JP2007256700A - カラーフィルター用組成物及びカラーフィルター - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、カラー液晶ディスプレイ等の画素に用いられるカラーフィルター用組成物、これを用いて形成された硬化物、及びカラーフィルターに関するものであり、特に、本発明のカラーフィルター組成物は、緑色画素を形成するのに好適である。
液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルターは通常、赤、青、緑の三原色の画素がモザイク様に配置された形態で使用され、これらの画素は顔料分散法、印刷法、染色法、インクジェット法、電着法等により作製される。特にフォトリソグラフィによって画像を形成させ、三原色の画素を製作する顔料分散法は、着色材として顔料を使用しているために、色相の鮮やかさ、耐光性、耐熱性及び耐溶剤性に優れていることから、カラーフィルター製造法の主流となっている。
カラーレジストインキに用いられる顔料は、その分光透過特性がバックライトの発光特性に合うように選択される。バックライトには種々の形式があるが、赤、緑、青の三原色に対応する波長(一般に、610nm、545nm、435nm)に鋭い発光を有する高演色性の三波長型蛍光ランプが広く用いられており、顔料にはこれら三波長の発光をそれぞれ効果的に透過又は遮光することが求められている。
従来、カラーフィルター用緑色画素形成に使用される顔料としては、ハロゲン化銅フタロシアニン(ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36等)がよく使用されている。このハロゲン化銅フタロシアニンは透明性や耐熱性に優れているが分光透過率の極大が緑色発光の545nmより数十nm短波長にあるため、緑色の発光を効果的に透過できないという問題がある。また、NTSC規格に定める緑色(CIE色度(x,y)=(0.21,0.71)、アメリカテレビジョン標準委員会が定めたテレビ用放送規格)よりも青みが強いため、液晶テレビ用としてより黄みが強い顔料が求められている。
そこで緑色顔料よりも長波長域における分光透過率が高い黄色顔料を併用して分光透過率を長波長側に移動させる操作がしばしば行われている。
そこで緑色顔料よりも長波長域における分光透過率が高い黄色顔料を併用して分光透過率を長波長側に移動させる操作がしばしば行われている。
黄色顔料としては、透過波形及び堅牢性の点からピグメントイエロー138、同139、同150が好ましい。しかし、これら黄色顔料と併用することは、カラーフィルター用組成物中の顔料割合が増えることとなり、その分、ポリマー等の反応性成分の割合が減ることで製版性の低下が起こり、また、分散安定性の異なる顔料を混合することによる分散安定性の低下が避けられない等の新たな問題が起こってしまう。これらを解決するような高水準の緑色カラーフィルター用組成物が求められており、例えば、ナフタロシアニン顔料を含有した緑色画像形成のためのカラーフィルター用組成物が特許文献1で、また、特定のxy色度座標領域を表示できるカラーフィルター用緑色顔料が特許文献2でそれぞれ開示されている。しかしながら、両者とも分光透過の半値幅が広く、これを改善する余地がある。また、ハロゲン以外の置換基を有するフタロシアニンを含有したカラーフィルター用組成物が特許文献3で開示されているが、当該フタロシアニン化合物は水溶性の官能基を有するフタロシアニン染料であり、黄色染料と併用するものである。
一方、スルファニル基を有するフタロシアニン化合物が知られており、例えば、特許文献4ではアルキルスルファニル及びフェニルスルファニル基を有するフタロシアニン化合物が光記録媒体の有機色素材料として使用されているが、着色材としては使用しておらず、本発明とは用途や利用形態が異なり、カラーフィルターの緑色画像形成のための使用については何ら示されていない。また、非特許文献1及び2にはフタロシアニン化合物の合成法が開示されているが、緑色画像を形成するための組成物の開示はない。
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑みなされたもので、カラー液晶ディスプレイ等に用いたとき高い彩度を有する緑色画像形成のための新規なカラーフィルター用組成物及びこれを用いて形成されるカラーフィルターを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために検討した結果、本発明者等は、特定の着色材成分を含有したカラーフィルター用組成物が緑色画像形成のためのカラーフィルター用組成物に適して用いることができ、これを用いて形成されるカラーフィルターが高い彩度を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、着色材、分散剤、溶剤、及び硬化性ポリマー及び/又は硬化性単量体を含むカラーフィルター用組成物であって、着色材成分として下記一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物を含み、分散剤を着色材成分に対して10〜60重量%含有することを特徴とするカラーフィルター用組成物である。
(但し、Xはアルキル基又はアリール基、nは各々個別に1から4の整数であり、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の1置換金属原子又は4価の2置換金属原子を示す。)
