JPWO2004020330A1 - 水の熱化学的分解方法 - Google Patents
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Abstract
持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成であって、(A)アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属水酸化物の熱分解による異常酸化数酸化物及び水素の生成、及び(B)該異常酸化数酸化物と水との反応による金属水酸化物及び酸素の生成、からなるサイクルを含む。金属水酸化物は、アルミノケイ酸等の多孔質担体に担持される。従来のサイクルに比べて、低温の熱源を効率よく利用でき、しかも、環境に問題となる副生物の発生がなく、腐食性物質を使用しない。
Description
本発明は、水の熱化学的分解方法、該方法に適した水の熱化学的分解触媒、及び水の熱分解装置に関する。本発明は、原子炉、核融合炉、発電プラント、ゴミなどの廃棄物焼却炉、製鉄プラント、化学プラントなどで生ずる廃熱などの熱を高度利用して水素などの有用資源を製造する技術に関する。
近年、エネルギーの需要は急激に増加しており、それに伴う環境への影響と資源の涸渇が取り沙汰されるようになってきた。そのため、その両者の問題を解決できる新しいエネルギー源が求められている。そのなかでも、水素はクリーンエネルギー源の一つとして注目されている。
水素は非常に有用な資源物質であり、様々な用途に利用されている。さらに、水素は宇宙的には非常に豊富に存在する元素であり、また、近年、クリーンなエネルギー源として地球環境の保全の視点からも注目されている。水素は、燃焼により水を生成するのみであるし、水から水素を生成できれば涸渇の心配のないエネルギー源となる可能性がある。すなわち、水素は燃焼することで熱エネルギーに、また内燃機関に用いることで力学的エネルギーに、さらに燃料電池に用いることで電気エネルギーに変換でき、変換後に再び水に戻る再生可能なクリーンエネルギーシステムを構築できうるのである。水素は他のエネルギー源にはない利点が多く見られるが、その特徴は次のようにまとめられる。
(1)化石燃料と異なり、燃料生成物は水のみで温室効果の心配もなく、クリーンなエネルギーシステムを形成できる。
(2)水力、原子力、自然エネルギー、バイオマス、化石燃料などの一次エネルギーを利用して生産される二次エネルギーで、自然界には単独で存在しない。
(3)液体水素や水素化物質により、遠距離輸送、大量輸送ができ、また、水素吸蔵合金により安全なエネルギー貯蔵ができる。
(4)工業用燃料、自動車や航空機などの動力用燃料、電気事業用燃料電池や水素タービン、ニッケル水素電池などの用途がある。
(5)気体となって漏洩しやすく、目に見えない。空気との混合比が4〜75%で爆発しやすくなる。
一方で、水素は化学工業用の原料としても利用されている。現在、利用されている水素は、メタノールなどの有機物合成(C1化学)や、アンモニア合成、石油精製などの原料として用いられているものが大半である。いずれも、今日において重要な分野を占めており、今後、化学工業、半導体素子製造工業、食品加工等の各種の産業分野で工業原料としてもさらに大きな役割を果たしていくことが期待される。
以上のことから、水素は2つの方面、エネルギー源と化学工業などの原料としての期待が今後大きくなっていくことが考えられ、それに伴って、水素の製造も重要になっている。
しかしながら、水素は活性の非常に強い物質で必ず他の分子と結合して存在し、地球上にはそのままの形態、すなわち単独では存在せず、人工的に作り出さねばならない。つまり、効率よく安価に水素化合物の結合を切り、水素分子を抽出することが永年の課題であった。現在、水素はそのほとんどを天然ガス等の化石燃料を改質することにより製造されているが、この方法では炭酸ガスなどを副生するなど大きな環境上の問題がある。
こうしたなか、化石燃料の代替えエネルギーとしての水素の製造法としては、無尽蔵の資源である水の分解(反応▲1▼)による他は考えられない。
▲1▼H2O→ H2+1/2O2
この反応を起こすのに必要なエネルギー自体はどのような経路を用いても同じである。ただし、加えるエネルギーの形態によってエネルギーコストは異なる。
一般的には、電気エネルギーを利用した場合は、熱エネルギーの1/3程度がその変換に利用されるに過ぎないと考えられ、したがって、電気分解法に要するエネルギーが最もコスト的に高いはずであり、一方、光(フォトン)エネルギーはエネルギー密度の問題から未だ開発段階に留まっている。一般に水を直接熱分解するにはギブス自由エネルギーの収支が0になる4100℃以上もの反応温度が必要である。このように、熱エネルギーを用いた水の分解については、熱力学的制約が深刻な問題であり、これを克服するために種々の化学反応サイクルが提案されてきた(例えば、図7参照)が、いずれのサイクルにおいても、運転温度が高温で、かつ、腐食性の強いガスを用いるために、容器の腐食や触媒の耐久性の問題が生じており基礎研究の段階にある。しかし、反応▲1▼に代表される大きな吸熱反応《熱エネルギーの化学的エネルギーへの変換》は、大きなΔSをもつ反応を媒体として使うことによって、変換効率(ΔH/TΔS)を高めることが可能であることから、クリーンケミストリーの視点からも、化学者が取り組むべき最大の課題と考えられる。
熱エネルギーを用いて水を分解する場合でも、一般的には、分解反応が低い温度で起こすことができればできるほど熱エネルギーのコストを低下せしめることができる(例、廃熱利用、地熱の利用、太陽熱の利用)。しかし、分解温度の設定は、汎用エネルギー供給源にも依存する(例えば、高温工学試験研究炉(High Temperature Engineering Test Reactor:HTTR)や太陽集光炉を利用する場合は600℃〜800℃の温度領域が最適温度と言われている)。
これまで、原子力発電の核熱による高温ガス炉や太陽光による集光炉を用いれば、500〜1000℃の温度範囲が比較的容易に得られることから、1000℃以下の温度で働くサイクルが考案されてきた。このようなものとして、ヨーロッパ共同体のイスプラ研究所から提出されたのが、マークIと称する熱化学分解法(図7参照)で、これは1000℃以下で進行する4つの熱化学反応を組み合わせて全体で水から水素と酸素を得るサイクル反応であったが、このマークIは反応式通りにいかないことからその開発は打ち切られた。しかしながら、こうした試みから、反応を数段組み合わせることで、より低温で水を熱分解する可能性が示唆されることとなった。かくして、以来、多くのサイクルが世界中で提出されてきた。日本では東京大学のUT−3サイクルと日本原子力研究所のISサイクル等が研究されている(図7参照)。
UT−3サイクルは、図7の中段で示されるような反応サイクルを利用するもので、該反応サイクルは700℃以下の気体と固相の反応のみから成り立ち、カルシウムと鉄の化合物が反応式上、臭化物と酸化物の間を往復して、カルシウム側から酸素を、鉄側から水素を発生するというもので、固体反応物は全く移動させる必要がない、という特徴を有するものである。一方、ISサイクルは、図7の下段で示されるような反応サイクルを利用するもので、それは沃素(I)と硫黄(S)の反応系、すなわちISの反応系である。しかし、これらの反応サイクルは反応系にハロゲンを含むものが多く、反応器や導管に用いられるステンレスの腐食が大きな問題となっている。
水素は非常に有用な資源物質であり、様々な用途に利用されている。さらに、水素は宇宙的には非常に豊富に存在する元素であり、また、近年、クリーンなエネルギー源として地球環境の保全の視点からも注目されている。水素は、燃焼により水を生成するのみであるし、水から水素を生成できれば涸渇の心配のないエネルギー源となる可能性がある。すなわち、水素は燃焼することで熱エネルギーに、また内燃機関に用いることで力学的エネルギーに、さらに燃料電池に用いることで電気エネルギーに変換でき、変換後に再び水に戻る再生可能なクリーンエネルギーシステムを構築できうるのである。水素は他のエネルギー源にはない利点が多く見られるが、その特徴は次のようにまとめられる。
(1)化石燃料と異なり、燃料生成物は水のみで温室効果の心配もなく、クリーンなエネルギーシステムを形成できる。
(2)水力、原子力、自然エネルギー、バイオマス、化石燃料などの一次エネルギーを利用して生産される二次エネルギーで、自然界には単独で存在しない。
(3)液体水素や水素化物質により、遠距離輸送、大量輸送ができ、また、水素吸蔵合金により安全なエネルギー貯蔵ができる。
(4)工業用燃料、自動車や航空機などの動力用燃料、電気事業用燃料電池や水素タービン、ニッケル水素電池などの用途がある。
(5)気体となって漏洩しやすく、目に見えない。空気との混合比が4〜75%で爆発しやすくなる。
一方で、水素は化学工業用の原料としても利用されている。現在、利用されている水素は、メタノールなどの有機物合成(C1化学)や、アンモニア合成、石油精製などの原料として用いられているものが大半である。いずれも、今日において重要な分野を占めており、今後、化学工業、半導体素子製造工業、食品加工等の各種の産業分野で工業原料としてもさらに大きな役割を果たしていくことが期待される。
以上のことから、水素は2つの方面、エネルギー源と化学工業などの原料としての期待が今後大きくなっていくことが考えられ、それに伴って、水素の製造も重要になっている。
しかしながら、水素は活性の非常に強い物質で必ず他の分子と結合して存在し、地球上にはそのままの形態、すなわち単独では存在せず、人工的に作り出さねばならない。つまり、効率よく安価に水素化合物の結合を切り、水素分子を抽出することが永年の課題であった。現在、水素はそのほとんどを天然ガス等の化石燃料を改質することにより製造されているが、この方法では炭酸ガスなどを副生するなど大きな環境上の問題がある。
こうしたなか、化石燃料の代替えエネルギーとしての水素の製造法としては、無尽蔵の資源である水の分解(反応▲1▼)による他は考えられない。
▲1▼H2O→ H2+1/2O2
この反応を起こすのに必要なエネルギー自体はどのような経路を用いても同じである。ただし、加えるエネルギーの形態によってエネルギーコストは異なる。
一般的には、電気エネルギーを利用した場合は、熱エネルギーの1/3程度がその変換に利用されるに過ぎないと考えられ、したがって、電気分解法に要するエネルギーが最もコスト的に高いはずであり、一方、光(フォトン)エネルギーはエネルギー密度の問題から未だ開発段階に留まっている。一般に水を直接熱分解するにはギブス自由エネルギーの収支が0になる4100℃以上もの反応温度が必要である。このように、熱エネルギーを用いた水の分解については、熱力学的制約が深刻な問題であり、これを克服するために種々の化学反応サイクルが提案されてきた(例えば、図7参照)が、いずれのサイクルにおいても、運転温度が高温で、かつ、腐食性の強いガスを用いるために、容器の腐食や触媒の耐久性の問題が生じており基礎研究の段階にある。しかし、反応▲1▼に代表される大きな吸熱反応《熱エネルギーの化学的エネルギーへの変換》は、大きなΔSをもつ反応を媒体として使うことによって、変換効率(ΔH/TΔS)を高めることが可能であることから、クリーンケミストリーの視点からも、化学者が取り組むべき最大の課題と考えられる。
