JPWO2004069934A1 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、優れた難燃性を有し、ポリカーボネート樹脂本来の機械的強度(例えば、耐衝撃性等)を実質的に低下させない難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。 本発明によれば、(A)ポリカーボネート樹脂、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、および(C)フッ素系樹脂を含むことにより、難燃性および各種物性に優れたポリカーボネート樹脂組成物が提供される。好ましくは、成分(B)の塩がカルボキシル基を2つ〜4つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩である。ポリカーボネート樹脂用難燃剤、およびポリカーボネート樹脂成形品も提供される。

Description

本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂用難燃剤、およびポリカーボネート樹脂成形品に関する。具体的には、芳香族カルボン酸の金属塩を用いる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂用難燃剤、およびポリカーボネート樹脂成形品に関する。さらに詳しくは、本発明は、微少量の難燃剤の添加で優れた難燃性をポリカーボネート樹脂に付与し、ポリカーボネート樹脂本来の機械的強度(例えば、耐衝撃性等)および外観性能(例えば、押出しまたは成形の際に樹脂が黄色または褐色に変色しないこと)を実質的に低下させない難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂用難燃剤、およびポリカーボネート樹脂成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、その優れた機械的特性、熱安定性から、電気・電子分野、OA機器分野、自動車分野などの工業分野から、医療・保安・レジャー用品などまで広範囲で使用されている。近年、特にOA機器を中心とした分野では、製品重量の軽量化のための薄肉化が進んでおり、薄肉での高難燃化が要求されている。従来、ポリカーボネート樹脂の難燃化には難燃効果の高いハロゲン系もしくはリン系難燃剤が広く使用されている。しかし、ハロゲン系難燃剤を用いた場合には、燃焼時にダイオキシンなどの毒性の強い有機ハロゲン化物質が発生する等の問題を有している。ポリカーボネート樹脂成形品は一般に、高級感を要求される製品に使用される場合が多いので、黄色または褐色に着色してしまうことは、その着色の程度がわずかであっても、著しくその製品の商品価値を下げてしまう重大な欠点となる場合が多い。また、リン系難燃剤を用いた場合には、多量の添加を必要とするため、ポリカーボネート樹脂の耐熱性を著しく低下させ、ポリカーボネート樹脂本来の特性を維持できないという問題を有している。
そのため、ポリカーボネート樹脂の難燃化のために、その他の難燃剤についても種々の検討がなされている。
(特許文献1)特開2001−115162号公報(第2−7頁)
(特許文献2)特開平6−65490号公報(第2−6頁)
(特許文献3)特開平6−263978号公報(第2−7頁)
例えば、特開2001−115162号公報にはポリカーボネート樹脂にパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を添加した樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この樹脂組成物は、流動性に劣るという欠点を有し、そのために、通常よりも高い成形温度および金型温度(例えば、成形温度305℃、金型温度100℃)で成形する必要がある。このような高温で成形すると、樹脂が高温に曝されることにより樹脂が劣化・分解しやすく、結果として、ポリカーボネート樹脂本来の特性を維持しにくいという問題がある。
特開平6−65490号公報には、ポリカーボネート樹脂、金属塩、充填剤およびカルボン酸を含む樹脂組成物が開示されている。具体的には、例えば、ポリカーボネート樹脂、カルボン酸金属塩、ポリ四フッ化エチレンおよびカルボン酸無水物を含む樹脂組成物が開示されている。しかしながら、このような樹脂組成物においては、混練時または成形時に樹脂や添加された化合物の分解が起こりやすい、また、混練樹脂組成物は着色しやすいという欠点がある。具体的には、例えば、混練時に樹脂や添加された化合物の分解のため、ガスが発生し、発煙が激しくなってしまう、また、混練機から押し出された混練樹脂組成物は黄色または褐色に着色しやすいという欠点がある。
さらに、特開平6−65490号公報に開示された組成物から得られる成形品では、着色しやすく、十分な難燃性が得られにくいという欠点がある。
特開平6−263978号公報には、ポリカーボネート樹脂、周期律表1A族のアルカリ金属およびニッケルを除く周期律表3〜6周期の金属とカルボン酸との塩、繊維状充填剤およびポリ四フッ化エチレンを含む樹脂組成物が開示されている。しかしながら、このような樹脂組成物においては、混練時または成形時に樹脂や添加された化合物の分解が起こりやすい、また、混練樹脂組成物は着色しやすいという欠点がある。具体的には、特開平6−65490号公報の組成物について上述したとおり、混練時に樹脂や添加された化合物の分解のため、ガスが発生し、発煙が激しくなってしまう、また、混練機から押し出された混練樹脂組成物は黄色または褐色に着色しやすいという欠点がある。
さらに、特開平6−263978号公報に開示された組成物から得られる成形品は、着色しやすく、また、十分な難燃性が得られにくいという欠点がある。
また、従来から、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂(例えば、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂)とをブレンドした樹脂(ポリマーアロイ)が各種成形品等に汎用されているが、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂(特に、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂)とのブレンド樹脂(ポリマーアロイ)においては、難燃剤として金属塩の添加による難燃化がとりわけ困難であるという問題があった。
発明が解決しようとする課題
本発明は、従来の問題点であった、毒ガス発生等環境に及ぼす問題、高温域での成形によるポリカーボネート樹脂本来の物性の低下、および添加剤によるポリカーボネート樹脂本来の物性の低下を解決するものであり、その目的は塩素、臭素あるいはリン原子を含有しない難燃剤を用いて優れた難燃性を有し、樹脂本来の耐熱性、耐衝撃性などの特性を維持した難燃樹脂組成物を提供することを課題とする。
(問題を解決するための手段)
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、芳香族カルボン酸金属塩を極少量添加することにより、本質的に塩素、臭素或いはリン原子を含有しない優れた難燃効果を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見い出し本発明を完成した。
本発明によれば、(A)ポリカーボネート樹脂、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、および(C)フッ素系樹脂を含む難燃性樹脂組成物が提供される。
