JPH10251001A - 水素製造方法 - Google Patents

水素製造方法

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JPH10251001A
JPH10251001A JP5658797A JP5658797A JPH10251001A JP H10251001 A JPH10251001 A JP H10251001A JP 5658797 A JP5658797 A JP 5658797A JP 5658797 A JP5658797 A JP 5658797A JP H10251001 A JPH10251001 A JP H10251001A
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JP
Japan
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reaction
carbon
cerium oxide
hydrogen
temperature
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JP5658797A
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English (en)
Inventor
Masahiro Sakata
昌弘 坂田
Kenzo Nagase
賢三 長瀬
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Tohoku University NUC
Central Research Institute of Electric Power Industry
Original Assignee
Tohoku University NUC
Central Research Institute of Electric Power Industry
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温にて水素を製造でき、熱源に要するコス
トを低減できるようにする。 【解決手段】 水と炭素との熱化学分解反応により水素
を製造する方法において、反応媒体として酸化セリウ
ム、あるいは反応媒体として水酸化ナトリウム等のアル
カリを使用することにより、例えば450〜600℃程
度の低温で水素を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素の製造方法に
関するものであり、詳しくは、水および炭素を原料とし
て低温にて水素を製造する方法に関するものである。本
発明にかかる水素の製造方法は、水素を化学原料として
用いる化学工業分野及びクリーンエネルギー源として利
用するエネルギー産業分野において有用なものである。
【0002】
【従来の技術】水素製造法として、化石燃料の水蒸気改
質、水の電気分解及び熱化学分解、光・バイオ利用があ
る。現在、水素はそのほとんどが天然ガス、ナフサ等の
化石燃料の水蒸気改質により製造されている。この反応
には、通常Ni系触媒が利用され、反応温度は約800
℃である。その他の製造法の中では、高温高圧アルカリ
水電解法や固体高分子電解質水電解法が最も研究開発が
進んでいるが、それ以外は基礎研究段階にある。
【0003】本発明と同種の水の熱化学分解法について
は、これまでに多くの方法が提案されている。この中
で、東京大学のUT−3法と日本原子力研究所の方法は
現在でも実験が続けられている。前者は、700℃以下
の気体と固体の反応のみから成り立ち、カルシウムと鉄
の化合物が臭化物と酸化物の間を往復して、カルシウム
側から酸素を、鉄側から水素を放出する。一方後者の方
法では、UT−3法より少し高温の750℃で動作する
ヨウ素−硫黄の反応系が用いられる。いずれも大量の熱
を使用するので、将来の高温ガス炉を熱源とした利用法
が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これまでに提案された
水の熱化学分解による水素製造法は、大量の熱を必要と
するため、熱源の確保が限定されるとともに、製造コス
トの低減が難しい。また、それを実用化するためには、
高温材料や耐腐食性材料の開発が不可欠となる。
【0005】従って、本発明では、上記したような従来