熱エネルギーを用いて水を分解する場合でも、一般的には、分解反応が低い温度で起こすことができればできるほど熱エネルギーのコストを低下せしめることができる(例、廃熱利用、地熱の利用、太陽熱の利用)。しかし、分解温度の設定は、汎用エネルギー供給源にも依存する(例えば、高温工学試験研究炉(High Temperature Engineering Test Reactor:HTTR)や太陽集光炉を利用する場合は600℃〜800℃の温度領域が最適温度と言われている)。
これまで、原子力発電の核熱による高温ガス炉や太陽光による集光炉を用いれば、500〜1000℃の温度範囲が比較的容易に得られることから、1000℃以下の温度で働くサイクルが考案されてきた。このようなものとして、ヨーロッパ共同体のイスプラ研究所から提出されたのが、マークIと称する熱化学分解法(図7参照)で、これは1000℃以下で進行する4つの熱化学反応を組み合わせて全体で水から水素と酸素を得るサイクル反応であったが、このマークIは反応式通りにいかないことからその開発は打ち切られた。しかしながら、こうした試みから、反応を数段組み合わせることで、より低温で水を熱分解する可能性が示唆されることとなった。かくして、以来、多くのサイクルが世界中で提出されてきた。日本では東京大学のUT−3サイクルと日本原子力研究所のISサイクル等が研究されている(図7参照)。
UT−3サイクルは、図7の中段で示されるような反応サイクルを利用するもので、該反応サイクルは700℃以下の気体と固相の反応のみから成り立ち、カルシウムと鉄の化合物が反応式上、臭化物と酸化物の間を往復して、カルシウム側から酸素を、鉄側から水素を発生するというもので、固体反応物は全く移動させる必要がない、という特徴を有するものである。一方、ISサイクルは、図7の下段で示されるような反応サイクルを利用するもので、それは沃素(I)と硫黄(S)の反応系、すなわちISの反応系である。しかし、これらの反応サイクルは反応系にハロゲンを含むものが多く、反応器や導管に用いられるステンレスの腐食が大きな問題となっている。
こうした中で、より低い温度の熱源を利用でき、さらにハロゲン化水素などの腐食性ガスの利用を避ける方法が求められている。より低温で水を熱分解する方法であれば、工場、ゴミ焼却場、火力発電所・原子力発電所などの廃熱を有効に利用できるばかりでなく、より小規模な熱源からも効果的に水素の製造をすることが可能となるし、さらに装置のコストを大幅に低減でき、ひいては安価な且つ効率良い水素製造にも結び付けることができる。また、腐食性の強いガスの利用やその発生を避けることができれば、容器の腐食や触媒の耐久性の問題も解決できるばかりでなく、安全且つ低いコストでの水素の安定製造に貢献できる。
本発明者は、上記課題を解決する目的で鋭意研究を進め、アルカリ金属などの水酸化物の熱分解反応に着目して、それを利用する水の熱化学的分解サイクルの構築について成功し、その結果本発明をなすに至った。本発明は、アルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持させたアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物を、電圧印加条件下で熱分解せしめると、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物の生成を大巾に増幅せしめると同時に、水素の生成を大巾に増幅せしめること、そして、該異常酸化数酸化物は化学的には活性であり、水と活発に反応して酸素を形成すると共に、先のステップのキーとなる物質であるアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物に戻ること、その結果、全体として水が相対的に低い温度で熱化学的に分解されて、ファラディー則から計算される以上の効率で水素及び酸素が生産できる水の熱分解サイクルであることを特徴としている。
本発明は、
〔1〕 水の熱分解法であって、
(A)アルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の熱分解及びそれに伴う相当する金属の異常酸化数酸化物及び水素の生成反応及び
(B)該アルカリ金属の異常酸化数酸化物あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物生成に関連した水との反応及びそれに伴う酸素の生成反応
からなる水の分解による水素と酸素の生成サイクルを含み且つ持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであることを特徴とする水の熱分解法;
〔2〕 (i)アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物をアルミノケイ酸またはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持せしめて得られた触媒存在下に加熱して持続的な水の熱分解を行うものであること、又は
(ii)アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物をアルミノケイ酸またはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持せしめて得られた触媒に電圧印加条件下で持続的な水の熱分解を行うものであることを特徴とする水の熱分解法;
〔3〕 反応系に導入される水が水蒸気であることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の水の熱分解法;
〔4〕 担体が、アルミノケイ酸であることを特徴とする上記〔2〕記載の水の熱分解法;
〔5〕 電圧印加条件下で、アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を担持せしめたアルミノケイ酸を主成分とする担体からなる触媒の存在下に持続的な水の熱分解を行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一記載の水の熱分解法;
〔6〕 反応温度が、130℃以上であり、水蒸気圧が、0.2気圧以上の条件下に水の熱分解を行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載の水の熱分解法;
〔7〕 アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒の存在下に、電圧印加条件下で水蒸気を導入し、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであり、ファラディー則から計算されるよりも少なくとも2倍以上の水素生成量が得られるものであることを特徴とする水の熱分解法;
〔8〕 反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする上記〔2〕又は〔7〕記載の水の熱分解法;
〔9〕 アルカリ金属化合物の金属元素が、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)及びルビジウム(Rb)から成る群から選ばれ、アルカリ土類金属化合物の金属元素が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)から成る群から選ばれ、該金属元素のいずれか一つあるいはそれ以上を多孔質担体に担持せしめてあることを特徴とする上記〔1〕、〔2〕及び〔7〕のいずれか一記載の水の熱分解法;
〔10〕 アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒であって、電圧印加条件下の水蒸気存在下、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであり、ファラディー則から計算されるよりも少なくとも2倍以上の水素生成量が得られるものであることを特徴とする水の熱分解用固体電解質触媒;
〔11〕 上記〔10〕記載の固体電解質触媒を備えていることを特徴とする水の熱分解装置;
〔12〕 アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒を備えていることを特徴とする水の熱分解装置;
〔13〕 触媒に電圧印加することが可能なものであることを特徴とする上記〔11〕又は〔12〕記載の水の熱分解装置;
〔14〕 反応セルに触媒が配置され、該触媒を挟んで電極が配置せしめてあって、当該電極に通電可能とされていることを特徴とする上記〔11〕〜〔13〕のいずれか一記載の水の熱分解装置;
〔15〕 反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収する構造を持つことを特徴とする上記〔13〕又は〔14〕記載の水の熱分解装置;
〔16〕 電極材料が、白金メッシュ層であることを特徴とする上記〔14〕記載の水の熱分解装置;
〔17〕 触媒に熱分解反応効率改善層が配置されていることを特徴とする上記〔11〕、〔12〕、〔13〕及び〔14〕のいずれか一記載の水の熱分解装置;
〔18〕 熱分解反応効率改善層が、例えば金箔層などの耐蝕性材料層であることを特徴とする上記〔17〕記載の水の熱分解装置;及び
〔19〕 上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一記載の水の熱分解法であって電圧印加条件下の水蒸気存在下持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成する水の熱分解法において、反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする生成ガスの回収法を提供するものである。
本発明で、各種の熱源、それも比較的低い温度のものを利用して水素や酸素を効率良く製造することができる。例えば、各種のエネルギーを消費して熱を発生するプラントからの廃熱、廃棄物あるいはゴミなどを焼却して生ずる熱などを有効に利用して、クリーンなエネルギー燃料として期待される水素を製造可能であり、しかもおおよそ190〜200℃という低い温度で水の熱分解を利用できるので、広範な分野での利用が見込める。本発明では、サイクルシステムで水の熱分解による水素や酸素の製造系を構築でき、原料は水だけであり、炭酸ガス排出などといった環境汚染の問題がなく、またハロゲン化水素を利用するといったことによる装置の腐食の問題も少なく優れている。本発明の水の熱化学的分解法は、大幅な水素製造コストの低減化を期待でき、小規模な設備での製造の可能性も有している。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明者は、上記課題を解決する目的で鋭意研究を進め、アルカリ金属などの水酸化物の熱分解反応に着目して、それを利用する水の熱化学的分解サイクルの構築について成功し、その結果本発明をなすに至った。本発明は、アルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持させたアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物を、電圧印加条件下で熱分解せしめると、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物の生成を大巾に増幅せしめると同時に、水素の生成を大巾に増幅せしめること、そして、該異常酸化数酸化物は化学的には活性であり、水と活発に反応して酸素を形成すると共に、先のステップのキーとなる物質であるアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物に戻ること、その結果、全体として水が相対的に低い温度で熱化学的に分解されて、ファラディー則から計算される以上の効率で水素及び酸素が生産できる水の熱分解サイクルであることを特徴としている。