また、本発明は、一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物が全着色材中に20重量%含まれる上記記載のカラーフィルター用組成物であり、更に、本発明は、一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物のnが1又は2であり、Mが2個の水素原子又は2価の金属原子である上記記載のカラーフィルター用組成物であり、更にまた、本発明は、分散剤の主成分が(a)ポリ(低級アルキレンイミン)及び(b)ポリアリルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物に、(i)ポリエステル、(ii)ポリアミド及び(iii)ポリエステルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の遊離のカルボキシル基を有する化合物を反応させて得られるグラフトポリマーである上記記載のカラーフィルター用組成物である。
更には、本発明は、前記記載のカラーフィルター用組成物を硬化して得られる硬化物であり、更にまた、本発明は、緑色画素を形成する硬化膜が上記記載の硬化物からなるカラーフィルターである。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記記載のフタロシアニン化合物について、nは各々個別に1から4の整数であるが、色特性の点から1から2が好ましく、1がより好ましい。また、置換基Xはアルキル基又はアリール基であるが、分子のスタッキングを向上させる点で小さい置換基が有利であり、炭素数が1から4までのアルキル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記記載のフタロシアニン化合物について、nは各々個別に1から4の整数であるが、色特性の点から1から2が好ましく、1がより好ましい。また、置換基Xはアルキル基又はアリール基であるが、分子のスタッキングを向上させる点で小さい置換基が有利であり、炭素数が1から4までのアルキル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記記載のフタロシアニン化合物について、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の1置換金属原子又は4価の2置換金属原子である。Mで表される2価の金属原子の具体的な例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Cu、Zn、Cd、Hg、Sn、Pb等を、3価の1置換金属原子の具体的な例としては、AlY、GaY、InY、TlY、FeY、RuY、MnY等を、4価の2置換金属原子の具体的な例としては、SiY2、GeY2、SnY2、MnY2、CrY2、TiY2、ZrY2、MnO、VO、TiO等を挙げることができる。ここで、Yはハロゲン原子、ヒドロキシル基等の1価の配位子を示す。このうち、化合物の堅牢性に優れることから2価の金属原子が好ましく、銅原子がより好ましい。
上記の構造を有するフタロシアニン化合物のうち、特に好ましいものとしては、テトラキスメチルスルファニル無金属フタロシアニン、テトラキスメチルスルファニル銅フタロシアニン、テトラキスメチルスルファニル亜鉛フタロシアニン、テトラキスエチルスルファニル無金属フタロシアニン、テトラキスエチルスルファニル銅フタロシアニン、テトラキスエチルスルファニル亜鉛フタロシアニン、テトラキスプロピルスルファニル無金属フタロシアニン、テトラキスプロピルスルファニル銅フタロシアニン、テトラキスプロピルスルファニル亜鉛フタロシアニン、テトラキスブチルスルファニル無金属フタロシアニン、テトラキスブチルスルファニル銅フタロシアニン、テトラキスブチルスルファニル亜鉛フタロシアニン、テトラキスフェニルスルファニル無金属フタロシアニン、テトラキスフェニルスルファニル銅フタロシアニン、テトラキスフェニルスルファニル亜鉛フタロシアニン、オクタキスメチルスルファニル無金属フタロシアニン、オクタキスメチルスルファニル銅フタロシアニン、オクタキスメチルスルファニル亜鉛フタロシアニン、オクタキスエチルスルファニル無金属フタロシアニン、オクタキスエチルスルファニル銅フタロシアニン、オクタキスエチルスルファニル亜鉛フタロシアニン、オクタキスプロピルスルファニル無金属フタロシアニン、オクタキスプロピルスルファニル銅フタロシアニン、オクタキスプロピルスルファニル亜鉛フタロシアニン、オクタキスブチルスルファニル無金属フタロシアニン、オクタキスブチルスルファニル銅フタロシアニン、オクタキスブチルスルファニル亜鉛フタロシアニン、オクタキスフェニルスルファニル無金属フタロシアニン、オクタキスフェニルスルファニル銅フタロシアニン、オクタキスフェニルスルファニル亜鉛フタロシアニン等を挙げることができる。これらフタロシアニン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色材は、上記フタロシアニン化合物を含んでなるがそれを着色材の主成分として含有することが有利であり、上記フタロシアニン化合物を全着色材中20重量%以上含有するのが好ましく、50重量%以上含有するのがより好ましい。20重量%未満では本発明における効果を十分に発揮することができない。本発明における着色材とは、顔料、染料等をいうが、本発明の着色材は顔料であることが好ましく、上記フタロシアニン化合物は顔料として用いることを意味する。ここで顔料とは、溶剤に実質的に溶解しない着色材をいい、分散剤を併用することでカラーフィルター用組成物中に分散されて存在するものである。本発明におけるフタロシアニン化合物は、単独でも高い彩度の緑色画素を形成することができるが、他の顔料や染料の併用を排除するものではない。緑色のカラーフィルター用組成物を調製するために適した他の着色材としては、色相の点から緑色又は黄色の顔料が好ましいく、例えばピグメント・グリーン4、同7、同10、同36、ピグメント・イエロー109、同110、同117、同128、同129、同138、同139、同150、同153、同155、同173、同185等を挙げることができる。尚、併用可能な顔料はこれらに限定されるものではない。