技術における問題点に鑑み、低温にて水素を製造でき、
熱源に要するコストを低減することのできる水素の製造
方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、水素製造
の大幅な低温化を達成するために鋭意研究を行った結
果、熱化学分解法における新規触媒を見出すことにより
上記課題を解決したものである。すなわち、種々の金属
酸化物の中で、酸化セリウム(CeO2 )と炭素との反
応で生成した還元型酸化セリウム(CeO2-X )が25
0℃以上の温度条件下で水蒸気との反応により水素を生
成することを見出した。また、300℃程度の温度で、
水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下における炭素と水
蒸気との反応で水素を生成することを見出した。したが
って、この2つの反応を利用することにより、下記の2
つの水素製造プロセスが成立することになり、従来の熱
化学分解法に比べていずれも大幅な低温化が可能となっ
たものである。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】なお、本発明の水素製造方法では、地球温
暖化の原因となる二酸化炭素を発生する。これについて
は、以下に示した炭酸ナトリウム等を反応媒体とする炭
素と二酸化炭素との反応により、450℃の温度で一酸
化炭素に変換できることを見出した。具体的には、本発
明者等は、Ba2+、Sr2+、Na+ 、K+ の炭酸塩が炭
素との共存下で不均化反応を起こして一酸化炭素のみを
発生する下記化3の熱化学反応サイクルを見いだした。
このサイクルは450℃で働き、700℃では比較的低
濃度の二酸化炭素(5vol%)を瞬時に、その97%以
上を一酸化炭素に変換させることができることを見いだ
した。この一酸化炭素は、メタノール等を製造するため
の原料として有効利用される。
【0010】
【化3】
【0011】すなわち、上記課題を解決する本発明は、
第1に、酸化セリウムを反応媒体とする水と炭素との熱
化学分解反応により水素を製造する方法である。
【0012】上記方法においては、酸化セリウム(Ce
2 )と炭素との反応で生成した還元型酸化セリウム
(CeO2-X )を水蒸気と反応させて水素を発生させる
ものである。また上記方法においては、600〜700
℃、より好ましくは600〜650℃の温度にて操作さ
れることが望ましい。
【0013】また、上記課題を解決する本発明は、第2
に、アルカリを反応媒体とする水と炭素との熱化学分解
反応により水素を製造する方法である。
【0014】上記第2の方法においては、アルカリが水
酸化ナトリウムであることが好ましい。また、上記第2
の方法においては、450〜600℃の温度にて操作さ
れることが望ましい。
【0015】さらに上記第2の方法において、炭素源と
して低品位化石燃料を用いることが、未利用化石燃料の
利用拡大の見地から望ましい。その理由は、Na2CO3
の分解で生じた酸化ナトリウムが、低温(400℃)で
不均化を起こして蒸気となり、これが炭素と水蒸気の反
応の触媒となっていることにある。即ち、石炭の利用の
最大のネックとなってきた固体−固体インタフェイスの
問題を触媒をガス化することによって完全に克服し、石
炭が消費されるまで大きく、かつ一定の反応速度が維持
できる道が開かれたことになる。
【0016】本発明はさらに、上記第1及び第2の水素
製造法で副生した二酸化炭素を、炭酸塩を反応媒体とす
る炭素との反応で一酸化炭素に変換する方法を示すもの
である。
【0017】
【作用】本発明の水素製造方法では、例えば、450〜
600℃程度の温度で水素を製造することができること
から、従来の熱化学分解法に比べて大幅な低温化が可能
となる。また、このプロセスで発生する二酸化炭素は、
一酸化炭素に変換することにより有効利用されることか
ら、製造コストの低減化と環境適応性に優れた水素製造
法が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明を実施形態に基づきよ
り詳細に説明する。
【0019】本発明に係る第1の水素製造方法は、酸化
セリウムを反応媒体とする水と炭素との熱化学分解反応
により水素を製造する方法である。
【0020】この製造方法の反応系においては、まず
(1)酸化セリウム(CeO2 )と炭素(C)との反応