なお、本明細書中では、ポリカーボネート樹脂を単に「成分(A)」とも記載する。芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を単に「成分(B)」とも記載する。フッ素系樹脂を単に「成分(C)」とも記載する。
1つの実施態様では、(B)前記塩がカルボキシル基を少なくとも2つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩である。
1つの実施態様では、(B)前記塩がカルボキシル基を2つ〜4つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩である。
1つの実施態様では、(B)前記塩が、テレフタル酸二カリウム、テレフタル酸二ナトリウム、イソフタル酸二ナトリウム、トリメリット酸三ナトリウム、ピロメリット酸四カリウム、およびピロメリット酸四ナトリウムからなる群から選択される。
1つの実施態様では、(B)前記塩がカルボキシル基を少なくとも2つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩である。
1つの実施態様では、(B)前記塩がカルボキシル基を2つ〜4つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩である。
1つの実施態様では、(B)前記塩がテレフタル酸カルシウム、イソフタル酸マグネシウム、イソフタル酸カルシウム、フタル酸マグネシウム、およびフタル酸カルシウムからなる群から選択される。
1つの実施態様では、(C)前記フッ素系樹脂がポリ四フッ化エチレンである。
1つの実施態様では、本発明の組成物は、(A)前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩0.001〜1重量部、および(C)前記フッ素系樹脂0.05〜2重量部を含有する。
1つの実施態様では、本発明の組成物は、(A)前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩0.001〜1重量部、および(C)前記フッ素系樹脂0.05〜2重量部を含有する。
1つの実施態様では、本発明の組成物は、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、脂肪族カルボン酸金属塩、および芳香族カルボン酸亜鉛塩のいずれも含まない。
1つの実施態様では、本発明の組成物は、さらに(D)前記ポリカーボネート樹脂および前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂を含む。
1つの実施態様では、本発明の組成物は、さらに、(D’)ABS樹脂、ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂から選択される少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含む。
本発明によれば、また、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、および(C)フッ素系樹脂を含む、ポリカーボネート樹脂用難燃剤が提供される。
本発明によれば、さらに、上記本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる成形品が提供される。
(成分A:ポリカーボネート樹脂)
本明細書中においてポリカーボネート樹脂とは、主鎖にカーボネート結合(−O−CO−O−)を有するポリマー分子をいう。本発明に用いられるポリカーボネート樹脂としては、従来公知の各種ポリカーボネート樹脂が使用され得る。脂肪族のグリコールを原料として製造される脂肪族のポリカーボネート樹脂も使用可能であるが、物性の点で、二価フェノールを原料として製造される芳香族ポリカーボネートが好ましい。
ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、従来公知の各種製造方法を用いることができる。具体的には例えば、二価以上のフェノール化合物と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートのような炭酸ジエステル化合物との反応により得ることができる。
二価フェノール化合物としては、フェノール性水酸基を2つ有する任意の化合物が使用可能であるが、得られる樹脂組成物の難燃性およびその他の物性のバランスの点において、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)が好ましい。
また、ビスフェノールA以外の2価フェノール化合物の例としては、具体的には例えば、以下の化合物が挙げられる:
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンなどのジヒドロキシジアリールアルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシジアリールシクロアルカン類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル類;
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシビフェニル類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類。
上記の二価フェノール化合物の代わりに、ヒドロキノン、レゾルシン、メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類;1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類などを用いることもできる。
これらの二価フェノール化合物およびこれらに代わる化合物は、単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の二価フェノール化合物と反応させる炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートなどが挙げられる。
(成分B:芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩)
成分(B)の塩としては、公知の任意の芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いることができる。
芳香族カルボン酸の金属塩のカルボン酸成分としてはカルボキシル基を1つのみ有する芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸など)であってもよい。しかしながら、カルボキシル基を少なくとも2つ有する芳香族カルボン酸であることが好ましい。カルボキシル基の数は、2つであってもよく、3つであってもよく、4つであってもよく、5つ以上であってもよい。より好ましくは、カルボキシル基の数は、2〜4である。
金属塩の塩の部分を形成する金属成分はアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。アルカリ金属としては、具体的には例えば、Li、Na、K、Rbなどである。ナトリウムおよびカリウムが最も好ましい。一方、アルカリ土類金属としては、具体的には例えば、Be、Mg、Ca、St、Baなどである。マグネシウムおよびカルシウムが最も好ましい。
カルボキシル基を少なくとも2つ有する芳香族カルボン酸の例としては、具体的には、テレフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
