6)アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基もしくはアリール(C1〜C6)アルキルオキシ基であり、上記アリール基、アリールオキシ基もしくはアリール(C1〜C6)アルキルオキシ基は場合により1または2個のハロゲンで置換されていてもよく、またはR5およびR6は一緒になって−OCH2O−を表す)の(RRR)−光学異性体およびその製法並びにその合成中間体である一般式(3)で表される光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(式中、R3はC1〜C6アルキル基である)およびその製造方法が開示されている。
WO96/35685に開示された方法によれば、上記光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)は、下記スキームIに示すようにして製造される。
すなわち、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(5)と式(6)の化合物(式中、R3は上述した通りであり、Xはハロゲンである)を反応させて1,4−ベンゾジオキシン環を構築した後に、ニトリルの加水分解を行うことにより6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸(8)とする。これを、一般式(2)で表される光学活性なアミンと縮合させてジアステレオマー混合物(3″)とし、さらに分別再結晶またはカラムクロマトグラフィーにより分離することで光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を得る。
一方、生体触媒であるプロテアーゼは、鏡像体を認識して加水分解およびアミド化を進行させることができ、例えば、Yi−Foong Wang et.al.,Tetrahedron Letters.Vol.37,P.5317−5320,1996には、ラセミ体のアミンと光学活性なアミノ酸エステルとを種々の溶媒中、プロテアーゼ存在下で反応させることにより、光学活性体としてアミド体を得る一般的な方法が開示されている。また、Jones J.B.,Tetrahedron,Vol.42,P.3351,1986には、光学活性を有する化合物を反応系内でラセミ化する方法が開示されている。しかしながら、下記一般式(1a)または(1b)のような化合物にプロテアーゼを適用した例は知られていない。
上記した従来の方法は、中間生成物(8)がラセミ体として生成するため、最終目的化合物に対して不要な一般式(3′)の化合物が当量生成する。したがって、所望の化合物(3)の最大理論収率は50%であり、効率的な製造方法とはいえない。Yi−Foong Wang et.al.の方法における、カルボン酸(8)から光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)への収率は、約27%であった。
そのため、糖尿病、肥満症などの予防および治療薬に有用な一般式(A)の化合物の重要中間体である光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を効率的に製造する方法の開発が望まれていた。
上記課題解決のため、本発明者らは、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を効率的に製造する方法を鋭意研究した結果、不要な光学異性体(3′)の生成を抑制しながら、しかも煩雑な工程を経ることなく上記の目的化合物(3)を高収率で製造する方法を見出すことに成功した。すなわち、本発明は、立体選択的反応を触媒するプロテアーゼを用いることで、下記一般式(1a)または(1b)のラセミの化合物を有用な出発物質として使用できること、該プロテアーゼはラセミ化合物である出発物質中のR体と光学活性なアミン(2)との縮合を選択的に触媒することから、高選択的に求める立体(R体)を有する光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を製造することができるという知見に基づく。
従って、本発明は、一般式(1a)またはそのホルミル基を保護して得られる一般式(1b)
(式中、R1は水素、C1〜C6アルキル基またはアラルキル基であり、R2はそれぞれ独立して水素、C1〜C6アルキル基もしくはアラルキル基または2つのR2が一緒になって−(CH2)n−鎖(nは2〜4の整数を意味する)を形成する)の化合物を、プロテアーゼ存在下前記一般式(2)のアミンと反応させて、さらに(1b)を使用した時には酸処理を加えることで保護基を脱保護して、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)
(式中、R3はC1〜C6アルキル基である)を製造する方法に関する。本発明の方法では、下記一般式(3′)
(式中、R3は上述した通りである)のごく少量の立体異性体が生成することがある。したがって、プロテアーゼを用いることで高選択的に光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)が得られるため、化合物(3)の単離収率が向上する。