で還元型酸化セリウム(CeO2-X )が生成される。そ
して(2)このようにして生成した還元型酸化セリウム
により、水が還元分解されることによって水素が発生
し、この反応において還元型酸化セリウムが酸化セリウ
ムへと酸化され、酸化セリウムが触媒的に作用する反応
サイクルが形成される。
【0021】なお、上記(1)の反応においては、炭素
は、部分酸化されて一酸化炭素(CO)を生じるが、本
製造方法において得られる生成ガスにおける水素と二酸
化炭素の割合は、モル比でほぼ2:1となることから、
還元型酸化セリウムは水性ガスシフト反応も触媒してい
るものと判明した。
【0022】ここで、上記(2)の反応は、例えば25
0℃程度の温度でも生起するが、上記(1)の反応に
は、更に高温が必要とされるため、上記反応サイクルが
成立し、水素を安定に発生させるための操作温度として
は、540〜700℃、より好ましくは600〜700
℃程度が望ましい。すなわち、540℃よりも操作温度
が低いと、酸化セリウムと炭素の反応による還元型酸化
セリウムの生成が生じず、触媒能が低下して反応効率が
低下するためであり、一方、650℃よりも操作温度が
高いと熱源に要するコストが上昇し経済的でないためで
ある。
【0023】本発明において使用される炭素源として
は、特に限定されるものではなく、例えば、活性炭、褐
炭、コークス、微粉炭、ガス状ないし液状炭化水素等を
用いることができるが、好ましくは褐炭等の低品位化石
燃料を使用することが、経済的な観点および未利用化石
燃料の利用拡大の見地から望ましい。
【0024】また水は、通常水蒸気として反応系に供給
されるが、その搬送ガスとしては、例えば、ヘリウム、
アルゴン等の希ガスの他、窒素等を使用することが可能
である。またその供給量としては、特に限定されるもの
ではなく、また操作温度、触媒である酸化セリウムの
量、炭素源の種類および量、反応装置の形態等によって
も左右されるものであるが、例えば炭素源1モルに対
し、0.001〜0.1モル、より好ましくは0.00
1〜0.01モル程度が毎分供給されるような供給速度
に調整すればよい。
【0025】またこの製造方法において、触媒である酸
化セリウムの添加量は、特に限定されるものではなく、
また操作温度、炭素源の種類、反応装置の形態等によっ
ても左右されるものであるが、例えば炭素100モルに
対し、10〜0.01モル、より好ましくは1〜0.1
モル程度であることが望ましい。
【0026】また反応は、通常常圧において行われる
が、1〜10kg/cm2程度に加圧して行っても良
い。
【0027】本発明の水素製造法において用いられる反
応装置としては、特に限定されるものではなく、予め所
定量の炭素と触媒となる酸化セリウムを反応炉に投入し
水蒸気を供給するバッチ式のものであっても、あるいは
炭素も消費量に応じて補給するような連続式のものであ
っても良く、また反応に要する熱の供給系体としても特
に限定されず、反応炉の炉壁を加熱する、あるいは供給
する水蒸気ないしガスを加熱するといった外熱式、水蒸
気と共に酸素含有ガスを反応炉に装入し炭素源を燃焼さ
せるといった連続式、あるいは、水蒸気の供給と炭素源
の燃焼のための酸素含有ガスの供給を交互に行う間欠式
等各種の態様を採用し得る。
【0028】本発明に係る第2の水素製造方法はアルカ
リを反応媒体とする水と炭素との熱化学分解反応により
水素を製造する方法である。
【0029】この製造方法の反応系においては、(1)
比較的低温条件下では、水酸化アルカリ(MOH)が炭
素及び水と反応して水素ガスを発生するが、後述する実
施例に示すようにこの際の水素以外の気体の発生は無視
できるので、この反応は、C+2MOH+H2 O→M2
CO3 +2H2 で示される新規の反応である。一方、
(2)水酸化アルカリ(MOH)に対してカーボン大過
剰のもとで比較的高温まで昇温すると、逆方向の反応
(M2 CO3 +H2 O→2MOH+CO2 )が起こり、
NaOHが触媒的に作用して水素発生速度は定常値に達
するものである。
【0030】本発明において使用される炭素源として
は、上記第1の発明の場合と同様に特に限定されるもの
ではなく上記に例示したようなものを用いることができ
る。
【0031】また水は、本第2発明においても通常水蒸
気として反応系に供給されるが、その搬送ガスとして
は、上記に例示したものと同様のものを使用することが
