JPWO2004067644A1 - 顔料分散体、カラーフィルター用組成物及びカラーフィルター - Google Patents
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Abstract
Description
原理的には公知の顔料の多くが顔料分散法に使用可能であり、例えば特開平5−281414号公報にはカラーレジストインキの着色材として赤色、緑色、青色、黄色及び紫色の顔料が数十種にわたり開示されている。また、各画素の顔料は、一般にその画素の透過特性がバックライト光の発光特性に合うよう選択され、例えば、赤色画素には赤色顔料のほかに黄色顔料、橙色顔料を、緑色画素には緑色顔料のほかに黄色顔料を、青色画素には青色顔料のほかに紫色顔料を一定割合で混合することにより所望の透過特性を付与している。
しかし、近年の液晶表示装置に対する高精細化、高輝度化、高色再現性の要求は高く、カラーフィルターの更なる高明度化、高彩度化が望まれている昨今、これらの顔料のうち液晶表示装置等に用いて高水準の明彩度性を示すものはきわめて限定されている。例えば、青色画素を形成するためのカラーレジストインキには銅フタロシアニン系の青色顔料であるピグメント・ブルー15:6と共に紫色顔料が使用されることが多いが、この紫色の顔料としては、特許第2543052号公報に開示されているように、カルバゾールジオキサジンよりなる紫色顔料であるピグメント・バイオレット23が良好に用いることのできるほとんど唯一のものである。
このピグメント・バイオレット23は、銅フタロシアニン系青色顔料より青色透過域が短波長側にあるため、僅かに緑色光を透過する銅フタロシアニン系青色顔料の青色純度を高める目的でしばしば混合される。しかし、透過域の異なる2つの顔料を混合する方法においては、高明度化と高彩度化は二律背反の関係にあり、銅フタロシアニン系青色顔料と透過域が大きく異なりその透過率も低いピグメント・バイオレット23を用いるこの方法においては、高水準の明彩度性を同時に満足できないという問題があった。
このように、液晶表示装置等に使用されるカラーフィルターの作成に当たっては、使用されるカラーレジストインキは用途や目的に適した透過特性を有する色材の調整が必須であり、カルバゾールジオキサジン紫色顔料に代わる顔料を使用した高明彩化カラーレジストインキが望まれていた。
一方、色素の1つとしてサブフタロシアニン化合物が知られている。特開平11−24255号公報や特開2001−318462号公報には、このサブフタロシアニン化合物を用いた光重合性組成物が示されている。しかし、これらの光重合性組成物は、サブフタロシアニン化合物の可視光領域の光増感作用に着目し、サブフタロシアニン化合物を感光性樹脂組成物中に溶解させて、アルゴンレーザー(514nm)あるいはYAG(第二高調波)レーザー(532nm)等の長波長レーザー光など可視光に対する光増感剤として用いるものであり、サブフタロシアニン化合物を顔料化し着色材として分散してカラーフィルター用組成物に用いることは全く示唆されていない。
すなわち、本発明は、着色材を分散剤と共に溶剤に分散させてなる顔料分散体において、着色材として下記一般式(1)で示されるサブフタロシアニン化合物からなる顔料を全着色材中0.5重量%以上含有してなることを特徴とする顔料分散体である。
(但し、X1〜X12のうち、少なくとも6個がハロゲン原子であり、残りは水素原子を示す。Yはハロゲン原子又はヒドロキシル基を示す。)
更に、本発明は、着色材(以下、成分(A)ともいう)、分散剤(以下、成分(B)ともいう)、溶剤(以下、成分(C)ともいう)、感光性樹脂及び/又は単量体(以下、成分(D)ともいう)及び光重合開始剤(以下、成分(E)ともいう)を含有してなるカラーフィルター用組成物において、成分(A)の着色材成分として前記一般式(1)で示されるサブフタロシアニン化合物からなる顔料を全着色材中0.5重量%以上含有し、成分(E)の光重合開始剤を成分(D)の感光性樹脂及び/又は単量体に対して0.1〜20重量%含有し、前記組成物中の着色材(A)と樹脂固形分(R)との各成分の合計重量比で表される(A)/(R)が0.05〜1.5の範囲であることを特徴とする。
更に、本発明は、前記のカラーフィルター用組成物を硬化して得られる硬化物である。また、本発明は、青色画素を形成する硬化膜が前記の硬化物からなるカラーフィルターである。
以下、本発明の顔料分散体について説明する。