好ましいカルボン酸金属塩の例としては例えば、テレフタル酸アルカリ金属塩、テレフタル酸アルカリ土類金属塩、フタル酸アルカリ金属塩、フタル酸アルカリ土類金属塩、イソフタル酸アルカリ金属塩、イソフタル酸アルカリ土類金属塩、トリメリット酸アルカリ金属塩、ピロメリット酸アルカリ金属塩などである。さらに具体的には、テレフタル酸二カリウム、テレフタル酸二ナトリウム、イソフタル酸二ナトリウム、トリメリット酸三ナトリウム、ピロメリット酸四カリウム、およびピロメリット酸四ナトリウムなどのカルボン酸アルカリ金属塩、テレフタル酸カルシウム、イソフタル酸マグネシウム、イソフタル酸カルシウム、フタル酸マグネシウム、およびフタル酸カルシウムなどのカルボン酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。
上記カルボキシル基を少なくとも2つ有する芳香族カルボン酸の金属塩は、好ましくは、その複数のカルボキシル基のすべてが、金属塩となっている。しかし、必要に応じて、複数のカルボキシル基のうちの一部のみが金属塩となって、その他のカルボキシル基がそのまま残存している化合物であってもよい。このような化合物としては例えば、ジカルボン酸のモノ金属塩、トリカルボン酸のモノ金属塩およびジ金属塩、テトラカルボン酸のモノ金属塩、ジ金属塩およびトリ金属塩などが挙げられる。
上述した金属塩の多くは、公知の化合物であるので、金属塩として市販されている化合物を用いてもよい。試薬販売会社等から市販されていない場合には、公知の中和反応を応用して、合成してもよい。合成反応としては、公知の各種の反応を用いることができる。例えば、当該金属塩に対応する酸と、当該金属塩に対応する塩基とを水溶液中で反応させる方法などを用いることができる。
成分(B)の金属塩の添加量は、難燃性の観点から、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001重量部以上であることが好ましく、0.001重量部以上がより好ましく、0.002重量部以上がさらに好ましく、0.01重量部以上が特に好ましい。
成分(B)の金属塩の添加量は、ポリカーボネート樹脂の物性低下防止の観点から、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、1重量部以下がより好ましく、0.5重量部以下がさらに好ましく、0.2重量部以下が特に好ましく、0.1重量部以下が一層好ましく、0.05重量部以下が最も好ましい。
添加量が少なすぎる場合には、十分な難燃化効果が得られにくい。また、多過ぎる場合には、ポリカーボネート樹脂の分解が促進されやすく、耐衝撃性等のポリカーボネート樹脂本来の諸物性が低下する等の弊害が生じる恐れがあるので好ましくない。
(成分C:フッ素系樹脂)
本発明においては、芳香族カルボン酸金属塩とフッ素系樹脂とを組み合わせることにより、高度の難燃性を得ることができる。特に、燃焼試験の際に溶融樹脂が滴下しない性能、すなわち溶融樹脂滴下防止性能が各種難燃材料の分野において重要視されているが、このような溶融樹脂滴下防止性能において、芳香族カルボン酸金属塩とフッ素系樹脂との組み合わせが非常に好適である。
本明細書中でフッ素系樹脂とは、分子内にフッ素を含有する高分子をいう。一般的には、ポリエチレンの水素の一部または全部がフッ素またはトリフルオロメチルで置換された構造を有する。分子中のフッ素の数が、分子中の水素の数の0.5倍以上であることが好ましく、1倍(同数)以上であることがより好ましく、2倍以上であることがさらに好ましく、5倍以上であることが特に好ましい。
本発明で用いられるフッ素系樹脂の具体例としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、およびポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。好ましくはポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、およびポリフッ化ビニリデンであり、さらに好ましくはポリ四フッ化エチレンである。フッ素系樹脂の形態は、公知の任意の形態であり得る。例えば、エマルジョン状、懸濁状、ミクロフィブリル状、粉末状、粒状などのフッ素系樹脂がいずれも使用可能である。
フッ素系樹脂は、フッ素以外のハロゲン原子をも含むポリマー(例えば、フッ素と塩素とを含むポリマー)であってもよい。ただし、難燃性および各種物性等において、フッ素以外のハロゲン原子を有さないフッ素系樹脂を用いることが好ましい。
フッ素系樹脂の添加量は、難燃性、特に燃焼時の溶融樹脂滴下防止の観点から、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001重量部以上であることが好ましく、0.001重量部以上がより好ましく、0.002重量部以上がさらに好ましく、0.01重量部以上が特に好ましい。0.05重量部以上が最も好ましい。また、ポリカーボネート樹脂の物性低下防止の観点から、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、2重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下がさらに好ましく、0.50重量部以下であることが特に好ましく、0.40重量部以下であることが一層好ましい。
フッ素系樹脂の添加量が少なすぎる場合には、十分な樹脂滴下防止効果が得られにくい。添加量が多すぎる場合には、耐衝撃性などの樹脂本来の諸物性が低下する等の弊害が生じる恐れがあるので好ましくない。
(その他の樹脂)
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、その物性を実質的に損なわない範囲で、成分(A)(ポリカーボネート樹脂)および成分(C)(フッ素系樹脂)以外の樹脂(以下、「成分(D)」ともいう)を添加してもよい。成分(D)としては、ポリカーボネート樹脂とブレンドすることによりいわゆるポリマーアロイを形成できる任意の樹脂が好ましく使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル等の熱可塑性樹脂を必要に応じて添加することができる。なお、本明細書中において、ポリマーアロイとは、複数種類の樹脂をブレンドして得られる均質な混合物をいう。
成分(D)としては、好ましくは、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂またはポリエステル樹脂である。より好ましくは、ABS樹脂である。なお、本願明細書中では、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂またはポリエステル樹脂から選択される熱可塑性樹脂を「成分(D’)」ともいう。
従来から、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂(例えば、ABS樹脂)をブレンドした各種成形品が汎用されているが、難燃剤として金属塩を使用した場合には、ポリカーボネート樹脂に他の熱可塑性樹脂を少量添加すると難燃性が著しく低下するという欠点があった。詳細な理論的メカニズムは不明であるが、純粋なポリカーボネートに対してある程度の難燃効果を付与できる難燃剤として従来から知られているシリコーン系化合物、本願の対象物を除くカルボン酸金属塩、その他の有機金属塩などは、ポリカーボネート樹脂に他の熱可塑性樹脂(例えば、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂)が少量添加されたブレンド樹脂(ポリマーアロイ)に対して、難燃化効果をほとんど付与できないのである。