可能である。またその供給量としては、特に限定される
ものではなく、また操作温度、触媒であるアルカリの量
および種類、炭素源の種類および量、反応装置の形態等
によっても左右されるものであるが、例えば炭素源1モ
ルに対し、0.001〜0.1モル、より好ましくは
0.001〜0.01モル程度が毎分供給されるような
供給速度に調整すればよい。
【0032】またこの製造方法において、触媒であるア
ルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムな
どのアルカリ金属の水酸化物のほか、水酸化アンモニウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が使用可能で
あるが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等であり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。
その添加量は、特に限定されるものではなく、また操作
温度、炭素源の種類、反応装置の形態等によっても左右
されるものであるが、例えば炭素100モルに対し、1
0〜0.01モル、より好ましくは0.1〜0.01モ
ル程度であることが望ましい。
【0033】また反応の操作温度としては、使用するア
ルカリの種類等によっても左右されるが、例えば、水酸
化ナトリウムを使用し操作期間中を通じてほぼ一定温度
に保持する場合には、400〜700℃、より好ましく
は450〜600℃程度が望ましい。すなわち、400
℃よりも操作温度が低いと、上記した(2)の反応がほ
とんど生じず、触媒能が低下して反応効率が低下するた
めであり、一方、600℃よりも操作温度が高いと熱源
に要するコストが上昇し経済的でないためである。しか
しながら、もちろん、操作期間中に温度を定期的に、上
記(1)反応が優先的に生じる比較的低温、例えば、水
酸化ナトリウムを使用した場合には、250〜350℃
程度の温度と、上記(2)反応が優先的に生じる比較的
高温、例えば、水酸化ナトリウムを使用した場合には、
450〜700℃程度の温度とに、操作温度を変化させ
てもよい。
【0034】また反応は、通常常圧において行われる
が、1〜10kg/cm2程度に加圧して行っても良
い。
【0035】本第2発明の水素製造法において用いられ
る反応装置および熱供給形態としては、特に限定される
ものではなく、上記したと同様に種々の形態のものを採
用し得る。
【0036】さらに第3の発明に係る二酸化炭素の一酸
化炭素への変換方法は、二酸化炭素を、炭酸塩を反応媒
体とする炭素との反応で一酸化炭素に変換することを特
徴とするものである。
【0037】この変換方法の反応系においては、(1)
炭酸塩(MxCO3、但し、xは2を金属Mのイオン価で
割った値である。)と炭素とが反応し、一酸化炭素を発
生する反応MxCO3+C→Mx +2COと、(2)金
属酸化物(MxO)と二酸化炭素(CO2)とが反応し、
二酸化炭素が消費されると共に、金属酸化物が炭酸塩に
還元される反応Mx +CO2→MxCO3とからなる熱
化学反応サイクルが形成される。
【0038】本発明の変換方法において、操作温度とし
ては、450〜750℃、より好ましくは650〜70
0℃程度が望ましい。すなわち、450℃よりも操作温
度が低いと、二酸化炭素の変換効率が極端に低下するた
めであり、一方、700℃よりも操作温度を高くしても
変換効率がそれ以上高くならず、熱源に要するコストが
上昇し経済的でないためである。
【0039】この変換法において、使用される炭酸塩と
しては、例えば、ナトリウム、カリウム、バリウム、ス
トロンチウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金
属の炭酸塩が例示できるが、これらに限定されるわけで
はない。このうち最も好ましくは、ナトリウムである。
その添加量は、特に限定されるものではなく、また操作
温度、炭素源の種類、反応装置の形態等によっても左右
されるものであるが、例えば炭素100モルに対し、1
0〜0.01モル、より好ましくは1〜0.1モル程度
であることが望ましい。
【0040】本発明において、原料となる二酸化炭素と
しては、上記第1および第2の発明に係る水素製造方法
において生成ガス中に副生する炭酸ガス(CO2)が例
示できるが、もちろんこれに限定されるものではなく、