本発明の顔料分散体は、着色材(成分(A))、分散剤(成分(B))及び溶剤(成分(C))を必須成分として含有し、所定の顔料粒度としたものであることが好ましい。また、本発明の顔料分散体は、カラーフィルター用組成物として有用である。本発明の顔料分散体をカラーフィルター用組成物として使用する場合は、更に、感光性樹脂及び/又は単量体(成分(D))及び(E)光重合開始剤(成分(E))を必須成分として含有することが好ましい。また、必要により他の樹脂類及びその他の表面調整剤、消泡剤等の各種添加剤を配合することができる。
成分(A)の着色材には、前記一般式(1)で示されるサブフタロシアニン化合物からなる顔料を全着色材中0.5重量%以上含有することを必要とする。一般式(1)において、X1〜X12のうち、少なくとも6個はハロゲン原子であり残りは水素原子である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のいずれでもよいが、色相の点から塩素又は臭素が好ましい。更に好ましくは、一般式(1)中のX1〜X12の全てが塩素又は臭素であるものが用いられる。なお、1つの分子内に複数種のハロゲン原子が結合していてもよい。一般式(1)中のYはハロゲン原子又はヒドロキシル基であるが、取り扱いに優れる点から塩素又は臭素が好ましい。
成分(A)は、上記サブフタロシアニン系顔料を全着色材中0.5重量%以上、好ましくは5重量%以上、より更に好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上含有するものであればよく、他の顔料や染料を併用して用いることもできる。好ましくは、上記サブフタロシアニン系顔料を40〜100重量%、他の顔料を0〜60重量%の範囲で使用することである。青色のカラーレジストインキを調製するために適した他の着色材としては、色相の点から青色、紫色の顔料が好ましく、例えばピグメント・ブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同60、同80、ピグメント・バイオレット19、同23、同37等を挙げることができるが、併用可能な顔料はこれらに限定されるものではない。
本発明において、着色材としてサブフタロシアニン系顔料を用いる理由は、顔料の有する特異な分光特性に起因する。つまり、液晶表示装置等のバックライトには、赤、緑及び青の三原色に対応する波長(一般的に610nm、545nm及び435nm)に鋭い発光を有する高演色性の三波長型蛍光ランプが広く用いられており、この三波長の発光をそれぞれ効果的に透過し他の二波長の発光を遮光することが高水準の赤、緑及び青の明彩度性を示すために必要である。本発明のサブフタロシアニンよりなる顔料を主たる着色材として含むカラーフィルター用組成物を用いて製作されるカラーフィルターは、370〜510nm付近及び630nmより長波長域に透過を、520〜620nm付近に吸収を持つ優れた分光特性を示すために、三波長型蛍光ランプの青の発光を効果的に透過し、緑及び赤の発光を効果的に遮光することができる。そのために、本発明のカラーフィルターは高水準の明彩度性を有し、これを用いる液晶表示装置等に高水準の明彩度性を与えることができる。
サブフタロシアニン系顔料の製造は、一般的にはサブフタロシアニン化合物を合成しそれを顔料化することで成される。サブフタロシアニン化合物の合成方法は公知であり、その例としては、A.Meller and A.Ossko,Monatshefte fur Chemie 103,150−155(1972)などが挙げられる。具体的には、三ハロゲン化硼素1モルと必要に応じてベンゼン環の水素原子がハロゲン置換されたフタロニトリル3モルを反応させることで合成できる。こうして得られたサブフタロシアニン化合物には副反応等によって生ずる不純物が含まれていることが多いが、例えば濾過洗浄やソックスレー抽出を行うことにより不純物を取り除くことができる。ここで、不純物としては、原料の三ハロゲン化硼素の加水分解生成物、未反応のフタロニトリル等を挙げることができる。濾過洗浄やソックスレー抽出で用いる溶媒については、特に制約はない。例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等を用いることができる。また、必要に応じて、フタロニトリル又はハロゲン以外の置換フタロニトリルを出発原料として、無置換又は置換サブフタロシアニンを合成した後、公知の方法によりハロゲン化を行なってもよい。しかし、合成法及び精製法は上記の方法に限定されるものではない。