すなわち、本発明は、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)
(式中、R3は上述した通りである)の効率的な製造方法に関する。
光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)は、医薬として有用な一般式(A)の化合物の出発物質としてきわめて有用である。
下記のスキームIIに示すように、一般式(1a)または(1b)のラセミの化合物をプロテアーゼの存在下アミン(2)と反応させ、さらに(1b)を使用した場合には、反応後酸処理を加えることで保護基を脱保護して、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)の化合物が一般式(3′)の化合物よりも優先的に得られる。このような混合物から、各化合物の物理的および化学的性質の相違に基づく公知の分離方法によってそれぞれの化合物に分離することができる。かかる分離方法には、分別結晶、分別蒸留、クロマトグラフィー、分別抽出などが挙げられる。目的とする化合物(3)が優先的に生成しているため精製が容易となり、従って、この製造法を用いることで、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)が高効率で得られる。
(式中、R1、R2、R3は上述した通りである)。
本発明は、さらに目的物の収率を上げる次の方策を包含する。その方法は、本発明による反応速度論的光学分割を行ない、なお反応系中に存在する未反応の出発物質(1a)または(1b)(ほとんどが反応速度の遅い立体配置を有する(1a)または(1b)の(S)体)をラセミ化することにより、求める立体配置を持つ目的物を50%以上の収率で得ることからなる。
本発明はまた、化合物(3)を得るアミド化反応と、このラセミ化とを同時に行う方法を包含する。この方法において、アセトニトリル溶媒中では、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、樹脂に固定化した塩基等でラセミ化が進行する。塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは塩基性陰イオン交換樹脂(炭酸塩型)が特に好ましい。その場合、塩基の量は、0.1〜10当量が良く、特に1〜3当量が好ましい。また、反応温度は、プロテアーゼが失活しない温度である−10℃〜70℃の範囲であるが、特に30℃〜60℃での反応が好ましい。
また、本発明において、アミド化反応とは別に行なうラセミ化反応も有用である。このラセミ化反応は、酢酸ナトリウム等を塩基に用いてメタノールやエタノール等のアルコール系溶媒中で加熱することにより、容易に進行する。この場合、ラセミ化後に溶媒をアミド化反応に適したものに置換して、さらにアミド化反応を続けることにより、収率をさらに向上させることができる。
本発明において、一般式(1a)および(1b)におけるR1は、水素、C1〜C6アルキル基またはアラルキル基を表し、アルキル基またはアラルキル基の例としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
一般式(1a)の化合物の具体例としては、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸メチルエステル、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸エチルエステル、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル等が挙げられる。
また、一般式(1b)の化合物の具体例としては、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸メチルエステル、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸エチルエステル、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
6−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
等が挙げられる。
本発明では、プロテアーゼ活性を有する任意のプロテアーゼ、例えば動植物由来のプロテアーゼおよび微生物由来のプロテアーゼを用いることができる。
動植物由来のプロテアーゼの例には、カテプシン、ロイシンアミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、グリシル−ロイシンジペプチダーゼ、カルノシナーゼ、アンセリナーゼ、システイン−グリシンジペプチダーゼ、プロリダーゼ、ペプシン、プラスミン、レニン、カリクレイン、ガストリシン、キモシン、トロンビン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、エンテロキナーゼ、プロリンイミノペプチダーゼ、イミノジペプチダーゼ、パパイン、キモパパイン、フィシン、ブロメライン等が挙げられる。