本発明において、カラーフィルター用組成物における着色材の配合割合については、着色材をカラーフィルター用組成物の固形分中5〜60重量%含むことが好ましく、10〜50重量%含むことがより好ましい。ここで、カラーフィルター用組成物の固形分とは、カラーフィルター用組成物の溶剤以外の成分をいう。着色材の含有量が5重量%より少ないと、着色力が不十分であり高明彩な緑色が得られない。反対に60重量%より多いと、分散安定性が悪化する傾向にあり、また、組成物中における硬化性ポリマー等の反応成分の相対量が少なくなることから、フォトリソグラフィ工程におけるパターン形成に問題が生じるおそれがある。
上記フタロシアニン化合物の平均粒径については、好ましくは10〜500nmであるのがよく、より好ましくは50〜400nmであるのがよい。平均粒径が10nmより小さい場合は、着色力や耐候性が不十分となり高明彩な緑色が得られない。また、平均粒径が500nmより大きい場合は、色相の鮮やかさや透明性が不十分となり、やはり高明彩な緑色が得られない。
上記記載のフタロシアニン化合物の合成法については、例えば上記非特許文献1及び2等の方法を用いることができる。具体的にはフタロニトリル誘導体1モルと金属塩を加熱攪拌することにより得られる。上記方法で合成した化合物はアセトン、アルコール等の低沸点溶剤で洗浄することにより精製し高純度で得られることができる。但し、合成法及び精製法は上記の方法に限定されない。
分散剤としては、その種類は特に限定されるものではないが、分散安定性に優れる点から、(a)ポリ(低級アルキレンイミン)及び(b)ポリアリルアミンから選ばれる1種又は2種以上の含窒素化合物に、遊離のカルボキシル基を有する(i)ポリエステル、(ii)ポリアミド及び(iii)ポリエステルアミドから選ばれる1種又は2種以上のカルボキシル基含有化合物を反応させてアミド又は塩を形成させてなるグラフトポリマーを用いることが好ましい。
(a)ポリ(低級アルキレンイミン)は、一級(-NH2)、二級(-NH-)及び三級(-N<)のアミノ基を低級アルキレン鎖(-R-、例えば-CH2CH2-)で結合した分枝構造を有するポリマーであり、(b)ポリアリルアミンは、[-CH2-CH(CH2NH2)-]nなる構造を有するポリマーである。また、(i)、(ii)及び(iii)のカルボキシル基含有化合物は、末端又は側鎖等に少なくとも1つのカルボキシル基を有し、これが(a)及び(b)の-NH2等の少なくとも一部と反応して-NHCO-又はNH3 +・-OCO-等を形成してグラフトポリマーを形成する。
分散剤の配合率は、着色材に対して10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%である。分散剤の含有割合が顔料に対して10重量%未満では、顔料分散体の分散安定性が不十分となり、反対に60重量%を超えると、フォトリソグラフィー工程において有効な画素形成能が発揮できなくなる。なお、樹脂類のような高粘度物質は一般に分散を安定させる作用をも有するが、分散促進能を有しないものは分散剤とは扱わない。しかし、分散を安定させる目的で使用することを制限するものではない。
本発明のカラーフィルター用組成物には、着色材表面への分散剤の吸着性の向上、着色材表面のぬれ性の向上、静電反発効果による分散安定性の向上等を目的として、分散助剤と呼ばれる改質剤を配合することもできる。ここで、分散助剤としては、顔料骨格に種々の官能基を導入した顔料誘導体型の分散助剤を好ましく用いることができるが、色相の点で緑色ないし黄色の顔料誘導体がより好ましく、例えば、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キノフタロン誘導体、イソインドリン誘導体、イソインドリノン誘導体、アゾ顔料の誘導体等を挙げることができる。これら顔料誘導体型の分散助剤の配合量は特に限定されるものではないが、分散安定性の点でフタロシアニン化合物に対して0〜30重量%であることが好ましく、0〜20重量%であることがより好ましい。なお、用いられた顔料誘導体型の分散助剤は、分散助剤として機能すると同時にカラーフィルター用組成物の着色材の一成分としても機能する。
硬化性ポリマー及び/又は単量体については、例えば光重合性ポリマー、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーの少なくとも1種以上から選ばれ、エチレン性不飽和結合を有するものを例示することができる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。また、アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体等のビニルポリマーや、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル等の側鎖にエチレン性二重結合を有するポリマー類も挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらのポリマーは、現像性を高める目的で、側鎖にカルボキシル基、フェノール性水酸基等のアルカリ溶解性置換基を有していることが望ましい。