顔料化する方法としては公知の方法が利用でき、例えばサブフタロシアニン化合物を濃硫酸等の強酸に溶解した後、大量の水中に投入して微細顔料を生成させるアシッドペースティング法、同様に強酸に分散してこれを大量の水中に注いで微細顔料を生成させるアシッドスラリー法等を挙げることができる。また、高水準の明彩度性を有するカラーフィルターを得るには、着色材として更に微粒化した顔料を用いることが好ましいが、微粒化する方法も公知の方法が利用でき、例えば塩の存在下でミル破砕するソルトミリング法、ソルベントソルトミリング法等を挙げることができる。本発明においては、顔料化及び微粒化の方法も上記の方法に限定されるものではない。本発明で使用される顔料は、一次粒子の平均粒子径が10〜500nmの範囲であることが好ましく、30〜300nmの範囲であることがより好ましく、更には50〜200nmの範囲であることが最も好ましい。
成分(B)の分散剤としては、その種類は特に限定されるものではないが、分散安定性に優れる点から、(a)ポリ(低級アルキレンイミン)及び(b)ポリアリルアミンから選ばれる1種又は2種以上の含窒素化合物に、遊離のカルボキシル基を有する(i)ポリエステル、(ii)ポリアミド及び(iii)ポリエステルアミドから選ばれる1種又は2種以上のカルボキシル基含有化合物を反応させてアミド又は塩を形成させてなるグラフトポリマーを用いることが好ましい。
(a)ポリ(低級アルキレンイミン)は、一級(−NH2)、二級(−NH−)及び三級(−N<)のアミノ基を低級アルキレン鎖(−R−、例えば−CH2CH2−)で結合した分枝構造を有するポリマーであり。(b)ポリアリルアミンは、[−CH2−CH(CH2NH2)−]nなる構造を有するポリマーである。また、(i)、(ii)及び(iii)のカルボキシル基含有化合物は、末端又は側鎖等に少なくとも1つのカルボキシル基を有し、これが(a)又は(b)のアミノ基等の少なくとも一部と反応して−NHCO−又はNH3 +・−OCO−等を形成してグラフトポリマーを形成する。
上記グラフトポリマーは、顔料に吸着してアンカーの役割を果たす塩基性部分(a)又は(b)と、立体反発効果により分散性を付与する高分子鎖部分(i)、(ii)又は(iii)の両方を有する分散剤である。このようなグラフトポリマーの製造方法は公知であり、例えば特公昭63−30057号公報及び特開平9−169821号公報に開示されている。
また、グラフトポリマーの塩基性部分のサブフタロシアニン系顔料への吸着性をより高めるために、顔料骨格に酸性の官能基を導入した顔料誘導体型の分散助剤を分散剤と併用することもできる。上記の分散助剤は、色相の点から青色又は紫色のものが好ましく、例えば銅フタロシアニンのスルホン酸誘導体、サブフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、カルバゾールジオキサジンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
なお、成分(B)の分散剤は、上記のようなグラフトポリマーに限定されず、分散能を有するものであればよく、分散剤、分散促進剤等として市販されているもの又はその同等品を含む。樹脂類の中には、顔料の表面に吸着して顔料を分散させる働きを有するものがある。このような樹脂類は分散能を有するので分散剤に含まれる。したがって、成分(D)の感光性樹脂及び/又は単量体が分散能を有する場合は、これを分散剤として用いてもよい。ただし、高粘度物質である樹脂類は一般に分散を安定させる作用(分散安定能)は有するが分散能を有さず、このように分散能を有さないものは分散剤とは扱わない。本発明において、分散剤は樹脂成分の一成分となり得る。
成分(C)の溶剤としては、顔料の分散性と分散剤を配合した場合にはその溶解性に優れる点から、エステル類、ケトン類、グリコールエーテル類、含窒素系溶剤等を好ましく用いることができる。例えば、エステル類では酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等、ケトン類ではメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、グリコールエーテル類ではエチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル等、含窒素系溶剤ではジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等をそれぞれ挙げることができる。これらの溶剤は、配合される樹脂類及びその他の添加物の構成、顔料の耐溶剤性、塗布性に応じて適宜選択すれば良く、単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。