本発明は、
〔1〕 水の熱分解法であって、
(A)アルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の熱分解及びそれに伴う相当する金属の異常酸化数酸化物及び水素の生成反応及び
(B)該アルカリ金属の異常酸化数酸化物あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物生成に関連した水との反応及びそれに伴う酸素の生成反応
からなる水の分解による水素と酸素の生成サイクルを含み且つ持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであることを特徴とする水の熱分解法;
〔2〕 (i)アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物をアルミノケイ酸またはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持せしめて得られた触媒存在下に加熱して持続的な水の熱分解を行うものであること、又は
(ii)アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物をアルミノケイ酸またはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持せしめて得られた触媒に電圧印加条件下で持続的な水の熱分解を行うものであることを特徴とする水の熱分解法;
〔3〕 反応系に導入される水が水蒸気であることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の水の熱分解法;
〔4〕 担体が、アルミノケイ酸であることを特徴とする上記〔2〕記載の水の熱分解法;
〔5〕 電圧印加条件下で、アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を担持せしめたアルミノケイ酸を主成分とする担体からなる触媒の存在下に持続的な水の熱分解を行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一記載の水の熱分解法;
〔6〕 反応温度が、130℃以上であり、水蒸気圧が、0.2気圧以上の条件下に水の熱分解を行うことを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載の水の熱分解法;
〔7〕 アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒の存在下に、電圧印加条件下で水蒸気を導入し、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであり、ファラディー則から計算されるよりも少なくとも2倍以上の水素生成量が得られるものであることを特徴とする水の熱分解法;
〔8〕 反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする上記〔2〕又は〔7〕記載の水の熱分解法;
〔9〕 アルカリ金属化合物の金属元素が、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)及びルビジウム(Rb)から成る群から選ばれ、アルカリ土類金属化合物の金属元素が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)から成る群から選ばれ、該金属元素のいずれか一つあるいはそれ以上を多孔質担体に担持せしめてあることを特徴とする上記〔1〕、〔2〕及び〔7〕のいずれか一記載の水の熱分解法;
〔10〕 アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒であって、電圧印加条件下の水蒸気存在下、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであり、ファラディー則から計算されるよりも少なくとも2倍以上の水素生成量が得られるものであることを特徴とする水の熱分解用固体電解質触媒;
〔11〕 上記〔10〕記載の固体電解質触媒を備えていることを特徴とする水の熱分解装置;
〔12〕 アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒を備えていることを特徴とする水の熱分解装置;
〔13〕 触媒に電圧印加することが可能なものであることを特徴とする上記〔11〕又は〔12〕記載の水の熱分解装置;
〔14〕 反応セルに触媒が配置され、該触媒を挟んで電極が配置せしめてあって、当該電極に通電可能とされていることを特徴とする上記〔11〕〜〔13〕のいずれか一記載の水の熱分解装置;
〔15〕 反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収する構造を持つことを特徴とする上記〔13〕又は〔14〕記載の水の熱分解装置;
〔16〕 電極材料が、白金メッシュ層であることを特徴とする上記〔14〕記載の水の熱分解装置;
〔17〕 触媒に熱分解反応効率改善層が配置されていることを特徴とする上記〔11〕、〔12〕、〔13〕及び〔14〕のいずれか一記載の水の熱分解装置;
〔18〕 熱分解反応効率改善層が、例えば金箔層などの耐蝕性材料層であることを特徴とする上記〔17〕記載の水の熱分解装置;及び
〔19〕 上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一記載の水の熱分解法であって電圧印加条件下の水蒸気存在下持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成する水の熱分解法において、反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする生成ガスの回収法を提供するものである。
本発明で、各種の熱源、それも比較的低い温度のものを利用して水素や酸素を効率良く製造することができる。例えば、各種のエネルギーを消費して熱を発生するプラントからの廃熱、廃棄物あるいはゴミなどを焼却して生ずる熱などを有効に利用して、クリーンなエネルギー燃料として期待される水素を製造可能であり、しかもおおよそ190〜200℃という低い温度で水の熱分解を利用できるので、広範な分野での利用が見込める。本発明では、サイクルシステムで水の熱分解による水素や酸素の製造系を構築でき、原料は水だけであり、炭酸ガス排出などといった環境汚染の問題がなく、またハロゲン化水素を利用するといったことによる装置の腐食の問題も少なく優れている。本発明の水の熱化学的分解法は、大幅な水素製造コストの低減化を期待でき、小規模な設備での製造の可能性も有している。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
第1図は、水の熱化学分解用反応装置及び反応セルの構造を示す。
第2図は、水の熱化学分解用反応セルであって、金箔を挿入したものの構造を示す。
第3図は、水の分解反応のプロファイルを示す。金箔を挿入していない反応セルを使用して測定した。
第4図は、水の分解反応のプロファイルを示す。金箔を挿入した反応セルを使用して測定した。
第5図は、水の分解反応に及ぼす印加電圧の影響を測定した結果を示す。金箔を挿入した反応セルを使用して測定した。
第6図は、各種のアルカリ金属及びアルカリ土類金属について水の分解能力を比較した結果を示す。縦軸は1モル当たりの水酸化物に換算した水素発生量を示した。
第7図は、先行技術における水の熱分解サイクルにおける関与反応と分子種の関係を示す。
第2図は、水の熱化学分解用反応セルであって、金箔を挿入したものの構造を示す。
第3図は、水の分解反応のプロファイルを示す。金箔を挿入していない反応セルを使用して測定した。
第4図は、水の分解反応のプロファイルを示す。金箔を挿入した反応セルを使用して測定した。
第5図は、水の分解反応に及ぼす印加電圧の影響を測定した結果を示す。金箔を挿入した反応セルを使用して測定した。
第6図は、各種のアルカリ金属及びアルカリ土類金属について水の分解能力を比較した結果を示す。縦軸は1モル当たりの水酸化物に換算した水素発生量を示した。
第7図は、先行技術における水の熱分解サイクルにおける関与反応と分子種の関係を示す。
本発明の水の熱化学的分解技術では、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を反応媒体として利用することで、ハロゲン化水素などのステンレスなどに対して腐食性の化学物質の生成などに考慮を払う必要のないサイクルが開発提供される。
本発明の技術では、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属は当該サイクルの反応センターにおいて、先ずアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の形態で存在し、当該アルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物は、熱により分解反応(OH−の不均化分解)を起こして、水素と当該金属の異常酸化数酸化物(例えば、過酸化物あるいは超酸化物)を生成せしめる。該生成せしめられた当該金属の異常酸化数酸化物は、系に存在する水と反応して、酸素と当該金属の水酸化物を生成することになり、該金属の水酸化物は当該サイクルにおいて循環することとなる。かくして、水の熱化学的分解サイクルが成立する。生成する水素及び酸素は、分離膜などを用いて系外に取り除かれることが可能である。
本発明において「反応媒体」とは、本来、反応物の活性を高めることをその役割とする触媒とは若干異なる概念を持つものと理解されるもので、代表的には、反応媒体の熱分解が先行して、次いで熱分解により生じた活性種とH2Oとの化学反応によって、H2とO2が生成し、活性種は元の反応媒体に戻るといったものである。
本明細書中、アルカリ金属元素としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)などから成る群から選ばれたものが挙げられる。
好ましくは、Na,K,Rbなどが挙げられる。