また、微生物由来のプロテアーゼとしては、酵母由来(イーストカルボキシペプチダーゼ、イミノジペプチダーゼ等)、バチルス種由来(ズブチロペプチダーゼA、プロリンイミノペプチダーゼ等)、アスペルギルス種由来(アスペルギルスペプチダーゼ等)、ストレプトコッカス種由来のもの(ストレプトコッカスペプチダーゼA、ケラチナーゼ等)、クロストリジウム種由来(コラゲナーゼ、クロストリパイン等)、大腸菌由来(プロリンイミノペプチダーゼ等)、ペニシラム種由来(ペニシロペプシン等)が挙げられる。
これらのプロテアーゼの例には、バチルス種由来のプロテアーゼ、ペニシラム種由来のプロテアーゼ、およびアスペルギルス種、例えばアスペルギルスニガー、アスペルギルスオリザエ由来のプロテアーゼ(例えば、アスペルギルスオリザエペプチダーゼ)、並びにズブチロペプチダーゼA(セリンプロテアーゼ)等が含まれ、これらのプロテアーゼは市販されている(例えばアルタス社製)。本発明においては、ズブチロペプチダーゼAが好ましい。
また、これらのプロテーゼはセライト、アルミナもしくはシリカ等のセラミックスもしくは多孔質ガラス等の無機担体またはポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリプロピルアミン、ジアルキルアミノメタアクリレートもしくはビニルピリジン等の有機担体等の固定化担体に担持させた固定化触媒の形で使用してもよい。さらに市販のPeptiCLEC−BL(R)(アルタス社)等を使用してもよい。このような固定化したプロテアーゼを使用すると、反応を連続的に行うことができ、また回分的に反応させる場合には、反応終了後、該固定化プロテアーゼを回収し、別の反応に再利用することができる。
本発明の方法において使用されるアミン(2)としては、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルエチルアミン等が挙げられ、特に(S)−1−フェニルエチルアミンが好ましい。アミンは1〜10当量、好ましくは1〜5当量の割合で用いられる。
反応に使用される溶媒は、反応に影響を与えない限り特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン系炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類またはアセトニトリルなどが単独または組み合わせで用いられる。特にアセトニトリルが好ましい。
反応時間は、使用するプロテアーゼの種類、使用量および反応温度に依存するが、1時間〜20日の範囲である。好ましくは1時間〜3日である。また、反応温度は、プロテアーゼが失活しない温度である−10℃〜70℃の範囲であるが、特に30℃〜60℃での反応が好ましい。
アセタール体(1b)は、アルコール溶媒中、触媒量の酸を用いてホルミル体(1a)を加熱脱水することで容易に得ることができる。酸としては、トシル酸、塩酸、硫酸、固定化した酸、陽イオン交換樹脂(H型)などが使用される。特に、トシル酸を吸着させた固定化酸が好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。
(1b)を使用した際に、アミド化反応後に酸処理を行なって保護基の脱保護を行うが、その時使用する酸としては、塩酸、硫酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、シュウ酸等がある。また、酸処理は、反応液に直接酸を加えたり、反応液を酸性水溶液で洗浄したりして行なうことが出来る。
上記のアミド化工程に引き続く分離操作はクロマトグラフィー、分別結晶、分別抽出、分別蒸留またはそれらの組み合わせにより行うことが出来る。
クロマトグラフィーを行う場合、カラム担体としては例えばシリカゲルが挙げられ、移動相としては分離に影響を与えなければ特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類または酢酸エチルなどが単独または組み合わせて用いられる。
分別結晶を行なう場合、溶媒は、化合物に影響を与えなければ特に制限は無く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類または酢酸エチルなどの単体または組み合わせである。
以下に本発明を実施例によってさらに説明するが、これらは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
製造例1
アルデヒド体(9)10gと酸MP−TsOH(アルゴノート テクノロジー社)(0.41g,0.54mmol,0.01eq)のメタノール(500mL)懸濁液を18時間加熱還流した。反応中、ソックスレー管に入れたモレキュラーシーブスで水を除去した。
室温に戻して溶媒を除き目的物(10)を12.69g得た。
1H NMR(CDCl3);3.31(s,6H),3.81(s,3H),4.37(s,1H),4.38(d,1H,J=2.0Hz),4.85(t,1H,J=3.9Hz),5.29(s,1H),6.99(s,3H).