ここで、顔料分散体は、必須成分として前記成分(A)の着色材、成分(B)の分散剤及び成分(C)の溶剤を含有するが、全固形分は1〜40重量%であることが好ましく、5〜35重量%であることがより好ましい。成分(A)の配合率は、顔料分散体中1〜25重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることがより好ましい。また、成分(B)の配合率は、顔料に対して10〜60重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることがより好ましい。成分(B)の含有割合が顔料に対して10重量%未満では、顔料分散体の分散安定性が不十分となり、反対に60重量%を超えると、フォトリソグラフィー工程において有効な画素形成能が発揮できなくなる恐れがある。但し、成分(D)が分散能を有する場合には、60重量%を超えて含有されても差し支えない。なお、全固形分とは乾燥、硬化又は重合後に残存する成分をいう。通常は、溶剤等の揮発分以外の成分を除いたものが全固形分となる。また、成分(B)の含有割合の基準となる顔料の量は、着色材中の顔料の合計を意味する。
顔料分散体は顔料を分散剤と共に溶剤に分散させることで得られる。成分(D)及び成分(E)を含有させる場合は、これらを同時に加えて分散させて得ることもできるし、あらかじめ、成分(D)及び成分(E)を含有させずに第一の顔料分散体を作り、次に成分(D)及び成分(E)を配合して第二の顔料分散体を作り、これをカラーフィルター用組成物とすることができる。その製作方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えばペイントシェーカー、サンドミル、ビーズミル等による分散処理を挙げることができる。本発明で使用される顔料分散体又は組成物中の顔料は、その一次粒子径まで分散されていることが望ましい。すなわち、顔料分散体又は組成物中の顔料の平均粒子径は、10〜500nmの範囲であることが好ましく、30〜300nmの範囲であることがより好ましく、50〜200nmの範囲であることが最も好ましい。顔料の平均粒子径が500nmを超えると、光の透過率が低下し、また偏光を生じ易くなるため、明度に劣りコントラストの低いカラーフィルターとなり、反対に10nm未満では、顔料分散体の分散安定性が不十分となる。
カラーフィルター用組成物中の着色材の割合は、着色濃度等に応じて適宜選定されるが、組成物中の成分(A)の着色材と樹脂固形分(R)との(A)/(R)の重量比が0.05〜1.5の範囲であることが必要であり、好ましくは、0.1〜1の範囲である。この比が0.05に満たないと着色性能が十分発揮できず良好なカラーフィルターを形成できなくなり、また、1.5を超えるとフォトリソグラフィー工程において有効な画素形成能が発揮できなくなる。なお、樹脂固形分(R)は、前記成分(D)及び成分(D)以外の樹脂成分(モノマーを含む)の合計からなる。
成分(D)の感光性樹脂及び/又は単量体は、光重合性樹脂、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーの少なくとも1種以上から選ばれ、エチレン性不飽和結合を有するものである。カラーフィルター用組成物には硬化した状態で樹脂となるものを含めば良く、未硬化の状態では樹脂化していない成分のみが含まれる場合を含む。本発明における樹脂固形分には、樹脂化する前のモノマーやオリゴマーも固形分として扱うものとする。成分(D)は、カラーフィルターの製造プロセスを考慮して適宜選択すればよい。
光重合性樹脂、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。また、アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体等のビニル樹脂や、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル等の側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂類も挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、これらの樹脂は、現像性を高める目的で、側鎖にカルボキシル基、フェノール性水酸基等のアルカリ溶解性置換基を有していることが望ましい。