本明細書中、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)などから成る群から選ばれたものが挙げられる。
本明細書中、用語「金属の異常酸化数酸化物」は、金属の過酸化物、金属の超酸化物、もしくはそれらの混合物などを指していてよい。金属の異常酸化数酸化物としては、アルカリ金属の異常酸化数酸化物、アルカリ土類金属の異常酸化数酸化物を包含しており、アルカリ金属の異常酸化数酸化物としては、例えばアルカリ金属過酸化物、アルカリ金属超酸化物などが挙げられ、アルカリ土類金属の異常酸化数酸化物としては、例えばアルカリ土類金属過酸化物、アルカリ土類金属超酸化物などが挙げられる。具体的には、例えばLi2O2,Na2O2,K2O2,LiO2,NaO2,KO2,MgO2,CaO2,MgO4,CaO4などが挙げられる。
本発明の水の熱分解法では、(A)アルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持させたアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の電圧印加条件下での熱分解及びそれに伴う相当する金属の異常酸化数酸化物及び水素の生成反応及び(B)該アルカリ金属の異常酸化数酸化物あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物と水との反応及びそれに伴う相当する金属水酸化物及び酸素の生成反応からなる水の分解による水素と酸素の生成サイクルを含み且つ相対的に低い温度での持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成をファラディー則から計算される以上の効率で達成するものであることを特徴としている。
本明細書中、「アルミノケイ酸」とは、ポリケイ酸のケイ素の一部がアルミニウムに置換されたものを指す。工業的には、アルミナとケイ酸を主成分とする原料をいったん溶融し、繊維状または綿状に加工したものがセラミックウールとして主に断熱材に供されているが、そうした市販のものを利用することが可能である。セラミックウールなどの原料である当該アルミナとケイ酸の混合物には、適宜、酸化第2鉄、チタニア(TiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)、無水ホウ酸、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などの金属酸化物などの様々な元素を配合してあるものでもよい。本発明で利用できるセラミックウールは、様々な市販の製品として入手し、それを利用できるが、特別に本発明に適したものを調製することも好ましい。市販されるセラミックウールとしては、例えばイソライト工業株式会社製のイソウール 1260 バルク(ISOWOOLTM 1260 BULK)などが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書中、「アルミノケイ酸塩」とは、ポリケイ酸イオンのケイ素の一部がアルミニウムに置換されたものを指してよく、ケイ酸単位が縮合してポリケイ酸を構成しているものにおいて、その中の構成Si4+が、Al3+に置き代わることによる1個の陽イオン部に様々な金属イオンが位置を占めるに至ったものが挙げられる。代表的な多孔質アルミノケイ酸塩にはゼオライトがある。
アルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物と担体であるアルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩との反応生成物(Al2SiO5)、さらにはこの反応生成物とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物とアルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩との反応生成物が水の熱分解反応に関与していると考えられる(例えば、K2O2+Al2SiO5→ KAlSiO4+KAlO2+1/2O2)ので、分解反応を単純な化学反応式で表現することはできないが、形式的には、例えば(1)上記(A)の反応が、次式:
2AOH → A2O2+H2若しくはB(OH)2→ BO2+H2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができ、上記(B)の反応が、次式:
A2O2+H2O → 2AOH+1/2O2若しくはBO2+H2O → B(OH)2+1/2O2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができるもの、及び/又は
(2)上記(A)の反応が、次式:
2AOH+2H2O → 2AO2+3H2若しくはB(OH)2+2H2O → BO4+3H2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができ、上記(B)の反応が、次式:
2AO2+H2O → 2AOH+3/2O2若しくはBO4+H2O → B(OH)2+3/2O2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができるものである。
本発明の水の熱化学的分解サイクルにつき、アルカリ金属元素としてカリウム(K)を使用した場合を例に挙げて説明する。
スキームI
すなわち、
2KOH→ K2O2+H2
K2O2+H2O→ 2KOH+1/2O2
(又はK2O2+2H2O→ 2KOH+H2O2
H2O2→ H2O+1/2O2)
スキームII
すなわち、
2KOH+2H2O→ 2KO2+3H2
2KO2+H2O→ 2KOH+3/2O2
(又は2KO2+4H2O→ 2KOH+3H2O2
3H2O2→ 3H2O+3/2O2)
本発明の水の熱化学的分解サイクルにおいては、上記スキームI及びスキームIIのサイクルが同時に起こっていると考えられる。
本発明の水の熱化学的分解サイクルにおいては、持続的に水の熱分解による水素の生成がなされるものであり、一般的には反応系へは水蒸気として水が導入される。該水の熱化学的分解サイクルでは、好適には、反応媒体を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒を使用して実施できる。また、反応媒体としては、適当なアルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物が挙げられる。本水の熱化学的分解サイクル系では、電圧印加条件下に、アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を担持せしめたアルミノケイ酸を担体とする触媒の存在下に持続的な水の熱分解を行うことを特徴としている。
本水の熱化学的分解サイクル系の反応温度は、130℃以上であり、また、水蒸気圧が、0.2気圧以上の条件下に水の熱分解を行うことを特徴とする。系内の反応温度は、効率よく水の熱分解が生起して水素と酸素とを生成せしめるものであればよいが、あまり高温では経済的観点から有利でないので、効率よく反応を進めることのできる条件を適宜選択することが好ましい。系内の反応温度は、なんらその上限が有るわけでなく適宜利用できる熱源を有効に利用できるが、例えばおおよそ130〜1,000℃、ある場合には130〜500℃などを挙げることができる。
本水の熱化学的分解サイクル系内の水蒸気圧は、効率よく水の熱化学的分解が生起して水素と酸素とを生成せしめるものであればよいが、あまり低い水蒸気圧では水の熱分解の上では得策ではなく、一方、反応点への水の供給量を増加せしめる点ではより高い水蒸気圧とすることは好ましいが、これも経済性を考慮したりして効率よく反応を進めることのできる条件を適宜選択することが好ましい。系内へ導入する供給体が気体の場合、その圧力は、好適に反応を行えるかぎり特に限定されるものではないが、例えばおおよそ1〜100気圧、ある場合には1〜50気圧、別の場合にはおおよそ2〜10気圧を挙げることができる。系内に導入される水は、適当なキャリアーガスで希釈された水蒸気として系内に導入されてよく、キャリアーガスとしては好適には不活性気体であるものが挙げられる。好ましいキャリアーガスとしてはアルゴン(Ar)が挙げられる。例えばアルゴン(Ar)などをキャリアーガスとして水蒸気を導入する場合、その供給体の全圧は、好適に反応を行えるかぎり特に限定されるものではないが、例えばおおよそ1〜50気圧、ある場合には2〜20気圧、また別のある場合にはおおよそ2〜10気圧、さらに他のある場合にはおおよそ3〜7気圧を挙げることができる。こうした場合での水蒸気の分圧としては、好適に反応を行えるかぎり特に限定されるものではないが、例えばおおよそ0.01〜50気圧、ある場合には0.05〜20気圧、別のある場合にはおおよそ0.1〜10気圧、さらに他のある場合にはおおよそ0.1〜3気圧を挙げることができる。ところで、スキームI及びIIから、水素の生成速度は、基本的には、触媒上のOH−の量とOH−の解離速度に依存すると考えられる。また、Kイオンは、水で膨潤状態にあるアルミノケイ酸中では、KOHの状態で存在すると考えられる(B.C.Schmidt,T.Reimer,S.C.Kohn,F.Holtz and R.Dupree,″Geochim.Cosmochim.Acta″,65:2949−2964(2001))ので、OH−の供給量は吸着水量に比例すると考えられる。一方、吸着水量は水蒸気の圧力が高く、温度が低ければ増大し、OH−の解離速度は高温になれば増大するので、水素生成反応に対する最適な温度・圧力領域が存在することになる。
本分解サイクルをスムーズに行うには、十分な吸着水量を確保するのが有利である。本発明に従えば、アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒の存在下に、水蒸気を導入し、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成でき、水素の生成量が担体容積当たり2μmol/分/ccを得ることができた。またある場合には水素の生成量が担体容積当たり4μmol/分/ccを得ることも可能であった。
本明細書中、多孔質担体としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属を強固に捕捉して、同様に捕捉した水との反応を効果的に行うことを可能ならしめる機能を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは酸点及び塩基点を有している多孔質担体から選択することができ、例えばアルミノケイ酸が挙げられる。担体の酸点は、強塩基物質、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属を捕捉してその散逸を防ぐ働きのあるもの、さらにはその働きの強いものが好ましく、そうしたものを適宜選択することができる。担体の塩基点と細孔は、水蒸気を捕捉する働きのあるもの、さらにはその働きの強いものが好ましく、そうしたものを適宜選択することができる。