各種の燃焼プロセス等において生成する二酸化炭素を用
いることができる。またその供給量としては、特に限定
されるものではなく、また操作温度、触媒である炭酸塩
の量および種類、炭素源の種類および量、反応装置の形
態等によっても左右されるものであるが、例えば炭素源
1モルに対し、0.0001〜0.1モル、より好まし
くは0.001〜0.01モル程度が毎分供給されるよ
うな供給速度に調整すればよい。
【0041】一方、炭素としては、上記に例示したと同
様の各種のものが用いられ得る。
【0042】
【実施例】次に、実施例を上げて本発明を説明する。 実施例1 水素製造プロセス−1 実験方法 装置:図1に示すよう装置構成を使用した。図示するよ
うに、ニクロム炉1中に石英管2を配置し、その中に以
下に示す試料3を入れ、その前後に石英ウール4を配置
した。そして、この石英管の一端に水タンク5からの水
蒸気流路を接続し、他端に生成ガス流路を接続した。さ
らに生成ガスの分析を行うために生成ガス流路にガスク
ロマトグラフ6へと向かう分岐流路を設けた。なお水蒸
気のキャリアガス、およびガスクロマトグラフにおける
キャリアガスとしては、ヘリウムを使用した。 試料:二酸化セリウムと活性炭(He中、高温加熱して
有機物を除去したもの) をモル比で1:10で混合した試料204mg 加熱雰囲気:22℃での飽和水蒸気/30mlmin-1
He気流中 結果 還元型セリウムは250℃でも水蒸気を還元分解する
が、炭素によるCeO2の還元には更に高温が必要なた
めに、実際にサイクルが稼動し、酸化セリウムが触媒的
に作用して水素発生速度が定常値に達するには540℃
以上の温度が必要であった。各温度での定常値に達した
後の水素発生速度を、二酸化炭素、一酸化炭素の速度と
ともに表lに記載した。
【0043】
【表1】
【0044】実施例2 水素製造プロセス‐2 実験方法 装置:上と同じ 試料:水酸化ナトリウムと活性炭(He中、高温加熱し
て有機物を除去したもの)をモル比で2:1で混合した
試料460mg 加熱雰囲気:上と同じ 結果 300℃における水素発生速度の経時変化を図2に示し
た。図に見られるように、水素以外の気体の発生は無視
できるので、この反応はC+2NaOH+H2O→Na
2 CO3 +2H2 で示される新規の反応である。また、
NaOHに対してカーボン大過剰のもとで470℃まで
昇温すると、逆方向の反応(Na2 CO 3 +H2 O→2
NaOH+CO2 )が起こり、NaOHが触媒的に作用
して水素発生速度は定常値に達することが判明した。
【0045】実施例3 二酸化炭素変換プロセス 実施例1と同じ装置を使って実験を行った。炭酸ナトリ
ウム100mg(0.94mmol)と活性炭200m
g(17mmol)の混合物を石英管に充填して、比較
的低濃度で二酸化炭素(5容量%)を含むヘリウム気流
を20×10-5mol/minで供給し、700℃で熱
化学反応サイクルを稼働させた。その結果、比較的低濃
度の二酸化酸素を瞬時に、その97%以上を一酸化炭素
に変換させることができた。そのときの変換速度を図3
に示しているが、この温度での一酸化炭素生成速度は二
酸化炭素の供給速度に一致していることから、変換速度
が極めて速いことを示唆している。約10時間経過した
ところで一酸化炭素の発生速度が急激に減少するのは充
填した活性炭が殆ど消費されたためである。また、ター
ンオーバーの回数は13回(14時間)であった。因み
に、熱化学反応サイクルを稼働する温度を変えたときの
CO生成速度を各温度毎に表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】実施例4 市販の活性炭を不活性ガス中900℃で3時間加熱した
ものを炭素源とし、この炭素と二酸化セリウムをモル比
にして10:1に含浸法で調製したものを試料として用
いた。二酸化セリウム量は、1.9mmol、炭素量は
19mmolである。水を入れたトラップにヘリウム
(47.5ml/min)を通すことによって水蒸気
(5.0×10-5mol/min)を反応管に送り込ん
だ。そして反応によって発生する水素、一酸化炭素、二
酸化炭素、メタンをガスクロマトグラフによって分析し
た。
【0048】600℃における熱化学サイクルの発生ガ
スの経時的変化を図4に示した。反応開始から56時間
で水素発生量は20mmol得られたことから、56時