しかしながら、本発明の組成物においては、驚くべきことに、ポリカーボネート樹脂に他の樹脂(例えば、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂)が少量添加された場合においても顕著な難燃化効果を付与できる。従って、本発明の難燃剤は、ポリカーボネート樹脂と他の樹脂(例えば、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂)とをブレンドした樹脂(ポリマーアロイ)において、極めて産業上有用である。
ただし、ポリカーボネート樹脂の性能を実質的に損なわないためには、成分(D)の使用量は少量とすることが好ましい。成分(D)の使用量は、好ましくは、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、50重量部以下であり、より好ましくは、30重量部以下であり、さらに好ましくは、10重量部以下であり、特に好ましくは5重量部以下である。
成分(D)の添加量の下限は特にないが、その添加効果を得るためには、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上添加することが好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。
上記ABS樹脂としては、従来公知の任意のABS樹脂が使用可能である。ABS樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの3成分から成る樹脂であり、大別して、スチレン−アクリロニトリル共重合体とNBRとのポリマーブレンドによるブレンド型と、BRあるいはSBRラテックスの共存下にスチレンおよびアクリロニトリルをグラフト共重合して得られるグラフト型の2種類があり、そのいずれもが本発明に使用可能である。市場ではグラフト型のABSが汎用されており、本発明に良好に使用できる。
ABS樹脂中のアクリロニトリル成分の含有量は特に限定されないが、ABS樹脂としての性質を十分に発揮するためには、ABS樹脂中の5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは20重量%以上である。
ABS樹脂中のブタジエン成分の含有量は特に限定されないが、ABS樹脂としての性質を十分に発揮するためには、ABS樹脂中の5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは20重量%以上である。
ABS樹脂中のスチレン成分の含有量は特に限定されないが、ABS樹脂としての性質を十分に発揮するためには、ABS樹脂中の5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは20重量%以上である。
上記ポリスチレン樹脂としては、従来公知の任意のポリスチレン樹脂が使用可能である。ポリスチレン樹脂は、実質的にスチレンのみを重合して得られる樹脂である。スチレンのみを重合して得られる樹脂が好ましいが、必要に応じて、ポリスチレンの性能を損なわない量の他のモノマーが共重合されていても良い。この定義に該当する限り、ポリスチレンは、汎用ポリスチレン(GPPS)であってもよく、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)であってもよい。ポリスチレン樹脂に共重合され得る他のモノマーの量としては、好ましくは樹脂中の5重量%以下である。
上記ポリエステル樹脂としては、従来公知の任意のポリエステル樹脂が使用可能である。ポリエステル樹脂は、ポリオールとポリカルボン酸とを重合して得られる樹脂である。脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との両方が知られており、いずれも本発明に使用可能である。好ましくは、芳香族ポリエステル樹脂であり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂である。
なお、成分(D)としては、ポリカーボネート樹脂とブレンドした際に相分離してしまう樹脂を使用することも可能である。しかし、相分離した樹脂が大量に存在すると、樹脂成形品としての充分な性能が得られにくいので、そのような樹脂の使用量は、成形品の性能に悪影響を与えない程度の少量とすることが好ましい。
(その他の難燃剤)
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、その物性を実質的に損なわない範囲で、上述した成分(B)(芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩)および成分(C)(フッ素系樹脂)以外の難燃剤を必要に応じて少量添加してもよいが、成分(B)および成分(C)以外の難燃剤を添加しないことが、ポリカーボネートの性能を低下させない等の点で好ましい。
成分(B)および成分(C)以外の難燃剤として使用され得る難燃剤の種類としては、ハロゲン系難燃剤(例えば、臭素系難燃剤および塩素系難燃剤)、およびリン系難燃剤(例えば、リン酸エステル系難燃剤)などが挙げられる。なお、いうまでもなく、本明細書中においてフッ素系樹脂は、「成分(B)および成分(C)以外の難燃剤」には含まれない。
成分(B)および成分(C)以外の難燃剤の添加量は、ポリカーボネート樹脂の性能を実質的に損なわないためには、好ましくは、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、10重量部以下であり、より好ましくは、5重量部以下であり、さらに好ましくは、3重量部以下であり、特に好ましくは1重量部以下である。成分(B)および成分(C)以外の難燃剤の添加量の下限は特にないが、その添加効果を得るためには、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上添加することが好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。
本発明においては、難燃剤として脂肪族カルボン酸の金属塩を用いないことが好ましい。脂肪族カルボン酸の金属塩を使用すると、ポリカーボネート樹脂を混練または成形する際にポリカーボネート樹脂の劣化が進みやすく、得られる樹脂組成物に気泡が混入しやすいなどの欠点が生じやすいからである。従って、本発明の組成物においては、脂肪族カルボン酸金属塩の量を可能な限り少なくすることが好ましく、具体的には、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.0005重量部以下とすることが好ましく、0.0002重量部以下とすることがより好ましい。
本発明においては、難燃剤として芳香族カルボン酸亜鉛塩を用いないことが好ましい。芳香族カルボン酸亜鉛塩を使用すると、ポリカーボネート樹脂を混練または成形する際にポリカーボネート樹脂の劣化が進みやすく、得られる樹脂組成物に気泡が混入しやすいなどの欠点が生じやすいからである。従って、本発明の組成物においては、芳香族カルボン酸亜鉛塩の量を可能な限り少なくすることが好ましく、具体的には、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.0005重量部以下とすることが好ましく、0.0001重量部以下とすることがより好ましい。
本発明においては、塩素系難燃剤を用いないことが好ましい。塩素系難燃剤を使用すると、成形品の焼却時にダイオキシンなどの有害物質が発生しやすい。従って、本発明の組成物においては、塩素系難燃剤の量を可能な限り少なくすることが好ましく、具体的には、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、5重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。0.3重量部以下とすることがさらに好ましく、0.1重量部以下とすることが特に好ましい。