そのため、糖尿病、肥満症などの予防および治療薬に有用な一般式(A)の化合物の重要中間体である光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を効率的に製造する方法の開発が望まれていた。
上記課題解決のため、本発明者らは、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を効率的に製造する方法を鋭意研究した結果、不要な光学異性体(3′)の生成を抑制しながら、しかも煩雑な工程を経ることなく上記の目的化合物(3)を高収率で製造する方法を見出すことに成功した。すなわち、本発明は、立体選択的反応を触媒するプロテアーゼを用いることで、下記一般式(1a)または(1b)のラセミの化合物を有用な出発物質として使用できること、該プロテアーゼはラセミ化合物である出発物質中のR体と光学活性なアミン(2)との縮合を選択的に触媒することから、高選択的に求める立体(R体)を有する光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)を製造することができるという知見に基づく。
従って、本発明は、一般式(1a)またはそのホルミル基を保護して得られる一般式(1b)
(式中、R1は水素、C1〜C6アルキル基またはアラルキル基であり、R2はそれぞれ独立して水素、C1〜C6アルキル基もしくはアラルキル基または2つのR2が一緒になって−(CH2)n−鎖(nは2〜4の整数を意味する)を形成する)の化合物を、プロテアーゼ存在下前記一般式(2)のアミンと反応させて、さらに(1b)を使用した時には酸処理を加えることで保護基を脱保護して、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)
(式中、R3はC1〜C6アルキル基である)を製造する方法に関する。本発明の方法では、下記一般式(3′)
(式中、R3は上述した通りである)のごく少量の立体異性体が生成することがある。したがって、プロテアーゼを用いることで高選択的に光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)が得られるため、化合物(3)の単離収率が向上する。
すなわち、本発明は、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)
(式中、R3は上述した通りである)の効率的な製造方法に関する。
光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)は、医薬として有用な一般式(A)の化合物の出発物質としてきわめて有用である。
下記のスキームIIに示すように、一般式(1a)または(1b)のラセミの化合物をプロテアーゼの存在下アミン(2)と反応させ、さらに(1b)を使用した場合には、反応後酸処理を加えることで保護基を脱保護して、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)の化合物が一般式(3′)の化合物よりも優先的に得られる。このような混合物から、各化合物の物理的および化学的性質の相違に基づく公知の分離方法によってそれぞれの化合物に分離することができる。かかる分離方法には、分別結晶、分別蒸留、クロマトグラフィー、分別抽出などが挙げられる。目的とする化合物(3)が優先的に生成しているため精製が容易となり、従って、この製造法を用いることで、光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体(3)が高効率で得られる。
(式中、R1、R2、R3は上述した通りである)。
本発明は、さらに目的物の収率を上げる次の方策を包含する。その方法は、本発明による反応速度論的光学分割を行ない、なお反応系中に存在する未反応の出発物質(1a)または(1b)(ほとんどが反応速度の遅い立体配置を有する(1a)または(1b)の(S)体)をラセミ化することにより、求める立体配置を持つ目的物を50%以上の収率で得ることからなる。
本発明はまた、化合物(3)を得るアミド化反応と、このラセミ化とを同時に行う方法を包含する。この方法において、アセトニトリル溶媒中では、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、樹脂に固定化した塩基等でラセミ化が進行する。塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは塩基性陰イオン交換樹脂(炭酸塩型)が特に好ましい。その場合、塩基の量は、0.1〜10当量が良く、特に1〜3当量が好ましい。また、反応温度は、プロテアーゼが失活しない温度である−10℃〜70℃の範囲であるが、特に30℃〜60℃での反応が好ましい。
また、本発明において、アミド化反応とは別に行なうラセミ化反応も有用である。このラセミ化反応は、酢酸ナトリウム等を塩基に用いてメタノールやエタノール等のアルコール系溶媒中で加熱することにより、容易に進行する。この場合、ラセミ化後に溶媒をアミド化反応に適したものに置換して、さらにアミド化反応を続けることにより、収率をさらに向上させることができる。
本発明において、一般式(1a)および(1b)におけるR1は、水素、C1〜C6アルキル基またはアラルキル基を表し、アルキル基またはアラルキル基の例としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
一般式(1a)の化合物の具体例としては、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸メチルエステル、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸エチルエステル、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル等が挙げられる。
また、一般式(1b)の化合物の具体例としては、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸メチルエステル、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸エチルエステル、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸ベンジルエステル、
6−ジメトキシメチル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
6−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
等が挙げられる。
本発明では、プロテアーゼ活性を有する任意のプロテアーゼ、例えば動植物由来のプロテアーゼおよび微生物由来のプロテアーゼを用いることができる。
動植物由来のプロテアーゼの例には、カテプシン、ロイシンアミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、グリシル−ロイシンジペプチダーゼ、カルノシナーゼ、アンセリナーゼ、システイン−グリシンジペプチダーゼ、プロリダーゼ、ペプシン、プラスミン、レニン、カリクレイン、ガストリシン、キモシン、トロンビン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、エンテロキナーゼ、プロリンイミノペプチダーゼ、イミノジペプチダーゼ、パパイン、キモパパイン、フィシン、ブロメライン等が挙げられる。
また、微生物由来のプロテアーゼとしては、酵母由来(イーストカルボキシペプチダーゼ、イミノジペプチダーゼ等)、バチルス種由来(ズブチロペプチダーゼA、プロリンイミノペプチダーゼ等)、アスペルギルス種由来(アスペルギルスペプチダーゼ等)、ストレプトコッカス種由来のもの(ストレプトコッカスペプチダーゼA、ケラチナーゼ等)、クロストリジウム種由来(コラゲナーゼ、クロストリパイン等)、大腸菌由来(プロリンイミノペプチダーゼ等)、ペニシラム種由来(ペニシロペプシン等)が挙げられる。
これらのプロテアーゼの例には、バチルス種由来のプロテアーゼ、ペニシラム種由来のプロテアーゼ、およびアスペルギルス種、例えばアスペルギルスニガー、アスペルギルスオリザエ由来のプロテアーゼ(例えば、アスペルギルスオリザエペプチダーゼ)、並びにズブチロペプチダーゼA(セリンプロテアーゼ)等が含まれ、これらのプロテアーゼは市販されている(例えばアルタス社製)。本発明においては、ズブチロペプチダーゼAが好ましい。
また、これらのプロテーゼはセライト、アルミナもしくはシリカ等のセラミックスもしくは多孔質ガラス等の無機担体またはポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリプロピルアミン、ジアルキルアミノメタアクリレートもしくはビニルピリジン等の有機担体等の固定化担体に担持させた固定化触媒の形で使用してもよい。さらに市販のPeptiCLEC−BL(R)(アルタス社)等を使用してもよい。このような固定化したプロテアーゼを使用すると、反応を連続的に行うことができ、また回分的に反応させる場合には、反応終了後、該固定化プロテアーゼを回収し、別の反応に再利用することができる。
本発明の方法において使用されるアミン(2)としては、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルエチルアミン等が挙げられ、特に(S)−1−フェニルエチルアミンが好ましい。アミンは1〜10当量、好ましくは1〜5当量の割合で用いられる。
反応に使用される溶媒は、反応に影響を与えない限り特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン系炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類またはアセトニトリルなどが単独または組み合わせで用いられる。特にアセトニトリルが好ましい。
反応時間は、使用するプロテアーゼの種類、使用量および反応温度に依存するが、1時間〜20日の範囲である。好ましくは1時間〜3日である。また、反応温度は、プロテアーゼが失活しない温度である−10℃〜70℃の範囲であるが、特に30℃〜60℃での反応が好ましい。
アセタール体(1b)は、アルコール溶媒中、触媒量の酸を用いてホルミル体(1a)を加熱脱水することで容易に得ることができる。酸としては、トシル酸、塩酸、硫酸、固定化した酸、陽イオン交換樹脂(H型)などが使用される。特に、トシル酸を吸着させた固定化酸が好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。
(1b)を使用した際に、アミド化反応後に酸処理を行なって保護基の脱保護を行うが、その時使用する酸としては、塩酸、硫酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、シュウ酸等がある。また、酸処理は、反応液に直接酸を加えたり、反応液を酸性水溶液で洗浄したりして行なうことが出来る。
上記のアミド化工程に引き続く分離操作はクロマトグラフィー、分別結晶、分別抽出、分別蒸留またはそれらの組み合わせにより行うことが出来る。
クロマトグラフィーを行う場合、カラム担体としては例えばシリカゲルが挙げられ、移動相としては分離に影響を与えなければ特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類または酢酸エチルなどが単独または組み合わせて用いられる。
分別結晶を行なう場合、溶媒は、化合物に影響を与えなければ特に制限は無く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類または酢酸エチルなどの単体または組み合わせである。
以下に本発明を実施例によってさらに説明するが、これらは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
製造例1
アルデヒド体(9)10gと酸MP−TsOH(アルゴノート テクノロジー社)(0.41g,0.54mmol,0.01eq)のメタノール(500mL)懸濁液を18時間加熱還流した。反応中、ソックスレー管に入れたモレキュラーシーブスで水を除去した。
室温に戻して溶媒を除き目的物(10)を12.69g得た。
1H NMR(CDCl3);3.31(s,6H),3.81(s,3H),4.37(s,1H),4.38(d,1H,J=2.0Hz),4.85(t,1H,J=3.9Hz),5.29(s,1H),6.99(s,3H).