また、硬化性ポリマーについて、上記記載の光硬化性ポリマー以外のポリマーであって、例えば、熱硬化性ポリマーを使用することもできる。熱硬化性ポリマーとしては熱重合性ポリマー、熱重合性モノマー及び熱重合性オリゴマーの少なくとも1種以上から選ばれるもので、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート(共)重合体等のグリシジル基含有化合物や、3,4−エポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物等が挙げられるが、上記以外の公知の硬化性ポリマーも使用することができる。
硬化性ポリマー及び/又は単量体は、硬化した状態でポリマーとなるものを含めばよく、未硬化の状態では樹脂化していない成分のみが含まれる場合を含む。上記硬化性ポリマー及び/又は単量体は、カラーフィルターの製造プロセスを考慮して適宜選択すればよい。
溶剤としては、エステル類、ケトン類、エーテル類、エーテルアルコール類、エーテルエステル類、芳香族系溶剤、含窒素系溶剤等を好ましく用いることができる。具体的には、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。ケトン類としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等を挙げることができる。エーテル類としては、モノグライム、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。エーテルアルコール類としては、セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。エーテルエステル類としては、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等を挙げることができる。芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレン、クメン等を挙げることができる。含窒素系溶剤としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらは配合される感光性樹脂やその他の成分の構成、カラーフィルター用組成物の塗布性等に応じて適宜選択されればよく、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、p,p′−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−tert−ブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(N,N−ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン類、過酸化ベンゾイル、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等の硫黄化合物類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のカラーフィルター用組成物の製造方法については特に制限されるものではないが、上記記載のフタロシアニン化合物を必須成分とする着色材を分散剤と共に溶剤に分散させた分散液を予め調製し、硬化性ポリマー及び/又は単量体、及び必要により加えられるその他の成分を配合してカラーフィルター用組成物を作製する方法が有利である。また、着色材を硬化性ポリマー及び/又は単量体中に直接分散させてカラーフィルター用組成物を作製する方法もあるが、カラーフィルター用組成物の安定性の点で前者の方法が好ましい。
本発明のカラーフィルター用組成物を硬化して得られる硬化物は、カラーフィルター用組成物を基板等に塗布し、光照射、加熱等で硬化させることによって得られる。カラーフィルター用組成物を塗布する方法としては公知の方法が利用でき、例えば、スピンコーター、バーコーター等による塗布を挙げることができる。また、塗布後は、ホットプレートや減圧乾燥機等を用いてカラーフィルター用組成物の乾燥を行うことが好ましい。但し、塗布及び乾燥の方法は上記に限定されない。
光照射による硬化の方法については公知の方法が利用でき、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯等を光源とする光照射等を挙げることができる。かかる光照射を行う際、フォトマスク等を用いて画像露光を行い、現像液で処理すれば基板上に画像を形成することができる。現像液としては、未露光部分を溶解し露光部分を溶解しない現像液であれば特に制限はないが、種々の添加剤を含むアルカリ水溶液であることが好ましい。ここで、現像液の添加剤としては、例えば、有機溶剤、界面活性剤等を挙げることができる。現像方法についても公知の方法が利用でき、例えば、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等を挙げることができる。光照射及び現像の方法も特に限定されるものではない。
加熱硬化の方法も公知の方法が利用でき、例えば、ホットプレート、熱風オーブン等による加熱焼成等を挙げることができるが、これらに限定されない。
カラーフィルター用組成物の硬化条件については特に制約はないが、カラーフィルター用組成物の変色や褪色を防ぐために、光照射については1000mJ/cm2以下、加熱については270℃以下で1時間以内とすることが好ましい。
なお、上記のカラーフィルター用組成物の硬化膜を用いてカラーフィルターを製作する方法としては、公知の方法を利用できる。
なお、上記のカラーフィルター用組成物の硬化膜を用いてカラーフィルターを製作する方法としては、公知の方法を利用できる。