反応媒体の担体には、アルミナとシリカを主成分とするアルミノケイ酸繊維(セラミックウール)を使用することができる。セラミックウールを使用すれば、それはおおよそ900℃で12時間加熱することで、任意の形状に成型することができ、その成型したものを所定の金属のケイ酸塩水溶液に短時間浸漬することにより、例えば4wt%程度の所定のアルカリイオンがドープされた触媒を得ることができる。
別の触媒作成方法としては、アルミナとシリカとアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩との粉末を、あるいはそれらに酸化マグネシウムの粉末を適当量加えたものを所定の形状のアルミナの型に詰めて約950℃で24〜48時間焼結・成型する方法を挙げることができる。
水の熱分解反応は、好ましくは加圧された水蒸気を含有する気体を導入することのできる入口ポートと、反応を終えた気体であって水素及び/又は酸素を含有していてよい気体を排出する出口ポートとを備え、該導入された水蒸気を含有する気体と反応媒体とが接触する場を提供する触媒からなる反応セルを収容する反応装置を使用して行うことができる。反応セルは、触媒を挟んで電極が配置せしめてあって、通電可能にされているといった水の熱分解反応用反応装置であってよい。また、アノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収する構造を持つものが好ましく、これにより、水の熱分解法であって電圧印加条件下の水蒸気存在下持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成する水の熱分解法において、アノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする生成ガスの回収法も提供される。また該反応セルに熱分解反応効率改善層が配置されていることも好ましい。熱分解反応効率改善層としては、それに限定されるわけではないが、例えば金箔層などの耐蝕性材料層が挙げられる。代表的な反応装置は、円筒形状の内壁面に円筒状反応セルを収容しており、入口ポートから導入された水蒸気を含有する気体がその反応セルを通過することによって反応媒体と水とが前記スキームI及び/又はスキームIIのサイクルをなすことを可能ならしめているものである。該円筒状反応セルの代表的なものは、例えば図1に示されるような構造を有するものである。円筒状セル内周部及び円筒状セル外周部には電極が形成せしめてあって、通電可能にされているものが挙げられる。
電極材料は、腐食しない材料あるいは腐食に対して抵抗性の高い材料を使用して構成されることがこのましく、そうした機能を有するものであれば特に限定されることなく様々な公知の材料を使用してよいが、例えば白金メッシュ層などが挙げられる。円筒状セルの内周部と外周部にある電極は、通常、直流電源に接続される。
上記の反応装置内に収容される反応セルは、代表的な場合、円筒形状の反応装置の内壁面にピッタリと装着されるのに適した円筒状の形態に構成でき、例えば図1及び2に示されるような構造を有するものである。円筒状セル内周部及び円筒状セル外周部との間には、熱分解反応効率改善層が配置されていることも好ましい。該熱分解反応効率改善層は、例えば金箔層などの耐蝕性材料層であることが好ましい。該構造の反応セルにおいては、水素の反応セル内での拡散が制限され、水素と酸素の再結合反応が防止せしめられ、分解効率が高められていると考えられることから、こうした機能を有する材料であれば本発明の水分解系で使用可能である。一具体的な態様では、反応セルは、セラミックウール(耐熱工業製品)を円筒状に成型した後、ケイ酸カリウム溶液などの反応媒体供与材料を含浸させることによって、目的の円筒状の触媒セルを調製し、この触媒セルを、アルミナ製のスノコ板で囲み、更に全体をセラミックウールで被せるようにして石英反応管(反応装置)もしくはステンレス反応管(反応装置)もしくはアルミナ反応管(反応装置)の内部に固定することができる。
加熱されたセルを水蒸気とアルゴンガスとの混合ガスが通過するときに、水蒸気の分解反応が生起する。
上述のようにして、水から得られる水素と酸素を含んでいる混合ガスが簡単に得られるが、この水素及び酸素を実際に利用可能とするために当該分野で知られた手法あるいはそれらを改変したり、新たに考案した手法を適用して、ガス単体あるいは利用しやすい形態のものに分離などすることができる。該方法としては、例えば水素だけを選択的に吸蔵する水素吸蔵合金を利用するなどの手法が挙げられる。分離あるいは単離回収法においては、互いの化学的あるいは物理的性質の差を利用して行うことが可能である。
本発明の技術では、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属は当該サイクルの反応センターにおいて、先ずアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の形態で存在し、当該アルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物は、熱により分解反応(OH−の不均化分解)を起こして、水素と当該金属の異常酸化数酸化物(例えば、過酸化物あるいは超酸化物)を生成せしめる。該生成せしめられた当該金属の異常酸化数酸化物は、系に存在する水と反応して、酸素と当該金属の水酸化物を生成することになり、該金属の水酸化物は当該サイクルにおいて循環することとなる。かくして、水の熱化学的分解サイクルが成立する。生成する水素及び酸素は、分離膜などを用いて系外に取り除かれることが可能である。
本発明において「反応媒体」とは、本来、反応物の活性を高めることをその役割とする触媒とは若干異なる概念を持つものと理解されるもので、代表的には、反応媒体の熱分解が先行して、次いで熱分解により生じた活性種とH2Oとの化学反応によって、H2とO2が生成し、活性種は元の反応媒体に戻るといったものである。
本明細書中、アルカリ金属元素としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)などから成る群から選ばれたものが挙げられる。
好ましくは、Na,K,Rbなどが挙げられる。
本明細書中、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)などから成る群から選ばれたものが挙げられる。
本明細書中、用語「金属の異常酸化数酸化物」は、金属の過酸化物、金属の超酸化物、もしくはそれらの混合物などを指していてよい。金属の異常酸化数酸化物としては、アルカリ金属の異常酸化数酸化物、アルカリ土類金属の異常酸化数酸化物を包含しており、アルカリ金属の異常酸化数酸化物としては、例えばアルカリ金属過酸化物、アルカリ金属超酸化物などが挙げられ、アルカリ土類金属の異常酸化数酸化物としては、例えばアルカリ土類金属過酸化物、アルカリ土類金属超酸化物などが挙げられる。具体的には、例えばLi2O2,Na2O2,K2O2,LiO2,NaO2,KO2,MgO2,CaO2,MgO4,CaO4などが挙げられる。
本発明の水の熱分解法では、(A)アルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持させたアルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の電圧印加条件下での熱分解及びそれに伴う相当する金属の異常酸化数酸化物及び水素の生成反応及び(B)該アルカリ金属の異常酸化数酸化物あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物と水との反応及びそれに伴う相当する金属水酸化物及び酸素の生成反応からなる水の分解による水素と酸素の生成サイクルを含み且つ相対的に低い温度での持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成をファラディー則から計算される以上の効率で達成するものであることを特徴としている。
本明細書中、「アルミノケイ酸」とは、ポリケイ酸のケイ素の一部がアルミニウムに置換されたものを指す。工業的には、アルミナとケイ酸を主成分とする原料をいったん溶融し、繊維状または綿状に加工したものがセラミックウールとして主に断熱材に供されているが、そうした市販のものを利用することが可能である。セラミックウールなどの原料である当該アルミナとケイ酸の混合物には、適宜、酸化第2鉄、チタニア(TiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)、無水ホウ酸、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などの金属酸化物などの様々な元素を配合してあるものでもよい。本発明で利用できるセラミックウールは、様々な市販の製品として入手し、それを利用できるが、特別に本発明に適したものを調製することも好ましい。市販されるセラミックウールとしては、例えばイソライト工業株式会社製のイソウール 1260 バルク(ISOWOOLTM 1260 BULK)などが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書中、「アルミノケイ酸塩」とは、ポリケイ酸イオンのケイ素の一部がアルミニウムに置換されたものを指してよく、ケイ酸単位が縮合してポリケイ酸を構成しているものにおいて、その中の構成Si4+が、Al3+に置き代わることによる1個の陽イオン部に様々な金属イオンが位置を占めるに至ったものが挙げられる。代表的な多孔質アルミノケイ酸塩にはゼオライトがある。
アルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物と担体であるアルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩との反応生成物(Al2SiO5)、さらにはこの反応生成物とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物とアルミノケイ酸もしくはアルミノケイ酸塩との反応生成物が水の熱分解反応に関与していると考えられる(例えば、K2O2+Al2SiO5→ KAlSiO4+KAlO2+1/2O2)ので、分解反応を単純な化学反応式で表現することはできないが、形式的には、例えば(1)上記(A)の反応が、次式:
2AOH → A2O2+H2若しくはB(OH)2→ BO2+H2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができ、上記(B)の反応が、次式:
A2O2+H2O → 2AOH+1/2O2若しくはBO2+H2O → B(OH)2+1/2O2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができるもの、及び/又は
(2)上記(A)の反応が、次式:
2AOH+2H2O → 2AO2+3H2若しくはB(OH)2+2H2O → BO4+3H2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができ、上記(B)の反応が、次式:
2AO2+H2O → 2AOH+3/2O2若しくはBO4+H2O → B(OH)2+3/2O2