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−(N−(1−(S)−フェニルエチル))−2−(R)−カルボキサミド(12)
無水アセトニトリル(3mL)に、エステル(10)(121mg,0.45mmol)、(S)−フェニルエチルアミン(11)(54mg,0.45mmol)、塩基性陰イオン交換樹脂(炭酸塩型)(MP−carbonate アルゴノート テクノロジー社)(129mg,0.45mmol)およびズブチロペプチダーゼA(PeptiCLEC−BL(R)アルタス社)(10mg)を加えて60℃で24時間攪拌した(12:13:14:15=43.6:5.1:8.5:41.3)。反応後、酢酸エチルを用いてろ過した後、溶媒を除いた。残留物に酢酸エチルを加えて希釈した後、4N塩酸の酢酸エチル溶液を加えた。これを3N塩酸水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮した後、得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィーで精製し、標題化合物(59mg,収率:42%)を得た。
無水アセトニトリル(3mL)に、エステル(10)(121mg,0.45mmol)、(S)−フェニルエチルアミン(11)(54mg,0.45mmol)、塩基性陰イオン交換樹脂(炭酸塩型)(MP−carbonate アルゴノート テクノロジー社)(129mg,0.45mmol)およびズブチロペプチダーゼA(PeptiCLEC−BL(R)アルタス社)(10mg)を加えて60℃で24時間攪拌した(12:13:14:15=43.6:5.1:8.5:41.3)。反応後、酢酸エチルを用いてろ過した後、溶媒を除いた。残留物に酢酸エチルを加えて希釈した後、4N塩酸の酢酸エチル溶液を加えた。これを3N塩酸水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮した後、得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィーで精製し、標題化合物(59mg,収率:42%)を得た。
6−ホルミル−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−(N−(1−(S)−フェニルエチル))−2−(R)−カルボキサミド(12)
無水アセトニトリル(30mL)に、エステル(10)(1.00g,3.73mmol)、(S)−フェニルエチルアミン(11)(54mg,4.47mmol,1.2eq)、塩基性陰イオン交換樹脂(炭酸塩型)(MP−carbonate アルゴノート テクノロジー社)(1.07g,3.73mmol)およびズブチロペプチダーゼA(PeptiCLEC−BL(R)アルタス社)(50mg)を加えて60℃で69時間攪拌した(12:13:14:15=40.7:3.6:12.1:43.1)。反応後、酢酸エチルを用いてろ過して固定化触媒を除き、反応液を濃縮した。
ここにメタノール(50mL)および酢酸ナトリウム(0.31g,3.73mmol)を加え70℃で20時間反応させた。室温に戻した後、酢酸エチルを用いてろ過し、溶媒を除いた。
残留物をアセトニトリル(24mL)に溶解し、回収したMP−carbonate(129mg,0.45mmol)、回収したPeptiCLEC−BL(29mg)、新規のPeptiCLEC−BL(50mg)、(S)−フェニルエチルアミン(11)(0.32mL,2.45mmol)を加えて60℃で94時間攪拌した(12:13:14:15=67.3:11.7:2.3:18.1)。酢酸エチルを用いてろ過した後、溶媒を除いた。残留物に酢酸エチルを加えて希釈した後、4N塩酸の酢酸エチル溶液を加えた。これを3N塩酸水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒を除いた後、残留物に酢酸エチルを加え結晶化した(結晶0.27g,収率:24%)。母液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル30g、ヘキサン:酢酸エチル=200:20〜80)で精製してさらに標題化合物を0.44g(収率:39%)得た。合わせて63%の収率で標題化合物を単離することができた。
1H NMR(CDCl3);(d,3H,J=7Hz),4.17(dd,1H,J=8Hz,12Hz),4.60(dd,1H,J=3Hz,12Hz),4.79(dd,1H,J=3Hz,8Hz),5.19(quint.,1H,J=7Hz),6.71(d,1H,J=8Hz),7.11(d,1H,J=8Hz),7.17−7.32(m,5H),7.43(d,1H,J=2Hz),7.46(dd,1H,J=2Hz,8Hz),9.85(s,1H).