本発明においては、臭素系難燃剤を用いないことが好ましい。臭素系難燃剤を使用すると、成形品の焼却時に有害物質が発生しやすい。従って、本発明の組成物においては、臭素系難燃剤の量を可能な限り少なくすることが好ましく、具体的には、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、5重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。0.3重量部以下とすることがさらに好ましく、0.1重量部以下とすることが特に好ましい。
本発明においては、リン系難燃剤を用いないことが好ましい。リン系難燃剤を使用すると、成形品に着色が発生しやすく、また成形品の耐熱性が低下しやすい。従って、本発明の組成物においては、リン系難燃剤の量を可能な限り少なくすることが好ましい。具体的には、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、5重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。0.3重量部以下とすることがさらに好ましく、0.1重量部以下とすることが特に好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、その物性を実質的に損なわない範囲で、難燃剤以外の添加剤として、一般にポリカーボネート樹脂組成物に添加される各種添加剤を、必要に応じて適宜添加してもよい。これらの添加剤はそれらを単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、難燃助剤、充填剤、酸化防止剤(安定剤)、帯電防止剤、滑剤(軟化剤)、顔料、紫外線吸収剤(光安定剤)、補強材などが挙げられる。
難燃助剤としては、黒鉛、活性炭、硼酸塩類、低融点ガラス、ならびにオイルファーネス法、ガスファーネス法、チャンネル法またはアセチレン法により製造されたカーボンブラックなどの炭素粉末などが挙げられる。難燃助剤の使用量は特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、20重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。多すぎる場合には、ポリカーボネート樹脂の物性が低下しやすい。難燃助剤の使用量の下限は特にないが、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.001重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。少なすぎる場合には、難燃助剤の添加効果が得られにくい。
充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックス繊維、マイカ、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレークなどの粉状、粒状、板状の無機充填剤ならびに木粉などの有機充填剤が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。充填剤の使用量は特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、100重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。20重量部以下がさらに好ましい。多すぎる場合には、ポリカーボネート樹脂の物性が低下しやすい。充填剤の使用量の下限は特にないが、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。少なすぎる場合には、充填剤の添加効果が得られにくい。
補強剤としては、ガラス繊維、金属繊維およびウイスカーなどが挙げられる。補強剤の使用量は特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、100重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。20重量部以下が特に好ましい。多すぎる場合には、ポリカーボネート樹脂の物性が低下しやすい。補強剤の使用量の下限は特にないが、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。少なすぎる場合には、補強剤の添加効果が得られにくい。
その他の添加剤としては、ヒンダードフェノール誘導体などのフェノール系、アミン系および硫黄系などの酸化防止剤(安定剤);カチオン系活性剤、非イオン系活性剤などの帯電防止剤;脂肪酸誘導体および高沸点ワックス系などの滑剤(軟化剤);酸化チタン、フタロシアニン系などの顔料;ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系およびアクリロニトリル系などの紫外線吸収剤(光安定剤)などが挙げられる。これらの添加剤の使用量は特に限定されないが、それぞれ、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。多すぎる場合には、ポリカーボネート樹脂の物性が低下しやすい。これらの添加剤の使用量の下限は特にないが、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、0.001重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。少なすぎる場合には、それぞれの添加剤の添加効果が得られにくい。
上述した各成分を混合することにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物が得られる。本発明の難燃性樹脂組成物の製造に際して、各成分の配合順序や混合方法には特別の制限はない。これらを均一に混合できる手段であれば公知の各種の方法が採用され得る。好ましくは、各材料を混合した後、加熱によりポリカーボネート樹脂を溶融させた状態で混練することにより、均一に混合された組成物が容易に製造され得る。加熱、溶融および混練の際に用いられる装置としては、汎用の装置が使用可能であり、例えば単軸押出機、ベント付き押出機のような二軸押出機、ヘンシェル型ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーミキサーおよびロールなどが挙げられる。これらの装置は単独で使用されてもよく、または複数の装置を組み合わせて用いてもよい。
(本発明の難燃剤)
本発明の難燃剤は、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、および(C)フッ素系樹脂を含む、ポリカーボネート樹脂用難燃剤である。すなわち、上述した本発明の組成物についての説明のうち、成分(B)および成分(C)についての説明がそのまま、本発明の難燃剤の説明でもある。
本発明の難燃剤に用いられる芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、本発明の組成物について上記成分(B)として説明したとおりである。本発明の難燃剤に用いられるフッ素系樹脂は、本発明の組成物について上記成分(C)として説明したとおりである。さらに、本発明の難燃剤には、上記本発明の組成物について説明した各種添加剤等を混合することができる。