〔式中、Aはアルカリ金属で、Bはアルカリ土類金属を表す〕
の反応で表すことができるものである。
本発明の水の熱化学的分解サイクルにつき、アルカリ金属元素としてカリウム(K)を使用した場合を例に挙げて説明する。
スキームI
すなわち、
2KOH→ K2O2+H2
K2O2+H2O→ 2KOH+1/2O2
(又はK2O2+2H2O→ 2KOH+H2O2
H2O2→ H2O+1/2O2)
スキームII
すなわち、
2KOH+2H2O→ 2KO2+3H2
2KO2+H2O→ 2KOH+3/2O2
(又は2KO2+4H2O→ 2KOH+3H2O2
3H2O2→ 3H2O+3/2O2)
本発明の水の熱化学的分解サイクルにおいては、上記スキームI及びスキームIIのサイクルが同時に起こっていると考えられる。
本発明の水の熱化学的分解サイクルにおいては、持続的に水の熱分解による水素の生成がなされるものであり、一般的には反応系へは水蒸気として水が導入される。該水の熱化学的分解サイクルでは、好適には、反応媒体を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒を使用して実施できる。また、反応媒体としては、適当なアルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物が挙げられる。本水の熱化学的分解サイクル系では、電圧印加条件下に、アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を担持せしめたアルミノケイ酸を担体とする触媒の存在下に持続的な水の熱分解を行うことを特徴としている。
本水の熱化学的分解サイクル系の反応温度は、130℃以上であり、また、水蒸気圧が、0.2気圧以上の条件下に水の熱分解を行うことを特徴とする。系内の反応温度は、効率よく水の熱分解が生起して水素と酸素とを生成せしめるものであればよいが、あまり高温では経済的観点から有利でないので、効率よく反応を進めることのできる条件を適宜選択することが好ましい。系内の反応温度は、なんらその上限が有るわけでなく適宜利用できる熱源を有効に利用できるが、例えばおおよそ130〜1,000℃、ある場合には130〜500℃などを挙げることができる。
本水の熱化学的分解サイクル系内の水蒸気圧は、効率よく水の熱化学的分解が生起して水素と酸素とを生成せしめるものであればよいが、あまり低い水蒸気圧では水の熱分解の上では得策ではなく、一方、反応点への水の供給量を増加せしめる点ではより高い水蒸気圧とすることは好ましいが、これも経済性を考慮したりして効率よく反応を進めることのできる条件を適宜選択することが好ましい。系内へ導入する供給体が気体の場合、その圧力は、好適に反応を行えるかぎり特に限定されるものではないが、例えばおおよそ1〜100気圧、ある場合には1〜50気圧、別の場合にはおおよそ2〜10気圧を挙げることができる。系内に導入される水は、適当なキャリアーガスで希釈された水蒸気として系内に導入されてよく、キャリアーガスとしては好適には不活性気体であるものが挙げられる。好ましいキャリアーガスとしてはアルゴン(Ar)が挙げられる。例えばアルゴン(Ar)などをキャリアーガスとして水蒸気を導入する場合、その供給体の全圧は、好適に反応を行えるかぎり特に限定されるものではないが、例えばおおよそ1〜50気圧、ある場合には2〜20気圧、また別のある場合にはおおよそ2〜10気圧、さらに他のある場合にはおおよそ3〜7気圧を挙げることができる。こうした場合での水蒸気の分圧としては、好適に反応を行えるかぎり特に限定されるものではないが、例えばおおよそ0.01〜50気圧、ある場合には0.05〜20気圧、別のある場合にはおおよそ0.1〜10気圧、さらに他のある場合にはおおよそ0.1〜3気圧を挙げることができる。ところで、スキームI及びIIから、水素の生成速度は、基本的には、触媒上のOH−の量とOH−の解離速度に依存すると考えられる。また、Kイオンは、水で膨潤状態にあるアルミノケイ酸中では、KOHの状態で存在すると考えられる(B.C.Schmidt,T.Reimer,S.C.Kohn,F.Holtz and R.Dupree,″Geochim.Cosmochim.Acta″,65:2949−2964(2001))ので、OH−の供給量は吸着水量に比例すると考えられる。一方、吸着水量は水蒸気の圧力が高く、温度が低ければ増大し、OH−の解離速度は高温になれば増大するので、水素生成反応に対する最適な温度・圧力領域が存在することになる。
本分解サイクルをスムーズに行うには、十分な吸着水量を確保するのが有利である。本発明に従えば、アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒の存在下に、水蒸気を導入し、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成でき、水素の生成量が担体容積当たり2μmol/分/ccを得ることができた。またある場合には水素の生成量が担体容積当たり4μmol/分/ccを得ることも可能であった。
本明細書中、多孔質担体としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属を強固に捕捉して、同様に捕捉した水との反応を効果的に行うことを可能ならしめる機能を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは酸点及び塩基点を有している多孔質担体から選択することができ、例えばアルミノケイ酸が挙げられる。担体の酸点は、強塩基物質、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属を捕捉してその散逸を防ぐ働きのあるもの、さらにはその働きの強いものが好ましく、そうしたものを適宜選択することができる。担体の塩基点と細孔は、水蒸気を捕捉する働きのあるもの、さらにはその働きの強いものが好ましく、そうしたものを適宜選択することができる。
反応媒体の担体には、アルミナとシリカを主成分とするアルミノケイ酸繊維(セラミックウール)を使用することができる。セラミックウールを使用すれば、それはおおよそ900℃で12時間加熱することで、任意の形状に成型することができ、その成型したものを所定の金属のケイ酸塩水溶液に短時間浸漬することにより、例えば4wt%程度の所定のアルカリイオンがドープされた触媒を得ることができる。
別の触媒作成方法としては、アルミナとシリカとアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩との粉末を、あるいはそれらに酸化マグネシウムの粉末を適当量加えたものを所定の形状のアルミナの型に詰めて約950℃で24〜48時間焼結・成型する方法を挙げることができる。
水の熱分解反応は、好ましくは加圧された水蒸気を含有する気体を導入することのできる入口ポートと、反応を終えた気体であって水素及び/又は酸素を含有していてよい気体を排出する出口ポートとを備え、該導入された水蒸気を含有する気体と反応媒体とが接触する場を提供する触媒からなる反応セルを収容する反応装置を使用して行うことができる。反応セルは、触媒を挟んで電極が配置せしめてあって、通電可能にされているといった水の熱分解反応用反応装置であってよい。また、アノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収する構造を持つものが好ましく、これにより、水の熱分解法であって電圧印加条件下の水蒸気存在下持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成する水の熱分解法において、アノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする生成ガスの回収法も提供される。また該反応セルに熱分解反応効率改善層が配置されていることも好ましい。熱分解反応効率改善層としては、それに限定されるわけではないが、例えば金箔層などの耐蝕性材料層が挙げられる。代表的な反応装置は、円筒形状の内壁面に円筒状反応セルを収容しており、入口ポートから導入された水蒸気を含有する気体がその反応セルを通過することによって反応媒体と水とが前記スキームI及び/又はスキームIIのサイクルをなすことを可能ならしめているものである。該円筒状反応セルの代表的なものは、例えば図1に示されるような構造を有するものである。円筒状セル内周部及び円筒状セル外周部には電極が形成せしめてあって、通電可能にされているものが挙げられる。
電極材料は、腐食しない材料あるいは腐食に対して抵抗性の高い材料を使用して構成されることがこのましく、そうした機能を有するものであれば特に限定されることなく様々な公知の材料を使用してよいが、例えば白金メッシュ層などが挙げられる。円筒状セルの内周部と外周部にある電極は、通常、直流電源に接続される。
上記の反応装置内に収容される反応セルは、代表的な場合、円筒形状の反応装置の内壁面にピッタリと装着されるのに適した円筒状の形態に構成でき、例えば図1及び2に示されるような構造を有するものである。円筒状セル内周部及び円筒状セル外周部との間には、熱分解反応効率改善層が配置されていることも好ましい。該熱分解反応効率改善層は、例えば金箔層などの耐蝕性材料層であることが好ましい。該構造の反応セルにおいては、水素の反応セル内での拡散が制限され、水素と酸素の再結合反応が防止せしめられ、分解効率が高められていると考えられることから、こうした機能を有する材料であれば本発明の水分解系で使用可能である。一具体的な態様では、反応セルは、セラミックウール(耐熱工業製品)を円筒状に成型した後、ケイ酸カリウム溶液などの反応媒体供与材料を含浸させることによって、目的の円筒状の触媒セルを調製し、この触媒セルを、アルミナ製のスノコ板で囲み、更に全体をセラミックウールで被せるようにして石英反応管(反応装置)もしくはステンレス反応管(反応装置)もしくはアルミナ反応管(反応装置)の内部に固定することができる。
加熱されたセルを水蒸気とアルゴンガスとの混合ガスが通過するときに、水蒸気の分解反応が生起する。
上述のようにして、水から得られる水素と酸素を含んでいる混合ガスが簡単に得られるが、この水素及び酸素を実際に利用可能とするために当該分野で知られた手法あるいはそれらを改変したり、新たに考案した手法を適用して、ガス単体あるいは利用しやすい形態のものに分離などすることができる。該方法としては、例えば水素だけを選択的に吸蔵する水素吸蔵合金を利用するなどの手法が挙げられる。分離あるいは単離回収法においては、互いの化学的あるいは物理的性質の差を利用して行うことが可能である。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
(実験方法)