成分(D)の感光性樹脂及び/又は単量体の配合率は、本発明のカラーフィルター用組成物中の全固形分中40〜95重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましい。組成物中には、必要に応じて他の樹脂類等を配合することができるが、この場合には、他の樹脂類を合わせた合計量が上記範囲に入ることが望ましい。なお、全固形分とは乾燥、硬化後に固形分として残る成分をいい、溶剤を含まず、単量体を含む。
成分(E)の光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、p,p′−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−tert−ブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(N,N−ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン類、過酸化ベンゾイル、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等の硫黄化合物類等を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
光重合開始剤の配合率は、露光感度等に応じて適宜選択されるが、(D)成分に対して0.1〜20重量%であることが好ましく、更には0.5〜15重量%であることが好ましい。含有割合が0.1重量%未満では、感光性が不十分となり、反対に20重量%を超えると、レジストインキとしての保存安定性に欠ける。
本発明のカラーフィルター用組成物は、上記必須成分を含有する限りその製法は限定されないが、顔料、分散剤及び溶剤を主成分とする顔料分散体を予め製作し、その後、成分(D)及び(E)、必要により加えられる樹脂類及びその他の成分と混合することが有利である。
本発明のカラーフィルター用組成物は、上記成分以外に現像性や塗膜形成能を向上させる目的で、バインダー樹脂成分として、アルカリ溶解性を有する樹脂を加えても良い。例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられるが、主鎖又は側鎖にカルボキシル基を含有しアルカリ現像性に優れるものが好ましい。このようなものには、例えばアクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体等のビニル樹脂類が挙げられる。この他に、水酸基を有する樹脂に酸無水物を付加させたものなども有用である。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
なお、本発明のカラーフィルター用組成物は、必須成分として前記の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有するが、全固形分は1〜40重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。
カラーフィルター用組成物を製作する方法としては、予め前記サブフタロシアニン顔料を単独で又は他の顔料と共に分散剤を用いて溶剤に分散させた顔料分散体を製作し、これと樹脂成分、光重合開始剤等を配合する方法や、サブフタロシアニン系顔料を樹脂組成物中に直接分散させる方法等を挙げることができるが、カラーフィルター用組成物の安定性の点から前者の方法が好ましい。また、サブフタロシアニン系顔料を溶解できる高溶解性溶剤を用いてサブフタロシアニン化合物と感光性樹脂を含む組成物中に溶解させてカラーレジストインキとする方法もあるが、耐光性、耐熱性及び耐溶剤性の点で難があるために、顔料化しこれを分散する方法が最も好ましい。
本発明のカラーフィルター用組成物を硬化して得られる硬化物は、当該組成物を基板等に塗布し、光照射、加熱等で硬化させることによって得られる。組成物を塗布する方法としては公知の方法が利用でき、例えばスピンコーター、バーコーター、ダイコーター等の塗布装置による塗布を挙げることができる。塗布後は、ホットプレート、IRオーブン等を用いて乾燥を行なってもよい。
組成物に光照射する方法も公知の方法が利用でき、適用し得る露光光源は特に限定されるものではないが、例えばキセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源等が用いられる。ただし、塗布及び光照射の方法は上記の方法に限定されない。