本発明の難燃剤は、上記成分(B)と成分(C)とを適宜混合することにより製造される。さらに必要に応じて各種添加剤等が添加される。本発明の難燃剤は、ポリカーボネート樹脂と混合される前においては、成分(B)の塩と成分(C)のフッ素系樹脂とを均一に混合した状態で単一の容器に収容されていてもよく、成分(B)の塩と成分(C)のフッ素系樹脂とが別々の容器に収容されていてもよい。成分(B)の塩と成分(C)のフッ素系樹脂とが別々の容器に収容されている場合には、そのままポリカーボネート樹脂に混合してもよいが、ポリカーボネート樹脂と混合する前に、成分(B)の塩と成分(C)のフッ素系樹脂とを予め混合しておくことが好ましい。
本発明の難燃剤は、例えば、ポリカーボネート樹脂の溶融混練時に添加することができる。あるいは、ポリカーボネート樹脂を成形する際の成形機中においてポリカーボネート樹脂に添加されてもよい。または、成分(B)の塩と成分(C)のフッ素系樹脂の分散性を向上させる目的で予めマスターバッチを作成しておき、そのマスターバッチをバージンのポリカーボネート樹脂と混合してもよい。
(成形方法)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、公知の方法で成形されて、任意の成形品を得ることができる。成形方法としては、ポリカーボネート樹脂の成形方法として公知の任意の成形方法を採用することができる。一般的には、ポリカーボネート樹脂組成物を加熱溶融して流動させて所望の形状に成形する。具体的な成形方法としては例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、真空成形などが挙げられる。
これらの成形方法において、所望の金型を用いることにより、所望の形状の成形品を得ることができる。例えば、射出成形によって、各種複雑形状の部品等を得ることができ、また例えば、押出成形によって、フィルム、パイプ、ロッド等の比較的単純な形状の成形品を得ることができる。
(成形条件)
成形を行う際の成形条件としては、所望の形状および用いる成形装置の種類および能力等に応じて、通常のポリカーボネート樹脂成形品を成形する際の成形条件と同様の任意の成形条件で本発明の組成物を用いた成形を行うことができる。樹脂を加熱溶融させて流動させるメカニズムによる成形方法の場合には、一般的には、250℃〜300℃程度(より好ましくは、250℃〜290℃程度)で樹脂組成物を溶融および流動させる。例えば、射出成形であれば、代表的には、250℃〜300℃程度(より好ましくは、250℃〜290℃程度)のシリンダ温度で樹脂を溶融し、金型温度30℃〜90℃程度の金型内に樹脂を射出することにより射出成形品を得ることができる。
(成形品の用途)
このようにして得られた成形品は、ポリカーボネート樹脂成形品の従来公知の各種用途に使用することができる。具体的には例えば、各種家庭用電機器具用部品、鉄道車両用部品、自動車用部品、航空機部品、防災用具、医療器具、食品容器、食器、台所用品などである。本発明の成形品は、ポリカーボネート樹脂の一般的用途の中でも、難燃性が要求される用途において特に有用である。また、耐衝撃性等の物性において高性能が要求される用途においても有用である。
本発明をさらに詳しく説明するために以下に実施例および比較例を列挙する。しかし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
合成例で得られた難燃剤、ならびに実施例および比較例において用いた配合成分を下記する。
(1)樹脂成分
PC:ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製 パンライトL−1250WP)
ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ダイセル化学工業社製、セビアンV−300)
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂(クラレ社製、クラペットKS750RC)
PS:ポリスチレン樹脂(A&W社製、ポリスチレンHF−77)
(2)難燃剤成分
難燃剤1:テレフタル酸二カリウム塩(合成例1)
難燃剤2:テレフタル酸二ナトリウム塩(東京化成工業社製)
難燃剤3:テレフタル酸カルシウム塩(合成例2)
難燃剤4:イソフタル酸二ナトリウム塩(合成例3)
難燃剤5:イソフタル酸マグネシウム塩(合成例4)
難燃剤6:イソフタル酸カルシウム塩(合成例5)
難燃剤7:フタル酸マグネシウム塩(合成例6)
難燃剤8:フタル酸カルシウム塩(合成例7)
難燃剤9:トリメリット酸三ナトリウム塩(合成例8)
難燃剤10:ピロメリット酸四ナトリウム塩(合成例9)
難燃剤11:ピロメリット酸四カリウム塩(合成例10)
難燃剤12:ステアリン酸カリウム塩(合成例11)
難燃剤13:酢酸亜鉛(和光純薬工業社製)
難燃剤14:安息香酸亜鉛(和光純薬工業社製)
(3)滴下防止剤成分
PTFE:ポリ四フッ化エチレン(三井デュポンフロロケミカル社製 PTFE6−J、PTFE6C−J)
以下に、難燃剤成分の合成例を記載するが、合成方法はこれらに限定されるものではない。
合成例1(難燃剤1:テレフタル酸二カリウム塩の合成)
攪拌機、還流管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコに、テレフタル酸166.0g(1.0mol)および水130gを充墳させた。この混合溶液を25℃で撹拌しながら、水酸化カリウム水溶液404g(KOHとして115.4g(2.06mol)、3mol%過剰)を25〜42℃で3時間かけて追加を行った。次いで、反応物を2時間かけて60℃まで加熱昇温し、同温度(60℃)の常圧で4時間撹拌した。その後、10℃以下に冷却して濾別し、白色固体を回収した。次いで、回収した固体を冷水で洗浄し、過剰の水酸化カリウムを除去した。その後、130℃の減圧下で9時間乾燥させて白色固体142.3gを得た。
合成例2(難燃剤3:テレフタル酸カルシウム塩の合成)
攪拌機、還流管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコに、テレフタル酸41.5g(0.25mol)および水65gを充墳させた。この混合液を25〜45℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液90g(NaOHとして20.8g(0.52mol)、4mol%過剰)を1時間かけて追加した。45℃で3時間撹拌し、次いで、固体が溶解し均一溶液になったところを確認して、塩化カルシウム水溶液88g(CaClとして30.0g(0.27mol)、8mol%過剰)を25℃で40分間で追加を行った。その後、同温度(25℃)の常圧で3時間撹拌した。析出した白色固体を濾別して回収した。その後、水洗して過剰の水酸化ナトリウムおよび塩化カルシウムと副生成物の塩化ナトリウムを除去した。さらに、130℃の減圧下で10時間乾燥させて白色固体52.9gを得た。
合成例3(難燃剤4:イソフタル酸二ナトリウム塩)
テレフタル酸の代わりにイソフタル酸を用い、水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを用いる以外は合成例1と同様にして、白色固体214.4gを得た。
合成例4(難燃剤5:イソフタル酸マグネシウム塩の合成)
テレフタル酸の代わりにイソフタル酸を用い、塩化カルシウムの代わりに塩化マグネシウムを用いる以外は合成例2と同様にして、白色固体24.5gを得た。
合成例5(難燃剤6:イソフタル酸カルシウム塩の合成)
テレフタル酸の代わりにイソフタル酸を用いる以外は合成例2と同様にして、白色固体37.9gを得た。
合成例6(難燃剤7:フタル酸マグネシウム塩の合成)
テレフタル酸の代わりにフタル酸を用い、塩化カルシウムの代わりに塩化マグネシウムを用いる以外は合成例2と同様にして、白色固体33.4gを得た。