実験は図1に示す反応装置及び反応セルを用いておこなった。図1の1は、反応装置の本体を示しており、本実施例では石英管を使用した。図1において2は入口ポートを、3は出口ポートである。水蒸気をアルゴンガスをキャリアーとして、入口ポート2から反応セル内に導入した。発生したH2、O2の量は、出口ポート3からの気体を検出装置に導き、オンラインガスクロマトグラフィーにより測定した。反応セル部分は、電気炉で加熱・温度制御を行っている。図1において4は反応セルを示しており、5はガラスプレートを示している。図1中、6はセラミックウールであり、石英管1にセル4を固定するためのもので、そこには反応媒体は含まれていない。次に、7は、白金メッシュ(カソード)で、8は反応媒体を担持したセラミックウールを指し、9は白金メッシュ(アノード)を示している。10は、ガラスプレートであり、11はピンホールを指している。反応セルは、図2に示すような電極間のセラミックウールの中に金箔を挿入しないもの(下記(1))と挿入したもの(下記(2)及び(3))を用いた。
(反応セルの作成方法)
反応媒体の担体には、イソライト工業(株)製のイソウール 1260 バルク(ISOWOOLTM 1260 BULK)(セラミックウール)を用いた。セラミックウールをドーナッツ状の石英管に詰めたものを、900〜950℃で24〜48時間焼成・成型した後、室温にてケイ酸カリウム溶液(関東化学(株)製、K2Oとして7〜9wt%含有)に浸漬し、50℃で乾燥させて触媒を作成した。電極として白金網を円筒状触媒の内側と外側に取り付け、リード線には金線を用い、反応セルを作成した。
(1) 水の分解反応プロファイル(I)
上記反応セルの作成方法にしたがって作成した反応セルをさらに200℃で1時間乾燥し、次いでケイ酸カリウム溶液に1時間浸漬後200℃で1時間乾燥して、本実験に使用する反応セルを得た。
図3にはその結果が示してある。水素及び酸素の発生速度と電流値、さらに電流値からファラディー則に基づいて計算した水素の発生速度(理論値)をプロットしてある。図3の領域Aは、反応セルの温度を130℃から200℃まで約5時間かけて昇温した。水蒸気圧は0.5気圧、全圧を2.2気圧、水蒸気とアルゴンのトータル流量を60ml/minに設定し、電極間に7Vの電圧を印加してある。
図3の領域Bは反応セルの温度を200℃に保持した以外は、領域Aと同一条件である。領域Bでは、ファラディー則から計算されるよりも4倍以上の水素が発生している。また、領域Bでは担体容積当たりおよそ2μmol/分/ccの水素が発生している計算になる。また、領域A、Bを通して、水素と酸素が化学量論組成で発生しており、水素の発生が水の持続的分解によるものであることは明らかである。
さらに、領域Bにおける水素製造の動力原単位は約2.4KWh/Nm3であり、これまでの水の電気分解効率のチャンピオンデータであるNorsk Hydro社の4.3KWh/Nm3を大きく上回る結果が得られた。
なお、アルカリと化学反応を起こさないマグネシウムを含むケイ酸塩多孔質体であるアスベストを担体とした場合には、1サイクルで反応が停止し、水の持続的分解は起こらなかった。このことは、スキームIやIIはあくまでも形式的な表現であり、実際には、K2O2と担体との化学反応が触媒サイクルに重要な役割を果たしていることが示唆される。
(2) 水の分解反応プロファイル(II)
図4には、金箔を挿入した反応セルを用いての、水の分解の実験結果が示してある。本実験に使用した反応セルは、反応セル作成方法にしたがって作成したセルを水蒸気雰囲気中で7Vの電圧を印加し、500℃に3時間保持した後に、室温まで徐冷したものである。
図4の領域Aにおいては、反応セルの温度を130℃に保ち、供給する水蒸気圧を0.2気圧から30分かけて0.5気圧に上げ、約4時間その条件を維持した。水蒸気とアルゴンのトータル流量は63〜68ml/minに、全圧は3.5気圧に調整した。電極間には7Vの電圧を印加した。
図4の領域Bにおいては、水蒸気圧を0.5気圧に、全圧を3.5気圧に維持したまま、反応セルの温度を1時間かけて130℃から160℃に上げ、約10時間その条件を維持した。水蒸気とアルゴンのトータル流量は65ml/minに調整した。
領域A、Bを通じて、ファラディー則から計算されるよりも10倍以上の水素が発生していることがわかる。
また、図4の領域Cにおいては、水蒸気圧を0.5気圧に、全圧を3.5気圧に、水蒸気とアルゴンのトータル流量を65ml/minに維持したまま、反応セルの温度を1時間かけて160℃から200℃に上げ、約3時間その条件を維持した。その結果、図4の領域Cにおいては、最大で14μmol/minの水素が発生しており、触媒の単位体積あたり0.7μmol/min/ccの水素が発生していることになる。
K2O2及びKO2の加水分解反応は水蒸気分圧律速と考えられ、実際に水蒸気分圧が低い状態(0.02気圧)ではこの反応は起こらなかった。注目すべきは、温度の上昇と共に、電流値が低下し、1100分を過ぎたあたりから、電流値が限りなくゼロに近づいていることである。このことは、スキームI,IIに示される化学反応サイクルが水の分解反応に有効に取り入れられていることを示している。金箔を挿入していない実験に比較して、さらに電流値が小さくなっているのは、金箔がイオン電流をブロックしているためと考えられる。また、領域A、B、Cを通して、水素と酸素が化学量論組成で発生しており、水素の発生が水の持続的分解によるものであることは明らかである。
さらに、円筒セルの内側(アノード)を通過するガスだけを分析すると、水の分解によって生成する水素と酸素のうち、ほぼ酸素だけが含まれていることもわかった。したがって、水素と酸素を分離する方法としても有効である。
(3) 水の分解反応に及ぼす印加電圧の効果
次に、反応セルへの電圧の印加の有無が水の分解にどのように影響するかを検証した。図5には、その結果が示してある。
図5の領域Aは、反応セルの温度を200℃、水蒸気圧を0.5気圧、全圧を3.5気圧、水蒸気とアルゴンのトータル流量を65ml/minに設定し、電極間に7Vの電圧を印加してある。
図5の領域Bは他の条件は変えずに、印加電圧をゼロにした。水素と酸素の発生量には印加電圧を0Vに落とした後も2時間ほどは変化が見られないが、4時間後には酸素の発生が認められなくなり、6.5時間後には水素の発生も認められなくなった。このことは、反応スキームI,IIに示された反応が持続的に起きるためには、外部から電圧を印加し続ける事が必要であることを示している。
なお、印加電圧の影響として次の3点が考えられる。
▲1▼KOHの分極を促し、結果的に水酸化物イオンの不均化分解(2OH−→ H2+1/2O2 2−)の活性化エネルギーを低下させる。
▲2▼生成した過酸化物イオンもしくは超酸化物イオンの陽極界面へのスピルオーバ(集積)を可能にし、H2Oの陽極酸化の速度を高める。
▲3▼水素(カソード側)と酸素(アノード側)の発生サイトを別々にするため、再結合反応を抑制する。同時に、カソード側を通るガス流路とアノード側を通るガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することが可能となる。
上記(1)〜(2)の結果より、水素と酸素が化学量論組成で発生しており、水素の発生が水の持続的分解によるものであることは明らかである。また、(2)の領域Cでは反応セルに流れた電流値から理論的に計算されるよりも桁違いに大量の水素と酸素が発生しており、水の分解には大量の熱エネルギーが利用されていなければ説明がつかないことが判明した。
実験は図1に示す反応装置及び反応セルを用いておこなった。図1の1は、反応装置の本体を示しており、本実施例では石英管を使用した。図1において2は入口ポートを、3は出口ポートである。水蒸気をアルゴンガスをキャリアーとして、入口ポート2から反応セル内に導入した。発生したH2、O2の量は、出口ポート3からの気体を検出装置に導き、オンラインガスクロマトグラフィーにより測定した。反応セル部分は、電気炉で加熱・温度制御を行っている。図1において4は反応セルを示しており、5はガラスプレートを示している。図1中、6はセラミックウールであり、石英管1にセル4を固定するためのもので、そこには反応媒体は含まれていない。次に、7は、白金メッシュ(カソード)で、8は反応媒体を担持したセラミックウールを指し、9は白金メッシュ(アノード)を示している。10は、ガラスプレートであり、11はピンホールを指している。反応セルは、図2に示すような電極間のセラミックウールの中に金箔を挿入しないもの(下記(1))と挿入したもの(下記(2)及び(3))を用いた。
(反応セルの作成方法)
反応媒体の担体には、イソライト工業(株)製のイソウール 1260 バルク(ISOWOOLTM 1260 BULK)(セラミックウール)を用いた。セラミックウールをドーナッツ状の石英管に詰めたものを、900〜950℃で24〜48時間焼成・成型した後、室温にてケイ酸カリウム溶液(関東化学(株)製、K2Oとして7〜9wt%含有)に浸漬し、50℃で乾燥させて触媒を作成した。電極として白金網を円筒状触媒の内側と外側に取り付け、リード線には金線を用い、反応セルを作成した。
(1) 水の分解反応プロファイル(I)
上記反応セルの作成方法にしたがって作成した反応セルをさらに200℃で1時間乾燥し、次いでケイ酸カリウム溶液に1時間浸漬後200℃で1時間乾燥して、本実験に使用する反応セルを得た。
図3にはその結果が示してある。水素及び酸素の発生速度と電流値、さらに電流値からファラディー則に基づいて計算した水素の発生速度(理論値)をプロットしてある。図3の領域Aは、反応セルの温度を130℃から200℃まで約5時間かけて昇温した。水蒸気圧は0.5気圧、全圧を2.2気圧、水蒸気とアルゴンのトータル流量を60ml/minに設定し、電極間に7Vの電圧を印加してある。
図3の領域Bは反応セルの温度を200℃に保持した以外は、領域Aと同一条件である。領域Bでは、ファラディー則から計算されるよりも4倍以上の水素が発生している。また、領域Bでは担体容積当たりおよそ2μmol/分/ccの水素が発生している計算になる。また、領域A、Bを通して、水素と酸素が化学量論組成で発生しており、水素の発生が水の持続的分解によるものであることは明らかである。
さらに、領域Bにおける水素製造の動力原単位は約2.4KWh/Nm3であり、これまでの水の電気分解効率のチャンピオンデータであるNorsk Hydro社の4.3KWh/Nm3を大きく上回る結果が得られた。
なお、アルカリと化学反応を起こさないマグネシウムを含むケイ酸塩多孔質体であるアスベストを担体とした場合には、1サイクルで反応が停止し、水の持続的分解は起こらなかった。このことは、スキームIやIIはあくまでも形式的な表現であり、実際には、K2O2と担体との化学反応が触媒サイクルに重要な役割を果たしていることが示唆される。
(2) 水の分解反応プロファイル(II)
図4には、金箔を挿入した反応セルを用いての、水の分解の実験結果が示してある。本実験に使用した反応セルは、反応セル作成方法にしたがって作成したセルを水蒸気雰囲気中で7Vの電圧を印加し、500℃に3時間保持した後に、室温まで徐冷したものである。
図4の領域Aにおいては、反応セルの温度を130℃に保ち、供給する水蒸気圧を0.2気圧から30分かけて0.5気圧に上げ、約4時間その条件を維持した。水蒸気とアルゴンのトータル流量は63〜68ml/minに、全圧は3.5気圧に調整した。電極間には7Vの電圧を印加した。
図4の領域Bにおいては、水蒸気圧を0.5気圧に、全圧を3.5気圧に維持したまま、反応セルの温度を1時間かけて130℃から160℃に上げ、約10時間その条件を維持した。水蒸気とアルゴンのトータル流量は65ml/minに調整した。