間で20回ターンオーバーしていると考えられた。発生
した水素と二酸化炭素の比は約2:1であり、全反応は
C+2H2O→CO2+2H2であり、還元型酸化セリウ
ムは水性ガスシフト反応も触媒しているものと判明し
た。
【0049】実施例5 試料として水酸化ナトリウム83mg(2.08mmo
l)、窒素中900℃で3時間加熱した活性炭254m
g(21.2mmol)を乳鉢で均一に混合したものを
用いた。22℃の水を入れたトラップにヘリウム(65
ml/min)を通すことによって2.6kPaの水蒸
気を反応管に送り込んだ。供給した水の物質量は6.9
9×10-5mol/minである。そして反応によって
発生する水素、一酸化炭素、二酸化炭素をガスクロマト
グラフによって分析した。
【0050】500℃における熱化学サイクルの発生ガ
スの経時的変化を図5に示した。気体の発生速度は20
時間ぐらいまでは次第に減衰し、その後60時間一定速
度を持続した。約100時間程度で炭素は完全に消費さ
れた。最初の方で発生速度が大きいのは、水酸化ナトリ
ウムが反応を起こし、水素を発生しているためである。
最後の方で発生速度が落ちているのは試料の炭素がほと
んど消費されてしまったためである。グラフの面積によ
り最終的に水素は0.03mmol、二酸化炭素は0.
015mmol発生したことがわかった。このあいだの
ターンオーバーの回数は14.4回であった。図6に
は、450℃で稼働させたときのデータを示すが、この
サイクルはこの温度条件でも500℃の場合と同様に働
くことがわかった。
【0051】
【発明の効果】本発明により、低温での水素製造が可能
であるため、従来の方法に比べて水素製造コストの低下
が期待できる。また、褐炭等の低品位化石燃料を水素製
造における炭素源とすることにより、未利用化石燃料の
利用拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において用いた実験装置の構成
を示す概略図である。
【図2】本発明の水素製造法の実施例における水素発生
速度の経時的変化を示すグラフである。
【図3】本発明の二酸化炭素変換方法の実施例における
変換速度の経時的変化を示すグラフである。
【図4】本発明の水素製造法の別の実施例におけるガス
発生速度の経時的変化を示すグラフである。
【図5】本発明の水素製造法のさらに別の実施例におい
て500℃で操作した際のガス水素発生速度の経時的変
化を示すグラフである。
【図6】本発明の水素製造法の実施例において450℃
で操作した際の水素発生速度の経時的変化を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 ニクロム炉 2 石英管 3 試料 4 石英ウール 5 水タンク 6 ガスクロマトグラフ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化セリウムを反応媒体とする水と炭素
    との熱化学分解反応により水素を製造する方法。
  2. 【請求項2】 酸化セリウム(CeO2 )と炭素との反
    応で生成した還元型酸化セリウム(CeO2-X )を水蒸
    気と反応させて水素を発生させるものである請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 600〜650℃の温度にて操作される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルカリを反応媒体とする水と炭素との
    熱化学分解反応により水素を製造する方法。
  5. 【請求項5】 アルカリが水酸化ナトリウムである請求
    項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 450〜600℃の温度にて操作される
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 炭素源として低品位化石燃料を用いるも
    のである請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7に記載の水素製造法で副生
    した二酸化炭素を、炭酸塩を反応媒体とする炭素との反
    応で一酸化炭素に変換する方法。
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