合成例7(難燃剤8:フタル酸カルシウム塩の合成)
テレフタル酸の代わりにフタル酸を用いる以外は合成例2と同様にして、白色固体51.4gを得た。
合成例8(難燃剤9:トリメリット酸三ナトリウム塩の合成)
攪拌機、還流管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコに、トリメリット酸25.2g(0.12mol)およびメタノール136gを充填させた。この溶液を25℃〜40℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウム/メタノール溶液94g(NaOHとして15.0g(0.38mol)、4mol%過剰)を2時間かけて追加した。その後、45℃の常圧で3時間撹拌し、析出した白色固体を濾別して回収した。さらに、回収した固体をメタノールで洗浄した後、130℃の減圧下で8時間乾燥させて白色固体35.7gを得た。
合成例9(難燃剤10:ピロメリット酸四ナトリウム塩の合成)
攪拌機、還流管および温度計を備えた1リットルの4つ口フラスコに、ピロメリット酸25.4g(0.10mol)および水100gを充填させた。この混合溶液を25℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液58g(NaOHとして16.4g(0.41mol)、3mol%過剰)を25℃〜40℃で3時間かけて追加を行った。次いで、反応物を2時間かけて60℃まで加熱昇温し、同温度(60℃)の常圧で4時間撹拌した。冷却後、濾別して固体を回収し、水で洗浄した。さらに、130℃の減圧下で9時間乾燥させて、白色固体33.8gを得た。
合成例10(難燃剤11:ピロメリット酸四カリウム塩の合成)
水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを用いる以外は合成例7と同様にして、白色固体37.7gを得た。
合成例11(難燃剤12:ステアリン酸カリウム塩の合成)
テレフタル酸の代わりにステアリン酸を用い、水酸化カリウムはステアリン酸と等モル使用する以外は合成例1と同様にして、白色固体278.6gを得た。
以下の実施例および比較例で得られた樹脂組成物の物性を、下記の試験方法に基づいて測定した。
(1)垂直燃焼性(UL)試験
試験方法:UL−94に準拠(5検体の平均消炎時間)
試験片:厚さ1/8インチおよび1/16インチ
評価:規定によるランク V−0、V−1およびV−2
(2)酸素指数
試験方法:JIS K−7201に準拠
試験片:幅10mm、厚さ4mm
(3)アイゾット衝撃強度
試験方法:JIS K−7110に準拠
試験片:厚さ1/8インチ、ノッチ付き
単位:kgf・cm/cm
(4)押出成形品の着色
目視による評価
(5)混練後の樹脂組成物の強度
混練機により得られたストランドを手で折り曲げた際の感触による評価
添加剤を含まないポリカーボネート樹脂組成物のストランドとほぼ同等の感触が得られたものを「良好」と評価し、それに比べてやや脆い感触のものを「やや脆い」と評価し、さらに脆く折れやすい感触のものを「脆い」と評価する。
(実施例1〜13および比較例1〜12)
ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、各種添加剤を表1に記載の配合割合(重量部)で混合し、ベント付き二軸押出機(東芝機械社製 TEM−37BS)で280℃で溶融混練して押し出した。押し出し直後の状態を表1に示す。
実施例1〜13および比較例2〜3においては、押し出し後の状態は良好であり、発煙や着色は生じることなく、比較例1(難燃剤が添加されていないポリカーボネート樹脂組成物)と同様の強度の樹脂組成物が得られた。比較例6〜8および10〜12においては、樹脂組成物がやや黄色〜褐色に着色するという欠点があった。比較例6、8、10および12においては、押し出しの際に発煙が生じるという欠点があった。さらに、比較例5および9では、得られた樹脂組成物に手で触れた際の感触がやや脆く、比較例4、7、8、11および12では脆く、比較例1(難燃剤が添加されていないポリカーボネート樹脂組成物)に比べて強度が劣っていた。
押し出された樹脂組成物をペレタイザーでペレットの形状に加工した。得られたペレットを射出成形機(日精樹脂工業社製 FN2000)で成形し、燃焼性試験用試験片および機械的特性測定用試験片をそれぞれ作製し、上記の試験方法に基づいて測定した。得られた結果を樹脂組成物の配合成分とその割合と共に表2に示す。
なお、表中の記号「Izod」は、アイゾット衝撃強度を示す。また、「1/8inch」および「1/16inch」は、それぞれ、試験片の厚さが1/8インチおよび1/16インチであったことを示す。
Figure 2004069934
実施例1〜13および比較例2〜3においては、押し出し後の状態は良好であり、発煙や着色は生じることなく、比較例1(難燃剤が添加されていないポリカーボネート樹脂組成物)と同様の強度の樹脂組成物が得られた。比較例6〜8および10〜12においては、樹脂組成物がやや黄色〜褐色に着色するという欠点があった。比較例6、8、10および12においては、押し出しの際に発煙が生じるという欠点があった。さらに、比較例5および9では、得られた樹脂組成物に手で触れた際の感触がやや脆く、比較例4、7、8、11および12では脆く、比較例1(難燃剤が添加されていないポリカーボネート樹脂組成物)に比べて強度が劣っていた。
押し出された樹脂組成物をペレタイザーでペレットの形状に加工した。得られたペレットを射出成形機(日精樹脂工業社製 FN2000)で成形し、燃焼性試験用試験片および機械的特性測定用試験片をそれぞれ作製し、上記の試験方法に基づいて測定した。得られた結果を樹脂組成物の配合成分とその割合と共に表2に示す。
なお、表中の記号「Izod」は、アイゾット衝撃強度を示す。また、「1/8inch」および「1/16inch」は、それぞれ、試験片の厚さが1/8インチおよび1/16インチであったことを示す。
Figure 2004069934
実施例1〜13の樹脂組成物は、極少量のカルボン酸金属塩の添加により優れた難燃性を示すことがわかる。特に芳香族カルボン酸アルカリ金属塩が添加されている実施例1〜4、6、11〜13は優れた難燃性を有していることに加え、非常に大きな酸素指数が得られていることがわかる。
一方、比較例1〜12は実施例に比べていずれかの点で劣っている。具体的には、比較例1では、金属塩およびフッ素系樹脂のいずれも添加されていないため、難燃性が実施例よりも劣る。比較例2および3では、金属塩が添加されていないため、やはり難燃性が実施例よりも劣る。比較例4では、難燃剤として脂肪族のカルボン酸金属塩が使用されているため、アイゾッド衝撃強度が実施例と比較して極めて低いことがわかる。比較例5〜8では、難燃剤として脂肪族のカルボン酸亜鉛塩が使用されているため、難燃性が実施例よりも劣る。また、アイゾッド衝撃強度も実施例と比較すると同等あるいは低く、比較例7および8では極めて低いことがわかる。比較例9〜12では、難燃剤として芳香族のカルボン酸亜鉛塩が使用されているため、難燃性が実施例よりも劣る。また、アイゾッド衝撃強度も実施例と比較すると同等あるいは低く、比較例11および12では極めして極めて低いことがわかる。さらに、比較例6、8、10および12では、混練中、押し出された樹脂組成物から多量のガスが発生した。また、比較例4〜12の成形品は、微黄色、淡黄色または淡褐色に着色しており、高級な外観を必要とされる用途には適さない外観であった。
(実施例14および比較例13〜17)