無水アセトニトリル(30mL)に、エステル(10)(1.00g,3.73mmol)、(S)−フェニルエチルアミン(11)(54mg,4.47mmol,1.2eq)、塩基性陰イオン交換樹脂(炭酸塩型)(MP−carbonate アルゴノート テクノロジー社)(1.07g,3.73mmol)およびズブチロペプチダーゼA(PeptiCLEC−BL(R)アルタス社)(50mg)を加えて60℃で69時間攪拌した(12:13:14:15=40.7:3.6:12.1:43.1)。反応後、酢酸エチルを用いてろ過して固定化触媒を除き、反応液を濃縮した。
ここにメタノール(50mL)および酢酸ナトリウム(0.31g,3.73mmol)を加え70℃で20時間反応させた。室温に戻した後、酢酸エチルを用いてろ過し、溶媒を除いた。
残留物をアセトニトリル(24mL)に溶解し、回収したMP−carbonate(129mg,0.45mmol)、回収したPeptiCLEC−BL(29mg)、新規のPeptiCLEC−BL(50mg)、(S)−フェニルエチルアミン(11)(0.32mL,2.45mmol)を加えて60℃で94時間攪拌した(12:13:14:15=67.3:11.7:2.3:18.1)。酢酸エチルを用いてろ過した後、溶媒を除いた。残留物に酢酸エチルを加えて希釈した後、4N塩酸の酢酸エチル溶液を加えた。これを3N塩酸水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒を除いた後、残留物に酢酸エチルを加え結晶化した(結晶0.27g,収率:24%)。母液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル30g、ヘキサン:酢酸エチル=200:20〜80)で精製してさらに標題化合物を0.44g(収率:39%)得た。合わせて63%の収率で標題化合物を単離することができた。
1H NMR(CDCl3);(d,3H,J=7Hz),4.17(dd,1H,J=8Hz,12Hz),4.60(dd,1H,J=3Hz,12Hz),4.79(dd,1H,J=3Hz,8Hz),5.19(quint.,1H,J=7Hz),6.71(d,1H,J=8Hz),7.11(d,1H,J=8Hz),7.17−7.32(m,5H),7.43(d,1H,J=2Hz),7.46(dd,1H,J=2Hz,8Hz),9.85(s,1H).
本発明によれば、糖尿病、肥満症などの予防および治療薬として有用な1,4−ベンゾジキシン−2−カルボン酸誘導体の合成中間体である光学活性な6−ホルミル−1,4−ベンゾジオキシン−2−カルボン酸誘導体を効率よく製造することができる。このため、本発明の方法は非常に有用である。
Claims (8)
- R3がメチル基、エチル基またはプロピル基である請求項1記載の製造方法。
- R1およびR3はそれぞれ独立してメチル基、エチル基またはプロピル基であり、R2はそれぞれ独立してメチル基、エチル基、プロピル基または2つのR2が一緒になってエチレン鎖を形成する請求項1記載の製造方法。
- R1、R2およびR3がメチル基である請求項1記載の製造方法。
- 一般式(1a)または(1b)の化合物を反応系中でラセミ化し、次いで一般式(2)の光学活性なアミンと反応させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- プロテアーゼがカテプシン、ロイシンアミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、グリシル−ロイシンジペプチダーゼ、カルノシナーゼ、アンセリナーゼ、システイン−グリシンジペプチダーゼ、プロリダーゼ、ペプシン、プラスミン、レニン、カリクレイン、ガストリシン、キモシン、トロンビン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、エンテロキナーゼ、プロリンイミノペプチダーゼ、イミノジペプチダーゼ、パパイン、キモパパイン、フィシン、ブロメライン、イーストカルボキシペプチダーゼ、イミノジペプチダーゼ、ズブチロペプチダーゼA、プロリンイミノペプチダーゼ、アスペルギルスペプチダーゼ、ストレプトコッカスペプチダーゼ、ケラチナーゼ、コラゲナーゼ、クロストリパイン、プロリンイミノペプチダーゼ、ペニシロペプシンからなる群から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 固定化したプロテアーゼを用いる請求項6記載の製造方法。
- ラセミ化を固定化した塩基を用いて行う請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
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