かかる光源にて画像露光を行った後、現像すれば基板上に画像を形成することができる。現像液としては、未露光部分を溶解し露光部分溶解しない現像液であればいかなるものも用いることができる。具体時には、種々の添加物を含んだアルカリ溶液であり、添加物としては、有機溶剤、緩衝剤、界面活性剤等を含有することができる。現像処理方法については特に制限はないが、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法が用いられる。
また、塗膜の強度を上げる方法として、熱風オーブンによる加熱硬化を行ってもよい。組成物の硬化条件については特に制約はないが、組成物を硬化して得られる硬化膜の変色、褪色を防ぐために、加熱については250℃以下で1時間以内とすることが好ましい。なお、上記のカラーフィルター用組成物の硬化膜を用いてカラーフィルターを製作する方法としては、公知の方法を利用できる。
合成例1
テトラクロロフタロニトリル150部にo−ジクロロベンゼン588部を加え、窒素雰囲気下、室温で30分攪拌したのち、三臭化硼素71部を滴下する。その後、100℃までゆっくり加熱し、反応が穏やかになったら更に150〜180℃で10〜60分加熱撹拌を行なう。放冷後、析出物を濾取して、アセトン、炭酸水素ナトリウム水溶液、水、メタノールの順で洗浄し乾燥して、式(2)で示されるBr−ドデカクロロサブフタロシアニン硼素錯体68部(収率41%)を得た。次いで、この化合物を10倍量の濃硫酸に溶解させ、この溶液を氷水中に注加し析出した固体を濾取、水洗、乾燥して顔料Aを得た。
合成例2
テトラクロロフタロニトリル150部に1−クロロナフタレン300部を加え、窒素雰囲気下、室温で30分攪拌したのち、予め1mol/Lに三塩化硼素を溶解させておいたヘプタン溶液417部を滴下する。その後、180℃までゆっくり加熱し、更に200〜240℃で10〜60分加熱撹拌を行なう。放冷後、析出物を濾取して、アセトン、炭酸水素ナトリウム水溶液、水、メタノールの順で洗浄し乾燥して、式(3)で示されるCl−ドデカクロロサブフタロシアニン硼素錯体64部(収率40%)を得た。次いで、この化合物を10倍量の濃硫酸に溶解させ、この溶液を氷水中に注加し析出した固体を濾取、水洗、乾燥して顔料Bを得た。
この感光性樹脂を含む組成物475部に、実施例1で得られた分散体A525部を配合し、均一な溶液になるまで十分に攪拌してカラーフィルター用組成物1000部を製作した。こうして得られた組成物の固形分濃度は21.6重量%、全固形分中の顔料分の割合は24.3重量%であり、低粘度かつ低チクソトロピー性を示すものであった。
このようにして得られたカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmの青板ガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した。このとき、スピンコーターの回転数を変化させて試験片を製作した。この試験片を乾燥した後、フォトマスクを被せて200mJ/cm2の紫外線露光を行い露光部のカラーレジストインキを硬化させた。次いで試験片を0.4%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ現像して未露光部のカラーレジストインキを除去し、これを乾燥した。最後に試験片を熱硬化して、モデルカラーフィルターとしてのカラーレジストインキの硬化膜を製作した。
製作したモデルカラーフィルターの分光透過率、色度(x値、y値)及び明度(Y値)は、色度計(東京電色社製商品名:カラーアナライザーTC−1800MK2)を用いて測定したが、このときの測色用の光は標準の光Cとした。本実施例で得られたモデルカラーフィルターの分光透過率を図1に、色度及び明度を表1に示す。
参考例1
100部のピグメント・ブルー15:6に分散剤40部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート860部を配合し、ペイントシェーカーを用いて6時間の分散処理を行い、濾過してビーズを除去し、分散体C1000部を製作した。ここで、分散剤には、ポリアリルアミンに遊離のカルボキシル基を有するポリエステルを反応させてアミドを形成させたグラフトポリマーを用いた。また、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率15%で用いた。こうして得られた分散体Cの固形分濃度は14重量%、全固形分中の着色材の割合は71.4重量%であり、低粘度かつ低チクソトロピー性を示すものであった。また、分散体中の顔料の平均粒径は150nmであった。