樹脂として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのブレンド樹脂(ポリマーアロイ)を用いて以下の実験を行った。具体的には、ポリカーボネート樹脂95重量部およびABS樹脂5重量部の合計100重量部に対して、各種添加剤を表3に記載の配合割合(重量部)で混合し、ベント付き二軸押出機(東芝機械社製 TEM−37BS)で280℃で溶融混練して押し出した。
押し出された樹脂組成物をペレタイザーでペレットの形状に加工した。得られたペレットを射出成形機(日精樹脂工業社製 FN2000)で成形し、燃焼性試験用試験片および機械的特性測定用試験片をそれぞれ作製し、上記の試験方法に基づいて測定した。得られた結果を樹脂組成物の配合成分とその割合と共に表3に示す。
実施例14および比較例13〜17の結果から、本発明の組成物は、従来難燃剤として金属塩を使用することによる難燃化が困難であったポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのブレンド樹脂(ポリマーアロイ)においても、良好な難燃性能が得られることが確認された。
Figure 2004069934
(実施例15および比較例18〜21)
樹脂として、ポリカーボネート樹脂とPS樹脂とのブレンド樹脂(ポリマーアロイ)を用いて以下の実験を行った。具体的には、ポリカーボネート樹脂95重量部およびPS樹脂5重量部の合計100重量部に対して、各種添加剤を表4に記載の配合割合(重量部)で混合し、ベント付き二軸押出機(東芝機械社製 TEM−37BS)で280℃で溶融混練して押し出した。
押し出された樹脂組成物をペレタイザーでペレットの形状に加工した。得られたペレットを射出成形機(日精樹脂工業社製 FN2000)で成形し、燃焼性試験用試験片および機械的特性測定用試験片をそれぞれ作製し、上記の試験方法に基づいて測定した。得られた結果を樹脂組成物の配合成分とその割合と共に表4に示す。
実施例15および比較例18〜21の結果から、本発明の組成物は、従来難燃剤として金属塩を使用することによる難燃化が困難であったポリカーボネート樹脂とPS樹脂とのブレンド樹脂(ポリマーアロイ)においても、良好な難燃性能が得られることが確認された。
Figure 2004069934
(実施例16および比較例22〜25)
樹脂として、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とのブレンド樹脂(ポリマーアロイ)を用いて以下の実験を行った。具体的には、ポリカーボネート樹脂95重量部およびPET樹脂5重量部の合計100重量部に対して、各種添加剤を表5に記載の配合割合(重量部)で混合し、ベント付き二軸押出機(東芝機械社製 TEM−37BS)で280℃で溶融混練して押し出した。
押し出された樹脂組成物をペレタイザーでペレットの形状に加工した。得られたペレットを射出成形機(日精樹脂工業社製 FN2000)で成形し、燃焼性試験用試験片および機械的特性測定用試験片をそれぞれ作製し、上記の試験方法に基づいて測定した。得られた結果を樹脂組成物の配合成分とその割合と共に表5に示す。
実施例16および比較例22〜25の結果から、本発明の組成物は、従来難燃剤として金属塩を使用することによる難燃化が困難であったポリカーボネート樹脂とPET樹脂とのブレンド樹脂(ポリマーアロイ)においても、良好な難燃性能が得られることが確認された。
Figure 2004069934
発明の効果
本発明によれば、極少量の芳香族カルボン酸金属塩およびフッ素系樹脂を併用することにより優れた難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られる。この樹脂組成物を用いて成形を行えば、難燃性に優れ、かつ耐衝撃性などの各種物性においても優れ、押出混練時および成形時においても着色が少なく、高級な外観が必要とされる用途にも使用可能なポリカーボネート樹脂成形品が得られる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。

Claims (15)

  1. (A)ポリカーボネート樹脂、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、および(C)フッ素系樹脂を含む、難燃性樹脂組成物。
  2. (B)前記塩がカルボキシル基を少なくとも2つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩である、請求項1に記載の組成物。
  3. (B)前記塩がカルボキシル基を2つ〜4つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩である、請求項1に記載の組成物。
  4. (B)前記塩が、テレフタル酸二カリウム、テレフタル酸二ナトリウム、イソフタル酸二ナトリウム、トリメリット酸三ナトリウム、ピロメリット酸四カリウム、およびピロメリット酸四ナトリウムからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  5. (B)前記塩がカルボキシル基を少なくとも2つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩である、請求項1に記載の組成物。
  6. (B)前記塩がカルボキシル基を2つ〜4つ有する芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩である、請求項1に記載の組成物。
  7. (B)前記塩がテレフタル酸カルシウム、イソフタル酸マグネシウム、イソフタル酸カルシウム、フタル酸マグネシウム、およびフタル酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  8. (C)前記フッ素系樹脂がポリ四フッ化エチレンである、請求項1に記載の組成物。
  9. (A)前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩0.001〜1重量部、および(C)前記フッ素系樹脂0.05〜2重量部を含有する、請求項1に記載の組成物。
  10. (A)前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(B)芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩0.001〜1重量部、および(C)前記フッ素系樹脂0.05〜2重量部を含有する、請求項1に記載の組成物。
  11. 塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、脂肪族カルボン酸金属塩、および芳香族カルボン酸亜鉛塩のいずれも含まない、請求項1に記載の組成物。
  12. さらに、(D)前記ポリカーボネート樹脂および前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の組成物。
  13. さらに、(D’)ABS樹脂、ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂から選択される少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の組成物。
  14. (B)芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、および(C)フッ素系樹脂を含む、ポリカーボネート樹脂用難燃剤。
  15. 請求項1に記載の難燃性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
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