本発明におけるカラーフィルター用組成物及びカラーフィルターは、バックライトの緑色発光特性に近似した分光透過特性により高い彩度のカラーフィルター等の製造を可能にすることができる。特に、本発明のカラーフィルター用組成物は、着色材として上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含んでおり、他の顔料等と併用しなくても高明彩の緑色画像を形成することができる。そのため、組成物中における顔料の相対量を少なくすることができて分散安定性に優れる。また、ポリマー等の反応性成分の割合を増やすことができるため、画素形成において良好なパターンを得ることができると共に、より高い架橋密度の硬化物を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、以下における「部」はいずれも重量部を示す。
(カラーフィルター用組成物の作製)
テトラキスメチルスルファニル化銅フタロシアニン顔料(一般式(1)のX=メチル基、n=1、M=Cuに相当)100部に、カチオン性高分子系分散剤50部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート850部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次にビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂の56.2重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(新日鐵化学社製商品名:V−259ME)69部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート26部、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(新日鐵化学社製商品名:ESF-300)6部、光開始剤6部、乳酸エチル90部、界面活性剤1部及びシランカップリング剤2部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー200部を得た。これに上記の分散液800部を配合し、十分に攪拌してカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
テトラキスメチルスルファニル化銅フタロシアニン顔料(一般式(1)のX=メチル基、n=1、M=Cuに相当)100部に、カチオン性高分子系分散剤50部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート850部を配合し、ペイントシェーカーを用いて3時間の分散処理を行い分散液1000部を得た。ここで、ペイントシェーカーのメディアには、0.4mmφジルコニアビーズを充填率20%で用いた。次にビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂の56.2重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(新日鐵化学社製商品名:V−259ME)69部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート26部、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(新日鐵化学社製商品名:ESF-300)6部、光開始剤6部、乳酸エチル90部、界面活性剤1部及びシランカップリング剤2部を配合し、十分に攪拌して硬化性ポリマー200部を得た。これに上記の分散液800部を配合し、十分に攪拌してカラーフィルター用組成物1000部を作製した。
(モデルカラーフィルターの製作)
上記方法で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmの青板ガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上80℃で3分間乾燥させた後、フォトマスクを被せて200mJ/cm2の紫外線露光を行い、露光部のカラーフィルター用組成物を硬化させた。次に、試験片を0.4%炭酸ナトリウム水溶液に60秒間浸漬して現像を行い、未露光部のカラーフィルター用組成物を除去した。最後に試験片を熱風オーブン中230℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターA)を製作した。
上記方法で得たカラーフィルター用組成物を、5インチ角、厚さ1mmの青板ガラス上にスピンコーターを用いて塗布し、試験片を作製した。この試験片をホットプレート上80℃で3分間乾燥させた後、フォトマスクを被せて200mJ/cm2の紫外線露光を行い、露光部のカラーフィルター用組成物を硬化させた。次に、試験片を0.4%炭酸ナトリウム水溶液に60秒間浸漬して現像を行い、未露光部のカラーフィルター用組成物を除去した。最後に試験片を熱風オーブン中230℃で20分間焼成し、モデルカラーフィルターとしてのカラーフィルター用組成物の硬化膜(モデルカラーフィルターA)を製作した。
テトラキスメチルスルファニル化銅フタロシアニン顔料(一般式(1)のX=フェニル基、n=1、M=Cuに相当)100部に代えて、フェニルスルファニル化銅フタロシアニン100部を用い、実施例1と同様の処理を行って、分散液、及びカラーフィルター用組成物を得てモデルカラーフィルターBを製作した。
[比較例1]
テトラキスメチルスルファニル化銅フタロシアニン顔料100部に代えて、塩臭素化銅フタロシアニングリーン顔料(ピグメント・グリーン36)100部を用い、実施例1と同様の処理を行って、分散液、及びカラーフィルター用組成物を得てモデルカラーフィルターXを製作した。