この感光性樹脂を含む組成物475部に、実施例2で得られた分散体B262.5部、参考例1で得られた分散体C262.5部を配合し、均一な溶液になるまで十分に攪拌してカラーフィルター用組成物1000部を製作した。こうして得られた組成物の固形分濃度は21.6重量%、全固形分中の顔料分の割合は24.3重量%であり、低粘度かつ低チクソトロピー性を示すものであった。また、この組成物を実施例3と同様な方法にて、モデルカラーフィルターの分光透過率を測定した。その結果を図2に示す。
比較例1
顔料をピグメント・バイオレット23に変更した以外は実施例1と同様な方法にて顔料分散体化し、更に、実施例3と同様にしてカラーフィルター用組成物を作製した。この組成物について実施例3と同様な方法にて、モデルカラーフィルターの分光透過率及び色度、明度を測定した。その結果を図1及び表1に示す。
比較例2
顔料を下式(4)で示されるCl−サブフタロシアニン硼素錯体顔料に変更した以外は実施例1と同様な方法にて顔料分散体化し、更に、実施例3と同様にしてカラーフィルター用組成物を作製した。この組成物について実施例3と同様な方法にて、モデルカラーフィルターの分光透過率及び色度、明度を測定した。その結果を図1及び表1に示す。
比較例3
顔料分散体を参考例1で得られた分散体Cに変更した以外は実施例3と同様な方法にて、カラーフィルター用組成物を作製した。この組成物について実施例3と同様な方法にて、モデルカラーフィルターの分光透過率を測定した。その結果を図2に示す。
図1及び図2において、E3、E4、E5及びE6はそれぞれ実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6を意味し、C1、C2及びC3はそれぞれ比較例1、比較例2及び比較例3を意味する。図1に示したように、本実施例で得られたモデルカラーフィルターの分光特性は、比較例のモデルカラーフィルターの場合と比較して、三波長型蛍光ランプの青の発光を効果的に透過し、赤及び緑の発光を効果的に遮光することができる高水準の明彩度性を有するものであった。また、その硬化膜は、膜厚均一で凝集析出物等のない塗布性良好なものであった。
本発明のカラーフィルター用組成物からなるモデルカラーフィルターは、表1からも明らかなように、比較例のモデルカラーフィルターの場合と比較して、大幅にY値が増大しており、本発明によって高水準の明彩度性を有するカラーフィルターが得られることが判る。
図2に示したように、他の青色顔料と併用する場合においても、本実施例で得られたモデルカラーフィルターの分光特性は、比較例のモデルカラーフィルターの場合と比較して、短波長域(380〜460nm付近)の透過率を向上させ、三波長型蛍光ランプの青の発光(435nm付近)を効果的に透過し得る高水準の明彩度性を有するものであった。また、その硬化膜は、膜厚均一で凝集析出物等のない塗布性良好なものであった。
Claims (9)
- 一般式(1)で表されるサブフタロシアニン化合物からなる顔料において、X1〜X12のすべてがハロゲン原子である請求項1記載の顔料分散体。
- 分散剤の少なくとも一部が、(a)ポリ(低級アルキレンイミン)及び(b)ポリアリルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物に、(i)ポリエステル、(ii)ポリアミド及び(iii)ポリエステルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の遊離のカルボキシル基を有する化合物を反応させて得られるグラフトポリマーである請求項1又は2記載の顔料分散体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の顔料分散体において、顔料の平均粒子径が10〜500nmの範囲にある顔料分散体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の顔料分散体において、更に感光性樹脂及び/又は単量体、及び光重合開始剤を含有する顔料分散体。
- 請求項5記載の顔料分散体が、カラーフィルター用の画素形成に使用される組成物であることを特徴とするカラーフィルター用組成物。
- 請求項6又は7記載のカラーフィルター用組成物を硬化して得られる硬化物。
- 青色画素を形成する硬化膜が請求項8記載の硬化物からなるカラーフィルター。
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