領域A、Bを通じて、ファラディー則から計算されるよりも10倍以上の水素が発生していることがわかる。
また、図4の領域Cにおいては、水蒸気圧を0.5気圧に、全圧を3.5気圧に、水蒸気とアルゴンのトータル流量を65ml/minに維持したまま、反応セルの温度を1時間かけて160℃から200℃に上げ、約3時間その条件を維持した。その結果、図4の領域Cにおいては、最大で14μmol/minの水素が発生しており、触媒の単位体積あたり0.7μmol/min/ccの水素が発生していることになる。
K2O2及びKO2の加水分解反応は水蒸気分圧律速と考えられ、実際に水蒸気分圧が低い状態(0.02気圧)ではこの反応は起こらなかった。注目すべきは、温度の上昇と共に、電流値が低下し、1100分を過ぎたあたりから、電流値が限りなくゼロに近づいていることである。このことは、スキームI,IIに示される化学反応サイクルが水の分解反応に有効に取り入れられていることを示している。金箔を挿入していない実験に比較して、さらに電流値が小さくなっているのは、金箔がイオン電流をブロックしているためと考えられる。また、領域A、B、Cを通して、水素と酸素が化学量論組成で発生しており、水素の発生が水の持続的分解によるものであることは明らかである。
さらに、円筒セルの内側(アノード)を通過するガスだけを分析すると、水の分解によって生成する水素と酸素のうち、ほぼ酸素だけが含まれていることもわかった。したがって、水素と酸素を分離する方法としても有効である。
(3) 水の分解反応に及ぼす印加電圧の効果
次に、反応セルへの電圧の印加の有無が水の分解にどのように影響するかを検証した。図5には、その結果が示してある。
図5の領域Aは、反応セルの温度を200℃、水蒸気圧を0.5気圧、全圧を3.5気圧、水蒸気とアルゴンのトータル流量を65ml/minに設定し、電極間に7Vの電圧を印加してある。
図5の領域Bは他の条件は変えずに、印加電圧をゼロにした。水素と酸素の発生量には印加電圧を0Vに落とした後も2時間ほどは変化が見られないが、4時間後には酸素の発生が認められなくなり、6.5時間後には水素の発生も認められなくなった。このことは、反応スキームI,IIに示された反応が持続的に起きるためには、外部から電圧を印加し続ける事が必要であることを示している。
なお、印加電圧の影響として次の3点が考えられる。
▲1▼KOHの分極を促し、結果的に水酸化物イオンの不均化分解(2OH−→ H2+1/2O2 2−)の活性化エネルギーを低下させる。
▲2▼生成した過酸化物イオンもしくは超酸化物イオンの陽極界面へのスピルオーバ(集積)を可能にし、H2Oの陽極酸化の速度を高める。
▲3▼水素(カソード側)と酸素(アノード側)の発生サイトを別々にするため、再結合反応を抑制する。同時に、カソード側を通るガス流路とアノード側を通るガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することが可能となる。
上記(1)〜(2)の結果より、水素と酸素が化学量論組成で発生しており、水素の発生が水の持続的分解によるものであることは明らかである。また、(2)の領域Cでは反応セルに流れた電流値から理論的に計算されるよりも桁違いに大量の水素と酸素が発生しており、水の分解には大量の熱エネルギーが利用されていなければ説明がつかないことが判明した。
各種アルカリ金属、アルカリ土類金属の水の分解能力を比較した。図1の反応セルを取り外し、代わりに、それぞれの水酸化物の粉末だけを上下からセラミックウールで挟んで、実験をおこなった。実施例1と同様に反応を実施した。図6に、その結果を示す。
図6の白の棒グラフは水酸化物の不均化反応(2KOH→ K2O2+H2 and/or 2KOH+3H2O→ 2KO2+3H2+3/2O2)による水素の発生量を示している。図6の黒の棒グラフは水酸化物の不均化反応に加えて、水の分解反応(H2O→ H2+1/2O2)による水素の発生量を示している。したがって後者と前者の差は各元素の水の分解能力を表す。図6に示すアルカリ金属元素(Csを除く)、アルカリ土類金属元素(Baを除く)はいずれも、水の分解反応を触媒することができる。中でも好適な元素はカリウムである。
図6の白の棒グラフは水酸化物の不均化反応(2KOH→ K2O2+H2 and/or 2KOH+3H2O→ 2KO2+3H2+3/2O2)による水素の発生量を示している。図6の黒の棒グラフは水酸化物の不均化反応に加えて、水の分解反応(H2O→ H2+1/2O2)による水素の発生量を示している。したがって後者と前者の差は各元素の水の分解能力を表す。図6に示すアルカリ金属元素(Csを除く)、アルカリ土類金属元素(Baを除く)はいずれも、水の分解反応を触媒することができる。中でも好適な元素はカリウムである。
本発明で、各種の熱源、それも比較的低い温度のものを利用して水素や酸素を効率良く製造することができる。例えば、各種のエネルギーを消費して熱を発生するプラントからの廃熱、廃棄物あるいはゴミなどを焼却して生ずる熱などを有効に利用して、クリーンなエネルギー燃料として期待される水素を製造可能であり、しかもおおよそ190〜200℃という低い温度で水の熱分解を利用できるので、広範な分野での利用が見込める。本発明では、サイクルシステムで水の熱分解による水素や酸素の製造系を構築でき、原料は水だけであり、炭酸ガス排出などといった環境汚染の問題がなく、またハロゲン化水素を利用するといったことによる装置の腐食の問題も少なく優れている。本発明の水の熱化学的分解法は、大幅な水素製造コストの低減化を期待でき、小規模な設備での製造の可能性も有している。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (19)
- 水の熱分解法であって、
(A)アルカリ金属水酸化物あるいはアルカリ土類金属水酸化物の熱分解及びそれに伴う相当する金属の異常酸化数酸化物及び水素の生成反応及び
(B)該アルカリ金属の異常酸化数酸化物あるいはアルカリ土類金属の異常酸化数酸化物生成に関連した水との反応及びそれに伴う酸素の生成反応
からなる水の分解による水素と酸素の生成サイクルを含み且つ持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであることを特徴とする水の熱分解法。 - (i) アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物をアルミノケイ酸またはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持せしめて得られた触媒存在下に加熱して持続的な水の熱分解を行うものであること、又は
(ii) アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物をアルミノケイ酸またはアルミノケイ酸塩を含む多孔質担体に担持せしめて得られた触媒に電圧印加条件下で持続的な水の熱分解を行うものであることを特徴とする水の熱分解法。 - 反応系に導入される水が水蒸気であることを特徴とする請求項1又は2記載の水の熱分解法。
- 担体が、アルミノケイ酸であることを特徴とする請求項2記載の水の熱分解法。
- 電圧印加条件下で、アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を担持せしめたアルミノケイ酸を主成分とする担体からなる触媒の存在下に持続的な水の熱分解を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一記載の水の熱分解法。
- 反応温度が、130℃以上であり、水蒸気圧が、0.2気圧以上の条件下に水の熱分解を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載の水の熱分解法。
- アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒の存在下に、電圧印加条件下で水蒸気を導入し、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであり、ファラディー則から計算されるよりも少なくとも2倍以上の水素生成量が得られるものであることを特徴とする水の熱分解法。
- 反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする請求項2又は7記載の水の熱分解法。
- アルカリ金属化合物の金属元素が、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)及びルビジウム(Rb)から成る群から選ばれ、アルカリ土類金属化合物の金属元素が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)から成る群から選ばれ、該金属元素のいずれか一つあるいはそれ以上を多孔質担体に担持せしめてあることを特徴とする請求項1、2及び7のいずれか一記載の水の熱分解法。
- アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒であって、電圧印加条件下の水蒸気存在下、持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成するものであり、ファラディー則から計算されるよりも少なくとも2倍以上の水素生成量が得られるものであることを特徴とする水の熱分解用固体電解質触媒。
- 請求項10記載の固体電解質触媒を備えていることを特徴とする水の熱分解装置。
- アルカリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を多孔質担体に担持せしめて得られた触媒を備えていることを特徴とする水の熱分解装置。
- 触媒に電圧印加することが可能なものであることを特徴とする請求項11又は12記載の水の熱分解装置。
- 反応セルに触媒が配置され、該触媒を挟んで電極が配置せしめてあって、当該電極に通電可能とされていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一記載の水の熱分解装置。
- 反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収する構造を持つことを特徴とする請求項13又は14記載の水の熱分解装置。
- 電極材料が、白金メッシュ層であることを特徴とする請求項14記載の水の熱分解装置。
- 触媒に熱分解反応効率改善層が配置されていることを特徴とする請求項11、12、13及び14のいずれか一記載の水の熱分解装置。
- 熱分解反応効率改善層が、例えば金箔層などの耐蝕性材料層であることを特徴とする請求項17記載の水の熱分解装置。
- 請求項1〜9のいずれか一記載の水の熱分解法であって電圧印加条件下の水蒸気存在下持続的な水の熱分解による水素と酸素の生成を達成する水の熱分解法において、反応セルのアノード側のガス流路とカソード側のガス流路を分離することにより、水素と酸素を分離して回収することを特徴とする生成ガスの回収法。
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