テトラキスメチルスルファニル化銅フタロシアニン顔料100部に代えて、塩臭素化銅フタロシアニングリーン顔料(ピグメント・グリーン36)100部を用い、実施例1と同様の処理を行って、分散液、及びカラーフィルター用組成物を得てモデルカラーフィルターXを製作した。
[比較例2]
テトラキスメチルスルファニル化銅フタロシアニン顔料100部に代えて、塩素化銅フタロシアニングリーン顔料(ピグメント・グリーン7)とピグメントイエロー139を合わせて100部用い、実施例1と同様の処理を行って、分散液、及びカラーフィルター用組成物を得てモデルカラーフィルターYを製作した。
なお、フタロシアニン顔料とピグメントイエロー139の混合比はモデルカラーフィルターの色度(x、y値)が実施例1と一致するように設定した。
テトラキスメチルスルファニル化銅フタロシアニン顔料100部に代えて、塩素化銅フタロシアニングリーン顔料(ピグメント・グリーン7)とピグメントイエロー139を合わせて100部用い、実施例1と同様の処理を行って、分散液、及びカラーフィルター用組成物を得てモデルカラーフィルターYを製作した。
なお、フタロシアニン顔料とピグメントイエロー139の混合比はモデルカラーフィルターの色度(x、y値)が実施例1と一致するように設定した。
実施例、及び比較例で製作したモデルカラーフィルターの分光透過率及び色度(x値、y値)は、色度計(東京電色社製商品名:カラーアナライザーTC−1800MK2)を用いて測定した。この際、測色用の光は国際照明委員会(CIE)により規定される側色用補助イルミナントCとした。上記で得られたモデルカラーフィルターの分光透過率を図1に、色度を図2に示す。
図1は実施例及び比較例で得られたモデルカラーフィルターの分光透過率を比較したものであり、図2は顔料濃度を一定にした時の膜厚の変化に伴う色度の変化をプロットしたものである。図1に示すように、実施例1及び2のモデルカラーフィルターA及びBは、540nm付近に分光透過率の極大を有するため、三波長型蛍光ランプの緑色の発光(545nm)を効果的に透過することができた。さらに、比較例1と比べその透過波長域が長波長側にあるため黄みが強く、図2に示すように、NTSC規格の緑色により近づいた。
また、下記表1は、実施例1と比較例2の場合において、使用した顔料の濃度をそれぞれカラーフィルター用組成物の固形分中40%で一定にし、かつ、モデルカラーフィルターが一定の色度(x=0.23,y=0.57)になるように設定した時のモデルカラーフィルターの膜厚の差を比較したものである。膜厚が薄い程、ガラス基板の単位面積上の硬化膜中の顔料量が少ないことを意味し、着色力が強い顔料であると評価できる。つまり、同じ色度、同じ膜厚では、実施例1は比較例2より顔料濃度を少なくすることが可能であるので製版性に優れたカラーフィルターの作製が可能となる。
Claims (7)
- 一般式(1)で示されるフタロシアニン化合物が全着色材中に20重量%以上含まれる請求項1に記載のカラーフィルター用組成物。
- 一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物のnが1又は2であり、Mが2個の水素原子又は2価の金属原子である請求項1又は2に記載のカラーフィルター用組成物。
- 分散剤が、(a)ポリ(低級アルキレンイミン)及び(b)ポリアリルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物に、(i)ポリエステル、(ii)ポリアミド及び(iii)ポリエステルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の遊離のカルボキシル基を有する化合物を反応させて得られるグラフトポリマーを含む請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
- 硬化性ポリマー及び/又は単量体が光硬化性ポリマー及び/又は単量体であり、更に光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用組成物を硬化して得られる硬化物。
- 緑色画素を形成する硬化膜が請求項6記載の硬化物からなるカラーフィルター。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009116244A1 (ja) * | 2008-03-19 | 2009-09-24 | Jsr株式会社 | 緑色画素、緑色画素形成用感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子 |
JP2013238859A (ja) * | 2013-06-10 | 2013-11-28 | Nippon Steel & Sumikin Chemical Co Ltd | 貯蔵安定性に優れたインジェットカラーフィルター用インキ組成物、並びにこのインキ組成物を用いて得たインクジェットカラーフィルター硬化膜及びカラーフィルター |
JP2019144543A (ja) * | 2018-02-16 | 2019-08-29 | 三菱ケミカル株式会社 | 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置 |
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2006
- 2006-03-24 JP JP2006081966A patent/JP2007256700A/ja not_active Withdrawn
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